液体下の表面形状測定方法及びそのシステム
【課題】画像の撮影位置情報と液体の屈折率により、液体表面から物体までの深度を求めるための補正を考慮した液体下の表面形状測定方法及びそのシステムを提供する。
【解決手段】ステレオ画像に対してデジタル図化機を用いてデジタルマッピングを行い左側に位置する画像撮影装置Aの位置情報2、右側に位置する画像撮影装置Bの位置情報3、DEM値4のそれぞれのデータを生成するデータ生成部1と、屈折率値の入力部11と、左右水面到達座標、左右入射角、左右屈折角の演算を行う演算部12と、2次元・3次元の判別部13と、2次元の真値の演算部14と、3次元における画像撮影装置2機の入射角の判別部15と、3次元の入射角が同じ場合の演算部16と、3次元の入射角が異なる場合の演算部17と、前記演算された2次元、3次元の真値に基づいて、液体下の物体の表面形状を生成する生成部18と、上記した各部の情報を記憶する記憶部19とを有するコンピュータ10とを具備することを特徴とする。
【解決手段】ステレオ画像に対してデジタル図化機を用いてデジタルマッピングを行い左側に位置する画像撮影装置Aの位置情報2、右側に位置する画像撮影装置Bの位置情報3、DEM値4のそれぞれのデータを生成するデータ生成部1と、屈折率値の入力部11と、左右水面到達座標、左右入射角、左右屈折角の演算を行う演算部12と、2次元・3次元の判別部13と、2次元の真値の演算部14と、3次元における画像撮影装置2機の入射角の判別部15と、3次元の入射角が同じ場合の演算部16と、3次元の入射角が異なる場合の演算部17と、前記演算された2次元、3次元の真値に基づいて、液体下の物体の表面形状を生成する生成部18と、上記した各部の情報を記憶する記憶部19とを有するコンピュータ10とを具備することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステレオ画像を用いて、液体下の物体表面の形状を計測することのできる液体下の表面形状測定方法及びそのシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
物体の表面の形状を計測するには、レーザー光を用いる方法や、超音波を用いる方法があるが、特にステレオ画像を用いる方法は、物体形状を平面的に手軽に把握できる方法として盛んに用いられている。
【0003】
ステレオ画像の最も効果的な使用法の一つは、デジタル写真測量であり、ステレオペアの空中写真をデジタル図化機を用いて図化することにより陸上の地形図が作成されてきた(下記特許文献1,2参照)。また、地形図作成以外にも、ステレオペアの画像は距離の計測(下記特許文献3参照)や、眼底3次元データの取得(下記特許文献4参照)などに用いられている。
【特許文献1】特開平8−210851号公報
【特許文献2】特開平9−069148号公報
【特許文献3】特開2000−356514号公報
【特許文献4】特開平8−000567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、空中から撮影されたステレオ画像によって海底面など液体下の物体の表面形状を計測するためには、液体の屈折効果によって浅く見えている割合を補正する必要がある。
【0005】
本発明は、上記状況に鑑みて、画像の撮影位置情報と液体の屈折率を用いて、液体表面から物体までの深度を求めるための補正を考慮した液体下の表面形状測定方法及びそのシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕ステレオ画像に対して、デジタル図化機を用いてデジタルマッピングを行う液体下の表面形状測定方法であって、前記ステレオ画像をデジタル化する工程と、解析範囲に所定の配列で基準地点群を設定して各々の基準地点の平面座標値を記憶する工程と、前記解析範囲において基準地点群の位置及び標高値を用いて各々の画素の標高を測定して計算する工程と、液体の屈折率と画像撮影位置情報により浅く見えている割合を補正する補正係数を算出する工程と、前記補正係数を用いて液体下の物体の真の深度を得る工程とを有することを特徴とする。
【0007】
〔2〕ステレオ画像に対して、デジタル図化機を用いてデジタルマッピングを行う液体下の表面形状計測システムであって、ステレオ画像に対してデジタル図化機を用いてデジタルマッピングを行い、左側に位置する画像撮影装置Aの位置情報、右側に位置する画像撮影装置Bの位置情報、DEM値のそれぞれのデータを生成するデータ生成部と、左右水面到達座標、左右入射角、左右屈折角の演算を行う演算部と、撮影位置の判別部と、屈折率の入力を行う屈折率値の入力部と、画像撮影装置2機の真下の点を結ぶ直線上に対象点がある時を2次元、それ以外の時を3次元としたときの2次元・3次元の判別部と、2次元の真値を演算する演算部と、3次元である場合に画像撮影装置2機の入射角の異同を判別する判別部と、該判別部により入射角が等しいと判別された場合の真値を演算する演算部と、前記入射角が異なると判別された場合の真値を演算する演算部と、前記演算された2次元、3次元の真値に基づいて、液体下の物体の表面形状を生成する生成部と、上記した各部の情報を記憶する記憶部とを有するコンピュータとを具備することを特徴とする。
【0008】
〔3〕上記〔2〕記載の液体下の表面形状計測システムにおいて、計測された前記液体下の物体の表面形状の情報を画面に表示する出力部を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、海底の地形図をはじめ、液体下にある物体の表面形状データの作成を正確に、しかも安価かつ手軽に行い、液体下にある物体の表面形状の測定を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
ステレオ画像に対して、デジタル図化機を用いてデジタルマッピングを行う液体下の表面形状測定方法であって、前記ステレオ画像をデジタル化する工程と、解析範囲に所定の配列で基準地点群を設定して各々の基準地点の平面座標値を記憶する工程と、前記解析範囲において基準地点群の位置及び標高値を用いて各々の画素の標高を測定して計算する工程と、液体の屈折率と画像撮影位置情報により浅く見えている割合を補正する補正係数を算出する工程と、前記補正係数を用いて液体下の物体の真の深度を得る工程とを有する。よって、液体下にある物体の表面形状データの作成を正確に、しかも安価かつ手軽に行い、正確な液体下にある物体の表面形状の測定を行うことができる。
【実施例】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
ここでは、例として、対象を浅海域とし、航空写真を用いた水深図の作成を、本発明の最も効果的な利用方法の一つとして述べる。
【0013】
以下、本発明の液体下の表面形状データ作成方法について詳細に説明する。
【0014】
従来、2枚のステレオペアの空中写真を利用し、立体視(ステレオマッチング)を行うことによりデジタル標高図(Digital Elevation Model:DEM)が作成されてきた。標高図の作成には市販のデジタルステレオ図化機(Digital Photogrammetry Workstation:DPW)が広く用いられている。サンゴ礁など海水の透明度の高い浅海域では、海底の様子を空中写真から判別できるため、地表面と同様にステレオマッチングを用いてDEMを作成できることが期待される。しかしながら、DPWのステレオマッチングによって算出されるDEM値は、水面での光の屈折効果によって実際の水深よりも浅い値を示すため、その補正が必要不可欠である。しかし、これまで、航空写真の主点と観測点との位置関係によって、どのくらいの割合で水深が浅く見えるのかということの理論的解明は行われていなかった。
