説明

浸炭検知方法

【課題】浸炭の有無を精度良く検知可能な浸炭検知方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る浸炭検知方法は、被検査材と電磁気的な特性が同等で浸炭していない基準材に磁性材を取り付ける第1手順と、各磁性材の磁性強度を測定すると共に、各磁性材の電磁気検査出力値を取得する第2手順と、磁性強度測定値と電磁気検査出力値との対応関係を算出する第3手順と、複数の浸炭材について磁性強度を測定する第4手順と、浸炭深さと磁性強度測定値との対応関係を算出する第5手順と、検知すべき浸炭深さのしきい値Th1に対応する磁性強度測定値のしきい値Th2を決定する第6手順と、磁性強度測定値のしきい値Th2に対応する電磁気検査出力値のしきい値Th3を決定する第7手順と、被検査材の電磁気検査出力値と、電磁気検査出力値のしきい値Th3との大小関係に基づき、被検査材における浸炭の有無を検知する第8手順とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁誘導検査法や漏洩磁束検査法などの電磁気検査法によって、鋼管などの被検査材における浸炭の有無を検知する方法に関する。特に、本発明は、検知すべき浸炭深さのしきい値に対応する電磁気検査出力値のしきい値を精度良く決定することができ、これにより浸炭の有無を精度良く検知可能な方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の鉄鋼材料のうち、オーステナイト系ステンレス鋼には浸炭が生じることが知られている。例えば、石油化学プラントのエチレン製造工程での熱分解反応に用いられるクラッキングチューブは、オーステナイト系ステンレス鋼からなり、長時間使用されると内面に浸炭が生じる。また、クラッキングチューブの製造工程では、脱脂不良の状態で熱処理を行うことにより浸炭が生じる。斯かる浸炭の発生は、クラッキングチューブの寿命を大きく低減する要因となるため、浸炭の有無を精度良く検知することが望まれている。
【0003】
このため、従来より、プラントに設置されたクラッキングチューブについては、プラントの定期修理の際に、クラッキングチューブの全長に亘る非破壊検査として、電磁誘導検査等の電磁気検査を行い、その出力値の大小により浸炭の有無を検知している。また、クラッキングチューブの製造工程においても、全長に亘る電磁気検査を行ったり、或いは、両端部を切断してミクロ組織観察を行うことにより、浸炭の有無を検知している。
【0004】
上記の電磁気検査においては、浸炭深さと電磁気検査出力値との対応関係(校正曲線)を予め算出しておき、この算出した校正曲線を用いて、検知すべき浸炭深さのしきい値に対応する電磁気検査出力値のしきい値を予め決定するのが一般的である。そして、被検査材に電磁気検査を行うことにより得られた電磁気検査出力値と、上記のようにして予め決定された電磁気検査出力値のしきい値との大小関係に基づき、被検査材における浸炭の有無を検知している。
【0005】
一般的に、前記校正曲線を算出するに際しては、まず、浸炭深さがそれぞれ異なると予想される複数の浸炭材を用意し、各浸炭材に電磁気検査を行うことにより、電磁気検査出力値を取得する。その後、各浸炭材を切断してミクロ組織観察を行うことにより、電磁気検査出力値を取得した各浸炭材の実際の浸炭深さを測定する。これにより、浸炭深さと電磁気検査出力値との対応関係である校正曲線を算出することができる。
【0006】
ここで、浸炭深さはクラッキングチューブの製造履歴や使用履歴の影響を受けるため、同じ履歴である1本のクラッキングチューブから採取した複数の浸炭材の浸炭深さは同等となる虞がある。つまり、前記校正曲線を算出するために、1本のクラッキングチューブから浸炭深さがそれぞれ異なる複数の浸炭材を都合良く採取できるとは限らない。このため、浸炭深さが異なる浸炭材を採取できる可能性を高めるため、製造ロットや使用時間などの履歴が異なる複数のクラッキングチューブから、それぞれ浸炭材を採取して、校正曲線の算出に供しているのが一般的である。
【0007】
上記のように、校正曲線の算出に供する各浸炭材は、履歴が異なる複数のクラッキングチューブからそれぞれ採取している。このため、たとえ設計仕様上は含有成分や寸法(外径、内径)が同一である複数のクラッキングチューブを選択し、それぞれから各浸炭材を採取したとしても、各浸炭材の母材の含有成分や寸法に差異が生じる虞がある。これにより、各浸炭材の母材の電磁気的な特性(電気抵抗等)が異なる虞がある。
【0008】
