説明

浮游拡散型乾燥装置

【課題】
被処理物へのマイクロ波の照射効率が高く、被処理物をムラ無く均一に短時間に乾燥することができる浮遊拡散型乾燥方法を提供する。
【解決手段】水平方向に配置されている円筒状の処理容器(1)と、該処理容器(1)内に回転駆動可能に設けられている水平回転軸(15)と、該水平回転軸(15)に取り付けられている複数枚のフラット羽根(18’、18”)と、処理容器(1)内にマイクロ波を照射するマイクロ波発信器(40)とから乾燥装置を構成する。被処理物を処理容器(1)内に入れる。フラット羽根(18’、18”)を所定の周速度で駆動して被処理物を所定角度だけ掬い上げ、落下させて浮遊拡散状態にし、マイクロ波を処理容器(1)の上方位置から照射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水平方向に配置されている円筒状の処理容器と、該処理容器内に回転駆動可能に設けられている水平回転軸と、該水平回転軸に取り付けられている複数枚のフラット羽根と、前記処理容器内にマイクロ波を照射するマイクロ波発信器とからなる乾燥装置を使用して被処理物を処理容器内で乾燥する浮遊拡散型乾燥方法およびこの方法の実施に使用される浮遊拡散型乾燥装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品、医薬品、飼料、新素材等は含水粉体として直接乾燥処理されることもあるし、造粒処理に先立ち乾燥処理されることもある。さらには、造粒された後に乾燥処理されることもある。水以外の溶剤によって粉体が造粒され、乾燥処理されることもある。例えば、樹脂材料として流通しているポリプロピレン等のペレットは、材料のポリプロピレンに溶剤のクロロホルムが添加されて混練され、ペレット状に形成される際にクロロホルムが所定の濃度以下になるように乾燥処理される。このような乾燥処理には、加熱乾燥、真空凍結乾燥、超音波乾燥、マイクロ波乾燥等が適用されている。マイクロ波を使用した乾燥方法が特許文献1に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−137373号公報
【特許文献2】特許第2955721号公報
【特許文献3】特開2001−33158号公報
【0004】
上記特許文献1には、可燃性廃棄物を破砕する破砕工程、塩分を除去する目的で水洗する水洗工程、予め乾燥する予備乾燥工程、不燃物の選別、圧縮成形する工程等を経て固形物を成形し、そしてマイクロ波により最終乾燥を実施して可燃性廃棄物から固形燃料を得る固形燃料化方法が記載されている。
【0005】
回転テーブルあるいはコンベヤ上に被処理物を載せ、移動中の被処理物にマイクロ波を照射して乾燥するマイクロ波乾燥方法も実施されている。さらには、図3に示されているようなマイクロ波乾燥装置も知られている。すなわち、図3のに示されている乾燥装置は、垂直型の乾燥容器60、この乾燥容器60の底部から突き出ている垂直回転軸61に取り付けられている水平攪拌羽根62、乾燥容器60の側壁に設けられているチョッパー羽根63等から構成され、マイクロ波発信器65で得られるマイクロ波は乾燥容器60の上部から照射されるようになっている。したがって、乾燥容器60に所定量の被処理物を入れ、そして水平攪拌羽根62とチョッパー羽根53とを回転駆動してマイクロ波を照射すると、被処理物Sは乾燥される。
【0006】
特許文献2には、横型の装置であって、粉体または粒体が連続的に投入されて乾燥される乾燥装置71が記載されている。特許文献2に記載の乾燥装置71は、図4の正面断面図に示されているように、横長に形成された加熱処理槽72と、該加熱処理槽72に設けられている攪拌装置73と、加熱処理槽72の上部から加熱処理槽72内にマイクロ波を照射するマイクロ波装置74、74、…と、加熱処理槽72内に脱湿された空気を供給する脱湿空気供給装置75とから構成されている。加熱処理槽72には、図4において右側の上部に加熱処理槽72内に材料を供給する材料入口72aが、材料入口72aの反対側の左側下方に材料出口72bがそれぞれ設けられ、材料出口72bの近傍には脱湿空気供給装置75から供給される脱湿空気の供給孔72cが、材料入口72aの近傍には排気口72dがそれぞれ設けられている。攪拌装置73は、加熱処理槽72内の下方に設けられている水平回転軸76と水平回転軸76に固定された攪拌棒77、77、…と、加熱処理槽72の外側に設けられ、水平回転軸76を駆動するモータ78とから構成されている。従って、粉体、粒体等の材料を材料入口72aから投入して、攪拌装置73を駆動すると共に脱湿空気を供給して、マイクロ波装置74、74、…からマイクロ波を照射すると、材料が攪拌されながら乾燥して下流に運ばれ、材料出口72bから排出される。
【0007】
