説明

液体を操作する装置及び方法

【課題】液体を操作する装置であって、第1の通路区分と第2の通路区分とを有し、液体が第1の通路区分から第2の通路区分へ流動することができ、通路区分の間に、液体が第1の通路区分から第2の通路区分へ移動する前に、液体を一時的に抑留する毛細管ストップが形成されている装置において時間的に正確な制御を簡単な形式で行なえるようにすること。
【解決手段】両方の通路区分が毛細管ストップを橋絡するため又は解消するために互いに相対的に動かされること、特に接触させられること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は請求項1もしくは請求項15の上位概念に記載された液体を操作する装置及び方法に関する。
【0002】
本発明はマイクロフルイドシステムもしくは装置を対象としている。以下の記述は毛細管力が作用し、特に機能にとって重要である装置に関連している。
【背景技術】
【0003】
液体を時間的に制御して1個所から次の個所へ動かすためには例えばEP1441131A1号明細書に開示されているいわゆる毛細管ストップが公知である。この場合には液体は1つの通路内に又は1つの広い室内に毛細管力の飛躍的な上昇に基づき一時的に抑留される。例えば毛細管ストップは横方向に延びる、特にピット状の制御通路によって形成されていることができる。制御通路が制御液によって又は当該液体自体によって溢れさせられると、液体は毛細管ストップを克服することができる。この場合に重要であることは時間的及び/又は位置的な精度である。毛細管ストップの領域で通路横断面の先細りが行なわれていないと、全通路横断面に亙って液体の時間的に規定されたスタートは達することがきわめて困難であるか又は全く達成することができない。より良い時間的な制御もしくは解像を得るために毛細管ストップが先細りさせられていると、当初広幅の液体フロントは狭められ、次いでしばしば再び拡幅させられる。この場合には拡散過程に基づき検査の場所解像は著しく損われる。別の問題は制御通路を迅速にかつ時間的に正確に制御して溢れさせることである。
【0004】
EP1419818A1号明細書によれば液体をいわゆる選択的な排気の助けを借りて時間的に制御し、特に時間的に抑留することが公知である。これは、溢れさせようとする通路における空気の押除けが中断されることで行なわれる。排気の開放は液体を先へ流す。この場合には装置的に費用がかかることが問題である。さらにこの場合には時間的及び/又は位置的な解像に関しては前述の制御通路を有する毛細管ストップの場合と同じ問題がある。
【0005】
さらに液体を時間的に抑留しもしくは液体搬送をスタートさせるためには外部からのトリガ、例えば電気的な及び/又は磁気的な場、音波又は圧力波が公知である。この場合には装置的な費用、ひいてはコストが極めて高い。
【特許文献1】EP1441131A1号明細書
【特許文献2】EP1419818A1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は特に幅の広い通路において液体の一時的な抑留を可能にする、液体を操作する装置と方法を制御することである。この場合、先への流れは特に直線的な液体フロントで、比較的にわずかな費用でかつ正確な時間的な制御で可能になるようにしたい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は請求項1の装置又は請求項15の装置によって解決された。有利な実施例は従属請求項の対象である。
【0008】
本発明の根本思想は、第1の通路区分と第2の通路区分との間の毛細管ストップを橋絡もしくは解消するために両方の通路区分を互いに相対的に移動させること、特に互いに接触させることにある。これは例えば両方の通路区分が互いに押し合わされることによって行なうことができる。
【0009】
提案された解決策は大きい通路横断面の場合にも液体の一様な始動、つまり第1の通路区分から第2の通路区分への液体フロント全体に亙って一様な移動を可能にする。液体は特に全通路横断面に亙って同時に始動することができる。相応して時間的に正確な制御が可能である。さらに少なくともほぼ直線的な液体フロントと特に一様で、層状の流れが有利には全通路横断面に亙って、第1の通路区分から第2の通路区分へ継続して流れる場合にも維持され、したがって時間的な解像の他に良好な場所的な解像が可能になる。これはまさに分析にとって、すなわち特に液体の検査のためもしくは液体内に含有された分析対象物又は反応物質の検出のために望ましい。
【0010】
本発明では通路区分、ひいてはそれから形成された通路は有利には比較的に大きな横断面を有している。特に通路区分は広幅であるかもしくは室状に構成されている。記述を簡易化するために以下の記述では通路もしくは通路区分だけについて述べることにする。
【0011】
