液体加熱用のベッセルおよび電気製品
ベッセルまたは電気製品は、コードレス光学結合手段、こぼれ防止手段、取り外し可能な蓋アセンブリ、容量レベル検出、ユーザーインターフェース、乱流検出、容積による温度検出、小量の液体を素早く分注するための手段、過熱防止手段、多重機能操作部、フィルタを通した循環、パック可能なコードレス基部、径の小さなベッセル、簡易配線、コードレス電気ロータリコネクタおよびコードレス機械ロータリコネクタのうちの一または複数を含んでいる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体加熱用のベッセル(vessel)、電気製品、およびそのための部品に関するものである。本発明のいくつかの態様はコードレス電気製品に関するものである。他の態様は、液体加熱用の電気製品が傾いた場合またはひっくり返った場合にこぼれ出ないようにするための安全機構を備えた液体加熱用の電気製品に関するものである。他の様相は液体ベッセル用の液位センサーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体加熱用の電気製品の場合、当該電気製品が偶然にひっくり返されてまたはつまずいて高温の液体がこぼれ出てしまう危険性がある。液体が沸騰したまたはそれに近い状況の熱湯である場合もあるため、このようにこぼれてしまうと使用者またはすぐ近くにいる人にひどいやけどを負わせてしまう恐れがある。
【0003】
このようにこぼしてしまう可能性を減らすまたは阻止するための提案が当該技術分野において従来から多くなされてきたが、それらの提案のうちのほとんどが非実用的かまたは少なくとも商品に組み入れられてこなかった。従来技術において提案された解決策は2つのタイプのうちのいずれかのタイプであることが一般的である。2つのタイプとは、電気製品が特定の向きにあるときにのみ液体を注ぐことができるオートマチックタイプと、インターロックを手動で取り外したときにのみ液体を注ぐことができるマニュアルタイプとである。従来技術はほとんど家庭用のお湯を沸かす電気製品に向けられている。この家庭用の湯沸かし電気製品のことを以下の記載では安全電気ポットと呼ぶこととする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
両方のタイプに共通する1つの問題は、電気製品内の圧力を逃がす必要性、とくに蒸気の圧力を逃がす必要性があるという点である。たとえば日本特許出願公開公報第JP−A−2008212315号には、蒸気のために別個の換気用の流出口を備えたマニュアルタイプの安全電気ポットが開示されている。日本において市販されている「タイガー」という銘柄の電気ポットの試験では、また、それについて開示されている特許出願の内容に基づけば、電気ポットが片側に傾くと熱湯が換気用の流出口から猛烈に噴き出てしまう。しかしながら、たとえば英国特許出願公開公報第GBA−2272629号によれば、液体加熱用のベッセルがインターロックによって完全に閉じられていると、蒸気圧がベッセルの内部で上昇して爆発してしまう危険性がある。英国特許出願公開公報第GBA−2305353号には、電気ポットがひっくり返えると閉じる蒸気弁を備えた安全電気ポットが開示されている。しかしながら、コード付きの電気ポットの場合、電気ポットがひっくり返えってしまった後も水が沸騰し続けて蒸気圧が電気ポットの内部で上昇する恐れがある。コードレス電気ポットの場合も、電気ポットが蹴り倒された後でも発熱体と水との間の温度差によりしばらくの間沸騰が継続しうるので、圧力がさらにある程度まで上昇してしまう恐れがある。
【0005】
オートマチックタイプの安全電気ポットの場合、圧力上昇の問題は通常対処されていない。たとえば、英国特許出願公開公報第GBA−2189378号には、液体を注ぐための正しい向きに電気ポットが置かれていない場合には自動的に閉ざしてしまう注ぎ口用フラップが開示されている。独国特許出願公開公報第DE−A−197408261号には、電気ポットが直立しているときのみ開いていることができる電気ポットの蓋が開示されている。
【0006】
安全電気ポットなどにおいて対処される必要のある他の問題は、容易な充填および注ぎを可能とする必要性があるという点である。従来技術では、こぼれを沮止しようとする安全機構により、注ぎおよび充填がより困難となる傾向がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの態様によると、少なくとも2つの穴を含む(comprise:要素としてそのものを含む場合と、それ自体がそのものである場合とを含む)液体加熱用のベッセルのための圧力逃がしシステムは、ベッセルが直立位置にあるとき、これらの穴が大気と連通し、ベッセルが傾斜位置にあるとき、これらの穴の一方の穴が大気と連通し、他方の穴からの液体の流れが抑制される。
【0008】
好ましくは、ベッセルが傾斜位置にあるとき、大気と連通する穴はベッセル内の液位よりも上方にあり、液体の流れが抑制される穴はベッセル内の液位よりも下方にある。
【0009】
好ましくは、これらの穴はベッセルの外縁の近くに位置する。
【0010】
好ましくは、圧力逃がし手段は2つの穴と、これらの穴の間にある部屋とを含んでおり、かかる部屋は少なくとも第一の位置と第二の位置との間で動作する弁機構を有している。
【0011】
好ましくは、かかる部屋は少なくとも1つの換気口を含んでいる。
【0012】
好ましくは、ベッセルが直立位置にあるとき、弁機構により、これらの穴は部屋および前述の換気口を通じて大気と連通することが可能となり、ベッセルが傾斜位置にあるとき、弁機構により、液位よりも上方にある穴は部屋および前述の換気口を通じて大気と連通し、液位よりも下方にある穴からの液体の流れは抑制される。
【0013】
好ましくは、少なくとも1つの換気口は蒸気感応式制御スイッチとさらに連通している。
【0014】
好ましくは、かかる部屋は前述のまたは各弁に対して少なくとも2つの合わせ面を含んでいる。
【0015】
好ましくは、前述のまたは各弁は、フロート弁、重り駆動式弁、スライド弁、ゲート弁または振り子弁である。
【0016】
好ましくは、前述のまたは各弁は、フロート弁であり、中間部材によって接続されている2つの弁部材をさらに含んでいる。
【0017】
好ましくは、各弁部材は円錐台形状の弁またはボール弁を含んでいる。
【0018】
好ましくは、各穴は導管の流入口と連通しており、各導管はそれぞれ流出口を有している。
【0019】
好ましくは、圧力逃がし手段は2つの穴を含んでいる。
【0020】
好ましくは、ベッセルが直立位置にあるとき、導管の流入口および流出口は大気と連通しており、また、ベッセルが傾斜位置にあるとき、液位よりも上方にある流入口は対応する導管および流出口を通じて大気と連通し、その他の導管からの液体の流れは、その流入口が液位よりも下方にあり、かつその流出口が液位よりも上方に留まったままなので、抑制される。
【0021】
好ましくは、これらの流出口は、蒸気感応式制御スイッチとさらに連通している。
【0022】
好ましくは、各導管は複数のバッフルを含んでいる。
【0023】
好ましくは、これらのバッフルは互い違いに配置される。
【0024】
好ましくは、圧力逃がしシステムはベッセル本体に固定または取り外し可能に取り付けられている。
【0025】
本発明の他の態様によれば、液体を分注するための流出口を有している液体加熱用のベッセルのためのこぼれ防止装置は、液体を通して分注可能とするための弁を有しており、かかる弁は、流出口に対して片側にベッセルが傾くと閉じ、流出口に向けてベッセルが傾くと開くように構成されている。この構成は、使用者に分注のために手動でベッセルを開くことを要求することなく、こぼれを減らすための有効な構成を実現している。この構成は、重力を受けて一方側または他方側に移動する弁シール部材または弁駆動部材を備えていてもよい。
【0026】
本発明の他の態様によれば、液体加熱用のベッセルのためのこぼれ防止装置は、液体を通して分注可能とするための弁を備えており、かかる弁は、ベッセル内の蒸気圧を受けて開くように構成されているとともに、ベッセルがひっくり返ると閉じるようにも構成されている。このようして、単一の弁において、ベッセルからの蒸気の換気およびこぼれの防止の両方が実現されている。
【0027】
かかる弁は、ベッセルが傾くと弁を閉じるオーバーセンター機構を含んでいてもよい。
【0028】
好ましくは、かかる弁はベッセルが直立した向きにあるとき通常閉じているように構成されている。このようにして、弁からの熱の損失を減らすることができる。かかる弁は、ベッセルが直立向きにあるときに閉じる第一のシール面と、ベッセルが傾いているときに閉じる第二のシール面とを有していてもよい。
【0029】
かかる弁は、弁からの液体の分注を可能とするために使用者操作機構によってベッセルが傾くときに閉じてしまうことを防止されるようになっていてもよい。それに代えてまたはそれに加えて、かかる弁は、使用者による弁の操作を必要とすることなく、ベッセルが特定の向きに傾くときに閉じてしまうことを防止されるようになっていてもよい。
【0030】
本発明の他の態様によれば、液体加熱用のベッセルのためのこぼれ防止装置は、ベッセルから液体を分注するための流出口と、操作されたときに分注用の流出口を開いて分注するように構成されている使用者操作機構とを有している。この使用者操作機構は、液体を分注用の流出口から分注することができないよう閉鎖位置に向けて付勢されるようになっていてもよい。1つの実施形態では、閉鎖位置では、分注用の流出口は、ベッセルのうちの、分注用の流出口側とは反対側の近くで開いている蒸気道と連通している。他の実施形態では、分注用の流出口から分離されている別個の蒸気流出口が提供されている。この別個の蒸気流出口は、蒸気圧を受けて開くものの、ベッセルが傾くと閉じうる弁によって閉じられるようになっていてもよい。
【0031】
以下に記載の図面を参照して、本発明の好ましい実施形態の一例が詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明のある実施形態にかかるコードレス液体加熱用の電気製品を示す概略断面図である。
【図9a】本発明のある実施形態にかかるこぼれ防止安全機構を備えた液体加熱用の電気製品を示す概略断面図である。
【図9b】静止位置にあるこぼれ防止安全機構の詳細を示す図である。
【図9c】沸騰位置にあるこぼれ防止安全機構の詳細を示す図である。
【図9d】注ぎ位置にあるこぼれ防止安全機構の詳細を示す図である。
【図9e】傾斜位置にあるこぼれ防止安全機構の詳細を示す図である。
【図10a】沸騰位置にある他の安全機構の詳細を示す図である。
【図10b】注ぎ位置にある他の安全機構の詳細を示す図である。
【図10c】傾斜位置にある他の安全機構の詳細を示す図である。
【図11a】沸騰位置にあるさらに他の安全機構の詳細を示す図である。
【図11b】注ぎ位置にあるさらに他の安全機構の詳細を示す図である。
【図11c】傾斜位置にあるさらに他の安全機構の詳細を示す図である。
【図12a】本発明の他の実施形態にかかる、こぼれ防止安全機構を備えた液体加熱用の電気製品の概略断面図である。
【図12b】図12aの実施形態にかかる蓋部屋構成を示す一部切り取り斜視図である。
【図12c】使用者操作部が平常位置にある、図12aの実施形態にかかる換気構成を示す概略断面図である。
【図12d】使用者操作部が動作位置にある、図12aの実施形態にかかる換気構成を示す概略断面図である。
【図12e】使用者操作部が平常位置にある、図12aの実施形態にかかる他の換気構成を示す概略断面図である。
【図12f】使用者操作部が動作位置にある、図12aの実施形態にかかるさらに他の換気構成を示す概略断面図である。
【図12g】使用者操作部が平常位置にある、図12aの実施形態にかかるさらに他の換気構成を示す概略断面図である。
【図12h】使用者操作部が動作位置にある、図12aの実施形態にかかるさらに他の換気構成を示す概略断面図である。
【図12i】直立配置にある、図12aの実施形態にかかるさらに他の換気構成を示す概略断面図である。
【図12j】注ぎ配置にある、図12aの実施形態にかかるさらに他の換気構成を示す概略断面図である。
【図12k】傾斜配置にある、図12aの実施形態にかかるさらに他の換気構成を示す概略断面図である。
【図12l】使用者操作部が平常位置にある、図12aの実施形態にかかるさらに他の換気構成を示す概略断面図である。
【図12m】使用者操作部が動作位置にある、図12aの実施形態にかかるさらに他の換気構成を示す概略断面図である。
【図12n】アクチュエータアセンブリを示す一部切り取り概略等角図である。
【図12o】横倒し状態にある電気ポットのアクチュエータアセンブリを示す概略正面図である。
【図12p】横倒し状態にある電気ポットのアクチュエータアセンブリを示す概略正面図である。
【図12q】横倒し状態にある電気ポットのアクチュエータアセンブリの第二の実施形態を示す概略正面図である。
【図12r】横倒し状態にある電気ポットのアクチュエータアセンブリの第二の実施形態を示す概略正面図である。
【図12s】横倒し状態にある電気ポットのアクチュエータアセンブリのさらなる実施形態を示す概略正面図である。
【図12t】横倒し状態にある電気ポットのアクチュエータアセンブリのさらなる実施形態を示す概略正面図である。
【図12u】アクチュエータアセンブリの第三の実施形態を示す概略平面図である。
【図12v】横倒し状態にある電気ポットの第三の実施形態にかかるアクチュエータアセンブリを示す概略正面図である。
【図12w】横倒し状態にある電気ポットの圧力逃がし手段を示す概略正面図である。
【図12x】横倒し状態にある電気ポットの圧力逃がし手段を示す概略正面図である。
【図12y】横倒し状態にある電気ポットの圧力逃がし手段の第二の実施形態を示す概略正面図である。
【図12z】横倒し状態にある電気ポットの圧力逃がし手段の第二の実施形態を示す概略正面図である。
【図13a】本発明の他の実施形態にかかる、こぼれ防止安全機構を備えた液体加熱用の電気製品を示す概略断面図である。
【図13b】蓋の上部が取り除かれた状態にある、図13aの実施形態にかかる蓋部屋構成を示す斜視図である。
【図13c】開放状態にある、図13aの実施形態にかかる注ぎ用の開口部を示す概略断面図である。
【図13d】閉鎖状態にある、図13aの実施形態にかかる注ぎ用の開口部を示す概略断面図である。
【図13e】横倒し状態にある電気ポットの13aの圧力逃がし手段の第二の実施形態を示す概略上面図である。
【図13f】横倒し状態にある電気ポットの13aの圧力逃がし手段の第二の実施形態を示す概略上面図である。
【図13g】液体加熱用のベッセルが閉鎖状態にある、圧力逃がし手段を備えた液体加熱用のベッセルを示す概略断面図である。
【図13h】液体加熱用のベッセルが注ぎ状態にある、圧力逃がし手段を備えた液体加熱用のベッセルを示す概略断面図である。
【図13i】液体加熱用のベッセルが充填状態にある、圧力逃がし手段を備えた液体加熱用のベッセルを示す概略断面図である。
【図13j】液体加熱用のベッセルが閉鎖途中の状態にある、圧力逃がし手段を備えた液体加熱用のベッセルを示す概略断面図である。
【図13k】液体加熱用のベッセルが閉鎖状態にある、圧力逃がし手段を備えた液体加熱用のベッセルのある実施形態を示す概略断面図である。
【図13l】図13kに記載の液体加熱用のベッセルのある実施形態を示す概略平面図である。
【図13m】図13lのバッフル手段の詳細を示す概略図である。
【図13n】横倒し状態にある図13kの液体加熱用のベッセルを示す概略上面図である。
【図14a】本発明の他の実施形態にかかるこぼれ防止安全機構を備えた液体加熱用の電気製品を示す概略断面図である。
【図14b】図14aの実施形態にかかる注ぎ用開口部を示す一部切り取り斜視図である。
【図14c】静止状態にある、図14aの実施形態にかかる弁構成を示す概略断面図である。
【図14d】注ぎ状態にある、図14aの実施形態にかかる弁構成を示す概略断面図である。
【図14e】電気製品の後ろ側から見た、静止位置にある図14aの実施形態にかかる他の弁構成を示す概略断面図である。
【図14f】電気製品の後ろ側から見た、注ぎ位置にある図14aの実施形態にかかる他の弁構成を示す概略断面図である。
【図14g】電気製品の後ろ側から見た、片側に傾斜した位置にある図14aの実施形態にかかる他の弁構成を示す概略断面図である。
【図15a】本発明の他の実施形態にかかるこぼれ防止安全機構を備えた蓋を示す分解図である。
【図15b】注ぎ位置にある蓋を示す斜視図である。
【図15c】片側に傾斜した状態にある蓋を示す斜視図である。
【図16a】本発明の他の実施形態にかかるこぼれ防止安全機構を備えた蓋を示す分解図である。
【図16b】蓋の振り子を示す拡大斜視図である。
【図16c】注ぎ位置にある蓋を示す一部切り取り断面図である。
【図16d】片側に傾斜する状態にある蓋を示す一部切り取り断面図である。
【図17a】換気機構を含む本発明の他の実施形態にかかる蓋を示す平面図である。
【図17b】換気機構を含む本発明の他の実施形態にかかる蓋を示す平面図である。
【図18】本発明の他の実施形態にかかるこぼれ防止安全機構を備えた蓋を示す分解図である。
【図19a】注ぎ位置にある、図18の蓋を示す平面図である。
【図19b】傾斜位置にある、図18の蓋を示す平面図である。
【図20a】図19aに対応する一部切り取り等角図である。
【図20b】図19bに対応する一部切り取り等角図である。
【図21a】本発明の他の実施形態にかかるこぼれ防止機構を備えた蓋を示す分解図である。
【図21b】本発明の他の実施形態にかかるこぼれ防止機構を備えた蓋を示す一部切り取り等角図である。
【図21c】蓋が注ぎ位置または直立位置にある状態の、鉛直方向に沿ってマウントされた蓋の振り子を示す一部切り取り概略正面図である。
【図21d】蓋が注ぎ位置または直立位置にある状態の、鉛直方向に沿ってマウントされた蓋の振り子を示す切欠き概略平面図である。
【図21e】蓋が第一の傾斜位置にある状態の、鉛直方向に沿ってマウントされた蓋の振り子を示す一部切り取り概略正面図である。
【図21f】蓋が第一の傾斜位置にある状態の、鉛直方向に沿ってマウントされた蓋の振り子を示す一部切り取り概略平面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体加熱用のベッセル(vessel)、電気製品、およびそのための部品に関するものである。本発明のいくつかの態様はコードレス電気製品に関するものである。他の態様は、液体加熱用の電気製品が傾いた場合またはひっくり返った場合にこぼれ出ないようにするための安全機構を備えた液体加熱用の電気製品に関するものである。他の様相は液体ベッセル用の液位センサーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体加熱用の電気製品の場合、当該電気製品が偶然にひっくり返されてまたはつまずいて高温の液体がこぼれ出てしまう危険性がある。液体が沸騰したまたはそれに近い状況の熱湯である場合もあるため、このようにこぼれてしまうと使用者またはすぐ近くにいる人にひどいやけどを負わせてしまう恐れがある。
【0003】
このようにこぼしてしまう可能性を減らすまたは阻止するための提案が当該技術分野において従来から多くなされてきたが、それらの提案のうちのほとんどが非実用的かまたは少なくとも商品に組み入れられてこなかった。従来技術において提案された解決策は2つのタイプのうちのいずれかのタイプであることが一般的である。2つのタイプとは、電気製品が特定の向きにあるときにのみ液体を注ぐことができるオートマチックタイプと、インターロックを手動で取り外したときにのみ液体を注ぐことができるマニュアルタイプとである。従来技術はほとんど家庭用のお湯を沸かす電気製品に向けられている。この家庭用の湯沸かし電気製品のことを以下の記載では安全電気ポットと呼ぶこととする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
両方のタイプに共通する1つの問題は、電気製品内の圧力を逃がす必要性、とくに蒸気の圧力を逃がす必要性があるという点である。たとえば日本特許出願公開公報第JP−A−2008212315号には、蒸気のために別個の換気用の流出口を備えたマニュアルタイプの安全電気ポットが開示されている。日本において市販されている「タイガー」という銘柄の電気ポットの試験では、また、それについて開示されている特許出願の内容に基づけば、電気ポットが片側に傾くと熱湯が換気用の流出口から猛烈に噴き出てしまう。しかしながら、たとえば英国特許出願公開公報第GBA−2272629号によれば、液体加熱用のベッセルがインターロックによって完全に閉じられていると、蒸気圧がベッセルの内部で上昇して爆発してしまう危険性がある。英国特許出願公開公報第GBA−2305353号には、電気ポットがひっくり返えると閉じる蒸気弁を備えた安全電気ポットが開示されている。しかしながら、コード付きの電気ポットの場合、電気ポットがひっくり返えってしまった後も水が沸騰し続けて蒸気圧が電気ポットの内部で上昇する恐れがある。コードレス電気ポットの場合も、電気ポットが蹴り倒された後でも発熱体と水との間の温度差によりしばらくの間沸騰が継続しうるので、圧力がさらにある程度まで上昇してしまう恐れがある。
【0005】
オートマチックタイプの安全電気ポットの場合、圧力上昇の問題は通常対処されていない。たとえば、英国特許出願公開公報第GBA−2189378号には、液体を注ぐための正しい向きに電気ポットが置かれていない場合には自動的に閉ざしてしまう注ぎ口用フラップが開示されている。独国特許出願公開公報第DE−A−197408261号には、電気ポットが直立しているときのみ開いていることができる電気ポットの蓋が開示されている。
【0006】
安全電気ポットなどにおいて対処される必要のある他の問題は、容易な充填および注ぎを可能とする必要性があるという点である。従来技術では、こぼれを沮止しようとする安全機構により、注ぎおよび充填がより困難となる傾向がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの態様によると、少なくとも2つの穴を含む(comprise:要素としてそのものを含む場合と、それ自体がそのものである場合とを含む)液体加熱用のベッセルのための圧力逃がしシステムは、ベッセルが直立位置にあるとき、これらの穴が大気と連通し、ベッセルが傾斜位置にあるとき、これらの穴の一方の穴が大気と連通し、他方の穴からの液体の流れが抑制される。
【0008】
好ましくは、ベッセルが傾斜位置にあるとき、大気と連通する穴はベッセル内の液位よりも上方にあり、液体の流れが抑制される穴はベッセル内の液位よりも下方にある。
【0009】
好ましくは、これらの穴はベッセルの外縁の近くに位置する。
【0010】
好ましくは、圧力逃がし手段は2つの穴と、これらの穴の間にある部屋とを含んでおり、かかる部屋は少なくとも第一の位置と第二の位置との間で動作する弁機構を有している。
【0011】
好ましくは、かかる部屋は少なくとも1つの換気口を含んでいる。
【0012】
好ましくは、ベッセルが直立位置にあるとき、弁機構により、これらの穴は部屋および前述の換気口を通じて大気と連通することが可能となり、ベッセルが傾斜位置にあるとき、弁機構により、液位よりも上方にある穴は部屋および前述の換気口を通じて大気と連通し、液位よりも下方にある穴からの液体の流れは抑制される。
【0013】
好ましくは、少なくとも1つの換気口は蒸気感応式制御スイッチとさらに連通している。
【0014】
好ましくは、かかる部屋は前述のまたは各弁に対して少なくとも2つの合わせ面を含んでいる。
【0015】
好ましくは、前述のまたは各弁は、フロート弁、重り駆動式弁、スライド弁、ゲート弁または振り子弁である。
【0016】
好ましくは、前述のまたは各弁は、フロート弁であり、中間部材によって接続されている2つの弁部材をさらに含んでいる。
【0017】
好ましくは、各弁部材は円錐台形状の弁またはボール弁を含んでいる。
【0018】
好ましくは、各穴は導管の流入口と連通しており、各導管はそれぞれ流出口を有している。
【0019】
好ましくは、圧力逃がし手段は2つの穴を含んでいる。
【0020】
好ましくは、ベッセルが直立位置にあるとき、導管の流入口および流出口は大気と連通しており、また、ベッセルが傾斜位置にあるとき、液位よりも上方にある流入口は対応する導管および流出口を通じて大気と連通し、その他の導管からの液体の流れは、その流入口が液位よりも下方にあり、かつその流出口が液位よりも上方に留まったままなので、抑制される。
【0021】
好ましくは、これらの流出口は、蒸気感応式制御スイッチとさらに連通している。
【0022】
好ましくは、各導管は複数のバッフルを含んでいる。
【0023】
好ましくは、これらのバッフルは互い違いに配置される。
【0024】
好ましくは、圧力逃がしシステムはベッセル本体に固定または取り外し可能に取り付けられている。
【0025】
本発明の他の態様によれば、液体を分注するための流出口を有している液体加熱用のベッセルのためのこぼれ防止装置は、液体を通して分注可能とするための弁を有しており、かかる弁は、流出口に対して片側にベッセルが傾くと閉じ、流出口に向けてベッセルが傾くと開くように構成されている。この構成は、使用者に分注のために手動でベッセルを開くことを要求することなく、こぼれを減らすための有効な構成を実現している。この構成は、重力を受けて一方側または他方側に移動する弁シール部材または弁駆動部材を備えていてもよい。
【0026】
本発明の他の態様によれば、液体加熱用のベッセルのためのこぼれ防止装置は、液体を通して分注可能とするための弁を備えており、かかる弁は、ベッセル内の蒸気圧を受けて開くように構成されているとともに、ベッセルがひっくり返ると閉じるようにも構成されている。このようして、単一の弁において、ベッセルからの蒸気の換気およびこぼれの防止の両方が実現されている。
【0027】
かかる弁は、ベッセルが傾くと弁を閉じるオーバーセンター機構を含んでいてもよい。
【0028】
好ましくは、かかる弁はベッセルが直立した向きにあるとき通常閉じているように構成されている。このようにして、弁からの熱の損失を減らすることができる。かかる弁は、ベッセルが直立向きにあるときに閉じる第一のシール面と、ベッセルが傾いているときに閉じる第二のシール面とを有していてもよい。
【0029】
かかる弁は、弁からの液体の分注を可能とするために使用者操作機構によってベッセルが傾くときに閉じてしまうことを防止されるようになっていてもよい。それに代えてまたはそれに加えて、かかる弁は、使用者による弁の操作を必要とすることなく、ベッセルが特定の向きに傾くときに閉じてしまうことを防止されるようになっていてもよい。
