説明

消蒸装置

【課題】 電気的な制御の必要のない、簡素な構成の消蒸装置を提供することを目的としている。
【解決手段】 水を貯留する消蒸槽3と、排蒸ライン6と、前記消蒸槽3への給水ライン7と、前記消蒸槽3内の水中に配設される感温弁8とを備え、前記感温弁8は、前記給水ライン7が接続される水入口13および水出口14を形成した弁本体12と、前記排蒸ライン6からの蒸気により加熱されるように前記弁本体12内に収容され、常時は前記給水ライン7からの水の流入を遮断し、前記排蒸ラインからの排蒸時、前記給水ライン7からの水の流入を許容するように開閉する感温弁体15とを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、蒸気を使用する装置から排出される蒸気を消す消蒸装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、真空解凍装置などの食品機械においては、リボイラにより生成される清浄蒸気を使用する。このリボイラからは通常蒸気である一次蒸気を用いて二次蒸気である清浄蒸気を加熱するが、一次蒸気から使用済みの蒸気が排蒸ラインを通して排出される(特許文献1参照)。
【0003】
この排蒸を屋内で行う場合において、湯気を嫌う環境下では、消蒸装置を用いて消蒸(湯気がでないようにする処理)を行う。この従来の消蒸装置として、水を貯留した消蒸槽と、この消蒸槽内の水中に蒸気を吹き込むように接続される排蒸ラインと、前記水の温度を検出する温度センサと、前記消蒸槽に接続され、前記温度センサが設定温度以上を検出すると開く、電磁弁を有する給水ラインとから構成されるものが知られている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−249286号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この従来技術は、電気的な制御を必要とするために、装置構成が複雑となり、高コストとなる課題があった。
この発明は、電気的な制御の必要のない、簡素な構成の消蒸装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、前記の課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、水を貯留する消蒸槽と、排蒸ラインと、前記消蒸槽への給水ラインと、前記消蒸槽内の水中に配設される感温弁とを備え、前記感温弁は、前記給水ラインが接続される水入口および水出口を形成した弁本体と、前記排蒸ラインからの蒸気により加熱されるように前記弁本体内に収容され、常時は前記給水ラインからの水の流入を遮断し、前記排蒸ラインからの排蒸時、前記給水ラインからの水の流入を許容するように開閉する感温弁体とを含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、機械的な温調弁を用いているので、装置構成を簡素化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
つぎに、この発明の実施の形態について説明する。この実施の形態は、蒸気滅菌器や食品機械に用いられるリボイラなどから排出される蒸気の湯気を消す消蒸装置に適用される。
【0009】
まず、実施の形態の概要について説明する。この実施の形態は、水を貯留する消蒸槽と、排蒸ラインと、前記消蒸槽への給水ラインと、前記消蒸槽内の水中に配設される感温弁とを備え、前記感温弁は、前記給水ラインが接続される水入口および水出口を形成した弁本体と、前記排蒸ラインからの蒸気により加熱されるように前記弁本体内に収容され、常時は前記給水ラインからの水の流入を遮断し、前記排蒸ラインからの排蒸時、前記給水ラインからの水の流入を許容するように開閉する感温弁体とを含む消蒸装置である。
【0010】
この実施の形態において、前記排蒸ラインの蒸気が、前記消蒸槽内の水により液化されて、消蒸作用がなされる。同時に前記弁本体内へ流入した蒸気は、前記感温弁体を加熱してこれを開状態とする。その結果、前記給水ラインより、水が前記弁本体内へ流入し、前記蒸気の流入による前記消蒸槽内の水の温度上昇が防止される。
【0011】
つぎに、この実施の形態の構成要素について説明する。まず、前記消蒸槽は、前記感温弁を水没可能な所定量の水を溜めることができればよく、上面を開口するか,または上面を閉じた形態のものとすることができる。この消蒸槽は、室,部屋、容器,領域または空間と称することもできる。
【0012】
前記排蒸ラインは、蒸気使用機器から蒸気を排出するための管路であり、たとえば、蒸気滅菌器や真空蒸気解凍装置に用いるリボイラの一次側熱交換器の出口に接続される。この排蒸ラインの先端は、前記消蒸槽内の水中に開口され、出てきた蒸気は水中に吹き込まれることで、消蒸作用がなされる。
【0013】
