説明

液体供給容器

【課題】 液体供給容器本体が万一転倒した場合であっても、漏電や感電の恐れが全くなく、極めて安全性に優れた液体供給容器を提供するにある。
【解決手段】 液体を収容する内容器2と、内容器内の液体を加熱するヒータ3と、内容器内の液体を外部へ注出する注出機構6と、外部電源を入力してヒータ3やその他駆動部分を操作する電気系統の制御機構部7と、内容器2、ヒータ3、注出機構6、制御機構部7等を内蔵した本体1Aとその蓋体5とを設けた液体供給容器1に於いて、上記本体1Aの底部に、液体供給容器転倒時、本体1Aへと入力される外部電源からの電源を遮断する転倒用スイッチ8を設けた構成としている。又、転倒用スイッチ8を本体1Aの底部ほぼ中央に設けた構成としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部電源を入力して湯沸かし、保温を行う電気湯沸かし器、コーヒー、紅茶等の抽出液を抽出する飲料抽出装置等総称の液体供給容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液体供給容器の一例として、外部電源を入力して湯沸かし、保温を行う電気湯沸かし器は、器体13に囲まれた有底筒状の真空二重容器(内容器)3を設け、真空二重容器(内容器)の底部に真空二重容器(内容器)内の液体を加熱するヒータ4を設け、器体の上端に真空二重容器(内容器)の上端開口を開閉する蓋(蓋体)8を設けた構造の電気貯湯容器が特開2002−330869号公報(特許文献1、図1参照)として存在する。
【0003】
【特許文献1】特開2002−330869号(図1)
【0004】
以下、特許文献1の図1により従来の液体供給容器の一例である電気湯沸かし器について説明する。
この特許文献1の電気貯湯容器は、一重壁の底部にヒータ4を備えた真空二重容器3と、真空二重容器を囲む器体13と、電気系統を通電制御する制御基板と、この制御基板を収納する回路ボックス29と、下端を真空二重容器の底部の細口と連通し、上端を止水弁39を介して吐出口5dと連通した吐出路5と吐出ポンプ14とを備える吐出機構と、器体13の肩部に開閉自在に配設され、真空二重容器3の上端開口を気密的に閉鎖する蓋8とから構成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、この種の電気湯沸かし器では、液体供給容器である電気湯沸かし器本体の転倒時、内容器である真空二重容器内の液体が吐出路を経て、吐出口より流出することとなる。
即ち、転倒時、吐出路中の止水弁により或る程度流出は阻止されるが完全に止水されることではなく、わずかに流出して、設置場所を濡らすこととなる。特に、電気湯沸かし器本体と蓋との嵌合が悪いと真空二重容器内の液体が一気に流出することとなる。
【0006】
更に、電気湯沸かし器本体より電源コードが付いたままの状態で、電気湯沸かし器本体内の制御基板に外部電力を通電した状態になることもある。
それ故に、電源コード接続部分や制御基板の接続部分等が濡れて、漏電や感電の恐れが生じる可能性が高く、非常に危険性が高くなるという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、液体を収容する内容器2と、内容器内の液体を加熱するヒータ3と、内容器内の液体を外部へ注出する注出機構6と、外部電源を入力してヒータ3やその他駆動部分を操作する電気系統の制御機構部7と、内容器2、ヒータ3、注出機構6、制御機構部7等を内蔵した本体1Aとその蓋体5とを設けた液体供給容器1に於いて、上記本体1Aの底部に、液体供給容器転倒時、本体1Aへと入力される外部電源からの電源を遮断する転倒用スイッチ8を設けた構成としている。又、転倒用スイッチ8を本体1Aの底部ほぼ中央に設けた構成としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、従来の問題点を解決したものであって、液体供給容器本体が万一転倒した場合であっても、漏電や感電の恐れが全くなく、極めて安全性に優れた液体供給容器を提供するにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
液体供給容器1の一例であり、湯沸かし保温を行う電気湯沸かし器は、液体を収容する内容器2と、内容器内の液体を加熱するヒータ3と、内容器を囲む外装体4と、外装体の上端に開閉自在に装着し、内容器の口元を開閉する蓋体5と、内容器内の液体を外部へ注出する注出機構6と、電気系統をマイクロコンピュータにて制御する制御機構部7と、内容器2、ヒータ3、注出機構6、制御機構部7等を外装体4にて囲んだ本体1Aと、転倒時、コンセントからの外部電源を遮断して制御機構部7への通電を阻止する転倒用スイッチ8とから構成している。
