説明

流量計

【課題】構成の簡素化を図りながら、ゼロ点がマイナス側にシフトしている状態であるのか、プラス側にシフトしている状態であるのか等の各状態を区別する。
【解決手段】判別部7は、第1判別処理、第2判別処理、第3判別処理を行い、第1判別処理にて差分が第1許容範囲外であると判別された第1判別回数をカウントする第1カウント部14と、第2判別処理にて平均流量が第2許容範囲内であると判別された第2判別回数をカウントする第2カウント部16と、第3判別処理にて平均流量が第2許容範囲外のプラス側であると判別された第3判別回数をカウントする第3カウント部18と、第3判別処理にて平均流量が第2許容範囲外のマイナス側であると判別された第4判別回数をカウントする第4カウント部19とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路を通過する流体の瞬時流量を計測する流量計測部と、流量測定間隔毎に前記流量計測部にて計測する瞬時流量に基づいて、前記流量測定間隔よりも長い設定期間における平均流量、最大流量及び最小流量を求める演算部と、前記演算部にて求められた前記平均流量、前記最大流量及び前記最小流量に基づいて、漏洩なし状態であるか否かを判別する判別部とを備えた流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
このような流量計は、例えば、都市ガス等の流体を通流させる流路に設けられ、その流量計の設置箇所より下流側での漏洩がないかを監視し、漏洩なしと確認できない場合に、漏洩警報を出力している。
【0003】
従来の流量計では、流量計測部が、例えば、一対の超音波センサを備え、一対の超音波センサ間を相互に伝播する超音波の伝播時間に基づいて、流量測定間隔(例えば2秒)毎に瞬時流量を計測している。演算部は、設定期間(例えば120秒)毎に、その設定期間における瞬時流量の平均流量、最大流量及び最小流量を求めている。判別部は、設定期間毎に、最大流量と最小流量との差分が設定変化量(例えば、5リットル/h)よりも小さいか否かを判別するとともに、平均流量が閾値(例えば、1.5リットル/h)よりも小さいか否かを判別して、最大流量と最小流量との差分が設定変化量よりも小さく且つ平均流量が閾値よりも小さいと、漏洩なし状態であると判別している。また、1回の判別では、その時々の流量のばらつき具合等の要因で誤判別する虞があるので、判別部は、漏洩なし状態であると判別した判別回数をカウントしておき、その判別回数が複数回数以上となると、漏洩なしと確定している(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
例えば、センサ特性や電子回路特性の経年変化等によって、流量計測部において流路を通過する流体の流量のゼロ点がプラス側或いはマイナス側にシフトしている可能性がある。ここで、ゼロ点とは、本来ならば瞬時流量が平均的にゼロを示すべき、流体の流れのない状態での流量計測部の計測結果を意味している。
上述の如く、判別部は、演算部にて求められた平均流量、最大流量及び最小流量に基づいて、漏洩なし状態であるか否かを判別するが、ゼロ点がシフトしていると、漏洩なし状態の判別を精度よく行えなくなる虞があるので、ゼロ点がシフトしていることを把握することが求められている。
【0005】
そこで、従来の流量計では、流量計の設置箇所よりも上流側に設けられた遮断弁を閉状態として、流路を通過する流体の流量がゼロの状態を作り出して、流量計測部による瞬時流量の計測及び演算部による平均流量、最大流量及び最小流量の演算を行い、演算部にて求められた平均流量、最大流量及び最小流量に基づいて、ゼロ点シフトの有無を判別するゼロ点検定を行っている(例えば、特許文献2参照。)。この特許文献2に記載の流量計では、ゼロ点シフトが発生している可能性があるときだけゼロ点検定を行うために、まず、演算部にて求められた平均流量、最大流量及び最小流量に基づいて、ゼロ点シフトが発生している可能性の有無を判別し、ゼロ点シフトが発生している可能性が有ると判別するとゼロ点検定を行っている。ゼロ点シフトが発生している可能性の有無の判別は、最大流量と最小流量との差分が設定値(例えば、1リットル/h)よりも小さく、且つ、平均流量が設定範囲(例えば、−0.5〜0.5リットル/h)外であると、ゼロ点シフトが発生している可能性があると判別している。ゼロ点シフト検定では、最大流量と最小流量との差分が設定値(例えば、1.0リットル/h)よりも大きく、且つ、平均流量が設定範囲(例えば、−0.5〜0.5リットル/h)外であると、ゼロ点シフト有りと判別している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−98865号公報
【特許文献2】特許第4024110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
仮に、ゼロ点がプラス側にシフトしている状態では、演算部にて求められた平均流量が増加側にシフトされることになり、その平均値が漏洩警報を出力するための閾値(例えば、1.5リットル/h)を越え易くなる。よって、本来は漏洩がないのに、漏洩警報が出力されることになるが、作業者が流量計の点検等の処置を行うことにより、ゼロ点がプラス側にシフトしていることに気付くことができ、大きな問題となることはない。