【0030】
本発明の他の態様によれば、液体加熱用のベッセルのためのこぼれ防止装置は、ベッセルから液体を分注するための流出口と、操作されたときに分注用の流出口を開いて分注するように構成されている使用者操作機構とを有している。この使用者操作機構は、液体を分注用の流出口から分注することができないよう閉鎖位置に向けて付勢されるようになっていてもよい。1つの実施形態では、閉鎖位置では、分注用の流出口は、ベッセルのうちの、分注用の流出口側とは反対側の近くで開いている蒸気道と連通している。他の実施形態では、分注用の流出口から分離されている別個の蒸気流出口が提供されている。この別個の蒸気流出口は、蒸気圧を受けて開くものの、ベッセルが傾くと閉じうる弁によって閉じられるようになっていてもよい。
【0031】
以下に記載の図面を参照して、本発明の好ましい実施形態の一例が詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明のある実施形態にかかるコードレス液体加熱用の電気製品を示す概略断面図である。
【図9a】本発明のある実施形態にかかるこぼれ防止安全機構を備えた液体加熱用の電気製品を示す概略断面図である。
【図9b】静止位置にあるこぼれ防止安全機構の詳細を示す図である。
【図9c】沸騰位置にあるこぼれ防止安全機構の詳細を示す図である。
【図9d】注ぎ位置にあるこぼれ防止安全機構の詳細を示す図である。
【図9e】傾斜位置にあるこぼれ防止安全機構の詳細を示す図である。
【図10a】沸騰位置にある他の安全機構の詳細を示す図である。
【図10b】注ぎ位置にある他の安全機構の詳細を示す図である。
【図10c】傾斜位置にある他の安全機構の詳細を示す図である。
【図11a】沸騰位置にあるさらに他の安全機構の詳細を示す図である。
【図11b】注ぎ位置にあるさらに他の安全機構の詳細を示す図である。
【図11c】傾斜位置にあるさらに他の安全機構の詳細を示す図である。
【図12a】本発明の他の実施形態にかかる、こぼれ防止安全機構を備えた液体加熱用の電気製品の概略断面図である。
【図12b】図12aの実施形態にかかる蓋部屋構成を示す一部切り取り斜視図である。
【図12c】使用者操作部が平常位置にある、図12aの実施形態にかかる換気構成を示す概略断面図である。
【図12d】使用者操作部が動作位置にある、図12aの実施形態にかかる換気構成を示す概略断面図である。
【図12e】使用者操作部が平常位置にある、図12aの実施形態にかかる他の換気構成を示す概略断面図である。
【図12f】使用者操作部が動作位置にある、図12aの実施形態にかかるさらに他の換気構成を示す概略断面図である。
【図12g】使用者操作部が平常位置にある、図12aの実施形態にかかるさらに他の換気構成を示す概略断面図である。
【図12h】使用者操作部が動作位置にある、図12aの実施形態にかかるさらに他の換気構成を示す概略断面図である。
【図12i】直立配置にある、図12aの実施形態にかかるさらに他の換気構成を示す概略断面図である。
【図12j】注ぎ配置にある、図12aの実施形態にかかるさらに他の換気構成を示す概略断面図である。
【図12k】傾斜配置にある、図12aの実施形態にかかるさらに他の換気構成を示す概略断面図である。
【図12l】使用者操作部が平常位置にある、図12aの実施形態にかかるさらに他の換気構成を示す概略断面図である。
【図12m】使用者操作部が動作位置にある、図12aの実施形態にかかるさらに他の換気構成を示す概略断面図である。
【図12n】アクチュエータアセンブリを示す一部切り取り概略等角図である。
【図12o】横倒し状態にある電気ポットのアクチュエータアセンブリを示す概略正面図である。
【図12p】横倒し状態にある電気ポットのアクチュエータアセンブリを示す概略正面図である。
【図12q】横倒し状態にある電気ポットのアクチュエータアセンブリの第二の実施形態を示す概略正面図である。
【図12r】横倒し状態にある電気ポットのアクチュエータアセンブリの第二の実施形態を示す概略正面図である。
【図12s】横倒し状態にある電気ポットのアクチュエータアセンブリのさらなる実施形態を示す概略正面図である。
【図12t】横倒し状態にある電気ポットのアクチュエータアセンブリのさらなる実施形態を示す概略正面図である。
【図12u】アクチュエータアセンブリの第三の実施形態を示す概略平面図である。
【図12v】横倒し状態にある電気ポットの第三の実施形態にかかるアクチュエータアセンブリを示す概略正面図である。
【図12w】横倒し状態にある電気ポットの圧力逃がし手段を示す概略正面図である。
【図12x】横倒し状態にある電気ポットの圧力逃がし手段を示す概略正面図である。
【図12y】横倒し状態にある電気ポットの圧力逃がし手段の第二の実施形態を示す概略正面図である。
【図12z】横倒し状態にある電気ポットの圧力逃がし手段の第二の実施形態を示す概略正面図である。
【図13a】本発明の他の実施形態にかかる、こぼれ防止安全機構を備えた液体加熱用の電気製品を示す概略断面図である。
【図13b】蓋の上部が取り除かれた状態にある、図13aの実施形態にかかる蓋部屋構成を示す斜視図である。
【図13c】開放状態にある、図13aの実施形態にかかる注ぎ用の開口部を示す概略断面図である。
【図13d】閉鎖状態にある、図13aの実施形態にかかる注ぎ用の開口部を示す概略断面図である。
【図13e】横倒し状態にある電気ポットの13aの圧力逃がし手段の第二の実施形態を示す概略上面図である。
【図13f】横倒し状態にある電気ポットの13aの圧力逃がし手段の第二の実施形態を示す概略上面図である。
【図13g】液体加熱用のベッセルが閉鎖状態にある、圧力逃がし手段を備えた液体加熱用のベッセルを示す概略断面図である。
【図13h】液体加熱用のベッセルが注ぎ状態にある、圧力逃がし手段を備えた液体加熱用のベッセルを示す概略断面図である。
【図13i】液体加熱用のベッセルが充填状態にある、圧力逃がし手段を備えた液体加熱用のベッセルを示す概略断面図である。
【図13j】液体加熱用のベッセルが閉鎖途中の状態にある、圧力逃がし手段を備えた液体加熱用のベッセルを示す概略断面図である。
【図13k】液体加熱用のベッセルが閉鎖状態にある、圧力逃がし手段を備えた液体加熱用のベッセルのある実施形態を示す概略断面図である。
【図13l】図13kに記載の液体加熱用のベッセルのある実施形態を示す概略平面図である。
【図13m】図13lのバッフル手段の詳細を示す概略図である。
【図13n】横倒し状態にある図13kの液体加熱用のベッセルを示す概略上面図である。
【図14a】本発明の他の実施形態にかかるこぼれ防止安全機構を備えた液体加熱用の電気製品を示す概略断面図である。
【図14b】図14aの実施形態にかかる注ぎ用開口部を示す一部切り取り斜視図である。
【図14c】静止状態にある、図14aの実施形態にかかる弁構成を示す概略断面図である。
【図14d】注ぎ状態にある、図14aの実施形態にかかる弁構成を示す概略断面図である。
【図14e】電気製品の後ろ側から見た、静止位置にある図14aの実施形態にかかる他の弁構成を示す概略断面図である。
【図14f】電気製品の後ろ側から見た、注ぎ位置にある図14aの実施形態にかかる他の弁構成を示す概略断面図である。
【図14g】電気製品の後ろ側から見た、片側に傾斜した位置にある図14aの実施形態にかかる他の弁構成を示す概略断面図である。
【図15a】本発明の他の実施形態にかかるこぼれ防止安全機構を備えた蓋を示す分解図である。
【図15b】注ぎ位置にある蓋を示す斜視図である。
【図15c】片側に傾斜した状態にある蓋を示す斜視図である。
【図16a】本発明の他の実施形態にかかるこぼれ防止安全機構を備えた蓋を示す分解図である。
【図16b】蓋の振り子を示す拡大斜視図である。
【図16c】注ぎ位置にある蓋を示す一部切り取り断面図である。
【図16d】片側に傾斜する状態にある蓋を示す一部切り取り断面図である。
【図17a】換気機構を含む本発明の他の実施形態にかかる蓋を示す平面図である。
【図17b】換気機構を含む本発明の他の実施形態にかかる蓋を示す平面図である。
【図18】本発明の他の実施形態にかかるこぼれ防止安全機構を備えた蓋を示す分解図である。
【図19a】注ぎ位置にある、図18の蓋を示す平面図である。
【図19b】傾斜位置にある、図18の蓋を示す平面図である。
【図20a】図19aに対応する一部切り取り等角図である。
【図20b】図19bに対応する一部切り取り等角図である。
【図21a】本発明の他の実施形態にかかるこぼれ防止機構を備えた蓋を示す分解図である。
【図21b】本発明の他の実施形態にかかるこぼれ防止機構を備えた蓋を示す一部切り取り等角図である。
【図21c】蓋が注ぎ位置または直立位置にある状態の、鉛直方向に沿ってマウントされた蓋の振り子を示す一部切り取り概略正面図である。
【図21d】蓋が注ぎ位置または直立位置にある状態の、鉛直方向に沿ってマウントされた蓋の振り子を示す切欠き概略平面図である。
【図21e】蓋が第一の傾斜位置にある状態の、鉛直方向に沿ってマウントされた蓋の振り子を示す一部切り取り概略正面図である。
【図21f】蓋が第一の傾斜位置にある状態の、鉛直方向に沿ってマウントされた蓋の振り子を示す一部切り取り概略平面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱される液体を収容するためのポータブルベッセル用のこぼれ防止装置であって、
液体を分注するための流出口と、
前記液体を通して分注することができる弁とを有しており、
前記弁は、前記流出口に対して片側に前記ベッセルが傾くと閉じ、前記流出口の方向に向けて前記ベッセルが傾くと開くように構成されてなる、装置。
【請求項2】
片側に前記ベッセルが傾くと重力を受けて移動することにより前記弁を閉じる部材を備えてなる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記部材は、片側に前記ベッセルが傾くと前記弁を閉じる弁シール面を備えてなる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記部材は、片側に前記ベッセルが傾くと前記弁を閉じるよう前記弁と協働するように構成されてなる、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記部材は、前記ベッセルが前記流出口の方に向かって傾くと前記弁を開くよう付勢されるように構成されてなる、請求項2乃至4のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記部材と一体化される付勢手段によって前記付勢が実現されてなる、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記付勢が単一の弾力性部材によって実現されてなる、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記部材は、第一の前記弁が閉じているとき過剰な圧力を逃がすように構成される圧力逃し弁を備えてなる、請求項2乃至7のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記部材は、前記流出口を通って液体が分注されるにつれて該液体をろ過するように構成されるフィルタを備えてなる、請求項2乃至8のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記部材が支持面上を移動可能となっている、請求項2乃至9のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記部材および前記支持面のうちの少なくとも一方が一つ以上の突出部を有し、該一つ以上の突出部が延びて他方と接触し、このことにより、前記部材と前記支持面との間の摩擦が削減されるように構成されてなる、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記部材と前記支持面との間にカム構成を備えており、その結果、前記部材は、前記弁が閉じる位置に前記部材が到着するまで自由に移動可能となるように構成されてなる、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記支持面が蓋下側面を含んでなる、請求項10乃至12のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記部材が蓋下側面の上方にマウントされてなる、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記部材が前記蓋下側面の下方にマウントされてなる、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記部材が、回転可能にマウントされ、片側に前記ベッセルが傾くと重力を受けて回転するように構成されてなる、請求項2乃至15のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記部材が、直立位置にある前記ベッセルの実質的に鉛直な軸線を中心として回転するようにマウントされてなる、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記部材が、直立位置にある前記ベッセルの実質的に水平な回転軸線を中心として回転するようにマウントされてなる、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
片側に前記ベッセルが傾くと、前記部材が換気口を開くように構成されてなる、請求項2乃至18のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
片側に前記ベッセルが傾くと、前記換気口が前記ベッセルの上側で開くように構成されてなる、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記流出口から分離されている、前記換気口から漏れ出る液体を収容するための部屋をさらに備えてなる、請求項19または20に記載の装置。
【請求項22】
前記ベッセルが前記直立位置にあるとき、前記部屋は前記ベッセルの中へ流体を放出するように構成されてなる、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
直立位置に前記ベッセルがあるとき、前記弁が閉じるように構成されてなる、請求項1乃至22のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
直立位置に前記ベッセルがあるとき、前記弁が開くように構成されてなる、請求項1乃至22のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
使用者の操作によって解除されるまで、前記弁が閉鎖位置にロックされているように構成されてなる、請求項1乃至24のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記ベッセルから間接的に蒸気を移送するための蒸気路を備えてなる、請求項1乃至25のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
加熱される液体を収容し、液体を分注する流出口を有しているポータブルベッセルのためのこぼれ防止装置であって、
片側に前記ベッセルが傾いたときに上側に位置するように構成される換気口を備えており、
前記換気口が部屋の中に連通しており、
該部屋が、前記流出口から分離されていることに加えて、前記換気口から漏れ出る液体を収容するように構成されてなる、装置。
【請求項28】
前記ベッセルが前記直立位置にあるとき、前記部屋が前記ベッセルの中へ流体を放出するように構成されてなる、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
液体加熱用のベッセルのためのこぼれ防止装置であって、
液体を通して分注可能とするための弁を備えており、
前記ベッセル内の蒸気圧を受けて開くように構成されているとともに、前記ベッセルがひっくり返ると閉じるように構成されてなる、装置。
【請求項30】
前記弁が、前記ベッセルの傾きに応答するオーバーセンター機構を備えてなる、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記ベッセルが直立向きにあるとき、前記弁が通常閉じているように構成されてなる、請求項29または30に記載の装置。
【請求項32】
前記弁が、直立向きに前記ベッセルがあるときに閉じる第一のシール面と、前記ベッセルが傾いているときに閉じる第二のシール面とを有してなる、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
操作されると、前記ベッセルが傾くと前記弁が閉じてしまうのを防止して前記弁からの液体の分注を可能とする使用者操作可能機構を備えてなる、請求項29乃至32のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項34】
前記弁は、前もって決められた向きに前記ベッセルが傾くと開いたままの状態であるように構成されてなる、請求項29乃至33のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項35】
前記弁の少なくとも1つのシール面が、前記弁のシール特性を向上させるためのシーリング材からなる局所的な部分または層を含んでなる、請求項1乃至34のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項36】
前記ベッセルがひっくり返っていることを報知するためのアラームを備えてなる、請求項1乃至35のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項37】
前記ベッセルが主電源から切り離されたとき、前記アラームへの電力を供給するための予備電源を備えてなる、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記ベッセルがひっくり返ったことに応じて前記ベッセルへの電力を切断するための手段を備えてなる、請求項1乃至37のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項39】
加熱される液体を収容するためのポータブルベッセル用のこぼれ防止装置であって、
前記ベッセルが、該ベッセルから液体を分注するための流出口を有しており、
前記装置が、操作されたときに分注用の前記流出口を開いて分注可能とするように構成される使用者操作可能機構を含んでおり、
前記使用者操作可能機構が、液体を前記分注用の流出口から分注不能とするように閉鎖位置に向けて付勢されるように構成されており、
前記装置が前記ベッセルから蒸気を間接的に移送するための蒸気道をさらに含んでなる、装置。
【請求項40】
前記閉鎖位置では、前記分注用の流出口が前記蒸気道と連通するように構成されてなる、請求項39に記載の装置。
【請求項41】
前記蒸気道が、前記ベッセルのうちの、前記分注用の流出口側とは反対側の近くで開くように構成されてなる、請求項39または40に記載の装置。
【請求項42】
前記蒸気道が前記分注用の流出口から分離されてなる、請求項39に記載の装置。
【請求項43】
前記蒸気道が、蒸気圧を受けて開く弁を備えてなる、請求項42に記載の装置。
【請求項44】
前記弁が、前記ベッセルが傾くと閉じるように構成されてなる、請求項43に記載の装置。
【請求項45】
請求項1乃至44のうちのいずれか一項に記載の前記装置を含む液体加熱用のベッセルのための部品。
【請求項46】
前記液体加熱用のベッセルのための蓋を含んでなる、請求項45に記載の部品。
【請求項47】
前記蓋用のヒンジを備えてなる、請求項46に記載の部品。
【請求項48】
前記液体加熱用のベッセルのための注ぎ口を備えてなる、請求項45乃至47のうちのいずれか一項に記載の部品。
【請求項49】
液体加熱用のベッセルのためのハンドルを備えてなる、請求項45乃至48のうちのいずれか一項に記載の部品。
【請求項1】
加熱される液体を収容するためのポータブルベッセル用のこぼれ防止装置であって、
液体を分注するための流出口と、
前記液体を通して分注することができる弁とを有しており、
前記弁は、前記流出口に対して片側に前記ベッセルが傾くと閉じ、前記流出口の方向に向けて前記ベッセルが傾くと開くように構成されてなる、装置。
【請求項2】
片側に前記ベッセルが傾くと重力を受けて移動することにより前記弁を閉じる部材を備えてなる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記部材は、片側に前記ベッセルが傾くと前記弁を閉じる弁シール面を備えてなる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記部材は、片側に前記ベッセルが傾くと前記弁を閉じるよう前記弁と協働するように構成されてなる、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記部材は、前記ベッセルが前記流出口の方に向かって傾くと前記弁を開くよう付勢されるように構成されてなる、請求項2乃至4のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記部材と一体化される付勢手段によって前記付勢が実現されてなる、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記付勢が単一の弾力性部材によって実現されてなる、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記部材は、第一の前記弁が閉じているとき過剰な圧力を逃がすように構成される圧力逃し弁を備えてなる、請求項2乃至7のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記部材は、前記流出口を通って液体が分注されるにつれて該液体をろ過するように構成されるフィルタを備えてなる、請求項2乃至8のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記部材が支持面上を移動可能となっている、請求項2乃至9のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記部材および前記支持面のうちの少なくとも一方が一つ以上の突出部を有し、該一つ以上の突出部が延びて他方と接触し、このことにより、前記部材と前記支持面との間の摩擦が削減されるように構成されてなる、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記部材と前記支持面との間にカム構成を備えており、その結果、前記部材は、前記弁が閉じる位置に前記部材が到着するまで自由に移動可能となるように構成されてなる、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記支持面が蓋下側面を含んでなる、請求項10乃至12のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記部材が蓋下側面の上方にマウントされてなる、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記部材が前記蓋下側面の下方にマウントされてなる、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記部材が、回転可能にマウントされ、片側に前記ベッセルが傾くと重力を受けて回転するように構成されてなる、請求項2乃至15のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記部材が、直立位置にある前記ベッセルの実質的に鉛直な軸線を中心として回転するようにマウントされてなる、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記部材が、直立位置にある前記ベッセルの実質的に水平な回転軸線を中心として回転するようにマウントされてなる、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
片側に前記ベッセルが傾くと、前記部材が換気口を開くように構成されてなる、請求項2乃至18のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
片側に前記ベッセルが傾くと、前記換気口が前記ベッセルの上側で開くように構成されてなる、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記流出口から分離されている、前記換気口から漏れ出る液体を収容するための部屋をさらに備えてなる、請求項19または20に記載の装置。
【請求項22】
前記ベッセルが前記直立位置にあるとき、前記部屋は前記ベッセルの中へ流体を放出するように構成されてなる、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
直立位置に前記ベッセルがあるとき、前記弁が閉じるように構成されてなる、請求項1乃至22のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
直立位置に前記ベッセルがあるとき、前記弁が開くように構成されてなる、請求項1乃至22のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
使用者の操作によって解除されるまで、前記弁が閉鎖位置にロックされているように構成されてなる、請求項1乃至24のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記ベッセルから間接的に蒸気を移送するための蒸気路を備えてなる、請求項1乃至25のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
加熱される液体を収容し、液体を分注する流出口を有しているポータブルベッセルのためのこぼれ防止装置であって、
片側に前記ベッセルが傾いたときに上側に位置するように構成される換気口を備えており、
前記換気口が部屋の中に連通しており、
該部屋が、前記流出口から分離されていることに加えて、前記換気口から漏れ出る液体を収容するように構成されてなる、装置。
【請求項28】
前記ベッセルが前記直立位置にあるとき、前記部屋が前記ベッセルの中へ流体を放出するように構成されてなる、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
