説明

消色性トナーの印刷方法

【課題】印字面積や濃度の違いにかかわりなく消色後における見た目の消色性を向上させる消色性トナーの印刷方法を提供する。
【解決手段】電子写真方式により消色性トナーの画像を記録紙に印刷する画像形成装置において、低い濃度の消色性トナーRbと、この低い濃度の消色性トナーRbよりも高い濃度(通常の濃度)の消色性トナーRaの2種類の消色性トナーを用いる。記録紙22に印刷する画像に対し、画像の面積が大きく且つ濃度の高い部分53を低い濃度の消色性トナーRbにて印刷し、その他の部分51を高い濃度の消色性トナーRaにて印刷する。印刷後は違和感なく全体を見分けられ、消色後は全体が均等に消色されたように見える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消色性トナーの印刷方法に係わり、更に詳しくは見た目の消色性を向上させる消色性トナーの印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、地球環境保護の一環として紙資源の節減が叫ばれている。そこで、紙資源の再利用を目的として、トナーにより画像形成された記録紙の画像を除去または消色して、再度、画像形成を行う方法が種々考えられている。
【0003】
このような画像を除去して消すには、画像が形成されている用紙面にトナーを除去する処理液を塗布し、加熱して画像を除去する方法や、用紙の画像形成面を研摩してトナー画像を削り落とす方法などがある。しかし、これらの方法は、手数がかかると共に、再利用する用紙に損傷が発生し易いため問題がある。
【0004】
他の方法としては、画像を形成するに際し、予め消色性のトナーにより記録紙に画像を印刷(以下、印字ともいう)し、この画像を加熱と光照射によって消色する方法が知られている。
【0005】
この例として、消色性トナーを用いて現像、転写、定着を行って記録紙への印字を行う機能と、記録紙に印字された消色性トナーの文字や画像に消色用の光を照射して消色を行う機能とを備えた画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0006】
ところで通常、印刷物は印刷領域に対して必ずしも均一の画像を印字する訳ではない。例えば文字ならば大きいフォントや小さいフォント、太いフォントや細いフォントが混在するのが一般的である。また、画像や写真の場合にも部分的に濃淡がある。
【0007】
一般に、記録紙に印字された印字面積が大きい部分や濃度が高い部分は視認性は良好であるが、他方では見た目の消色性が悪いという問題を持っている。
【0008】
図8(a) は従来の消色性トナーにより印字した例を示す図であり、同図(b) は、その印字された文字と画像を消色した例を示す図である。尚、同図(b) には消色された部分を分かりやすく破線で示している。
【0009】
図8(a) に示すように、記録紙1には、中央部に比較的小型のフォントのABC・・・Eの文字列2が印字されている。その上下には、文字列2よりもやや大きめの(中型の)フォントのABC・・・Eの文字列3が印字されている。更にこれらの上下に、比較的大型のフォントのABC・・・Eの文字列4が印字され、それらの上下に濃色の画像5が印字されている。
【0010】
図8(a) の記録紙1の印字面を図8(b) のように消色すると、実際の見た目には小型フォントの文字列2や中型フォントの文字列3が良く消色されていると見えるのに、大型フォントの文字列4や濃色画像5の部分は、文字列2や文字列3の消色部と比較の上で、見た目に消色が不十分であるように見える。
【0011】
これは、消色そのものは機械的には均等に行われているにもかかわらず、人の目には、面積の広いものは目立ち、面積の小さいものは目立たないという特性があるために起きる現象であると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平08−152823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記の印字面積が大きい部分や濃度が高い部分が他の部分に比べて見た目に消色性が悪く見えるという問題は、特許文献1に示される従来技術の方法で消色性トナーによる印字を行って消色した場合でも、避けることは出来ない。
【0014】
この問題を解決する方法としては消色の設定条件を強化することが容易に考え付く。しかし消色の設定条件を強化して消色のための熱や光を増加させると、濃度の薄い部分や用紙の白紙部分などで、消色のエネルギーが過剰となり黄変を引き起こして用紙の品質を低下させてしまうという問題が起こる。
