説明

流体材料を分配するための制御及びシステム

制御可能な圧力調整装置(42)と、圧力センサ(36)と、流量計(32)と、制御装置(48)とを含む流体送出システム(14)を制御するための方法を提供する。補償係数及びクラッキング圧力の初期値が確定され、流体が分配されている各周期中の複数の時間増分の各々における流体の圧力が測定される。第一の周期中に分配された流体の体積と、第一の周期中の各時間間隔における平均圧力と、第一の周期中の実際の平均流量とが決定される。次に、平均圧力値と、平均流量値と、新しい補償係数と、新しいクラッキング圧力とを使用して、圧力調整装置(42)を制御して目標流量に対応する圧力を生じさせるための理論流量が決定される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
シーラント、接着剤、コーティング及びこれに類似するものなど粘性材料をワーク(被加工物)に分配するための分配システム(ディスペンスシステム)は工業用途において周知である。これらの用途は、例えばワークのシール、別の構造体へのワークの接着あるいはワークの被覆である。分配される粘性材料の粘度の変化、分配システムの各構成要素の磨耗及び分配システム内の気泡などの動作異常は、この種の分配システムにおいて一般的である。粘性材料及び分配システムの動作特性の変化は、粘性材料の実際の分配量に継続的に影響を与える。このため、先行技術は、この種の変化に対処するために実際の分配量を補正(補償)する方法を提供しようとしてきた。
【0002】
【特許文献1】米国特許第5,054,650号明細書
【特許文献2】米国特許第5,475,614号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この種の方法の1つが、1991年10月8日にPriceに発行されたpriceの特許文献1において示されている。Priceは、ワークに粘性材料を分配するための分配システムを制御する方法を開示している。詳細には、Priceは、実際の分配量を目標分配量から最小限の偏差内に維持するように粘性材料の実際の分配量を補償する方法を開示している。しかしながら、Priceは、ジョブサイクルごとに1回だけ実際の分配量を補正する方法を開示している。この周期的補正頻度では、各ジョブサイクル中の粘性材料の動的特性及び各ジョブサイクル中に遭遇し得る動作異常に対処できない。
【0004】
別の先行技術が、1995年12月12日に発行されたTofteらの特許文献2に示されている。Tofteらは、野原への化学薬品の分配のための分配システムを制御する方法を開示している。詳細には、Tofteらは、分配システムの各構成要素の磨耗に対処するように化学薬品の実際の分配量を補正することによって実際の分配量を目標分配量から最小限の偏差内に維持する方法を開示している。
【0005】
この方法は、第一の時間周期の間、野原に化学薬品を分配するステップと、化学薬品が分配されるときに第一の時間周期中の複数の時間増分の各々の後に化学薬品の圧力を測定するステップとを含む。この方法は、続いて、第一の時間周期における圧力測定値及び初期補償係数に基づいて第一の時間周期中に分配された化学薬品の理論体積を決定する。第一の時間周期中に分配された化学薬品の実際の体積が同時に測定される。次に、第一の時間周期中に分配された理論体積を第一の時間周期中に分配された実際の体積と比較し、それにより補償係数の第一の新しい値が導き出される。
【0006】
Tofteらの方法は、続いて、第二の時間周期の間、野原に化学薬品を分配し、第二の時間周期中の複数の時間増分の各々の後に化学薬品の圧力を測定する。この方法は、前と同様、続いて、第二の時間周期における圧力測定値及び補償係数の第一の新しい値に基づいて第二の時間周期中に分配された化学薬品の理論体積を決定する。第二の時間周期中に分配された化学薬品の実際の体積が同時に測定される。次に、制御装置は第二の時間周期中に分配された化学物質の理論体積と実際の体積とを比較し、そこから補償係数の第二の新しい値を導き出す。Tofteらは、第二の時間周期は第一の時間周期から一定期間時間的間隔をあけることを開示している。Tofteらは、主に、化学薬品の分配中に生じるノズルの磨耗に関心を寄せている。従って、この種の磨耗は直ちに生じるものではないので、すなわち数時間周期を経て生じるので、Tofteらによって開示される一定期間時間的間隔をあけた時間周期は、このような磨耗を補償するのに充分である。逆に、一定期間時間的間隔をあけた時間周期は、分配中の粘性材料の粘度の変化を補償するには充分ではない。このような場合には、補償係数の新しい値は連続的に決定されなければならない。
【0007】
要するに、Tofteらは、実際の分配量を目標分配量から最小限の偏差内に維持するために、実際の分配量を補正するための補償係数を使用することを開示している。補償係数は、各時間周期において再演算される。例えば、補償係数の第一の新しい値及び第二の新しい値は、各時間周期中に分配された化学薬品の実際の体積と理論体積とを比較することによって決定される。各時間周期は互いに一定期間時間的間隔をおかれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、制御可能な圧力調整装置と、圧力センサと、流量計と、制御装置とを含む流体送出システムを制御するための方法を提供する。補償係数及びクラッキング圧力の初期値が確定され、流体が分配される期間中の複数の時間増分の各々における流体の圧力が測定される。第一の周期中に分配された流体の体積と、第一の周期中の各時間間隔における平均圧力と、第一の周期中の実際の平均流量とが決定される。次に、平均圧力値と、平均流量値と、新しい補償係数と、新しいクラッキング圧力とを使って圧力調整装置を制御し、目標流量に対応する圧力を生じさせるように理論流量が決定される。新しい補償係数及び新しいクラッキング圧力は両方とも演算値である。理論流量は最小二乗法を用いて演算される。