電磁誘導検査法等の電磁気検査法では、交流電流の浸透深さが肉厚の数倍となるように、被測定材の肉厚に応じて、数百Hz〜数十kHzの交流磁界を作用させるのが一般的である。このため、各浸炭材の母材の電磁気的な特性が異なると、たとえ各浸炭材に浸炭が生じていないと仮定しても、各浸炭材の電磁気検査出力値が異なることになる。つまり、浸炭深さが0μmの場合の電磁気検査出力値(基準点)が、各浸炭材毎に異なることになる。そして、この各浸炭材毎に基準点が異なるような電磁気検査出力値を用いて算出した校正曲線は、各基準点のズレ量に応じて精度が低下することになる。この結果、この校正曲線を用いて前述のように予め決定する電磁気検査出力値のしきい値の精度も低下し、ひいては浸炭の有無の検知精度が低下してしまうという問題がある。
【0009】
浸炭の有無を検知する方法としては、実用化されていないものを含めて各種の方法(例えば、特許文献1〜7参照)が提案されているものの、何れの方法も上述した問題を解決し得るものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平3−253555号公報
【特許文献2】特開昭62−6153号公報
【特許文献3】特開平4−145358号公報
【特許文献4】特開平6−88807号公報
【特許文献5】特開2000−266727号公報
【特許文献6】特開2004−279054号公報
【特許文献7】特開2004−279055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、斯かる従来技術に鑑みなされたものであり、検知すべき浸炭深さのしきい値に対応する電磁気検査出力値のしきい値を精度良く決定することができ、これにより浸炭の有無を精度良く検知可能な浸炭検知方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するため、本発明は、電磁気検査によって被検査材における浸炭の有無を検知する方法であって、以下の第1〜第8手順を含むことを特徴とする。
(1)第1手順
被検査材と電磁気的な特性が同等で浸炭していないものを基準材として選択し、該基準材の浸炭検知対象面に、磁性強度がそれぞれ異なる少なくとも3つの磁性材を取り付ける。
(2)第2手順
前記第1手順によって前記基準材に取り付けられた各磁性材の磁性強度を測定すると共に、前記各磁性材に電磁気検査を行ってその出力値を取得する。
(3)第3手順
前記第2手順によって得られた前記各磁性材の磁性強度測定値及び電磁気検査出力値に基づき、磁性強度測定値と電磁気検査出力値との対応関係を算出する。
(4)第4手順
浸炭深さがそれぞれ異なる複数の浸炭材について磁性強度を測定する。
(5)第5手順
前記第4手順によって得られた前記各浸炭材の浸炭深さ及び磁性強度測定値に基づき、浸炭深さと磁性強度測定値との対応関係を算出する。
(6)第6手順
前記第5手順によって得られた浸炭深さと磁性強度測定値との対応関係に基づき、検知すべき浸炭深さのしきい値に対応する磁性強度測定値のしきい値を決定する。
(7)第7手順
前記第3手順によって得られた磁性強度測定値と電磁気検査出力値との対応関係に基づき、前記第6手順によって決定された磁性強度測定値のしきい値に対応する電磁気検査出力値のしきい値を決定する。
(8)第8手順
被検査材に電磁気検査を行うことにより得られた電磁気検査出力値と、前記第7手順によって決定された電磁気検査出力値のしきい値との大小関係に基づき、被検査材における浸炭の有無を検知する。
【0013】
本発明によれば、第1手順〜第3手順を実行することにより、磁性強度測定値と電磁気検査出力値との対応関係が算出される。ここで、本発明における「磁性強度」は、フェライト量(フェライト組織の面積率)と正の相関を有し、その測定には、一般にフェライトメータが用いられる。このフェライトメータは、被測定材に極低周波(100Hz以下)の交流磁界を作用させ、被測定材に含まれているフェライトにより磁気誘導が増加することを利用してフェライト量を測定する機器である。従って、第2手順において、基準材に取り付けられた各磁性材の磁性強度を測定する際に、極低周波の交流磁界を作用させるフェライトメータを用いれば、その磁性強度測定値は、各磁性材が取り付けられている基準材の部位の電磁気的な特性の影響を受け難い。
一方、第2手順において、基準材に取り付けられた各磁性材に電磁気検査を行うことによって得られる電磁気検査出力値は、前述のように、電磁気検査では高周波の交流磁界を作用させるため、各磁性材が取り付けられている基準材の部位の電磁気的な特性の影響を受け易い。しかしながら、各磁性材は単一の基準材に取り付けられているため、各磁性材の電磁気検査出力値は、各磁性材が取り付けられている基準材の部位の電磁気的な特性の影響を受けるものの、その影響は画一的であって各磁性材の電磁気検査出力値の間で差異が生じ難い。また、基準材は、被検査材(被検査材の母材)と電磁気的な特性が同等であるため、各磁性材の電磁気検査出力値は、被検査材に電磁気検査を行った場合と同等の影響を受ける。すなわち、各磁性材の電磁気検査出力値の基準点は、互いに略同一になると共に、被検査材の電磁気検査出力値の基準点とも略一致する。
