説明

流体浄化のための組成物および方法

本開示は一般に、流体から汚染物質を除去するためのフィルタ媒体組成物、装置およびシステム、ならびにそれらを使用する方法に関する。ある態様では、このフィルタ媒体は1つまたは複数のハロゲン化樹脂(103)および1つまたは複数の汚染物質吸着媒体(102、104、105、106)を備える。本開示のフィルタ媒体は、単一ユニット内に内蔵することができ、またはいくつかの構成部品は並行でまたは直列で作用する別々のユニット内に収容することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2006年4月20日出願の米国特許仮出願第60/793,344号、および2006年4月28日出願の米国特許仮出願第60/796,020号の優先権を主張し、それらの両方は参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、一般に流体から汚染物質を取り除くための媒体および装置、ならびにその製造方法及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
水性および/またはガス溶体からの汚染物質の浄化または除去は、様々な理由で必要である。例えば、浄化された空気および/または水は、住民の一般的な健康、自然災害またはテロリストの脅威もしくは攻撃中の緊急使用、(ハイキングまたはキャンピングなどの)レクリエーション使用、バイオ技術関連の用途、病院および歯科医院、実験室の「クリーンルーム」および半導体材料の製造のために必要な場合がある。その上、工業的汚染物、細菌および他の残骸または感染物質は、空気または飲料水から除去されない場合、特に子供、老人または病気で苦しめられている人などの弱い人たちに重大な健康リスクを引き起こす。
【0004】
地球上にある全ての真水の97%より多くは地下水であり、何10億もの人々が彼らの唯一の水源として地下水を頼りにしている。世界中で、10億人よりも多くの人々が生き残るために十分な量の清潔な水が手に入らないでいる。結果として、少なくとも毎年1000万人の人々が水から生じる病気で死亡し、これらの人々のうち少なくとも200万人は幼い子供である。病原性の微生物(organism)が処理されない不衛生な水中で盛んに繁殖することはよく知られている。歴史的に、地下水は頂部土壌を通過してろ過されることにより比較的清潔であると考えられてきたが、様々な地下水源の試験に対する調査は、アメリカで使われている地下水の場所の50%までがクリプトスポリジウム(Cryptosporidium)、ジアルジア(Giardia)、またはその両方に対して陽性であることを明らかにしてきている。さらにウイルスは、それらの大きさの小ささおよびコロイド状であるという物理化学的性質に一部起因して、地下水源においてはバクテリアより長く生き延びかつより遠くまで移動することができる。(参照することにより、Azadpour−Keeley, et al.,EPA Ground Water Issue,2003の全体が本明細書に組み込まれている)。永年バクテリア分析は行われてきているが、地下水に対するウイルス指標は最近確立されたばかりである。過去に、ウイルスは動物の腸管の通常の生理的寄生菌(flora)ではなくしたがって感染した個体によってのみ排泄される、ウイルス指標の検出の全体的な欠如が存在する、ウイルスは生きている感受性細胞(susceptible cell)内でのみ存在し増殖することができ、ウイルスの低レベルの群生による経口摂取は有害ではないと思われていたことを含む、地下水中のウイルスに関する多くの誤解があった。ウイルス移送に影響するより重要な要因のうちのいくつかには、土壌水含有率、温度、土壌内の吸着および脱着、pH、塩含有率、ウイルスの種類および水圧が含まれる。一般にウイルスは、浮遊物質および沈殿物などの固体表面上に吸着されることにより、非常に長い期間活動することができるのではと現在疑われている。(参照することにより、Sakoda, et al.,Wat.Sci.Tech.,35,7,pp.107−114,1997の全体が本明細書に組み込まれている)。米国環境保護庁は、2002年付けでウイルスに対してゼロの設定値を含む飲料水中の病原性微生物(microorganism)に対する最大汚染物質レベル目標値(maximum contaminant level goal)(MCLGs)を確立している。したがって、汚染物質、特にウイルスを供給水から取り除くことは、重要な健康課題である。
【0005】
米国環境保護庁科学諮問委員会(Science Adversory Board)は、汚染された飲料水を公衆の最大の健康リスクのうちの1つとして等級付けしている。水によって運ばれる汚染物質には、腸内ウイルス(enteroviruse)(ポリオ、コクサッキー(Coxsackie)、エコーウイルス(echovirus)、肝炎(hepatitis))、ロタウイルス(rotaviruse)および他のレオウイルス(reoviruse)、アデノウイルスノーウォーク因子(adenoviruses Norwalk-type agent)等のウイルス、(糸状菌(mold)を含む)菌類(fungi)を含む他の細菌(microbe)、(サルモネラ、赤痢菌(shigella)、エルシニア(yersinia)、マイコバクテリア(mycobacteria)、エンテロコリチカ菌(enterocolitica)、大腸菌(E. coli)、カンピロバクター菌(Campylobacter)、レジオネラ(Legioneila)、コレラを含む)バクテリア、鞭毛虫(flagellates)、アメーバ、クリプトスポリジウム、ジアルジア、他の原虫(protozoa)、プリオン、蛋白質および核酸、有機化学品を含む殺虫剤(pesticide)および他の農薬(agrochemical)、無機化学品、ハロゲン化された有機化学品および他の残骸が含まれる。
【0006】
標準のろ過システムは、オゾン処理などの化学的酸化、ならびに/または紫外線処理および/もしくは逆浸透法などの精密ろ過に主として基づいてきた。しかしながら、これらのシステムは高価であり、かつ(単一の使用者用のなどの)少量のガス、蒸気または液体、ならびに(小さな村または地域社会用に十分な)大量を取り扱うように常に容易に転換することができるとは限らない。その上、汚れた貯蔵施設が不純物の以前の除去の後で水を汚染する可能性がある。既存のフィルタのいくつかの例は、米国特許第4,298,475号および第4,995,976号にて論じられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、ガス、蒸気および/または液体溶体から汚染物質を取り除くためのフィルタ媒体用の分野にニーズが残っている。さらに、汚染物質を取り除く、または溶体を浄化するための方法、ならびに高性能の浄化を可能にする装置の分野にニーズが残っている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、流体から汚染物質を除去するための「多重バリア(multi‐barrier)」フィルタ媒体、装置およびシステムに関する。本発明は特に、1つまたは複数のハロゲン化樹脂と1つまたは複数の汚染物質吸着媒体を組み合わせることの驚くべき相乗効果に基づいている。例えば、ハロゲン化樹脂と汚染物質吸着媒体との組み合わせは、結果としてバクテリアおよびウイルスを含む一般的な汚染物質の除去のための一貫したより高い効率になり、ならびにどのような単一のフィルタ媒体単独に比較しても、浄化することができる液体の容積を大幅に増加させることができる。その上、本発明の一態様により与えられる別の利点は、従来型の単一フィルタシステムまたは機器によるより、単位面積当たりの相当に高い流量を含むことである。
【0009】
本発明の一態様の別の利点は、ハロゲン化樹脂と汚染物質吸着媒体との組み合わせが、汚染物質を無害にし、例えフィルタからの汚染物質の流出があったとしても非常に少ないことである。結果として、消耗したフィルタ媒体は埋め立て処分地に安全に廃棄することができる。例えば伝統的な流体フィルタまたは浄化システムは、高pHレベルおよび/または温度変化のときにフィルタから汚染物質が剥ぎ取られるまたは溶出する可能性がある。これが起きるとき、流出流体は流入流体より高い汚染物質の濃度を含む可能性がある。しかしながら、高pH状態の下でヨウ化樹脂を含むハロゲン化樹脂は、バクテリアおよびウイルスを含め、無害な一般的な汚染物質であるハロゲンのより高いレベルを生じさせる。
