説明

流体圧検査方法及び流体圧検査装置

【課題】流体圧システムの外部からその内部の流体圧を検査することにより、流体圧システムごとに検査手段を設けることを不要とし、部品コストを低減させることの可能な、流体圧検査方法及び流体圧検査装置を提供する。
【解決手段】シリンダと、シリンダに収容されるピストンとを備えるとともに、流体圧システムにおける流体圧によって、ピストンがシリンダ内に充填されたガスを圧縮しながらシリンダ内を摺動するように構成されたアキュムレータにおけるシリンダの外周面に、超音波センサ11を当接させて、検知した応答波形を表示手段12に表示することにより、アキュムレータが備えられる流体圧システムの流体圧を検査する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体圧検査方法及び流体圧検査装置に関し、詳しくは、流体圧システムにおける内部圧力を検査する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば自動車におけるKDSS(Kinetic Dynamic Suspension System:前後サスペンションスタビライザを制御して車体の操縦安定性を確保するシステム)の如く、アクチュエータを備える密閉油圧システム等の流体圧システムが知られている。そして、このような流体圧システムにおいては、その内部に流体が適正に注入されているか否かを確認するために、内部の流体圧(油圧システムの場合は油圧)を検査する技術が必要となる。そして、流体圧システムにおける流体圧を検査する手法として、流体圧システムの一部に圧力センサを設け、内部の流体の圧力を測定する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
また、前記流体圧システムにおいては、アクチュエータの一部にピストン型のアキュムレータが備えられる場合があり、このピストンの位置を検出することで流体圧システムにおける流体圧を検査することも可能である。このようなアキュムレータの内部状態を検査するために、アキュムレータに変位検出器を設けることにより、ピストンの位置を検出する技術が知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【0004】
一方、容器に対して外部から超音波センサを当接させて、容器の内部における流体の有無を確認する技術についても知られている(例えば、特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−192297号公報
【特許文献2】特開平7−269503号公報
【特許文献3】特開2009−300374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の流体圧システムの一部に圧力センサを設ける技術を、例えば前記KDSSの如く自動車における油圧システムに適用する場合は、車両ごとの流体圧システムに組み込んで圧力センサを配設する必要がある。具体的には図6に示す如く、油圧システムに組み込まれたバルブユニットに圧力センサを配設するのである。そして、バルブユニットの内部における油圧を圧力センサで検知し、表示手段で表示するのである。しかし、車両の出荷後は圧力センサを使用することがなく、出荷前における油圧システムの検査のためだけに圧力センサを車両ごとに配設することは、部品コストが嵩む原因となる。
【0007】
特許文献2に記載の技術についても同様に、車両ごとの流体圧システムに組み込んでアキュムレータに変位検出器を設ける必要があり、車両ごとに部品コストがかかるためにコストが嵩む原因となる。
【0008】
一方、特許文献3においては、その記載の技術によって容器の内部における流体の有無を確認することはできても、例えばアキュムレータ等、容器の内部の流体圧を検査するための具体的手法は明らかにしていなかった。
【0009】
そこで本発明は、上記現状に鑑み、流体圧システムの外部からその内部の流体圧を検査することにより、流体圧システムごとに検査手段を設けることを不要とし、部品コストを低減させることの可能な、流体圧検査方法及び流体圧検査装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0011】
即ち、請求項1においては、超音波センサでアキュムレータの内部における流体圧の検査を行うことにより、前記アキュムレータが備えられる流体圧システムの流体圧を検査する、流体圧検査方法であって、前記アキュムレータは、シリンダと、該シリンダに収容されるピストンとを備えるとともに、前記流体圧システムにおける流体圧によって、前記ピストンが前記シリンダ内に充填されたガスを圧縮しながら前記シリンダ内を摺動するように構成され、前記超音波センサを前記シリンダの外周面に当接させて、該超音波センサで検出した応答波形から前記ピストンの位置を検知することにより、前記流体圧システムの流体圧を検査するものである。
【0012】
