説明

流力動力装置

【課題】基本構造に於いて、自然条件や流力の種類を問わずにほぼ統一した機構によって構成するシステムによって、限りなくコストを押さえると共に自然流動エネルギーの取込みの巾を限りなく拡大するものである。
【解決手段】流体の流動力を平面板によって受力するパドル様式の考え方を採用して、複数の平板を回転フレームに設置すると共に流力を受力する時は平面全面に受力して回動し、流力の上流側に復帰する時は流動抵抗に於いて平板を流力の流動方向に平行にして上流に復帰する事によって極限におさえた復帰抵抗とする事で効率の高い流力受力装置を実現する事が出来る。又最も重点を置くのは、システムのトータルコストを限りなく自由な発想でおさえる事の出来る原始的な構造技術を改良採用する事によって経済的で巾の広い自然流力動力装置の提供が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然の流力エネルギーに於ける風力、潮流、河川流力等を巾広く省力的に求める為の手法に於いて、製作技術的により一層簡易であり又自然エネルギーの利用巾の拡大に向けての可能性を最大限に求めようとするものである。
【背景技術】
【0002】
自然の風力利用においては、揚力理論に基づくプロペラを利用する型式の風力システムが最も活発に利用されている。プロペラ様式の利点は、ソリディティを低くおさえる事で高速回転運用を可能にすると共に、主に電力エネルギーとしてのエネルギー変換に於いては優れた性能となっている。しかし一方に於いてシステムの大型化に比例して、高い位置でより強い風力を受力する為に支柱や基礎構造等に厳しいものがあり、現在国内稼動中に倒壊した例も見られる。又北米その他の国々の風力装置の実態には、垂直軸風車の中でも揚力によって回るダリウス型風車やジャイロミル型その他実稼動している多くの装置が見られるが、主流はプロペラ様式となっているのが実状であるが、機能上望ましいプロペラ式はプロペラそのものの製作上や構造上又は設置条件に於いても高速回転によって起る音響や野鳥等への環境問題として反対の声も出て居り厳しいものがある事と共に、高額な施設及設置費用を要する事による経済面での問題も指摘されている。自然の流力エネルギーを得る為の手法に於いて評価の基礎となるのは単位出力当りにかかる総合的なコストであり、又今後の環境問題をふまえた自然エネルギーを得る為の柔軟で、巾の広い技術展開の可能性と共に環境に及ぼす影響が特に問題となっている。
【0003】
本願考案は自然の流力の移動の力をそのまま平面に受け止めて得られる抗力を利用するもので、旧来の風力装置に於けるパドル様式に新らしい構造機能を加えたものであり、シンプルな構造は風力に限らず河川や海流その他の自然流力にも対応が可能な装置として、現行の装置より小規模な装置や大形の施設の設置にも有効である。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本考案の基本技術は、流体力学から見た利用技術としては古典に属するものであるが、最も単純に流力を抗力としてとらえると共に旧来の風力利用技術に於けるパドル様式に於いて受力羽根の回転状態を上流側に回転復帰する時の流力抵抗を極限に少なくする手法を取る事によって、シンプルな構造でありながら高効率の流力受力装置を提供するものである。
【0006】
本考案は古典技術であるパドル式と云われる流力の正面流圧を利用する分野の技術を改良して今日に対応しようとするものであり、最も重視するのはシステムの経済性である。今日一般的となっている風力装置を対象に課題を検討する時プロペラ式装置の欠点は、流体力学上の到達点とも云える揚力の理論に基づく理想の構造であるが、出力の大きさとプロペラの直径が比例関係である為に大形化するにしたがって建設コストは級数的に増加すると共に振幅の激しい自然風力に対応出来ずに設計以上の負荷によって倒壊した国内の発生もみられる。本願考案による装置の基本はシンプルに流動流体を一定の平面に抗力として受け止める手法を取る為に装置の仕様や考え方には巾広いものがあり、特に装置の設置に付いては装置の支持フレームの構造やアンカーの考え方等に於いて巾広く自由な設計が可能となると共に、微弱風への対応や大型化への可能性を限りなく拡大するものである。
