説明

流路構造体及び流路構造体の製造方法

【課題】流路構造体において流体を流通させる流路が一方側へ延びる部分とその部分の下流側で他方側へ延びる部分とが交互に繋がる形状を有していても、その流路内を十分且つ容易に清掃できるようにする。
【解決手段】流路構造体1では、本体部4の第1端面4aには、合流流体流路2cのうちの一方側へ延びる部分とその下流側に配置されて他方側へ延びる部分とを繋ぐ第1折返し部2gが開口し、本体部4の第2端面4bには、合流流体流路2cのうちの他方側へ延びる部分とその下流側に配置されて一方側へ延びる部分とを繋ぐ第2折返し部2hが開口し、第1蓋部6は、第1折返し部2gの開口を封止するように第1端面4aに接触した状態で本体部4に着脱可能となるように結合され、第2蓋部8は、第2折返し部2hの開口を封止するように第2端面4bに接触した状態で本体部4に着脱可能となるように結合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路構造体及び流路構造体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の流体同士を混合させて相互作用を生じさせる手段として流路構造体が知られている。この流路構造体は、例えば、複数の反応剤の流体同士の相互作用としてそれらの流体同士の化学反応を生じさせて所望の反応生成物を得る反応装置に用いられており、その一例が下記特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1には、複数の流通路を内部に有する流路構造体を用いた反応装置が開示されている。各流通路は、第1反応剤の流体が導入される第1導入路と、第2反応剤の流体が導入される第2導入路と、それら両導入路の下流側に繋がり、それら各導入路を通じて流れる反応剤の流体同士を合流させて混合させる合流路と、その合流路の下流側に繋がり、当該合流路において合流した後の流体を流通させながらその流体に含まれる反応剤同士を反応させる反応路とを有している。流路構造体は、複数のプレートを積層することによって形成されている。第1導入路と第2導入路は、1つのプレートの表面側に形成され、反応路は、そのプレートの裏面側に形成されている。合流路は、第1導入路と第2導入路のうち反応剤の導入側と反対側の端部同士を連結するとともにそれらの端部と反応路の端部を連結するようにプレートの表面側から裏面側へ貫通している。また、反応路は、合流後の反応剤の滞留時間を増加させて反応剤同士の反応を促進させるために、流路長が大きくなる蛇行形状に形成されている。具体的には、反応路は、プレートの裏面において、そのプレートの幅方向の一方側へ延びる部分とその部分の下流側で前記一方側と反対側へ延びる部分とが交互に繋がるような形状を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−162428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来の流路構造体では、反応路が上記のような形状に形成されていることに起因して、反応路内の清掃を行うことが困難である。具体的には、反応路が上記のような形状に形成されている場合には、反応路の一端から清掃器具を反応路内に挿入しても奥の方まで清掃器具が届きにくく、例えば、反応路の奥の方で析出物や異物が詰まったときには、そのような析出物や異物を除去することは困難である。このように、上記の流路構造体では、反応路内を十分に清掃することは困難であり、且つ、その清掃には非常に手間がかかるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、流路構造体において流体を流通させる流路が一方側へ延びる部分とその部分の下流側で他方側へ延びる部分とが交互に繋がる形状を有していても、その流路内を十分且つ容易に清掃できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明による流路構造体は、流体が導入される少なくとも1つの導入路とその少なくとも1つの導入路に導入された流体を流通させる流体流路とを有する流通路が形成された流路構造体であって、第1端面及びその第1端面と反対側を向く第2端面を有する本体部と、前記本体部の前記第1端面に対向するように配置され、前記本体部に対して着脱可能となるように結合される第1蓋部と、前記本体部の前記第2端面に対向するように配置され、前記本体部に対して着脱可能となるように結合される第2蓋部とを備え、前記流体流路は、特定方向において一方側へ直線的に延びる部分とその部分から折り返されて前記一方側と反対の他方側へ直線的に延びる部分とが交互に繋がる形状に形成され、前記本体部の内部には、前記流体流路のうちの直線的に延びる複数の部分を構成する複数の直線流路部が前記第1端面と前記第2端面との間でそれら両端面同士を結ぶ方向に延びるように形成され、前記本体部の前記第1端面には、前記流体流路のうちの前記一方側へ直線的に延びる部分とその下流側に配置されて前記他方側へ直線的に延びる部分の前記一方側の端部同士を繋ぐ部分である第1折返し部が開口するように形成され、前記本体部の前記第2端面には、前記流体流路のうちの前記他方側へ直線的に延びる部分とその下流側に配置されて前記一方側へ直線的に延びる部分の前記他方側の端部同士を繋ぐ部分である第2折返し部が開口するように形成され、前記第1蓋部は、前記第1端面に形成された前記第1折返し部の開口を封止するようにその第1端面に接触した状態で前記本体部に結合され、前記第2蓋部は、前記第2端面に形成された前記第2折返し部の開口を封止するようにその第2端面に接触した状態で前記本体部に結合される。
【0008】
この流路構造体では、本体部に形成された流体流路のうち直線的に延びる各直線流路部の一方側の端部に繋がる第1折返し部が本体部の第1端面において開口し、その直線流路部の他方側の端部に繋がる第2折返し部が本体部の第2端面において開口し、第1折返し部の開口を封止する第1蓋部と第2折返し部の開口を封止する第2蓋部が本体部に対して着脱可能であるため、流体流路の直線流路部内に析出物や異物が詰まったときには、本体部から第1蓋部と第2蓋部を取り外せば、本体部の第1端面側又は第2端面側から各直線流路部内に直線的に掃除器具を挿入して析出物や異物を取り除くことができる。また、流体流路の各折返し部内に析出物や異物が詰まったときには、折返し部の開口を封止している蓋部を本体部から取り外せば、その折返し部の開口を通じてその折返し部内を直接清掃することができる。以上のように、この流路構造体では、流体流路が一方側へ延びる部分とその部分の下流側で他方側へ延びる部分とが交互に繋がる形状を有していても、その流体流路内を十分且つ容易に清掃することができる。
【0009】
上記流路構造体において、前記導入路は、当該導入路に流体を導入するための導入口を有し、前記導入路の前記導入口は、前記本体部の外面の所定の部位に開口するように形成され、前記導入路は、その導入口から直線的に延びて前記流体流路に繋がるように前記本体部に形成されていることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、導入路の導入口からその導入路内に清掃器具を直線的に挿入して導入路内を清掃することができるため、上記流体流路内に加えて導入路内も十分且つ容易に清掃することができる。
【0011】
上記流路構造体において、前記導入路は、当該導入路に流体を導入するための導入口を有し、前記少なくとも1つの導入路には、前記第1端面において前記導入口が開口するように形成された導入路である特定の導入路が含まれ、前記流路構造体には、複数の前記流通路が形成され、前記第1蓋部には、当該第1蓋部が前記本体部に結合された状態で前記複数の流通路の前記特定の導入路の前記導入口にそれぞれ接続され、その各導入口に流体を分配して供給するための供給流路が形成されていることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、第1蓋部を、複数の流通路の前記特定の導入路の導入口に流体を分配供給するための供給流路を有する供給側ヘッダとして利用することができる。このため、第1蓋部とは別に供給側ヘッダを設ける場合に比べて部材点数を削減することができる。
【0013】