液体加熱用のベッセルのためのこぼれ防止装置であって、
液体を通して分注可能とするための弁を備えており、
前記ベッセル内の蒸気圧を受けて開くように構成されているとともに、前記ベッセルがひっくり返ると閉じるように構成されてなる、装置。
【請求項30】
前記弁が、前記ベッセルの傾きに応答するオーバーセンター機構を備えてなる、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記ベッセルが直立向きにあるとき、前記弁が通常閉じているように構成されてなる、請求項29または30に記載の装置。
【請求項32】
前記弁が、直立向きに前記ベッセルがあるときに閉じる第一のシール面と、前記ベッセルが傾いているときに閉じる第二のシール面とを有してなる、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
操作されると、前記ベッセルが傾くと前記弁が閉じてしまうのを防止して前記弁からの液体の分注を可能とする使用者操作可能機構を備えてなる、請求項29乃至32のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項34】
前記弁は、前もって決められた向きに前記ベッセルが傾くと開いたままの状態であるように構成されてなる、請求項29乃至33のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項35】
前記弁の少なくとも1つのシール面が、前記弁のシール特性を向上させるためのシーリング材からなる局所的な部分または層を含んでなる、請求項1乃至34のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項36】
前記ベッセルがひっくり返っていることを報知するためのアラームを備えてなる、請求項1乃至35のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項37】
前記ベッセルが主電源から切り離されたとき、前記アラームへの電力を供給するための予備電源を備えてなる、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記ベッセルがひっくり返ったことに応じて前記ベッセルへの電力を切断するための手段を備えてなる、請求項1乃至37のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項39】
加熱される液体を収容するためのポータブルベッセル用のこぼれ防止装置であって、
前記ベッセルが、該ベッセルから液体を分注するための流出口を有しており、
前記装置が、操作されたときに分注用の前記流出口を開いて分注可能とするように構成される使用者操作可能機構を含んでおり、
前記使用者操作可能機構が、液体を前記分注用の流出口から分注不能とするように閉鎖位置に向けて付勢されるように構成されており、
前記装置が前記ベッセルから蒸気を間接的に移送するための蒸気道をさらに含んでなる、装置。
【請求項40】
前記閉鎖位置では、前記分注用の流出口が前記蒸気道と連通するように構成されてなる、請求項39に記載の装置。
【請求項41】
前記蒸気道が、前記ベッセルのうちの、前記分注用の流出口側とは反対側の近くで開くように構成されてなる、請求項39または40に記載の装置。
【請求項42】
前記蒸気道が前記分注用の流出口から分離されてなる、請求項39に記載の装置。
【請求項43】
前記蒸気道が、蒸気圧を受けて開く弁を備えてなる、請求項42に記載の装置。
【請求項44】
前記弁が、前記ベッセルが傾くと閉じるように構成されてなる、請求項43に記載の装置。
【請求項45】
請求項1乃至44のうちのいずれか一項に記載の前記装置を含む液体加熱用のベッセルのための部品。
【請求項46】
前記液体加熱用のベッセルのための蓋を含んでなる、請求項45に記載の部品。
【請求項47】
前記蓋用のヒンジを備えてなる、請求項46に記載の部品。
【請求項48】
前記液体加熱用のベッセルのための注ぎ口を備えてなる、請求項45乃至47のうちのいずれか一項に記載の部品。
【請求項49】
液体加熱用のベッセルのためのハンドルを備えてなる、請求項45乃至48のうちのいずれか一項に記載の部品。
【図21e】蓋が第二の傾斜位置にある状態の、鉛直方向に沿ってマウントされた蓋の振り子を示す一部切り取り概略正面図である。
【図21f】蓋が第二の傾斜位置にある状態の、鉛直方向に沿ってマウントされた蓋の振り子を示す一部切り取り概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下の記載では、異なる実施形態において同様の機能を有する部品には同じ参照番号が付与されている。図面は概略的なものであり、とくに明記されていない限り、図面から寸法および角度を正確に求めることはできない。
光学的結合手段を備えたコードレス電気製品
図1には、本発明の実施形態を実現しうる電気製品の一例として、電子制御を備えた電気ポットが概略的に示されている。この例では、電気ポットは、コードレス電気ポットであり、ベッセル本体1と、電源台2とを含んでいる。ベッセル本体1および電源台2は、それぞれ、本体用のコードレスコネクタ3および電源台用のコードレスコネクタ4を有している。これらは、たとえば国際公開公報第WO−A−94/06285号に記載されかつオッターコントロールズ株式会社からCS4/CS7(電源台ソケット)およびCP7またはCP8(電気製品プラグ)という呼び名で販売されているタイプの360oコードレスコネクタである。電源台は、電力用のコンセント(図示せず)へ電源コード13を用いて連結可能となっている。
【0034】
ベッセル本体1は、加熱される液体を収容するための容器5と、基部6とを含んでおり、基部6は、副基部19を有し、この副基部19がベッセル本体1の底面を形成している。ベッセル本体1は、電気ポットとして形成されており、注ぎ口7と、蓋8と、ハンドル9とを有している。液体は発熱プレート12によって加熱されるようになっており、発熱プレート12は、容器5の基部を形成し、下面側に(すなわち、基部6の方向に面する側に)発熱体を有している。この発熱体は、ベッセル本体側コードレスコネクタ3から電力を受けるように接続される。発熱プレート12は、国際公開公報第WO−A−99/17645号に記載のようなEasifix(登録商標)を用いてベッセル本体の中に組み込まれるようになっていてもよい。発熱体は、被膜された素子および/または厚膜素子を含みうる。好ましくは、発熱プレートはステンレス鋼から構成される。さらに好ましくは、発熱プレートは、実質的に国際公開公報第WO−A−06/83162号に記載されているようなものである。しかしながら、本発明の少なくとも一部の実施形態は、発熱プレートではなく、浸漬型の発熱体を有している液体加熱用のベッセルに適用可能である。
安全な電気ポット
電気製品がひっくり返ってしまったときに沸騰した液体が使用者にかからないよう、電気ポットおよび他の湯沸かし器には安全機構を設ける必要がある。
【0035】
電気製品を安全にする対策が逆効果となる場合が非常に多い。たとえば、水がこぼれるのを防止することにより圧力が過剰に上昇してしまうという問題が生じる場合もある。電気製品がひっくり返ってしまった後もヒーターに電力が供給され続けられる場合である。電気製品を安全にする対策が電気製品の簡便な使用を困難にしてしまう場合も非常に多い。
【0036】
図面を参照して特定される下記の実施形態の各々は、上述の問題に対する解決策を提供するために他の実施形態から独立して用いられてもよいしまたは組み合わせて用いられてもよい。本発明者らは、以下のような組み合わせられた実施形態を例示している。
【0037】
図9〜図11には、注ぎ段階で使用者の操作を必要とする、注ぎ口の方に向いて設けられるこぼれ防止機構が示されている。
【0038】
図12〜図14には、圧力逃がしおよび圧力一定化手段を提供する、一体化されたおよび/またはさらなる機構を備えた使用者操作可能なこぼれ防止機構が示されている。これらのさらなる機構を、その他の実施形態のうちのいずれかに用いてもよいし、また、従来のこぼれ防止機構の改善のために用いてもよい。
【0039】
図15には、充填段階または注ぎ段階のいずれにおいても使用者の操作を必ずしも必要としない、注ぎ口の近くに設けられるこぼれ防止機構が示されている。
【0040】
図15〜図21には、充填段階または注ぎ段階のいずれにおいても使用者の操作を必要としえない、注ぎ口の近く設けられる振り子駆動式のこぼれ防止機構が例示されている。
【0041】
実施形態の全範囲およびそれらの組み合わせが広範囲に及ぶものであることは明白である。しかしながら、本明細書の記載を読んだ当業者は、本発明の範囲内において、これらの実施形態の解決策を組み合わせることにより個々の電気製品の特定の問題に対処することができると考えられる。
【0042】
たとえば、図9a〜図9eには、二重壁コードレス電気ポットにおいて、本発明のある実施形態にかかるこぼれ防止安全機構が例示されている。しかしながら、かかるこぼれ防止安全機構は、一重壁電気ポットおよび他の液体加熱用の電気製品にも適用可能である。こぼれ防止安全機構のすべての実施形態は、取り外し可能なまたは開放可能な蓋アセンブリの範囲内において示されているが、取り外し可能な蓋のないポータブル型の液体加熱用の電気製品にも同様に適用可能である。これらの実施形態のさらなる態様は、蓋アセンブリの代わりにまたは蓋アセンブリと共に、ベッセルの一部として組み込まれてもよい。
【0043】
実施形態によっては、蓋アセンブリが完全な注ぎ機構を備えることによって、蓋アセンブリが設けられるベッセル本体1が注ぎ口を必要としなくなり、蓋とベッセル本体との間のシールが向上されるという効果を奏するようになっている場合もある。
【0044】
図9aに示されているように、蓋8は蓋部屋71を含んでおり、その床は、容器シール63によって容器5の上端との間を取り外し可能にシールされる蓋下側面66を含んでいる。蓋部屋71を備えている蓋8は、容器5の充填または清掃を可能とするために容器5から取り外すことができる。これに代えてまたはこれに加えて、蓋8はヒンジによりベッセル本体1に取り付けられてもよい。
【0045】
蓋部屋71は、容器5からの液体のための通路として働き、容器5からの液体は、蓋下側面66の穴86を通って蓋部屋71の中に入る。次いで、液体は、蓋部屋71から注ぎ口7を通って注ぎ出されうる。任意選択的に、蓋部屋71と注ぎ口7との間に注ぎ口フィルタ65が設けられてもよい。また、任意選択的に、容器5が注ぎ口7から充填されるようになっていてもよい。また任意選択的に、熱保持を支援するために注ぎ口7内にフラップ(図示せず)が設けられてもよい。当該フラップは、充填および注ぎを可能とするために内側および外側に向かって開くようになっていてもよい。また、当該フラップは、使用者に操作される操作部75によって開かれるように構成されてもよい。
【0046】
蓋部屋71は、容器5からの蒸気のための通路としても働く。容器5内で液体が沸騰すると、蒸気は穴86を通り抜けて蓋部屋71の中に達する。次いで、当該蒸気の一部は、蓋部屋71から蒸気管70を通り抜け、蒸気を検出すると加熱を停止するかまたは加熱を弱めるように構成されている蒸気感知コントロール60に達する。この場合、蒸気感知コントロール60は統合コードレスコネクタコントロールである。蒸気感知コントロール60は、容器5内の液体が沸騰すると蒸気が蒸気管70から導かれて行く熱感応式アクチュエータ、たとえばスナップ動作式バイメタルアクチュエータを備えていてもよい。蒸気管70の外面は、取り外し可能に、シール67によって蓋下側面66との間をシールされている。
【0047】
これに代えて、蒸気感知コントロール60は、蓋部屋71内にまたは蓋部屋71と隣接してマウントされてもよい。この場合、蒸気管70は必要ではなくなるが、蒸気感知コントロール60からヒーターまでなんらかの方法で接続することが必要となる。
【0048】
この特定の実施形態では、ベッセル本体1は、内壁62から間隔をおいて設けられている外壁61を有しており、内壁62は容器5の壁を形成している。たとえば本出願者に付与された特許である英国特許第GB−B−2365752号および中国特許第CN−C−1239116号に記載されかつ請求されているように、蒸気管70は、内壁62と外壁61との間の空間を通るようになっている。
【0049】
ベッセル本体1がひっくり返ってしまった場合に容器5から液体がこぼれてしまうのを防止するために、穴86を通る液体の流れは少なくとも1つの流れ管理手段80によって調節されている。以下には、さらなる流れ管理手段が記載されている。
【0050】
流れ管理手段80には、圧力逃がし手段と圧力一定化手段とが両方とも組み込まれている。場合によっては、圧力逃がし手段と圧力一定化手段とが流れ管理手段に単独で設けられている場合もある。
【0051】
この実施形態および他の実施形態では、流れ管理手段80は、使用者操作可能操作部75により操作された場合、容器5から液体を逃がしてやることを可能とするようになっている。この実施形態では、操作部75は、操作部が流れ管理手段80の機能を妨げないよう、通常は、流れ管理手段80の方向とは反対側に向けて付勢されている。さらなる実施形態では、操作部75は、通常は、流れ管理手段80の方向に向けて付勢されてもよく、また、さらなる実施形態では、操作部75は、流れ管理手段の一部を形成するようになっていてもよい。
【0052】
使用者操作可能操作部75は、ハンドル9に摺動可能にマウントされ、流れ管理手段80と係合するように使用者によって押圧される部分を提供するようにハンドル9を越えて突出し、かつバネにより付勢されているプッシャーロッドであってもよい。これに代えて、操作部75の使用者操作可能部分は、引かれることによって操作部75の他の部分を流れ管理手段と係合させるように構成されていてもよい。使用者操作可能部分は1つ以上の歯車によって係合部分に接続されてもよい。使用者操作可能部分は、トリガーまたは握り操作部を含んでもよく、また、ハンドルと一体化されるようになっていてもよい。他の実施形態では、使用者操作部は、蓋の内部に設けられるようになっていてもよいし、蓋とハンドルとの間に設けられるようになっていてもよいし、または、いかなる位置の組み合わせであってもよい。
【0053】
実施形態によっては、2つの操作手段があってもよい。たとえば、電気製品に電力が供給されるときには流れ管理手段が自動的に閉じ、そして、電気製品から液体が注がれるときには、使用者の操作によって流れ管理手段が開かれるよう、1つの操作手段は、流れ管理手段を閉じるためのものであり、また、1つの操作手段は流れ管理手段を開くためのものである。
【0054】
他の実施形態では、注ぎ用開口部が閉じている場合にのみ電源スイッチを始動することができるよう、流れ管理手段は電源スイッチと連動式になっていてもよい。
【0055】
さらなる実施形態では、ベッセルが水平面、たとえ調理台またはコードレス基部の上に置かれる場合には常に流れ管理手段が閉じ、そして、注ぐ場合には使用者によって機械的に再度開かれなければならないように、流れ管理手段が、ベッセルの側面または底面にある操作部と関連付けされるようになっていてもよい。
【0056】
さらなる実施形態では、流れ管理手段用の操作部は、英国特許公開公報第GB−B−2363056号に記載されているようなヒンジにより取り付けられるハンドルであってもよい。このとき、たとえば流れ管理手段は、ハンドルが折り畳まれる場合には閉じ、ハンドルが広げられる場合には開かれる。使用者がベッセルを基部に戻すとハンドルが折り畳まれた位置へ戻るように、ハンドルは弾力的にマウントされるようになっていてもよい。
【0057】
流れ管理手段80の第一の実施形態は、図9b〜図9eに例示されている。図9b〜図9eには、シール64による外壁61と内壁62との間のシール構成、およびシール63による蓋下側面66と内壁62との間のシール構成が示されている。
【0058】
穴86の上側には、蓋上側シール面82が弁座を形成して設けられており、この弁座には、弁部材81の上側部89が着座する。上側部89は、蓋上側シール面82との間をシールする弁上側シール面83を有している。蓋上側シール面82および弁上側シール面83の両方は、上方に向かって広がる錐台形状であり、好ましくは弁部材81が穴86の中で任意の方位角を有するよう位置決めされうるような円錐台形状である。しかしながら、角錐台形状のような他の形状が用いられてもよい。蓋下側シール面82は、弁上側シール面83より大きな角度で上方に向かって広がっているので、図9bの静止位置では、蓋下側面66が水平であるとき、蓋上側シール面82は、弁上側シール面83との間を、その下端部でのみシールする。
【0059】
図9bの静止位置では、穴86は、当該穴86からの熱損失を防止するために実質的に閉じられた状態にある。任意選択的に、容器5と蓋部屋71との間の圧力の均一化を可能とするために、蓋上側シール面82と床66との間に1つ以上の通風穴87を設けるようにしてもよい。
【0060】
弁部材81は、後述されるように、穴86の下方に向かって延びているとともに、蓋下側シール面84との間をシールするための上方に面する弁下側シール面85を有している下側部90を備えている。この実施形態の下側部90は、逆さまになった浅いカップまたはドームの形態を有している。
【0061】
図9cの沸騰位置では、弁上側シール面83が蓋上側シール面82から離れるように移動することにより、蒸気が蓋部屋71の中へ逃げ込み、そこから、注ぎ口7または蒸気管70を通って流出することができるようにするよう、容器5内の液体の蒸気圧によって弁部材81が持ち上げられるようになっている。この蒸気圧は、蓋下側シール面84を弁下側シール面85と接触させるには不十分である。
【0062】
図9dの注ぎ位置では、弁上側部89は、蓋上側シール面82上の接点Aを中心として回転しがちである。しかしながら、使用者は、弁上側シール面83および弁下側シール面85がそれぞれ蓋上側シール面82および蓋下側シール面84との間を一方側でのみシールし、その反対側では液体が弁部材81を通るための三日月形状の通路を残すよう、弁上側部89の移動を制限するように操作部75を操作する。
【0063】
図9eに示されているように、ベッセル本体1が操作部75の操作なしに傾けられた場合、弁部材81は、ベッセル本体1の傾斜側で、弁上側シール面83が蓋上側シール面82にぴったりと接するように回転する。このことにより、弁下側シール面85が蓋下側シール面84と完全に接触し、穴86をシールし、この穴86から液体がこぼれ出るのを防止する。換言すれば、弁部材81は、傾けられた場合に弁を閉じるオーバーセンター機構として働く。
【0064】
弁下側部90は、穴86よりも幅が広いが、蒸気圧が十分に上昇した場合に穴86を通り抜けるのに十分に柔らかいため、圧力を逃がすことが可能となる。このように、弁部材81は安全弁として働く。しかしながら、代替えの機構または追加の機構として、別個の圧力逃し弁が蓋下側面66に設けて容器5の過剰な圧力を蓋部屋71の中へ逃がすようになっていてもよい。いずれの場合であっても、他のいくつかの実施形態でも、たとえば蓋領域内のバッフルまたはシュラウドによって圧力逃し弁から排出される蒸気および/または液体を注ぎ口7の方向とは反対側に向けて導くためのなんらかの手段を提供することが有利なことである場合もあるし、そうでなければ、圧力逃し弁が、蒸気管70を通じてコントロール60へ排出するようになっていてもよい。排出される蒸気および/または液体を導く手段は、弁部材81の一部を形成するようになっていてもよいし、また、弁下側部90および/または穴86の形状により形成されるようになっていてもよい。
【0065】
弁下側部90が穴86を通り抜けさせることができるということは、弁部材81を容易に取り付けおよび交換することができるということでもある。これに代えて、組み立てを容易にするために、弁上側部89と弁下側部90とが穴86の両側から嵌め合わされるまたはカチッと結合されるようになっていてもよい。
【0066】
特定の実施形態では、本出願人の特許が付与されている特許第GB−B−2332095号に記載されクレームされているように、穴86は注ぎ口7の近くに設けられ、蒸気管70は、注ぎ口7から離れて設けられ、蓋部屋71の上側部に向けて開口されている。したがって、穴86から漏洩するいかなる液体であっても、ベッセル本体1がひっくり返えされ、ハンドル9または注ぎ口7に寄りかかりながら横たわっているような場合、蒸気管70の中に入っていくことはない。というのは、蒸気管70または注ぎ口7のいずれかもがベッセル本体の中心を通る水平面の上にあるからである。さらに、中空の蓋アセンブリ150は、液位が蒸気管70に達する前に、穴86通って入る液体のためのさらなる容器として働くようになっていてもよい。
【0067】
図10a〜図10cには、流れ管理手段80の他の実施形態が示されている。この実施形態では、弁上側部89がピボット継手88によって穴86を通じて弁下側部90に接続される。ピボット継手88は、弁上側部89が任意の水平軸を中心として回転することができるようにする自在継手であることが好ましい。弁下側部89は、ガイド91によって蓋下側面66に対して垂直に移動するように制限されている。
【0068】
図10aに示されているように、沸騰位置では、図10cの実施形態のように、弁上側シール面83は、蓋上側シール面82から離れるように移動し、蒸気が蓋部屋71の中へ流れ込むことができるようにする。
【0069】
図10bの注ぎ位置では、弁上側部89は、操作部75側とは反対側にある、蓋上側シール面82の接点Bを中心として回転するようになっている。しかしながら、操作部75は、弁上側部89が上方に向かって移動することにより弁下側部90を持ち上げることができる範囲を制限することで、液体が穴86を通って弁下側部90および弁上側部89の回りを流れることができる。
【0070】
図10cの傾斜位置では、弁上側部89は操作部75によって制限されない。操作部75は、操作されていないので、弁部材91から離れるように付勢されている。弁上側部89が、接点Bを中心としてさらに回転して弁下側部90を持ち上げることにより、弁下側シール面85が蓋下側シール面84との間をシールし、穴86を閉じることができるので、液体の漏洩が防止される。
【0071】
図11a〜図11cには、流れ管理手段80の他の実施形態が示されている。図11a、図11bおよび図11cには、沸騰位置、注ぎ位置および傾斜位置がそれぞれ例示されている。この実施形態では、弁上側部89および弁下側部90は球状であるが、弁部材91は、図8a〜図8eの実施形態の機能と同様に機能する。図10a〜図10cの実施形態において例示されているような自在継手によって弁上側部89および弁下側部90が結合されてもよい。
【0072】
図12aには他の実施形態が示されており、この実施形態では、図12bにさらに詳細に示されているように、蓋部屋71が、前方部屋94と後方部屋95とに分離されてもよく、および/または、図12c〜図12zに示されているような換気構成を備えていてもよい。
【0073】
図12bにさらに詳細に示されているように、前方部屋94は穴86を備えており、当該穴は、この実施形態では、容器5から液体を分注するために用いられる。蒸気および/または空気は、蓋下側面66の蒸気換気口92を通って後方部屋95の中へと放出される。前方部屋94は、可動フラップ93によって後方部屋95から断熱されており、可動フラップ93は、通常閉じているが、後方部屋95の蒸気からの圧力が十分な場合に開いて蒸気圧を前方部屋94の中へと逃がし、注ぎ口7から放出する。
【0074】
穴86は通常閉じており、充填および注ぎのために、使用者の操作によって開かれる必要がある。この実施形態は、フラップ93が後方部屋95の中に液体を入るのを防止する補助をするので、注ぎ口7からの充填に特に適している。他の実施形態では、前方部屋94と後方部屋95との間のパーティションが固定されるようになっていてもよい。その場合、後述されているような圧力逃がし手段は、蓋後方部屋と蓋前方部屋との間にある常設の換気口から排出する(逃がす)ようになっていてもよく、また、この換気口は、注ぎ口に近い位置で放出するように位置決めされてもよい。
【0075】
さらなる実施形態では、圧力逃し弁は、蒸気管70を通じてコントロール60へ排出する(逃がす)ようになっていてもよい。
【0076】
穴86は、操作部75によって通常閉じられており、この実施形態では、注ぎ口7の方に向けて付勢されている。トリガー99が使用者によって引かれると、操作部75がハンドル9の方に向かって引き戻され、穴86が開かれ、注ぎ口7を通じた注ぎまたは充填が可能となる。操作部75は、蓋下側面との間をシールするように、たとえば蓋下側面66内の1つ以上のスロットによって蓋部屋71内に摺動可能にマウントされるようになっていてもよい。ベッセル本体1がひっくり返る場合、操作部75が蓋下側面66との間をシールして液体の穴86からの漏洩が実質的に防止される。
【0077】
図12cおよび図12dの換気構成では、操作部75が引き戻されている場合でも、蒸気換気口92は常に開いた状態にある。したがって、蒸気換気口92は、液体が注ぎ出されるにつれて空気が容器5の中に入ってくることを可能とすることにより、容器5内の圧力を一定に保つようになっている。ベッセル本体1がひっくり返えると、液体が容器5から後方部屋95の中へ漏洩し、その一部がこの後方部屋95の中に保持されうる。液体が蒸気管70の中に入った場合には、この液体を、たとえば本出願人に付与されている英国特許第GB−B−2318452号およびそれに対応する中国特許第CN−C−1149046号に開示されているような蒸気部屋を用いることによって水蒸気センサーから放出することができる。
【0078】
図12eおよび図12fに記載の他の換気構成では、蒸気換気口92は、穴シール96、たとえばシリコーン製のフラップを有している。この穴シール96は、容器5の内部からの蒸気圧を受けて開き、蒸気圧が下がるとシールするようになっている。ベッセル本体1がひっくり返った場合、穴シール96は蒸気換気口92から液体が漏洩しないようにする。また、穴シール96は、容器5の内部が冷えていくと、圧力を一定に保つために内側に向かって開き、注ぎ時における圧力の一定化を可能としうる。
【0079】
図12gおよび図12hに記載のさらに他の換気構成では、蒸気換気口92は穴フラップ97を有している。穴フラップ97は、容器5の内部からの蒸気圧を受けて開き、蒸気圧が下がるとシールするようになっている。穴フラップ97は、容器5の冷却時および注ぎ時における圧力の一定化を可能とするが、ベッセル本体1がひっくり返った場合の液体の漏洩の防止については部分的にのみ有効でありうる。