【0009】
この方法は、粘性材料及び分配システムの動作特性の変化を補償することによって実際の分配量を目標分配量から最小限の偏差内に維持するために、第二の周期の少なくとも一部が第一の周期に引き続いて生じることによって特徴付けられている。
【0010】
本発明は、Tofteらを含めて先行技術を上回るいくつかの利点を与える。例えば、補償係数の第一の新しい値を決定するのに引き続いて補償係数の第二の新しい値を決定することによって、分配システムは、第一の周期中の粘性材料及び分配システムの動作特性の変化に対して第二の周期における実際の分配量をより迅速に補正することができる。このような変化には、粘度の変化、分配システム内の気泡、ノズルの詰まりなどが含まれる。前述したように、これらの変化は、粘性材料の実際の分配量に直ちに影響する可能性がある。例えば、粘性材料が目標分配量から最小限の偏差内で分配されることを保証するためには、粘度の変化は直ちに補償される必要がある。本発明の分配システム及び分配システムを制御する方法は、補償係数の新しい値を連続的に決定することにより、すなわち補償係数を再演算することにより、これを可能にする。その結果、本発明の方法は、粘性材料がシーラントである場合、より良質のシール性をもたらし、過剰な分配を減少させることによってコストを節減する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
添付図面と共に考慮されれば、以下の詳細な説明を参照することにより、本発明がより良く理解されるので、本発明の利点は容易に分かるであろう。
複数の図面全体を通じて同様の番号が同様の又は対応する部分を示している図面を参照すると、目標分配量から最小限の偏差内にある実際の分配量でワーク12に粘性材料10を分配するための分配システムの全体が、参照番号14で示されている。
【0012】
分配システム
本発明の分配システム14は、ワーク12に粘性材料10を正確に分配する必要がある産業的用途において使用されることが好ましい。このような用途には、ワーク12への塗料の分配、ワーク12を湿気から密封(シール)するためのワーク12へのシーラントの分配、又はワーク12を別の構造体に付着させるためのワーク12への接着物の分配を含み得るが、これらに限定されるものではない。
【0013】
図1を参照すると、容器16は、分配される粘性材料10を貯蔵する。ポンプ18は容器16から粘性材料10を受け取り、上流端部22と下流端部24とを有した送出導管20の中に粘性材料10を搬送する。一方、送出導管20は、粘性材料10をワーク12に向けて運ぶ。
【0014】
ノズル26は、送出導管20の下流端部24に結合されている。送出導管20の上流端部22に結合されているポンプ18が送出導管20を通じて粘性材料10をノズル26まで運ぶ間、ノズル26は粘性材料10をワーク12へ導く。
【0015】
図1及び図2を参照すると、粘性材料10がノズル26から分配されている間、ロボット28を使用してワーク12に対するノズル26の位置が制御される。より詳細には、ロボット28は、ノズル26を動かせるようにノズル26に係合してワーク12に対するノズル26の位置決めを制御するロボットアーム30を含む。当業者は、ロボットアーム30がノズル26の近傍でワーク12と係合してノズル26に対してワーク12を動かすことも可能であることが分かるであろう。この場合、ノズル26は固定される。ロボット28は六つの回転軸線A1−A6を規定しており、それら軸線の周りを回転する。ロボット28は、モジュール式に構成され且つ電気サーボ式に駆動される分配ロボットであることが好ましい。
【0016】
ワーク12に分配された粘性材料10の実際の体積(実体積)を測定するために、流量計32が送出導管20に結合されている。流量計32は、ポンプ18の下流に位置し、ノズル26の上流に位置する。流量計32は、予め設定された体積の粘性材料10が通過した後電気パルス34を伝達するスクリュータイプ又はギアタイプの容積式流量計であることが好ましい。したがって、流量計32によって測定される実体積は、常に予め設定された体積となる。典型的な分配用途においては、流量計32は、0.09秒から0.120秒毎にパルス34を送り、それによって、予め設定された体積の粘性材料10が通過したことを指示する。例えば、図4をちょっと参照すると、第一のパルス34aは、第一の時間周期T1中に予め設定された体積の粘性材料10が流量計32を通過したことを指示し、第二のパルス34bは、第一の時間周期T1に続く第二の時間周期T2中に予め設定された体積の粘性材料10が流量計32を通過したことを指示する。予め設定された量の数百倍以上の総量を分配する典型的な分配用途においては、一連のパルス34が伝達される。
【0017】
