液体の性状変化検出装置及び方法
【課題】 気泡の検出精度を向上させる。
【解決手段】 分注装置の気泡検出部21を、検体11が流通される液通路35を有する気泡検出用セル31と、投光ユニット32と、受光ユニット33とから形成する。両ユニット32,33を、気泡検出用セル31を挟み込むように配置する。気泡検出用セル31を、検体11とほぼ同じ屈折を有する透光性の材料で形成する。気泡検出用セル35を、その液通路35の断面形状が略三角形状になり、且つ検査光Lが投光される接液面35aが検査光Lの光軸Oに対して45の傾き角度を有するように形成する。液通路35内に気泡が混入すると、投光された検査光Lが接液面35aで受光ユニット33に向かう方向とは異なる方向に全反射される。気泡の混入の有無による受光ユニット33での受光量の変化を大きくなるので、気泡の検出精度を向上させることができる。
【解決手段】 分注装置の気泡検出部21を、検体11が流通される液通路35を有する気泡検出用セル31と、投光ユニット32と、受光ユニット33とから形成する。両ユニット32,33を、気泡検出用セル31を挟み込むように配置する。気泡検出用セル31を、検体11とほぼ同じ屈折を有する透光性の材料で形成する。気泡検出用セル35を、その液通路35の断面形状が略三角形状になり、且つ検査光Lが投光される接液面35aが検査光Lの光軸Oに対して45の傾き角度を有するように形成する。液通路35内に気泡が混入すると、投光された検査光Lが接液面35aで受光ユニット33に向かう方向とは異なる方向に全反射される。気泡の混入の有無による受光ユニット33での受光量の変化を大きくなるので、気泡の検出精度を向上させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流通される液体の性状の変化を検出する液体の性状変化検出装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
血液や尿などの検体中に含まれる特定の生化学物質の物質濃度を分析する分析機として生化学分析機が医療機関等でよく用いられている。この生化学分析機は、検体の小滴が点着された検査チップを測定して検体の分析を行う。血液や尿など検体を検査チップに点着させる際には、病気の感染を防ぐために人手を介さずに点着させる必要があり、さらに、正確な分析を行うためには検体を所定量点着させる必要があるので、生化学分析機には分注装置が組み込まれているのが通常である。
【0003】
分注装置は、シリンジポンプ、吸引プローブ、エアチューブ、プローブ移動機構等から構成される。この分注装置は、吸引プローブを用いて検体容器から検体を吸引採取して、この吸引採取された検体を複数の検査チップにそれぞれ所定量点着させる。このとき、検体とともに空気を吸引すると、検体中に気泡が混入してしまう。気泡が混入すると検査チップに点着される検体の量が少なくなり、正確な分析を行えなくなる。そこで、検体を吸引する際に気泡が混入しているか否かなどの検体の性状の変化の有無を検出し、気泡が混入している場合には検体を全て排出した後、再度検体の吸引を行っている。
【0004】
具体的な検出方法としては、特許文献1及び2に記載されているように、エアチューブを透光性材料で形成し、このエアチューブに検査光を投光する。そして、このエアチューブを透過した検査光の屈折率の変化や受光量の変化を測定することで、検体中の気泡の有無を検出する方法がよく知られている。
【特許文献1】特開平5−50009号公報(第3頁、第1図)
【特許文献2】特開2001−336966号公報(第4頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記特許文献1及び2に記載されているような検査光を用いる方法は、気泡の混入の有無による屈折率や受光量の変化が小さいので、検出精度が良くないという問題がある。この検出精度を改善しようとすると、検査光を受光する受光部から出力される受光信号を処理する処理回路やプログラムが複雑になり、分注装置の製造コストが高くなってしまう。
【0006】
また、分注装置を製造する際に、上述の受光部やエアチューブに向けて検査光を投光する投光部の受発光特性のばらつきに応じて、装置ごとに気泡混入の有無を判定するための受光量のしきい値の調整が必要となってしまう。さらに、経時変化により投光部の投光強度や受光部の受光感度が低下した場合には、しきい値の調整をサービスマンに依頼する必要があり、その期間中は分注装置及びこの装置が組み込まれた生化学分析機が使用できなくなるという問題がある。
【0007】
本発明は上記問題を解決するためのものであり、簡単に検出精度を上げることができ、且つ受発光特性のばらつきや経時変化に応じた調整の必要がない液体の性状変化検出装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、液体が流通される透光性の液通路と、前記液通路に向けて光を投光する投光部と、前記液通路を透過した前記光を受光する受光部と、前記受光部で受光される前記光の受光量に基づき、前記液通路内を流通される前記液体の性状の変化を検出する検出部とを有する液体の性状変化検出装置において、前記液通路の断面形状が、前記液体の性状が変化していないときは、前記光を前記受光部に到達させ、且つ前記液体の性状が変化したときは、前記液通路内の屈折率の変化により、前記液通路の接液面で前記光の少なくとも大部分を前記受光部に到達しない方向に屈折または反射可能な形状に形成されていることを特徴とする。
【0009】
前記光は、前記液通路に到達する前に平行光とされていることが好ましい。また、前記液通路は、断面形状が略多角形状に形成され、前記液通路の前記投光部より前記光が投光される側の接液面が、前記光の光軸に対して前記光を前記受光部に到達しない方向に屈折または反射可能な傾き角度を有していることが好ましい。
【0010】
前記液通路は、前記断面形状が略円状に形成され、前記投光部は、前記光の光軸と前記液通路の接液面との成す角度が前記光の大部分を前記受光部に到達しない方向に屈折または反射可能な角度となる位置に配置されていることが好ましい。また、前記液通路の接液面は、前記投光部に対向する光入射面と、前記受光部に対向する光出射面とを有する透光性の筒体の内側面であることが好ましい。
【0011】
前記投光部は、前記光を放射状に投光し、前記光入射面は、前記投光部に向かう方向に凸となるように湾曲され、前記放射状に投光された前記光を平行光にすることが好ましい。また、前記光出射面は、前記受光部に向かう方向に凸となるように湾曲され、前記光出射面より出射される前記光を前記受光部に集光させることが好ましい。
【0012】
前記筒体は、前記液体とほぼ同じ屈折率を有することが好ましい。また、前記投光部及び前記受光部は、前記液通路を挟み込むように配置されていることが好ましい。また、前記検出部は、前記液体中に気泡が混入されているか否かを検出することが好ましい。
【0013】
また、本発明は、投光部から液体が流通される透光性の液通路に向けて光を投光し、受光部で前記液通路を透過した前記光を受光して、その受光量に基づいて前記液通路内を流通される前記液体の性状の変化を検出する液体の性状変化検出方法において、前記液通路の断面形状を、前記液体の性状が変化していないときは、前記光を前記受光部に到達させ、且つ前記液体の性状が変化したときは、前記液通路内の屈折率の変化により、前記液通路の接液面で前記光の少なくとも大部分を前記受光部に到達しない方向に屈折または反射可能な形状に形成して、前記受光部での前記受光量の変化に基づき前記液体の性状の変化を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の液体の性状変化検出装置は、液体が流通される液通路と、光を投光する投光部と、前記液通路を透過した前記光を受光する受光部と、前記受光部での受光量に基づき前記液体の性状の変化を検出する検出部とを有し、前記液通路の断面形状が、前記液体の性状が変化していないときは、前記光を前記受光部に到達させ、且つ前記光の少なくとも大部分を前記受光部に到達しない方向に屈折または反射可能な形状に形成されているので、気泡の混入などの前記液体の性状の変化による前記受光部で受光量の変化を大きくすることができる。その結果、前記受光部より出力される受光信号を処理する処理回路やプログラムを複雑化することなく、前記液体の性状の変化を検出する検出精度を向上させることができる。
【0015】
また、記受光部で受光量の変化を大きくすることができるので、前記投光部や前記受光部の個々の受発光特性のばらつきに伴う調整を装置製造時に行う必要がなくなる。さらに、経時変化により前記投光部の投光強度や、前記受光部の受光感度が低下した場合でも問題なく前記液体の性状の変化を検出することができる。その結果、従来のように前記投光部や前記受光部の投光強度や受光感度が低下したときに、サービスマンに調整を依頼する必要がなくなる。
【0016】
また、本発明の液体の性状変化検出方法は、投光部から液体が流通される液通路に向けて光を投光し、受光部で前記液通路を透過した前記光を受光して、その受光量に基づいて前記液通路内を流通される前記液体の性状の変化を検出する際に、前記液通路の断面形状を、前記液体の性状が変化していないときは、前記光を前記受光部に到達させ、且つ前記液体の性状が変化したときは、前記光の少なくとも大部分を前記受光部に到達しない方向に屈折または反射可能な形状に形成して、前記液体の性状の変化を検出するようにしたので、同様に検出精度を向上させることができる。また、前記投光部や前記受光部の個々の受発光特性のばらつきに伴う調整や、経時変化による調整を行う必要が無くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、分注装置10の概略図を示したものである。この分注装置10は、医療機関や研究所などで用いられる生化学分析機(図示せず)に組み込まれたものである。生化学分析機(図示せず)は、上述したように、血液や尿などの検体11の小滴が点着された検査チップ12a,12bを測定することで、検体11中に含まれる特定の生化学物質の物質濃度を分析する。
【0018】
分注装置10は、検体11が収納された検体収納容器14から検体11を吸引採取して、この採取された検体を検査チップ12a,12bにそれぞれ所定量点着させる。分注装置10は、吸引プローブ15と、エアチューブ16と、シリンジポンプ17と、ポンプ駆動部18と、プローブ移動部19と、圧力センサ20と、気泡検出部21とから構成される。なお、吸引プローブ15に、検体11毎に交換が可能な吸引チップ(図示せず)を挿着してもよい。
【0019】