従って、第1手順〜第3手順を実行することにより得られる磁性強度測定値と電磁気検査出力値との対応関係は、電磁気検査出力値が基準材の電磁気的な特性(被検査材の電磁気的な特性)の影響を受けるものの、その基準点は略一定である。
【0014】
また、本発明によれば、第4手順及び第5手順を実行することにより、浸炭深さと磁性強度測定値との対応関係が算出される。ここで、本発明における「浸炭深さ」は、例えば、磁性強度を測定した後に、各浸炭材を切断してミクロ組織観察を行うことにより測定可能であり、各浸炭材の母材の電磁気的な特性の影響は受けない。
一方、第4手順において、各浸炭材の磁性強度を測定する際に、極低周波の交流磁界を作用させるフェライトメータを用いれば、その磁性強度測定値は、各浸炭材の母材の電磁気的な特性の影響を受け難い。
従って、第4手順及び第5手順を実行することにより得られる浸炭深さと磁性強度測定値との対応関係は、各浸炭材の母材の電磁気的な特性の影響、ひいては被検査材(被検査材の母材)の電磁気的な特性の影響を受け難い。
【0015】
さらに、本発明によれば、第6手順を実行することにより、検知すべき浸炭深さのしきい値に対応する磁性強度測定値のしきい値が決定され、第7手順を実行することにより、前記決定された磁性強度測定値のしきい値に対応する電磁気検査出力値のしきい値が決定される。すなわち、第6手順及び第7手順を実行することにより、従来技術と同様に、結果的には、検知すべき浸炭深さのしきい値に対応する電磁気検査出力値のしきい値が決定されることになる。
しかしながら、本発明は、従来技術と異なり、まず第6手順において、第5手順によって得られた浸炭深さと磁性強度測定値との対応関係に基づき、検知すべき浸炭深さのしきい値に対応する磁性強度測定値のしきい値が決定される。第5手順によって得られた浸炭深さと磁性強度測定値との対応関係は、前述のように、被検査材の電磁気的な特性の影響を受け難いため、検知すべき浸炭深さのしきい値に対応する磁性強度測定値のしきい値を精度良く決定可能である。そして、第7手順において、第3手順によって得られた磁性強度測定値と電磁気検査出力値との対応関係に基づき、第6手順によって決定された磁性強度測定値のしきい値に対応する電磁気検査出力値のしきい値が決定される。第3手順によって得られた磁性強度測定値と電磁気検査出力値との対応関係は、前述のように、電磁気検査出力値が被検査材の電磁気的な特性の影響を受けるものの、その基準点は略一定であるため、磁性強度測定値のしきい値に対応する電磁気検査出力値のしきい値を精度良く決定可能である。
従って、本発明では、第6手順及び第7手順を実行することにより、従来技術と異なり、検知すべき浸炭深さのしきい値に対応する電磁気検査出力値のしきい値を精度良く決定することが可能である。
【0016】
以上の第1〜第7手順を予め実行した後、第8手順において、被検査材に電磁気検査を行うことにより得られた電磁気検査出力値と、第7手順によって決定された電磁気検査出力値のしきい値との大小関係に基づき、被検査材における浸炭の有無を検知すれば、検知精度を高めることが可能である。
【0017】
なお、本発明では、第1手順〜第8手順を必ずしもこの順番で実行する必要はなく、例えば、第4手順及び第5手順を先に実行した後、第1手順〜第3手順を実行することも可能である。
【0018】
前記第1手順においては、例えば、磁性材として、磁気テープ、電子部品やきず検査に用いられるソレノイドコイルに内挿されるフェライトコア、鉄等の磁性金属材料の切り出し試片のうち何れか1つを前記基準材に取り付ければよい。
【0019】
また、前記第2手順及び前記第8手順においては、絶対値信号を出力するセンサ又は差動信号を出力するセンサを用いて電磁気検査を行うことが可能である。
絶対値信号を出力するセンサとしては、例えば、被検査材近傍に配置された単一の検出コイルを具備し、当該検出コイルでの検出信号を出力する構成や、一方が被検査材近傍に配置され、他方が標準となるもの近傍に配置された一対の検出コイルを具備し、各検出コイルでの検出信号の差を出力する構成を例示することができる。また、差動信号を出力するセンサとしては、例えば、被検査材近傍に配置された一対の検出コイルを具備し、各検出コイルでの検出信号の差を出力する構成を例示することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る浸炭検知方法によれば、検知すべき浸炭深さのしきい値に対応する電磁気検査出力値のしきい値を精度良く決定することができ、これにより浸炭の有無を精度良く検知可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る浸炭検知方法に用いる渦流検査装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】図2は、磁性材が取り付けられた基準材の一例を概略的に示す模式図である。
