説明

液中ポンプ用ストレーナ

【課題】落ち葉や樹脂包装袋など、柔軟で面積の大きい夾雑物による液中ポンプの吸い込み口の閉塞を長期に亘り防ぐことが可能な液中ポンプのストレーナ構造体を提供する。
【解決手段】管壁に多数の貫通孔を有するしなやかな中空管の片端部を、ポンプの吸水部を囲むように取り付けた被覆板に設けた穴に固定することにより、被覆板の外周に沿って該中空管が突出した形態で多数設けられており、該中空管の他端は封止され、かつ固定されることなく自由に動ける状態となっていることを特徴とするポンプのたこ足状ストレーナ構造体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場内排水ピットや工事現場など、夾雑物の多い対象液(対象水)を吸排液(給排水)する場合に使用する液中ポンプにおけるストレーナに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、水中ポンプでは対象水中の夾雑物の吸込みを避けるため、吸込口周辺に多数の吸込小孔を穿設したフィルターを付設することが通常なされている。しかしながら、用途的に水中ポンプは屋外に設置されるケースが多く、飛来する樹脂製包装袋(いわゆるレジ袋)や落ち葉などの柔軟で表面積の大きい夾雑物により、フィルターの吸込孔が一気に閉塞され、ポンプが揚水不能となることがしばしば生じる。
特に、昼夜連続操業する工場の排水ピットに設置された水中ポンプなどでは、これらの夾雑物除去の対応を怠れば排水がストップして連続操業に支障をきたすこととなるため、設備担当者は24時間体制の監視や呼出で対応せざるを得ない。
【0003】
この問題を解決する手段として、ポンプの外周全体をストレーナで囲繞して吸引表面積を広くすることにより、完全閉塞に至るまでの時間を遅延させようとの試みが知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術の場合、ポンプ全体が水没している時には、閉塞するのをある程度遅延させる効果はあるが、水位が低い時にはストレーナの実際の接水表面積が減少し、ポンプ吸込口周辺のみストレーナを付設した通常のものと大差がなくなってしまう。
【0004】
また、別の発想により、夾雑物の破砕機構をストレーナの内側に装備したものが知られている(例えば、特許文献2参照)。しかし、このような装置は、構造が徒に複雑となって製造コストを押し上げるのみで、枯葉のように柔軟性を有するものがストレーナ表面へ吸着することを防止する効果は殆どなく、しかも電力消費量が多くなってランニングコストも増大し、且つ、メンテナンスの面で問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】

【特許文献1】特開平6−249183号公報 (第1図)
【特許文献2】特開平7−332293号公報 (要約)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、落ち葉や樹脂包装袋など、柔軟で面積の大きい夾雑物による液中ポンプの吸い込み口の閉塞を長期に防ぐことが可能なストレーナ構造体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は、管壁に多数の貫通孔を有するしなやかな中空管の片端部を、ポンプの吸水部を囲むように取り付けた被覆板に設けた穴に固定することにより、被覆板の外周に沿って該中空管が突出した形態で多数設けられており、該中空管の他端は封止され、かつ固定されることなく自由に動ける状態となっているポンプのたこ足状ストレーナ構造体である。
【0008】
そして好ましくは、該中空管が、樹脂製モノフィラメントを編組し、かつ該モノフィラメント同士の交点が接合されておらずに構成されたものである場合であり、また被覆板がポンプを真中にして周囲を囲むように存在しており、該被覆板に中空管が該被覆板から放射状に突出するように取り付けられている場合であり、また被覆板が複数枚のプレートからなり、各プレートには1本以上の中空管が取り付けられており、取り付けられたプレートごとストレーナ構造体から着脱できる構造を有する場合であり、また各中空管に浮き具が取り付けられている場合である。
【発明の効果】
【0009】
