説明

液体供給装置、液体流量計測方法及び液体量計測方法

【課題】低コストで流量測定可能な液体供給装置を提供する。
【解決手段】液体を蓄える容器と、容器内を加圧して容器より液体を排出するための加圧手段と、容器に接続された液体が通過する液体流路と、液体流路を経た液体を注出するための注出手段と、液体流路に設けられた圧力計と、圧力計により測定された、液体流路を介して液体が供給されていない状態の圧力値と、液体流路を介して液体が供給されている状態の圧力値との差に基づき液体の流量を算出する流量算出手段とを有することを特徴とする液体供給装置を提供することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体供給装置、液体流量計測方法及び液体量計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲食店等において、ビール等の炭酸飲料を樽状の容器に蓄え保存し、外部からのガス圧を利用して、この容器から適量ずつ注出するようにした液体供給装置がある。このような液体供給装置は、供給口を含むビールサーバ、樽状の容器及び大型のガスボンベを有している。ガスボンベと樽状の容器とはガスホースにより接続されており、樽状の容器に圧力を加え、樽状の容器とビールサーバとの間に設けられたビールホースを介しビールが供給され、ビールサーバに設けられた注出コックを操作し、ジョッキ等の容器にビールを注ぎ出すことができるものである。
【0003】
特許文献1には、このような構造の液体供給装置が開示されている。
【特許文献1】特開2003−112797号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されているような液体供給装置においては、樽等の飲料収容容器中の飲料の残量もしくは、この飲料収容容器からの注出量の積算量を確認することができれば、飲料収容容器の交換を適切に行うことができ、また、飲料の在庫を効率的に補充管理することができる。このようなことを達成するために、今まで検討されてきた方法としては、以下の2つの方法がある。
(1) 飲料収容容器の重量変化から注出量あるいは残量を算出する方法
(2) 液体供給装置における液体流路に流量計を設置する方法
この2つの方法について、液体供給装置に占めるスペースをミニマムにすることを優先した場合には、(2)の方法が優れている。そこで、(2)の方法について検討すると、液体の流量計に適すると考えられる流量計としては、例えば以下のものが挙げられる。
(A) 羽根車式流量計
(B) 静電容量式流量計
(C) 差圧測定式流量計
(A)の流量計では、液溜まりが発生し、洗浄不良が発生しやすく、メンテナンス作業が繁雑になってしまう。
(B)の流量計では、非接触で測定は可能であるため、(A)の流量計のような問題は生じないが、装置自体が高価なものとなってしまう。
(C)の流量計では、圧力計を複数必要とし、装置自体が高価なものとなってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、低コストで容易に容器から供給された液体の供給量、また、容器内における液体の残量を知ることができる液体供給装置、液体流量計測方法及び液体量計測方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、液体を蓄える容器と、前記容器内を加圧して前記容器より前記液体を排出するための加圧手段と、前記容器に接続された前記液体が通過する液体流路と、前記液体流路を経た前記液体を注出するための注出手段と、前記液体流路に設けられた圧力計と、前記圧力計により測定された、前記液体流路を介して前記液体が供給されていない状態の圧力値と、前記液体流路を介して前記液体が供給されている状態の圧力値との差に基づき前記液体の流量を算出する流量算出手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、前記流量算出手段において、前記液体流路を介し前記液体が供給されていない状態の圧力計の値をpとし、前記液体流路を介し前記液体が供給されている状態の圧力計の値をpとし、係数をkとした場合に、前記液体流路における前記液体の流量Qは、Q=k×(p−p)1/2により算出することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記液体が前記液体流路を介し供給されている時間を測定するタイマと、前記液体が前記液体流路を介し供給されている供給量を計算する計算手段と、を有し、前記計算手段において、前記液体が供給されている時間をTとした場合に、前記液体流路を介し供給される前記液体の供給量Eは、E=Q×Tにより算出することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