【0010】
本発明の一態様の別の利点は、使用していない長い期間中、ハロゲン化樹脂を介した継続的な抗殺菌剤物質を含むことである。このハロゲン化樹脂は継続的にハロゲンを生じさせるので、流体浄化システムが長い期間使用されない場合、これらのハロゲンはフィルタの表面に到達し、細菌の増殖を防止する抗菌物質として作用する。同様に、この「多重バリア」フィルタ媒体の特性によって、浄化する予定の流体とハロゲン化樹脂との長期の接触が可能になり、したがって、微生物の殺菌および無害化の効率を増加させる。その上、1つまたは複数の汚染物質吸着媒体の1つまたは複数のハロゲン化樹脂との組み合わせのこの驚くべき相乗効果によって、特に携帯式システムでの両方のより少ない組成物の使用が可能になり、それが全体コストを低下させる。
【0011】
一実施形態のさらに別の利点は、(Microbial Check Valve(登録商標)カラムに対して>3などの)通常の長さ対直径比が「多重バリア」流体媒体に起因して不要であるので、設計の簡単化および製造の容易性を含む。
【0012】
最後に、「多重バリア」流体浄化システムの高効率に起因して、低残留ハロゲン化樹脂を使用することができ、これによって浄化された流体を分配する前により少ない遊離ハロゲン化化学種を除去すればよくなる。実際、微生物殺菌に対しては十分に高いが、流体内のハロゲンが安全レベルにあり、かつ浄化された流体の味および/または香りを審美的に楽しむのに結果として十分に低い適切なレベルであれば、ハロゲンを流体中に留まらせることさえ可能になる場合がある。
【0013】
本発明のこの「多重バリア」フィルタ媒体、装置およびシステムは、媒体構成部品および機構を単一のユニットまたは機器内に組み合わせることによって、または各機器が異なる機能を果たすいくつかの別々の機器を直列にもしくは並列に使用することによって実施することができる。
【0014】
少なくとも1つの実施形態では本発明は、1つまたは複数のハロゲン化樹脂および1つまたは複数の汚染物質吸着媒体を備える、流体から汚染物質を除去するためのフィルタ媒体に関する。少なくとも1つの実施形態では、この1つまたは複数の汚染物質吸着媒体は、セラミック材料または活性炭を備える。少なくとも1つの実施形態では、この1つまたは複数の汚染物質吸着媒体は、粒状活性炭を備える。少なくとも1つの実施形態では、この1つまたは複数の汚染物質吸着媒体は、電気陽性ナノアルミナ繊維を備える。少なくとも1つの実施形態では、この1つまたは複数のハロゲン化樹脂は、ヨウ化樹脂を含む。少なくとも1つの実施形態では、この1つまたは複数のハロゲン化樹脂は、低残留ヨウ化樹脂を含む。少なくとも1つの実施形態では、この1つまたは複数のハロゲン化樹脂は、塩化樹脂を含む。少なくとも1つの実施形態では、この1つまたは複数のハロゲン化樹脂は、臭化樹脂を含む。少なくとも1つの実施形態では、この1つまたは複数の汚染物質吸着媒体は粒状活性炭を含む。少なくとも1つの実施形態では、この1つまたは複数の汚染物質吸着媒体は電気的に陽性なナノアルミナ繊維を備える。少なくとも1つの実施形態では、このフィルタ媒体は2つ以上の異なる汚染物質吸着媒体をさらに備える。少なくとも1つの実施形態では、このフィルタ媒体は2つ以上の異なる汚染物質吸着媒体をさらに備える。
【0015】
少なくとも1つの実施形態では本発明は、流体から1つまたは複数の汚染物質を除去するためのキットに関し、このキットは、1つまたは複数の入口、1つまたは複数のハロゲン化樹脂、1つまたは複数の汚染物質吸着媒体、1つまたは複数の出口を備えるフィルタカートリッジおよび任意選択でキットを使用するための使用説明書を備える。
【0016】
少なくとも1つの実施形態では本発明は、ハウジングと、1つまたは複数の入口と、1つまたは複数のハロゲン化樹脂、1つまたは複数の汚染物質吸着媒体、および1つまたは複数の出口を備えるフィルタ媒体とを備える、流体から汚染物質を除去するための装置に関する。少なくとも1つの実施形態では、この1つまたは複数の汚染物質吸着媒体は、電気的に陽性なナノアルミナ繊維または活性炭を備える。少なくとも1つの実施形態では、この1つまたは複数のハロゲン化樹脂は、ヨウ化樹脂を含む。少なくとも1つの実施形態では、この1つまたは複数のハロゲン化樹脂は、低残留ヨウ化樹脂を含む。少なくとも1つの実施形態では、この1つまたは複数のハロゲン化樹脂は、塩化樹脂を含む。少なくとも1つの実施形態では、この1つまたは複数のハロゲン化樹脂は、臭素化樹脂を含む。少なくとも1つの実施形態では、この1つまたは複数の汚染物質吸着媒体は、電気的に陽性なナノアルミナ繊維または活性炭を備える。少なくとも1つの実施形態では、このフィルタ媒体は内蔵型ユニットを備える。
【0017】
少なくとも1つの実施形態では、本発明は、1つまたは複数のハロゲン化樹脂、1つまたは複数の汚染物質吸着媒体、および浄化された流体用の貯蔵容器を含む装置を備える、流体から汚染物質を除去するためのシステムに関する。少なくとも1つの実施形態では、このシステムは1つまたは複数の流体輸送導管をさらに備える。少なくとも1つの実施形態では、このシステムは浄化された流体を分配するための1つまたは複数の手段をさらに備える。少なくとも1つの実施形態では、このシステムの装置は、入口および出口をさらに備える。ある態様では、このシステムは、異なる流体輸送導管に接続される入口および出口の両方を備える。少なくとも1つの実施形態では、このシステムの貯蔵容器はハロゲン化樹脂を備える。少なくとも1つの実施形態では、この1つまたは複数の流体輸送導管は、汚染物質吸着媒体を備える。少なくとも1つの実施形態では、ハロゲン化樹脂はヨウ化樹脂を含む。少なくとも1つの実施形態では、この汚染物質吸着媒体はヨウ素除去媒体を備える。ある態様では、このシステムは、浄化するのが望ましい流体を保持するための第1の貯蔵器と、浄化された流体を保持するための第2の貯蔵器をさらに備える。少なくとも1つの実施形態では、このシステムは、浄化された流体を分配するための手段をさらに備える。
【0018】
少なくとも1つの実施形態では本発明は、浄化されていない流体を1つまたは複数のハロゲン化樹脂と1つまたは複数の汚染物質吸着媒体を備えるフィルタ媒体に導入するステップと、ある量の力を流体がフィルタ媒体を通過できるように流体に加えるステップと、それによって流体を浄化するステップとを含む、流体から汚染物質を除去するための方法に関する。少なくとも1つの実施形態では、この方法は浄化された流体の少なくともいくらかを分配するステップをさらに含む。少なくとも1つの実施形態では、流体にある量の力を加えるステップは圧力を加えるステップを含む。
【0019】
少なくとも1つの実施形態では、本発明は、ハウジングまたは格納機器を準備するステップと、1つまたは複数のハロゲン化樹脂と1つまたは複数の汚染物質吸着媒体を備えるフィルタ媒体を組み立てるステップと、このフィルタ媒体を部分的にまたは完全にハウジングまたは格納機器内に一緒に保持するまたは取り囲むステップとを含む、流体から汚染物質を除去するための装置を製造する方法に関する。
【0020】
本明細書で引用した全ての特許、特許出願および参考文献は、本明細書にそれら全体が組み込まれている。
図面では、同一の参照番号は同様な要素または動作を特定する。図面内の要素の寸法および相対的な位置は必ずしも縮尺どおり描かれていない。例えば、様々な要素の形状または角度は縮尺どおり描かれておらず、これらの要素のいくつかは図面の読み易さを改善するために適宜拡大されかつ配置されている。さらに、描かれた要素の詳細な形状は、特定の要素の実際の形状に関するどのような情報も示唆するためのものではなく、単に図面内での認識の容易さのために選択されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(概説)
以下の説明中、本発明の様々な実施形態の完全な理解を与えるために、いくつかの詳細な情報が記載される。しかしながら、当業者は本発明がこれらの詳細なしで実施できることを理解するであろう。別の例では、水性もしくはガス状ろ過または浄化機器および/またはシステムに関連するよく知られた構造および方法、ならびにそれらを使用しかつ製造する方法は、本発明の実施形態の不必要に不明確な記述を避けるために、詳細に示されかつ説明されない場合がある。
