説明

流体圧リリーフ弁

【課題】 アキュムレータ蓄圧式水圧駆動システムなどにおいて利用可能な大流量のリリーフ弁として使用可能なものを提供する。
【解決手段】 流体圧源Pとリリーフ側Tとにそれぞれ連通し、互いに弁流路を介して連通する流体圧源側ポートとリリーフ側ポートとを有し、制御用流体圧P0を受けて前記弁流路を閉じ、該制御用流体圧の受圧減少によって前記弁流路を開く弁体7を備える主弁Aと、流体圧源Pからの流体圧と調整用流体圧P1とを受け、流体圧源Pからの流体圧が調整用流体圧P1を上回ると流体圧源圧超過時動作をする副弁Bと、該副弁の流体圧源圧超過時動作に従って前記主弁Aにおける制御用流体圧P0の受圧を減少させて前記弁流路(P→T)を開放させる減圧手段65、68、60b、60cを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば水圧鍛造プレス・水圧押出しプレス等の圧力30MPaのアキュムレータ蓄圧式水圧駆動システムなどに用いられ、流路圧力を検出し検出結果に従って開弁することで圧力供給を受ける側の圧力制限を可能とする、流体圧リリーフ弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のアキュムレータ蓄圧式水圧駆動システムでは水圧シリンダー等のアクチュエータ類は全て、システム最大圧力が負荷されるものとして設計・製作しなければならなかった。なぜならばアキュムレータ蓄圧式の場合においてはアキュムレータの持つエネルギーが大きく、システム最大圧力より小さな圧力でタンクラインにリリーフさせようとすると、その差圧に見合った大流量のリリーフ弁を必要とするが、実用上、このような大流量リリーフ弁が世の中に存在せず、アクチュエータ類の圧力を制限することが困難であったためである。
【0003】
アキュムレータ蓄圧式で差圧が約7MPaの場合、リリーフ流量はおおむね6500リッター/分程度となるが、従来は小流量のものを除いて、最大圧力より低い圧力に制限して使用することが実現できていない。この小流量用のバルブには図4に示す「直動型」が使用されている。この直動型のバルブは、一般的には、ポンプ式水圧駆動システムに用いられており、市販品ではリリーフ流量で100リッター/分程度のものが最大であり、大型水圧ポンプに用いられる機種であっても最大流量1,700リッター/分、程度が実用上、直動型の最大である。
【0004】
上記直動型バルブの基本構造について説明する。本図は非特許文献1に記載されている水圧リリーフ弁(pressure relief valve)断面図を引用したものである。
本水圧安全弁の圧力調整ばね100は、ばね座板101を介してピストン102をシート103に押付けている。圧力調整ばね100によるばね力はリリーフ弁の設定圧力であり、調整ナット104を回すことで変更することができる。調整ナット104は、ばね力の設定後にロックナット105で固定される。ポートPにおける流体回路の圧力は、ピストン102に加わっており、上記ばね力による閉止力に対してこの回路圧力による力が上回った時にはピストン102はシート103からリフト上昇し、ポートPはポートTにつながりリリーフ弁として動作する。
【非特許文献1】ドイツ水圧機器メーカーhauhinco社ホームページ、 Pressure relief valve DN3 DN6 DN10 断面図、[online]、[ 平成16年3月1日検索]、インターネット<URL:http://www.hauhinco.co.uk/I_Vlv0.htm>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記で説明したバルブでは、前記したように大流量のリリーフ弁として用いることは困難である。本発明が解決しようとする課題は、アキュムレータ蓄圧式水圧駆動システムなどにおいて利用可能で大流量のリリーフ弁として使用可能なものを提供することにある。さらに、望ましくは、
(1)システム最大圧力より低い圧力を任意に得ること
(2)システム最大圧力より低い圧力で規制し、それ以上の圧力を作動機器に作用させないための過負荷防止に対応すること、