特許文献3には、バッチ式に生ゴミが投入されて乾燥される乾燥装置81が記載されている。特許文献3に記載の乾燥装置81は、図5に示されているように、回転の軸が水平になるように所定の支持機構によって支持されている回転ドラム82と、該回転ドラム82内に熱風を供給する熱風供給装置83と、回転ドラム82内にマイクロ波を照射するマイクロ波装置84とから構成されている。回転ドラム82の下方には、回転駆動装置86が設けられ回転ドラム82を回転できるようになっており、回転ドラム82の周壁には、開閉可能なハッチ87が設けられて、生ゴミをドラム内に投入したりドラム内から排出したりできるようになっている。マイクロ波装置84には、マイクロ波を導く導波管88が設けられ、導波管88は、回転ドラム82の鏡板の中央に明けられた開口部82aから挿入され斜め下方に向けられている。従って、導波管88のマイクロ波出口89から照射されるマイクロ波は回転ドラム82内の下方部分に照射されることになる。ハッチ87を開いて回転ドラム82内に所定の生ゴミを投入してハッチ87を閉じる。回転駆動装置86によって回転ドラム82を回転駆動して、熱風供給装置83から熱風を供給する。そして、マイクロ波を照射する。そうすると、マイクロ波は回転ドラム82内で回転している生ゴミの下方部分に照射され、生ゴミは乾燥する。所定の水分含有率になるまで乾燥したら、回転ドラム82を停止してハッチ87から生ゴミを排出する。
【0008】
ところで、乾燥装置を備えていないが、混合羽根とチョッパー羽根とを備えた混合・造粒装置が、本出願人によっても色々提案されている。本出願人によって提案されている混合・造粒装置は、基本的には横型の混合容器、この混合容器内に設けられている回転軸、回転軸に取り付けられている両翼型のショベル羽根、混合容器の壁部から内部へ突き出るようにして設けられているチョッパー羽根等から構成されている。したがって、回転軸を回転駆動すると共に、チョッパー羽根を別の電動モータにより回転軸の回転速度よりも高速で回転駆動し、そして被処理物を混合容器内に供給すると、被処理物は両翼型のショベル羽根により掬い上げられ、そして重力により落下しながら混合作用を受ける。混合作用を受ける被処理物は、両翼型のショベル羽根によりチョッパー羽根の方へ移送され、そして高速回転駆動されているチョッパー羽根により強力な剪断、分散作用を受ける。これにより、被処理物は比較的短時間に混合・分散あるいは造粒される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載されている乾燥方法によると、マイクロ波が使用されているので、成形された可燃物の表面に付着している水分は潜熱が与えられて蒸発し、乾燥される。しかしながら、乾燥装置が開示されていないので、どのような状態でマイクロ波が照射されるか分からず、斑なく、効率よく照射されるとは認め難い。また、図3に示されている乾燥装置によると、水平攪拌羽根62とチョッパー羽根63とが設けられているので、被処理物Sは相互移動する状態で照射されるが、単に相互移動するだけで密度の高い状態で照射され、被処理物Sに均一に照射されるとは認めがたく、乾燥効率は低いと思われる。特許文献2に記載されている乾燥装置71によると、材料は連続的に供給されて乾燥されるようになっているので、材料の乾燥にムラが生じてしまい、十分に乾燥されずに材料出口72bから材料が排出されてしまったり、乾燥が完了していてもマイクロ波が照射されて材料が焦げてしまう可能性がある。さらには、攪拌棒77、77、…によって材料が攪拌されてはいるが、材料は加熱処理槽72内の下方に留まってしまい、材料が密集した密度の高い状態でマイクロ波が照射されるので、照射効率が高いとは言えず、乾燥が不十分になると考えられる。特許文献3に記載されている乾燥装置81においては、バッチ式に処理されているので、回転ドラム82内の生ゴミは、均一な水分含有率になるまで乾燥させることができるように思われるが、生ゴミが回転ドラム82内で軸方向に十分に攪拌されないので、乾燥が不均一になる可能性がある。また、マイクロ波は生ゴミが密集した回転ドラム82内の下方に照射されるようになっているので、すなわち、密度が高い生ゴミに対してマイクロ波が照射されるようになっているので、照射効率は低く、乾燥に長時間を要すると思われる。
【0010】
前述した混合・造粒装置によると、多量の被処理物がチョッパー羽根の方へ略連続的に移送され、チョッパー羽根により強力な混合・分散作用を受け、短時間にしかも均一に混合される効果が得られる。また、被処理物が軸方向の略中心位置の混合・分散位置で互いに衝突する。これによっても、被処理物の混合が促進されるという優れた効果が得られる。しかしながら、改良すべき点も認められる。例えば、造粒機能を奏するだけの単機能装置であり、また回転軸が軸方向に長くなっているので、円筒状混合容器も長くなり、その内周面の機械加工がコストの面、精度の面等から困難になっている。さらには、造粒された被処理物を乾燥するためには、乾燥装置を別途必要とする欠点もある。
【0011】