本発明のさらなる利点、特徴、特性及び構想は従属請求項と図面に基づく有利な実施例についての説明で開示してある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図面においては同じ部材又は同等の部材には同じ符号が付けられている。この場合には繰返えされるべき記述が省略されていても、相応するか又は比較できる特性及び利点は達成される。図1から図12までには種々の構想を明確にするためにかつ記述を容易にするために、提案された装置1は実寸では示されていない。
【0013】
図1には概略的な縦断面図で、例えば化学的及び/又は生物学的な検査、特に反応、抗体又はそれに類似したものによる分析を証明する検査のために液体2、特に試液を操作するために提案された装置1の第1実施例が示されている。
【0014】
装置1は第1の通路区分3と第2の通路区分4とを液体2のために有している。液体2は特に専ら毛細管力によって通路区分3,4に受容されかつ/又は通路区分3,4により搬送される。しかし、その他の力、例えば圧力、遠心力又はそれに類似したものが作用することもできる。
【0015】
図示の例では装置1は第1の保持体区分5と第2の保持体区分6並びに有利には対応配置されたカバー7を有している。カバー7は有利には一貫して構成され、例えばシート又はそれに類似したものによって形成されている。
【0016】
第1の保持体区分5とカバー7との間には第1の通路区分3が形成されている。保持体区分6とカバー7との間には第2の通路区分4が形成されている。したがって通路区分3,4により形成された通路は有利には向き合って位置する、特にほぼ平らな2つの面もしくは平面だけで制限されているかもしくは形成され、特に側壁なしで構成されている。
【0017】
特に通路区分3,4は、液体2が流動方向Sで少なくともほぼ層状に有利には平らで、保持体区分5,6により形成された平面上をかつ/又は流動方向Sに対し横方向に延びる少なくともほぼ直線的な液体フロントで流れるように構成されている。
【0018】
図示の実施例では装置1は、必要なマイクロ構造、特に保持体区分5,6を形成するためかつ/又は保持するために保持体8を有している。保持体8及び特に保持体区分5,6は有利にはほぼ平らにもしくはプレート状に構成され、場合によっては必要な切欠き、通路又はそれに類似したものを備えている。カバー7は図示の例では平らに、有利には少なくとも切欠きなしで構成されている。しかしこれは反対であってもよい。必要な場合には保持体8もカバー7も切欠かれかつ/又は所望の構造を形成するため及び場合によっては図示されていない化学製品、試薬、検査装置又はそれに類似したものを受容するために突起を伴って構成されていることができる。特に装置1はいわゆるマイクロチップ(マイクロ構造を備えたプラットフォーム)である。
【0019】
図2はカバー7を除いて装置1を平面図で示している。図3は図1のIII−III線に沿った断面図で装置1を示している。
【0020】
図1から図3までに図示した実施例ではカバー7と保持体8とは一体に構成されていない。むしろカバー7は載置されているかクランプ止めされるか接着されるか、溶接されるか又はその他の適した形式で保持体8に結合されている。これは製作を容易にする。しかし、図示されていない変化実施例によればカバー7と保持体8は一体に構成されていることもできる。この場合には少なくとも一方の保持体区分5,6、特に両方の保持体区分5,6が一体の構成部分内へ横方向に押込まれる。この場合には装置1は第1及び/又は第2の保持体区分5,6を受容するために側方が開放されて構成されている。
【0021】
通路区分3と4−以後一部では単に「通路」とも呼ぶ−は有利には図1と3に示された液体2の流動方向Sに対して横方向に平らでかつ/又は方形の横断面を有している。通路の高さ−つまり通路を制限する有利には平行な面の間隔−は、図示の例では2000μm、有利には最高500μm、特にほぼ50〜200μmである。通路の幅は有利には100〜5000μm、特にほぼ200〜4000μmである。通路の高さは通路の幅よりも著しく、特に少なくともファクタ10又は100だけ小さい。通路の受容容積は有利には1mlよりも小さく、特に100μlよりも小さく、特に有利には最大10μlである。
【0022】
通路とその主延在平面Eは使用状態では有利にはほぼ水平に延在している。しかし、使用目的又は構成的な解決に応じて他の配向も可能である。特に通路を液体2で充填するか通路に液体2を受容すること及び/又は通路において液体2を搬送することは有利には1次的に毛細管力によって決定されるか行なわれる。
【0023】
図示の実施例では通路区分3,4の主延在平面は図1に示したように少なくともほぼ共通の平面Eに位置している。
【0024】