しかしながら、ゼロ点がマイナス側にシフトしている状態では、演算部にて求められた平均流量が低下側にシフトされることになり、その平均値が漏洩警報を出力するための閾値(例えば、1.5リットル/h)を越え難くなる。よって、漏洩が生じているにもかかわらず、漏洩警報が出力されない虞がある。この場合、漏洩が見過ごされるため、大きな問題となる。
そこで、ゼロ点がマイナス側にシフトしているのを確実に把握したいとの要求があるとともに、例えばその後の処置を行う上でゼロ点がマイナス側にシフトしている状態とプラス側にシフトしている状態とを区別して把握したいとの要求もある。
【0008】
上記特許文献2に記載の流量計では、ゼロ点検定を行うことにより、ゼロ点シフトの有無を判別できるものの、ゼロ点がマイナス側にシフトしている場合とプラス側にシフトしている場合とを区別しておらず、上述の要求を完全に満足できていない。
そして、上記特許文献2では、ゼロ点検定において、遮断弁を閉状態として、流路を通過する流体の流量がゼロの状態を作り出しているが、その為に、電池等からの給電により遮断弁を開閉作動させなければならず、構成の複雑化や電池等の消耗を招く虞があった。
【0009】
また、上記特許文献1及び2に記載の流量計では、漏洩なし状態やゼロ点シフトの有無を判別できるものの、例えば、流体圧力の変動や配管内流体の揺らぎ等により瞬時流量が変動して漏洩なし状態であるか否かの判別を行えなかった状態であるのか、微小の漏洩がある状態であるか、漏洩なし状態であるのか等の各状態を区別することが困難であった。
【0010】
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、構成の簡素化を図りながら、ゼロ点がマイナス側にシフトしている状態とプラス側にシフトしている状態とを区別したり、瞬時流量が変動して漏洩なし状態であるか否かの判別を行えなかった状態であるのか、微小の漏洩がある状態であるか、漏洩なし状態であるのか等の各状態を区別することができる流量計を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するために、本発明に係る流量計の特徴構成は、流路を通過する流体の瞬時流量を計測する流量計測部と、流量測定間隔毎に前記流量計測部にて計測する瞬時流量に基づいて、前記流量測定間隔よりも長い設定期間における平均流量、最大流量及び最小流量を求める演算部と、前記演算部にて求められた前記平均流量、前記最大流量及び前記最小流量に基づいて、漏洩なし状態であるか否かを判別する判別部とを備えた流量計において、
前記判別部は、前記最大流量と前記最小流量との差分が前記瞬時流量が変動していないとみなせる第1許容範囲内であるか否かを判別する第1判別処理を行い、その第1判別処理にて前記差分が前記第1許容範囲内であると判別されると、前記平均流量が漏洩なし状態であるとみなせる第2許容範囲内であるか否かを判別する第2判別処理を行い、その第2判別処理にて前記平均流量が前記第2許容範囲内であると判別されると前記漏洩なし状態であると判別し、前記第2判別処理にて前記平均流量が前記第2許容範囲外であると判別されると、前記平均流量が前記第2許容範囲外のプラス側であるかマイナス側であるかを判別する第3判別処理を行い、前記第1判別処理にて前記差分が前記第1許容範囲外であると判別された第1判別回数をカウントする第1カウント部と、前記第2判別処理にて前記平均流量が前記第2許容範囲内であると判別された第2判別回数をカウントする第2カウント部と、前記第3判別処理にて前記平均流量が前記第2許容範囲外のプラス側であると判別された第3判別回数をカウントする第3カウント部と、前記第3判別処理にて前記平均流量が前記第2許容範囲外のマイナス側であると判別された第4判別回数をカウントする第4カウント部とを備えている点にある。
【0012】
本特徴構成によれば、瞬時流量が変動している状態では、設定期間における最大流量と最小流量との差分が第1許容範囲外となるので、第1判別処理の判別結果により第1カウント部の第1判別回数がカウントアップされる。漏洩なしの状態では、設定期間における最大流量と最小流量との差分が第1許容範囲内であり、且つ、設定期間における平均流量が第2許容範囲内となるので、第1判別処理及び第2判別処理の判別結果により第2カウント部の第2判別回数がカウントアップされる。ゼロ点がプラス側にシフトしている状態では、設定期間における最大流量と最小流量との差分が第1許容範囲内となるが、設定期間における平均流量が第2許容範囲外のプラス側となるので、第1判別処理、第2判別処理及び第3判別処理の判別結果により第3カウント部の第3判別回数がカウントアップされる。ゼロ点がマイナス側にシフトしている状態では、設定期間における最大流量と最小流量との差分が第1許容範囲内となるが、設定期間における平均流量が第2許容範囲外のマイナス側となるので、第1判別処理、第2判別処理及び第3判別処理の判別結果により第4カウント部の第4判別回数がカウントアップされる。
【0013】