吸引プローブ15は吸引口(図示せず)を下向きにして設置されており、上部にエアチューブ16の一端が接続されている。エアチューブ16の他端は、検体11の吸引排出機構としてのシリンジポンプ17に接続されている。シリンジポンプ17はポンプ駆動部18により駆動される。ポンプ駆動部18は、モータ23と、このモータ23の回転を往復移動に変換する送りネジ機構24とから構成されている。そして、モータ23を正転または逆転することにより、シリンジポンプ17内のプランジャ25を往復移動させ、吸引プローブ15から検体11の吸引及び排出を行う。なお、モータ23の回転をプランジャ25の往復移動に変換する機構としては、送りネジ機構24に限られず、ボールネジ機構やラックアンドピニオン、その他の変換機構を用いてよい。
【0020】
プローブ移動部19は、図示しない水平移動ユニットと昇降ユニットとを備えている。水平移動ユニットは、吸引プローブ15を検体収納容器14の上方の吸引待機位置、及び各検査チップ12a,12bの上方の第1及び第2点着待機位置に水平移動させる。なお、図中において検査チップは2個しかセットされていないが、必要に応じて1個のみ、または3個以上セットされていてもよい。昇降ユニットは、吸引プローブ15を吸引待機位置と、吸引口が検体収納容器14中の検体11に接液する吸引位置との間で昇降させるとともに、各点着待機位置と、吸引口が検査チップ12a,12bに近接する第1及び第2点着位置との間で昇降させる。
【0021】
吸引プローブ15を吸引位置に移動させる際に、検体収納容器14内に収納されている検体11の液面の高さは容器ごとに異なっている。そのため、降下中の吸引プローブ15の吸引口が検体11の液面に接液したことを検知できるように、エアチューブ16の中間位置に分岐管27を介して圧力センサ20が接続されている。圧力センサ20は、エアチューブ16内の圧力を圧力信号に変換し、この圧力信号を出力する。これにより、吸引プローブ15の吸引口が検体11に接触すると、圧力センサ20による検出圧力が高くなるので、接液したことが検知される。
【0022】
吸引プローブ15の吸引口が検体11に接液したことが検知されると、モータ23が回転駆動されてシリンジポンプ17のプランジャ25が一定量移動され、検体11が吸引プローブ15を介してエアチューブ16内に吸引採取される。この検体11の吸引採取後に、プローブ移動部19により吸引プローブ15は第1点着待機位置を経て第1点着位置に移動される。そして、再びモータ23が回転駆動されてプランジャ25が一定量移動され、検査チップ12aに所定量の検体11が滴下されて点着される。
【0023】
検体11の点着後、吸引プローブ15が第2点着待機位置を経て第2点着位置に移動され、以下同様にして、検査チップ12bに検体11が点着される。検体11が点着された検査チップ12a,12bは、生化学分析機(図示せず)内の所定の測定位置にセットされて、分析機内のチップ検出センサ(図示せず)により測光される。生化学分析機は、チップ検出センサより出力された測光信号に基づき、予め記憶している測光信号と検体中の生化学物質の物質濃度とを参照して所定の生化学分析処理を行う。
【0024】
生化学分析処理では、周知のように、検体11の小滴を点着供給するだけで検体中に含まれている特定の化学成分又は有形成分を定量分析することが可能なドライタイプの乾式分析素子や電解質スライド(乾式イオン選択電極フイルム)などの検査チップを使用することが一般的となっており、乾式分析素子を用いる比色測定法や、電解質スライドを用いる電位差測定法によって検体11中の化学成分等の定量分析を行う。
【0025】
比色測定法を用いる生化学分析処理では、検体を検査チップ(乾式分析素子)12a,12bに点着させた後、これをインキュベータ(恒温器)内で所定時間恒温保持して呈色反応(色素生成反応)させ、予め選定された波長を含む測定用照射光をこの乾式分析素子に投光してその光学濃度を測定し、この光学濃度から生化学物質の物質濃度を求める。一方、電位差測定法を用いる生化学分析装置は、検査チップ(電解質スライド)12a,12bに点着された検体11に、同種の乾式イオン選択電極の2個1組からなる電極対を接触させて、特定イオンの活量をポテンシオメトリで定量分析することによって物質濃度を求める。
【0026】
このような各種測定法を用いて求められる検体11中の生化学物質の物質濃度は、検査チップ12a,12bに検体11を適量点着させることで正確な値が求められる。従って、検体11を吸引採取したときに気泡29(図2参照)が混入すると、検査チップ12a,12bに点着させる検体11の量が少なくなり、正確な分析が行えないおそれがある。そこで、本実施形態では、エアチューブ16の途中に気泡検出部21を設けて、検体11中に気泡29となる空気が混入しているか否かを検出する。
【0027】
図2は、本発明の液体性状判定装置に相当する気泡検出部21の断面図を示したものである。この気泡検出部21は、大別して筒状の気泡検出用セル31、投光ユニット32、受光ユニット33から構成される。
【0028】
気泡検出用セル31は、エアチューブ16の途中に設けられている。この気泡検出用セル31は、検体11とほぼ同じ屈折率を有する透光性の素材、例えばアクリル材などから形成され、検体11を流通させる液通路35となる内側面を有している。液通路35は、その両端がそれぞれエアチューブ16に接続されている。なお、この液通路35の形状については、後述するのでここでは説明を省略する。
【0029】
投光ユニット32及び受光ユニット33は、気泡検出用セル31を挟み込むように配置されている。投光ユニット32は、図示は省略するが検査光を投光する光源と、光源から投光された検査光を平行光に変換するコリメータレンズとから構成され、平行光にされた検査光Lを気泡検出用セル31に向けて投光する。投光ユニット32の光源としては、LED(発光ダイオード)単体やLEDをマトリクス状に配置したもの、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等が用いられる。そして、投光ユニット32より投光された検査光Lは、このユニット32と対向する気泡検出用セル31の光入射面37に垂直に入射する。
【0030】
受光ユニット33は、気泡検出用セル31の光入射面37に対して平行な光出射面38と対向する位置に設けられており、図示は省略するが、受光素子を単体またはマトリクス状に配列させた受光面(図示せず)を備えている。この受光ユニット33は、光出射面38より出射される検査光Lを受光して受光信号を出力する。なお、投光ユニット32及び受光ユニット33を用いる代わりに、投光用光ファイバと受光用光ファイバとからなる1対の光ファイバを用いてよい。
【0031】
投光及び受光ユニット32,33は、気泡検出用セル31内の液通路35を挟み込むように配置されているので、受光ユニットの33の受光状態(受光量)は、液通路35内を流通される検体11中に気泡29が混入しているか否かで変化する。従って、受光ユニット33の受光状態の変化に基づき気泡29の混入の有無を検出可能ではあるが、この際に、気泡29の混入の有無による受光状態の変化が大きくなるほど、より検出精度を上げることができる。
【0032】
そこで、本実施形態では液通路35の断面形状を、気泡混入無しのときにのみ検査光Lが受光ユニット33に到達し、且つ気泡混入有りのときは検査光Lが受光ユニット33に到達しないような形状に形成して、気泡29の混入の有無による受光ユニット33の受光量の変化が大きくなるようにしている。
【0033】
図3及び図4は、気泡検出用セル31を検体11の流通方向に対して垂直な方向に切った断面図であり、図3は気泡混入無しの状態、図4は検体11中に気泡混入有りの状態を示したものである。両図に示すように、本実施形態では液通路35の断面形状を、この液通路35の検査光Lが投光される側の接液面35aが検査光Lの光軸O対して45°の傾き角度を有するように、三角形状に形成している。
【0034】
図3に示すように、検体11中に気泡29が混入されていない場合には、液通路35内は全て検体11で満たされる。この際に、上述したように気泡検出用セル31は、検体11とほぼ同じ屈折率を有するアクリル材で形成されているので、この気泡検出用セル31セル31内の屈折率はほぼ一様になる。従って、投光ユニット32より投光された検査光Lは、光入射面37に垂直に入射した後、そのまま液通路35内を直進して光出射面38より出射され、受光ユニット33に到達する。受光ユニット33は、検査光Lを受光したら受光信号を出力する。
【0035】
図4に示すように、検体11中に混入されている気泡29が液通路35内に混入すると、エアチューブ16の内径は小さく、これに応じて液通路35の幅も狭くなっているので、気泡29により液通路35内がほぼ空気のみとなる。そして、液通路35内がほぼ空気のみになると、液通路35内の屈折率が気泡検出用セル31よりも小さくなる。
【0036】
このときに、気泡検出用セル31と液通路35内の空気との界面となる液通路35の接液面35aが光軸Oに対して45°度傾いているので、光入射面37より入射した検査光Lは、接液面35aで光出射面38とは異なる面に向かう方向に全反射される。特に、検査光Lは平行光であるのでその全てが接液面35aで全反射されて、検査光Lは受光ユニット33には到達しない。従って、液通路35に内に気泡29が混入すると、受光ユニット33より出力される受光信号が一時的にOFFされる。なお、傾き角度θは45°に限定されるものではなく、気泡検出用セル31の屈折率、及び空気の屈折より求められる全反射可能な角度よりも小さく、且つ全反射された検査光Lが受光ユニット33に到達しない角度であれば特に限定はされない。
【0037】
このように、本実施形態では、液通路35を流通される検体11中に気泡29が混入しているときは、液通路35の接液面35aで検査光Lを受光ユニット33に到達しない方向に全反射できるようにしたので、受光ユニット33での受光量の変化を大きくすることができる。その結果、受光ユニット33より出力される受光信号に基づき、気泡29の混入の有無を検出することができる。この受光ユニット33より出力される受光信号は、コントローラ40に送られる。
【0038】
コントローラ40には、上述のプローブ移動部19、圧力センサ20、モータ23、投光ユニット32などの分注装置10の各部の駆動を制御する。このコントローラ40は、本発明の検出部に相当する検出回路42を備えている。
【0039】
検出回路42は、受光ユニット33から出力される受光信号に基づき、この受光信号がOFFされるか否かで、液通路35を通過する検体11中に気泡29が混入されているか否かを検出する。また、この検出回路42は、受光ユニット33からの受光信号がOFFされたままの状態になるか否かで、吸引採取された検体11が全て液通路35を通過したか否かを検出する。これにより、検出回路42は、吸引採取された検体11が全て液通路35を通過するまでの間に受光信号がOFFされるか否かで、この吸引採取された検体11中に気泡29が混入されているか否かを検出する。なお、吸引採取された検体11が全て液通路35を通過したか否かを検出する方法は、上述の方法に限定されるものではなく、例えばモータ23の回転数(プランジャ25の移動量)から求めるようにしてもよい。