【0080】
図12i〜図12kに記載のさらに他の換気構成では、蒸気換気口92は、図11a〜図11cに記載の実施形態と同じ様に弁構成によって閉じられるようになっている。操作部75は、図12jに記載の後方に向かって引かれた位置にある場合、弁部材81の上昇を防止するので、弁下側部90が蓋下側シール面84との間を完全にシールしてしまうのを防止するようになっている。それに代えて、図10a〜図10cまたは図9b〜図9eに開示されているような弁構成が用いられてもよい。
【0081】
図12lおよび図12mに記載のさらに他の換気構成では、ベッセル本体1が水平位置にある場合、円錐形状の弁部材98が蓋下側シール面84に着座するようになっている。蒸気圧により、弁部材98は上方に向かって押し上げられ、蒸気換気口92から蒸気圧を逃がすようになっている。図12mに示されるようにベッセル本体が傾くと、弁部材98シールの上面は、蒸気換気口92をシールすることにより液体の漏洩を防止する。1つ以上の小さな永続的に開いた換気口を蒸気換気口92のまわりに設けることによりある程度永続的な換気を可能とするようにしてもよい。
【0082】
図12l〜図12zに記載のさらなる圧力逃がしおよび圧力一定化構成では、ベッセル本体1の少なくとも1つの換気口が常に開かれて注ぎ時における適切な圧力一定化を担保するようになっている。
【0083】
これらの実施形態では、圧力逃がしおよび一定化手段に対する干渉を回避するため、操作部75は、高くするか片側に位置決めすることが必要となる場合もある。
【0084】
図12n〜図12zには、全てのこぼれ防止手段と共に用いられうるさらなる圧力逃がしおよび圧力一定化手段が例示されている。これらの実施形態の各々は、ベッセル本体1の両側に間隔をおいて設けられる少なくとも2つの穴92を備えている。傾斜位置では、少なくとも1つの穴がベッセル本体1内の液位よりも上方に存在しており、一方、液位よりも下方に存在するどの穴92からであっても液体がベッセル本体1の外へ出ていくことが防止されているので、電気製品の向き(位置)に関わらず、空隙222から大気への永続的な換気口が設けられていることになる。
【0085】
図12nは、直立位置にあるアクチュエータアセンブリ600を示す一部切り取り概略等角図である。図12nでは、アクチュエータアセンブリ600は、蓋8の後方部屋95内に位置し、蓋下側面に固定されている。蓋8は、さらにベッセル本体1に固定されてもよいし、取り外し可能に固定されてもよい。
【0086】
他の実施形態では、アクチュエータアセンブリ600は、ベッセル本体に固定されてもよいしまたは取り外し可能に固定されていてもよい。
【0087】
アクチュエータアセンブリ600は、第一の流入口601と、第二の流入口602とを含んでおり、これらの第一の流入口601および第二の流入口602は、蓋下側面66に設けられている穴92を介してベッセル本体1の容器5と連通し、さらに、第一の流入口601と第二の流入口602との間にある部屋603とも連通している。図示されているように、第一の流入口601および第二の流入口602は、蓋8の後方部屋95の周縁に対向した位置に配置されている。
【0088】
部屋603はフロート弁604を備えている。このフロート弁604は、内側に向かって対向し、かつ中間部材607によって接続されている2つの弁605および606を含んでいる。この実施形態では、弁605および606は円錐台形状の弁である。ベッセル本体1が直立位置にある場合、フロート弁604の中間部材607は、第一の流入口601と第二の流入口602とが部屋603と連通することができるように部屋603内に置かれる。
【0089】
少なくとも2つの換気口608および609が、それらの流入口が部屋603と連通している状態で設けられている。第一の換気口608の流出口は、蒸気管70を通じて直接的または間接的に基部6(図示せず)内に位置する蒸気感応式制御スイッチ60と連通しており、また、第二の換気口609の流出口は、当該流出口がベッセル本体1の外部への換気口として機能するように直接的にまたは間接的にベッセル本体1の注ぎ口7の場所のある位置と連通している。他の実施形態では、蒸気感応式制御スイッチ60は、基部6から離れた位置、たとえばハンドル9内または蓋8内に設けられてもよい。
【0090】
ベッセル本体1が直立位置にある場合、ベッセル本体1の水が沸騰すると、蒸気が第一の流入口601、第二の流入口602および穴92を通じて部屋603の中に入り、2つの換気口608および609を通じて部屋603から出ていく。ベッセル本体が直立位置にある場合、2つの換気口608および換気口609は、沸騰水により生じる蒸気圧を逃がすために用いられる。水が所望の温度に達すると、蒸気は、第一の換気口608から出て、蒸気管70を通り抜ける。水が適切な温度に達すると、過剰な蒸気からの熱により、蒸気感応式制御スイッチ60が作動され、発熱プレート12へ供給されている電力が切断される。換気目的のために、過剰な蒸気は、第二の換気口609と直接的にまたは間接的に連通しているベッセル本体1のうちの注ぎ口7の近傍から出てくる。
【0091】
有利なことには、第一の換気口608は部屋603を通じて第二の換気口609と間接的に接続されており、このことにより、冷い空気が蒸気管70を通じて蒸気感応式制御スイッチ60上に引き込まれ、第二の換気口609を通じて部屋603から出ることができるようになる。この煙突効果は、流入口601、602、穴92、部屋603を通じてベッセル本体1から出る蒸気の熱によって強化されうる。
【0092】
図12oおよび図12pは、注ぎ口7が上方および下方を向いている、傾斜位置にある取り付けられた状態(in situ)のアクチュエータアセンブリ600を示す概略平面図である。図12oに示されているように、ベッセル本体1が片側に横たわっている状態にあるとき、第一の流入口601は、空隙222の内部にかつ最大液位高さ225よりも上方の位置にある。この傾斜位置では、水は第二の流入口602の中へ入り、フロート弁604を上方に向けて移動させる。第二の弁606は、部屋603のシール面612に隣接してシール面612との間をシールし、水が部屋603の中に入って、第一の換気口608および第二の換気口609から出ていくのを防止するようになっている。同時に、第一の弁605は、シール面611の方向とは反対側に向かって押し上げられて第一の流入口601が空隙222内の蒸気と連通することができるようにしている。ベッセル本体1が傾斜位置にある場合、蒸気が第一の流入口601および部屋603を通じて容器5から出ていくにつれて、蒸気圧が逃がされる。この蒸気は2つの換気口608および換気口609を通じて部屋603から出ていく。電力が電気製品に依然として供給されている場合には、過剰な蒸気は、蒸気感応式制御スイッチ60を作動させて、発熱プレート12への電力の供給を切断させる。
【0093】
図12pには、注ぎ口7が下方に向いた、傾斜位置にある取り付けられた状態(in situ)のアクチュエータアセンブリ600が例示されている。この場合、第一の弁605がシールし、第二の弁606が開いている状態にあることが理解できる。したがって、いかなる向きであっても、2つの弁605および弁606のうちの下側の方が閉じられており、2つの弁605および弁606のうちの上側の方が開いているので、1つのアセンブリ内において冗長性および安全性に関する要件が実現されていることになる。
【0094】
直立位置にしたときに弁アクチュエータ604が中立位置にまで戻らなかった場合には、第一の弁605または第二の弁606のうちの少なくとも一方および電気製品を安全に使用することが可能なので、アクチュエータアセンブリ600は、直立位置および傾斜位置の両方で冗長性および安全性に関する要件を実現することができる。
【0095】
図12qおよび図12rには、注ぎ口7が上方および下方に向いている、傾斜位置にある取り付けられた状態(in situ)のアクチュエータアセンブリ600のある実施形態を示す概略平面図が示されている。この実施形態では、弁605および606はボール弁である。前述の実施形態と同様に、傾斜位置では、弁605および606の下側の方がそれに対応する弁座611または612との間をシールし、各々のケースにおいて、蒸気は空隙222から2つの弁605および606のうちの上側の方を通して排出されるが、水は容器5の中に留まったままである。
【0096】
図12sには、前述のフロート弁の代わりに重み付きボール弁617が組み込まれているさらなる実施形態が示されている。ベッセル本体1が直立位置にあるとき、重み付きボール弁617は、部屋603の床の中央部内に設けられている凹部618に静止し、上部空間222内の蒸気を流入口601、602および換気口608、609を通して排出することができるようにする。ベッセル本体1が横に傾いているとき、重み付きボール弁617は凹部618から転がり出て、シール面612に静止し、図12uに示されているようなシールを形成する。ベッセル本体1が他方側に横たわった状態にあるとき、重み付きボール弁617は凹部から転がり出て、反対側のシール面611に静止し、シールを形成する。このような場合、蒸気は空隙222から換気口608および609を通して排出されるが、水は容器5内に留まったままである。典型的には、重み付きボール弁617は、たとえば金属製のボールベアリングであってもよいし、または、たとえばボールで操作されるコンピューターマウスなどに見られるプラスチック製のベアリング、ゴム製のベアリングもしくはゴムが被膜されたベアリングであってもよい。
【0097】
図12tには、ボール弁617が、上述のように機能する重み付き摺動式ブロック弁625と交換されるさらなる実施形態が示されている。
【0098】
ベッセル本体1が直立位置に戻されたあとブロック弁625を中央位置へ戻す補助をするために傾斜面626および627が設けられてもよい。
【0099】
他の実施形態では、電気製品を直立位置に置き直したとき、ボール弁617またはブロック弁625が閉鎖位置のうちの一つの閉鎖位置または他の閉鎖位置に留まり、正常使用時、残りの開いた穴92によってベッセル本体を換気するようになっていてもよい。
【0100】
さらなる実施形態では、換気口92が蓋8内の空隙と直接連通しうるように部屋603および導管601、602を取り除いてもよく、このことにより、蒸気管70および注ぎ口の領域内の換気口と連通する部屋が提供される。この場合、各換気口92について、個別のボール弁、フロート弁またはゲート弁が必要となる。
【0101】
図12uおよび図12vには、本発明のさらなる実施形態が示されている。この実施形態では、流入口92の各々の下方に、個別の弾力性のあるバネ付きゲート弁620が設けられている。ベッセル本体1が図12sに示されているような直立位置にあるとき、ゲート弁620は、たとえばバネ付勢手段151によって付勢力により開いた状態におかれ、空隙内の蒸気を流入口92を通して排出することを可能としている。
【0102】
図12vには傾斜位置にあるベッセル本体1の平面図が示されている。この傾斜位置では、下側ゲート弁620の質量により、下側ゲート弁は、バネ付勢手段に抗して回転し、第二の流入口602を閉じて容器5からの水の漏洩を防止するためのシールを形成しており、一方、ボス622によって適切な位置に保持されうる上側ゲート弁620は、空隙222内の蒸気の排出を可能とするように開いたままである。
【0103】
図から明らかなように、ベッセル本体がいずれの向きに傾斜していても、下側の弁620がシールし、もう一方の弁620が換気を行うようになっている。
【0104】
図示されているように、換気口92は、部屋603と連通し、換気口609および608は前述の実施形態と同様に作用する。
【0105】
さらなる実施形態では、換気口92が蓋8の中の空隙と直接連通しうるように、部屋603および導管601、602が取り除かれてもよく、このことにより、蒸気通路72および注ぎ口の領域内の換気口と連通するための部屋が提供される。この場合、弁620は蓋基部の上側に位置しうる。
【0106】
前述の実施形態の各々では、部屋603は、1つ以上の流出口と直接あるいは間接的に連通しうる1つの換気口のみを備えていてもよい。
【0107】
図12wおよび図12xには、可動部品を必要とすることのない、上述の実施形態と同様の圧力逃がしおよび一定化手段を提供するさらなる実施形態が例示されている。
【0108】
圧力逃がし手段640は、2つの導管641、642を含んでいる。第一の導管641は、穴92を通じてベッセル本体1の容器5と連通する流入口601と、換気口609を通じて蓋8の後方部屋95と連通する流出口645とを含んでいる。第二の導管642は、穴92を通じてベッセル本体1の容器5と連通する流入口602と、換気口609を通じて蓋8の後方部屋95と連通する流出口646とを有している。両方の流出口645、646は、前方部屋94と間接的にまたは直接的に連通し、蒸気は、注ぎ口へ、さらには蒸気管70へも排出される。これらの流入口643、644はベッセル本体の外縁の近くで互いに対向するように位置し、また、流出口645、646は、ベッセル本体の外縁の近くで互いに対向するように位置しているので、流入口643、644および流出口645、646は、互いに反対に配置される「シュノーケル」チューブのように配置されている。ベッセル本体1が直立位置にあるとき、導管641、642は支障なく換気する。
【0109】
図示されているように、ベッセル本体1が傾斜した状態にあるとき、流入口601は液位225の上方にあるので、水が流入口601を通って流れることはできない。それと同時に、水は流入口602の中に流れ込むことができる。流出口646が液位225の上方にあるため、導管の液位を流出口646と同じ高さまで引き上げるための十分な圧力「水頭」がない。空隙222に生じる過剰な蒸気圧は、流入口601を通じ、流出口645を通じて後方部屋95の中へ逃がされる。
【0110】
導管641、642の各々には、互い違いに配置されている複数のバッフル647が設けられてもよく、この場合、ベッセル本体1がひっくり返ってしまって導管の中へと流れ込んで行く水が抑制されるので、ベッセル本体1の内部の水が安定した平衡状態になるにつれて水が流出口645または646の中を急激に進んでいくことのないように補助されることになる。複数のバッフルは、水が沸点にある場合に液体を冷ますという機能をさらに有しうる。
【0111】
複数のバッフルに代えてまたはそれらに加えて、水の速度を下げるための他の方法または材料、水の温度をさげるための他の方法または材料、および/または、金網のように入り組んだ通路として機能させる方法または材料が導管に設けられてもよい。
【0112】
図から明らかなように、ベッセル本体がいずれの向きに傾けられたとしても、圧力逃がし手段は同様に働く。
【0113】
図示されているように、流入口601および流入口602が正反対に向き合うことがないように互い違いに配置されているため、傾斜位置にあるとき、これらの流入口のうちの一方が、他方と比べ、液位よりも比較的に比例して高くなる。このことは、導管を横に並べるのではなく互いに重ね合わせて置くことにより軽減することが可能である。
【0114】
少なくとも導管の一部が、蓋モールド成型品、または別個の蓋モールド成型品(図示せず)を備えたベッセル本体モールド成型品の一部として形成されてもよい。
【0115】
図12yおよび図12zには、導管641、642が前もって形成されたチューブである他の実施形態が例示されている。
【0116】
前述の圧力逃がしおよび圧力一定化手段の各々がベッセル本体および/または蓋アセンブリの中に設けられてもよい。
【0117】
前述の圧力逃がしおよび圧力一定化システムの各々では、傾斜位置にある間に部屋の中に入った水がベッセル本体1が直立位置に戻ったときにベッセル本体1の中へ戻っていくことができるよう、流入口92は蓋アセンブリの最も下側の部分に設けられるようにしてもよい。
【0118】
すべての実施形態では、電気製品の電力が切られた後に生じる過剰沸騰は、質量の小さな発熱体、たとえば厚いフィルムまたは印刷された発熱体の使用によって減らすことができる。
【0119】
過剰沸騰を減らすための他の方法は、沸騰が近づいて乱流が増えたときに発熱体への電力を切るまたは減らすことができるように、なんらかの乱流検出手段(後述される)を組み入れることである。それに加えて、電気製品がひっくり返ったことを検出して電力を切るためにこの乱流検出手段が用いられてもよい。
【0120】
図13a〜図13fには本発明のさらなる実施形態が示されており、この実施形態によれば、操作部75の中空のモールド成型品100内に蒸気通路が一体化されている。蒸気管70は、モールド成型品100の中空内部と連通し、キャップ101もモールド成型品100の一部を形成している。ベッセル本体1が直立している場合、水または凝結した蒸気がベッセル本体1の中に戻るように、中空のモールド成型品100の下方にある蓋基部は、穴86の方に向かって傾斜していてもよい。水または凝結した蒸気が蒸気管を流れ落ちないように、キャップ101により、蒸気管70を蓋の床よりも上方に位置させることができるようになる。ベッセル本体1が直立している場合、水または凝結した蒸気がベッセル本体1の中に戻るように、中空のモールド成型品100の下方にある蓋基部は穴86の方に向かって傾斜していてもよい。モールド成型品100は、ハンドル9の近くの端部に1つ以上の換気口102を備えている。
【0121】
操作部75の通常時の閉鎖位置では、穴86は中空内部100に連通しているので、穴86から逃げた蒸気は蒸気管70の中へ流れるかまたは換気口102の中を流れる。
【0122】
注ぎ口を上にしてベッセル本体1がひっくり返って横になった場合、穴86は液位225cよりも高い位置にあるので、液体はベッセル本体1からこぼれることはない。加熱された水の過剰圧力に起因して穴86の中に入った水は、始めは蓋8内に収容され、そのレベルが蒸気管70より高くなったときのみ蓋8から出ていく。
【0123】
注ぎ口を下にしてベッセル本体1がひっくり返って横になった場合、水は、穴86から出て中空のモールド成型品100の中へ流れ込むが、流出口102が液位225cよりも上方にあるのでモールド成型品内に保持されることになる。
【0124】
前の実施形態と同様、中空のチューブ100は、ベッセル本体がひっくり返ってベッセル内の水が平衡状態に達する間の初期段階において水の流れを制限するバッフルまたは他の手段を組み入れてもよい。
【0125】
傾斜位置での水位が開いた換気口よりも下方にあることに依存するすべての実施形態では、電気製品内の最大液位を換気口の位置に適合させるように調整する必要がある。
【0126】
使用者がトリガー99を引くことにより操作部75を操作すると、穴86は、蓋部屋71向けて開かれ、液体を注ぎ口7から外へ注ぐことを可能とする。
【0127】
図13g〜図13jには、閉鎖位置、注ぎ位置、充填位置、閉鎖途中位置にある蓋機構が例示されている。
【0128】
蓋8は、ベッセル本体1に回転可能にマウントされ、蓋8を開放位置に向けて付勢するバネ106と、操作部75と接触する部分109とを含んでいる。
【0129】
操作部75は、2つの支持部を含んでおり、第一の支持部は、操作部75から上方に向かって延びて隆起した淵115であり、第二の支持部は、ハンドル9から外側に延びる淵107である。操作部75は少なくとも3つの位置を有している。図13gに例示されているような第一の位置では、蓋8は、操作部115の上側部によって閉じられた状態で保持されている。図13hに例示されているような第二の位置では、液体を注ぎ口7からベッセル1の外へ注ぐことを可能にする十分なギャップがあるように、蓋が淵107によって部分的に開かれた状態で保持されている。13iに例示されているような第三の位置では、操作部75が完全に引き出され、また、蓋8は、たとえばベッセル本体を再充填のためまたはベッセル本体を急速に空にするために完全に開くことができる。
【0130】
操作部75は、2つのトリガーのうちのいずれか一方により操作することができる。図示されているように、第一のトリガー108は、操作部75に直接取り付けられてもよく、第一の位置から、第二の位置および第三の位置まで後ろの方に向かって引き戻すことができる。操作部75は、それが開放されたときに第一の位置へ自動的に戻るようにバネにより付勢されていてもよい。
【0131】
第二のトリガー99は、ハンドル9の中に設けられ、摺動可能に操作部75へ取り付けられてもよい。トリガー99は、操作部75を第一の位置から第二の位置まで引くことができるが、第三の位置への移動はボス117によって防止されるように構成されている。トリガー99は、ポイント118を中心として回転し、解除されたときに、自動的に第一の位置へ戻るようにバネにより付勢されていてもよい。
【0132】
このような2つのトリガー構成により、使用者がハンドルを把持しているときに誤って蓋が完全に開いてしまうことがないことが担保される。
【0133】
操作部75は、蓋を完全開放位置から手動で閉じるとき、操作部75が後ろの方に向かって押されるように、蓋の部分109に対して作用する傾斜部113を組み込んでいる。次いで、蓋を、操作部75の第一の位置で完全に閉じ、ラッチをかけることができる。
【0134】
操作部75は、第二の位置と第一の位置と間に蓋の部分109を押すように作用することに加えて、蓋を注ぎ位置から閉鎖位置まで閉じる補助をするように作用する第二の傾斜部114を備えている。有利なことには、結合されたバネ付勢手段155が蓋8の下方向きのモーメントよりも大きいので、使用者が第二の位置から操作部75を開放した後蓋8は自動的に閉じることになる。
【0135】
蓋8は、ベッセル本体1との間をシールすることによりベッセル本体がひっくり返った場合でもベッセル本体からの水漏れを防止する環状の弾力性シール110を備えている。他の実施形態では、シール手段をさらに支援するために、ベッセル本体1または蓋8のうちの一方または両方に淵が設けられてもよい。
【0136】
例示されているように、蓋部屋71および蒸気部屋116から操作部を分離するために、部分109が、乾燥部屋119内の蒸気部屋116の一方の側面に位置していてもよい。さらなる実施形態では、図示されていないが、操作部は、蓋部屋71の内部部分と直接接触してもよく、この場合、なんらかのシール手段、たとえばグロメットなどが漏洩を防止するために操作部75のまわりに設けられてもよい。
【0137】
これに加えて、図13g〜図13jには、上述の図12i〜図12pに例示されているような圧力逃がし手段600(点線で概略的に示されている)を備えた蓋8が例示されている。圧力逃がし手段600は、蓋8の部屋71内に設けられ、換気手段155と連通し、蒸気部屋116を通じて蒸気管70とも連通している。
【0138】
他の実施形態では、前述の圧力逃がしシステムのうちのいずれが組み込まれてもよい。
【0139】
図13kには、使用者が蓋8を開かずに直観的にベッセル本体を充填することができる蓋8のさらなる実施形態が示されている。
【0140】
この実施形態は、図12wおよび図12xに例示されている圧力逃がし手段の変形例を備えている。この変形例では、ベッセル本体1を充填するための換気口と穴とを組み合わせたものとして用いることができるように、圧力逃がし手段の前側の穴86が拡大されている。
【0141】
使用者は、蓋が閉まっている場合、蓋8に設けられている穴155を通じてベッセル本体1を満たすことができる。液体が導管641を通じて穴92の方に向けて導かれるように、蓋8の基部66は傾けられている。蓋8の後側と蒸気部屋116との間の穴92は、ベッセル1が満たされているときに液体が蒸気部屋116の中に入っていかないように、蓋の基部66の上方に設けられている。
【0142】
図13lは、図13kに示されている実施形態を示す平面図である。導管641および注ぎ口7に最も近い穴86は、前述の実施形態における導管641および対応する穴86と比べて相当大きくなっている。導管641および導管642は、ベッセル1が横に傾いた場合にいずれかが換気口として働くように、前述のように配置される。穴86、92は円形状であるものとして例示されているが、これらの穴がベッセルの外縁により近い位置に設けられるようにその形状を最適化することができる。さらに、導管641および642はバッフルをさらに備えてもよい。これらのバッフルは、電気製品が横たわっているときに水の流れを制限するように導管の側面の上側および部分的に側面に沿って延設されているものの、ベッセル本体1が直立しているときに充填する際に蓋66の基部の障害とならないように構成されている。
【0143】
たとえば図13mに例示されているようなバッフル647は、電気製品が直立しているときには減圧手段および液体の流れを妨げず、ベッセル本体1が横に傾斜しているときには乱流および静止液体が穴86および92の中へ入って行かないように、穴86および92の濡れ面側に設けられてもよい。図13nから明らかなように、記載のバッフル647が導入された場合、静止水225aおよび225bの液位を著しく高くすることができる。
【0144】
蓋の穴155は、ベッセル本体が傾斜位置にあるときに水が蓋から出て行くのを制限しうるスカート120または他のバッフル手段を備えていてもよい。
【0145】
この実施形態には、必要ならば、図13gおよび図13jに例示されているような前述の注ぎ用の操作機構、または蓋を完全に開くための操作機構が設けられてもよい。
【0146】
さらなる実施形態では、操作機構は1つのトリガーのみを備えており、また、前述のように、このトリガーは、蓋を含む電気製品のいかなる適切な部分に位置していてもよい。
【0147】
さらなる実施形態では、たとえば蓋8の前部または側部などの第一の位置および第二の位置の各々について1を超えるラッチ手段が存在する場合もある。
【0148】
さらなる実施形態では、操作部および/または機構および/またはトリガーおよび/またはラッチ手段のうちのいずれが蓋8の中に設けられてもよい。
【0149】
図示されているように、蓋75は、ベッセルの中心の近くに支点を有しているが、開放手段、閉鎖手段およびラッチ手段は、蓋8の後部の近くにヒンジまたは支点が位置するように変更されてもよい。
【0150】
さらなる実施形態では、蓋は付勢力により閉じられるようになっていてもよく、また、使用者は、注ぎのために手動で十分に蓋8を開けることが可能となっており、この場合、ランプ(斜面)など(図示せず)を蓋8に設けることによりそれに操作部75が押しつけられたときに蓋8が開くようになっていてもよい。
【0151】