このように、瞬時流量が変動している状態、漏洩なしの状態、ゼロ点がプラス側にシフトしている又は微小の漏洩がある状態、ゼロ点がマイナス側にシフトしている状態の各状態について各カウント部がカウントアップされるので、各カウント部の判別回数を見ることで、どの状態が何回生じているのかを把握することができる。そして、各状態を判別した判別回数をカウントするに当たり、判別部における各判別処理及び各カウント部を追加するだけでよく、従来のゼロ点検定の如く、流路を通過する流体の流量がゼロの状態を作り出すために、電池等からの給電により遮断弁を開閉作動させる必要もない。その結果、電池等の消耗を生じることなく、構成の簡素化を図りながら、ゼロ点がマイナス側にシフトしている状態であるのか、ゼロ点がプラス側にシフトしている又は微小の漏洩がある状態であるのか、瞬時流量が変動して漏洩なし状態であるか否かの判別を行えなかった状態であるのか、漏洩なし状態であるのか等の各状態を区別することができる流量計を実現できるに至った。
【0014】
本発明に係る流量計の更なる特徴構成は、前記判別部は、前記第1カウント部の前記第1判別回数に基づいて、前記瞬時流量の変動により前記漏洩なし状態であるか否かの判別を行えなかった瞬時流量変動状態であるか否かを判別する瞬時流量変動状態判別部と、前記第2カウント部の前記第2判別回数に基づいて、前記漏洩なし状態となった回数を判別する漏洩なし状態判別部と、前記第3カウント部の前記第3判別回数に基づいて、微小の漏洩がある、又は、前記流量計測部において前記流路を通過する前記流体の流量のゼロ点がプラス側にシフトしている微小漏洩・ゼロ点プラス側シフト状態であるか否かを判別する微小漏洩・ゼロ点プラス側シフト状態判別部と、前記第4カウント部の前記第4判別回数に基づいて、前記ゼロ点がマイナス側にシフトしているゼロ点マイナス側シフト状態であるか否かを判別するゼロ点マイナス側シフト状態判別部とを備えている点にある。
【0015】
本特徴構成によれば、漏洩なし状態判別部は、第2カウント部の第2判別回数から漏洩なし状態となった回数を判別できるので、例えば、第2判別回数が設定回数以上となることにより、漏洩なし状態であると確実に判別できる。また、瞬時流量変動状態、微小漏洩・ゼロ点プラス側シフト状態、ゼロ点マイナス側シフト状態の各状態となっていると、各カウント部の判別回数が多くなっているので、瞬時流量変動状態判別部、微小漏洩・ゼロ点プラス側シフト状態判別部、ゼロ点マイナス側シフト状態判別部の各状態判別部が、各状態を確実に判別できる。よって、各状態の判別が各状態判別部にて自動的に判別されるので、各状態判別部の判別結果を見るだけで、瞬時流量変動状態であるか、微小漏洩・ゼロ点プラス側シフト状態であるか、ゼロ点マイナス側シフト状態であるかを容易に且つ確実に区別して把握できる。
【0016】
本発明に係る流量計の更なる特徴構成は、前記判別部は、前記第1判別処理を行う前に、前記平均流量が前記流量計測部よりも前記流路の下流側に設けられた機器の使用とみなされる機器使用閾値以上か否かを判別する機器使用判別処理を行い、その機器使用判別処理にて前記平均流量が前記機器使用閾値よりも小さいと判別されると前記第1判別処理を行い、前記機器使用判別処理において前記平均流量が前記機器使用閾値以上と判別された機器使用状態回数をカウントする機器使用状態回数カウント部を備えている点にある。
【0017】
本特徴構成によれば、機器が使用されている状態では、設定期間における平均流量が機器使用閾値以上となるので、機器使用判別処理の判別結果により機器使用状態回数カウント部の機器使用状態回数がカウントアップされる。これにより、機器使用状態回数カウント部の機器使用状態回数を見ることで、機器を何回使用しているかを把握することができる。
【0018】
本発明に係る流量計の更なる特徴構成は、前記判別部は、前記機器使用状態回数カウント部の前記機器使用状態回数に基づいて、前記機器の使用により前記漏洩なし状態であるか否かの判別を行えなかった機器連続使用状態であるか否かを判別する機器連続使用状態判別部を備えている点にある。
【0019】
本特徴構成によれば、機器が連続的に使用されていると、機器使用状態回数カウント部の機器使用状態回数が多くなっているので、機器連続使用状態判別部は、機器使用状態回数から機器連続使用状態を確実に判別することができる。よって、上述の瞬時流量変動状態であるか、微小漏洩・ゼロ点プラス側シフト状態であるか、ゼロ点マイナス側シフト状態であるかの各状態に加えて、機器連続使用状態をも容易に且つ確実に区別して把握できる。
【0020】
本発明に係る流量計の更なる特徴構成は、前記判別部における各状態判別部にて判別された夫々の状態を識別可能に表示する表示部を備えている点にある。
【0021】
本特徴構成によれば、表示部には、瞬時流量変動状態であるか、微小漏洩・ゼロ点プラス側シフト状態であるか、ゼロ点マイナス側シフト状態であるかの各状態について識別可能で表示されている。よって、使用者や点検者は、その表示を見るだけでどの状態であるかを容易に把握することができる。
【0022】
本発明に係る流量計の更なる特徴構成は、前記流量計測部は、一対の超音波センサを備え、前記一対の超音波センサ間を相互に伝播する超音波の伝播時間に基づいて、前記流路を通過する流体の瞬時流量を求める点にある。
【0023】
本特徴構成によれば、通路を通過する流体の流量によって一対の超音波センサ間を相互に伝播する超音波の伝播時間に差が生じるので、流量計測部は、瞬時流量を的確に且つ精度よく計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る流量計としての超音波式ガスメータの概略構成図
【図2】超音波式ガスメータの動作を示すフローチャート
