説明

液体収納容器及び液体カートリッジ

【課題】 液体の漏洩を防止する。
【解決手段】
非透水性の基材5と、基材5上に設けられた液体を吸収する液体吸収層6とを備え、基材4が内側となり、液体吸収層6が外側となるように形成することによって、損傷しても内部から漏れ出てくる液体を液体吸収層6が吸収して、漏洩を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク等の液体を収納する液体収納容器及びこの液体収納容器を収容した液体カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタ装置に装着されるインクカートリッジは、可撓性を有するインク収納容器が剛性を有するケースに収容されている。インク収納容器は、例えばシート状の基材を折り返して袋状に形成したものであり、インクを収納する。このようなインク収納容器は、シート状であるため強度が低く、他のものと擦れたり、衝撃を受けたり、尖ったものが当たった際に破れやすい。このため、インクカートリッジは、剛性を有するケースにインク収納容器を収容することで、可撓性のインク収納容器を保護している。
【0003】
ケース中にインク収納容器を収容したインクカートリッジとしては、例えば下記の特許文献1に記載されているようなものがある。特許文献1では、可撓性からなるインク収納容器の周囲に設けられた結合しろを剛性を有する上ケースと下ケースとの間に挟持させてケース内に固定し、インク収納容器を保護している。
【0004】
特許文献1に記載されているようなインクカートリッジでは、輸送時の振動で他のものと擦れたり、落としてしまった場合や尖ったものが当たった場合にケースが潰れてしまうことがある。このような場合に、インクカートリッジでは、ケース内に収容されているインク収納容器が破れてしまうことがある。インクカートリッジでは、インク収納容器が損傷した場合、インク収納容器の損傷部分からインクが漏れ出てしまうため、インク収納容器の損傷を防止する必要がある。
【0005】
例えば、特許文献2には、インク収納容器とケースとの間に振動吸収部材を介在させることが提案されている。この特許文献2にインクカートリッジでは、インク収納容器とケースとの間に介在させた振動吸収部材で振動を吸収してインク収納容器を保護している。
【0006】
特許文献1及び特許文献2で提案されているインクカートリッジでは、インク収納容器とケースや振動吸収部材とが対向しているため、インク収納容器に振動や衝撃が伝わった場合、インク収納容器とケースや振動吸収部材とが擦れ、インク収納容器が損傷してしまう虞がある。特許文献1及び特許文献2で提案されている方法では、インク収納容器が損傷してインクが漏洩した場合、ケース内又はケース内に漏れたインクがケース外に漏れ出てしまう。これにより、特許文献1及び特許文献2で提案されている方法では、ケース内又はケースの外面が汚れてしまう虞がある。
【0007】
また、液体を収納することができる液体収納容器としては、下記の特許文献3や下記の特許文献4で提案されているようなものもある。この下記の特許文献3及び下記の特許文献4で提案されている液体収納容器は、シート状の基材で形成された可撓性を有する袋状のものであり、ケース等に収容されることなく用いられる。このような液体収納容器では、輸送時の振動で他のものと擦れたり、落とした時に衝撃を受けたり、尖ったものが当たった際に、容易に破れてしまい、損傷部分から液体が漏れてしまう。
【0008】
例えば、下記の特許文献3では、包装袋の最外層に凸条付きのフィルムが一体成形されている。特許文献4では、規則的な凹凸模様のエンボスが形成された熱可塑性樹脂からなる最外層を備えている。
【0009】
特許文献3及び特許文献4に提案されている方法では、輸送時の振動による擦れを和らげることができるが、落下時の衝撃や尖ったものが当たった際に損傷することを十分に防止することができない虞がある。このため、特許文献3及び特許文献4では、強い振動を受けた場合や落下時の衝撃、尖ったものが当たった際に袋が破れてしまい、液体が漏洩してしまう虞がある。
【0010】
【特許文献1】特開昭60−32671号公報
【特許文献2】特開昭60−151055号公報
【特許文献3】実開昭56−62943号公報
