説明

浸透探傷試験装置及び方法

【課題】浸透探傷試験装置及び方法において、装置の簡素化並びに高精度な試験を可能とする。
【解決手段】検査治具として、注水管台74と注水配管75との溶接部76の検査面77,78を洗浄すると共に浸透液を塗布する洗浄・浸透液塗布治具113,131、検査面77,78に現像液を塗布する現像液塗布治具144,171、検査面77,78を観察する観察治具182を設け、これらを架台101から注水管台74及び注水配管75に挿入して検査面77,78の処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子炉の原子炉容器にて、溶接部などにおけるクラックの発生の有無を検査する浸透探傷試験装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、原子力プラントにおける加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)は、軽水を原子炉冷却材及び中性子減速材として使用し、炉心全体にわたって沸騰しない高温高圧水とし、この高温高圧水を蒸気発生器に送って熱交換により蒸気を発生させ、この蒸気をタービン発電機へ送って発電するものである。
【0003】
このような加圧水型原子炉に用いられる原子炉容器は、十分な安全性や信頼性を確保するために、管台や配管などを定期的に検査する必要がある。そして、検査の結果、この管台や配管などに経年劣化などによるクラックが見つかったときには、このクラックを含む必要箇所を補修している。この原子炉容器における管台や配管などの検査として、一般に、浸透探傷試験(PT:Penetrant Testing)が用いられる。
【0004】
原子炉容器の保守点検作業を行うものとしては、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。また、浸透探傷試験装置としては、例えば、下記特許文献2−3に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−017670号公報
【特許文献2】特許第3202603号公報
【特許文献3】特許第3150585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
浸透探傷試験を行う場合、試験を行う表面に対して、洗浄、浸透、現像、観察などの処理を連続して行う必要がある。上述した従来の浸透探傷試験装置にあっては、一つの装置に各種の処理装置が装着されており、構造が複雑になって装置が大型化すると共に、作業が面倒なものとなってしまう。また、装置を管台や配管内に挿入して各種の作業を行う場合、各種の処理装置を適正位置に位置決めする必要がある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、装置の簡素化並びに高精度な試験を可能とする浸透探傷試験装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本発明の浸透探傷試験装置は、検査孔の内部に挿入可能な操作ロッドと、前記操作ロッドの基端部を前記検査孔の入口部に支持して調心可能な第1支持部と、前記操作ロッドの先端部側を前記検査孔の内部に支持して調心可能な第2支持部と、前記操作ロッドの先端部に装着される検査治具と、を備えることを特徴とするものである。
【0009】
従って、操作ロッドの基端部が第1支持部により検査孔の入口部に支持されて調心可能であり、操作ロッドの先端部側が第2支持部により検査孔の内部に支持されて調心可能であることから、この操作ロッドの先端部に装着される検査治具は、検査孔の適性位置に位置することとなり、高精度な浸透探傷試験を行うことができると共に、装置の簡素化を可能とすることができる。
【0010】
本発明の浸透探傷試験装置では、前記検査孔が形成された構造体に隣接して前記検査孔の入口部に対向した作業孔を有する架台が配置され、前記操作ロッドの基端部は、前記第1支持部により前記作業孔に支持されることを特徴としている。
【0011】
従って、操作ロッドの基端部が構造体に隣接した架台の作業孔に第1支持部により支持されることで、作業者は、架台の内部から構造体の作業孔に対して、操作ロッドを用いて適正な浸透探傷試験を行うことができる。
【0012】
本発明の浸透探傷試験装置では、前記検査治具は、前記検査孔の内面を洗浄する洗浄治具であり、該洗浄治具は、前記第2支持部を介して前記操作ロッドの先端部に装着されることを特徴としている。
【0013】
従って、操作ロッドの先端部に装着された洗浄治具により検査面の高精度な洗浄処理を行うことができる。
【0014】
本発明の浸透探傷試験装置では、前記検査治具は、前記検査孔の内面に浸透液を塗布する浸透液塗布治具であり、該浸透液塗布治具は、前記第2支持部を介して前記操作ロッドの先端部に装着されることを特徴としている。
【0015】
従って、操作ロッドの先端部に装着された浸透液塗布治具により検査面の高精度な浸透液塗布処理を行うことができる。
【0016】
本発明の浸透探傷試験装置では、前記検査治具は、前記検査孔の内面に現像液を塗布する現像液塗布治具であり、該現像液塗布治具は、前記第2支持部を介して前記操作ロッドの先端部に装着されることを特徴としている。
【0017】
従って、操作ロッドの先端部に装着された現像液塗布治具により検査面の高精度な現像液塗布処理を行うことができる。
【0018】
本発明の浸透探傷試験装置では、前記検査治具は、前記検査孔の内面を観察する観察治具であり、該観察治具は、前記第2支持部を介して前記操作ロッドの先端部に装着されることを特徴としている。
【0019】
従って、操作ロッドの先端部に装着された観察治具により検査面の高精度な観察処理を行うことができる。
【0020】
本発明の浸透探傷試験装置では、前記操作ロッドの先端部と前記検査治具との間に両者を着脱自在とするロック機構が設けられることを特徴としている。
【0021】
従って、ロック機構により操作ロッドと検査治具が着脱可能であることから、操作ロッドの兼用が可能となり、コストの低減を可能とすることができる。
【0022】
本発明の浸透探傷試験装置では、前記操作ロッドの先端部に前記検査孔の内面を撮影するカメラと、前記検査孔の内面を照射するライトが装着されることを特徴としている。
【0023】
従って、操作ロッドの先端部にカメラとライトを装着することで、各種の処理を適正に短時間で行うことができる。
【0024】
本発明の浸透探傷試験装置では、前記第2支持部は、前記操作ロッドが貫通する支持部本体と、該支持部本体の下部に設けられて前記検査孔の内面に沿って転動自在な複数の支持ローラと、前記支持部本体の上部に設けられて前記検査孔の内面を押圧可能な押圧部材とを有することを特徴としている。
【0025】
従って、複数の支持ローラにより支持部本体を検査孔の内面に沿って適正に移動することができ、押圧部材を作動することで支持部本体を検査孔の所定の位置に位置決めすることができる。
【0026】
本発明の浸透探傷試験装置では、前記押圧部材が前記検査孔の内面を押圧することで前記支持部本体を前記検査孔における所定の位置にロックしたとき、前記操作ロッドの移動範囲を制限するストッパ機構が設けられることを特徴としている。
【0027】
従って、支持部本体が検査孔の所定の位置に位置決めされたとき、ストッパ機構により操作ロッドの移動範囲を制限することで、検査治具により検査孔の適正領域の検査を行うことができる。
【0028】
本発明の浸透探傷試験装置では、前記検査孔の出口部を閉止する孔閉止装置が設けられることを特徴としている。
【0029】
従って、孔閉止装置により検査孔の出口部を閉止することで、浸透探傷試験の際に使用する各種の液体の漏洩を防止することができ、安全性を向上することができる。