【図3】図3は、図1に示す渦流検査装置が備える位相回転器から出力されるX信号及びY信号をX−Yベクトル平面上に表した模式図である。
【図4】図4は、本発明の第1実施形態において算出される磁性強度測定値と渦流検査出力値との対応関係の一例を示す。
【図5】図5は、本発明の第1実施形態において算出される浸炭深さと磁性強度測定値との対応関係の一例を示す。
【図6】図6は、本発明の第1実施形態に係る浸炭検知方法によって浸炭の有無を検知した結果の一例を示す。
【図7】図7は、本発明の第2実施形態に係る浸炭検知方法に用いる渦流検査装置の概略構成を示す模式図である。
【図8】図8は、図7に示す渦流検査装置が備える位相回転器から出力されるX信号及びY信号をX−Yベクトル平面上に表した模式図である。
【図9】図9は、本発明の第2実施形態において算出される磁性強度測定値と渦流検査出力値との対応関係の一例を示す。
【図10】図10は、本発明の第2実施形態に係る浸炭検知方法によって浸炭の有無を検知した結果の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態について、被検査材が鋼管であり、電磁気検査として渦流検査を行う場合を例に挙げて説明する。
【0023】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る浸炭検知方法に用いる渦流検査装置の概略構成を示す模式図である。
図1に示すように本実施形態の渦流検査装置100は、検出センサ1と、信号処理部2とを備えている。
【0024】
検出センサ1は、鋼管Pに交流磁界を作用させて渦電流を誘起すると共に、鋼管Pに誘起された渦電流を検出するように構成されている。具体的には、本実施形態の検出センサ1は、内挿された鋼管Pに交流磁界を作用させる励磁コイルと、内挿された鋼管Pに誘起された渦電流を検出する単一の検出コイル11とを備える。励磁コイルと検出コイル11とは、別体に設けても良いし、或いは、検出コイル11が励磁コイルの機能を兼ね備えることも可能である。
【0025】
信号処理部2は、検出センサ1に交流電流を通電すると共に、検出センサ1から出力された検出信号(絶対値信号)に基づいて、鋼管P(鋼管Pの内面)における浸炭の有無を検知するように構成されている。具体的には、本実施形態の信号処理部2は、発振器21、増幅器22、同期検波器23、位相回転器24、A/D変換器26及び判定部27を備える。
【0026】
発振器21は、検出センサ1(具体的には、検出センサ1の励磁コイル)に高周波の交流電流を供給する。これにより、前述のように、鋼管Pに交流磁界が作用し、鋼管Pに渦電流が誘起される。
【0027】
検出センサ1(具体的には、検出センサ1の検出コイル11)から出力された絶対値信号は、増幅器22によって増幅された後、同期検波器23に出力される。
【0028】
同期検波器23は、発振器21から出力される参照信号に基づき、増幅器22の出力信号を同期検波する。具体的に説明すれば、発振器21から同期検波器23に向けて、検出センサ1に供給する交流電流と同一の周波数で同一の位相を有する第1参照信号と、該第1参照信号の位相を90°だけ移相した第2参照信号とが出力される。そして、同期検波器23は、増幅器22の出力信号から、第1参照信号の位相と同位相の信号成分(第1信号成分)及び第2参照信号の位相と同位相の信号成分(第2信号成分)を分離・抽出する。分離・抽出された第1信号成分及び第2信号成分は、それぞれ位相回転器24に出力される。
【0029】
位相回転器24は、同期検波器23から出力された第1信号成分及び第2信号成分の位相を互いに同一の所定量だけ回転(移相)し、例えば、第1信号成分をX信号、第2信号成分をY信号として、A/D変換器26に出力する。なお、位相回転器24から出力されるX信号及びY信号は、互いに直交する2軸(X軸、Y軸)で表されるX−Yベクトル平面において、きず検査等で用いるいわゆるリサージュ波形と称される信号波形(すなわち、振幅をZ、位相をθとして極座標(Z、θ)で表した検出センサ1の絶対値信号波形(正確には、増幅器22によって増幅した後の絶対値信号波形))を、X軸及びY軸にそれぞれ投影した成分に相当することになる。
【0030】
A/D変換器26は、位相回転器24の出力信号をA/D変換し、判定部27に出力する。
【0031】