【0040】
コントローラ40は、検出回路42により検体11中への気泡29の混入が検出されなかったら、プローブ移動部19を駆動して吸引プローブ15を第1点着位置に移動させて、検査チップ12aに検体11を点着させる。また、コントローラ40は、検体11中への気泡29の混入が検出されたら、吸引された検体11を排出させた後、再度検体11の吸引採取を行う。
【0041】
次に、本実施形態の作用について説明を行う。分注装置10に検体収納容器14及び検査チップ12a,12bがセットされ、オペレータにより運転開始操作がなされたら、コントローラ40は、プローブ移動部19を駆動して吸引待機位置にある吸引プローブ15を下降させる。そして、コントローラ40は、圧力センサ20からの圧力信号に基づき、吸引プローブ15を吸引位置まで移動させる。次いで、コントローラ40は、投光ユニット32を駆動して検査光Lを気泡検出用セル31に向けて投光させた後、モータ23を駆動してシリンジポンプ17内のプランジャ25を移動させて、吸引プローブ15から検体11の吸引採取を行う。
【0042】
吸引プローブ15より吸引された検体11は、エアチューブ16を介して気泡検出用セル31内の液通路35を通過する。このときに、検体11中に気泡29が混入されていなければ、投光ユニット32より投光された検査光Lは、そのまま気泡検出用セル31内を直進して受光ユニット33に到達するので、受光ユニット33より受光信号が出力される(図3参照)。また、検体11中に気泡29が混入されていると、検査光Lは液通路35の接液面35aで受光ユニット33に到達しない方向に全反射されるので、受光ユニット33より出力される受光信号が一時的にOFFされる(図4参照)。
【0043】
検出回路42は、受光ユニット33より出力される受光信号に基づき、吸引採取された検体11が全て液通路35を通過するまでの間に受光信号がOFFされるか否かで、この吸引採取された検体11中に気泡29が混入されているか否かを検出する。
【0044】
コントローラ40は、検出回路42により気泡29の混入が検出されなかったら、プローブ移動部19を駆動して吸引プローブ15を第1点着位置に移動させる。次いで、コントローラ40は、モータ23を駆動してプランジャ25を移動させて、検査チップ12aに所定量の検体11を滴下して点着させる。同様にして検査チップ12bにも検体11を滴下させる。また、コントローラ40は、検出回路42により気泡29の混入が検出されたら、プランジャ25を移動させて検体11を排出させた後、再度検体11の吸引採取を行う。以下、気泡29の混入が検出されなくなるまで、上述の処理を繰り返す。
【0045】
以上のように本実施形態では、液通路35の断面形状を、気泡29の混入無しのときは、投光ユニット32から投光された検査光Lを受光ユニット33に到達させ、気泡29の混入有りのときは、この検査光Lを液通路35の接液面35aで受光ユニット33に到達しない方向に全反射可能な形状に形成したので、気泡29の混入の有無による受光ユニット33での受光量の変化を大きくすることができる。その結果、受光ユニット33より出力される受光信号を処理する処理回路やプログラムを複雑化することなく、気泡混入の有無を検出する検出精度を向上させることができる。
【0046】
また、投光ユニット32から投光される検査光Lが受光ユニット33に到達するか否かで、気泡混入の有無を検出することができるため、両ユニット32,33の個々の受発光特性のばらつきに伴う調整を装置製造時に行う必要がなくなる。さらに、経時変化により両ユニット32,33の投光強度や受光感度が低下した場合でも問題なく気泡混入の有無を検出することができる。その結果、従来のように両ユニット32,33の受光感度や投光強度が低下したときに、サービスマンに調整を依頼する必要がなくなる。
【0047】
検体11が点着された検査チップ12a,12bは、生化学分析機(図示せず)内の所定の測定位置にセットされる。生化学分析機は、検査チップ12a,12bを測光して出力された測光信号に基づき、予め記憶している測光信号と検体11中の生化学物質の物質濃度とを参照して所定の生化学分析処理を行う。
【0048】
なお、上記実施形態では、液通路35の断面形状を略三角形状に形成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、検査光Lが投光される側の接液面が検査光Lを全反射可能な所定の傾き角度(例えば45°)を有するような形状であれば、この液通路の断面形状を四角形などの多角形状や、半円形状などに形成してもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、液通路35の断面形状が検査光Lを全反射可能な形状に形成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図5に示した気泡検出用セル50では、その液通路51の断面形状を、この液通路51が投光ユニット32に向かう方向にくの字型に屈曲された接液面51aを有するように三角形状に形成している。この接液面51aの屈曲角度は、接液面51aで検査光Lを受光ユニット33に到達しない方向に反射可能な角度であれば、その大きさは特に限定はされない。
【0050】
この場合には、検査光Lのほぼ全てが接液面51aで反射されるが、検査光Lの一部は接液面51aの屈曲部分より透過して受光ユニット33に到達してしまう。このときに、受光ユニット33で受光される検査光Lの受光量は、液通路51内が検体11で満たされている場合と比較して非常に少ない。従って、検査光Lの一部が透過したとしても、気泡29の混入の有無による受光ユニット33での受光量の変化は大きくなるので、同様に気泡29の混入の有無を検出する検出精度を向上させることができる。
【0051】
また、例えば、図6に示した気泡検出用セル55のように、その液通路56の検査光Lが投光される側の接液面56aを、受光ユニット33に向かう方向に凸となるようにくの字型に屈曲させてもよい。この場合には、投光ユニット32から投光された検査光Lのほぼ全てが再び投光ユニット32に向かう方向に反射される。同様に、気泡29の混入の有無による受光ユニット33での受光量の変化を大きくすることができる。
【0052】
なお、上記実施形態では、液通路の断面形状を略多角形状に形成しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図7に示した気泡検出用セル58のように液通路59の断面形状を円形状に形成してもよい。この場合には、投光ユニット32及び受光ユニット33の代わりに、投光ユニット60及び受光ユニット61を設ける。投光ユニット60は、検査光Lの光軸と接液面59aとの成す角度が検査光Lの大部分を受光ユニット61に到達しない方向に反射可能な角度となるような位置に配置されている。従って、この場合も気泡29の混入の有無による受光ユニット33での受光量の変化を大きくすることができる。
【0053】
また、上記実施形態では、液通路の断面形状が検査光Lを反射可能な形状に形成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図8の気泡検出用セル63に示すように、液通路64の断面形状を、この液通路64が光軸Oに対して平行な接液面64aを有し、且つ他の接液面64b,64cが光軸Oに対して検査光Lを受光ユニット33に到達しない方向に屈折可能な傾き角度を有するような二等辺三角形状に形成してもよい。この場合も、同様に気泡29の混入の有無による受光ユニット33での受光量の変化を大きくすることができる。
【0054】
なお、上記実施形態では、投光ユニット32として平行光に変換された検査光Lを投光可能なものを用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図9に示すように、検査光Lを放射状に投光する投光ユニット64を用いてもよい。この場合には、気泡検出用セルとして、投光ユニット64に向かう方向に凸となるように湾曲された光入射面65を有する気泡検出用セル66を用いる。光入射面65は、投光ユニット64より放射状に投光された検査光Lを平行光に変換可能な曲率を有している。このように、投光ユニットとして、LED(発光ダイオード)単体やLEDをマトリクス状に配置したもの、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等の光源のみからなる安価なものを使用できるので、装置の製造コストを低く抑えることができる。
【0055】
なお、上記実施形態では、気泡検出用セル31の光出射面38が平面状に形成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば図10に示すように、気泡検出用セルとして、受光ユニット33に向かう方向に凸となるように湾曲された光出射面71を有する気泡検出用セル72を用いてもよい。この場合には、湾曲されている光出射面71がレンズとして機能するので、この光出射面71から出射される検査光Lを受光ユニット33の受光面(図示せず)に集光させることができる。これにより、受光ユニット33への集光効率を向上させることができるので、気泡29の混入の有無による受光ユニット33での受光量の変化をより大きくすることができる。
【0056】
また、図10を用いて説明した実施形態では、平行光に変換された検査光Lを投光する投光ユニット32が用いられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、検査光Lを放射状に投光する投光ユニット64(図9参照)を用いてもよい。この場合には、例えば図11に示すように、気泡検出用セルとして略円筒状の気泡検出用セル75を用いることで、投光ユニット64より放射状に投光された検査光Lを平行光に変換しつつ、受光ユニット33への集光効率を向上させることができる。また、略円筒状の気泡検出用セル75を用いる代わりに、図示は省略するが上述の光入射面65(図9参照)及び光出射面71(図10参照)を有する気泡検出用セルを用いてもよい。
【0057】
