説明

液体カートリッジ及びこれを有する画像形成装置

【課題】インクメニスカスの破壊を抑制する。
【解決手段】インクジェットプリンタ1は、インクジェットヘッド2と、インクカートリッジ40と、センサと、制御部100とを含んでいる。インクカートリッジ40は、インク袋と、インク袋に連通し第1バルブ及び第2バルブが設けられたインク導出管と、第2バルブを開及び閉状態の間で切り換えるように動作するアクチュエータと、所定時間を示すデータを記憶する記憶部とを有している。制御部100は、インクカートリッジの装着を検出したときから所定時間が経過した後に、第2バルブが開状態となるようにアクチュエータを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体カートリッジ及び液体カートリッジから供給される液体で画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、液体カートリッジの一例であるインクカートリッジと、液体カートリッジから供給される液体で画像を形成する画像形成装置の一例であるインクジェット式記録装置が記載されている。インクカートリッジはインク袋を有しており、インク袋には、インク袋内のインクを外部に送出するためのバルブが配置されている。バルブは、バネ、バネ座及びシール供給蓋から構成されている。そして、インクジェット式記録装置に設けられたインク供給針(インク導入管)が、シール供給蓋を貫通し、バネ座を移動させることで、インク袋内のインクがインク供給針を通ってインクジェット式記録装置に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−238815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術においては、ユーザがインクカートリッジを記録装置本体に装着する際のインクカートリッジの移動により、インクカートリッジ内部のインクに圧力変動が生じる。このように、インクに圧力変動が生じた状態で記録装置本体に装着されると、この圧力変動が記録ヘッドにも伝わり、ノズル開口におけるメニスカスが破壊され、ノズル開口からインクが漏れる虞がある。そして、インクが漏れた状態で記録を行うと、記録ヘッドに吐出不良が生じる虞がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、記録ヘッドに吐出不良が生じるのを未然に抑制することが可能な液体カートリッジ及び液体カートリッジから供給される液体で画像を形成する画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の液体カートリッジは、画像形成装置の本体に着脱可能であるとともに、その本体に装着されたときに液体を供給可能な液体カートリッジであって、液体を収容する液体収容部と、前記液体収容部と連通する液体を外部に導出するための液体導出路と、前記液体導出路の第1部分に関して、この第1部分を遮断する閉状態と開通させる開状態とをとり得ることができる第1開閉手段と、前記液体導出路の前記第1部分と前記液体収容部との間の第2部分に関して、この第2部分を遮断する閉状態と開通させる開状態とをとり得ることができる第2開閉手段と、前記第2開閉手段を駆動する駆動手段と、所定時間に対応する時間データを記憶する記憶手段と、を備え、前記駆動手段は、前記液体カートリッジが前記本体に装着されてから前記記憶手段に記憶された前記時間データが示す時間が経過した時に、前記第2開閉手段が閉状態から開状態に変わるように前記第2開閉手段を駆動することを特徴とする。
【0007】
これによると、液体カートリッジが本体に装着されてから所定時間が経過した時に、液体収容部と画像記録装置の本体との間の流路が連通することになる。従って、液体カートリッジを記録装置本体に装着する際の移動により液体収容部内の液体に圧力変動が生じても、その圧力変動を所定時間の間に落ち着かせてから画像記録装置に液体を供給するので、従来に比べて記録ヘッドの吐出不良を生じにくくすることができる。
【0008】
請求項2に記載の液体カートリッジは、請求項1に記載の発明において、前記所定時間は、前記液体カートリッジが前記本体に装着された第1時点から前記第2開閉手段が閉状態から開状態に変わる第2時点までの所要時間の推奨値であることを特徴とする。所定時間が短すぎると圧力変動が収まりきる前に液体が記録ヘッドに供給されることとなり、メニスカスに悪影響を与えることとなるが、所定時間が長すぎると、記録開始までの待ち時間が長くなるため好ましくない。そこで、本発明は、以上の観点から最適な所定時間を算出し、これを推奨値として記憶させるようにしたので、メニスカスの破壊抑制と記録開始までの待ち時間の短縮化を両立することが可能となる。
【0009】
請求項3に記載の液体カートリッジは、請求項1または2に記載の発明において、前記駆動手段を制御する制御手段をさらに備え、前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された前記時間データを読み出すとともに、前記液体カートリッジが前記本体に装着されてから前記記憶手段に記憶された前記時間データが示す時間が経過した時に、前記第2開閉手段を閉状態から開状態に変えるように前記駆動手段を制御することを特徴とする。これによれば、第2開閉手段の駆動制御の信頼性を向上させることができる。
【0010】
請求項4に記載の画像形成装置は、請求項1または2に記載の前記液体カートリッジと、この液体カートリッジから供給された液体によって画像を形成する画像形成装置の本体とから構成される画像形成装置であって、前記本体は、その本体を制御する本体制御手段と、前記液体カートリッジから供給された液体を吐出する液体吐出ヘッドと、前記液体カートリッジが前記本体に装着されたか否かを検出する本体側装着検出手段とを備えており、前記液体カートリッジは、前記本体に着脱可能であるとともにその本体に装着されたときに液体を供給できるよう構成されており、さらに、前記駆動手段を制御する制御手段を備えており、前記液体カートリッジと前記本体は、前記液体カートリッジが前記本体に装着されたときに互いに接触して、前記本体制御手段と前記制御手段との間での信号伝送経路を確立できる端子を夫々備えており、前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された前記時間データを読み出すとともに、前記本体側装着検出手段による装着検出がなされてから前記時間データが示す時間が経過した時に、前記第2開閉手段を閉状態から開状態に変えるように前記駆動手段を制御することを特徴とする。これによれば、液体カートリッジが本体に装着されて所定時間が経過してから、第2開閉手段を閉状態から開状態に確実に変えることができる。
【0011】
請求項5に記載の液体カートリッジは、請求項1または2に記載の発明において、前記液体カートリッジは、この液体カートリッジから供給された液体によって画像を形成する画像形成装置の本体に着脱可能であるとともに、その本体に装着されたときに液体を供給できるよう構成されており、さらに、前記駆動手段を制御する制御手段と、前記液体カートリッジが前記本体に装着されたか否かを検出する装着検出手段とを備えており、前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された前記時間データを読み出すとともに、前記装着検出手段による装着検出がなされてから前記時間データが示す時間が経過した時に、前記第2開閉手段を閉状態から開状態に変えるように前記駆動手段を制御することを特徴とする。これによれば、液体カートリッジが本体に装着されて所定時間が経過してから、第2開閉手段を閉状態から開状態に変える動作を、高い信頼性で確実に行うことができる。
【0012】
