液体の塗布及び乾燥方法
【課題】ウェブを循環移動体に接触させている間に、ウェブに液体を塗布し乾燥させることができる液体の塗布及び乾燥方法を提供する。
【解決手段】ウェブが接触している循環移動体を正回転させることによりウェブを進行方向へ移動させる正回転工程(S3)と、ウェブに液体を塗布する塗布工程(S3)と、塗布された液体の乾燥を促進させる乾燥工程(S2)と、循環移動体を逆回転させることによりウェブを進行方向と反対の逆方向へ移動させる逆回転工程(S5)とを備え、前記正回転工程、前記塗布工程、及び前記乾燥工程を少なくとも一度繰り返し行う(S4)液体の塗布及び乾燥方法。
【解決手段】ウェブが接触している循環移動体を正回転させることによりウェブを進行方向へ移動させる正回転工程(S3)と、ウェブに液体を塗布する塗布工程(S3)と、塗布された液体の乾燥を促進させる乾燥工程(S2)と、循環移動体を逆回転させることによりウェブを進行方向と反対の逆方向へ移動させる逆回転工程(S5)とを備え、前記正回転工程、前記塗布工程、及び前記乾燥工程を少なくとも一度繰り返し行う(S4)液体の塗布及び乾燥方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェブへの液体の塗布及び乾燥方法に関し、さらに詳細には、循環移動体に接触したウェブに液体を塗布し乾燥させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ウェブを循環移動体に吸着させ、液体を塗布する方法がある(例えば特許文献1参照。)。
この方法によれば多孔質や通気性のウェブに液体を塗布し循環移動体をバキュームしてウェブの多孔部に液体を充填しやすくしている。
昨今、この方法を用いて細孔の基材に電解質溶液を充填し、乾燥させて高機能な燃料電池電解質膜を製造する方法が試みられている。
また昨今、燃料電池の開発が進みウェブ状の電解質膜に液状の電極インクを塗布し乾燥させてMEA(電解質膜・電極アッセンブリー)を自動的に製造する方法が所望されている(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照。)。
【0003】
電解質膜に直接電極インクを塗布し乾燥させてMEAを製造する方法は、電解質膜と電極層との界面抵抗が極めて低いことから他の工法と比較して性能向上につながり理想的な電極形成方法として注目されている。
ところが電解質膜は湿気でも変形し、電極インクの溶媒ですぐ膨潤してしまう課題をかかえている。
この課題を解決する方法として加熱吸着プレートで枚葉タイプの電解質膜を吸着させて電極インクを塗布しMEAを作成する方法が開示されている(例えば、特許文献5を参照。)。
ところが、これらの方法はバッチ方式のため、電解質膜の吸着プレートへの吸着や着脱も人手にたよらざるをえず品質的な課題も多く、また自動化製造には向かない方式であった。
特許文献1、特許文献2、及び特許文献3ではそれらの課題を解決できる手段を開示している。
【0004】
【特許文献1】特開平10−76220号公報
【特許文献2】特開2001−70863号公報
【特許文献3】特開2004−351413号公報
【特許文献4】特開2004−63780号公報
【特許文献5】特表平5−507583号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、特許文献2、及び特許文献3に記載された技術は、ウェブタイプの電解質膜を循環移動体に吸着させ液状電極インクを塗布し吸着している間に乾燥させる方式なのでアノード、カソードが同一ラインで塗布乾燥できる特徴を有している。生産性が高い反面、性能向上の目的で複数回塗り重ねるため装置が大型になり設備金額が高くなる問題をかかえていた。60kW〜90kWの燃料電池自動車用MEAは1セル当り面積も広く、スタックあたり数百セットのセルが必要になるので大型で生産性の高い設備が必要になる。コジェネレーションも一台当り1kW〜数kWで同様に類似した設備が必要になる。
ところが、DMFC(ダイレクトメタノール型燃料電池)用途のモバイル分野では一台当り1W〜20数W程度でMEAの一枚当りの電極も数センチメートル×数センチメートルと極めて小面積である。
ところが、どのマーケットでも生産スピードは遅くても、品質面から自動化は求められていた。
また、スロットノズルによる塗布であって電極インクの粘度が低い場合は単位時間当りの流量が多くなるのでウェブスピードを速くして塗布する必要があった。複数回の塗布が必要で回数が多くなるほど循環移動体も大型にする必要があった。
本発明は上述のような問題、課題を解決するためになされたもので小型の循環移動体を使用してウェブを自動で巻きだして液体を塗布乾燥し必要に応じ反対極も形成させて自動で巻き取る安価で省スペースの装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決するために、本発明では、次のような液体の塗布と乾燥方法とした。
すなわち、ウェブが接触している循環移動体を正回転させることによりウェブを進行方向へ移動させる正回転工程(S3,S23,S43)と、ウェブに液体を塗布する塗布工程(S3,S24,S44)と、塗布された液体の乾燥を促進させる乾燥工程(S2,S22,S42)と、循環移動体を逆回転させることによりウェブを進行方向と反対の逆方向へ移動させる逆回転工程(S5,S27,S46)とを備え、前記正回転工程、前記塗布工程、及び前記乾燥工程を少なくとも一度繰り返し行う(S4,S26,S45)液体の塗布及び乾燥方法とした。
乾燥工程は、循環移動体の内部に設けられた加熱手段から伝熱により加熱する工程、循環移動体の外部に設けられた加熱手段から輻射により加熱する工程、又は、循環移動体の表面に空気流又は加熱空気流を生じさせる工程のいずれかを含むとよい。
循環移動体の表面にウェブを吸着する吸着工程を含むとよい。
前記正回転工程、前記塗布工程、前記乾燥工程、及び前記逆回転工程からなる一組の工程を2回以上20回未満繰り返す繰り返し工程を含むとよい。
ウェブは通気性基材であって、液体はウェブに塗布充填されるとよい。
ウェブは離型フィルムであって、液体は燃料電池電極インクであるとよい。
ウェブは燃料電池ガス拡散層用基材であって、液体は燃料電池電極インクであるとよい。
ウェブは燃料電池用電解質膜であって、液体は燃料電池電極インクであるとよい。
ウェブは、プラスチックフィルムであって、液体は、色素増感太陽電池電極材料であるとよい。
前記塗布工程は、液体を粒子化して塗布する工程を含むとよい。
前記塗布工程は、液膜を維持したまま液体を塗布する工程を含むとよい。
前記塗布工程は、スロットノズル(3)により液体を塗布する工程を含むとよい。
前記塗布工程は、液膜を維持したまま液体を塗布する工程と、液体を粒子化して塗布する工程とを含むとよい。
ウェブは通気性基材であり、液体は電解質溶液であり、前記塗布工程は、通気性基材の一方の面に電解質溶液を塗布充填する工程を含み、前記乾燥工程は、通気性基材の一方の面に塗布充填された電解質溶液の乾燥を促進させる工程を含み、前記方法は、さらに、通気性基材を反転させる工程と、反転された通気性基材の他方の面に電解質溶液を塗布充填する工程と、通気性基材の他方の面に塗布充填された電解質溶液の乾燥を促進させる乾燥工程とを含むとよい。
ウェブは電解質膜であり、液体は電極インクであり、前記塗布工程は、電解質膜の一方の面に所定パターンで電極インクを塗布する工程を含み、前記乾燥工程は、電解質膜の一方の面に塗布された電極インクの乾燥を促進させる工程を含み、前記方法は、さらに、電解質膜の他方の面の同じ位置に前記所定パターンと同じパターンで反対極の電極インクを塗布する工程と、電解質膜の他方の面に塗布された反対極の電極インクの乾燥を促進させる乾燥工程とを含むとよい。
前記正回転工程(S3)の間に前記塗布工程(S3)を行うようにに構成するとよい。
前記正回転工程(S23)は、ウェブを進行方向へ所定距離移動させる移動行程と、ウェブを停止させる停止工程と、前記移動行程及び停止工程を少なくとも一度繰り返す工程(S25)とを含み、前記塗布工程(S24)は、前記停止工程の間にスプレイノズルをトラバースさせながら液体をウェブに塗布する工程を含むとよい。
前記塗布工程(S44)は、スプレイノズルをトラバースさせながら液体をウェブに塗布する工程と、スプレイノズルをウェブの進行方向へ移動させながら液体をウェブに塗布する工程とを含むとよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、循環移動体を逆回転させてウェブを逆送するので、乾燥時間をより長くすることができる。これによって、ウェブを循環移動体に接触させている間に、ウェブに液体を塗布し乾燥させることができる。
また、循環移動体の正回転と逆回転とを繰り返し行うことにより、一つのスプレイノズルだけで、液体の積層塗布をすることができる。これによって、塗布装置を小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を、好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0009】
図1は、実施例1による液体の塗布及び乾燥装置1を示す概略構成図である。
塗布及び乾燥装置1は、回転可能な循環移動体2と、液体を塗布する塗布装置としてのスプレイノズル3と、循環移動体2の内部を真空にするための真空装置(不図示)と、塗布面の近くに空気の流れを形成するための送風装置4とからなる。
循環移動体2は、スクリーンドラム5とシリンダー6とからなり通気性を有する。シリンダー6の外側表面には、軸線方向に延在する複数の溝6aが設けられている。溝6aには、半径方向にシリンダー6を貫通する複数の通気孔6bが設けられている。循環移動体2に、加熱用の熱媒体を通すための油穴(不図示)を設けて、循環移動体2を加熱するようにしてもよい。
送風装置4は、スプレイノズル3の下流側に配置されている。
【0010】
被塗物としてのウェブ7は、巻取り心棒8に巻かれている。巻取り心棒8が矢印Aで示す方向に回転すると、連続ウェブ7は、循環移動体2へ向かって移動する。ウェブ7は、案内ロール9により案内されて循環移動体2に接触して巻きつく。循環移動体2は、通気性を有するので、真空装置(不図示)により循環移動体2の内部2aに真空が形成されるとウェブ7を循環移動体2の表面に吸着する。スプレイノズル3は、液体源(不図示)に接続されている。スプレイノズル3は、循環移動体2に吸着されているウェブ7に向かって液体をスプレイする。
