説明

流路管内調査装置、流路管内調査装置を利用した管内調査方法、流路管内調査方法における未回収物の回収方法

【課題】この発明は、構造を簡略して製造コストを低減でき、長距離の流路管の調査にも容易に適用でき、流路管内を調査する際の作業費用を低減でき、未回収物となった流路管内調査装置を容易に回収することを目的とする。
【解決手段】この発明は、筒壁部の軸線方向一端側を端壁部により閉塞し、軸線方向他端側を円錐壁部により閉塞した装置本体を設け、この装置本体は、水平ガイド板及び垂直ガイド板を設け、右側・左側ガイド板を設け、下側ガイド板を設け、装置本体内には、調査対象の流路管内を撮影する撮影手段及び流路管内を照射する照明手段を配設し、撮影した管内画像を記憶する記憶装置及び電源を供給するバッテリを配設し、筒壁部の右側・左側ガイド板よりも下側部分が調査対象の流路管内の流水の水面下に位置するように装置本体の流水に対する浮き姿勢を規制するバランスウエイトを配設したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は流路管内調査装置、流路管内調査装置を利用した管内調査方法、流路管内調査方法における未回収物の回収方法に係り、特に、構造を簡略して製造コストを低減し、流路管内を調査する際の作業費用を低減し、長距離の流路管の調査にも適用し得る流路管内調査装置、流路管内調査装置を利用した流路管内調査方法、流路管内調査方法における未回収物の回収方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地盤に埋設した水道管や下水管等の流路管内の点検や調査は、各種の装置により行っている。従来の流路管内調査装置には、調査対象の流路管内に投入する装置本体にテレビカメラ等の撮影手段やライト等の照明手段を搭載したものがある。流路管内調査装置による調査方法においては、装置本体に電源供給用や速度調整用のケーブルを接続し、調査対象の流路管内に上流側から流路管内調査装置を投入して下流側まで流下させる間に撮影手段により流路管内を撮影し、得られた管内画像を基に流路管内を調査している。
【特許文献1】特開平5−346027号公報
【特許文献2】特開平7−216972号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、従来の流路管内調査装置は、流路管内面との衝突を防止するための複数のスクリューを設けたり(特許文献1)、浮力タンクや載置プレートからなる水上航行体にテレビカメラや映像変換装置からなる撮影装置を搭載しているため、構造が複雑になる問題がある。
【0004】
また、従来の流路管内調査方法においては、カメラ等を搭載した流路管内調査装置に電源供給用や速度調整用のケーブルを接続し、流路管内を流下させることで調査を行っている。
【0005】
ところが、近年は、流路管が長距離化しており、流路管内調査装置に接続するケーブル長さの制限から、ケーブルを使用した流路管内調査装置による調査を長距離化した流路管に適用できない問題がある。また、ケーブルを使用した流路管内調査装置による調査においては、ケーブルを巻出し、巻取るためのケーブル機器の設置やケーブル機器による巻出し、巻取り作業を必要とすることから、調査の作業費用が多くなる問題がある。さらに、ケーブルを使用した流路管内調査装置による調査においては、ケーブルが流路管内の突起部分や湾曲部分に接触、摺接することから、流路管内面を損傷させる問題があるとともに、ケーブルが流路管内の突起部分や湾曲部分、滞留する異物に引っ掛かって、流路管内調査装置の流下の妨げとなる問題がある。
【0006】
このように問題に対しては、ケーブルを使用せずに流路管内調査装置を流下させて調査を行うことが考えられるが、流路管内調査装置が管の途中に引っ掛かって下流側まで到達せずに未回収物となった場合に、回収が困難になる問題がある。
【0007】