請求項2においては、前記超音波センサを、前記シリンダの外周面に当接させながら、前記ピストンの摺動方向に移動させて、前記超音波センサで検出した応答波形の違いから前記ピストンの位置を検知することにより、前記流体圧システムの流体圧を検査するものである。
【0013】
請求項3においては、前記ピストンの摺動方向に並べて配置した複数の超音波センサを、前記シリンダの外周面に当接させて、前記複数の超音波センサで検出したそれぞれの応答波形の違いから前記ピストンの位置を検知することにより、前記流体圧システムの流体圧を検査するものである。
【0014】
請求項4においては、アキュムレータの内部における流体圧の検査を行う超音波センサを備え、前記アキュムレータが備えられる流体圧システムの流体圧を検査する、流体圧検査装置であって、前記アキュムレータは、シリンダと、該シリンダに収容されるピストンとを備えるとともに、前記流体圧システムにおける流体圧によって、前記ピストンが前記シリンダ内に充填されたガスを圧縮しながら前記シリンダ内を摺動するように構成され、前記超音波センサを前記シリンダの外周面に当接させて、前記超音波センサで検出した応答波形から前記ピストンの位置を検知することにより、前記流体圧システムの流体圧を検査するものである。
【0015】
請求項5においては、前記超音波センサを複数個備え、前記ピストンの摺動方向に並べて配置した、前記複数の超音波センサを、前記シリンダの外周面に当接させて、前記複数の超音波センサで検出したそれぞれの応答波形の違いから前記ピストンの位置を検知することにより、前記流体圧システムの流体圧を検査するものである。
【0016】
請求項6においては、前記超音波センサは、弾性体を介して治具に配設され、前記治具は、前記アキュムレータとの相対位置を一定に保つための位置決め部材を備えるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0018】
本発明により、流体圧システムの外部からその内部の流体圧を検査することにより、流体圧システムごとに検査手段を設けることを不要とし、部品コストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】流体圧検査装置の検査対象である油圧システムを示した概略側面図。
【図2】(a)、(b)はそれぞれ、第一実施形態に係る流体圧検査方法を行っている状態を示した側面図。
【図3】(a)は図2(a)における応答波形を示した図、(b)は図2(b)における応答波形を示した図、(c)はオイルの注入圧とピストン位置との関係を示した図。
【図4】(a)、(b)はそれぞれ、第二実施形態及び第三実施形態に係る流体圧検査方法を行っている状態を示した側面図。
【図5】(a)、(b)はそれぞれ、別実施例による流体圧検査装置を示した側面図及び正面図、(c)は別実施例による流体圧検査装置を用いて検査している状態を示した側面図。
【図6】従来技術に係る油圧システムを示した概略側面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、発明の実施の形態を説明する。
なお、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではなく、本明細書及び図面に記載した事項から明らかになる本発明が真に意図する技術的思想の範囲全体に、広く及ぶものである。
【0021】
[流体圧システム]
まず始めに、流体圧検査の対象となる流体圧システムの概略について、図1及び図2を用いて説明する。図1に示す流体圧システムは自動車におけるKDSSであり、アクチュエータを備える密閉油圧システムである。
【0022】
即ち、流体圧システムは、バルブユニット及びアキュムレータからなるアクチュエータと、フロントスタビライザ及びリヤスタビライザのそれぞれに配設されたフロントシリンダ及びリヤシリンダとで構成されている。そして、それぞれの構成要素が油圧配管で接続されるとともに、その内部にオイルが充填されて構成されているのである。
【0023】
また、図2に示す如くアキュムレータはいわゆるピストン型のアキュムレータであり、シリンダと、シリンダに収容されるピストンとを備えている。さらに、シリンダには高圧ガスと圧調整液とが充填されている。そして、流体圧システムにおける油圧が高まると、図2(a)に示す如くピストンがシリンダ内に充填された高圧ガスを圧縮しながら金属ベローズを収縮させて、シリンダ内を摺動するように構成されているのである。即ち、流体圧システムにおける油圧が下がると、図2(b)に示す如くピストンは高圧ガスの内部圧力によって押し返されてアキュムレータのバルブユニット側の端部に位置する状態となるのである。
なお、本明細書においては、流体圧検査の対象となる流体圧システムとして自動車におけるKDSSとしているが、流体圧システムのアクチュエータとしてピストン型のアキュムレータが用いられるものであれば以下の流体圧検査を適用することが可能であり、対象となる構成は限定されるものではない。
【0024】
[第一実施形態]