再び図1を参照すると、粘性材料10がワーク12に分配されるときに粘性材料10の圧力を測定するために、圧力センサ36がノズル26に配置される。圧力センサ36は、ノズル26内に配置されるトランスデューサ38を含み、トランスデューサ38は、ノズル内26の粘性材料10の圧力が変動すると変動する制御信号を送る。圧力センサ36は、粘性材料10が分配されている間、複数の時間増分tiの各々の後に圧力を測定する。好ましい実施形態において、複数の時間増分tiの各々は、0.008秒である。したがって、典型的な分配用途において、流量計32からのパルス34の周波数を参照すると、流量計32によって送られるパルス34毎にいくつかの圧力測定値Pが測定される。図3〜図6を参照のこと。
【0018】
粘性材料10がノズル26を通じてワーク12に分配される実際の分配量(実分配量)を制御するために、圧力調整器42が送出導管20に結合されている。圧力調整器42は可変オリフィスサーボバルブ44を含み、出力信号46に電子的に反応して可変オリフィスサーボバルブ44を開閉することによって実分配量を変化させる。出力信号46は、可変オリフィスサーボバルブ44の位置を維持するために可変オリフィスサーボバルブ44に加えられる電圧を含む。電圧の増減により可変オリフィスサーボバルブ44を調整して、下にさらに説明する通り、粘性材料10が目標分配量から最小限の偏差内で分配されることを保証するようにする。流量計32、圧力センサ36及び圧力調整器42の動作は当業者には周知なので、これ以上詳細な説明はしない。
【0019】
マイクロプロセッサ49を有する制御装置48が、流量計32、圧力センサ36及び圧力調整器42に作動上及び電気的に接続されている。制御装置48は、流量計によって送られるパルスを受け取ってこれを解釈し、時間の経過に沿って分配された粘性材料の実体積を測定するようにプログラムされている。制御装置48は、また、圧力センサ36によって生成される制御信号40を受け取ってこれを解釈し、時間の経過に沿ってワーク12に分配された粘性材料の理論体積を決定するようにプログラムされている。制御装置48は、以下でさらに説明するように、理論体積と実体積を比較し、補償係数fの新しい値を導き出す。
本発明の精神から逸脱することなく分配システム14の代替形態も予期され得ることが、当業者には分かるはずである。
【0020】
分配システムを制御する方法
典型的な分配用途において、粘性材料10、例えばウレタン、シリコーン、ブチル、ホットメルト材料及びこれに類するものなどは、10,000cPから500,00cP(mPa・s)までの範囲の標準粘度を有している。さらに、粘性材料10の粘度は、温度、ずり減粘又はずり増粘、及びバッチ間変動によって変動する場合がある。同時に、例えばノズル26の磨耗といった各構成要素の磨耗、ノズル26の詰まり、分配システム内の気泡、中断中の粘性材料10の沈降などのような分配システム14の変化も生じる可能性がある。本発明の分配システム14は、実分配量が目標分配量から最小限の偏差内に維持されるように粘性材料10及び分配システム14の動作特性の変化に対して粘性材料10の実分配量を補正するために、補償係数f及び閉ループ制御を利用している。最小限の偏差は、実分配量における許容可能な公差を表す。典型的には、このような公差は10パーセント程度である。すなわち、実分配量は目標分配量の10パーセント以内である。
【0021】
分配システムの動作
分配システム14の動作は、ワーク12に粘性材料10を分配している間に得られた圧力測定値Pに基づく。言い換えると、ワーク12への粘性材料10の分配は、圧力制御される。
【0022】
図3を参照すると、粘性材料10が分配されているとき、複数の時間増分tiの各々の後に粘性材料10の圧力が測定される。前述のように、圧力センサ36は複数の時間増分tiの各々の後に制御装置48に制御信号40を送り、制御装置48は制御信号40を受け取って、これを圧力測定値Pに変換する。
【0023】
理論分配量は、各圧力測定値Pが得られた後に決定される。理論分配量は次の式を用いて決定される。
理論分配量=[(P−b)/f]N
ここで、fは補償係数、bはクラッキング圧力、Pは圧力測定値、Nは線形係数である。クラッキング圧力bは、分配システム14からワーク12への分配を開始するための粘性材料10の最小圧力を表す。すなわち、クラッキング圧力bは、分配システム14内の摩擦損失を補償する。線形係数Nは粘性材料10のずり減粘又はずり増粘特性に対応する。例えば、線形係数Nはずり増粘の係数より小さく、ずり減粘の係数より大きく、線形物質の係数に等しい。当業者には分かるように、クラッキング圧力b及び線形係数Nは、上記の式を用いて又は製造者の提案など他の方法により試行錯誤に基づいて確定することができる。補償係数fの決定例えば演算については、以下でさらに説明する。
【0024】
再び図1を参照すると、複数の時間増分tiの各々の後、対応する理論分配量が目標分配量と比較される。次に、分配システム14は、理論分配量と目標分配量との差に基づいて調整される。より詳細には、可変オリフィスサーボバルブ44が調整される。例えば、理論分配量が目標分配量より多ければ、可変オリフィスサーボバルブ44は粘性材料10の流れを部分的に閉じ、理論分配量が目標分配量より少なければ、可変オリフィスサーボバルブ44は粘性材料10の流れを部分的に開く。
【0025】
可変オリフィスサーボバルブ44は、これに付与される出力信号46の電圧を調整することによって調整される。好ましい実施形態においては、出力信号46の電圧は、ベース電圧50と、第一の電圧調整値52と、第二の電圧調整値54とを含む。ベース電圧は、例えば以下のような関係によって予め定義される。
ベース電圧=A×目標分配量+初期電圧