を可能にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明の流体圧リリーフ弁のうち、請求項1記載の発明は、流体圧源とリリーフ側とにそれぞれ連通し、互いに弁流路を介して連通する流体圧源側ポートとリリーフ側ポートとを有し、制御用流体圧を受けて前記弁流路を閉じ、該制御用流体圧の受圧減少によって前記弁流路を開く弁体を備える主弁と、前記流体圧源からの流体圧と調整用流体圧とを受け、前記流体圧源からの流体圧が調整用流体圧を上回ると流体圧源圧超過時動作をする副弁と、該副弁の流体圧源圧超過時動作に従って前記主弁における制御用流体圧の受圧を減少させて前記弁流路を開放させる減圧手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の流体圧リリーフ弁の発明は、請求項1記載の発明において、前記主弁は、前記制御用流体圧の受圧減少時に、流体圧源からの流体圧によって弁体が動作して弁流路を開放するように構成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の流体圧リリーフ弁の発明は、請求項1または2に記載の前記主弁の弁体は、流体圧源からの流体圧と、制御用流体圧の差圧によって動作するものであることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の流体圧リリーフ弁の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記制御用流体圧が、流体圧源の最大圧力以内において圧力の設定調整が可能とされていることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の流体圧リリーフ弁の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、前記主弁は、制御用流体が導入されて弁体に圧力を付加する制御用流体圧受圧室を備えており、前記制御用流体圧の受圧減少は、前記制御用流体圧受圧室から制御用流体を開閉弁を介して外部に流出させることにより行うことを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の流体圧リリーフ弁の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の発明において、前記副弁は、前記流体圧源からの流体圧と調整用流体圧との差圧によって少なくとも流体圧超過時動作としてストローク動作するピストンを備え、該ピストンのストローク動作に従って前記減圧手段を動作させるものであることを特徴とする。
【0012】
すなわち、本発明によれば、副弁において流体圧源からの流体圧と調整用流体圧とを受け、流体圧源からの流体圧が調整用流体圧を上回る場合に、その状態が流体圧超過時動作として検出される。該動作は、減圧手段を制御して主弁において弁流路を閉じている弁体への制御用流体圧の受圧を減少させる。この結果、弁流路が開放されて流体圧源の流体がリリーフされ、流体圧源から供給される流体圧の圧力を低下させることができる。一方、流体圧源からの流体圧が低下して調整用流体圧以下になると、副弁における流体圧超過時動作がなくなり、したがって減圧手段による、主弁における制御用流体圧の受圧減少作用が失われる。その結果、主弁における制御用流体圧の受圧が復元し、該圧力が弁体に作用して弁流路を閉じる動作がなされる。この制御用流体圧の受圧によって、通常時には、弁体によって主弁の弁流路が閉じられるようにしておくことで、上記受圧復元に従って直ちに弁流路が閉じられることになる。弁流路が閉じられることで主弁における流体圧源からの流体のリリーフが停止される。リリーフ弁を閉じている際に、再度、流体圧源からの流体圧が上昇して前記調整用流体圧が上回った場合には、上記と同様にして主弁の弁流路が閉じられて流体のリリーフがなされ、再度、流体圧源からの流体圧が低下して前記調整用流体圧以下になった場合には、上記と同様にして主弁の弁流路が開かれて流体のリリーフが停止される。上記動作を繰り返すことにより、流体圧源からの流体圧を調整用流体圧を基準にしてシステム最大圧力より低い圧力に維持することができる。