前記給水ラインは、前記消蒸槽内の水の温度の上昇を防止するために前記消蒸槽内へ水を補給するための管路である。
【0014】
前記感温弁は、前記消蒸槽内の水中に配設され、前記排蒸ラインから蒸気が排出されていることを検知して前記給水ラインからの水の流入を許容し前記水出口から水を前記消蒸槽内へ供給する機能を有する。この感温弁は、具体的には、給水ラインが接続される水入口および水出口を形成した弁本体と、この弁本体内に収容され常時は前記給水ラインからの水の流入を遮断し前記排蒸ラインからの蒸気により前記給水ラインからの水の流入を許容するように開閉する感温弁体とを含んで構成することができる。
【0015】
そして、前記排蒸ラインからの蒸気により前記感温弁体を加熱する構成としては、好ましくは、前記水出口にこれと水流出間隙を存して前記排蒸ラインの開放端部を挿入するように構成することができる。しかしながら、これに限定されるものではなく、前記水出口とは別の開口を設けて、この開口に前記排蒸ラインを接続して前記排蒸ラインからの蒸気により前記感温弁体を加熱するように構成することができる。
【0016】
いずれの場合も、排蒸ラインからの蒸気の全部または一部が前記弁本体内で消蒸され、消蒸により生成された水,すなわち蒸気の凝縮水は、前記給水ラインからの給水とともに前記水出口から流出する。前記水出口に前記排蒸ラインの開放端部を挿入する前者の場合、前記弁本体内で蒸気が水と混合し、生成された凝縮水は前記水流出間隙を通して前記弁本体から流出する。
【0017】
この実施の形態において、必要に応じて、前記感温弁の上方に邪魔板を設けるなどして、蒸気と水との混合を促進し、消蒸を確実に行うための混合促進手段を設けることができる。
【0018】
前記排蒸ラインの先端と前記感温弁体の感温部とは、その距離を短くすることにより排蒸開始から開放までの時間を短くすることができ、その距離を長くすることにより、前記時間を長くすることができる。
【0019】
前記排蒸ラインは、前記感温弁体を加熱するために前記感温弁に接続される第一ラインと、この第一ラインと別に消蒸のために前記消蒸槽内の水中に開口する第二ラインとに分岐するように構成することができる。
【0020】
前記感温弁体は、前記水入口に設けた弁座に形成される水流通孔を開閉する可動弁体と、この可動弁体と一体的に設け内部に収縮材を封入した感温部と、一端が前記感温部に連結され、他端が前記弁座のピン挿通孔に挿通されて前記収縮材の膨張収縮により出没する可動ピン(桿体)と、前記ピン挿通孔において前記可動ピンの端部に当接するように前記弁座に固定される固定ピンと、前記可動弁が前記水流通孔を閉じるように常時付勢するバネ体とから構成することができる。
【実施例】
【0021】
以下、この発明を解凍装置に適用した具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、実施例の概略構成の説明図であり、図2は、同実施例の要部の拡大、一部断面の説明図である。なお、図2において、実線矢視は、水の流れを、破線矢視は、蒸気の流れを示している。
【0022】
この実施例の消蒸装置1は、消蒸のための水2を貯留する消蒸槽3と、蒸気解凍装置4のリボイラ5からの一次蒸気を排出する排蒸ライン6と、前記消蒸槽3内の水2の温度の上昇を防止するために前記消蒸槽3内へ水を補給するための給水ライン7と、この消蒸槽3内の水2中に配設される感温弁8とを主要部として備える。
【0023】
つぎに、この実施例の各構成要素について説明する。まず、前記消蒸槽2は、前記感温弁8を水没可能に所定量の水を溜める槽であって、上面を開口している。そして、所定量以上の水が溜まるとオーバーフローするオーバーフローライン9を備えている。
【0024】
前記排蒸ライン6は、前記蒸気解凍装置4に用いるリボイラの一次側熱交換器10の出口と接続している。
【0025】
前記感温弁8は、図2に示すように、内部に弁室11を形成する弁本体12と、この弁本体12に形成され前記給水ライン7が連結される水入口13と、前記弁本体12の前記弁室11を挟んで水入口13と反対側に形成される水出口14と、前記弁室11内に収容され常時は前記給水ライン7からの水の流入を遮断し前記排蒸ライン6から流出する蒸気により前記給水ライン7からの水の流入を許容するように開閉動作を行う感温弁体15とから構成している。
【0026】
そして、前記排蒸ライン6は、前記水出口14にこれと水流出間隙16を存してその開放端部17を挿入するように構成している。
【0027】
また、前記感温弁体15は、前記水入口13に装着した円柱状の弁座18と、この弁座18に水の流れ方向へ形成される複数の水流通孔19,19を開閉する可動弁体20と、この可動弁体20と一体的に設け内部に収縮材としてのサーモワックス(図示省略)を封入した感温部21と、一端が前記感温部21と連結され、他端が前記可動弁20の中央部に形成したピン挿通孔22に挿通されて前記サーモワックスの膨張収縮により進退する可動ピン23と、前記ピン挿通孔22において前記可動ピン23の端部に当接するように前記弁座18の中央部に固定される固定ピン24と、前記可動弁体20が前記水流通孔19,19を常時閉じるように付勢するバネ体25とから構成している。