ここで、Aは定数である。特に図1を参照すると、各時間増分の後に理論分配量と目標分配量との間の差が決定されると、この差に第一の電圧定数K0を掛け、第一の電圧調整値52を決定する。第一の電圧調整値52は、可変オリフィスサーボバルブ44に付与される出力信号46の電圧の加算分又は減算分とし、実分配量が目標分配量から最小限の偏差内にあることを保証するようにできる。第二の電圧調整値54については、付加的な補償ルーチンを参照して以下でさらに説明する。
【0026】
粘性材料10を分配するための分配システム14を制御するこの方法は、理論分配量を決定するために補償係数fを用いないと理想的ではない。補償係数fを用いない理論分配量に基づいて分配システム14を制御すると、粘性材料10及び分配システム14の動作特性の変化の多くに対処することができない。従って、分配システム14はエラーを生じがちとなり、その結果時間を浪費し製品の欠陥が増大する。このような理由により補償係数fが利用される。
【0027】
補償係数の決定
補償係数fは、実分配量を補正して実分配量を目標分配量から最小限の偏差内に維持するために、分配システム14の動作中に利用される。したがって、補償係数fは、粘性材料10及び分配システム14の動作特性の変化を補償するように連続的に更新すなわち再演算されなければならない。
【0028】
補償係数fは、各パルス34が流量計32によって制御装置48に送られた後に決定すなわち再演算される。流量計32は所定の時間周期に分配された粘性材料10の正確な定量的測定を行うことができることから、これらの測定結果が、補償係数fを決定するために使用される。当然、前述したように、これらの測定は、典型的な分配用途では、約0.09秒から約0.12秒毎に行われる。
【0029】
補償係数fは、分配システム14の動作中に、すなわち粘性材料10をワーク12に分配している最中に、決定される。粘性材料10が分配されるとき、複数の時間増分tiの各々の後に圧力測定値Pが得られる。図4を参照すると、第一の時間周期T1中に分配された粘性材料10の理論体積は、第一の時間周期T1中に得られる圧力測定値P及び補償係数fの初期値finitialに基づいて決定される。第一の時間周期T1中に分配された粘性材料10の理論体積は、以下の式を用いて決定される。
理論体積=ΣT1[(Pti−b)/finitialN
ここで、finitialは補償係数fの初期値、bはクラッキング圧力、Ptiは第一の時間周期T1内の各時間増分tiにおいて得られる圧力測定値、Nは線形係数である。これは分配用途における第一の時間周期T1であるから、補償係数fはまだ決定されていない。したがって、補償係数の初期値は任意に選択される。しかし、以下に示す通り、任意の選択は第一の時間周期T1後に補正される。
【0030】
同時に、第一の時間周期T1中に分配された粘性材料10の実体積が測定される。好ましい実施形態においては、これは、単に流量計32の予め設定された体積である。すなわち、図4においてゼロに等しい時点の分配開始と同じく図4に示される流量計32からの最初のパルス34aとの間に分配された粘性材料10の体積である。制御装置48は、補償係数fの第一の新しい値F1を決定するために、第一の時間周期T1中に分配された粘性材料10の理論体積と実体積とを比較する。
【0031】
特に、実体積は以下の式の理論体積と等しくなる。
理論体積=ΣT1[(Pti−b)/f1N
ここで、f1は補償係数fの第一の新しい値、bはクラッキング圧力、Ptiは第一の時間周期T1中の各時間増分において得られる圧力測定値、Nは線形係数である。補償係数fの第一の新しい値f1は、この式を以下のように整理し直すことによって決定される。
1=ΣT1[(Pti−b)/実体積](1/N)
【0032】
補償係数fの第一の新しい値f1は、第一の時間周期T1中に生じた粘性材料10及び分配システム14の動作特性の変化を考慮したものになっている。したがって、補償係数fの第一の新しい値f1は、第一の時間周期T1に引き続く第二の時間周期T2における分配システム14の正常な動作のために使用することができる。
【0033】
さらに図4を参照すると、この方法は、続いて、第二の時間周期T2の間、ワーク12上に粘性材料10を分配する。第一の時間周期T1に実行されたのと同じステップが第二の時間周期T2の間に実行され、第二の時間周期T2について補償係数fの第二の新しい値f2を決定する。すなわち、第二の時間周期T2中の複数の時間増分tiの各々の後に粘性材料10の圧力を測定し、第二の時間周期T2中の圧力測定値P及び第一の新しい補償係数f1に基づいて第二の時間周期T2中に分配された粘性材料10の理論体積を決定し、第二の時間周期T2中に分配された粘性材料10の実体積を測定し、第二の時間周期T2中に分配された理論体積と実体積とを比較し、第二の時間周期T2中に分配された粘性材料10の理論体積と実体積との比較に基づいて補償係数fの第二の新しい値f2を決定する。第二の時間周期T2に引き続く第三の時間周期(図示せず)において粘性材料10を分配している間、補償係数fの第二の新しい値f2が利用されることが分かるであろう。
【0034】
補償係数fの第一の新しい値f1及び第二の新しい値f2を決定する方法は、第一の時間周期T1に生じた粘性材料10及び分配システム14の動作特性の変化に対して第二の時間周期T2において実分配量を補正することによって、実分配量を目標分配量から最小限の偏差内に維持するために、第二の時間周期T2の少なくとも一部が第一の時間周期T1に引き続いて生じることによって特徴付けられる。補償係数fの新しい値を連続的に再演算することによって、粘性材料10の粘度の変化、ノズルの磨耗、ノズルの詰まりの発生、分配システム14内の気泡などを連続的に監視し、これを補償することができる。