上記流路構造体において、その流路構造体には、複数の前記流通路が形成され、前記各流通路の前記流体流路は、前記本体部の前記第2端面において開口し、当該流体流路内から流体を導出するための導出口を有し、前記第2蓋部には、当該第2蓋部が前記本体部に結合された状態で前記複数の流通路の前記流体流路の前記導出口にそれぞれ接続され、その複数の導出口から導出される流体を合流させて回収するための回収流路が形成されていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、第2蓋部を、複数の流通路の流体流路の導出口から導出される流体を合流させて回収するための回収流路を有する回収側ヘッダとして利用することができる。このため、第2蓋部とは別に回収側ヘッダを設ける場合に比べて部材点数を削減することができる。
【0015】
上記流路構造体において、前記流通路は、複数の前記導入路を有し、当該流通路の前記流体流路は、その複数の導入路に導入された複数の流体が合流した合流流体を流通させる合流流体流路であることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、合流流体流路において合流流体中の複数の流体同士の相互作用、例えば化学反応によって生成物が生じ、その生成物が合流流体流路中に詰まった場合でも、その生成物を容易に除去することができる。
【0017】
上記流路構造体において、前記各直線流路部は、前記第1端面と前記第2端面との間でそれら両端面同士を結ぶ方向に延び、並列に配置された複数の流路からなることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、直線流路部が単一の流路からなる場合に比べて、直線流路部に流通させる流体の流量を増やすことができる。このため、流体流路における流体の処理量(流通量)を増加させることができる。
【0019】
上記流路構造体において、前記第1蓋部は、前記第1端面に形成された前記第1折返し部の開口を封止するための第1封止材と、前記本体部に対して着脱可能となるように結合され、前記本体部に結合された状態で前記第1端面との間に前記第1封止材を挟み込んでその第1封止材が前記第1折返し部の開口を封止するようにその第1封止材を前記第1端面に密着させる第1固定部材とを有し、前記第2蓋部は、前記第2端面に形成された前記第2折返し部の開口を封止するための第2封止材と、前記本体部に対して着脱可能となるように結合され、前記本体部に結合された状態で前記第2端面との間に前記第2封止材を挟み込んでその第2封止材が前記第2折返し部の開口を封止するようにその第2封止材を前記第2端面に密着させる第2固定部材とを有することが好ましい。
【0020】
この構成によれば、第1封止材で流体流路の第1折返し部の開口を封止することができるとともに、第2封止材で流体流路の第2折返し部の開口を封止することができるため、第1折返し部及び第2折返し部から流体流路内の流体が漏出するのを確実に防ぐことができる。
【0021】
本発明による流路構造体の製造方法は、上記の流路構造体を製造するための方法であって、前記流通路を内部に有する基材を形成する基材形成工程と、前記各直線流路部が延びる方向に対して交差する方向に延び且つ前記第1折返し部を通る第1切断線と、前記各直線流路部が延びる方向に対して交差する方向に延び且つ前記第2折返し部を通る第2切断線とに沿って前記基材を切断する切断工程と、前記切断工程において切断された前記基材の前記第1切断線と前記第2切断線との間の部位によって前記本体部を形成する本体部形成工程と、前記切断工程において切断された前記基材の前記第1切断線よりも外側の部分によって前記第1蓋部を形成する第1蓋部形成工程と、前記切断工程において切断された前記基材の前記第2切断線よりも外側の部分によって前記第2蓋部を形成する第2蓋部形成工程とを備えている。
【0022】
この流路構造体の製造方法では、基材のうち前記第1切断線と前記第2切断線との間の部位によって本体部を形成し、基材から切断した前記第1切断線よりも外側の部位によって第1蓋部を形成し、基材から切断した前記第2切断線よりも外側の部位によって第2蓋部を形成するため、材料を有効利用することができる。具体的には、仮に、基材を切断して本体部を形成した後、新たに別の材料を用いて第1蓋部と第2蓋部を形成する場合には、基材のうち本体部に用いる部位以外の部分は廃棄されて材料に無駄が生じるとともに、第1蓋部と第2蓋部を形成するためにさらに材料が必要となる。これに対して、本発明の流路構造体の製造方法では、基材のうち本体部に用いる部位以外の部分を第1蓋部と第2蓋部に流用することができるので、材料の無駄が生じず、材料が別途必要となることもない。また、この製造方法では、元々一体であった基材を第1折返し部を通る第1切断線と第2折返し部を通る第2切断線に沿って切断して本体部と第1蓋部と第2蓋部を形成するため、第1切断線に沿った本体部の切断面と第1蓋部の切断面とが互いに隙間なく当接可能な平行面となるとともに、第2切断線に沿った本体部の切断面と第2蓋部の切断面とが互いに隙間なく当接可能な平行面となる。このため、特に精密な加工を行うことなく、本体部に両蓋部を結合させた状態でそれら両蓋部の切断面と本体部の対応する切断面とを密着させることができ、第1折返し部から第1蓋部の切断面と本体部の対応する切断面との間を通じての流体の漏出及び第2折返し部から第2蓋部の切断面と本体部の対応する切断面との間を通じての流体の漏出を有効に抑制することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明によれば、流路構造体において流体を流通させる流路が一方側へ延びる部分とその部分の下流側で他方側へ延びる部分とが交互に繋がる形状を有していても、その流路内を十分且つ容易に清掃することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態による流路構造体の平面図である。
【図2】本発明の一実施形態による流路構造体を第3端面に向かって見たである。
【図3】図1に示した流路構造体における流通路の配置を示す図である。
【図4】図1に示した流路構造体における温調流路の配置を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態による流路構造体の本体部の第1端面を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態による流路構造体の本体部の第3端面を示す図である。
【図7】図5に示した本体部の第1端面を部分的に拡大してプレートの積層構造と当該第1端面に形成された第1折返し部の開口を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態による流路構造体の第1蓋部の第1対向面を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態による流路構造体の第3蓋部の第3対向面を示す図である。
【図10】流路構造体を形成するために用いる基材の平面図である。
【図11】基材から形成した主材の側面図である。
【図12】基材を構成する流通路用第1プレートの表面を示す平面図である。
【図13】基材を構成する流通路用第2プレートの裏面を示す平面図である。
【図14】基材を構成する温調用プレートの表面を示す平面図である。
【図15】本発明の一実施形態の変形例による流路構造体の合流流体流路の構成を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0026】
まず、図1〜図14を参照して、本発明の一実施形態による流路構造体の構成について説明する。
【0027】
本実施形態による流路構造体1は、複数の流体同士を合流させて相互作用を生じさせるために用いられるものである。本実施形態の流路構造体1は、例えば、マイクロリアクタ、熱交換器、抽出反応用の反応装置またはエマルション化用の混合装置等に用いられる。
【0028】
本実施形態の流路構造体1には、相互作用させる第1流体と第2流体を合流させて流通させるための複数の流通路2(図3参照)と、流通路2を流れる流体の温度を調節するための温調用流体を流すための複数の温調用流路3(図4参照)とが形成されている。複数の流通路2と複数の温調用流路3は、流路構造体1の厚み方向(後述する基板の積層方向)に並ぶように流路構造体1内に形成されている(図7参照)。具体的には、1つの流通路2の各部分は、一平面上に形成されており、2つの温調用流路3が、流路構造体1の厚み方向(前記一平面に対して垂直な方向)においてこの流通路2の両側に分かれて配置されている。そして、この1つの流通路2と2つの温調用流路3を1組の流路として、複数組の流路が流路構造体1の厚み方向に並んで配置されている。