【図3】設定期間毎判別処理の動作を示すフローチャート
【図4】状態判別処理の動作を示すフローチャート
【図5】時間経過に伴う瞬時流量の変化を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る流量計の実施形態について、超音波式ガスメータを例にとって、図面に基づいて説明する。
この超音波式ガスメータ1は、流路2を通過する流体の流量を計測するためのものであり、各ガス需要家に天然ガス等のガスG(流体に相当する)を供給する各流路2に対して設けられている。そして、超音波式ガスメータ1は、図1に示すように、流路2を通過するガスGの瞬時流量を計測するための一対の超音波センサ3と、一対の超音波センサ3の作動を制御するとともに、瞬時流量の演算及び各種の判別処理等を行う制御部4とを備えている。図1において、ガスGの流れ方向は、点線矢印にて示す方向となっている。
【0026】
本発明に係る超音波式ガスメータ1は、流量測定間隔(例えば2秒)毎に流路2を通過するガスGの瞬時流量を計測する流量計測部5と、流量測定間隔毎に流量計測部5にて計測する瞬時流量に基づいて、流量測定間隔よりも長い設定期間(例えば120秒)における平均流量、最大流量及び最小流量を求める設定期間毎演算部6(演算部に相当する)と、設定期間毎演算部6にて求められた平均流量、最大流量及び最小流量に基づいて、各種の判別処理を行う判別部7とを備えている。
【0027】
流量計測部5は、一対の超音波センサ3と、超音波センサ3を駆動させる超音波センサ駆動部8と、一対の超音波センサ3間を相互に伝播する超音波の伝播時間に基づいて流路2を通過するガスGの瞬時流量を求める瞬時流量演算部9と、瞬時流量演算部9にて求めた瞬時流量等を記憶する記憶部10とを備えている。超音波センサ駆動部8、瞬時流量演算部9及び記憶部10は、制御部4内に備えられている。
【0028】
一対の超音波センサ3a,3bは、上流側部位と下流側部位とにそれぞれ超音波の送受波を行うように配置されている。一対の超音波センサ3a,3bは、流路2を挟んで互いに対向し、且つ、超音波センサ3a,3bの間で送受される超音波の進行方向とガスGが流路1を通過する方向とが角度θをなして交差するように配置されている。
瞬時流量の計測には、上流側の超音波センサ3aから下流側の超音波センサ3bに向かって超音波を送波したときの超音波の伝播時間t1と、下流側の超音波センサ3bから上流側の超音波センサ3aに向かって超音波を送波したときの超音波の伝播時間t2とを用いている。
【0029】
両超音波センサ3a,3bの間の距離をd、流体の流速をv、音速をcとすると、下記の〔式1〕の関係が得られる。
〔式1〕
(c+v・cosθ)t1=(c−v・cosθ)t2=d
よって、流速vは下記の〔式2〕のように表すことができる。
〔式2〕
v=(d/2cosθ){(1/t1)−(1/t2)}
このようにして求めた流速vに流路2の断面積Sを乗じた値が瞬時流量qになり、瞬時流量qは下記の〔式3〕で表される。
〔式3〕
q=v・S
【0030】
超音波センサ駆動部8は、流量測定間隔(例えば2秒)が経過する毎に、一対の超音波センサ3a,3bを作動させ、各超音波センサ3a,3bをそれぞれ送波側として超音波を送受波する動作を行う。瞬時流量演算部9は、一対の超音波センサ3a,3bの計測結果に基づいて、上記〔式2〕及び〔式3〕に従って、流量測定間隔毎の瞬時流量qを求めている。記憶部10は、瞬時流量演算部9にて求められた流量測定間隔毎の瞬時流量qの夫々を記憶している。
【0031】
設定期間毎演算部6は、記憶部10に記憶されている流量測定間隔(2秒)毎に計測された瞬時流量qを用いて、設定期間(例えば120秒)における平均流量、最大流量及び最小流量の夫々を求めている。つまり、設定期間毎演算部6は、60個の瞬時流量qを加算して60にて除算することにより設定期間(120秒)における平均流量を求め、60個の瞬時流量qのうちの最大のものを最大流量として求め、60個の瞬時流量qのうちの最小のものを最小流量として求めている。
【0032】
判別部7は、基本的には、設定期間毎演算部6にて求められた平均流量、最大流量及び最小流量に基づいて、漏洩なし状態であるか否かを判別しているが、本発明に係る超音波式ガスメータ1では、単に、漏洩なし状態であるか否かを判別するだけでなく、判別部7が、機器使用判別処理、第1判別処理、第2判別処理、第3判別処理の夫々の判別処理を行い、それぞれの判別結果をカウントする複数のカウント部を設けることにより、瞬時流量が変動して漏洩なし状態であるか否かの判別を行えなかった状態であるのか、微小の漏洩がある状態であるか、ゼロ点がマイナス側にシフトしているのか、ゼロ点がプラス側にシフトしているのか等の各状態を区別して判別している。ここで、ゼロ点とは、本来ならば瞬時流量が平均的にゼロを示すべき、流体の流れのない状態での流量計測部の計測結果を意味している。
以下、各判別処理について説明する。
【0033】
〔機器使用判別処理〕
機器使用判別処理は、流路2において超音波式ガスメータ1よりも下流側の機器(ガス機器)が使用されている状態か否かを判別するための処理である。判別部7は、設定期間毎演算部6にて求められた平均流量が機器使用閾値(例えば50リットル/h)以上か否かを判別して、平均流量が機器使用閾値(例えば50リットル/h)以上であると機器が使用されていると判別している。ここで、機器使用閾値は、記憶部10に記憶されており、口火機器(パイロットバーナーを備えた機器)の口火最大流量よりも大きな値にする等、口火最大流量を基準に設定するのが好ましい。