記計算手段において、前記液体を蓄える容器に最初に収められた前記液体の液体量をAとし、前記最初に収められた前記液体より供給された前記供給量Eの和をETとした場合に、前記液体を蓄える容器における液体の残量Zは、Z=A−ETにより算出することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記液体流路における内径の値と、前記圧力計における内径の値とは略等しいことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記液体は炭酸を含む液体であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記圧力計は、ベンチュリ計であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、液体を蓄える容器に接続された液体流路に設けられた圧力計により、前記液体流路において前記液体が流動していない状態の圧力値pを測定する工程と、前記圧力計により、前記液体流路において前記液体が流動している状態の圧力値pを測定する工程と、前記液体の流量Qを Q=k×(p−p)1/2により算出する工程(kは係数)と、を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、液体を蓄える容器に接続された液体流路に設けられた圧力計により、前記液体流路において前記液体が流動していない状態の圧力値pを測定する工程と、前記圧力計により、前記液体流路において前記液体が流動している状態の圧力値pを測定する工程と、圧力値pから圧力値pへと変化したときから、圧力値pから圧力値pへと変化するまでの時間Tを測定する工程と、前記液体流路を介し供給された前記液体の供給量Eを E=k×(p−p)1/2×Tにより算出する工程(kは係数)と、を有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、液体を蓄える容器に納められている前記液体の液体量Aを設定する工程と、前記液体を蓄える容器に接続された液体流路に設けられた圧力計により、前記液体流路において前記液体が流動していない状態の圧力値pを測定する工程と、前記圧力計により、前記液体流路において前記液体が流動している状態の圧力値pを測定する工程と、圧力値pから圧力値pへと変化したときから、圧力値pから圧力値pへと変化するまでの時間Tを測定する工程と、前記液体流路を介し供給された前記液体の供給量Eを E=k×(p−p)1/2×Tにより算出し、前記供給量Eの和より前記液体の液体量Aを設定した後の総供給量ETを算出し、前記液体を蓄える容器における液体の残量Zを Z=A−ETにより算出する工程(kは係数)と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、低コストで容易に容器から供給された液体の供給量、また、容器内における液体の残量を知ることができる液体供給装置、液体流量計測方法及び液体量計測方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明を実施するための最良の形態について、以下に説明する。
【0018】
本発明に至った経緯を含め本発明に係る実施の形態について説明する。図1に基づき、本発明に至るため、もととなったベルヌーイの定理を利用したベンチュリ計の考え方について説明する。
【0019】
【数1】

図1(a)に示されるような太管部11と細幹部12からなる管に液体等を流した場合、数1に示す数式により、流量Qを求めることができる。尚、ρは密度、gは重力加速度、Aは太管部11における断面積、Aは細管部12における断面積、pは太管部11における圧力、pは細管部12における圧力、Cは流量係数である。
【0020】
ここで、太管部11が樽状の容器であり、細管部12を樽状の容器に接続された液体流路となるホースと仮定した場合、太管部11における断面積A及び細管部12における断面積Aは一定であり、液体をビール等であるとするとρは一定の値となる。よって、これらを係数kとすると、流量Qは、(1)に示す数式となる。
【0021】
Q=k×(p−p1/2・・・・・・(1)
となる。
【0022】
ここで、樽状の容器である太管部11に比べてビールホースである細管部12の太さは極めて狭い場合には、細管部12に液体が流れても、太管部11においては殆ど液体が流れることがなく、圧力の変動は殆どない。また、太管部11における圧力値pと、細管部12における圧力値pは、液体が流れている時は異なる圧力値を示すが、液体が流れていない状態では、太管部11における圧力と細管部12における圧力とは同じ圧力になる。即ち、図1(b)に示すように、太管部11における圧力と細管部12における圧力とは同じ圧力値pとなり、太管部11の圧力を測定しなくても、細管部12の圧力を測定するだけで、細管部12に流れる液体の流量を測定することができる。言い換えれば、圧力計を太管部11と細管部12の2ヶ所に設ける必要はなく、細管部12の1ヶ所に設けることにより、細管部12を流れる液体の流量を測定することが可能であるという考えに、発明者は至ったのである。
