説明

消臭用のフライパン

【課題】消臭用のフライパンを提供する。
【解決手段】本発明によれば、内部の一側から外部に向かって誘導路11が穿設された一対の胴体10と、誘導路11をそれぞれ開閉する排出開閉装置20と、それぞれの胴体10の周縁に沿って縁が嵌合され、調理物を収容可能な焼き網30と、を備える消臭用のフライパンが提供される。本発明によれば、調理に際し、調理物の匂いやガスなどをフライパンの下方に向かって排出させると共に、前記匂いやガスなどを炎により燃焼させることにより調理物の匂いを抜群に除去することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フライパンに係り、さらに詳しくは、内側から外部に向かって誘導路が穿設された一対の胴体と、前記誘導路を開閉する排出開閉装置及び前記胴体の周縁に沿って縁が嵌合されて調理物を収容可能な焼き網を設けて、調理に際し、排出開閉装置及び焼き網の縁に形成されたシリコンにより調理物の匂いやガスなどをフライパンの下方に向かって排出させると共に、前記匂いやガスなどを炎により燃焼させることにより調理物の匂いを抜群に除去可能な消臭用のフライパンに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、食べ物を調理するときには、その食べ物の食材ならではの匂い及び燃焼に伴うガスなどが発生するが、特に、魚の調理に際しては生臭い匂いが酷く、よくむかむかする者にとっては調理し辛くなるといった不都合がある。
【0003】
上記の如き不都合を解消する目的で、魚焼き専用のグリルパンなどの種々の調理器具が用いられてきているが、これは、構造が複雑であって調理に長時間かかり、コスト高となる他、特に、魚の生臭い匂いを完全に除去し切れないという不都合がある。
【0004】
また、上記の如き不都合を改善するために、蓋付きフライパンや両面フライパンが提案されているが、これは、パン胴体の取っ手の繋ぎ部の内側面にガス流入口を設け、底板の外側の中心部にはガス抜き口を設けて、ここに接続された誘導路は、前記の流入口と連通させることにより、魚などを焼くときに発生する生臭い匂いなどの有機質ガスが、上述の流入口を介して誘導路に流れ込み、ガス抜き口を介して排出されながら、ガスコンロの赤い炎により燃焼されて匂いを除去するように構成されている(例えば、下記の特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】大韓民国特許登録第10−0530695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の特許文献1に記載の発明は、ガス流入口とガス抜き口を繋ぐ誘導路を設けるに当たり、薄いフライパンの製作技術を考慮することなく、理論的にのみ構成しているため、実際に生産をすることができないだけではなく、無理やりに生産するとしても、製作の困難さにより量産し難いという不都合がある。
【0007】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的は、調理物の匂いを抜群に除去することが可能な、新規かつ改良された消臭用のフライパンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、内部の一側から外部に向かって誘導路が穿設された一対の胴体と、前記誘導路をそれぞれ開閉する排出開閉装置と、それぞれの前記胴体の周縁に沿って縁が嵌合され、調理物を収容可能な焼き網と、を備える消臭用のフライパンが提供される。
【0009】
前記胴体には、底面の外面に帯状の受け突部が多数設けられていてもよい。
【0010】
前記胴体における誘導路は、前記胴体の側面に沿って穿設された第1の誘導路と、前記第1の誘導路の断面積よりも小さな断面積を有すると共に、前記胴体の扁平面に沿って設けられた第2の誘導路と、を備えていてもよい。
【0011】
前記第2の誘導路は、前記第1の誘導路と連通する一端から外部と連通する他端に進むにつれて、断面積が大きくなってもよい。
【0012】
前記排出開閉装置は、前記胴体の側面に沿って穿設された前記誘導路の一端に設けられて内部に通孔が形成されたカバーと、前記胴体の側面に沿って穿設された前記誘導路の内部に遊動自在に設けられ、前記胴体の使用位置に応じて前記カバーの通孔を開閉可能な開閉ボールと、を備えていてもよい。
【0013】
前記焼き網は、縁にシリコンが形成(塗布)されていてもよい。
【0014】