この発明は、構造を簡略して製造コストを低減でき、長距離の流路管の調査にも容易に適用でき、流路管内を調査する際の作業費用を低減でき、未回収物となった流路管内調査装置を容易に回収することができる流路管内調査装置、流路管内調査装置を利用した管内調査方法、流路管内調査方法における未回収物の回収方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、円筒形状の筒壁部の軸線方向一端側を端壁部により閉塞するとともに軸線方向他端側を先細り形状の円錐壁部により閉塞した装置本体を設け、この装置本体は、前記筒壁部の軸線を水平方向に指向させた姿勢において、前記端壁部の外面に夫々水平方向及び垂直方向に延び且つ軸線上で交差する水平ガイド板及び垂直ガイド板を設け、前記筒壁部の軸線と交差する水平方向右側・左側の各外面に夫々軸線方向に伸びる右側・左側ガイド板を設け、前記筒壁部の軸線と交差する垂直方向下側の外面に軸線方向に伸びる下側ガイド板を設け、前記装置本体内には、前記端壁部の水平ガイド板及び垂直ガイド板により区画された4つ領域に夫々調査対象の流路管内を撮影する撮影手段及び流路管内を照射する照明手段を配設し、これら撮影手段及び照明手段を動作させて撮影した管内画像を記憶する記憶装置及び電源を供給するバッテリを配設し、前記筒壁部の右側・左側ガイド板よりも下側部分が調査対象の流路管内の流水の水面下に位置するように前記装置本体の流水に対する浮き姿勢を規制するバランスウエイトを配設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明の流路管内調査装置は、筒壁部を端壁板と円錐壁部とにより閉塞して密閉した装置本体の外面にガイド板を設けているので、ガイド板によって流路管内面との接触を和らげながら下流側へスムーズに流下させることができ、密閉した装置本体内に撮影手段及び照明手段と記憶装置及びバッテリとを配設し、且つバランスウエイトを配設しているので、調査対象の流路管内を流下しながら端壁部の4つ領域に夫々配設した撮影手段及び照明手段によって上右、上左、下右、下左の4つの管内画像を撮影して記憶することができ、ケーブルを接続することなく長距離化した流路管の管内画像を得ることができる。
これにより、この発明の流路管内調査装置は、衝突防止用のスクリューを必要とせずにスムーズに流下させることができるので、構造を簡略化して製造コストを低減することができ、ケーブルを接続する必要がないので、長距離の流路管の調査にも容易に適用でき、ケーブル機器の設置やケーブルの巻取り、巻出し作業を必要としないので、流路管内を調査する際の作業費用を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この発明は、閉塞して密閉した装置本体の外面にガイド板を設け、密閉した装置本体内に撮影手段及び照明手段と記憶装置及びバッテリとを配設し、且つバランスウエイトを配設することで、ケーブルを接続することなく長距離化した流路管の管内画像を得て、構造を簡素化するものである。
以下、図面に基づいてこの発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0011】
図1〜図12は、この発明の実施例を示すものである。図1において、2は流路管、4は流水、6は流路管内調査装置である。流路管内調査装置6は、調査対象の流路管2に投入し、流水4に浮かべて流下する間に流路管2内を撮影して管内画像を得るものである。
【0012】
流路管内調査装置6は、図1・図2に示すように、筒壁部8を端壁部10と円錐壁部12とにより構成される装置本体14を設けている。装置本体14は、円筒形状の筒壁部8の軸線L方向一端側を円板状の端壁部10により閉塞するとともに、軸線L方向他端側を先細り形状の円錐壁部12により閉塞し、内部を密閉している。円錐壁部12の先端には、吊り下げ用のフック16を設けている。
【0013】
この装置本体14は、水平ガイド板18及び垂直ガイド板20と、右側・左側ガイド板22・24と、下側ガイド板26とを設けている。水平ガイド板18及び垂直ガイド板20は、円弧板形状に形成され、筒壁部8の軸線Lを水平H方向に指向させた姿勢において、円板状の端壁部8の外面に、夫々水平H方向及び垂直V方向に延び且つ軸線L上で交差するように設けている。水平ガイド板18及び垂直ガイド板20の交差する先端には、吊り下げ用のフック28を設けている。
【0014】
右側・左側ガイド板22・24は、長四角板形状に形成され、筒壁部8の軸線Lを水平H方向に指向させた姿勢において、筒壁部8の軸線Lと交差する水平H方向右側・左側の各外面に、夫々軸線L方向に伸びるように設けている。右側・左側ガイド板22・24の軸線L方向両端には、夫々右側・左側ガイドローラ30・32を設けている。下側ガイド板26は、長四角板形状に形成され、筒壁部8の軸線Lを水平H方向に指向させた姿勢において、筒壁部8の軸線Lと交差する垂直V方向下側の外面に、軸線L方向に伸びるように設けている。
【0015】