請求項6に記載の画像形成装置は、請求項5に記載の前記液体カートリッジと前記本体とから構成される画像形成装置であって、前記本体は、その本体を制御する本体制御手段と、前記液体カートリッジから供給された液体を吐出する液体吐出ヘッドと、を備えており、前記液体カートリッジと前記本体は、前記液体カートリッジが前記本体に装着されたときに互いに接触して、前記本体制御手段と前記制御手段との間での信号伝送経路を確立できる端子を夫々備えていることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の画像形成装置は、請求項1または2に記載の前記液体カートリッジと、この液体カートリッジから供給された液体によって画像を形成する画像形成装置の本体とから構成される画像形成装置であって、前記本体は、その本体を制御する本体制御手段と、前記液体カートリッジから供給された液体を吐出する液体吐出ヘッドと、前記液体カートリッジが前記本体に装着されたか否かを検出する本体側装着検出手段とを備えており、前記液体カートリッジは、前記本体に着脱可能であるとともにその本体に装着されたときに液体を供給できるよう構成されており、前記液体カートリッジと前記本体は、前記液体カートリッジが前記本体に装着されたときに互いに接触して、前記本体制御手段と前記駆動手段及び前記記憶手段との間での信号伝送経路を確立できる端子を夫々備えており、前記本体制御手段は、前記液体カートリッジが前記本体に装着されたとき、前記記憶手段に記憶された前記時間データを読み出すとともに、前記本体側装着検手段による装着検出がなされてから前記時間データが示す時間が経過した時に、前記第2開閉手段を閉状態から開状態に変えるように前記駆動手段を制御することを特徴とする。これによれば、本体制御手段によってカートリッジの制御がなされるので、カートリッジに制御手段を設けなくてもよく、カートリッジのコストを下げることができる。
【0014】
請求項8に記載の画像形成装置は、請求項1または2に記載の前記液体カートリッジと、この液体カートリッジから供給された液体によって画像を形成する画像形成装置の本体とから構成される画像形成装置であって、前記本体は、その本体を制御する本体制御手段と、前記液体カートリッジから供給された液体を吐出する液体吐出ヘッドと、を備えており、前記液体カートリッジは、前記本体に着脱可能であるとともにその本体に装着されたときに液体を供給できるよう構成されており、さらに、前記液体カートリッジが前記本体に装着されたか否かを検出する装着検出手段を備え、前記液体カートリッジと前記本体は、前記液体カートリッジが前記本体に装着されたときに、互いに接触して、前記本体制御手段と、前記駆動手段、前記記憶手段、及び前記装着検出手段との間での信号伝送経路を確立できる端子を夫々備えており、前記本体制御手段は、前記液体カートリッジが前記本体に装着されたとき、前記記憶手段に記憶された前記時間データを読み出すとともに、前記装着検出手段による装着検出がなされてから前記時間データが示す時間が経過した時に、前記第2開閉手段を閉状態から開状態に変えるように前記駆動手段を制御することを特徴とする。これによれば、本体制御手段によってカートリッジの制御がなされるので、カートリッジに制御手段を設けなくてもよく、カートリッジのコストを下げることができる。
【0015】
請求項9に記載の画像形成装置は、請求項4、6、7、8に記載の画像形成装置において、前記液体カートリッジは、前記第2開閉手段が閉状態であるか開状態であるかを検出する第2開閉手段検出手段を備えており、前記本体制御手段は、前記第2開閉手段検出手段によって前記第2開閉手段が閉状態であることが検出されたときは、前記液体吐出ヘッドからの液体の吐出を停止するように前記液体吐出ヘッドを制御することを特徴とする。これによれば、第2開閉手段の動作不良が起きたときは、速やかに記録を停止し、誤った記録を防ぐことができる。
【0016】
請求項10の液体カートリッジは、液体を収容する液体収容部と、前記液体収容部と連通する液体を外部に導出するための液体導出路と、前記液体導出路の第1部分に関して、この第1部分を遮断する閉状態と開通させる開状態とをとり得ることができる第1開閉手段と、前記液体導出路の前記第1部分と前記液体収容部との間の第2部分に関して、この第2部分を遮断する閉状態と開通させる開状態とをとり得ることができる第2開閉手段と、前記第2開閉手段を駆動する駆動手段と、前記駆動手段を制御する制御手段と、前記第1開閉手段が開状態となってから前記第2開閉手段が開状態に変わるまでの所要時間の推奨値に対応する時間データを記憶する記憶手段と、を備え、前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された前記時間データを読み出すとともに、前記第1開閉手段が開状態となってから前記記憶手段に記憶された前記時間データが示す時間が経過した時に、前記第2開閉手段を閉状態から開状態に変えるように前記駆動手段を制御することを特徴とする。これによれば、圧力変動の発生要因として、液体インクカートリッジを装着する際の液体カートリッジ自身の移動だけでなく、装着する際に、画像形成装置の中空針が第1開閉手段を開状態にするために挿入されることも考えられる場合において、2つの要因による圧力変動が起った後に所定時間待機させることができるので、所定時間(所要時間の推奨値)を無駄のない時間として容易に設定することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の液体カートリッジは、液体カートリッジを記録装置本体に装着する際の移動により液体収容部内の液体に圧力変動が生じても、その圧力変動を所定時間の間に落ち着かせてから画像記録装置に液体を供給するので、従来に比べて記録ヘッドの吐出不良を生じにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態によるインクジェットプリンタの外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示すインクジェットプリンタの内部構造を示す概略側面図である。
【図3】インクカートリッジの斜視図である。
【図4】図3に示すインクカートリッジの内部構造を示す構成図である。
【図5】インクカートリッジの部分断面図であり、(a)は第1バルブが閉状態のときの状況を示す図であり、(b)は第1バルブが開状態のときの状況を示す図である。
【図6】図4に示す第2バルブ及びアクチュエータを示す斜視図である。
【図7】第2バルブ及びアクチュエータの断面図であり、(a)はインク導出管内の流路が開状態のときの状況を示す図であり、(b)はインク導出管内の流路が閉状態のときの状況を示す図である。
【図8】本発明の第1実施形態の電気的な構成を示すブロック図である。
【図9】インクカートリッジを装着部に装着するときの状況を示す図である。
【図10】インクカートリッジを装着してから印刷準備ができるまでのフローチャートである。
【図11】本発明の第1実施形態の第3変形例の電気的な構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の第2実施形態の電気的な構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の第2実施形態の第1変形例の電気的な構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
第1実施形態によるインクジェットプリンタ1は、図1に示すように、直方体形状の筐体1aを有し、その正面(図1の紙面手前側の面)には、上から順に、3つの開口10d,10b,10cが形成されている。開口10d,10cには、下端の水平軸を支点として開閉可能な扉1d,1cが嵌め込まれている。開口10bには給紙ユニット1bが挿入されている。そして、筐体1aの上部には、排紙部31が設けられている。扉1dは、筐体1aの主走査方向(図1中奥行き方向)に関して、搬送ユニット21と対向配置されている。
【0021】
次に、図2を参照しつつ、インクジェットプリンタ1の内部構成について説明する。図2に示すように、インクジェットプリンタ1の筐体1a内は、上から順に3つの空間A,B,Cに区分されている。空間Aには、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックのインクをそれぞれ吐出する4つのインクジェットヘッド2、及び、搬送ユニット21が配置されている。空間Bには、給紙ユニット1bが配置されている。空間Cには、4つのインクカートリッジ40(液体カートリッジ)が配置されている。
【0022】
給紙ユニット1b及び4つのインクカートリッジ40の筐体1aに対する着脱は、主走査方向(図2中紙面垂直方向)に沿って行われる。なお、本実施形態において、副走査方向とは搬送ユニット21で用紙Pを搬送するときの搬送方向と平行な方向であり、主走査方向とは副走査方向に直交する方向であって水平面に沿った方向である。また、プリンタ1には、給紙ユニット1b、搬送ユニット21及びインクジェットヘッド2(液体吐出ヘッド)を制御する制御部100(本体制御手段)が設けられている。
【0023】
インクジェットプリンタ1の内部には、給紙ユニット1bから排紙部31に向けて、図2に示す太矢印に沿って、用紙Pが搬送される用紙搬送経路が形成されている。給紙ユニット1bは、複数枚の用紙Pを収納することが可能な給紙トレイ23と、給紙トレイ23に取り付けられた給紙ローラ25とを有している。給紙ローラ25は、制御部100により制御された給紙モータ(図示せず)によって駆動力が与えられることによって、給紙トレイ23の最も上方にある用紙Pを送り出す。給紙ローラ25によって送り出された用紙Pは、ガイド27a,27bによりガイドされ且つ送りローラ対26によって挟持されつつ搬送ユニット21へと送られる。