【0011】
ウェブは、長尺な被塗物であればどのようなものであってもよい。ウェブが、通気性基材である場合には、液体はウェブに塗布充填される。ウェブは、離型フィルム、燃料電池ガス拡散層用基材、燃料電池用電解質膜、プラスチックフィルムなどであってもよい。液体は、燃料電池電極インク、電解質溶液、色素増感太陽電池電極材料などであってもよい。
【0012】
送風装置4は、ウェブ7に塗布された液体の近に空気の流れを形成する。塗布直後の風量を多くすることにより、液体の乾燥を促進する。例えば、塗布面の近くの風速を0.5m/s以上に上げるとよい。また、加熱した気体を流すとより乾燥が促進されるので効果的である。
【0013】
ウェブ7に塗布された液体は、案内ロール10に到るまでに、指触乾燥乃至乾燥する。ウェブ7は、矢印Dで示す方向に回転する巻取り心棒11に巻き取られる。
【0014】
以下に、実施例1による塗布及び乾燥方法を説明する。図2は、実施例1による塗布及び乾燥方法の手順を示すフローチャートである。図3は、実施例1による塗布及び乾燥方法を説明する図である。
【0015】
図2のフローチャートを参照して、液体の塗布及び乾燥工程を開始すると(ステップS1)、送風装置4からの送風を開始する(ステップS2)。
循環移動体2を矢印Bで示す方向に正回転させてウェブ7を図3(a)に示すように矢印B1で示す方向に第一距離L1だけ送りながら液体をウェブ7上に塗布する(ステップS3)。第一距離L1は、スプレイノズル3の位置P0から位置P1までの距離である。実施例1においては、スプレイノズル3の位置P0を基準としたが、基準となる位置は任意に設定することができる。ウェブ7上に、第一距離L1の塗膜M1が形成される。
【0016】
送風装置4からの空気の流れにより、塗膜M1の液体から溶媒を蒸発させ乾燥を促進する。
【0017】
ステップS4において、所定の繰り返し回数の塗布工程を行ったかどうかを判断する。所定の繰り返し回数は、必要に応じて10回、20回、100回など任意の回数に設定することができる。実施例1においては、説明のために3回の繰り返し回数とする。3回の繰り返し回数を終了していないので、ステップS5に進む。
【0018】
図3(b)に示すように、循環移動体2を矢印Cで示す方向に逆回転させてウェブ7を矢印C1で示す方向に第二距離L2だけ逆送する(ステップS5)。第二距離L2は、スプレイノズル3の位置P0から位置P2までの距離である。実施例1においては、第一距離L1と第二距離L2とを同じにしているので、塗膜M1の一端が位置P0に他端が位置P2にくる。なお、第一距離L1と第二距離L2とを異ならせてもよい。
【0019】
次に、ステップS3に戻って、所定の繰り返し回数の塗布工程が終了するまで、同様の工程を繰り返す。
すなわち、図3(c)に示すように、循環移動体2を矢印Bで示す方向に正回転させてウェブ7を矢印B1で示す方向に第一距離L1だけ送りながら液体をウェブ7上に塗布して(ステップS3)、塗膜M1の上に塗膜M2を積層する。ステップS4において、繰り返し回数が2回目であるので、ステップS5に進む。図3(d)に示すように、循環移動体2を矢印Cで示す方向に逆回転させてウェブ7を矢印C1で示す方向に第二距離L2だけ逆送する(ステップS5)。再度、ステップS3に戻って、図3(e)に示すように、循環移動体2を矢印Bで示す方向に正回転させてウェブ7を矢印B1で示す方向に第一距離L1だけ送りながら液体をウェブ7上に塗布して(ステップS3)、塗膜M2の上に塗膜M3を積層する。塗布工程の繰り返し数が3回目であるので、ステップS4において、所定の繰り返し回数の塗布工程を終了したと判断して、ステップS6に進む。
【0020】
ステップS6では、塗布を終了するかどうかを判断して、塗布を連続して行う場合には、ステップS7に進む。ステップS7では、図3(f)に示すように、循環移動体2を矢印Bで示す方向に正回転させてウェブ7を矢印B1で示す方向に第三距離L3だけ送る。次に、ステップS3に進み、図3(g)に示すようにウェブ7の次の新たな面に塗布を開始し、前記したように、ステップS3からS5を所定の繰り返し回数の塗布工程が終了するまで繰り返す。
【0021】
一方、ステップS6において、塗布を終了すると判断した場合には、ステップS8に進み、送風装置4からの送風を停止して、液体の塗布及び乾燥工程を終了する(ステップS9)。
【0022】
実施例1においては、循環移動体2を矢印Cで示す方向に逆回転させてウェブ7を矢印C1で示す方向に第二距離L2だけ逆送する(ステップS5)ので、乾燥時間をより長くして乾燥をより確実に行わせることができる。これによって、ウェブを循環移動体に接触させている間に、ウェブに液体を塗布し乾燥させることができる。
また、循環移動体2の正回転(ステップS3)と逆回転(ステップS5)とを繰り返し行うことにより、一つのスプレイノズルだけで、液体の積層塗布をすることができる。
【0023】
実施例1のステップS7において、第三距離L3を零(0)とすることもできる。第三距離L3を零とすることにより、図4に示すように、多層塗膜を連続してウェブ7上に形成することができる。
【0024】
第一距離L1、第二距離L2及び第三距離L3は、ウェブ7の搬送距離を計測して求めてもよいが、循環移動体2の回転角度として設定することもできる。
【0025】
実施例1においては、第一距離L1と第二距離L2とを異ならせることができる。図5は、実施例1において第二距離L2を第一距離L1よりも短くしたときの塗布及び乾燥方法の変形例を説明する図である。
【0026】
図2に示したフローチャートを参照して、液体の塗布及び乾燥工程を開始すると(ステップS1)、送風装置4からの送風を開始する(ステップS2)。
循環移動体2を矢印Bで示す方向に正回転させてウェブ7を図5(a)に示すように矢印B1で示す方向に第一距離L1だけ送りながら液体をウェブ7上に塗布して(ステップS3)、塗膜M1を形成する。
【0027】
送風装置4からの空気の流れにより、塗膜M1の液体から溶媒を蒸発させ乾燥を促進する。
【0028】
ステップS4において、所定の繰り返し回数の塗布工程を行ったかどうかを判断する。前記したものと同様に、所定の繰り返し回数は、必要に応じて10回、20回、100回など任意の回数に設定することができる。本実施例においても、説明のために3回の繰り返し回数とする。3回の繰り返し回数を終了していないので、ステップS5に進む。
【0029】
図5(b)に示すように、循環移動体2を矢印Cで示す方向に逆回転させてウェブ7を矢印C1で示す方向に第二距離L2だけ逆送する(ステップS5)。第二距離L2は、第一距離L1よりも短く設定されているので、塗膜M1の後端TEが位置P2に到達しても塗膜M1の先端LEは位置P0まで戻らない。
【0030】
次に、ステップS3に戻って、所定の繰り返し回数の塗布工程が終了するまで、同様の工程を繰り返す。
すなわち、図5(c)に示すように、循環移動体2を矢印Bで示す方向に正回転させてウェブ7を矢印B1で示す方向に第一距離L1だけ送りながら液体をウェブ7上に塗布して(ステップS3)、塗膜M1の上に塗膜M2を積層する。第一距離L1と第二距離L2とが異なるので、その差(L1−L2)だけオフセットして塗膜M1の上に塗膜M2が形成される。ステップS4において、繰り返し回数が2回目であるので、ステップS5に進む。図5(d)に示すように、循環移動体2を矢印Cで示す方向に逆回転させてウェブ7を矢印C1で示す方向に第二距離L2だけ逆送する(ステップS5)。再度、ステップS3に戻って、図5(e)に示すように、循環移動体2を矢印Bで示す方向に正回転させてウェブ7を矢印B1で示す方向に第一距離L1だけ送りながら液体をウェブ7上に塗布して(ステップS3)、塗膜M2の上に塗膜M3を積層する。塗布工程の繰り返し数が3回目であるので、ステップS4において、所定の繰り返し回数の塗布工程を終了したと判断して、ステップS6に進む。
【0031】
ステップS6では、塗布を終了するかどうかを判断して、塗布を連続して行う場合には、ステップS7に進む。ステップS7では、図5(f)に示すように、循環移動体2を矢印Bで示す方向に正回転させてウェブ7を矢印B1で示す方向に第三距離L3だけ送る。次に、ステップS3に進み、図5(g)に示すようにウェブ7の次ぎの新たな面に塗布を開始し、前記したように、ステップS3からS5を所定の繰り返し回数の塗布工程が終了するまで繰り返す。
【0032】
一方、ステップS6において、塗布を終了すると判断した場合には、ステップS8に進み、送風装置4からの送風を停止して、液体の塗布及び乾燥工程を終了する(ステップS9)。
【0033】
本変形例においても、循環移動体2を矢印Cで示す方向に逆回転させてウェブ7を矢印C1で示す方向に第二距離L2だけ逆送する(ステップS5)ので、乾燥時間をより長くして乾燥をより確実に行わせることができる。
また、循環移動体2の正回転(ステップS3)と逆回転(ステップS5)とを繰り返し行うことにより、一つのスプレイノズルだけで、液体の積層塗布をすることができる。
【0034】
なお、実施例1においては、一つのスプレイノズルだけで、液体の積層塗布をすることができるものであるが、複数のスプレイノズルを循環移動体2の軸線方向に並べて配置しても同様の効果を得られる。また、複数のスプレイノズルを循環移動体2の回転方向に並べて配置した構成においても、本実施例を適用することができる。また、スプレイノズルによるスプレイ方式は、パルススプレイコーティング(登録商標)方法を使用してもよいことは勿論である。この方法を用いれば乾燥塗膜の中にマイクロポア又は所望するポアを効果的に形成させることができるので燃料電池性能を向上させる上で極めて有用である。
【0035】
実施例1では、スプレイノズル3を使用したが、実施例1の発明は、スプレイノズルに限らずスロットノズルを使用した構成にも適用できる。さらに、実施例1の発明は、スプレイノズルとスロットノズルとの両方を使用した構成にも適用することができる。
【0036】