【0029】
各流通路2は、微小な流路径を有するいわゆるマイクロチャネルである。この流通路2は、図3に示すように、第1流体が導入される第1導入路2aと、第2流体が導入される第2導入路2bと、それら両導入路2a,2bに導入された両流体を合流させて流通させる合流流体流路2cとを有する。
【0030】
第1導入路2aは、流路構造体1の長手方向の一端の近傍で且つ流路構造体1の長手方向に直交する短手方向における一方の端面寄りの位置に配置されており、流路構造体1の長手方向に直線的に延びている。第1導入路2aは、当該第1導入路2aに第1流体を導入するための第1導入口2dを有する。なお、この第1導入路2aは、本発明の特定の導入路の概念に含まれるものである。
【0031】
第2導入路2bは、流路構造体1の長手方向の前記一端寄りの位置に配置されており、流路構造体1の短手方向における前記一方の端面から反対側の端面へ向かって直線的に延びている。この第2導入路2bは、第1導入路2aと直交する方向に延びている。また、第2導入路2bは、当該第2導入路2bに第2流体を導入するための第2導入口2eを有する。
【0032】
合流流体流路2cは、本発明の流体流路の概念に含まれるものである。この合流流体流路2cは、流路構造体1の長手方向において一方側へ直線的に延びる部分とその部分から折り返されてその一方側と反対の他方側へ直線的に延びる部分とが交互に繋がる蛇行した形状に形成されている。具体的には、合流流体流路2cは、複数の直線流路部2fと、複数の第1折返し部2gと、複数の第2折返し部2hとを有する。
【0033】
直線流路部2fは、合流流体流路2cのうち流路構造体1の長手方向に直線的に延びる部分を構成するものである。複数の直線流路部2fは、互いに平行に配置されており、流路構造体1の短手方向において間隔をあけて並ぶように配置されている。
【0034】
第1折返し部2gは、合流流体流路2cのうち流路構造体1の長手方向の前記一端側へ直線的に延びる部分とその部分の下流側に配置されて前記一端側と反対側へ直線的に延びる部分の前記一端側の端部同士を繋ぐ部分である。すなわち、第1折返し部2gは、流路構造体1の短手方向において隣り合う直線流路部2fのうち第1導入路2a側の端部同士を繋いでいる。この第1折返し部2gによって、当該第1折返し部2gの上流側の前記一端側へ延びる直線流路部2fから当該第1折返し部2gの下流側の前記一端側と反対側へ延びる直線流路部2fへ流路が折り返されている。
【0035】
第2折返し部2hは、合流流体流路2cのうち流路構造体1の長手方向において前記一端側と反対側へ直線的に延びる部分とその部分の下流側に配置されて前記一端側へ直線的に延びる部分の前記一端側と反対側の端部同士を繋ぐ部分である。すなわち、第2折返し部2hは、流路構造体1の短手方向において隣り合う直線流路部2fのうち流路構造体1の長手方向において前記第1導入路2aと反対側に位置する端部同士を繋いでいる。この第2折返し部2hによって、当該第2折返し部2hの上流側の前記一端側と反対側へ延びる直線流路部2fから当該第2折返し部2hの下流側の前記一端側へ延びる直線流路部2fへ流路が折り返されている。
【0036】
また、合流流体流路2cは、当該合流流体流路2c内から流体を導出するための導出口2iを有する。この導出口2iは、合流流体流路2cの下流側の端部に設けられている。
【0037】
また、流路構造体1には、各流通路2の第1導入路2aの第1導入口2dに第1流体を分配して供給するための第1供給流路2jと、各流通路2の第2導入路2bの第2導入口2eに第2流体を分配して供給するための第2供給流路2kと、各流通路2の合流流体流路2cの導出口2iから導出される流体を合流させて回収するための回収流路2oとが形成されている。なお、第1供給流路2jは、本発明の供給流路の概念に含まれるものである。
【0038】
第1供給流路2jは、第1供給穴2pと、第1供給流路接続部2qとを有する。第1供給穴2pは、流路構造体1の厚み方向の一方の端面に開口し、その開口から流路構造体1の厚み方向の他方の端面へ向かって複数の流通路2のうちその他方の端面に最も近い流通路2に対応する位置まで延びている。この第1供給穴2pには、後述する第1供給側コネクタ6bが接続されており、その第1供給側コネクタ6bを通じて第1流体が供給される。第1供給流路接続部2qは、複数の流通路2のうち流路構造体1の厚み方向の前記一方の端面に最も近い流通路2に対応する位置から前記他方の端面に最も近い流通路2に対応する位置に亘って流路構造体1の厚み方向に延びており、第1供給穴2pと連通するように形成されている。この第1供給流路接続部2qは、各流通路2の第1導入口2dに接続され、第1供給穴2pに供給された第1流体を各第1導入口2dに分配する。
【0039】
第2供給流路2kは、後述する第2供給側コネクタ10bが接続される第2供給穴2rと、各流通路2の第2導入口2eに接続される第2供給流路接続部2sとを有する。この第2供給流路2kの第2供給穴2rと第2供給流路接続部2sの構成は、第1供給流路2jの第1供給穴2pと第1供給流路接続部2qの構成と同様である。
【0040】
回収流路2oは、回収穴2tと、回収流路接続部2uとを有する。回収穴2tは、流路構造体1の厚み方向の前記一方の端面に開口し、その開口から流路構造体1の厚み方向の前記他方の端面へ向かって複数の流通路2のうちその他方の端面に最も近い流通路2に対応する位置まで延びている。この回収穴2oには、後述する回収側コネクタ8bが接続されている。回収流路接続部2uは、複数の流通路2のうち流路構造体1の厚み方向の前記一方の端面に最も近い流通路2に対応する位置から前記他方の端面に最も近い流通路2に対応する位置に亘って流路構造体1の厚み方向に延びており、回収穴2oと連通するように形成されている。この回収流路接続部2uは、各流通路2の導出口2iに接続され、それらの導出口2iから導出される流体を合流させる。この回収流路接続部2uで合流された流体は、回収穴2oへ流れ、回収側コネクタ8bを通じて導出される。
【0041】
各温調用流路3は、図4に示すように、並列に配置された複数の単位流路3aからなる。各単位流路3aは、流路構造体1の長手方向において前記一端側から反対側へ延びる部分とその部分から折り返されて前記一端側と反対側へ延びる部分とが交互に繋がる蛇行した形状に形成されている。また、流路構造体1には、各温調用流路3に温調用流体を分配して供給するための温調用供給流路3bと、各温調用流路3から温調用流体を回収するための温調用回収流路3cとが形成されている。
【0042】
温調用供給流路3bは、温調用供給穴3dと、複数の温調用供給流路接続部3eとを有している。温調用供給穴3dは、流路構造体1の厚み方向の一方の端面に開口し、その開口から流路構造体1の厚み方向の他方の端面へ向かって複数の温調用流路3のうち前記他方の端面に最も近い温調用流路3に対応する位置まで延びている。この温調用供給穴3dには、後述する温調用供給側コネクタ16が接続されており、その温調用供給コネクタ16を通じて温調用流体が供給される。温調用供給流路接続部3eは、流路構造体1の厚み方向において各温調用流路3に対応する位置にそれぞれ形成されており、温調用供給穴3dと各温調用流路3の複数の単位流路3aの上流側の端部とを繋いでいる。温調用供給穴3dに供給された温調用流体は、各温調用供給流路接続部3eを通じて各温調用流路3の複数の単位流路3aに分配される。
【0043】
また、温調用回収流路3cは、温調用回収穴3fと、複数の温調用流路3の下流側の端部に繋がる複数の温調用回収流路接続部3gとを有している。温調用回収穴3fと温調用回収流路接続部3gの構造は、温調用供給穴3dと温調用供給流路接続部3eの構造と同様である。温調用回収穴3fには、後述する温調用回収側コネクタ18が接続されており、各温調用流路3の複数の単位流路3aの下流側端部から導出された温調用流体が各温調用回収流路接続部3gから温調用回収穴3fを通じ、温調用回収側コネクタ18を通じて導出される。
【0044】