【0015】
また、このような消色の設定条件の強化は、消色に過大なエネルギーを要するから、本来この種の装置の目的であるはずの省エネや経済性に反するといった問題も生じる。
【0016】
上記の課題を解決するために、本発明は、消色後において印字面積や濃度の違いにかかわりなく記録紙の消色面が均一に消色されているように見える、見た目の消色性を向上させる消色性トナーの印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の消色性トナーの印刷方法は、電子写真方式により消色性トナーの画像を記録紙に印刷する画像形成装置における消色性トナーの印刷方法において、低い濃度の消色性トナーと、該低い濃度の消色性トナーよりも高い濃度の消色性トナーの2種類の消色性トナーを用い、上記記録紙に印刷する上記画像に対し、該画像の面積が大きく且つ濃度の高い部分を上記低い濃度の消色性トナーにて印刷し、その他の部分を上記高い濃度の消色性トナーにて印刷する、ように構成される。
【0018】
また、本発明の消色性トナーの印刷方法は、電子写真方式により消色性トナーの画像を記録紙に印刷する画像形成装置における消色性トナーの印刷方法において、濃淡複数の消色性トナーを用い、上記記録紙に印刷する上記画像に対し、該画像の面積が大きく且つ濃度が高い部分から面積が小さく且つ濃度が低い部分まで、濃度の低い消色性トナーから濃度がより高い消色性トナーに順次切り替えて印刷する、ように構成される。
【0019】
また、本発明の消色性トナーの印刷方法は、電子写真方式により消色性トナーの画像を記録紙に印刷する画像形成装置における消色性トナーの印刷方法において、一種類の消色性トナーを用い、上記記録紙に印刷する上記画像に対し、該画像の面積が大きく且つ濃度の高い部分を網目状のハーフトーンに変換して印刷し、その他の部分を印刷情報通りに印刷する、ように構成される。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、印字面積や濃度の違いにかかわりなく消色後における見た目の消色性を向上させる消色性トナーの印刷方法を提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施例2に係る消色機能付画像形成装置の内部構成を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の実施例2に係る消色機能付画像形成装置の制御装置を含む回路ブロック図である。
【図3】例として図8(a) に示した小型フォント文字列、中型フォント文字列、大型フォント文字列、及び濃色画像が混在する印字データを印字するときの消色性トナーによる印刷方法を説明する図である。
【図4】本発明の実施例3に係る消色性トナーによる濃中淡3種類の濃度で印字する印刷方法を説明する図である。
【図5】実施例3の変形例に係る消色機能付画像形成装置の内部構成を模式的に示す断面図である。
【図6】実施例4に係る消色機能付画像形成装置の内部構成を模式的に示す断面図である。
【図7】図3に示したと同様の印字データを図6の消色機能付画像形成装置の消色性トナーで印刷した例を示す図である。
【図8】(a) は従来の消色性トナーにより印字した例を示す図、(b) はその印字された文字と画像を消色した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【実施例1】
【0023】
<消色性トナーの製法>
先ず、本発明において用いられる消色性トナーの製法について、実施例1として説明する。最初に、817nmに感度を持つ赤外線感光色素「IRT」(昭和電工製)を1.5質量部、有機ホウ素化合物消色剤「P3B」(昭和電工製)を4質量部、トナー用ポリエステル結着樹脂(花王製)を90.5質量部、負電荷調整剤「LR−147」(日本カーリット製)を1.5質量部、カルナバWAX1号粉末(加藤洋行社輸入品)を2.5質量部をヘンシェルミキサー(三井鉱山製)に投入し、混合する。
【0024】
続いて上記の混合物を、二軸混練機で溶融混練する。これで得られた混練物をロートプレックス(ホソカワミクロン製)で粗砕して粗砕物を得る。得られた粗砕物を衝突式粉砕機にて、平均粒径が9μmになるように粉砕する。
【0025】
この粉砕により得られた粉砕物100質量部に、外添剤としてシリカ「R972」(日本アエロジル製)を1質量部添加し、ヘンシェルミキサーで混合して消色性トナーを得ることができる。この消色性トナーは、ガラス転移点は50.3℃で、軟化点は106℃であるように製作されている。