図14a〜図14dには、穴86が、液体および蒸気の両方のための流出口として働き、図12lおよび図12mのものと類似する弁構成を備えている、本発明のさらなる実施形態が示されている。この実施形態では、注ぎを可能とするにあたって、使用者の操作は必要とされない。その代わり、弁座は、蓋下側弁壁104の注ぎ口側の近くに位置する内側突出部103を備えている。内側突出部103は、ベッセル本体1が注ぐために前方に向けて傾けられたとき円錐形状の弁部材98が上方に向けて摺動して穴86を閉じるのを防ぐようになっている。しかしながら、ベッセル本体1が急に前方に向けて傾けられた場合、弁部材98は、内側突出部103を飛び越え、蓋上側シール面82との間をシールする。ベッセル本体1が側面方向にまたは後方に傾けられた場合、弁部材98は内側突出部103とは係合せず、蓋上側シール面82との間をシールすることにより、穴86を閉じる。蓋下側弁の壁104の上端部には、1つ以上の換気用スロット87が設けられている。この1つ以上の換気用スロット87は、弁部材98がその静止位置、すなわち蓋下側弁壁104の底部の近くにあるとき、容器5の換気を可能とする。断熱性を向上させるため、注ぎ口7は、ベッセル本体1が注ぎのために前方に傾けられたときに開く注ぎ口用フラップ(図示せず)を備えていてもよい。それに加えて、注ぎ口用フラップは、注ぎ口7を通じた充填を可能とするために内側に向けて開くようになっていてもよい。
【0152】
図14e〜図14gには弁構成の他の実施形態が示されている。この実施形態では、内側突出部が、壁104の下端部の近くに設けられ、弁部材98の下端部の近くの環状溝105と係合するようになっている。
【0153】
前述の流れ管理および換気構成の各々では、シールされる表面は、シリコーン化合物またはゴム化合物のごときシール材からなる局所的な部分を備えた表面または層を備えた表面のうちの一方または両方によりシール特性が改善されていてもよい。
【0154】
図15aは、他の実施形態にかかる蓋部屋71を含む蓋8を示す分解図である。蓋8は、内蓋を含む、蓋下側面66を貫通する穴86を有する蓋内側モールド成型品158と、注ぎ口(図示せず)と協動する側面の穴155と、注ぎ口用バッフルとして働く突出部156とを有している。蓋上側部157は、蓋内側モールド成型品158と、バッフル156とを覆う。
【0155】
蓋内側モールド成型品158内では、振り子159が、実質的に鉛直な軸線Y−Yを中心として回転可能にマウントされ、振り子支持体154によって支えられている。振り子159は、ベッセル本体1が直立しているまたは注ぎ口7の方に向けて前方に傾けられているとき、振り子159を中心に合わせるように、両側にあるそれぞれのバネ151によって作用を受けるようになっている。バネ151の力は振り子159と振り子支持体154との間のいかなる摩擦をも克服するのに十分であるため、振り子159は平衡状態におかれる。振り子159の中央凹部160により、ベッセル本体1が液体を注ぐために注ぎ口7に向けて傾けられると、当該液体は、穴86を通り、蓋部屋71の中へ流れ、その後、穴155を通り、注ぎ口7の中へと入っていくことが可能となる。
【0156】
傾斜位置にあるとき、振り子159が重力を受けて速やかに回転し、振り子159に加えられる液体の力に逆らうように働く補助をするよう、振り子159は、黄銅、ダイカスト、もしくはスペシャリストプラスチック(specialist plastic)の如き重い材料で製造されてもよいし、および/または、振り子159にさらなる重みを追加するようにしてもよい。
【0157】
たとえば振り子159がプラスチック、金属または他の弾性材料でモールド成型される他の実施形態では、振り子159は、振り子159のモールド成型品の一部としてバネ151を組み入れるようにしてもよい。バネ151はコイルバネであってもよい。他の実施形態では、振り子159が、小さな力には耐えるが、大きな力には素早く反応するように、バネ151は二つの安定状態を有するようになっていてもよい。
【0158】
前の実施形態と同様に、蓋8は、容器5を充填するためにヒンジで結合されてもよいし、もしくは取り外されてもよいし、また、液体加熱工程のために適切な位置で嵌合されてもよいし、もしくはロックされてもよい。
【0159】
図15bには注ぎ位置にある蓋8が示されている。ベッセル本体1が片側に向けてある小さな角度で傾いている場合、液体の力により、振り子159は穴86を中心として動作する。凹部160または穴86はこの効果を促進するような形状または寸法を有している。
【0160】
図15cに示されているように、蓋8を含むベッセル本体1がひっくり返ると、振り子159が回転し、その結果、中央凹部160は穴86と整列せず、振り子159の前部は蓋上側シール面82を覆いかつそれとの間をシールする。したがって、この実施形態では、振り子159は弁として働く。振り子159の重さは、矢印Xにより示されている、バネ151の上向きのバネ力を克服するのに十分である。振り子159の材料によっては、この効果を達成するために、さらなる錘(図示せず)を振り子159に追加することが必要となる場合もある。
【0161】
振り子159は、液体が注がれるときにその液体をろ過するために内蔵フィルタを前部の上方またはそのまわりに組み込んでもよい。フィルタまたは振り子159は洗浄のために簡単に取り外し可能となるように構成されていてもよい。
【0162】
ベッセル本体1が直立しているまたは注ぎ口7の方に向けて前方に傾けられているとき、バネ151の力が振り子159を平衡時における中心位置へと戻すのに十分な力となる。
【0163】
振り子159は、回転軸Y−Yと中央凹部160とを通る面に対して対称となっているので、ベッセル本体1がどちら側に倒れるかとは関係なく、穴86をシールするよう作用するようになっている。
【0164】
振り子159は、シール効果を強化するために、例えばスロットまたは溝を穴86の一方側にまたは両側に設けることによって、穴86に押し付けられるよう摺動可能に保持されるようになっていてもよい。
【0165】
図16aは、他の実施形態にかかる蓋部屋71を含む蓋8の分解図である。蓋アセンブリは、図15a〜図15cの実施形態において見られるような振り子159およびバネ151を備えている。この振り子159は円錐形状の弁98と協働するようになっている。円錐形状の弁98は、図12lおよび図12mに示されるものに類似しているものの、図9a〜図11cおよび図12i〜図12kの実施形態の操作部75と同じ様に、振り子159との相互作用によって注ぎ配置にあるときに閉じてしまうことが防止されているが、使用者の操作を必要とはしていない。
【0166】
振り子159の半径方向外側端は、中央凹部160を横切って低い位置で延設されるクロス部材161を備えている。円錐形状の弁98は、穴86を通って延びる上方突出部98aを備えている。ベッセル本体1が、図16cに示されているような注ぎ位置にあるとき、クロス部材161は上方突出部98aと隣接し、弁98が完全に持ち上げられるのを防止するので、液体は、穴86および中央凹部160を通って注ぎ口7の中に到達することができる。
【0167】
振り子159の半径方向外側端は、中央凹部160の両側に、隆起部162に至るランプ部163を備えている。図16dに示されているようにベッセル本体1がひっくり返ると、振り子159が回転し、その結果、隆起部162のうちのいずれかが弁98の上方に位置し、上方突出部98aを制限しないため、弁98は上方に移動して穴86をシールすることができるようになる。
【0168】
明らかなように、振り子159は、操作部75と同様に作用するものの、注ぎ時に弁98を制限する機能は使用者によってではなく自動的に実行される。この実施形態では、上方突出部98aが細いので液体はあまり制限されず、また、上方突出部98aはシール面を備えていない。しかしながら、図9a〜図11cおよび図12i〜12kに開示されている弁のうちのいずれかの弁が、使用者操作部75ではなく振り子159と相互作用するように変更されてもよい。
【0169】
図16a〜図16dの実施形態の変形例では、振り子支持体154は、平衡状態の位置の両側が隆起したカム面を形成し、その結果、振り子159が平衡位置に向かう方向とは反対側に向かって回転するにつれて振り子159と蓋下側面66との間の距離が増していくようになっていてもよい。この場合、振り子159の半径方向外側端が薄くなっていてもよい。図15および図16の実施形態は、蓋8を容器5の上に置いたとき、振り子159を中央位置に位置決めして穴86を開くことにより、容器5に蓋8を置くことにより引き起こされる圧力を逃がすようにする手段を蓋8内に備えていてもよい。しかしながら、場合によっては、ベッセル本体1がひっくり返っている間に電気製品に電力が供給される場合もあれば、または、使用者が再び電力が供給されるまで蓋8を取らないこともあるので、前述のようななんらかの形で換気または圧力を逃がすことが必要となるだろう。
【0170】
図17aおよび図17bには、図15および図16の実施形態に適用されうるさらなる換気構成が示されている。このさらなる換気構成では、振り子159が、たとえば注ぎ位置において穴86が開いているとき1つ以上の換気口を遮蔽し、また、穴86がシールされているとき、たとえばベッセル本体1が一方側に傾けられているとき1つ以上の換気口を開くようになっている。
【0171】
この実施形態では、蓋下側面66は、容器5に向かって開く2つの換気口165を有している。振り子159の延長部167は穴86が露出されているとき換気口165を覆うようになっている。しかしながら、ベッセル本体1がひっくり返えると、換気口165の一方または他方は振り子延長部167内の穴166のうちの対応する穴を通じて露出される。この構成は、ベッセル本体1が片側に傾斜しているとき、露出されている換気口165がベッセル本体1の中心面よりも高い位置にあるので、電気ポットに水を入れ過ぎた場合に、漏洩の危険性が減り、完全に回避することも可能となるという点において非常に有利である。図17aは、電気製品が傾けられている状態で、換気口165のうちの一つと換気口166のうちの一つとが一致することが示されており、他の実施形態では、振り子159によって両方の換気口165が覆われ、次いで、振り子が回転するにつれてそのうちのいずれかが完全に露出されるようになりうる。
【0172】
図18〜図20bには、振り子159が蓋下側面66の下方に吊り下げられているという点で図17aおよび図17bの実施形態とは異なるさらなる実施形態が示されている。このことは、ベッセル本体1がひっくり返えると、ベッセル本体1内の液体の圧力により振り子159が蓋基部66に押しつけられるように作用して液体シール機能を向上させるという点において有利である。さらなる副基部164を振り子159の下方に設けるようにしてもよい。副基部164は、蓋基部66との間で振り子159を支え、また、蓋アセンブリ150がベッセル本体1から取り除かれた場合にたとえばバネ151の如き機構を損傷から保護する。振り子159は、底面に小さな「ピップ」、すなわち突部を備え、副基部164に対する摩擦を減らすようになっていてもよい。それに代えて、振り子159または副基部164は、振り子159が移動限界に到達するまで振り子159が自由に回転することができるようにカム手段を備えていてもよい。副基部164は、沸騰液の上方において最小限のひずみで常時使用することができるステンレス鋼の如き材料で製造されてもよい。好ましくは、副基部164は、副基部66および振り子159の穴86、165および166に対応する穴171および172を有する。穴171にはメッシュまたはフィルタを有してもよい。
【0173】
また、この実施形態は、前述の実施形態に記載されているような蒸気通路モールド成型品100をさらに備えていてもよいし、また、前方部屋94と後方部屋95とが分割されるようにフラップ93またはモールド成型品(図示せず)をさらに備えていてもよい。
【0174】
蒸気通路モールド成型品100は、別個のモールド成型品として形成されてもよいし、および/または蓋内側モールド成型品158の一部、または、蓋カバーモールド成型品157の一部であってもよい。
【0175】
図19aおよび図19bには、本実施形態においてどのようにして注ぎ態様、換気態様、蒸気通路態様および圧力逃がし態様が実現されるのかが示されている。図20aおよび図20bはそれらに対応する一部切り取り等角図である。
【0176】
図19aには、加熱モードおよび注ぎモードにおける蓋アセンブリ150が例示されている(下から見た場合。副基部164が取り除かれている)。穴86の前部を制限しないように、振り子159が後退している。さらに、蓋基部66および振り子159の穴165および166は、この図に示されているような位置で一列に並んでいるので、ベッセル本体1が充填モードまたは注ぎモードにあるとき、蒸気通路モールド成型品100の後部への蒸気の流入を可能とし、また、容器5内での圧力の一定化をさらに可能とする。蒸気通路モールド成型品100が分割されている場合、穴165のうちの1つ以上は、蒸気通路モールド成型品100の後部の方の位置に設けられてもよい。
【0177】
図19bには、ベッセル本体1が横に寝かされているときの傾斜モードにある蓋アセンブリ150が例示されている(下から見た場合。副基部164が取り除かれている)。振り子159が回転して穴86を覆う。安全のために、振り子159は2つの圧力逃し弁170を備えているため、電気製品がどちら側に傾いたとしても、圧力逃し弁170のうちの1つは、穴86の後部よりも上方に位置するので、たとえばベッセル本体1がひっくり返った後も発熱体12が液体を継続して加熱し続けたとしても容器5を換気することができることが担保される。この実施形態では、圧力逃し弁170は自己シールダイアフラムとして例示されているが、既に記載されたものを含むいかなる圧力逃し弁が用いられてもよい。他の実施形態では、圧力逃し弁170を前述したように蓋基部66に直接設けることができる場合もある。その場合には、蓋の副基部164は対応する穴を必要とすることとなる。
【0178】
図21aおよび図21bには、単一のバネ151が振り子159に作用するさらなる実施形態が示されている。振り子159は、蓋底部モールド成型品291のボス153上に設けられる。バネ151の後部の一端には、側面が平坦な穴が組み入れられている。この側面が平坦な穴はボス153の端部の対応する平面上に載置される。バネ151は部位290においてねじれ部を備えているため、バネ15の前部の面は後部の面に対して角度が90度となっているので、この前部は、振り子内の対応するスロット286内に位置決めすることができる。それに代えて、バネ151が平坦な形状を有し、ボス153の中へ直立位置で挿入されるようになっていてもよい。
【0179】
振り子およびバネアセンブリは、ネジ297およびワッシャ285をボス153に対して締めつけることにより固定されていてもよい。電気ポットがひっくり返えると振り子159は自由にボス153を中心として回転することができ、また、電気ポットが直立位置に置かれると、振り子159はバネの付勢力によって中心位置へと戻される。スペーサ287は、任意選択的なものであり、振り子159とワッシャ285との間に組み入れられてもよい。蓋底部モールド成型品291内の穴86、165および293は、シールするための平坦な面を提供する隆起した縁を有している。穴86、165および293のまわりの隆起部は、これらの穴と穴との間の隆起部とともに、振り子159と蓋291との間の摩擦を下げる補助もしている。
【0180】
蓋カバー157、蓋内側モールド成型品158、蒸気ガイド100、蓋底部モールド成型品/振り子部分アセンブリおよび(任意選択部材である)副基部164からなる蓋アセンブリは、ネジ288または他の適切なクランプ手段を用いて締着されてもよい。モールド成型品の各々はたとえばスペーサボス282を備えて蓋アセンブリにさらなる完全性を実現させるようになっていてもよい。機能的プラスチック部品の各々は、個別のモールド成型品であってもよいし、または隣接するモールド成型品と一体化されてもよい。たとえば、蓋カバー157および蒸気ガイド100はすべて一つの成型品の一部であってもよい。組み立て中、蒸気モールド成型品100と蓋底部モールド成型品291との間にほぼ水密性のシールを実現し、このことにより、蓋アセンブリ内に1つ以上の隔離されたまたは分離された部屋294が形成されてもよい。蓋アセンブリをヒンジ支持部296へ取り付け、前述の実施形態と同様、任意選択部材であるシール64を含むアセンブリ全体を、任意の材料、たとえばプラスチック、ガラス、陶器またはステンレス鋼からなる適切なベッセル上に載置することができる。この実施形態では、注ぎ口(図示せず)はベッセル内に形成されているが、前述の他の実施形態と同様に、注ぎ口が、蓋アセンブリのモールド成型品のうちの一つのモールド成型品、たとえば副基部164の一部分として形成されてもよいし、またはそれに代えて、個別のモールド成型品もしくは部品として形成されて蓋アセンブリ中の適切な位置に締着されるようになっていてもよい。
【0181】
この実施形態は、蒸気および液体が管理される方法において前述の実施形態とは異なっている。
【0182】
図21bには、沸騰位置および注ぎ位置にある、副基部164を除去した蓋アセンブリを示す一部切り取り図である。振り子を中心の位置に来るようにすることによって液体を穴86から注ぐことを可能としている。蒸気通路モールド成型品100の中へ放出するように穴165および穴166が一直線上に並べられている。一直線上に並べられている穴165および穴166は、ある機構、たとえばパーティションモールド成型品295またはフラップ93(図示せず)によって分離されてもよい。このことにより、後側部95が蒸気を水蒸気センサーに移送するように機能し、また、注ぎ時、両方の組の穴がベッセル本体内の圧力の一定化を実現するように機能するようになる。モールド成型品295により、注ぎ口領域から後側部95の中への水の進入を最小限に抑えるよう完全なまたは部分的な分離が可能となる。後側部95の中に入った水は、次に、穴165を通ってベッセル本体の中へと放出される。また、後側部95は、この領域に入る水が蒸気管(図示せず)の中へと入らないように防止するさらなる構成を備えていてもよい。
【0183】
傾斜位置では、重み付きの振り子が、回転し、穴86、165および2つの穴293の下側の穴を覆うようになっている。電気ポットを充填し過ぎていないと仮定した場合、ベッセル本体が横たわっているとき、2つの穴293のうちの上側の穴は液位よりも上方に位置している。穴293から流れ出てくる水は分離領域294内に収容される。この分離領域は、電気製品がひっくり返る間または電気製品がひっくり返った直後に穴293を通って流出しうるさらなる沸騰水(沸騰後)および蒸気を収容するようにさらに作用する。分離領域294の中に入る水は、ベッセルが直立にされると、穴293を通ってベッセルの中へと放出される。
【0184】
任意選択部品である副基部164は、注ぎ時の換気用および圧力一定化用の穴171、172、292を備えており、また、ネジ取り付け用の穴284を備えてもよい。
【0185】
前述の実施形態と同様、蓋アセンブリはヒンジを備えていなくともよいし、さらに、すべての実施形態において、蓋アセンブリはベッセル本体の穴に適するような形状に適切に形成されうる。
【0186】
図15〜図21に記載の実施形態のさらなる構成として、バネ151はベッセル本体1が直立位置にあるとき中心線の一方側に向けて振り子159を付勢することにより、穴86を閉じ、より大きな熱効率を提供するように構成されていてもよい。図17に記載の実施形態では、容器5は換気口165のうちの1つを通じて換気される。ベッセル本体1が注ぎ口7の方に向けて前方に傾けられると、振り子159の重力がバネ151の付勢力に打ち勝つため、穴86を暴露し、それによって、液体を注ぐことが可能となる。
【0187】
他の実施形態では、回転する振り子159は、重力を受けて一方側から他方側に摺動し、かつ、バネ151によって中央平衡位置の方向に向けて付勢されている部材と置換される。この場合、摺動部材は、それが下方に向けて摺動するにつれて換気口165のうちの上側の換気口を暴露するようになっていてもよい。
【0188】
図21c〜図21gには、振り子159が実質的に水平な軸線を中心として回転するようになっている実施形態がさらに例示されている。振り子159は穴86の上方に位置するボス153から吊り下げられるようになっていてもよい。例示されているように、たとえば、ボス153は蓋上側部8の底面に設けられてもよいし、またはそれに代えて、振り子159と穴86との相対的な位置がうまく制御されることを担保するように、穴86と同一のモールド成型品に取り付けられているボスもしくはガントリーから吊り下げられるようにしてもよい。振り子159は、当該振り子が鉛直方向に向くと穴86を暴露する中央凹部160を備えていてもよい。ベッセル本体が一方側に傾くと、穴86は、振り子159の外縁部のうちのいずれか一方により閉じられる。鉛直振り子159、ならびに当該振り子159の揺動を制御および/または制限するために付け加えられるガイド154およびボス622により必要とされる運動に対応するために蓋8をより深いものとすることが必要となる場合もある。個別の圧力逃がし手段、一定化手段および換気口(前述のような)が蓋内に設けられてもよい。
【0189】
前述の振り子構成の各々では、シールされる面は、たとえばシリコーン化合物またはゴム化合物などからなるシール部材の局所的な部分を備える表面または層を備える表面のうちの一方または両方によりシール特性が向上されていてもよい。
【0190】
さらに、前述の実施形態の各々は、ベッセル本体1がひっくり返ったことを使用者に警告するアラームを備えていてもよい。最も単純な形式では、このアラームは、ベルの如き振り子159と機械的に協働するようになっていてもよい。それに代えて、このアラームは、流れ管理機構80またはチルトスイッチによって引き起こされ、かつ、充電式電池、コンデンサー、熱電対、または、好ましくはたとえば光電池のような「環境に優しい」電力源によって電力が供給される電子的なまたは電気機械的な警報システムであってもよい。
【0191】
それに代えてまたはそれに加えて、前述の実施形態の各々は、ベッセル本体1がひっくり返るとヒーター12および/または他の電動部品への電力を切断するたとえばチルトスイッチを備えていてもよい。
【0192】
振り子159などを有する実施形態およびその均等物の各々では、振り子159を閉鎖弁位置でロックする手段を設けてもよく、また、このロックは、使用者の操作によって、たとえば操作部75の操作によって解除されるようになっていてもよい。このように、ベッセル本体1がひっくり返った後元に戻されると、使用者がベッセル本体1を充填するまたはそれから注ぐ必要が生じるまで弁は安全に閉じたまま留まる。
【0193】
すべての実施形態では、蓋アセンブリ150、注ぎ口7および流れ管理手段80、159の関係により、液体が沸騰したときに注ぎ口7から液体が吹き出るのを防止する補助がされ、このことにより、ベッセル本体1の高さの縮小を実現させることができる。
【0194】
他の実施形態では、流れ管理手段80は、注ぎ口内の位置に設けられ、ベッセル本体1の全高を縮小する補助をするようになっていてもよい。
【0195】
さらなる実施形態では、ベッセル1は、ベッセル1がひっくり返ったときに注ぎ口7が常に直立位置にくるように設計されてもよい。
【0196】
前述の流れ管理手段および圧力逃がし手段のうちのいずれが独立した部品として電気製品メーカーに提供され、組み立て工程の一部として電気製品に固定されてもよい。
【0197】
図示されていないが、さらなる実施形態では、流れ管理手段および圧力逃がし手段に、ネジ山、フランジ、バイオネット金具などを設けることにより、電気製品メーカーがそれらを容易にベッセルに取り付けることができるようにしてもよい。さらなる実施形態では、流れ管理手段および圧力逃がし手段をベッセルの他の機能部品の一部、たとえば注ぎ口、蓋、操作部、ハンドルまたは蒸気コントロールの一部として電気製品メーカーに提供するようにしてもよい。
【0198】
さらなる実施形態では、流れ管理手段および圧力逃がし手段にバイメタルまたは他の操作部を備えさせることにより、その機能が温度に依存するようにしてもよい。
【0199】
さらなる実施形態では、電気製品の他の部品、たとえばハンドル、副基部、または外壁と内壁との間の空隙が、さもなくば注ぎ口から放出されてしまう液体または蒸気のための「バッファー」領域または「オーバーフロー」領域として用いられるようになっていてもよい。
【0200】
前述の圧力逃がしおよび圧力一定化システムの各々では、傾斜位置中に部屋に入った水はベッセル1が直立位置に戻るとベッセル1の中へ戻ってくるように、流入口92がアセンブリの最下部の位置に設けられるようになっていてもよい。
【0201】
すべての場合において、ダイヤグラムは、概略的なものであって、たとえば換気口、穴、流入口および流出口のサイズおよび寸法は、電気製品の必要に応じて決定されることが必要である。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図8d】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図9d】
【図9e】
【図10a】
【図10b】
【図10c】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図12a】
【図12b】
【図12c】
【図12d】
【図12e】
【図12f】
【図12g】
【図12h】
【図12i】
【図12j】
【図12k】
【図12l】
【図12m】
【図12n】
【図12o】
【図12p】
【図12q】
【図12r】
【図12s】
【図12t】
【図12u】
【図12v】
【図12w】
【図12x】
【図12y】
【図12z】
【図13a】
【図13b】
【図13c】
【図13d】
【図13e】
【図13f】
【図13g】
【図13h】
【図13i】
【図13j】
【図13k】
【図13l】
【図13m】
【図13n】
【図14a】
【図14b】
【図14c】
【図14d】
【図14e】
【図14f】
【図14g】
【図15a】
【図15b】
【図15c】
【図16a】
【図16b】
【図16c】
【図16d】
【図17a】
【図17b】
【図18】
【図19a】
【図19b】
【図20a】
【図20b】
【図21a】
【図21b】
【図21c】
【図21d】
【図21e】
【図21f】
【図21g】
【図21h】
【図22a】
【図22b】
【図23】
【図24a】
【図24b】
【図25a】
【図25b】
【図25c】
【図25d】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29a】
【図29b】