制御部4には、平均流量が機器使用閾値(例えば50リットル/h)以上と判別された機器使用状態回数c0をカウントする機器使用状態回数カウント部12が備えられている。機器使用状態回数カウント部12の機器使用状態回数c0は、機器が使用された設定期間の回数を意味しており、機器が使用されているときにカウントアップされる。そこで、判別部7には、機器使用状態回数カウント部12の機器使用状態回数c0に基づいて、機器の使用により漏洩なし状態であるか否かの判別を行えなかった機器連続使用状態であるか否かを判別する機器連続使用状態判別部13が備えられている。
【0034】
〔第1判別処理〕
第1判別処理は、瞬時流量の変動により漏洩なし状態であるか否かの判別を行えなかった状態であるか否かを判別するための処理である。判別部7は、機器使用判別処理にて平均流量が機器使用閾値(例えば50リットル/h)よりも小さいと判別すると第1判別処理を行う。判別部7は、設定期間毎演算部6にて求められた最大流量と最小流量との差分が第1許容範囲(例えば10リットル/h)内であるか否かを判別して、最大流量と最小流量との差分が第1許容範囲(例えば10リットル/h)外であると瞬時流量が変動していると判別している。ここで、第1許容範囲は、記憶部10に記憶されており、瞬時流量が変動していないとみなせる範囲に定められている。
制御部4には、最大流量と最小流量との差分が第1許容範囲(例えば10リットル/h)外と判別された第1判別回数c1をカウントする第1カウント部14が備えられている。第1カウント部14の第1判別回数c1は、脈動(ガス圧力の変動)や配管内流体の揺らぎ、電磁ノイズ等の影響によって瞬時流量が変動して、設定期間の計測では、漏洩なし状態の有無の判別をするのに十分な正確性が得られなかった回数を意味しており、瞬時流量の変動により漏洩なし状態の判別を行えなかったときにカウントアップされる。そこで、判別部7には、第1カウント部14の第1判別回数c1に基づいて、瞬時流量の変動により漏洩なし状態であるか否かの判別を行えなかった瞬時流量変動状態であるか否かを判別する瞬時流量変動状態判別部15が備えられている。
【0035】
〔第2判別処理〕
第2判別処理は、漏洩なし状態であるか否かを判別するための処理である。判別部7は、第1判別処理にて最大流量と最小流量との差分が第1許容範囲(例えば10リットル/h)内であると判別すると第2判別処理を行う。判別部7は、設定期間毎演算部6にて求められた平均流量が第2許容範囲(例えば−1.5〜1.5リットル/h)内であるか否かを判別して、平均流量が第2許容範囲(例えば−1.5〜1.5リットル/h)内であると漏洩なし状態であると判別している。ここで、第2許容範囲は、記憶部10に記憶されており、漏洩なし状態であるとみなせる範囲に定められている。
制御部4には、平均流量が第2許容範囲(例えば−1.5〜1.5リットル/h)内であると判別された第2判別回数c2をカウントする第2カウント部16が備えられている。第2カウント部16の第2判別回数c2は、漏洩なし状態と判別された回数を意味しており、漏洩なし状態と判別されたときにカウントアップされる。そこで、判別部7には、第2カウント部16の第2判別回数c2に基づいて、漏洩なし状態となった回数を判別する漏洩なし状態判別部17が備えられている。
【0036】
〔第3判別処理〕
第3判別処理は、微小の漏洩がある又はゼロ点がプラス側にシフトしている状態か、或いは、ゼロ点がマイナス側にシフトしている状態かを判別するための処理である。判別部7は、第2判別処理にて平均流量が第2許容範囲(例えば−1.5〜1.5リットル/h)外であると判別すると第3判別処理を行う。判別部7は、設定期間毎演算部6にて求められた平均流量が第2許容範囲の下限値(例えば−1.5リットル/h)よりも小さいか否かを判別して、平均流量が第2許容範囲外のプラス側であるかマイナス側であるかを判別している。
制御部4には、平均流量が第2許容範囲外のプラス側であると判別された第3判別回数c3をカウントする第3カウント部18と、平均流量が第2許容範囲外のマイナス側であると判別された第4判別回数c4をカウントする第4カウント部19とが備えられている。第3カウント部18の第3判別回数c3は、設定期間の計測が十分安定しているのにかかわらず、平均流量がプラス側にシフトしている回数を意味しており、微小の漏洩があるときやゼロ点がプラス側にシフトしているときにカウントアップされる。第4カウント部19の第4判別回数c4は、設定期間の計測が十分安定しているのにかかわらず、平均流量がマイナス側にシフトしている回数を意味しており、ゼロ点がマイナス側にシフトしているときにカウントアップされる。そこで、判別部7には、第3カウント部18の第3判別回数c3に基づいて、微小の漏洩がある、又は、ゼロ点がプラス側にシフトしている微小漏洩・ゼロ点プラス側シフト状態であるか否かを判別する微小漏洩・ゼロ点プラス側シフト状態判別部20と、第4カウント部19の第4判別回数c4に基づいて、ゼロ点がマイナス側にシフトしているゼロ点マイナス側シフト状態であるか否かを判別するゼロ点マイナス側シフト状態判別部21とが備えられている。
【0037】
〔超音波式ガスメータの動作〕