【0015】
本発明では、これを理論的に明らかにし、光の屈折効果を補正するコンピュータプログラムを開発した。そして、その水深補正プログラムによってDPWによるDEM値を実際の水深に近い値に補正する。実際に、航空写真(沖縄県石垣島白保サンゴ礁の1995年撮影の1万分の1写真)から得られたDEMを、その水深補正プログラムによって補正した。そして、補正前後のDEMをそれぞれ実測水深と比較し、誤差の平均を算出することで精度検証を行った。
【0016】
まず、光の屈折効果及び水深補正の理論を画像撮影装置2機の真下の点を結ぶ直線上に対象点がある場合(2次元)とそれ以外の場合(3次元)に分けて解説する。そして、実際の水深よりどのくらい浅く見えているのか考察し、その浅く見えている割合を算出する。また、その理論の精度を実際の航空写真によるDEM値を用いて検証する。
【0017】
〔1〕光の屈折
水中では物体や水底が実際より浮き上がって(浅く)見えるという現象が起こる。これは光の屈折によるものである。
【0018】
図1はその原理を示す図である。
【0019】
水中の物体(ここでは水底)がどう見えるかを幾何学的に考えるには、屈折した光がどのように像を結ぶかを考えなければならない。
【0020】
図1において、水底A1から真上に向かって出た光は、A1→P→Rと直進して目に届く。ところが、やや斜め上方に向かった光は、水面Qで屈折してSに届く。しかし、目の網膜(ここでは、航空写真)に映る画像は、この屈折が考慮されないため光が線分SQの延長線上を直進したように結像され、直線A1Rと線分SQの延長線との交点A2に物体(水底)があるように見える。これが浅く見える原理である。
【0021】
一般的に空気に対する水の屈折率nは
屈折率n=sinθn/sinθk≒1.33
(θn:入射角,θk:屈折角)
で表される。
【0022】
〔2〕水深補正理論
上記したように、サンゴ礁の海底のDEMを航空写真測量により、DPWを用いて作成した場合、光の屈折効果の影響で、実際より浅めの結果となってしまう。そこで、本発明では、浅く見える割合は航空写真の主点と観測点との位置関係によって変わることを理論的に明らかにして補正理論を確立し、この補正理論に基づく補正プログラムによりDPWで作成されたDEM値をより現実の値に近づけることを試みる。
【0023】
図2に航空写真測量を例とした鳥瞰図、図3に立体図を示す。
【0024】
この図において、2機の飛行機は所定の高度で飛行しつつ、飛行速度に応じた一定の間隔で、写真間のオーバーラップ部分が60%となるように撮影を行う。
【0025】
なお、撮影高度は任意に設定することが可能である。空中写真の場合、一般に高度3,000mから10,000mで撮影されたものを用いる。
【0026】
このようにして取得した空中写真を、スキャナによりデジタルデータに変換する。このとき分解能が10cm程度のものを用いるのが望ましい。
【0027】
図3において、右画像撮影装置座標と左画像撮影装置座標からの光線が、それぞれ右水面到達座標、左水面到達座標を通過し、海底の対象物をとらえている様子を示している。この時、光は水面においてそれぞれ屈折を起こしている。
【0028】
また、図2,図3に示すようにX,Y,Z座標をとり、右画像撮影装置座標を(Xr,Yr,Zr)、左画像撮影装置座標を(Xl,Yl,Zl)、右水面到達座標を(Xwr,Ywr,Zwr)、左水面到達座標を(Xwl,Ywl,Zwl)、DPWによるDEM値を(Xd,Yd,Zd)、真値(理論値)を(Xh,Yh,Zh)とした。
【0029】
〔2−1〕画像撮影装置2機の真下の点を結ぶ直線上に対象点がある場合(2次元、図2の直線a上)
この場合、光の軌跡を2次元平面上で考えることができる。この場合は、図4に示すようになる。
【0030】
図4において、写真取得時の水面の高さ(標高)をZとし、水の空気に対する屈折率をnw(=1.33)とする。また、DPWにより写真標定を終えているので、画像撮影装置座標と撮影高度は既知となり、DEM値も既に計測されているとする。
【0031】
はじめに、DEM値と画像撮影装置座標を結ぶ直線と水面Zとの交点により、水面到達座標を求める。
【0032】
Xwr=〔(Z−Zd)×(Xr−Xd)〕/〔(Zr−Zd)〕+Xd
Xwl=〔(Z−Zd)×(Xl−Xd)〕/〔(Zl−Zd)〕+Xd
Ywr=〔(Z−Zd)×(Yr−Yd)〕/〔(Zr−Zd)〕+Yd
Ywl=〔(Z−Zd)×(Yl−Yd)〕/〔(Zl−Zd)〕+Yd
Zwr=Z
Zwl=Z
次に、水面到達座標と画像撮影装置座標から、入射角のsinの二乗を求める。
【0033】
sin2 nr=〔(Yr−Ywr)2 〕/〔(Yr−Ywr)2 +(Zr−Zwr)2 〕 sin2 nl=〔(Yl−Ywl)2 〕/〔(Yl−Ywl)2 +(Zl−Zwl)2 〕 (nr:右画像撮影装置からの入射角,nl:左画像撮影装置からの入射角)
また、屈折率nw=sinθn/sinθkより、屈折角のsinの二乗を求める。
【0034】
sin2 kr=sin2 nr/nw2
sin2 kl=sin2 nl/nw2
(kr:右画像撮影装置からの入射角に対する屈折角,kl:左画像撮影装置からの入射角に対する屈折角)
そして、最後に真値と右水面到達座標を通る直線と、真値と左水面到達座標を通る直線の交点から、真値(理論値)を求める。まず、先に求めた屈折角のsinの二乗から、tanの二乗を求める。
【0035】
tan2 kr=(sin2 kr)/(1−sin2 kr)
tan2 kl=(sin2 kl)/(1−sin2 kl)
これより、図4における真値と水面到達座標を通る二直線の傾きは、それぞれ
【0036】
となる(ただし、DEM値の位置座標によって、正・負は変わる)。
【0037】
よって、真値のYh,Zhは次の2直線の交点として求まる。
【0038】
【数1】
Xhについては、X,Y平面での画像撮影装置2機を結ぶ直線上の点であることから、
Xh=〔(Xr−Xl)/(Yr−Yl)〕(Yh−Yl)+Xl
となる。
【0039】
このようにして、真値(Xh,Yh,Zh)を求めることが出来る。
【0040】
ここで、図4からもわかるように、2機の画像撮影装置からの入射角が違う場合、DEM値のY座標(Yd)と真値のY座標(Yh)はずれる。つまり、実際の位置より横にずれて見えるのである。この横ずれ幅を、画像撮影装置高度3000m、水面の高さZ=0.92、右画像撮影装置座標(0,500,3000),左画像撮影装置座標(0,−500,3000)、DEM値水深(Zd)−0.9mとして、検証したものを以下、図5に示す。
【0041】
ここで、横ずれ幅は、Yd−Yhにより求めた。
【0042】
図5でY座標幅を−700〜700としているのは、2枚の1万分の1の航空写真(22.8cm×22.8cm,60%オーバーラップ)と仮定したためである。
【0043】
また、図5において、Y座標が−500と500の画像撮影装置の位置で横ずれがないのは、図1のように、左右いずれかの入射角が2次元的に考えて0°になっているからである。
【0044】
この図からわかるように、横ずれ幅は最大で0.004892mであり、誤差は無視できるほど小さいと言える。このことから、Yh≒Ydと近似できる。
【0045】
〔2−2〕対象点が画像撮影装置2機の真下を結ぶ直線上以外にある場合(3次元)