【実施例2】
【0026】
<装置本体の構成と画像形成>
図1は本発明の実施例2に係る消色機能付画像形成装置の内部構成を模式的に示す断面図である。図1に示すように、消色機能付画像形成装置10は、本体装置筐体11の内部中央において、水平方向に延在する無端状の転写ベルト12を備えている。
【0027】
転写ベルト12は、不図示の張設機構によって張設されながら、駆動ローラ13と従動ローラ14に掛け渡され、駆動ローラ13により駆動されて、図の矢印aで示す反時計回り方向に循環移動する。
【0028】
転写ベルト12の上循環移動面に接して二つの画像形成ユニット15(15a、15b)の感光体ドラム16(16a、16b)が配設されている。感光体ドラム16には、その周面を取り巻くように近接して、図示を省略したクリーナ、初期化帯電器、光書込ヘッド、現像ローラ等が配置されている。
【0029】
上記の現像ローラは、トナー容器17(17a、17b)の側部開口部に配置されている。トナー容器17の中には消色性トナーR(Ra、Rb)が収容されている。消色性トナーRaは実施例1で述べた消色性トナーであり、消色性トナーRbは赤外線感光色素「IRT」の混合量をやや減量して、発色濃度を若干薄くしたものである。
【0030】
上記の現像ローラは、トナー容器17に収容されている消色性トナーRの薄層を表面に担持して、光書込ヘッドによって感光体ドラム16の周面上に形成されている静電潜像に消色性トナーRの画像を現像する。
【0031】
感光体ドラム16の下部には、転写ベルト12を介して一次転写ローラ18(18a、18b)が圧接して、ここに一次転写部を形成している。一次転写ローラ18には、不図示のバイアス電源からバイアス電圧を供給される。
【0032】
一次転写ローラ18は一次転写部において、バイアス電源から供給されるバイアス電圧を転写ベルト12に印加して、感光体ドラム16の周面上に現像されている消色性トナーRの画像を転写ベルト12に転写する。
【0033】
転写ベルト12の図に示す右端部が掛け渡されている従動ローラ14には、転写ベルト12を介して二次転写ローラ19が圧接して、二次転写部を形成している。二次転写ローラ19には、不図示のバイアス電源からバイアス電圧が供給される。
【0034】
二次転写ローラ19は二次転写部において、バイアス電源から供給されるバイアス電圧を転写ベルト12に印加し、転写ベルト12に一次転写されている消色性トナーRの画像を、画像形成搬送路21に沿って図の下方から搬送されてくる記録媒体22に転写する。
【0035】
上記の記録媒体22は、給紙カセット等から成る記録媒体収容部23に積載されて収容され、不図示の給紙ローラ等により最上部の一枚ごとに取り出され、給紙搬送路24に送出され、更に画像形成搬送路21を搬送されて、上記の二次転写部を通過しながら消色性トナーRの画像を転写される。
【0036】
消色性トナーRの画像を転写されながら二次転写部を通過した記録媒体22は、定着搬送路25に沿って定着部26へと搬送される。定着部26の加熱ローラ27と押圧ローラ28は、記録媒体22を挟持し、熱と圧力を加えながら搬送する。
【0037】
これにより、記録媒体22は、二次転写されている消色性トナーRの画像を紙面に定着され、加熱ローラ27と押圧ローラ28により更に搬送されて、本体装置筐体11の上面に形成されている排紙トレー29に排紙される。
【0038】
<装置本体の構成と消色機構>
ところで、上記の記録媒体収容部23から二次転写部までの間、つまり給紙搬送路24と画像形成搬送路21との間には、消色性トナーRによる画像を形成された記録媒体22の画像を消色するための消色部31が配置されている。
【0039】
消色部31は、消色すべき消色性トナーRの画像を画像形成面の裏面から加熱するための消色用ヒータローラ32と、この加熱された消色性トナーRの画像を効率よく消色するための消色用LEDヘッド33から成る。
【0040】
前述したように、本例において用いられる消色性トナー(R)は、そのガラス転移点は50.3℃で、軟化点は106℃であるように製作されている。
【0041】
そして、図1に示した消色部31の消色用ヒータローラ32には、ハロゲンランプが内蔵されている。ハロゲンランプの波長分布は広がりが広く、近赤外線の波長分布を広く含んでいるので、熱輻射の熱源として適している。
【0042】