スプレイノズルは、液体を粒子化させるタイプであっても、液体を膜状に付与するタイプであってもよい。前記液体を粒子化させるタイプのものとして本出願人の日本法人であるノードソン株式会社が出願した特開平6−86956号公報に記載されているような貫通型多孔性シートの孔に一旦充填された液体を液化ガス等で圧出させて微粒化させウェブ7に転移させて塗布する、所謂スクリーンスプレイ方式を用いてもよい。スロットノズルは、液体を所定のパターンで液膜状に吐出するタイプであってもよい。図12は、スロットノズルを用い、例えば、実施例1の図3の方法を用いて複数の所定パターンの液膜を形成させる例を示している。図12において、図1に示した実施例1の液体の塗布及び乾燥装置と同様の構成要素については同じ参照符号を付して説明を省略する。液体の塗布及び乾燥装置31は、スロットノズル33を有する。スロットノズル33は、シム(不図示)に複数の開口(不図示)が設けられているので、複数の所望の塗布領域Mに一度に液体を塗布することができる。スロットノズル33は、間欠塗布するように制御できる。したがって、図12に示したような複数の所定パターンの液膜を形成することができる。
【0037】
実施例1では、液体の乾燥を促進するために送風装置4を使用した。送風装置4は、加熱送風装置でもよい。本発明は、これに限らず、循環移動体2を加熱してもよい。循環移動体2の加熱は、循環移動体2の内部に加熱された油を通す通路を設けて伝熱により加熱するものであっても、また、赤外線などの光を液体に照射して乾燥を促進してもよく、また赤外線などの光を循環移動体2に照射して循環移動体2の表面を加熱してもよい。さらにまた、循環移動体2の加熱と伴に送風装置4を使用して液体の乾燥を促進してもよい。
【0038】
実施例1の液体の塗布及び乾燥方法により、燃料電池用MEAを製造する場合には、通気性基材に電解質溶液を塗布充填し乾燥を促進させ、反転させ反対面に電解質溶液を塗布し乾燥させるように構成すればよい。または、電解質膜に電極インクを塗布し乾燥させた後、電解質膜の反対面の同じ位置に同じパターンで反対極の電極インクを塗布し乾燥させるように構成すればよい。
【実施例2】
【0039】
図6は、実施例2による液体の塗布及び乾燥装置21を示す概略構成図である。
塗布及び乾燥装置21は、回転可能な循環移動体2と、液体を塗布する塗布装置としてのスプレイノズル3と、循環移動体2の内部を真空にするための真空装置(V.P.)と、塗布面の近くに空気の流れを形成するための送風装置4とからなる。循環移動体2は、加熱装置(不図示)を設けていてもよい。送風装置4は、スプレイノズル3の下流側に配置されている。
図1に示した実施例1と同様の構成要素については同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0040】
スプレイノズル3は、支持棒22に矢印Xで示す方向に移動可能に取り付けられている。矢印Xで示す方向は、循環移動体2の軸線方向に沿う方向である。本明細書において、矢印Xで示す方向へのスプレイノズル3の移動を「トラバース」という。
【0041】
以下に、実施例2による塗布及び乾燥方法を説明する。図7は、実施例2による塗布及び乾燥方法の手順を示すフローチャートである。図8は、実施例2による塗布及び乾燥方法を説明する図である。
【0042】
図7のフローチャートを参照して、液体の塗布及び乾燥工程を開始すると(ステップS21)、送風装置4からの送風を開始する(ステップS22)。
循環移動体2を矢印Bで示す方向に正回転させてウェブ7を図8(a)に示すように矢印B1で示す方向に第四距離L4だけ送る(ステップS23)。第四距離L4は、スプレイノズル3の位置P0から位置P4までの距離である。実施例2においては、説明のためスプレイノズル3の位置P0を基準としたが、基準となる位置は任意に設定することができる。
【0043】
スプレイノズル3を支持棒22に沿ってトラバースさせながら液体をウェブ7上に塗布し(ステップS24)、ウェブ7上に、第四距離L4の塗膜M1−1を形成する。実施例2においては、塗布幅と第四距離L4とが同じであるとして説明しているが、塗布幅と第四距離L4とは異なってもよい。送風装置4からの空気の流れにより、塗膜M1−1の液体から溶媒を蒸発させ乾燥を促進する。
【0044】
ステップS25において、ウェブ7が第一距離L1だけ送られたかどうか判断する。スプレイノズル3をトラバースする回数は、必要に応じて10回、20回、100回など任意の回数に設定することができる。実施例2においては、説明のためにトラバース回数を3回とする。すなわち、3回トラバースするとウェブ7が第一距離L1だけ送られる。あるいは、ステップS25で、トラバースする回数が所定回数を終了したかどうかを判断するようにしてもよい。3回のトラバースを終了していないので、ステップS23に戻る。
【0045】
図8(b)に示すように、循環移動体2を矢印Bで示す方向に正回転させてウェブ7を矢印B1で示す方向に第四距離L4だけ送り(ステップS23)、スプレイノズル3を支持棒22に沿ってトラバースさせながら液体をウェブ7上に塗布し(ステップS24)、ウェブ7上に塗膜M1−2を形成する。
【0046】
ステップS25において、ウェブ7が第一距離L1だけ送られていないので、再度ステップS23へ戻り、ステップS23及びステップS24を繰り返して図8(c)に示すようにウェブ7上に塗膜M1−3を形成する。
【0047】
ステップS26で、ウェブ7が第一距離L1だけ送られたと判断して(図8(c))ステップS26へ進む。
【0048】
ステップS26において、所定の繰り返し回数の塗布工程を行ったかどうかを判断する。所定の繰り返し回数は、必要に応じて10回、20回、100回など任意の回数に設定することができる。実施例2においては、説明のために3回の繰り返し回数とする。3回の繰り返し回数を終了していないので、ステップS27に進む。
【0049】
図8(d)に示すように、循環移動体2を矢印Cで示す方向に逆回転させてウェブ7を矢印C1で示す方向に第二距離L2だけ逆送する(ステップS27)。第二距離L2は、スプレイノズル3の位置P0から位置P2までの距離である。実施例2においては、第一距離L1と第二距離L2とを同じにしているので、塗膜M1−1の先端が位置P0に塗膜M1−3の後端が位置P2にくる。なお、第一距離L1と第二距離L2とを異ならせてもよいことは実施例1と同様である。
【0050】
次に、ステップS23に戻って、所定の繰り返し回数の塗布工程が終了するまで、ステップS23からステップS27の工程を繰り返す。
すなわち、図8(e)に示すように、循環移動体2を矢印Bで示す方向に正回転させてウェブ7を矢印B1で示す方向に第四距離L4だけ送る(ステップS23)。スプレイノズル3をトラバースしながら液体をウェブ7上に塗布して(ステップS24)、塗膜M1−1の上に塗膜M2−1を積層する。
【0051】
ステップS25で、ウェブ7が第一距離L1だけ送られていないと判断して、ステップS23へ戻る。ステップ23及びステップS24で、図8(f)に示すように、塗膜M1−2の上に塗膜M2−2を積層する。同様にして、ステップS25からステップS23へ戻り、ステップS23及びS24で、図8(g)に示すように、塗膜M1−3の上に塗膜M2−3を積層する。
【0052】
ステップS25で、ウェブ7が第一距離L1だけ送られたと判断して(図8(g))ステップS26へ進む。
【0053】
ステップS26において、繰り返し回数が2回目であるので、ステップS27に進む。
【0054】
図8(h)に示すように、循環移動体2を矢印Cで示す方向に逆回転させてウェブ7を矢印C1で示す方向に第二距離L2だけ逆送する(ステップS27)。
【0055】
同様にして、ステップS23からステップS25を繰り返すことにより、塗膜M2−1、M2−2、及びM2−3の上に、図8(i)に示すように塗膜M3−1、M3−2、及びM3−3をそれぞれ形成する。
塗布工程の繰り返し数が3回目であるので、ステップS26において、所定の繰り返し回数の塗布工程を終了したと判断して、ステップS28に進む。
【0056】
ステップS28では、塗布を終了するかどうかを判断して、塗布を連続して行う場合には、ステップS29に進む。ステップS29では、図8(j)に示すように、循環移動体2を矢印Bで示す方向に正回転させてウェブ7を矢印B1で示す方向に第三距離L3だけ送る。次に、ステップS23に進み、図8(k)に示すようにウェブ7の次の新たな面に塗布を開始し、前記したように、ステップS23からS27を所定の繰り返し回数の塗布工程が終了するまで繰り返す。
【0057】
一方、ステップS28において、塗布を終了すると判断した場合には、ステップS30に進み、送風装置4からの送風を停止して、液体の塗布及び乾燥工程を終了する(ステップS31)。
【0058】
実施例2においては、循環移動体2を矢印Cで示す方向に逆回転させてウェブ7を矢印C1で示す方向に第二距離L2だけ逆送する(ステップS5)ので、乾燥時間をより長くして乾燥をより確実に行わせることができる。これによって、ウェブを循環移動体に接触させている間に、ウェブに液体を塗布し乾燥させることができる。
また、循環移動体2の正回転(ステップS3)と逆回転(ステップS5)とを繰り返し行うことにより、一つのスプレイノズルだけで、液体の積層塗布をすることができる。
【0059】
実施例2のステップS29において、第三距離L3を零(0)とすることもできる。第三距離L3を零とすることにより、多層塗膜を連続してウェブ7上に形成することができる。
【0060】
第一距離L1、第二距離L2、第三距離L3及び第四距離L4は、ウェブ7の搬送距離を計測して求めてもよいが、循環移動体2の回転角度として設定することもできる。
【0061】
実施例2においては、実施例1と同様に第一距離L1と第二距離L2とを異ならせることができる。第二距離L2を第一距離L1よりも短くすることにより、図9に示すように第一層(M1−1〜M1−3)と第二層(M2−1〜M2−3)を第一距離L1と第二距離L2との差(L1−L2)だけオフセットさせることができる。
【実施例3】
【0062】
実施例2においては、図6に示すように、スプレイノズル3を矢印Xで示す方向に沿ってトラバースするように構成した。実施例3においては、スプレイノズル3をトラバースすると伴に、矢印Yで示す方向に沿って進行移動させる構成とした。