本発明のタコ足状ストレーナ構造体は、管壁に多数の貫通孔を有するしなやかな複数の中空管が、その片端部が、ポンプの吸水部を囲むように取り付けた被覆板に設けた穴に取り付けられていることにより、該被覆板に固定されている構造を有しており、そして対象液中に多数の中空管が突出した形態で用いられ、該中空管の他端(すなわち穴空き支持板に取り付けられていない端部)は固定されておらずに、中空管がしなやかであることから、中空管は対象液中を揺れ動くことができる。そして多数の中空管が取り付けられていることから、フィルター面積が増大しており、さらに中空管の対象液中への中空管の突出による3次元的凸凹構造および中空管の対処水中での揺れ動きによって、落ち葉や樹脂包装袋など、柔軟で面積の大きい夾雑物がフィルター表面に吸い付くことを防ぐと共に吸い付いた夾雑物をフィルター表面から容易に脱落させることができ、その結果、柔軟で面積の大きい夾雑部の付着により引き起こされる吸引不良(閉塞)を長期に亘り防ぐことができる。
【0010】
さらに本発明において、中空管を、樹脂モノフィラメントを編組し、素線(モノフィラメント)間が接合されない状態の中空管とすることにより、中空管のしなやかさをより一層高め、ポンプ振動や流動により中空管がより一層揺れ動くことができるようにすることで中空管表面の自浄作用を高度に発揮させ、上記したような夾雑物を長期間目詰まりすることなく分離することができる。
【0011】
また、本発明において、好ましくは、被覆板がポンプを真中にして周囲を囲むように存在しており、該被覆板に中空管が該被覆板から放射状に突出するように取り付けられている場合であり、このような場合には、中空管の先端に行くほど足の間隔が広がり、そして、支持板から距離を置いた水面近くに存在する中空管先端付近でビニール袋等の大型浮遊物がブロックされ、中空管の根元付近がビニール袋で覆われ閉塞するということを防ぐことができる。
【0012】
また、中空管の先端付近でブロックされた大型浮遊物が障壁となり、小さな浮遊ゴミも同時にブロックできることとなる。また本発明は、好ましくは、該被覆板が複数のプレートからなり、各プレートには1本以上の中空管が取り付けらており、各プレートごと着脱できる構造を有している場合であり、このような構造を有していることにより、一部の中空管が目詰まりを生じた場合であっても、目詰まりを生じた中空管を簡単に除去し、新しい中空管に取り替えることができる。
【0013】
さらに、本発明では、好ましくは該中空管の一部に浮き具が取り付けられている場合であり、これにより、排水液面を浮かびながら存在する夾雑物や排水液底部に沈んだ状態で存在する夾雑物を避けて、比較的夾雑物が少ない排水液中間位から安定して吸液することが可能となり、長期間目詰まりすることなくフィルター能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】代表的な液中ポンプと、矢印によって吸排液(給排水)の位置と方向を示す模式斜視図。
【図2】(a)は中空管が真っ直ぐな状態(直管)である一例を示す斜視図、(b)は中空管が曲がった状態である一例を示し、矢印によって編組された素線間が縮小拡大できることでしなやか性を有することを示す斜視図。
【図3】(a)は中空管を取り付ける、液中ポンプの吸引部を囲む被覆板の一例を示すものであり、被覆板が分割、組み付け可能な構造であることで、液中ポンプの本体ストレーナを中空管で覆うことが可能なことを示す斜視図、(b)は中空管を固定する被覆板の一例を示すものであり、矢印によって中空管を固定したプレートを容易に着脱できることを示す斜視図。
【図4】液中ポンプに本発明のタコ足状ストレーナ構造体を取り付けた一例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を図面により説明する。
図1は、本発明に関わる代表的な液中ポンプ1の一例である。同ポンプの吸水部には、通常本体ストレーナ2と称する、多数の吸液孔3を有す吸液部材が取り付けられている。矢印aの様に液中ポンプ底部のあらゆる方向から吸液し、排出口4からホース類5を介し矢印bの様に排液されるものである。本発明では、この本体ストレーナの上に、あるいは本体ストレーナに置き換えて、本発明のたこ足状ストレーナ構造体を取り付ける。
尚、液中ポンプのサイズは特に限定されるものではないが、75mmφ〜350mmφ程度の外径が一般的であり好適でもある。
【0016】
図2の(a)および(b)は、本発明のたこ足状ストレーナ構造体を構成する中空管の特に好ましい例である、樹脂モノフィラメントを編組しかつ該モノフィラメント同士の交点が接合されておらずに構成された中空管2である場合を示すものであり、図2の(a)は真っ直ぐな状態(直管)、図2の(b)は曲がっておりフレキシブル性を示す一例を表している。
【0017】