【0007】
本願考案の好適な一つの実施モデルを風力装置図1から図8によって説明をする。
【課題を解決する為の手段】
【0008】
図1は本願考案に基づく堅形設置式の風力動力装置モデルの側面図、又図2は前記側面図モデルの平面伏図であり、図3から図8は各受力平板上部の凸起部品の構造説明図である。流動する流力30が前記モデルを通過する時モデルの中心軸8を回転軸として回転するフレーム7には、流力受力羽根1、2、3(破線)がラチェット軸受4、5、6によってとりつけられて居り、今受力羽根1、2の上部のバー17、18の凸起部品14、15はさらにその上部に設置されて中心軸8によって支持され、独立して風力風向にしたがって羽根13によって自由に回動する風向回動レールフレーム12の下面に設置されたガイドレールに制御される事によって受力羽根平板は流力の流動方向に平行する状態となって少ない流力抵抗を保つ状態で回動して流力の最上流に回動復帰すると共に、前記ガイドレールから解放される事によって平板1の回転外縁の1’によって平板は流力による回転力を得て中心軸のラチェットによってロックされる事となり、流力30を受力羽根1の全面で受力する状態となってフレーム7を介して流力を動力として受力しながら、下流方向へ図1の3(破線)の位置を通過して最下流に移動する事となり、フレーム7及び中心軸8を介して動力として取り込み、27のプーリーや24のベルト等を介して29の発電装置等を稼動させる事が出来る。
【0009】
又強風によって起るトラブルに対する安全装置の機構や平常運転への復帰再起動は自動的に対応するシステムとなって居る。但し図1及び図2は共に機能や構造に付いて図面上での説明を出来るかぎり理解しやすくする目的をもって基本的な作動に必要な最少限の形状図面として表現している為に機械的強度やサポートシステム等については実験システムとは異る線描となっている。
【0010】
強風によってシステムの設計対応強度以上の流力を受力した場合、システムの破損を防止する目適の為に、稼動中のシステムが流力を受力しながら下流側に回動する流力受力平板を流力の流れに平行する状態に制御する事が必要となる。
【0011】
主回転軸8の最上部には、主回転軸8と同軸上に独立して風向に順応して動く風向羽根13によって風向にしたがって回動する流向回動レールフレーム12、12’が一体構造となって設置され、平常運転時には図2の前記レールフレーム12の円週縁の下面に設置されたガイドレールに添って流力受力羽根1及び2は同一回転軸にとりつけられたバー17、18のそれぞれの先端上部の凸起14、15を介して風力に対する流力抵抗の最も少ない状態を保って上流側に回動復帰する。
【0012】
又平常運転時には流向回動レールフレーム12’は前記各流力受力羽根1、2、3それぞれの上部バー17、18、19の凸起部に接触しない上方のレベルに引き揚げられて支持されて居り、風力が一定以上に強まった場合には強風制御用作動フィン20によって下降して支点22を介して前記流向回動レールフレーム12’が前記12のレベルまで下降する事によって、流力受力羽根1、2、3の全てが流力抵抗の最も少ない流力の流動方向に平行した平板の制御状態を保つ事となり、装置の安全が保たれる。
【0013】
又前記強風時運転休止状態から風力の流力が平常にもどった場合は、強風制御用作動フィン20が平常時状態に戻る事によって、前記下降支点22が平常に復帰する事となって流向回動レールフレーム12’は上方向に引揚げられる事でそれぞれの流力受力平板は上流部に於いて平板中心軸がロックされる方向に作動が復帰する事で、流力を動力として受力する状態の平常運転となり、自動的に自然流力エネルギー利用装置としての運転が行なわれる事となる。