装置1は提案によれば液体2を一時的に抑留するための装置を有している。この装置は毛細管ストップ9によって形成されている。この毛細管ストップ9は液体が第1の通路区分3から第2の通路区分4へ移動する前に液体2を少なくとも一時的に抑留するために役立ち、有利には第1の通路区分3の端部にもしくは両方の通路区分3,4の間に配置されている。毛細管ストップ9は第1の通路区分3もしくは保持体区分5の、流動方向Sで下流側に位置する端部における相応にシャープな縁部及び/又はその他の特に飛躍的な横断面の拡大によって達成され、これによって毛細管力は液体が第2の通路区分4へ引続き流れることを許さない。特に毛細管ストップ9はピット状の切欠き又は両方の通路区分3,4もしくは保持体区分5,6との適当な間隔によって形成されている。
【0025】
有利には毛細管ストップ9は通路を制限する少なくとも1つの扁平側の全幅に亙って、有利には両方の保持体区分5,6の間を延びている。したがって毛細管ストップ9は有利には液体2の流動方向Sに対して横にかつ/又は第1又は第2の通路区分3,4の長手方向に対し横に延在している。
【0026】
図1から図3までには両方の通路区分3と4との間に毛細管ストップ9が、特に両方の保持体区分5,6に間隔が与えられていることで形成されている状態で装置1が示されている。これによって第1の通路区分3もしくは第1の保持体区分5の上にある液体2は一時的に抑留される。
【0027】
さらに本提案によれば、両方の通路区分3,4は毛細管ストップ9を橋絡するため又は解消するために互いに相対的に移動可能であり、特に互いに接触させられ得るようになっている。このためには、通路区分3,4及び特に保持体区分5,6は並進的にかつ/又は回転的に互いに相対的に移動可能、有利には摺動可能、変形可能、旋回可能及び/又は屈曲可能である。
【0028】
図示の実施例では両方の保持体区分5,6は互いに相対的に移動可能に、特に図1と図3に示された案内装置10を用いて案内されている。案内装置10は少なくとも一方の保持体区分5又は6の摺動を許す。対応する保持体区分5,6又は両方の保持体区分5,6は例えば往復台形状に構成され、案内装置10の溝状の案内区分及び/又は保持体8に形成された対応する案内区分に摺動可能に案内されている。
【0029】
両方の通路区分3,4もしくは保持体区分5,6が互いに相対的に運動する方向は有利には液体2の流動方向S又は該流動方向Sとは反対の方向にかつ/又は通路区分3,4もしくは保持体区分5,6の長手延在方向もしくはその主延在平面内を延びている。
【0030】
両方の通路区分3,4もしくは保持体区分5,6は必要に応じてマニュアルで互いに相対的に移動可能で、特に互いに接触可能である。これは簡単でかつコスト的に好適な構造を可能にする。有利には装置1は図示されていない適宜な操作装置又はそれに類似したものを有している。
【0031】
選択的に又は付加的に装置1は有利には図示されていない調節駆動装置又はその他の駆動装置、例えばモータ、電磁石、圧電式アクチエータ又はそれに類似したものを、毛細管ストップ9を解消するため又は橋絡するために通路区分3,4もしくは保持体区分を互いに相対的に動かすため、特に互いに接触させるために有している。駆動装置は−必要に応じて−純機械式に又は電気式に又は電磁石式に、空気力式にかつ/又は液圧式に働くことができる。
【0032】
両方の保持体区分5,6は図示されていないばね又はその他の予負荷装置によって、意図しない保持体区分5,6の接合が阻止されるように互いに離反する方向へあらかじめ負荷されていることができる。例えばマニュアル操作するか又は適当な駆動装置(図示せず)を働かした場合に前記予負荷力は克服され、通路区分3,4もしくは保持体区分5,6は所望された形式で押し合わされることができる。
【0033】
図示の実施例では両方の保持体区分5,6は図示されていない押し合わされた状態で、その横面で又は少なくとも通路に向いた横縁11,12で互いに当接するので、この押し合わされた状態では、保持体区分5,6の両方の上側面もしくは扁平側から少なくともほぼ一貫した面が形成される。したがって毛細管ストップ9は全通路横断面に亙って同時に解消もしくは橋絡され、液体2は第1の保持体区分5から形成された第1の通路区分3から第2の保持体区分6から形成された第2の通路区分4へ流れることができる。
【0034】
すでに述べたように液体2の流動もしくは搬送は有利にはもっぱら毛細管力によって行なわれる。毛細管ストップ9が解消されているか又は橋絡された状態で、つまり、特に保持体区分5,6が押し合わされた状態で第1の通路区分3から第2の通路区分4へ液体2が、所望された形態で移動することを達成するためには、第2の通路区分4にて液体2に作用する毛細管力は第1通路区分3におけるよりも大きいと有利である。この比較的に高毛細管力は第2の保持体区分6の適当な調整によって達成される。それは、例えば適当なコーディング、カバー7に対する間隔の減少及び/又は−図示実施例が示すように−第2の保持体区分6の上の適当なマイクロ構造13、特に隆起部又はそれに類似したものであることができる。例えば第2の通路区分4もしくは保持体区分6に向かって毛細管力の所望の上昇を達成するためには第1の保持体区分5とは異って第2の保持体区分6の上により大きいか増大する密度のマイクロ構造を配置することができる。