【0024】
搬送ユニット21は、図2に示すように、2つのベルトローラ6,7と、両ローラ6,7間に架け渡されるように巻回されたエンドレスの搬送ベルト8とを有している。ベルトローラ7は、駆動ローラであって、その軸に制御部100により制御された搬送モータ(図示せず)から駆動力が与えられることで、図2中時計回りに回転する。ベルトローラ6は、従動ローラであって、ベルトローラ7の回転により搬送ベルト8が走行するのに伴って、図2中時計回りに回転する。
【0025】
搬送ベルト8の外周面8aにはシリコーン処理が施されており、粘着性を有している。用紙搬送経路上において搬送ベルト8を挟んでベルトローラ6と対向する位置には、ニップローラ4が配置されている。ニップローラ4は、給紙ユニット1bから送り出された用紙Pを搬送ベルト8の外周面8aに押さえ付ける。外周面8aに押さえ付けられた用紙Pは、その粘着力によって外周面8a上に保持されつつ、図2中右方(用紙Pの搬送方向)へと搬送される。
【0026】
用紙搬送経路上において搬送ベルト8を挟んでベルトローラ7と対向する位置には、剥離プレート5が設けられている。剥離プレート5は、搬送ベルト8の外周面8aに保持された用紙Pを外周面8aから剥離する。剥離された用紙Pは、ガイド29a,29bによりガイドされ且つ二組の送りローラ対28によって挟持されつつ搬送され、筐体1a上部に形成された開口30から排紙部31へと排出される。なお、各送りローラ対28の一方のローラは、制御部100に制御された送りモータ(図示せず)によって駆動力が与えられる。
【0027】
4つのインクジェットヘッド2は、それぞれ主走査方向に沿って延在し、副走査方向に並設されており、フレーム3を介して筐体1aに支持されている。すなわち、このインクジェットプリンタ1は、ライン式のカラーインクジェットプリンタである。各インクジェットヘッド2の下面は、インクを吐出する複数の吐出口(不図示)が形成された吐出面2aとなっている。各インクジェットヘッド2は、内部のインク流路と連通する可撓性のチューブ(不図示)と接続されている。このチューブは、後述のインク供給路154(図8参照)とそれぞれ接続されている。
【0028】
搬送ベルト8のループ内には、4つのインクジェットヘッド2と対向するように、ほぼ直方体形状のプラテン19が配置されている。プラテン19の上面は、搬送ベルト8の上側ループの内周面と接触しており、搬送ベルト8の内周側からこれを支持している。これにより、搬送ベルト8の上側ループの外周面8aと吐出面2aとが対向しつつ平行になり、且つ、吐出面2aと外周面8aとの間に僅かな隙間が形成されている。当該隙間は、用紙搬送経路の一部を構成している。搬送ベルト8の外周面8a上に保持されつつ搬送されてきた用紙Pが4つのヘッド2のすぐ下方を順に通過する際に、制御部100の制御により各ヘッド2から用紙Pの上面に向けて各色のインクが吐出され、用紙P上に所望のカラー画像が形成される。
【0029】
4つのインクカートリッジ40のうち、図2中最も左方にあるインクカートリッジ40は、ブラックのインクが貯留されており、残りの3つのインクカートリッジ40よりも副走査方向のサイズが大きくなっている。すなわち、左方にあるインクカートリッジ40は、他の3つのインクカートリッジ40よりもインク容量が大きくなっている。残りの3つのインクカートリッジ40はともにインク容量が同じであり、マゼンタ、シアン、イエローのインクが貯留されている。これら4つのインクカートリッジ40は、プリンタ本体(筐体1a)に装着されると、対応するインクジェットヘッド2に繋がったインク供給路154とそれぞれ接続され、内部のインクがインクジェットヘッド2に供給可能となる。
【0030】
なお、インクカートリッジ40を交換する際は、扉1cを開けてプリンタ本体からインクカートリッジ40を取り外し、新しいインクカートリッジ40を装着すればよい。本実施形態においては、インクカートリッジ40をプリンタ本体に個別に装着可能となっているが、1つのカートリッジトレイに4つのインクカートリッジ40を載置してユニット化したインクユニットをプリンタ本体に装着する構成であってもよい。
【0031】
続いて、インクカートリッジ40について、図3〜図8を参照しつつ説明する。図3及び図4に示すように、インクカートリッジ40は、略直方体形状の筐体41と、筐体41内に配置され内部にインクが充填されたインク袋42(液体収容部)と、一端においてインク袋42と連通するインク導出管43と、第1バルブ50(第1開閉手段、図5参照)と、第2バルブ60(第2開閉手段)と、アクチュエータ70(駆動手段)と、アクチュエータ70を制御する制御部90(制御手段)とを有している。
【0032】
筐体41は、図4に示すように、内部に2つの部屋41a,41bが形成されるように区画されており、右方の部屋41aにインク袋42が配置されている。一方、他方の部屋41bには、インク導出管43、第1バルブ50、第2バルブ60、アクチュエータ70、及び、制御部90が配置されている。なお、ブラックインクを貯留するインクカートリッジ40は、他の3つのインクカートリッジ40よりもサイズ及びインク容量が大きくなっているが、単に部屋41a及びインク袋42が副走査方向に大きくなっているだけである。つまり、4つのインクカートリッジ40は、どれもほぼ同様な構成を有しているので、1つのインクカートリッジ40についてのみ説明する。
【0033】
インク導出管43は、図4及び図5に示すように、弾性変形可能であり且つインク袋42の接続部42aと接続されたチューブ68と、チューブ68と接続された管44と、管44に嵌合された管45とを有しており、主走査方向に沿って延在しインク袋42と連通するインク流路43a(インク導出路)が形成されている。
【0034】
管44の一端には、図5に示すように、環状のフランジ47が形成されている。フランジ47には、図4及び図5に示すように、外周面にOリング48aが設けられた筒体48が形成されている。これにより、図4に示すように、筐体41と筒体48との間がOリング48aによってシールされる。なお、フランジ47は、部屋41bの壁の一部となっており、筐体41の一部を構成している。また、筒体48のフランジ47とは反対側の端部には、板状部材49が固定されている。板状部材49上には、記憶部125(記憶手段)となるフラッシュメモリが設けられている。
【0035】
記憶部125は制御部90と接続されており、自身のインク容量に応じた所定時間を示すデータ及び自身の型式を示すシリアルコードを記憶している。なお、ここでいう所定時間とは、インクカートリッジ40が後述する装着部150に装着された際に、内部のインクに生じる圧力変動を抑制するための待ち時間である。
【0036】
インクカートリッジ40を装着部150に装着する際には、ユーザによりインクカートリッジ40自身が移動させられるため、これによりインク袋42内のインクに圧力変動が生じる場合があり、その圧力変動がインク供給の流路を経由してインクジェットヘッド2まで伝わると、インクジェットヘッド2の吐出口に形成されたメニスカスが破壊される虞がある。しかし、本実施形態においては、後述するように、インクカートリッジ40が装着部150に装着されて所定時間が経過してから、第2バルブ60が閉状態から開状態に変ってインクカートリッジ40のインク袋42とインクジェットヘッド2との流路が繋がる。従って、インク袋42内のインクは、装着時よりも圧力変動が収まってからインクジェットヘッド2に供給されることとなるので、メニスカスが破壊される可能性を低減させることができる。
【0037】
この所定時間が短すぎると、インク袋42内のインクは圧力変動が収まる前にインクジェットヘッド2へ供給されることとなり、メニスカスに悪影響を与えることとなるが、所定時間が長すぎると、記録開始までの待ち時間が長くなるため好ましくない。そこで、本実施形態においては、ユーザがインクカートリッジ40を装着部150に装着するときの動作から、起こりえる圧力変動の最大値を想定し、これが落ち着くまでの時間を、所定時間の推奨値として記憶部125に記憶するようにした。これにより、メニスカスの破壊抑制と記録開始までの待ち時間の短縮化を両立することが可能となった。
【0038】
なお、インクカートリッジ40を装着部150に装着する際に、第1バルブ50に中空針153が挿入されることにおいてもインク袋42内のインクに圧力変動が生じる虞がある。そこで、この別の要因による圧力変動を落ち着かせるための所定時間を考える場合には、第1バルブ50が開状態になったとき(圧力変動が生じたとき)からの待ち時間として所定時間を決めるのが望ましい。後述するように、本実施形態においては、インクカートリッジ40の装着部150への装着が完了する時点と第1バルブ50が開状態になる時点が同時であり、圧力変動の要因が2つあったとしても、この時点からは減衰し始めることとなるので、所定時間を決めるのに好適である。