なお、上記実施形態では、気泡検出用セル31としてアクリル材等から形成された筒体を用いるようにしているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図12に示すように、液通路79を有する第1筒体80と、この第1筒体80の外側面を覆う第2筒体81と、両筒体80,81の間に充填された液体82とから構成される気泡検出用セル83を用いてもよい。この場合には、両筒体80,81を検体11とほぼ同じ屈折率を有するアクリル材等で形成する。また、液体82としても検体11とほぼ同じ屈折率を有するものを用いる。そして、第1筒体80を、その液通路79の断面形状が上述の液通路35(図3参照)などと同じ形状になるように形成する。これにより、上記各実施形態と同様に、気泡29の混入の有無による受光ユニット33での受光量の変化を大きくすることができる。
【0058】
また、上記実施形態では、エアチューブ16の途中に設けられた気泡検出用セル31に検査光を投光するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、検体11とほぼ同じ屈折率を有する透光性材料で形成され、上述の液通路35と同形状の液通路を有するエアチューブなどの液配管に検査光Lを投光して、気泡29の混入の有無を検出するようにしてもよい。
【0059】
なお、上記実施形態では、プランジャ25の移動に連動して検体11の吸引を行わせる圧力媒体としてエアチューブ16及びシリンジポンプ17内の空気が用いられているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、空気のようには体積が変動しない水などの液体を圧力媒体に用いることで、検体11の吸引量をより正確に制御することができる。以下、図13を用いて圧力媒体に水85を使用する分注装置86について説明を行う。図13中において、上述の分注装置10で説明したものと同じ機能を有するものについては同一符号を付してその説明は省略する。なお、図中の符号87はシール部材である。
【0060】
分注装置86は、図1に示す分注装置10と基本的に同じ構成である。ただし、この分注装置86には、液面検出部88と、エアチューブ16及びシリンジポンプ17内に水85を充填させる水供給ユニット89とが設けられている。液面検出部88は、吸引プローブ15と検体収納容器14内の液面との間の静電容量を検出し、両者間の静電容量の変化に基づき、吸引プローブ15が検体11に接液したことを検知する。
【0061】
水供給ユニット89は、液配管94と、水貯留槽95と、ポンプ96と、電磁弁97と、気泡検出部98とから構成されている。液配管94は、一端が水貯留槽95に接続されて槽内で開口しており、他端が継手部材99を介してシリンジポンプ17に接続されてポンプ17内で開口している。そして、この液配管94の途中にポンプ96と、電磁弁97と、気泡検出部98とが設けられている。
【0062】
ポンプ96は、水貯留槽95に貯留されている水85をシリンジポンプ17内に送液する。電磁弁97は、水85を充填させるときのみ開かれ、検体11の吸引時には閉じられる。気泡検出部98は、液配管94を介してエアチューブ16及びシリンジポンプ17内に充填される水85に気泡29(図2参照)が混入しているか否かを判定する。この気泡検出部98は、上述の気泡検出部21(図2参照)と同じものであり、気泡検出用セル100、投光ユニット101、受光ユニット102などから構成される。
【0063】
分注装置86では、検体11の吸引を行う前に電磁弁97を開くと同時に、ポンプ96を駆動させてエアチューブ16及びシリンジポンプ17内に水85を供給する。この水85の供給は、吸引プローブ15の先端から水が吐出されるまで行われる。これにより、エアチューブ16及びシリンジポンプ17内が水85で充填されたことが確認できる。この際に、気泡検出部98では、投光ユニット101から検査光が気泡検出用セル100に向けて投光される。従って、受光ユニット102で受光される検査光の受光量の変化に基づき、液配管94内を流通される水85中の気泡29の混入の有無を検出できる。なお、気泡検出部21も併用して水85中の気泡29の混入の有無を検出するようにしてもよい。そして、気泡29の混入が検出されたら、同様にプランジャ25を移動させて水85を排出した後、再度水85の吸引採取を行う。
【0064】
供給された水85に気泡29が混入していなかったら、電磁弁97を閉じる。次いで、プランジャ25を移動させて、吸引プローブ15内の水85を検体11の吸引に影響を及ばさない位置、つまり、吸引された検体11と混ざらない位置まで吸引する。これにより、水85を圧力媒体として検体11の吸引を行う準備が完了する。この準備が完了したら、検体収納容器14及び反応容器103が所定位置にセットされる。そして、上述の分注装置10と同様に、検体11の吸引、気泡検出部21による検体11中の気泡29の有無の検出、反応容器103内への検体11の滴下が行われる。この反応容器103には、検体11の滴下前、或いは滴下後に試薬(図示せず)などが滴下されて、種々の試験または検査が行われる。なお、反応容器103の代わりに上述の検査チップ12a,12bがセットされていてもよい。
【0065】
なお、上記実施形態では、気泡検出部21として生化学分析機の分注装置10に組み込まれているものを例に挙げて説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、本発明を微量液体の均一化装置、人工透析機、医療用薬液注入装置、免疫検査装置、インクジェット式プリンタ、塗布装置などの各種装置において、それぞれ流通される各種液体中に気泡が混入しているか否かを判定する場合にも用いることができる。
【0066】
また、上記実施形態では、検体11中の気泡29の有無を判定する場合を例に説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、検体11などの液体の性状の変化の有無を判定する場合にも用いることができる。具体的には、液通路内を流通される各種液体に別種類の液体や異物が混入すると、気泡29が混入した場合と同様に液通路35内の屈折率が変化する。そのため、本発明を上述の各種装置やプラントなどにおいて、その液通路内を流通される各種液体の性状の変化を検出することにも用いることができる
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】分注装置の斜視図を示したものである。
【図2】分注装置の気泡検出部の断面図を示したものである。
【図3】気泡検出用セルを検体の流通方向に対して垂直な方向に切った断面図であり、気泡混入無しの状態を示した図である。
【図4】気泡検出用セルを検体の流通方向に対して垂直な方向に切った断面図であり、気泡混入有りの状態を示した図である。
【図5】投光ユニットに向かう方向にくの字型に屈曲された接液面を有する他の実施形態の気泡検出用セルの断面図である。
【図6】受光ユニットに向かう方向にくの字型に屈曲された接液面を有する他の実施形態の気泡検出用セルの断面図である。
【図7】液通路の断面形状を円状に形成した他の実施形態の気泡検出用セルの断面図である。
【図8】検査光を受光ユニットに到達させない方向に屈折可能な断面形状の液通路を有する他の実施形態の気泡検出用セルの断面図である。
【図9】投光ユニットに向かう方向に凸となるように湾曲された光入射面を有する他の実施形態の気泡検出用セルの断面図である。
【図10】受光ユニットに向かう方向に凸となるように湾曲された光出射面を有する他の実施形態の気泡検出用セルの断面図である。
【図11】円筒状に形成された他の実施形態の気泡検出用セルの断面図である。
【図12】2つの筒体と、両筒体の間に充填された液体とから構成される他の実施形態の気泡検出用セルの断面図である。
【図13】他の実施形態の分注装置の概略図である。
【符号の説明】
【0068】
10 分注装置
11 検体
12a,12b 検査チップ
15 吸引プローブ
16 エアチューブ
21 気泡検出部
31 気泡検出用セル
32 投光ユニット
33 受光ユニット
35 液通路
35a 接液面
42 検出回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、流通される液体の性状の変化を検出する液体の性状変化検出装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
血液や尿などの検体中に含まれる特定の生化学物質の物質濃度を分析する分析機として生化学分析機が医療機関等でよく用いられている。この生化学分析機は、検体の小滴が点着された検査チップを測定して検体の分析を行う。血液や尿など検体を検査チップに点着させる際には、病気の感染を防ぐために人手を介さずに点着させる必要があり、さらに、正確な分析を行うためには検体を所定量点着させる必要があるので、生化学分析機には分注装置が組み込まれているのが通常である。
【0003】
分注装置は、シリンジポンプ、吸引プローブ、エアチューブ、プローブ移動機構等から構成される。この分注装置は、吸引プローブを用いて検体容器から検体を吸引採取して、この吸引採取された検体を複数の検査チップにそれぞれ所定量点着させる。このとき、検体とともに空気を吸引すると、検体中に気泡が混入してしまう。気泡が混入すると検査チップに点着される検体の量が少なくなり、正確な分析を行えなくなる。そこで、検体を吸引する際に気泡が混入しているか否かなどの検体の性状の変化の有無を検出し、気泡が混入している場合には検体を全て排出した後、再度検体の吸引を行っている。
【0004】
具体的な検出方法としては、特許文献1及び2に記載されているように、エアチューブを透光性材料で形成し、このエアチューブに検査光を投光する。そして、このエアチューブを透過した検査光の屈折率の変化や受光量の変化を測定することで、検体中の気泡の有無を検出する方法がよく知られている。
【特許文献1】特開平5−50009号公報(第3頁、第1図)
【特許文献2】特開2001−336966号公報(第4頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記特許文献1及び2に記載されているような検査光を用いる方法は、気泡の混入の有無による屈折率や受光量の変化が小さいので、検出精度が良くないという問題がある。この検出精度を改善しようとすると、検査光を受光する受光部から出力される受光信号を処理する処理回路やプログラムが複雑になり、分注装置の製造コストが高くなってしまう。
【0006】
また、分注装置を製造する際に、上述の受光部やエアチューブに向けて検査光を投光する投光部の受発光特性のばらつきに応じて、装置ごとに気泡混入の有無を判定するための受光量のしきい値の調整が必要となってしまう。さらに、経時変化により投光部の投光強度や受光部の受光感度が低下した場合には、しきい値の調整をサービスマンに依頼する必要があり、その期間中は分注装置及びこの装置が組み込まれた生化学分析機が使用できなくなるという問題がある。
【0007】