【0030】
本発明の浸透探傷試験装置では、前記孔閉止装置は、シールプラグを前記検査孔の出口部に装着するものであって、円筒形状をなす第1操作ロッドと、該第1操作ロッドの先端部に設けられて前記シールプラグを収容可能なプラグ収容部と、前記第1操作ロッドの内部に軸方向に移動自在に設けられる第2操作ロッドと、該第2操作ロッドの先端部に設けられて前記シールプラグと係脱自在な係脱部とを有することを特徴としている。
【0031】
従って、シールプラグがプラグ収容部に収容された状態で、第1操作ロッドによりプラグ収容部を検査孔に挿入し、出口部より手前の位置で、第1操作ロッドに対して第2操作ロッドだけを前進すると、第2操作ロッドの係脱部に係止したシールプラグが前進し、出口部に装着され、その後、シールプラグから係脱部により第2操作ロッドを離脱させることで、出口部へのシールプラグの装着が完了することとなり、作業性の向上を可能とすることができる。
【0032】
本発明の浸透探傷試験方法は、シール用操作ロッドを入口側から検査孔に挿入して出口側にシールプラグを装着する工程と、洗浄用操作ロッドの先端部を入口側から前記検査孔に挿入して洗浄治具を調心してから前記検査孔の検査面を洗浄する工程と、浸透液塗布用操作ロッドの先端部を入口側から前記検査孔に挿入して浸透液塗布治具を調心してから前記検査面に浸透液を塗布する工程と、前記洗浄用操作ロッドの先端部を入口側から前記検査孔に挿入して洗浄治具を調心してから前記検査面を再度洗浄する工程と、現像液塗布用操作ロッドの先端部を入口側から前記検査孔に挿入して現像液塗布治具を調心してから前記検査面に現像液を塗布する工程と、観察用操作ロッドの先端部を入口側から前記検査孔に挿入して観察治具を調心してから前記検査面を観察する工程と、を有することを特徴とするものである。
【0033】
従って、検査孔の出口側にシールプラグを装着した後、検査面の洗浄処理と、検査面への浸透液塗布処理と、検査面の再度の洗浄処理と、検査面への現像液塗布処理と、検査面に対する観察処理を連続して行うことが可能となり、高精度な浸透探傷試験を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明の浸透探傷試験装置及び方法によれば、検査孔の内部に挿入可能な操作ロッドと、操作ロッドの基端部を検査孔の入口部に支持して調心可能な第1支持部と、操作ロッドの先端部側を検査孔の内部に支持して調心可能な第2支持部と、操作ロッドの先端部に装着される検査治具を設け、検査治具により検査面の洗浄処理、浸透液塗布処理、現像液塗布処理、観察処理を連続して行うことが可能となり、装置の簡素化並びに高精度な試験を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、本発明の一実施例に係る浸透探傷試験装置としての洗浄浸透処理装置の配置図である。
【図2】図2は、洗浄浸透処理装置の側面図である。
【図3】図3は、洗浄浸透処理装置の正面図である。
【図4】図4は、洗浄浸透処理装置の概略図である。
【図5】図5は、別の洗浄浸透処理装置の側面図である。
【図6】図6は、別の洗浄浸透処理装置の概略図である。
【図7】図7は、本実施例の浸透探傷試験装置としての現像処理装置の配置図である。
【図8】図8は、現像処理装置の支持部を表す概略図である。
【図9】図9は、現像処理装置の側面図である。
【図10】図10は、現像処理装置の走行支持部を表す断面図である。
【図11】図11は、現像処理装置の概略図である。
【図12】図12は、別の現像処理装置の側面図である。
【図13】図13は、本実施例の観察処理装置の側面図である。
【図14】図14は、シールプラグ着脱装置の側面図である。
【図15】図15は、シールプラグ着脱装置の概略図である。
【図16】図16は、シールプラグの断面図である。
【図17】図17は、シールプラグの斜視図である。
【図18】図18は、本実施例の浸透探傷試験方法を表すフローチャートである。
【図19】図19は、原子力発電プラントの概略構成図である。
【図20】図20は、加圧水型原子炉を表す縦断面図である。
【図21】図21は、原子炉容器を表す管台での水平断面図である。
【図22−1】図22−1は、図21のA−A断面図である。
【図22−2】図22−2は、図21のB−B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る浸透探傷試験装置及び方法の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。
【実施例】
【0037】
図1は、本発明の一実施例に係る浸透探傷試験装置としての洗浄浸透処理装置の配置図、図2は、洗浄浸透処理装置の側面図、図3は、洗浄浸透処理装置の正面図、図4は、洗浄浸透処理装置の概略図、図5は、別の洗浄浸透処理装置の側面図、図6は、別の洗浄浸透処理装置の概略図、図7は、本実施例の浸透探傷試験装置としての現像処理装置の配置図、図8は、現像処理装置の支持部を表す概略図、図9は、現像処理装置の側面図、図10は、現像処理装置の走行支持部を表す断面図、図11は、現像処理装置の概略図、図12は、別の現像処理装置の側面図、図13は、本実施例の観察処理装置の側面図、図14は、シールプラグ着脱装置の側面図、図15は、シールプラグ着脱装置の概略図、図16は、シールプラグの断面図、図17は、シールプラグの斜視図、図18は、本実施例の浸透探傷試験方法を表すフローチャート、図19は、原子力発電プラントの概略構成図、図20は、加圧水型原子炉を表す縦断面図、図21は、原子炉容器を表す管台での水平断面図、図22−1は、図21のA−A断面図、図22−2は、図21のB−B断面図である。
【0038】
本実施例の原子炉は、軽水を原子炉冷却材及び中性子減速材として使用し、炉心全体にわたって沸騰しない高温高圧水とし、この高温高圧水を蒸気発生器に送って熱交換により蒸気を発生させ、この蒸気をタービン発電機へ送って発電する加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)である。
【0039】
本実施例の加圧水型原子炉を有する原子力発電プラントにおいて、図19に示すように、原子炉格納容器11内には、加圧水型原子炉12及び蒸気発生器13が格納されており、この加圧水型原子炉12と蒸気発生器13とは冷却水配管14,15を介して連結されており、冷却水配管14に加圧器16が設けられ、冷却水配管15に冷却水ポンプ15aが設けられている。この場合、減速材及び一次冷却水(冷却材)として軽水を用い、炉心部における一次冷却水の沸騰を抑制するために、一次冷却系統は加圧器16により150〜160気圧程度の高圧状態を維持するように制御している。従って、加圧水型原子炉12にて、燃料(原子燃料)として低濃縮ウランまたはMOXにより一次冷却水として軽水が加熱され、高温の一次冷却水が加圧器16により所定の高圧に維持した状態で冷却水配管14を通して蒸気発生器13に送られる。この蒸気発生器13では、高圧高温の一次冷却水と二次冷却水との間で熱交換が行われ、冷やされた一次冷却水は冷却水配管15を通して加圧水型原子炉12に戻される。
【0040】
蒸気発生器13は、蒸気タービン17と冷却水配管18を介して連結されており、この蒸気タービン17は高圧タービン19及び低圧タービン20を有すると共に、発電機21が接続されている。また、高圧タービン19と低圧タービン20との間には、湿分分離加熱器22が設けられており、冷却水配管18から分岐した冷却水分岐配管23が湿分分離加熱器22に連結される一方、高圧タービン19と湿分分離加熱器22は低温再熱管24により連結され、湿分分離加熱器22と低圧タービン20は高温再熱管25により連結されている。
【0041】