【特許文献4】実開平3−84748号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、振動による擦れや落とした際の衝撃を受けて損傷したり、尖ったものが当たって損傷しても内部に充填されている液体が外部に漏洩することを防止できる液体収納容器及び液体カートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る液体収納容器は、非透水性の基材と、基材上に設けられた液体を吸収する液体吸収層とを備え、基材が内側となり、液体吸収層が外側となるように形成する。この液体吸収層は、例えば毛細管現象により液体を吸収したり、液体吸収能を有する高分子で液体を吸収する。
【0013】
また、本発明に係る液体カートリッジは、液体吸収容器を剛性を有するケース内に収容したものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、内側が基材で形成され、外側が液体を吸収する液体吸収層となるように形成することによって、振動や衝撃を受けた際、尖ったものが当たった際に損傷しても、損傷した部分から外側に漏洩しようとする液体を液体吸収層が吸収する。これにより、本発明では、液体が外部に漏洩せず、外面が汚れたり、周囲を汚すことを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明が適用されたインクカートリッジについて、図面を参照して説明する。インクカートリッジ1は、例えばインクジェットプリンタ装置に装着され、インクジェットプリンタ装置にインクを供給する。インクカートリッジ1は、図1に示すように、インクが収納されたインク収納容器2と、剛性を有するケース3とから構成されている。
【0016】
インク収納容器2は、略矩形状に形成され、一方の短辺に内部に充填されたインクをインクジェットプリンタ装置に供給するためのインク供給部材4が設けられている。
【0017】
インク収納容器2は、図2に示すように、内部に収納したインクが外部に漏れ出ないようにするため、非透水性の基材5で形成されている。基材5上には、インクを吸収することができるインク吸収層6を設けられている。インク収納容器2は、シート状の基材5を折り返して周囲を熱シールすることにより、内側が非透水性の基材5で形成され、基材5のインクと接する側とは反対側の面、即ち外面がインク吸収層6で形成される。インク収納容器2は、シート状の基材5からなるため可撓性を有している。なお、基材5には、袋に用いられている一般的なものを用いることができる。
【0018】
具体的に、基材5は、インク収納容器2の最も内側となり、インクと直接接するため非透水性で、耐薬品性を有する非透水層7を備える。この非透水層7上には、外部からガスや水分、光の侵入を遮断して、インクが劣化することを防止する遮断層8を備える。この遮断層8上には、非透水層7及び遮断層8の強度を補強するための補強層9を備える。基材5は、これら非透水層7、遮断層8、補強層9の3層構造からなり、この3層が一体となってシート状に形成される。この基材5は、この3層構造により、インクを内部に収容でき、強度に優れている。
【0019】
非透水層7は、インク収納容器2の最も内側となるため非透水性、耐薬品性を有し、熱シールすることが可能な例えばポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂で形成されている。
【0020】
遮断層8は、インク収納容器2の内部に収納されているインクの劣化を防止するため、外部からのガスや水分、光の侵入を遮断することができる例えばアルミニウムで形成されている。
【0021】
補強層9は、例えばナイロンで形成され、非透水層7及び遮断層8を補強する。なお、各層は、例に挙げた熱可塑性樹脂やアルミニウム、ナイロンに形成することに限定されず、一般的に袋の基材として用いられている材料であれば用いることができる。
【0022】
なお、遮断層8及び補強層9は、図2に示すような単一層で形成することに限定されず、同じ材料又は異種の材料を用いて2層以上の複数の層で形成してもよい。また、基材5は、3層構造に限定されず、熱シール性を有する熱可塑性樹脂のフィルムからなる非透水層7のみで形成したり、非透水層7上にアルミニウム等の遮断層やナイロン等の補強層、又はそれ以外の他の材料からなる層を積層して2層構造以上としてもよい。また、各層の積層順序は、限定されない。