また、装置本体14は、筒壁部8の軸線Lを水平H方向に指向させた姿勢において、筒壁部8の軸線Lと交差する垂直V方向上側に、平面部34を形成している。平面部34は、筒壁部8上側の外面よりも窪ませて形成され、軸線L方向一側を一側傾斜面36により筒壁部8上側に連続し、軸線L方向他側を他側傾斜面38により筒壁部8上側に連続している。この平面部34には、2つの第1・第2取扱用開口部40・42を形成し、これら2つの第1・第2取扱用開口部40・42に着脱可能な第1・第2防水キャップ44・46を設けている。第1・第2防水キャップ44・46は、第1・第2取扱用開口部40・42を封止して装置本体14の内部を密閉する。
【0016】
前記装置本体14内には、図2に示すように、撮影手段であるカメラ48、照明手段であるライト50、記憶装置52、バッテリ54、バランスウエイト56を配設している。
【0017】
前記カメラ48は、動画・静止画を撮影可能なビデオカメラ等からなり、図1に示すように、端壁部8の水平ガイド板18及び垂直ガイド板20により区画された4つ領域に、夫々レンズ部分を端壁部8から外方に臨ませて配設している。これにより、調査対象の流路管2内を撮影するカメラ48は、上右の領域に配設した第1カメラ48−1、上左の領域に配設した第2カメラ48−2、下右の領域に配設した第3カメラ48−3、下左の領域に配設した第4カメラ48−4の4つからなり、流路管2内の上右、上左、下右、下左の各領域を夫々撮影する。
【0018】
前記ライト50は、端壁部8の水平ガイド板18及び垂直ガイド板20により区画された4つ領域に、夫々光源部分を端壁部8から外方に臨ませて配設している。これにより、調査対象の流路管2内を照射するライト50は、上右の領域に配設した複数個の第1ライト50−1、上左の領域に配設した複数個の第2ライト50−2、下右の領域に配設した複数個の第3ライト50−3、下左の領域に配設した複数個の第4ライト50−4の4つからなり、流路管2内の上右、上左、下右、下左の各領域を夫々照射する。
【0019】
前記記憶装置52は、カメラ48及びライト50を動作させて撮影した管内画像を記憶する。記憶装置50は、図3に示すように、レコーダ58と、分割ユニット60と、スイッチボックス62とから構成している。
【0020】
レコーダ58は、第1〜第4カメラ48−1〜48−4が撮影した管内画像をSDメモリカード等の記憶媒体64に記憶させるとともに、記憶した管内画像を表示させるモニタ66を備えている。モニタ66は、上右、上左、下右、下左に4分割し、第1〜第4カメラ48−1〜48−4が撮影した管内画像を表示する。分割ユニット60は、レコーダ58と第1〜第4カメラ48−1〜48−4との間で信号を分配する。スイッチボックス62は、第1〜第3スイッチ62−1〜62−3を備え、これら第1〜第3スイッチ62−1〜62−3をレコーダ58と分割ユニット60と第1〜第4ライト50−1〜50−4とに接続し、バッテリ54からの電源を供給・遮断する。
【0021】
前記バッテリ54は、カメラ48、ライト50、記憶装置52に電源を供給する。バッテリ54は、平面部34の軸線L方向他側の他側傾斜面38に設けた充電用端子68に接続している。バッテリ54は、充電用端子68に接続した外部電源により充電される。
【0022】
前記装置本体14内には、図2に示すように、筒壁部8の2つの第1・第2取扱用開口部40・42下側の内面に位置させて、レコーダ58とスイッチボックス62とを夫々配設している。また、装置本体14内には、筒壁部8の軸線Lと交差する垂直V方向下側の内面にバッテリ54を配設し、このバッテリ54の上方且つレコーダ58とスイッチボックス62との下方の間に位置させて分割ユニット60を配設している。
【0023】
さらに、装置本体14内には、前記バランスウエイト56を配設している。バランスウエイト56は、筒壁部8の右側・左側ガイド板22・24よりも下側部分が、調査対象の流路管2内の流水4の水面下に位置するように、装置本体14の流水に対する浮き姿勢を規制する。バランスウエイト56は、筒壁部8の下側の内面に配設されたバッテリ54による前後左右のバランスを考慮して、バッテリ54の軸線L方向一側に配設される第1バランスウエイト56−1と、軸線L方向他側に配設される第2バランスウエイト56−2とから構成する。
【0024】