更に、蒸気タービン17の低圧タービン20は、復水器26を有しており、この復水器26には冷却水(例えば、海水)を給排する取水管27及び排水管28が連結されている。この取水管27は、循環水ポンプ29を有し、排水管28と共に他端部が海中に配置されている。そして、この復水器26は、冷却水配管30を介して脱気器31に連結されており、この冷却水配管30に復水ポンプ32及び低圧給水加熱器33が設けられている。また、脱気器31は、冷却水配管34を介して蒸気発生器13に連結されており、この冷却水配管34には給水ポンプ35及び高圧給水加熱器36が設けられている。
【0042】
従って、蒸気発生器13にて、高圧高温の一次冷却水と熱交換を行って生成された蒸気は、冷却水配管18を通して蒸気タービン17(高圧タービン19から低圧タービン20)に送られ、この蒸気により蒸気タービン17を駆動して発電機21により発電を行う。このとき、蒸気発生器13からの蒸気は、高圧タービン19を駆動した後、湿分分離加熱器22で蒸気に含まれる湿分が除去されると共に加熱されてから低圧タービン20を駆動する。そして、蒸気タービン17を駆動した蒸気は、復水器26で海水を用いて冷却されて復水となり、低圧給水加熱器33で、例えば、低圧タービン20から抽気した低圧蒸気により加熱され、脱気器31で溶存酸素や不凝結ガス(アンモニアガス)などの不純物が除去された後、高圧給水加熱器36で、例えば、高圧タービン19から抽気した高圧蒸気により加熱された後、蒸気発生器13に戻される。
【0043】
このように構成された原子力発電プラントに適用された加圧水型原子炉12において、図20に示すように、原子炉容器41は、その内部に炉内構造物が挿入できるように、原子炉容器本体42とその上部に装着される原子炉容器蓋43により構成されており、この原子炉容器本体42に対して原子炉容器蓋43が複数のスタッドボルト65及びナット66により開閉可能に固定されている。原子炉容器本体42は、上部が開口して下部が球面状に閉塞された円筒形状をなし、上部に一次冷却水としての軽水(冷却材)を給排する入口ノズル44及び出口ノズル45が形成されている。
【0044】
原子炉容器本体42内にて、入口ノズル44及び出口ノズル45より下方には、円筒形状をなす炉心槽46が原子炉容器本体42の内面と所定の隙間をもって配置されており、この炉心槽46の上部には、円板形状をなして図示しない多数の連通孔が形成された上部炉心板47が連結され、下部には、同じく円板形状をなして図示しない多数の連通孔が形成された下部炉心板48が連結されている。そして、原子炉容器本体42内には、炉心槽46の上方に位置して円板形状をなす上部炉心支持板49が固定されており、この上部炉心支持板49から複数の炉心支持ロッド50を介して上部炉心板47、つまり、炉心槽46が吊下げ支持されている。一方、下部炉心板48、つまり、炉心槽46は、原子炉容器本体42の内面に対して複数のラジアルキー52により位置決め保持されている。
【0045】
炉心槽46と上部炉心板47と下部炉心板48により炉心53が形成されており、この炉心53には、多数の燃料集合体54が配置されている。この燃料集合体54は、図示しないが、多数の燃料棒が支持格子により格子状に束ねられて構成され、上端部に上部ノズルが固定される一方、下端部に下部ノズルが固定されている。そして、複数の制御棒55は、上端部がまとめられて制御棒クラスタ56となり、燃料集合体54内に挿入可能となっている。上部炉心支持板49には、この上部炉心支持板49を貫通して多数の制御棒クラスタ案内管57が支持されており、下端部が燃料集合体54の制御棒クラスタ56まで延出されている。
【0046】
原子炉容器41を構成する原子炉容器蓋43の上部には、磁気式ジャッキの制御棒駆動装置58が設けられており、原子炉容器蓋43と一体をなすハウジング59内に収容されている。多数の制御棒クラスタ案内管57の上端部は、制御棒駆動装置58まで延出され、この制御棒駆動装置58から延出されて制御棒クラスタ駆動軸60が、制御棒クラスタ案内管57内を通って燃料集合体54まで延出され、制御棒クラスタ56を把持可能となっている。また、図示しないが、上部炉心支持板49には、この上部炉心支持板49を貫通して多数の炉内計装案内管が支持されており、下端部が燃料集合体54まで延出されており、中性子束を計測できるセンサを挿入可能となっている。
【0047】
この制御棒駆動装置58は、上下方向に延設されて制御棒クラスタ56に連結されると共に、その表面に複数の周溝を長手方向に等ピッチで配設してなる制御棒クラスタ駆動軸60を磁気式ジャッキで上下動させることで、原子炉の出力を制御している。
【0048】
従って、制御棒駆動装置58により制御棒クラスタ駆動軸60を移動して燃料集合体54に制御棒55を挿入することで、炉心53内での核分裂を制御し、発生した熱エネルギにより原子炉容器41内に充填された軽水が加熱され、高温の軽水が出口ノズル45から排出され、上述したように、蒸気発生器13に送られる。即ち、燃料集合体54を構成する燃料としてのウランまたはプルトニウムが核分裂することで中性子を放出し、減速材及び一次冷却水としての軽水が、放出された高速中性子の運動エネルギを低下させて熱中性子とし、新たな核分裂を起こしやすくすると共に、発生した熱を奪って冷却する。また、制御棒55を燃料集合体54に挿入することで、炉心53内で生成される中性子数を調整し、また、原子炉を緊急に停止するときには炉心53に急速に挿入される。
【0049】
また、原子炉容器41内には、炉心53に対して、その上方に出口ノズル45に連通する上部プレナム61が形成されると共に、下方に下部プレナム62が形成されている。そして、原子炉容器41と炉心槽46との間に入口ノズル44及び下部プレナム62に連通するダウンカマー部63が形成されている。従って、軽水は、4つの入口ノズル44から原子炉容器本体42内に流入し、ダウンカマー部63を下向きに流れ落ちて下部プレナム62に至り、この下部プレナム62の球面状の内面により上向きに案内されて上昇し、下部炉心板48を通過した後、炉心53に流入する。この炉心53に流入した軽水は、炉心53を構成する燃料集合体54から発生する熱エネルギを吸収することで、この燃料集合体54を冷却する一方、高温となって上部炉心板47を通過して上部プレナム61まで上昇し、出口ノズル45を通って排出される。
【0050】
このように構成された原子炉容器41は、上述したように、十分な安全性や信頼性を確保するために、定期的に検査する必要があり、この検査の結果、経年劣化などによるクラックが見つかったときには、このクラックを含む必要箇所を補修する。
【0051】
この原子炉容器41にて、原子炉容器本体42の各管台の検査作業として、液体による浸透探傷試験(PT)を行う。そして、この管台の浸透探傷試験は、原子炉容器本体42から原子炉容器蓋43を取り外して上部を開口し、この上部開口から試験装置を導入して行われる。この場合、浸透探傷装置は、原子炉容器本体42の内側に配置された架台に支持され、この架台に固定された状態で、管台の内部へアクセスして各種の処理を行う。しかし、各種の処理は、それぞれの試験装置を架台の適正位置に支持して先端部を管台内の所定の位置まで挿入する必要があり、そのときの位置調整作業が煩雑となり、各処理装置の支持作業に長時間を要してしまう。
【0052】
そこで、本実施例では、浸透探傷試験における各処理を行うときに、操作ロッドを支持すると共に調心してから、洗浄処理、浸透処理、洗浄処理、現像処理、観察処理、洗浄処理を連続して行うようにしている。
【0053】
まず、原子炉容器41の管台について説明する。図20及び図21に示すように、原子炉容器本体42は、円筒形状をなし、入口ノズル44を構成する2つの入口管台71が周方向に沿って均等間隔で設けられると共に、出口ノズル45を構成する2つの出口管台72が周方向に沿って均等間隔で設けられている。また、原子炉容器本体42は、注水ノズル73を構成する2つの注水管台74が周方向に沿って均等間隔で設けられており、各注水管台74は、先端部に注水配管75がそれぞれ溶接(溶接部76)により固定されている。この場合、入口管台71、出口管台72、注水管台74は、原子炉容器41の高さ方向において、ほぼ同位置に設けられている。