【0035】
もちろん、この過程は、分配用途の継続時間中無限に連続する。好ましい実施形態において、補償係数の新しい値は、流量計32によって各パルスが送られた後に決定される。すなわち、補償係数fは各パルス後に再演算される。言い換えると、補償係数fの第一の新しい値f1及び第二の新しい値f2をどのように決定するかに関する前述の説明は、各パルス34後に補償係数を再演算するために実行されるステップの例示に過ぎない。実際、補償係数fは分配用途の際に数百回でも数千回でも再演算を行うことができる。
【0036】
付加的補償
分配システム14の正常な動作中に補償係数fを再演算しこれを使用することに加えて、実分配量が目標分配量から最小限の偏差内にあることを保証するために、制御装置48は他の補償ルーチンを実行することができる。
【0037】
好ましい実施形態において、第一の時間周期T1及び第二の時間周期T2に分配された粘性材料10の理論上の累積体積(以下、理論累積体積)が決定される。図5を参照すると、理論累積体積は理論体積及び実体積の両方に基づいている。詳細には、理論累積体積は、パルス34aとパルス34bとの間の理論体積及び各パルス34a、34bにおける実体積に基づいている。言い換えると、理論累積体積は、以下の式を用いてパルス34aとパルス34bとの間で推定される。
理論累積体積=Σt[(Pti−b)/f]N
ここで、fは補償係数fに適用可能な値、すなわち第一の時間周期T1についてはfinitial、第二の時間周期についてはf1であり、bはクラッキング圧力、Ptiは時間周期T1、T2内の各時間増分tiに得られる圧力測定値、Nは線形係数である。理論累積体積は、各パルス34a、34bにおいて、図5に示されるように、流量計32の予め設定された体積に基づいて分配される粘性材料10の実際の合計量になるように調整される。
【0038】
第一の時間周期T1及び第二の時間周期T2に分配される粘性材料10の目標累積体積は、目標分配量に基づいて、例えば目標分配速度×時間に基づいて、決定される。次に、これらの累積体積を比較し、理論累積体積と目標累積体積との差に基づいて、可変オリフィスサーボバルブ44に付与される出力信号46の電圧がさらに調整される。詳細には、図1を参照して、上記差に第二の電圧定数K1を掛けて、第二の電圧調整値54を決定する。第二の電圧調整値54は、可変オリフィスサーボバルブ44に付与される出力信号46の電圧の増分又は減分である。したがって、出力信号46を通じて可変オリフィスサーボバルブ44に加えられる電圧は、ベース電圧52に第一の電圧調整値52及び第二の電圧調整値52を加えたものに等しい。第一の電圧調整52は第二の電圧調整54と同様、圧力測定P毎にすなわち0.008秒ごとに実行される。
【0039】
エラー検出
補償係数fは、分配システム14の動作特性の変化を検出するためにも使用することができる。詳細には、パルス34間の補償係数fの値の変化が予め定められた限度を越えると、例えば、補償係数fの第一の新しい値f1と補償係数fの第二の新しい値f2との差が予め定められた限度を越えると、ノズル26が詰まっているおそれがあり、制御装置48はこれを知らせる指示信号を分配システム14の操作者に伝えることができる。さらに、制御装置48は、状態が正常に戻るまですなわちノズル26の詰まりが取り除かれるまで分配システム14を運転停止することができる。
【0040】
同様に、補償係数fを使用して、補償係数fの第一の新しい値f1と第二の新しい値f2との差に基づいて分配システム14内の気泡を検出することができる。例えば、分配システム14内の気泡を検出するように、第二の予め定められた限度を規定することができる。言い換えると、ノズルの詰まり又は分配システム14内の気泡は、短時間内に補償係数fが大きく変化することによって検出することができる。
【0041】
同様に、補償係数fを使用して、一定の流量ではなくワーク12に複数の大きな滴の粘性材料10が分配される望ましくない「ガムドロップ」分配を検出することもできる。
【0042】
さらに、補償係数fの値について予め定められた限度を越えたことに基づいて、分配システム14のノズル26の磨耗を検出することができる。予め定められた限度は、ノズル26が摩滅に近づいており過剰な磨耗のため取り替える必要がある場合の補償係数fの値である。この機能の一つの実施形態においては、制御装置48は、分配用途の際の補償係数fの連続的に決定される各値について傾向線を演算することができる。例えばノズル26が詰まったこと又は分配システム14内に気泡があることを示す、傾向線が鋭角に動かない場合、及び、傾向線が予め定められた限度を通過するすなわち予め定められた限度を上回る場合、ノズル26を取り替えるべきであることを示す指示信号を操作者に送ることができる。
【0043】
代替実施形態
図6に示される代替実施形態においては、粘性材料10及び分配システム14の動作特性の変化に対して実分配量を補正することにより実分配量を目標分配量から最小限の偏差内に維持するために、第二の時間周期T1が第一の時間周期T1を含むように、第二の時間周期T2の一部が第一の時間周期T1と重なる。この代替実施形態は、より多くの過去の圧力及び体積データを利用することによって補償係数fのより良い平均化方法を提供することができる。前述のステップにおいて使用される各時間周期における差の他に、前の実施形態の他の全てのステップがこの実施形態において実施される。
【0044】