【図29c】
【図29d】
【図30a】
【図30b】
【図30c】
【図30d】
【図31a】
【図31b】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38a】
【図38b】
【図38c】
【図39】
【図40a】
【図40b】
【図40c】
【図40d】
【図40e】
【図41】
【図42a】
【図42b】
【図42c】
【図43a】
【図43b】
【図44】
【図45a】
【図45b】
【図45c】
【図45d】
【図46】
【図47】
【図48a】
【図48b】
【図49a】
【図49b】
【図49c】
【図49d】
【図49e】
【図49f】
【図49g】
【図49h】
【図49i】
【図49j】
【図49k】
【図49l】
【図49m】
【図49n】
【図49o】
【図49p】
【図49q】
【図49r】
【図49s】
【図49t】
【図49u】
【図49v】
【図49w】
【図49x】
【図49y】
【図49z】
【図49za】
【図49zb】
【図49zc】
【図49zd】
【図50a】
【図50b】
【図50c】
【図50d】
【図51a】
【図51b】
【図51c】
【図51d】
【図51e】
【図51f】
【図51g】
【図51h】
【図51i】
【図51j】
【図51k】
【図51l】
【図51m】
【図51n】
【図51o】
【図51p】
【図52a】
【図52b】
【図52c】
【図52d】
【図52e】
【図52f】
【図52g】
【図52h】
【図53a】
【図53b】
【図53c】
【図53d】
【図21f】蓋が第二の傾斜位置にある状態の、鉛直方向に沿ってマウントされた蓋の振り子を示す一部切り取り概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下の記載では、異なる実施形態において同様の機能を有する部品には同じ参照番号が付与されている。図面は概略的なものであり、とくに明記されていない限り、図面から寸法および角度を正確に求めることはできない。
光学的結合手段を備えたコードレス電気製品
図1には、本発明の実施形態を実現しうる電気製品の一例として、電子制御を備えた電気ポットが概略的に示されている。この例では、電気ポットは、コードレス電気ポットであり、ベッセル本体1と、電源台2とを含んでいる。ベッセル本体1および電源台2は、それぞれ、本体用のコードレスコネクタ3および電源台用のコードレスコネクタ4を有している。これらは、たとえば国際公開公報第WO−A−94/06285号に記載されかつオッターコントロールズ株式会社からCS4/CS7(電源台ソケット)およびCP7またはCP8(電気製品プラグ)という呼び名で販売されているタイプの360oコードレスコネクタである。電源台は、電力用のコンセント(図示せず)へ電源コード13を用いて連結可能となっている。
【0034】
ベッセル本体1は、加熱される液体を収容するための容器5と、基部6とを含んでおり、基部6は、副基部19を有し、この副基部19がベッセル本体1の底面を形成している。ベッセル本体1は、電気ポットとして形成されており、注ぎ口7と、蓋8と、ハンドル9とを有している。液体は発熱プレート12によって加熱されるようになっており、発熱プレート12は、容器5の基部を形成し、下面側に(すなわち、基部6の方向に面する側に)発熱体を有している。この発熱体は、ベッセル本体側コードレスコネクタ3から電力を受けるように接続される。発熱プレート12は、国際公開公報第WO−A−99/17645号に記載のようなEasifix(登録商標)を用いてベッセル本体の中に組み込まれるようになっていてもよい。発熱体は、被膜された素子および/または厚膜素子を含みうる。好ましくは、発熱プレートはステンレス鋼から構成される。さらに好ましくは、発熱プレートは、実質的に国際公開公報第WO−A−06/83162号に記載されているようなものである。しかしながら、本発明の少なくとも一部の実施形態は、発熱プレートではなく、浸漬型の発熱体を有している液体加熱用のベッセルに適用可能である。
安全な電気ポット
電気製品がひっくり返ってしまったときに沸騰した液体が使用者にかからないよう、電気ポットおよび他の湯沸かし器には安全機構を設ける必要がある。
【0035】
電気製品を安全にする対策が逆効果となる場合が非常に多い。たとえば、水がこぼれるのを防止することにより圧力が過剰に上昇してしまうという問題が生じる場合もある。電気製品がひっくり返ってしまった後もヒーターに電力が供給され続けられる場合である。電気製品を安全にする対策が電気製品の簡便な使用を困難にしてしまう場合も非常に多い。
【0036】
図面を参照して特定される下記の実施形態の各々は、上述の問題に対する解決策を提供するために他の実施形態から独立して用いられてもよいしまたは組み合わせて用いられてもよい。本発明者らは、以下のような組み合わせられた実施形態を例示している。
【0037】
図9〜図11には、注ぎ段階で使用者の操作を必要とする、注ぎ口の方に向いて設けられるこぼれ防止機構が示されている。
【0038】
図12〜図14には、圧力逃がしおよび圧力一定化手段を提供する、一体化されたおよび/またはさらなる機構を備えた使用者操作可能なこぼれ防止機構が示されている。これらのさらなる機構を、その他の実施形態のうちのいずれかに用いてもよいし、また、従来のこぼれ防止機構の改善のために用いてもよい。
【0039】
図15には、充填段階または注ぎ段階のいずれにおいても使用者の操作を必ずしも必要としない、注ぎ口の近くに設けられるこぼれ防止機構が示されている。
【0040】
図15〜図21には、充填段階または注ぎ段階のいずれにおいても使用者の操作を必要としえない、注ぎ口の近く設けられる振り子駆動式のこぼれ防止機構が例示されている。
【0041】
実施形態の全範囲およびそれらの組み合わせが広範囲に及ぶものであることは明白である。しかしながら、本明細書の記載を読んだ当業者は、本発明の範囲内において、これらの実施形態の解決策を組み合わせることにより個々の電気製品の特定の問題に対処することができると考えられる。
【0042】
たとえば、図9a〜図9eには、二重壁コードレス電気ポットにおいて、本発明のある実施形態にかかるこぼれ防止安全機構が例示されている。しかしながら、かかるこぼれ防止安全機構は、一重壁電気ポットおよび他の液体加熱用の電気製品にも適用可能である。こぼれ防止安全機構のすべての実施形態は、取り外し可能なまたは開放可能な蓋アセンブリの範囲内において示されているが、取り外し可能な蓋のないポータブル型の液体加熱用の電気製品にも同様に適用可能である。これらの実施形態のさらなる態様は、蓋アセンブリの代わりにまたは蓋アセンブリと共に、ベッセルの一部として組み込まれてもよい。
【0043】
実施形態によっては、蓋アセンブリが完全な注ぎ機構を備えることによって、蓋アセンブリが設けられるベッセル本体1が注ぎ口を必要としなくなり、蓋とベッセル本体との間のシールが向上されるという効果を奏するようになっている場合もある。
【0044】
図9aに示されているように、蓋8は蓋部屋71を含んでおり、その床は、容器シール63によって容器5の上端との間を取り外し可能にシールされる蓋下側面66を含んでいる。蓋部屋71を備えている蓋8は、容器5の充填または清掃を可能とするために容器5から取り外すことができる。これに代えてまたはこれに加えて、蓋8はヒンジによりベッセル本体1に取り付けられてもよい。
【0045】
蓋部屋71は、容器5からの液体のための通路として働き、容器5からの液体は、蓋下側面66の穴86を通って蓋部屋71の中に入る。次いで、液体は、蓋部屋71から注ぎ口7を通って注ぎ出されうる。任意選択的に、蓋部屋71と注ぎ口7との間に注ぎ口フィルタ65が設けられてもよい。また、任意選択的に、容器5が注ぎ口7から充填されるようになっていてもよい。また任意選択的に、熱保持を支援するために注ぎ口7内にフラップ(図示せず)が設けられてもよい。当該フラップは、充填および注ぎを可能とするために内側および外側に向かって開くようになっていてもよい。また、当該フラップは、使用者に操作される操作部75によって開かれるように構成されてもよい。
【0046】
蓋部屋71は、容器5からの蒸気のための通路としても働く。容器5内で液体が沸騰すると、蒸気は穴86を通り抜けて蓋部屋71の中に達する。次いで、当該蒸気の一部は、蓋部屋71から蒸気管70を通り抜け、蒸気を検出すると加熱を停止するかまたは加熱を弱めるように構成されている蒸気感知コントロール60に達する。この場合、蒸気感知コントロール60は統合コードレスコネクタコントロールである。蒸気感知コントロール60は、容器5内の液体が沸騰すると蒸気が蒸気管70から導かれて行く熱感応式アクチュエータ、たとえばスナップ動作式バイメタルアクチュエータを備えていてもよい。蒸気管70の外面は、取り外し可能に、シール67によって蓋下側面66との間をシールされている。
【0047】
これに代えて、蒸気感知コントロール60は、蓋部屋71内にまたは蓋部屋71と隣接してマウントされてもよい。この場合、蒸気管70は必要ではなくなるが、蒸気感知コントロール60からヒーターまでなんらかの方法で接続することが必要となる。
【0048】
この特定の実施形態では、ベッセル本体1は、内壁62から間隔をおいて設けられている外壁61を有しており、内壁62は容器5の壁を形成している。たとえば本出願者に付与された特許である英国特許第GB−B−2365752号および中国特許第CN−C−1239116号に記載されかつ請求されているように、蒸気管70は、内壁62と外壁61との間の空間を通るようになっている。
【0049】
ベッセル本体1がひっくり返ってしまった場合に容器5から液体がこぼれてしまうのを防止するために、穴86を通る液体の流れは少なくとも1つの流れ管理手段80によって調節されている。以下には、さらなる流れ管理手段が記載されている。
【0050】
流れ管理手段80には、圧力逃がし手段と圧力一定化手段とが両方とも組み込まれている。場合によっては、圧力逃がし手段と圧力一定化手段とが流れ管理手段に単独で設けられている場合もある。
【0051】
この実施形態および他の実施形態では、流れ管理手段80は、使用者操作可能操作部75により操作された場合、容器5から液体を逃がしてやることを可能とするようになっている。この実施形態では、操作部75は、操作部が流れ管理手段80の機能を妨げないよう、通常は、流れ管理手段80の方向とは反対側に向けて付勢されている。さらなる実施形態では、操作部75は、通常は、流れ管理手段80の方向に向けて付勢されてもよく、また、さらなる実施形態では、操作部75は、流れ管理手段の一部を形成するようになっていてもよい。
【0052】
使用者操作可能操作部75は、ハンドル9に摺動可能にマウントされ、流れ管理手段80と係合するように使用者によって押圧される部分を提供するようにハンドル9を越えて突出し、かつバネにより付勢されているプッシャーロッドであってもよい。これに代えて、操作部75の使用者操作可能部分は、引かれることによって操作部75の他の部分を流れ管理手段と係合させるように構成されていてもよい。使用者操作可能部分は1つ以上の歯車によって係合部分に接続されてもよい。使用者操作可能部分は、トリガーまたは握り操作部を含んでもよく、また、ハンドルと一体化されるようになっていてもよい。他の実施形態では、使用者操作部は、蓋の内部に設けられるようになっていてもよいし、蓋とハンドルとの間に設けられるようになっていてもよいし、または、いかなる位置の組み合わせであってもよい。
【0053】
実施形態によっては、2つの操作手段があってもよい。たとえば、電気製品に電力が供給されるときには流れ管理手段が自動的に閉じ、そして、電気製品から液体が注がれるときには、使用者の操作によって流れ管理手段が開かれるよう、1つの操作手段は、流れ管理手段を閉じるためのものであり、また、1つの操作手段は流れ管理手段を開くためのものである。
【0054】
他の実施形態では、注ぎ用開口部が閉じている場合にのみ電源スイッチを始動することができるよう、流れ管理手段は電源スイッチと連動式になっていてもよい。
【0055】
さらなる実施形態では、ベッセルが水平面、たとえ調理台またはコードレス基部の上に置かれる場合には常に流れ管理手段が閉じ、そして、注ぐ場合には使用者によって機械的に再度開かれなければならないように、流れ管理手段が、ベッセルの側面または底面にある操作部と関連付けされるようになっていてもよい。
【0056】
さらなる実施形態では、流れ管理手段用の操作部は、英国特許公開公報第GB−B−2363056号に記載されているようなヒンジにより取り付けられるハンドルであってもよい。このとき、たとえば流れ管理手段は、ハンドルが折り畳まれる場合には閉じ、ハンドルが広げられる場合には開かれる。使用者がベッセルを基部に戻すとハンドルが折り畳まれた位置へ戻るように、ハンドルは弾力的にマウントされるようになっていてもよい。
【0057】
流れ管理手段80の第一の実施形態は、図9b〜図9eに例示されている。図9b〜図9eには、シール64による外壁61と内壁62との間のシール構成、およびシール63による蓋下側面66と内壁62との間のシール構成が示されている。
【0058】
穴86の上側には、蓋上側シール面82が弁座を形成して設けられており、この弁座には、弁部材81の上側部89が着座する。上側部89は、蓋上側シール面82との間をシールする弁上側シール面83を有している。蓋上側シール面82および弁上側シール面83の両方は、上方に向かって広がる錐台形状であり、好ましくは弁部材81が穴86の中で任意の方位角を有するよう位置決めされうるような円錐台形状である。しかしながら、角錐台形状のような他の形状が用いられてもよい。蓋下側シール面82は、弁上側シール面83より大きな角度で上方に向かって広がっているので、図9bの静止位置では、蓋下側面66が水平であるとき、蓋上側シール面82は、弁上側シール面83との間を、その下端部でのみシールする。
【0059】
図9bの静止位置では、穴86は、当該穴86からの熱損失を防止するために実質的に閉じられた状態にある。任意選択的に、容器5と蓋部屋71との間の圧力の均一化を可能とするために、蓋上側シール面82と床66との間に1つ以上の通風穴87を設けるようにしてもよい。
【0060】
弁部材81は、後述されるように、穴86の下方に向かって延びているとともに、蓋下側シール面84との間をシールするための上方に面する弁下側シール面85を有している下側部90を備えている。この実施形態の下側部90は、逆さまになった浅いカップまたはドームの形態を有している。
【0061】
図9cの沸騰位置では、弁上側シール面83が蓋上側シール面82から離れるように移動することにより、蒸気が蓋部屋71の中へ逃げ込み、そこから、注ぎ口7または蒸気管70を通って流出することができるようにするよう、容器5内の液体の蒸気圧によって弁部材81が持ち上げられるようになっている。この蒸気圧は、蓋下側シール面84を弁下側シール面85と接触させるには不十分である。
【0062】
図9dの注ぎ位置では、弁上側部89は、蓋上側シール面82上の接点Aを中心として回転しがちである。しかしながら、使用者は、弁上側シール面83および弁下側シール面85がそれぞれ蓋上側シール面82および蓋下側シール面84との間を一方側でのみシールし、その反対側では液体が弁部材81を通るための三日月形状の通路を残すよう、弁上側部89の移動を制限するように操作部75を操作する。
【0063】
図9eに示されているように、ベッセル本体1が操作部75の操作なしに傾けられた場合、弁部材81は、ベッセル本体1の傾斜側で、弁上側シール面83が蓋上側シール面82にぴったりと接するように回転する。このことにより、弁下側シール面85が蓋下側シール面84と完全に接触し、穴86をシールし、この穴86から液体がこぼれ出るのを防止する。換言すれば、弁部材81は、傾けられた場合に弁を閉じるオーバーセンター機構として働く。
【0064】
弁下側部90は、穴86よりも幅が広いが、蒸気圧が十分に上昇した場合に穴86を通り抜けるのに十分に柔らかいため、圧力を逃がすことが可能となる。このように、弁部材81は安全弁として働く。しかしながら、代替えの機構または追加の機構として、別個の圧力逃し弁が蓋下側面66に設けて容器5の過剰な圧力を蓋部屋71の中へ逃がすようになっていてもよい。いずれの場合であっても、他のいくつかの実施形態でも、たとえば蓋領域内のバッフルまたはシュラウドによって圧力逃し弁から排出される蒸気および/または液体を注ぎ口7の方向とは反対側に向けて導くためのなんらかの手段を提供することが有利なことである場合もあるし、そうでなければ、圧力逃し弁が、蒸気管70を通じてコントロール60へ排出するようになっていてもよい。排出される蒸気および/または液体を導く手段は、弁部材81の一部を形成するようになっていてもよいし、また、弁下側部90および/または穴86の形状により形成されるようになっていてもよい。
【0065】
弁下側部90が穴86を通り抜けさせることができるということは、弁部材81を容易に取り付けおよび交換することができるということでもある。これに代えて、組み立てを容易にするために、弁上側部89と弁下側部90とが穴86の両側から嵌め合わされるまたはカチッと結合されるようになっていてもよい。
【0066】
特定の実施形態では、本出願人の特許が付与されている特許第GB−B−2332095号に記載されクレームされているように、穴86は注ぎ口7の近くに設けられ、蒸気管70は、注ぎ口7から離れて設けられ、蓋部屋71の上側部に向けて開口されている。したがって、穴86から漏洩するいかなる液体であっても、ベッセル本体1がひっくり返えされ、ハンドル9または注ぎ口7に寄りかかりながら横たわっているような場合、蒸気管70の中に入っていくことはない。というのは、蒸気管70または注ぎ口7のいずれかもがベッセル本体の中心を通る水平面の上にあるからである。さらに、中空の蓋アセンブリ150は、液位が蒸気管70に達する前に、穴86通って入る液体のためのさらなる容器として働くようになっていてもよい。
【0067】
図10a〜図10cには、流れ管理手段80の他の実施形態が示されている。この実施形態では、弁上側部89がピボット継手88によって穴86を通じて弁下側部90に接続される。ピボット継手88は、弁上側部89が任意の水平軸を中心として回転することができるようにする自在継手であることが好ましい。弁下側部89は、ガイド91によって蓋下側面66に対して垂直に移動するように制限されている。
【0068】
図10aに示されているように、沸騰位置では、図10cの実施形態のように、弁上側シール面83は、蓋上側シール面82から離れるように移動し、蒸気が蓋部屋71の中へ流れ込むことができるようにする。
【0069】
図10bの注ぎ位置では、弁上側部89は、操作部75側とは反対側にある、蓋上側シール面82の接点Bを中心として回転するようになっている。しかしながら、操作部75は、弁上側部89が上方に向かって移動することにより弁下側部90を持ち上げることができる範囲を制限することで、液体が穴86を通って弁下側部90および弁上側部89の回りを流れることができる。
【0070】
図10cの傾斜位置では、弁上側部89は操作部75によって制限されない。操作部75は、操作されていないので、弁部材91から離れるように付勢されている。弁上側部89が、接点Bを中心としてさらに回転して弁下側部90を持ち上げることにより、弁下側シール面85が蓋下側シール面84との間をシールし、穴86を閉じることができるので、液体の漏洩が防止される。
【0071】
図11a〜図11cには、流れ管理手段80の他の実施形態が示されている。図11a、図11bおよび図11cには、沸騰位置、注ぎ位置および傾斜位置がそれぞれ例示されている。この実施形態では、弁上側部89および弁下側部90は球状であるが、弁部材91は、図8a〜図8eの実施形態の機能と同様に機能する。図10a〜図10cの実施形態において例示されているような自在継手によって弁上側部89および弁下側部90が結合されてもよい。
【0072】
図12aには他の実施形態が示されており、この実施形態では、図12bにさらに詳細に示されているように、蓋部屋71が、前方部屋94と後方部屋95とに分離されてもよく、および/または、図12c〜図12zに示されているような換気構成を備えていてもよい。
【0073】
図12bにさらに詳細に示されているように、前方部屋94は穴86を備えており、当該穴は、この実施形態では、容器5から液体を分注するために用いられる。蒸気および/または空気は、蓋下側面66の蒸気換気口92を通って後方部屋95の中へと放出される。前方部屋94は、可動フラップ93によって後方部屋95から断熱されており、可動フラップ93は、通常閉じているが、後方部屋95の蒸気からの圧力が十分な場合に開いて蒸気圧を前方部屋94の中へと逃がし、注ぎ口7から放出する。
【0074】
穴86は通常閉じており、充填および注ぎのために、使用者の操作によって開かれる必要がある。この実施形態は、フラップ93が後方部屋95の中に液体を入るのを防止する補助をするので、注ぎ口7からの充填に特に適している。他の実施形態では、前方部屋94と後方部屋95との間のパーティションが固定されるようになっていてもよい。その場合、後述されているような圧力逃がし手段は、蓋後方部屋と蓋前方部屋との間にある常設の換気口から排出する(逃がす)ようになっていてもよく、また、この換気口は、注ぎ口に近い位置で放出するように位置決めされてもよい。
【0075】
さらなる実施形態では、圧力逃し弁は、蒸気管70を通じてコントロール60へ排出する(逃がす)ようになっていてもよい。
【0076】
穴86は、操作部75によって通常閉じられており、この実施形態では、注ぎ口7の方に向けて付勢されている。トリガー99が使用者によって引かれると、操作部75がハンドル9の方に向かって引き戻され、穴86が開かれ、注ぎ口7を通じた注ぎまたは充填が可能となる。操作部75は、蓋下側面との間をシールするように、たとえば蓋下側面66内の1つ以上のスロットによって蓋部屋71内に摺動可能にマウントされるようになっていてもよい。ベッセル本体1がひっくり返る場合、操作部75が蓋下側面66との間をシールして液体の穴86からの漏洩が実質的に防止される。
【0077】
図12cおよび図12dの換気構成では、操作部75が引き戻されている場合でも、蒸気換気口92は常に開いた状態にある。したがって、蒸気換気口92は、液体が注ぎ出されるにつれて空気が容器5の中に入ってくることを可能とすることにより、容器5内の圧力を一定に保つようになっている。ベッセル本体1がひっくり返えると、液体が容器5から後方部屋95の中へ漏洩し、その一部がこの後方部屋95の中に保持されうる。液体が蒸気管70の中に入った場合には、この液体を、たとえば本出願人に付与されている英国特許第GB−B−2318452号およびそれに対応する中国特許第CN−C−1149046号に開示されているような蒸気部屋を用いることによって水蒸気センサーから放出することができる。
【0078】
図12eおよび図12fに記載の他の換気構成では、蒸気換気口92は、穴シール96、たとえばシリコーン製のフラップを有している。この穴シール96は、容器5の内部からの蒸気圧を受けて開き、蒸気圧が下がるとシールするようになっている。ベッセル本体1がひっくり返った場合、穴シール96は蒸気換気口92から液体が漏洩しないようにする。また、穴シール96は、容器5の内部が冷えていくと、圧力を一定に保つために内側に向かって開き、注ぎ時における圧力の一定化を可能としうる。
【0079】
図12gおよび図12hに記載のさらに他の換気構成では、蒸気換気口92は穴フラップ97を有している。穴フラップ97は、容器5の内部からの蒸気圧を受けて開き、蒸気圧が下がるとシールするようになっている。穴フラップ97は、容器5の冷却時および注ぎ時における圧力の一定化を可能とするが、ベッセル本体1がひっくり返った場合の液体の漏洩の防止については部分的にのみ有効でありうる。
【0080】
図12i〜図12kに記載のさらに他の換気構成では、蒸気換気口92は、図11a〜図11cに記載の実施形態と同じ様に弁構成によって閉じられるようになっている。操作部75は、図12jに記載の後方に向かって引かれた位置にある場合、弁部材81の上昇を防止するので、弁下側部90が蓋下側シール面84との間を完全にシールしてしまうのを防止するようになっている。それに代えて、図10a〜図10cまたは図9b〜図9eに開示されているような弁構成が用いられてもよい。
【0081】
図12lおよび図12mに記載のさらに他の換気構成では、ベッセル本体1が水平位置にある場合、円錐形状の弁部材98が蓋下側シール面84に着座するようになっている。蒸気圧により、弁部材98は上方に向かって押し上げられ、蒸気換気口92から蒸気圧を逃がすようになっている。図12mに示されるようにベッセル本体が傾くと、弁部材98シールの上面は、蒸気換気口92をシールすることにより液体の漏洩を防止する。1つ以上の小さな永続的に開いた換気口を蒸気換気口92のまわりに設けることによりある程度永続的な換気を可能とするようにしてもよい。
【0082】
図12l〜図12zに記載のさらなる圧力逃がしおよび圧力一定化構成では、ベッセル本体1の少なくとも1つの換気口が常に開かれて注ぎ時における適切な圧力一定化を担保するようになっている。
【0083】
これらの実施形態では、圧力逃がしおよび一定化手段に対する干渉を回避するため、操作部75は、高くするか片側に位置決めすることが必要となる場合もある。
【0084】
図12n〜図12zには、全てのこぼれ防止手段と共に用いられうるさらなる圧力逃がしおよび圧力一定化手段が例示されている。これらの実施形態の各々は、ベッセル本体1の両側に間隔をおいて設けられる少なくとも2つの穴92を備えている。傾斜位置では、少なくとも1つの穴がベッセル本体1内の液位よりも上方に存在しており、一方、液位よりも下方に存在するどの穴92からであっても液体がベッセル本体1の外へ出ていくことが防止されているので、電気製品の向き(位置)に関わらず、空隙222から大気への永続的な換気口が設けられていることになる。
【0085】
図12nは、直立位置にあるアクチュエータアセンブリ600を示す一部切り取り概略等角図である。図12nでは、アクチュエータアセンブリ600は、蓋8の後方部屋95内に位置し、蓋下側面に固定されている。蓋8は、さらにベッセル本体1に固定されてもよいし、取り外し可能に固定されてもよい。
【0086】
他の実施形態では、アクチュエータアセンブリ600は、ベッセル本体に固定されてもよいしまたは取り外し可能に固定されていてもよい。
【0087】
