浸水検知センサ
【課題】クロージャやマンホール等の浸水を現場にて容易に確認でき、かつ経済性にも優れた浸水検知センサを提供する。
【解決手段】一対の導線3と、個々の導線3の先端にそれぞれ設けられた電極が互いの非接触状態を保って集合されたセンシング部21と、クロージャ1のクロージャスリーブ11にその外面に露出するように取り付けられ、前記センシング部21から延びる前記一対の導線3の端部が接続された端子部4とを具備する浸水検知センサ2を提供する。
【解決手段】一対の導線3と、個々の導線3の先端にそれぞれ設けられた電極が互いの非接触状態を保って集合されたセンシング部21と、クロージャ1のクロージャスリーブ11にその外面に露出するように取り付けられ、前記センシング部21から延びる前記一対の導線3の端部が接続された端子部4とを具備する浸水検知センサ2を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、地下設置されたクロージャ等の接続箱、マンホール、ハンドホールといった地中箱の内部の浸水検知用の浸水検知センサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IPネットワークサービスの普及により、光ファイバ網の構築が全国規模で行われている。これにともない、光ファイバケーブル網の効率的かつ経済的な保守の重要性が増してきており、光ファイバケーブル網の常時あるいは定期的な保守に光線路監視システムが使用されている。
図10における光線路監視システムにおいて、OTDR91もしくは光試験装置92からの光は、光ファイバケーブル93の光ファイバに入射されて、光線路に伝送される。この光線路の後方散乱光等の戻り光をOTDR91で観測する。
【0003】
上記光線路監視システムを、光線路に設けられているクロージャ94内の浸水監視に利用する技術も知られている。これは、主として、マンホール内等に設置された地下設置形クロージャに適用されている。
クロージャ94は、光ファイバケーブル93同士の接続点や、分岐接続点、及び光ファイバの余長を収納している。また、クロージャ94内に、浸水監視用の光ファイバセンサ95を収納する。この光ファイバセンサ95としては、例えば、図11に示すように、水と接触して膨潤する膨潤部材53を利用したものが提案されている。この光ファイバセンサは、クロージャ内に浸入した水と接触した膨潤部材53の膨潤によって光ファイバ押圧用の移動子を移動し、この移動子によって光ファイバを押圧して、光ファイバに曲げ変形を与え曲げ損失を発生させる構造になっている。
水と接触した膨潤部材の膨潤によって光ファイバに曲げを与えて損失を増大せしめる構成の光ファイバセンサとしては、例えば、特許文献1に開示されるものがある。
【0004】
図11の光ファイバセンサについて説明する。
図11に示すように、この光ファイバセンサ50は、筐体55内に設けられた一対の部材(受け部材51と応力付与部材52)の間に光ファイバ70が通され、さらに、応力付与部材52を介して受け部材51とは反対の側に設けられた膨潤部材53を前記筐体55内に収納した概略構成になっている。膨潤部材53は、水との接触により膨潤する材料によって形成されたシート状の分割片58とシート状の導液材59とを積層した構成になっている。筐体55には、該筐体55の外側から筐体55内への水の導入用の検知孔57が形成されている。導液材59は、筐体55内に浸入した水を分割片58に導き、その表面に広く分散させるものであり、紙や布等の水を透過させる材料の他、合成樹脂フィルムや金属箔等の水を透過させない材料からなるものであっても良い。
応力付与部材52の外周囲には、応力付与部材52の動作を光ファイバ70の長手方向と直交する方向に導くためのガイド部材56が配置されている。この光ファイバセンサ50においては、膨潤部材53の膨潤前は、光ファイバ70は曲げが与えられていない状態、あるいは、非常に緩やかな湾曲が与えられた状態になっている。検知孔57から筐体55内に水が浸入し、膨潤部材53が膨潤することで応力付与部材52が受け部材51に接近するように移動する。すると、前記応力付与部材52の山形に形成された凸部52aが光ファイバ70を押圧して、光ファイバに曲げ変形を与え、曲げ損失を生じさせる。これにより、膨潤部材53の膨潤前に比べて光ファイバ70の伝送損失が増加する。この損失をOTDRで観測する。
【0005】
この光線路監視システムにおいては、光ファイバケーブル内の光ファイバの一部を浸水監視用に割り当てる。光ファイバセンサに適用される光ファイバは、この浸水監視用の光ファイバのクロージャ内にて光ファイバケーブルから引き出された部分を受け部材51と応力付与部材52との間に引き込んだもの、あるいは、この浸水監視用の光ファイバに別途接続した光ファイバである。
また、この光線路監視システムによって、マンホール内の浸水監視等も行える。
【0006】
従来は、このOTDRと光ファイバセンサを用いて、浸水が生じたクロージャの検知、及び、該クロージャの位置特定を行っていた。
しかしながらこの方法では、試験のための光線路試験システムが必要となり、経済性に問題があった。また、クロージャの設置場所付近に作業者がいても、局内からの試験を行う必要があり、作業までに時間を要していた。
更に、現地のクロージャで浸水を確認するためには、クロージャの蓋を開けて、中を目視確認する必要があり、手間と時間を要する。浸水していない場合にはすぐに元の状態に戻す必要があり、この作業にも時間がかかってしまう。
【特許文献1】特開平3−197844号公報
【非特許文献1】フジクラ技報 2001年4月、第100号,p19−24
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、現場でのクロージャ内の浸水確認を容易にでき、かつ経済性にも優れた浸水検知センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に係る発明は、通信ケーブル同士の接続点を筐体内に収納する接続箱に設けられて前記接続箱の浸水を検知する浸水検知センサであって、一対の導線と、これら導線の先端にそれぞれ設けられた電極が互いの非接触状態を保って集合され前記接続箱内に設けられたセンシング部と、前記センシング部から延びる前記一対の導線の端部が接続され、前記一対の導線及び前記センシング部によって構成されるセンサ本体の電気抵抗を取り出すための検知用端末部として機能する通電用端子部とを具備し、前記通電用端子部は前記接続箱の前記筐体に取り付けられ、前記接続箱の外側から前記センサ本体の電気抵抗を取り出せることを特徴とする浸水検知センサを提供する。
請求項2に係る発明は、通信ケーブル同士の接続点を筐体内に収納する接続箱に設けられて前記接続箱の浸水を検知する浸水検知センサであって、一対の導線と、これら導線の先端にそれぞれ設けられた電極が互いの非接触状態を保って集合され前記接続箱内に設けられたセンシング部と、前記センシング部から延びる前記一対の導線の端部が接続され、前記一対の導線及び前記センシング部によって構成されるセンサ本体の電気抵抗を取り出すための検知用端末部として機能するRFタグとを具備し、前記RFタグは前記接続箱内に収納されており、前記接続箱の外側からリーダーを用いて前記RFタグによる前記センサ本体の電気抵抗の計測及び前記RFタグからの計測データの取り出しを行えるようになっていることを特徴とする浸水検知センサを提供する。
請求項3に係る発明は、マンホールあるいはハンドホールである地中箱に設けられて該地中箱内の浸水を検知する浸水検知センサであって、一対の導線と、これら導線の先端にそれぞれ設けられた電極が互いの非接触状態を保って集合され前記地中箱内に設けられたセンシング部と、前記センシング部から延びる前記一対の導線の端部が接続され、前記一対の導線及び前記センシング部によって構成されるセンサ本体の電気抵抗を取り出すための検知用端末部として機能する通電用端子部とを具備し、前記通電用端子部は前記地中箱の地上側開口部に設けられた蓋に取り付けられ、前記接続箱の外側から前記センサ本体の電気抵抗を取り出せることを特徴とする浸水検知センサを提供する。
請求項4に係る発明は、マンホールあるいはハンドホールである地中箱に設けられて該地中箱内の浸水を検知する浸水検知センサであって、一対の導線と、これら導線の先端にそれぞれ設けられた電極が互いの非接触状態を保って集合され前記地中箱内に設けられたセンシング部と、前記センシング部から延びる前記一対の導線の端部が接続され、前記一対の導線及び前記センシング部によって構成されるセンサ本体の電気抵抗を取り出すための検知用端末部として機能するRFタグとを具備し、前記RFタグは前記地中箱の地上側開口部に設けられた蓋に取り付けられており、前記蓋の地上側からリーダーを用いて前記RFタグによる前記センサ本体の電気抵抗の計測及び前記RFタグからの計測データの取り出しを行えるようになっていることを特徴とする浸水検知センサを提供する。
請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の浸水検知センサであって、前記センサ本体の前記センシング部は、一対の前記電極を電気絶縁性の被覆材中に埋設して一括固定してなり、前記被覆材に、前記接続箱内あるいは前記地中箱内の浸水と前記電極との接触を可能とするための通水孔あるいは凹所が形成されていることを特徴とするを提供する。
請求項6に係る発明は、前記電極は線状又はピン状であり、複数本の前記電極がその長手方向を揃えて前記被覆材中に固定されていることを特徴とする請求項5記載の浸水検知センサを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る浸水検知センサによれば、検知用端末部を介して、接続箱の筐体あるいは地中箱の蓋の外側から前記センサ本体の電気抵抗を取り出すことができる。このため、接続箱内や地中箱内を目視確認することなく浸水の有無を確認できる。また、OTDR等の設備が不要であり、低コストで浸水検知を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る浸水検知センサをクロージャ(接続箱)に適用した例を示す模式図、図2(a)、(b)は、浸水検知センサの一例を示す模式図である。
なお、図1において上側を「上」、下側を「下」として説明する。
【0011】
図1において、符号1はクロージャ、2は浸水検知センサ、7a、7bは通信ケーブル(以下、単にケーブルとも言う)である。
クロージャ1は、クロージャスリーブ11内にケーブル7a、7b同士の接続点(図示略)を収納している。クロージャスリーブ11は前記接続点を収納する筐体である。
また、このクロージャ1には前記浸水検知センサ2が設けられており、クロージャ1は浸水検知センサ付きクロージャとなっている。