判定部27は、A/D変換器26の出力データ(すなわち、X信号及びY信号をA/D変換したデジタルデータ。以下、X信号データ及びY信号データという)に基づいて、鋼管Pの内面における浸炭の有無を検知する。具体的には、本実施形態の判定部27は、入力されたX信号データと、後述するように予め決定され記憶されたしきい値Th3とを比較し、X信号データがしきい値Th3を越えていれば、鋼管Pの内面に浸炭が生じていると判定し、X信号データがしきい値Th3以内であれば、鋼管Pの内面に浸炭が生じていないと判定する。
【0032】
以下、上記のしきい値Th3の決定方法について説明する。
上記のしきい値Th3の決定に際しては、以下に説明する第1手順〜第7手順を実行する。
【0033】
(1)第1手順
被検査材である鋼管P(鋼管Pの母材)と電磁気的な特性が同等で浸炭していないものを基準材P0として選択する。具体的には、基準材P0として、設計仕様上の含有成分や寸法(外径、内径)が被検査材と同一である鋼管を選択する。そして、この基準材P0の浸炭検知対象面(本実施形態では内面)に、磁性強度が異なる少なくとも3つの磁性材を取り付ける。
【0034】
図2は、磁性材が取り付けられた基準材P0の一例を概略的に示す模式図である。図2に示す例では、磁性材として、互いに巻き数の異なる磁気テープM1〜M4を用いている。そして、各磁気テープM1〜M4を基準材P0の内面の異なる位置に挿入し、取り付けている。
【0035】
(2)第2手順
(2−1)磁性材の磁性強度の測定
次に、前記第1手順によって基準材P0に取り付けられた各磁気テープM1〜M4の磁性強度を測定する。具体的には、各磁気テープM1〜M4が内挿された部位に対応する基準材P0の外面にフェライトメータを対向配置し、このフェライトメータによって各磁気テープM1〜M4の磁性強度(フェライト量)を測定する。
【0036】
表1は、上記のようにして、基準材P0に取り付けられた各磁気テープM1〜M4の磁性強度を測定した結果の一例を示す。なお、表1に示す例では、基準材P0に10Hzの交流磁界を作用させるフェライトメータを用いて、磁性強度を測定した。
【表1】

【0037】
(2−2)磁性材の渦流検査出力値の取得
一方、前述した渦流検査装置100を用いて、磁気テープM1〜M4を取り付けた基準材P0に渦流検査を行い、これにより各磁気テープM1〜M4の渦流検査出力値を取得する。以下、この手順について、図1及び図3を参照しつつ説明する。
【0038】
図3は、図1に示す渦流検査装置100が備える位相回転器24から出力されるX信号及びY信号をX−Yベクトル平面上に表した模式図である。
各磁気テープM1〜M4の渦流検査出力値を取得する際には、まず、基準材P0を検出センサ1に挿入しない状態で、X信号及びY信号が0となるように(X信号及びY信号をそれぞれX軸成分及びY軸成分とするベクトルの先端に相当するスポットが図3に示すバランス点(原点)に位置するように)、増幅器22の前段に配置されたバランス回路(図示せず)のバランス量を調整して、同期検波器23から出力される第1信号成分及び第2信号成分をそれぞれ0とする。
【0039】
次に、基準材P0の磁気テープM1〜M4を取り付けていない部位を検出センサ1に挿入し停止させて、X信号が0で、Y信号が所定の電圧(例えば、5V)となるように(ベクトルの先端が図3に示す基準点に位置するように)、増幅器22の増幅率及び位相回転器24の位相回転量を調整する。
【0040】
以上の調整を事前に行った後、基準材P0を軸方向に移動させて、磁気テープM1〜M4を取り付けた基準材P0の各部位を検出センサ1に順次挿入し、各部位が検出センサ1に挿入された状態で順次停止させて、各部位に対応するX信号データ及びY信号データを取得する。なお、図3に示すように、各磁気テープM1〜M4の磁性強度に応じて、ベクトルの先端位置は変動するが、その変動量はY軸方向よりもX軸方向に大きい。このため、本実施形態では、上記のようにして取得したX信号データ及びY信号データのうち、X信号データを各磁気テープM1〜M4の渦流検査出力値として用いている。
【0041】
(3)第3手順
次に、前記第2手順によって得られた各磁気テープM1〜M4の磁性強度測定値(表1参照)及び渦流検査出力値に基づき、図4に示すような磁性強度測定値と渦流検査出力値との対応関係を算出する。なお、図4に示す例の渦流検査出力値は、検出センサ1に1kHzの交流電流を供給して渦流検査を行うことにより得られた値である。
【0042】
以上に説明した第1手順〜第3手順を実行することにより得られる磁性強度測定値と渦流検査出力値との対応関係(図4参照)は、渦流検査出力値が基準材P0の電磁気的な特性(被検査材である鋼管Pの電磁気的な特性)の影響を受けるものの、その基準点(図3参照)は略一定である。
【0043】
(4)第4手順