なお、本発明の減圧手段は、主弁における制御用流体圧の受圧を減少させることができるものであればよく、制御用流体圧そのものの減圧や、主弁に対する制御用流体圧の供給停止や、主弁における制御用流体圧のリリースなどによって行うことができる。
【0013】
また、前記調整用流体圧をシステム最大圧力以内に設定調整可能にすることで、上記動作に従って維持される圧力を所望の圧力に調整することができる。
【0014】
また、副弁に流体圧超過時動作としてストローク動作するピストンを備え、該ピストンの動作に従って前記減圧手段を動作させるものとすれば、メカニカルな動作によって確実に制御を行うことができる。
なお、本発明において、流体圧力源となる流体、制御用流体圧を発生させる流体、調整用流体圧を発生させる流体の種別については特定のものに限定されるものではない。なお、制御用流体圧を発生させる流体、調整用流体圧を発生させる流体に油を採用することで、一般的な油圧部材を用いて容易に油圧回路を構成することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明の流体圧リリーフ弁によれば、流体圧源とリリーフ側とにそれぞれ連通し、互いに弁流路を介して連通する流体圧源側ポートとリリーフ側ポートとを有し、制御用流体圧を受けて前記弁流路を閉じ、該制御用流体圧の受圧減少によって前記弁流路を開く弁体を備える主弁と、前記流体圧源からの流体圧と調整用流体圧とを受け、前記流体圧源からの流体圧が調整用流体圧を上回ると流体圧超過時動作をする副弁と、該副弁の流体圧超過時動作に従って前記主弁における制御用流体圧の受圧を減少させて前記弁流路を開放させる減圧手段とを備えるので、流体圧源からの流体圧をシステム最大圧力以下の所定圧力に維持、制限することができ、水圧シリンダー等の流体圧利用側で、システム最大圧力が負荷されるものとして設計・製作する必要がなくなる。また圧力規制によりそれ以上の圧力を水圧シリンダー等の作動機器に作用させないための過負荷防止を行なうことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、この発明の一実施形態を添付図に基づいて説明する。
なお、本発明のリリーフ弁は、この実施形態では、主弁である親弁A、副弁である子弁B、油圧機器ブロックCから構成されている。
以下に、先ず親弁Aの構成と機能を述べる。
ブロック状の親弁ボディ1に、流体圧源側である水圧一次側に連なる親弁水圧一次側ポート2と、リリーフ側である水圧二次側に連なる親弁水圧二次側ポート3とが高さ位置を異にして形成されており、両ポート2、3間に連通する親弁弁流路4が縦方向に形成され、該親弁弁流路4に環状の親弁弁座5が設置されている。該親弁弁座5の上方側の親弁ボディ1には、上方に開口する丸穴状の空洞が形成されており、該空洞内に嵌合するようにしてスリーブ6が設置され、その内側に、前記親弁弁座5にシート面7aを介して当接可能な親弁ピストン7が軸方向に摺動可能に配置されている。図1では、親弁ピストン7は、その軸中心を境にして親弁ピストン7が下端側にストロークした状態と、上端側にストロークした状態に分けて描かれている。
なお、スリーブ6には、前記弁流路4に連通する複数のスリーブ連通穴6aが形成され、親弁ボディ1には、該スリープ連通穴6aの周囲を囲むようにして前記親弁水圧二次側ポート3に連通する環状流路1aが形成されており、これらの環状流路1aとスリーブ連通穴6aを介して親弁水圧一次側ポート2と、弁流路4と、親弁水圧二次側ポート3とが連通している。親弁ピストンシート面7aは、閉弁時に上記親弁弁座5に当接して親弁水圧一次側ポート2と親弁水圧二次側ポート3を分離する。
【0017】
次に、前記親弁ピストン7のピストン上端部7bは、下方よりも大径に形成されて親弁ボディ1の上方に突出している。この親弁ボディ1の上方には、ピストン上端部7bが摺動可能な空洞を有するケース8が固定されており、該ケース8の上方に親弁カバー9が固定されている。