本発明は、上記したような従来装置の問題点を解決した浮遊拡散型乾燥方法および浮遊拡散型乾燥装置を提供することを目的とし、具体的には被処理物へのマイクロ波の照射効率が高く、短時間に乾燥することができ、したがって被処理物の熱的劣化の問題がなく、被処理物をムラ無く均一に乾燥することができる、浮遊拡散型乾燥方法および浮遊拡散型乾燥装置を提供することを目的としている。また、必要な混合・分散作用が得られ、しかも安価に機械加工ができ、強度的にも問題のない浮遊拡散型乾燥装置を提供することも目的としている。さらに他の発明は、造粒後に乾燥処理することもできる浮遊拡散型乾燥装置を提供することも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記目的を達成するために、被処理物をバッチ的に乾燥するとき、被処理物を浮游拡散状態にし、そしてマイクロ波を処理容器の上方から照射するように構成される。また、他の発明は、水平方向に配置されている円筒状の処理容器と、複数枚のフラット羽根と、チョッパー羽根と、マイクロ波発信器とから構成され、あるいはさらに真空源を備え、前記チョッパー羽根と前記フラット羽根はそれぞれ独立した周速度で駆動されるように構成されていると共に、前記マイクロ波照射窓と前記真空源に連なっている吸引口は前記処理容器の上方部に設けられる。また、板状のフラット羽根は、回転軸に対して所定角度偏らせて、あるいは所定角度振られて前記回転軸に軸方向に所定の間隔をおいて取り付けられる。したがって、板状のフラット羽根は被処理物を軸方向へ送る作用も奏することになる。さらには、乾燥容器の幅あるいは軸方向の長さは、乾燥容器の直径の0.5〜1.0の範囲に構成される。
【0013】
また、乾燥容器は軸方向に短いので、その内周面は低コストで精密に機械加工されている。板状のフラット羽根は、平面形状が略扇形を呈すると共に、少なくともその外周部の円弧部分は高精度に機械加工されている。このように、処理容器の内周面と、板状のフラット羽根の円弧部分とが機械加工されているので、これらの間の隙間を小さくすることができ、その間隔は3mm以下の微少クリアランスになるように構成されている。
【0014】
かくして、請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するために、水平方向に配置されている円筒状の処理容器と、該処理容器内に回転駆動可能に設けられている水平回転軸と、該水平回転軸に取り付けられている複数枚のフラット羽根と、前記処理容器内にマイクロ波を照射するマイクロ波発信器とからなる乾燥装置を使用して被処理物を前記処理容器内でバッチ的に乾燥するとき、前記フラット羽根を所定の周速度で駆動して被処理物を所定角度だけ掬い上げ、落下させて浮遊拡散状態にし、そしてマイクロ波を前記処理容器の上方位置から照射するように構成される。請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の方法において、前記処理容器の壁部から内部へ臨むようにして設けられているチョッパー羽根を駆動して乾燥処理するように、そして請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の方法において、前記処理容器内を減圧しながら乾燥処理するように構成される。
【0015】
請求項4に記載の発明は、水平方向に配置されている円筒状の処理容器と、該処理容器内に回転駆動可能に設けられている水平回転軸と、該水平回転軸に取り付けられている複数枚のフラット羽根と、前記処理容器の壁部から内部へ臨むようにして設けられているチョッパー羽根と、マイクロ波照射窓を介して前記処理容器内にマイクロ波を照射するマイクロ波発信器とからなる乾燥装置であって、前記チョッパー羽根は、前記処理容器の軸方向の略中心部の混合・分散域で、かつ底部から所定量だけ偏った位置に設けられ、前記フラット羽根は、少なくとも二対の4枚の板状のフラット羽根からなり、前記二対の板状のフラット羽根の一対は、その面が前記水平回転軸に対して所定角度振られて前記混合・分散域の一方側に位置するように、他の一対は逆方向に振られて前記混合・分散域の他方側に位置するように、前記水平回転軸に取り付けられ、前記チョッパー羽根と前記フラット羽根はそれぞれ独立した周速度で駆動されるようになっていると共に、前記マイクロ波照射窓は前記処理容器の上方部に設けられている。請求項5に記載の発明は、水平方向に配置されている円筒状の処理容器と、該処理容器内に回転駆動可能に設けられている水平回転軸と、該水平回転軸に取り付けられている複数枚のフラット羽根と、前記処理容器の壁部から内部へ臨むようにして設けられているチョッパー羽根と、マイクロ波照射窓を介して前記処理容器内にマイクロ波を照射するマイクロ波発信器と、吸引口を介して前記処理容器内を減圧する真空源とからなる乾燥装置であって、前記チョッパー羽根は、前記処理容器の軸方向の略中心部の混合・分散域で、かつ底部から所定量だけ偏った位置に設けられ、前記フラット羽根は、少なくとも二対の4枚の板状のフラット羽根からなり、前記二対の板状のフラット羽根の一対は、その面が前記水平回転軸に対して所定角度振られて前記混合・分散域の一方側に位置するように、他の一対は逆方向に振られて前記混合・分散域の他方側に位置するように、前記水平回転軸に取り付けられ、前記チョッパー羽根と前記フラット羽根はそれぞれ独立した周速度で駆動されるようになっていると共に、前記マイクロ波照射窓と前記吸引口は、前記処理容器の上方部に設けられている。請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の装置において、前記処理容器の軸方向の長さは、該容器の直径の0.5〜1.0倍に選定されていると共に、前記処理容器の内周面と、前記板状のフラット羽根の少なくとも円弧部分は機械加工され、前記容器の内周面と前記円弧部分との間の間隔は、3mm以下の微少クリアランスに構成され、請求項7に記載の発明は、請求項4〜6のいずれかの項に記載の装置において、前記フラット羽根は0.1〜5.0m/sの周速度で、前記チョッパー羽根は500〜4200回転/分で回転されるように構成されている。