本発明に係る超音波式ガスメータ1の動作について、図2のフローチャートに基づいて説明する。
【0038】
流量計測部5は、流量測定間隔(例えば2秒)毎に一対の超音波センサ3を作動させて、流量計測間隔(例えば2秒)毎に瞬時流量qの計測を行い、その瞬時流量qの計測回数を示すiを1回ずつカウントアップしていく(ステップ#1〜#3)。そして、流量計測部5は、ステップ#4において設定期間(例えば120秒、i=60)になっていないと、後述する漏洩警報用タイマー11の計測時間tが漏洩警報時間T(例えば38880分、27日相当)を超えているか否かの判別(ステップ#6)等を行い、再度、瞬時流量qの計測を行う。このようにして、流量計測部5は、設定期間(例えば120秒、i=60)になるまで瞬時流量qの計測を繰り返し行い、設定期間(例えば120秒)おける流量計測間隔(例えば2秒)毎の瞬時流量qを計測する(ステップ#1〜#4)。
【0039】
流量計測部5が設定期間(例えば120秒における流量計測間隔(例えば2秒)毎の瞬時流量qを計測すると、設定期間毎演算部6にて設定期間における平均流量、最大流量及び最小流量を求め、判別部7にて各種の判別処理を行う後述の設定期間毎判別処理を行う(ステップ#5)。
【0040】
制御部4には、判別部7にて漏洩なし状態と判別されていない時間を計測する漏洩警報用タイマー11(図1参照)が備えられており、制御部4は、漏洩警報用タイマー11の計測時間tが漏洩警報時間T(例えば38880分、27日相当)を超えているか否かを判別する(ステップ#6)。制御部4は、漏洩警報用タイマー11の計測時間tが漏洩警報時間Tを越えている場合に、漏洩警報出力中でなければ漏洩警報を出力し、後述の状態判別処理を行う(ステップ#7〜#9)。ここで、漏洩警報の出力については、例えば、制御部4は、漏洩警報の出力により、警報ランプを点灯させる或いは音声にて漏洩警報を報知する漏洩報知処理を行ったり、超音波式ガスメータ1の状態を監視している監視装置等の外部装置に対して漏洩警報である旨の情報を送信することができる。
制御部4は、漏洩警報用タイマー11の計測時間tが漏洩警報時間Tを越えている場合に、漏洩警報出力中であると、漏洩警報用タイマー11の計測時間t、及び、制御部4における各カウント部12,14,16,18,19の回数c0〜c4をクリア(ゼロ)する(ステップ#10)。
【0041】
〔設定期間毎判別処理〕
設定期間毎判別処理について、図3のフローチャートに基づいて説明する。
まず、設定期間毎演算部6が、設定期間(例えば120秒)における平均流量qave、最大流量qmax及び最小流量qminを求める(ステップ#11)。判別部7が、設定期間毎演算部6にて求められた平均流量qaveが機器使用閾値(例えば50リットル/h)以上か否かを判別して機器使用判別処理を行う(ステップ#12)。機器使用状態回数カウント部12は、平均流量qaveが機器使用閾値(例えば50リットル/h)以上であると、機器使用状態回数c0を1回カウントアップする(ステップ#13)。
【0042】
判別部7は、平均流量qaveが機器使用閾値(例えば50リットル/h)よりも小さいと、最大流量qmaxと最小流量qminとの差分が第1許容範囲(例えば10リットル/h)内であるか否かを判別する第1判別処理を行う(ステップ#14)。第1カウント部14は、最大流量qmaxと最小流量qminとの差分が第1許容範囲(例えば10リットル/h)外であると、第1判別回数c1を1回カウントアップする(ステップ15)。
【0043】
判別部7は、最大流量qmaxと最小流量qminとの差分が第1許容範囲(例えば10リットル/h)内であると、平均流量qaveが第2許容範囲(例えば−1.5〜1.5リットル/h)内であるか否かを判別する第2判別処理を行う(ステップ#16)。第2カウント部16は、平均流量qaveが第2許容範囲(例えば−1.5〜1.5リットル/h)内であると、第2判別回数c2を1回カウントアップする(ステップ#17)。そして、判別部7は、第2判別回数c2が設定回数m(例えば、10〜30程度)になっていると、漏洩なし状態であると確定し、漏洩警報用タイマー11の計測時間tをクリア(ゼロ)するとともに、漏洩警報の出力を解除する(ステップ#18、#19)。
【0044】
判別部7は、ステップ#16において平均流量qaveが第2許容範囲(例えば−1.5〜1.5リットル/h)外であると、平均流量qaveが第2許容範囲の下限値(例えば−1.5リットル/h)よりも小さいか否かを判別する第3判別処理を行う(ステップ#20)。第3カウント部18は、平均流量qaveが第2許容範囲の下限値(例えば−1.5リットル/h)以上であれば、第3判別回数c3を1回カウントアップする(ステップ#21)。第4カウント部19は、平均流量qaveが第2許容範囲の下限値(例えば−1.5リットル/h)よりも小さいと、第4判別回数c4を1回カウントアップする(ステップ#22)。
【0045】
このようにして、各カウント部12、14、16、18、19の何れかの回数がカウントアップされると、判別部7は、瞬時流量qの計測回数を示すiを1として設定期間毎判別処理を終了する(ステップ#24)。
【0046】
〔状態判別処理〕