【0012】
クロージャ1のクロージャスリーブ11には浸水検知センサ2の通電用端子部4(以下、単に端子部とも言う)が複数配されている。
また、クロージャ1の内部(クロージャスリーブ11の内部)には浸水検知センサ2のセンシング部21が配され、一対の導線3がセンシング部21から伸びている。
導線3の一端部3aはクロージャスリーブ11の内側から端子部4に接続されている。導線3の他端部3bには、センシング部21を構成するための電極5が設けられている。
【0013】
図2(a)において、センシング部21は、一対の導線3の他端部3b(先端)に設けられた電極5を集合設置したものである。但し、各導線3の電極5は、例えば、各導線3の電極5を集合状態に保持する保持具によって、互いに接触しないように非接触状態を保つ。保持具は電気絶縁性の部材を使用して、保持具による電極5間の電気的短絡を生じないようにする。
図中、符号6は、電極5間に確保したクリアランスである。
【0014】
また、クロージャスリーブ11が、図1において上下のスリーブ分割体11a、11bからなる半割り構造である場合は、一対のスリーブ分割体11a、11bの間を離隔させることでクロージャスリーブ11が開放されることになるため、センシング部21は下側のスリーブ分割体11aに固定しないことが好ましい。
【0015】
ケーブル7a及びケーブル7bに関しては、光ファイバケーブル、メタルケーブルのいずれも採用可能である。また、ケーブルは多心のものの他、単心のものであっても良い。
【0016】
クロージャ1のクロージャスリーブ11の材質(具体的にはクロージャスリーブの材質)に関しては、ケーブルの直接接続部及び分岐接続部やケーブルから引き出した心線の余長を外の環境から守る部分なので、防水性等に鑑みて、例えばポリエチレン等が好ましい。
【0017】
図2(a)に例示する浸水検知センサ2は、一対の導線3及び前記センシング部21を有してなるセンサ本体22と、前記クロージャスリーブ11に取り付けられた前記端子部4とを具備して構成されている。
【0018】
浸水検知センサ2に関しては、センシング部21を、クロージャスリーブ11内の重力方向下部に設置することが好ましい。これにより、クロージャスリーブ11内に浸入した水がセンシング部21と接触しやすく、浸水を迅速に検知できる。
一方、端子部4は、図1では、クロージャスリーブ11の重力方向上部に設置されているが、この端子部4のクロージャスリーブ11における設置位置は重力方向上部に限定されない。
【0019】
図1に示すように、この端子部4は、センサ本体22の一対の導線3に絶縁抵抗計測用の電気計測器8の一対の接続端子81を電気的に接続するために設けられている。
この端子部4は、クロージャスリーブ11の外側に露出する位置に設けられている。このため、電気計測器8の一対の接続端子81を端子部4に接続することで、クロージャスリーブ11を開放することなく、前記電気計測器8をセンサ本体22の一対の導線3と接続できる。
【0020】
この点、前記端子部4は、クロージャスリーブ11の外側に露出する位置に設けられていれば良く、その設置位置は、クロージャスリーブ11における設置位置は重力方向上部に限定されず、例えば、クロージャスリーブ11の上部以外の側部であっても良い。但し、クロージャ1の設置現場(マンホールあるいはハンドホール)での作業性の確保に鑑みて、クロージャスリーブ11の下部を避けることが好ましい。
なお、端子部4は、開閉可能なカバーによって覆い、例えば電気計測器8の接続時等の使用時のみ適宜カバーを開放して露出できるようにしても良い。
【0021】
また、浸水検知センサ2をクロージャ1の複数箇所に設置することで、浸水範囲の把握等を実現できる。これら浸水検知センサ2のセンシング部21の位置を上下方向でずらしておくことで、浸水量の把握も可能となる。
【0022】
センシング部は、図2(a)に示す例のように、一対の導線3の他端部3bにそれぞれ接続した電極5を互いに接近させて設置した構成の他、図2(b)に示す例のように、絶縁被覆付きの導線3の他端部3bの被覆を除去して露出させた導体31自体を電極5aとして用いる構成としても良い。
なお、区別のため、図2(a)、(b)では、図2(a)のセンシング部21に符号21A、センサ本体22に符号22A、浸水検知センサ2に符号2A、図2(b)のセンシング部21に符号21B、センサ本体22に符号22B、浸水検知センサ2に符号2Bを付している。
【0023】
導線3に関しては、単線、複線、同軸線、平行線、のいずれも用いることができる。但し、電気絶縁性の被覆材(絶縁被覆)で被覆されたもの採用する。また、導線3の導体の材料に関しては、銅が好ましい。
【0024】
電極5の材質に関しては、銅、白金、クロム、アルミニウム、スズめっき銅、などが好ましく、この内、銅、スズめっき銅が特に好ましい。また、形に関しては直線状、櫛形状、板状、螺旋状等が好ましく、櫛形状がより好ましい。
【0025】
端子部4に関しては、錆や腐食等に耐性のある材質のものが良く、メッキ加工等が好ましい。
【0026】
前記端子部4に接続する保守点検用の電気計測器8としては、絶縁抵抗計を用いることが好ましい。絶縁抵抗計は計測用の電源を有する。浸水検知センサ2の導線3間、電極5間の絶縁抵抗値の測定に関しては、定格測定電圧を25〜50V、有効最大表示値を10MΩとするのが好ましく、定格測定電圧は25Vがより好ましい。
【0027】
電気計測器8を一対の端子部4を介してセンサ本体22の一対の導線3と接続することで、センサ本体22の電気抵抗を端子部4から取り出すことができる。
端子部4は、クロージャスリーブ11を介してクロージャ1(クロージャスリーブ11)の外側から前記センサ本体22の電気抵抗を取り出すための検知用端末部として機能する。
【0028】
浸水検知センサ2は、クロージャスリーブ11内に水90が浸入していないときは、浸水検知センサ2のセンシング部21の電極5間が、クリアランス6に存在する空気によって電気的に絶縁されており、絶縁抵抗が非常に高い状態にある。
クロージャスリーブ11内への浸水が生じて、浸水検知センサ2のセンシング部21の電極5間のクリアランス6に水90が入り込むなどして、一対の電極5が1つの水塊(水膜等も含む)に接触するようになると、電極5間の絶縁抵抗が急低下する。電気計測器8を一対の端子部4を介してセンサ本体22の一対の導線3と接続して、絶縁抵抗値の変化を調べることで、クロージャ1内の浸水の有無を調べることが出来る。
【0029】
このように、保守点検用電気計測器8を用いることで、現場でクロージャ1内の浸水を確認できる。クロージャスリーブ11を開放することなく、クロージャ1内の浸水を確認できるので、クロージャスリーブ11を開放して浸水確認を行う場合に比べて作業時間の大幅な短縮を図ることができる。クロージャ1内部の浸水の有無の目視確認のためにクロージャスリーブ11を開放することなく、クロージャスリーブ11の外側から浸水の有無を確認できる。
【0030】
図3に示す浸水検知センサ23は、センサ本体22と、このセンサ本体22の一対の導線3の一端部3aを接続したRFタグ25(RF:Radio Frequency)とを具備する構成である。
センサ本体22としては、図2(a)、(b)に例示した構成のものを採用できる。
【0031】
RFタグ25は、クロージャスリーブ11内に設置されている。
この浸水検知センサ23は、センサ本体22の一対の導線3の一端部3aをクロージャスリーブ11に取り付けられた端子部4に接続することにかえて、一対の導線3の一端部3aをRFタグ25に接続した構成になっている。この浸水検知センサ23は、センサ本体22及びRFタグ25、すなわち浸水検知センサ23全体がクロージャスリーブ11内に収納されている。
この浸水検知センサ23がクロージャスリーブ11内に設けられたクロージャ(浸水検知センサ付きクロージャ)に図中符号24を付す。
【0032】
ここでは、RFタグ25として、クロージャ24の識別情報(例えばクロージャ24の位置特定用の情報)がリーダー26によって読み出し可能に書き込まれたRFIDタグ(RFID:Radio Frequency IDentification)を採用している。以下、RFタグ25をRFIDタグとも言う。以下、リーダー26をRFIDリーダーとも言う。
【0033】
RFIDタグ25としては、パッシブタグ、アクティブタグのどちらも使用可能であるが、ここではパッシブタイプを使用した構成について説明する。また、用いる周波数帯は、135kHz、13.56MHz、433mHz、860〜900Hz、2.45GHzを用いることができるが、水や金属による影響が比較的小さい135kHz帯を用いるのがより好ましい。
【0034】
このRFIDタグ25(パッシブタイプ)に組み込まれているメモリ回路(以下、単にメモリとも言う)、ロジック回路等の内蔵回路の駆動電力は、RFIDタグのアンテナとRFIDリーダーのアンテナとの間の電磁波の遣り取りによる電波方式の伝送であっても良いが、伝送エネルギーを充分に確保する点では、RFIDタグ25のコイル25aとRFIDリーダー26のアンテナコイル26aとの磁束結合による電磁誘導方式の伝送(給電)の方が好ましい。
【0035】
この浸水検知センサ23を内蔵するクロージャ24の場合、RFIDリーダー26を用いることで、クロージャスリーブ11を開放することなく、クロージャスリーブ11内の浸水の有無を確認できる。
RFIDタグ25にRFIDリーダー26を近づけると、RFIDタグ25に駆動用の電力が給電され、RFIDタグ25は内蔵回路の動作によって浸水検知センサ2の一対の導線3間の絶縁抵抗(電気抵抗)を計測する。そして、RFIDリーダー26によって、この計測値(絶縁抵抗値。計測データ)をRFIDタグ25から取得できる。ここで使用するRFIDタグ25は、前記絶縁抵抗を計測する機能と、この計測データをRFIDリーダー26に送信する機能とを有する。
クロージャスリーブ11内の浸水が発生していなければ、絶縁抵抗値は非常に高い値となる。クロージャスリーブ11内の浸水によって浸水検知センサ2の導線3間、電極5間の絶縁抵抗が低下していれば、絶縁抵抗の計測値(計測データ)は浸水が発生していない場合に比べて格段に低いため、これにより浸水していることが判る。
【0036】
この浸水検知センサ23の場合、RFIDタグ25が、クロージャスリーブ11の外側から前記センサ本体22の電気抵抗を取り出すための検知用端末部として機能する。
【0037】
また、この浸水検知センサ23の場合、図1に例示した浸水検知センサ2のようにクロージャスリーブ11に端子部4を取り付ける構成に比べて、RFIDタグ25の設置位置に高い自由度を確保できるといった利点がある。