この流路管内調査装置6は、流路管内調査方法に利用される。流路管内調査装置6は、スイッチボックス62によりバッテリ54からカメラ48、ライト50、記憶装置52に電源を供給し、第1・第2取扱用開口部40・42を第1・第2防水キャップ44・46により閉鎖し、フック16・28を利用して調査対象の流路管2内に吊り下げて、流路管2の上流側から筒壁部8の端壁板10を下流側に向けて投入する。投入された流路管2内の流路管内調査装置6は、筒壁部8の右側・左側ガイド板22・24よりも下側部分を流水4の水面下に位置させる状態で浮かび、筒壁部8の端壁板10を下流側に向けて流下する間に、流路管2内の前方を4つの第1〜第4カメラ48−1〜48−4で撮影し、水面上の上右、上左、水面下の下右、下左の4つの管内画像を記憶媒体64に記憶させる。
【0025】
流路管内調査装置6は、調査対象の流路管2の下流側に流下すると回収される。回収された流路管内調査装置6は、第2取扱用開口部42から第2防水キャップ46を外すことで、記憶した流路管2内の4つの管内画像をモニタ66に上右、上左、下右、下左に4分割して表示させ、得られた管内画像により流路管2内を調査することができる。また、回収された流路管内調査装置6は、第1取扱用開口部40から第1防水キャップ44を外すことで、スイッチボックス62によりバッテリ54からカメラ48、ライト50、記憶装置52への電源を遮断することができる。
【0026】
このように、この流路管内調査装置6は、筒壁部8を端壁板10と円錐壁部12とにより閉塞して密閉した装置本体14の外面にガイド板18〜26を設け、また、この実施例ではガイドローラ30・32を設けているので、ガイド板18〜26及びガイドローラ30・32によって流路管2内面との接触を和らげながら下流側へスムーズに流下させることができ、密閉した装置本体14内にカメラ48及びライト50と記憶装置52及びバッテリ54とを配設し、且つバランスウエイト56を配設しているので、調査対象の流路管2内を流下しながら端壁部10の4つ領域に夫々配設した第1〜第4カメラ48−1〜48−4及び第1〜第4ライト50−1〜50−4によって流路管2前方の上右、上左、下右、下左の4つの管内画像を撮影して記憶することができ、ケーブルを接続することなく長距離化した流路管の管内画像を得ることができる。
【0027】
これにより、この流路管内調査装置6は、従来の衝突防止用のスクリューを必要とせずに流路管2内をスムーズに流下させることができるので、構造を簡略化して製造コストを低減することができ、ケーブルを接続する必要がないので、長距離の流路管2の調査にも容易に適用でき、ケーブル機器の設置やケーブルの巻取り、巻出し作業を必要としないので、流路管2内を調査する際の作業費用を低減できる。
【0028】
なお、この実施例の流路管内調査装置6は、筒壁部8の軸線L方向一端側の端壁部8に前方を撮影及び照射するカメラ48及びライト50を配設したが、図4に示すように、筒壁部8の周囲に側方を撮影及び照射するカメラ48及びライト50を配設してもよく、また、端壁部10と筒壁部8との両方にカメラ48及びライト50を配設してもよい。さらに、この実施例の流路管内調査装置6は、カメラ48の撮影方向を固定したが、モータ等を利用して撮影方向を可変可能とすることができ、撮影した管内画像を記憶媒体64に記憶させたが、無線を使用して流路管2外部に送信することもできる。
【0029】
この流路管内調査装置6を利用して流路管2内を調査する流路管内調査方法は、図5に示すように、作業計画を作成し(S01)、図6に示すように、地盤Gに埋設した調査対象の流路管2の上流側・下流側の各開口部70・72に作業に必要な足場、機材74・76等の仮設・設置を行い、且つ図1〜図3に示すように、調査対象の流路管2内の管内画像を撮影して記録する前記流路管内調査装置6を設け、図7に示すように、この流路管内調査装置6の筒壁部8と同等の断面積を有する球状浮力体78を設け、図8に示すように、流路管内調査装置6と同等の外形及び質量を有するダミー装置80を設けて準備する(S02)。
【0030】
仮設・準備(S02)が完了した後に、調査対象の流路管2内に上流側の開口部70から球状浮力体78を投入し、下流側の開口部72まで流下させて回収することで球状浮力体流下テストを行う(S03)。球状浮力体流下テスト(S03)では、球状浮力体78の投入から回収までに要した時間、損傷状況、到達状況等の球状浮力体流下情報を得る。この球状浮力体流下テスト(S03)は、1回以上行い、得られた球状浮力体流下情報からダミー装置80の投入に支障があるかないかを確認する。
【0031】