次に、図2(a)、(b)、及び、図3(a)、(b)を用いて、第一実施形態に係る流体圧検査方法について説明する。
本実施形態に係る流体圧検査方法は、流体圧検査装置10が備える超音波センサ11でアキュムレータの内部における流体圧の検査を行うことにより、アキュムレータが備えられる流体圧システムのピストン位置を検知するものである。具体的には図2(a)及び(b)に示す如く、超音波センサ11をアキュムレータにおけるシリンダの外周面に当接させて、検知した応答波形を超音波センサ11に接続されたモニタ等の表示手段12に表示するのである。超音波センサ11は、シリンダ外周面のピストンの摺動方向におけるオイルの流入側端部(バルブユニット側端部)に配置されている。
【0025】
この際、シリンダの内部のうち、超音波センサ11を当接させた部分にオイルが存在している場合は、超音波センサ11から発せられた超音波は、図2(a)に示す如く直接音がオイル内を伝播し、シリンダの反対側の壁に当たって反射する。さらに、図2(a)に示す如く反射音がオイル内を伝播し、超音波センサ11に戻ってくるのである。つまり、この場合においては、超音波センサ11で検知し、表示手段12で表示される超音波の応答波形には、図3(a)に示す如く、超音波のシリンダ内での往復時間の経過後に反射音による振幅(反響)が現れるのである。
【0026】
一方、シリンダの内部のうち、超音波センサ11を当接させた部分に図2(b)に示す如くオイルが存在していない場合、換言すると、超音波センサ11を当接させた部分にピストンや高圧ガス等が存在している場合は、超音波センサ11から発せられた超音波は、伝播材であるオイルが存在しないため、シリンダ内を伝播しない。つまり、この場合においては、超音波センサ11で検知し、表示手段12で表示される超音波の応答波形には、図3(b)に示す如く、反射音による振幅(反響)が現れないのである。
【0027】
ここで、流体圧システムにおける油圧が所定の値よりも高い場合は、図2(a)に示す如くピストンがオイルによってバルブユニットの反対側に押し込まれた状態となる。一方、流体圧システムにおける油圧が所定の値よりも低い場合は、図2(b)に示す如くピストンは高圧ガスに押し返されて、アキュムレータのバルブユニット側の端部に位置する状態となる。
【0028】
即ち、超音波センサ11を、アキュムレータにおけるシリンダの外周面のうち、アキュムレータのバルブユニット側の端部に当接させることにより、アキュムレータのバルブユニット側の端部におけるピストンの有無が検知できるのである。つまり、流体圧システムにおける油圧が所定の値よりも高ければ、ピストンはアキュムレータのバルブユニット側の端部には存在せず、バルブユニットの反対側に押し込まれるため、ピストンの位置を検知することで、流体圧システムにおける油圧が所定の値よりも高いか否かを判別することが可能となるのである。
【0029】
具体的には、アキュムレータ内の高圧ガスが例えば2MPaで封入されている場合に、本実施形態に係る流体圧検査方法を行い、図3(a)のように超音波の応答波形に反射音による振幅(反響)が現れたときは、ピストンが油圧によってバルブユニットの反対側に押し込まれているため、アキュムレータのバルブユニット側の端部にピストンが位置していないことが分かる。即ち、流体圧システムにおける油圧が、高圧ガスの内部圧力である2MPaより大きいことを確認することができるのである。
【0030】
一方、上記の場合に、本実施形態に係る流体圧検査方法を行い、図3(b)のように超音波の応答波形に反射音による振幅(反響)が現れなかったときは、ピストンが高圧ガスに押し返されて、アキュムレータのバルブユニット側の端部に位置していることが分かる。即ち、流体圧システムにおける油圧が、高圧ガスの内部圧力である2MPaより小さいことを確認することができるのである。
【0031】
このように、本実施形態に係る流体圧検査方法においては、超音波センサ11でアキュムレータの内部における流体圧の検査を行うことにより、アキュムレータが備えられる流体圧システムのピストン位置を検知するように構成しているのである。
【0032】
[第二実施形態]
次に、図3(a)から(c)、及び図4(a)を用いて、第二実施形態に係る流体圧検査方法について説明する。
本実施形態に係る流体圧検査方法は、前記第一実施形態における流体圧検査装置10が備える超音波センサ11を、シリンダの外周面に当接させながら、図4(a)中の矢印Aに示す如く、ピストンの摺動方向に移動させて、アキュムレータの内部における流体圧の検査を行うことにより、アキュムレータが備えられる流体圧システムの流体圧を検査するものである。
【0033】
この際、シリンダの内部のうち、図4(a)中の範囲R1のようにオイルが存在している部分では、前記第一実施形態と同様に、超音波センサ11で検知した超音波の応答波形には、図3(a)に示す如く、超音波のシリンダ内での往復時間の経過後に反射音による振幅(反響)が現れる。
一方、シリンダの内部のうち、図4(a)中の範囲R2のようにオイルが存在していない部分では、超音波センサ11で検知した超音波の応答波形には、図3(b)に示す如く、反射音による振幅(反響)が現れない。