【0023】
基材5上に設けられたインク吸収層6は、補強層9上の全面に接着剤で貼り合わされ、インク収納容器2の外面を形成している。このインク吸収層6は、毛細管現象により液体を吸収し保持することができる。毛細管現象によりインクを吸収することができるものとしては、例えば不織布、布帛、繊維、紙、発泡樹脂、多孔質体、熱発泡性樹脂等がある。インク吸収層6は、これらのうち少なくとも1つを含んで形成されている。
【0024】
このインク収納容器2を収容するケース3は、内部にインク収納容器2を収容することで、可撓性のインク収納容器2に振動や衝撃が伝わることを抑え、他の部材がインク収納容器2に直接接しないようにインク収納容器2を保護する。ケース3は、上ケース10と下ケース11とからなり、略矩形状に樹脂等で形成されている。上ケース10及び下ケース11は、インク収納容器2を収容できるように内側が凹状に形成されている。また、上ケース10及び下ケース11には、短辺の一部に後述するインク収納容器2に取り付けられたインク供給部材4を外部に臨ませる開口部10a、11aが形成されている。
【0025】
以上のような構成のインクカートリッジ1は、次のようにして作製する。先ず、インク収納容器2を作製する。インク収納容器2を作製する際は、シート状に形成した基材5の補強層9上の全面にインク吸収層6を接着剤で貼り合わせる。インク吸収層6が貼り合わされたシート状の基材5をポリエチレンからなる非透水層7が互いに対向するように折り返す。折り返した基材5に対して、インク供給部材4を取り付ける辺を除いて開口している両端の2辺を熱シールして貼り合わせ、一辺が開口した袋状に形成する。そして、形成した袋にインクを充填し、熱シールしていない辺の2枚の基材5間にインク供給部材4を差し込み、熱シールすることでインク収納容器2が得られる。
【0026】
次に、インクカートリッジ1を作製する。インクカートリッジ1を作製する際は、得られたインク収納容器2のインク供給部材4が上ケース10及び下ケース11に設けられた開口部10a、11aから外部に臨むように、上ケース10と下ケース11の間に介在させ、上ケース10と下ケース11を嵌め合わせる。インク収納容器2は、上ケース10及び下ケース11の内面に接着剤を固定するようにしてもよい。
【0027】
なお、上述したインク収納容器2の製造方法では、シート状に形成した基材5上の全面にインク吸収層6を貼り合わせたものを用いてインク収納容器2を形成したが、このことに限定されず、基材5で一辺が開口した袋を形成した後、インクを充填する前にインク吸収層6を接着剤等の任意の方法で基材5上に貼り合わせてもよい。
【0028】
また、インク収納容器2の製造方法では、1枚の基材5を折り返して形成したが、基材5上の全面にインク吸収層6を貼り合わせたものを2枚用いて形成してもよい。2枚の基材5を用いて形成する場合には、基材5の非透水層7が互いに対向するように重ね合わせ、インク供給部材4を取り付ける辺を除いた周囲3辺を熱シールして1辺が開口した袋状に形成する。次に、開口している1辺から袋にインクを充填し、2枚の基材5間にインク供給部材4を挟み込ませ、熱シールすることで形成してもよい。
【0029】
以上のようにして得られたインクカートリッジ1では、インク収納容器2の外面にインク吸収層6が設けられているため、このインク吸収層6が緩衝材として機能し、振動や衝撃を吸収し、インク収納容器2の損傷を防止することができる。また、インクカートリッジ1では、収容されているインク収納容器2が可撓性であるため、輸送時の振動や落下時の衝撃等を受けたり、尖ったものが当たって、ケースが潰れてしまった場合に、インク収納容器2が万一損傷しても、損傷した部分から漏れ出たインクをインク吸収層6が吸収し保持することができる。これにより、インクカートリッジ1では、インク収納容器2の外面までインクが漏れ出ることを防止でき、インク収納容器2の外面やケース内、周囲をインクで汚してしまうことを防止できる。
【0030】
なお、インクカートリッジ1では、基材5上の全面にインク吸収層6を設けたが、このことに限定されず、振動等により他のものと擦れやすい部分や落下による衝撃を受けやすい部分にインク吸収層6を選択的に設けてもよい。