ダミー装置80の投入に支障がないことを確認(S03:YES)した場合には、調査対象の流路管2内に上流側の開口部70からダミー装置80を投入し、下流側の開口部72まで流下させて回収することでダミー装置流下テストを行う(S04)。ダミー装置80は、筒壁部80aを下流側に向けて投下する。ダミー装置流下テスト(S04)では、ダミー装置80の投入から回収までに要した時間、損傷状況、到達状況等のダミー装置流下情報を得る。このダミー装置流下テスト(S04)は、1回以上行い、得られたダミー装置流下情報から流路管内調査装置6の投入に支障があるかないかを確認する。
【0032】
流路管内調査装置6の投入に支障がないことを確認(S04:YES)した場合には、調査対象の流路管2内に上流側の開口部70から流路管内調査装置6を投下し、下流側の開口部72まで流下させて回収することで流路管2内の調査を行う(S05)。このとき、流路管内調査装置6は、筒壁部8の端壁板10を下流側に向けて投入する。
【0033】
流路管2内の調査(S05)では、流路管内調査装置6の投入から回収までに要した時間、損傷状況、到達状況等の流路管内調査装置流下情報を得て、カメラ48により流路管2内の前方を撮影して流路管2前方の上右、上左、下右、下左の4つの管内画像を得て、得られた管内画像を基に流路管2内を調査する。この流路管2内の調査(S05)においては、記録された管内画像の内容によってはカメラ48の方向、ライト50の照明強度、流路管内調査装置6の浮き姿勢の調整等を実施して1回以上の調査を行い、調査により十分なデータが得られたかを確認する。
【0034】
流路管内調査装置6の調査により十分なデータが得られたことを確認(S05:YES)した場合は、調査を終了してデータの整理・解析を行う(S06)。
【0035】
一方、前記球状浮力体流下テスト(S03)において、ダミー装置80の投入に支障があることを確認(S03:NO)した場合、また、前記ダミー装置流下テスト(S04)において、流路管内調査装置6の投入に支障があることを確認(S04:NO)した場合、さらに、前記流路管2内の調査(S05)において、十分なデータが得られないことを確認(S05:NO)した場合には、得られた各情報から情況分析を行い(S07)、計画変更を行い(S08)、作業計画の作成(S01)に戻る。
【0036】
また、前記情況分析(S07)において、球状浮力体78とダミー装置80と流路管内調査装置6とのいずれかが下流側まで到達せずに未回収となった場合には、回収作業を行い(S09)、計画変更を行い(S08)、作業計画の作成(S01)に戻る。
【0037】
このように、流路管内調査装置6を利用した流路管内調査方法は、調査対象の流路管2内に上流側の開口部70から球状浮力体78とダミー装置80と流路管内調査装置6とを順次に投入して下流側の開口部72まで流下させることで、流路管内調査装置6により得た管内画像に基づいて流路管2内を調査することができる。
【0038】
これにより、この流路管内調査方法は、調査対象の流路管2内の流下情況を確認しながら、ケーブルを使用せずに流路管内調査装置6を流下させて調査を行うことができるので、流路管内調査装置6が流路管2の途中に引っ掛かることもなく、長距離の流路管2の調査にも容易に適用でき、ケーブル機器の設置やケーブルの巻取り、巻出し作業を必要としないので、流路管2内を調査する際の作業費用を低減できる。
【0039】
前記流路管内調査方法の回収作業(S09)においては、流路管内調査方法における未回収物の回収方法により回収を行う。未回収物の回収方法は、図9に示すように、調査対象の流路管2の上流側の開口部70及び下流側の開口部72に流路管2内の上方天井側を仕切り、下方底部側を流水4が流下可能な範囲に調整するゲート板82・84を設置し、下流側のゲート板84の下流側に回収ネット86を設置し、2枚のゲート板82・84により仕切られた流路管2内の流水4の水面上の空間88を監視するカメラ90及びモニタ92を設置し、空間88に圧縮空気を送り込む圧縮機94及び空気ダクト96を設置している。
【0040】
この未回収物の回収方法は、2枚のゲート板82・84により仕切られた流路管2内の流水4の水面上の空間88を、カメラ90及びモニタ92で監視しながら圧縮空気を送りことにより、2枚のゲート板82・84により仕切られた流路管2内の流水4の水位をゲート板82・84の下端まで押し下げることができ、且つ流水4の流速を速めることができるので、未回収物となった例えば流路管内調査装置6を下流側の開口部72まで流下させ、回収ネット86により回収することができる。
【0041】