【0063】
以下に、実施例3による塗布及び乾燥方法を説明する。図10は、実施例3による塗布及び乾燥方法の手順を示すフローチャートである。図11は、実施例3によるスプレイノズル3の移動軌跡を模式的に示す図である。
【0064】
図10のフローチャートを参照して、液体の塗布及び乾燥工程を開始すると(ステップS41)、送風装置4からの送風を開始する(ステップS42)。
循環移動体2を矢印Bで示す方向に正回転させてウェブ7を図11に示すように矢印B1で示す方向に第一距離L1だけ送る(ステップS43)。
【0065】
循環移動体2を停止させた状態で、スプレイノズル3をX方向へ移動させ、次にY方向へ移動させ、さらに、スプレイノズル3をX方向と反対向きの方向へ移動させ、次にY方向へ移動させ、さらに、スプレイノズル3をX方向へ移動させながら液体をウェブ7上に塗布する(ステップS44)。
【0066】
送風装置4からの空気の流れにより、ウェブ7上に塗布された液体から溶媒を蒸発させ乾燥を促進する。
【0067】
ステップS45において、所定の繰り返し回数の塗布工程を行ったかどうかを判断する。所定の繰り返し回数は、必要に応じて10回、20回、100回など任意の回数に設定することができる。所定の繰り返し回数を終了していないときは、ステップS46に進む。
【0068】
循環移動体2を逆回転させて、図11に示すように、ウェブ7を矢印C1で示す方向に第二距離L2だけ逆送する(ステップS46)。
【0069】
次に、ステップS43に戻って、所定の繰り返し回数の塗布工程が終了するまで、ステップS43からステップS46の工程を繰り返す。すなわち、循環移動体2を正回転させてウェブ7を矢印B1で示す方向に第一距離L1だけ送る(ステップS43)。スプレイノズル3をX方向及びY方向へ移動させながら液体を先の塗膜の上に塗布する(ステップS44)。
【0070】
ステップS45において、所定の繰り返し回数の塗布工程を終了したと判断すると、ステップS47へ進む。
【0071】
ステップS47では、塗布を終了するかどうかを判断して、塗布を連続して行う場合には、ステップS48に進む。ステップS48では、循環移動体2を正回転させてウェブ7を矢印B1で示す方向に第三距離L3だけ送る。次に、ステップS43に進み、前記したように、ステップS43からステップS46を所定の繰り返し回数の塗布工程が終了するまで繰り返す。
【0072】
一方、ステップS47において、塗布を終了すると判断したときは、ステップS49へ進み、送風装置4からの送風を停止して、液体の塗布及び乾燥工程を終了する(ステップS50)。
【0073】
実施例3においては、循環移動体2を逆回転させてウェブ7を矢印C1で示す方向に第二距離L2だけ逆送する(ステップS46)ので、乾燥時間をより長くして乾燥をより確実に行わせることができる。これによって、ウェブを循環移動体に接触させている間に、ウェブに液体を塗布し乾燥させることができる。
また、循環移動体2の正回転(ステップS43)と逆回転(ステップS46)とを繰り返し行うことにより、一つのスプレイノズルだけで、液体の積層塗布をすることができる。
【0074】
実施例3のステップS48において、第三距離L3を零(0)とすることもできる。第三距離L3を零とすることにより、多層塗膜を連続してウェブ7上に形成することができる。
【0075】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、その特徴事項から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施することができる。そのため、前述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、すべて本発明の範囲内のものである。
例えば、本発明における液体の塗布は、粒子化塗布であっても液膜塗布であってもよい。
粒子化塗布としては、エアレススプレイ、エアスプレイ、遠心霧化、超音波、バブラー、インクジェット、あるいはこれらの組み合わせであってもよい。スプレイ方式としては、特表平8−501974号公報又は特開平6−170308号公報に記載されているコントロールコート法も適用できる。
液膜塗布としては、ロールコート、スクリーンコート、リバースコート、スロットノズルコート、あるいはこれらの組み合わせであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】実施例1による液体の塗布及び乾燥装置1を示す概略構成図。
【図2】実施例1による塗布及び乾燥方法の手順を示すフローチャート。
【図3】実施例1による塗布及び乾燥方法を説明する図。
【図4】実施例1により形成された連続多層塗膜を示す図。
【図5】実施例1において第二距離L2を第一距離L1よりも短くしたときの塗布及び乾燥方法の変形例を説明する図。
【図6】実施例2による液体の塗布及び乾燥装置21を示す概略構成図。
【図7】実施例2による塗布及び乾燥方法の手順を示すフローチャート。
【図8】実施例2による塗布及び乾燥方法を説明する図。
【図9】実施例2において第二距離L2を第一距離L1よりも短くしたときの塗布及び乾燥方法により塗布された塗膜を示す図。
【図10】実施例3による塗布及び乾燥方法の手順を示すフローチャート。
【図11】実施例3によるスプレイノズルの移動軌跡を模式的に示す図。
【図12】スロットノズルを用いた液体の塗布及び乾燥装置31を示す概略構成図。
【符号の説明】
【0077】
1,21,31 塗布及び乾燥装置
2 循環移動体
3 スプレイノズル
4 送風装置
7 ウェブ
33 スロットノズル
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェブへの液体の塗布及び乾燥方法に関し、さらに詳細には、循環移動体に接触したウェブに液体を塗布し乾燥させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ウェブを循環移動体に吸着させ、液体を塗布する方法がある(例えば特許文献1参照。)。
この方法によれば多孔質や通気性のウェブに液体を塗布し循環移動体をバキュームしてウェブの多孔部に液体を充填しやすくしている。
昨今、この方法を用いて細孔の基材に電解質溶液を充填し、乾燥させて高機能な燃料電池電解質膜を製造する方法が試みられている。
また昨今、燃料電池の開発が進みウェブ状の電解質膜に液状の電極インクを塗布し乾燥させてMEA(電解質膜・電極アッセンブリー)を自動的に製造する方法が所望されている(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照。)。
【0003】
電解質膜に直接電極インクを塗布し乾燥させてMEAを製造する方法は、電解質膜と電極層との界面抵抗が極めて低いことから他の工法と比較して性能向上につながり理想的な電極形成方法として注目されている。
ところが電解質膜は湿気でも変形し、電極インクの溶媒ですぐ膨潤してしまう課題をかかえている。
この課題を解決する方法として加熱吸着プレートで枚葉タイプの電解質膜を吸着させて電極インクを塗布しMEAを作成する方法が開示されている(例えば、特許文献5を参照。)。
ところが、これらの方法はバッチ方式のため、電解質膜の吸着プレートへの吸着や着脱も人手にたよらざるをえず品質的な課題も多く、また自動化製造には向かない方式であった。
特許文献1、特許文献2、及び特許文献3ではそれらの課題を解決できる手段を開示している。
【0004】
【特許文献1】特開平10−76220号公報
【特許文献2】特開2001−70863号公報
【特許文献3】特開2004−351413号公報
【特許文献4】特開2004−63780号公報
【特許文献5】特表平5−507583号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、特許文献2、及び特許文献3に記載された技術は、ウェブタイプの電解質膜を循環移動体に吸着させ液状電極インクを塗布し吸着している間に乾燥させる方式なのでアノード、カソードが同一ラインで塗布乾燥できる特徴を有している。生産性が高い反面、性能向上の目的で複数回塗り重ねるため装置が大型になり設備金額が高くなる問題をかかえていた。60kW〜90kWの燃料電池自動車用MEAは1セル当り面積も広く、スタックあたり数百セットのセルが必要になるので大型で生産性の高い設備が必要になる。コジェネレーションも一台当り1kW〜数kWで同様に類似した設備が必要になる。
ところが、DMFC(ダイレクトメタノール型燃料電池)用途のモバイル分野では一台当り1W〜20数W程度でMEAの一枚当りの電極も数センチメートル×数センチメートルと極めて小面積である。
ところが、どのマーケットでも生産スピードは遅くても、品質面から自動化は求められていた。
また、スロットノズルによる塗布であって電極インクの粘度が低い場合は単位時間当りの流量が多くなるのでウェブスピードを速くして塗布する必要があった。複数回の塗布が必要で回数が多くなるほど循環移動体も大型にする必要があった。
本発明は上述のような問題、課題を解決するためになされたもので小型の循環移動体を使用してウェブを自動で巻きだして液体を塗布乾燥し必要に応じ反対極も形成させて自動で巻き取る安価で省スペースの装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決するために、本発明では、次のような液体の塗布と乾燥方法とした。
すなわち、ウェブが接触している循環移動体を正回転させることによりウェブを進行方向へ移動させる正回転工程(S3,S23,S43)と、ウェブに液体を塗布する塗布工程(S3,S24,S44)と、塗布された液体の乾燥を促進させる乾燥工程(S2,S22,S42)と、循環移動体を逆回転させることによりウェブを進行方向と反対の逆方向へ移動させる逆回転工程(S5,S27,S46)とを備え、前記正回転工程、前記塗布工程、及び前記乾燥工程を少なくとも一度繰り返し行う(S4,S26,S45)液体の塗布及び乾燥方法とした。