【0031】
次に、本発明を適用した他のインク収納容器について説明する。インク収納容器20は、図3に示すように、基材21上にインク吸収層22が設けられている。インク吸収層22は、液体吸収能を有する高分子で形成されている。なお、インク収納容器20は、上述したインク収納容器2の製造方法と同様の方法で製造することができる。また、このインク収納容器20は、上述したインク収納容器2と同様に図示を省略するが、ケース3に収納されてインクカートリッジを形成する。
【0032】
基材21は、上述したインク収納容器2の基材5と同じものであり、非透水性、耐薬品性で熱シール性を有するポリエチレンからなる非透水層23と、ガスや水分、光の侵入を遮断するアルミニウムからなる遮断層24と、補強のためのナイロンからなる補強層25からなる。基材21は、非透水層23、遮断層24、補強層25が一体となるようにシート状に形成されている。基材21は、上述したインク収納容器2の基材5と同様に材料や構成は限定されない。
【0033】
基材21上に設けられるインク吸収層22は、液体吸収能を有する高分子で形成され、この高分子がインクを吸収し保持することができる。インク吸収層は、例えば吸水性高分子で形成される。吸水性高分子としては、高吸水性高分子として知られている例えばデンプン・ポリアクリロニトリル加水分解物、デンプン・ポリアクリル酸塩架橋物、架橋カルボキシメチルセルロース、酢酸ビニル・アクリル酸メチル共重合体ケン化物、ポリアクリル酸ナトリウム架橋物、水膨張ゴム等が用いられる。また、液体吸収能を有する他の高分子としては、水膨張ゴム、水膨張樹脂、超吸水繊維等、いわゆる止水材に用いられるものも用いることができる。水膨張ゴムは、天然ゴムやスチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム等の合成ゴムに高吸水性ポリマーを混合してなるものを用いることができる。インク吸収層22は、これら液体吸収能を有する高分子のうち少なくとも1つから形成されている。
【0034】
インク吸収層22に水膨張ゴムを用いた場合には、インク収納容器20の損傷した部分から漏洩したインク中の水分によって水膨張ゴムが膨張し、インク収納容器20の損傷部分に生じた穴を塞ぐことができる。したがって、インク吸収層22は、インク収納容器20の損傷部分を塞ぎ、自己修復することができる。これにより、インク収納容器20では、継続的なインクの漏洩を防止することができる。
【0035】
インク収納容器20では、外面にインク吸収層22が設けられているため、このインク吸収層22が緩衝材として機能し、振動や衝撃、他のものが当たった際に、基材21に直接振動や衝撃、他のものが当たることがなく、損傷を防止することができる。
【0036】
また、インク収納容器20では、万一損傷しても、損傷した部分から漏れ出たインクをインク吸収層22が吸収し保持することができ、外面までインクが漏れ出ることを防止できる。これにより、インク収納容器20では、外面やケース3内、周囲をインクで汚れることを防止できる。
【0037】
また、このインク収納容器20を収容したインクカートリッジでも、同様にインク収納容器20からインクが漏洩することができるため、ケース3の外面やケース3内がインクで汚れたりすることを防止できる。
【0038】
次に、本発明を適用した他のインク収納容器について説明する。インク収納容器30は、図4に示すように、基材31上に設けられたインク吸収層32上に更にインクを吸収しない非インク吸収層33が設けられている。インク収納容器30は、インク吸収層32上に非インク吸収層33が設けられているため、この非インク吸収層33が外面を形成している。インク収納容器30では、非インク吸収層33によりインク吸収層32が吸収したインクが更に外部に漏れ出ないようにすることができる。なお、このインク収納容器30は、上述したインク収納容器2と同様に図示を省略するが、ケース3に収納されてインクカートリッジを形成する。
【0039】
基材31は、上述したインク収納容器2の基材5と同じものであり、非透水性、耐薬品性で熱シール性を有するポリエチレンからなる非透水層34と、ガスや水分、光の侵入を遮断するアルミニウムからなる遮断層35と、補強のためのナイロンからなる補強層36からなる。基材31は、非透水層34、遮断層35、補強層36が一体となるようにシート状に形成されている。基材31は、上述したインク収納容器2の基材5と同様に材料や構成は限定されない。
