説明

流体回路およびこの流体回路を含む作業機械

【課題】流体モータ減速中に、(流体モータの可動部分の慣性によりモータがポンプとして働くことが原因で)キャビテーションが生じる危険性を低減する。
【解決手段】作業機械の流体回路1は、流体モータ13と、パイロット圧力で上記作業機械の1つ以上の構成部品に作動流体を供給するように構成されたパイロット圧力システムと、上記パイロット圧力システムおよび上記流体モータと作動油が連通している補給圧力システムと、を含む。上記補給圧力システムは、上記流体モータの一部における作動流体の圧力が圧力の閾値を下回っている場合に、上記パイロット圧力システムから上記流体モータへ作動流体を供給するように構成される。これにより、上記補給圧力システムは、上記流体モータの減速中に上記流体モータでキャビテーションが生じる危険性を低減するために、上記パイロット圧力システムから上記流体モータへ流体を供給するよう動作可能となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、作業機械、作業機械の流体回路および部品等に関する。
【背景技術】
【0002】
掘削機等の数多くの作業機械(図1参照)は、一対の平行な無限軌道を担持する下部走行体を含む。無限軌道は、上記作業機械の駆動機構によって下部走行体に対して回転駆動されるように構成される。上記軌道は、その一方または両方を下部走行体に対して回転駆動することによって地表面に対して上記作業機械を移動させるように、地表面と係合して動作可能である。さらに、各軌道の、もう一方の軌道に対する回転移動の速度を制御することによって、地表面に対する下部走行体の回転位置を制御して上記作業機械の操舵を行うことができる。
【0003】
このタイプの一般的な作業機械において、下部走行体は、作業機械の本体を支持するとともに、使用者により操作可能であって作業機械の動作を制御するための制御機構を収容する運転室を、通常含んでいる。
【0004】
一般的に、作業機械の本体は、旋回継手によってディッパアームへと連結されたブームに結合される。ブームの基端が旋回連結部を介して本体に取り付けられ、ブームの末端がディッパアームの基端に連結される。ディッパアームの末端は、作業具や作業道具を担持する。
【0005】
一般的に、作業機械の本体は下部走行体に対して回転することができ、本体、ブーム、および作業具を、下部走行体に対して第1の回転位置と第2の回転位置との間で動かすことができるようになっている。これにより、例えば、第1の位置で作業具により集めた資材を、地表面に対して下部走行体を動かす必要なく、作業具によって第2の位置に降ろすことが可能になる(第1の位置と第2の位置は下部走行体に対して互いに回転方向にずれている)。この回転運動は、作業機械の旋回動作と呼ばれる。
【0006】
通常、旋回動作は、流体モータ(旋回モータとして知られている)によって駆動される。流体モータは、流体回路によって制御され、動作する。図2には、旋回モータを制御/動作させるための従来の一般的な流体回路が示されている。
【0007】
流体モータ減速中に、(流体モータの可動部分の慣性によりモータがポンプとして働くことが原因で)キャビテーションが生じる危険性を低減するためには、補給流体供給源(make-up fluid supply)を設ける必要がある。この補給流体供給源は、流体モータの動作中、(モータ減速中のポンプ作用の結果として)流体モータの作動油供給管路内の流体圧力が降下した場合に、流体モータに流体を供給するように構成される。図2に示されている例において、この補給流体供給源は、主制御弁の戻り管路と主制御弁を流体モータに接続する管路との間に接続された管路を備える。
【0008】