上記で、水底がどのように見えるかを幾何学的に考えたときに、屈折した光がどのように像を結ぶかを考えた。3次元においても同じように考えられるが、3次元では2次元と違って、2機の画像撮影装置からの水面への入射角が異なる場合は、図6に示すように、屈折後の光線が一点で交わらない。つまり、DPWもステレオマッチングにより、無理やり像を結んでいたと思われる。
【0046】
(a)2機の画像撮影装置からの入射角が同じ場合(像を結ぶ場合、図2の直線b上)
2機の画像撮影装置から水面への入射角が同じ場合、2機を結んだ2次元の直線の中点を通る垂線上の点に像を結ぶことになる。この点については、2次元における2直線の交点と同様の方法で求まる。この場合、水面到達座標は、
Xwr=〔{(Z−Zd)×(Xr−Xd)}/(Zr−Zd)〕+Xd
Xwl=〔{(Z−Zd)×(Xl−Xd)}/(Zl−Zd)〕+Xd
Ywr=〔{(Z−Zd)×(Yr−Yd)}/(Zr−Zd)〕+Yd
Ywl=〔{(Z−Zd)×(Zl−Zd)}/(Zl−Zd)〕+Yd
Zwr=Z
Zwl=Z
で表され、入射角のsinの二乗は、図3より、
sin2 nr={(Xr−Xwr)2 +(Yr−Ywr)2 }/{(Xr−Xwr)2 +(Yr−Ywr)2 +(Zr−Zwr)2 }
…(1)
sin2 nl={(Xl−Xwl)2 +(Yl−Ywl)2 }/{(Xl−Xwl)2 +(Yl−Ywl)2 +(Zl−Zwl)2 }
…(2)
となる。
【0047】
これにより、2次元同様、傾きを求め、真値を求めることができる。また、この場合、中点であるのでY方向・X方向へのずれは無く、その結果、Xh=Xd,Yh=Ydであり、Zhは、
【0048】
【数2】
で、求められる。
【0049】
(b)2機の画像撮影装置からの入射角が異なる場合(像を結ばない場合)
次に画像撮影装置2機からの入射角が異なる場合について考える。この場合、屈折後の光線が像を結ばないとされるため、以下のように近似した。
【0050】
まず、図3において、屈折角と水面到達座標と真値から以下のような関係式が成り立つ。 sin2 kr={(Xwr−Xh)2 +(Ywr−Yh)2 }/{(Xwr−Xh)2 +(Ywr−Yh)2 +(Zwr−Zh)2 }
…(3)
sin2 kl={(Xwl−Xh)2 +(Ywl−Yh)2 }/{(Xwl−Xh)2 +(Ywl−Yh)2 +(Zwl−Zh)2 }
…(4)
また、上記式(1)、(2)から、屈折率nw=sinθn/sinθkより、
sin2 kr=sin2 nr/nw2 …(5)
sin2 kl=sin2 nl/nw2 …(6)
よって、上記した(3)、(5)、(4)、(6)式より以下の方程式が成り立つ。
【0051】
{(Xwr−Xh)2 +(Ywr−Yh)2 }/{(Xwr−Xh)2 +(Ywr−Yh)2 +(Zwr−Zh)2 }=sin2 nr/nw2
{(Xwl−Xh)2 +(Ywl−Yh)2 }/{(Xwl−Xh)2 +(Ywl−Yh)2 +(Zwl−Zh)2 }=sin2 nl/nw2
ここで、上式において、2次元での横ずれの検証の結果より3次元においても横ずれは少ないと仮定し、Yh≒Ydと近似すると、
{(Xwr−Xh)2 +(Ywr−Yd)2 }/{(Xwr−Xh)2 +(Ywr−Yd)2 +(Zwr−Zh)2 }=sin2 nr/nw2
{(Xwl−Xh)2 +(Ywl−Yd)2 }/{(Xwl−Xh)2 +(Ywl−Yd)2 +(Zwl−Zh)2 }=sin2 nl/nw2
となり、連立方程式が成り立つ。これにより、真値のXh,Zhを求める。
【0052】
これらの理論により、2機の画像撮影装置からの2枚の航空写真により得られたDEM値を基にステレオマッチングされた範囲において、水深補正を行うことができる。
【0053】
図7は、画像撮影装置高度3000m、平均海面からの水面の高さZ=0.92m、右画像撮影装置座標(0,500,3000),左画像撮影装置座標(0,−500,3000)、平均海面からのDEM値水深−1.0mとし、X,Y平面において、水深の分布を示したものである。
【0054】
この図より、ステレオ画像の中心(X=Y=0)から離れるほど実際の水深より、浅く見えていることがわかる。
【0055】
ステレオ画像の中心で、DEM値は真値(理論値)より水深にして0.6040倍浅く見え、一番浅く見えるところで、0.5582倍浅く見えることがわかった。またこの場合、平均して0.5802倍浅く見えていることになる。
【0056】
図8は本発明の水深補正プログラムのフローチャートである。
【0057】
この図において、まず、画像撮影装置位置及びDEM値を入力する(ステップS1)。次に、水面到達座標、入射角・屈折角の算出を行う(ステップS2)。次に、屈折率を入力する(ステップS3)。次に、2次元か3次元かの判別を行い(ステップS4)、判別の結果、2次元の場合(ステップS5)水深の真値を算出する(ステップS6)。また、3次元の場合(ステップS7)、画像撮影装置からの入射角の判別を行い(ステップS8)、入射角が同じ場合(ステップS9)、入射角が異なる場合(ステップS10)、それぞれにおいて、水深の真値を決定する(ステップS11、ステップS12)。このようにして、いずれの場合にも、水深の真値を決定する(ステップS12)。それらのステップS6,ステップS11,ステップS12の水深の真値に基づいて、液体下の物体の表面形状の生成(真値の決定、ステップS13)を行う。
【0058】
以下、本発明のDEMデータによる実証試験について説明する。
【0059】
図9、図10に沖縄県石垣島白保の1995年撮影の1万分の1航空写真2枚(60%オーバーラップ)を示す。
【0060】
以下、この2枚の航空写真から得られたDEMデータを用いて、本発明の精度検証を行った。
【0061】
ここでは、DEM値を本発明のプログラムによって補正した水深理論値と、白保の水深実測値を比較検証した。この条件で、水深補正を行う前のDEM値と水深補正を行った後の理論値を実測値とそれぞれ比較をした。
【0062】
本発明による補正前のDEM値と実測値との比較結果を図11に、本発明による補正後の理論値と実測値との比較結果を図12に示す。
【0063】
これらの図において、y(実測値)=x(計算値)の直線を引き、この直線に近いほど、実際値との誤差が少ないということを示す。
【0064】
図11からわかるように、DEMの値(補正を行う前)は、実測値よりも浅く見えていて、誤差の平均値は0.622528mとなっている。これに対し図12より、本発明による補正を行った後の理論値では、ほぼy=x直線の周りに集中し、、誤差の平均値も0.297963mとなり精度も良くなったことがわかる。
【0065】
これはDPWのDEM値では実測値よりも水深を浅くとっていたものを、理論的に補正することにより、実測値に近い値、つまり水深を深く補正できたためであると思われる。
【0066】
また、すべての点がy=x上に乗らなかったのは、DPWのステレオマッチングが上手くできていないこと、画像撮影装置の状態(撮影時の画像撮影装置の傾き、画像撮影装置高度の変動など)を考慮に入れていないことが原因で生じた誤差であると思われる。
【0067】
本発明における結果を以下のようにまとめた。
【0068】
(1)水中において水底や対象物が浅く見える理論を、屈折率を考慮して考えた。
【0069】
(2)その理論を基に、水深補正プログラムを完成させた。
【0070】
(3)沖縄県石垣島白保のデータを用いてプログラムの精度検証を行った結果、補正前の誤差の平均は0.62258mであったが、本発明の理論による水深補正では0.29796mと精度が良くなった。また、DEM値水深を−1.0mと仮定し、航空写真のステレオ画像の範囲で水深散布図(図7)を作ったところ、DEMデータは実測したデータより水深にして、平均で0.58倍浅く見えていることがわかった。