状態判別処理について、図4のフローチャート、及び、図5の各状態における時間経過に伴う瞬時流量の変化を示すグラフに基づいて説明する。図5(a)は、24時間ずっと機器が使用されている状態を示している。図5(b)は、機器を使用していないときに脈動があり、漏洩なし状態の有無の判別をできない状態を示している。図5(c)は、漏洩なし状態で機器が使用されている状態を示している。図5(d)は、微小な漏洩がある状態、又は、ゼロ点がプラス側にシフトしている状態を示している。図5(e)は、ゼロ点がマイナス側にシフトしている状態を示している。
【0047】
この実施形態では、漏洩警報を出力する基準となる漏洩警報時間Tが38880分、27日相当に定められており、設定期間(120秒)は、漏洩警報時間Tの間に19440個存在する。そこで、状態判別処理では、各カウント部12、14、16、18,19のそれぞれの回数c0〜c4と漏洩警報時間Tにおける設定期間(120秒)の存在個数とを比較することにより、機器連続使用状態であるか、瞬時流量変動状態であるか、漏洩なし・機器使用状態であるか、微小漏洩・ゼロ点プラス側シフト状態であるか、ゼロ点マイナス側シフト状態であるかを区別して判別し、その判別結果を出力している。
【0048】
図5(a)に示すように、24時間ずっと機器が使用されている状態では、漏洩警報時間Tの間、瞬時流量が機器使用閾値(例えば50リットル/h)以上となっているので、機器使用状態回数c0だけがカウントされていく。よって、機器連続使用状態判別部13は、機器使用状態回数c0が19440に近づいていると、機器連続使用状態と判別する(ステップ#31、32)。
【0049】
図5(b)に示すように、機器を使用していないときに脈動があり、漏洩なし状態の有無の判別をできない状態では、機器を使用したときに瞬時流量が機器使用閾値(例えば50リットル/h)以上となり、機器の不使用時に瞬時流量が脈動しているので、機器使用状態回数c0と第1判別回数c1とがカウントアップされていく。よって、瞬時流量変動状態判別部15は、機器使用状態回数c0と第1判別回数c1とを加算した値(c0+c1)が19440に近づいていると、瞬時流量変動状態と判別する(ステップ#33、#34)。
【0050】
図5(c)に示すように、漏洩なし状態で機器が使用されている状態では、機器を使用したときに瞬時流量が機器使用閾値(例えば50リットル/h)以上となり、機器の不使用時に瞬時流量が第2許容範囲(例えば−1.5〜1.5リットル/h)内となるので、機器使用状態回数c0と第2判別回数c2とがカウントアップされていく。よって、漏洩なし状態判別部17は、機器使用状態回数c0と第2判別回数c2とを加算した値(c0+c2)が19440に近づいていると、漏洩なし状態で機器が使用されている漏洩なし・機器使用状態と判別する(ステップ#35、#36)。
【0051】
図5(d)に示すように、微小な漏洩がある状態、又は、ゼロ点がプラス側にシフトしている状態では、機器を使用したときに瞬時流量が機器使用閾値(例えば50リットル/h)以上となり、機器の不使用時に瞬時流量が第2許容範囲(例えば−1.5〜1.5リットル/h)外でプラス側にシフトすることになるので、機器使用状態回数c0と第3判別回数c3とがカウントアップされていく。よって、微小漏洩・ゼロ点プラス側シフト状態判別部20は、機器使用状態回数c0と第3判別回数c3とを加算した値(c0+c3)が19440に近づいていると、微小漏洩・ゼロ点プラス側シフト状態と判別する(ステップ#37、#38)。
【0052】
図5(e)に示すように、ゼロ点がマイナス側にシフトしている状態では、機器を使用したときに瞬時流量が機器使用閾値(例えば50リットル/h)以上となり、機器の不使用時に瞬時流量が第2許容範囲(例えば−1.5〜1.5リットル/h)外でマイナス側にシフトすることになるので、機器使用状態回数c0と第4判別回数c4とがカウントアップされていく。よって、ゼロ点マイナス側シフト状態判別部21は、機器使用状態回数c0と第4判別回数c4とを加算した値(c0+c4)が19440に近づいていると、ゼロ点マイナス側シフト状態と判別する(ステップ#39、#40)。
【0053】
このようにして、判別部7は、機器連続使用状態であるか、瞬時流量変動状態であるか、漏洩なし・機器使用状態であるか、微小漏洩・ゼロ点プラス側シフト状態であるか、ゼロ点マイナス側シフト状態であるかを区別して判別すると、どの状態であると判別したのかを識別可能な判別結果を出力する(ステップ#41)。また、制御部4は、瞬時流量の積算値等を表示する表示部22に対して判別結果を出力する。表示部22は、例えば、機器連続使用状態であるか、瞬時流量変動状態であるか、漏洩なし・機器使用状態であるか、微小漏洩・ゼロ点プラス側シフト状態であるか、ゼロ点マイナス側シフト状態であるかの夫々の状態で異なる文字を表示する等、夫々の状態で異なる表示形態にて表示する。これにより、使用者や超音波式ガスメータの点検者等は、表示部22の表示形態を見るだけで、どの状態であると判別されたかを識別可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、流路を通過する流体の瞬時流量を計測する流量計測部と、流量測定間隔毎に前記流量計測部にて計測する瞬時流量に基づいて、前記流量測定間隔よりも長い設定期間における平均流量、最大流量及び最小流量を求める演算部と、前記演算部にて求められた前記平均流量、前記最大流量及び前記最小流量に基づいて、漏洩なし状態であるか否かを判別する判別部とを備え、構成の簡素化を図りながら、ゼロ点がマイナス側にシフトしている状態とプラス側にシフトしている状態とを区別したり、瞬時流量が変動して漏洩なし状態であるか否かの判別を行えなかった状態であるのか、微小の漏洩がある状態であるか、漏洩なし状態であるのか等の各状態を区別することができる各種の流量計に適応可能である。