また、RFIDタグ25に樹脂コーティング等によって防水加工を施しておけば、クロージャスリーブ11内に浸入した水90と接触しても正常な動作を確保できるので、例えばクロージャスリーブ11の下部等に設置することも可能となる。
但し、クロージャスリーブ11内におけるRFIDタグ25の設置位置は、RFIDリーダー26による情報の読み出し、RFIDタグ25への給電(いわゆるRF給電)を確実に行う点で、出来るだけクロージャスリーブ11内面に接近させることが好ましい。クロージャスリーブ11内面に接触させて取り付けても良いことは言うまでも無い。
【0038】
図4は、RFIDリーダー26をRFIDタグ25に近づけたときのRFIDタグ25の動作の一例を説明するフローチャートである。
RFIDタグ25は、まず、RFIDリーダー26からの信号を受信する(ステップ251)ことで、動作をスタート(ステップ252)し、メモリに記憶している絶縁抵抗値の計測値データを消去する(ステップ253)。メモリには絶縁抵抗値の計測値が記憶される。RFIDリーダー26をRFIDタグ25に近づけたとき、これよりも前に絶縁抵抗値の計測動作が行われていた場合は、そのときの計測値がメモリに残っていることになるため、これを消去する。メモリにはクロージャ24の識別情報も記憶されているが、これは消去せずに残しておく。
【0039】
次に、絶縁抵抗値の計測動作を行う(ステップ254)。この計測動作は、RFIDタグ25にRFIDリーダー26を近づけることでRFIDタグ25に給電された駆動用電力を利用して、センサ本体22の一対の導線3間の絶縁抵抗を計測する。
そして、計測した絶縁抵抗の計測値をメモリに記憶する(ステップ255)ことで、計測動作を終了(ステップ256)する。
次いで、メモリに記憶されている計測値をRFIDリーダー26に送信する(ステップ257)。このとき、クロージャ24の識別情報も送信する。
【0040】
なお、RFタグとしては、クロージャ24の識別情報が書き込まれておらず、クロージャ24の識別情報のRFIDリーダー26への送信を行わない構成のものを採用することも可能である。
【0041】
(センシング部の別態様)
図5(a)、(b)、(c)は、浸水検知センサのセンシング部の別態様の構成を示す図であり、(a)は正面図、(b)平断面図、(c)は側断面図である。
図5(a)〜(c)に例示したセンシング部30は、金属ピンあるいは導線(但し絶縁被覆の無い裸線)である導電性の電極31を、電気絶縁性の被覆材32中に複数本(図示例では2本)埋設して一括固定したものである。ピン状又は線状である複数本の前記電極31は、その長手方向を揃えて被覆材32中に並列に固定されている。
【0042】
前記センシング部30は、電極31の長手方向に沿って延在する細長形状に形成されている。また、センシング部30は、その長手方向に垂直の断面が細長の外観扁平(図示例では長方形状)に形成されている。一対の電極31は、センシング部30の断面(センシング部30の長手方向に垂直の断面)の長手方向に互いに離隔して設けられている。
扁平のセンシング部30は、クロージャ内(クロージャスリーブ11内)の狭隘な隙間への設置も可能であり、設置位置の自由度を向上できるといった利点がある。
【0043】
なお、センシング部30としては、その長手方向寸法を、図5(a)の左右方向の寸法である断面長手方向寸法の10倍以上とした帯状に形成しても良い。また、センシング部30は、電極31として導線を採用した場合、手指で容易に曲げることができる可撓性を有する構成とすることも可能である。このようにセンシング部30が可撓性を有する構成であれば、このセンシング部30を湾曲あるいは屈曲させてクロージャ内に設置することも可能となり、クロージャ内におけるセンシング30の設置位置の自由度を高めることができるといった利点もある。
【0044】
前記被覆材32としては、エポキシ系樹脂、ポリイミド系、ウレタン、ポリエチレン等を用いるのが好ましく、ポリイミド系がより好ましい。
また、このセンシング部30は、前記被覆材32として水の浸入が可能な多孔質の発泡樹脂を用いるか、被覆材32の1又は複数箇所に形成した通水孔32a(図6(a)、(b)参照)あるいは凹所32b(図7(a)、(b)参照。図示例は溝。)によって、クロージャスリーブ1a内に浸入した水90と電極31との接触を可能としている。
区別のため、図6(a)、(b)に示すセンシング部30に符号30A、図7(a)、(b)に示すセンシング部30に符号30Bを付す。
【0045】
通水孔32a及び凹所32bは被覆材32外面から電極31に達するように形成されており、通水孔32a、凹所32bに浸入した水90を、電極31の通水孔32aあるいは凹所32bに臨む部位に接触させることができる。通水孔32a、凹所32bは、センシング部30の外側から電極31に水90を導き電極31に接触させる導水部として機能する。
【0046】
また、通水孔32aは、その内部空間に、被覆材32中に固定されている全ての電極31が露出するように形成することが好ましい。個々の通水孔32aがこのように形成されていることが好ましい。これにより、1本の通水孔32a内に浸入した水を、被覆材32中に固定されている全ての電極31に接触させ、電極間31間が水を介して接続された状態とすることができる。
図6(a)、(b)に例示したセンシング部30Aにおいて、前記通水孔32aは、センシング部30Aの幅方向(図6(a)左右方向。センシング部の断面の長手方向)に沿って延在し、その内部空間に、被覆材32中に固定されている全ての電極31が露出するように形成されている。センシング部30Aには、その長手方向の複数箇所に前記通水孔32aが形成されている。
【0047】
凹所32bについても同様であり、その内部空間に、被覆材32中に固定されている全ての電極31が露出するように形成することが好ましい。
図7(a)、(b)に例示したセンシング部30Bにおいて、前記凹部32bは、センシング部30Bの幅方向(図7(a)左右方向。センシング部の断面の長手方向)に沿って延在してセンシング部30Bの幅方向両側の側面に開口する溝状であり、その内部空間に、被覆材32中に固定されている全ての電極31が露出するように形成されている。センシング部30Bには、その長手方向の複数箇所に溝状の前記凹所32bが形成されている。
【0048】
通水孔32a及び凹所32bは、埃や金属部品等が入り込むことを抑えるために、被覆材32外面における開口部のサイズを小さく形成することが好ましい。これにより、電極31間に入り込んだ埃や金属部品が電極31に接触することによる誤検知(一対の導線3の間の絶縁抵抗値の低下)の防止に寄与する。
この点、凹所32bが図示例のようにセンシング部30Bの幅方向に延在するスリット状の溝に形成した構成であれば、凹所32bを例えばセンシング部30の被覆材32の外面から窪んで一対の電極31間に電極31の長手方向に沿って延在する溝状に形成した場合(溝状の凹所32bの溝幅を一対の電極31間の距離と同等以上にする必要がある)に比べて溝幅を狭くすることができ、埃や金属部品が入り込みにくくなるため、誤検知の防止に有利である。
【0049】
図8(a)、(b)は、前記凹所32bに埃や金属部品が入り込むことを防止するために、センシング部30Bの両面に保護シート32cを積層するようにして取り付けた構成を示す。各凹所32bはセンシング部30Bの幅方向両側の側面に開口しており、この開口部分から内部空間に水が浸入可能になっている。
保護シート32cとしては特に限定はなく、遮水性のもの、透水性のもののいずれも採用可能である。また、保護シート32cをセンシング部30Bに取り付けるための手法としては、例えば接着剤を用いた接着、熱溶着、保護シート32cを介してセンシング部30Bの被覆材32に打ち込む固定ピンによる固定、クリップを用いたクランプ固定等を採用できる。
センシング部30Bは、図示例のように、その両面に溝状の凹所32bを形成した構成に限定されない。センシング部30Bは、その片面のみに前記凹所32bが形成されている構成であっても良い。また、その場合、保護シート32cは、センシング部30Bの両面の内、凹所32bが開口されている側の面のみに取り付ければ足りる。
【0050】
なお、被覆材32として水の浸入が可能な多孔質の発泡樹脂を用いたセンシング部については、多孔質の被覆材が微細な通水孔を多数持つ構成とみなす。
【0051】
図5(b)、(c)に示すように、センシング部30は、センシング部30の長手方向の片端にて前記電極31が被覆材32から突出した部分である接続用端子部31aを具備し、この接続用端子部31aを導線3の他端部3bと電気導通可能に接続することで、導線3に接続される。電極31(詳細には接続用突出部31a)と導線3との接続は、例えばはんだ付け、溶接、導電性の金属製スリーブを用いたかしめ固定等を採用できる。
【0052】
また、図示例のセンシング部30は、電極31の接続用端子部31aとは反対側の端部(先端部31b)が被覆材32外面に露出されているが、被覆材32あるいは別途カバーを設けるなどして、電極31の先端部31bを覆って露出させないことが好ましい。これにより、電極31がクロージャ内(クロージャスリーブ11内)の金属部品等と接触することによる誤検知をより確実に防止することができる。
【0053】
本発明に係る浸水検知センサとしては、図2(a)、(b)に例示した浸水検知センサ2(2A、2B)のセンシング部21(21A、21B)にかえて、図5(a)〜(c)図6(a)、(b)、図7(a)、(b)に例示したセンシング部30を適用した構成、図3に例示した浸水検知センサ23のセンシング部21にかえて図5(a)〜(c)、図6(a)、(b)、図7(a)、(b)に例示したセンシング部30を適用した構成も採用可能である。
なお、センシング部30は、後述のように、マンホールやハンドホールに設置する浸水検知センサにも適用可能であることは言うまでも無い。
【0054】
ここまで、本発明に係る浸水検知センサをクロージャ(地下クロージャ)に適用した例を説明したが、本発明に係る浸水検知センサは、クロージャ以外、例えばマンホールやハンドホールに設置して、マンホールやハンドホールといった地中箱の内部の浸水監視、浸水検知に利用することも可能である。
この場合、浸水検知センサは、センシング部を、マンホールやハンドホールの内部空間の底部に配置する。
【0055】
図9(a)は、図2(a)、(b)に例示した浸水検知センサ2(図2(a)に例示した浸水検知センサ2A、図2(b)に例示した浸水検知センサ2Bのいずれでも良い)をマンホール71に適用した例であり、センシング部21をマンホール71の底部に配するとともに、端子部4をマンホール71の地上側開口部に設けられた蓋72に取り付け、センシング部21から延びる一対の導線3を前記端子部4に接続している。前記蓋72は開閉可能である。