【0010】
内容器2は、ステンレス等の金属材料にて有底筒状に形成しており、口元上端に外方に拡がった鍔部を設け、底部を上向きに段状に形成し、底の前方部に細口の貫通パイプ9を一体的に設けている。
【0011】
内容器内の液体を加熱するヒータ3は、内容器底部外側より当接してヒータカバーと共に固定している。
39は、サーミスタ等の温度調節器で内容器内の液温を間接的に感知してヒータ3をON、OFFしている。
【0012】
内容器を囲む外装体4は、内容器の胴部を囲む外装ケースと、外装ケースの上端に嵌着する肩部材と、外装ケースの下端を覆う底部材とからなっている。この肩部材及び底部材の一部は、外装ケースと一体的に形成してもよい。
外装ケースの上部にはハンドル10を装着している。
【0013】
外装体4は、前面を内側に窪ませた筒状であって、図1に示すように、前面右側に縦方向に大きく切り欠いた透視窓を設けている。
この透視窓の表面に透明なシール材12を貼り付けている。
【0014】
外装体4上端に嵌着する肩部材は、中央を上下に開口する開口部を設け、開口部の前面に前方に延びた嘴部11を設け、開口部の後面に蓋体5を枢支するヒンジ部を設けており、開口部を形成する周壁の下部に内側中央に向けて延びたフランジ部を設けている。
肩部材の嘴部11は、内部空洞としており、この空洞内に湯沸かし、保温用ランプを備えたスイッチ基板29、後述の注出機構6の吐出パイプ37等を収納している。
【0015】
蓋体5は、図2に示すように、上蓋13と、下蓋14と、下蓋の下面を覆い、内容器2の口元を閉鎖するステンレス製の覆板15と、蓋体を肩部材の嘴部11後方にロックするロック機構と、内容器内の蒸気を外部へ排出する蒸気通路16と、蒸気通路内に設けた弁室17とからなっている。18は、断熱材である。
【0016】
蓋体の上蓋13は、図1及び図2に示すように、前面中央に蓋体を開閉するロック機構のレバーを備えており、後部のヒンジ部前方に蒸気通路16と連通する蒸気排出口19を設けている。弁室17には、転倒時、蒸気通路16内を流れ出る内容器2内の液体の流出を阻止する止水弁32を備えている。
【0017】
注出機構6は、内容器の貫通パイプ9とジョイントパイプを介して連なる電動ポンプ24を設け、電動ポンプ24の排出側に下部ジョイントパイプを介して立設した揚水パイプ31の下端側と連通し、揚水パイプ31の上端側と上部ジョイントパイプを介して止水弁室と連通し、止水弁室の先端側に嘴部11内より下端前方に向けて延びた吐出パイプ37に連通している。
【0018】
この止水弁室には、転倒時、内容器2内の液体が揚水パイプを通り吐出パイプ37先端より外部への流出を防ぐようパイプ内を遮断する働きをしている。
内容器内の液量は、図1に示すように、立設した揚水パイプ31により表示され、揚水パイプ31の前面のシール材12を貼り付けた透視窓から目視可能としている。
【0019】
制御機構部7は、電気系統をマイクロコンピュータにて操作しており、図3に示すように、外部電源をコンセント20を介して本体1A内のプラグ21へ導き、このプラグ21よりプラス、マイナスどちらか一方は後述の転倒用スイッチ8を経て、プラス、マイナスどちらか他方と共に制御機構部7へと導かれる。
【0020】
この制御機構部7は、ヒータ3のON、OFFや、嘴部11表面に示された吐出用スイッチ、加熱用スイッチや表示ランプ等を備えたスイッチ基板29や注出機構6の電動ポンプ24のON、OFF等など様々な電気系統を制御している。
【0021】
転倒用スイッチ8は、図3に示すように、本体1Aの底部ほぼ中央で、接地面と接するスイッチ棒8Aと、スイッチ棒後端にスイッチ本体8Bとを設け、スイッチ棒8Aが接地面に接している場合、スイッチ本体8B内にスイッチ棒後端が入り込み、外部電源からプラグ21に入力した電源を制御機構部7へ導き、接地面からスイッチ棒8Aがはずれると、スイッチ棒先端は、スイッチ本体より大きく突出し、プラグ21に入力した電源を制御機構部7へ導くことなく遮断している。この転倒用スイッチ8は、本体1Aの底部ほぼ中央に突出しているので、本体が左右前後どちらに傾いても、即座に対応することができる。
【0022】
次に、液体供給容器1の一例であり、抽出液を抽出する飲料抽出装置について説明する。
この飲料抽出装置は、図4及び図5に示すように、液体を収容する内容器2と、内容器内の液体を加熱するヒータ3と、内容器内の加熱された液体を電動ポンプ24を介して本体1A前方上方へ導く注出機構6と、電気系統を制御する制御機構部7と、本体1A底部ほぼ中央で、転倒時、外部電源を遮断して本体1Aへの通電を阻止する転倒用スイッチ8と、本体1A前方上方に載置し、コーヒー粉、紅茶葉等収納のチャンバー25と、チャンバー25の下端で本体1A前方の台座部26に載置される受器27と、台座部26上面にあって、受器27を暖めるウオーマー28とから構成されている。5は蓋体である。
