説明

液体吐出装置

【課題】シート部材の動作不良を抑制する。
【解決手段】インクジェットプリンタ1は、インクジェットヘッド2a,2bと、メンテナンスユニット70とを有している。メンテナンスユニット70は、ベルト33,43と、ベルト33,43の外周面34,44から突出した払拭部材61,81と、ベルト33,43を走行させるベルト移動機構とを有している。インクジェットプリンタ1は、メンテナンスユニット70がメンテナンス位置に配置されているときに、ベルト33,43に形成されたインク受取領域34a,44aがベルト33,43に覆われることなく受取位置から非受取位置まで移動するように、且つ、払拭部材61,81がインク吐出領域を払拭するように、ベルト移動機構に含まれる駆動モータ39を制御する制御部をさらに有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を吐出する液体吐出ヘッドを有する液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、搬送装置と記録ヘッドとの間を記録媒体の搬送方向と直交する方向に往復移動可能に配置されたインク受容シートと、インク受容シートを所定位置に配置するシート配置機構とを有するインクジェット記録装置について記載されている。このインクジェット記録装置においては、パージ処理の際に、シート配置機構が巻回状態に収納されたインク受容シートを記録ヘッドと搬送装置との間に引き出す。そして、インク受容シートが記録ヘッドから吐出されたインクを受容する。この後、シート配置機構は、インク受容シートが巻回状態に収納されるようにインク受容シートを移動させる。このとき、インク受容シートの表面に付着したインクがインク除去ローラによって除去される。
【0003】
【特許文献1】特開昭59−108631号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載のインクジェット記録装置においては、インクが付着したインク受容シートを巻回状態に収納する際に、インク除去ローラによって表面からインクが除去されるが、インク受容シートの表面にインクが残存していると、このインクが巻回されたインク受容シートの表面と裏面との間で両者を接着するように増粘又は固化することがある。このように、インクが残存しインクが増粘又は固化すると、シート配置機構がインク受容シートを記録ヘッドと搬送装置との間に引き出そうとしても、巻回状態のインク受容シートが巻解かれずインク受容シートを引き出すことができないことがある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、シート部材の動作不良を抑制することが可能な液体吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液体吐出装置は、液体を吐出する複数の吐出口を含む液体吐出領域が設けられた吐出面を有する液体吐出ヘッドと、前記吐出面に平行な回転軸を有するローラと、前記ローラに架け渡され、前記複数の吐出口から吐出された液体を受け取る液体受取領域を有する帯状のシート部材と、前記シート部材の外周面から突出し前記吐出面と平行な一方向に関して移動しながら前記吐出面を払拭するワイパーと、前記シート部材を移動させるシート部材移動機構とを有するメンテナンスユニットと、前記液体受取領域が前記吐出面と対向するメンテナンス位置及び前記液体受取領域が前記吐出面と対向しない退避位置との間において、前記メンテナンスユニットを移動させるメンテナンス移動機構と、前記メンテナンスユニットが前記メンテナンス位置と前記退避位置との間において移動するように前記メンテナンスユニット移動機構を制御するメンテナンス制御手段と、前記メンテナンス位置において、前記シート部材の前記液体受取領域が、前記液体吐出領域と対向する受取位置と前記液体吐出領域と対向しない非受取位置との間において移動するように前記シート部材移動機構を制御するシート制御手段とを備えている。そして、前記メンテナンスユニットが前記メンテナンス位置にあるときに、前記液体受取領域が前記シート部材自体に覆われることなく前記受取位置から前記非受取位置まで移動するとともに、前記ワイパーが前記液体吐出領域を払拭する。
【0007】