【0014】
又請求項6に於いて問題としているそれぞれの流力受力羽根を制御する場合、それぞれの流力受力羽根に装着した凸起部品が流力に逆行して回動する場合の不具合を回避する手段について、図3から図8によって説明する。本装置が平常運転をする場合、流力を動力として受力して回動する場合はそれぞれの軸芯にロック状態で最下流に達すると、平板と同軸の上部のバーの上流側先端の凸起部33は流向回動レールフレーム12の31の溝に誘導されると共に制御される状態となって、装置全体のフレーム7の回転に伴なって平板は流力の流動方向に平行した姿勢を保つ事で中心軸のラチェット軸受は解放される方向に回転する状態で回動が進むと平板の下流側の前の上部凸起部43は図5図6の様に、流向回動レールフレームの41の部分を通過する結果となる凸起部43は45を支点として平板の先端方向に倒れる構造を供える事によって、図7図8の様に流向回動レールフレーム41を抵抗なく通過する事が出来る構造とする事によって、装置全体は自動的に自然流力動力装置としての運転が行なわれる事となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 堅形設置式風力動力装置モデルの側面図
【図2】 図1の平面伏図
【図3】 流力受力羽根上部アーム先端の凸起部品とガイドレールの拡大側面図
【図4】 図3の平面展開図
【図5】 流力受力羽根の2ヶ所の凸起部の上流側がガイドレールに添って移動が進むと残る下流側の凸起部は上流に回動する間に前記ガイドレールを横断する状態の平面透視図
【図6】 図5の断面図
【図7】 図5が時間を経過した時の平面図
【図8】 図7の横断面図
【符号の説明】
1 流力受力羽根
1’ 1の受力差フィン
2 流力受力羽根
2’ 2の受力差フィン
3 流力受力羽根
3’ 3の受力差フィン
4 1の軸受同時に回転フレーム
5 2の軸受同時に回転フレーム
6 3の軸受同時に回転フレーム
7 中心軸8と一体化した受力羽根設置フレーム
8 中心軸
9 1の中心軸
10 2の中心軸
11 流力受力羽根3の中心軸
12 流向回動レールフレーム(最下流より最上流復帰用半円フレ)
13 流力流向順応羽根
14 流力受力羽根1のガイド用凸起
15 流力受力羽根2のガイド用凸起
16 流力受力羽根3のガイド用凸起
17 流力受力羽根1と同軸回転する制御凸起取付けバー
18 流力受力羽根2と同軸回転する制御凸起取付けバー
19 流力受力羽根3と同軸回転する制御凸起取付けバー
20 強風制御用作動フィン
21 強風制御用作動フィン支持固定点
22 強風制御用流向回動レールフレーム下降用支点
23 強風制御用作動フィンの作動用バー
24 動力伝達用ベルト
25 流力動力装置設置ベース
26 主軸8軸受
27 回転出力取出し用プーリー
28 出力発電用プーリー
29 出力用発電機
30 風力風向
31 ガイドレール
32 凸起部品の可動方向
33 凸起部品のトップ仕様(上流側)
34 凸起部品アーム
35 凸起部品の可動丁番支点
36 凸起部品安定台座
37 流力受力羽根回転用受力フィン(上流側)
38 凸起部品取付けバー(上流側)
39 流力受力平板(破線の上流側)
40 凸起部品取付けバー(上流側)
41 流向回動レールフレームのレールガイドリブ(下流側)
43 凸起部品のトップ仕様(下流側)
44 下流側凸起部品のアーム
45 下流側凸起部品の可動丁番支点
46 凸起部品の安定台座
47 凸起部品復帰用スプリングシステム
48 流力受力羽根(下流側)
49 流力受力羽根の回転用受力フィン(下流側)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面に構成された流力受力羽根の中心回転軸に対応する左右の両端には流力受力時にわづかな受力差をつけて一定方向の回転力を得る事を特徴とする流力動力装置。
【請求項2】