なお、親弁ピストン7が下降した時に、親弁ピストン7の上端面とケース8の内周面と親弁カバー8の下面との間で形成される空間によって、制御用流体圧室となる親弁上部油圧室10が構成されており、該親弁上部油圧室10と連通して外部に連なる圧油流路11がケース8に形成されている。また、ピストン上端部7bの上端縁外周壁には、圧油流入凹部7cが環状に形成されている。
【0018】
また、親弁ピストン7の外周面には、ピストン上端部7bにおいて、油圧一次側シール12と親弁ヘッド側ウエアリング13と親弁ロッド側ウエアリング14とが軸方向に順次装着されて、親弁上部油圧室10とのシール性が保たれている。また、親弁ピストン7が上昇した際に、ピストン上端部7bの下端面とその下方のピストン7外周面とケース8内周面とスリーブ6上端面で形成される空間によって親弁ドレイン室15が構成されており、該親弁ドレイン室15は、スリーブ6から親弁ボディ1にかけて形成されて外部に連なる親弁ドレイン導通穴16に連通しており、親弁ドレイン室15に流入した油圧および水圧のドレインを親弁ドレイン導通穴16を通して外部に排出している
【0019】
また、親弁ピストン7の下方側の外周面には、上方側から軸方向に順次、親弁ロッド側ウェアリング20、親弁ロッド側水圧バックアップシール21、親弁ロッド側水圧シール22を装着しシールを行い水圧のリークを防いでいる。また作動水に含まれる微細なゴミや錆鉄粉でシールを傷つけることの無い様にコンタミシール23を設けている。
【0020】
上記親弁Aでは、親弁ピストン7が親弁ボディ1に組込まれたスリーブ6およびスリーブ6を固定したケース8をガイドとして上下にストローク作動する。親弁ピストン7上部の親弁上部油圧室10には油圧ブロックCを介して圧油を導いている。該圧油は、親弁水圧一次側ポート2にシステム最大の水圧が付与されている場合においても、親弁ピストン7を押し下げて親弁ピストンシート面7aを上記親弁弁座5に当接させて弁流路4を閉じている。すなわち、本油圧制御によるトリガー式大流量水圧リリーフ弁においては、親弁ピストン7を油圧力で弁座5のシート面に押付けて閉弁状態を保持するものとしている。
一方、親弁上部油圧室10の圧油圧力が所定圧以下に低下すると、親弁水圧一次側ポート2に付与される水圧によって親弁ピストン7が上昇し、親弁ピストンシート面7aが上記親弁弁座5から離れて弁流路4が開かれて、親弁水圧一次側ポート2から親弁水圧二次側ポート3へと水がリリーフされる。
【0021】
次に子弁Bの構成と機能を図1および図2に基づいて述べる。
子弁Bは、親弁ボディ1の側壁に横向きにして取り付けられており、筒状の子弁ボディ30内に子弁ピストン31が軸方向に摺動可能に配置されている。なお、図1、2では、子弁ピストン31は、その軸中心を境にして子弁ピストン31が一端側にストロークした状態と、他端側にストロークした状態に分けて描かれている。
子弁ボディ1の一端(水圧側)には、子弁水圧カバー32が固定されており、この子弁水圧カバー32の内面と子弁ボディ30の内面と子弁ピストン31の先端面とで形成される空間によって子弁水圧側チャンバ室33が構成されている。この子弁水圧側チャンバ室33は、子弁ボディ31の水圧側端部に形成した子弁水圧側導通穴35に連通している。子弁水圧側導通穴35は、前記親弁ボディ1に形成され、一端が親弁水圧一次側ポート2に連通する水圧一次側子バルブ導通穴25に連通しており、これら導通穴25、35によって水圧一次側の水が子弁水圧側チャンバ室33に導入されて一次側の水圧が子弁水圧側ピストン端31aに付与されるように構成されている。子弁ピストン31の水圧側の外周面には、軸方向に順次、子弁水圧側シール36および子弁水圧側バックアップシール37、子弁水圧側ウェアリング38を装着してシールを行い水圧のリークを防いでいる。また作動水に含まれる微細なゴミや錆鉄粉でシールを傷つけることの無い様に先端側に子弁水圧コンタミシール39を装着している。
【0022】
上記シール36、37、ウェアリング38の内側では、子弁ピストン31の中央部がやや大径に形成されており、この大径部を収納するように子弁ボディ1に大径の空隙が形成されている。この大径の空隙と子弁ピストン31の大径部の肩部との間で形成される空間によって子弁ドレイン室40が構成されており、この子弁ドレイン室40に流入する油圧および水圧のドレインは子弁ボディ1に設けた子弁ドレイン導通穴41を通じてバルブ外部に排出される。