これによると、液体受取領域が受取位置において吐出された液体を受け取った後、シート部材が受取位置から非受取位置に移動しても、液体受取領域がシート部材自体に覆われることがないので、液体受取領域に付着した液体がシート部材の液体受取領域を除く他の領域の内周面に付着しなくなる。そのため、シート部材の動作不良を抑制することができる。
【0008】
本発明において、前記シート部材移動機構が、前記一方向に関して、前記ローラから離隔した駆動ローラを有しており、前記シート部材は、前記ローラ及び前記駆動ローラに架け渡されたエンドレスのベルトであり、前記駆動ローラが回転することによって前記シート部材が移動することが好ましい。これにより、シート部材移動機構の構成が簡易な構成となる。
【0009】
また、本発明において、前記ワイパーは、前記液体受取領域が前記受取位置に配置されているときに、前記吐出面との間において前記液体受取領域を挟む前記シート部材の領域、及び、前記シート部材の前記液体受取領域と交差する領域のいずれかに配置されていることが好ましい。これにより、吐出面と液体受取領域との離隔距離を小さくすることができる。そのため、吐出口から液体受取領域に吐出された液体の液体ミストが気中に漂いにくくなる。
【0010】
また、本発明において、前記シート制御手段は、前記液体受取領域が前記受取位置から前記非受取位置に移動した後、再び前記受取位置に戻る往復移動をするように、前記シート部材移動機構を制御することが好ましい。これにより、ワイパーによって吐出面を2度払拭することが可能になる。そのため、吐出面に付着した液体をより除去することができる。
【0011】
また、本発明において、前記シート部材には、前記外周面から突出し且つ前記ワイパーと隣接して配置された別のワイパーが設けられていることが好ましい。これにより、吐出面を1度払拭する場合でも、吐出面に付着した液体をより効率的に除去することができる。また、吐出面を2度払拭する場合はさらに効率的に吐出面から付着した液体を除去することができる。
【0012】
また、このとき、前記吐出面を払拭するときのワイパー移動方向の下流側に配置された前記ワイパーが前記ワイパー移動方向の上流側に配置された前記別のワイパーよりも大きく撓んでいてもよい。また、このとき、前記吐出面を払拭するときのワイパー移動方向の下流側に配置された前記ワイパーが前記ワイパー移動方向の上流側に配置された前記別のワイパーよりも大きく撓むように、これらワイパーを挟む位置に配置された2つのバックアップ部材をさらに備えている。そして、一方のバックアップ部材は前記上流側に配置された別のワイパーの上流側に配置され、他方のバックアップ部材は前記下流側に配置されたワイパーの下流側に配置されていてもよい。これにより、ワイパー移動方向の下流側に配置されたワイパーで吐出面の摩耗を抑制しながら吐出面に付着した液体をある程度除去することが可能になり、その残りの付着液体を上流側に配置されたワイパーで確実に除去することができる。
【0013】
また、本発明において、前記メンテナンスユニットは、前記液体受取領域に吐出された液体を前記液体受取領域から受け取るトレイを有していることが好ましい。これにより、液体受取領域から液体が流れ落ちてもトレイでその液体を受け取ることができるので、装置内が汚れにくくなる。
【0014】
また、このとき、前記トレイには、前記液体受取領域に付着した液体を清掃する清掃手段が設けられていてもよい。これにより、液体受取領域を清掃することが可能になって、
液体受取領域で受け取った液体が固着しにくくなる。
【0015】
また、このとき、前記清掃手段は、前記液体受取領域に付着した液体を除去する除去部材と、前記除去部材によって除去された液体を溜める貯溜部とを有していてもよい。これにより、液体受取領域に付着した液体を除去するとともに、貯溜部に溜めることができる。
【0016】
また、このとき、前記貯溜部に溜められた液体を排出する排出手段と、前記排出手段から排出された液体を貯溜する廃液貯溜部とをさらに備えていてもよい。これにより、液体を貯溜部から廃液貯溜部に排出することができる。
【0017】
また、本発明において、
複数の前記液体吐出ヘッドが、前記吐出面が前記一方向と直交する方向に千鳥状に2列に配列されており、前記メンテナンスユニットが、各液体吐出ヘッドに対応する複数の前記ローラ、複数の前記シート部材、及び、複数の前記ワイパーを有し、前記シート部材移動機構は、互いに異なる列に属し前記直交する方向に関して隣接する2つの前記液体吐出ヘッドに対応する2つの前記ワイパーが、対応する前記吐出面と当接しながら前記一方向に関して互いに反対方向に移動するように、2つの前記シート部材を移動させることが好ましい。これにより、複数の液体吐出ヘッドが千鳥状に2列に配列されていても、各吐出面を同時に払拭することが可能になる。そのため、吐出面を払拭するための払拭時間が短くなる。