本発明は上記問題を解決するためのものであり、簡単に検出精度を上げることができ、且つ受発光特性のばらつきや経時変化に応じた調整の必要がない液体の性状変化検出装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、液体が流通される透光性の液通路と、前記液通路に向けて光を投光する投光部と、前記液通路を透過した前記光を受光する受光部と、前記受光部で受光される前記光の受光量に基づき、前記液通路内を流通される前記液体の性状の変化を検出する検出部とを有する液体の性状変化検出装置において、前記液通路の断面形状が、前記液体の性状が変化していないときは、前記光を前記受光部に到達させ、且つ前記液体の性状が変化したときは、前記液通路内の屈折率の変化により、前記液通路の接液面で前記光の少なくとも大部分を前記受光部に到達しない方向に屈折または反射可能な形状に形成されていることを特徴とする。
【0009】
前記光は、前記液通路に到達する前に平行光とされていることが好ましい。また、前記液通路は、断面形状が略多角形状に形成され、前記液通路の前記投光部より前記光が投光される側の接液面が、前記光の光軸に対して前記光を前記受光部に到達しない方向に屈折または反射可能な傾き角度を有していることが好ましい。
【0010】
前記液通路は、前記断面形状が略円状に形成され、前記投光部は、前記光の光軸と前記液通路の接液面との成す角度が前記光の大部分を前記受光部に到達しない方向に屈折または反射可能な角度となる位置に配置されていることが好ましい。また、前記液通路の接液面は、前記投光部に対向する光入射面と、前記受光部に対向する光出射面とを有する透光性の筒体の内側面であることが好ましい。
【0011】
前記投光部は、前記光を放射状に投光し、前記光入射面は、前記投光部に向かう方向に凸となるように湾曲され、前記放射状に投光された前記光を平行光にすることが好ましい。また、前記光出射面は、前記受光部に向かう方向に凸となるように湾曲され、前記光出射面より出射される前記光を前記受光部に集光させることが好ましい。
【0012】
前記筒体は、前記液体とほぼ同じ屈折率を有することが好ましい。また、前記投光部及び前記受光部は、前記液通路を挟み込むように配置されていることが好ましい。また、前記検出部は、前記液体中に気泡が混入されているか否かを検出することが好ましい。
【0013】
また、本発明は、投光部から液体が流通される透光性の液通路に向けて光を投光し、受光部で前記液通路を透過した前記光を受光して、その受光量に基づいて前記液通路内を流通される前記液体の性状の変化を検出する液体の性状変化検出方法において、前記液通路の断面形状を、前記液体の性状が変化していないときは、前記光を前記受光部に到達させ、且つ前記液体の性状が変化したときは、前記液通路内の屈折率の変化により、前記液通路の接液面で前記光の少なくとも大部分を前記受光部に到達しない方向に屈折または反射可能な形状に形成して、前記受光部での前記受光量の変化に基づき前記液体の性状の変化を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の液体の性状変化検出装置は、液体が流通される液通路と、光を投光する投光部と、前記液通路を透過した前記光を受光する受光部と、前記受光部での受光量に基づき前記液体の性状の変化を検出する検出部とを有し、前記液通路の断面形状が、前記液体の性状が変化していないときは、前記光を前記受光部に到達させ、且つ前記光の少なくとも大部分を前記受光部に到達しない方向に屈折または反射可能な形状に形成されているので、気泡の混入などの前記液体の性状の変化による前記受光部で受光量の変化を大きくすることができる。その結果、前記受光部より出力される受光信号を処理する処理回路やプログラムを複雑化することなく、前記液体の性状の変化を検出する検出精度を向上させることができる。
【0015】
また、記受光部で受光量の変化を大きくすることができるので、前記投光部や前記受光部の個々の受発光特性のばらつきに伴う調整を装置製造時に行う必要がなくなる。さらに、経時変化により前記投光部の投光強度や、前記受光部の受光感度が低下した場合でも問題なく前記液体の性状の変化を検出することができる。その結果、従来のように前記投光部や前記受光部の投光強度や受光感度が低下したときに、サービスマンに調整を依頼する必要がなくなる。
【0016】
また、本発明の液体の性状変化検出方法は、投光部から液体が流通される液通路に向けて光を投光し、受光部で前記液通路を透過した前記光を受光して、その受光量に基づいて前記液通路内を流通される前記液体の性状の変化を検出する際に、前記液通路の断面形状を、前記液体の性状が変化していないときは、前記光を前記受光部に到達させ、且つ前記液体の性状が変化したときは、前記光の少なくとも大部分を前記受光部に到達しない方向に屈折または反射可能な形状に形成して、前記液体の性状の変化を検出するようにしたので、同様に検出精度を向上させることができる。また、前記投光部や前記受光部の個々の受発光特性のばらつきに伴う調整や、経時変化による調整を行う必要が無くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、分注装置10の概略図を示したものである。この分注装置10は、医療機関や研究所などで用いられる生化学分析機(図示せず)に組み込まれたものである。生化学分析機(図示せず)は、上述したように、血液や尿などの検体11の小滴が点着された検査チップ12a,12bを測定することで、検体11中に含まれる特定の生化学物質の物質濃度を分析する。
【0018】
分注装置10は、検体11が収納された検体収納容器14から検体11を吸引採取して、この採取された検体を検査チップ12a,12bにそれぞれ所定量点着させる。分注装置10は、吸引プローブ15と、エアチューブ16と、シリンジポンプ17と、ポンプ駆動部18と、プローブ移動部19と、圧力センサ20と、気泡検出部21とから構成される。なお、吸引プローブ15に、検体11毎に交換が可能な吸引チップ(図示せず)を挿着してもよい。
【0019】
吸引プローブ15は吸引口(図示せず)を下向きにして設置されており、上部にエアチューブ16の一端が接続されている。エアチューブ16の他端は、検体11の吸引排出機構としてのシリンジポンプ17に接続されている。シリンジポンプ17はポンプ駆動部18により駆動される。ポンプ駆動部18は、モータ23と、このモータ23の回転を往復移動に変換する送りネジ機構24とから構成されている。そして、モータ23を正転または逆転することにより、シリンジポンプ17内のプランジャ25を往復移動させ、吸引プローブ15から検体11の吸引及び排出を行う。なお、モータ23の回転をプランジャ25の往復移動に変換する機構としては、送りネジ機構24に限られず、ボールネジ機構やラックアンドピニオン、その他の変換機構を用いてよい。
【0020】
プローブ移動部19は、図示しない水平移動ユニットと昇降ユニットとを備えている。水平移動ユニットは、吸引プローブ15を検体収納容器14の上方の吸引待機位置、及び各検査チップ12a,12bの上方の第1及び第2点着待機位置に水平移動させる。なお、図中において検査チップは2個しかセットされていないが、必要に応じて1個のみ、または3個以上セットされていてもよい。昇降ユニットは、吸引プローブ15を吸引待機位置と、吸引口が検体収納容器14中の検体11に接液する吸引位置との間で昇降させるとともに、各点着待機位置と、吸引口が検査チップ12a,12bに近接する第1及び第2点着位置との間で昇降させる。
【0021】
吸引プローブ15を吸引位置に移動させる際に、検体収納容器14内に収納されている検体11の液面の高さは容器ごとに異なっている。そのため、降下中の吸引プローブ15の吸引口が検体11の液面に接液したことを検知できるように、エアチューブ16の中間位置に分岐管27を介して圧力センサ20が接続されている。圧力センサ20は、エアチューブ16内の圧力を圧力信号に変換し、この圧力信号を出力する。これにより、吸引プローブ15の吸引口が検体11に接触すると、圧力センサ20による検出圧力が高くなるので、接液したことが検知される。
【0022】
吸引プローブ15の吸引口が検体11に接液したことが検知されると、モータ23が回転駆動されてシリンジポンプ17のプランジャ25が一定量移動され、検体11が吸引プローブ15を介してエアチューブ16内に吸引採取される。この検体11の吸引採取後に、プローブ移動部19により吸引プローブ15は第1点着待機位置を経て第1点着位置に移動される。そして、再びモータ23が回転駆動されてプランジャ25が一定量移動され、検査チップ12aに所定量の検体11が滴下されて点着される。
【0023】
検体11の点着後、吸引プローブ15が第2点着待機位置を経て第2点着位置に移動され、以下同様にして、検査チップ12bに検体11が点着される。検体11が点着された検査チップ12a,12bは、生化学分析機(図示せず)内の所定の測定位置にセットされて、分析機内のチップ検出センサ(図示せず)により測光される。生化学分析機は、チップ検出センサより出力された測光信号に基づき、予め記憶している測光信号と検体中の生化学物質の物質濃度とを参照して所定の生化学分析処理を行う。
【0024】
生化学分析処理では、周知のように、検体11の小滴を点着供給するだけで検体中に含まれている特定の化学成分又は有形成分を定量分析することが可能なドライタイプの乾式分析素子や電解質スライド(乾式イオン選択電極フイルム)などの検査チップを使用することが一般的となっており、乾式分析素子を用いる比色測定法や、電解質スライドを用いる電位差測定法によって検体11中の化学成分等の定量分析を行う。
【0025】
比色測定法を用いる生化学分析処理では、検体を検査チップ(乾式分析素子)12a,12bに点着させた後、これをインキュベータ(恒温器)内で所定時間恒温保持して呈色反応(色素生成反応)させ、予め選定された波長を含む測定用照射光をこの乾式分析素子に投光してその光学濃度を測定し、この光学濃度から生化学物質の物質濃度を求める。一方、電位差測定法を用いる生化学分析装置は、検査チップ(電解質スライド)12a,12bに点着された検体11に、同種の乾式イオン選択電極の2個1組からなる電極対を接触させて、特定イオンの活量をポテンシオメトリで定量分析することによって物質濃度を求める。
【0026】
このような各種測定法を用いて求められる検体11中の生化学物質の物質濃度は、検査チップ12a,12bに検体11を適量点着させることで正確な値が求められる。従って、検体11を吸引採取したときに気泡29(図2参照)が混入すると、検査チップ12a,12bに点着させる検体11の量が少なくなり、正確な分析が行えないおそれがある。そこで、本実施形態では、エアチューブ16の途中に気泡検出部21を設けて、検体11中に気泡29となる空気が混入しているか否かを検出する。
【0027】