一方、浸炭深さがそれぞれ異なる複数の浸炭材について磁性強度を測定する。具体的には、内面の浸炭深さがそれぞれ異なると予想される複数の鋼管(浸炭材)を用意する。そして、前述した第2手順において基準材P0に取り付けられた各磁気テープM1〜M4の磁性強度を測定した場合と同様に、浸炭材の外面にフェライトメータを対向配置し、このフェライトメータによって各浸炭材の磁性強度(フェライト値)を測定する。なお、浸炭材としては、設計仕様上の寸法(外径、内径)が基準材P0と同一である鋼管を選択することが望ましい。これにより、フェライトメータと浸炭材の内面との距離を、第2手順におけるフェライトメートと基準材P0の内面との距離に合致させ易くなるため、第2手順及び第4手順における磁性強度の測定条件が一定になり易く、良好な測定精度を得ることが期待できる。
【0044】
そして、磁性強度を測定し終えた各浸炭材を切断してミクロ組織観察を行うことにより、各浸炭材の実際の浸炭深さを測定する。
【0045】
表2は、上記のようにして、各浸炭材の浸炭深さ及び磁性強度を測定した結果の一例を示す。なお、表2に示す磁性強度は、前述した表1に示す例で測定に供したものと同じフェライトメータを用いて測定した。
【表2】

【0046】
(5)第5手順
次に、前記第4手順によって得られた各浸炭材の浸炭深さ及び磁性強度測定値(表2参照)に基づき、図5に示すような浸炭深さと磁性強度測定値との対応関係を算出する。
【0047】
以上に説明した第4手順及び第5手順を実行することにより得られる浸炭深さと磁性強度測定値との対応関係(図5参照)は、各浸炭材の母材の電磁気的な特性の影響、ひいては被検査材である鋼管P(鋼管Pの母材)の電磁気的な特性の影響を受け難い。
【0048】
(6)第6手順
次に、前記第5手順によって得られた浸炭深さと磁性強度測定値との対応関係(図5参照)に基づき、検知すべき浸炭深さのしきい値Th1に対応する磁性強度測定値のしきい値Th2を決定する。図5に示す例では、検知すべき浸炭深さのしきい値Th1=0(μm)とすると、これに対応する磁性強度測定値のしきい値Th2=0.05(Fe%)となる。
【0049】
(7)第7手順
最後に、前記第3手順によって得られた磁性強度測定値と渦流検査出力値との対応関係(図4参照)に基づき、前記第6手順によって決定された磁性強度測定値のしきい値Th2に対応する渦流検査出力値のしきい値Th3を決定する。図4に示す例では、前述のようにして決定された磁性強度測定値のしきい値Th2=0.05(Fe%)に対応する渦流検査出力値のしきい値Th3=−1(V)となる。
【0050】
以上のようにして、しきい値Th3は決定され、前述のように、判定部27に予め記憶される。
【0051】
なお、第6手順及び第7手順を実行することにより、従来技術と同様に、結果的には、検知すべき浸炭深さのしきい値Th1に対応する渦流検査出力値のしきい値Th3が決定されることになる。
しかしながら、本実施形態に係る方法によれば、まず第6手順において、図5に示すような浸炭深さと磁性強度測定値との対応関係に基づき、検知すべき浸炭深さのしきい値Th1に対応する磁性強度測定値のしきい値Th2が決定される。図5に示すような浸炭深さと磁性強度測定値との対応関係は、前述のように、被検査材である鋼管Pの電磁気的な特性の影響を受け難いため、検知すべき浸炭深さのしきい値Th1に対応する磁性強度測定値のしきい値Th2を精度良く決定可能である。そして、第7手順において、図4に示すような磁性強度測定値と渦流検査出力値との対応関係に基づき、磁性強度測定値のしきい値Th2に対応する渦流検査出力値のしきい値Th3が決定される。図4に示すような磁性強度測定値と渦流検査出力値との対応関係は、前述のように、渦流検査出力値が被検査材である鋼管Pの電磁気的な特性の影響を受けるものの、その基準点は略一定であるため、磁性強度測定値のしきい値Th2に対応する渦流検査出力値のしきい値Th3を精度良く決定可能である。
従って、本実施形態に係る方法では、第6手順及び第7手順を実行することにより、従来技術と異なり、検知すべき浸炭深さのしきい値Th1に対応する渦流検査出力値のしきい値Th3を精度良く決定することが可能である。
【0052】
判定部27は、前述のように、A/D変換器26から入力された渦流検査出力値(X信号データ)と、しきい値Th3とを比較し、渦流検査出力値がしきい値Th3を越えていれば(図4に示す例では、−1V未満であれば)、鋼管Pの内面に浸炭が生じていると判定する。一方、判定部27は、渦流検査出力値がしきい値Th3以内であれば(図4に示す例では、−1V以上であれば)、鋼管Pの内面に浸炭が生じていないと判定する。前述のように、本実施形態に係る方法では、この浸炭の有無の判定基準となる渦流検査出力値のしきい値Th3が従来技術に比べて精度良く決定されているため、浸炭の有無を精度良く検知可能である。
【0053】