本例では、このハロゲンランプの熱輻射の温度を可変できるようにし、消色対象となる紙面への加熱温度を、50℃〜100℃の範囲に設定できるようにしている。この温度範囲は、消色用加熱温度を消色性トナーのガラス転移点以上で軟化点以下となる範囲に設定可能な範囲である。
【0043】
また、本例における消色用LEDヘッド33は、LEDアレイで構成されている。LEDは非常に狭い波長分布を有しているので、LEDの選択のしようによっては、消色に不必要な波長の光の生成が非常に少ない、つまり消色効率の良い波長分布の光を照射するLEDを選び出すことができる。
【0044】
<制御装置>
図2は、上記の消色機能付画像形成装置10の制御装置を含む回路ブロック図である。図2に示すように回路ブロックは、CPU(central processing unit)35を中心にして、このCPU35に、それぞれデータバスを介してインターフェイスコントローラ(I/F_CONT)36及びプリンタコントローラ(PR_CONT)37が接続されている。このPR_CONT37にはプリンタ印字部38が接続されている。
【0045】
また、CPU35には、ROM(read only memory)39、EEPROM(electrically erasable programmable ROM)41、本体操作部の操作パネル42、及び各部に配置されたセンサからの出力が入力されるセンサ部43が接続されている。ROM39には、システムプログラムが記憶され、CPU35は、このシステムプログラムに従って各部を制御して処理を行う。
【0046】
すなわち、各部において、先ず、I/F_CONT36は、例えばパーソナルコンピュータ等のホスト機器から供給される印字データをビットマップデータに変換し、フレームメモリ44に展開する。フレームメモリ44には、消色性トナー(R)に対応する記憶エリアが設定されており、この記憶エリアに消色性トナー画像のデータが展開される。
【0047】
フレームメモリ44に展開されたデータはPR_CONT37に出力され、PR_CONT37からプリンタ印字部38に出力される。
【0048】
プリンタ印字部38は、エンジン部であり、PR_CONT37からの制御の下で、図1に示した感光体ドラム16、一次転写ローラ18等を含む回転駆動系、図1には図示を省略した初期化帯電器、光書込ヘッド等の被駆動部を有する画像形成ユニット15の印加電圧などのプロセス負荷への駆動出力を制御する。
【0049】
更にプリンタ印字部38は、転写ベルト12の不図示のベルト位置制御機構の上下移動の駆動制御などを行うベルト駆動部45、転写ベルト12及び各搬送路の不図示の搬送ベルトの制御を行う搬送ベルト駆動部46、消色部31の制御を行う消色駆動部47への駆動出力を制御する。
【0050】
そして、PR_CONT37から出力された消色性トナー(R)の画像データは、プリンタ印字部38から図1に示した画像形成ユニット15の図示を省略した光書込ヘッドに供給される。
【0051】
<消色性トナーの印刷方法>
図3は、例として、図8(a) に示した小型フォント文字列2、中型フォント文字列3、大型フォント文字列4、及び濃色画像5が混在する印字データを印字するときの消色性トナーR(Ra、Rb)による印刷方法を説明する図である。
【0052】
本例において図2の制御装置は、上述した画像形成時の制御において、ホスト機器から供給される印字データをビットマップデータに変換してフレームメモリ44に展開するに際し、先ず、文字フォントの大きさや単位画像の大きさを判別する。
【0053】
すなわち、個々の印字部分が小型フォント文字列2や中型フォント文字列3の文字のように比較的小さい場合は、これら個々の文字を小印字部分として分別し、小型フォント文字列2や中型フォント文字列3から成る紙面を小印字部分の集合体としての小印字領域51と設定する。
【0054】
また、大型フォント文字列4や濃色画像5のように、個々の印字部分が比較的大きい場合は、これら個々の印字部分を大印字部分として分別し、大型フォント文字列4や濃色画像5から成る紙面を大印字部分の集合体としての大印字領域53と設定する。
【0055】
そして、小印字領域51に対しては、通常濃度の消色性トナーRaで印字し、大印字領域53に対しては、発色濃度を若干薄くした消色性トナーRbで印字し、定着部26で定着して排紙トレー29に排紙する。
【0056】
定着された紙面は特には図示しないが、印字濃度が濃くて明瞭に見える小印字領域51に比較して、大印字領域53はやや薄い濃度で印字されているものの、大印字領域53は個々の印字部分が広いので、濃度が薄くても明瞭に見え、小印字領域51と並べてみても遜色なく、紙面全体が違和感のないほぼ均等な濃度の印字に見える。