【0018】
また、このとき、1つの前記列に属する前記液体吐出ヘッドと前記一方向に沿って重なり、且つ、別の前記列に属する前記液体吐出ヘッドと前記直交する方向に沿って重なる位置に配置された複数のプレート部材をさらに有しており、1つの前記液体吐出ヘッドに対応する前記シート部材には、前記外周面から突出し当該液体吐出ヘッドと前記一方向に沿って重なる前記プレート部材を払拭するプレート部材用ワイパーが立設されていてもよい。これにより、プレート部材用ワイパーによってプレート部材も払拭することが可能になる。そのため、プレート部材に付着した液体ミストが不意にプレート部材から滴下するのを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
図1は、本発明の第1実施形態に係る液体吐出装置であるインクジェットプリンタ1の模式的な側面図である。図2は、インクジェットプリンタ1の部分的な平面図である。図3は、図2に描かれたIII−III線に沿った断面図である。図4は、図1に示すヘッドユニット4を下方から見たときの平面図である。図1に示すインクジェットプリンタ1は、2つのインクジェットヘッド(液体吐出ヘッド)2a,2bからそれぞれなる4つのヘッド組3a〜3dを有するヘッドユニット4を含むカラーインクジェットプリンタである。このインクジェットプリンタ1には、図1中左方に給紙機構11が、図1中右方に排紙部12が設けられている。
【0021】
インクジェットプリンタ1の内部には、給紙機構11から排紙部12に向かって用紙が搬送される用紙搬送経路が形成されている。給紙機構11には、ピックアップローラ22が設けられている。ピックアップローラ22は、ピックアップモータ130(図7参照)の駆動により回転すると、用紙トレイ21内の最も上方にある用紙を送り出し、図1中左方から右方に送る。用紙搬送経路の中間部には、用紙を副走査方向(搬送方向Bに沿った方向)に搬送させる用紙搬送機構10が配置されている。用紙搬送機構10は、2つのベルトローラ6、7と、両ローラ6、7間に架け渡されるように巻回されたエンドレスの搬
送ベルト8とを有している。
【0022】
搬送ベルト8の外周面8aにはシリコーン処理が施され粘着性を有している。給紙機構11のすぐ下流側には、搬送ベルト8と対向する位置に押さえローラ15が配置されており、給紙機構11から送り出された用紙を搬送ベルト8の外周面8aに押さえ付けている。これにより、外周面8aに押さえ付けられた用紙は、外周面8aの粘着力により保持されながら、搬送方向Bに沿って搬送される。このとき、用紙搬送方向下流側のベルトローラ6は、搬送モータ140(図7参照)から駆動力が与えられ、図1中時計回り(矢印A方向)に回転している。
【0023】
用紙搬送経路に沿って搬送ベルト8のすぐ下流側には、剥離プレート13が設けられている。剥離プレート13は、搬送ベルト8の外周面8aに保持されている用紙を外周面8aから剥離して、右方の排紙部12へ向けて送るように構成されている。
【0024】
搬送ベルト8によって囲まれた領域内には、ほぼ直方体形状のプラテン9が配置されている。このプラテン9は、インクジェットヘッド2a,2bと対向する位置、つまり上側にある搬送ベルト8の下面と接触しており、搬送ベルト8の内周側からこれを支持している。
【0025】
ヘッドユニット4は、図2〜図4に示すように、4つのヘッド組3a〜3dと、8つのフィラープレート(プレート部材)28a,28bと、これらヘッド組3a〜3d及びフィラープレート28a,28bを支持する支持フレーム25とを有している。各ヘッド組3a〜3dを構成するインクジェットヘッド2a,2bは、図2に示すように、それぞれ主走査方向(副走査方向に直交する方向)に長尺な直方体形状を有している。また、インクジェットヘッド2は、図3に示すように、その下端にヘッド本体5を有している。
【0026】
ヘッド本体5の上面には、図3に示すように、カバー14によって部分的に覆われた、インクを一時的に貯溜するリザーバユニット16が固定されている。リザーバユニット16は、主走査方向に関してヘッド本体5よりも長く形成されており、この両側に延出した部分が支持フレーム25とフィラープレート28a,28bとの間に固定されている。この支持フレーム25は、後述の一対の昇降機構51によって鉛直方向に移動可能になっている。