本発明は、ストレーナの目詰まりトラブル頻度を低下させることを目的とし、先ず、形状的にその開孔面積を増大させる手段として、管壁に多数の貫通孔を有するしなやかな中空管、特に樹脂モノフィラメントを編組し、素線(モノフィラメント)間が接合されない状態のカゴ状中空管を多数設ける構造を用いるものであり、このような樹脂モノフィラメントを編組し、素線間が接合されない状態のカゴ状中空管は排水性舗装用導水管として公知である。本発明はそのような公知の導水管を全く異なる用途であるストレーナ構造体に用いるものであり、そして、導水管に更なる改良を加えたものである。
【0018】
管壁に多数の貫通孔を有するしなやかな中空管とは、排水中に同中空管を投入し、吸引することにより、該貫通孔から中空管内に排水中の固形夾雑物を除く水成分を取り込むことができるものであり、排水中の夾雑物は中空管内に侵入させないような貫通孔を無数に管壁に有するものを言う。そして、中空管がしなやかであるということは、流水やポンプの振動により中空管が揺れ動くことが可能であることを意味している。具体的には、中空管を柔軟性ある樹脂や繊維等で構成することにより達成される。貫通孔の大きさに関しては、夾雑物が通り抜けない程度が好ましく、処理する排水により適当な大きさを採用すればよい。また貫通孔の数に関しては、中空管が強度を大きく低下させない範囲内で数を極力増加させるのが好ましい。中空管の太さや長さに関しては、後述する、樹脂モノフィラメントを編組したカゴ状中空管の場合と同様の範囲が好ましい。
【0019】
このカゴ状中空管に関しては、その成型法および素材が限定されるものではなく、成型法においては射出成型法、編組法など考えられ、素材においては鋼線、樹脂線、竹ヒゴなどが考えられるが、中空管がポンプ振動や水流によって揺らぎ易く、自浄的に浮遊ゴミの吸着をより高度に防ぐことが可能であることや、中空管自体または自体の一部が浮遊することで夾雑物の少ない液部分から吸引することができることを考えると、樹脂製のモノフィラメントを中空状に編組し、モノフィラメントの交点を固定することなく、自由に滑り合うような編組構造としたものが特に好ましい
【0020】
カゴ状中空管において、しなやかさを発現させる構造の好適な一例として、編組時の素線の反発力でカゴ目(貫通孔)が形成された形態のものが考えられる。具体的には、素線重複部(モノフィラメント同士の重なり部)が接合されていない場合であり、このような場合には、接合されていない故に、曲がり外周7では編組ピッチが拡大し、反対側の曲がり内周8では編組ピッチは縮小することとなる。この構造的な自由さが中空管のしなやかさの源であり、最適な中空管の構造である。
【0021】
素線9の材質としては、主に水中での使用としなやかさの点から、軽量、汎用性、耐水性、防蝕性を有していることが好ましく、好適な代表的な素材として、ポリプロピレン(PP)およびポリエチレン(PE)で代表されるポリオレフィン類、ポリエステルテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)で代表されるポリエステル類、ナイロン6やナイロン66で代表されるポリアミド類、さらにポリビニルアルコールやエチレン−ビニルアルコール共重合体などのビニルアルコール系樹脂等の各種の樹脂からなるモノフィラメントが好ましく、特にポリエステル系のモノフィラメントが最適である。そして、モノフィラメントの太さとしては、直径0.5〜2mmの範囲が生産性およびフィルター性能の点で好ましい。
【0022】
モノフィラメントを構成する樹脂には、水性生物が付着することを防止する目的で薬剤が添加されていてもよく、さらに、着色剤や各種安定剤、無機粉体等が添加されていてもよい。さらに、モノフィラメント表面にこのような薬剤や着色剤や無機粉体が塗布または層として存在していてもよい。
【0023】
中空管の形態は、その使用方法が液中ポンプと組み合わせることから、液中ポンプのサイズによって好適な形態が左右される。この時、液中ポンプの一般的なサイズとは外形寸法75φ〜350mmφ程度であり、参考までに一般的な液中ポンプサイズに好適な中空管としては、12〜48錘のブレーダーを使用して、上記モノフィラメントを管長手方向に対して45度〜68度の角度範囲で編組することにより得られるもので、モノフィラメントで囲まれた菱形カゴ目の空隙面積が0.5〜8.0mm、長さが30〜200cm、太さ10mm〜40mmのカゴ状中空管が好ましい。
【0024】
中空管は、その片側の先端を封止部10として封止することでフィルター管をなすものであり、封止方法を特に限定するものではないが、中空管の外径に合ったキャップを中空管の先端部に接着固定する方法が簡便であり好適である。