【0035】
第2の通路区分4は図示の実施例では第1の通路区分3の延長を成している。特に通路区分3,4はほぼ一貫した、特に直線的な、有利にはほぼコンスタントな横断面を有する通路を形成する。有利には第1の通路区分3の横断面は毛細管ストップ9の直前で、第2の通路区分の、毛細管ストップ9の直後の横断面に少なくともほぼ相当している。
【0036】
図示の実施例では、通路区分3,4によって形成された通路は有利にはほぼ一定の横断面を有している。しかしながら図示されていない変化実施例によれば、通路横断面を毛細管ストップ9の領域で狭ばめることも可能である。この横断面の狭窄によって液体流の一様な搾りとこれに続く液体流の拡散とが達成される。
【0037】
装置1は有利には液体2が側部にて流動方向Sに先行することを阻止しかつ/又はできるだけ彎曲度が小さいか又は直線的な流動フロントを生ぜしめるか又は均一なもしくは層状の流れを生ぜしめる手段を有している。通路区分3,4には側部にて、特に保持体8における溝もしくはピット状の切欠き14によって形成された液体ストップが接続している。側部におけるこの液体2のための液体ストップは毛細管力によっては克服できない流動阻止手段を成しているので、液体2は壁側なしで通路区分3,4の開放した長手方向側面に沿って案内される。
【0038】
液体ストップを形成する切欠き14は有利にはシャープなエッジを成して通路区分3,4に接続し、特に保持体8に形成されており、図1と図3では通路の側方の投影輪郭に関し、ほぼ下に向かってしか形成されていない。しかし前記切欠き14は選択的に通路の側方の投影輪郭を上方へ又は両方向へ、つまり上方と下方へ延びることもできる。
【0039】
有利には横断面が方形である切欠き14に、前記の如き横断面の拡大、特に段状もしくは突然の横断面の拡大が毛細管ストップ9の場合同様与えられると、液体2のための前記液体ストップが通路から切欠き14への移行部に向かって形成されるように毛細管力が低減させられる。特に切欠き14の高さは少なくとも通路の高さの2倍の大きさである。
【0040】
切欠き14とこれによって形成された液体ストップは図示の実施例では有利には通路の長手方向側面に沿って、特に通路区分3,4もしくは保持体区分5,6を4方から取囲んで延在している。
【0041】
通路における液体2の側壁のない相応する案内は、図4aと4bとに示された当該装置1の第2実施例でも側方の切欠き14もしくは側方の液体ストップによって可能である。
【0042】
第2実施例では液体2は底もしくは扁平側だけで−すなわち第1の保持体区分5又は両方の保持体区分5,6で−案内されている。すなわち液体2はカバー7によって形成された向き合った扁平側には接触していない。その代りに図示の実施例では所望の間隔を得るためにはカバー7は相応により高く配置されるか又は場合によっては切欠かれている。図4aは当該装置1をまだ分離されている通路区分3と4と共に示しており、図4bは押し合わされた通路区分3と4と共に示している。
【0043】
第2実施例では液体2は押し合わされた状態で、−つまり通路区分3,4が接続された状態で−図4bに示すように少なくともほぼ均一に通路区分3,4に分配される。これは特に、通路の全長に亙って少なくともほぼ等しい毛細管力が作用し、カバー7と保持体区分5,6との間で同時的な案内が行なわれないと達成される。
【0044】
液体2によって形成された液体膜の厚さは特に濡れ特性と供給された、特に調量された液体2の量とに関連する。有利には液体膜に関しては通路のための第1実施例の場合に説明した適当な寸法が当嵌まる。
【0045】
その他の点では図4に示した第2実施例はほぼ第1実施例に相応して構成され、したがって相応する利点、構想及び特性が得られる。
【0046】
図5には提案された装置の第3実施例が示されている。有利には反応領域15と集合領域16とが第2の通路区分4もしくは第2の保持体区分6の上に形成されている。このようにして第1の通路区分3と一緒に例えばスリーチャンバシステムが形成されることができるこのスリーチャンバシステムは必要な形式でいわゆるイムノアセイ(Immuno Assay)の機能を有することができる。このためには第1の保持体区分5は有利には遊離可能は試薬を備えているか該試薬で被覆されていることができる。この試薬は第1期で液体2が供給されたあとで第1の保持体区分5から遊離させられるか又は液体と反応する。
【0047】