【発明の効果】
【0016】
以上のように本発明によると、水平方向に配置されている円筒状の処理容器と、該処理容器内に回転駆動可能に設けられている水平回転軸と、該水平回転軸に取り付けられている複数枚のフラット羽根と、前記処理容器内にマイクロ波を照射するマイクロ波発信器とからなる乾燥装置を使用して被処理物を前記処理容器内でバッチ的に乾燥するとき、前記フラット羽根を所定の周速度で駆動して被処理物を所定角度だけ掬い上げ、落下させて浮遊拡散状態にし、そしてマイクロ波を照射するので、すなわち、被処理物を密度が小さい状態にしてマイクロ波を照射するので、マイクロ波による乾燥効率が上がり、短時間で乾燥することができる。したがって、乾燥に伴う熱劣化の問題もない。また、浮遊拡散状態の被処理物に照射するので、被処理物は相互移動し、相互に付着するようなこともないし、マイクロ波を処理容器の上方位置から照射するので、マイクロ波の導入口に一般に設けられる絶縁物からなる照射窓が被処理物により塞がれるようなこともない。さらには、被処理物をフラット羽根で掬い上げるとき被処理物が十分に攪拌され、乾燥をバッチ的に実施するので、被処理物は均一に乾燥し乾燥ムラが生じることがない。また、他の発明によると、チョッパー羽根も駆動して乾燥処理するので、被処理物間に相互付着が生じても解砕される効果がさらに得られる。さらに他の発明によると、マイクロ波を照射するとき、処理容器内を減圧するので、水、あるいは溶剤の沸点が下がり、蒸発が促進され、そして蒸発した水分や溶剤は強制的に排出される。これにより、被処理物を高温に曝すことなく短時間に効率的に乾燥することができる効果がさらに得られる。
【0017】
複数枚のフラット羽根と、チョッパー羽根と、マイクロ波発信器とからなり、前記チョッパー羽根と前記フラット羽根がそれぞれ独立した周速度で駆動されるようになっていると共に、前記マイクロ波照射窓は前記処理容器の上方部に設けられている発明によると、あるいはさらに真空源を備えた発明によると、マイクロ波照射窓が上方部に設けられて水分を含んだ被処理物が付着しないので、被処理物がマイクロ波照射窓に付着して過度に加熱されて焦げ付いてしまう不具合を防止することができる。そして、このような装置によると、色々な処理ができる。例えば、所定の周速度でフラット羽根を駆動すると共にチョッパー羽根を駆動し、そしてマイクロ波発信器からマイクロ波を照射すると、前述したようにして乾燥処理することができるし、チョッパー羽根を停止してフラット羽根だけを駆動して、ペレット状の被処理物を乾燥処理することもできる。また、このとき、真空源により処理容器内を減圧することもできる。そうすると、前述したような効果が得られる。
【0018】
また、マイクロ波発信器と真空源とを停止して、混合あるいは造粒することもできる。すなわち、フラット羽根を比較的低速で駆動する。また、チョッパー羽根を高速で回転駆動する。そして、被処理物を供給すると被処理物は、フラット羽根により混合され、そして混合・分散域の方へ送られる。このとき被処理物は、混合・分散域内で互いに衝突し混合作用を受ける。そして、堆積する。堆積した被処理物はチョッパー羽根により強力な混合・分散作用を受け、短時間に造粒される。
【0019】
上記のようにして造粒した後に、マイクロ波を起動して、さらには処理容器内を減圧して、前述したようにして乾燥処理することもできる。このときも、マイクロ波照射口あるいは吸引口は、処理容器の上方部に設けられているので、前述したような効果が得られる。また、処理容器の軸方向の長さが、直径の0.5〜1.0倍に選定されている発明によると、軸方向の長さが短くなっているので、被処理物が軸方向に相互移動して十分に攪拌されて均一に乾燥できるし、乾燥容器の内周面を安価に機械加工することができるという効果も得られる。また、処理容器の内周面と、板状のフラット羽根の円弧部分は機械加工され、その間隔を3mm以下の微少クリアランスに構成されているので、処理後に破棄する被処理物の残存量が少ないという、経済的な効果も得られる。さらには、フラット羽根は0.1〜5.0m/sの周速度で、チョッパー羽根は500〜4200回転/分で回転できるようになっている発明によると、乾燥の対象となる被処理物に応じて、適切な乾燥処理を実施することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態を模式的に示す図で、その(ア)は全体の、そしてその(イ)は、(ア)において矢印イ―イ方向に見た図に相当する断面図である。