【0022】
文脈がそうではないことを必要としない限り、以下の明細書および特許請求の範囲の最初から最後まで、用語「備える(comprise)」および「(単数形の)備える(comprises)」および「備えている(comprising)」などのその変形形態は、オープンな、包含的な意味で、すなわち「含むが、それに限定されない」として解釈すべきである。
【0023】
本明細書に設けられる表題は便宜のためのみであり、いかなる方法でも請求項に係る発明の範囲または意味を説明または制限しない。
本発明は一般に、1つまたは複数のハロゲン化された樹脂および1つまたは複数の汚染物質吸着媒体を備えるフィルタ媒体に関する。この1つまたは複数の汚染物質吸着媒体は、選択されるガス状の、水性のまたは蒸気流体から任意の汚染物質を吸収しまたは吸着する、任意の適切な材料であることができる。
【0024】
本発明は一般に、流体から汚染物質を除去することに関する。当業者は、流体が(空気などの)ガス、(空気と混合された湿分などの)蒸気、(水などの)液体、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができることを容易に理解するであろう。これらの例に加えて、他の流体も本発明によって考慮される。例えば、浄化される予定の流体は、(血液、リンパ液、尿等などの)体液、川、湖、小川等の水、貯留水もしくは排水、海水、水泳プールもしくは温水浴槽用の水、(ホテル、レストラン、航空機もしくは宇宙船、船、列車、学校、病院等などの)公共の場所で消費するための水もしくは空気、(家庭、アパートメント複合施設等などの)個人的な場所で消費するための水もしくは空気、コンピュータもしくは(シリコンウエハなどの)他の繊細な構成部品を製造するのに使用するための水、生物学的な実験室または発酵実験室で使用するための水、(水耕もしくは他の温室などの)植物栽培作業に使用するための水または空気、(鉱山、製錬、化学品製造、ドライクリーニングもしくは工業廃棄物からなどの)廃水処理施設、または浄化するのが望ましい任意の他の流体であることができる。
【0025】
ある態様では、本発明は空気浄化および呼吸マスク、工業的もしくは居住環境内の空気フィルタ、または他の用途として使用するための超高性能フィルタ(HEPA)と組んだフィルタ媒体を含む。
【0026】
(定義)
この明細書で使用される用語は一般に、本発明の文脈内でかつ各用語が使用される特定の文脈内で、この分野でのそれらの通常の意味を有する。いくつかの用語は、本発明の組成物および方法、ならびにそれらをどのように作りかつ使用するかを説明する中で、以下でまたは明細書の他の場所で、実務者に追加の手引きを与えるために論じられる。用語のどのような使用の範囲および意味も、その用語が使用される特定の文脈から明らかになるであろう。そのようなものとして、ここで記載される定義は、特定の組成物または生物系に対する限定なしに、本発明の具体的な実施形態を確かめる例示的な手引きを与えることを意図している。本発明および特許請求の範囲で使用されるとき、単数形態「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈が明瞭にそうではないと指示しない限り複数形態を含む。
【0027】
本明細書で使用されるとき、「ほぼ(about)」および「約(approximately)」は一般に、測定値の性質または正確性が与えられたときの、測定された量に対する誤差の許容可能な程度を指す。通常、誤差の例示的な度合いは、値の与えられた値または範囲の20%、10%または5%であることができる。別法として、かつ特に生物系では、用語「ほぼ」および「約」は、大きさのある程度内の、潜在的に、与えられた値の5倍または2倍内の平均値であることができる。ここで与えられる数字的な量は、そうではないと提示されない限りおおよそであり、明示的に提示されないときの用語「ほぼ」および「約」は推定される。
【0028】
本明細書で一般的に使用されるとき、「汚染物質」はガス、蒸気、液体流体または溶体内の任意の所望されない物質を示すことができる。「汚染物質」は、限定ではなく、鉛、ニッケル、水銀、銅等の重金属;多環芳香族(polyaromatic);ハロゲン化された多環芳香族;鉱物;ビタミン;腸内ウイルス(ポリオ、コクサッキー、エコーウイルス、肝炎、カルシウイルス(calcivirus)、アストロウイルス(astroviru))、ロタウイルスおよび他のレオウイルス、アデノウイルスノーウォーク因子、スノーマウンテンエージェント(Snow Mountain agent)、菌類(例えば、糸状菌および酵母)などの、ウイルスを含む微生物または細菌(ならびに、嚢胞(cyst)および胞子(spore)を含む、微生物の生殖の形態);蠕虫(helminth);(サルモネラ、赤痢菌、エルシニア、糞便性大腸菌(fecal coliform)、マイコバクテリア、エンテロコリチカ菌(enterocoiitica)、大腸菌、カンピロバクター菌、セラチア菌(Serratia)、連鎖球菌(Streptococcus)、レジオネラ、コレラを含む)バクテリア;鞭毛虫;アメーバ(amoeba);クリプトスポリジウム、ジアルジア、他の原虫;プリオン;蛋白質および核酸;(アクリルアミド(acrylamide)、アラコロール(alacholor)、アトラジン、ベンゼン、ベンゾピレン、カルボフラン(carbfuran),四塩化炭素,クロルデン(chlordane)、クロロベンゼン、2,4−D、ダラポン(dalapon)、ダイクォット(diquat)、o−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエチレン、シス−1,2−ジクロロエチレン(cis-1,2-dichloroethylene)などの)有機化学品を含む殺虫剤および他の農薬、(アンチモン、ヒ素、アスベスト、バリウム、ベリリウム、カドミウム、クロム、銅、シアン化物、フッ化物、鉛、水銀、硝酸塩、セレン、タリウム、ジクロロプロパン(dichloropropane)、1,2−ジクロロプロパン、アジピン酸ジエチルヘキシル(di(2-thylhexyl) adipate)、フタル酸ジエチルへキシル(di(2-ethylhexyl)phthalate)、ジノセブ(dinoseb)、ダイオキシン、1,2−ジブロモ−3−クロロプロパン(1,2-diobromo-3-chloropropane)、エンドタール(endothall)、エンドリン(endrin)、エピクロルヒドリン(epichorohydrin)、エチルベンゼン(thylbenzene)、二臭化エチレン(ethylene dibromide)、ヘプタクロル(heptachlor)、ヘプタクロルエポキシド(heptachlor epoxide)、ヘキサクロロベンゼン、ヘキサクロロシクロペンタジエン(hexachlorocyclopentadiene)、リンデン(lindane),メトキシクロル(methoxychlor),オキサミル(oxamyl),ポリ塩化ビフェニル(polychlorinated biphenyls),ペンタクロロフェノール(pentachlorophenol),ピクロラム(picloram),シマジン(simazine),テトラクロロエチレン(tetrachloroethylene),トルエン,トキサフェン(toxaphene),2,4,5−TP、1,2,4トリクロロベンゼン(1,2,4-trichlorobenzene),1,1,1−トリクロロエタン(1,1,1-trichloroethane),1,1,2−トリクロロエタン(1,1,2-trichloroethane),トリクロロエチレン(thrichloroethylene),塩化ビニル(vinyl chloride), キシレン(xylenes)などの)無機化学品;ハロゲン化有機化学品;放射性同位元素;いくつかの多価溶解塩(polyvalent dissolved salts);ならびに他の残骸が含まれる。
【0029】