なお、図9に示すゲート板82・84は、別の手段に変更することもできる。例えば、図10に示す未回収物の回収方法は、図8のゲート板82・84に代えて、調査対象の流路管2の上流側の開口部70及び下流側の開口部72に流路管2内の上方天井側を仕切り、下方底部側を流水4が流下可能な範囲に調整する空気圧で膨張可能な膨張体98・100をロープやサポート等の支持部材102・104により設置し、下流側の膨張体100の下流側に回収ネット86を設置し、2つの膨張体98・100により仕切られた流路管2内の流水4の水面上の空間88を監視するカメラ90及びモニタ92を設置し、空間88に圧縮空気を送り込む圧縮機94及び空気ダクト96を設置している。
【0042】
この未回収物の回収方法は、2つの膨張体98・100により仕切られた流路管2内の流水4の水面上の空間88を、カメラ90及びモニタ92で監視しながら圧縮空気を送りことにより、2つの膨張体98・100により仕切られた流路管2内の流水4の水位を膨張体98・100の下端まで押し下げることができ、且つ流水4の流速を速めることができるので、未回収物となった例えば流路管内調査装置6を下流側の開口部72まで流下させ、回収ネット86により回収することができる。
【0043】
このように、流路管内調査方法における未回収物の回収方法においては、調査対象の流路管2内の流水4の速度を速めるように水位を変化させることで、未回収物となった球状浮力体78、又はダミー装置80、あるいは流路管内調査装置6を容易に回収することができる。また、図9・図10に示す未回収物の回収方法は、水位を変化させることで未回収物を回収したが、調査対象の流路管2内の流水4に波を生起するように、送水源の送水量の調整及びゲートの開閉量の調整等によって、水位及び水量を変化させることで、波の力を利用して未回収物を下流側の開口部72まで流下させて回収することもできる。
【0044】
さらに、図11に示す回収方法は、空気流を利用して未回収物を回収するものである。この未回収物の回収方法は、調査対象の流路管2の上流側の開口部70に送風機106の送風ダクト108を設置し、下流側の開口部72に回収ネット86を設置するとともに回収ネット86の下流側に排風機110の排風ダクト112を設置し、下流側の開口部72の排風ダクト112を除く部分を密閉する密閉体114を設置し、流路管2内の流水4の水面上の空間88を監視するカメラ90及びモニタ92を設置している。
【0045】
この未回収物の回収方法は、調査対象の流路管2内の流水4の水面上の空間88を、カメラ90及びモニタ92で監視しながら空気を送ることにより、下流側に向かう空気流によって未回収物となった例えば流路管内調査装置6を下流側の開口部72まで流下させ、回収ネット86により回収することができる。
【0046】
これにより、流路管内調査方法における未回収物の回収方法においては、調査対象の流路管2内の流水4の速度を速めるように水位を変化させ、又は、調査対象の流路管2内の流水4に波を生起するように水位及び水量を変化させ、若しくは、調査対象の流路管2内の空間88に空気流を生起するように空気を送給することで、未回収物を下流側に流下させて回収することができる。
【0047】
なお、上記水位の変化、水位及び水量を変化、空気流による未回収物の回収方法は、前述流路管内調査方法にも適用することができる。また、空気流を利用した調査方法・回収方法においては、流路管2内の流水4が僅かか、無い場合には流水4を利用しての調査・回収が困難となる。そこで、空気流を利用して調査・回収する場合は、例えば、図12に示すように、流路管内調査装置6に車輪116を取り付けることで、調査・回収が可能となる。
【0048】
また、前記流路管内調査装置6は、前方が円筒形状で後方が円錐形状の略柱状体に形成したが、図13・図14に示すように、半球形状あるいは角錐台形状を組み合わせた略球状体に形成した流路管内調査装置118とすることもできる。図13に示す流路管内調査装置118は、下側に膨らんだ半球形状の水中部120と上側に突出する八角錐台形状の気中部122とからなる装置本体124を設け、水中部120と気中部122との接合部分をパッキングを介してボルト締めで接合して防水構造とし、水中部120と気中部122との各壁面を2重壁構造とし、装置本体124内を減圧することでパッキングを吸い付かせて防水している。
【0049】