【0054】
次に、原子炉容器41(原子炉容器本体42)の内側に配置される架台について説明する。なお、原子炉容器41は、内部の水位が各管台71,72,74よりも下方となるように、予め排水されている。図21及び図22−1、図22−2に示すように、架台101は、有底の円筒形状をなし、上端部が原子炉容器本体42の上端部に支持されている。即ち、この架台101は、原子炉容器本体42の内径よりも小さい外径を有する円筒状をなす側壁部101aと、この側壁部101aの下端を閉塞する底部101bと、側壁部101aの上端から外周側に張り出して原子炉容器本体42の上縁に支持されるフランジ部101cとを有している。そして、この架台101は、側壁部101aが原子炉容器本体42の内面に対して所定間隔をあけて配置されている。
【0055】
架台101は、側壁部101aに注水管台74に対応してアクセス孔102が形成されている。このアクセス孔102は、注水管台74の注水ノズル73の入口部に対向して形成されている。なお、図示しないが、架台101は、側壁部101aに各管台71,72に対応してアクセス孔も形成されている。
【0056】
このアクセス孔102は、原子炉容器本体42の内部と架台101の内部とを連通可能となっていると共に、内側から固定プラグ103が固定されることで、原子炉容器本体42の内部と架台101の内部とを遮断可能となっている。なお、各管台71,72,74は、先端部に図示しない固定プラグが固定されることで、原子炉容器本体42の内部と外部とを遮断可能となっている。また、アクセス孔102は、固定プラグ103に代えて支持筒104を装着することで、この支持筒104から注水管台74や注水配管75の点検作業や補修作業を行うことができる。この場合、図22−1は、一方のアクセス孔102に固定プラグ103を固定した状態を表し、図22−2は、他方のアクセス孔102に支持筒104を固定した状態を表している。
【0057】
なお、本実施例では、原子炉容器41(原子炉容器本体42)が本発明の構造体に該当し、注水管台74(注水ノズル73)と注水配管75が本発明の検査孔に該当している。また、架台101に形成されたアクセス孔102が本発明の作業孔である。
【0058】
そして、本実施例の浸透探傷試験装置について説明する。この浸透探傷試験装置は、後述するが、洗浄処理・浸透処理装置と、現像処理装置と、観察処理装置と、シール装置(孔閉止装置)とから構成されている。
【0059】
図1乃至4に示すように、第1洗浄・浸透処理装置110は、架台101の内部から支持筒104(アクセス孔102)を通し、注水管台74(注水ノズル73)の入口部から注水配管75まで進入し、溶接部76の内面に形成された検査面77を洗浄すると共に、浸透液を塗布するものである。この場合、検査面77は、図示しない切削工具により周方向に沿って所定深さだけ切削加工が施された面である。
【0060】
この第1洗浄・浸透処理装置110において、操作ロッド(洗浄用操作ロッド、浸透液塗布用操作ロッド)111は、棒形状をなし、作業者により、架台101の内部から支持筒104、注水管台74、注水配管75まで挿入可能な長さに設定されている。この操作ロッド111は、先端部にロック機構112を介して洗浄・浸透液塗布治具113が装着されている。
【0061】
ロック機構112において、本体114は、円筒形状をなし、基端部に操作ロッド111の先端部が挿入され、係止部111aが係止している。また、本体114は、先端部に連結体115が係合し、係止部111aに当接している。そして、係止ピン116が操作ロッド111の長手方向に直交する外方から本体114及び連結体115に貫入することで、両者を連結している。
【0062】
支持体117は、基端部が連結体115にボルトにより固定されており、先端部に洗浄・浸透液塗布治具113が装着されている。この洗浄・浸透液塗布治具113は、L字形状をなして支持体117に操作ロッド111の長手方向に直交する方向(注水管台74及び注水配管75の径方向)に移動自在に支持された3つの支持ブラケット118と、この各支持ブラケット118の先端部の外側に固定された洗浄・塗布部(例えば、スポンジを布により被覆したもの)119と、各支持ブラケット118を移動可能とする駆動部120とから構成されている。この場合、各支持ブラケット118(洗浄・塗布部119)は、周方向に均等間隔で配置されており、駆動部120により径方向の外側に移動すると、各洗浄・塗布部119が検査面77に接触して押圧することで、この各洗浄・塗布部119、つまり、洗浄・浸透液塗布治具113を調心することができる。
【0063】
なお、この第1洗浄処理・浸透処理装置110では、後述する第1支持部142が本発明の第1支持部として機能し、洗浄・浸透液塗布治具113が本発明の第2支持部として機能する。即ち、図示しないが、操作ロッド111は、第1支持部142により支持可能となっている。
【0064】
また、操作ロッド111は、ロック機構112より基端部側に位置して、ブラケット121によりカメラ122とLED照明123が装着されている。カメラ122は、検査面77を撮影することができ、このとき、LED照明123は、検査面77を照射することができる。
【0065】
従って、架台101の内部にいる作業者は、操作ロッド111の基端部を持って、先端部の洗浄・浸透液塗布治具113を支持筒104から注水管台74に挿入し、溶接部76の検査面77に対向する位置に停止する。ここで、駆動部120により各支持ブラケット118を径方向の外側に移動し、各洗浄・塗布部119を検査面77に接触して押圧することで、洗浄・浸透液塗布治具113を調心する。この状態で、操作ロッド111を回転しながら軸方向に移動することで、各洗浄・塗布部119により検査面77及びその周辺部を洗浄、または、浸透液を塗布することができる。このとき、作業者は、カメラ122の映像を見ながら操作ロッド111を操作することで、検査面77に対して各洗浄・塗布部119により適正に洗浄、または、浸透液を塗布することができる。
【0066】
この場合、洗浄・塗布部119に予め洗浄液を含ませておくことで、検査面77及びその周辺部を洗浄することができ、また、洗浄・塗布部119に予め浸透液を含ませておくことで、検査面77及びその周辺部に浸透液を塗布することができる。なお、洗浄・塗布部119に洗浄液を含ませないで、事前に検査面77及びその周辺部を拭き取って洗浄することもでき、洗浄液での洗浄後にこの洗浄液を拭き取ることもできる。また、検査面77及びその周辺部に浸透液を塗布した後、洗浄・塗布部119に何も含ませないことで、検査面77及びその周辺部に付着した余分な浸透液を除去することができる。更に、後述する観察処理の完了後、洗浄・塗布部119に何も含ませないことで、検査面77及びその周辺部に付着した浸透液や現像液を除去することができる。なお、洗浄・塗布部119に洗浄液を含ませたままでも、検査面77及びその周辺部に付着した浸透液や現像液を除去することができる。
【0067】
また、図5及び図6に示すように、第2洗浄処理・浸透処理装置130は、架台101の内部から支持筒104(アクセス孔102)を通し、注水管台74(注水ノズル73)の入口部から注水配管75まで進入し、溶接部76の内面に形成された検査面78を洗浄すると共に、浸透液を塗布するものである。この場合、検査面78は、図示しない切削工具により所定深さだけ切削加工が施された面である。
【0068】