ここで一般的に使用されるとき、「対数減少値(log reduction value)」は、流入液体内の汚染物質のレベル(通常微生物の数)を本発明に包含されるフィルタ媒体の流出液体内の汚染物質のレベル(通常、微生物の数)で割ったlog10を示す。例えば、汚染物質のlog4削減は、汚染物質の>99.99%の削減であり、一方汚染物質のlog5削減は、汚染物質の>99.999%の削減である。少なくとも1つの実施形態では、本発明は、潜在的にウイルスを含むほとんどの微生物の、少なくともlog4からlog5、log5からlog6、またはlog6からlog7の殺菌または除去を示すことができる、方法および装置またはシステムを含む。少なくとも1つの実施形態では、本発明は、潜在的にウイルスを含むほとんどの微生物の、少なくともlog7からlog8の殺菌または除去を示すことができる。少なくとも1つの実施形態では、本発明は、潜在的にウイルスを含むほとんどの微生物の、少なくともlog8からlog9の殺菌または除去を示すことができる。
【0030】
ここで一般的に使用されるとき、「汚染物質を除去する」または「汚染物質を減少させる」は、物理的にもしくは化学的に汚染物質を除去し、減少させ、不活性化すること、あるいはそうではなく1つもしくは複数の汚染物質を無害にすることのいずれかによって、流体中の1つまたは複数の汚染物質を無力化することを指す。その上、本開示はさらに、特定の実施形態が1つもしくは複数の汚染物質を除去するが、特に1つもしくは複数の種類、群、カテゴリーまたは特別に特定される汚染物質も同様に除外する、いくつかの態様も想定する。例えば、いくつかの態様では、「汚染物質を除去する」は、1つまたは複数の汚染物質を含むことができ、ただ1つの特定の汚染物質を含むことができ、または特に1つもしくは複数の汚染物質を除外することができる。
【0031】
本明細書で一般的に使用されるとき、「吸着媒体」は、少なくとも1つの汚染物質を吸収または吸着する材料を指す。一般に「吸収剤(absorbent)」は、汚染物質を含む物質をその表面内または構造体内に引き寄せる能力のある材料を含み、一方「吸着剤(adsorbent)」は、潜在的にファンデルワールス力によって、汚染物質を含む物質をその表面上に物理的に保持する能力がある材料を含む。
【0032】
ある態様では、1つまたは複数のフィルタ媒体構成部品は、媒体構成部品を一緒に保持する結合材(binders)、母材(matrices)または他の材料を利用して動かないようにすることができる。結合材および/または母材のいくつかの例には、限定ではなく、粉体のポリエチレン、末端をキャップしたポリアセタール(end-capped polyacetals)、アクリル重合体、フッ化炭素重合体、ペルフルオロエチレン−プロピレン共重合体(perfluorinated ethylene-propylene copolymer)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ethylene-tetrafluoroethylene copolymer)、ポリアミド、ポリフッ化ビニル(polyvinyl fluoride)、ポリアラミド、ポリアリールスルフォン(polyaryl sulfone)、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアリールスルファイド(polyaryl sulfides)、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリプロピレンの重合体マイクロファイバ(polymeric microfibers of polypropylene)、セルロース、ナイロン、または任意のそれらの組み合わせが含まれる。これらの例のうちのいくつかは、米国特許第4,828,698号および第6,959,820号にみることができ、それらの両方は参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
【0033】
(汚染物質吸着媒体)
本発明は、1つまたは複数の汚染物質吸着媒体および1つまたは複数のハロゲン化樹脂を供えるフィルタ媒体、装置、システムおよびキットに関する。いくつかの実施形態では、本発明は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10の、12の、15の、20の、50の、100またはそれより多い汚染物質吸着媒体に関する。ある態様では、複数の汚染物質吸着媒体が含まれる場合、同じまたは複数の異なる汚染物質吸着媒体が互いに対して考慮される。ある態様では、複数の汚染物質吸着媒体が含まれる場合、いくつかの媒体は同じであり他は異なることができる。複数の汚染物質吸着媒体は、物理的にまたは化学的に互いに分離させることができ、あるいはそれらは物理的にまたは化学的に互いに結合することができる。したがって、このフィルタ媒体は、いくつかが同じ媒体を、他は異なる汚染物質吸着媒体を使用する多層を有することができる。
【0034】
ハロゲン、特に塩素およびヨウ素は抗菌物質として効果的に機能するので、流体浄化媒体内に1つまたは複数のハロゲン化樹脂を含むのが望ましい。しかしながら、ほとんどのハロゲンは流体に不快な味わいを加えるので、細菌がなくされた後、実質的に全てのハロゲンを除去するのが望ましい。いくつかの例では、流体の貯蔵、輸送および/または分配中に細菌の成長を遅れさせるまたは阻止するために1つまたは複数のハロゲンの少量を流体中に保持するのが望ましい場合がある。
【0035】
この汚染物質吸着媒体は、少なくとも1つの汚染物質および/または少なくとも1つのハロゲンを吸収または吸着するのに用いられ、この分野で知られているまたは知られていない任意の材料を含むことができる。一般に、ただし常にではないが、吸収は細孔サイズろ過を介して起きる、一方、吸着は電気化学的電荷ろ過を介して起きる。そのような材料は、限定ではなく、(ガラス、セラミック、木材、合成布繊維、金属ファイバ、重合体ファイバ、ナイロンファイバ、リオセル(lyocell)ファイバ、等などの)有機または無機マイクロファイバまたはマイクロ微粒子;重合体;イオン性または非イオン性材料;セラミック;ガラス;セルロース;(セルロース燐酸塩またはジエチルアミノエチル(diethyl aminoethyl)(DEAE)セルロースなどの)セルロース派生品;レーヨン、ナイロン、綿、ウールまたは絹などの織物;金属;活性化アルミナ;炭素または活性炭;シリカ;ゼオライト;珪藻土;粘土;沈殿物;カオリン;砂;ローム;活性化ボーキサイト、カルシウムヒドロキシアパタイト;人工のまたは天然の膜;ナノセラミックベースの材料;(ArgonideによるNanoCeram(登録商標)などの−例えば、本明細書によって参照によりその全体が組み込まれている米国特許第6,838,005号、またはGeneral EcologyによるStructured Matrix(商標)−例えば、本明細書によって参照によりその全体が組み込まれているGerba and Naranjo,Wilderness Env.Med.,11,12−16(2000)参照などの)ナノアルミナ繊維;陰イオン交換樹脂、かつより具体的には本明細書によって参照によりその全体が組み込まれている米国特許第5,624,567号に記載されるような、lodosorb(登録商標)などの強塩基性陰イオン交換樹脂を含むイオン交換樹脂を含むことができる。
【0036】
簡単に言えば、ときにはヨウ素洗浄機と呼ばれるlodosorb(登録商標)は、各々が3から8個の炭素原子を含むアルキル基から構成される、ヨウ素またはヨウ化物を含むハロゲンを水溶液から除去する能力のあるトリアルキルアミン(trialkyl amine)基を含む。
【0037】
一例では、本明細書によって参照によりその全体が組み込まれている米国特許第6,838,005号に記載されるNanoCeram(登録商標)などの、流体から汚染物質を捉えるのを助ける動電学的力を利用するナノサイズの電気陽性ファイバを、吸着材料として使用することができる。例えば、フィルタ媒体および微粒子または汚染物質の静電荷が逆である場合、静電引力は、媒体表面上への汚染物質の堆積および保持を容易にするであろう。しかしながら、電荷が同じような場合、斥力が起きるであろう。フィルタの表面電荷はpHおよびろ過される流体の電解質濃度の変更によって変えることができる。例えば、pHを低下させ、または陽イオンの塩を加えることによって、電気陰性度を減少させいくらかの吸着が起きるのを可能にする。ほとんどの水道水が5〜9の間のpH範囲を有するので、酸および/または塩を加えることが電気陰性フィルタによってウイルスを除去するためにしばしば必要になる。