【0056】
なお、図9(a)において、符号28はマンホール71内に設置されたクロージャであり、ケーブル7a、7b同士の接続点を収納している。
このクロージャ28としては、図1に例示したクロージャ1、図3に例示したクロージャ24、すなわち、本発明に係る浸水検知センサが設けられたクロージャ(浸水検知センサ付きクロージャ)を採用することも可能であるが、浸水検知センサが設けられていないものであっても構わない。
【0057】
図中、符号73は、蓋72の上面側(地上側)における端子部4の露出部分を覆うカバープレートであり、蓋72に着脱可能に取り付けられる。カバープレート73を取り外すと端子部4を露出させることができる。
露出させた前記端子部4には、地上側から絶縁抵抗計等の電気計測器8を接続でき、これにより、センサ本体22の電気抵抗、一対の導線3間の絶縁抵抗を計測できる。したがって、蓋72を開放することなく、マンホール71の浸水の有無を確認できる。
【0058】
図9(b)は、図3に例示した浸水検知センサ23をマンホール71に適用した例を示す。
RFタグ25をマンホール71の蓋72に取り付けている。
センシング部21をマンホール71の底部に配することは、図9(a)と同様である。センシング部21から延びる一対の導線3は、RFタグ25に接続されている。
【0059】
この例では、具体的には、マンホール71の蓋73を貫通する貫通穴74内に収納して図示略の取り付け具を用いて蓋73に取り付けている。貫通穴74は蓋72に着脱可能のカバープレート73によって開閉される。カバープレート73を取り外し、RFタグ25にリーダーを接近させることで、蓋72を開放することなく、絶縁抵抗(センサ本体の一対の導線3間の絶縁抵抗、センサ本体の電気抵抗)の計測、計測データの読み出しをリーダーによって行える。
【0060】
なお、この例の場合、リーダーを用いた絶縁抵抗(センサ本体の一対の導線3間の絶縁抵抗、センサ本体の電気抵抗)の計測、読み出しを効率良く行えるようにするために、貫通穴に、例えば合成樹脂等の電気絶縁性材料で形成された枠状あるいは箱状のタグ保持体を収納し、このタグ保持体の内側にRFIDタグ25を保持した構成とすることがより好ましい。
【0061】
また、RFタグ25としては、マンホール71の位置特定(識別)用の識別情報がリーダーにより読み出し可能に書き込まれたRFIDタグを採用しても良いが、識別情報が書き込まれていないものであっても良い。
【0062】
図9(a)、(b)は、本発明に係る浸水検知センサをマンホールに適用した例を示すが、ハンドホールの場合もマンホールの場合と同様に適用できる。
このように、本発明に係る浸水検知センサは、マンホールやハンドホールに設置することで、マンホール、ハンドホールの蓋を開放すること無く、マンホール、ハンドホールの内部の浸水監視、浸水検知を行える。
なお、浸水検知センサの導線には、マンホール、ハンドホールの蓋の開閉を楽に行えるようにするために、充分な長さの余長(引き出し余長。図9(a)、(b)の符号27参照)を確保しておくことが好ましい。
【0063】
また、上述の実施形態では、浸水検知センサのセンサ本体の電気抵抗を端子部あるいはRFタグから取り出せるようにした構成を例示したが、本発明はこれに限定されず、センサ本体のインピーダンスの取り出しにも適用できることは言うまでも無い。
RFタグとしては、RF給電された電力によって動作して、センサ本体のインピーダンスを計測して、この計測値をリーダーに送信できるものを採用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係る浸水検知センサを適用したクロージャ(浸水検知センサ付きクロージャ)の一例を模式的に示した図である。
【図2】本発明に係る浸水検知センサの具体例を示す図であって、(a)は一対の導線の先端(他端部)に取り付けた櫛形状の電極同士を接近配置してなるセンシング部を具備する浸水検知センサ、(b)は一対の導線の先端の絶縁被覆を除去して露出させた導体(心線)自体を電極として構成したセンシング部を具備する浸水検知センサを示す図である。
【図3】本発明の浸水検知センサの一例としてRFIDタグを使用した構成を示す図である。
【図4】図3の浸水検知センサのRFIDタグの動作の一例を説明するフローチャートである。
【図5】(a)〜(c)は本発明の浸水検知センサのセンシング部の別態様を説明する図である。
【図6】図5(a)〜(c)のセンシング部に通水孔を形成した構成を説明する図であって、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図7】図5(a)〜(c)のセンシング部に凹所(溝)を形成した構成を説明する図であって、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図8】図6(a)、(b)のセンシング部の両面に保護シートを取り付けた構成を説明する図であって、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図9】(a)、(b)は、本発明に係る浸水検知センサをマンホールに適用した構成の一例を説明する図である。
【図10】光線路監視システムの一例を示す概略図である。
【図11】浸水検知用の光ファイバセンサの一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0065】
1…接続箱(クロージャ)、11…筐体(クロージャスリーブ)、11a、11b…スリーブ分割体、2、2A、2B…浸水検知センサ、21、21A、21B…センシング部、22、22A、22B…センサ本体、23…浸水検知センサ、24…接続箱(クロージャ)、25…RFタグ(RFIDタグ)、25a…コイル、26…RFIDリーダー、26a…アンテナコイル、3…導線、30、30A、30B…センシング部、31…電極、31a…接続用端子部、31b…(電極の)先端部、32…被覆材、32a…通水孔、32b…凹所、32c…保護シート、4…通電用端子(端子部)、5、5a…電極、6…クリアランス、7a、7b…通信ケーブル、71…マンホール、72…蓋、73…カバープレート、8…電気計測器(絶縁抵抗計)、81…接続端子、90…水。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、地下設置されたクロージャ等の接続箱、マンホール、ハンドホールといった地中箱の内部の浸水検知用の浸水検知センサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IPネットワークサービスの普及により、光ファイバ網の構築が全国規模で行われている。これにともない、光ファイバケーブル網の効率的かつ経済的な保守の重要性が増してきており、光ファイバケーブル網の常時あるいは定期的な保守に光線路監視システムが使用されている。
図10における光線路監視システムにおいて、OTDR91もしくは光試験装置92からの光は、光ファイバケーブル93の光ファイバに入射されて、光線路に伝送される。この光線路の後方散乱光等の戻り光をOTDR91で観測する。
【0003】
上記光線路監視システムを、光線路に設けられているクロージャ94内の浸水監視に利用する技術も知られている。これは、主として、マンホール内等に設置された地下設置形クロージャに適用されている。
クロージャ94は、光ファイバケーブル93同士の接続点や、分岐接続点、及び光ファイバの余長を収納している。また、クロージャ94内に、浸水監視用の光ファイバセンサ95を収納する。この光ファイバセンサ95としては、例えば、図11に示すように、水と接触して膨潤する膨潤部材53を利用したものが提案されている。この光ファイバセンサは、クロージャ内に浸入した水と接触した膨潤部材53の膨潤によって光ファイバ押圧用の移動子を移動し、この移動子によって光ファイバを押圧して、光ファイバに曲げ変形を与え曲げ損失を発生させる構造になっている。
水と接触した膨潤部材の膨潤によって光ファイバに曲げを与えて損失を増大せしめる構成の光ファイバセンサとしては、例えば、特許文献1に開示されるものがある。
【0004】
図11の光ファイバセンサについて説明する。
図11に示すように、この光ファイバセンサ50は、筐体55内に設けられた一対の部材(受け部材51と応力付与部材52)の間に光ファイバ70が通され、さらに、応力付与部材52を介して受け部材51とは反対の側に設けられた膨潤部材53を前記筐体55内に収納した概略構成になっている。膨潤部材53は、水との接触により膨潤する材料によって形成されたシート状の分割片58とシート状の導液材59とを積層した構成になっている。筐体55には、該筐体55の外側から筐体55内への水の導入用の検知孔57が形成されている。導液材59は、筐体55内に浸入した水を分割片58に導き、その表面に広く分散させるものであり、紙や布等の水を透過させる材料の他、合成樹脂フィルムや金属箔等の水を透過させない材料からなるものであっても良い。
応力付与部材52の外周囲には、応力付与部材52の動作を光ファイバ70の長手方向と直交する方向に導くためのガイド部材56が配置されている。この光ファイバセンサ50においては、膨潤部材53の膨潤前は、光ファイバ70は曲げが与えられていない状態、あるいは、非常に緩やかな湾曲が与えられた状態になっている。検知孔57から筐体55内に水が浸入し、膨潤部材53が膨潤することで応力付与部材52が受け部材51に接近するように移動する。すると、前記応力付与部材52の山形に形成された凸部52aが光ファイバ70を押圧して、光ファイバに曲げ変形を与え、曲げ損失を生じさせる。これにより、膨潤部材53の膨潤前に比べて光ファイバ70の伝送損失が増加する。この損失をOTDRで観測する。
【0005】
この光線路監視システムにおいては、光ファイバケーブル内の光ファイバの一部を浸水監視用に割り当てる。光ファイバセンサに適用される光ファイバは、この浸水監視用の光ファイバのクロージャ内にて光ファイバケーブルから引き出された部分を受け部材51と応力付与部材52との間に引き込んだもの、あるいは、この浸水監視用の光ファイバに別途接続した光ファイバである。
また、この光線路監視システムによって、マンホール内の浸水監視等も行える。
【0006】
従来は、このOTDRと光ファイバセンサを用いて、浸水が生じたクロージャの検知、及び、該クロージャの位置特定を行っていた。
しかしながらこの方法では、試験のための光線路試験システムが必要となり、経済性に問題があった。また、クロージャの設置場所付近に作業者がいても、局内からの試験を行う必要があり、作業までに時間を要していた。