【0039】
ブラックインクが貯留されたインクカートリッジ40以外の3つのインクカートリッジ40の記憶部125は、第1所定時間を示すデータを記憶している。ブラックインクが貯留されたインクカートリッジ40の記憶部125は、他の3つのインクカートリッジ40よりも長い時間である第2所定時間を示すデータを記憶している。つまり、記憶部125は、インク容量が大きいほど長い所定時間を記憶している。また、記憶部125に記憶されたデータは書き換え可能となっている。このため、例えば、一度インクを使い切ったインクカートリッジ40にインクを充填して再生する際に、最初に充填されていた初期インク量と異なるインク量を充填してインクカートリッジ40を仕様替えする場合には、当該インク量を示すデータを容易に書き換えることができる。また、記憶部125がインクカートリッジ40に設けられているため、プリンタ本体の記憶容量を小さくすることができる。
【0040】
フランジ47の外面には、図3に示すように、信号伝送系の接点91が形成されている。接点91は、副走査方向に沿って後述のインク排出口46aと並んで配置されている。図8に示すように、接点91は、制御部90と接続されている。なお、変形例として、接点91は、インク排出口46aと鉛直方向下方に重ならない位置に配置されておれば、どの位置に配置されていてもよい。このように信号伝達系の接点91が、インク排出口46aと鉛直方向下方に重ならない位置に配置されていることで、インク排出口46aから垂れ落ちたインクが接点91に付着するのを抑制することが可能となる。
【0041】
また、筐体41のインク排出口46a側の側面には、電力伝達系の電力入力部(接点)92が設けられている。筐体41のインク排出口46aと電力入力部92との間には、主走査方向であってフランジ47からインク袋42に向かって凹んだ段差面41cが設けられている。そして、電力入力部92が、段差面41cに配置されている。また、電力入力部92は、副走査方向に関してインク排出口46aとの間に接点91を挟んで配置されている。すなわち、電力入力部92は、副走査方向に沿ってインク排出口46aから接点91よりも離れている。また、図8に示すように、電力入力部92は、制御部90、記憶部125及びアクチュエータ70と電気的に接続されている。電力入力部92は、後述の電力出力部162と電気的に接続されることによって制御部90、記憶部125、アクチュエータ70及び後述のセンサ66に電力を供給する。なお、変形例として、電力入力部92は、インク排出口46aと鉛直方向下方に重ならない位置に配置されておれば、どの位置に配置されていてもよい。
【0042】
このように電力伝達系の電力入力部92が、インク排出口46aと鉛直方向下方に重ならない位置に配置されていることで、インク排出口46aから垂れ落ちたインクが電力入力部92に付着するのを抑制することが可能となる。さらに、電力入力部92が接点91よりもインク排出口46aから離れているので、よりインクが付着しにくくなる。このため、電力入力部92がショートして制御部90などが損傷するのを抑制することができる。また、電力入力部92とインク排出口46aとの間に段差面41cが設けられていることで、電力入力部92とインク排出口46aとが副走査方向のみならず主走査方向にも大きく離れることになる。したがって、電力入力部92にインクが付着するのをより一層抑制することが可能となる。
【0043】
また、インク導出管43の管45内には、図5に示すように、第1バルブ50が配置されている。第1バルブ50は、管45の一端(左端)に形成された開口を封止する封止体51と、球体52と、コイルバネ53とを有している。管45の一端には、蓋46が設けられており、封止体51が管45から外れないようになっている。なお、蓋46には、インク排出口46aが形成されている。
【0044】
コイルバネ53は、一端が球体52と接触し他端が管45の他端に形成された段差部45aと接触しており、常に球体52を封止体51に向かって付勢している。本実施形態においては、付勢部材としてコイルバネ53を採用しているが、球体52を封止体51に付勢することが可能であれば、コイルバネ以外の付勢部材であってもよい。
【0045】
封止体51は、ゴムなどの弾性材料から構成されている。また、封止体51には、その中央に主走査方向に貫通したスリット51aと、管45の一端に嵌合可能な環状突起51bと、球体52と対向する面であって環状突起51bに囲まれた部分に球体52の外周面に沿う湾曲部51cとが形成されている。スリット51aの直径は、後述の中空針153よりも小さくなっている。このため、封止体51は、スリット51aに中空針153が挿入されているときはスリット51aの内周面が中空針153の外周面に密着するように弾性変形し、スリット51aと中空針153との間からインクがほとんど漏れない。
【0046】
環状突起51bの内径は、球体52の直径より若干小さくなっており、球体52との接触によってスリット51aが封止されている。なお、スリット51aは、湾曲部51cと球体52との接触によっても封止される。また、封止体51にスリット51aが形成されていることで、中空針153が挿入しやすくなる。加えて、封止体51に中空針153を挿抜したときに、封止体51が中空針153によって削れ、その削り滓が中空針153内に侵入するのを抑制することが可能となる。そのため、インクジェットヘッド2のインク流路に封止体51の削り滓が侵入するのを抑制することができる。
【0047】
この構成において、図5(b)に示すように、インク排出口46aを通して中空針153をスリット51aに挿入すると、中空針153の先端が球体52と当接し球体52が移動することで湾曲部51c及び環状突起51bから離れる。このときに第1バルブ50が閉状態から開状態となる。また、第1バルブ50が開状態のときには、中空針153の孔153bがスリット51aを通過しているので、中空針153とインク流路43aとが連通する。一方、中空針153がスリット51aから抜かれる方向に移動するに連れて、球体52がコイルバネ53の付勢によって環状突起51bに近づく方向に移動する。そして、球体52と環状突起51bとが接触するときに、第1バルブ50が開状態から閉状態となる。さらに、中空針153が抜かれる方向に移動するに連れて、球体52が湾曲部51cと密着する。このように第1バルブ50は、中空針153の挿抜に応じて、インク導出管43を連通させる開状態、及び、インク導出管43の連通を遮断する閉状態のいずれか一方を取る。また、第1バルブ50が、球体52を封止体51に向かってコイルバネ53で付勢させる構成を有しているので、第1バルブ50を簡易にするとともに第1バルブ50からのインク漏れをより抑制することができる。
【0048】
第2バルブ60は、図6及び図7に示すように、チューブ68と対向する位置に配置された剛板61と、途中部位62aが剛板61との間においてチューブ68を挟む位置に配置された板バネ62と、一端がアクチュエータ70と他端が板バネ62に連結されたワイヤー63とを有している。剛板61は、アクチュエータ70を覆うカバー71上に配置されている。
【0049】
板バネ62は、図7に示すように、カバー71の外形に沿って折り曲げられており、一端がカバー71の一側面に固定され、他端が変位可能に配置されている。板バネ62の途中部位62aは、カバー71の上面と対向し且つ剛板61及びカバー71の上面とほぼ平行に形成されている。途中部位62aとチューブ68との間には、ゴムなどからなる板状の弾性体64が配置されている。板バネ62の他端には、図6に示すように、チューブ68の延在方向に沿って突出した突起62bが形成されている。また、板バネ62の他端近傍には、孔62cが形成されている。孔62cには、ワイヤー63の他端が通され、ワイヤー63と板バネ62とが連結されている。
【0050】
アクチュエータ70は、可動鉄心70aを直線的に進退させるソレノイドからなり、ベース72に固定されている。アクチュエータ70は、制御部90の制御によって駆動される。また、アクチュエータ70は、ベース72に固定されたカバー71によって覆われている。ベース72には、板バネ62の他端と対向する位置に一対の支持部72aが形成されている。一対の支持部72aには、滑車65が回転可能に支持されている。可動鉄心70aの先端部には、ワイヤー63の一端を固定する固定部70bが形成されている。そして、ワイヤー63は、滑車65を介して屈曲して配置され且つアクチュエータ70の動作に伴って板バネ62の他端が移動するように配置されている。