そして、以上のような流通路2及び温調用流路3が形成された本実施形態の流路構造体1は、本体部4と、第1ヘッダ6と、第2ヘッダ8と、第3ヘッダ10と、複数のボルト12とを備えている。
【0045】
本体部4は、流路構造体1の大部分を占めており、前記複数の流通路2の大部分と、前記複数の温調用流路3と、前記温調用供給流路3bと、前記温調用回収流路3cを内部に有する。この本体部4は、直方体状に形成されており、その長手方向において一方側を向く端面である第1端面4aと、その第1端面4aと反対側を向く第2端面4bとを有する。また、本体部4は、当該本体部4の長手方向に直交する短手方向において一方側を向く端面である第3端面4cと、その第3端面4cと反対側の端面である第4端面4dとを有する。本体部4の長手方向は、流路構造体1の長手方向と同じ方向であり、本体部4の短手方向は、流路構造体1の短手方向と同じ方向であり、本体部4の厚み方向は、流路構造体1の厚み方向と同じ方向である。また、第1端面4aは、本体部4のうち流路構造体1の長手方向の前記一端側に位置する端面であり、第2端面4bは、本体部4のうち流路構造体1の長手方向の前記一端と反対側に位置する端面である。
【0046】
前記各流通路2の合流流体流路2cの複数の直線流路部2fは、本体部4内に形成されている。具体的には、各直線流路部2fは、本体部4の第1端面4aと第2端面4bとの間でそれら両端面4a,4b同士を結ぶ方向(第1端面4a及び第2端面4bに直交する方向)に直線的に延びており、本体部4の第3端面4cと第4端面4dを結ぶ方向(第3端面4c及び第4端面4dに直交する方向)において間隔をあけて並ぶように配置されている。各直線流路部2fは、等しい長さを有しており、その長さは、本体部4の第1端面4aと第2端面4bとの間の距離よりも僅かに小さい長さである。
【0047】
また、各流通路2の合流流体流路2cの複数の第1折返し部2gは、本体部4の第1端面4aに開口するように形成されており、各流通路2の合流流体流路2cの複数の第2折返し部2hは、本体部4の第2端面4bに開口するように形成されている。本体部4の第1端面4aに向かって見たときには、各第1折返し部2gの開口を通じて、各第1折返し部2gに繋がる直線流路部2f内の空間が前記第2端面側4b側まで突き抜けて見え、本体部4の第2端面4bに向かって見たときには、各第2折返し部2hの開口を通じて、各第2折返し部2hに繋がる直線流路部2f内の空間が前記第1端面4a側まで突き抜けて見えるようになっている。
【0048】
また、各流通路2の第1導入路2a及び第2導入路2bも、本体部4内に形成されている。第1導入路2aの第1導入口2dは、本体部4の第1端面4aのうち第3端面4cに近い位置に開口するように形成されており、第1導入路2aは、その第1導入口2dから本体部4の第2端面4b側へ向かって直線的に延びて合流流体流路2cの上流側の端部に繋がるように本体部4に形成されている。第1導入路2aは、その第1導入路2aが繋がる合流流体流路2cのうちの最も上流に位置する直線流路部2fと同一直線上に配置されている。第2導入路2bの第2導入口2eは、本体部4の第3端面4cのうち第1端面4aに近い位置に開口するように形成されており、第2導入路2bは、その第2導入口2eから本体部4の第4端面4d側へ向かって直線的に延びて合流流体流路2cの上流側の端部に繋がるように本体部4に形成されている。第2導入路2bは、その第2導入路2bが繋がる合流流体流路2cの直線流路部2fに対して直交する方向に延びている。
【0049】
また、本体部4の第1端面4aには、全ての第1折返し部2gの開口と全ての第1導入口2dが形成された領域の外側を囲むように複数の第1ボルト穴4f(図5参照)が形成されており、本体部4の第2端面4bには、全ての第2折返し部2hの開口と全ての導出口2iが形成された領域の外側を囲むように複数の第2ボルト穴4g(図1参照)が形成されている。また、本体部4の第3端面4cには、全ての第2導入口2eが形成された領域の外側を囲むように複数の第3ボルト穴4hが形成されている。
【0050】
温調用流路3は、本体部4内において各流通路2に対して当該本体部4の厚み方向の一方側又は他方側に間隔をあけて配置されている。温調用供給流路3bは、本体部4において第2端面4b近傍で且つ第3端面4c近傍の位置に形成されている。また、温調用回収流路3cは、本体部4において第1端面4a近傍で且つ第4端面4d近傍の位置に形成されている。また、本体部4の厚み方向の一方の面には、温調用供給側コネクタ16が温調用供給流路3bの温調用供給穴3dに接続するように取り付けられているとともに、温調用回収側コネクタ18が温調用回収流路3cの温調用回収穴3fに接続するように取り付けられている。温調用供給側コネクタ16は、温調用流体を供給するための図略の温調用供給配管のコネクタと接続し、温調用回収側コネクタ18は、温調用流体を回収するための図略の温調用回収配管のコネクタと接続する。
【0051】
また、本体部4は、複数の基板が積層されて互いに接合された部材から形成されている。各流通路2は、基板の表面に流通路2に対応した形状に形成された溝と、その基板上に積層される別の基板の裏面に前記溝と対称形となるように形成された溝とが重ね合わされることによって形成されている。また、各温調用流路3は、基板の表面にその温調用流路3に対応した形状に形成された溝がその基板上に積層される別の基板で封止されることによって形成されている。
【0052】
第1ヘッダ6は、本体部4の第1端面4aに対向するように配置されて本体部4に対して着脱可能となるように結合される。また、第1ヘッダ6は、第1端面4aに形成された全ての第1折返し部2gの開口を封止するようにその第1端面4aに接触した状態で本体部4に結合される。この第1ヘッダ6は、本発明の第1蓋部の概念に含まれるものである。第1ヘッダ6は、第1ヘッダ本体6aと、第1供給側コネクタ6bと、第1外周シール材6cとを有する。
【0053】
第1ヘッダ本体6aは、本体部4に対して着脱可能に結合される。この第1ヘッダ本体6aは、当該第1ヘッダ本体6aが本体部4に結合された状態で本体部4の第1端面4aに向き合って接触する第1対向面6d(図8参照)を有する。この第1対向面6dが第1端面4aに接触することによって、第1端面4aに形成された第1折返し部2gの開口が封止される。第1対向面6dは、本体部4の第1端面4aと同じ外形を有するように形成されている。また、第1ヘッダ本体6aには、第1供給流路2jが形成されている。この第1供給流路2jの第1供給流路接続部2qは、第1ヘッダ本体6aの第1対向面6dのうち当該第1ヘッダ本体6aが本体部4に結合された状態で各流通路2の第1導入口2dに接続する位置において開口している。また、第1対向面6dには、第1ヘッダ本体6aが本体部4に対して結合された状態で全ての第1折返し部2gの開口の全体の外周と全ての第1導入口2d全体の外周(第1供給流路接続部2qの外周)とをそれぞれ囲むように第1シール材取付溝6eが形成されており、その第1シール材取付溝6eに第1外周シール材6cが嵌め込まれている。この第1外周シール材6cは、ガスケットからなり、第1ヘッダ本体6aの第1対向面6dが本体部4の第1端面4aに密着するように第1ヘッダ本体6aが本体部4に結合されたときに全ての第1折返し部2gの開口の全体の周りを封止するとともに第1供給流路接続部2q及び全ての第1導入口2dの全体の周りを封止し、それによって、本体部4の第1端面4aと第1ヘッダ本体6aの第1対向面6dとの間からの流体の漏出を防止する。
【0054】
また、第1シール材取付溝6eの外側を囲むように複数の第1ボルト挿通孔6fが第1ヘッダ本体6aに形成されている。この複数の第1ボルト挿通孔6fは、第1ヘッダ本体6aの第1対向面6dからその第1対向面6dと反対側の面へ当該第1ヘッダ本体6aを貫通している。この複数の第1ボルト挿通孔6fは、第1ヘッダ本体6aが本体部4に結合される状態で本体部4の第1端面4aに形成された複数の第1ボルト穴4fと一致する位置に設けられている。第1ヘッダ本体6aは、その各第1ボルト挿通孔6fにボルト12が挿通されるとともにそのボルト12が本体部4の対応する第1ボルト穴4fに螺合されることによって本体部4に締結される。また、ボルト12を緩めて取り外せば、本体部4から第1ヘッダ本体6aを取り外せるようになっている。
【0055】