乾燥工程は、循環移動体の内部に設けられた加熱手段から伝熱により加熱する工程、循環移動体の外部に設けられた加熱手段から輻射により加熱する工程、又は、循環移動体の表面に空気流又は加熱空気流を生じさせる工程のいずれかを含むとよい。
循環移動体の表面にウェブを吸着する吸着工程を含むとよい。
前記正回転工程、前記塗布工程、前記乾燥工程、及び前記逆回転工程からなる一組の工程を2回以上20回未満繰り返す繰り返し工程を含むとよい。
ウェブは通気性基材であって、液体はウェブに塗布充填されるとよい。
ウェブは離型フィルムであって、液体は燃料電池電極インクであるとよい。
ウェブは燃料電池ガス拡散層用基材であって、液体は燃料電池電極インクであるとよい。
ウェブは燃料電池用電解質膜であって、液体は燃料電池電極インクであるとよい。
ウェブは、プラスチックフィルムであって、液体は、色素増感太陽電池電極材料であるとよい。
前記塗布工程は、液体を粒子化して塗布する工程を含むとよい。
前記塗布工程は、液膜を維持したまま液体を塗布する工程を含むとよい。
前記塗布工程は、スロットノズル(3)により液体を塗布する工程を含むとよい。
前記塗布工程は、液膜を維持したまま液体を塗布する工程と、液体を粒子化して塗布する工程とを含むとよい。
ウェブは通気性基材であり、液体は電解質溶液であり、前記塗布工程は、通気性基材の一方の面に電解質溶液を塗布充填する工程を含み、前記乾燥工程は、通気性基材の一方の面に塗布充填された電解質溶液の乾燥を促進させる工程を含み、前記方法は、さらに、通気性基材を反転させる工程と、反転された通気性基材の他方の面に電解質溶液を塗布充填する工程と、通気性基材の他方の面に塗布充填された電解質溶液の乾燥を促進させる乾燥工程とを含むとよい。
ウェブは電解質膜であり、液体は電極インクであり、前記塗布工程は、電解質膜の一方の面に所定パターンで電極インクを塗布する工程を含み、前記乾燥工程は、電解質膜の一方の面に塗布された電極インクの乾燥を促進させる工程を含み、前記方法は、さらに、電解質膜の他方の面の同じ位置に前記所定パターンと同じパターンで反対極の電極インクを塗布する工程と、電解質膜の他方の面に塗布された反対極の電極インクの乾燥を促進させる乾燥工程とを含むとよい。
前記正回転工程(S3)の間に前記塗布工程(S3)を行うようにに構成するとよい。
前記正回転工程(S23)は、ウェブを進行方向へ所定距離移動させる移動行程と、ウェブを停止させる停止工程と、前記移動行程及び停止工程を少なくとも一度繰り返す工程(S25)とを含み、前記塗布工程(S24)は、前記停止工程の間にスプレイノズルをトラバースさせながら液体をウェブに塗布する工程を含むとよい。
前記塗布工程(S44)は、スプレイノズルをトラバースさせながら液体をウェブに塗布する工程と、スプレイノズルをウェブの進行方向へ移動させながら液体をウェブに塗布する工程とを含むとよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、循環移動体を逆回転させてウェブを逆送するので、乾燥時間をより長くすることができる。これによって、ウェブを循環移動体に接触させている間に、ウェブに液体を塗布し乾燥させることができる。
また、循環移動体の正回転と逆回転とを繰り返し行うことにより、一つのスプレイノズルだけで、液体の積層塗布をすることができる。これによって、塗布装置を小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を、好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0009】
図1は、実施例1による液体の塗布及び乾燥装置1を示す概略構成図である。
塗布及び乾燥装置1は、回転可能な循環移動体2と、液体を塗布する塗布装置としてのスプレイノズル3と、循環移動体2の内部を真空にするための真空装置(不図示)と、塗布面の近くに空気の流れを形成するための送風装置4とからなる。
循環移動体2は、スクリーンドラム5とシリンダー6とからなり通気性を有する。シリンダー6の外側表面には、軸線方向に延在する複数の溝6aが設けられている。溝6aには、半径方向にシリンダー6を貫通する複数の通気孔6bが設けられている。循環移動体2に、加熱用の熱媒体を通すための油穴(不図示)を設けて、循環移動体2を加熱するようにしてもよい。
送風装置4は、スプレイノズル3の下流側に配置されている。
【0010】
被塗物としてのウェブ7は、巻取り心棒8に巻かれている。巻取り心棒8が矢印Aで示す方向に回転すると、連続ウェブ7は、循環移動体2へ向かって移動する。ウェブ7は、案内ロール9により案内されて循環移動体2に接触して巻きつく。循環移動体2は、通気性を有するので、真空装置(不図示)により循環移動体2の内部2aに真空が形成されるとウェブ7を循環移動体2の表面に吸着する。スプレイノズル3は、液体源(不図示)に接続されている。スプレイノズル3は、循環移動体2に吸着されているウェブ7に向かって液体をスプレイする。
【0011】
ウェブは、長尺な被塗物であればどのようなものであってもよい。ウェブが、通気性基材である場合には、液体はウェブに塗布充填される。ウェブは、離型フィルム、燃料電池ガス拡散層用基材、燃料電池用電解質膜、プラスチックフィルムなどであってもよい。液体は、燃料電池電極インク、電解質溶液、色素増感太陽電池電極材料などであってもよい。
【0012】
送風装置4は、ウェブ7に塗布された液体の近に空気の流れを形成する。塗布直後の風量を多くすることにより、液体の乾燥を促進する。例えば、塗布面の近くの風速を0.5m/s以上に上げるとよい。また、加熱した気体を流すとより乾燥が促進されるので効果的である。
【0013】
ウェブ7に塗布された液体は、案内ロール10に到るまでに、指触乾燥乃至乾燥する。ウェブ7は、矢印Dで示す方向に回転する巻取り心棒11に巻き取られる。
【0014】
以下に、実施例1による塗布及び乾燥方法を説明する。図2は、実施例1による塗布及び乾燥方法の手順を示すフローチャートである。図3は、実施例1による塗布及び乾燥方法を説明する図である。
【0015】
図2のフローチャートを参照して、液体の塗布及び乾燥工程を開始すると(ステップS1)、送風装置4からの送風を開始する(ステップS2)。
循環移動体2を矢印Bで示す方向に正回転させてウェブ7を図3(a)に示すように矢印B1で示す方向に第一距離L1だけ送りながら液体をウェブ7上に塗布する(ステップS3)。第一距離L1は、スプレイノズル3の位置P0から位置P1までの距離である。実施例1においては、スプレイノズル3の位置P0を基準としたが、基準となる位置は任意に設定することができる。ウェブ7上に、第一距離L1の塗膜M1が形成される。
【0016】
送風装置4からの空気の流れにより、塗膜M1の液体から溶媒を蒸発させ乾燥を促進する。
【0017】
ステップS4において、所定の繰り返し回数の塗布工程を行ったかどうかを判断する。所定の繰り返し回数は、必要に応じて10回、20回、100回など任意の回数に設定することができる。実施例1においては、説明のために3回の繰り返し回数とする。3回の繰り返し回数を終了していないので、ステップS5に進む。
【0018】
図3(b)に示すように、循環移動体2を矢印Cで示す方向に逆回転させてウェブ7を矢印C1で示す方向に第二距離L2だけ逆送する(ステップS5)。第二距離L2は、スプレイノズル3の位置P0から位置P2までの距離である。実施例1においては、第一距離L1と第二距離L2とを同じにしているので、塗膜M1の一端が位置P0に他端が位置P2にくる。なお、第一距離L1と第二距離L2とを異ならせてもよい。
【0019】
次に、ステップS3に戻って、所定の繰り返し回数の塗布工程が終了するまで、同様の工程を繰り返す。
すなわち、図3(c)に示すように、循環移動体2を矢印Bで示す方向に正回転させてウェブ7を矢印B1で示す方向に第一距離L1だけ送りながら液体をウェブ7上に塗布して(ステップS3)、塗膜M1の上に塗膜M2を積層する。ステップS4において、繰り返し回数が2回目であるので、ステップS5に進む。図3(d)に示すように、循環移動体2を矢印Cで示す方向に逆回転させてウェブ7を矢印C1で示す方向に第二距離L2だけ逆送する(ステップS5)。再度、ステップS3に戻って、図3(e)に示すように、循環移動体2を矢印Bで示す方向に正回転させてウェブ7を矢印B1で示す方向に第一距離L1だけ送りながら液体をウェブ7上に塗布して(ステップS3)、塗膜M2の上に塗膜M3を積層する。塗布工程の繰り返し数が3回目であるので、ステップS4において、所定の繰り返し回数の塗布工程を終了したと判断して、ステップS6に進む。
【0020】
ステップS6では、塗布を終了するかどうかを判断して、塗布を連続して行う場合には、ステップS7に進む。ステップS7では、図3(f)に示すように、循環移動体2を矢印Bで示す方向に正回転させてウェブ7を矢印B1で示す方向に第三距離L3だけ送る。次に、ステップS3に進み、図3(g)に示すようにウェブ7の次の新たな面に塗布を開始し、前記したように、ステップS3からS5を所定の繰り返し回数の塗布工程が終了するまで繰り返す。
【0021】
一方、ステップS6において、塗布を終了すると判断した場合には、ステップS8に進み、送風装置4からの送風を停止して、液体の塗布及び乾燥工程を終了する(ステップS9)。
【0022】
実施例1においては、循環移動体2を矢印Cで示す方向に逆回転させてウェブ7を矢印C1で示す方向に第二距離L2だけ逆送する(ステップS5)ので、乾燥時間をより長くして乾燥をより確実に行わせることができる。これによって、ウェブを循環移動体に接触させている間に、ウェブに液体を塗布し乾燥させることができる。
また、循環移動体2の正回転(ステップS3)と逆回転(ステップS5)とを繰り返し行うことにより、一つのスプレイノズルだけで、液体の積層塗布をすることができる。
【0023】
実施例1のステップS7において、第三距離L3を零(0)とすることもできる。第三距離L3を零とすることにより、図4に示すように、多層塗膜を連続してウェブ7上に形成することができる。
【0024】
第一距離L1、第二距離L2及び第三距離L3は、ウェブ7の搬送距離を計測して求めてもよいが、循環移動体2の回転角度として設定することもできる。
【0025】