【0023】
このことから、細管部12に液体が流れているときの圧力値pを圧力値pと置き換えると、流量Qは、(2)に示す数式となる。
【0024】
Q=k×(p−p)1/2・・・・・・(2)
により算出することができる。
【0025】
更に、液体の流れている時間をTとすると、液体の供給量Eは、(3)に示す数式となる。
【0026】
E=Q×T・・・・・・・・・・・・(3)
により算出することができる。
【0027】
(液体供給装置)
次に、図2に本実施の形態における液体供給装置を示す。この液体供給装置は、液体であるビールを冷却して注出するビールサーバ21と、ビールが蓄えられているビール樽22と、ビール樽22内を加圧するための炭酸ガスボンベ23を有している。ビール樽22と炭酸ガスボンベ23とはガスホース24により接続されており、このガスホース24を介し、炭酸ガスボンベ23よりビール樽22内が加圧される。また、ビールサーバ21とビール樽22とは、ビールホース25により接続されており、このビールホース25を介しビール樽22よりビールサーバ21へとビールが供給され、更に、注出口26よりグラス等に供給される。本実施の形態における液体供給装置では、ビールホース25の途中に圧力計30が設けられており、圧力計30は後述するように、流量算出手段及び計算手段を有する計測器50に接続されている。
【0028】
次に、図3に基づき圧力計30について説明する。本実施の形態において用いた圧力計30は、液体流路となるビールホース25の途中に設けられており、本体部31、接続部32及び33を有している。接続部32及び33は、コネクタ34及び35により、液体流路となるビールホース25(図3には不図示)と各々接続されている。接続部32及び33とコネクタ34及び35との接続には、ビールの漏れを防ぐためOリング36及び37が介されている。本体部31には、シリコーンを封入するためのシリコーン封入部38が設けられており、ダイヤフラム39において接するビールの流動により生じる変位が、シリコーン封入部38におけるシリコーンを介し、センサー40に伝達される。センサー40は圧電素子等からなるものであり、センサー40において計測された圧力値は、配線41を介し計測器50へと伝達される。
【0029】
尚、圧力計30の内径rとビールホース25の内径とは略同一であることが好ましい。ビールはビールホース25より、圧力計30における接続部32、ダイヤフラム39、接続部33に接して流動するが、ビール等の炭酸を含む液体では、流路の途中で内径が変化すると、その部分で気泡等が発生してしまい、この気泡により正確な圧力が測定できなくなってしまう。よって、炭酸を含む液体では、このような気泡が圧力計30内に発生することを避けるため、圧力計30の内径rとビールホース25の内径とは略同一にすることが好ましい。
【0030】
次に、図4に基づき計測器50について説明する。この計測器50は、流量算出手段51、タイマ52、計算手段53及び表示手段54により構成されており、圧力計30と接続されている。ビールがビールホース25を流れていない状態において、圧力計30により測定された圧力値pは、流量計算手段51とタイマ52に伝達され、流量計算手段51において記憶される。
【0031】
この後、ビールホース25にビールが流れると、圧力計30の値が変化し、圧力値pとなり、この圧力値pが流量計算手段51及びタイマ52に伝達される。流量計算手段51では、圧力値pと圧力値pとにより、(2)に示す数式に基づき流量Qが算出される。尚、係数kは、利用環境等に応じて定まる値であり、利用される環境等において設定される。即ち、液体が停止しているときの圧力値p、液体が流れているときの圧力値p及び本実施の形態とは別の測定方法により測定した液体の流量に基づき算出され設定される。また、タイマ52は、圧力値pから圧力値pへの変化によりタイマ動作が開始し、圧力値pから圧力値pへ圧力が変化するまでの時間Tを測定する機能を有している。
【0032】