【0040】
インク吸収層32は、上述したインク収納容器2のインク吸収層6のように毛細管現象により液体を吸収することができる材料で形成されていたり、上述したインク収納容器20のインク吸収層22のように液体吸収能を有する高分子で形成されている。
【0041】
非インク吸収層33は、基材31に用いられる上述した材料で形成され、例えばポリエステルで形成されている。また、非インク吸収層33は、基材31に用いられる材料の他に、耐衝撃性を付与するため、クッション性を有する材料を用いてもよい。
【0042】
以上のような構成のインク収納容器30を作製する際は、シート状の基材31上に接着剤でインク吸収層32を貼り合わせ、貼り合わせたインク吸収層30上に更に接着剤で非インク吸収層33を貼り合わせたものを用いて、上述したインク収納容器2と同様に製造することができる。
【0043】
また、インク収納容器30を作製する他の方法としては、基材5で一辺が開口した袋を形成した後、インクを充填する前にインク吸収層6を接着剤等の任意の方法で基材5上に貼り合わせ、貼り合わせたインク吸収層6上に非インク吸収層33を接着剤等で貼り合わせてもよい。
【0044】
このようにして得られたインク収納容器30では、インク吸収層32の吸収容量を超えた場合に、インク吸収層32の表面に漏れ出たインクが外面に漏れ出ないようにすることができる。これにより、インク収納容器30では、インク吸収層32の吸収容量を超えても、ケース3内やケース3の外部にインクが漏れ出ることを防止できる。また、インク収納容器30では、触ったり、外面に物が接触しても接触物にインクが付着せず、接触物が汚れたり、周囲が汚れることを防止できる。
【0045】
次に、本発明を適用した他のインク収納容器について説明する。インク収納容器40は、図5に示すように、基材41上に設けられたインク吸収層42上に更に非インク吸収層43がメッシュ状に設けられている。インク収納容器40は、インク吸収層42上にメッシュ状に非インク吸収層43が設けられているため、このメッシュ状の非インク吸収層43が外面を形成している。このインク収納容器40では、メッシュ状に形成された非インク吸収層43により、インク吸収層32の吸収容量を超えても、インク吸収層42に吸収されたインクが更に外部に漏れ出ることがない。なお、インク収納容器40は、上述したインク収納容器30の製造方法と同様の方法で製造することができる。また、このインク収納容器40も上述したインク収納容器2と同様にケース3内に収納されてインクカートリッジを構成する。
【0046】
基材41は、上述したインク収納容器2の基材5と同じものであり、透水性、耐薬品性で熱シール性を有するポリエチレンからなる非透水層44と、ガスや水分、光の侵入を遮断するアルミニウムからなる遮断層45と、補強のためのナイロンからなる補強層46からなる。基材41は、非透水層44、遮断層45、補強層46が一体となるようにシート状に形成されている。基材5は、上述したインク収納容器2の基材5と同様に材料や構成は限定されない。
【0047】
インク吸収層42は、上述したインク収納容器2のインク吸収層6のように毛細管現象によりインクを吸収することができる材料で形成されていたり、上述したインク収納容器20のインク吸収層22のように液体吸収能を有する高分子で形成されている。
【0048】
非インク吸収層43は、上述したインク収納容器30のインクを吸収しない層33と同様に、例えばポリエステル等で形成されている。また、非インク吸収層43は、基材41に用いられる材料の他に、耐衝撃性を付与するため、クッション性を有する材料を用いてもよい。
【0049】
このインク収納容器40では、インク吸収層42上に非インク吸収層43をメッシュ状に設けることによって、インク吸収層42の吸収容量を越えるようなインクの漏洩が生じても、外面や周囲にインクが漏れ出ることを防止できる。また、インク収納容器40では、外面を形成する非インク吸収層43をメッシュ状に形成することによって、手触りが良くなる。インク収納容器40では、インク吸収層42上に非インク吸収層43を設けることによって、触ったり、外面に物が接触しても接触物にインクが付着せず、接触物が汚れたり、周囲が汚れることを防止できる。