【図2】本実施の形態の作用を示す図で、その(ア)は、フラット羽根が回転駆動されて傾斜した状態を示す側面図、その(イ)は水平になった状態を示す模式図、その(ウ)は水平方向にθだけ回転した状態を示す模式図である。
【図3】従来の垂直回転軸型の乾燥装置を示す断面図である。
【図4】水平回転軸と攪拌棒が設けられている従来の連続型の乾燥装置を示す断面図である。
【図5】水平の軸周りに回転する回転ドラムが設けられている従来のバッチ式の乾燥装置を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1、2により本発明の実施の形態を説明する。図1は、本実施の形態に係る浮遊拡散型乾燥装置を示す図で、その(ア)は全体の、そしてその(イ)は(ア)において矢印イーイ方向に見た図に相当する断面図であるが、これらの図に示されているように、本実施の形態に係る浮遊拡散型乾燥装置は、概略的には、軸芯が水平方向になるように配置される円筒状の処理容器1と、この処理容器1の側部に着脱自在に取り付けられている駆動ユニット10とからなっている。この駆動ユニット10が処理容器1の側部に取り付けられると、駆動ユニット10の方に設けられている回転軸15が処理容器1の内部へ片持梁的に突き出て、処理容器1内で回転駆動されるようになっている。また、処理容器1の壁部の斜め下方には、詳しくは後述するようにチョッパー30が設けられている。
【0022】
このように構成されている処理容器1の上方部に、絶縁物からなるマイクロ波照射窓42が設けられ、同様に上方の所定位置には処理容器1中の空気を排気する吸引口52が設けられている。マイクロ波照射窓42にはマイクロ波発信器40に連なっている導波管41が接続され、導波管41の先端には石英ガラス、超高分子量ポリエチレン等からなる真空絶縁部42aが設けられている。吸引口52にはバグフイルタ51を介して真空ポンプ50が接続されている。
【0023】
以下さらに詳しく説明すると、円筒状の処理容器1は、断面形状は円形を呈し、図1の(ア)において左方の側部は側板2で閉鎖されている。本実施の形態によると、処理容器1の他方の側部にはフランジ3が設けられている。このフランジ3に駆動ユニット10の側板11が、ボルトナットのような固着手段により着脱時税に取り付けられるようになっている。処理容器1の軸方向の略中心部において、換言すると軸方向の略中心部近傍の混合・分散域Xにおいて、その上方部に化学品例えば顔料・染料、薬品、食品、鉱工業品例えば建材、セメント等の被処理物を供給するための材料供給口4と、水等の添加液を供給するための液供給口5とが設けられている。また、下方部に乾燥あるいは造粒された製品排出口6が設けられている。この製品排出口6には、例えばピストンシリンダユニットで開閉される蓋が設けられているが、図1には示されていない。
【0024】
こように構成されている処理容器1の軸方向の幅あるいは長さLは、直径Dの0.5〜1.0になるように選定されている。本実施の形態によると、処理容器1の軸方向の長さLが直径に対してこのように短いので、処理容器1の内周面は機械加工によって安価に精密に仕上げられている。
【0025】
本実施の形態によると、前述した処理容器1は、図には示されていないが、架台に取り付けられている。そして、架台は図1の(ア)において右方へ延びてガイドレール12、12に連なっている。駆動ユニット10の下部には車輪13、13、…が設けられ、これらの車輪13、13、…が、ガイドレール12、12に乗り、図1の(ア)において矢印Aで示されているように水平方向に移動自在で、上記した処理容器1の側部に着脱自在になっている。このように、着脱自在に構成されている駆動ユニット10の内部に、回転軸15を回転駆動する電動モータ、この電動モータの回転速度を制御する制御装置等が設けられている。
【0026】
回転軸15は、駆動ユニット10の側部から片持梁的に出ている。この回転軸15は、処理容器1の軸方向の長さLと実質的に同じ長さになっている。したがって、駆動ユニット10を処理容器1の側部に側板11を利用して取り付けると、回転軸15は処理容器1内に片持梁的に支持されて収まる。この状態が図1の(ア)に示されている。また、駆動ユニット10を処理容器1から取り外すと、回転軸15を処理容器1から取り出すことができる。さらには、図1には具体的には示されていないが、この回転軸15を駆動ユニット10から引き抜くこともできるようになっている。
【0027】
このように構成されている回転軸15に、第1の羽根アーム16、16が取り付けられ、この第1の羽根アーム16、16と軸方向に所定の間隔をおいて第2の羽根アーム17、17が取り付けられている。すなわち、第1、2の羽根アーム16、17は、処理容器1の軸方向の略中心部の混合・分散域Xを挟んで、両側にそれぞれ取り付けられている。これらの第1、2の羽根アーム16、17は互いに90度ずれている。換言すると、側面的にみるとクロス状に取り付けられている。そして、これらの羽根アーム16、17の、それぞれの先端部に混合羽根が取り付けられている。
【0028】