上記補給流体圧力供給源は、流体回路にかかる寄生負荷(parasitic load)を有する。この寄生負荷のため、流体ポンプは、補給流体圧力供給源がない場合に必要な負荷よりも高い負荷において動作する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、従来技術に関連する問題を克服する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、本発明の一態様は、作業機械の流体回路を提供する。この流体回路は、流体モータと、作動流体をパイロット圧力で上記作業機械の1つまたは複数の構成部品に供給するように構成されたパイロット圧力システムと、上記パイロット圧力システムおよび上記流体モータと作動流体が連通している補給圧力システムと、を含む。上記補給圧力システムは、上記流体モータの一部分における作動流体圧力が圧力の閾値を下回っている場合には、上記パイロット圧力システムから上記流体モータへ作動流体を供給するように構成されている。これにより、上記流体モータの減速中、上記流体モータでキャビテーションが生じる危険性を低減するため、上記補給圧力システムは、上記パイロット圧力システムから上記流体モータへ流体を供給するように動作可能になっている。
【0011】
上記回路は、制御弁によって上記パイロット圧力システムに結合されると共に上記パイロット圧力システムから上記制御弁への作動流体の供給時に第1の位置と第2の位置の間で作動するよう構成された流体アクチュエータをさらに含んでいてよい。
【0012】
上記流体モータは旋回モータ(slew motor)であってよい。
【0013】
上記補給圧力システムは、上記流体モータから上記パイロット圧力システムへの流体流を制限またはほぼ阻止するように構成された弁をさらに含んでいてよい。
【0014】
上記補給圧力システムは、上記パイロット圧力システムにおける流体圧力が流体圧力の閾値より小さいときに上記パイロット圧力システムから上記流体モータへの上記流体流を制限またはほぼ阻止するように構成された弁をさらに含んでいてよい。
【0015】
上記補給圧力システムは、上記流体モータから上記パイロット圧力システムへの上記流体流を制限またはほぼ阻止するように構成されると共に上記パイロット圧力システムにおける流体圧力が流体圧力の閾値より小さいときに上記パイロット圧力システムから上記流体モータへの上記流体流を制限またはほぼ阻止するように構成された弁をさらに含んでいてよい。
【0016】
上記弁は逆止弁を含んでいてもよい。
【0017】
上記弁は電磁弁を含んでいてもよい。
【0018】
上記弁はパイロット操作弁を含んでいてもよい。
【0019】
本発明の他の態様は、流体回路を含んだ作業機械を提供する。
【0020】
上記作業機械は作業アームをさらに含んでいてもよい。上記パイロット圧力システムは、上記作業アームまたは上記作業アームの一部を動作させるように構成された上記作業機械の1つまたは複数の流体アクチュエータに関連付けられた1つ以上の制御弁に、作動流体を供給するように構成される。
【0021】
上記機械は掘削機であってよい。
【0022】
本発明の実施形態を、添付の図面を例として参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】作業機械の図である。
【図2】従来の流体回路の図である。
【図3】流体回路の図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図3を参照すると、本発明の一実施形態は、作業機械3(図1を参照)の旋回モータ制御機構2のための流体回路1を備えている。
【0025】
流体回路1は、流体モータ13(旋回モータ)の動作を制御するように構成される。流体モータ13は作業機械3に結合されており、その動作によって、作業機械3の下部走行体32に対する本体31の回転(旋回動作)が行われる。
【0026】
流体回路1は、作業機械3の本体31または作業機械3の下部走行体32に配置することができ、あるいは、作業機械3の本体31および下部走行体32の両方に部分的に配置してもよい。流体回路1は、作業機械3の本体31に配置すると好ましい。
【0027】
一実施形態では、本体31を作業アーム33に取り付けることができる。作業アーム33は、その基端において作業機械3の本体31に取り付けることができ、ブーム33の末端は、作業具すなわち道具34(バケットなど)を担持するように構成される。作業アーム33は、本体31に対して上昇および下降できるように、本体31に旋回式に連結可能である。作業アーム33は、1つ以上の旋回継手を含むことができる。作業アーム33は、本体31に対して左位置と右位置の間で回転できるように、本体31に旋回式に連結可能である。
【0028】