【0071】
図13は上記した液体下の物体の真の水深値に基づいて液体下の物体の表面形状を生成させるシステムブロックである。
【0072】
この図において、1はステレオ画像に対してDPWを用いてデジタルマッピングを行い、データを生成するデータ生成部であり、2は左側に位置する画像撮影装置Aの位置情報、3は右側に位置する画像撮影装置Bの位置情報、4はDEM値、5は屈折率値である。また、10はコンピュータであり、このコンピュータ10には、データ生成部1から左側に位置する画像撮影装置Aの位置情報2、右側に位置する画像撮影装置Bの位置情報3、DEM値4が入力される。コンピュータ10は、屈折率値の入力部11、左右水面到達座標、左右入射角、左右屈折角の演算部12、2次元・3次元の判別部13、2次元の真値の演算部14、3次元における画像撮影装置2機の入射角の判別部15、3次元の入射角が同じ場合の演算部16、3次元の入射角が異なる場合の演算部17、液体下の物体の表面形状の生成部18、各部からの情報を記憶するとともに、各部へ記憶された情報を提供する記憶部19、液体下の物体の表面形状の生成情報を出力する出力部20から構成されている。ここで、真値を求めるフローは、図8に示した通りであり、出力部からの出力例としては、水深散布図(図7参照)を得ることもできる。
【0073】
本発明においては、
(1)まず、ステレオ画像をデジタル化する。
【0074】
(2)次に、解析範囲に所定の配列で基準地点群を設定して各々の基準地点の平面座標値を記憶する。
【0075】
(3)前記解析範囲において基準地点群の位置及び標高値を用いて各々の画素の標高を測定して計算する。
【0076】
ここまでは、デジタル図化機を用いたデジタルマッピングに基づいて作成することができる。
【0077】
(4)次に、液体の屈折率と画像撮影位置情報により浅く見えている割合を補正する補正係数を算出する。
【0078】
(5)前記補正係数を用いて液体下の物体の真の深度を得る。
【0079】
上記(4)及び(5)の工程が本発明の重要なプロセスである。
【0080】
このように、液体下の表面形状生成の生成を、図13を用いて説明すると、
データ生成部1において、ステレオ画像に対してデジタル図化機(先行技術参照)を用いてデジタルマッピングを行い左側に位置する画像撮影装置Aの位置情報2、右側に位置する画像撮影装置Bの位置情報3、DEM値4のそれぞれのデータを生成する。次に、屈折率値5とともにこれらのデータをコンピュータ10に取込み、演算部12において、左右水面到達座標、左右入射角、左右屈折角の演算を行う。その値は記憶部19に記憶する。次に、2次元・3次元の判別部13において、2次元・3次元の判別を行い、その値は記憶部19に記憶する。次に、真値の演算部14において、2次元の真値の演算を行い、その真値は記憶部19に記憶する。また、3次元の場合は入射角の判別部15において、入射角が同じか異なるかの判別を行い、その値は記憶部19に記憶する。次に、真値の演算部16において、入射角が同じ場合の3次元の記憶の真値の演算を行い、その真値は記憶部19に記憶する。次に、真値の演算部17において、入射角が異なる場合の3次元の真値の演算を行い、その真値は記憶部19に記憶する。このようにして求められた2次元、3次元の真値に基づいて、液体下の物体の表面形状の生成部18において、マッピングを行い、液体下の物体の表面形状の生成を行う。
【0081】
なお、本発明は航空写真測量に限らず、画像撮影装置でステレオ撮影したものであれば汎用的に適用することができる。
【0082】
また、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の液体下の表面形状データ作成方法は、正確な海面下の物体の表面形状を知るための有効なツールとして利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】光の屈折による液体下での物体の見え方の原理の説明図である。
【図2】本発明にかかる航空写真測量を例とした鳥瞰図である。
【図3】図2の立体図である。
【図4】画像撮影装置2機の真下を結ぶ直線上に対象点がある場合の2次元モデル図である。
【図5】DEM値と真値のY座標の横ずれ特性を示す図である。
【図6】画像撮影装置2機の真下を結ぶ直線上以外に対象点がある場合(3次元)の、水面での光線の屈折後の様子を示す図である。
【図7】飛行機の高度が3,000mで、デジタル写真測量により計測されたみかけの深度が1mの場合の真の深度を示す図である。
【図8】本発明の水深補正プログラムのフローチャートである。
【図9】本発明の実証試験に用いた沖縄県石垣島白保の航空写真(その1)を示す図である。
【図10】本発明の実証試験に用いた沖縄県石垣島白保の航空写真(その2)を示す図である。
【図11】本発明による補正前のDEM値と実測値との比較を示す図である。
【図12】本発明による補正後の理論値と実測値との比較を示す図である。
【図13】本発明の実施例を示す液体下の表面形状測定システムのブロック図である。
【符号の説明】
【0085】
1 データ生成部
2 左側に位置する画像撮影装置Aの位置情報
3 右側に位置する画像撮影装置Bの位置情報
4 DEM値
5 屈折率値
10 コンピュータ
11 屈折率値の入力部
12 左右水面到達座標、左右入射角、左右屈折角の演算部
13 2次元・3次元の判別部
14 2次元の真値の演算部
15 3次元における画像撮影装置2機の入射角の判別部
16 3次元の入射角が同じ場合の演算部
17 3次元の入射角が異なる場合の演算部
18 液体下の物体の表面形状の生成部
19 各部からの情報を記憶するとともに、各部へ記憶された情報を提供する記憶部
20 液体下の物体の表面形状の生成情報を出力する出力部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステレオ画像を用いて、液体下の物体表面の形状を計測することのできる液体下の表面形状測定方法及びそのシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
物体の表面の形状を計測するには、レーザー光を用いる方法や、超音波を用いる方法があるが、特にステレオ画像を用いる方法は、物体形状を平面的に手軽に把握できる方法として盛んに用いられている。
【0003】
ステレオ画像の最も効果的な使用法の一つは、デジタル写真測量であり、ステレオペアの空中写真をデジタル図化機を用いて図化することにより陸上の地形図が作成されてきた(下記特許文献1,2参照)。また、地形図作成以外にも、ステレオペアの画像は距離の計測(下記特許文献3参照)や、眼底3次元データの取得(下記特許文献4参照)などに用いられている。
【特許文献1】特開平8−210851号公報
【特許文献2】特開平9−069148号公報
【特許文献3】特開2000−356514号公報
【特許文献4】特開平8−000567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、空中から撮影されたステレオ画像によって海底面など液体下の物体の表面形状を計測するためには、液体の屈折効果によって浅く見えている割合を補正する必要がある。
【0005】