図2は、本発明の液体性状判定装置に相当する気泡検出部21の断面図を示したものである。この気泡検出部21は、大別して筒状の気泡検出用セル31、投光ユニット32、受光ユニット33から構成される。
【0028】
気泡検出用セル31は、エアチューブ16の途中に設けられている。この気泡検出用セル31は、検体11とほぼ同じ屈折率を有する透光性の素材、例えばアクリル材などから形成され、検体11を流通させる液通路35となる内側面を有している。液通路35は、その両端がそれぞれエアチューブ16に接続されている。なお、この液通路35の形状については、後述するのでここでは説明を省略する。
【0029】
投光ユニット32及び受光ユニット33は、気泡検出用セル31を挟み込むように配置されている。投光ユニット32は、図示は省略するが検査光を投光する光源と、光源から投光された検査光を平行光に変換するコリメータレンズとから構成され、平行光にされた検査光Lを気泡検出用セル31に向けて投光する。投光ユニット32の光源としては、LED(発光ダイオード)単体やLEDをマトリクス状に配置したもの、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等が用いられる。そして、投光ユニット32より投光された検査光Lは、このユニット32と対向する気泡検出用セル31の光入射面37に垂直に入射する。
【0030】
受光ユニット33は、気泡検出用セル31の光入射面37に対して平行な光出射面38と対向する位置に設けられており、図示は省略するが、受光素子を単体またはマトリクス状に配列させた受光面(図示せず)を備えている。この受光ユニット33は、光出射面38より出射される検査光Lを受光して受光信号を出力する。なお、投光ユニット32及び受光ユニット33を用いる代わりに、投光用光ファイバと受光用光ファイバとからなる1対の光ファイバを用いてよい。
【0031】
投光及び受光ユニット32,33は、気泡検出用セル31内の液通路35を挟み込むように配置されているので、受光ユニットの33の受光状態(受光量)は、液通路35内を流通される検体11中に気泡29が混入しているか否かで変化する。従って、受光ユニット33の受光状態の変化に基づき気泡29の混入の有無を検出可能ではあるが、この際に、気泡29の混入の有無による受光状態の変化が大きくなるほど、より検出精度を上げることができる。
【0032】
そこで、本実施形態では液通路35の断面形状を、気泡混入無しのときにのみ検査光Lが受光ユニット33に到達し、且つ気泡混入有りのときは検査光Lが受光ユニット33に到達しないような形状に形成して、気泡29の混入の有無による受光ユニット33の受光量の変化が大きくなるようにしている。
【0033】
図3及び図4は、気泡検出用セル31を検体11の流通方向に対して垂直な方向に切った断面図であり、図3は気泡混入無しの状態、図4は検体11中に気泡混入有りの状態を示したものである。両図に示すように、本実施形態では液通路35の断面形状を、この液通路35の検査光Lが投光される側の接液面35aが検査光Lの光軸O対して45°の傾き角度を有するように、三角形状に形成している。
【0034】
図3に示すように、検体11中に気泡29が混入されていない場合には、液通路35内は全て検体11で満たされる。この際に、上述したように気泡検出用セル31は、検体11とほぼ同じ屈折率を有するアクリル材で形成されているので、この気泡検出用セル31セル31内の屈折率はほぼ一様になる。従って、投光ユニット32より投光された検査光Lは、光入射面37に垂直に入射した後、そのまま液通路35内を直進して光出射面38より出射され、受光ユニット33に到達する。受光ユニット33は、検査光Lを受光したら受光信号を出力する。
【0035】
図4に示すように、検体11中に混入されている気泡29が液通路35内に混入すると、エアチューブ16の内径は小さく、これに応じて液通路35の幅も狭くなっているので、気泡29により液通路35内がほぼ空気のみとなる。そして、液通路35内がほぼ空気のみになると、液通路35内の屈折率が気泡検出用セル31よりも小さくなる。
【0036】
このときに、気泡検出用セル31と液通路35内の空気との界面となる液通路35の接液面35aが光軸Oに対して45°度傾いているので、光入射面37より入射した検査光Lは、接液面35aで光出射面38とは異なる面に向かう方向に全反射される。特に、検査光Lは平行光であるのでその全てが接液面35aで全反射されて、検査光Lは受光ユニット33には到達しない。従って、液通路35に内に気泡29が混入すると、受光ユニット33より出力される受光信号が一時的にOFFされる。なお、傾き角度θは45°に限定されるものではなく、気泡検出用セル31の屈折率、及び空気の屈折より求められる全反射可能な角度よりも小さく、且つ全反射された検査光Lが受光ユニット33に到達しない角度であれば特に限定はされない。
【0037】
このように、本実施形態では、液通路35を流通される検体11中に気泡29が混入しているときは、液通路35の接液面35aで検査光Lを受光ユニット33に到達しない方向に全反射できるようにしたので、受光ユニット33での受光量の変化を大きくすることができる。その結果、受光ユニット33より出力される受光信号に基づき、気泡29の混入の有無を検出することができる。この受光ユニット33より出力される受光信号は、コントローラ40に送られる。
【0038】
コントローラ40には、上述のプローブ移動部19、圧力センサ20、モータ23、投光ユニット32などの分注装置10の各部の駆動を制御する。このコントローラ40は、本発明の検出部に相当する検出回路42を備えている。
【0039】
検出回路42は、受光ユニット33から出力される受光信号に基づき、この受光信号がOFFされるか否かで、液通路35を通過する検体11中に気泡29が混入されているか否かを検出する。また、この検出回路42は、受光ユニット33からの受光信号がOFFされたままの状態になるか否かで、吸引採取された検体11が全て液通路35を通過したか否かを検出する。これにより、検出回路42は、吸引採取された検体11が全て液通路35を通過するまでの間に受光信号がOFFされるか否かで、この吸引採取された検体11中に気泡29が混入されているか否かを検出する。なお、吸引採取された検体11が全て液通路35を通過したか否かを検出する方法は、上述の方法に限定されるものではなく、例えばモータ23の回転数(プランジャ25の移動量)から求めるようにしてもよい。
【0040】
コントローラ40は、検出回路42により検体11中への気泡29の混入が検出されなかったら、プローブ移動部19を駆動して吸引プローブ15を第1点着位置に移動させて、検査チップ12aに検体11を点着させる。また、コントローラ40は、検体11中への気泡29の混入が検出されたら、吸引された検体11を排出させた後、再度検体11の吸引採取を行う。
【0041】
次に、本実施形態の作用について説明を行う。分注装置10に検体収納容器14及び検査チップ12a,12bがセットされ、オペレータにより運転開始操作がなされたら、コントローラ40は、プローブ移動部19を駆動して吸引待機位置にある吸引プローブ15を下降させる。そして、コントローラ40は、圧力センサ20からの圧力信号に基づき、吸引プローブ15を吸引位置まで移動させる。次いで、コントローラ40は、投光ユニット32を駆動して検査光Lを気泡検出用セル31に向けて投光させた後、モータ23を駆動してシリンジポンプ17内のプランジャ25を移動させて、吸引プローブ15から検体11の吸引採取を行う。
【0042】
吸引プローブ15より吸引された検体11は、エアチューブ16を介して気泡検出用セル31内の液通路35を通過する。このときに、検体11中に気泡29が混入されていなければ、投光ユニット32より投光された検査光Lは、そのまま気泡検出用セル31内を直進して受光ユニット33に到達するので、受光ユニット33より受光信号が出力される(図3参照)。また、検体11中に気泡29が混入されていると、検査光Lは液通路35の接液面35aで受光ユニット33に到達しない方向に全反射されるので、受光ユニット33より出力される受光信号が一時的にOFFされる(図4参照)。
【0043】
検出回路42は、受光ユニット33より出力される受光信号に基づき、吸引採取された検体11が全て液通路35を通過するまでの間に受光信号がOFFされるか否かで、この吸引採取された検体11中に気泡29が混入されているか否かを検出する。
【0044】
コントローラ40は、検出回路42により気泡29の混入が検出されなかったら、プローブ移動部19を駆動して吸引プローブ15を第1点着位置に移動させる。次いで、コントローラ40は、モータ23を駆動してプランジャ25を移動させて、検査チップ12aに所定量の検体11を滴下して点着させる。同様にして検査チップ12bにも検体11を滴下させる。また、コントローラ40は、検出回路42により気泡29の混入が検出されたら、プランジャ25を移動させて検体11を排出させた後、再度検体11の吸引採取を行う。以下、気泡29の混入が検出されなくなるまで、上述の処理を繰り返す。
【0045】
以上のように本実施形態では、液通路35の断面形状を、気泡29の混入無しのときは、投光ユニット32から投光された検査光Lを受光ユニット33に到達させ、気泡29の混入有りのときは、この検査光Lを液通路35の接液面35aで受光ユニット33に到達しない方向に全反射可能な形状に形成したので、気泡29の混入の有無による受光ユニット33での受光量の変化を大きくすることができる。その結果、受光ユニット33より出力される受光信号を処理する処理回路やプログラムを複雑化することなく、気泡混入の有無を検出する検出精度を向上させることができる。
【0046】
また、投光ユニット32から投光される検査光Lが受光ユニット33に到達するか否かで、気泡混入の有無を検出することができるため、両ユニット32,33の個々の受発光特性のばらつきに伴う調整を装置製造時に行う必要がなくなる。さらに、経時変化により両ユニット32,33の投光強度や受光感度が低下した場合でも問題なく気泡混入の有無を検出することができる。その結果、従来のように両ユニット32,33の受光感度や投光強度が低下したときに、サービスマンに調整を依頼する必要がなくなる。
【0047】
検体11が点着された検査チップ12a,12bは、生化学分析機(図示せず)内の所定の測定位置にセットされる。生化学分析機は、検査チップ12a,12bを測光して出力された測光信号に基づき、予め記憶している測光信号と検体11中の生化学物質の物質濃度とを参照して所定の生化学分析処理を行う。
【0048】