第2期で、特に所定の時間が経過したあとで、両方の通路区分3,4もしくは保持体区分5,6は押し合わされる(この状態は図5に示されている)ので液体2は反応領域15へ、ついには集合領域16へ流れ、特にそこに集合することができる。反応領域15においては液体2もしくは該液体2内に含まれた試薬及び/又はその中に含まれた検体−特に試薬、有利には抗体と検体とから形成された複合体−が反応し、特に立証するために固定化された抗体又はそれに類似したものに結合することができる。次いで検出が例えば光学的に反応領域15にて行なわれることができる。
【0048】
先に述べた経過では、特に液体2の検体の質的な又は量的な証明では、液体2は少なくともほぼ完全に第1の通路区分3から−特に所定の反応時間の経過後−第1の通路区分3に接続した反応領域15に、次いで集合領域16に、規定された反応を可能にするために流れる。この場合には液体2は通路区分3から第2の通路区分4の端部までブロック状に移動する。この種の移動は特に相当に上昇する毛細管力−有利には保持体区分5,6の上側面のテクスチャードもしくはマイクロ構造化及び/又は被覆による−によって達成されることができる。
【0049】
別の選択可能な実施例によれば毛細管ストップ9の橋絡又は解消は液体2の反応もしくは検査を開始するにあたって使用される。したがって時間的に問題のある反応又は検査の場合には液体2は試料として当初通路区分3に−特に図示されていない充填開口又はそれに類似したものを介して又は場合によっては保持体区分5を保持体8に導入することで供給されかつ所定の時間に亙って貯留されるかもしくは搬送される。両方の保持体区分5,6を押し合わせてはじめて毛細管ストラップ9は橋絡されるかもしくは解消される。次いで液体2は第2の通路区分4へ移動し、タイムクリティカルな反応もしくは検査が開始される。
【0050】
次いで既に先きに述べた反応プロセスの場合には個々のプロセス段階は順次第2の通路区分4にて経過する。このためには先きに述べた、有利には遊離可能な試薬は第1の通路区分3ではなくもしくは第1の保持体区分5ではなく、有利には第2の通路区分4もしくは保持体区分6の始端に、特に図5に個別には示されていない遊離領域に配置されている。
【0051】
しかしながら記述した反応経過又はその他の経過は−時間的に規定されて−、複数の区分が順次−反応に所望される進行に応じて−当該区分の間に配置された毛細管ストップ9を解消して又は橋絡するために互いに接触させられることで制御される。この根本的な可能性は別の実施例の以下の説明に記載されている。
【0052】
図6aから図6cまでにはきわめて概略的な平面図で、提案された装置1の第4実施例がカバー7なしで示されている。この実施例では第2実施例で既に先きに記述したのと同じ反応もしくは反応経過が実現可能である。付加的に当該装置1は少なくとも1つの別の通路区分17を有している。この通路区分17は少なくとも1つの別の保持体区分18によって形成されている。別の通路区分17もしくは保持体区分18−以後単に別の区分17/18と呼ぶ−は例えば、液体2が第1の通路区分3もしくは保持体区分5から第2の通路区分4もしくは保持体区分6へ移動したあとで別の液体、特に洗浄液を供給することを可能にする。この場合には別の保持体区分18が別の液体で第1又は第2の通路区分3,4もしくは保持体区分5,6と接触させられる。図6aはまだ互いに押し離された保持体区分5,6,18を示している。図6bは第1の保持体区分5が既に第2の保持体区分6に向かって動かされかつこれと接触させられている。図6cは別の保持体区分18が図示の実施例では第1の保持体区分5と接触させられ、洗浄液又はそれに類似したものが供給されて特に洗浄ステップが実施される段階を示している。このようにして反応領域15における反応は特に正確に再び続行されることができる。
【0053】
図7aから図7cまでには概略的な平面図で提案された装置1の第5実施例が示されている。両方の第1と第2の通路区分3,4もしくは保持体区分5,6に加えて、この場合には複数の別の区分17/18が設けられている。この区分17/18は必要に応じて順次かつ/又は同時にかつ/又は選択的に互いに相対的に移動させられ、特に互いに接触させられ、液体2又は場合によっては複数の液体が個々の区分3,4,17もしくは5,6,18の間に発生している毛細管ストップ9を解消するかもしくは橋絡することにより所望の形式で操作しかつ所望の反応を実施させるかもしくは検査を可能にさせることができる。
【0054】
図7aにはまだ分離した通路区分3,4,17もしくは保持体区分5,6,18が示されている。この場合、矢印は、第1の通路区分3もしくは保持体区分5が隣接した、この場合には第2の通路区分4もしくは保持体区分6と移動により接触させられることを示している。次いで液体2は相応して第1の通路区分3から第2の通路区分4へ流れることができる。
【0055】