【0034】
このため、図3(a)のように反射音による振幅(反響)が現れた応答波形から、図3(b)のように反射音による振幅(反響)が現れない応答波形に変化した場合は、応答波形が変化した時の超音波センサ11の位置にピストンが位置していることが分かる。つまり、応答波形超音波センサ11で検出した応答波形を比較して、その違いからピストンの位置を検知することができるのである。
【0035】
ここで、図3(c)に示す如く、アキュムレータ(流体圧システム)におけるオイルの注入圧(MPa)と、シリンダ内のピストン位置(アキュムレータのバルブユニット側の端部からの距離、図4(a)に示す範囲R1の長さ)(mm)には二次曲線的な正の相関関係がある。つまり、アキュムレータ(流体圧システム)におけるオイルの注入圧と、シリンダ内のピストン位置とは、一方が定まると他方が一義的に定まる関係となっている。
【0036】
これにより、上記の如くアキュムレータにおけるピストン位置(図4(a)に示す範囲R1の長さ)が分かると、それに伴って図3(c)よりアキュムレータ(流体圧システム)におけるオイルの注入圧がわかるのである。即ち、流体圧システムにおける油圧の大きさを検知することが可能となるのである。
【0037】
[第三実施形態]
次に、図3(a)から(c)、及び図4(b)を用いて、第三実施形態に係る流体圧検査方法について説明する。
本実施形態に係る流体圧検査方法は、図4(b)に示す如く、ピストンの摺動方向に並べて配置した、流体圧検査装置10が備える複数の超音波センサ11・11・・・を、シリンダの外周面に当接させて、複数の超音波センサ11・11・・・で検出したそれぞれの応答波形の違いからピストンの位置を検知することにより、前記流体圧システムの流体圧を検査するものである。なお、図4(b)においては、それぞれの超音波センサ11に接続される表示手段12は1個だけ図示し、その他の表示手段12・12・・・は図示を省略している。
【0038】
本実施形態においても、オイルの有無によってそれぞれの表示手段に表示される応答波形が異なることとなる。つまり、図3(a)のように反射音による振幅(反響)が現れた応答波形を検知した超音波センサ11の隣に、図3(b)のように反射音による振幅(反響)が現れない応答波形を検知した超音波センサ11がある場合は、反射音による振幅(反響)が現れない応答波形を検知した超音波センサ11の位置にピストンが位置していることが分かる。つまり、応答波形超音波センサ11・11・・・で検出したそれぞれの応答波形を比較して、その違いからピストンの位置を検知することができるのである。そして、前記第二実施形態と同様に、アキュムレータ(流体圧システム)におけるオイルの注入圧がわかるため、流体圧システムにおける油圧の大きさを検知することが可能となるのである。
【0039】
上記の如く、第一実施形態から第三実施形態に係る流体圧検査方法によれば、流体圧システムの外部からその内部のピストン位置を検知することにより、流体圧システムごとに検査手段を設けることを不要とし、部品コストを低減させることが可能となる。
具体的には、流体圧検査方法を例えば自動車における油圧システムに適用する場合には、車両ごとの流体圧システムに圧力センサ等の圧力検知手段を組み込む必要がなくなるため、部品コストを低減させることができるのである。
【0040】
[別実施例]
次に、図5(a)から(c)を用いて、別実施例に係る流体圧検査装置110について説明する。
本実施形態に係る流体圧検査装置110においては、前記第三実施形態に係る流体検査方法で用いた超音波センサ11・11・・・が、板状部材である治具15に配設されている。具体的には、図5(a)及び(b)に示す如く、複数の超音波センサ11・11・・・は直方体形状に形成された固定部13に並列して固定され、固定部13は弾性体であるバネ14を介して治具15の上面に配設されている。そして、治具15は、流体圧検査装置110とアキュムレータとの相対位置を一定に保つための位置決め部材である、棒状の位置決めピン17・17及びストッパ18を上方に突出させて備えるのである。また、治具15はその下面に、下方に突出して形成された把持部16を備えている。なお、図5においては、超音波センサ11・11・・・のそれぞれに接続された表示手段については図示を省略している。
【0041】
本実施例に係る流体圧検査装置110による検査対象であるアキュムレータには、図5(c)に示す如く、流体圧検査装置110を用いて検査する際に位置決めピン17・17の上端部が位置する箇所に、下方に窪みが形成された位置決め部材が配設されている。そして、流体圧検査装置110を用いて検査する際には、図5(c)に示す如く、位置決めピン17・17の上端部をアキュムレータの位置決め部材の窪みに挿入することで、流体圧検査装置110をアキュムレータに対して位置決めするのである。
【0042】