したがって、作業アーム33は、本体31に取り付けられる第1の部分331(ブーム)と、第1の部分331に旋回継手によって取り付けられる第2の部分332(ディッパアーム)と、を備えることができる。作業アーム33またはその一部や部分を本体31に対して動かすため、1つ以上の流体ラムまたはその他の流体アクチュエータを設けることができる。各流体ラムまたはアクチュエータは流体回路を含み、1つ以上の制御弁を含むことができる。この制御弁は、使用者が使用者制御機構を操作することによって作動できるパイロット圧力供給によって、少なくとも部分的に動作する。このパイロット圧力供給は、作業機械3のパイロット圧力システムからもたらされ、作業機械3の1つ以上の部品の動作を制御するために使用することができる。各流体ラムまたはアクチュエータは、第1の位置と第2の位置との間を動くように構成され、(例えば)第1の位置と第2の位置の間で作業アーム33を動かすように構成される。作業アーム33のその他の構成は、本発明の実施形態に従って設けられる。
【0029】
本体31は、作業機械3のためのエンジンを収容する。
【0030】
図3に示されている回路では、パイロット圧力管路5に沿った圧力保持弁4から、システムパイロット圧力(典型的には約35bar(3500kPa))がもたらされる。このシステムパイロット圧力は、作業機械3のその他の構成部品により、例えば作業アーム33に結合されたラムを動作させるために主制御弁の1つ以上のスプールの制御などのために使用することができる。したがって、パイロット圧力管路5は、作業機械3のパイロット圧力システムの一部に接続することも、そのシステムの一部を形成することもできる。
【0031】
圧力保持弁4は、アキュムレータ7と流体連通するように、第1の管路6によって結合される。圧力保持弁4はまた、第2の管路9によって、流体ポンプ8と流体連通するように結合される。流体ポンプ8は、低圧作動流体タンク10と流体連通している。
【0032】
したがって、圧力保持弁4は、流体ポンプ8から加圧下で供給される流体を使用して、システムパイロット圧力をもたらす。アキュムレータ7は、作業機械3の動作中にこのシステムパイロット圧力がほぼ所定のレベルに確実に維持されるように使用される。したがって、圧力保持弁4およびアキュムレータ7は作業機械3のパイロット圧力システムの一部を成す。
【0033】
主制御弁11は、流体ポンプ8と流体連通するように主制御弁供給管路12によって結合される。この例では、主制御弁供給管路12は第2の管路9に接続している。
【0034】
主制御弁11は、第3の管路14および第4の管路15によって、流体モータ13(例えば旋回モータ)と流体連通するように結合される。この構成により、流体モータ13の可動部分を第1の方向に駆動するために、加圧された流体が主制御弁11から第3の管路14を通して流体モータ13に供給され、流体モータ13から流体が第4の管路15を通って主制御弁11へ進むようになっている。流体モータ13の可動部分を第2の方向に駆動するためには、加圧された流体が主制御弁11から第4の管路15を通って流体モータ13に供給され、流体モータ13から流体が第3の管路14を通って主制御弁11へ進む。
【0035】
主制御弁11は流体制御回路を形成する複数の弁を備えていてもよいことが理解されるだろう。また、主制御弁11の動作は、作業機械3の本体31内(作業機械の運転室内)に設けることができる使用者制御機構によって使用者により制御可能であることが理解されるだろう。
【0036】
一実施形態では、第1のリリーフ弁16および第2のリリーフ弁17が、第3の管路14と第4の管路15の間に設けられ、共に流体モータ13と並列に、流体モータ13と流体連通するように接続される。この実施形態では、2つの圧力リリーフ弁16、17は、互いに対向する構成で配置される。つまり、第1のリリーフ弁16は、流体を第4の管路15へ通すことによって第3の管路14内の過大な流体圧力を軽減するように構成され、第2のリリーフ弁17は、流体を第3の管路14へ通すことによって第4の管路15内の過大な流体圧力を軽減するように構成される(第1のリリーフ弁16および第2のリリーフ弁17は通常閉じている)。
【0037】