【符号の説明】
【0055】
2 流路
3 超音波センサ
5 流量計測部
6 演算部(設定期間毎演算部)
7 判別部
12 機器使用状態回数カウント部
13 機器連続使用状態判別部
14 第1カウント部
15 瞬時流量変動状態判別部
16 第2カウント部
17 漏洩なし状態判別部
18 第3カウント部
19 第4カウント部
20 微小漏洩・ゼロ点プラス側シフト状態判別部
21 ゼロ点マイナス側シフト状態判別部
22 表示部
c0 機器使用状態回数
c1 第1判別回数
c2 第2判別回数
c3 第3判別回数
c4 第4判別回数
G 流体(ガス)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路を通過する流体の瞬時流量を計測する流量計測部と、
流量測定間隔毎に前記流量計測部にて計測する瞬時流量に基づいて、前記流量測定間隔よりも長い設定期間における平均流量、最大流量及び最小流量を求める演算部と、
前記演算部にて求められた前記平均流量、前記最大流量及び前記最小流量に基づいて、漏洩なし状態であるか否かを判別する判別部とを備えた流量計であって、
前記判別部は、
前記最大流量と前記最小流量との差分が前記瞬時流量が変動していないとみなせる第1許容範囲内であるか否かを判別する第1判別処理を行い、その第1判別処理にて前記差分が前記第1許容範囲内であると判別されると、前記平均流量が漏洩なし状態であるとみなせる第2許容範囲内であるか否かを判別する第2判別処理を行い、その第2判別処理にて前記平均流量が前記第2許容範囲内であると判別されると前記漏洩なし状態であると判別し、前記第2判別処理にて前記平均流量が前記第2許容範囲外であると判別されると、前記平均流量が前記第2許容範囲外のプラス側であるかマイナス側であるかを判別する第3判別処理を行い、
前記第1判別処理にて前記差分が前記第1許容範囲外であると判別された第1判別回数をカウントする第1カウント部と、
前記第2判別処理にて前記平均流量が前記第2許容範囲内であると判別された第2判別回数をカウントする第2カウント部と、
前記第3判別処理にて前記平均流量が前記第2許容範囲外のプラス側であると判別された第3判別回数をカウントする第3カウント部と、
前記第3判別処理にて前記平均流量が前記第2許容範囲外のマイナス側であると判別された第4判別回数をカウントする第4カウント部とを備えている流量計。
【請求項2】
前記判別部は、
前記第1カウント部の前記第1判別回数に基づいて、前記瞬時流量の変動により前記漏洩なし状態であるか否かの判別を行えなかった瞬時流量変動状態であるか否かを判別する瞬時流量変動状態判別部と、
前記第2カウント部の前記第2判別回数に基づいて、前記漏洩なし状態となった回数を判別する漏洩なし状態判別部と、
前記第3カウント部の前記第3判別回数に基づいて、微小の漏洩がある、又は、前記流量計測部において前記流路を通過する前記流体の流量のゼロ点がプラス側にシフトしている微小漏洩・ゼロ点プラス側シフト状態であるか否かを判別する微小漏洩・ゼロ点プラス側シフト状態判別部と、
前記第4カウント部の前記第4判別回数に基づいて、前記ゼロ点がマイナス側にシフトしているゼロ点マイナス側シフト状態であるか否かを判別するゼロ点マイナス側シフト状態判別部とを備えている請求項1に記載の流量計。
【請求項3】
前記判別部は、前記第1判別処理を行う前に、前記平均流量が前記流量計測部よりも前記流路の下流側に設けられた機器の使用とみなされる機器使用閾値以上か否かを判別する機器使用判別処理を行い、その機器使用判別処理にて前記平均流量が前記機器使用閾値よりも小さいと判別されると前記第1判別処理を行い、
前記機器使用判別処理において前記平均流量が前記機器使用閾値以上と判別された機器使用状態回数をカウントする機器使用状態回数カウント部を備えている請求項1又は2に記載の流量計。
【請求項4】
前記判別部は、前記機器使用状態回数カウント部の前記機器使用状態回数に基づいて、前記機器の使用により前記漏洩なし状態であるか否かの判別を行えなかった機器連続使用状態であるか否かを判別する機器連続使用状態判別部を備えている請求項3に記載の流量計。
【請求項5】
前記判別部における各状態判別部にて判別された夫々の状態を識別可能に表示する表示部を備えている請求項2又は4に記載の流量計。
【請求項6】
前記流量計測部は、一対の超音波センサを備え、前記一対の超音波センサ間を相互に伝播する超音波の伝播時間に基づいて、前記流路を通過する流体の瞬時流量を求める請求項1〜5の何れか1項に記載の流量計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−208977(P2011−208977A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74540(P2010−74540)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【出願人】(000221834)東邦瓦斯株式会社 (440)
【Fターム(参考)】