【0023】
内容器2は、ステンレス等の金属材料にて有底筒状に形成しており、底部を上向きに段状に形成し、底の前方部に細口の貫通パイプを一体的に設けている。
内容器内の液体を加熱するヒータ3は、内容器底部外側より当接してヒータカバーと共に固定しており、温度調節器39にて内容器内の液温を間接的に感知してヒータ3をON、OFFしている。
【0024】
本体1A前方上方に嘴部11を設け、この嘴部11内部には、湯沸かし、保温用ランプを備えたスイッチ基板29、後述の注出機構6の吐出パイプ37等を収納している。
18は、断熱材である。
注出機構6は、内容器2の貫通パイプを介して連なる電動ポンプ24、揚水パイプ36を介して吐出パイプ37に連通している。
【0025】
制御機構部7は、電気系統をマイクロコンピュータにて操作しており、ヒータ3のON、OFFや、吐出用スイッチ、加熱用スイッチや表示ランプ等を備えたスイッチ基板29や注出機構6の電動ポンプ24のON、OFF等など様々な電気系統を制御している。
【0026】
この飲料抽出装置では、内容器2内で加熱された液体は、電動ポンプ24を介して注出機構6によりチャンバー25上方へ排出される。このチャンバー25内では暖かい液体とコーヒー粉、紅茶葉等が混ざり合ってチャンバー25下端よりコーヒー、紅茶等の抽出液となって滴下する。
【0027】
この滴下した抽出液を受器27内に貯めて、台座部26のウオーマー28にて保温することにより、常時暖かいコーヒー、紅茶等を飲むことができる。
この飲料抽出装置では特にオフィスビル等にて使用されるために、誰もいない夜間地震等が生じる恐れがあっても、この本体1Aの底部のほぼ中央に転倒用スイッチ8を配置することにより、万一、夜間転倒しても転倒用スイッチ8が働き、十分漏電等に対処することができる。
【0028】
この液体供給容器の電気湯沸かし器では、注出機構の電動ポンプにて内容器内の液体を吐出パイプへと導いているが、特にこれに限定されるものではなく、べローズポンプによる空気圧を利用して内容器内の液体を吐出パイプへと導いたり、又液体供給容器の飲料抽出装置でも、注出機構の電動ポンプにて内容器内の液体を吐出パイプへと導いているが、内容器内を沸騰させて、沸騰後の水蒸気を注出機構にて吐出パイプへと導いても何ら支障をきたすものではない。
【0029】
以上本発明の代表的と思われる実施例について説明したが、本発明は必ずしもこれら実施例構造のみに限定されるものではなく、本発明にいう前記の構成要件を備え、かつ、本発明にいう目的を達成し、本発明にいう効果を有する範囲内において適宜改変して実施することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明実施例の斜視面図。
【図2】本発明実施例の中央縦断面図。
【図3】本発明実施例の電気系統を示す説明図。
【図4】本発明他の実施例の斜視面図。
【図5】本発明他実施例の中央縦断面図。
【符号の説明】
【0031】
1…液体供給容器
1A…本体
2…内容器
3…ヒータ
4…外装体
5…蓋体
6…注出機構
7…制御機構部
8…転倒用スイッチ
8A…スイッチ棒
8B…スイッチ本体
11…嘴部
13…上蓋
14…下蓋
15…覆板
16…蒸気通路
17…弁室
19…蒸気排出口
20…コンセント口
21…プラグ
24…電動ポンプ
25…チャンバー
26…台座部
27…受器
28…ウォーマー
29…スイッチ基板
31…揚水パイプ
37…吐出パイプ
39…温度調節器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する内容器(2)と、内容器内の液体を加熱するヒータ(3)と、内容器内の液体を外部へ注出する注出機構(6)と、外部電源を入力してヒータ(3)やその他駆動部分を操作する電気系統の制御機構部(7)と、内容器(2)、ヒータ(3)、注出機構(6)、制御機構部(7)等を内蔵した本体(1A)とその蓋体(5)とを設けた液体供給容器(1)に於いて、上記本体(1A)の底部に、液体供給容器転倒時、本体(1A)へと入力される外部電源からの電源を遮断する転倒用スイッチ(8)を設けたことを特徴とする液体供給容器。
【請求項2】
転倒用スイッチ(8)を本体(1A)の底部ほぼ中央に設けた請求項1記載の液体供給容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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