【0023】
上記子弁ピストン31の大径部の下端が位置する子弁ボディ1には、大径部下端を囲むように大径に形成された子弁油圧室42が設けられており、該子弁油圧室42は、子弁ボディ1に形成した子弁油圧側導通穴43に連通しており、子弁油圧側導通穴43は、油圧ブロックCに接続されて圧油が導入されるように構成されている。
【0024】
子弁ピストン31の外周面には、上記大径部において、軸方向に順次、子弁油圧側ウェアリング45、子弁ドレイン逆流防止用シール46、子弁油圧側シール47を装着してシールを行い、油圧のリークを防いでいる。
また子弁ピストン31は、油圧側ピストン端部31bが上記子弁ボディ31端から突出しており、その突出部において子弁油圧側カバー50と子弁油圧側ロッドシール51とが設けられて前記子弁油圧室42が密閉されている。子弁ピストン31の油圧側ピストン端部31bは、子弁油圧側ロッドシール51のさらに端部側で子弁ブッシュ52を摺動可能に挿通しており、子弁ブッシュ52と油圧側ピストン端部31bとの間に子弁油圧側ダストシール53が配置されている。子弁ブッシュ52は、子弁油圧側カバー50の端部に固定された子弁ブッシュ押さえ54によって固定されている。また、油圧側ピストン端部31bは、子弁ブッシュ押さえ54を超えて外部に突出しており、その先端には、トリガーロッド55が突き出し位置の調整を行えるようにねじ込まれている。突き出し位置の調整が行われたトリガーロッド55は、ロックナット56によって位置固定が行なわれる。
上記子弁Bでは、子弁ピストン31を介して、子弁水圧側チャンバー室33で得られる水圧と、子弁油圧室42で得られる調整用油圧(調整用流体圧)との差圧が得られる。水圧が調整用油圧を超える場合、その差圧によって流体圧源圧超過動作として子弁ピストン31が油圧側端部へと押されるようにストロークし、トリガーロッド55が前進する。一方、水圧が調整用油圧を下回ると、その差圧によって、子弁ピストン31が水圧側端部へと押されるようにストロークし、トリガーロッド55が後退する。
【0025】
次に油圧機器ブロックCの構成と機能を述べる。一例として本ブロックには油圧源より21MPaの圧油が供給され、制御用圧油ライン60と調整用圧油ライン70とに分岐している。制御用圧油ライン60では、閉弁油圧力設定用減圧弁61を介してチェック弁62、絞り弁63、電磁弁64が介設され、さらに子弁のトリガーロッド55により制御されるピン式切換弁65が介設されている。ピン式切換弁65は、トリガーロッド55が後退した位置にあるときに開き、トリガーロッド55が前進したときに閉じるようにされている。
【0026】
また、制御用圧油ライン60は、ピン式切換弁65の下流側でチェック弁66に至る圧油供給ライン60aとポペット弁68に至るポペット弁閉止ライン60bとに分岐しており、供給ライン60aは親弁の圧油流路11に連通している。圧油タンクライン60dは、ポペット弁68の下流側で圧油タンク(図示しない、以下同じ)に接続されており、圧油が供給されている際には、ポペット弁68が閉じられて圧油タンクへの接続が解かれている。また、圧油流路11は、排油ライン60cを介してポペット弁68に接続されており、ポペット弁68が開くことによって圧油流路11と圧油タンク側とが連通する。上記ピン式切替弁65、ポペット弁68、圧油タンクライン60d、排油ライン60cによって本発明の減圧手段が構成されている。
上記制御用圧油ライン60では、電磁弁64を常に励磁することで、閉弁油圧力設定用減圧弁61で18MPaに減圧された油圧(制御用流体圧)を発生させ親弁ピストン7の閉弁状態を作る。
【0027】
一方、調整用圧油ライン70では、油圧力制限用減圧弁71、油圧力保持用チェック弁72、圧力変動吸収用油圧アキュムレータ73、圧力スイッチ74、子弁ピストン作動時の水圧力設定用の油圧リリーフ弁75を介して子弁油圧側導通穴43に接続されている。 上記調整用圧油ライン70では、油圧力制限用減圧弁71で18MPaに減圧された油圧(調整用油圧)を発生させ、子弁ピストン31の全閉状態を作る。子弁ピストン作動時の水圧力設定用の油圧リリーフ弁75を17MPaにセットする。チェック弁72で油圧を封じ込め、さらに子弁ピストン31がストローク作動したときの圧力変動をアキュムレータ73で抑えている。