混合羽根は、本実施の形態では4枚とも同じ形状の板状のフラット羽根18から構成されている。さらに詳しく説明すると、図1の(イ)に示されているように、処理容器1の内周面1a側に位置する円弧部分18aは、処理容器1の内周面1aと略同じ曲率の円弧状に、そして第1、2の羽根アーム16、17に取り付けられる中心部18bは幅広に、全体として平面形状が略扇形を呈するように形成されている。このようなフラット羽根18の、少なくとも円弧部分18aは精密に機械加工されている。
【0029】
第1のフラット羽根18’、18’は、第1の羽根アーム16、16に、その円弧部分18aと処理容器1の内周面1aとのクリアランスが例えば3mm以下になるように近接して、かつ回転軸15が矢印B方向に回転駆動されるとき、被処理物が左方の混合・分散域Xの方へ送られるように所定の角度をつけて取り付けられている。また、第2のフラット羽根18”、18”は、第2の羽根アーム17、17に、その円弧部分18aと処理容器1の内周面1aとのクリアランスが同様に3mm以下になるように近接して、かつ回転軸15が矢印B方向に回転駆動されるとき、今度は被処理物が右方の混合・分散域Xの方へ送られるように所定の角度をつけて取り付けられている。このように取り付けられている隣り合うフラット羽根18’、18’の円周方向の間には、図1の(ア)に示されているように、比較的大きな間隔がある。このように大きな間隔があるので、第1、2のフラット羽根18’、18”が回転するとき、被処理物は、連続したスクリュとは異なり、叩かれるようにして混合・分散されることになる。
【0030】
チョッパー30の構造自体は、従来周知であるので詳しくは説明しないが、図1の(イ)に示されているように、複数段に設けられているチョッパー羽根31、31、…から構成されている。そして、チョッパー羽根31、31、…が処理容器1の内部に位置し、電動モータ32が外部に位置するようにして処理容器1の斜め下方に取り付けられている。また、チョッパー軸に取り付けられているチョッパー羽根31、31、…は、処理容器1の内部で分解でき、チョッパー軸のシールも取り外し可能になっている。このように構成されているチョッパー30は、回転軸15の回転とは関係なく独立して電動モータ32により回転駆動されるようになっている。
【0031】
チョッパー30の取り付け位置についてさらに詳しく説明する。チョッパー30は、第1、2のフラット羽根18’、18”と干渉しない混合・分散域Xで、次のような位置に設けられている。すなわち、被処理物は第1、2のフラット羽根18’、18”が所定速度で回転駆動されると、図1の(イ)に示されているような形状Tに堆積するが、一番厚くなる堆積する位置、換言すると垂直軸から回転方向に60度程度偏った位置に設けられている。
【0032】
次に、上記実施の形態の作用について説明する。処理容器1のフランジ3に駆動ユニット10の側板11を取り付ける。そうすると、図1の(ア)に示されているように組み立てられる。したがって、以下に説明するように、被処理物をバッチ式に乾燥することも、被処理物を同様にバッチ式に造粒することも、さらには造粒した後に乾燥することもできる。
【0033】
(a)前述した染料、薬品、食品のような被処理物を乾燥する場合:第1、2のフラット羽根18’、18”の周速度が所定速度になるように、例えば2m/s以上の速度になるように駆動する。チョッパー30は必要に応じて駆動する。材料供給口4から所定量の被処理物sを供給する。そうすると、被処理物sは第1、2のフラット羽根18’、18”に押された状態で処理容器1の周壁に沿って所定角度あるいは所定高さまで持ち上げられ、やがて周壁から離れて空間に浮遊拡散状態で落下する。この浮遊拡散した状態が図1の(イ)において多数の点で示されている。マイクロ発信器40を起動して、浮遊拡散状態の被処理物sにマイクロ波を照射する。被処理物sに付着している水分は沸騰して、瞬時に乾燥する。このとき、真空ポンプ50を起動すると、処理容器1内は減圧され、水の沸点が下がる。また、蒸発は促進され、水分は排出される。これにより、被処理物sを高温に曝すことなく、短時間に乾燥することができる。所定時間乾燥したら、製品排出口6を開いて、乾燥した製品を取り出す。本実施の形態によると、被処理物sは相互移動の状態で乾燥されるので、被処理物の相互付着の問題は小さい。また、相互付着してもチョッパー30を起動することにより解砕することができる。
【0034】
上記のようにして乾燥処理するとき、被処理物sはフラット羽根18の表面に載せられた形で掬い上げられ、そして所定角度持ち上げられると重力により落下するが、そのときのフラット羽根18と被処理物sの運動を図2によりさらに詳しく説明する。フラット羽根18に掬われた被処理物sは、重力と遠心力による力を受けると共に、所定の角度で振られているフラット羽根18からの抗力を受けて、フラット羽根18の上を滑ることになる。このとき、滑りは2方向の成分に分けることができる。第1の成分は、フラット羽根18の長手方向に沿う、図2の(ア)において、矢印Y1で示されている成分であり円周方向の滑り成分である。第2の成分は、回転軸15と垂直な方向の、図2の(ア)において、矢印Y2で示されている成分である。滑りの第1の成分と第2の成分のそれぞれの方向は直交している。フラット羽根18が最下位から上方へ回転するとき、被処理物sはフラット羽根18により掬われる。フラット羽根18が回転軸15に対して水平な位置に達するまでは、被処理物sに遠心力と重力が共に第2の成分の方向に働くので、被処理物sは第2の成分の方向に滑って処理容器1の周壁に押し付けられる。図2の(イ)には、フラット羽根18の部分のうち、回転軸15に対して水平な部分の断面が模式的に示されている。被処理物sが、図2の(イ)において矢印Y2’方向、すなわち処理容器1の周壁方向に滑っている様子が示されている。