更に、現地のクロージャで浸水を確認するためには、クロージャの蓋を開けて、中を目視確認する必要があり、手間と時間を要する。浸水していない場合にはすぐに元の状態に戻す必要があり、この作業にも時間がかかってしまう。
【特許文献1】特開平3−197844号公報
【非特許文献1】フジクラ技報 2001年4月、第100号,p19−24
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、現場でのクロージャ内の浸水確認を容易にでき、かつ経済性にも優れた浸水検知センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に係る発明は、通信ケーブル同士の接続点を筐体内に収納する接続箱に設けられて前記接続箱の浸水を検知する浸水検知センサであって、一対の導線と、これら導線の先端にそれぞれ設けられた電極が互いの非接触状態を保って集合され前記接続箱内に設けられたセンシング部と、前記センシング部から延びる前記一対の導線の端部が接続され、前記一対の導線及び前記センシング部によって構成されるセンサ本体の電気抵抗を取り出すための検知用端末部として機能する通電用端子部とを具備し、前記通電用端子部は前記接続箱の前記筐体に取り付けられ、前記接続箱の外側から前記センサ本体の電気抵抗を取り出せることを特徴とする浸水検知センサを提供する。
請求項2に係る発明は、通信ケーブル同士の接続点を筐体内に収納する接続箱に設けられて前記接続箱の浸水を検知する浸水検知センサであって、一対の導線と、これら導線の先端にそれぞれ設けられた電極が互いの非接触状態を保って集合され前記接続箱内に設けられたセンシング部と、前記センシング部から延びる前記一対の導線の端部が接続され、前記一対の導線及び前記センシング部によって構成されるセンサ本体の電気抵抗を取り出すための検知用端末部として機能するRFタグとを具備し、前記RFタグは前記接続箱内に収納されており、前記接続箱の外側からリーダーを用いて前記RFタグによる前記センサ本体の電気抵抗の計測及び前記RFタグからの計測データの取り出しを行えるようになっていることを特徴とする浸水検知センサを提供する。
請求項3に係る発明は、マンホールあるいはハンドホールである地中箱に設けられて該地中箱内の浸水を検知する浸水検知センサであって、一対の導線と、これら導線の先端にそれぞれ設けられた電極が互いの非接触状態を保って集合され前記地中箱内に設けられたセンシング部と、前記センシング部から延びる前記一対の導線の端部が接続され、前記一対の導線及び前記センシング部によって構成されるセンサ本体の電気抵抗を取り出すための検知用端末部として機能する通電用端子部とを具備し、前記通電用端子部は前記地中箱の地上側開口部に設けられた蓋に取り付けられ、前記接続箱の外側から前記センサ本体の電気抵抗を取り出せることを特徴とする浸水検知センサを提供する。
請求項4に係る発明は、マンホールあるいはハンドホールである地中箱に設けられて該地中箱内の浸水を検知する浸水検知センサであって、一対の導線と、これら導線の先端にそれぞれ設けられた電極が互いの非接触状態を保って集合され前記地中箱内に設けられたセンシング部と、前記センシング部から延びる前記一対の導線の端部が接続され、前記一対の導線及び前記センシング部によって構成されるセンサ本体の電気抵抗を取り出すための検知用端末部として機能するRFタグとを具備し、前記RFタグは前記地中箱の地上側開口部に設けられた蓋に取り付けられており、前記蓋の地上側からリーダーを用いて前記RFタグによる前記センサ本体の電気抵抗の計測及び前記RFタグからの計測データの取り出しを行えるようになっていることを特徴とする浸水検知センサを提供する。
請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の浸水検知センサであって、前記センサ本体の前記センシング部は、一対の前記電極を電気絶縁性の被覆材中に埋設して一括固定してなり、前記被覆材に、前記接続箱内あるいは前記地中箱内の浸水と前記電極との接触を可能とするための通水孔あるいは凹所が形成されていることを特徴とするを提供する。
請求項6に係る発明は、前記電極は線状又はピン状であり、複数本の前記電極がその長手方向を揃えて前記被覆材中に固定されていることを特徴とする請求項5記載の浸水検知センサを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る浸水検知センサによれば、検知用端末部を介して、接続箱の筐体あるいは地中箱の蓋の外側から前記センサ本体の電気抵抗を取り出すことができる。このため、接続箱内や地中箱内を目視確認することなく浸水の有無を確認できる。また、OTDR等の設備が不要であり、低コストで浸水検知を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る浸水検知センサをクロージャ(接続箱)に適用した例を示す模式図、図2(a)、(b)は、浸水検知センサの一例を示す模式図である。
なお、図1において上側を「上」、下側を「下」として説明する。
【0011】
図1において、符号1はクロージャ、2は浸水検知センサ、7a、7bは通信ケーブル(以下、単にケーブルとも言う)である。
クロージャ1は、クロージャスリーブ11内にケーブル7a、7b同士の接続点(図示略)を収納している。クロージャスリーブ11は前記接続点を収納する筐体である。
また、このクロージャ1には前記浸水検知センサ2が設けられており、クロージャ1は浸水検知センサ付きクロージャとなっている。
【0012】
クロージャ1のクロージャスリーブ11には浸水検知センサ2の通電用端子部4(以下、単に端子部とも言う)が複数配されている。
また、クロージャ1の内部(クロージャスリーブ11の内部)には浸水検知センサ2のセンシング部21が配され、一対の導線3がセンシング部21から伸びている。
導線3の一端部3aはクロージャスリーブ11の内側から端子部4に接続されている。導線3の他端部3bには、センシング部21を構成するための電極5が設けられている。
【0013】
図2(a)において、センシング部21は、一対の導線3の他端部3b(先端)に設けられた電極5を集合設置したものである。但し、各導線3の電極5は、例えば、各導線3の電極5を集合状態に保持する保持具によって、互いに接触しないように非接触状態を保つ。保持具は電気絶縁性の部材を使用して、保持具による電極5間の電気的短絡を生じないようにする。
図中、符号6は、電極5間に確保したクリアランスである。
【0014】
また、クロージャスリーブ11が、図1において上下のスリーブ分割体11a、11bからなる半割り構造である場合は、一対のスリーブ分割体11a、11bの間を離隔させることでクロージャスリーブ11が開放されることになるため、センシング部21は下側のスリーブ分割体11aに固定しないことが好ましい。
【0015】
ケーブル7a及びケーブル7bに関しては、光ファイバケーブル、メタルケーブルのいずれも採用可能である。また、ケーブルは多心のものの他、単心のものであっても良い。
【0016】
クロージャ1のクロージャスリーブ11の材質(具体的にはクロージャスリーブの材質)に関しては、ケーブルの直接接続部及び分岐接続部やケーブルから引き出した心線の余長を外の環境から守る部分なので、防水性等に鑑みて、例えばポリエチレン等が好ましい。
【0017】
図2(a)に例示する浸水検知センサ2は、一対の導線3及び前記センシング部21を有してなるセンサ本体22と、前記クロージャスリーブ11に取り付けられた前記端子部4とを具備して構成されている。
【0018】
浸水検知センサ2に関しては、センシング部21を、クロージャスリーブ11内の重力方向下部に設置することが好ましい。これにより、クロージャスリーブ11内に浸入した水がセンシング部21と接触しやすく、浸水を迅速に検知できる。
一方、端子部4は、図1では、クロージャスリーブ11の重力方向上部に設置されているが、この端子部4のクロージャスリーブ11における設置位置は重力方向上部に限定されない。
【0019】
図1に示すように、この端子部4は、センサ本体22の一対の導線3に絶縁抵抗計測用の電気計測器8の一対の接続端子81を電気的に接続するために設けられている。
この端子部4は、クロージャスリーブ11の外側に露出する位置に設けられている。このため、電気計測器8の一対の接続端子81を端子部4に接続することで、クロージャスリーブ11を開放することなく、前記電気計測器8をセンサ本体22の一対の導線3と接続できる。
【0020】
この点、前記端子部4は、クロージャスリーブ11の外側に露出する位置に設けられていれば良く、その設置位置は、クロージャスリーブ11における設置位置は重力方向上部に限定されず、例えば、クロージャスリーブ11の上部以外の側部であっても良い。但し、クロージャ1の設置現場(マンホールあるいはハンドホール)での作業性の確保に鑑みて、クロージャスリーブ11の下部を避けることが好ましい。
なお、端子部4は、開閉可能なカバーによって覆い、例えば電気計測器8の接続時等の使用時のみ適宜カバーを開放して露出できるようにしても良い。
【0021】
また、浸水検知センサ2をクロージャ1の複数箇所に設置することで、浸水範囲の把握等を実現できる。これら浸水検知センサ2のセンシング部21の位置を上下方向でずらしておくことで、浸水量の把握も可能となる。
【0022】
センシング部は、図2(a)に示す例のように、一対の導線3の他端部3bにそれぞれ接続した電極5を互いに接近させて設置した構成の他、図2(b)に示す例のように、絶縁被覆付きの導線3の他端部3bの被覆を除去して露出させた導体31自体を電極5aとして用いる構成としても良い。
なお、区別のため、図2(a)、(b)では、図2(a)のセンシング部21に符号21A、センサ本体22に符号22A、浸水検知センサ2に符号2A、図2(b)のセンシング部21に符号21B、センサ本体22に符号22B、浸水検知センサ2に符号2Bを付している。
【0023】
導線3に関しては、単線、複線、同軸線、平行線、のいずれも用いることができる。但し、電気絶縁性の被覆材(絶縁被覆)で被覆されたもの採用する。また、導線3の導体の材料に関しては、銅が好ましい。
【0024】
電極5の材質に関しては、銅、白金、クロム、アルミニウム、スズめっき銅、などが好ましく、この内、銅、スズめっき銅が特に好ましい。また、形に関しては直線状、櫛形状、板状、螺旋状等が好ましく、櫛形状がより好ましい。
【0025】
端子部4に関しては、錆や腐食等に耐性のある材質のものが良く、メッキ加工等が好ましい。
【0026】
前記端子部4に接続する保守点検用の電気計測器8としては、絶縁抵抗計を用いることが好ましい。絶縁抵抗計は計測用の電源を有する。浸水検知センサ2の導線3間、電極5間の絶縁抵抗値の測定に関しては、定格測定電圧を25〜50V、有効最大表示値を10MΩとするのが好ましく、定格測定電圧は25Vがより好ましい。