図7bには、第1の通路区分3と第2の通路区分4とがもしくは第1の保持体区分5と第2の保持体区分6とが既に接触している状態を示している。矢印は第2の別の区分17もしくは18が第2の通路区分4もしくは保持体区分6と有利には反対側から、かつ同時に接触するために当該第2の別の区分17もしくは16が移動することを示している。この場合には相応して液体2は両方の別の通路区分17もしくは保持体区分18に搬送されることもしくは分配されることが可能である。
【0056】
しかし両方の別の区分17/18は必要な形式で、異なる機能を引き受けることもできる。例えば別の保持区分18は別の液体、例えば洗浄液を供給するために用いることもできる。この場合に有利な形式で反対側に接触させられた別の保持体区分18は例えば別の液体によって押し除けられかつ特に洗い出される液体2を第2の通路区分4もしくは保持体区分6から受容するために役立つ。
【0057】
しかしながら、図7bに示された両方の別の保持体区分18をただ選択的に−先きの反応ステップの終了後に又は反応経過を選択的に変化させるために−第2の通路区分4もしくは保持体区分6と接触させることができる。
【0058】
図7cによれば別の保持体区分18が第2の通路区分4もしくは保持体区分6と接触し、液体2がこの別の保持体区分18もしくはそれにより形成された別の通路区分17に流入した状態が示されている。図示の実施例では液体2は完全に流出している。しかしこれは特に作用する毛細管力に関連している。例えば液体2は複数の区分3,4,17もしくは5,6,18に分配されることができる。両方の矢印は他の区分17/18との付加的な組合わせの可能性を示している。この場合には図7bによる組合わせに対する上記説明に相応することが当嵌まる。
【0059】
図8には概略的な平面図で提案された装置1の第6実施例がカバー7なしで示されている。この実施例は有利には少なくともほぼ、第3実施例に相当している。この場合、2つの第2の通路区分4もしくは保持体区分6は平行に配置されておりかつ並列的に液体2で負荷されることができる。特に2つの並列にもしくは互いに無関係に経過する反応を同時に開始させることができる。このためには液体2を有する第1の通路区分3もしくは保持体区分5と両方の第2の通路区分4もしくは保持体区分とが互いに相対的に移動可能で、互いに接触させることができる。図示の実施例ではこれは、第1の保持体区分5が第2の保持体区分6に向かって移動可能、特に摺動可能であることで行なわれる。
【0060】
図8に示された配置では第1の通路区分3もしくは保持体区分5は対応配置された第2の通路区分4もしくは保持体区分6に対しずらされてかつ/又は中心的に配置され、第1の保持体区分5が矢印で示したように同時に両方の第2の保持体区分6と接触させられ、両方の第2の保持体区分6に対して液体2が同時に流れることが可能になっている。
【0061】
必要な形式で図示されていない実施例によれば第1の保持体区分5は相応に大きい幅を有しかつ/又は第2の保持体区分6が減じられた幅を有し、第1の保持体区分5が両方の第2の保持体区分6に接触した場合にその間に存在する毛細管ストップ9がそれぞれ有利には少なくともほぼ両方の第2の保持体区分6の全幅に亙って解消もしくは橋絡されることができる。この結果、第2の保持体区分6により規定された第2の通路区分4は全通路横断面に亙ってできるだけ一様に、特に流動方向Sに対し少なくともほぼ垂直に延びる液体フロントで、充たされることが可能になる。
【0062】
図9と図10とには提案された装置の第7実施例がきわめて概略的な横断面で示されている。該断面図は第1と第2の保持体区分5,6しか示していない。図9には間隔が与えられている状態が示されている。したがって第1の保持体区分5と第2の保持体区分6との間にはまだ橋絡されていないかもしくは解消されていない毛細管ストップが示されている。先きに説明した実施例とは異って第7実施例の場合の両方の保持体区分5,6は結合区分19によって互いに結合されている。結合区分19は有利にはフレキシブルにもしくは弾性的に変形でかつ/又はウェブ状に構成されている。必要な形式で保持区分5,6と結合区分19は一体に構成される。
【0063】
相対的な運動、特に押し合わせで、結合区分19は、両方の保持体区分5,6が少なくともその横面もしくは横縁11,12の領域で図10に示されているように毛細管ストップを解消するためもしくは橋絡するために接触するように変形する。この結果、液体2は図10に示すように妨げられずに第1の保持体区分5から第2の保持体区分6へ移動するかもしくは図示されていない通路内を搬送されることができる。
【0064】
有利には弾性的な結合区分19は、両方の保持体区分5,6が製造に際してかつ例えば既に充填された液体と共に貯蔵しかつ/又は運搬する場合に意図されないのに互いに相対的に移動できず、毛細管ストップの不都合な解消もしくは橋絡が阻止されるという利点をもたらす。
【0065】