一実施形態では、流体モータ13の可動部分を動かさないように主制御弁11が操作される場合、主制御弁11によって第3の管路14および第4の管路15への流体の出入りが阻止される。状況によっては、第3の管路14および第4の管路15へ相当量の流体が出入りしないように制御弁11が操作されると、流体モータ13の可動部分がかなりの運動量を有することがある。したがって、その時点における流体モータ13の可動部分の動作(例えば回転)方向に応じて、第3の管路13または第4の管路14内の流体圧力が高まる可能性がある。この流体圧力は、関連するリリーフ弁16、17を介して軽減することができる。これにより、流体モータ13の可動部分の減速を抑える効果が得られることが理解されるだろう。
【0038】
一実施形態では、主制御弁11は、主制御弁11用の戻り管路を形成する第5の管路19によって冷却器18に結合され、冷却器18と流体連通する。この実施形態において、冷却器18は、流れる作動流体を冷却するように構成され、フィルタ20と流体連通する。この実施形態では、フィルタ20は作動流体の低圧タンク21と流体連通する。タンク21は、流体ポンプ8に結合されているのと同じタンク10であってよい。
【0039】
バイパス逆止弁22を設けることができ、冷却器18と並列に接続することができる。これにより、第5の管路19内の流体圧力がバイパス逆止弁22のクラッキング圧力を越えた場合には流体がバイパス逆止弁22により冷却器18をバイパスすることができ、流体は冷却器18を通過することなく第5の管路19からフィルタ20へ通過することができる。したがって、第5の管路19内の流体の一部は冷却器18を通過可能にしたまま、一部は冷却器18をバイパス許可するために、バイパス逆止弁22を使用することができる。バイパス逆止弁22は、冷却器18を通過する流体の流体圧力を制御するように機能する。したがって、バイパス逆止弁22は、冷却器18を過大な流体圧力から保護するように機能する。
【0040】
動作中、流体モータ13の可動部分の動きが遅くなっているときに(すなわちモータ13の減速中、ひいては本体31の回転運動の減速中)、流体モータ13にキャビテーションが生じる危険性がある。このキャビテーションは、減速中に流体モータ13をポンプとして機能させる流体モータ13の可動部分の慣性によって引き起こされる(流体モータ13の可動部分は本体31に結合されているため、本体31の慣性も流体モータ13の可動部分に付与されて流体モータ13の可動部分の慣性に寄与する)。例えば、流体モータ13の可動部分の漸進的な減速中または急停止中にその危険性が存在する。この危険性を低減するために、一実施形態では、補給圧力管路23が、第1の補給圧力逆止弁24によって第3の管路14に接続され、第2の補給圧力逆止弁25によって第4の管路15に接続される。第1の補給逆止弁24は、補給圧力管路23から第3の管路14へは流体が通過できるが反対方向へは流れないように配置される。同様に、第2の補給逆止弁25は、補給圧力管路23から第4の管路15へは流体が通過できるが反対方向へは流れないように配置される。
【0041】
補給圧力管路23を介して、補給流体圧力の流体が供給される。これにより、第3の管路14内の流体圧力が補給流体圧力を下回った場合には流体が第1の補給逆止弁24を通って第3の管路14へ進むようになっており、第4の管路15内の流体圧力が補給流体圧力を下回った場合には流体が第2の補給逆止弁25を通って第4の管路15へ進むようになっている。
【0042】
このことから分かるように、第3の管路14または第4の管路15内で流体圧力が十分降下すると、流体モータ13でキャビテーションが生じる可能性を低減するために、流体モータに流体が供給される。
【0043】
一実施形態では、補給圧力管路23は、アキュムレータ7と接続されて流体連通している。一実施形態では、補給圧力管路23は、パイロット圧力管路5と接続されて流体連通している。一実施形態では、補給圧力管路23は、作業機械3のパイロット圧力システムの別の部分と接続されて流体連通している。一実施形態では、パイロット圧力管路5の内部の流体圧力が、補給圧力管路23における流体圧力から分離して動作する。
【0044】
一実施形態では、補給圧力管路23は、第1の管路6と接続されて流体連通している。したがって、補給流体圧力は、アキュムレータ7、圧力保持弁4、および流体ポンプ8によってもたらされる。すなわち、補給圧力は、作業機械3のパイロット圧力システムによってもたらされ、主制御弁11の戻り管路(第5の管路19)における流体圧力に対して連続的な寄生負荷を形成しない。これにより、流体回路1の操作に要する背圧を低減できる。
【0045】