本発明は、上記状況に鑑みて、画像の撮影位置情報と液体の屈折率を用いて、液体表面から物体までの深度を求めるための補正を考慮した液体下の表面形状測定方法及びそのシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕ステレオ画像に対して、デジタル図化機を用いてデジタルマッピングを行う液体下の表面形状測定方法であって、前記ステレオ画像をデジタル化する工程と、解析範囲に所定の配列で基準地点群を設定して各々の基準地点の平面座標値を記憶する工程と、前記解析範囲において基準地点群の位置及び標高値を用いて各々の画素の標高を測定して計算する工程と、液体の屈折率と画像撮影位置情報により浅く見えている割合を補正する補正係数を算出する工程と、前記補正係数を用いて液体下の物体の真の深度を得る工程とを有することを特徴とする。
【0007】
〔2〕ステレオ画像に対して、デジタル図化機を用いてデジタルマッピングを行う液体下の表面形状計測システムであって、ステレオ画像に対してデジタル図化機を用いてデジタルマッピングを行い、左側に位置する画像撮影装置Aの位置情報、右側に位置する画像撮影装置Bの位置情報、DEM値のそれぞれのデータを生成するデータ生成部と、左右水面到達座標、左右入射角、左右屈折角の演算を行う演算部と、撮影位置の判別部と、屈折率の入力を行う屈折率値の入力部と、画像撮影装置2機の真下の点を結ぶ直線上に対象点がある時を2次元、それ以外の時を3次元としたときの2次元・3次元の判別部と、2次元の真値を演算する演算部と、3次元である場合に画像撮影装置2機の入射角の異同を判別する判別部と、該判別部により入射角が等しいと判別された場合の真値を演算する演算部と、前記入射角が異なると判別された場合の真値を演算する演算部と、前記演算された2次元、3次元の真値に基づいて、液体下の物体の表面形状を生成する生成部と、上記した各部の情報を記憶する記憶部とを有するコンピュータとを具備することを特徴とする。
【0008】
〔3〕上記〔2〕記載の液体下の表面形状計測システムにおいて、計測された前記液体下の物体の表面形状の情報を画面に表示する出力部を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、海底の地形図をはじめ、液体下にある物体の表面形状データの作成を正確に、しかも安価かつ手軽に行い、液体下にある物体の表面形状の測定を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
ステレオ画像に対して、デジタル図化機を用いてデジタルマッピングを行う液体下の表面形状測定方法であって、前記ステレオ画像をデジタル化する工程と、解析範囲に所定の配列で基準地点群を設定して各々の基準地点の平面座標値を記憶する工程と、前記解析範囲において基準地点群の位置及び標高値を用いて各々の画素の標高を測定して計算する工程と、液体の屈折率と画像撮影位置情報により浅く見えている割合を補正する補正係数を算出する工程と、前記補正係数を用いて液体下の物体の真の深度を得る工程とを有する。よって、液体下にある物体の表面形状データの作成を正確に、しかも安価かつ手軽に行い、正確な液体下にある物体の表面形状の測定を行うことができる。
【実施例】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
ここでは、例として、対象を浅海域とし、航空写真を用いた水深図の作成を、本発明の最も効果的な利用方法の一つとして述べる。
【0013】
以下、本発明の液体下の表面形状データ作成方法について詳細に説明する。
【0014】
従来、2枚のステレオペアの空中写真を利用し、立体視(ステレオマッチング)を行うことによりデジタル標高図(Digital Elevation Model:DEM)が作成されてきた。標高図の作成には市販のデジタルステレオ図化機(Digital Photogrammetry Workstation:DPW)が広く用いられている。サンゴ礁など海水の透明度の高い浅海域では、海底の様子を空中写真から判別できるため、地表面と同様にステレオマッチングを用いてDEMを作成できることが期待される。しかしながら、DPWのステレオマッチングによって算出されるDEM値は、水面での光の屈折効果によって実際の水深よりも浅い値を示すため、その補正が必要不可欠である。しかし、これまで、航空写真の主点と観測点との位置関係によって、どのくらいの割合で水深が浅く見えるのかということの理論的解明は行われていなかった。
【0015】
本発明では、これを理論的に明らかにし、光の屈折効果を補正するコンピュータプログラムを開発した。そして、その水深補正プログラムによってDPWによるDEM値を実際の水深に近い値に補正する。実際に、航空写真(沖縄県石垣島白保サンゴ礁の1995年撮影の1万分の1写真)から得られたDEMを、その水深補正プログラムによって補正した。そして、補正前後のDEMをそれぞれ実測水深と比較し、誤差の平均を算出することで精度検証を行った。
【0016】
まず、光の屈折効果及び水深補正の理論を画像撮影装置2機の真下の点を結ぶ直線上に対象点がある場合(2次元)とそれ以外の場合(3次元)に分けて解説する。そして、実際の水深よりどのくらい浅く見えているのか考察し、その浅く見えている割合を算出する。また、その理論の精度を実際の航空写真によるDEM値を用いて検証する。
【0017】
〔1〕光の屈折
水中では物体や水底が実際より浮き上がって(浅く)見えるという現象が起こる。これは光の屈折によるものである。
【0018】
図1はその原理を示す図である。
【0019】
水中の物体(ここでは水底)がどう見えるかを幾何学的に考えるには、屈折した光がどのように像を結ぶかを考えなければならない。
【0020】
図1において、水底A1から真上に向かって出た光は、A1→P→Rと直進して目に届く。ところが、やや斜め上方に向かった光は、水面Qで屈折してSに届く。しかし、目の網膜(ここでは、航空写真)に映る画像は、この屈折が考慮されないため光が線分SQの延長線上を直進したように結像され、直線A1Rと線分SQの延長線との交点A2に物体(水底)があるように見える。これが浅く見える原理である。
【0021】
一般的に空気に対する水の屈折率nは
屈折率n=sinθn/sinθk≒1.33
(θn:入射角,θk:屈折角)
で表される。
【0022】
〔2〕水深補正理論
上記したように、サンゴ礁の海底のDEMを航空写真測量により、DPWを用いて作成した場合、光の屈折効果の影響で、実際より浅めの結果となってしまう。そこで、本発明では、浅く見える割合は航空写真の主点と観測点との位置関係によって変わることを理論的に明らかにして補正理論を確立し、この補正理論に基づく補正プログラムによりDPWで作成されたDEM値をより現実の値に近づけることを試みる。
【0023】
図2に航空写真測量を例とした鳥瞰図、図3に立体図を示す。
【0024】
この図において、2機の飛行機は所定の高度で飛行しつつ、飛行速度に応じた一定の間隔で、写真間のオーバーラップ部分が60%となるように撮影を行う。
【0025】
なお、撮影高度は任意に設定することが可能である。空中写真の場合、一般に高度3,000mから10,000mで撮影されたものを用いる。
【0026】
このようにして取得した空中写真を、スキャナによりデジタルデータに変換する。このとき分解能が10cm程度のものを用いるのが望ましい。
【0027】
図3において、右画像撮影装置座標と左画像撮影装置座標からの光線が、それぞれ右水面到達座標、左水面到達座標を通過し、海底の対象物をとらえている様子を示している。この時、光は水面においてそれぞれ屈折を起こしている。
【0028】
また、図2,図3に示すようにX,Y,Z座標をとり、右画像撮影装置座標を(Xr,Yr,Zr)、左画像撮影装置座標を(Xl,Yl,Zl)、右水面到達座標を(Xwr,Ywr,Zwr)、左水面到達座標を(Xwl,Ywl,Zwl)、DPWによるDEM値を(Xd,Yd,Zd)、真値(理論値)を(Xh,Yh,Zh)とした。