【0051】
この構成において、制御部90の制御により、アクチュエータ70が駆動され、可動鉄心70aが図7(a)に示す状態から図7(b)に示す状態へと縮められると、板バネ62の他端がワイヤー63を介して図7中下方に変位する。すなわち、板バネ62の他端は、途中部位62aが剛板61に対してチューブ68を押圧する方向に変位する。これにより、板バネ62が、途中部位62aと剛板61との間においてチューブ68を押圧するように弾性変形し、インク流路43aの連通が遮断(閉状態)される。一方、可動鉄心70aが図7(b)に示す状態から図7(a)に示す状態へと伸ばされると、板バネ62自身の弾性復帰力によって途中部位62aが剛板61に対してチューブ68を押圧する方向とは反対方向、すなわち、図7中上方に板バネ62の他端が変位する。これにより、途中部位62aと剛板61との間において、チューブ68に対する押圧が解除され、インク流路43aの連通が復帰(開状態)する。
【0052】
このように第2バルブ60は、直接インクに接触せずに、インク流路43aの開閉を行うことが可能となる。また、第2バルブ60を簡易な構成とすることが可能となる。また、滑車65を介してワイヤー63を屈曲して配置することで、第2バルブ60及びアクチュエータ70をコンパクトに配置可能となる。なお、板バネ62とチューブ68との間に弾性体64が配置されていることで、第2バルブ60のインク流路43aの開閉による、チューブ68の損傷が抑制される。また、アクチュエータ70は、電力が供給されないときには、可動鉄心70aが図7(b)に示すように縮んだ状態となる。すなわち、インク流路43aの連通が遮断された状態となる。
【0053】
また、筐体41の部屋41bには、制御部90に接続された反射型の光学式センサ66が設けられている。センサ66は、図7に示すように、第2バルブ60によってインク流路43aの連通が遮断されていないときに突起62bとは対向せず、第2バルブ60によってインク流路43aの連通が遮断されたときに突起62bと対向する位置に配置されている。また、センサ66は、光出射部と光受光部を有しており、光受光部が光を受光したときに信号Aを出力し、受光していないときに信号Aとは異なる信号Bを出力する。そして、センサ66は、突起62bと対向するときに、光出射部から出力された光が突起62bで反射され光受光部で受光されるため、信号Aを制御部90に出力する。これにより、制御部90は、に第2バルブ60が閉状態であることを検出することができる。一方、センサ66は、突起62と対向しないときに、光出射部から出力された光が突起62bで反射されず光受光部で受光されないため、信号Bを制御部90に出力する。これにより、制御部90は、第2バルブ60が開状態であることを検出することができる。つまり、センサ66は、第2バルブ60の開状態に対応する信号として信号Bを出力し、第2バルブの閉状態に対応する信号として信号Aを出力する。このように第2バルブ60(板バネ62)の機械的変位をセンサ66を用いて検出することによって、第2バルブ60の開及び閉状態を検出するので、第2バルブ60の開及び閉状態の検出の信頼性が高くなる。
【0054】
次に、プリンタ本体に形成された装着部150について、図8、図9を参照しつつ説明する。プリンタ本体には、インクカートリッジ40がそれぞれ装着される装着部150が副走査方向に沿って4つ並設されている。なお、装着部150は、どれもほぼ同じ構成を有しているため、1つの装着部150について説明する。
【0055】
装着部150は、図9に示すように、インクカートリッジ40の外形に沿った凹部151を有している。凹部151の底部151aには、中空針153と、インク供給路154と、制御部100と電気的に接続された接点161と、プリンタ本体に設けられた電源部200(図8に図示)から供給される電力を出力する電力出力部162とが設けられている。
【0056】
中空針153は、主走査方向に沿って延在し、且つスリット51aと対向する位置に配置されている。中空針153には、インク供給路154と連通する中空部153aと、先端近傍に外部と中空部153aとを連通させる孔153bとが形成されている(図5参照)。この構成において、インクカートリッジ40がプリンタ本体に装着されたときであって孔153bがスリット51aを通過したときに、中空針153とインク流路43aの管45部分とが連通状態となる。一方、インクカートリッジ40がプリンタ本体から取り外されたときであって孔153bがスリット51aに入り込んだとき(球体52と湾曲部51bとが密着するとき)に、中空針153とインク流路43aとの連通が遮断される。なお、中空針153は、孔153bがスリット51aを通過することでインク流路43aと連通するが、第2バルブ60が開状態となるまでは中空部153aにインク袋42内のインクが流入する連通状態にならない。また、中空針153の孔153bからインクジェットヘッド2の吐出口までの流路は、大気に開放されていない密閉流路となっている。このため、インクが空気に触れることがなくなり、インクの粘度上昇を抑制することができる。
【0057】
接点161は、接点91と対向する位置であって副走査方向に沿って中空針153と並んで配置されている。接点161は、主走査方向に変位可能なバネ状の端子からなり、インクカートリッジ40がプリンタ本体に装着されたときであって球体52が湾曲部51cから離隔するときに接点91と電気的に接続される。すなわち、接点161は、第1バルブ50が開状態となる直前に接点91と接続される。換言すると、接点161は、インクカートリッジ40がプリンタ本体から取り外しが開始されるまでは、接点91と電気的に接続されている。そして、接点161と接点91が電気的に接続されることで、制御部100と制御部90の間の信号伝送経路が確立される。
【0058】
電力出力部162は、底部151aに形成された段差面151bに設けられている。また、電力出力部162は、電力入力部92と対向する位置に配置されており、主走査方向に突出した接点163を有している。接点163も接点161と同様に、第1バルブ50が開状態となる前から電力入力部92と電気的に接続される。
【0059】
各装着部150の凹部151の開口近傍には、制御部100に接続され、筐体41の外面に形成された突起41d(被検出部)の有無を検出する反射型の光学式センサ170(本体側装着検出手段)が設けられている。センサ170は、光出射部と光受光部を有しており、光受光部が光を受光したときに信号Cを出力し、受光していないときに信号Cとは異なる信号Dを出力する。図8(b)に示すように、インクカートリッジ40の装着部150への装着が完了したとき(第1バルブ50は、この装着完了と同時に開状態となる)に、センサ170は、突起41dと対向し、このとき光出射部から出力された光が突起41dで反射され光受光部で受光されるため、信号Cを制御部100に出力する。これにより、制御部100は、インクカートリッジ40の装着部150への装着が完了したこと(第1バルブ50が閉状態から開状態に変ったこと)を検出することができる。また、センサ170は、図8(a)に示すようにインクカートリッジ40が装着部150から取り外されるとき(第1バルブ50が閉状態となるとき)に、突起41dと対向しなくなり、光出射部から出力された光が突起41dで反射されず光受光部で受光されないため、信号Dを制御部100に出力する。これにより、制御部100は、インクカートリッジ40が装着部150に装着されていないこと(第1バルブ50が閉状態であること)を検出することができる。つまり、センサ170は、インクカートリッジ40が装着部150へ装着されていること(第1バルブ50が開状態であること)に対応する信号として信号Cを出力し、インクカートリッジ40が装着部150へ装着されていないこと(第1バルブ50が閉状態であること)に対応する信号として信号Dを出力する。このように、制御部100は、センサ170を用いて突起41dと中空針153の相対位置を検出することで、インクカートリッジ40の装着部150への装着及び非装着を検出するとともに、第1バルブ50の開状態及び閉状態を検出できる。この構成により、第1バルブ50の動作を直接検出しなくても、第1バルブ50の開及び閉状態を検出することが可能となって、第1バルブ50の開及び閉状態を検出する構成が簡易な構成となる。
【0060】