この第2洗浄処理・浸透処理装置130において、操作ロッド(洗浄用操作ロッド、浸透液塗布用操作ロッド)111は、第1洗浄処理・浸透処理装置110と同様であり、先端部にロック機構112を介して洗浄・浸透液塗布治具131が装着されている。ロック機構112において、本体114は、先端部に連結体132が係合し、係止部111aに当接している。そして、係止ピン116が操作ロッド111の長手方向に直交する外方から本体114及び連結体132に貫入することで、両者を連結している。
【0069】
連結体132は、先端部に洗浄・浸透液塗布治具131が装着されている。この洗浄・浸透液塗布治具131は、L字形状をなす支持ブラケット133と、この支持ブラケット133の先端部の外側に固定された洗浄・塗布部(例えば、スポンジを布により被覆したもの)134とから構成されている。
【0070】
また、操作ロッド111は、ロック機構112より基端部側に位置して、ブラケット121によりLED照明123が装着されている。また、本体114と連結体132とで支持されたブラケット135によりカメラ136が装着されている。カメラ136は、検査面78を撮影することができ、このとき、LED照明123は、検査面78を照射することができる。
【0071】
従って、架台101の内部にいる作業者は、操作ロッド111の基端部を持って、先端部の洗浄・浸透液塗布治具131を支持筒104から注水管台74に挿入し、溶接部76の検査面78に対向する位置に停止する。ここで、洗浄・塗布部134を検査面78に接触して押圧し、操作ロッド111を回転しながら軸方向に移動することで、各洗浄・塗布部134により検査面78及びその周辺部を洗浄、または、浸透液を塗布することができる。このとき、作業者は、カメラ136の映像を見ながら操作ロッド111を操作することで、検査面78に対して各洗浄・塗布部134により適正に洗浄、または、浸透液を塗布することができる。
【0072】
この場合、洗浄・塗布部134に予め洗浄液を含ませておくことで、検査面78及びその周辺部を洗浄することができ、また、洗浄・塗布部134に予め浸透液を含ませておくことで、検査面78及びその周辺部に浸透液を塗布することができる。なお、洗浄・塗布部134に洗浄液を含ませないで、事前に検査面78及びその周辺部を拭き取って洗浄することもでき、洗浄液での洗浄後にこの洗浄液を拭き取ることもできる。また、検査面78及びその周辺部に浸透液を塗布した後、洗浄・塗布部134に何も含ませないことで、検査面78及びその周辺部に付着した余分な浸透液を除去することができる。更に、後述する観察処理の完了後、洗浄・塗布部134に何も含ませないことで、検査面78及びその周辺部に付着した浸透液や現像液を除去することができる。なお、洗浄・塗布部134に洗浄液を含ませたままでも、検査面78及びその周辺部に付着した浸透液や現像液を除去することができる。
【0073】
このように形状の異なる検査面77,78に対して、第1、第2洗浄処理・浸透処理装置110,130を使い分けるようにしている。なお、上述した洗浄処理・浸透処理装置110,130では、洗浄・塗布部119,134に洗浄液を含ませて洗浄処理を行ったが、洗浄・浸透液塗布治具113,131に洗浄液の噴射ノズルを設け、この噴射ノズルにより検査面77,78に洗浄液を噴射してもよく、この場合、検査面77,78にある余分な洗浄液を洗浄・塗布部119,134により拭き取って洗浄処理を行ってもよい。また、この噴射ノズルにより検査面77,78に浸透液を噴射し、洗浄・塗布部119,134により拭き取って浸透処理を行ってもよい。
【0074】
次に、図7乃至11に示すように、第1現像処理装置140は、架台101の内部から支持筒104(アクセス孔102)を通し、注水管台74(注水ノズル73)の入口部から注水配管75まで進入し、溶接部76の内面に形成された検査面77に現像液を塗布するものである。
【0075】
この第1現像処理装置140は、注水管台74の内部に挿入可能な操作ロッド(現像用操作ロッド)141と、この操作ロッド141の基端部を架台101のアクセス孔102に固定された支持筒104に支持して調心可能な第1支持部142と、操作ロッド141の先端部側を注水管台74の内部に支持して調心可能な第2支持部143と、操作ロッド141の先端部に装着される現像液塗布治具144とから構成されている。
【0076】
操作ロッド141は、棒形状をなし、作業者により、架台101の内部から支持筒104、注水管台74、注水配管75まで挿入可能な長さに設定されている。第1支持部142において、操作ロッド141は、基端部が支持台145に貫通して移動自在に支持されており、端部に連結ロッド146を介して回転ハンドル147が装着されている。支持板148は、円筒部148aが支持筒104に嵌合しており、フランジ部148bが支持筒104のフランジ部104aに設けられた複数の固定具149により固定されている。なお、複数の固定具149は、周方向に所定間隔で配置されている。
【0077】
支持台145は、支持板148のフランジ部148bに2つの固定ハンドル150により固定されている。そして、支持板148の円筒部148aに角度スケール151が形成される一方、操作ロッド141の連結ロッド146にレーザポインタ152が装着されている。従って、作業者は、回転ハンドル147により操作ロッド141を長手方向に往復移動可能であると共に、周方向に回転可能であり、このとき、レーザポインタ152からレーザを照射することで、角度スケール151におけるレーザの照射位置により操作ロッド141の回転位置(角度)を検出することができる。
【0078】
第2支持部143において、操作ロッド141は、中間部が支持体153に貫通して移動自在に支持されている。この支持体(支持部本体)153は、両側の下側にそれぞれブラケット154を介して支持ローラ155が装着されている。この2つの支持ローラ155は、注水管台74の内面に沿って転動自在であり、操作ロッド141の軸心が注水管台74の軸心となるようにその装着位置が事前に調整されている。また、支持体153は、上部に注水管台74の内面を押圧可能なエアシリンダ(押圧部材)156が装着されている。このエアシリンダ156は、エアの給排により往復移動可能な押圧ロッド157を有し、この押圧ロッド157を突出して注水管台74の内面に押圧することで、支持体153を注水管台74における所定の位置にロックすることができる。
【0079】
また、操作ロッド141は、第2支持部143に対する操作ロッド141の長手方向の前後にそれぞれストッパ(ストッパ機構)158,159が固定されている。従って、支持体153が注水管台74にロックされたとき、作業者が操作ロッド141をその長手方向に移動しても、前後のストッパ158,159が支持体153に当接することで、この操作ロッド141の移動範囲を制限することができる。
【0080】
操作ロッド141は、先端部に取付ブラケット160を介して現像液塗布治具144が装着されている。この現像液塗布治具144は、前方に向けて所定の角度で現像液を噴射可能な噴射ノズルであって、各支持部142,143により調心支持可能となっており、注水管台74の軸心に沿って現像液を噴射する。
【0081】
また、操作ロッド141は、第2支持部143と現像液塗布治具144との間に位置して、ブラケット161によりカメラ162とLED照明163が装着されている。カメラ162は、検査面77を撮影することができ、このとき、LED照明163は、検査面77を照射することができる。
【0082】