【0050】
なお、上述したインク収納容器30やインク収納容器40では、非インク吸収層33、43を基材31、41に用いられる材料等で形成したが、これらの他に弾性部材を用いてもよい。弾性部材を用いた場合には、例えば表面に凹凸に形成したり、吸盤状に形成する。インク収納容器30、40では、非インク吸収層33、43の表面を凹凸にしたり、吸盤状にすることによって、ケース3の内面とのグリップ性を良くし、輸送時の振動によってケース3との擦れを抑制し、損傷を防止する。
【0051】
以上では、インクが充填されたインク収納容器2、20、30、40を例に挙げて説明したが、このことに限定されず、液体が充填され収納する容器であれば本発明を適用することができ、液体の漏れや容器の損傷を防止することができる。
【0052】
また、上述したインクカートリッジ1は、一回限りの使い切りのものや繰り返して使用することができるものであってもよい。
【0053】
また、上述では、可撓性のインク収納容器2、20、30、40の外面にインク吸収層6、22、32、42を設けて、漏洩したインクを吸収するようにした。本発明は、可撓性を有するインク収納容器2、20、30、40に限らず、樹脂等で形成した剛性を有する容器にも適用することができる。インクが充填されたインク収納容器では、外面に上述した材料からなるインク吸収層を設けることによって、インクが外部に漏洩することを防止できる。また、インク収納容器では、外面にインク吸収層が設けられていることによって、振動や衝撃が直接伝わらず、損傷することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】インクカートリッジの一例を示す斜視図である。
【図2】インク収納容器の一部断面図である。
【図3】他の例のインク収納容器の一部断面図である。
【図4】他の例のインク収納容器の一部断面図である。
【図5】他の例のインク収納容器の一部断面図である。
【符号の説明】
【0055】
1 インクカートリッジ、2 インク収納容器、3 ケース、4 インク供給部材、5 基材、6 インク吸収層、7 非透水層、8 遮断層、9 補強層、10 上ケース、11 下ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非透水性の基材と、上記基材上に設けられた液体を吸収する液体吸収層とを備え、上記基材が内側となり、上記液体吸収層が外側となるように形成されていることを特徴とする液体収納容器。
【請求項2】
該液体収納容器は、可撓性を有することを特徴とする請求項1記載の液体収納容器。
【請求項3】
上記液体吸収層は、毛細管現象により上記液体を吸収することができることを特徴とする請求項1記載の液体収納容器。
【請求項4】
上記液体吸収層は、不織布、布帛、紙、発泡樹脂、多孔質体のうち少なくとも1つ含むことを特徴とする請求項3記載の液体収納容器。
【請求項5】
上記液体吸収層は、液体吸収能を有する高分子からなることを特徴とする請求項1記載の液体収納容器。
【請求項6】
上記液体吸収層は、吸水性高分子、水膨張樹脂、水膨張ゴム、超吸水繊維のうち少なくとも1つ含むことを特徴とする請求項5記載の液体収納容器。
【請求項7】
上記液体吸収層上に上記液体を吸収しない非液体吸収層が設けられていることを特徴とする請求項1記載の液体収納容器。
【請求項8】
上記非液体吸収層は、メッシュ状の層であることを特徴とする請求項7記載の液体収納容器。
【請求項9】
液体を収納する液体容器と、
剛性を有し、上記液体容器を収容するケースとを備え、
上記液体容器は、非透水性の基材と、上記基材上に設けられた液体を吸収する液体吸収層とを備え、上記基材が内側となり、上記液体吸収層が外側となるように形成されていることを特徴とする液体カートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−55139(P2007−55139A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−244925(P2005−244925)
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】