【0029】
〔2−1〕画像撮影装置2機の真下の点を結ぶ直線上に対象点がある場合(2次元、図2の直線a上)
この場合、光の軌跡を2次元平面上で考えることができる。この場合は、図4に示すようになる。
【0030】
図4において、写真取得時の水面の高さ(標高)をZとし、水の空気に対する屈折率をnw(=1.33)とする。また、DPWにより写真標定を終えているので、画像撮影装置座標と撮影高度は既知となり、DEM値も既に計測されているとする。
【0031】
はじめに、DEM値と画像撮影装置座標を結ぶ直線と水面Zとの交点により、水面到達座標を求める。
【0032】
Xwr=〔(Z−Zd)×(Xr−Xd)〕/〔(Zr−Zd)〕+Xd
Xwl=〔(Z−Zd)×(Xl−Xd)〕/〔(Zl−Zd)〕+Xd
Ywr=〔(Z−Zd)×(Yr−Yd)〕/〔(Zr−Zd)〕+Yd
Ywl=〔(Z−Zd)×(Yl−Yd)〕/〔(Zl−Zd)〕+Yd
Zwr=Z
Zwl=Z
次に、水面到達座標と画像撮影装置座標から、入射角のsinの二乗を求める。
【0033】
sin2 nr=〔(Yr−Ywr)2 〕/〔(Yr−Ywr)2 +(Zr−Zwr)2 〕 sin2 nl=〔(Yl−Ywl)2 〕/〔(Yl−Ywl)2 +(Zl−Zwl)2 〕 (nr:右画像撮影装置からの入射角,nl:左画像撮影装置からの入射角)
また、屈折率nw=sinθn/sinθkより、屈折角のsinの二乗を求める。
【0034】
sin2 kr=sin2 nr/nw2
sin2 kl=sin2 nl/nw2
(kr:右画像撮影装置からの入射角に対する屈折角,kl:左画像撮影装置からの入射角に対する屈折角)
そして、最後に真値と右水面到達座標を通る直線と、真値と左水面到達座標を通る直線の交点から、真値(理論値)を求める。まず、先に求めた屈折角のsinの二乗から、tanの二乗を求める。
【0035】
tan2 kr=(sin2 kr)/(1−sin2 kr)
tan2 kl=(sin2 kl)/(1−sin2 kl)
これより、図4における真値と水面到達座標を通る二直線の傾きは、それぞれ
【0036】
となる(ただし、DEM値の位置座標によって、正・負は変わる)。
【0037】
よって、真値のYh,Zhは次の2直線の交点として求まる。
【0038】
【数1】
Xhについては、X,Y平面での画像撮影装置2機を結ぶ直線上の点であることから、
Xh=〔(Xr−Xl)/(Yr−Yl)〕(Yh−Yl)+Xl
となる。
【0039】
このようにして、真値(Xh,Yh,Zh)を求めることが出来る。
【0040】
ここで、図4からもわかるように、2機の画像撮影装置からの入射角が違う場合、DEM値のY座標(Yd)と真値のY座標(Yh)はずれる。つまり、実際の位置より横にずれて見えるのである。この横ずれ幅を、画像撮影装置高度3000m、水面の高さZ=0.92、右画像撮影装置座標(0,500,3000),左画像撮影装置座標(0,−500,3000)、DEM値水深(Zd)−0.9mとして、検証したものを以下、図5に示す。
【0041】
ここで、横ずれ幅は、Yd−Yhにより求めた。
【0042】
図5でY座標幅を−700〜700としているのは、2枚の1万分の1の航空写真(22.8cm×22.8cm,60%オーバーラップ)と仮定したためである。
【0043】
また、図5において、Y座標が−500と500の画像撮影装置の位置で横ずれがないのは、図1のように、左右いずれかの入射角が2次元的に考えて0°になっているからである。
【0044】
この図からわかるように、横ずれ幅は最大で0.004892mであり、誤差は無視できるほど小さいと言える。このことから、Yh≒Ydと近似できる。
【0045】
〔2−2〕対象点が画像撮影装置2機の真下を結ぶ直線上以外にある場合(3次元)
上記で、水底がどのように見えるかを幾何学的に考えたときに、屈折した光がどのように像を結ぶかを考えた。3次元においても同じように考えられるが、3次元では2次元と違って、2機の画像撮影装置からの水面への入射角が異なる場合は、図6に示すように、屈折後の光線が一点で交わらない。つまり、DPWもステレオマッチングにより、無理やり像を結んでいたと思われる。
【0046】
(a)2機の画像撮影装置からの入射角が同じ場合(像を結ぶ場合、図2の直線b上)
2機の画像撮影装置から水面への入射角が同じ場合、2機を結んだ2次元の直線の中点を通る垂線上の点に像を結ぶことになる。この点については、2次元における2直線の交点と同様の方法で求まる。この場合、水面到達座標は、
Xwr=〔{(Z−Zd)×(Xr−Xd)}/(Zr−Zd)〕+Xd
Xwl=〔{(Z−Zd)×(Xl−Xd)}/(Zl−Zd)〕+Xd
Ywr=〔{(Z−Zd)×(Yr−Yd)}/(Zr−Zd)〕+Yd
Ywl=〔{(Z−Zd)×(Zl−Zd)}/(Zl−Zd)〕+Yd
Zwr=Z
Zwl=Z
で表され、入射角のsinの二乗は、図3より、
sin2 nr={(Xr−Xwr)2 +(Yr−Ywr)2 }/{(Xr−Xwr)2 +(Yr−Ywr)2 +(Zr−Zwr)2 }
…(1)
sin2 nl={(Xl−Xwl)2 +(Yl−Ywl)2 }/{(Xl−Xwl)2 +(Yl−Ywl)2 +(Zl−Zwl)2 }
…(2)
となる。
【0047】
これにより、2次元同様、傾きを求め、真値を求めることができる。また、この場合、中点であるのでY方向・X方向へのずれは無く、その結果、Xh=Xd,Yh=Ydであり、Zhは、
【0048】
【数2】
で、求められる。
【0049】
(b)2機の画像撮影装置からの入射角が異なる場合(像を結ばない場合)
次に画像撮影装置2機からの入射角が異なる場合について考える。この場合、屈折後の光線が像を結ばないとされるため、以下のように近似した。
【0050】
まず、図3において、屈折角と水面到達座標と真値から以下のような関係式が成り立つ。 sin2 kr={(Xwr−Xh)2 +(Ywr−Yh)2 }/{(Xwr−Xh)2 +(Ywr−Yh)2 +(Zwr−Zh)2 }
…(3)
sin2 kl={(Xwl−Xh)2 +(Ywl−Yh)2 }/{(Xwl−Xh)2 +(Ywl−Yh)2 +(Zwl−Zh)2 }
…(4)
また、上記式(1)、(2)から、屈折率nw=sinθn/sinθkより、
sin2 kr=sin2 nr/nw2 …(5)
sin2 kl=sin2 nl/nw2 …(6)
よって、上記した(3)、(5)、(4)、(6)式より以下の方程式が成り立つ。
【0051】
{(Xwr−Xh)2 +(Ywr−Yh)2 }/{(Xwr−Xh)2 +(Ywr−Yh)2 +(Zwr−Zh)2 }=sin2 nr/nw2
{(Xwl−Xh)2 +(Ywl−Yh)2 }/{(Xwl−Xh)2 +(Ywl−Yh)2 +(Zwl−Zh)2 }=sin2 nl/nw2
ここで、上式において、2次元での横ずれの検証の結果より3次元においても横ずれは少ないと仮定し、Yh≒Ydと近似すると、
{(Xwr−Xh)2 +(Ywr−Yd)2 }/{(Xwr−Xh)2 +(Ywr−Yd)2 +(Zwr−Zh)2 }=sin2 nr/nw2
{(Xwl−Xh)2 +(Ywl−Yd)2 }/{(Xwl−Xh)2 +(Ywl−Yd)2 +(Zwl−Zh)2 }=sin2 nl/nw2
となり、連立方程式が成り立つ。これにより、真値のXh,Zhを求める。
【0052】
これらの理論により、2機の画像撮影装置からの2枚の航空写真により得られたDEM値を基にステレオマッチングされた範囲において、水深補正を行うことができる。
【0053】