【0038】
簡単に言えば、NanoCeram(登録商標)ファイバは、直径で約2ナノメートルで、200から650m/gの範囲の表面積を有する、高度に電気陽性なアルミニウム水酸化物またはアルミナファイバを備える。NanoCeram(登録商標)のナノファイバが水中に分散されるとき、それらは、シリカ、有機物質、金属、DNA、バクテリア、コロイド粒子、ウイルス、および他の残骸などを含む電気陰性粒子および汚染物質に付着しかつそれらを保持することができる。ファイバそれ自体に加え、このファイバは、ガラスファイバおよび/または他のファイバにこのファイバを分散させるかつ/またはそれらを接着させることによって2次吸着媒体にすることもできる。その混合物を加工して不織フィルタを作ることができる。NanoCeram(登録商標)の特徴のいくつかは、超多孔質の膜より10から100倍大きな流量を含み、サイズではなく電荷による捕捉に起因してより高い保持作用を有し、>99.96%より大きなエンドトキシン(endotoxin)除去、>99.5%より大きなDNA除去、および>99.995%より大きなマイクロメートルサイズの粒子に対するろ過効率を含む。
【0039】
その上、細かい微小孔性の構造に形成される高い表面積材料は、高められた汚染物質捕捉を得るために、水溶性の高分子量陽イオン重合体とハロゲン化銀複合体(silver halide complex)で処理することができ、本発明で考慮されている。(例えば、本明細書によって参照によりその全体が組み込まれている、Koslow,Water Cond.&Purif.,2004参照)。そのような材料は、可変イオン強度(1価、2価および3価のイオン)、水温およびpHの変化に対しより耐用性があることができる。しかしながら、この種類のファイバの性能はフィルタ装置の流速、流体のファイバとの接触時間、フィルタ媒体の孔のサイズおよび(動電学的電位とも呼ばれる)正のゼータ電位(positive zeta potential)の存在によって決まる可能性がある。
【0040】
開示された吸着および/または吸収材料の例のどれも、別の材料の基質内に結合しまたは巻き込み、それによって組み合わされた材料または膜を形成することができる。
少なくとも1つの実施形態では、汚染物質吸着媒体は炭素および/または活性炭を備える。活性炭は、任意の形状または形態(例えば、それはペレット、粒状または粉末形態であることができる)を備え、(特に褐炭(lignite)または瀝青炭(bituminous)の)石炭、木材、おがくず、またはココナツ殻などの任意の受け入れ可能な根源物質に基づくことができる。活性炭は、ANSI/NSF基準61およびISO9002に対して認証されることができ、かつ/または米国食品用公定化学品集(U.S. Food Chemical Codex)の要求を満足させることができる。
【0041】
活性炭は、炭素源によって変わる可能性のある、吸収および/または吸着特性を有することができる。一般に、活性炭表面は非極性であり、それが結果として有機化学品などの非極性吸着質(non-polar adsorbate)に対する親和性になる。全ての吸着特性は、平衡点によって示される飽和を伴う(ファンデルワールス力などの)物理的な力に頼っている。吸着特性の物理的な性質に起因して、吸着の過程は(熱、圧力、pHの変化等を使用して)逆転可能である。活性炭も化学吸着可能であり、それによって炭素界面で化学反応が起き、(例えば、水の脱塩素によって)吸着質の状態を変化させる。一般に、吸着能力は(活性化の程度によって決まる)表面積に比例し、より低い温度は一般に(粘性のある液体の場合を除き)吸着能力を増加させる。同様に吸着能力は、(通常より低いpHの)吸着質の溶解度を減少させるpH条件の下で増加する。全ての吸着特性についてのように、活性炭との十分な接触時間が、吸着平衡に到着させかつ吸着効率を最大限にするために必要とされる。
【0042】
少なくとも1つの実施形態では、1つまたは複数の汚染物質吸着媒体は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている米国特許第5,492,882号に記載されているように呼吸装置または他の流体浄化機器での多目的使用のための含浸された粒状の活性炭である、Universal Respirator Carbon (URC(登録商標))を備える。URCは、適切な結合剤で結合された瀝青炭から構成され、高温蒸気活性化によって厳しい条件の下で製造され、銅、亜鉛、硫酸アンモニウム(ammonium sulfate)および2モリブデン酸アンモニウム(ammonium dimolybdate)の制御された組成物で含浸される(クロムを全く使用しないので廃棄が簡単である)。
【0043】
一実施形態では、KX炭素を1つまたは複数の種類の汚染物質吸着媒体として使用することができる。KX炭素は、成型可能な、炭素とKevlar(登録商標)の混合物であり、流体がその表面上を通過するとき流体から汚染物質を捕捉しまたはそれを保持することができる。本明細書で開示される機器または装置で使用することができる別の汚染物質吸着媒体には、登録商標の「structured matrix」を含むGeneral Ecology(登録商標)炭素が含まれる。
【0044】
少なくとも1つの態様では、活性炭または活性化アルミナは、別の物質で含浸される。少なくとも1つの態様では、活性炭はどのような他の物質によっても含浸されない。いくつかの適切な物質には、硫酸、モリブデン、トリエチレンジアミン(triethylenediamine)、銅、亜鉛、硫酸アンモニウム、コバルト、クロム、銀、バナジウム、2モリブデン酸アンモニウム、Kevlar(登録商標)、もしくはその他、またはそれらの組み合わせが含まれる。ろ過システムに使用される活性炭のこれらの例は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている米国特許第3,355,317号、第2,920,050号、第5,714,126号、第5,063,196号、および第5,492,882号に記載されている。
【0045】
(ハロゲン化樹脂)
本発明はさらにハロゲン化樹脂に関する。少なくとも1つの実施形態では、このハロゲン化樹脂は塩素、臭素またはヨウ素を含む。少なくとも1つの実施形態では、このハロゲン化樹脂はヨウ化樹脂を含む。少なくとも1つの実施形態では、このハロゲン化樹脂は、低残留ヨウ化樹脂などの、「低残留(low-residual)」樹脂を含む。
【0046】
少なくとも1つの実施形態では、このヨウ化樹脂は、Microbial Check ValveすなわちMCV(登録商標)樹脂を備える。簡単に言えば、このMCV(登録商標)Resinは、1970年代からスペースシャトル飛行船内でNASAによって使用されてきている。このMCV(登録商標)樹脂は、ポリスチレンジビニルベンゼン共重合体(polystyrenedivinylbenzene copolymer)の第4級アミン(quaternary amine)固定陽電荷に結合される、ポリヨウ化物陰イオン(polyiodide anion)のヨウ化強塩基性イオン交換樹脂(iodinated strong base ion exchange resin)を含む。ポリヨウ化物陰イオンは、水溶液内の過剰なヨウ素の存在中で形成され、したがって、結合されたポリヨウ化物陰イオンは水中にヨウ素を放出する。MCV(登録商標)樹脂を通過して流れる水は、細菌の殺菌ならびに貯蔵および/または分配ユニット内の生物膜の堆積を減少させる約0.5〜4.0mg/Lの間の範囲の残留ヨウ素を実現する。
【0047】
MCV(登録商標)樹脂は汚染された水にあるバクテリアの99.9999%(log6殺菌)とウイルスの99.99%(log4殺菌)以上を一貫して殺す。その上、再生MCV(RMCV)と呼ばれる交換カートリッジが開発されてきている。このRCMVは、枯渇したMCV(登録商標)樹脂を補充するために使用される飽和した水溶液を製造するために、結晶化元素状ヨウ素の充填層を利用する。試験は、RCMVが100回より多く再生できることを示してきている。再生システムの使用はヨウ素分配システムを作動させる全体コストを減少させ、塩素と関連する危険性をなくす。
【0048】