【0027】
電気計測器8を一対の端子部4を介してセンサ本体22の一対の導線3と接続することで、センサ本体22の電気抵抗を端子部4から取り出すことができる。
端子部4は、クロージャスリーブ11を介してクロージャ1(クロージャスリーブ11)の外側から前記センサ本体22の電気抵抗を取り出すための検知用端末部として機能する。
【0028】
浸水検知センサ2は、クロージャスリーブ11内に水90が浸入していないときは、浸水検知センサ2のセンシング部21の電極5間が、クリアランス6に存在する空気によって電気的に絶縁されており、絶縁抵抗が非常に高い状態にある。
クロージャスリーブ11内への浸水が生じて、浸水検知センサ2のセンシング部21の電極5間のクリアランス6に水90が入り込むなどして、一対の電極5が1つの水塊(水膜等も含む)に接触するようになると、電極5間の絶縁抵抗が急低下する。電気計測器8を一対の端子部4を介してセンサ本体22の一対の導線3と接続して、絶縁抵抗値の変化を調べることで、クロージャ1内の浸水の有無を調べることが出来る。
【0029】
このように、保守点検用電気計測器8を用いることで、現場でクロージャ1内の浸水を確認できる。クロージャスリーブ11を開放することなく、クロージャ1内の浸水を確認できるので、クロージャスリーブ11を開放して浸水確認を行う場合に比べて作業時間の大幅な短縮を図ることができる。クロージャ1内部の浸水の有無の目視確認のためにクロージャスリーブ11を開放することなく、クロージャスリーブ11の外側から浸水の有無を確認できる。
【0030】
図3に示す浸水検知センサ23は、センサ本体22と、このセンサ本体22の一対の導線3の一端部3aを接続したRFタグ25(RF:Radio Frequency)とを具備する構成である。
センサ本体22としては、図2(a)、(b)に例示した構成のものを採用できる。
【0031】
RFタグ25は、クロージャスリーブ11内に設置されている。
この浸水検知センサ23は、センサ本体22の一対の導線3の一端部3aをクロージャスリーブ11に取り付けられた端子部4に接続することにかえて、一対の導線3の一端部3aをRFタグ25に接続した構成になっている。この浸水検知センサ23は、センサ本体22及びRFタグ25、すなわち浸水検知センサ23全体がクロージャスリーブ11内に収納されている。
この浸水検知センサ23がクロージャスリーブ11内に設けられたクロージャ(浸水検知センサ付きクロージャ)に図中符号24を付す。
【0032】
ここでは、RFタグ25として、クロージャ24の識別情報(例えばクロージャ24の位置特定用の情報)がリーダー26によって読み出し可能に書き込まれたRFIDタグ(RFID:Radio Frequency IDentification)を採用している。以下、RFタグ25をRFIDタグとも言う。以下、リーダー26をRFIDリーダーとも言う。
【0033】
RFIDタグ25としては、パッシブタグ、アクティブタグのどちらも使用可能であるが、ここではパッシブタイプを使用した構成について説明する。また、用いる周波数帯は、135kHz、13.56MHz、433mHz、860〜900Hz、2.45GHzを用いることができるが、水や金属による影響が比較的小さい135kHz帯を用いるのがより好ましい。
【0034】
このRFIDタグ25(パッシブタイプ)に組み込まれているメモリ回路(以下、単にメモリとも言う)、ロジック回路等の内蔵回路の駆動電力は、RFIDタグのアンテナとRFIDリーダーのアンテナとの間の電磁波の遣り取りによる電波方式の伝送であっても良いが、伝送エネルギーを充分に確保する点では、RFIDタグ25のコイル25aとRFIDリーダー26のアンテナコイル26aとの磁束結合による電磁誘導方式の伝送(給電)の方が好ましい。
【0035】
この浸水検知センサ23を内蔵するクロージャ24の場合、RFIDリーダー26を用いることで、クロージャスリーブ11を開放することなく、クロージャスリーブ11内の浸水の有無を確認できる。
RFIDタグ25にRFIDリーダー26を近づけると、RFIDタグ25に駆動用の電力が給電され、RFIDタグ25は内蔵回路の動作によって浸水検知センサ2の一対の導線3間の絶縁抵抗(電気抵抗)を計測する。そして、RFIDリーダー26によって、この計測値(絶縁抵抗値。計測データ)をRFIDタグ25から取得できる。ここで使用するRFIDタグ25は、前記絶縁抵抗を計測する機能と、この計測データをRFIDリーダー26に送信する機能とを有する。
クロージャスリーブ11内の浸水が発生していなければ、絶縁抵抗値は非常に高い値となる。クロージャスリーブ11内の浸水によって浸水検知センサ2の導線3間、電極5間の絶縁抵抗が低下していれば、絶縁抵抗の計測値(計測データ)は浸水が発生していない場合に比べて格段に低いため、これにより浸水していることが判る。
【0036】
この浸水検知センサ23の場合、RFIDタグ25が、クロージャスリーブ11の外側から前記センサ本体22の電気抵抗を取り出すための検知用端末部として機能する。
【0037】
また、この浸水検知センサ23の場合、図1に例示した浸水検知センサ2のようにクロージャスリーブ11に端子部4を取り付ける構成に比べて、RFIDタグ25の設置位置に高い自由度を確保できるといった利点がある。
また、RFIDタグ25に樹脂コーティング等によって防水加工を施しておけば、クロージャスリーブ11内に浸入した水90と接触しても正常な動作を確保できるので、例えばクロージャスリーブ11の下部等に設置することも可能となる。
但し、クロージャスリーブ11内におけるRFIDタグ25の設置位置は、RFIDリーダー26による情報の読み出し、RFIDタグ25への給電(いわゆるRF給電)を確実に行う点で、出来るだけクロージャスリーブ11内面に接近させることが好ましい。クロージャスリーブ11内面に接触させて取り付けても良いことは言うまでも無い。
【0038】
図4は、RFIDリーダー26をRFIDタグ25に近づけたときのRFIDタグ25の動作の一例を説明するフローチャートである。
RFIDタグ25は、まず、RFIDリーダー26からの信号を受信する(ステップ251)ことで、動作をスタート(ステップ252)し、メモリに記憶している絶縁抵抗値の計測値データを消去する(ステップ253)。メモリには絶縁抵抗値の計測値が記憶される。RFIDリーダー26をRFIDタグ25に近づけたとき、これよりも前に絶縁抵抗値の計測動作が行われていた場合は、そのときの計測値がメモリに残っていることになるため、これを消去する。メモリにはクロージャ24の識別情報も記憶されているが、これは消去せずに残しておく。
【0039】
次に、絶縁抵抗値の計測動作を行う(ステップ254)。この計測動作は、RFIDタグ25にRFIDリーダー26を近づけることでRFIDタグ25に給電された駆動用電力を利用して、センサ本体22の一対の導線3間の絶縁抵抗を計測する。
そして、計測した絶縁抵抗の計測値をメモリに記憶する(ステップ255)ことで、計測動作を終了(ステップ256)する。
次いで、メモリに記憶されている計測値をRFIDリーダー26に送信する(ステップ257)。このとき、クロージャ24の識別情報も送信する。
【0040】
なお、RFタグとしては、クロージャ24の識別情報が書き込まれておらず、クロージャ24の識別情報のRFIDリーダー26への送信を行わない構成のものを採用することも可能である。
【0041】
(センシング部の別態様)
図5(a)、(b)、(c)は、浸水検知センサのセンシング部の別態様の構成を示す図であり、(a)は正面図、(b)平断面図、(c)は側断面図である。
図5(a)〜(c)に例示したセンシング部30は、金属ピンあるいは導線(但し絶縁被覆の無い裸線)である導電性の電極31を、電気絶縁性の被覆材32中に複数本(図示例では2本)埋設して一括固定したものである。ピン状又は線状である複数本の前記電極31は、その長手方向を揃えて被覆材32中に並列に固定されている。
【0042】
前記センシング部30は、電極31の長手方向に沿って延在する細長形状に形成されている。また、センシング部30は、その長手方向に垂直の断面が細長の外観扁平(図示例では長方形状)に形成されている。一対の電極31は、センシング部30の断面(センシング部30の長手方向に垂直の断面)の長手方向に互いに離隔して設けられている。
扁平のセンシング部30は、クロージャ内(クロージャスリーブ11内)の狭隘な隙間への設置も可能であり、設置位置の自由度を向上できるといった利点がある。
【0043】
なお、センシング部30としては、その長手方向寸法を、図5(a)の左右方向の寸法である断面長手方向寸法の10倍以上とした帯状に形成しても良い。また、センシング部30は、電極31として導線を採用した場合、手指で容易に曲げることができる可撓性を有する構成とすることも可能である。このようにセンシング部30が可撓性を有する構成であれば、このセンシング部30を湾曲あるいは屈曲させてクロージャ内に設置することも可能となり、クロージャ内におけるセンシング30の設置位置の自由度を高めることができるといった利点もある。
【0044】
前記被覆材32としては、エポキシ系樹脂、ポリイミド系、ウレタン、ポリエチレン等を用いるのが好ましく、ポリイミド系がより好ましい。
また、このセンシング部30は、前記被覆材32として水の浸入が可能な多孔質の発泡樹脂を用いるか、被覆材32の1又は複数箇所に形成した通水孔32a(図6(a)、(b)参照)あるいは凹所32b(図7(a)、(b)参照。図示例は溝。)によって、クロージャスリーブ1a内に浸入した水90と電極31との接触を可能としている。
区別のため、図6(a)、(b)に示すセンシング部30に符号30A、図7(a)、(b)に示すセンシング部30に符号30Bを付す。
【0045】
通水孔32a及び凹所32bは被覆材32外面から電極31に達するように形成されており、通水孔32a、凹所32bに浸入した水90を、電極31の通水孔32aあるいは凹所32bに臨む部位に接触させることができる。通水孔32a、凹所32bは、センシング部30の外側から電極31に水90を導き電極31に接触させる導水部として機能する。
【0046】
また、通水孔32aは、その内部空間に、被覆材32中に固定されている全ての電極31が露出するように形成することが好ましい。個々の通水孔32aがこのように形成されていることが好ましい。これにより、1本の通水孔32a内に浸入した水を、被覆材32中に固定されている全ての電極31に接触させ、電極間31間が水を介して接続された状態とすることができる。