アクチュエータアセンブリ600は、第一の流入口601と、第二の流入口602とを含んでおり、これらの第一の流入口601および第二の流入口602は、蓋下側面66に設けられている穴92を介してベッセル本体1の容器5と連通し、さらに、第一の流入口601と第二の流入口602との間にある部屋603とも連通している。図示されているように、第一の流入口601および第二の流入口602は、蓋8の後方部屋95の周縁に対向した位置に配置されている。
【0088】
部屋603はフロート弁604を備えている。このフロート弁604は、内側に向かって対向し、かつ中間部材607によって接続されている2つの弁605および606を含んでいる。この実施形態では、弁605および606は円錐台形状の弁である。ベッセル本体1が直立位置にある場合、フロート弁604の中間部材607は、第一の流入口601と第二の流入口602とが部屋603と連通することができるように部屋603内に置かれる。
【0089】
少なくとも2つの換気口608および609が、それらの流入口が部屋603と連通している状態で設けられている。第一の換気口608の流出口は、蒸気管70を通じて直接的または間接的に基部6(図示せず)内に位置する蒸気感応式制御スイッチ60と連通しており、また、第二の換気口609の流出口は、当該流出口がベッセル本体1の外部への換気口として機能するように直接的にまたは間接的にベッセル本体1の注ぎ口7の場所のある位置と連通している。他の実施形態では、蒸気感応式制御スイッチ60は、基部6から離れた位置、たとえばハンドル9内または蓋8内に設けられてもよい。
【0090】
ベッセル本体1が直立位置にある場合、ベッセル本体1の水が沸騰すると、蒸気が第一の流入口601、第二の流入口602および穴92を通じて部屋603の中に入り、2つの換気口608および609を通じて部屋603から出ていく。ベッセル本体が直立位置にある場合、2つの換気口608および換気口609は、沸騰水により生じる蒸気圧を逃がすために用いられる。水が所望の温度に達すると、蒸気は、第一の換気口608から出て、蒸気管70を通り抜ける。水が適切な温度に達すると、過剰な蒸気からの熱により、蒸気感応式制御スイッチ60が作動され、発熱プレート12へ供給されている電力が切断される。換気目的のために、過剰な蒸気は、第二の換気口609と直接的にまたは間接的に連通しているベッセル本体1のうちの注ぎ口7の近傍から出てくる。
【0091】
有利なことには、第一の換気口608は部屋603を通じて第二の換気口609と間接的に接続されており、このことにより、冷い空気が蒸気管70を通じて蒸気感応式制御スイッチ60上に引き込まれ、第二の換気口609を通じて部屋603から出ることができるようになる。この煙突効果は、流入口601、602、穴92、部屋603を通じてベッセル本体1から出る蒸気の熱によって強化されうる。
【0092】
図12oおよび図12pは、注ぎ口7が上方および下方を向いている、傾斜位置にある取り付けられた状態(in situ)のアクチュエータアセンブリ600を示す概略平面図である。図12oに示されているように、ベッセル本体1が片側に横たわっている状態にあるとき、第一の流入口601は、空隙222の内部にかつ最大液位高さ225よりも上方の位置にある。この傾斜位置では、水は第二の流入口602の中へ入り、フロート弁604を上方に向けて移動させる。第二の弁606は、部屋603のシール面612に隣接してシール面612との間をシールし、水が部屋603の中に入って、第一の換気口608および第二の換気口609から出ていくのを防止するようになっている。同時に、第一の弁605は、シール面611の方向とは反対側に向かって押し上げられて第一の流入口601が空隙222内の蒸気と連通することができるようにしている。ベッセル本体1が傾斜位置にある場合、蒸気が第一の流入口601および部屋603を通じて容器5から出ていくにつれて、蒸気圧が逃がされる。この蒸気は2つの換気口608および換気口609を通じて部屋603から出ていく。電力が電気製品に依然として供給されている場合には、過剰な蒸気は、蒸気感応式制御スイッチ60を作動させて、発熱プレート12への電力の供給を切断させる。
【0093】
図12pには、注ぎ口7が下方に向いた、傾斜位置にある取り付けられた状態(in situ)のアクチュエータアセンブリ600が例示されている。この場合、第一の弁605がシールし、第二の弁606が開いている状態にあることが理解できる。したがって、いかなる向きであっても、2つの弁605および弁606のうちの下側の方が閉じられており、2つの弁605および弁606のうちの上側の方が開いているので、1つのアセンブリ内において冗長性および安全性に関する要件が実現されていることになる。
【0094】
直立位置にしたときに弁アクチュエータ604が中立位置にまで戻らなかった場合には、第一の弁605または第二の弁606のうちの少なくとも一方および電気製品を安全に使用することが可能なので、アクチュエータアセンブリ600は、直立位置および傾斜位置の両方で冗長性および安全性に関する要件を実現することができる。
【0095】
図12qおよび図12rには、注ぎ口7が上方および下方に向いている、傾斜位置にある取り付けられた状態(in situ)のアクチュエータアセンブリ600のある実施形態を示す概略平面図が示されている。この実施形態では、弁605および606はボール弁である。前述の実施形態と同様に、傾斜位置では、弁605および606の下側の方がそれに対応する弁座611または612との間をシールし、各々のケースにおいて、蒸気は空隙222から2つの弁605および606のうちの上側の方を通して排出されるが、水は容器5の中に留まったままである。
【0096】
図12sには、前述のフロート弁の代わりに重み付きボール弁617が組み込まれているさらなる実施形態が示されている。ベッセル本体1が直立位置にあるとき、重み付きボール弁617は、部屋603の床の中央部内に設けられている凹部618に静止し、上部空間222内の蒸気を流入口601、602および換気口608、609を通して排出することができるようにする。ベッセル本体1が横に傾いているとき、重み付きボール弁617は凹部618から転がり出て、シール面612に静止し、図12uに示されているようなシールを形成する。ベッセル本体1が他方側に横たわった状態にあるとき、重み付きボール弁617は凹部から転がり出て、反対側のシール面611に静止し、シールを形成する。このような場合、蒸気は空隙222から換気口608および609を通して排出されるが、水は容器5内に留まったままである。典型的には、重み付きボール弁617は、たとえば金属製のボールベアリングであってもよいし、または、たとえばボールで操作されるコンピューターマウスなどに見られるプラスチック製のベアリング、ゴム製のベアリングもしくはゴムが被膜されたベアリングであってもよい。
【0097】
図12tには、ボール弁617が、上述のように機能する重み付き摺動式ブロック弁625と交換されるさらなる実施形態が示されている。
【0098】
ベッセル本体1が直立位置に戻されたあとブロック弁625を中央位置へ戻す補助をするために傾斜面626および627が設けられてもよい。
【0099】
他の実施形態では、電気製品を直立位置に置き直したとき、ボール弁617またはブロック弁625が閉鎖位置のうちの一つの閉鎖位置または他の閉鎖位置に留まり、正常使用時、残りの開いた穴92によってベッセル本体を換気するようになっていてもよい。
【0100】
さらなる実施形態では、換気口92が蓋8内の空隙と直接連通しうるように部屋603および導管601、602を取り除いてもよく、このことにより、蒸気管70および注ぎ口の領域内の換気口と連通する部屋が提供される。この場合、各換気口92について、個別のボール弁、フロート弁またはゲート弁が必要となる。
【0101】
図12uおよび図12vには、本発明のさらなる実施形態が示されている。この実施形態では、流入口92の各々の下方に、個別の弾力性のあるバネ付きゲート弁620が設けられている。ベッセル本体1が図12sに示されているような直立位置にあるとき、ゲート弁620は、たとえばバネ付勢手段151によって付勢力により開いた状態におかれ、空隙内の蒸気を流入口92を通して排出することを可能としている。
【0102】
図12vには傾斜位置にあるベッセル本体1の平面図が示されている。この傾斜位置では、下側ゲート弁620の質量により、下側ゲート弁は、バネ付勢手段に抗して回転し、第二の流入口602を閉じて容器5からの水の漏洩を防止するためのシールを形成しており、一方、ボス622によって適切な位置に保持されうる上側ゲート弁620は、空隙222内の蒸気の排出を可能とするように開いたままである。
【0103】
図から明らかなように、ベッセル本体がいずれの向きに傾斜していても、下側の弁620がシールし、もう一方の弁620が換気を行うようになっている。
【0104】
図示されているように、換気口92は、部屋603と連通し、換気口609および608は前述の実施形態と同様に作用する。
【0105】
さらなる実施形態では、換気口92が蓋8の中の空隙と直接連通しうるように、部屋603および導管601、602が取り除かれてもよく、このことにより、蒸気通路72および注ぎ口の領域内の換気口と連通するための部屋が提供される。この場合、弁620は蓋基部の上側に位置しうる。
【0106】
前述の実施形態の各々では、部屋603は、1つ以上の流出口と直接あるいは間接的に連通しうる1つの換気口のみを備えていてもよい。
【0107】
図12wおよび図12xには、可動部品を必要とすることのない、上述の実施形態と同様の圧力逃がしおよび一定化手段を提供するさらなる実施形態が例示されている。
【0108】
圧力逃がし手段640は、2つの導管641、642を含んでいる。第一の導管641は、穴92を通じてベッセル本体1の容器5と連通する流入口601と、換気口609を通じて蓋8の後方部屋95と連通する流出口645とを含んでいる。第二の導管642は、穴92を通じてベッセル本体1の容器5と連通する流入口602と、換気口609を通じて蓋8の後方部屋95と連通する流出口646とを有している。両方の流出口645、646は、前方部屋94と間接的にまたは直接的に連通し、蒸気は、注ぎ口へ、さらには蒸気管70へも排出される。これらの流入口643、644はベッセル本体の外縁の近くで互いに対向するように位置し、また、流出口645、646は、ベッセル本体の外縁の近くで互いに対向するように位置しているので、流入口643、644および流出口645、646は、互いに反対に配置される「シュノーケル」チューブのように配置されている。ベッセル本体1が直立位置にあるとき、導管641、642は支障なく換気する。
【0109】
図示されているように、ベッセル本体1が傾斜した状態にあるとき、流入口601は液位225の上方にあるので、水が流入口601を通って流れることはできない。それと同時に、水は流入口602の中に流れ込むことができる。流出口646が液位225の上方にあるため、導管の液位を流出口646と同じ高さまで引き上げるための十分な圧力「水頭」がない。空隙222に生じる過剰な蒸気圧は、流入口601を通じ、流出口645を通じて後方部屋95の中へ逃がされる。
【0110】
導管641、642の各々には、互い違いに配置されている複数のバッフル647が設けられてもよく、この場合、ベッセル本体1がひっくり返ってしまって導管の中へと流れ込んで行く水が抑制されるので、ベッセル本体1の内部の水が安定した平衡状態になるにつれて水が流出口645または646の中を急激に進んでいくことのないように補助されることになる。複数のバッフルは、水が沸点にある場合に液体を冷ますという機能をさらに有しうる。
【0111】
複数のバッフルに代えてまたはそれらに加えて、水の速度を下げるための他の方法または材料、水の温度をさげるための他の方法または材料、および/または、金網のように入り組んだ通路として機能させる方法または材料が導管に設けられてもよい。
【0112】
図から明らかなように、ベッセル本体がいずれの向きに傾けられたとしても、圧力逃がし手段は同様に働く。
【0113】
図示されているように、流入口601および流入口602が正反対に向き合うことがないように互い違いに配置されているため、傾斜位置にあるとき、これらの流入口のうちの一方が、他方と比べ、液位よりも比較的に比例して高くなる。このことは、導管を横に並べるのではなく互いに重ね合わせて置くことにより軽減することが可能である。
【0114】
少なくとも導管の一部が、蓋モールド成型品、または別個の蓋モールド成型品(図示せず)を備えたベッセル本体モールド成型品の一部として形成されてもよい。
【0115】
図12yおよび図12zには、導管641、642が前もって形成されたチューブである他の実施形態が例示されている。
【0116】
前述の圧力逃がしおよび圧力一定化手段の各々がベッセル本体および/または蓋アセンブリの中に設けられてもよい。
【0117】
前述の圧力逃がしおよび圧力一定化システムの各々では、傾斜位置にある間に部屋の中に入った水がベッセル本体1が直立位置に戻ったときにベッセル本体1の中へ戻っていくことができるよう、流入口92は蓋アセンブリの最も下側の部分に設けられるようにしてもよい。
【0118】
すべての実施形態では、電気製品の電力が切られた後に生じる過剰沸騰は、質量の小さな発熱体、たとえば厚いフィルムまたは印刷された発熱体の使用によって減らすことができる。
【0119】
過剰沸騰を減らすための他の方法は、沸騰が近づいて乱流が増えたときに発熱体への電力を切るまたは減らすことができるように、なんらかの乱流検出手段(後述される)を組み入れることである。それに加えて、電気製品がひっくり返ったことを検出して電力を切るためにこの乱流検出手段が用いられてもよい。
【0120】
図13a〜図13fには本発明のさらなる実施形態が示されており、この実施形態によれば、操作部75の中空のモールド成型品100内に蒸気通路が一体化されている。蒸気管70は、モールド成型品100の中空内部と連通し、キャップ101もモールド成型品100の一部を形成している。ベッセル本体1が直立している場合、水または凝結した蒸気がベッセル本体1の中に戻るように、中空のモールド成型品100の下方にある蓋基部は、穴86の方に向かって傾斜していてもよい。水または凝結した蒸気が蒸気管を流れ落ちないように、キャップ101により、蒸気管70を蓋の床よりも上方に位置させることができるようになる。ベッセル本体1が直立している場合、水または凝結した蒸気がベッセル本体1の中に戻るように、中空のモールド成型品100の下方にある蓋基部は穴86の方に向かって傾斜していてもよい。モールド成型品100は、ハンドル9の近くの端部に1つ以上の換気口102を備えている。
【0121】
操作部75の通常時の閉鎖位置では、穴86は中空内部100に連通しているので、穴86から逃げた蒸気は蒸気管70の中へ流れるかまたは換気口102の中を流れる。
【0122】
注ぎ口を上にしてベッセル本体1がひっくり返って横になった場合、穴86は液位225cよりも高い位置にあるので、液体はベッセル本体1からこぼれることはない。加熱された水の過剰圧力に起因して穴86の中に入った水は、始めは蓋8内に収容され、そのレベルが蒸気管70より高くなったときのみ蓋8から出ていく。
【0123】
注ぎ口を下にしてベッセル本体1がひっくり返って横になった場合、水は、穴86から出て中空のモールド成型品100の中へ流れ込むが、流出口102が液位225cよりも上方にあるのでモールド成型品内に保持されることになる。
【0124】
前の実施形態と同様、中空のチューブ100は、ベッセル本体がひっくり返ってベッセル内の水が平衡状態に達する間の初期段階において水の流れを制限するバッフルまたは他の手段を組み入れてもよい。
【0125】
傾斜位置での水位が開いた換気口よりも下方にあることに依存するすべての実施形態では、電気製品内の最大液位を換気口の位置に適合させるように調整する必要がある。
【0126】
使用者がトリガー99を引くことにより操作部75を操作すると、穴86は、蓋部屋71向けて開かれ、液体を注ぎ口7から外へ注ぐことを可能とする。
【0127】
図13g〜図13jには、閉鎖位置、注ぎ位置、充填位置、閉鎖途中位置にある蓋機構が例示されている。
【0128】
蓋8は、ベッセル本体1に回転可能にマウントされ、蓋8を開放位置に向けて付勢するバネ106と、操作部75と接触する部分109とを含んでいる。
【0129】
操作部75は、2つの支持部を含んでおり、第一の支持部は、操作部75から上方に向かって延びて隆起した淵115であり、第二の支持部は、ハンドル9から外側に延びる淵107である。操作部75は少なくとも3つの位置を有している。図13gに例示されているような第一の位置では、蓋8は、操作部115の上側部によって閉じられた状態で保持されている。図13hに例示されているような第二の位置では、液体を注ぎ口7からベッセル1の外へ注ぐことを可能にする十分なギャップがあるように、蓋が淵107によって部分的に開かれた状態で保持されている。13iに例示されているような第三の位置では、操作部75が完全に引き出され、また、蓋8は、たとえばベッセル本体を再充填のためまたはベッセル本体を急速に空にするために完全に開くことができる。
【0130】
操作部75は、2つのトリガーのうちのいずれか一方により操作することができる。図示されているように、第一のトリガー108は、操作部75に直接取り付けられてもよく、第一の位置から、第二の位置および第三の位置まで後ろの方に向かって引き戻すことができる。操作部75は、それが開放されたときに第一の位置へ自動的に戻るようにバネにより付勢されていてもよい。
【0131】
第二のトリガー99は、ハンドル9の中に設けられ、摺動可能に操作部75へ取り付けられてもよい。トリガー99は、操作部75を第一の位置から第二の位置まで引くことができるが、第三の位置への移動はボス117によって防止されるように構成されている。トリガー99は、ポイント118を中心として回転し、解除されたときに、自動的に第一の位置へ戻るようにバネにより付勢されていてもよい。
【0132】
このような2つのトリガー構成により、使用者がハンドルを把持しているときに誤って蓋が完全に開いてしまうことがないことが担保される。
【0133】
操作部75は、蓋を完全開放位置から手動で閉じるとき、操作部75が後ろの方に向かって押されるように、蓋の部分109に対して作用する傾斜部113を組み込んでいる。次いで、蓋を、操作部75の第一の位置で完全に閉じ、ラッチをかけることができる。
【0134】
操作部75は、第二の位置と第一の位置と間に蓋の部分109を押すように作用することに加えて、蓋を注ぎ位置から閉鎖位置まで閉じる補助をするように作用する第二の傾斜部114を備えている。有利なことには、結合されたバネ付勢手段155が蓋8の下方向きのモーメントよりも大きいので、使用者が第二の位置から操作部75を開放した後蓋8は自動的に閉じることになる。
【0135】
蓋8は、ベッセル本体1との間をシールすることによりベッセル本体がひっくり返った場合でもベッセル本体からの水漏れを防止する環状の弾力性シール110を備えている。他の実施形態では、シール手段をさらに支援するために、ベッセル本体1または蓋8のうちの一方または両方に淵が設けられてもよい。
【0136】
例示されているように、蓋部屋71および蒸気部屋116から操作部を分離するために、部分109が、乾燥部屋119内の蒸気部屋116の一方の側面に位置していてもよい。さらなる実施形態では、図示されていないが、操作部は、蓋部屋71の内部部分と直接接触してもよく、この場合、なんらかのシール手段、たとえばグロメットなどが漏洩を防止するために操作部75のまわりに設けられてもよい。
【0137】
これに加えて、図13g〜図13jには、上述の図12i〜図12pに例示されているような圧力逃がし手段600(点線で概略的に示されている)を備えた蓋8が例示されている。圧力逃がし手段600は、蓋8の部屋71内に設けられ、換気手段155と連通し、蒸気部屋116を通じて蒸気管70とも連通している。
【0138】
他の実施形態では、前述の圧力逃がしシステムのうちのいずれが組み込まれてもよい。
【0139】
図13kには、使用者が蓋8を開かずに直観的にベッセル本体を充填することができる蓋8のさらなる実施形態が示されている。
【0140】
この実施形態は、図12wおよび図12xに例示されている圧力逃がし手段の変形例を備えている。この変形例では、ベッセル本体1を充填するための換気口と穴とを組み合わせたものとして用いることができるように、圧力逃がし手段の前側の穴86が拡大されている。
【0141】
使用者は、蓋が閉まっている場合、蓋8に設けられている穴155を通じてベッセル本体1を満たすことができる。液体が導管641を通じて穴92の方に向けて導かれるように、蓋8の基部66は傾けられている。蓋8の後側と蒸気部屋116との間の穴92は、ベッセル1が満たされているときに液体が蒸気部屋116の中に入っていかないように、蓋の基部66の上方に設けられている。
【0142】
図13lは、図13kに示されている実施形態を示す平面図である。導管641および注ぎ口7に最も近い穴86は、前述の実施形態における導管641および対応する穴86と比べて相当大きくなっている。導管641および導管642は、ベッセル1が横に傾いた場合にいずれかが換気口として働くように、前述のように配置される。穴86、92は円形状であるものとして例示されているが、これらの穴がベッセルの外縁により近い位置に設けられるようにその形状を最適化することができる。さらに、導管641および642はバッフルをさらに備えてもよい。これらのバッフルは、電気製品が横たわっているときに水の流れを制限するように導管の側面の上側および部分的に側面に沿って延設されているものの、ベッセル本体1が直立しているときに充填する際に蓋66の基部の障害とならないように構成されている。
【0143】
たとえば図13mに例示されているようなバッフル647は、電気製品が直立しているときには減圧手段および液体の流れを妨げず、ベッセル本体1が横に傾斜しているときには乱流および静止液体が穴86および92の中へ入って行かないように、穴86および92の濡れ面側に設けられてもよい。図13nから明らかなように、記載のバッフル647が導入された場合、静止水225aおよび225bの液位を著しく高くすることができる。
【0144】
蓋の穴155は、ベッセル本体が傾斜位置にあるときに水が蓋から出て行くのを制限しうるスカート120または他のバッフル手段を備えていてもよい。
【0145】
この実施形態には、必要ならば、図13gおよび図13jに例示されているような前述の注ぎ用の操作機構、または蓋を完全に開くための操作機構が設けられてもよい。
【0146】
さらなる実施形態では、操作機構は1つのトリガーのみを備えており、また、前述のように、このトリガーは、蓋を含む電気製品のいかなる適切な部分に位置していてもよい。
【0147】
さらなる実施形態では、たとえば蓋8の前部または側部などの第一の位置および第二の位置の各々について1を超えるラッチ手段が存在する場合もある。
【0148】
さらなる実施形態では、操作部および/または機構および/またはトリガーおよび/またはラッチ手段のうちのいずれが蓋8の中に設けられてもよい。
【0149】
図示されているように、蓋75は、ベッセルの中心の近くに支点を有しているが、開放手段、閉鎖手段およびラッチ手段は、蓋8の後部の近くにヒンジまたは支点が位置するように変更されてもよい。
【0150】
さらなる実施形態では、蓋は付勢力により閉じられるようになっていてもよく、また、使用者は、注ぎのために手動で十分に蓋8を開けることが可能となっており、この場合、ランプ(斜面)など(図示せず)を蓋8に設けることによりそれに操作部75が押しつけられたときに蓋8が開くようになっていてもよい。
【0151】
図14a〜図14dには、穴86が、液体および蒸気の両方のための流出口として働き、図12lおよび図12mのものと類似する弁構成を備えている、本発明のさらなる実施形態が示されている。この実施形態では、注ぎを可能とするにあたって、使用者の操作は必要とされない。その代わり、弁座は、蓋下側弁壁104の注ぎ口側の近くに位置する内側突出部103を備えている。内側突出部103は、ベッセル本体1が注ぐために前方に向けて傾けられたとき円錐形状の弁部材98が上方に向けて摺動して穴86を閉じるのを防ぐようになっている。しかしながら、ベッセル本体1が急に前方に向けて傾けられた場合、弁部材98は、内側突出部103を飛び越え、蓋上側シール面82との間をシールする。ベッセル本体1が側面方向にまたは後方に傾けられた場合、弁部材98は内側突出部103とは係合せず、蓋上側シール面82との間をシールすることにより、穴86を閉じる。蓋下側弁の壁104の上端部には、1つ以上の換気用スロット87が設けられている。この1つ以上の換気用スロット87は、弁部材98がその静止位置、すなわち蓋下側弁壁104の底部の近くにあるとき、容器5の換気を可能とする。断熱性を向上させるため、注ぎ口7は、ベッセル本体1が注ぎのために前方に傾けられたときに開く注ぎ口用フラップ(図示せず)を備えていてもよい。それに加えて、注ぎ口用フラップは、注ぎ口7を通じた充填を可能とするために内側に向けて開くようになっていてもよい。
【0152】
図14e〜図14gには弁構成の他の実施形態が示されている。この実施形態では、内側突出部が、壁104の下端部の近くに設けられ、弁部材98の下端部の近くの環状溝105と係合するようになっている。
【0153】
前述の流れ管理および換気構成の各々では、シールされる表面は、シリコーン化合物またはゴム化合物のごときシール材からなる局所的な部分を備えた表面または層を備えた表面のうちの一方または両方によりシール特性が改善されていてもよい。
【0154】
図15aは、他の実施形態にかかる蓋部屋71を含む蓋8を示す分解図である。蓋8は、内蓋を含む、蓋下側面66を貫通する穴86を有する蓋内側モールド成型品158と、注ぎ口(図示せず)と協動する側面の穴155と、注ぎ口用バッフルとして働く突出部156とを有している。蓋上側部157は、蓋内側モールド成型品158と、バッフル156とを覆う。
【0155】
蓋内側モールド成型品158内では、振り子159が、実質的に鉛直な軸線Y−Yを中心として回転可能にマウントされ、振り子支持体154によって支えられている。振り子159は、ベッセル本体1が直立しているまたは注ぎ口7の方に向けて前方に傾けられているとき、振り子159を中心に合わせるように、両側にあるそれぞれのバネ151によって作用を受けるようになっている。バネ151の力は振り子159と振り子支持体154との間のいかなる摩擦をも克服するのに十分であるため、振り子159は平衡状態におかれる。振り子159の中央凹部160により、ベッセル本体1が液体を注ぐために注ぎ口7に向けて傾けられると、当該液体は、穴86を通り、蓋部屋71の中へ流れ、その後、穴155を通り、注ぎ口7の中へと入っていくことが可能となる。