したがって、少なくとも1つの実施形態では、本発明のフィルタ媒体は1つまたは複数のハロゲン化樹脂および1つまたは複数の汚染物質吸着媒体を備え、少なくとも1つの汚染物質吸着媒体は炭素、少なくとも1つのハロゲン化樹脂は(MCV(登録商標)などの)ヨウ化樹脂を備える。少なくとも1つの実施形態では、このフィルタ媒体は、(lodosorb(登録商標)などの)陰イオン交換塩基性樹脂を備える。少なくとも1つの実施形態では、このフィルタ媒体は、(NanoCeram(登録商標)などの)ナノアルミナ繊維をさらに備える。
【0049】
ヨウ化樹脂を含めて、ハロゲン化樹脂を作る多くの知られた方法が存在する。例えば、それら全てが参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、米国特許第5,980,827号、第6,899,868号、第6,696,055号は、空気および水などの流体の浄化のためのハロゲン化されたまたは強塩基性の陰イオン交換樹脂を作る方法を含む。簡単に言えば、ヨウ化樹脂を作るための例には、塩の形態の多孔質強塩基性陰イオン交換樹脂を、この陰イオン交換樹脂がヨウ化物質を吸収し陰イオン交換樹脂をヨウ化樹脂に変換させるように、陰イオン交換樹脂によって吸収可能な十分な量のヨウ化物質と反応させることを含む。必要な場合、ヨウ化樹脂反応は、高温かつ/または高圧環境で行うことができる。同様なやり方で、臭素化樹脂、塩素化樹脂等を含むハロゲン化樹脂を同様な方法によって準備することができる。
【0050】
当業者が理解するように、樹脂からのハロゲン放出は、流出pH、温度、流量ならびに(全溶解固体または沈殿物の量を含む、汚染のレベルなどの)流体の特性により決まる場合があるが、それは従来型のフィルタよりずっと少ない。本明細書で使用されるとき、一般に熟語「低残留」ハロゲン化樹脂は、「古典的な」ハロゲン化樹脂より十分に低いレベルのハロゲン放出量を有する。一例では、脱イオン水については、「古典的な」樹脂からのヨウ素放出は約4ppmであり、一方「低残留」ヨウ化樹脂からのヨウ素放出は約1ppm、0.5ppm、0.2ppmまたはそれより少なくすることができる。
【0051】
(装置および/またはシステムハウジング)
本発明は、流体から汚染物質を除去するための装置およびシステムにも関する。本発明の「多重バリア」フィルタ媒体、装置およびシステムは、各々が別個の機能もしくは複数の機能を果たす媒体組成物および機構を単一の機器内に組み合わせることによって、またはいくつかの別々の機器を直列で、もしくは並列で使用することによって実施することができる。ある態様では、このフィルタ媒体は、ハウジングまたはカートリッジ内に収容される。このハウジングまたはカートリッジは、通常そのような流体浄化機器に対し使用される任意の知られた組成から作ることができる。特に、このハウジングは、(ポリエチレン、ポリビニルカーボネート(polyvinyl carbonate)、ポリプロピレン、ポリスチレン等を含む)プラスチック、木材、(ステンレス鋼を含む)金属、織物、ガラス、シリコーン、(織られたまたは不織の)繊維、(ポリビニリデンジフルオライド(polyvinylidene difluoride)(PVDF)、ポリオレフィン、アクリル、またはシリコーンなどの)重合体またはそれらの任意の組み合わせを備えることができる。その上ハウジングは、(抗バクテリアまたは抗真菌物質を含む)抗菌物質;ポリテトラフルオロエチレン(Teflon(登録商標));(シリコーンなどの)重合体;プラスチック;または他の物質を含む、1つまたは複数の物質で任意の表面上を塗布することができる。
【0052】
ある態様では、この流体浄化媒体は廃棄可能であることができ、一方外側ハウジングは新たな交換媒体で再使用される。別の態様では、流体浄化媒体およびハウジングそれ自体の両方が廃棄可能であり、または再使用可能である。本明細書で開示される任意の実施形態は、浄化目標および/または必要な構成部品の製造の容易さならびに任意の再使用構成部品で浄化された流体を維持する能力に応じて、完全に廃棄可能である、もしくは再使用可能である、またはある特定の構成部品が廃棄可能であり他の構成部品が再使用可能であることを理解されたい。ある態様では本発明は、流体から汚染物質を除去するための装置に関する。少なくとも1つの実施形態では、この装置は入口、出口、1つまたは複数のハロゲン化樹脂、および1つまたは複数の汚染物質吸着媒体を備える。少なくとも1つの実施形態では、入口および出口は、フィルタ媒体を通過する流体が一方方向に流れるような流体通路を画定する。
【0053】
図1、2および7は、それぞれ本発明の流体浄化機器100、200、700の図示される実施形態を示し、流体はそれぞれ装置の流入開口部101、201、701内に流れ込み、フィルタ媒体を通過し、浄化された流体の少なくともいくらかがそれぞれ流出開口部107,206,707から出てくる。
【0054】
少なくとも1つの実施形態では、このフィルタ媒体は1つまたは複数の汚染物質吸着媒体102、104〜106、202、204、205、702、704〜706を備える。図示の一実施形態では、少なくとも1つの汚染物質吸着媒体は、粒状の活性炭102、106、205、702、706を備える。少なくとも1つの図示の実施形態では、少なくとも1つの汚染物質吸着媒体は瀝青炭ベースの粒状活性炭702を備える。図示の一実施形態では、少なくとも1つの汚染物質吸着媒体は、NanoCeram(登録商標)104、204、705などのナノセラミック材料を備える。図示の一実施形態では、少なくとも1つの汚染物質吸着媒体は、lodosorb(登録商標)105、202、704などの、ハロゲン除去媒体を備える。少なくとも1つの実施形態では、この流体フィルタ媒体は1つまたは複数のハロゲン化樹脂を備える。図示の一実施形態では、少なくとも1つのハロゲン化樹脂は、Microbial Check Valve樹脂103、203、703などのヨウ化樹脂である。少なくとも1つの実施形態では、少なくとも1つの汚染物質吸着媒体は、Argonide NanoCeram(登録商標)、KX炭素、またはGeneral Ecology(登録商標)炭素を備える。
【0055】
このろ過媒体は、板、フィルム、ブロック、またはアコーディオン形式または扇形式カートリッジを含む、任意の形状または形式に形成することができる。この媒体構成部品は、流体浄化目標を満足させるために、標準の従来型ハウジング内に収容し、あるいは任意の他の所望の形式に形成されていてもよい。その上当業者は、ミクロ細孔サイズおよび媒体の物理的な寸法を、所望の用途、ならびに流量、背圧、流体のフィルタ媒体との接触時間、必要とされるろ過のレベル等などの他の変化に対して変更することができることを理解するであろう。その上、媒体構成部品が内蔵式のユニット内にある場合は、この構成部品は本明細書でリストに挙げられた任意の材料を備えるチャンバまたは壁によって外部ハウジング、または別の材料に対して分離することができる。この媒体構成部品は、機器内で水平にまたは垂直に積み重ね、同軸に配置し、または任意の他の形式で配置することができる。
【0056】
図7に示すように、一実施形態は、「多重バリア」流体浄化媒体が装置ハウジング内に同軸に配置される装置を含む。流体が(粒状炭素、ヨウ化樹脂、およびヨウ素洗浄器の様々な層などの)汚染物質吸着媒体の多重層を通過するとき、流体内に存在するどのような汚染物質も除去するかつ/または無害にするために大きな表面積が使用可能である。いくつかの実施形態では、空間を有効に使用し、かつ比較的小さなハウジング内に収容される流体浄化のために使用可能な大きな表面積を有することは有利である。したがって、流体浄化媒体を螺旋に、同心円に、またはジグザグな扇形式に配置することは、小さなハウジング内での効率的な流体浄化を提供可能であり、空間の効率的使用を支持する携帯式浄化機器もしくはシステムまたは他の状況に便利である。
【0057】
ある態様では、1つまたは複数のフィルタ媒体は、ミクロ細孔構造体を備える。当業者が理解するように、ミクロ細孔のサイズは、媒体が効率的にかつ一貫して捕捉することができる微粒子または汚染物質の直径にしたがって測定される。ミクロ細孔サイズは、公称値または絶対値として定義される。公称孔サイズ定格は、定格の孔サイズおよびそれより(60〜90%)大きなところでの粒子の大多数を保持するためのフィルタの能力を表現し、一方絶対孔サイズ定格は、厳密に定義される試験条件の下で特定サイズの誘発有機体(challenge organism)が99.9%の効率で保持されるであろう孔サイズを表現する。