水中部120と気中部122との接合部分には、円環形状のガイド板126を設けている。水中部120には、前側最上部から最下部を経て後側途中まで続く下側開度板128を設けている。気中部122には、前側及び後側に夫々前側ガイド板130及び後側ガイド板132を設けている。水中部120と気中部122とには、撮影手段であるカメラ134を内蔵している。
【0050】
この流路管内調査装置118は、例えば、図14に示すように、前側ガイド板130及び後側ガイド板132に対して異ならせた位置にカメラ134を配置した複数個の気中部122を準備し、水の流れに対して重点的に撮影したい方向にカメラ134を配置した気中部122を選択して水中部120に接合することで、撮影する方向を容易に変更することができる。この流路管内調査装置118は、無線通信機を内蔵しており、流路管内を調査する際に、中継ボックスを連凧のように上流側から流し、反射させて無線で管内画像を送信する。その結果、舵の向きを変える。
【産業上の利用可能性】
【0051】
この発明の流路管内調査装置は、密閉した装置本体内に撮影手段及び照明手段と記憶装置及びバッテリとバランスウエイトとを配設しているので、密閉された流体が流れる空間内の調査に使用することができるる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】実施例を示す流路管内調査装置の斜視図である。
【図2】流路管内調査装置の断面図である。
【図3】カメラとライトと記憶装置とバッテリとの回路図である。
【図4】流路管内調査装置の変形例を示す略斜視図である。
【図5】流路管内調査方法の作業フローチャートである。
【図6】調査対象の流路管の断面図である。
【図7】球状浮力体の斜視図である。
【図8】ダミー装置の斜視図である。
【図9】未回収物の回収方法を示す調査対象の流路管の断面図である。
【図10】未回収物の別の回収方法を示す調査対象の流路管の断面図である。
【図11】未回収物のさらに別の回収方法を示す調査対象の流路管の断面図である。
【図12】未回収物の回収方法の変形例を示す調査対象の流路管の断面図である。
【図13】流路管内調査装置の変形例を示し、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は背面図である。
【図14】図13の流路管内調査装置の使用状態を示し、(A)はカメラを前側に向けた平面図、(B)はカメラを右前側に向けた平面図、(C)はカメラを後側に向けた平面図である。
【符号の説明】
【0053】
2 流路管
4 流水
6 流路管内調査装置
8 筒壁部
10 端壁部
12 円錐壁部
14 装置本体
18 水平ガイド板
20 垂直ガイド板
22 右側ガイド板
24 左側ガイド板
26 下側ガイド板
34 平面部
40 第1取扱用開口部
42 第2取扱用開口部
44 第1防水キャップ
46 第2防水キャップ
48 カメラ
50 ライト
52 記憶装置
54 バッテリ
56 バランスウエイト
58 レコーダ
60 分割ユニット
62 スイッチボックス
64 記憶媒体
66 モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形状の筒壁部の軸線方向一端側を端壁部により閉塞するとともに軸線方向他端側を先細り形状の円錐壁部により閉塞した装置本体を設け、
この装置本体は、前記筒壁部の軸線を水平方向に指向させた姿勢において、
前記端壁部の外面に夫々水平方向及び垂直方向に延び且つ軸線上で交差する水平ガイド板及び垂直ガイド板を設け、
前記筒壁部の軸線と交差する水平方向右側・左側の各外面に夫々軸線方向に伸びる右側・左側ガイド板を設け、
前記筒壁部の軸線と交差する垂直方向下側の外面に軸線方向に伸びる下側ガイド板を設け、
前記装置本体内には、
前記端壁部の水平ガイド板及び垂直ガイド板により区画された4つ領域に夫々調査対象の流路管内を撮影する撮影手段及び流路管内を照射する照明手段を配設し、
これら撮影手段及び照明手段を動作させて撮影した管内画像を記憶する記憶装置及び電源を供給するバッテリを配設し、
前記筒壁部の右側・左側ガイド板よりも下側部分が調査対象の流路管内の流水の水面下に位置するように前記装置本体の流水に対する浮き姿勢を規制するバランスウエイトを配設したことを特徴とする流路管内調査装置。
【請求項2】
円筒形状の筒壁部の軸線方向一端側を端壁部により閉塞するとともに軸線方向他端側を先細り形状の円錐壁部により閉塞した装置本体を設け、
この装置本体は、前記筒壁部の軸線を水平方向に指向させた姿勢において、
前記端壁部の外面に夫々水平方向及び垂直方向に延び且つ軸線上で交差する水平ガイド板及び垂直ガイド板を設け、