第1供給側コネクタ6bは、第1供給流路2jの第1供給穴2pに接続するように第1ヘッダ本体6aの厚み方向の一方の面に取り付けられている。この第1供給側コネクタ6bは、第1流体を供給するための図略の供給配管のコネクタと接続し、その供給配管から供給される第1流体を第1供給穴2pへ導入する。
【0056】
第2ヘッダ8は、本体部4の第2端面4bに対向するように配置されて本体部4に対して着脱可能となるように結合される。また、第2ヘッダ8は、第2端面4bに形成された全ての第2折返し部2hの開口を封止するようにその第2端面4bに接触した状態で本体部4に結合される。この第2ヘッダ8は、本発明の第2蓋部の概念に含まれるものである。第2ヘッダ8は、第2ヘッダ本体8aと、回収側コネクタ8bと、図略の第2外周シール材とを有する。
【0057】
第2ヘッダ本体8aは、本体部4に対して着脱可能に結合される。この第2ヘッダ本体8aは、当該第2ヘッダ本体8aが本体部4に結合された状態で本体部4の第2端面4bに向き合って接触する図略の第2対向面を有する。この第2対向面が第2端面4bに接触することによって、第2端面4bに形成された第2折返し部2hの開口が封止される。第2対向面は、本体部4の第2端面4bと同じ外形を有するように形成されている。また、第2ヘッダ本体8aには、回収流路2oが形成されている。この回収流路2oの回収流路接続部2uは、第2ヘッダ本体8aの第2対向面のうち当該第2ヘッダ本体8aが本体部4に結合された状態で各流通路2の導出口2iに接続する位置において開口している。また、第2対向面には、第2ヘッダ本体8aが本体部4に対して結合された状態で全ての第2折返し部2hの開口の全体の外周と全ての導出口2i全体の外周(回収流路接続部2uの外周)とをそれぞれ囲むように図略の第2シール材取付溝が形成されており、その第2シール材取付溝に図略の第2外周シール材が嵌め込まれている。第2ヘッダ本体8aの第2対向面における回収流路接続部2uの開口、第2シール材取付溝及び第2外周シール材は、上記第1ヘッダ本体6aの第1対向面6dにおける第1供給流路接続部2qの開口、第1シール材取付溝6e及び第1外周シール材6cと対称的に配置されていること以外は同様の構成を有している。
【0058】
また、第2ヘッダ本体8aには、第1ヘッダ本体6aに形成された複数の第1ボルト挿通孔6fと同様の複数の第2ボルト挿通孔8fが形成されている。第2ヘッダ本体8aは、その各第2ボルト挿通孔8fにボルト12が挿通されるとともにそのボルト12が本体部4の対応する第2ボルト穴4gに螺合されることによって本体部4に締結される。
【0059】
回収側コネクタ8bは、回収流路2oの回収穴2tに接続するように第2ヘッダ本体8aの厚み方向の一方の端面に取り付けられている。この回収側コネクタ8bは、流体を回収するための図略の回収配管のコネクタと接続し、回収穴2tから導出される流体をその回収配管へ流すためのものである。
【0060】
第3ヘッダ10は、本体部4の第3端面4cに対向するように配置されて本体部4に対して着脱可能となるように結合される。第3ヘッダ10は、第3ヘッダ本体10aと、第2供給側コネクタ10bと、第3外周シール材10c(図9参照)とを有する。
【0061】
第3ヘッダ本体10aは、本体部4に対して着脱可能に結合される。この第3ヘッダ本体10aは、当該第3ヘッダ本体10aが本体部4に結合された状態で本体部4の第3端面4cに向き合って接触する第3対向面10dを有する。また、第3ヘッダ本体10aには、第2供給流路2kが形成されている。この第2供給流路2kの第2供給流路接続部2sは、第3ヘッダ本体10aの第3対向面10dのうち当該第3ヘッダ本体10aが本体部4に結合された状態で各流通路2の第2導入口2eに接続する位置において開口している。また、第3対向面10dには、第2供給流路接続部2sの外周を囲むように第3シール材取付溝10eが形成されており、その第3シール材取付溝10eに第3外周シール材10cが嵌め込まれている。この第3外周シール材10cは、ガスケットからなり、第3ヘッダ本体10aの第3対向面10dが本体部4の第3端面4cに密着するように第3ヘッダ本体10aが本体部4に結合されたときに第2供給流路接続部2s及び複数の第2導入口2eの周りを封止し、それによって、本体部4の第3端面4cと第3ヘッダ本体10aの第3対向面10dとの間からの流体の漏出を防止する。
【0062】
また、第3シール材取付溝10eの外側を囲むように複数の第3ボルト挿通孔10fが第3ヘッダ本体10aに形成されている。この複数の第3ボルト挿通孔10fは、第3ヘッダ本体10aの第3対向面10dからその第3対向面10dと反対側の面へ当該第3ヘッダ本体10aを貫通している。この複数の第3ボルト挿通孔10fは、第3ヘッダ本体10aが本体部4に結合される状態で本体部4の第3対向面4cに形成された複数の第3ボルト穴4hと一致する位置に設けられている。第3ヘッダ本体10aは、その各第3ボルト挿通孔10fにボルト12が挿通されるとともにそのボルト12が本体部4の対応する第3ボルト穴4hに螺合されることによって本体部4に締結される。
【0063】
第2供給側コネクタ10bは、第2供給流路2kの第2供給穴2rに接続するように第3ヘッダ本体10aの厚み方向の一方の面に取り付けられている。この第2供給側コネクタ10bは、第2流体を供給するための図略の供給配管のコネクタと接続し、その供給配管から供給される第2流体を第2供給穴2rへ導入する。
【0064】
次に、本実施形態による流路構造体1の製造方法について説明する。
【0065】
本実施形態による流路構造体1の製造方法では、直方体状の基材20(図10参照)を形成し、その基材20を切断することで本体部4と、第1ヘッダ6の第1ヘッダ本体6aと、第2ヘッダ8の第2ヘッダ本体8aと、第3ヘッダ10の第3ヘッダ本体10aとを形成する。
【0066】
具体的には、まず、ステンレス等の金属からなる複数の基板を積層して接合することによって基材20を形成する。ここで、複数の基板には、上側エンドプレート22と、下側エンドプレート23と、複数枚の流通路用第1プレート24と、複数枚の流通路用第2プレート26と、複数枚の温調用プレート28とが含まれる(図11参照)。
【0067】
基材20を形成する工程では、まず、各流通路用第1プレート24の表面に、流通路2の形状に対応した形状の流通路第1溝32a(図12参照)をエッチング加工によって形成する。また、各流通路用第1プレート24において、第1供給流路2jに対応した位置に第1供給流路2jに対応した形状の第1供給用貫通穴34aを形成し、第2供給流路2kに対応した位置に第2供給流路2kに対応した形状の第2供給用貫通穴36aを形成し、回収流路2oに対応した位置に回収流路2oに対応した形状の回収用貫通穴38aを形成する。また、各流通路用第1プレート24において、温調用供給流路3bの温調用供給穴3dに対応した位置にその温調用供給穴3dに対応した形状の温調用供給貫通穴40aを形成し、温調用回収流路3cの温調用回収穴3fに対応した位置にその温調用回収穴3fに対応した形状の温調用回収貫通穴42bを形成する。
【0068】
また、各流通路用第2プレート26の裏面に、流通路2の形状に対応し且つ前記流通路第1溝32aと対称形となる流通路第2溝32b(図13参照)をエッチング加工によって形成する。また、各流通路用第2プレート26のうち流通路用第2プレート26の裏面と流通路用第1プレート24の表面に重ね合わせたときに流通路用第1プレート24の第1供給用貫通穴34a、第2供給用貫通穴36a、回収用貫通穴38a、温調用供給貫通穴40a及び温調用回収貫通穴42aと合致する位置に、第1供給用貫通穴34b、第2供給用貫通穴36b、回収用貫通穴38b、温調用供給貫通穴40b及び温調用回収貫通穴42bを形成する。第1供給用貫通穴34bは、流通路用第1プレート24の第1供給用貫通穴34aと同じ形状に形成し、第2供給用貫通穴36bは、流通路用第1プレート24の第2供給用貫通穴36aと同じ形状に形成し、回収用貫通穴38bは、流通路用第1プレート24の回収用貫通穴38aと同じ形状に形成する。また、温調用供給貫通穴40bは、流通路用第1プレート24の温調用供給貫通穴40aと同じ形状に形成し、温調用回収貫通穴42bは、流通路用第1プレート24の温調用回収貫通穴42aと同じ形状に形成する。
【0069】