上記の教示を考慮すると、本発明について多くの改変及び変形が可能であることは明らかである。本発明は、添付特許請求の範囲内で具体的に記載される以外の形態でも実施することができる。新規の点は、特にはっきりと特徴節において列挙されることになっており、先行する列挙部分は、単に本発明が属する古い周知の組合せを示しているに過ぎない。これらの先行する列挙部分は、新規性がその有用性を発揮しうるどのような組合せも網羅するものと解釈されなければならない。さらに、特許請求の範囲における参照番号は、便宜上のものにすぎず、決して限定を意味するものとして読み取られるべきものではない。
【0045】
分配システム14を制御するための代替技術は、補償係数及びクラッキング圧力の両方の大きさを反復的に演算するために最小二乗法を使用する。Nには定数値が割り当てられる。図7は、Nの値が1より大きいとき、小さいとき及びこれと等しいときに得られる送出量−流体圧力データセットの傾向を示すグラフである。Nには、送出量−流体圧力データセットの期待される傾向に対応する値が割り当てられることが好ましい。目標分配量すなわち流体流量の式、すなわち、
目標流量=[(圧力―b)/f]N (1)
は、以下の式に修正される。
D=F×P+B (2)
ここで、
D:(理論流量)n
n=1/N(定数)、
P:流体圧力、
F=fn
B=−F×b、
である。
【0046】
各時間増分ti発生時に、すなわち約8msec毎に、制御装置48は圧力信号40を受け取り、この信号を圧力値Pに変換して、圧力値Pをマイクロプロセッサ49にアクセス可能な電子メモリに記憶する。送出流量計32によって生成される次のパルス34の発生時に、制御装置48は、送出流量計32を通る平均送出量すなわち流体流量Daveと前のパルス34以降各増分tiに生じた圧力信号からの平均圧力値Paveとを演算する。圧力値及び流量値は、いくつかの送出流量計パルス34が発生する一周期にわたって平均化されることが好ましい。これら圧力及び送出量の値も電子メモリに記録される。(P,D)値のいくつかの組が得られた後、最小二乗法を用いて係数F及びBが演算される。
【0047】
式(2)におけるF及びBの値は以下のように演算される。
F=Spd/Spp、B=DaveF×Pave
ここで、
ave=Pの平均=(l/t)ΣP、
ave=Dの平均=(l/t)ΣD、
Spp=ΣP2−(l/t)(ΣP)2
Spd=ΣPD−(l/t)(ΣP)(ΣD)、
t:時間増分の数、
である。
【0048】
制御装置48は、送出流量計32からの前のパルス一つだけの圧力データを用いる代わりに、複数の送出流量計パルス34を含む時間にわたって得られたデータを用いて演算を行う。制御装置48は、補償係数Fだけでなくバイアス圧力/クラッキング圧力Bも演算する。
【0049】
制御装置48は、最近の測定データのみが材料の粘度変化を反映するように特定の数の古い(P,D)データセットしか保持しない。このために、記録されたP及びDのデータは予め定められたサイズを有するリングバッファに保持される。1パルス増分の間、制御装置48は測定された圧力の平均値を使用する。DとPとの関係が線形であれば、この平均化が許容される。
【0050】
係数B及びFの正確な値を得るために、充分に広い(P,D)データのセットを持つことが重要である。材料送出がある長い時間一定量で行われる場合、圧力及び送出量は、図8に示されるように、狭い範囲内になる。このような場合を避けるために、リングバッファは、もっと広い範囲の送出量と圧力の組のデータを含む。システムは、常に一定の数の低及び高圧力/送出データセット、すなわち図9の下限値及び上限値を維持する。この技術は、最小二乗法を用いて正確な係数値を得ることを保証する。
【0051】
低流量時の圧力−送出データセットの数が予め定められた数に減少したら、リングバッファは、より高い流量でのデータの記録及び保持をしない。同様に、高い流量時の圧力−送出データセットの数が予め定められた数に減少したら、リングバッファは、より低い流量でのデータの記録及び保持を行わない。これによって、リングバッファは、正確な係数が演算されるように常に低い側の流量と高い側の流量のデータとを含む。
【0052】
送出流量計が測定された圧力に関する式(2)によって求められる値より高い流量を測定するとき、分配システム14は、「気泡検出」アラームを発する。同様に、送出流量計32が測定された圧力に関する式(2)によって求められる値より低い流量を測定すると、分配システムは「部分的先端詰まり検出」アラームを発する。
【0053】
さらに、送出流量計パルス34が式(2)によって予測される時間より長い時間届かない場合、システムは「先端詰まり」アラームを発する。
分配システムは、ノズルが過剰に磨耗しているか否かを決定するためにF及びBの基準値F0及びB0を保持する。
D=F0×P+B0 (3)
最近演算されたF及びBの値の結果演算された理論流量が式(3)の流量より大きくなった場合、システムは「ノズルの磨耗」アラームを発する。
【0054】
送出導管又はガン20の数は、材料送出システムの一部である。操作ガン20の数は、送出速度Dに直接影響する。したがって、複数のガンを使用するには特別な配慮が必要である。gがある時点で作動するガンの数であり、全てのガンが同じノズルサイズを持つとすると、式(2)は以下のようになる。
D/g=F×P+B (4)
【0055】
式(4)は、ガンホースすなわち導管20内の抵抗が無視できるものであり、1送出流量計増分Tの間に開放されるガンの数が不変であると想定している。式(4)において、D/gをDと置き換えると、複数のガンが同時に動作する状態で動作するシステムに同じ最小二乗法の演算を適用することができる。ある時間増分中にガンの数が変化する場合、その時間周期の測定データは廃棄される。