上記構成によれば、調理に際し、調理物の匂いやガスなどをフライパンの下方に向かって容易に排出し、且つ、前記匂いやガスなどを炎により燃焼させることにより、調理物の匂いを抜群に除去することが可能になる。
【発明の効果】
【0015】
本発明による消臭用のフライパンによれば、調理に際し、調理物の匂いやガスなどをフライパンの下方に向かって容易に排出し、且つ、前記匂いやガスなどを炎により燃焼させることにより、調理の対象となる調理物の匂いを抜群に除去することが可能になる。
【0016】
また、本発明は、前記焼き網により魚などが胴体の底面に直接的に触れることなく、油及び水分が抜くような空間部を形成することから、美味しい調理ができるという効果があり、他の料理をするときには焼き網がない胴体を底面として使用可能であることから、自然に調理する調理物に応じて選択的に胴体を使い分けるという利点もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0018】
本発明の目的は、内側から外部に向かって誘導路が穿設された一対の胴体と、前記誘導路を開閉する排出開閉装置及び前記胴体の周縁に沿って縁が嵌合されて調理物を収容可能な焼き網を設けて、調理に際して、調理物の匂いやガスなどをフライパンの下方に向かって排出させ、調理物の匂いやガスなどを炎により燃焼させることにより、調理物の匂いを抜群に除去可能な消臭用のフライパンを提供するところにある。
【0019】
図1は、本発明による消臭用のフライパンを示す図であり、図2は、本発明による消臭用のフライパンの側断面図(フライパンの柄の方向に沿ってフライパンを切断した断面図)であり、図3は、本発明による消臭用のフライパンの分解断面図であり、図4は、本発明による消臭用のフライパンにおける誘導路及び排出開閉装置を示す図である。
【0020】
図示の如く、フライパンは、内部の一側から外部に向かって誘導路11が穿設された一対の胴体10と、前記誘導路11を開閉する排出開閉装置20が一端に設けられ、前記一対の胴体10同士の隙間を閉塞すると共に、調理物が入れられる焼き網30と、を備えている。
【0021】
前記誘導路11は、前記胴体10の側面に設けられた第1の誘導路12と、底面に設けられた第2の誘導路13と、を備える。前記第2の誘導路13の断面積は、前記第1の誘導路12の断面積よりも小さく形成されて、前記排出開閉装置20が第2の誘導路13に流れ込むことを防ぐと共に、前記胴体10の内部の匂いやガスを容易に排出させる。
【0022】
このとき、前記第2の誘導路13は、前記第1の誘導路12と連通する一端aから他端bに進むにつれて、その断面積が次第に大きくなる。また、この第2の誘導路13は、前記第1の誘導路12に流れ込んだ匂いやガスが、拡開された誘導路に沿って自然に排出されながら完全燃焼がなされるように構成されている。これは、膨張された内部のガスに狭い通路による圧力が発生することを防ぐためである。
【0023】
なお、以上において、第2の誘導路は、胴体10を成形するときに一体成形するか、あるいは、後加工による通孔を容易に形成するために、誘導路と向かい合う側に突設される受け突部15が部分的に省略されており、第1の誘導路は、胴体10を成形後に後加工により穿設して排出開閉装置をなしている。
【0024】
前記第1の誘導路12には、前記排出開閉装置20が設けられる。前記排出開閉装置20は、前記第1の誘導路12の一端に設けられるカバー21と、前記第1の誘導路12の内部に遊動可能に設けられた開閉ボール22と、を備えている。また、カバー21の上部には、溝部23が形成されており、カバー21を脱着する際に、溝部23にコインや爪等をはさむことで、容易にカバー21の脱着ができる。
【0025】
前記カバー21は、無頭ボルトのような形状を有しており、その内部に通孔が形成され、外部にはネジ山が形成されて、第1の誘導路に螺合される。前記開閉ボール22は、前記一対よりなる胴体10の位置に応じて前記カバー21の通孔を開閉して、匂いやガスが上方に向かって排出されることを防ぐ。
【0026】
換言すると、前記一対の胴体10のうち上側に位置する胴体10の排出開閉装置20は、開閉ボール22が下側に移動しているため、前記カバー21の通孔を閉塞して匂いやガスが排出されることを防ぐのに対し、前記一対の胴体10のうち下側に位置する胴体10は、開閉ボール22が第1の誘導路12の下側に位置しているため、カバー21の通孔が開放されて内部の匂いやガスが排出されるのである。
【0027】
また、上記の開閉ボール22は、必要に応じて、その外周面にシリコンまたはゴム材などの被覆材(図示せず)を被覆して、前記カバー21の通孔をなお一層強く密閉してもよい。