続いて、インクカートリッジ40をプリンタ本体に装着するときの動作について、図10のフローチャートも参照しながら以下に説明する。プリンタ本体にインクカートリッジ40を装着する際は、ユーザは、プリンタ本体の扉1cを開けてから4つのインクカートリッジ40を装着部150にそれぞれ装着する。この装着動作の際に、中空針153がスリット51aに徐々に挿入されるとともに、接点91と接点161とが電気的に接続され、電力出力部162の接点163と電力入力部92とが電気的に接続される。これにより、2つの制御部90,100が電気的に接続され互いに信号の送受信が可能になるとともに、制御部90、アクチュエータ70、記憶部125及びセンサ66に電力が供給される。また、接点91と接点161同士が接続されたときに、制御部100が、記憶部125のデータを読み取って各インクカートリッジ40のインク容量に応じた第1及び第2所定時間を認識する。
【0061】
そして、図9(b)に示すように、センサ170が突起41dと対向し、センサ170から信号Cが制御部100に出力される。これにより、制御部100は、装着部150にインクカートリッジ40が装着されたことを検出する(S1)。このとき、図5(b)に示すように、挿入された中空針153により球体52と環状突起51bとが離隔し、第1バルブ50が閉状態から開状態となる。また、制御部90は、インクカートリッジ40の装着が検出されたことを受けて、記憶部125のデータの読み込みを行う(S2)。次に、制御部90は、S2において記憶部125のデータが読み込めたか否かを判定する(S3)。このとき、記憶部125にデータが記憶されておらず当該データが読み込めない場合は、制御部90から制御部100に第1エラー信号が出力され、第1エラー信号を受信した制御部100はブザー13(図2、図8参照)を制御して、ユーザに「記憶部125にデータが記憶されていないこと」を知らせる音をブザー13から発生させる(S4)。
【0062】
一方、S3において、制御部90が記憶部125のデータを読み込めたと判定した場合、制御部90は、装着が検出されてから所定時間経過したか否かを判断する(S5)。そして所定時間経過したときに、アクチュエータ70を作動させる作動信号をアクチュエータ70に出力し、これを受けて、アクチュエータ70の作動が開始される(S6)。このアクチュエータ70の作動により、途中部位62aと剛板61とによるチューブ68に対する押圧を解除する。これにより、第2バルブ60が開状態となり、インク袋42内のインクがインク導出管43を通って中空針153に流れ込み、各インクカートリッジ40からインクジェットヘッド2へインクが供給される。次に、制御部90は、アクチュエータ70の作動が終了したか否かを判定し、終了していない場合はアクチュエータ70の作動が終了するまで待機する(S7)。なお、アクチュエータ70の作動が終了したか否かの判定は、アクチュエータ70の作動を開始した時刻から記憶部125またはプリンタ本体の記憶部(図示せず)に記憶された作動時間を経過したか否かで判定される。
【0063】
そして、作動時間が経過したら、制御部90は、第2バルブ60が閉状態から開状態になったか否かを判定する(S8)。具体的には、センサ66が、信号Aを出力しているか信号Bを出力しているかによって第2バルブ60が閉状態であるか開状態であるかを判定する。そして、センサ66が信号Aを出力していた場合は、第2バルブ60が閉状態のままであるため、制御部100に第2エラー信号を出力する(S9)。制御部100はブザー13を制御して、ユーザに「第2バルブ60及びフォトセンサ66のいずれかにエラーが生じていること」を知らせる音をブザー13から発生させる。
【0064】
一方、ステップ8において、制御部90が信号Bを受信している場合は、正常にインクカートリッジ40が装着部150に装着されたと判定され、そのまま待機、すなわち、印刷可能状態となる(S10)。そして、制御部90から制御部100に印刷可能であることを示す信号が出力される(S11)。そして、当該信号を受信した制御部100が、ブザー13を制御して、「印刷が可能であること」を知らせる音をブザー13から発生させる。こうして、インクカートリッジ40の装着が完了する。
【0065】
続いて、インクカートリッジ40をプリンタ本体から取り外すときの動作について、以下に説明する。例えば、インクがなくなったときに、インクカートリッジ40をプリンタ本体から取り外す。このインクカートリッジ40の取り外しの移動に伴って、センサ170が突起41dと対向しなくなり、センサ170から信号Dが制御部100に出力される。これにより、制御部100は、第1バルブ50が閉状態であること及びインクカートリッジ40がプリンタ本体から取り外されたことを認識する。この後、制御部100から制御部90にアクチュエータ70を作動させる制御信号が出力される。制御信号を受信した制御部90は、アクチュエータ70を制御して、途中部位62aと剛板61との間において両者にチューブ68を押圧させる。これにより、第2バルブ60が開状態から閉状態となり、インク導出管43のインクの流通が遮断される。このとき、センサ66が突起62bと対向し、センサ66から制御部90に信号Aが出力される。そして、制御部90から制御部100に第2バルブ60の閉状態を示す信号が出力される。なお、接点91,161同士が離隔するまで(すなわち、孔153bがスリット51aの中央を通過するまで)に、制御部90から制御部100に第2バルブ60の閉状態を示す信号が出力される。
【0066】
そして、インクカートリッジ40の取り外しの移動に伴って、中空針153がスリット51aから抜かれ、接点91と接点161及び電力入力部92と接点163の接続が解除される。その後、プリンタ本体から取り外されたインクカートリッジ40を新しいインクカートリッジ40に交換して、上述したようにインクカートリッジ40をプリンタ本体に装着する。
【0067】
また、制御部100の制御により、インクジェットヘッド2から用紙Pにインクが吐出され印刷が行われているときなどに、例えば、アクチュエータ70の故障、電力供給の不具合などの何らかの原因で第2バルブ60が開状態から閉状態になるようにアクチュエータ70が動作した場合、センサ66から信号Aが制御部90に出力される。そして、当該信号を受信した制御部90が第2バルブ60の閉状態を示す信号を制御部100に出力する。この信号を受信した制御部100は、インク吐出を停止するようにインクジェットヘッド2を制御し、印刷中の用紙Pを排紙部31に排出するように給紙ローラ25、送りローラ対26、搬送ユニット21及び二組の送りローラ対28を制御する。このように、第2バルブ60が何らかの原因で閉状態となっても、制御部100がインクジェットヘッド2のインク吐出を停止するので、インクジェットヘッド2から継続してインク吐出することによって第2バルブ60からインクジェットヘッド2までの流路に大きな負圧が生じるのを抑制することが可能となる。そのため、インクジェットヘッド2の吐出口近傍に形成されたメニスカスが破壊されるのを防ぐことが可能になり、吐出口からエアが入り込まなくなる。
【0068】
以上のように、本実施形態のインクジェットプリンタ1によると、インクカートリッジ40を装着部150に装着したときに、所定時間(第1及び第2所定時間)経過後に第2バルブ60が開状態となる。そのため、インクカートリッジ40が装着部150に装着されてから、インクカートリッジ40のインク袋42とインクジェットヘッド2を結ぶ流路が繋がるまでに、所定時間分の時間差が生じる。よって、インクカートリッジ40を装着部150に装着するときのインクカートリッジ40自身の移動により、インク袋42内のインクに圧力変動が生じても、当該圧力変動が落ち着いてからインクカートリッジ40内のインクがインクジェットヘッド2側に供給されることになる。したがって、インクジェットヘッド2の吐出口に形成されたインクメニスカスが破壊されるのを抑制することが可能となる。
【0069】
また、記憶部125はインク量が大きいほど長い所定時間を示すデータを記憶している。このため、インク量が大きいインクカートリッジ(ブラックインクを貯留したインクカートリッジ)40を接続したときにおいても、圧力変動が落ち着いてからインクカートリッジ40内のインクがインクジェットヘッド2側に供給される。したがって、インクジェットヘッド2の吐出口に形成されたインクメニスカスが破壊されるのをより抑制することが可能となる。
【0070】
また、アクチュエータ70がインクカートリッジ40に設けられているので、第2バルブ60に対するアクチュエータ70の位置精度が向上する。そのため、精度良く第2バルブ60の開閉が可能となる。
【0071】
また、第2バルブ60は、プリンタ本体からインクカートリッジ40が取り外されたときには閉状態になる。そのため、第1バルブ50が閉状態を取るときに当該第1バルブ50が破損していても、第2バルブ60によりインク流路43aの連通が遮断されているので、インクの大量漏れを抑制することができる。
【0072】