従って、架台101の内部にいる作業者は、操作ロッド141の基端部側を支持台145及び支持板148を介して支持筒104に支持し、回転ハンドル147を持って、先端部の現像液塗布治具144を注水管台74に挿入し、溶接部76の検査面77より手前の位置にて、第2支持部143のエアシリンダ156を作動することで、この第2支持部143を位置決めする。このとき、注水管台74を移動する第2支持部143の移動抵抗が、操作ロッド141と第2支持部143の摺動抵抗より小さいことから、操作ロッド141と共に第2支持部143を移動することができる。但し、操作ロッド141のストッパ159が第2支持部143を押しながら移動させてもよく、この場合、操作ロッド141と第2支持部143との摺動抵抗が小さくてもよい。そして、作業者は、回転ハンドル147により操作ロッド141を更に前進させ、ストッパ159が第2支持部143に当接した位置で、現像液塗布治具144により前方に現像液を噴射する。この状態で、操作ロッド141を回転することで、現像液塗布治具144により検査面77及びその周辺部に現像液を塗布することができる。このとき、作業者は、カメラ162の映像を見ながら操作ロッド141を操作することで、検査面77に対して現像液塗布治具144により適正に現像液を塗布することができる。
【0083】
また、図12に示すように、第2現像処理装置170は、架台101の内部から支持筒104(アクセス孔102)を通し、注水管台74(注水ノズル73)の入口部から注水配管75まで進入し、溶接部76の内面に形成された検査面78に現像液を塗布するものである。この場合、検査面78は、図示しない切削工具により所定深さだけ切削加工が施された面である。
【0084】
この第2現像処理装置170は、操作ロッド141と、第1支持部142(図7参照)と、第2支持部143(図7参照)と、操作ロッド141の先端部に装着される現像液塗布治具171とから構成されている。操作ロッド141は、先端部に取付ブラケット172を介して現像液塗布治具171が装着されている。この現像液塗布治具171は、注水管台74の内面に向けて所定の角度で現像液を噴射可能な噴射ノズルであって、各支持部142,143により調心支持可能となっており、注水管台74の軸心に直交する方向に沿って現像液を噴射する。
【0085】
また、操作ロッド141は、先端部に位置して、ブラケット173によりカメラ174とLED照明175が装着されている。カメラ174は、検査面78を撮影することができ、このとき、LED照明175は、検査面78を照射することができる。
【0086】
従って、架台101の内部にいる作業者は、回転ハンドル147を持って、先端部の現像液塗布治具171を注水管台74に挿入し、溶接部76の検査面78に対向する位置に位置決めする。この状態で、現像液塗布治具171により前方に現像液を噴射することで、検査面78及びその周辺部に現像液を塗布することができる。このとき、作業者は、カメラ174の映像を見ながら操作ロッド141を操作することで、検査面78に対して現像液塗布治具171により適正に現像液を塗布することができる。
【0087】
このように形状の異なる検査面77,78に対して、第1、第2現像処理装置140,170を使い分けるようにしている。なお、上述した第1、第2現像処理装置140,170では、現像液塗布治具144,171から検査面77,78に現像液を噴射して塗布したが、洗浄・浸透液塗布治具113,131のように、洗浄・塗布部に現像液を含ませて現像処理を行ってもよい。
【0088】
また、第1、第2現像処理装置140,170では、操作ロッド141を手動により前後移動及び回転を行ったが、自動(例えば、モータとボールねじスプライン機構)によりこの作動を行ってもよい。
【0089】
次に、図13に示すように、観察処理装置180は、架台101の内部から支持筒104(アクセス孔102)を通し、注水管台74(注水ノズル73)の入口部から注水配管75まで進入し、現像液を塗布した後の検査面77,78の状態を観察するものである。
【0090】
この観察処理装置180は、注水管台74の内部に挿入可能な操作ロッド(観察用操作ロッド)181と、この操作ロッド181の先端部に装着される観察治具182とから構成されている。なお、操作ロッド181を支持する第1、第2支持部は、第1、第2現像処理装置140,170の第1支持部142及び第2支持部143と同様であることから、詳細な説明は省略する。
【0091】
操作ロッド181は、棒形状をなし、作業者により、架台101の内部から支持筒104、注水管台74、注水配管75まで挿入可能な長さに設定されている。この操作ロッド181は、先端部に観察治具182として、カメラ183と、LED照明184と、変位センサ185が装着されている。カメラ183は、検査面77,78を撮影することができ、このとき、LED照明184は、検査面77,78を照射することができる。また、変位センサ185は、検査面77,78の位置、つまり、注水管台74の内面から検査面77,78の深さを測定することができる。
【0092】
従って、架台101の内部にいる作業者は、操作ロッド181の先端部の観察治具182を注水管台74に挿入し、溶接部76の検査面77に対向する位置に位置決めする。この状態で、作業者は、カメラ183の映像を見ながら操作ロッド181を操作することで、検査面77における状態(亀裂の有無など)を観察することができる。
【0093】
なお、ここでは、溶接部76における検査面77に対する観察処理装置180について説明したが、溶接部76における検査面78に対しても、この観察処理装置180を使用することができる。
【0094】
そして、図14及び図15に示すように、孔閉止装置200は、架台101の内部から支持筒104(アクセス孔102)を通し、注水管台74(注水ノズル73)の入口部から注水配管75まで進入し、注水配管75をシールプラグ210により閉止するものである。この孔閉止装置200は、第1操作ロッド201と、プラグ収容部202と、第2操作ロッド203と、係脱部としてのねじ部204とから構成されている。
【0095】
第1操作ロッド201は、円筒形状をなし、先端部にプラグ収容部202が連結されている。プラグ収容部202は、基端側の連結筒202aが第1操作ロッド201の先端部に嵌合し、連結リング205により固定されている。また、プラグ収容部202は、連結筒202aより大径の円筒形状をなす収容部202bを有し、この収容部202bは、先端側が薄肉となるような内面に傾斜面202cが形成されている。そして、この収容部202b内にシールプラグ210を収容可能となっている。
【0096】
第2操作ロッド203は、第1操作ロッド201より外径が小径をなし、この第1操作ロッド201の内部に軸方向に移動自在で、且つ、周方向に回転自在となっている。そして、この第2操作ロッド203は、基端部に回転ハンドル206が装着される一方、先端部にシールプラグ210と係脱自在なねじ部204が形成されている。また、第2操作ロッド203は、基端部側に第1操作ロッド201との位置関係を表すスケール207が設けられている。
【0097】
そして、プラグ収容部202は、カメラ208と、LED照明(図示略)が装着されている。プラグ収容部202の貫通孔202dを通して前方を撮影、照射することができる。
【0098】
また、シールプラグ210において、図16及び図17に示すように、円筒形状をなす本体211は、円筒部211aとフランジ部211bを有し、中心部にねじ孔211cが形成され、孔閉止装置200における第2操作ロッド203の先端部に形成されたねじ部204がこのねじ孔211cに螺合(係脱)自在となっている。スポンジなどから形成される嵌合部212は、円筒形状をなし、本体211の外周に装着されている。ゴムなどから形成される弾性部213は、ねじ孔211cに連通する孔部213aを有し、本体211及び嵌合部212に密着した状態で、複数のボルト214が弾性部213から嵌合部212を貫通して本体211のフランジ部211bに螺合することで、弾性部213と嵌合部212と本体211が一体に連結されている。この弾性部213は、注水配管75の内部にて、先端部が内壁面に当接することで転倒を防止する機能を有している。フック部215は、金属板などからなり、U字形状をなし、一端部が本体211の円筒部211aに係止し、嵌合部212に挟持され、複数のボルト214が貫通することで、一体に連結されている。なお、このフック部215は、ねじ孔211cに対応する位置に貫通孔215aが形成されている。