実施例1においては、第一距離L1と第二距離L2とを異ならせることができる。図5は、実施例1において第二距離L2を第一距離L1よりも短くしたときの塗布及び乾燥方法の変形例を説明する図である。
【0026】
図2に示したフローチャートを参照して、液体の塗布及び乾燥工程を開始すると(ステップS1)、送風装置4からの送風を開始する(ステップS2)。
循環移動体2を矢印Bで示す方向に正回転させてウェブ7を図5(a)に示すように矢印B1で示す方向に第一距離L1だけ送りながら液体をウェブ7上に塗布して(ステップS3)、塗膜M1を形成する。
【0027】
送風装置4からの空気の流れにより、塗膜M1の液体から溶媒を蒸発させ乾燥を促進する。
【0028】
ステップS4において、所定の繰り返し回数の塗布工程を行ったかどうかを判断する。前記したものと同様に、所定の繰り返し回数は、必要に応じて10回、20回、100回など任意の回数に設定することができる。本実施例においても、説明のために3回の繰り返し回数とする。3回の繰り返し回数を終了していないので、ステップS5に進む。
【0029】
図5(b)に示すように、循環移動体2を矢印Cで示す方向に逆回転させてウェブ7を矢印C1で示す方向に第二距離L2だけ逆送する(ステップS5)。第二距離L2は、第一距離L1よりも短く設定されているので、塗膜M1の後端TEが位置P2に到達しても塗膜M1の先端LEは位置P0まで戻らない。
【0030】
次に、ステップS3に戻って、所定の繰り返し回数の塗布工程が終了するまで、同様の工程を繰り返す。
すなわち、図5(c)に示すように、循環移動体2を矢印Bで示す方向に正回転させてウェブ7を矢印B1で示す方向に第一距離L1だけ送りながら液体をウェブ7上に塗布して(ステップS3)、塗膜M1の上に塗膜M2を積層する。第一距離L1と第二距離L2とが異なるので、その差(L1−L2)だけオフセットして塗膜M1の上に塗膜M2が形成される。ステップS4において、繰り返し回数が2回目であるので、ステップS5に進む。図5(d)に示すように、循環移動体2を矢印Cで示す方向に逆回転させてウェブ7を矢印C1で示す方向に第二距離L2だけ逆送する(ステップS5)。再度、ステップS3に戻って、図5(e)に示すように、循環移動体2を矢印Bで示す方向に正回転させてウェブ7を矢印B1で示す方向に第一距離L1だけ送りながら液体をウェブ7上に塗布して(ステップS3)、塗膜M2の上に塗膜M3を積層する。塗布工程の繰り返し数が3回目であるので、ステップS4において、所定の繰り返し回数の塗布工程を終了したと判断して、ステップS6に進む。
【0031】
ステップS6では、塗布を終了するかどうかを判断して、塗布を連続して行う場合には、ステップS7に進む。ステップS7では、図5(f)に示すように、循環移動体2を矢印Bで示す方向に正回転させてウェブ7を矢印B1で示す方向に第三距離L3だけ送る。次に、ステップS3に進み、図5(g)に示すようにウェブ7の次ぎの新たな面に塗布を開始し、前記したように、ステップS3からS5を所定の繰り返し回数の塗布工程が終了するまで繰り返す。
【0032】
一方、ステップS6において、塗布を終了すると判断した場合には、ステップS8に進み、送風装置4からの送風を停止して、液体の塗布及び乾燥工程を終了する(ステップS9)。
【0033】
本変形例においても、循環移動体2を矢印Cで示す方向に逆回転させてウェブ7を矢印C1で示す方向に第二距離L2だけ逆送する(ステップS5)ので、乾燥時間をより長くして乾燥をより確実に行わせることができる。
また、循環移動体2の正回転(ステップS3)と逆回転(ステップS5)とを繰り返し行うことにより、一つのスプレイノズルだけで、液体の積層塗布をすることができる。
【0034】
なお、実施例1においては、一つのスプレイノズルだけで、液体の積層塗布をすることができるものであるが、複数のスプレイノズルを循環移動体2の軸線方向に並べて配置しても同様の効果を得られる。また、複数のスプレイノズルを循環移動体2の回転方向に並べて配置した構成においても、本実施例を適用することができる。また、スプレイノズルによるスプレイ方式は、パルススプレイコーティング(登録商標)方法を使用してもよいことは勿論である。この方法を用いれば乾燥塗膜の中にマイクロポア又は所望するポアを効果的に形成させることができるので燃料電池性能を向上させる上で極めて有用である。
【0035】
実施例1では、スプレイノズル3を使用したが、実施例1の発明は、スプレイノズルに限らずスロットノズルを使用した構成にも適用できる。さらに、実施例1の発明は、スプレイノズルとスロットノズルとの両方を使用した構成にも適用することができる。
【0036】
スプレイノズルは、液体を粒子化させるタイプであっても、液体を膜状に付与するタイプであってもよい。前記液体を粒子化させるタイプのものとして本出願人の日本法人であるノードソン株式会社が出願した特開平6−86956号公報に記載されているような貫通型多孔性シートの孔に一旦充填された液体を液化ガス等で圧出させて微粒化させウェブ7に転移させて塗布する、所謂スクリーンスプレイ方式を用いてもよい。スロットノズルは、液体を所定のパターンで液膜状に吐出するタイプであってもよい。図12は、スロットノズルを用い、例えば、実施例1の図3の方法を用いて複数の所定パターンの液膜を形成させる例を示している。図12において、図1に示した実施例1の液体の塗布及び乾燥装置と同様の構成要素については同じ参照符号を付して説明を省略する。液体の塗布及び乾燥装置31は、スロットノズル33を有する。スロットノズル33は、シム(不図示)に複数の開口(不図示)が設けられているので、複数の所望の塗布領域Mに一度に液体を塗布することができる。スロットノズル33は、間欠塗布するように制御できる。したがって、図12に示したような複数の所定パターンの液膜を形成することができる。
【0037】
実施例1では、液体の乾燥を促進するために送風装置4を使用した。送風装置4は、加熱送風装置でもよい。本発明は、これに限らず、循環移動体2を加熱してもよい。循環移動体2の加熱は、循環移動体2の内部に加熱された油を通す通路を設けて伝熱により加熱するものであっても、また、赤外線などの光を液体に照射して乾燥を促進してもよく、また赤外線などの光を循環移動体2に照射して循環移動体2の表面を加熱してもよい。さらにまた、循環移動体2の加熱と伴に送風装置4を使用して液体の乾燥を促進してもよい。
【0038】
実施例1の液体の塗布及び乾燥方法により、燃料電池用MEAを製造する場合には、通気性基材に電解質溶液を塗布充填し乾燥を促進させ、反転させ反対面に電解質溶液を塗布し乾燥させるように構成すればよい。または、電解質膜に電極インクを塗布し乾燥させた後、電解質膜の反対面の同じ位置に同じパターンで反対極の電極インクを塗布し乾燥させるように構成すればよい。
【実施例2】
【0039】
図6は、実施例2による液体の塗布及び乾燥装置21を示す概略構成図である。
塗布及び乾燥装置21は、回転可能な循環移動体2と、液体を塗布する塗布装置としてのスプレイノズル3と、循環移動体2の内部を真空にするための真空装置(V.P.)と、塗布面の近くに空気の流れを形成するための送風装置4とからなる。循環移動体2は、加熱装置(不図示)を設けていてもよい。送風装置4は、スプレイノズル3の下流側に配置されている。
図1に示した実施例1と同様の構成要素については同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0040】
スプレイノズル3は、支持棒22に矢印Xで示す方向に移動可能に取り付けられている。矢印Xで示す方向は、循環移動体2の軸線方向に沿う方向である。本明細書において、矢印Xで示す方向へのスプレイノズル3の移動を「トラバース」という。
【0041】
以下に、実施例2による塗布及び乾燥方法を説明する。図7は、実施例2による塗布及び乾燥方法の手順を示すフローチャートである。図8は、実施例2による塗布及び乾燥方法を説明する図である。
【0042】
図7のフローチャートを参照して、液体の塗布及び乾燥工程を開始すると(ステップS21)、送風装置4からの送風を開始する(ステップS22)。
循環移動体2を矢印Bで示す方向に正回転させてウェブ7を図8(a)に示すように矢印B1で示す方向に第四距離L4だけ送る(ステップS23)。第四距離L4は、スプレイノズル3の位置P0から位置P4までの距離である。実施例2においては、説明のためスプレイノズル3の位置P0を基準としたが、基準となる位置は任意に設定することができる。
【0043】
スプレイノズル3を支持棒22に沿ってトラバースさせながら液体をウェブ7上に塗布し(ステップS24)、ウェブ7上に、第四距離L4の塗膜M1−1を形成する。実施例2においては、塗布幅と第四距離L4とが同じであるとして説明しているが、塗布幅と第四距離L4とは異なってもよい。送風装置4からの空気の流れにより、塗膜M1−1の液体から溶媒を蒸発させ乾燥を促進する。
【0044】
ステップS25において、ウェブ7が第一距離L1だけ送られたかどうか判断する。スプレイノズル3をトラバースする回数は、必要に応じて10回、20回、100回など任意の回数に設定することができる。実施例2においては、説明のためにトラバース回数を3回とする。すなわち、3回トラバースするとウェブ7が第一距離L1だけ送られる。あるいは、ステップS25で、トラバースする回数が所定回数を終了したかどうかを判断するようにしてもよい。3回のトラバースを終了していないので、ステップS23に戻る。
【0045】
図8(b)に示すように、循環移動体2を矢印Bで示す方向に正回転させてウェブ7を矢印B1で示す方向に第四距離L4だけ送り(ステップS23)、スプレイノズル3を支持棒22に沿ってトラバースさせながら液体をウェブ7上に塗布し(ステップS24)、ウェブ7上に塗膜M1−2を形成する。
【0046】
ステップS25において、ウェブ7が第一距離L1だけ送られていないので、再度ステップS23へ戻り、ステップS23及びステップS24を繰り返して図8(c)に示すようにウェブ7上に塗膜M1−3を形成する。
【0047】
ステップS26で、ウェブ7が第一距離L1だけ送られたと判断して(図8(c))ステップS26へ進む。
【0048】