【0058】
ある態様では、このミクロ細孔フィルタは、約50マイクロメートルから約200マイクロメートルの範囲内の絶対孔定格を有する。ある実施形態では、このミクロ細孔フィルタは、約10マイクロメートルから約50マイクロメートルの範囲内の絶対孔定格を有する。ある態様では、このミクロ細孔フィルタは、約1マイクロメートルから約10マイクロメートルの範囲内の絶対孔定格を有する。ある態様では、このミクロ細孔フィルタは、約0.01マイクロメートルから約1.0マイクロメートルの範囲内の絶対孔定格を有する。当業者が理解するであろうように、フィルタ媒体内に使用される複数の材料は、異なる孔サイズまたは同じ孔サイズを有することができる。
【0059】
ある態様では、このミクロ細孔構造体は、約5マイクロメートルより小さな、約4マイクロメートルより小さな、約3マイクロメートルより小さな、約2マイクロメートルより小さな、約1マイクロメートルより小さな、あるいはそれらの間の任意の値の平均流れ通路を有する。ある態様では、このミクロ細孔構造体は、約0.9マイクロメートル、約0.8マイクロメートル、約0.7マイクロメートル、約0.6マイクロメートル、約0.5マイクロメートル、約0.4マイクロメートル、約0.3マイクロメートル、約0.2マイクロメートル、約0.1マイクロメートルより小さな、あるいはそれらより小さなまたはそれらの間の任意の値の平均流路を有する。
【0060】
ある態様では、本発明は1つまたは複数のハロゲン化樹脂および1つまたは複数の汚染物質吸着媒体を含むフィルタ媒体を備える装置に関する。ある実施形態では、1つまたは複数の媒体構成部品の表面積を増加させる、かつ/または流体が1つもしくは複数の媒体構成部品と接触している時間の量を増加させることによってフィルタ媒体の効率を増加させることが望ましい場合がある。表面積および/もしくは流体との接触時間を増加させることは、(層を螺旋、アコーディオン形式、プリーツもしくは他の多重層形式に作るなどの)形式を増加させること、ならびに/または各フィルタ媒体構成部品用の層の数を増加させること、かつ/または異なる媒体構成部品の種類数を増加させること、またはそれらの任意の組み合わせによって達成することができる。
【0061】
ある態様では、本発明は使用点(point-of-use)(POU)流体もしくは入口点(point-of-entry)(POE)流体の処理装置またはシステムであることができる。水浄化を含むPOU/POE流体処理は、それを調理台、冷蔵庫または他のユニットとして水道水のさらなる処理のために使用することもできるが、いつも水を(湖、川および小川などの)未処理源から得ているであろう任意の人によって使用され得るような内蔵型ユニットを通常備える。POU/POE処理は、キャンパー、ハイカー、兵士や、地震、ハリケーンおよび洪水などの緊急状況での使用、ならびに処理されたまたは浄化された水を入手できない可能性のある(非工業国家に住む人たちを含む)田舎または過疎地域に住んでいる人たちに対し重要である。
【0062】
ある態様では、本発明のフィルタ媒体の実質的に全ての構成部品は、単一のハウジングユニット内に収容される(図1、2、7参照)。少なくとも1つの実施形態では、この装置は全体的に使用者によって作動される。例えばこの装置は、手持ち式ポンプ、もしくは、流体を浄化機器内に吸引し、かつ浄化機器を通過させるためにチューブ導管または「飲用ストロー(drinking straw)」100、700型式を吸う使用者によって引かれる真空圧力によって供給される外力を利用する携帯式浄化機器を備えることができる。水浄化機器用のそのような形式のいくつかの例は、米国特許第4,828,698号、第4,995,976号に見ることができる。簡単に言えば、この種類の水浄化機器の一例は、ハウジング内で液体流路内に配設される概して円筒形のフィルタ配置と、流体がフィルタを通過して流れるとき流体から汚染物質を除去する微少繊維フィルタとを有する、内蔵型浄化ユニットを含む。しかしながら、現行の「飲用ストロー」形式フィルタは、いくつかの汚染微生物の不適切な除去に苦しんでいる。
【0063】
ある態様では本発明は、本明細書で説明したようなフィルタ媒体、浄化された流体を収集するためのこのフィルタ媒体と流体連通する貯蔵器、および浄化された流体を分配するための手段を備える、流体を浄化し、貯蔵しかつ/または分配するためのろ過システムに関する。(図3、4参照)。少なくとも1つの実施形態では、本発明は浄化前の流体を保持するための追加の貯蔵器をさらに備え、この貯蔵器は流体を浄化するのに使用されるフィルタ媒体と常に流体的に連結していることも、していないこともできる。したがって、本発明のある態様では、このろ過システムは浄化することが望まれる流体を保持するための第1の貯蔵器、1つまたは複数のハロゲン化樹脂および1つまたは複数の汚染物質吸着媒体を含むフィルタ媒体、浄化された水を保持するための第2の貯蔵器、ならびに任意選択で浄化された流体を分配するための手段を備えることができる。
【0064】
図3および4は、浄化されていないまたは汚染された水などの流体が井戸または貯蔵容器301から、あるいは川401などの地表水源から導管によって輸送される、流体浄化システム300、400の実施形態をそれぞれ示す。次いでこの水は、流体浄化装置またはシステム302、402によって処理または浄化され、引き続き消費者305、405に導管304、404によって分配される前に、任意選択で貯蔵タンク303、403に輸送される。
【0065】
貯蔵器の容量は、フィルタ媒体のろ過容量に依存することも、または無関係であることもできる。したがって、(携帯式水浄化システムのためなどの)ある実施形態では、小さな貯蔵タンクで十分であり、一方(村または地域社会用の浄化水を貯蔵するためなどの)他のある実施形態では、より大きな貯蔵タンクが必要とされる。ある態様では、この貯蔵タンクは、流体の充填に引き続きかつ流体の浄化の前に、ならびに/または流体の浄化に引き続きかつ流体の分配前に、輸送することができる。
【0066】
(方法)
図5に図示される方法500は、浄化される予定の少なくとも1つの流体を装置502の流入受け端部に導入することによって開始する。この少なくとも1つの流体は装置内に引き込まれ、フィルタ媒体504と接触する。別の実施形態では、この流体はある量の外力を加えることによって装置内に引き込まれる。この外力は、流体のもしくは流体を取り囲む自然の圧力に起因することができ、または真空によるなどの、流体に加えられる圧力であることができる。この外力は、流体を装置の流出開口部に向かって導くように動作する、機械的、電気的、または熱的に加えられる外力を含む、任意の力の組み合わせであることができる。最後に、少なくともいくつかの浄化された流体が、ある量の外力を装置内の少なくともいくつかの流体に加えることによって、装置の流出開口部から分配される。
【0067】
例えば、装置もしくはシステム内の流体に加えられる外力は、手持ち式ポンプ、電気式ポンプ、機械式ポンプ、蠕動式ポンプの使用から結果として生じることができ、またはそれは、口で装置内に流体を引き込む、もしくは装置内の流体を吹き出させるための使用者の能力によって発生する圧力を含むことができる。
【0068】
(キット)
本発明は、本明細書で記載される任意の組成物、装置、システムおよび/または方法に関連するキットをさらに提供する。
【0069】
[実施例]
以下の実施例は、本発明のさらなる説明として、かついかなる限定することなく提供される。この出願全体を通して引用される全ての参考文献、特許および公開された特許出願、ならびに図面の教示は、参照により本明細書に組み込まれている。
【実施例1】
【0070】