図11と図12とには提案された装置1の第8実施例がカバー7なしで概略的に示されている。この場合には両方の保持体区分5,6は毛細管ストップ9を解消するか少なくとも橋絡するために互いに相対的に回転もしくは旋回可能であるので、液体2は第1の保持体区分5から第2の保持体区分6へ流れることができる。図11は旋回開放された状態を示しており、したがって液体2は一時的に抑留されている。図12は旋回閉鎖状態を示している。したがって毛細管ストップ9は解消されている。この場合には液体2は第2の保持体区分5から既に第2の保持体区分6に移動している。
【0066】
毛細管ストップ9を解消するか橋絡するためにはその他の回転運動及び回転運動と並進運動との組合わせが可能である。例えば装置1もしくは保持体を少なくともほぼ主延在平面E内に位置する、流動方向Sに対し横方向に延びる軸を中心として屈曲させるか又は曲げ、これにより隣接する通路区分もしくは保持体区分を互いに接近移動させ、その間に配置された毛細管ストップを橋絡するか又は完全に解消し、形成された通路内を液体が先きへ搬送することができる。
【0067】
記述した構成の個々の構想と構造的な解決は互いに任意に組合わせることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】提案された装置の第1実施例の概略的な縦断面図。
【図2】図1の装置をカバーなしで示した概略的な平面図。
【図3】図1のIII−III線に沿った断面図。
【図4】提案された装置の第2実施例の概略的な縦断面図であって、(a)は通路区分が離れている状態でかつ(b)は通路区分が押し合わされた状態で示した図。
【図5】提案された装置の第3実施例を通路区分が押し合わされた状態で示した概略的な縦断面図。
【図6】提案された装置の第4実施例の概略的な平面図。
【図7】提案された装置の第5実施例の概略的な平面図。
【図8】提案された装置の第6実施例の概略的な平面図。
【図9】提案された装置の第7実施例の1部分の概略的な縦断面図。
【図10】図9に示された装置を、通路区分が押し合わされた状態で示した縦断面図。
【図11】提案された装置の第8実施例の1部分を通路区分が開放旋回させられた状態で示した概略的な平万図。
【図12】図1に示した装置を通路区分が閉鎖旋回させられた状態で示した概略的な平面図
【符号の説明】
【0069】
1 当該装置
2 液体
3 通路区分
4 通路区分
5 保持体区分
6 保持体区分
7 カバー
8 保持体
9 毛細管ストップ
10 案内装置
11 横縁
12 横縁
13 マイクロ構造
14 切欠き
15 反応領域
16 集合領域
17 保持体区分
18 保持体区分
19 結合区分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体(2)を操作するための装置(1)であって、第1の通路区分(3)と第2の通路区分(4)とを有し、液体(2)が第1の通路区分(3)から第2の通路区分(4)へ流れることができ、特に前記通路区分(3,4)の間に毛細管ストップ(9)が、前記第1の通路区分(3)から第2の通路区分(4)へ液体(2)が移動する前に、該液体(2)を一時的に抑留するために形成されている形式のものにおいて、両方の通路区分(3,4)が前記毛細管ストップ(9)を橋絡するか又は解消するために互いに相対的に運動可能及び/又は端面側で互いに接触可能であることを特徴とする、液体を操作する装置。
【請求項2】
前記通路区分(3,4)が横断面で見て扁平に、方形にかつ/又は少なくとも開放側にて同じく構成されておりかつ/又は前記通路区分(3,4)又は該通路区分(3,4)を制限する保持体区分(5,6)が有利には一貫して剛性に構成されている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記通路区分(3,4)の主延在平面が少なくとも1つの共通な平面(E)に位置しかつ/又は前記第2の通路区分(4)が前記第1の通路区分(3)の延長又は継続通路区分を形成している、請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
前記通路区分(3,4)が少なくとも2つの、互いに相対運動可能な保持体区分(5,6)と1つの共通の一貫したカバー(7)とから形成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
当該装置が少なくとも一方の保持体区分(5,6)を並進的に又は摺動可能に案内する案内装置(10)を有している、請求項4記載の装置。
【請求項6】
毛細管ストップ(9)を橋絡するため又は解消するために前記保持体区分(5,6)の側面又は側縁(11,12)が、有利には全長に亙ってかつ/又は前記保持体区分(5,6)が端面側で接触又は接触可能である、請求項4又は5記載の装置。
【請求項7】