図6(a)、(b)に例示したセンシング部30Aにおいて、前記通水孔32aは、センシング部30Aの幅方向(図6(a)左右方向。センシング部の断面の長手方向)に沿って延在し、その内部空間に、被覆材32中に固定されている全ての電極31が露出するように形成されている。センシング部30Aには、その長手方向の複数箇所に前記通水孔32aが形成されている。
【0047】
凹所32bについても同様であり、その内部空間に、被覆材32中に固定されている全ての電極31が露出するように形成することが好ましい。
図7(a)、(b)に例示したセンシング部30Bにおいて、前記凹部32bは、センシング部30Bの幅方向(図7(a)左右方向。センシング部の断面の長手方向)に沿って延在してセンシング部30Bの幅方向両側の側面に開口する溝状であり、その内部空間に、被覆材32中に固定されている全ての電極31が露出するように形成されている。センシング部30Bには、その長手方向の複数箇所に溝状の前記凹所32bが形成されている。
【0048】
通水孔32a及び凹所32bは、埃や金属部品等が入り込むことを抑えるために、被覆材32外面における開口部のサイズを小さく形成することが好ましい。これにより、電極31間に入り込んだ埃や金属部品が電極31に接触することによる誤検知(一対の導線3の間の絶縁抵抗値の低下)の防止に寄与する。
この点、凹所32bが図示例のようにセンシング部30Bの幅方向に延在するスリット状の溝に形成した構成であれば、凹所32bを例えばセンシング部30の被覆材32の外面から窪んで一対の電極31間に電極31の長手方向に沿って延在する溝状に形成した場合(溝状の凹所32bの溝幅を一対の電極31間の距離と同等以上にする必要がある)に比べて溝幅を狭くすることができ、埃や金属部品が入り込みにくくなるため、誤検知の防止に有利である。
【0049】
図8(a)、(b)は、前記凹所32bに埃や金属部品が入り込むことを防止するために、センシング部30Bの両面に保護シート32cを積層するようにして取り付けた構成を示す。各凹所32bはセンシング部30Bの幅方向両側の側面に開口しており、この開口部分から内部空間に水が浸入可能になっている。
保護シート32cとしては特に限定はなく、遮水性のもの、透水性のもののいずれも採用可能である。また、保護シート32cをセンシング部30Bに取り付けるための手法としては、例えば接着剤を用いた接着、熱溶着、保護シート32cを介してセンシング部30Bの被覆材32に打ち込む固定ピンによる固定、クリップを用いたクランプ固定等を採用できる。
センシング部30Bは、図示例のように、その両面に溝状の凹所32bを形成した構成に限定されない。センシング部30Bは、その片面のみに前記凹所32bが形成されている構成であっても良い。また、その場合、保護シート32cは、センシング部30Bの両面の内、凹所32bが開口されている側の面のみに取り付ければ足りる。
【0050】
なお、被覆材32として水の浸入が可能な多孔質の発泡樹脂を用いたセンシング部については、多孔質の被覆材が微細な通水孔を多数持つ構成とみなす。
【0051】
図5(b)、(c)に示すように、センシング部30は、センシング部30の長手方向の片端にて前記電極31が被覆材32から突出した部分である接続用端子部31aを具備し、この接続用端子部31aを導線3の他端部3bと電気導通可能に接続することで、導線3に接続される。電極31(詳細には接続用突出部31a)と導線3との接続は、例えばはんだ付け、溶接、導電性の金属製スリーブを用いたかしめ固定等を採用できる。
【0052】
また、図示例のセンシング部30は、電極31の接続用端子部31aとは反対側の端部(先端部31b)が被覆材32外面に露出されているが、被覆材32あるいは別途カバーを設けるなどして、電極31の先端部31bを覆って露出させないことが好ましい。これにより、電極31がクロージャ内(クロージャスリーブ11内)の金属部品等と接触することによる誤検知をより確実に防止することができる。
【0053】
本発明に係る浸水検知センサとしては、図2(a)、(b)に例示した浸水検知センサ2(2A、2B)のセンシング部21(21A、21B)にかえて、図5(a)〜(c)図6(a)、(b)、図7(a)、(b)に例示したセンシング部30を適用した構成、図3に例示した浸水検知センサ23のセンシング部21にかえて図5(a)〜(c)、図6(a)、(b)、図7(a)、(b)に例示したセンシング部30を適用した構成も採用可能である。
なお、センシング部30は、後述のように、マンホールやハンドホールに設置する浸水検知センサにも適用可能であることは言うまでも無い。
【0054】
ここまで、本発明に係る浸水検知センサをクロージャ(地下クロージャ)に適用した例を説明したが、本発明に係る浸水検知センサは、クロージャ以外、例えばマンホールやハンドホールに設置して、マンホールやハンドホールといった地中箱の内部の浸水監視、浸水検知に利用することも可能である。
この場合、浸水検知センサは、センシング部を、マンホールやハンドホールの内部空間の底部に配置する。
【0055】
図9(a)は、図2(a)、(b)に例示した浸水検知センサ2(図2(a)に例示した浸水検知センサ2A、図2(b)に例示した浸水検知センサ2Bのいずれでも良い)をマンホール71に適用した例であり、センシング部21をマンホール71の底部に配するとともに、端子部4をマンホール71の地上側開口部に設けられた蓋72に取り付け、センシング部21から延びる一対の導線3を前記端子部4に接続している。前記蓋72は開閉可能である。
【0056】
なお、図9(a)において、符号28はマンホール71内に設置されたクロージャであり、ケーブル7a、7b同士の接続点を収納している。
このクロージャ28としては、図1に例示したクロージャ1、図3に例示したクロージャ24、すなわち、本発明に係る浸水検知センサが設けられたクロージャ(浸水検知センサ付きクロージャ)を採用することも可能であるが、浸水検知センサが設けられていないものであっても構わない。
【0057】
図中、符号73は、蓋72の上面側(地上側)における端子部4の露出部分を覆うカバープレートであり、蓋72に着脱可能に取り付けられる。カバープレート73を取り外すと端子部4を露出させることができる。
露出させた前記端子部4には、地上側から絶縁抵抗計等の電気計測器8を接続でき、これにより、センサ本体22の電気抵抗、一対の導線3間の絶縁抵抗を計測できる。したがって、蓋72を開放することなく、マンホール71の浸水の有無を確認できる。
【0058】
図9(b)は、図3に例示した浸水検知センサ23をマンホール71に適用した例を示す。
RFタグ25をマンホール71の蓋72に取り付けている。
センシング部21をマンホール71の底部に配することは、図9(a)と同様である。センシング部21から延びる一対の導線3は、RFタグ25に接続されている。
【0059】
この例では、具体的には、マンホール71の蓋73を貫通する貫通穴74内に収納して図示略の取り付け具を用いて蓋73に取り付けている。貫通穴74は蓋72に着脱可能のカバープレート73によって開閉される。カバープレート73を取り外し、RFタグ25にリーダーを接近させることで、蓋72を開放することなく、絶縁抵抗(センサ本体の一対の導線3間の絶縁抵抗、センサ本体の電気抵抗)の計測、計測データの読み出しをリーダーによって行える。
【0060】
なお、この例の場合、リーダーを用いた絶縁抵抗(センサ本体の一対の導線3間の絶縁抵抗、センサ本体の電気抵抗)の計測、読み出しを効率良く行えるようにするために、貫通穴に、例えば合成樹脂等の電気絶縁性材料で形成された枠状あるいは箱状のタグ保持体を収納し、このタグ保持体の内側にRFIDタグ25を保持した構成とすることがより好ましい。
【0061】
また、RFタグ25としては、マンホール71の位置特定(識別)用の識別情報がリーダーにより読み出し可能に書き込まれたRFIDタグを採用しても良いが、識別情報が書き込まれていないものであっても良い。
【0062】
図9(a)、(b)は、本発明に係る浸水検知センサをマンホールに適用した例を示すが、ハンドホールの場合もマンホールの場合と同様に適用できる。
このように、本発明に係る浸水検知センサは、マンホールやハンドホールに設置することで、マンホール、ハンドホールの蓋を開放すること無く、マンホール、ハンドホールの内部の浸水監視、浸水検知を行える。
なお、浸水検知センサの導線には、マンホール、ハンドホールの蓋の開閉を楽に行えるようにするために、充分な長さの余長(引き出し余長。図9(a)、(b)の符号27参照)を確保しておくことが好ましい。
【0063】
また、上述の実施形態では、浸水検知センサのセンサ本体の電気抵抗を端子部あるいはRFタグから取り出せるようにした構成を例示したが、本発明はこれに限定されず、センサ本体のインピーダンスの取り出しにも適用できることは言うまでも無い。
RFタグとしては、RF給電された電力によって動作して、センサ本体のインピーダンスを計測して、この計測値をリーダーに送信できるものを採用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係る浸水検知センサを適用したクロージャ(浸水検知センサ付きクロージャ)の一例を模式的に示した図である。
【図2】本発明に係る浸水検知センサの具体例を示す図であって、(a)は一対の導線の先端(他端部)に取り付けた櫛形状の電極同士を接近配置してなるセンシング部を具備する浸水検知センサ、(b)は一対の導線の先端の絶縁被覆を除去して露出させた導体(心線)自体を電極として構成したセンシング部を具備する浸水検知センサを示す図である。
【図3】本発明の浸水検知センサの一例としてRFIDタグを使用した構成を示す図である。
【図4】図3の浸水検知センサのRFIDタグの動作の一例を説明するフローチャートである。
【図5】(a)〜(c)は本発明の浸水検知センサのセンシング部の別態様を説明する図である。
【図6】図5(a)〜(c)のセンシング部に通水孔を形成した構成を説明する図であって、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図7】図5(a)〜(c)のセンシング部に凹所(溝)を形成した構成を説明する図であって、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図8】図6(a)、(b)のセンシング部の両面に保護シートを取り付けた構成を説明する図であって、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図9】(a)、(b)は、本発明に係る浸水検知センサをマンホールに適用した構成の一例を説明する図である。
【図10】光線路監視システムの一例を示す概略図である。