この時間T及び流量Qの値は、計算手段53に伝達され、(3)に示す数式に基づき、時間Tの間に供給されたビールの供給量Eが算出され表示手段54により表示される。また、計算手段53において、ビール樽22を交換した後、ビールが供給される度にビールの供給量Eを加算することによりビール樽22の交換後のビールの総供給量ETを算出し、表示手段54に表示することも可能である。更には、ビール樽22を交換する際に、予めビール樽22に収められているビール量Aを設定し、算出手段53において、ビール量Aよりビールの総供給量ETの値を減ずることによりビールの残量Zを算出し、表示手段54において、算出したビールの残量Zを表示させることも可能である。即ち、ビールの残量Zを(4)に示す数式により算出し、表示手段54において、算出したビールの残量Zを表示させることも可能である。
【0033】
Z=A−ET・・・・・・・・・・・・(4)
(液体流量計測方法)
次に、本実施の形態における液体量計測方法について説明する。図5は、本実施の形態における液体流量計測方法の流れを示すものである。本実施の形態における液体流量計測方法は、図2及び図4に示す液体供給装置を用いて液体流量計測を行なうものである。
【0034】
最初に、ステップ102(S102)において、ビール樽22からビールが供給されていない状態における圧力が圧力計30により計測される。ここで計測された圧力値pは、圧力計30より流量計算手段51に伝達される。
【0035】
次に、ステップ104(S104)において、ビール樽22からビールホース25を介しビールが供給される。具体的には、注出口26よりビールを注出することによりビールが供給される。
【0036】
次に、ステップ106(S106)において、ビール樽22からビールが供給されている状態における圧力が圧力計30により計測される。ここで計測された圧力値pは、圧力計30より流量計算手段51に伝達される。
【0037】
次に、ステップ108(S108)において、ビールホース25を流れるビールの流量が算出される。具体的には、(2)に示す数式に基づき、圧力値pの値と圧力値pの値より、ビールホース25を流れるビールの流量Qが算出される。尚、係数kは予め設定されている。
【0038】
次に、ステップ110(S110)において、ビールの供給量及びビール樽22の残量が表示される。具体的には、ステップ108において算出したビールの流量Qを表示手段54により表示する。これにより本実施の形態における液体流量計測方法は終了する。
【0039】
(液体量計測方法)
次に、本実施の形態における液体量計測方法について説明する。図6は、本実施の形態における液体量計測方法の流れを示すものである。本実施の形態における液体量計測方法は図2及び図4に示す液体供給装置を用いて液体量の計測を行なうものである。
【0040】
最初に、ステップ202(S202)において、最初にビール樽22に納められているビール量Aを設定する。このビール量Aの値の設定は、直接数値を入力する方法、又は所定のビール量Aのビールが納められたビール樽22を交換する際に自動的に設定する方法等により行なわれる。
【0041】
次に、ステップ204(S204)において、ビール樽22からビール樽22からビールが供給されていない状態における圧力を圧力計30により計測される。ここで計測された圧力値pは、圧力計30より流量計算手段51に伝達される。
【0042】
次に、ステップ206(S206)において、ビール樽22からビールホース25を介しビールが供給される。具体的には、注出口26よりビールが注出されることによりビールが供給される。また、ビールの供給を開始すると同時に、計測器50におけるタイマ52の動作が開始し、ビールを供給している時間の計測が開始される。尚、本実施の形態では圧力計30における圧力変動(圧力値pから圧力値pへの変動)を感知することにより、ビールの供給が開始したものと判断している。
【0043】
次に、ステップ208(S208)において、ビール樽22からビールが供給されている状態における圧力が圧力計30により計測される。ここで計測された圧力値pは、圧力計30より流量計算手段51に伝達され、(2)に示す数式に基づき、圧力値pの値と圧力値pの値より、ビールホース25を流れるビールの流量Qが算出される。尚、係数kは予め設定されている。
【0044】
次に、ステップ210(S210)において、ビール樽22からビールの供給を停止する。具体的には、注出口26においてビールの注出を停止することにより行なわれる。また、ビールの供給を停止すると同時に、計測器50におけるタイマ52の動作が停止し、ビールを供給した時間Tが計測される。尚、本実施の形態では圧力計30における圧力変動(圧力値pから圧力値pへの変動)を感知することにより、ビールの供給が停止したものと判断している。
【0045】
次に、ステップ212(S212)において、タイマ52より計測されたビールを供給した時間Tが出力され、計算手段53へと伝達される。
【0046】
次に、ステップ214(S214)において、ビールの供給量Eが算出される。具体的には、計算手段53において、(3)に示す数式に基づき、ステップ208において算出されたビールの流量Qとステップ212で出力された時間Tより、ビールの供給量Eが算出される。