また、各温調用プレート28の表面に、温調用流路3の形状に対応した形状の温調流路用溝44をエッチング加工によって形成する(図14参照)。また、各温調用プレート28において、温調用供給穴3dに対応する位置に温調用供給貫通穴46aを形成し、温調用供給流路接続部3eに対応する位置にその温調用供給流路接続部3eに対応した形状の温調用供給溝46bを形成する。また、各温調用プレート28のうち温調用回収穴3fに対応する位置に温調用回収貫通穴48aを形成し、温調用回収流路接続部3gに対応する位置にその温調用回収流路接続部3gに対応した形状の温調用回収溝48bを形成する。また、各温調用プレート28において、流通路用第1プレート24の第1供給用貫通穴34aに対応する位置に同様の第1供給用貫通穴50を形成し、流通路用第1プレート24の第2供給用貫通穴36aに対応する位置に同様の第2供給用貫通穴52を形成し、流通路用第1プレート24の回収用貫通穴38aに対応する位置に同様の回収用貫通穴54を形成する。
【0070】
また、上側エンドプレート22のうち前記各プレートの第1供給用貫通穴、第2供給用貫通穴、回収用貫通穴、温調用供給貫通穴及び温調用回収貫通穴に対応する位置に同様の第1供給用貫通穴56、第2供給用貫通穴58、回収用貫通穴60、温調用供給貫通穴62及び温調用回収貫通穴64を形成する。
【0071】
次に、1枚の温調用プレート28、流通路用第1プレート24、流通路用第2プレート26及びもう1枚の温調用プレート28をこの順番で下から上へ積層する。詳しくは、1枚の温調用プレート28の表面に流通路用第1プレート24の裏面が重なり、その流通路用第1プレート24の表面に流通路用第2プレート26の裏面が重なり、その流通路用第2プレート26の表面にもう一枚の温調用プレート28の裏面が重なるように、それらのプレートを積層する。このとき、各プレートの第1供給用貫通穴の位置、第2供給用貫通穴の位置、回収用貫通穴の位置、温調用供給貫通穴の位置及び温調用回収貫通穴の位置がそれぞれ合致するとともに、流通路用第1プレート24の流通路第1溝32aと流通路用第2プレート26の流通路第2溝32bがずれなく重なり合うように各プレートを積層する。そして、積層した4枚のプレートの重なり合う面同士を拡散接合して4枚のプレートを一体化する。そして、同様に一体化させた4枚のプレートからなるブロックを複数形成する。そして、それら複数のブロックを積み上げるとともに、最も上に上側エンドプレート22を積載し、最も下に下側エンドプレート23を配置し、それらの重なり合う面同士を拡散接合する。これによって、一体の基材20が形成され、その基材20内に流通路第1溝32aと流通路第2溝32bによって流通路2が形成される。また、温調流路用溝44が封止されることによって温調用流路3が基材20内に形成される。また、各プレートの第1供給用貫通穴が繋がることによって第1供給流路2jが形成され、各プレートの第2供給用貫通穴が繋がることによって第2供給流路2kが形成され、各プレートの回収用貫通穴が繋がることによって回収流路2oが形成される。また、各プレートの温調用供給貫通穴が繋がることによって温調用供給穴3dが形成され、各プレートの温調用回収貫通穴が繋がることによって温調用回収穴3fが形成される。
【0072】
次に、基材20を図10に示す第1切断線A、第2切断線B、第3切断線C及び第4切断線Dのそれぞれに沿って切断する切断工程を行う。
【0073】
この切断工程では、基材20を各切断線A,B,C,Dに沿ってワイヤ放電切断によって切断する。なお、第1切断線Aは、各流通路2の複数の直線流路部2fの延びる方向に対して直交する方向に延び且つ全ての第1折返し部2gを通る切断線であり、第2切断線Bは、各流通路2の複数の直線流路部2fの延びる方向に対して直交する方向に延び且つ全ての第2折返し部2hを通る切断線である。また、第3切断線Cは、第1切断線Aと第2切断線Bに直交し且つ各流通路2の第2導入口2eとその第2導入口2eに繋がる第2供給流路接続部2sとの境界を通る切断線である。また、第4切断線Dは、基材20を第3切断線Cで切断してできた端材をさらに切断する切断線であり、第2供給流路2kに対して第1供給流路2jと反対側の位置で第3切断線Cに対して直交する方向に延びる切断線である。
【0074】
このような切断工程により、基材20のうち第1切断線Aと第2切断線Bとの間の部位で且つ第3切断線Cよりも外側の部位が切り落とされた後の部位である主材20aが形成される。また、基材20のうち第1切断線Aよりも外側の部位から第3切断線Cで端材が切り落とされることによって図略の第1副材が形成され、基材20のうち第2切断線Bよりも外側の部位から第3切断線Cで端材が切り落とされることによって図略の第2副材が形成される。また、基材20のうち第3切断線Cよりも外側の部位で且つ第1切断線Aと第4切断線Dとの間に位置する部位によって図略の第3副材が形成される。
【0075】
そして、主材20aの第1切断線Aに沿った切断面には、第1折返し部2gの開口及び第1導入口2dの開口が形成され、主材20aの第2切断線Bに沿った切断面には、第2折返し部2hの開口及び導出口2iの開口が形成される。また、主材20aの第3切断線Cに沿った切断面には、第2導入口2eの開口が形成される。また、第1副材の第1切断線Aに沿った切断面には、第1供給流路接続部2qの開口が形成され、第2副材の第2切断線Bに沿った切断面には、回収流路接続部2uの開口が形成される。また、第3副材の第3切断線Cに沿った切断面には、第2供給流路接続部2sの開口が形成される。
【0076】
次に、上記のように形成した主材20aを用いて本体部4を形成する。具体的には、主材20aの第1切断線Aに沿った切断面に前記複数の第1ボルト穴4fを形成する。この切断面は、本体部4の第1端面4aとなる。また、主材20aの第2切断線Bに沿った切断面に前記複数の第2ボルト穴4gを形成する。この切断面は、本体部4の第2端面4bとなる。また、主材20aの第3切断線Cに沿った切断面に前記複数の第3ボルト穴4hを形成する。この切断面は、本体部4の第3端面4cとなる。そして、主材20aのうち上側エンドプレート22の温調用供給貫通穴62に接続するように温調用供給側コネクタ16を取り付け、主材20aのうち上側エンドプレート22の温調用回収貫通穴64に接続するように温調用回収側コネクタ18を取り付ける。このようにして、本体部4が形成される。
【0077】
また、上記のように形成した第1副材を用いて第1蓋部6を形成する。具体的には、第1副材の第1切断線Aに沿った切断面に第1シール材取付溝6eを形成する。また、第1副材に前記複数の第1ボルト挿通孔6fを当該第1副材の切断面から反対側の面へ貫通するように形成する。そして、第1シール材取付溝6eに第1外周シール材6cを嵌め込む。また、第1副材のうち上側エンドプレート22の第1供給用貫通穴56に接続するように第1供給側コネクタ6bを取り付ける。このようにして、第1蓋部6が形成される。
【0078】
また、上記のように形成した第2副材を用いて第2蓋部8を形成する。具体的には、第2副材の第2切断線Bに沿った切断面に前記第2シール材取付溝を形成する。また、第2副材に前記複数の第2ボルト挿通孔を当該第2副材の切断面から反対側の面へ貫通するように形成する。そして、第2外周シール材取付溝に第2外周シール材を嵌め込む。また、第2副材のうち上側エンドプレート22の回収用貫通穴60に接続するように回収側コネクタ8bを取り付ける。このようにして、第2蓋部8が形成される。
【0079】
また、上記のように形成した第3副材を用いて第3蓋部10を形成する。具体的には、第3副材の第3切断線Bに沿った切断面に前記第3シール材取付溝10eを形成する。また、第3副材に前記複数の第3ボルト挿通孔10fを当該第3副材の切断面から反対側の面へ貫通するように形成する。そして、第3シール材取付溝10eに第3外周シール材10cを嵌め込む。また、第3副材のうち上側エンドプレート22の第2供給用貫通穴58に接続するように第2供給側コネクタ10bを取り付ける。このようにして、第3蓋部10が形成される。
【0080】
そして、以上のように形成した本体部4に第1蓋部6、第2蓋部8及び第3蓋部10をボルト12で締結することによって流路構造体1を形成する。
【0081】