前記筒壁部の軸線と交差する水平方向右側・左側の各外面に夫々軸線方向に伸びる右側・左側ガイド板を設け、
前記筒壁部の軸線と交差する垂直方向下側の外面に軸線方向に伸びる下側ガイド板を設け、
前記装置本体内には、
前記端壁部の水平ガイド板及び垂直ガイド板により区画された4つ領域に夫々調査対象の流路管内を撮影する撮影手段及び流路管内を照射する照明手段を配設し、
これら撮影手段及び照明手段を動作させて撮影した管内画像を記憶する記憶装置及び電源を供給するバッテリを配設し、
前記筒壁部の右側・左側ガイド板よりも下側部分が調査対象の流路管内の流水の水面下に位置するように前記装置本体の流水に対する浮き姿勢を規制するバランスウエイトを配設した流路管内調査装置を設け、
この流路管内調査装置と同等の断面積を有する球状浮力体を設け、
前記流路管内調査装置と同等の外形及び質量を有するダミー装置を設け、
調査対象の流路管内に上流側から前記球状浮力体を投入して下流側まで流下させることで球状浮力体流下情報を得て、
得られた球状浮力体流下情報から前記ダミー装置の投入に支障がないことを確認した場合に、調査対象の流路管内に上流側から前記ダミー装置を投入して下流側まで流下させることでダミー装置流下情報を得て、
得られたダミー装置流下情報から前記流路管内調査装置の投入に支障がないことを確認した場合に、調査対象の流路管内に上流側から前記流路管内調査装置を投入して下流側まで流下させることで前記撮影手段により流路管内を撮影して管内画像を得て、
得られた管内画像に基づいて流路管内を調査することを特徴とする流路管内調査装置を利用した流路管内調査方法。
【請求項3】
円筒形状の筒壁部の軸線方向一端側を端壁部により閉塞するとともに軸線方向他端側を先細り形状の円錐壁部により閉塞した装置本体を設け、
この装置本体は、前記筒壁部の軸線を水平方向に指向させた姿勢において、
前記端壁部の外面に夫々水平方向及び垂直方向に延び且つ軸線上で交差する水平ガイド板及び垂直ガイド板を設け、
前記筒壁部の軸線と交差する水平方向右側・左側の各外面に夫々軸線方向に伸びる右側・左側ガイド板を設け、
前記筒壁部の軸線と交差する垂直方向下側の外面に軸線方向に伸びる下側ガイド板を設け、
前記装置本体内には、
前記端壁部の水平ガイド板及び垂直ガイド板により区画された4つ領域に夫々調査対象の流路管内を撮影する撮影手段及び流路管内を照射する照明手段を配設し、
これら撮影手段及び照明手段を動作させて撮影した管内画像を記憶する記憶装置及び電源を供給するバッテリを配設し、
前記筒壁部の右側・左側ガイド板よりも下側部分が調査対象の流路管内の流水の水面下に位置するように前記装置本体の流水に対する浮き姿勢を規制するバランスウエイトを配設した流路管内調査装置を設け、
この流路管内調査装置と同等の断面積を有する球状浮力体を設け、
前記流路管内調査装置と同等の外形及び質量を有するダミー装置を設け、
調査対象の流路管内に上流側から前記球状浮力体とダミー装置と流路管内調査装置とを順次に投入して下流側まで流下させることで前記流路管内調査装置により得た管内画像に基づいて流路管内を調査する際に、
前記球状浮力体とダミー装置と流路管内調査装置とのいずれかが下流側まで到達せずに未回収物となった場合には、
調査対象の流路管内の流水の速度を速めるように水位を変化させ、
又は、調査対象の流路管内の流水に波を生起するように水位及び水量を変化させ、
若しくは、調査対象の流路管内の空間に空気流を生起するように空気を送給することで前記未回収物を回収することを特徴とする流路管内調査方法における未回収物の回収方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−308916(P2008−308916A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−158877(P2007−158877)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【特許番号】特許第4145949号(P4145949)
【特許公報発行日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【出願人】(391047190)岡三リビック株式会社 (20)
【出願人】(591139895)株式会社ゲット (3)
【出願人】(393003505)復建調査設計株式会社 (13)
【Fターム(参考)】