【0027】
ヘッド本体5の底面、すなわち、インク吐出面5aには、図4に示すように、インクを吐出する複数の微小径のノズル(吐出口)5bと、これらノズル5bを内包するインク吐出領域(液体吐出領域)5cと、インク吐出領域5cを取り囲む外側領域5dとが形成されている。
【0028】
また、8つのインクジェットヘッド2a,2bは、図4に示すように、インク吐出面5aが副走査方向(直交する方向)に沿って4つずつ2列に並べられ且つ異なる列に属するインク吐出面5a同士が主走査方向(一方向)に沿って重ならないように千鳥状に配列されている。そして、各ヘッド組3a〜3dは、インク吐出面5aが副走査方向に関して互いに近接し且つ異なる列に係る2つのインクジェットヘッド2a,2bから構成されている。
【0029】
各ヘッド組3a〜3dにそれぞれ属する2つのインクジェットヘッド2a,2bは、インク吐出面5aが副走査方向に沿って互いにオーバーラップしており、用紙に対する印字領域(すなわち、インク吐出領域5c)が主走査方向に連続している。具体的には、1つのインクジェットヘッドのインク吐出領域5c内において、主走査方向に関して隣接するノズル5bのノズル間隔と、主走査方向に関して、ヘッド組3aに属するインクジェット
ヘッド2aのインク吐出面5aにおいて最も内側(図4中右方)に形成されたノズル5bと、インクジェットヘッド2bのインク吐出面5aにおいて最も内側(図3中左方)に形成されたノズル5bとの間隔とが等間隔になるように、インクジェットヘッド2a,2bが配列されている。なお、他のヘッド組3b,3c,3dもヘッド組3aと同様に配置された2つのインクジェットヘッド2a,2bからなる。また、8つのインクジェットヘッド2は、各ヘッド組3a,3b,3c,3dごとに互いに異なる4色のインク(マゼンタ、イエロー、シアン、ブラック)を吐出する。つまり、同じヘッド組に属する2つのインクジェットヘッド2a,2bが、同じ色のインクを吐出する。
【0030】
フィラープレート28は、図3に示すように、その底面がインク吐出面5aと同じ高さレベルに位置するように、支持フレーム25との間においてリザーバユニット16の一部(両側に延在した部分)を挟んだ状態で支持プレート25に固定されている。また、フィラープレート28は、図4に示すように、副走査方向に関してインク吐出面5aと同じ幅を有しつつ主走査方向に長尺に延在する延在部29aと、延在部29aの外側端部から副走査方向に突出する突出部29bとを有しており、L字平面形状に形成されている。
【0031】
8つのフィラープレート28は、インクジェットヘッド2a,2bに対応するものごとにフィラープレート28a,28bに分けられている。そして、インクジェットヘッド2aに対応する4つのフィラープレート28aは、延在部29aが図4中左側の列に属するインク吐出面5aと主走査方向に沿って重なり、且つ、図4中右側の列に属するインク吐出面5aと副走査方向に沿って重なる位置に配置されている。一方、インクジェットヘッド2bに対応する4つのフィラープレート28bは、延在部29aが図4中右側の列に属するインク吐出面5aと主走査方向に沿って重なり、且つ、図4中左側の列に属するインク吐出面5aと副走査方向に沿って重なる位置に配置されている。
【0032】
支持フレーム25は、図2及び図3に示すように、プリンタ1に設けられた一対の昇降機構51により、鉛直方向に移動可能に支持されている。一対の昇降機構51は、副走査方向に関してヘッドユニット4を挟んで両側に配置されている。各昇降機構51は、支持フレーム25を鉛直方向に移動させる駆動源としてのヘッドモータ52と、ヘッドモータ52の軸に固定されたピニオンギヤ53と、ピニオンギヤ53と噛合するラックギヤ54と、ピニオンギヤ53との間にラックギヤ54を挟む位置に配置されたガイド56とを含む。
【0033】
昇降機構51に含まれるヘッドモータ52は、インクジェットプリンタ1の一対の本体フレーム1aにそれぞれ固定されている。一対の本体フレーム1aは、副走査方向に関して対向するよう配置されている。ラックギヤ54は、鉛直方向に延在し、その下端が支持フレーム25の側面に固定されている。ラックギヤ54のピニオンギヤ53とは反対側の側面は、ガイド56と摺動可能に接している。ガイド56は、本体フレーム1aに固定されている。
【0034】