本発明の一実施形態を示す流体ろ過システム600(図6参照)が、浄化されていない流体から汚染物質を除去するその能力について試験された。具体的には、浄化されていない水がシステムの流入開口部601に導入され、MCV(登録商標)ヨウ化樹脂カラム602(約5.5mL)と接触させられ、引き続きNanoCeram(登録商標)ナノアルミナ繊維材料604を通過し、流出開口部605を通って分配された。汚染物質に対する試験は、MCV(登録商標)カラムとの接触に引き続き、場所603のところで、ならびにNanoCeram(登録商標)材料に引き続き、場所605のところで行われた。システムを通る流れは、開始時に20mL/分であった。この試験の結果は表1および表2に示され、ここではMS2または大腸菌汚染物質の検出可能な破過(breakthrough)は全く起きなかった。SP1は場所603のところでの試験を示し、一方SP2は場所605のところでの試験を示す。
【0071】
【表1】

【0072】
【表2】

【実施例2】
【0073】
Argonideフィルタ単独で行われた別個の試験では、MS2および大腸菌両方の突破が、約2.75リットルの水が単一のフィルタ装置を通過した後起きた。Argonideフィルタ単独試験の結果を表3および表4に示す。
【0074】
【表3】

【0075】
【表4】

【実施例3】
【0076】
図6に示すようなものと同様なマニホールドがこれらの試験に使用された。しかしながら、20mLのLR−1ヨウ化樹脂が5.5Lの「古典的な」MCVの代わりに使用された。
【0077】
表5に、使用されたバリア(LR−1→低残留ヨウ化樹脂;膜→NanoCeram(登録商標)Argonide; LR−1+膜→直列の2つのバリアの組み合わせ)の関数としての微生物学的な不活性化を要約する。
【0078】
【表5】

【0079】
表6は、誘発溶液流量の関数としての、LR−1/膜の組み合わせならびに膜およびLR−1の各々それ自体で得られたMS2の不活性化を比較する。
【0080】
【表6】

【実施例4】
【0081】
図7に示すような別の実施形態では、汚染水は入口を通り入り、瀝青炭ベースのGACを通過する。この第1のGAC層は、流入水内に存在する可能性のある、特にヨウ素酸化可能な有機化学種を吸収することができる。
【0082】
GACを通過した後、水は円筒の「外側」部分に同軸に配置される網目スクリーンを通過し続ける。次いで水は、バクテリア/ウイルス吸着カートリッジ(例えば、Argonide NanoCeram(登録商標)材料、新しいKX炭素、General Ecology炭素、等)の外側に詰め込まれた(LR−1)MCV樹脂と接触する。この水は、フィルタを通り移動するとき、吸収表面、例えばNanoCeram(登録商標)も通過する。ヨウ化樹脂の作用によって殺されない微生物および/または嚢胞は、この吸着表面上に保持される。
【0083】
(均等物)
当業者は、常套の実験に過ぎないものを使用して、本明細書に記載された特定の方法および試薬に対する、代替物、変形形態、付加、削除、改変および置き換えを含む多数の均等物を理解し、あるいは確認することができるであろう。そのような均等物は、本発明の範囲内であると見なされ、添付の特許請求の範囲によって包含される。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】図示の一実施形態による、「飲用ストロー(drinking straw)」形式の流体浄化装置の横断面図である。
【図2】図示の一実施形態による、ハウジング内の内蔵型流体浄化装置の横断面図である。
【図3】図示の一実施形態による、貯蔵された水を流体源として利用する流体浄化システムの概略図である。
【図4】図示の一実施形態による、流水を流体源として利用する流体浄化システムの概略図である。
【図5】図示の一実施形態による、少なくとも1つの流体から汚染物質を除去するために流体浄化装置を使用する方法を示すフローチャートである。
【図6】図示の一実施形態による、2つの別々のフィルタ媒体構成部品が直列になっている流体浄化システムの概略図である。
【図7】より小さな尺度の「飲用ストロー」形式の、またはより大きな尺度の浄化装置を含むことができる、図示の一実施形態による内蔵型流体浄化装置の横断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数のハロゲン化樹脂および1つまたは複数の汚染物質吸着媒体を備え、流体から汚染物質を除去するためのフィルタ媒体。
【請求項2】
前記1つまたは複数の汚染物質吸着媒体は、セラミック材料または活性炭を備える、請求項1に記載のフィルタ媒体。
【請求項3】
前記1つまたは複数の汚染物質吸着媒体は、電気的に陽性なナノアルミナ繊維を備える、請求項1に記載のフィルタ媒体。
【請求項4】
前記1つまたは複数のハロゲン化樹脂は、ヨウ化樹脂を含む、請求項1に記載のフィルタ媒体。
【請求項5】
2つ以上の異なる汚染物質吸着媒体をさらに備える、請求項1に記載のフィルタ媒体。
【請求項6】
ハウジングと、1つまたは複数の入口と、1つまたは複数のハロゲン化樹脂、1つまたは複数の汚染物質吸着媒体、および1つまたは複数の出口を備えるフィルタ媒体とを備え、流体から汚染物質を除去するための装置。
【請求項7】
前記1つまたは複数の汚染物質吸着媒体は、電気的に陽性なナノアルミナ繊維または活性炭を備える、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記1つまたは複数のハロゲン化樹脂は、ヨウ化樹脂を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記1つまたは複数のヨウ化樹脂は、低残留ヨウ化樹脂を含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記フィルタ媒体は、内蔵型ユニットを備える、請求項6に記載の装置。
【請求項11】
前記1つまたは複数のハロゲン化樹脂が1つまたは複数のヨウ化樹脂を含み、前記1つまたは複数の汚染物質吸着媒体は、粒状活性炭、NanoCeram(登録商標)、KX炭素、General Ecology(登録商標)炭素、およびlodosorb(登録商標)を含む群から選択される1つまたは複数の媒体を備える、請求項6に記載の装置。
【請求項12】
浄化された流体を得るために流体から汚染物質を除去するためのシステムであって、1つまたは複数のハロゲン化樹脂と、1つまたは複数の汚染物質吸着媒体と、前記浄化された流体用の貯蔵容器とを有する装置を備える、システム。
【請求項13】
汚染物質吸着媒体を有する1つまたは複数の流体輸送導管をさらに備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
1つまたは複数の汚染物質吸着媒体を有し、前記浄化された流体を分配するための1つまたは複数の手段をさらに備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記汚染物質吸着媒体は、ヨウ素除去媒体を備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記装置は、入口および出口をさらに備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記入口および前記出口の両方は、異なる液体輸送導管に接続される、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記貯蔵容器は、ハロゲン化樹脂を備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項19】
前記ハロゲン化樹脂は、ヨウ化樹脂を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
浄化されるのが望ましい流体を保持するための第1の貯蔵器と、浄化された流体を保持するための第2の貯蔵器とをさらに備える、請求項12に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−534173(P2009−534173A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−506474(P2009−506474)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【国際出願番号】PCT/US2006/038106
【国際公開番号】WO2007/123570
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(508311787)ウォーター・セキュリティ・コーポレーション (2)
【Fターム(参考)】