図7は、画像撮影装置高度3000m、平均海面からの水面の高さZ=0.92m、右画像撮影装置座標(0,500,3000),左画像撮影装置座標(0,−500,3000)、平均海面からのDEM値水深−1.0mとし、X,Y平面において、水深の分布を示したものである。
【0054】
この図より、ステレオ画像の中心(X=Y=0)から離れるほど実際の水深より、浅く見えていることがわかる。
【0055】
ステレオ画像の中心で、DEM値は真値(理論値)より水深にして0.6040倍浅く見え、一番浅く見えるところで、0.5582倍浅く見えることがわかった。またこの場合、平均して0.5802倍浅く見えていることになる。
【0056】
図8は本発明の水深補正プログラムのフローチャートである。
【0057】
この図において、まず、画像撮影装置位置及びDEM値を入力する(ステップS1)。次に、水面到達座標、入射角・屈折角の算出を行う(ステップS2)。次に、屈折率を入力する(ステップS3)。次に、2次元か3次元かの判別を行い(ステップS4)、判別の結果、2次元の場合(ステップS5)水深の真値を算出する(ステップS6)。また、3次元の場合(ステップS7)、画像撮影装置からの入射角の判別を行い(ステップS8)、入射角が同じ場合(ステップS9)、入射角が異なる場合(ステップS10)、それぞれにおいて、水深の真値を決定する(ステップS11、ステップS12)。このようにして、いずれの場合にも、水深の真値を決定する(ステップS12)。それらのステップS6,ステップS11,ステップS12の水深の真値に基づいて、液体下の物体の表面形状の生成(真値の決定、ステップS13)を行う。
【0058】
以下、本発明のDEMデータによる実証試験について説明する。
【0059】
図9、図10に沖縄県石垣島白保の1995年撮影の1万分の1航空写真2枚(60%オーバーラップ)を示す。
【0060】
以下、この2枚の航空写真から得られたDEMデータを用いて、本発明の精度検証を行った。
【0061】
ここでは、DEM値を本発明のプログラムによって補正した水深理論値と、白保の水深実測値を比較検証した。この条件で、水深補正を行う前のDEM値と水深補正を行った後の理論値を実測値とそれぞれ比較をした。
【0062】
本発明による補正前のDEM値と実測値との比較結果を図11に、本発明による補正後の理論値と実測値との比較結果を図12に示す。
【0063】
これらの図において、y(実測値)=x(計算値)の直線を引き、この直線に近いほど、実際値との誤差が少ないということを示す。
【0064】
図11からわかるように、DEMの値(補正を行う前)は、実測値よりも浅く見えていて、誤差の平均値は0.622528mとなっている。これに対し図12より、本発明による補正を行った後の理論値では、ほぼy=x直線の周りに集中し、、誤差の平均値も0.297963mとなり精度も良くなったことがわかる。
【0065】
これはDPWのDEM値では実測値よりも水深を浅くとっていたものを、理論的に補正することにより、実測値に近い値、つまり水深を深く補正できたためであると思われる。
【0066】
また、すべての点がy=x上に乗らなかったのは、DPWのステレオマッチングが上手くできていないこと、画像撮影装置の状態(撮影時の画像撮影装置の傾き、画像撮影装置高度の変動など)を考慮に入れていないことが原因で生じた誤差であると思われる。
【0067】
本発明における結果を以下のようにまとめた。
【0068】
(1)水中において水底や対象物が浅く見える理論を、屈折率を考慮して考えた。
【0069】
(2)その理論を基に、水深補正プログラムを完成させた。
【0070】
(3)沖縄県石垣島白保のデータを用いてプログラムの精度検証を行った結果、補正前の誤差の平均は0.62258mであったが、本発明の理論による水深補正では0.29796mと精度が良くなった。また、DEM値水深を−1.0mと仮定し、航空写真のステレオ画像の範囲で水深散布図(図7)を作ったところ、DEMデータは実測したデータより水深にして、平均で0.58倍浅く見えていることがわかった。
【0071】
図13は上記した液体下の物体の真の水深値に基づいて液体下の物体の表面形状を生成させるシステムブロックである。
【0072】
この図において、1はステレオ画像に対してDPWを用いてデジタルマッピングを行い、データを生成するデータ生成部であり、2は左側に位置する画像撮影装置Aの位置情報、3は右側に位置する画像撮影装置Bの位置情報、4はDEM値、5は屈折率値である。また、10はコンピュータであり、このコンピュータ10には、データ生成部1から左側に位置する画像撮影装置Aの位置情報2、右側に位置する画像撮影装置Bの位置情報3、DEM値4が入力される。コンピュータ10は、屈折率値の入力部11、左右水面到達座標、左右入射角、左右屈折角の演算部12、2次元・3次元の判別部13、2次元の真値の演算部14、3次元における画像撮影装置2機の入射角の判別部15、3次元の入射角が同じ場合の演算部16、3次元の入射角が異なる場合の演算部17、液体下の物体の表面形状の生成部18、各部からの情報を記憶するとともに、各部へ記憶された情報を提供する記憶部19、液体下の物体の表面形状の生成情報を出力する出力部20から構成されている。ここで、真値を求めるフローは、図8に示した通りであり、出力部からの出力例としては、水深散布図(図7参照)を得ることもできる。
【0073】
本発明においては、
(1)まず、ステレオ画像をデジタル化する。
【0074】
(2)次に、解析範囲に所定の配列で基準地点群を設定して各々の基準地点の平面座標値を記憶する。
【0075】
(3)前記解析範囲において基準地点群の位置及び標高値を用いて各々の画素の標高を測定して計算する。
【0076】
ここまでは、デジタル図化機を用いたデジタルマッピングに基づいて作成することができる。
【0077】
(4)次に、液体の屈折率と画像撮影位置情報により浅く見えている割合を補正する補正係数を算出する。
【0078】
(5)前記補正係数を用いて液体下の物体の真の深度を得る。
【0079】
上記(4)及び(5)の工程が本発明の重要なプロセスである。
【0080】
このように、液体下の表面形状生成の生成を、図13を用いて説明すると、
データ生成部1において、ステレオ画像に対してデジタル図化機(先行技術参照)を用いてデジタルマッピングを行い左側に位置する画像撮影装置Aの位置情報2、右側に位置する画像撮影装置Bの位置情報3、DEM値4のそれぞれのデータを生成する。次に、屈折率値5とともにこれらのデータをコンピュータ10に取込み、演算部12において、左右水面到達座標、左右入射角、左右屈折角の演算を行う。その値は記憶部19に記憶する。次に、2次元・3次元の判別部13において、2次元・3次元の判別を行い、その値は記憶部19に記憶する。次に、真値の演算部14において、2次元の真値の演算を行い、その真値は記憶部19に記憶する。また、3次元の場合は入射角の判別部15において、入射角が同じか異なるかの判別を行い、その値は記憶部19に記憶する。次に、真値の演算部16において、入射角が同じ場合の3次元の記憶の真値の演算を行い、その真値は記憶部19に記憶する。次に、真値の演算部17において、入射角が異なる場合の3次元の真値の演算を行い、その真値は記憶部19に記憶する。このようにして求められた2次元、3次元の真値に基づいて、液体下の物体の表面形状の生成部18において、マッピングを行い、液体下の物体の表面形状の生成を行う。
【0081】
なお、本発明は航空写真測量に限らず、画像撮影装置でステレオ撮影したものであれば汎用的に適用することができる。
【0082】