2つのヘッドモータ52を同調させてピニオンギヤ53を正逆方向に回転させると、ラックギヤ54が上又は下方向に移動する。ラックギヤ54の移動に伴い、支持フレーム25がヘッドユニット4と共に鉛直方向に昇降する。
【0035】
通常、8つのインクジェットヘッド2は、インク吐出面5aと搬送面8aとが平行となり、且つこれらの面間に所定の隙間が形成される「印刷位置」(図3中に示すインクジェットヘッド2a,2bの位置)に配置されている。この構成において、搬送ベルト8によって搬送される用紙が8つのヘッド本体5のすぐ下方側を順に通過する際に、この用紙上に所望画像が形成される。一方、インクジェットヘッド2a,2bのメンテナンス時は、支持フレーム25が一対の昇降機構51によって図3中矢印C方向に移動されて、印刷位
置よりも上方に離れた「ヘッドメンテナンス位置」(図9(b)参照)に配置される。
【0036】
次に、インクジェットヘッド2a,2bに対してメンテナンスを行うためのメンテナンスユニット70について説明する。図5は、メンテナンスユニット70及びその近傍の概略側面図である。
【0037】
プリンタ1には、図2及び図3に示すように、インクジェットヘッド2a,2bの左側にメンテナンスユニット70が配置されている。メンテナンスユニット70は、水平移動可能なトレイ71を有している。トレイ71は、上方に開口したほぼ方形の箱形状を有している。
【0038】
トレイ71は、主走査方向に延びた一対のガイド軸96a,96bに摺動可能に支持されている。トレイ71の副走査方向に関して対向する両側壁71a,71bには、2つの軸受け部材97a,97bが設けられている。また、一対のガイド軸96a、96bは、それぞれの両端が本体フレーム1b、1dに固定されており、両フレーム1b、1d間において互いに平行に配置されている。
【0039】
ここで、トレイ71をガイド軸96a、96bに沿って水平方向(矢印D)に移動させる水平移動機構(メンテナンス移動機構)91について説明する。水平移動機構91は、図2に示すように、トレイモータ92、モータプーリ93、アイドルプーリ94、タイミングベルト95、及び、ガイド軸96a、96b等を有する。
【0040】
トレイモータ92は、副走査方向に平行に延びる本体フレーム1bの端部に形成された取り付け部1cに固定されている。モータプーリ93は、トレイモータ92に接続されており、トレイモータ92の駆動に伴って回転する。アイドルプーリ94は、図2中最も左側の本体フレーム1dに回転可能に支持されている。タイミングベルト95は、ガイド軸96aと平行に配設され、モータプーリ93とアイドルプーリ94との間に架け渡されるように巻回されている。また、タイミングベルト95は、軸受け部材97aに接続されている。
【0041】
この構成において、トレイモータ92を駆動すると、モータプーリ93が正又は逆方向に回転するのに伴ってタイミングベルト95が走行する。タイミングベルト95の走行により、タイミングベルト95に軸受け部97aを介して接続されたトレイ71が、水平方向に沿って移動する。
【0042】
メンテナンスユニット70は、インクジェットヘッド2a,2bのメンテナンス非実行時には、図2及び図3に示すように、インクジェットヘッド2a,2bと対向しない「退避位置」にて静止している。そして、メンテナンス実行時、すなわち、メンテナンスユニット70が退避位置からインクジェットヘッド2a,2bと対向する「メンテナンス位置」(図8(a)参照)に移動する際には、予め支持フレーム25が上方(図3中矢印C方向)のヘッドメンテナンス位置まで移動し、8つのインク吐出面5aと搬送面8aとの間にメンテナンスユニット70用のスペースが確保される。この後、メンテナンスユニット70が、図3中矢印D方向に水平移動することになる。
【0043】
メンテナンスユニット70のすぐ下方には、図5に示すように、廃インク貯溜部77及びポンプ(排出手段)78が配置されている。廃インク貯溜部77には、ポンプ78が接続されている。ポンプ78には、後述のインク貯溜部85,86と連通する可撓性のチューブ79a,79bが接続されている。この構成において、ポンプ78を駆動すると、インク貯溜部85,86に溜まったインクがチューブ79a,79bを通ってポンプ78に流れ、ポンプ78から廃インク貯溜部77に排出される。
【0044】