【0025】
本発明におけるたこ足状ストレーナ構造体は、液中ポンプの吸水部を囲むように取り付けた被覆板に設けた穴ヘ、中空管の封止されていない方の端部を取り付けることで、中空管内部に吸引された排水は中空管内部を通り、被覆板の反対側に通り抜けることとなる。
【0026】
被覆板には、中空管が多数本固定されており、排水をフィルタリングする際には、排水液中へ中空管が突出した形態で配置されることとなる。したがって、構造的に突出部の根元である固定部、すなわち中空管を被覆板ヘ取り付ける部分は水圧に耐えるような強度が求められることとなる。
【0027】
被覆板への中空管の固定方法としては、融着、接着、ニップル挿入など多くの方法が考えられ、特に限定するものではないが、被覆板に中空管の端末固定用の穴をあけておき、中空管の端末に接着固定した樹脂製中空雌ネジ11を、被覆板の穴の反対側から通した樹脂製の中空雄ネジ12によって締めて被覆板を挟み込む方法が簡便であり好適である。
【0028】
図3の(a)は、たこ足状ストレーナ構造体を構成する被覆板12の一例を示すものであり、該被覆板に中空管の固定穴13をあけ、ネジA14によって該被覆板を二つに分割し組み立てることが可能な構造であり、そのサイズ設計を検討することで、本体ストレーナを外さずに覆い取り付けることも可能であり、さらには、ネジB15によって液中ポンプに固定させる構造のものである。もちろん、本体ストレーナを取り外し、それを本発明のたこ足状ストレーナ構造体で置き換えることもできる。
【0029】
図3の(b)も同様に、たこ足状ストレーナ構造体を構成する被覆板の他の一例を示すものである。構造的には、被覆板が複数の独立したプレート16からなり、各プレートは容易に着脱可能な構造となっている。個々のプレートを着脱容易にしたことでメンテナンス性が向上する。被覆板が複数の着脱可能プレートからなる場合にはプレート固定用枠にプレートを固定することとなるが、その固定方法としては、面ファスナー、フック、スライド、ネジ固定など着脱できればあらゆる構造が考えられるが、矢印eに示す様な上下動によって着脱できるスライド式が合理的であり最も好適である。
【0030】
被覆板に取り付ける中空管の総本数としては、特に限定されず、2〜100本、特に4〜50本が適当である。そして、被覆板の素材としては、金属、樹脂、木、コンクリート等が挙げられるが、好ましくは、金属製または樹脂製の板である。また、被覆板はフラットな平面を有するものであっても、あるいは曲面を有するものであっても、折れ曲がった面を有するものでもよい。とにかく、ポンプの吸水部を完全に蔽う構造である限り問題ない。被覆板の大きさや形状等に関しては、使用目的や設置場所、使用するポンプの大きさ等に応じて自由に決めることができる。
【0031】
図4は、図3の(a)で示すたこ足状ストレーナの被覆板12に、図2の(b)で示す中空管6を固定し、図1で示す代表的な液中ポンプに取り付けられた、本発明の使用形態の一例を示すものである。
【0032】
本発明において、最も好ましい構造は、管壁に多数の貫通孔を有するしなやかな複数の中空管の一部が対象液に浮かぶような構造であり、そのための具体的構造として、中空管の中間部または先端部、好ましくは先端部に浮き具が取り付けられている構造が挙げられる。このような構造においては、中空管を構成する樹脂やモノフィラメントが水に沈むような素材、具体的には密度が1g/cm以上の樹脂あるいは高比重物を添加することにより密度を1g/cm以上とした樹脂組成物から構成されているのが、排水液中位から吸水できることから好ましい。
【0033】
これらの最適構造は、液体流動の少ない排水ピットなどの環境に本発明のタコ足状ストレーナ構造体が設置された場合でも、若い落ち葉や樹脂製包装袋などの柔軟で面積の大きい浮遊夾雑物等が中空管の表面に吸い付けられ、フィルター機能を消失することを防ぐことができ、さらには、腐敗した落ち葉などのように沈降する夾雑物を回避し、比較的夾雑物が少ない中液位から安定して吸液することができる。
【実施例】
【0034】
次に、本発明を実施例で説明する。
【0035】
実施例
カゴ状中空管として、直径1.2mmのポリエステル(PET)モノフィラメント24本を、長手方向に対し横糸が62度で交合(横糸相互の交合角124度)する様に24錘ブレーダーで編組した、内径20mm、外径25mmのものを用意した。そして、このカゴ状中空管を長さ30cmで裁断し、その先端に、外径20mm、長さ10mm、発泡倍率40倍のポリエチレン発泡体を浮き具として押し込んだ上で、内径24mm、長さ10mmのキャップをはめ込んで接着して、封止した。そして、他方の末端に、内径24mmの樹脂製の中空雌ネジをはめ込んで接着し、本発明で用いるカゴ状中空管(先端浮遊型)とした。