【0099】
従って、図14乃至図17に示すように、作業者は、第2操作ロッド203の先端部にシールプラグ210を係止し、且つ、このシールプラグ210を弾性変形してプラグ収容部202内に収容しておく。そして、作業者は、架台101の内部にて、第1操作ロッド201の先端部を注水管台74に挿入し、溶接部76を超えて注水配管75の所定の位置に停止する。この状態で、作業者は、カメラ208の映像を見ながら第2操作ロッド203を押し出し操作することで、シールプラグ210を前進して注水配管75における小径部に嵌合する。その後、第2操作ロッド203を回転することで、シールプラグ210との係止を解除し、各操作ロッド201,203を注水配管75及び注水管台74から抜き取ることで、注水配管75を閉止することができる。
【0100】
ここで、本実施例の浸透探傷試験装置を用いた浸透探傷試験方法について、図18のフローチャートを用いて具体的に説明する。
【0101】
浸透探傷試験方法において、ステップS11にて、作業者は、架台101にて、孔閉止装置200を用いて、シールプラグ210を注水管台74から注水配管75に挿入し、この注水配管75における所定の位置にシールプラグ210を装着する。ステップS12にて、作業者は、第1洗浄・浸透処理装置110または第2洗浄・浸透処理装置130を用いて、洗浄・浸透液塗布治具113(131)を注水管台74に挿入し、この洗浄・浸透液塗布治具113(131)を調心してから検査面77(78)を洗浄する。
【0102】
ステップS13にて、作業者は、同様に、第1洗浄・浸透処理装置110または第2洗浄・浸透処理装置130を用いて、洗浄・浸透液塗布治具113(131)を注水管台74に挿入し、この洗浄・浸透液塗布治具113(131)を調心してから検査面77(78)に浸透液を塗布する。そして、ステップS14にて、作業者は、第1洗浄・浸透処理装置110または第2洗浄・浸透処理装置130を用いて、洗浄・浸透液塗布治具113(131)を注水管台74に挿入し、この洗浄・浸透液塗布治具113(131)を調心してから検査面77(78)を再洗浄する。
【0103】
ステップS15にて、作業者は、第1現像処理装置140または第2現像処理装置170を用いて、現像液塗布治具144(171)を注水管台74に挿入し、この現像液塗布治具144(171)を調心してから検査面77(78)に現像液を塗布する。そして、ステップS16にて、観察処理装置180を用いて、観察治具182を注水管台74に挿入し、この観察治具182を調心してから検査面77(78)の観察を行う。
【0104】
その後、ステップS17にて、作業者は、第1洗浄・浸透処理装置110または第2洗浄・浸透処理装置130を用いて、洗浄・浸透液塗布治具113(131)を注水管台74に挿入し、この洗浄・浸透液塗布治具113(131)を調心してから検査面77(78)を再洗浄する。そして、ステップS18にて、作業者は、孔閉止装置200を用いて、注水配管75に装着されたシールプラグ210を取り外す。
【0105】
なお、本実施例の浸透探傷試験装置を用いた浸透探傷試験は、一般的に、溶接部76に対して超音波探傷試験(UT)を行い、亀裂等が発生した内面に対して切削を行い、検査面77(78)を形成した後、この検査面77(78)に対して行う。また、その後、検査面77(78)に肉盛溶接などを行って補修した補修面(検査面)に対しても浸透探傷試験を行う。
【0106】
このように本実施例の浸透探傷試験装置にあっては、検査治具として、注水管台74と注水配管75との溶接部76の検査面77,78を洗浄すると共に浸透液を塗布する洗浄・浸透液塗布治具113,131、検査面77,78に現像液を塗布する現像液塗布治具144,171、検査面77,78を観察する観察治具182を設け、これらを架台101から注水管台74及び注水配管75に挿入して検査面77,78の処理を行っている。
【0107】
例えば、第1、第2現像処理装置140,170は、注水管台74の内部に挿入可能な操作ロッド141と、この操作ロッド141の基端部を架台101のアクセス孔102に固定された支持筒104に支持して調心可能な第1支持部142と、操作ロッド141の先端部側を注水管台74の内部に支持して調心可能な第2支持部143と、操作ロッド141の先端部に装着される現像液塗布治具144,171とを有している。
【0108】
従って、操作ロッド141の基端部が第1支持部142により架台101の支持筒104に支持されて調心され、操作ロッド141の中間部が第2支持部143により注水管台74の内面に支持されて調心されることから、この操作ロッド141の先端部に装着される現像液塗布治具144,171は、注水管台74の適性位置に位置することとなり、高精度な浸透探傷試験における各処理を行うことができると共に、装置の簡素化を可能とすることができる。
【0109】
また、本実施例の浸透探傷試験装置では、第2支持部143として、操作ロッド141が貫通する支持体153と、この支持体153の下部に設けられて注水管台74の内面に沿って転動自在な2つの支持ローラ155と、支持体153の上部に設けられて注水管台74の内面を押圧可能なエアシリンダ156を設けている。従って、各支持ローラ155により支持体153を注水管台74の内面に沿って適正に移動することができ、エアシリンダ156を作動することで支持体153を適正位置に位置決めすることができる。
【0110】
また、本実施例の浸透探傷試験装置では、エアシリンダ156が作動して支持体153を所定の位置に位置決めしたとき、操作ロッド141の移動範囲を制限するストッパ158,159を設けている。従って、支持体153が位置決めされたとき、ストッパ158,159により操作ロッド141の移動範囲を制限することで、現像液塗布治具144,171により適正領域に現像液を塗布することができる。
【0111】
また、本実施例の浸透探傷試験装置では、第1、第2洗浄処理・浸透処理装置110,130にて、操作ロッド111の先端部と洗浄・浸透液塗布治具113,131との間に両者を着脱自在とするロック機構112を設けている。従って、ロック機構112により操作ロッド111の先端部に対して洗浄・浸透液塗布治具113,131が着脱可能であることから、操作ロッド111の兼用が可能となり、コストの低減を可能とすることができる。
【0112】
また、本実施例の浸透探傷試験装置では、注水配管75をシールプラグ210により閉止する孔閉止装置200を設けている。従って、シールプラグ210により検査孔の出口部を閉止することで、浸透探傷試験の際に使用する洗浄液、浸透液、現像液などの漏洩を防止することができ、安全性を向上することができる。
【0113】
また、本実施例の浸透探傷試験装置では、孔閉止装置200として、円筒形状をなす第1操作ロッド201と、この第1操作ロッド201の先端部に設けられてシールプラグ210を収容可能なプラグ収容部202と、第1操作ロッド201の内部に軸方向に移動自在に設けられる第2操作ロッド203と、この第2操作ロッド203の先端部に設けられてシールプラグ210と係脱自在なねじ部204とを設けている。従って、シールプラグ210がプラグ収容部202に収容された状態で、第1操作ロッド201によりプラグ収容部202を注水管台74及び注水配管75内に挿入し、閉止位置より手前の位置で、第1操作ロッド201に対して第2操作ロッド203だけを前進すると、第2操作ロッド203のねじ部204に係止したシールプラグ210が前進して注水配管75の所定の位置に装着され、その後、シールプラグ210からねじ部204を離脱させることで、シールプラグ210の装着を完了することができ、作業性の向上を可能とすることができる。