図6は、上記のようにして決定したしきい値Th3を用いて、被検査材である鋼管Pの浸炭の有無を検知した結果の一例を示す。図6に示すように、しきい値Th3を判定基準とすることにより、浸炭の有無を精度良く検知できることが分かった。
【0054】
<第2実施形態>
本実施形態に係る浸炭検知方法では、用いる渦流検査装置の構成が第1実施形態と異なる。これにより、磁性材の渦流検査出力値の取得手順が第1実施形態と異なるものになるが、その他の手順は第1実施形態と同様である。以下、第1実施形態と異なる点を主として説明する。
【0055】
図7は、本発明の第2実施形態に係る浸炭検知方法に用いる渦流検査装置の概略構成を示す模式図である。
図7に示すように本実施形態の渦流検査装置100Aも、第1実施形態の渦流検査装置100と同様に、検出センサ1Aと、信号処理部2Aとを備えている。
【0056】
本実施形態の検出センサ1Aも、鋼管Pに交流磁界を作用させて渦電流を誘起すると共に、鋼管Pに誘起された渦電流を検出するように構成されている。ただし、具体的な構成が第1実施形態の検出センサ1と異なる。本実施形態の検出センサ1Aは、内挿された鋼管Pに交流磁界を作用させる励磁コイルと、内挿された鋼管Pに誘起された渦電流を検出する一対の検出コイル11a、11bとを備える。検出センサ1Aは、各検出コイル11a、11bでの検出信号の差(差動信号)を出力するように構成されている。励磁コイルと検出コイル11a、11bとは、別体に設けても良いし、或いは、検出コイル11a、11bが励磁コイルの機能を兼ね備えることも可能である。
【0057】
信号処理部2Aは、検出センサ1Aに交流電流を通電すると共に、検出センサ1Aから出力された差動信号に基づいて、鋼管P(鋼管Pの内面)における浸炭の有無を検知するように構成されている。具体的には、本実施形態の信号処理部2Aは、位相回転器24から出力されたX信号及びY信号から所定の低周波数成分を除去して、A/D変換器26に出力するハイパスフィルタ25を備える。本実施形態の信号処理部2Aは、このハイパスフィルタ25を備える点を除き、第1実施形態の信号処理部2と同様の構成を有するため、ここではその構成の詳細な説明を省略する。
【0058】
本実施形態の信号処理部2Aが備える判定部27も、第1実施形態と同様に、A/D変換器26から入力されたX信号データと、予め決定され記憶されたしきい値Th3とを比較し、X信号データがしきい値Th3を越えていれば、鋼管Pの内面に浸炭が生じていると判定し、X信号データがしきい値Th3以内であれば、鋼管Pの内面に浸炭が生じていないと判定する。
【0059】
以下、本実施形態におけるしきい値Th3の決定方法について説明する。
上記のしきい値Th3の決定に際して、前述した第1手順(基準材P0に磁気テープM1〜M4を取り付ける手順)を実行する点は、第1実施形態と同じである。また、前述した第2手順のうち、基準材P0に取り付けた各磁気テープM1〜M4の磁性強度をフェライトメータで測定する手順を実行する点も、第1実施形態と同じである。以上の手順を実行することにより、前述した表1に示すような結果を得ることができる。
【0060】
しかしながら、本実施形態では、前述した第2手順のうち、基準材P0に取り付けた各磁気テープM1〜M4の渦流検査出力値を取得する手順の内容が第1実施形態と異なる。以下、この異なる手順について、図7及び図8を参照しつつ説明する。
【0061】
図8は、図7に示す渦流検査装置100Aが備える位相回転器24から出力されるX信号及びY信号をX−Yベクトル平面上に表した模式図である。
各磁気テープM1〜M4の渦流検査出力値を取得する際には、まず、基準材P0の磁気テープM1〜M4を取り付けていない部位が検出センサ1の検出コイル11a、11bの双方に挿入されている状態で停止させて、X信号及びY信号が0となるように(X信号及びY信号をそれぞれX軸成分及びY軸成分とするベクトルの先端に相当するスポットが図8に示すバランス点(原点)に位置するように)、増幅器22の前段に配置されたバランス回路(図示せず)のバランス量を調整して、同期検波器23から出力される第1信号成分及び第2信号成分をそれぞれ0とする。
【0062】
次に、基準材P0を検出コイル11a、11bから抜き取った後、再び基準材P0を軸方向に移動させて、基準材P0の端部が検出コイル11a、11bを順次通過する過程で得られる前記スポットの軌跡である信号波形(図8に示す端部信号)が、Y軸に対して略対称で且つY軸成分が所定の電圧(例えば、5V)となるように、増幅器22の増幅率及び位相回転器24の位相回転量を調整する。
【0063】
以上の調整を事前に行った後、基準材P0を軸方向に移動させて、磁気テープM1〜M4を取り付けた基準材P0の各部位を検出センサ1に順次挿入し、各部位に対応するX信号データ及びY信号データを取得する。なお、図8に示すように、各磁気テープM1〜M4の磁性強度に応じて、ベクトルの先端位置はバランス点を基準点として変動するが、その変動量はY軸方向よりもX軸方向に大きい。このため、本実施形態でも、上記のようにして取得したX信号データ及びY信号データのうち、X信号データを各磁気テープM1〜M4の渦流検査出力値として用いている。