なお、図中80は、水圧シリンダなどの一次水圧利用側である。
【0028】
以下に、上記実施形態の動作について説明する。
上記実施形態では親弁ピストン7と並列に子弁ピストン31を設置し、この子弁ピストン31を、調整用圧油ライン70を介して供給され、油圧リリーフ弁75で設定される任意の設定水圧力に見合った油圧力で押さえ付けていてるものである。一次側の水圧力がこの油圧力に打ち勝った瞬間に子弁ピストン31がストローク作動して、トリガーロッド55によってピン式切換弁65をメカニカルに切換えることで圧油の供給が停止されるとともに、親弁ピストン7を閉弁状態にしているポペット弁68を瞬時に切換え、親弁上部油圧室10が油圧タンクラインTにつながる。親弁ピストン7は閉弁力を失い、同時に水圧力によって上方ヘストローク作動し水圧一次側Pが水圧タンクラインTにつながり、圧抜き動作が行なわれ全開となる。本発明において、子弁ピストン31の油圧力を上記のように油圧リリーフ弁75で任意に設定することで、システム最大圧力より低い圧力を任意に得ている。またこの圧力規制によりそれ以上の圧力を作動機器に作用させないための過負荷防止を行なっている。
【0029】
一方、水圧一次側Pの圧力が低下すると子弁では油圧力が一次側水圧に勝り、子弁ピストン31は油圧力によって押し戻され、トリガーロッド55の後退によってピン式切換弁65が復帰し(開き)、親弁上部油圧室10に油圧が送られるとともに、ポペット弁68が閉じて親弁上部油圧室10と油圧タンクラインTとの接続が解かれる。これにより親弁上部油圧室10では油圧による閉弁力が回復し、親弁ピストン7は下方ヘストロークし水圧一次側Pを密閉状態とする。水圧一次側Pは水圧源アキュムレータにつながっており再び水圧一次側圧力Pが上昇し、任意の設定圧力に達した時点でリリーフ作動を繰り返す。
これを連続して繰り返し、水圧回路の圧力は任意の設定圧力に一定に保たれる。
【0030】
以上のように上記実施形態によって、流路圧力をメカニカルに検出し流路をタンクラインに開弁することで水圧シリンダーの圧力制限を可能とする。例えば流体源である水圧源のアキュムレータと、利用側である水圧シリンダーをつなぐ配管流路の間に組込むことができる大流量水圧リリーフ弁が得られる。配管流路中に組込んだバルブブロックなどから枝状に主弁ピストンと副弁ピストンを設置し、主弁ピストンはシステム最大圧力下で開くことの無い油圧力にて通常は閉弁状態とする。副弁ピストンはシステム最大圧力より低い、規制したい任意の設定水圧力に見合った油圧力で押さえ付ける。この油圧力は減圧弁、リリ−フ弁などにて自由に設定できるようにするのが望ましい。水圧力がこの油圧力に打ち勝った瞬間に副弁ピストンがストローク作動してピン式切換弁をメカニカルに切換えることで、親弁ピストンを閉弁状態にしているポペット弁を瞬時に全開とし、親弁上部油圧室が油圧タンクラインにつながるものである。
【0031】
従来のアキュムレータ蓄圧式水圧駆動システムでは水圧シリンダー等のアクチュエータ類は全て、システム最大圧力30MPaが負荷されるものとして設計・製作しなければならなかったが、上記実施形態によれば、任意の設定圧力でメカニカルに開弁し、流路が全開となる構造を採用することで、システム最大圧力より低い圧力を任意に得ることが可能となる。また、この圧力規制によりそれ以上の圧力を水圧シリンダー等の作動機器に作用させないための過負荷防止を行なうことが可能となる。おおむねリリーフ流量6500リッター/分程度にて、最大使用圧力23MPaの圧力制限が可能となり、最大圧力より低い圧力に制限して使用することが実現できた。
【0032】
以上、本発明について上記実施形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施形態の説明に限定されるものではなく、本発明の範囲内において適宜変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態のトリガー式大流量水圧リリーフ弁を示す図であり、(a)図は(b)図のI−I線平面断面図、(b)図は縦断面図である。