【0114】
また、本実施例の浸透探傷試験方法にあっては、孔閉止装置200によりシールプラグ210を注水配管75に挿入して小径部に装着する工程と、操作ロッド111の先端部を注水管台74に挿入して洗浄・浸透液塗布治具113により検査面77を洗浄する工程と、操作ロッド111の先端部を注水管台74に挿入して洗浄・浸透液塗布治具113により検査面77に浸透液を塗布する工程と、操作ロッド111の先端部を注水管台74に挿入して洗浄・浸透液塗布治具113により検査面77を再度洗浄する工程と、操作ロッド141の先端部を注水管台74に挿入して現像液塗布治具144により検査面77に現像液を塗布する工程と、操作ロッド181の先端部を注水管台74に挿入して観察治具182により検査面77を観察する工程とを設けている。
【0115】
従って、注水配管75にシールプラグ210を装着した後、検査面77の洗浄処理と、検査面77への浸透液塗布処理と、検査面77の再度の洗浄処理と、検査面77への現像液塗布処理と、検査面77に対する観察処理を連続して行うことが可能となり、高精度な浸透探傷試験を容易に行うことができる。
【0116】
なお、上述した実施例では、本発明の浸透探傷試験装置及び方法を原子炉容器41の注水管台74及び注水配管75に適用して説明したが、他の管台71,72に適用することもできる。また、本発明は、原子炉容器41に限らず、構造体に所定間隔をあけて架台が配置されると共に構造体に形成された検査孔の入口部に対向して架台に作業孔が形成され、作業孔に装着される浸透探傷試験装置に関するものであればよく、いずれのものであっても適用することができる。
【符号の説明】
【0117】
11 原子炉格納容器
12 加圧水型原子炉
41 原子炉容器
42 原子炉容器本体(構造体)
43 原子炉容器蓋
44 入口ノズル(検査孔)
45 出口ノズル(検査孔)
71 入口管台
72 出口管台
73 注水ノズル(検査孔)
74 注水管台
75 注水配管
76 溶接部
77,78 検査面
101 架台
102 アクセス孔(作業孔)
104 支持筒
110,130 洗浄・浸透処理装置
111 操作ロッド(洗浄用操作ロッド、浸透液塗布用操作ロッド)
112 ロック機構
113,131 洗浄・浸透液塗布治具
140,170 現像処理装置
141 操作ロッド(現像用操作ロッド)
142 第1支持部
143 第2支持部
144,171 現像液塗布治具
180 観察処理装置
181 操作ロッド(観察用操作ロッド)
182 観察治具
200 孔閉止装置
201 第1操作ロッド
202 プラグ収容部
203 第2操作ロッド
204 ねじ部(係脱部)
210 シールプラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査孔の内部に挿入可能な操作ロッドと、
前記操作ロッドの基端部を前記検査孔の入口部に支持して調心可能な第1支持部と、
前記操作ロッドの先端部側を前記検査孔の内部に支持して調心可能な第2支持部と、
前記操作ロッドの先端部に装着される検査治具と、
を備えることを特徴とする浸透探傷試験装置。
【請求項2】
前記検査孔が形成された構造体に隣接して前記検査孔の入口部に対向した作業孔を有する架台が配置され、前記操作ロッドの基端部は、前記第1支持部により前記作業孔に支持されることを特徴とする請求項1に記載の浸透探傷試験装置。
【請求項3】
前記検査治具は、前記検査孔の内面を洗浄する洗浄治具であり、該洗浄治具は、前記第2支持部を介して前記操作ロッドの先端部に装着されることを特徴とする請求項1または2に記載の浸透探傷試験装置。
【請求項4】
前記検査治具は、前記検査孔の内面に浸透液を塗布する浸透液塗布治具であり、該浸透液塗布治具は、前記第2支持部を介して前記操作ロッドの先端部に装着されることを特徴とする請求項1または2に記載の浸透探傷試験装置。
【請求項5】
前記検査治具は、前記検査孔の内面に現像液を塗布する現像液塗布治具であり、該現像液塗布治具は、前記第2支持部を介して前記操作ロッドの先端部に装着されることを特徴とする請求項1または2に記載の浸透探傷試験装置。
【請求項6】
前記検査治具は、前記検査孔の内面を観察する観察治具であり、該観察治具は、前記第2支持部を介して前記操作ロッドの先端部に装着されることを特徴とする請求項1または2に記載の浸透探傷試験装置。
【請求項7】
前記操作ロッドの先端部と前記検査治具との間に両者を着脱自在とするロック機構が設けられることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の浸透探傷試験装置。
【請求項8】
前記操作ロッドの先端部に前記検査孔の内面を撮影するカメラと、前記検査孔の内面を照射するライトが装着されることを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載の浸透探傷試験装置。
【請求項9】
前記第2支持部は、前記操作ロッドが貫通する支持部本体と、該支持部本体の下部に設けられて前記検査孔の内面に沿って転動自在な複数の支持ローラと、前記支持部本体の上部に設けられて前記検査孔の内面を押圧可能な押圧部材とを有することを特徴とする請求項1から8のいずれか一つに記載の浸透探傷試験装置。
【請求項10】
前記押圧部材が前記検査孔の内面を押圧することで前記支持部本体を前記検査孔における所定の位置にロックしたとき、前記操作ロッドの移動範囲を制限するストッパ機構が設けられることを特徴とする請求項9に記載の浸透探傷試験装置。
【請求項11】
前記検査孔の出口部を閉止する孔閉止装置が設けられることを特徴とする請求項1から10のいずれか一つに記載の浸透探傷試験装置。
【請求項12】
前記孔閉止装置は、シールプラグを前記検査孔の出口部に装着するものであって、円筒形状をなす第1操作ロッドと、該第1操作ロッドの先端部に設けられて前記シールプラグを収容可能なプラグ収容部と、前記第1操作ロッドの内部に軸方向に移動自在に設けられる第2操作ロッドと、該第2操作ロッドの先端部に設けられて前記シールプラグと係脱自在な係脱部とを有することを特徴とする請求項11に記載の浸透探傷試験装置。
【請求項13】
シール用操作ロッドを入口側から検査孔に挿入して出口側にシールプラグを装着する工程と、
洗浄用操作ロッドの先端部を入口側から前記検査孔に挿入して洗浄治具を調心してから検査面を洗浄する工程と、
浸透液塗布用操作ロッドの先端部を入口側から前記検査孔に挿入して浸透液塗布治具を調心してから前記検査面に浸透液を塗布する工程と、
前記洗浄用操作ロッドの先端部を入口側から前記検査孔に挿入して洗浄治具を調心してから前記検査面を再度洗浄する工程と、
現像液塗布用操作ロッドの先端部を入口側から前記検査孔に挿入して現像液塗布治具を調心してから前記検査面に現像液を塗布する工程と、
観察用操作ロッドの先端部を入口側から前記検査孔に挿入して観察治具を調心してから前記検査面を観察する工程と、
を有することを特徴とする浸透探傷試験方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22−1】
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【図22−2】
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【公開番号】特開2013−11494(P2013−11494A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143553(P2011−143553)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】