【0064】
以上のようにして基準材P0に取り付けた各磁気テープM1〜M4の渦流検査出力値を取得する手順を実行した後、前述した第3手順(磁性強度測定値と渦流検査出力値との対応関係を算出する手順)を実行する点は、第1実施形態と同じである。図9は、本実施形態において算出される磁性強度測定値と渦流検査出力値との対応関係の一例を示す。なお、図9に示す例の渦流検査出力値は、検出センサ1Aに10kHzの交流電流を供給して渦流検査を行うことにより得られた値である。
【0065】
本実施形態のしきい値Th3の決定に際して、以上に説明した手順の他、前述した第4手順(複数の浸炭材について磁性強度を測定する手順)、第5手順(浸炭深さと磁性強度測定値との対応関係を算出する手順)、第6手順(検知すべき浸炭深さのしきい値Th1に対応する磁性強度測定値のしきい値Th2を決定する手順)、第7手順(磁性強度測定値のしきい値Th2に対応する渦流検査出力値のしきい値Th3を決定する手順)を実行する点は、第1実施形態と同じである。図9に示す例では磁性強度測定値のしきい値Th2=0.05(Fe%)に対応する渦流検査出力値のしきい値Th3=2.5(V)となる。
【0066】
図10は、上記のようにして決定したしきい値Th3を用いて、被検査材である鋼管Pの浸炭の有無を検知した結果の一例を示す。図10に示すように、しきい値Th3を判定基準とすることにより、浸炭の有無を精度良く検知できることが分かった。
【符号の説明】
【0067】
1、1A・・・検出センサ
2・・・信号処理部
11、11a、11b・・・検出コイル
21・・・発振器
22・・・増幅器
23・・・同期検波器
24・・・位相回転器
25・・・ハイパスフィルタ
26・・・A/D変換器
27・・・判定部
100、100A・・・渦流検査装置
P・・・被検査材
P0・・・基準材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁気検査によって被検査材における浸炭の有無を検知する方法であって、
被検査材と電磁気的な特性が同等で浸炭していないものを基準材として選択し、該基準材の浸炭検知対象面に、磁性強度がそれぞれ異なる少なくとも3つの磁性材を取り付ける第1手順と、
前記第1手順によって前記基準材に取り付けられた各磁性材の磁性強度を測定すると共に、前記各磁性材に電磁気検査を行ってその出力値を取得する第2手順と、
前記第2手順によって得られた前記各磁性材の磁性強度測定値及び電磁気検査出力値に基づき、磁性強度測定値と電磁気検査出力値との対応関係を算出する第3手順と、
浸炭深さがそれぞれ異なる複数の浸炭材について磁性強度を測定する第4手順と、
前記第4手順によって得られた前記各浸炭材の浸炭深さ及び磁性強度測定値に基づき、浸炭深さと磁性強度測定値との対応関係を算出する第5手順と、
前記第5手順によって得られた浸炭深さと磁性強度測定値との対応関係に基づき、検知すべき浸炭深さのしきい値に対応する磁性強度測定値のしきい値を決定する第6手順と、
前記第3手順によって得られた磁性強度測定値と電磁気検査出力値との対応関係に基づき、前記第6手順によって決定された磁性強度測定値のしきい値に対応する電磁気検査出力値のしきい値を決定する第7手順と、
被検査材に電磁気検査を行うことにより得られた電磁気検査出力値と、前記第7手順によって決定された電磁気検査出力値のしきい値との大小関係に基づき、被検査材における浸炭の有無を検知する第8手順と
を含むことを特徴とする浸炭検知方法。
【請求項2】
前記第1手順において、磁性材として、磁気テープ、フェライトコア及び磁性金属材料の試片のうち何れか1つを前記基準材に取り付けることを特徴とする請求項1に記載の浸炭検知方法。
【請求項3】
前記第2手順及び前記第8手順において、絶対値信号を出力するセンサ又は差動信号を出力するセンサを用いて電磁気検査を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の浸炭検知方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−197222(P2010−197222A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−42535(P2009−42535)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000002118)住友金属工業株式会社 (2,544)
【Fターム(参考)】