【図2】同じくトリガー式大流量水圧リリーフ弁の副弁の断面図である。
【図3】同じくトリガー式大流量水圧リリーフ弁の回路模式図である。
【図4】従来の直動型リリーフ弁の縦断面図である。
【符号の説明】
【0034】
A 親弁
B 子弁
C 油圧機器ブロック
P 水圧一次側ポート
T 水圧二次側ポート
油圧一次側ポート
油圧二次側ポート
1 親弁ボディー
2 親弁水圧一次側ポート
3 親弁水圧二次側ポート
4 親弁弁流路
5 親弁弁座
6 スリーブ
7 親弁ピストン
7a 親弁ピストンシート面
7b 親弁ピストン上端部
8 ケース
10 親弁上部油圧室
11 親弁圧油導入路
30 子弁ボディー
31 子弁ピストン
31a 子弁水圧側ピストン端
31b 子弁油圧側ピストン端
32 子弁水圧側カバー
33 子弁水圧側チャンバー室
35 子弁水圧側導通穴
42 子弁油圧室
43 子弁油圧側導通穴
55 トリガーロッド
60 制御用圧油ライン
60a 制御油ライン
60b ポペット弁閉止ライン
60c 排油ライン
60d 油圧タンクライン
61 閉弁油圧力設定用減圧弁
65 ピン式切換弁
68 ポペット弁
70 調整用圧油ライン
71 油圧力制限用減圧弁
75 油圧リリーフ弁
80 一次水圧利用側

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体圧源とリリーフ側とにそれぞれ連通し、互いに弁流路を介して連通する流体圧源側ポートとリリーフ側ポートとを有し、制御用流体圧を受けて前記弁流路を閉じ、該制御用流体圧の受圧減少によって前記弁流路を開く弁体を備える主弁と、前記流体圧源からの流体圧と調整用流体圧とを受け、前記流体圧源からの流体圧が調整用流体圧を上回ると流体圧源圧超過時動作をする副弁と、該副弁の流体圧源圧超過時動作に従って前記主弁における制御用流体圧の受圧を減少させて前記弁流路を開放させる減圧手段とを備えることを特徴とする流体圧リリーフ弁。
【請求項2】
前記主弁は、前記制御用流体圧の受圧減少時に、流体圧源からの流体圧によって弁体が動作して弁流路を開放するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の流体圧リリーフ弁。
【請求項3】
前記主弁の弁体は、流体圧源からの流体圧と、制御用流体圧の差圧によって動作するものであることを特徴とする請求項1または2に記載の流体圧リリーフ弁。
【請求項4】
前記制御用流体圧は、流体圧源の最大圧力以内において圧力の設定調整が可能とされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の流体圧リリーフ弁。
【請求項5】
前記主弁は、制御用流体が導入されて弁体に圧力を付加する制御用流体圧受圧室を備えており、前記制御用流体圧の受圧減少は、前記制御用流体圧受圧室から制御用流体を開閉弁を介して外部に流出させることにより行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の流体圧リリーフ弁。
【請求項6】
前記副弁は、前記流体圧源からの流体圧と調整用流体圧との差圧によって少なくとも流体圧超過時動作としてストローク動作するピストンを備え、該ピストンのストローク動作に従って前記減圧手段を動作させるものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の流体圧リリーフ弁。








【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−29388(P2006−29388A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−205867(P2004−205867)
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【出願人】(504269578)株式会社シビテックリサーチ (3)
【出願人】(000004215)株式会社日本製鋼所 (840)
【Fターム(参考)】