ステップS26において、所定の繰り返し回数の塗布工程を行ったかどうかを判断する。所定の繰り返し回数は、必要に応じて10回、20回、100回など任意の回数に設定することができる。実施例2においては、説明のために3回の繰り返し回数とする。3回の繰り返し回数を終了していないので、ステップS27に進む。
【0049】
図8(d)に示すように、循環移動体2を矢印Cで示す方向に逆回転させてウェブ7を矢印C1で示す方向に第二距離L2だけ逆送する(ステップS27)。第二距離L2は、スプレイノズル3の位置P0から位置P2までの距離である。実施例2においては、第一距離L1と第二距離L2とを同じにしているので、塗膜M1−1の先端が位置P0に塗膜M1−3の後端が位置P2にくる。なお、第一距離L1と第二距離L2とを異ならせてもよいことは実施例1と同様である。
【0050】
次に、ステップS23に戻って、所定の繰り返し回数の塗布工程が終了するまで、ステップS23からステップS27の工程を繰り返す。
すなわち、図8(e)に示すように、循環移動体2を矢印Bで示す方向に正回転させてウェブ7を矢印B1で示す方向に第四距離L4だけ送る(ステップS23)。スプレイノズル3をトラバースしながら液体をウェブ7上に塗布して(ステップS24)、塗膜M1−1の上に塗膜M2−1を積層する。
【0051】
ステップS25で、ウェブ7が第一距離L1だけ送られていないと判断して、ステップS23へ戻る。ステップ23及びステップS24で、図8(f)に示すように、塗膜M1−2の上に塗膜M2−2を積層する。同様にして、ステップS25からステップS23へ戻り、ステップS23及びS24で、図8(g)に示すように、塗膜M1−3の上に塗膜M2−3を積層する。
【0052】
ステップS25で、ウェブ7が第一距離L1だけ送られたと判断して(図8(g))ステップS26へ進む。
【0053】
ステップS26において、繰り返し回数が2回目であるので、ステップS27に進む。
【0054】
図8(h)に示すように、循環移動体2を矢印Cで示す方向に逆回転させてウェブ7を矢印C1で示す方向に第二距離L2だけ逆送する(ステップS27)。
【0055】
同様にして、ステップS23からステップS25を繰り返すことにより、塗膜M2−1、M2−2、及びM2−3の上に、図8(i)に示すように塗膜M3−1、M3−2、及びM3−3をそれぞれ形成する。
塗布工程の繰り返し数が3回目であるので、ステップS26において、所定の繰り返し回数の塗布工程を終了したと判断して、ステップS28に進む。
【0056】
ステップS28では、塗布を終了するかどうかを判断して、塗布を連続して行う場合には、ステップS29に進む。ステップS29では、図8(j)に示すように、循環移動体2を矢印Bで示す方向に正回転させてウェブ7を矢印B1で示す方向に第三距離L3だけ送る。次に、ステップS23に進み、図8(k)に示すようにウェブ7の次の新たな面に塗布を開始し、前記したように、ステップS23からS27を所定の繰り返し回数の塗布工程が終了するまで繰り返す。
【0057】
一方、ステップS28において、塗布を終了すると判断した場合には、ステップS30に進み、送風装置4からの送風を停止して、液体の塗布及び乾燥工程を終了する(ステップS31)。
【0058】
実施例2においては、循環移動体2を矢印Cで示す方向に逆回転させてウェブ7を矢印C1で示す方向に第二距離L2だけ逆送する(ステップS5)ので、乾燥時間をより長くして乾燥をより確実に行わせることができる。これによって、ウェブを循環移動体に接触させている間に、ウェブに液体を塗布し乾燥させることができる。
また、循環移動体2の正回転(ステップS3)と逆回転(ステップS5)とを繰り返し行うことにより、一つのスプレイノズルだけで、液体の積層塗布をすることができる。
【0059】
実施例2のステップS29において、第三距離L3を零(0)とすることもできる。第三距離L3を零とすることにより、多層塗膜を連続してウェブ7上に形成することができる。
【0060】
第一距離L1、第二距離L2、第三距離L3及び第四距離L4は、ウェブ7の搬送距離を計測して求めてもよいが、循環移動体2の回転角度として設定することもできる。
【0061】
実施例2においては、実施例1と同様に第一距離L1と第二距離L2とを異ならせることができる。第二距離L2を第一距離L1よりも短くすることにより、図9に示すように第一層(M1−1〜M1−3)と第二層(M2−1〜M2−3)を第一距離L1と第二距離L2との差(L1−L2)だけオフセットさせることができる。
【実施例3】
【0062】
実施例2においては、図6に示すように、スプレイノズル3を矢印Xで示す方向に沿ってトラバースするように構成した。実施例3においては、スプレイノズル3をトラバースすると伴に、矢印Yで示す方向に沿って進行移動させる構成とした。
【0063】
以下に、実施例3による塗布及び乾燥方法を説明する。図10は、実施例3による塗布及び乾燥方法の手順を示すフローチャートである。図11は、実施例3によるスプレイノズル3の移動軌跡を模式的に示す図である。
【0064】
図10のフローチャートを参照して、液体の塗布及び乾燥工程を開始すると(ステップS41)、送風装置4からの送風を開始する(ステップS42)。
循環移動体2を矢印Bで示す方向に正回転させてウェブ7を図11に示すように矢印B1で示す方向に第一距離L1だけ送る(ステップS43)。
【0065】
循環移動体2を停止させた状態で、スプレイノズル3をX方向へ移動させ、次にY方向へ移動させ、さらに、スプレイノズル3をX方向と反対向きの方向へ移動させ、次にY方向へ移動させ、さらに、スプレイノズル3をX方向へ移動させながら液体をウェブ7上に塗布する(ステップS44)。
【0066】
送風装置4からの空気の流れにより、ウェブ7上に塗布された液体から溶媒を蒸発させ乾燥を促進する。
【0067】
ステップS45において、所定の繰り返し回数の塗布工程を行ったかどうかを判断する。所定の繰り返し回数は、必要に応じて10回、20回、100回など任意の回数に設定することができる。所定の繰り返し回数を終了していないときは、ステップS46に進む。
【0068】
循環移動体2を逆回転させて、図11に示すように、ウェブ7を矢印C1で示す方向に第二距離L2だけ逆送する(ステップS46)。
【0069】
次に、ステップS43に戻って、所定の繰り返し回数の塗布工程が終了するまで、ステップS43からステップS46の工程を繰り返す。すなわち、循環移動体2を正回転させてウェブ7を矢印B1で示す方向に第一距離L1だけ送る(ステップS43)。スプレイノズル3をX方向及びY方向へ移動させながら液体を先の塗膜の上に塗布する(ステップS44)。
【0070】
ステップS45において、所定の繰り返し回数の塗布工程を終了したと判断すると、ステップS47へ進む。
【0071】
ステップS47では、塗布を終了するかどうかを判断して、塗布を連続して行う場合には、ステップS48に進む。ステップS48では、循環移動体2を正回転させてウェブ7を矢印B1で示す方向に第三距離L3だけ送る。次に、ステップS43に進み、前記したように、ステップS43からステップS46を所定の繰り返し回数の塗布工程が終了するまで繰り返す。
【0072】
一方、ステップS47において、塗布を終了すると判断したときは、ステップS49へ進み、送風装置4からの送風を停止して、液体の塗布及び乾燥工程を終了する(ステップS50)。
【0073】
実施例3においては、循環移動体2を逆回転させてウェブ7を矢印C1で示す方向に第二距離L2だけ逆送する(ステップS46)ので、乾燥時間をより長くして乾燥をより確実に行わせることができる。これによって、ウェブを循環移動体に接触させている間に、ウェブに液体を塗布し乾燥させることができる。
また、循環移動体2の正回転(ステップS43)と逆回転(ステップS46)とを繰り返し行うことにより、一つのスプレイノズルだけで、液体の積層塗布をすることができる。
【0074】
実施例3のステップS48において、第三距離L3を零(0)とすることもできる。第三距離L3を零とすることにより、多層塗膜を連続してウェブ7上に形成することができる。
【0075】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、その特徴事項から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施することができる。そのため、前述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、すべて本発明の範囲内のものである。
例えば、本発明における液体の塗布は、粒子化塗布であっても液膜塗布であってもよい。
粒子化塗布としては、エアレススプレイ、エアスプレイ、遠心霧化、超音波、バブラー、インクジェット、あるいはこれらの組み合わせであってもよい。スプレイ方式としては、特表平8−501974号公報又は特開平6−170308号公報に記載されているコントロールコート法も適用できる。
液膜塗布としては、ロールコート、スクリーンコート、リバースコート、スロットノズルコート、あるいはこれらの組み合わせであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】実施例1による液体の塗布及び乾燥装置1を示す概略構成図。
【図2】実施例1による塗布及び乾燥方法の手順を示すフローチャート。
【図3】実施例1による塗布及び乾燥方法を説明する図。
【図4】実施例1により形成された連続多層塗膜を示す図。
【図5】実施例1において第二距離L2を第一距離L1よりも短くしたときの塗布及び乾燥方法の変形例を説明する図。
【図6】実施例2による液体の塗布及び乾燥装置21を示す概略構成図。
【図7】実施例2による塗布及び乾燥方法の手順を示すフローチャート。
【図8】実施例2による塗布及び乾燥方法を説明する図。
【図9】実施例2において第二距離L2を第一距離L1よりも短くしたときの塗布及び乾燥方法により塗布された塗膜を示す図。
【図10】実施例3による塗布及び乾燥方法の手順を示すフローチャート。
【図11】実施例3によるスプレイノズルの移動軌跡を模式的に示す図。
【図12】スロットノズルを用いた液体の塗布及び乾燥装置31を示す概略構成図。
【符号の説明】
【0077】
1,21,31 塗布及び乾燥装置
2 循環移動体
3 スプレイノズル