【0156】
傾斜位置にあるとき、振り子159が重力を受けて速やかに回転し、振り子159に加えられる液体の力に逆らうように働く補助をするよう、振り子159は、黄銅、ダイカスト、もしくはスペシャリストプラスチック(specialist plastic)の如き重い材料で製造されてもよいし、および/または、振り子159にさらなる重みを追加するようにしてもよい。
【0157】
たとえば振り子159がプラスチック、金属または他の弾性材料でモールド成型される他の実施形態では、振り子159は、振り子159のモールド成型品の一部としてバネ151を組み入れるようにしてもよい。バネ151はコイルバネであってもよい。他の実施形態では、振り子159が、小さな力には耐えるが、大きな力には素早く反応するように、バネ151は二つの安定状態を有するようになっていてもよい。
【0158】
前の実施形態と同様に、蓋8は、容器5を充填するためにヒンジで結合されてもよいし、もしくは取り外されてもよいし、また、液体加熱工程のために適切な位置で嵌合されてもよいし、もしくはロックされてもよい。
【0159】
図15bには注ぎ位置にある蓋8が示されている。ベッセル本体1が片側に向けてある小さな角度で傾いている場合、液体の力により、振り子159は穴86を中心として動作する。凹部160または穴86はこの効果を促進するような形状または寸法を有している。
【0160】
図15cに示されているように、蓋8を含むベッセル本体1がひっくり返ると、振り子159が回転し、その結果、中央凹部160は穴86と整列せず、振り子159の前部は蓋上側シール面82を覆いかつそれとの間をシールする。したがって、この実施形態では、振り子159は弁として働く。振り子159の重さは、矢印Xにより示されている、バネ151の上向きのバネ力を克服するのに十分である。振り子159の材料によっては、この効果を達成するために、さらなる錘(図示せず)を振り子159に追加することが必要となる場合もある。
【0161】
振り子159は、液体が注がれるときにその液体をろ過するために内蔵フィルタを前部の上方またはそのまわりに組み込んでもよい。フィルタまたは振り子159は洗浄のために簡単に取り外し可能となるように構成されていてもよい。
【0162】
ベッセル本体1が直立しているまたは注ぎ口7の方に向けて前方に傾けられているとき、バネ151の力が振り子159を平衡時における中心位置へと戻すのに十分な力となる。
【0163】
振り子159は、回転軸Y−Yと中央凹部160とを通る面に対して対称となっているので、ベッセル本体1がどちら側に倒れるかとは関係なく、穴86をシールするよう作用するようになっている。
【0164】
振り子159は、シール効果を強化するために、例えばスロットまたは溝を穴86の一方側にまたは両側に設けることによって、穴86に押し付けられるよう摺動可能に保持されるようになっていてもよい。
【0165】
図16aは、他の実施形態にかかる蓋部屋71を含む蓋8の分解図である。蓋アセンブリは、図15a〜図15cの実施形態において見られるような振り子159およびバネ151を備えている。この振り子159は円錐形状の弁98と協働するようになっている。円錐形状の弁98は、図12lおよび図12mに示されるものに類似しているものの、図9a〜図11cおよび図12i〜図12kの実施形態の操作部75と同じ様に、振り子159との相互作用によって注ぎ配置にあるときに閉じてしまうことが防止されているが、使用者の操作を必要とはしていない。
【0166】
振り子159の半径方向外側端は、中央凹部160を横切って低い位置で延設されるクロス部材161を備えている。円錐形状の弁98は、穴86を通って延びる上方突出部98aを備えている。ベッセル本体1が、図16cに示されているような注ぎ位置にあるとき、クロス部材161は上方突出部98aと隣接し、弁98が完全に持ち上げられるのを防止するので、液体は、穴86および中央凹部160を通って注ぎ口7の中に到達することができる。
【0167】
振り子159の半径方向外側端は、中央凹部160の両側に、隆起部162に至るランプ部163を備えている。図16dに示されているようにベッセル本体1がひっくり返ると、振り子159が回転し、その結果、隆起部162のうちのいずれかが弁98の上方に位置し、上方突出部98aを制限しないため、弁98は上方に移動して穴86をシールすることができるようになる。
【0168】
明らかなように、振り子159は、操作部75と同様に作用するものの、注ぎ時に弁98を制限する機能は使用者によってではなく自動的に実行される。この実施形態では、上方突出部98aが細いので液体はあまり制限されず、また、上方突出部98aはシール面を備えていない。しかしながら、図9a〜図11cおよび図12i〜12kに開示されている弁のうちのいずれかの弁が、使用者操作部75ではなく振り子159と相互作用するように変更されてもよい。
【0169】
図16a〜図16dの実施形態の変形例では、振り子支持体154は、平衡状態の位置の両側が隆起したカム面を形成し、その結果、振り子159が平衡位置に向かう方向とは反対側に向かって回転するにつれて振り子159と蓋下側面66との間の距離が増していくようになっていてもよい。この場合、振り子159の半径方向外側端が薄くなっていてもよい。図15および図16の実施形態は、蓋8を容器5の上に置いたとき、振り子159を中央位置に位置決めして穴86を開くことにより、容器5に蓋8を置くことにより引き起こされる圧力を逃がすようにする手段を蓋8内に備えていてもよい。しかしながら、場合によっては、ベッセル本体1がひっくり返っている間に電気製品に電力が供給される場合もあれば、または、使用者が再び電力が供給されるまで蓋8を取らないこともあるので、前述のようななんらかの形で換気または圧力を逃がすことが必要となるだろう。
【0170】
図17aおよび図17bには、図15および図16の実施形態に適用されうるさらなる換気構成が示されている。このさらなる換気構成では、振り子159が、たとえば注ぎ位置において穴86が開いているとき1つ以上の換気口を遮蔽し、また、穴86がシールされているとき、たとえばベッセル本体1が一方側に傾けられているとき1つ以上の換気口を開くようになっている。
【0171】
この実施形態では、蓋下側面66は、容器5に向かって開く2つの換気口165を有している。振り子159の延長部167は穴86が露出されているとき換気口165を覆うようになっている。しかしながら、ベッセル本体1がひっくり返えると、換気口165の一方または他方は振り子延長部167内の穴166のうちの対応する穴を通じて露出される。この構成は、ベッセル本体1が片側に傾斜しているとき、露出されている換気口165がベッセル本体1の中心面よりも高い位置にあるので、電気ポットに水を入れ過ぎた場合に、漏洩の危険性が減り、完全に回避することも可能となるという点において非常に有利である。図17aは、電気製品が傾けられている状態で、換気口165のうちの一つと換気口166のうちの一つとが一致することが示されており、他の実施形態では、振り子159によって両方の換気口165が覆われ、次いで、振り子が回転するにつれてそのうちのいずれかが完全に露出されるようになりうる。
【0172】
図18〜図20bには、振り子159が蓋下側面66の下方に吊り下げられているという点で図17aおよび図17bの実施形態とは異なるさらなる実施形態が示されている。このことは、ベッセル本体1がひっくり返えると、ベッセル本体1内の液体の圧力により振り子159が蓋基部66に押しつけられるように作用して液体シール機能を向上させるという点において有利である。さらなる副基部164を振り子159の下方に設けるようにしてもよい。副基部164は、蓋基部66との間で振り子159を支え、また、蓋アセンブリ150がベッセル本体1から取り除かれた場合にたとえばバネ151の如き機構を損傷から保護する。振り子159は、底面に小さな「ピップ」、すなわち突部を備え、副基部164に対する摩擦を減らすようになっていてもよい。それに代えて、振り子159または副基部164は、振り子159が移動限界に到達するまで振り子159が自由に回転することができるようにカム手段を備えていてもよい。副基部164は、沸騰液の上方において最小限のひずみで常時使用することができるステンレス鋼の如き材料で製造されてもよい。好ましくは、副基部164は、副基部66および振り子159の穴86、165および166に対応する穴171および172を有する。穴171にはメッシュまたはフィルタを有してもよい。
【0173】
また、この実施形態は、前述の実施形態に記載されているような蒸気通路モールド成型品100をさらに備えていてもよいし、また、前方部屋94と後方部屋95とが分割されるようにフラップ93またはモールド成型品(図示せず)をさらに備えていてもよい。
【0174】
蒸気通路モールド成型品100は、別個のモールド成型品として形成されてもよいし、および/または蓋内側モールド成型品158の一部、または、蓋カバーモールド成型品157の一部であってもよい。
【0175】
図19aおよび図19bには、本実施形態においてどのようにして注ぎ態様、換気態様、蒸気通路態様および圧力逃がし態様が実現されるのかが示されている。図20aおよび図20bはそれらに対応する一部切り取り等角図である。
【0176】
図19aには、加熱モードおよび注ぎモードにおける蓋アセンブリ150が例示されている(下から見た場合。副基部164が取り除かれている)。穴86の前部を制限しないように、振り子159が後退している。さらに、蓋基部66および振り子159の穴165および166は、この図に示されているような位置で一列に並んでいるので、ベッセル本体1が充填モードまたは注ぎモードにあるとき、蒸気通路モールド成型品100の後部への蒸気の流入を可能とし、また、容器5内での圧力の一定化をさらに可能とする。蒸気通路モールド成型品100が分割されている場合、穴165のうちの1つ以上は、蒸気通路モールド成型品100の後部の方の位置に設けられてもよい。
【0177】
図19bには、ベッセル本体1が横に寝かされているときの傾斜モードにある蓋アセンブリ150が例示されている(下から見た場合。副基部164が取り除かれている)。振り子159が回転して穴86を覆う。安全のために、振り子159は2つの圧力逃し弁170を備えているため、電気製品がどちら側に傾いたとしても、圧力逃し弁170のうちの1つは、穴86の後部よりも上方に位置するので、たとえばベッセル本体1がひっくり返った後も発熱体12が液体を継続して加熱し続けたとしても容器5を換気することができることが担保される。この実施形態では、圧力逃し弁170は自己シールダイアフラムとして例示されているが、既に記載されたものを含むいかなる圧力逃し弁が用いられてもよい。他の実施形態では、圧力逃し弁170を前述したように蓋基部66に直接設けることができる場合もある。その場合には、蓋の副基部164は対応する穴を必要とすることとなる。
【0178】
図21aおよび図21bには、単一のバネ151が振り子159に作用するさらなる実施形態が示されている。振り子159は、蓋底部モールド成型品291のボス153上に設けられる。バネ151の後部の一端には、側面が平坦な穴が組み入れられている。この側面が平坦な穴はボス153の端部の対応する平面上に載置される。バネ151は部位290においてねじれ部を備えているため、バネ15の前部の面は後部の面に対して角度が90度となっているので、この前部は、振り子内の対応するスロット286内に位置決めすることができる。それに代えて、バネ151が平坦な形状を有し、ボス153の中へ直立位置で挿入されるようになっていてもよい。
【0179】
振り子およびバネアセンブリは、ネジ297およびワッシャ285をボス153に対して締めつけることにより固定されていてもよい。電気ポットがひっくり返えると振り子159は自由にボス153を中心として回転することができ、また、電気ポットが直立位置に置かれると、振り子159はバネの付勢力によって中心位置へと戻される。スペーサ287は、任意選択的なものであり、振り子159とワッシャ285との間に組み入れられてもよい。蓋底部モールド成型品291内の穴86、165および293は、シールするための平坦な面を提供する隆起した縁を有している。穴86、165および293のまわりの隆起部は、これらの穴と穴との間の隆起部とともに、振り子159と蓋291との間の摩擦を下げる補助もしている。
【0180】
蓋カバー157、蓋内側モールド成型品158、蒸気ガイド100、蓋底部モールド成型品/振り子部分アセンブリおよび(任意選択部材である)副基部164からなる蓋アセンブリは、ネジ288または他の適切なクランプ手段を用いて締着されてもよい。モールド成型品の各々はたとえばスペーサボス282を備えて蓋アセンブリにさらなる完全性を実現させるようになっていてもよい。機能的プラスチック部品の各々は、個別のモールド成型品であってもよいし、または隣接するモールド成型品と一体化されてもよい。たとえば、蓋カバー157および蒸気ガイド100はすべて一つの成型品の一部であってもよい。組み立て中、蒸気モールド成型品100と蓋底部モールド成型品291との間にほぼ水密性のシールを実現し、このことにより、蓋アセンブリ内に1つ以上の隔離されたまたは分離された部屋294が形成されてもよい。蓋アセンブリをヒンジ支持部296へ取り付け、前述の実施形態と同様、任意選択部材であるシール64を含むアセンブリ全体を、任意の材料、たとえばプラスチック、ガラス、陶器またはステンレス鋼からなる適切なベッセル上に載置することができる。この実施形態では、注ぎ口(図示せず)はベッセル内に形成されているが、前述の他の実施形態と同様に、注ぎ口が、蓋アセンブリのモールド成型品のうちの一つのモールド成型品、たとえば副基部164の一部分として形成されてもよいし、またはそれに代えて、個別のモールド成型品もしくは部品として形成されて蓋アセンブリ中の適切な位置に締着されるようになっていてもよい。
【0181】
この実施形態は、蒸気および液体が管理される方法において前述の実施形態とは異なっている。
【0182】
図21bには、沸騰位置および注ぎ位置にある、副基部164を除去した蓋アセンブリを示す一部切り取り図である。振り子を中心の位置に来るようにすることによって液体を穴86から注ぐことを可能としている。蒸気通路モールド成型品100の中へ放出するように穴165および穴166が一直線上に並べられている。一直線上に並べられている穴165および穴166は、ある機構、たとえばパーティションモールド成型品295またはフラップ93(図示せず)によって分離されてもよい。このことにより、後側部95が蒸気を水蒸気センサーに移送するように機能し、また、注ぎ時、両方の組の穴がベッセル本体内の圧力の一定化を実現するように機能するようになる。モールド成型品295により、注ぎ口領域から後側部95の中への水の進入を最小限に抑えるよう完全なまたは部分的な分離が可能となる。後側部95の中に入った水は、次に、穴165を通ってベッセル本体の中へと放出される。また、後側部95は、この領域に入る水が蒸気管(図示せず)の中へと入らないように防止するさらなる構成を備えていてもよい。
【0183】
傾斜位置では、重み付きの振り子が、回転し、穴86、165および2つの穴293の下側の穴を覆うようになっている。電気ポットを充填し過ぎていないと仮定した場合、ベッセル本体が横たわっているとき、2つの穴293のうちの上側の穴は液位よりも上方に位置している。穴293から流れ出てくる水は分離領域294内に収容される。この分離領域は、電気製品がひっくり返る間または電気製品がひっくり返った直後に穴293を通って流出しうるさらなる沸騰水(沸騰後)および蒸気を収容するようにさらに作用する。分離領域294の中に入る水は、ベッセルが直立にされると、穴293を通ってベッセルの中へと放出される。
【0184】
任意選択部品である副基部164は、注ぎ時の換気用および圧力一定化用の穴171、172、292を備えており、また、ネジ取り付け用の穴284を備えてもよい。
【0185】
前述の実施形態と同様、蓋アセンブリはヒンジを備えていなくともよいし、さらに、すべての実施形態において、蓋アセンブリはベッセル本体の穴に適するような形状に適切に形成されうる。
【0186】
図15〜図21に記載の実施形態のさらなる構成として、バネ151はベッセル本体1が直立位置にあるとき中心線の一方側に向けて振り子159を付勢することにより、穴86を閉じ、より大きな熱効率を提供するように構成されていてもよい。図17に記載の実施形態では、容器5は換気口165のうちの1つを通じて換気される。ベッセル本体1が注ぎ口7の方に向けて前方に傾けられると、振り子159の重力がバネ151の付勢力に打ち勝つため、穴86を暴露し、それによって、液体を注ぐことが可能となる。
【0187】
他の実施形態では、回転する振り子159は、重力を受けて一方側から他方側に摺動し、かつ、バネ151によって中央平衡位置の方向に向けて付勢されている部材と置換される。この場合、摺動部材は、それが下方に向けて摺動するにつれて換気口165のうちの上側の換気口を暴露するようになっていてもよい。
【0188】
図21c〜図21gには、振り子159が実質的に水平な軸線を中心として回転するようになっている実施形態がさらに例示されている。振り子159は穴86の上方に位置するボス153から吊り下げられるようになっていてもよい。例示されているように、たとえば、ボス153は蓋上側部8の底面に設けられてもよいし、またはそれに代えて、振り子159と穴86との相対的な位置がうまく制御されることを担保するように、穴86と同一のモールド成型品に取り付けられているボスもしくはガントリーから吊り下げられるようにしてもよい。振り子159は、当該振り子が鉛直方向に向くと穴86を暴露する中央凹部160を備えていてもよい。ベッセル本体が一方側に傾くと、穴86は、振り子159の外縁部のうちのいずれか一方により閉じられる。鉛直振り子159、ならびに当該振り子159の揺動を制御および/または制限するために付け加えられるガイド154およびボス622により必要とされる運動に対応するために蓋8をより深いものとすることが必要となる場合もある。個別の圧力逃がし手段、一定化手段および換気口(前述のような)が蓋内に設けられてもよい。
【0189】
前述の振り子構成の各々では、シールされる面は、たとえばシリコーン化合物またはゴム化合物などからなるシール部材の局所的な部分を備える表面または層を備える表面のうちの一方または両方によりシール特性が向上されていてもよい。
【0190】
さらに、前述の実施形態の各々は、ベッセル本体1がひっくり返ったことを使用者に警告するアラームを備えていてもよい。最も単純な形式では、このアラームは、ベルの如き振り子159と機械的に協働するようになっていてもよい。それに代えて、このアラームは、流れ管理機構80またはチルトスイッチによって引き起こされ、かつ、充電式電池、コンデンサー、熱電対、または、好ましくはたとえば光電池のような「環境に優しい」電力源によって電力が供給される電子的なまたは電気機械的な警報システムであってもよい。
【0191】
それに代えてまたはそれに加えて、前述の実施形態の各々は、ベッセル本体1がひっくり返るとヒーター12および/または他の電動部品への電力を切断するたとえばチルトスイッチを備えていてもよい。
【0192】
振り子159などを有する実施形態およびその均等物の各々では、振り子159を閉鎖弁位置でロックする手段を設けてもよく、また、このロックは、使用者の操作によって、たとえば操作部75の操作によって解除されるようになっていてもよい。このように、ベッセル本体1がひっくり返った後元に戻されると、使用者がベッセル本体1を充填するまたはそれから注ぐ必要が生じるまで弁は安全に閉じたまま留まる。
【0193】
すべての実施形態では、蓋アセンブリ150、注ぎ口7および流れ管理手段80、159の関係により、液体が沸騰したときに注ぎ口7から液体が吹き出るのを防止する補助がされ、このことにより、ベッセル本体1の高さの縮小を実現させることができる。
【0194】
他の実施形態では、流れ管理手段80は、注ぎ口内の位置に設けられ、ベッセル本体1の全高を縮小する補助をするようになっていてもよい。
【0195】
さらなる実施形態では、ベッセル1は、ベッセル1がひっくり返ったときに注ぎ口7が常に直立位置にくるように設計されてもよい。
【0196】
前述の流れ管理手段および圧力逃がし手段のうちのいずれが独立した部品として電気製品メーカーに提供され、組み立て工程の一部として電気製品に固定されてもよい。
【0197】
図示されていないが、さらなる実施形態では、流れ管理手段および圧力逃がし手段に、ネジ山、フランジ、バイオネット金具などを設けることにより、電気製品メーカーがそれらを容易にベッセルに取り付けることができるようにしてもよい。さらなる実施形態では、流れ管理手段および圧力逃がし手段をベッセルの他の機能部品の一部、たとえば注ぎ口、蓋、操作部、ハンドルまたは蒸気コントロールの一部として電気製品メーカーに提供するようにしてもよい。
【0198】
さらなる実施形態では、流れ管理手段および圧力逃がし手段にバイメタルまたは他の操作部を備えさせることにより、その機能が温度に依存するようにしてもよい。
【0199】
さらなる実施形態では、電気製品の他の部品、たとえばハンドル、副基部、または外壁と内壁との間の空隙が、さもなくば注ぎ口から放出されてしまう液体または蒸気のための「バッファー」領域または「オーバーフロー」領域として用いられるようになっていてもよい。
【0200】
前述の圧力逃がしおよび圧力一定化システムの各々では、傾斜位置中に部屋に入った水はベッセル1が直立位置に戻るとベッセル1の中へ戻ってくるように、流入口92がアセンブリの最下部の位置に設けられるようになっていてもよい。
【0201】
すべての場合において、ダイヤグラムは、概略的なものであって、たとえば換気口、穴、流入口および流出口のサイズおよび寸法は、電気製品の必要に応じて決定されることが必要である。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図8d】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図9d】
【図9e】
【図10a】
【図10b】
【図10c】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図12a】
【図12b】
【図12c】
【図12d】
【図12e】
【図12f】
【図12g】
【図12h】
【図12i】
【図12j】
【図12k】
【図12l】
【図12m】
【図12n】
【図12o】
【図12p】
【図12q】
【図12r】
【図12s】
【図12t】
【図12u】
【図12v】
【図12w】
【図12x】
【図12y】
【図12z】
【図13a】
【図13b】
【図13c】
【図13d】
【図13e】
【図13f】
【図13g】
【図13h】
【図13i】
【図13j】
【図13k】
【図13l】
【図13m】
【図13n】
【図14a】
【図14b】
【図14c】
【図14d】
【図14e】
【図14f】
【図14g】
【図15a】
【図15b】
【図15c】
【図16a】
【図16b】
【図16c】
【図16d】
【図17a】
【図17b】
【図18】
【図19a】
【図19b】
【図20a】
【図20b】
【図21a】
【図21b】
【図21c】
【図21d】
【図21e】
【図21f】
【図21g】
【図21h】
【図22a】
【図22b】
【図23】
【図24a】
【図24b】
【図25a】
【図25b】
【図25c】
【図25d】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29a】
【図29b】
【図29c】
【図29d】
【図30a】
【図30b】
【図30c】
【図30d】
【図31a】
【図31b】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38a】
【図38b】
【図38c】
【図39】
【図40a】
【図40b】
【図40c】
【図40d】
【図40e】
【図41】
【図42a】
【図42b】
【図42c】
【図43a】
【図43b】
【図44】
【図45a】
【図45b】
【図45c】
【図45d】
【図46】
【図47】
【図48a】
【図48b】
【図49a】
【図49b】
【図49c】
【図49d】
【図49e】
【図49f】
【図49g】
【図49h】
【図49i】
【図49j】
【図49k】
【図49l】
【図49m】
【図49n】
【図49o】
【図49p】
【図49q】
【図49r】
【図49s】
【図49t】
【図49u】
【図49v】
【図49w】
【図49x】
【図49y】
【図49z】
【図49za】
【図49zb】
【図49zc】
【図49zd】
【図50a】
【図50b】
【図50c】
【図50d】
【図51a】
【図51b】
【図51c】
【図51d】
【図51e】
【図51f】
【図51g】
【図51h】
【図51i】
【図51j】
【図51k】
【図51l】
【図51m】
【図51n】
【図51o】
【図51p】
【図52a】
【図52b】
【図52c】
【図52d】
【図52e】
【図52f】
【図52g】
【図52h】
【図53a】
【図53b】
【図53c】
【図53d】
【公表番号】特表2013−519485(P2013−519485A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553397(P2012−553397)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【国際出願番号】PCT/GB2011/000231
【国際公開番号】WO2011/101642
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(510240284)オッター コントロールズ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【国際出願番号】PCT/GB2011/000231
【国際公開番号】WO2011/101642
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(510240284)オッター コントロールズ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
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