【図11】浸水検知用の光ファイバセンサの一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0065】
1…接続箱(クロージャ)、11…筐体(クロージャスリーブ)、11a、11b…スリーブ分割体、2、2A、2B…浸水検知センサ、21、21A、21B…センシング部、22、22A、22B…センサ本体、23…浸水検知センサ、24…接続箱(クロージャ)、25…RFタグ(RFIDタグ)、25a…コイル、26…RFIDリーダー、26a…アンテナコイル、3…導線、30、30A、30B…センシング部、31…電極、31a…接続用端子部、31b…(電極の)先端部、32…被覆材、32a…通水孔、32b…凹所、32c…保護シート、4…通電用端子(端子部)、5、5a…電極、6…クリアランス、7a、7b…通信ケーブル、71…マンホール、72…蓋、73…カバープレート、8…電気計測器(絶縁抵抗計)、81…接続端子、90…水。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ケーブル(7a,7b)同士の接続点を筐体(11)内に収納する接続箱(1)に設けられて前記接続箱の浸水を検知する浸水検知センサであって、
一対の導線(3)と、
これら導線の先端にそれぞれ設けられた電極(5、5a、31)が互いの非接触状態を保って集合され前記接続箱内に設けられたセンシング部(21、21A、21B、30、30A、30B)と、
前記センシング部から延びる前記一対の導線の端部が接続され、前記一対の導線及び前記センシング部によって構成されるセンサ本体(22、22A、22B)の電気抵抗を取り出すための検知用端末部として機能する通電用端子部(4)とを具備し、
前記通電用端子部は前記接続箱の前記筐体に取り付けられ、前記接続箱の外側から前記センサ本体の電気抵抗を取り出せることを特徴とする浸水検知センサ(2、2A、2B)。
【請求項2】
通信ケーブル(7a,7b)同士の接続点を筐体(11)内に収納する接続箱(24)に設けられて前記接続箱の浸水を検知する浸水検知センサであって、
一対の導線(3)と、
これら導線の先端にそれぞれ設けられた電極(5、5a、31)が互いの非接触状態を保って集合され前記接続箱内に設けられたセンシング部(21、21A、21B、30、30A、30B)と、
前記センシング部から延びる前記一対の導線の端部が接続され、前記一対の導線及び前記センシング部によって構成されるセンサ本体(22、22A、22B)の電気抵抗を取り出すための検知用端末部として機能するRFタグ(25)とを具備し、
前記RFタグは前記接続箱内に収納されており、前記接続箱の外側からリーダーを用いて前記RFタグによる前記センサ本体の電気抵抗の計測及び前記RFタグからの計測データの取り出しを行えるようになっていることを特徴とする浸水検知センサ(23)。
【請求項3】
マンホールあるいはハンドホールである地中箱(71)に設けられて該地中箱内の浸水を検知する浸水検知センサであって、
一対の導線(3)と、
これら導線の先端にそれぞれ設けられた電極(5、5a、31)が互いの非接触状態を保って集合され前記地中箱内に設けられたセンシング部(21、21A、21B、30、30A、30B)と、
前記センシング部から延びる前記一対の導線の端部が接続され、前記一対の導線及び前記センシング部によって構成されるセンサ本体(22、22A、22B)の電気抵抗を取り出すための検知用端末部として機能する通電用端子部(4)とを具備し、
前記通電用端子部は前記地中箱の地上側開口部に設けられた蓋(72)に取り付けられ、前記接続箱の外側から前記センサ本体の電気抵抗を取り出せることを特徴とする浸水検知センサ(2、2A、2B)。
【請求項4】
マンホールあるいはハンドホールである地中箱(71)に設けられて該地中箱内の浸水を検知する浸水検知センサであって、
一対の導線(3)と、
これら導線の先端にそれぞれ設けられた電極(5、5a、31)が互いの非接触状態を保って集合され前記地中箱内に設けられたセンシング部(21、21A、21B、30、30A、30B)と、
前記センシング部から延びる前記一対の導線の端部が接続され、前記一対の導線及び前記センシング部によって構成されるセンサ本体(22、22A、22B)の電気抵抗を取り出すための検知用端末部として機能するRFタグ(25)とを具備し、
前記RFタグは前記地中箱の地上側開口部に設けられた蓋(72)に取り付けられており、前記蓋の地上側からリーダーを用いて前記RFタグによる前記センサ本体の電気抵抗の計測及び前記RFタグからの計測データの取り出しを行えるようになっていることを特徴とする浸水検知センサ(23)。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の浸水検知センサであって、前記センサ本体の前記センシング部は、一対の前記電極を電気絶縁性の被覆材(32)中に埋設して一括固定してなり、前記被覆材に、前記接続箱内あるいは前記地中箱内の浸水と前記電極との接触を可能とするための通水孔(32a)あるいは凹所(32b)が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の浸水検知センサ。
【請求項6】
前記電極は線状又はピン状であり、複数本の前記電極がその長手方向を揃えて前記被覆材中に固定されていることを特徴とする請求項5記載の浸水検知センサ。
【請求項1】
通信ケーブル(7a,7b)同士の接続点を筐体(11)内に収納する接続箱(1)に設けられて前記接続箱の浸水を検知する浸水検知センサであって、
一対の導線(3)と、
これら導線の先端にそれぞれ設けられた電極(5、5a、31)が互いの非接触状態を保って集合され前記接続箱内に設けられたセンシング部(21、21A、21B、30、30A、30B)と、
前記センシング部から延びる前記一対の導線の端部が接続され、前記一対の導線及び前記センシング部によって構成されるセンサ本体(22、22A、22B)の電気抵抗を取り出すための検知用端末部として機能する通電用端子部(4)とを具備し、
前記通電用端子部は前記接続箱の前記筐体に取り付けられ、前記接続箱の外側から前記センサ本体の電気抵抗を取り出せることを特徴とする浸水検知センサ(2、2A、2B)。
【請求項2】
通信ケーブル(7a,7b)同士の接続点を筐体(11)内に収納する接続箱(24)に設けられて前記接続箱の浸水を検知する浸水検知センサであって、
一対の導線(3)と、
これら導線の先端にそれぞれ設けられた電極(5、5a、31)が互いの非接触状態を保って集合され前記接続箱内に設けられたセンシング部(21、21A、21B、30、30A、30B)と、
前記センシング部から延びる前記一対の導線の端部が接続され、前記一対の導線及び前記センシング部によって構成されるセンサ本体(22、22A、22B)の電気抵抗を取り出すための検知用端末部として機能するRFタグ(25)とを具備し、
前記RFタグは前記接続箱内に収納されており、前記接続箱の外側からリーダーを用いて前記RFタグによる前記センサ本体の電気抵抗の計測及び前記RFタグからの計測データの取り出しを行えるようになっていることを特徴とする浸水検知センサ(23)。
【請求項3】
マンホールあるいはハンドホールである地中箱(71)に設けられて該地中箱内の浸水を検知する浸水検知センサであって、
一対の導線(3)と、
これら導線の先端にそれぞれ設けられた電極(5、5a、31)が互いの非接触状態を保って集合され前記地中箱内に設けられたセンシング部(21、21A、21B、30、30A、30B)と、
前記センシング部から延びる前記一対の導線の端部が接続され、前記一対の導線及び前記センシング部によって構成されるセンサ本体(22、22A、22B)の電気抵抗を取り出すための検知用端末部として機能する通電用端子部(4)とを具備し、
前記通電用端子部は前記地中箱の地上側開口部に設けられた蓋(72)に取り付けられ、前記接続箱の外側から前記センサ本体の電気抵抗を取り出せることを特徴とする浸水検知センサ(2、2A、2B)。
【請求項4】
マンホールあるいはハンドホールである地中箱(71)に設けられて該地中箱内の浸水を検知する浸水検知センサであって、
一対の導線(3)と、
これら導線の先端にそれぞれ設けられた電極(5、5a、31)が互いの非接触状態を保って集合され前記地中箱内に設けられたセンシング部(21、21A、21B、30、30A、30B)と、
前記センシング部から延びる前記一対の導線の端部が接続され、前記一対の導線及び前記センシング部によって構成されるセンサ本体(22、22A、22B)の電気抵抗を取り出すための検知用端末部として機能するRFタグ(25)とを具備し、
前記RFタグは前記地中箱の地上側開口部に設けられた蓋(72)に取り付けられており、前記蓋の地上側からリーダーを用いて前記RFタグによる前記センサ本体の電気抵抗の計測及び前記RFタグからの計測データの取り出しを行えるようになっていることを特徴とする浸水検知センサ(23)。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の浸水検知センサであって、前記センサ本体の前記センシング部は、一対の前記電極を電気絶縁性の被覆材(32)中に埋設して一括固定してなり、前記被覆材に、前記接続箱内あるいは前記地中箱内の浸水と前記電極との接触を可能とするための通水孔(32a)あるいは凹所(32b)が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の浸水検知センサ。
【請求項6】
前記電極は線状又はピン状であり、複数本の前記電極がその長手方向を揃えて前記被覆材中に固定されていることを特徴とする請求項5記載の浸水検知センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
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【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−145329(P2010−145329A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−325393(P2008−325393)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(591044647)株式会社 スズキ技研 (36)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(591044647)株式会社 スズキ技研 (36)
【Fターム(参考)】
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