【0035】
このとき、被処理物sは、第1の方向Y1の方向にも滑って円周方向に落下することになるが、被処理物sは処理容器1の周壁に押し付けられているので、落下の量は少量である。
【0036】
フラット羽根18が水平方向からθだけ上方に回転駆動されると、図2の(ウ)の鎖線の矢印Y3で示されているように、遠心力より大きい重力成分が作用し、被処理物sは処理容器1の周壁から離れる。そうすると、円周方向、すなわち第1の成分の方向に滑ってフラット羽根18から落下すると共に、中心方向、すなわち第2の成分の方向と反対の方向にも滑って落下する。前記円周方向の落下と中心方向の落下により、被処理物sは図1の(イ)において多数の点で示されているように、浮游拡散状態になる。図1の(イ)には理想的な浮游拡散状態が示されているが、この理想的な浮游拡散状態になるときのフラット羽根18と水平方向との成す角度θは、被処理物の物理的性質、フラット羽根18の表面の摩擦係数等から決定されるが、一般には40〜85度が望ましい。すなわち、フラット羽根18が40度で落下を初め、85度では完全に落下するような、周速度で回転駆動するのが望ましい。
【0037】
(b)単に造粒する場合:マイクロ波発信器と真空ポンプを停止しておく。回転軸15を設定された比較的低速で駆動する。また、チョッパー羽根31、31、…を電動モータ32により高速で回転駆動する。材料供給口4から所定量の被処理物を供給する。また、所定時間経過後に必要に応じて液体供給口5から液体を供給する。供給された被処理物は、図1の(イ)において矢印B方向に回転駆動されている第1のフラット羽根18’、18’により混合され、そして混合・分散域Xの方へ送られる。第2のフラット羽根18”、18”により、回転方向に見て90度遅れて同様に混合され、そして混合・分散域Xの方へ送られる。このように、第1のフラット羽根18’、18’により送られる被処理物と、第2のフラット羽根18”、18”により送られる被処理物は、混合・分散域X内で互いに衝突し混合作用を受ける。そして、前述したような堆積する。この堆積した状態が図1の(イ)において符号Tで示されている。堆積する位置にチョッパー羽根31、31、…が設けられているので、被処理物は強力な混合・分散作用を受け、短時間に造粒される。製品排出口6を開いて、造粒製品を取り出す。本実施の形態によると、軸方向に短いので、供給される被処理物はチョッパー羽根の方へ直ちに送られて強力な混合・分散作用を受け、短時間に例えば2〜10分という極めて短い時間で造粒される。さらには、混合羽根が板状のフラット羽根からなっているので、強度は大きく製作は容易という効果も得られる。
【0038】
(c)造粒後に乾燥する場合:前記(b)のようにして造粒した後に、第1、2のフラット羽根18’、18”、…の周速度を造粒物が破壊されない速度で、フラット羽根18と水平方向との成す角度θが40〜85度の範囲になるようにして、また必要に応じてチョッパー30を停止し、あるいは速度を調整して、マイクロ波発信器40と真空ポンプ50とを起動する。そうすると、造粒物は前記(a)で説明されているようにして乾燥される。製品排出口6を開いて、乾燥された造粒製品を取り出す。
【0039】
(d)他の装置によって形成された樹脂ペレットを乾燥する場合:処理容器1からチョッパー30を取り外す。あるいは、チョッパー軸からチョッパー羽根31、31、…を取り外す。そうしておいて、第1、2のフラット羽根18’、18”の周速度が所定速度になるように、例えば2m/s以上の速度になるように駆動する。材料供給口4から、他の装置によって形成された樹脂ペレット、例えばポリプロピレンのペレットを供給する。そうすると、ペレットは第1、2のフラット羽根18’、18”に押された状態で処理容器1の周壁に沿って所定角度あるいは所定高さまで持ち上げられ、やがて周壁から離れて空間に浮遊拡散状態で落下する。マイクロ発信器40を起動して、浮遊拡散状態のペレットにマイクロ波を照射する。ペレット内に含まれているクロロホルム等の溶剤は蒸発する。このとき、真空ポンプ50を起動すると、処理容器1内は減圧され、さらに蒸発が促進される。これにより、ペレットを高温に曝すことなく、短時間に乾燥することができる。所定時間乾燥したら、製品排出口6を開いて、乾燥したペレットを取り出す。
【符号の説明】
【0040】
1 処理容器 4 材料供給 10 駆動ユニット 15 回転軸 18’ 第1のフラット羽根 18” 第2のフラット羽根 18a 円弧部分 30 チョッパー 40 マイクロ波発信器 42 マイクロ波照射窓