第1項記載の流力受力羽根は流力によって回転する方向の回転力を、それぞれの平板の同一回転軸に於いてラチェット構造軸受によってロックする構造を備えた流力動力装置。
【請求項3】
請求項第1及び第2項記載の流力受力羽根の中心軸と複数の前記受力羽根をとりつけたフレームの中心回転軸が平行する状態でフレームの中心回転軸を中心として複数の前記流力受力羽根が、遊星、回転しながら回動する構造を備えた流力動力装置。
【請求項4】
第3項記載のフレームの中心回転軸の上部には流力の流動方向に順応して回動する流向回動レールフレームを設置し、前記レールフレームの下面部分には流力の下流から上流に至る半円のガイドレールを設置し複数の前記フレームにとりつけた流力受力羽根を支持する回転フレームの上部には複数の流力受力羽根の中心回転軸が突出していると同時に流力受力羽根の平面に平行する状態でそれぞれの受力羽根の上部にはバーがとりつけられ、受力羽根と同一回転をする状態のバーの両端上部に凸起部品を設置することによって流動方向に逆らって回動する時の下流から上流に復帰する場合は受力羽根の回転状態が上部の、流向回動レールフレームのガイドレールによって制御される状態となる。流力動力装置としての全体の動きは、流力受力羽根が流力を受けてロック状態となって流力を動力として取り込みながら下流側へ回動すると共に、受力回転の最下流に達すると同時に前記凸起部品は上部の流向回動レールフレームのガイドレールによって制御される事によって、前記受力羽根の中心軸の動きは逆方向となってラチェットは解放され前記ガイドレールによって前記受力羽根は流力抵抗の最も少ない状態を保った状態で上流側に回動復帰して前記ガイドレールから解放されると共に流力受力羽根は再たび流力によって中心軸のラチェットによってロックされ流力を受力して受力羽根の設置されたフレームを介して流力を動力として取り込みながら下流方向に回動する構造機能を備える事を特徴とする流力動力装置。
【請求項5】
流力が一定以上に強くなった場合は、前記流向回動レールフレームには流力の強度に同調反応して上下可動する懸垂機構を設置すると共に、前記流力受力羽根が最下流から上流側に回動制御されるガイドレールと同芯円の残る半円状に設置した状態のガイドレールを取りつけると共に一定以上の強風又は流力となった場合には前記残る半円状のガイドレールが前記懸垂機構によって、同芯円状に平行するレベルに下降する事によって流力受力羽根の全てが流力に対する抵抗の最も少ない状態に制御される機能を備え、又流力が一定以下に弱まった場合には前記懸垂機構によって前記残る半円のガイドレールは上部に引き揚げられることによって流力を動力として取り込む機能が自動的に復活する機能と構造を備えた流力動力装置。
【請求項6】
請求項第4項記載の流力受力羽根の上部軸受と流向回動レールフレームとの間に設置され受力羽根と同軸にとりつけたアームの上面両端にとりつけられた中心軸に対して相対する2ヶ所の凸起部品は、流力受力羽根がとりつけられた回転フレームの上部部に回動する流向回動レールフレームの下面のガイドレールによって制御される場合は、受力羽根が流力の受力を終了する最下流部に於いて流力の流動方向に平行する状態となった前記受力羽根上部バーにとりつけられた2ヶ所の凸起部品の上流側又は下流側のどちらか一方の凸起部品が前記流向回動レールフレーム下面のガイドレールによって制御される状態で前記回動レールフレームにガイドされながら上流側に回動する場合、前記受力羽根上の同軸アームにとりつけられた残る一方の凸起部品は流動方向に平行する状態で移動する事となり、同じ高さをもった凸起部品は他の一方の凸起部品を制御する前記ガイドレールを横断する動きとなる為に、横断する動きに対して前記凸起部品は抵抗なく折たたまれると同時に復帰する構造機能を備えた構造とする。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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