流体圧検査装置110における複数の超音波センサ11・11・・・の上端面は、検査を行わない状態においては図5(a)に示す如く、ストッパ18の上端よりも上に位置するように構成されている。そして、流体圧検査装置110で検査を行う際は図5(c)に示す如く、複数の超音波センサ11・11・・・を、シリンダの外周面に当接させると同時に、複数の超音波センサ11・11・・・を支持しているバネ14を圧縮させるのである。この際、ストッパ18の上端をシリンダに当接させることにより、流体圧検査装置110(治具15)のアキュムレータにおけるシリンダ外周面からの距離を定めることにより、一回の検査中や複数回での各検査における超音波センサ11・11・・・のシリンダに対する押し圧力を一定としているのである。
【0043】
本実施例に係る流体圧検査装置110による流体圧検査方法の具体的な内容は、前記第三実施形態に係る流体圧検査方法と略同様である。即ち、図5(c)に示す如く、超音波センサ11・11・・・がピストンの摺動方向に並ぶように、流体圧検査装置110を位置決めピン17・17及びストッパ18で位置決めしつつ配置し、流体圧検査装置110をアキュムレータに近接させることにより、複数の超音波センサ11・11・・・をシリンダの外周面に当接させる。そして、複数の超音波センサ11・11・・・で検出したそれぞれの応答波形の違いからピストンの位置を検知することにより、流体圧システムの流体圧を検査するのである。
このように、本実施例に係る流体圧検査装置110によっても、流体圧システムの外部からその内部の流体圧を検査することにより、流体圧システムごとに検査手段を設けることを不要とし、部品コストを低減させることが可能となるのである。
【符号の説明】
【0044】
10 流体圧検査装置
11 超音波センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波センサでアキュムレータの内部における流体圧の検査を行うことにより、前記アキュムレータが備えられる流体圧システムの流体圧を検査する、流体圧検査方法であって、
前記アキュムレータは、シリンダと、該シリンダに収容されるピストンとを備えるとともに、前記流体圧システムにおける流体圧によって、前記ピストンが前記シリンダ内に充填されたガスを圧縮しながら前記シリンダ内を摺動するように構成され、
前記超音波センサを前記シリンダの外周面に当接させて、該超音波センサで検出した応答波形から前記ピストンの位置を検知することにより、前記流体圧システムの流体圧を検査する、
ことを特徴とする、流体圧検査方法。
【請求項2】
前記超音波センサを、前記シリンダの外周面に当接させながら、前記ピストンの摺動方向に移動させて、前記超音波センサで検出した応答波形の違いから前記ピストンの位置を検知することにより、前記流体圧システムの流体圧を検査する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の流体圧検査方法。
【請求項3】
前記ピストンの摺動方向に並べて配置した複数の超音波センサを、前記シリンダの外周面に当接させて、前記複数の超音波センサで検出したそれぞれの応答波形の違いから前記ピストンの位置を検知することにより、前記流体圧システムの流体圧を検査する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の流体圧検査方法。
【請求項4】
アキュムレータの内部における流体圧の検査を行う超音波センサを備え、前記アキュムレータが備えられる流体圧システムの流体圧を検査する、流体圧検査装置であって、
前記アキュムレータは、シリンダと、該シリンダに収容されるピストンとを備えるとともに、前記流体圧システムにおける流体圧によって、前記ピストンが前記シリンダ内に充填されたガスを圧縮しながら前記シリンダ内を摺動するように構成され、
前記超音波センサを前記シリンダの外周面に当接させて、前記超音波センサで検出した応答波形から前記ピストンの位置を検知することにより、前記流体圧システムの流体圧を検査する、
ことを特徴とする、流体圧検査装置。
【請求項5】
前記超音波センサを複数個備え、前記ピストンの摺動方向に並べて配置した、前記複数の超音波センサを、前記シリンダの外周面に当接させて、前記複数の超音波センサで検出したそれぞれの応答波形の違いから前記ピストンの位置を検知することにより、前記流体圧システムの流体圧を検査する、
ことを特徴とする、請求項4に記載の流体圧検査装置。
【請求項6】
前記超音波センサは、弾性体を介して治具に配設され、
前記治具は、前記アキュムレータとの相対位置を一定に保つための位置決め部材を備える、
ことを特徴とする、請求項4又は請求項5に記載の流体圧検査装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−107684(P2012−107684A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256221(P2010−256221)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】