前記通路区分(3,4)が並進的かつ/又は回転的に互いに相対的に運動可能、特に互いに相対的に摺動可能、変形可能、旋回可能かつ/又は屈曲可能である、請求項1から6までのいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
前記通路区分(3,4)又は該通路区分(3,4)を制限する前記保持体区分(5,6)が結合区分(19)を介して互いに結合され、該結合区分(19)が毛細管ストップ(9)を橋絡するか又は解消するために特に弾性的に変形可能である、請求項1から7までのいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
前記通路区分(3,4)又は該通路区分(3,4)を制限する前記保持体区分(5,6)が互いに端面側で接触させられるために旋回可能又は屈曲可能である、請求項1から8までのいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
前記通路区分(3,4)が前記液体(2)の流動方向又は該流動方向とは反対の方向にかつ/又は前記通路区分(3,4)の主延在平面にて互いに相対的に移動可能である、請求項1から9までのいずれか1項記載の装置。
【請求項11】
前記第2の通路区分(14)にて当該液体に作用する毛細管力が前記第1の通路区分(3)にて当該液体に作用する毛細管力よりも大きい、請求項1から10までのいずれか1項記載の装置。
【請求項12】
前記第1の通路区分(3)の横断面が前記毛細管ストップ(9)の前で、該毛細管ストップ(9)の後しろの前記第2の毛細管区分(4)の横断面に少なくともほぼ相応している、請求項1から11までのいずれか1項記載の装置。
【請求項13】
前記毛細管ストップ(9)が前記第1の通路区分(3)を制限する少なくとも一方の側又は面に亙って、特に全幅に亙って延在しかつ/又は前記毛細管ストップ(9)が当該液体(2)の流動方向に対して横にかつ/又は前記第1又は第2の通路区分(3,4)の長手延在方向に対して横方向に延びている、請求項1から12までのいずれか1項記載の装置。
【請求項14】
当該液体(2)が側壁なしで前記通路区分(3,4)にて案内されている、請求項1から13までのいずれか1項記載の装置。
【請求項15】
第1の通路区分(3)から第2の通路区分(4)へ流れることができ、毛細管ストップ(9)で第1の通路区分(3)から第2の通路区分(4)へ移動する前に一時的に抑留される液体(2)を操作する方法において、両方の通路区分(3,4)を、前記毛管ストップ(9)を橋絡するため又は解消するために互いに相対的に移動させ、旋回させ、屈曲させかつ/又は変形させることを特徴とする、液体を操作するための方法。
【請求項16】
毛細管ストップ(9)を橋絡するため又は解消するために前記通路区分(3,4)、特に対応する保持体区分(5,6)を接触させる、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記毛細管ストップを橋絡するか又は解消するために前記通路区分が互いに相対的に移動させ、旋回させ、屈曲させかつ/又は変化させられる、請求項15又は16記載の方法。
【請求項18】
前記毛細管ストップ(9)を橋絡するため又は解消するために前記通路区分(3,4)がほぼ該通路区分(3,4)の主延在平面にて互いに相対的に移動させられる、請求項15から17までのいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
複数の通路区分(3,4,17)間に形成された前記毛細管ストップ(9)を橋絡又は解消するために前記複数の通路区分(3,4,17)が選択的に相互に移動させられ、特に互いに接触させられる、請求項15から18までのいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
複数の通路区分(3,4,17)間に形成され毛細管ストップを橋絡又は解消するために複数の通路区分(3,4,17)が同時に又は順次互いに相対的に移動させられ、特に互いに接触させられる、請求項15から19までのいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−300944(P2006−300944A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−113802(P2006−113802)
【出願日】平成18年4月17日(2006.4.17)
【出願人】(503277020)ベーリンガー インゲルハイム マイクロパーツ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (17)
【氏名又は名称原語表記】Boehringer Ingelheim microParts GmbH
【住所又は居所原語表記】Hauert 7,D−44227 Dortmund,Germany
【Fターム(参考)】