【0036】
次に、たこ足ストレーナ被覆板として、厚さ1mmのSUS鋼板からなる、一側面の長辺が100mm、短辺が70mm、端末固定穴を6ヶ有する側面6枚からなる六角フレームを用意し、全ての端末固定穴(36ヶ)に樹脂製中空雄ネジを介し、被覆板を挟み込む様に36本のカゴ状中空管を取り付け、その中央部に外径125mmの水中ポンプ(定格排水量50リットル/分)を位置させ、本体ストレーナを覆いながら固定する様に上下の開放部分を封じた。
【0037】
比較例
実施例で用いたものと同様の、外径125mmの水中ポンプ(定格排水量50リットル/分:たこ足ストレーナは取り付けず)を比較例とした。
【0038】
試験方法
水槽内に縦2m×横2m×高さ1m(4000リットル)の水を満たし、水槽中央の水底に置いた状態で位置させた(流動の少ない排水ピットを想定)。さらに、それぞれの水槽内には、10cm角に裁断した和紙200枚を24時間水に馴染ませて沈降させたもの(腐敗落ち葉に相当、計2m2、水槽表面積1/2相当)と、10cm角に裁断した厚さ1mm、発泡倍率40倍のポチエチレン発泡体シート200枚(レジ袋や初期落ち葉など浮遊ゴミをに相当、計2m2、水槽表面積1/2相当)を投入し、水中ポンプを稼働させ10分ごとに1分間の排水量変化を測定した。
【0039】
試験結果を表1に纏めて示す。
【0040】
【表1】

【0041】
実施例および比較例において、本発明の実施例が、液体流動が少ない排水ピット内への設置状態であっても、落ち葉や樹脂包装袋など、柔軟で面積の大きい夾雑物による液中ポンプの吸い込み口の閉塞を長期に亘って防ぐことできることを示している。
【0042】
本発明によれば、液中ポンプにおいて、多数本の中空管がケーシングの底部外周に沿って設けられた本体ストレーナから突出した形態で複合され、ストレーナ全体の吸引表面積を拡大すること、さらに好ましくは、中空管が、樹脂モノフィラメントを編組してなる(素線間が接合されない状態)カゴ状中空管であり、その一部が浮遊することで流動や液位に追随するフレキシブル性を有することから、落ち葉や樹脂包装袋など、柔軟で面積の大きい夾雑物による液中ポンプの吸い込み口の閉塞を長期に亘って防ぐことができる。
【符号の説明】
【0043】
1 液中ポンプ
2 本体ストレーナ
3 吸液孔
4 排出口
5 ホース類
6 中空管
7 カゴ状中空管
8 曲がり外周
9 曲がり内周
10 封止部
11 固定部
12 たこ足ストレーナを構成する被覆板
13 末端固定穴
14 ネジA
15 ネジB
16 固定プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管壁に多数の貫通孔を有するしなやかな中空管の片端部を、ポンプの吸水部を囲むように取り付けた被覆板に設けた穴に固定することにより、被覆板の外周に沿って該中空管が突出した形態で多数設けられており、該中空管の他端は封止され、かつ固定されることなく自由に動ける状態となっていることを特徴とするポンプのたこ足状ストレーナ構造体。
【請求項2】
中空管が、樹脂製モノフィラメントを編組し、かつ該モノフィラメント同士の交点が接合されておらずに構成された中空管である請求項1に記載のたこ足状ストレーナ構造体。
【請求項3】
被覆板がポンプを真中にして周囲を囲むように存在しており、該被覆板に中空管が該被覆板から放射状に突出するように取り付けられている請求項1または2に記載のたこ足状ストレーナ構造体。
【請求項4】
被覆板が複数のプレートからなり、各プレートには、1本以上の中空管が取り付けられており、各プレートごと着脱できる構造を有する請求項1〜3のいずれかに記載のたこ足状ストレーナ構造体。
【請求項5】
各中空管に浮き具が取り付けられている請求項1〜4のいずれかに記載のたこ足状ストレーナ構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−52482(P2012−52482A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196728(P2010−196728)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000104906)クラレプラスチックス株式会社 (52)
【Fターム(参考)】