【0056】
特許法の規定に従って、本発明は、その好ましい実施形態を表すと思われる形態について説明されている。しかしながら、本発明は、その精神又は範囲から逸脱することなく、特に例示され説明される以外の形態で実施できることに留意しなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の分配システムの略図である。
【図2】本発明の分配システムに使用されるロボットの斜視図である。
【図3】第一の時間周期及び第二の時間周期において本発明の可変オリフィスサーボバルブに加えられる電圧の変化を示すグラフである。
【図4】第一の時間周期及び第二の時間周期中に分配された粘性材料の理論体積及び実際の体積の変化を示すグラフである。
【図5】第一の時間周期及び第二の時間周期における目標体積に対する粘性材料の相対的な理論体積及び実際の体積の変化を示すグラフである。
【図6】本発明の代替実施形態において第一の時間周期及び第二の時間周期中に分配された粘性材料の理論体積及び実際の体積の変化を示すグラフである。
【図7】様々なNの値の場合に得られる送出量−圧力のデータセットの傾向を表す曲線を示している。
【図8】狭い範囲に集中した圧力−送出量のデータセットを示すグラフである。
【図9】図8より広い範囲に分散した圧力−送出量のデータセットを示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標流量で出力部(26)を通じてワーク(12)に流体(10)を分配するための流体分配システム(14)であって、
圧力を受けた前記流体(10)が内部を通って前記出力部(26)へ流れるようになっている制御可能な圧力調整装置(42)と、
前記出力部(26)における流体圧力を表す圧力信号を与える圧力センサ(36)と、
前記出力部(26)を通る前記流体(10)の流量を表す流量信号を与える流量計(32)と、
前記流量信号に応答して目標流量に対応する圧力を生じさせるように前記圧力調整装置(42)を制御するための制御装置(48)と、
を備え、前記目標流量及び前記圧力信号が、前記流量信号によって表される前記流量と前記圧力信号によって表される前記流体圧力とに基づいて前記制御装置によって演算される補償係数及びクラッキング圧力と相関していることを特徴とする流体分配システム。
【請求項2】
前記圧力調整装置(42)は、断面積が可変であるオリフィスを含むサーボバルブ(44)を備え、前記サーボバルブを通じて、圧力を受けた前記流体(10)が前記出力部(26)へ流れる、請求項1に記載の流体分配システム。
【請求項3】
前記ワーク(12)に対する前記出力部(26)の相対位置を制御するためのロボットアーム(30)を有するロボット(28)が前記出力部(26)に係合している、請求項1に記載の流体分配システム。
【請求項4】
前記圧力調整装置(42)は可変オリフィスサーボバルブ(44)を備え、前記制御装置(48)は、前記目標流量と前記流量信号によって表される前記出力部(26)を通る前記流量との差を用いて前記可変オリフィスサーボバルブ(44)を調整するようにプログラムされている、請求項1に記載の流体分配システム。
【請求項5】
前記出力部(26)が送出導管(20)に接続されており、前記送出導管(20)を通じて前記出力部(26)へ流体(10)を搬送するために、ポンプが前記送出導管(20)に結合されている、請求項1に記載の流体分配システム。
【請求項6】
前記ワーク(12)に対する前記出力部(26)の相対位置を制御するために、ロボットアーム(30)を有するロボット(28)が前記出力部(26)に係合しており、前記ロボット(28)が六つの回転軸線を規定しており、前記出力部(26)及び前記ワーク(12)のうちの一方をその周りで回転させるようになっている、請求項1に記載の流体分配システム。
【請求項7】
圧力を受けた流体(10)が内部を通って出力部(26)へ流れるようになっている制御可能な圧力調整装置(42)を備える流体送出システム(14)を制御する方法であって、
初期補償係数と初期クラッキング圧力とを確定するステップと、
前記流体(10)が分配されている間の複数の時間増分の各々において前記流体の圧力を測定するステップと、
第一の周期に分配された前記流体の体積を決定するステップと、
前記第一の周期中の各時間増分における平均圧力を決定するステップと、
前記第一の周期中の平均流量を決定するステップと、
前記第一の周期中の平均圧力値と平均流量値とから新しい補償係数及び新しいクラッキング圧力を決定するステップと、
前記新しい補償係数と前記新しいクラッキング圧力と前記第二の周期中の前記圧力測定値とを使用して、第二の周期の前記流体(10)の理論流量を決定するステップと、
前記理論流量と前記目標流量との差を使用して前記目標流量に対応する圧力を生じさせるように前記圧力調整装置(42)を制御するステップと、
を含むことを特徴とする流体送出システムを制御する方法。
【請求項8】
前記流体(10)の圧力を測定する前記ステップが、前記時間増分の各々の後に圧力センサ(36)から制御信号を受け取り、該制御信号を圧力測定値に変換するステップをさらに含む、請求項7に記載の流体送出システムを制御する方法。
【請求項9】