【0057】
この印刷物を記録媒体収容部22に戻し、給紙搬送路24に送り出して、消色部31で消色してみると、特には図示しないが、小印字領域51は個々の印字部分が小さいので良く消色されている。大印字領域53は印字濃度が薄かったので、これも良く消色されていて、紙面全体がむらなく消色されているように見える。
【実施例3】
【0058】
上記の実施例1では印字領域を2種類に分別して濃淡2種類の濃度で印字したが、濃度は濃淡2種類に限るものではない。濃中淡3種類の濃度で印字するようにしてもよい。
【0059】
図4は、実施例3に係る消色性トナーによる濃中淡3種類の濃度で印字する印刷方法を説明する図である。尚、実施例3においても消色性トナーの製法、装置本体の構成、画像形成に基本動作、消色機構、及び制御装置の構成は実施例1及び2の場合と同一である。
【0060】
図4には、例として図3に示したものと同様の印字データを消色性トナーR(Ra、Rb)によって濃中淡3種類の濃度で印字する場合を示している。
【0061】
本例においても、図2の制御装置は、印字データをビットマップデータに変換してフレームメモリ44に展開するに際し、先ず、文字フォントの大きさや単位画像の大きさを判別する
【0062】
すなわち、個々の印字部分が小型フォント文字列2の文字のように比較的小さい場合は、これら個々の文字を小印字部分として分別し、小型フォント文字列2から成る紙面を小印字部分の集合体としての小印字領域51と設定する。
【0063】
そして、中型フォント文字列3のように、個々の印字部分が小型フォント文字列2の文字よりやや大きい場合は、これら個々の文字を中印字部分として分別し、中型フォント文字列3から成る紙面を中印字部分の集合体としての中印字領域52と設定する。
【0064】
更に、大型フォント文字列4や濃色画像5のように、個々の印字部分が比較的大きい場合は、これら個々の印字部分を大印字部分として分別し、大型フォント文字列4や濃色画像5から成る紙面を大印字部分の集合体としての大印字領域53と設定する。
【0065】
そして、小印字領域51には、通常濃度の消色性トナーRaで印字し、中印字領域52には消色性トナーRaで領域全体の1/2の画素数で分散して印字し、残りの1/2の領域を、濃度の薄い消色性トナーRbで印字し、大印字領域53には、濃度の薄い消色性トナーRbのみで印字して、定着部26で定着し排紙トレー29に排紙する。
【0066】
定着された紙面は特には図示しないが、印字濃度が濃くて明瞭に見える小印字領域51に比較して、中印字領域52はやや薄く、大印字領域53は更に薄い濃度で印字されているが、それぞれ小印字領域51に比較して個々の印字部分が順次広くなっているので、紙面全体が違和感なくほぼ均等な感じで読み取ることができる。
【0067】
この印刷物を記録媒体収容部22に戻し、給紙搬送路24に送り出して、消色部31で消色してみると、特には図示しないが、この場合も良く消色されていて紙面全体がむらなく消色されているように見える。
【0068】
<実施例3の変形例>
図5は、実施例3の変形例に係る消色機能付画像形成装置の内部構成を模式的に示す断面図である。本例の消色機能付画像形成装置50は、実施例2、3の図1に示した消色機能付画像形成装置10よりも、画像形成ユニット15が1個多く配設されている。
【0069】
すなわち、図1の場合と同様の濃い濃度の消色性トナーRaを収容した画像形成ユニット15aと薄い濃度の消色性トナーRbを収容した画像形成ユニット15bとの間に、中濃度の消色性トナーRabを収容して画像形成ユニット15abが配設されている。尚、その他の構成部分は図1の場合と同様であるので、符号の図示と説明は省略する。
【0070】
図5において、画像形成ユニット15abの中濃度の消色性トナーRabは、例えば、消色性トナーRaと消色性トナーRbを半々に混合した消色性トナーである。図4に示した画像データの小印字領域51を画像形成ユニット15aで、中印字領域52を画像形成ユニット15abで、大印字領域53を画像形成ユニット15bでそれぞれ印字する。このように構成しても実施例3と同様の効果が得られる。
【実施例4】
【0071】
図6は、実施例4に係る消色機能付画像形成装置の内部構成を模式的に示す断面図である。本例の消色機能付画像形成装置55は、画像形成ユニットとして、通常濃度の消色性トナーRaを収容して画像形成ユニット15aが1個のみ配設されている。尚、その他の構成部分は図1の場合と同様であるので、符号の図示と説明は省略する。