【0047】
次に、ステップ216(S216)において、ビール樽22におけるビールの残量Zが算出される。具体的には、計算手段53において、ビール樽22を交換した後に供給されたビールの供給量Eを加算することにより、ビールの総供給量ETを算出し、更に、このビールの総供給量ETをステップ202において設定されたビール樽22に納められているビール量Aから減ずることにより算出される。即ち、(4)に示す数式により算出される。
【0048】
次に、ステップ218(S218)において、ビールの供給量及びビール樽22におけるビールの残量が表示される。具体的には、ビール樽22におけるビールの残量Zが表示手段54により表示される。また、併せて、ビールの供給量E、ビールの総供給量ETを表示手段54により表示させてもよい。これにより本実施の形態における液体量計測方法は終了する。
【0049】
尚、ビールの流量をリアルタイムで測定することにより、計算手段53において、ビールが流れ始めてからの時間と流量との積によりビールの供給量及び残量を算出し、ビールの供給量及びビール樽22のビールの残量をリアルタイムで表示することも可能である。
【0050】
本実施の形態では、低コストで簡単な方法により供給されるビールの流量、ビールの供給量、ビール樽22におけるビールの残量を容易に知ることができる。
【0051】
以上、本実施の形態における液体供給装置、液体流量計測方法及び液体量計測方法について、液体としてビールを用いた場合について説明したが、他の液体についても適用可能である。
【実施例】
【0052】
(実施例1)
実施例1として、図2に示す構成の本実施の形態における液体供給装置においてビールの供給を行い、圧力計30において測定された圧力値に基づき、(2)及び(3)に示す数式により得られた流量Q及び注出量(供給量)Eと、実測された流量Qrと注出量Erとを比較した。尚、係数kは事前の測定等を行なうことにより、本実施例では45.24と定め、ビール樽22は10Lのものを用いて、押圧、注出量を変えて9サンプルの測定を行なった。この結果を表1に示す。
【0053】
【表1】

押圧の圧力値pは、炭酸ガスボンベ23よりビール樽22に加えられた圧力に基づくものであり、ビールが供給されていない状態、即ち、ビールが供給されていない状態において圧力計30が示す値である。圧力値pはビールが供給されている状態、即ち、ビールがビールホース25内を流動している状態の圧力である。この圧力値p及びpに基づき、計算値として流量Q及び注出量Eを算出した。
【0054】
表1に示されるように、本実施の形態における液体供給装置は、S11からS19に示す9サンプルにおいて、流量の誤差率は2%以下であり、高い精度で流量及び注出量を測定可能であることが確認された。
【0055】
(実施例2)
実施例2として、実施例1と同様の液体供給装置において、ビール樽22が20Lのものを用いて同様の測定を行なった。この結果を表2に示す。
【0056】
【表2】

表2に示されるように、本実施の形態における液体供給装置は、ビール樽22が20Lの場合であっても、S21からS29に示す9サンプルにおいて、流量の誤差率は3%以下であり、高い精度で流量及び注出量を測定可能であることが確認された。
【0057】
(実施例3)
実施例3として、(2)に示す数式における係数kの設定方法について示す。表3に示されるように、S31〜S34の4サンプルについて、ビールが流れていないときの圧力p、ビールが流れているときの圧力p及び本実施の形態とは別の計測方法により測定したビールの流量(実測値)Qrに基づき、S31〜S34におけるk(実測値の係数)となる値を(2)に示す数式に基づき算出する。この後、このk(実測値の係数)の値の平均値を計算し、係数kを76.807と定めた。この係数kに基づき、圧力値p及びpより、S31〜S34におけるビールの流量(計算値)Qを求め、流量(実測値)Qrと比較したところ、誤差率は極めて低いものであった。よって、上記の方法により、係数kを設定することが可能である。
【0058】
【表3】

尚、本発明の実施に係る形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】ベンチュリ計の考え方の説明図
【図2】本実施の形態における液体供給装置の構成図
【図3】本実施の形態に用いられる圧力計の断面図
【図4】本実施の形態に用いられる計測器の構成図
【図5】本実施の形態における液体流量測定方法のフローチャート
【図6】本実施の形態における液体量測定方法のフローチャート
【符号の説明】
【0060】
21 ビールサーバ
22 ビール樽
23 炭酸ガスボンベ
24 ガスホース
25 ビールホース
26 注出口
30 圧力計