以上説明したように、本実施形態では、流路構造体1に形成された合流流体流路2cのうち直線的に延びる各直線流路部2fの一方側の端部に繋がる各第1折返し部2gが本体部4の第1端面4aにおいて開口し、その各直線流路部2fの他方側の端部に繋がる各第2折返し部2hが本体部4の第2端面4bにおいて開口し、その第1折返し部2gの開口を封止する第1蓋部6と第2折返し部2hの開口を封止する第2蓋部8が本体部4に対して着脱可能であるため、合流流体流路2cの直線流路部2f内に析出物や異物が詰まったときには、本体部4から第1蓋部6と第2蓋部8をそれらを締結しているボルト12を緩めて取り外せば、本体部4の第1端面4a側から第1折返し部2gの開口を通じて又は第2端面4b側から第2折返し部2hの開口を通じて直線流路部2f内に直線的に掃除器具を挿入して析出物や異物を取り除くことができる。また、合流流体流路2cの各折返し部2g,2h内に析出物や異物が詰まったときには、その折返し部2g,2hの開口を封止している第1蓋部6又は第2蓋部8を本体部4から取り外せば、折返し部2g,2hの開口を通じてその折返し部2g,2h内を直接清掃することができる。以上のように、本実施形態では、合流流体流路2cが一方側へ直線的に延びる部分とその部分の下流側で他方側へ直線的に延びる部分とが交互に繋がる形状を有していても、その合流流体流路2c内を十分に且つ容易に清掃することができる。
【0082】
また、本実施形態では、各流通路2の第1導入路2aが、本体部4の第1端面4aに開口するように形成された当該第1導入路2aの第1導入口2dから第2端面4b側へ直線的に延びて合流流体流路2cの上流側の端部に繋がっているとともに、各流通路2の第2導入路2bが本体部4の第3端面4cに開口するように形成された当該第2導入路2bの第2導入口2eから第4端面4d側へ直線的に延びて合流流体流路2cの上流側の端部に繋がっているため、各第1導入路2a内には、その第1導入路2aの第1導入口2dを通じて本体部4の第1端面4a側から第2端面4b側へ向かって清掃器具を直線的に挿入することができ、各第2導入路2b内には、その第2導入路2bの第2導入口2eを通じて本体部4の第3端面4c側から第4端面4d側へ向かって清掃器具を直線的に挿入することができる。このため、各第1導入路2a内又は各第2導入路2b内に析出物や異物が詰まった場合でも、それらの導入路2a,2b内を十分に且つ容易に清掃してその析出物や異物を取り除くことができる。
【0083】
また、本実施形態では、第1供給流路2jが第1蓋部本体6aに形成されているため、第1蓋部6を、複数の流通路2の第1導入口2dに第1流体を分配供給するための第1供給流路2jを有する供給側ヘッダとして利用することができる。このため、第1蓋部6とは別に供給側ヘッダを設ける場合に比べて部材点数を削減することができる。
【0084】
また、本実施形態では、回収流路2oが第2蓋部本体8aに形成されているため、第2蓋部8を、複数の流通路2の導出口2iから導出される流体を合流させて回収するための回収流路2oを有する回収側ヘッダとして利用することができる。このため、第2蓋部8とは別に回収側ヘッダを設ける場合に比べて部材点数を削減することができる。
【0085】
また、本実施形態では、流路構造体1を形成するための基材20を第1切断線A、第2切断線B、第3切断線C及び第4切断線Dのそれぞれに沿って切断し、この切断によって得た主材20a、第1副材、第2副材及び第3副材を用いて本体部4、第1蓋部6、第2蓋部8及び第3蓋部10を形成するので、材料を有効利用することができる。具体的には、第1副材から第1蓋部本体6aを形成し、第2副材から第2蓋部本体8aを形成し、第3副材から第3蓋部本体10aを形成するため、材料の無駄が生じず、それら蓋部本体6a,8a,10aを形成するために材料が別途必要となることもない。
【0086】
また、本実施形態では、元々一体であった基材20を第1折返し部2gを通る第1切断線Aと第2折返し部2hを通る第2切断線Bに沿って切断するとともに第3切断線Cに沿って切断することによって本体部4と第1蓋部本体6aと第2蓋部本体8aを形成するため、第1切断線Aに沿った本体部4の切断面(第1端面4a)と第1蓋部本体6aの切断面(第1対向面6d)とが互いに隙間なく当接可能な平行面となるとともに、第2切断線Bに沿った本体部4の切断面(第2端面4b)と第2蓋部本体8aの切断面(第2対向面)とが互いに隙間なく当接可能な平行面となる。このため、特に精密な加工を行うことなく、本体部4に両蓋部本体6a,8aを結合させた状態で第1蓋部本体6aの第1対向面6dと本体部4の第1端面4aとを密着させることができるとともに第2蓋部本体8aの第2対向面と本体部4の第2端面4bとを密着させることができ、第1折返し部2gから第1対向面6dと第1端面4aとの間を通じての流体の漏出及び第2折返し部2hから第2対向面と第2端面4bとの間を通じての流体の漏出を有効に防ぐことができる。
【0087】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0088】
例えば、図15に示すように、合流流体流路2cの直線流路部2fが複数の流路からなっていてもよい。具体的には、この変形例では、合流流体流路2cの複数の直線流路部2fのうち第1導入路2a及び第2導入路2bと繋がる直線流路部2f以外の直線流路部2fが、第1端面4aと第2端面4bとの間でそれら両端面同士を結ぶ方向に延び、並列に配置された3本の流路2wからなる。
【0089】
この変形例の構成によれば、直線流路部2fが単一の流路からなる場合に比べて、直線流路部2fに流通させる流体の流量を増やすことができる。このため、合流流体流路2cにおいて相互作用させる流体の処理量を増加させることができる。
【0090】
また、別の変形例として、第1蓋部が、本体部4の第1端面4aに形成された第1折返し部2gの開口を封止するための第1封止材とその第1封止材を第1端面4aに押圧して密着させる第1固定部材とを有し、第2蓋部が、本体部4の第2端面4bに形成された第2折返し部2hの開口を封止するための第2封止材とその第2封止材を第2端面4bに押圧して密着させる第2固定部材とを有していてもよい。
【0091】
具体的には、この変形例では、第1固定部材に第1シール材取付溝6eを形成しないとともに第1外周シール材6cを設けないこと以外は、第1固定部材を上記実施形態における第1蓋部6と同様に形成する。また、第2固定部材に第2シール材取付溝を形成しないとともに第2外周シール材を設けないこと以外は、第2固定部材を上記実施形態における第2蓋部8と同様に形成する。そして、このように形成した第1固定部材の第1対向面と本体部4の第1端面4aとの間にテフロンシート(テフロン:登録商標)又はアルミシート等からなる第1封止材を挟み込んでボルト12で第1固定部材を本体部4に締結することによって、第1封止材を本体部4の第1端面4aに密着させる。また、上記のように形成した第2固定部材の第2対向面と本体部4の第2端面4bとの間に第1封止材と同様の第2封止材を挟み込んでボルト12で第2固定部材を本体部4に締結することによって、第2封止材を本体部4の第2端面4bに密着させる。なお、第1封止材としては、本体部4の第1端面4aのうち第1折返し部2gの開口の形成領域は覆うが、第1導入口2dの開口には干渉しないような大きさ及び形状のものを用いる。また、第2封止材としては、本体部4の第2端面4bのうち第2折返し部2hの開口の形成領域は覆うが、導出口2iの開口には干渉しないような大きさ及び形状のものを用いる。
【0092】
この変形例の構成によれば、第1封止材によって、本体部4の第1端面4aに形成された全ての第1折返し部2gの開口を封止することができるとともに、第2封止材によって、本体部4の第2端面4bに形成された全ての第2折返し部2hの開口を封止することができる。このため、そのような封止材を本体部4の端面と固定部との間に挟まない場合に比べて、第1折返し部2g及び第2折返し部2hから合流流体流路2c内の流体が漏出するのを確実に防ぐことができる。
【0093】
また、流通路が有する導入路は、1つのみであってもよく、その単一の導入路に対して、当該導入路に導入された流体を流通させる流体流路が繋がっていてもよい。すなわち、この構成では、流体流路は、単一の導入路に導入された流体を下流側へ流すものである。この流体流路は、上記合流流体流路のような、一方側へ直線的に延びる部分とその部分から折り返されて他方側へ直線的に延びる部分とが交互に繋がる形状に形成されていればよい。
【0094】