また、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の液体下の表面形状データ作成方法は、正確な海面下の物体の表面形状を知るための有効なツールとして利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】光の屈折による液体下での物体の見え方の原理の説明図である。
【図2】本発明にかかる航空写真測量を例とした鳥瞰図である。
【図3】図2の立体図である。
【図4】画像撮影装置2機の真下を結ぶ直線上に対象点がある場合の2次元モデル図である。
【図5】DEM値と真値のY座標の横ずれ特性を示す図である。
【図6】画像撮影装置2機の真下を結ぶ直線上以外に対象点がある場合(3次元)の、水面での光線の屈折後の様子を示す図である。
【図7】飛行機の高度が3,000mで、デジタル写真測量により計測されたみかけの深度が1mの場合の真の深度を示す図である。
【図8】本発明の水深補正プログラムのフローチャートである。
【図9】本発明の実証試験に用いた沖縄県石垣島白保の航空写真(その1)を示す図である。
【図10】本発明の実証試験に用いた沖縄県石垣島白保の航空写真(その2)を示す図である。
【図11】本発明による補正前のDEM値と実測値との比較を示す図である。
【図12】本発明による補正後の理論値と実測値との比較を示す図である。
【図13】本発明の実施例を示す液体下の表面形状測定システムのブロック図である。
【符号の説明】
【0085】
1 データ生成部
2 左側に位置する画像撮影装置Aの位置情報
3 右側に位置する画像撮影装置Bの位置情報
4 DEM値
5 屈折率値
10 コンピュータ
11 屈折率値の入力部
12 左右水面到達座標、左右入射角、左右屈折角の演算部
13 2次元・3次元の判別部
14 2次元の真値の演算部
15 3次元における画像撮影装置2機の入射角の判別部
16 3次元の入射角が同じ場合の演算部
17 3次元の入射角が異なる場合の演算部
18 液体下の物体の表面形状の生成部
19 各部からの情報を記憶するとともに、各部へ記憶された情報を提供する記憶部
20 液体下の物体の表面形状の生成情報を出力する出力部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステレオ画像に対して、デジタル図化機を用いてデジタルマッピングを行う液体下の表面形状計測方法であって、
前記ステレオ画像をデジタル化する工程と、
解析範囲に所定の配列で基準地点群を設定して各々の基準地点の平面座標値を記憶する工程と、
前記解析範囲において基準地点群の位置及び標高値を用いて各々の画素の標高を測定して計算する工程と、
液体の屈折率と画像撮影位置情報により浅く見えている割合を補正する補正係数を算出する工程と、
前記補正係数を用いて液体下の物体の真の深度を得る工程と、
を有することを特徴とする液体下の表面形状測定方法。
【請求項2】
ステレオ画像に対して、デジタル図化機を用いてデジタルマッピングを行う液体下の表面形状計測システムであって、
(a)ステレオ画像に対してデジタル図化機を用いてデジタルマッピングを行い、左側に位置する画像撮影装置Aの位置情報、右側に位置する画像撮影装置Bの位置情報、DEM値のそれぞれのデータを生成するデータ生成部と、
(b)左右水面到達座標、左右入射角、左右屈折角の演算を行う演算部と、撮影位置の判別部と、屈折率の入力を行う屈折率値の入力部と、画像撮影装置2機の真下の点を結ぶ直線上に対象点がある時を2次元、それ以外の時を3次元としたときの2次元・3次元の判別部と、2次元の真値を演算する演算部と、3次元である場合に画像撮影装置2機の入射角の異同を判別する判別部と、該判別部により入射角が等しいと判別された場合の真値を演算する演算部と、前記入射角が異なると判別された場合の真値を演算する演算部と、前記演算された2次元、3次元の真値に基づいて、液体下の物体の表面形状を生成する生成部と、上記した各部の情報を記憶する記憶部とを有するコンピュータとを具備することを特徴とする液体下の表面形状計測システム。
【請求項3】
請求項2記載の液体下の表面形状計測システムにおいて、計測された前記液体下の物体の表面形状の情報を画面に表示する出力部を具備することを特徴とする液体下の表面形状計測システム。
【請求項1】
ステレオ画像に対して、デジタル図化機を用いてデジタルマッピングを行う液体下の表面形状計測方法であって、
前記ステレオ画像をデジタル化する工程と、
解析範囲に所定の配列で基準地点群を設定して各々の基準地点の平面座標値を記憶する工程と、
前記解析範囲において基準地点群の位置及び標高値を用いて各々の画素の標高を測定して計算する工程と、
液体の屈折率と画像撮影位置情報により浅く見えている割合を補正する補正係数を算出する工程と、
前記補正係数を用いて液体下の物体の真の深度を得る工程と、
を有することを特徴とする液体下の表面形状測定方法。
【請求項2】
ステレオ画像に対して、デジタル図化機を用いてデジタルマッピングを行う液体下の表面形状計測システムであって、
(a)ステレオ画像に対してデジタル図化機を用いてデジタルマッピングを行い、左側に位置する画像撮影装置Aの位置情報、右側に位置する画像撮影装置Bの位置情報、DEM値のそれぞれのデータを生成するデータ生成部と、
(b)左右水面到達座標、左右入射角、左右屈折角の演算を行う演算部と、撮影位置の判別部と、屈折率の入力を行う屈折率値の入力部と、画像撮影装置2機の真下の点を結ぶ直線上に対象点がある時を2次元、それ以外の時を3次元としたときの2次元・3次元の判別部と、2次元の真値を演算する演算部と、3次元である場合に画像撮影装置2機の入射角の異同を判別する判別部と、該判別部により入射角が等しいと判別された場合の真値を演算する演算部と、前記入射角が異なると判別された場合の真値を演算する演算部と、前記演算された2次元、3次元の真値に基づいて、液体下の物体の表面形状を生成する生成部と、上記した各部の情報を記憶する記憶部とを有するコンピュータとを具備することを特徴とする液体下の表面形状計測システム。
【請求項3】
請求項2記載の液体下の表面形状計測システムにおいて、計測された前記液体下の物体の表面形状の情報を画面に表示する出力部を具備することを特徴とする液体下の表面形状計測システム。
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図7】
【図9】
【図10】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図7】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2006−194705(P2006−194705A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−5824(P2005−5824)
【出願日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(501273886)独立行政法人国立環境研究所 (30)
【出願人】(505016311)
【出願人】(505017581)
【出願人】(505016322)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(501273886)独立行政法人国立環境研究所 (30)
【出願人】(505016311)
【出願人】(505017581)
【出願人】(505016322)
【Fターム(参考)】
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