第1変形例として、センサ170からのインクカートリッジ40が装着部150へ装着されているか否か(第1バルブ50が開状態であるか閉状態であるか)に対応する信号が直接、制御部90に出力されてもよい。この場合、インクカートリッジ40が装着部150へ装着されたこと(第1バルブ50の開状態)に対応する信号を受信した制御部90が、インク量に応じた所定時間(第1又は第2所定時間)経過後に、アクチュエータ70を作動させて第2バルブ60を開状態にしてもよい。また、インクカートリッジ40が装着部150へ装着されていないこと(第1バルブの閉状態)に対応する信号を受信した制御部90が、アクチュエータ70を作動させて第2バルブ60を閉状態にしてもよい。
【0073】
第2変形例として、インクカートリッジ40をプリンタ本体に装着するときの動作において、制御部90が実行する処理や判断であるS3、S5、S6、S7、S8は、その少なくとも一部を制御部100が代わりに実行してもよい。
【0074】
第3変形例として、本体に設けられたセンサ170の代わりに、インクカートリッジにセンサ270を設け、このセンサ270から、インクカートリッジ40が装着部150へ装着されているか否か(第1バルブ50が開状態であるかび閉状態であるか)に対応する信号を発生させてもよい。図11は第3変形例の電気的なブロック図を示している。同図に示すように、センサ270は信号を制御部90に向けて出力し、制御部90から制御部100にその信号が伝送される。センサ270は、たとえば、反射型の光学式センサを用いることができ、インクカートリッジ40が装着部150へ装着されているときと装着されていないときで異なる信号を発生するように構成されればよい。
【0075】
第4変形例として、インクカートリッジ40が装着部150に装着されたときに、接点91と接点161及び電力入力部92と接点163が、第1バルブ50が開状態となってから記憶部125が記憶した所定時間経過するまでの間に電気的に接続されてもよい。また、電力入力部92と接点163は、接点91と接点161とが電気的に接続されてから接続されることが好ましい。この場合、インクカートリッジ40を装着部150に装着した際に、接点91と接点161及び電力入力部92と接点163の接続が、第1バルブ50が開状態となってから行われるだけで、上述とほぼ同様な動作となる。一方、インクカートリッジ40を装着部150から取り外した際は、まず、最初にインクカートリッジ40の制御部90、アクチュエータ70及びセンサ66に対する電力の供給が遮断される。これにより、第2バルブ60が自動的に閉状態となる。次に、中空針153が抜かれることによって第1バルブ50が閉状態となり、このときに第1及び第2バルブ50,60の閉状態を示す信号をセンサ170から制御部100に出力すればよい。さらに、印刷中に何らかの原因で第2バルブ60が閉状態となっても、第1実施形態と同様に、制御部90から出力された第2バルブ60の閉状態を示す信号を受信した制御部100が、インクジェットヘッド2からのインク吐出を停止すればよい。
【0076】
第5変形例として、第1バルブが、スリットが形成されていない封止体だけから構成されていてもよい。この場合、中空針153の孔153bが封止体を通過したときに、第1バルブが開状態であるとして、このタイミングでセンサ170が突起41dを検出すればよい。このように第1バルブが封止体だけからなることで、第1バルブの構成が簡易になる。
【0077】
次に、本発明の第2実施形態について、図12を基にして説明する。図12は第2実施形態の電気的なブロック図を示している。第2実施形態は、第1実施形態との比較において、インクカートリッジ40に制御部90が設けられていない点が異なっており、これにともない、記憶部125、センサ66、及びアクチュエータ70は、接点91と接点161が電気的に接続されたときに、制御部100との間で直接信号伝送経路が確立するように構成されている。それ以外の構成は、第1実施形態と同一である。
【0078】
この実施形態においては、第1実施形態において制御部90が行っていた処理や判断を全て制御部100が実行することになる。具体的には、S2における記憶部125のデータの読み込み、S3における記憶部125のデータが読み込めたか否かの判定、S5における装着が検出されてから所定時間経過したか否かを判断、S6におけるアクチュエータ70を作動させる作動信号をアクチュエータ70に出力すること、S7におけるアクチュエータ70の作動が終了したか否かの判定、S8における第2バルブ60が閉状態から開状態になったか否かの判定、等を行う。
【0079】
この第2実施形態の第1変形例として、本体に設けられたセンサ170の代わりに、インクカートリッジにセンサ370を設け、このセンサ370から、インクカートリッジ40が装着部150へ装着されているか否か(第1バルブ50が開状態であるか閉状態であるか)に対応する信号を発生させてもよい。図13は第3変形例の電気的なブロック図を示している。同図に示すように、センサ370は、接点91と接点161が電気的に接続されたときに、制御部100との間で直接信号伝送経路が確立するように構成されており、信号を制御部100に向けて出力することができる。センサ370は、たとえば、反射型の光学式センサを用いることができ、インクカートリッジ40が装着部150へ装着されているときと装着されていないときで異なる信号を発生するように構成されればよい。
【0080】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述した実施形態においては、センサ170と突起41dとを用いて、インクカートリッジ40の装着部150への装着が完了を検出するとともに、この装着完了と同時に第1バルブ50が閉状態から開状態になるように構成することで、第1バルブ50の開状態の検出も兼ねているが、装着部150への装着完了と第1バルブ50の閉状態から開状態への変化が同時に行われない場合も想定される。このような場合に、第1バルブ50の開及び閉状態を検出する手段として、センサ170と突起41dとは別に、第1バルブ50の球体52の位置を検出するフォトセンサ又は磁気センサを用いて、第1バルブ50の開及び閉状態を検出してもよい。また、突起41dに代えて、筐体41,241の角部をセンサ170で検出してもよい。
【0081】
また、上述の実施形態においては、センサ66及び突起62bが設けられていなくてもよい。すなわち、第2バルブ60の開及び閉状態を検出する手段が設けられていなくてもよい。
【0082】
また、第1バルブは、インク導出管に設けられ、インク導出管を連通させる開状態、及び、インク導出管の連通を遮断する閉状態のいずれか一方を選択的に取ることが可能であれば、上述の実施形態及び変形例以外の構成を有していてもよい。例えば、第1バルブを開閉制御可能な電動バルブにより構成し、通常は閉状態であり、本体に装着された場合に限って、制御部90または制御部100により開状態になるように制御されるものであってもよい。また、第2バルブも、インク袋と第1バルブとの間においてインク導出管に設けられ、インク導出管のインク袋から第1バルブまでの流路を連通させる開状態、及び、当該流路を遮断する閉状態のいずれか一方を選択的に取ることが可能であれば、上述の実施形態及び変形例以外の構成を有していてもよい。
また、ブザー13に代えて、筐体1aにディスプレイを設け、そのディスプレイに音に代わる画像を表示させて、ユーザに知らせてもよい。また、これらの報知手段(ブザー、ディスプレイ)を併用してもよい。
【0083】
また、上述の実施形態においては、インクカートリッジ40は装着部150に装着されたときに、本体に設けられた電源部から電源を供給されるように構成されていたが、インクカートリッジ40自体が電源を持つように構成してもよい。
また、インクカートリッジ40はインクを供給するものには限られず、メンテナンスに必要な液体などのインク以外の液体を供給するカートリッジであってもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 インクジェットプリンタ(画像形成装置の本体)
2 インクジェットヘッド(液体吐出ヘッド)
40 インクカートリッジ
41 筐体
41d 突起
42 インク袋(液体収容部)
43 インク導出管
50 第1バルブ(第1開閉手段)
60 第2バルブ(第2開閉手段)
66 センサ(第2開閉手段検出手段)
70 アクチュエータ(駆動手段)
90,100 制御部(制御手段、本体制御手段)
125 記憶部(記憶手段)
153 中空針
170 センサ(本体側装着検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の本体に着脱可能であるとともに、その本体に装着されたときに液体を供給可能な液体カートリッジであって、
液体を収容する液体収容部と、
前記液体収容部と連通する液体を外部に導出するための液体導出路と、