【0028】
なお、前記胴体10の周縁に沿って嵌合溝14が刻設され、前記嵌合溝14に前記焼き網30の縁が嵌合される。
【0029】
このとき、前記焼き網30の縁の外側には、シール部材31が形成され、前記シール部材31としては、耐熱性に優れたシリコンを塗布して用いることが好ましい。このようなシール部材31を設けることで、上下フライパン胴体内部の機密性を維持でき、調理物の匂いやガス等を、排出開閉装置20を通じてフライパン胴体の下側に容易に排出することができる。また、前記焼き網30は、胴体10と同じ形状及びサイズに製作される。
【0030】
また、ユーザーの便宜に応じて前記焼き網30を嵌め込むことなく使用するときには、別途のシール部材を設け、前記嵌合溝に嵌め込んで使用することにより、胴体の内部の気密性を維持することができる。胴体の内部の匂いやガスなどが前記誘導路に沿ってガス抜き口から排出されながら、下部のガス炎により再燃焼が行われる過程を経るのである。
【0031】
さらに、前記胴体10の底面の外側に帯状の受け突部15が多数突設され、前記胴体10ががたつかないように支え、水平にバランスを取る働きを果たす。さらに、前記誘導路(ガス抜き口)11を介して排出された匂いやガスを滞留させて、これらの匂いやガスを完全燃焼させる働きをもする。
【0032】
なお、本発明においては、胴体の外形が略8角形を呈しているが、図示しない円形及び楕円形または四角形をはじめとする略多角形を呈していてもよい。
【0033】
以上説明したように、本実施形態によれば、調理に際して、排出開閉装置及び焼き網の縁に形成されたシリコンによりフライパン本体内部の機密性を維持でき、調理物の匂いやガスなどをフライパンの下方に向かって排出させ、前記匂いやガスなどを炎により燃焼させることにより調理物の匂いを抜群に除去可能である。
【0034】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態に係る消臭用のフライパンを示す図である。
【図2】同実施形態に係る消臭用のフライパンの側断面図である。
【図3】同実施形態に係る消臭用のフライパンの分解断面図である。
【図4】同実施形態に係る消臭用のフライパンにおける誘導路及び排出開閉装置を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
10 胴体
11 誘導路
12 第1の誘導路
13 第2の誘導路
14 嵌合溝
15 受け突部
20 排出開閉装置
21 カバー
22 開閉ボール
23 溝部
30 焼き網
31 シール部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部の一側から外部に向かって誘導路が穿設された一対の胴体と、
前記誘導路をそれぞれ開閉する排出開閉装置と、
それぞれの前記胴体の周縁に沿って縁が嵌合され、調理物を収容可能な焼き網と、
を備えることを特徴とする、消臭用のフライパン。
【請求項2】
前記胴体における誘導路は、
前記胴体の側面に沿って穿設された第1の誘導路と、
前記第1の誘導路の断面積よりも小さな断面積を有すると共に、前記胴体の扁平面に沿って設けられた第2の誘導路と、
を備え、
前記第2の誘導路は、前記第1の誘導路と連通する一端から外部と連通する他端に進むにつれて、断面積が大きくなる
ことを特徴とする、請求項1に記載の消臭用のフライパン。
【請求項3】
前記排出開閉装置は、
前記胴体の側面に沿って穿設された前記誘導路の一端に設けられ、内部に通孔が形成されたカバーと、
前記胴体の側面に沿って穿設された前記誘導路の内部に遊動自在に設けられ、前記胴体の使用位置に応じて前記カバーの通孔を開閉可能な開閉ボールと、
を備えることを特徴とする、請求項1に記載の消臭用のフライパン。
【請求項4】
前記焼き網は、縁にシリコンが形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の消臭用のフライパン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−313317(P2007−313317A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−134642(P2007−134642)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【出願人】(507165888)
【Fターム(参考)】