前記第一の周期中に分配された前記流体(10)の実際の体積を決定する前記ステップが、前記流体送出システム(14)の流量計(32)によって生成される第一の電気パルス及び第二の電気パルスを受け取るステップをさらに含み、前記第一の電気パルスは前記流体(10)の予め設定された体積が第一の持続時間中に前記流量計(32)を通過したことを示し且つ前記第二の電気パルスは前記流体(10)の前記予め設定された体積が第二の持続時間中に前記流量計(32)を通過したことを示し、前記第一の持続時間及び第二の持続時間が前記第一の周期にわたっている、請求項8に記載の流体送出システムを制御する方法。
【請求項10】
さらなるステップが、各圧力測定値が得られた後に前記理論流量を決定するステップを含む、請求項9に記載の流体送出システムを制御する方法。
【請求項11】
さらなるステップが、前記理論流量を前記目標流量と比較し、前記理論流量と前記目標流量との差に基づいて前記圧力調整装置(42)の可変オリフィスサーボバルブ(44)に印加される電圧を調整するステップを含む、請求項10に記載の流体送出システムを制御する方法。
【請求項12】
さらなるステップが、前記第一の周期中に分配された前記流体(10)の理論累積体積を決定し、前記第一の周期中に分配される前記流体(10)の目標累積体積を決定するステップを含む、請求項11に記載の流体送出システムを制御する方法。
【請求項13】
さらなるステップが、前記理論累積体積と前記目標累積体積とを比較し、前記理論累積体積と前記目標累積体積との差に基づいて前記可変オリフィスサーボバルブ(44)に印加される電圧を調整するステップを含む、請求項12に記載の流体送出システムを制御する方法。
【請求項14】
初期クラッキング圧力を確定する前記ステップと新しいクラッキング圧力を決定する前記ステップが、ワーク(12)への流体の分配を開始するために前記流体(10)が打ち勝つべき前記分配システム(14)の摩擦損失を表す圧力を決定するステップを含む、請求項7に記載の流体送出システムを制御する方法。
【請求項15】
さらなるステップが、前記流体(10)のずり減粘又はずり増粘特性を表す前記流体(10)の線形係数(N)を確定するステップを含む、請求項14に記載の流体送出システムを制御する方法。
【請求項16】
前記流体の前記理論流量を決定する前記ステップが、関係式D=F×P+Bを用いて前記理論流量を決定するステップを含み、ここで、Dが(理論流量)n、n=1/N(定数)、Pが流体圧力、F=fn、B=-F×b、bがクラッキング圧力、fが補償係数、nが線形係数である、請求項15に記載の流体送出システムを制御する方法。
【請求項17】
F及びBの値がF=Spd/SppとB=DaveF×Paveとを用いて演算され、ここで、Pave=(l/t)ΣP、Dave=(l/t)ΣD、Spp=ΣP2−(l/t)(ΣP)2、Spd=ΣPD−(l/t)(ΣP)(ΣD)、tが時間増分の数である、請求項16に記載の流体送出システムを制御する方法。
【請求項18】
さらなるステップが、流量計(32)によって示される流量と前記流量計(32)によって示される前記流量より小さい理論流量との差に基づいて前記流体送出システム(14)内の障害を検出するステップを含む、請求項7に記載の流体送出システムを制御する方法。
【請求項19】
さらなるステップが、流量計(32)によって示される流量と前記流量計(32)によって示される前記流量より大きい理論流量との差に基づいて前記流体送出システム(14)内の気泡を検出するステップを含む、請求項7に記載の流体送出システムを制御する方法。
【請求項20】
さらなるステップが、前記補償係数及び前記クラッキング圧力の基準値を確定し、前記補償係数及び前記クラッキング圧力の前記基準値と所定の周期における圧力測定値とを用いて決定される第一の理論流量と、新しい補償係数及び新しいクラッキング圧力と前記周期における圧力測定値を用いて決定される前記第一の理論流量より大きい第二の理論流量とに基づいて、前記流体分配システム(14)のノズル(26)の磨耗を検出するステップを含む、請求項7に記載の流体送出システムを制御する方法。
【請求項21】
前記第一の周期中に生じる前記流体(10)及び前記流体送出システム(14)の動作特性の変化に対して前記第二の周期中の実際の流量を補正することによって前記第二の周期において前記実際の流量を前記目標流量から最小限の偏差内に維持するために、前記第二の周期全体が前記第一の周期に引き続いて生じる、請求項7に記載の流体送出システムを制御する方法。
【請求項22】
前記第一の周期中に生じる前記流体(10)及び前記流体送出システム(14)の動作特性の変化に対して前記第二の周期中の実際の流量を補正することによって前記実際の流量を前記目標流量から最小限の偏差内に維持するために、前記第二の周期の一部が前記第一の周期に重なっている、請求項7に記載の流体送出システムを制御する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−503982(P2007−503982A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524870(P2006−524870)
【出願日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【国際出願番号】PCT/US2004/027835
【国際公開番号】WO2005/018826
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(505241005)ファナック ロボティクス アメリカ,インコーポレイティド (18)
【Fターム(参考)】