前記液体導出路の第1部分に関して、この第1部分を遮断する閉状態と開通させる開状態とをとり得ることができる第1開閉手段と、
前記液体導出路の前記第1部分と前記液体収容部との間の第2部分に関して、この第2部分を遮断する閉状態と開通させる開状態とをとり得ることができる第2開閉手段と、
前記第2開閉手段を駆動する駆動手段と、
所定時間に対応する時間データを記憶する記憶手段と、を備え、
前記駆動手段は、前記液体カートリッジが前記本体に装着されてから前記記憶手段に記憶された前記時間データが示す時間が経過した時に、前記第2開閉手段が閉状態から開状態に変わるように前記第2開閉手段を駆動することを特徴とする液体カートリッジ。
【請求項2】
前記所定時間は、前記液体カートリッジが前記本体に装着された第1時点から前記第2開閉手段が閉状態から開状態に変わる第2時点までの所要時間の推奨値であることを特徴とする請求項1に記載の液体カートリッジ。
【請求項3】
前記駆動手段を制御する制御手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された前記時間データを読み出すとともに、前記液体カートリッジが前記本体に装着されてから前記記憶手段に記憶された前記時間データが示す時間が経過した時に、前記第2開閉手段を閉状態から開状態に変えるように前記駆動手段を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の液体カートリッジ。
【請求項4】
請求項1または2に記載の前記液体カートリッジと、この液体カートリッジから供給された液体によって画像を形成する画像形成装置の本体とから構成される画像形成装置であって、
前記本体は、その本体を制御する本体制御手段と、前記液体カートリッジから供給された液体を吐出する液体吐出ヘッドと、前記液体カートリッジが前記本体に装着されたか否かを検出する本体側装着検出手段とを備えており、
前記液体カートリッジは、前記本体に着脱可能であるとともにその本体に装着されたときに液体を供給できるよう構成されており、さらに、前記駆動手段を制御する制御手段を備えており、
前記液体カートリッジと前記本体は、前記液体カートリッジが前記本体に装着されたときに互いに接触して、前記本体制御手段と前記制御手段との間での信号伝送経路を確立できる端子を夫々備えており、
前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された前記時間データを読み出すとともに、前記本体側装着検出手段による装着検出がなされてから前記時間データが示す時間が経過した時に、前記第2開閉手段を閉状態から開状態に変えるように前記駆動手段を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記液体カートリッジは、この液体カートリッジから供給された液体によって画像を形成する画像形成装置の本体に着脱可能であるとともに、その本体に装着されたときに液体を供給できるよう構成されており、さらに、
前記駆動手段を制御する制御手段と、前記液体カートリッジが前記本体に装着されたか否かを検出する装着検出手段とを備えており、
前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された前記時間データを読み出すとともに、前記装着検出手段による装着検出がなされてから前記時間データが示す時間が経過した時に、前記第2開閉手段を閉状態から開状態に変えるように前記駆動手段を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の液体カートリッジ。
【請求項6】
請求項5に記載の前記液体カートリッジと前記本体とから構成される画像形成装置であって、
前記本体は、その本体を制御する本体制御手段と、前記液体カートリッジから供給された液体を吐出する液体吐出ヘッドと、を備えており、
前記液体カートリッジと前記本体は、前記液体カートリッジが前記本体に装着されたときに互いに接触して、前記本体制御手段と前記制御手段との間での信号伝送経路を確立できる端子を夫々備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1または2に記載の前記液体カートリッジと、この液体カートリッジから供給された液体によって画像を形成する画像形成装置の本体とから構成される画像形成装置であって、
前記本体は、その本体を制御する本体制御手段と、前記液体カートリッジから供給された液体を吐出する液体吐出ヘッドと、前記液体カートリッジが前記本体に装着されたか否かを検出する本体側装着検出手段とを備えており、
前記液体カートリッジは、前記本体に着脱可能であるとともにその本体に装着されたときに液体を供給できるよう構成されており、
前記液体カートリッジと前記本体は、前記液体カートリッジが前記本体に装着されたときに互いに接触して、前記本体制御手段と前記駆動手段及び前記記憶手段との間での信号伝送経路を確立できる端子を夫々備えており、
前記本体制御手段は、前記液体カートリッジが前記本体に装着されたとき、前記記憶手段に記憶された前記時間データを読み出すとともに、前記本体側装着検手段による装着検出がなされてから前記時間データが示す時間が経過した時に、前記第2開閉手段を閉状態から開状態に変えるように前記駆動手段を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1または2に記載の前記液体カートリッジと、この液体カートリッジから供給された液体によって画像を形成する画像形成装置の本体とから構成される画像形成装置であって、
前記本体は、その本体を制御する本体制御手段と、前記液体カートリッジから供給された液体を吐出する液体吐出ヘッドと、を備えており、
前記液体カートリッジは、前記本体に着脱可能であるとともにその本体に装着されたときに液体を供給できるよう構成されており、さらに、前記液体カートリッジが前記本体に装着されたか否かを検出する装着検出手段を備え、
前記液体カートリッジと前記本体は、前記液体カートリッジが前記本体に装着されたときに、互いに接触して、前記本体制御手段と、前記駆動手段、前記記憶手段、及び前記装着検出手段との間での信号伝送経路を確立できる端子を夫々備えており、
前記本体制御手段は、前記液体カートリッジが前記本体に装着されたとき、前記記憶手段に記憶された前記時間データを読み出すとともに、前記装着検出手段による装着検出がなされてから前記時間データが示す時間が経過した時に、前記第2開閉手段を閉状態から開状態に変えるように前記駆動手段を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
前記液体カートリッジは、前記第2開閉手段が閉状態であるか開状態であるかを検出する第2開閉手段検出手段を備えており、
前記本体制御手段は、前記第2開閉手段検出手段によって前記第2開閉手段が閉状態であることが検出されたときは、前記液体吐出ヘッドからの液体の吐出を停止するように前記液体吐出ヘッドを制御することを特徴とする請求項4、6、7、8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
液体を収容する液体収容部と、
前記液体収容部と連通する液体を外部に導出するための液体導出路と、
前記液体導出路の第1部分に関して、この第1部分を遮断する閉状態と開通させる開状態とをとり得ることができる第1開閉手段と、
前記液体導出路の前記第1部分と前記液体収容部との間の第2部分に関して、この第2部分を遮断する閉状態と開通させる開状態とをとり得ることができる第2開閉手段と、
前記第2開閉手段を駆動する駆動手段と、
前記駆動手段を制御する制御手段と、
前記第1開閉手段が開状態となってから前記第2開閉手段が開状態に変わるまでの所要時間の推奨値に対応する時間データを記憶する記憶手段と、を備え、
前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された前記時間データを読み出すとともに、前記第1開閉手段が開状態となってから前記記憶手段に記憶された前記時間データが示す時間が経過した時に、前記第2開閉手段を閉状態から開状態に変えるように前記駆動手段を制御することを特徴とする液体カートリッジ。












【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−235446(P2011−235446A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105937(P2010−105937)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】