【0028】
前記解凍装置4は、図1を参照して、被解凍物(図示省略)を収容する解凍室26と、前記解凍室26内へ蒸気を供給する給蒸手段27と、前記解凍室26内を吸引排気し低圧に保持する減圧手段28と、減圧された前記解凍室26に外気を導入することにより復圧する復圧手段29とを備えている。
【0029】
前記給蒸手段27は、一端を前記解凍室26と接続し、清浄蒸気を前記解凍室26内へ供給するための第一給蒸ライン30を含んで構成される。前記第一給蒸ライン30には、軟水器31から供給される軟水を用いて清浄蒸気を生成する蒸気発生源としての前記リボイラ5と、蒸気の供給を制御する第一給蒸弁32とを備えている。
【0030】
前記リボイラ5は、一次蒸気ボイラ33を熱源とする二次蒸気ボイラであり、前記一次側熱交換部10の入口端は、前記一次蒸気ボイラ33と第二給蒸路34を介して接続されている。前記第二給蒸路34には、第二給蒸弁35を設けている。
【0031】
また、前記減圧手段28は、前記解凍室26内を減圧するためのもので、真空ポンプなどの減圧器36と、減圧ライン37を含んで構成されている。また、前記復圧手段29は、一端を前記解凍室26と接続した復圧ライン38を含む。そして、この復圧ライン38には、外気導入の制御用の復圧弁39と、除菌用のフィルタ40とを備える。
【0032】
つぎに、この実施例の動作を説明する。前記リボイラ5から排出される蒸気は、前記排蒸ライン6を通して、前記弁本体12内へ導かれ、前記弁室11内で消蒸される。
【0033】
同時に前記弁室11内へ流入した蒸気は、前記感温弁体15の感温部21を加熱する。すると、前記感温部21内のサーモワックスが膨張して、前記可動ピン23が図2において右方向へ移動する。この可動ピン23の移動が前記固定ピン24により阻止され、その反作用として前記感温部21および前記可動弁体20が図2の左方向へ移動する。その結果、前記可動弁体20が前記水流通孔19,19の前記弁室11側端部を開放し、前記水流通孔19,19を通して水が前記弁室11内へ供給される。こうして、前記給水ライン7を通して、水が前記弁本体12内へ流入し、前記排蒸ライン6からの蒸気の流入による前記消蒸槽3内の水の温度上昇が防止されることになる。
【0034】
排蒸が無くなると、前記排蒸時の動作と逆の動作が行われ、前記可動弁体20により前記前記水流通孔19,19が閉じられ、水の補給が停止される。
【0035】
消蒸により生成された水および前記給水ライン7からの補給水により前記消蒸槽3内の水位が所定値水位となると、前記オーバーフローライン9を通して排水される。
【0036】
この発明は、前記実施例1に限定されるものではなく、消蒸すべき前記排蒸ライン6からの蒸気と水2との混合を促進し、消蒸を確実に行うための混合促進手段を設けることができる。この混合促進手段として、前記開口14を形成している前記バネ体25の受け部材41の管部分42を図2の左方向へ延長するか、またはこの管部分42に別配管(図示省略を接続するように構成することができる。この構成により、前記延長部分または前記別配管内で蒸気と水との混合を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明の実施例の概略構成を示す説明図である。
【図2】同実施例の要部の拡大、一部断面の説明図である。
【符号の説明】
【0038】
2 水
3 消蒸槽
6 排蒸ライン
7 給水ライン
8 感温弁
12 弁本体
13 水入口
14 水出口
15 感温弁体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を貯留する消蒸槽と、
排蒸ラインと、
前記消蒸槽への給水ラインと、
前記消蒸槽内の水中に配設される感温弁とを備え、
前記感温弁は、前記給水ラインが接続される水入口および水出口を形成した弁本体と、前記排蒸ラインからの蒸気により加熱されるように前記弁本体内に収容され、常時は前記給水ラインからの水の流入を遮断し、前記排蒸ラインからの排蒸時、前記給水ラインからの水の流入を許容するように開閉する感温弁体とを含むことを特徴とする消蒸装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−285601(P2007−285601A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−113268(P2006−113268)
【出願日】平成18年4月17日(2006.4.17)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【出願人】(504143522)株式会社三浦プロテック (488)
【Fターム(参考)】