したがって、出力がより小さい流体ポンプ8を使用することができ、かつ/または流体ポンプ8を所与の期間動作させるのに必要な燃料量を少なくすることができる。
【0046】
一実施形態では、補給圧力弁26が補給圧力管路23に設けられる。補給圧力弁26は逆止弁にすることができる。補給圧力弁26は、流体圧力が所定の流体圧力より高い場合に、アキュムレータ7からの流体流を許可し、アキュムレータ7の方への流体流を阻止するように構成される(補給圧力弁26が逆止弁である場合、これは適切なクラッキング圧力を有する逆止弁を選択することによって達成することができる)。補給圧力管路23が作業機械3のパイロット圧力システムのその他いくつかの部分に接続される実施形態では、流体圧力が所定の流体圧力を上回った場合にパイロット圧力システムからの流体流を許可し、パイロット圧力システムの方への流体流を阻止するように、補給圧力管路23に補給圧力弁26を設けることができる。
【0047】
補給圧力逆止弁26により、作業機械3のパイロット圧力システムにおけるパイロット流体圧力の使用と、流体モータでキャビテーションが生じる危険性を低減するための補給流体圧力の供給源としてのパイロット圧力の使用と、の間でのバランスを規定できる機構が提供される。したがって、補給圧力逆止弁26のクラッキング圧力は、作業機械3のパイロット圧力システムの動作特性に応じて選択することができる。
【0048】
補給圧力逆止弁26はまた、第1の補給圧力弁24または第2の補給圧力弁25が故障した場合に、流体が流体モータ8から作業機械3のパイロット圧力システム内に戻る危険性を低減するのにも役立つ。そうでなければ、かかる不具合によりパイロット圧力システムの構成部品が損傷を受ける可能性がある。
【0049】
補給圧力逆止弁26はまた、(おそらく作業機械3エンジンがオフになっていたために)流体ポンプ8が稼働していないときに旋回操作が行われた場合、作業機械3のパイロット圧力システムから流体が排出されるおそれを低減するように機能する。これにより、かかる状況の際に、(作業アーム33の制御を可能にするのに十分なパイロット圧力がパイロット圧力システムにまだ存在するため)、作業アーム33の緊急下降などの動作が行われる。この動作は、例えば地域によっては安全令の要件になることもある。
【0050】
逆止弁である補給圧力弁26の代わりに、補給圧力パイロット弁すなわち電磁弁を設け、同様の結果が得られるように動作するよう構成することができる。このことから分かるように、補給圧力弁26が弁の組み合わせを備えてもよいことは当然である。
【0051】
補給圧力システムのための補給圧力管路23と第1および第2の補給圧力逆止弁24、25。第1および第2の補給圧力逆止弁24、25は、キャビテーションが生じる危険性を低減させる必要がある流体モータ13の部分に補給圧力管路から流体を供給できるようにする構成の一例にすぎない。一実施形態では、補給圧力逆止弁24、25は、流体モータ13の本体内に収容される。
【0052】
上述の各実施形態では、特に、作業機械3の旋回動作に使用される流体モータについて言及した。本発明の実施形態は、その他の動作を行うように構成された流体モータに関しても使用可能であることが理解されるだろう。
【0053】
作業機械3は掘削機械であると好ましい。しかしながら、旋回動作できる他のタイプの作業機械3に関して、または実際には他の動作のための流体モータを有する他の作業機械3に関して、本発明の実施形態を使用可能であることが理解されるだろう。上述した他の動作は、主制御弁11のスプールの負荷保持が必要となる動作を含むことができる。
【0054】
作業機械3は、1つ以上の車輪および/または1つ以上の無限軌道を含んだ下部走行体32を有することができる。
【0055】
本明細書におけるある動作の阻止についての言及は、その動作の完全な阻止、またはその動作の実質的な阻止を含む。同様に、本明細書におけるある動作の許可または可能化についての言及は、その動作の完全に無制限な許可または可能化、あるいはその動作の実質的な許可または可能化を含む。
【0056】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、用語「備える」および「備えている」ならびにその変化形は、特定の特徴、ステップ、または完成体が含まれることを意味する。これらの用語は、その他の機能、ステップまたは構成部品の存在を除外することと解釈すべきではない。