50 計測器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を蓄える容器と、
前記容器内を加圧して前記容器より前記液体を排出するための加圧手段と、
前記容器に接続された前記液体が通過する液体流路と、
前記液体流路を経た前記液体を注出するための注出手段と、
前記液体流路に設けられた圧力計と、
前記圧力計により測定された、前記液体流路を介して前記液体が供給されていない状態の圧力値と、前記液体流路を介して前記液体が供給されている状態の圧力値との差に基づき前記液体の流量を算出する流量算出手段と、
を有することを特徴とする液体供給装置。
【請求項2】
前記流量算出手段において、前記液体流路を介し前記液体が供給されていない状態の圧力計の値をpとし、前記液体流路を介し前記液体が供給されている状態の圧力計の値をpとし、係数をkとした場合に、前記液体流路における前記液体の流量Qは、
Q=k×(p−p)1/2
により算出することを特徴とする請求項1に記載の液体供給装置。
【請求項3】
前記液体が前記液体流路を介し供給されている時間を測定するタイマと、
前記液体が前記液体流路を介し供給されている供給量を計算する計算手段と、
を有し、前記計算手段において、前記液体が供給されている時間をTとした場合に、前記液体流路を介し供給される前記液体の供給量Eは、
E=Q×T
により算出することを特徴とする請求項2に記載の液体供給装置。
【請求項4】
前記計算手段において、前記液体を蓄える容器に最初に収められた前記液体の液体量をAとし、前記最初に収められた前記液体より供給された前記供給量Eの和をETとした場合に、前記液体を蓄える容器における液体の残量Zは、
Z=A−ET
により算出することを特徴とする請求項3に記載の液体供給装置。
【請求項5】
前記液体流路における内径の値と、前記圧力計における内径の値とは略等しいことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の液体供給装置。
【請求項6】
前記液体は炭酸を含む液体であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の液体供給装置。
【請求項7】
前記圧力計は、ベンチュリ計であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の液体供給装置。
【請求項8】
液体を蓄える容器に接続された液体流路に設けられた圧力計により、前記液体流路において前記液体が流動していない状態の圧力値pを測定する工程と、
前記圧力計により、前記液体流路において前記液体が流動している状態の圧力値pを測定する工程と、
前記液体の流量Qを Q=k×(p−p)1/2により算出する工程(kは係数)と、
を有することを特徴とする液体流量計測方法。
【請求項9】
液体を蓄える容器に接続された液体流路に設けられた圧力計により、前記液体流路において前記液体が流動していない状態の圧力値pを測定する工程と、
前記圧力計により、前記液体流路において前記液体が流動している状態の圧力値pを測定する工程と、
圧力値pから圧力値pへと変化したときから、圧力値pから圧力値pへと変化するまでの時間Tを測定する工程と、
前記液体流路を介し供給された前記液体の供給量Eを E=k×(p−p)1/2×Tにより算出する工程(kは係数)と、
を有することを特徴とする液体量計測方法。
【請求項10】
液体を蓄える容器に納められている前記液体の液体量Aを設定する工程と、
前記液体を蓄える容器に接続された液体流路に設けられた圧力計により、前記液体流路において前記液体が流動していない状態の圧力値pを測定する工程と、
前記圧力計により、前記液体流路において前記液体が流動している状態の圧力値pを測定する工程と、
圧力値pから圧力値pへと変化したときから、圧力値pから圧力値pへと変化するまでの時間Tを測定する工程と、
前記液体流路を介し供給された前記液体の供給量Eを E=k×(p−p)1/2×Tにより算出し、前記供給量Eの和より前記液体の液体量Aを設定した後の総供給量ETを算出し、前記液体を蓄える容器における液体の残量Zを Z=A−ETにより算出する工程(kは係数)と、
を有することを特徴とする液体量計測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−149919(P2010−149919A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−332798(P2008−332798)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(303040183)サッポロビール株式会社 (150)
【Fターム(参考)】