4 送風装置
7 ウェブ
33 スロットノズル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブが接触している循環移動体を正回転させることによりウェブを進行方向へ移動させる正回転工程と、
ウェブに液体を塗布する塗布工程と、
塗布された液体の乾燥を促進させる乾燥工程と、
循環移動体を逆回転させることによりウェブを進行方向と反対の逆方向へ移動させる逆回転工程とを備え、
前記正回転工程、前記塗布工程、及び前記乾燥工程を少なくとも一度繰り返し行うことを特徴とする液体の塗布及び乾燥方法。
【請求項2】
前記乾燥工程は、循環移動体の内部に設けられた加熱手段から伝熱により加熱する工程、循環移動体の外部に設けられた加熱手段から輻射により加熱する工程、又は、循環移動体の表面に空気流又は加熱空気流を生じさせる工程のいずれかを含むことを特徴とする請求項1に記載の液体の塗布及び乾燥方法。
【請求項3】
循環移動体の表面にウェブを吸着する吸着工程を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体の塗布及び乾燥方法。
【請求項4】
前記正回転工程、前記塗布工程、前記乾燥工程、及び前記逆回転工程からなる一組の工程を2回以上20回未満繰り返す繰り返し工程を含むことを特徴とする請求項1乃至3に記載の液体の塗布及び乾燥方法。
【請求項5】
ウェブは通気性基材であって、液体はウェブに塗布充填されることを特徴とする請求項1乃至4に記載の液体の塗布及び乾燥方法。
【請求項6】
ウェブは離型フィルムであって、液体は燃料電池電極インクであることを特徴とする請求項1乃至4に記載の液体の塗布及び乾燥方法。
【請求項7】
ウェブは燃料電池ガス拡散層用基材であって、液体は燃料電池電極インクであることを特徴とする請求項1乃至4に記載の液体の塗布及び乾燥方法。
【請求項8】
ウェブは燃料電池用電解質膜であって、液体は燃料電池電極インクであることを特徴とする請求項1乃至4に記載の液体の塗布及び乾燥方法。
【請求項9】
前記塗布工程は、液体を粒子化して塗布する工程を含むことを特徴とする請求項1乃至8に記載の液体の塗布及び乾燥方法。
【請求項10】
前記塗布工程は、液膜を維持したまま液体を塗布する工程を含むことを特徴とする請求項1乃至8に記載の液体の塗布及び乾燥方法。
【請求項11】
前記塗布工程は、スロットノズルにより液体を塗布する工程を含むことを特徴とする請求項10に記載の液体の塗布及び乾燥方法。
【請求項12】
前記塗布工程は、液膜を維持したまま液体を塗布する工程と、液体を粒子化して塗布する工程とを含むことを特徴とする請求項5乃至8に記載の液体の塗布及び乾燥方法。
【請求項13】
ウェブは通気性基材であり、
液体は電解質溶液であり、
前記塗布工程は、通気性基材の一方の面に電解質溶液を塗布充填する工程を含み、
前記乾燥工程は、通気性基材の一方の面に塗布充填された電解質溶液の乾燥を促進させる工程を含み、
前記方法は、さらに、
通気性基材を反転させる工程と、
反転された通気性基材の他方の面に電解質溶液を塗布充填する工程と、
通気性基材の他方の面に塗布充填された電解質溶液の乾燥を促進させる乾燥工程とを含むことを特徴とする請求項5、9、10、11、又は12に記載の液体の塗布及び乾燥方法。
【請求項14】
ウェブは電解質膜であり、
液体は電極インクであり、
前記塗布工程は、電解質膜の一方の面に所定パターンで電極インクを塗布する工程を含み、
前記乾燥工程は、電解質膜の一方の面に塗布された電極インクの乾燥を促進させる工程を含み、
前記方法は、さらに、
電解質膜の他方の面の同じ位置に前記所定パターンと同じパターンで反対極の電極インクを塗布する工程と、
電解質膜の他方の面に塗布された反対極の電極インクの乾燥を促進させる乾燥工程とを含むことを特徴とする請求項1、2、3、4、8、9、10、11、又は12に記載の液体の塗布及び乾燥方法。
【請求項15】
前記正回転工程の間に前記塗布工程を行うことを特徴とする請求項1乃至14に記載の液体の塗布及び乾燥方法。
【請求項16】
前記正回転工程は、ウェブを進行方向へ所定距離移動させる移動行程と、ウェブを停止させる停止工程と、前記移動行程及び停止工程を少なくとも一度繰り返す工程とを含み、
前記塗布工程は、前記停止工程の間にスプレイノズルをトラバースさせながら液体をウェブに塗布する工程を含むことを特徴とする請求項1乃至14に記載の液体の塗布及び乾燥方法。
【請求項17】
前記塗布工程は、スプレイノズルをトラバースさせながら液体をウェブに塗布する工程と、スプレイノズルをウェブの進行方向へ移動させながら液体をウェブに塗布する工程とを含むことを特徴とする請求項1乃至14に記載の液体の塗布及び乾燥方法。
【請求項1】
ウェブが接触している循環移動体を正回転させることによりウェブを進行方向へ移動させる正回転工程と、
ウェブに液体を塗布する塗布工程と、
塗布された液体の乾燥を促進させる乾燥工程と、
循環移動体を逆回転させることによりウェブを進行方向と反対の逆方向へ移動させる逆回転工程とを備え、
前記正回転工程、前記塗布工程、及び前記乾燥工程を少なくとも一度繰り返し行うことを特徴とする液体の塗布及び乾燥方法。
【請求項2】
前記乾燥工程は、循環移動体の内部に設けられた加熱手段から伝熱により加熱する工程、循環移動体の外部に設けられた加熱手段から輻射により加熱する工程、又は、循環移動体の表面に空気流又は加熱空気流を生じさせる工程のいずれかを含むことを特徴とする請求項1に記載の液体の塗布及び乾燥方法。
【請求項3】
循環移動体の表面にウェブを吸着する吸着工程を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体の塗布及び乾燥方法。
【請求項4】
前記正回転工程、前記塗布工程、前記乾燥工程、及び前記逆回転工程からなる一組の工程を2回以上20回未満繰り返す繰り返し工程を含むことを特徴とする請求項1乃至3に記載の液体の塗布及び乾燥方法。
【請求項5】
ウェブは通気性基材であって、液体はウェブに塗布充填されることを特徴とする請求項1乃至4に記載の液体の塗布及び乾燥方法。
【請求項6】
ウェブは離型フィルムであって、液体は燃料電池電極インクであることを特徴とする請求項1乃至4に記載の液体の塗布及び乾燥方法。
【請求項7】
ウェブは燃料電池ガス拡散層用基材であって、液体は燃料電池電極インクであることを特徴とする請求項1乃至4に記載の液体の塗布及び乾燥方法。
【請求項8】
ウェブは燃料電池用電解質膜であって、液体は燃料電池電極インクであることを特徴とする請求項1乃至4に記載の液体の塗布及び乾燥方法。
【請求項9】
前記塗布工程は、液体を粒子化して塗布する工程を含むことを特徴とする請求項1乃至8に記載の液体の塗布及び乾燥方法。
【請求項10】
前記塗布工程は、液膜を維持したまま液体を塗布する工程を含むことを特徴とする請求項1乃至8に記載の液体の塗布及び乾燥方法。
【請求項11】
前記塗布工程は、スロットノズルにより液体を塗布する工程を含むことを特徴とする請求項10に記載の液体の塗布及び乾燥方法。
【請求項12】
前記塗布工程は、液膜を維持したまま液体を塗布する工程と、液体を粒子化して塗布する工程とを含むことを特徴とする請求項5乃至8に記載の液体の塗布及び乾燥方法。
【請求項13】
ウェブは通気性基材であり、
液体は電解質溶液であり、
前記塗布工程は、通気性基材の一方の面に電解質溶液を塗布充填する工程を含み、
前記乾燥工程は、通気性基材の一方の面に塗布充填された電解質溶液の乾燥を促進させる工程を含み、
前記方法は、さらに、
通気性基材を反転させる工程と、
反転された通気性基材の他方の面に電解質溶液を塗布充填する工程と、
通気性基材の他方の面に塗布充填された電解質溶液の乾燥を促進させる乾燥工程とを含むことを特徴とする請求項5、9、10、11、又は12に記載の液体の塗布及び乾燥方法。
【請求項14】
ウェブは電解質膜であり、
液体は電極インクであり、
前記塗布工程は、電解質膜の一方の面に所定パターンで電極インクを塗布する工程を含み、
前記乾燥工程は、電解質膜の一方の面に塗布された電極インクの乾燥を促進させる工程を含み、
前記方法は、さらに、
電解質膜の他方の面の同じ位置に前記所定パターンと同じパターンで反対極の電極インクを塗布する工程と、
電解質膜の他方の面に塗布された反対極の電極インクの乾燥を促進させる乾燥工程とを含むことを特徴とする請求項1、2、3、4、8、9、10、11、又は12に記載の液体の塗布及び乾燥方法。
【請求項15】
前記正回転工程の間に前記塗布工程を行うことを特徴とする請求項1乃至14に記載の液体の塗布及び乾燥方法。
【請求項16】
前記正回転工程は、ウェブを進行方向へ所定距離移動させる移動行程と、ウェブを停止させる停止工程と、前記移動行程及び停止工程を少なくとも一度繰り返す工程とを含み、
前記塗布工程は、前記停止工程の間にスプレイノズルをトラバースさせながら液体をウェブに塗布する工程を含むことを特徴とする請求項1乃至14に記載の液体の塗布及び乾燥方法。
【請求項17】
前記塗布工程は、スプレイノズルをトラバースさせながら液体をウェブに塗布する工程と、スプレイノズルをウェブの進行方向へ移動させながら液体をウェブに塗布する工程とを含むことを特徴とする請求項1乃至14に記載の液体の塗布及び乾燥方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−196092(P2007−196092A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−14991(P2006−14991)
【出願日】平成18年1月24日(2006.1.24)
【出願人】(391019120)ノードソン コーポレーション (150)
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月24日(2006.1.24)
【出願人】(391019120)ノードソン コーポレーション (150)
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
【Fターム(参考)】
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