また、合流流体流路に繋がる導入路は、2つ又は4つ以上であってもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、合流流体流路2cの各直線流路部2fが本体部4の第1端面4a及び第2端面4bに対して直交する方向に延びるように形成されているが、合流流体流路2cの各直線流路部2fは、本体部4の第1端面4a及び第2端面4bに対して多少斜めに延びるように形成されていてもよい。
【0096】
また、本体部の第1端面に形成された第1折返し部の開口を封止するための第1蓋部は、各第1導入口に第1流体を分配して供給するための供給流路を有していなくてもよい。この場合には、第1蓋部と、供給流路を有する供給ヘッダとが別々に設けられていてもよい。
【0097】
また、本体部の第2端面に形成された第2折返し部の開口を封止するための第2蓋部は、各導出口から導出される流体を回収するための回収流路を有していなくてもよい。この場合には、第2蓋部と、回収流路を有する排出側ヘッダとが別々に設けられていてもよい。
【0098】
また、流路構造体には必ずしも複数の流通路が形成されている必要はなく、流路構造体に形成されている流通路は1つのみであってもよい。また、温調用流路は、流路構造体に形成されていなくてもよい。
【0099】
また、上記実施形態では、基材を切断してできた第1副材、第2副材及び第3副材を利用して第1蓋部、第2蓋部及び第3蓋部を形成したが、その基材とは別の材料を用いて第1蓋部、第2蓋部及び第3蓋部を形成してもよい。
【0100】
また、上記実施形態では、基材の形成工程において、積層した基板の重なり合う面同士を拡散接合することによってそれらの基板を一体化したが、このような方法以外の結合方法によって積層した基板を一体化させてもよい。例えば、重ね合わせた基板同士をろう付けすることによってそれらの基板同士を一体化させてもよい。
【符号の説明】
【0101】
1 流路構造体
2 流通路
2a 第1導入路(導入路、特定の導入路)
2b 第2導入路(導入路)
2c 合流流体流路(流体流路)
2d 第1導入口
2e 第2導入口
2f 直線流路部
2g 第1折返し部
2h 第2折返し部
2i 導出口
2j 第1供給流路(供給流路)
2o 回収流路
4 本体部
4a 第1端面
4b 第2端面
6 第1蓋部
8 第2蓋部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が導入される少なくとも1つの導入路とその少なくとも1つの導入路に導入された流体を流通させる流体流路とを有する流通路が形成された流路構造体であって、
第1端面及びその第1端面と反対側を向く第2端面を有する本体部と、
前記本体部の前記第1端面に対向するように配置され、前記本体部に対して着脱可能となるように結合される第1蓋部と、
前記本体部の前記第2端面に対向するように配置され、前記本体部に対して着脱可能となるように結合される第2蓋部とを備え、
前記流体流路は、特定方向において一方側へ直線的に延びる部分とその部分から折り返されて前記一方側と反対の他方側へ直線的に延びる部分とが交互に繋がる形状に形成され、
前記本体部の内部には、前記流体流路のうちの直線的に延びる複数の部分を構成する複数の直線流路部が前記第1端面と前記第2端面との間でそれら両端面同士を結ぶ方向に延びるように形成され、
前記本体部の前記第1端面には、前記流体流路のうちの前記一方側へ直線的に延びる部分とその下流側に配置されて前記他方側へ直線的に延びる部分の前記一方側の端部同士を繋ぐ部分である第1折返し部が開口するように形成され、
前記本体部の前記第2端面には、前記流体流路のうちの前記他方側へ直線的に延びる部分とその下流側に配置されて前記一方側へ直線的に延びる部分の前記他方側の端部同士を繋ぐ部分である第2折返し部が開口するように形成され、
前記第1蓋部は、前記第1端面に形成された前記第1折返し部の開口を封止するようにその第1端面に接触した状態で前記本体部に結合され、
前記第2蓋部は、前記第2端面に形成された前記第2折返し部の開口を封止するようにその第2端面に接触した状態で前記本体部に結合される、流路構造体。
【請求項2】
前記導入路は、当該導入路に流体を導入するための導入口を有し、
前記導入路の前記導入口は、前記本体部の外面の所定の部位に開口するように形成され、
前記導入路は、その導入口から直線的に延びて前記流体流路に繋がるように前記本体部に形成されている、請求項1に記載の流路構造体。
【請求項3】
前記導入路は、当該導入路に流体を導入するための導入口を有し、
前記少なくとも1つの導入路には、前記第1端面において前記導入口が開口するように形成された導入路である特定の導入路が含まれ、
前記流路構造体には、複数の前記流通路が形成され、
前記第1蓋部には、当該第1蓋部が前記本体部に結合された状態で前記複数の流通路の前記特定の導入路の前記導入口にそれぞれ接続され、その各導入口に流体を分配して供給するための供給流路が形成されている、請求項1に記載の流路構造体。
【請求項4】
前記流路構造体には、複数の前記流通路が形成され、
前記各流通路の前記流体流路は、前記本体部の前記第2端面において開口し、当該流体流路内から流体を導出するための導出口を有し、
前記第2蓋部には、当該第2蓋部が前記本体部に結合された状態で前記複数の流通路の前記流体流路の前記導出口にそれぞれ接続され、その複数の導出口から導出される流体を合流させて回収するための回収流路が形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の流路構造体。
【請求項5】
前記流通路は、複数の前記導入路を有し、当該流通路の前記流体流路は、その複数の導入路に導入された複数の流体が合流した合流流体を流通させる合流流体流路である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の流路構造体。
【請求項6】
前記各直線流路部は、前記第1端面と前記第2端面との間でそれら両端面同士を結ぶ方向に延び、並列に配置された複数の流路からなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の流路構造体。
【請求項7】
前記第1蓋部は、前記第1端面に形成された前記第1折返し部の開口を封止するための第1封止材と、前記本体部に対して着脱可能となるように結合され、前記本体部に結合された状態で前記第1端面との間に前記第1封止材を挟み込んでその第1封止材が前記第1折返し部の開口を封止するようにその第1封止材を前記第1端面に密着させる第1固定部材とを有し、
前記第2蓋部は、前記第2端面に形成された前記第2折返し部の開口を封止するための第2封止材と、前記本体部に対して着脱可能となるように結合され、前記本体部に結合された状態で前記第2端面との間に前記第2封止材を挟み込んでその第2封止材が前記第2折返し部の開口を封止するようにその第2封止材を前記第2端面に密着させる第2固定部材とを有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の流路構造体。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の流路構造体を製造するための方法であって、
前記流通路を内部に有する基材を形成する基材形成工程と、
前記各直線流路部が延びる方向に対して交差する方向に延び且つ前記第1折返し部を通る第1切断線と、前記各直線流路部が延びる方向に対して交差する方向に延び且つ前記第2折返し部を通る第2切断線とに沿って前記基材を切断する切断工程と、
前記切断工程において切断された前記基材の前記第1切断線と前記第2切断線との間の部位によって前記本体部を形成する本体部形成工程と、
前記切断工程において切断された前記基材の前記第1切断線よりも外側の部分によって前記第1蓋部を形成する第1蓋部形成工程と、
前記切断工程において切断された前記基材の前記第2切断線よりも外側の部分によって前記第2蓋部を形成する第2蓋部形成工程とを備えた、流路構造体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−56315(P2013−56315A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197183(P2011−197183)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】