【0057】
上述の説明、または以下の特許請求の範囲もしくは添付の図面に開示された特定の形態で、あるいはここで開示した機能を実行する手段またはここで開示した結果を得るための方法もしくはプロセスを用いて表現された各特徴は、適宜、個々にまたは該特徴の任意の組合せにより、本発明をその様々な形態で実現するために利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械の流体回路であって、
流体モータと、
前記作業機械の1つ以上の構成部品にパイロット圧力で作動流体を供給するように構成されたパイロット圧力システムと、
前記パイロット圧力システムおよび前記流体モータと作動流体が連通している補給圧力システムと、を含み、
前記流体モータの一部における前記作動流体の圧力が圧力の閾値を下回っている場合に前記補給圧力システムが前記パイロット圧力システムから前記流体モータへ作動流体を供給するように構成されることにより、前記補給圧力システムが前記パイロット圧力システムから前記流体モータへ流体を供給するように動作可能であり、前記流体モータの減速中に前記流体モータにおけるキャビテーションの危険性を低減する、回路。
【請求項2】
前記パイロット圧力システムに制御弁によって結合され、前記パイロット圧力システムから前記制御弁への作動流体の供給時に第1の位置と第2の位置との間で作動するよう構成された流体アクチュエータをさらに含む、請求項1に記載の回路。
【請求項3】
前記流体モータが旋回モータである、請求項1または2に記載の回路。
【請求項4】
前記補給圧力システムは、前記流体モータから前記パイロット圧力システムへの流体流を制限または略阻止するように構成された弁をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の回路。
【請求項5】
前記補給圧力システムは、前記パイロット圧力システムにおける流体圧力が流体圧力の閾値より小さいときに前記パイロット圧力システムから前記流体モータへの前記流体流を制限または略阻止するように構成された弁をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の回路。
【請求項6】
前記補給圧力システムは、前記流体モータから前記パイロット圧力システムへの前記流体流を制限または略阻止するように構成され且つ前記パイロット圧力システムにおける流体圧力が流体圧力の閾値より小さいときに前記パイロット圧力システムから前記流体モータへの前記流体流を制限または略阻止するように構成された弁をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の回路。
【請求項7】
前記弁が逆止弁を含む、請求項4〜6のいずれか1項に記載の回路。
【請求項8】
前記弁が電磁弁を含む、請求項4〜6のいずれか1項に記載の回路。
【請求項9】
前記弁がパイロット操作弁を含む、請求項4〜6のいずれか1項に記載の回路。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の流体回路を含んだ作業機械。
【請求項11】
前記作業機械が作業アームをさらに含み、
前記パイロット圧力システムが、前記作業機械の1つ以上の流体アクチュエータに関連付けられた1つ以上の制御弁に作動流体を供給するように構成され、
前記流体アクチュエータが、前記作業アームまたは前記作業アームの一部の動作を駆動するように構成される、請求項10に記載の作業機械。
【請求項12】
前記作業機械が掘削機である、請求項10または11に記載の作業機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−229802(P2012−229802A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−94775(P2012−94775)
【出願日】平成24年4月18日(2012.4.18)
【出願人】(595021857)ジェイ・シー・バムフォード・エクスカヴェイターズ・リミテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】J.C.BAMFORD EXCAVATORS LIMITED
【Fターム(参考)】