なお、上記実施形態では、液通路35の断面形状を略三角形状に形成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、検査光Lが投光される側の接液面が検査光Lを全反射可能な所定の傾き角度(例えば45°)を有するような形状であれば、この液通路の断面形状を四角形などの多角形状や、半円形状などに形成してもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、液通路35の断面形状が検査光Lを全反射可能な形状に形成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図5に示した気泡検出用セル50では、その液通路51の断面形状を、この液通路51が投光ユニット32に向かう方向にくの字型に屈曲された接液面51aを有するように三角形状に形成している。この接液面51aの屈曲角度は、接液面51aで検査光Lを受光ユニット33に到達しない方向に反射可能な角度であれば、その大きさは特に限定はされない。
【0050】
この場合には、検査光Lのほぼ全てが接液面51aで反射されるが、検査光Lの一部は接液面51aの屈曲部分より透過して受光ユニット33に到達してしまう。このときに、受光ユニット33で受光される検査光Lの受光量は、液通路51内が検体11で満たされている場合と比較して非常に少ない。従って、検査光Lの一部が透過したとしても、気泡29の混入の有無による受光ユニット33での受光量の変化は大きくなるので、同様に気泡29の混入の有無を検出する検出精度を向上させることができる。
【0051】
また、例えば、図6に示した気泡検出用セル55のように、その液通路56の検査光Lが投光される側の接液面56aを、受光ユニット33に向かう方向に凸となるようにくの字型に屈曲させてもよい。この場合には、投光ユニット32から投光された検査光Lのほぼ全てが再び投光ユニット32に向かう方向に反射される。同様に、気泡29の混入の有無による受光ユニット33での受光量の変化を大きくすることができる。
【0052】
なお、上記実施形態では、液通路の断面形状を略多角形状に形成しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図7に示した気泡検出用セル58のように液通路59の断面形状を円形状に形成してもよい。この場合には、投光ユニット32及び受光ユニット33の代わりに、投光ユニット60及び受光ユニット61を設ける。投光ユニット60は、検査光Lの光軸と接液面59aとの成す角度が検査光Lの大部分を受光ユニット61に到達しない方向に反射可能な角度となるような位置に配置されている。従って、この場合も気泡29の混入の有無による受光ユニット33での受光量の変化を大きくすることができる。
【0053】
また、上記実施形態では、液通路の断面形状が検査光Lを反射可能な形状に形成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図8の気泡検出用セル63に示すように、液通路64の断面形状を、この液通路64が光軸Oに対して平行な接液面64aを有し、且つ他の接液面64b,64cが光軸Oに対して検査光Lを受光ユニット33に到達しない方向に屈折可能な傾き角度を有するような二等辺三角形状に形成してもよい。この場合も、同様に気泡29の混入の有無による受光ユニット33での受光量の変化を大きくすることができる。
【0054】
なお、上記実施形態では、投光ユニット32として平行光に変換された検査光Lを投光可能なものを用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図9に示すように、検査光Lを放射状に投光する投光ユニット64を用いてもよい。この場合には、気泡検出用セルとして、投光ユニット64に向かう方向に凸となるように湾曲された光入射面65を有する気泡検出用セル66を用いる。光入射面65は、投光ユニット64より放射状に投光された検査光Lを平行光に変換可能な曲率を有している。このように、投光ユニットとして、LED(発光ダイオード)単体やLEDをマトリクス状に配置したもの、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等の光源のみからなる安価なものを使用できるので、装置の製造コストを低く抑えることができる。
【0055】
なお、上記実施形態では、気泡検出用セル31の光出射面38が平面状に形成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば図10に示すように、気泡検出用セルとして、受光ユニット33に向かう方向に凸となるように湾曲された光出射面71を有する気泡検出用セル72を用いてもよい。この場合には、湾曲されている光出射面71がレンズとして機能するので、この光出射面71から出射される検査光Lを受光ユニット33の受光面(図示せず)に集光させることができる。これにより、受光ユニット33への集光効率を向上させることができるので、気泡29の混入の有無による受光ユニット33での受光量の変化をより大きくすることができる。
【0056】
また、図10を用いて説明した実施形態では、平行光に変換された検査光Lを投光する投光ユニット32が用いられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、検査光Lを放射状に投光する投光ユニット64(図9参照)を用いてもよい。この場合には、例えば図11に示すように、気泡検出用セルとして略円筒状の気泡検出用セル75を用いることで、投光ユニット64より放射状に投光された検査光Lを平行光に変換しつつ、受光ユニット33への集光効率を向上させることができる。また、略円筒状の気泡検出用セル75を用いる代わりに、図示は省略するが上述の光入射面65(図9参照)及び光出射面71(図10参照)を有する気泡検出用セルを用いてもよい。
【0057】
なお、上記実施形態では、気泡検出用セル31としてアクリル材等から形成された筒体を用いるようにしているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図12に示すように、液通路79を有する第1筒体80と、この第1筒体80の外側面を覆う第2筒体81と、両筒体80,81の間に充填された液体82とから構成される気泡検出用セル83を用いてもよい。この場合には、両筒体80,81を検体11とほぼ同じ屈折率を有するアクリル材等で形成する。また、液体82としても検体11とほぼ同じ屈折率を有するものを用いる。そして、第1筒体80を、その液通路79の断面形状が上述の液通路35(図3参照)などと同じ形状になるように形成する。これにより、上記各実施形態と同様に、気泡29の混入の有無による受光ユニット33での受光量の変化を大きくすることができる。
【0058】
また、上記実施形態では、エアチューブ16の途中に設けられた気泡検出用セル31に検査光を投光するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、検体11とほぼ同じ屈折率を有する透光性材料で形成され、上述の液通路35と同形状の液通路を有するエアチューブなどの液配管に検査光Lを投光して、気泡29の混入の有無を検出するようにしてもよい。
【0059】
なお、上記実施形態では、プランジャ25の移動に連動して検体11の吸引を行わせる圧力媒体としてエアチューブ16及びシリンジポンプ17内の空気が用いられているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、空気のようには体積が変動しない水などの液体を圧力媒体に用いることで、検体11の吸引量をより正確に制御することができる。以下、図13を用いて圧力媒体に水85を使用する分注装置86について説明を行う。図13中において、上述の分注装置10で説明したものと同じ機能を有するものについては同一符号を付してその説明は省略する。なお、図中の符号87はシール部材である。
【0060】
分注装置86は、図1に示す分注装置10と基本的に同じ構成である。ただし、この分注装置86には、液面検出部88と、エアチューブ16及びシリンジポンプ17内に水85を充填させる水供給ユニット89とが設けられている。液面検出部88は、吸引プローブ15と検体収納容器14内の液面との間の静電容量を検出し、両者間の静電容量の変化に基づき、吸引プローブ15が検体11に接液したことを検知する。
【0061】
水供給ユニット89は、液配管94と、水貯留槽95と、ポンプ96と、電磁弁97と、気泡検出部98とから構成されている。液配管94は、一端が水貯留槽95に接続されて槽内で開口しており、他端が継手部材99を介してシリンジポンプ17に接続されてポンプ17内で開口している。そして、この液配管94の途中にポンプ96と、電磁弁97と、気泡検出部98とが設けられている。
【0062】
ポンプ96は、水貯留槽95に貯留されている水85をシリンジポンプ17内に送液する。電磁弁97は、水85を充填させるときのみ開かれ、検体11の吸引時には閉じられる。気泡検出部98は、液配管94を介してエアチューブ16及びシリンジポンプ17内に充填される水85に気泡29(図2参照)が混入しているか否かを判定する。この気泡検出部98は、上述の気泡検出部21(図2参照)と同じものであり、気泡検出用セル100、投光ユニット101、受光ユニット102などから構成される。
【0063】
分注装置86では、検体11の吸引を行う前に電磁弁97を開くと同時に、ポンプ96を駆動させてエアチューブ16及びシリンジポンプ17内に水85を供給する。この水85の供給は、吸引プローブ15の先端から水が吐出されるまで行われる。これにより、エアチューブ16及びシリンジポンプ17内が水85で充填されたことが確認できる。この際に、気泡検出部98では、投光ユニット101から検査光が気泡検出用セル100に向けて投光される。従って、受光ユニット102で受光される検査光の受光量の変化に基づき、液配管94内を流通される水85中の気泡29の混入の有無を検出できる。なお、気泡検出部21も併用して水85中の気泡29の混入の有無を検出するようにしてもよい。そして、気泡29の混入が検出されたら、同様にプランジャ25を移動させて水85を排出した後、再度水85の吸引採取を行う。
【0064】
供給された水85に気泡29が混入していなかったら、電磁弁97を閉じる。次いで、プランジャ25を移動させて、吸引プローブ15内の水85を検体11の吸引に影響を及ばさない位置、つまり、吸引された検体11と混ざらない位置まで吸引する。これにより、水85を圧力媒体として検体11の吸引を行う準備が完了する。この準備が完了したら、検体収納容器14及び反応容器103が所定位置にセットされる。そして、上述の分注装置10と同様に、検体11の吸引、気泡検出部21による検体11中の気泡29の有無の検出、反応容器103内への検体11の滴下が行われる。この反応容器103には、検体11の滴下前、或いは滴下後に試薬(図示せず)などが滴下されて、種々の試験または検査が行われる。なお、反応容器103の代わりに上述の検査チップ12a,12bがセットされていてもよい。