50 真空ポンプ 52 吸引口
X 混合・分散域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に配置されている円筒状の処理容器と、該処理容器内に回転駆動可能に設けられている水平回転軸と、該水平回転軸に取り付けられている複数枚のフラット羽根と、前記処理容器内にマイクロ波を照射するマイクロ波発信器とからなる乾燥装置を使用して被処理物を前記処理容器内でバッチ的に乾燥するとき、
前記フラット羽根を所定の周速度で駆動して被処理物を所定角度だけ掬い上げ、落下させて浮遊拡散状態にし、そしてマイクロ波を前記処理容器の上方位置から照射することを特徴とする浮遊拡散型乾燥方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記処理容器の壁部から内部へ臨むようにして設けられているチョッパー羽根を駆動して乾燥処理することを特徴とする浮遊拡散型乾燥方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、前記処理容器内を減圧しながら乾燥処理することを特徴とする浮遊拡散型乾燥方法。
【請求項4】
水平方向に配置されている円筒状の処理容器と、該処理容器内に回転駆動可能に設けられている水平回転軸と、該水平回転軸に取り付けられている複数枚のフラット羽根と、前記処理容器の壁部から内部へ臨むようにして設けられているチョッパー羽根と、マイクロ波照射窓を介して前記処理容器内にマイクロ波を照射するマイクロ波発信器とからなる乾燥装置であって、
前記チョッパー羽根は、前記処理容器の軸方向の略中心部の混合・分散域で、かつ底部から所定量だけ偏った位置に設けられ、
前記フラット羽根は、少なくとも二対の4枚の板状のフラット羽根からなり、前記二対の板状のフラット羽根の一対は、その面が前記水平回転軸に対して所定角度振られて前記混合・分散域の一方側に位置するように、他の一対は逆方向に振られて前記混合・分散域の他方側に位置するように、前記水平回転軸に取り付けられ、
前記チョッパー羽根と前記フラット羽根はそれぞれ独立した周速度で駆動されるようになっていると共に、前記マイクロ波照射窓は前記処理容器の上方部に設けられていることを特徴とする浮遊拡散型乾燥装置。
【請求項5】
水平方向に配置されている円筒状の処理容器と、該処理容器内に回転駆動可能に設けられている水平回転軸と、該水平回転軸に取り付けられている複数枚のフラット羽根と、前記処理容器の壁部から内部へ臨むようにして設けられているチョッパー羽根と、マイクロ波照射窓を介して前記処理容器内にマイクロ波を照射するマイクロ波発信器と、吸引口を介して前記処理容器内を減圧する真空源とからなる乾燥装置であって、
前記チョッパー羽根は、前記処理容器の軸方向の略中心部の混合・分散域で、かつ底部から所定量だけ偏った位置に設けられ、
前記フラット羽根は、少なくとも二対の4枚の板状のフラット羽根からなり、前記二対の板状のフラット羽根の一対は、その面が前記水平回転軸に対して所定角度振られて前記混合・分散域の一方側に位置するように、他の一対は逆方向に振られて前記混合・分散域の他方側に位置するように、前記水平回転軸に取り付けられ、
前記チョッパー羽根と前記フラット羽根はそれぞれ独立した周速度で駆動されるようになっていると共に、前記マイクロ波照射窓と前記吸引口は、前記処理容器の上方部に設けられていることを特徴とする浮遊拡散型乾燥装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の装置において、前記処理容器の軸方向の長さは、該容器の直径の0.5〜1.0倍に選定されていると共に、前記処理容器の内周面と、前記板状のフラット羽根の少なくとも円弧部分は機械加工され、前記容器の内周面と前記円弧部分との間の間隔は、3mm以下の微少クリアランスに構成されていることを特徴とする浮遊拡散型乾燥装置。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれかの項に記載の装置において、前記フラット羽根は0.1〜5.0m/sの周速度で、前記チョッパー羽根は500〜4200回転/分で回転されるようになっていることを特徴とする浮遊拡散型乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−230295(P2010−230295A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−81278(P2009−81278)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【特許番号】特許第4413271号(P4413271)
【特許公報発行日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000207724)大平洋機工株式会社 (7)
【出願人】(509089328)桂商事株式会社 (1)
【Fターム(参考)】