【0072】
図7は、図3に示したと同様の印字でータを、図6の消色機能付画像形成装置55の消色性トナーRaで印刷した例を示す図である。図7に示すように、小印字領域51は、消色性トナーRaで通常に印字されている。そして、大印字領域53の個々の印字部分は網目状の印字態様で塗りつぶして印字されている。
【0073】
このように大印字領域53を網目状の塗りつぶし印字で薄くしても、個々の印字領域が広い(大きい)ので見た目には小印字領域51と同様に明瞭に見える。そして、消色部31で消色したときは、網目状の塗りつぶしはトナー量が少ないので良く消色され、この場合も全体として良く消色されていて紙面全体がむらなく消色されているように見える。
【0074】
尚、網目の大小を印字領域の大小に合わせて調整するようにすれば、濃中淡3種類の印字領域にも対応でき、更により細かく対応することも可能であることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、見た目の消色性を向上させる消色性トナーの印刷方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0076】
1 記録紙
2 小型フォント文字列
3 中型フォント文字列
4 大型フォント文字列
5 濃色画像
10 消色機能付画像形成装置
11 本体装置筐体
12 転写ベルト
13 駆動ローラ
14 従動ローラ
15(15a、15ab、15b) 画像形成ユニット
16(16a、16b) 感光体ドラム
17(17a、17b) トナー容器
R(Ra、Rb) 消色性トナー
18(18a、18b) 一次転写ローラ
19 二次転写ローラ
21 画像形成搬送路
22 記録媒体
23 記録媒体収容部
24 給紙搬送路
25 定着搬送路
26 定着部
27 加熱ローラ
28 押圧ローラ
29 排紙トレー
31 消色部
32 消色用ヒータローラ
33 消色用LEDヘッド
35 CPU(central processing unit)
36 インターフェイスコントローラ(I/F_CONT)
37 プリンタコントローラ(PR_CONT)
38 プリンタ印字部
39 ROM(read only memory)
41 EEPROM(electrically erasable programmable ROM)
42 操作パネル
43 センサ部
44 フレームメモリ
45 ベルト駆動部
46 搬送ベルト駆動部
47 消色駆動部
50 消色機能付画像形成装置
51 小印字領域
52 中印字領域
53 大印字領域
55 消色機能付画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真方式により消色性トナーの画像を記録紙に印刷する画像形成装置における消色性トナーの印刷方法において、
低い濃度の消色性トナーと、該低い濃度の消色性トナーよりも高い濃度の消色性トナーの2種類の消色性トナーを用い、
前記記録紙に印刷する前記画像に対し、該画像の面積が大きく且つ濃度の高い部分を前記低い濃度の消色性トナーにて印刷し、その他の部分を前記高い濃度の消色性トナーにて印刷する、
ことを特徴とする消色性トナーの印刷方法。
【請求項2】
電子写真方式により消色性トナーの画像を記録紙に印刷する画像形成装置における消色性トナーの印刷方法において、
濃淡複数の消色性トナーを用い、
前記記録紙に印刷する前記画像に対し、該画像の面積が大きく且つ濃度が高い部分から面積が小さく且つ濃度が低い部分まで、濃度の低い消色性トナーから濃度がより高い消色性トナーに順次切り替えて印刷する、
ことを特徴とする消色性トナーの印刷方法。
【請求項3】
電子写真方式により消色性トナーの画像を記録紙に印刷する画像形成装置における消色性トナーの印刷方法において、
一種類の消色性トナーを用い、
前記記録紙に印刷する前記画像に対し、該画像の面積が大きく且つ濃度の高い部分を網目状のハーフトーンに変換して印刷し、その他の部分を印刷情報通りに印刷する、
ことを特徴とする消色性トナーの印刷方法。

【図2】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−107490(P2011−107490A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263593(P2009−263593)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】