【0065】
なお、上記実施形態では、気泡検出部21として生化学分析機の分注装置10に組み込まれているものを例に挙げて説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、本発明を微量液体の均一化装置、人工透析機、医療用薬液注入装置、免疫検査装置、インクジェット式プリンタ、塗布装置などの各種装置において、それぞれ流通される各種液体中に気泡が混入しているか否かを判定する場合にも用いることができる。
【0066】
また、上記実施形態では、検体11中の気泡29の有無を判定する場合を例に説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、検体11などの液体の性状の変化の有無を判定する場合にも用いることができる。具体的には、液通路内を流通される各種液体に別種類の液体や異物が混入すると、気泡29が混入した場合と同様に液通路35内の屈折率が変化する。そのため、本発明を上述の各種装置やプラントなどにおいて、その液通路内を流通される各種液体の性状の変化を検出することにも用いることができる
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】分注装置の斜視図を示したものである。
【図2】分注装置の気泡検出部の断面図を示したものである。
【図3】気泡検出用セルを検体の流通方向に対して垂直な方向に切った断面図であり、気泡混入無しの状態を示した図である。
【図4】気泡検出用セルを検体の流通方向に対して垂直な方向に切った断面図であり、気泡混入有りの状態を示した図である。
【図5】投光ユニットに向かう方向にくの字型に屈曲された接液面を有する他の実施形態の気泡検出用セルの断面図である。
【図6】受光ユニットに向かう方向にくの字型に屈曲された接液面を有する他の実施形態の気泡検出用セルの断面図である。
【図7】液通路の断面形状を円状に形成した他の実施形態の気泡検出用セルの断面図である。
【図8】検査光を受光ユニットに到達させない方向に屈折可能な断面形状の液通路を有する他の実施形態の気泡検出用セルの断面図である。
【図9】投光ユニットに向かう方向に凸となるように湾曲された光入射面を有する他の実施形態の気泡検出用セルの断面図である。
【図10】受光ユニットに向かう方向に凸となるように湾曲された光出射面を有する他の実施形態の気泡検出用セルの断面図である。
【図11】円筒状に形成された他の実施形態の気泡検出用セルの断面図である。
【図12】2つの筒体と、両筒体の間に充填された液体とから構成される他の実施形態の気泡検出用セルの断面図である。
【図13】他の実施形態の分注装置の概略図である。
【符号の説明】
【0068】
10 分注装置
11 検体
12a,12b 検査チップ
15 吸引プローブ
16 エアチューブ
21 気泡検出部
31 気泡検出用セル
32 投光ユニット
33 受光ユニット
35 液通路
35a 接液面
42 検出回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が流通される透光性の液通路と、前記液通路に向けて光を投光する投光部と、前記液通路を透過した前記光を受光する受光部と、前記受光部で受光される前記光の受光量に基づき、前記液通路内を流通される前記液体の性状の変化を検出する検出部とを有する液体の性状変化検出装置において、
前記液通路の断面形状が、前記液体の性状が変化していないときは、前記光を前記受光部に到達させ、且つ前記液体の性状が変化したときは、前記液通路内の屈折率の変化により、前記液通路の接液面で前記光の少なくとも大部分を前記受光部に到達しない方向に屈折または反射可能な形状に形成されていることを特徴とする液体の性状変化検出装置。
【請求項2】
前記光は、前記液通路に到達する前に平行光とされていることを特徴とする請求項1記載の液体の性状変化検出装置。
【請求項3】
前記液通路は、断面形状が略多角形状に形成され、
前記液通路の前記投光部より前記光が投光される側の接液面が、前記光の光軸に対して前記光を前記受光部に到達しない方向に屈折または反射可能な傾き角度を有していることを特徴とする請求項1または2記載の液体の性状変化検出装置。
【請求項4】
前記液通路は、前記断面形状が略円状に形成され、
前記投光部は、前記光の光軸と前記液通路の接液面との成す角度が前記光の大部分を前記受光部に到達しない方向に屈折または反射可能な角度となる位置に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の液体の性状変化検出装置。
【請求項5】
前記液通路の接液面は、前記投光部に対向する光入射面と、前記受光部に対向する光出射面とを有する透光性の筒体の内側面であることを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項記載の液体の性状変化検出装置。
【請求項6】
前記投光部は、前記光を放射状に投光し、
前記光入射面は、前記投光部に向かう方向に凸となるように湾曲され、前記放射状に投光された前記光を平行光にすることを特徴とする請求項5記載の液体の性状変化検出装置。
【請求項7】
前記光出射面は、前記受光部に向かう方向に凸となるように湾曲され、前記光出射面より出射される前記光を前記受光部に集光させることを特徴とする請求項5または6記載の液体の性状変化検出装置。
【請求項8】
前記筒体は、前記液体とほぼ同じ屈折率を有することを特徴とする請求項5ないし7いずれか1項記載の液体の性状変化検出装置。
【請求項9】
前記投光部及び前記受光部は、前記液通路を挟み込むように配置されていることを特徴とする請求項8記載の液体の性状変化検出装置。
【請求項10】
前記検出部は、前記液体中に気泡が混入されているか否かを検出することを特徴とする1ないし9いずれか1項記載の液体の性状変化検出装置。
【請求項11】
投光部から液体が流通される透光性の液通路に向けて光を投光し、受光部で前記液通路を透過した前記光を受光して、その受光量に基づいて前記液通路内を流通される前記液体の性状の変化を検出する液体の性状変化検出方法において、
前記液通路の断面形状を、前記液体の性状が変化していないときは、前記光を前記受光部に到達させ、且つ前記液体の性状が変化したときは、前記液通路内の屈折率の変化により、前記液通路の接液面で前記光の少なくとも大部分を前記受光部に到達しない方向に屈折または反射可能な形状に形成して、前記受光部での前記受光量の変化に基づき前記液体の性状の変化を検出することを特徴とする液体の性状変化検出方法。
【請求項1】
液体が流通される透光性の液通路と、前記液通路に向けて光を投光する投光部と、前記液通路を透過した前記光を受光する受光部と、前記受光部で受光される前記光の受光量に基づき、前記液通路内を流通される前記液体の性状の変化を検出する検出部とを有する液体の性状変化検出装置において、
前記液通路の断面形状が、前記液体の性状が変化していないときは、前記光を前記受光部に到達させ、且つ前記液体の性状が変化したときは、前記液通路内の屈折率の変化により、前記液通路の接液面で前記光の少なくとも大部分を前記受光部に到達しない方向に屈折または反射可能な形状に形成されていることを特徴とする液体の性状変化検出装置。
【請求項2】
前記光は、前記液通路に到達する前に平行光とされていることを特徴とする請求項1記載の液体の性状変化検出装置。
【請求項3】
前記液通路は、断面形状が略多角形状に形成され、
前記液通路の前記投光部より前記光が投光される側の接液面が、前記光の光軸に対して前記光を前記受光部に到達しない方向に屈折または反射可能な傾き角度を有していることを特徴とする請求項1または2記載の液体の性状変化検出装置。
【請求項4】
前記液通路は、前記断面形状が略円状に形成され、
前記投光部は、前記光の光軸と前記液通路の接液面との成す角度が前記光の大部分を前記受光部に到達しない方向に屈折または反射可能な角度となる位置に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の液体の性状変化検出装置。
【請求項5】
前記液通路の接液面は、前記投光部に対向する光入射面と、前記受光部に対向する光出射面とを有する透光性の筒体の内側面であることを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項記載の液体の性状変化検出装置。
【請求項6】
前記投光部は、前記光を放射状に投光し、
前記光入射面は、前記投光部に向かう方向に凸となるように湾曲され、前記放射状に投光された前記光を平行光にすることを特徴とする請求項5記載の液体の性状変化検出装置。
【請求項7】
前記光出射面は、前記受光部に向かう方向に凸となるように湾曲され、前記光出射面より出射される前記光を前記受光部に集光させることを特徴とする請求項5または6記載の液体の性状変化検出装置。
【請求項8】
前記筒体は、前記液体とほぼ同じ屈折率を有することを特徴とする請求項5ないし7いずれか1項記載の液体の性状変化検出装置。
【請求項9】
前記投光部及び前記受光部は、前記液通路を挟み込むように配置されていることを特徴とする請求項8記載の液体の性状変化検出装置。
【請求項10】
前記検出部は、前記液体中に気泡が混入されているか否かを検出することを特徴とする1ないし9いずれか1項記載の液体の性状変化検出装置。
【請求項11】
投光部から液体が流通される透光性の液通路に向けて光を投光し、受光部で前記液通路を透過した前記光を受光して、その受光量に基づいて前記液通路内を流通される前記液体の性状の変化を検出する液体の性状変化検出方法において、
前記液通路の断面形状を、前記液体の性状が変化していないときは、前記光を前記受光部に到達させ、且つ前記液体の性状が変化したときは、前記液通路内の屈折率の変化により、前記液通路の接液面で前記光の少なくとも大部分を前記受光部に到達しない方向に屈折または反射可能な形状に形成して、前記受光部での前記受光量の変化に基づき前記液体の性状の変化を検出することを特徴とする液体の性状変化検出方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−86036(P2007−86036A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−278554(P2005−278554)
【出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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