トレイ71内には、図2に示すように、インクジェットヘッド2a及びフィラープレート28aに対してメンテナンスを行うメンテナンス装置30と、インクジェットヘッド2b及びフィラープレート28bに対してメンテナンスを行うメンテナンス装置40とが副走査方向に関して交互に配置され、ともに4つずつ設けられている。
【0045】
メンテナンス装置30は、図2及び図5に示すように、一対のローラ31,32、一対のローラ31,32に架け渡された帯状のベルト(シート部材)33、及び、ベルト33の外周面34から突出して設けられたインク吐出面用の払拭部材61及びフィラープレート28a用の払拭部材62が設けられている。
【0046】
ベルト33は、可撓性を有する材料から構成されており、副走査方向に関して、インク吐出面5aとほぼ同じ幅を有している。また、ベルト33の外周面34には、インクジェットヘッド2aのノズル5bから吐出されたインクを受け取るインク受取領域34aが形成されている。インク受取領域34aはインク吐出面5aとほぼ同じ大きさである。なお、図2において、ベルト33に施されたハッチング領域がインク受取領域34aに相当し、図5において、ベルト33に施されたハッチング領域の外周面34部分がインク受取領域34aに相当する。
【0047】
ローラ31は、副走査方向に延在し且つトレイ71の両側壁71a,71bに回転可能に支持された軸36に固定されている。ローラ32は、副走査方向に延在し且つトレイ71の両側壁71a,71bに固定された軸37に回転可能に支持されている。すなわち、ローラ32はベルト33の走行に伴って回転する従動ローラである。トレイ71の側壁71aには、軸36に回転力を与える駆動モータ39が固定されている。なお、図2において、軸36の上端近傍にはギア38が固定されている。
【0048】
メンテナンス装置40は、一対のローラ41,42、一対のローラ41,42に架け渡された帯状のベルト(シート部材)43、及び、ベルト43の外周面44から突出して設けられたインク吐出面用の払拭部材81及びフィラープレート28b用の払拭部材82が設けられている。
【0049】
ベルト43も、可撓性を有する材料から構成されており、副走査方向に関して、インク吐出面5aとほぼ同じ幅を有している。また、ベルト43の外周面44には、インクジェットヘッド2bのノズル5bから吐出されたインクを受け取るインク受取領域44aが形成されている。インク受取領域44aはインク吐出面5aとほぼ同じ大きさである。なお、図2において、ベルト43に施されたハッチング領域がインク受取領域44aに相当する。
【0050】
ローラ41は、軸36と同様であり且つ軸36に隣接して配置された軸46に固定されている。ローラ42は、軸37と同様であり且つ軸37に隣接して配置された軸47に回転可能に支持されている。すなわち、ローラ42もベルト43の走行に伴って回転する従動ローラである。軸46の上端近傍には、ギア38に噛み合うギア48が固定されており、軸36の回転力を軸46に伝達する。
【0051】
この構成において、駆動モータ39の駆動により、軸36が所定方向に回転すると、4つのローラ31が回転するとともに、4本のベルト33が走行する。また、このとき、2つのギア38,48による回転力の伝達によって軸46が所定方向とは逆方向に回転し、4つのローラ41がローラ31とは逆方向に回転するとともに、4本のベルト43がベルト33とは逆方向に走行する。このような駆動モータ39、軸36,37,46,47及びローラ(駆動ローラ)31,41による簡易な構成によってベルト33,43を移動さ
せるベルト移動機構(シート部材移動機構)が構成されている。なお、ベルト33,43の走行に伴って払拭部材61,62,81,82が移動し、インク吐出面5a及びフィラープレート28a,28bの底面が払拭される。また、軸36が駆動モータ39の駆動により、所定方向とは逆方向に回転したときは、上述と逆の動作が行われる。
【0052】
通常、ベルト33,43は、図5に示すように、メンテナンスユニット70が退避位置からメンテナンス位置に移動したときにインク吐出面5aとそれぞれ対向可能位置であってベルト33,43の主走査方向に延在する2つの部分のうちの上側部分にインク受取領域34a,44aが配置されるように停止されている。すなわち、インク受取領域34a,44aが、ノズル5bから吐出されたインクを受け取ることが可能な「受取位置」に配置されるように、ベルト33,43の走行が停止されている。そして、メンテナンスユニット70がメンテナンス位置に配置され、インク受取領域34a,44aにインクが吐出された後、ベルト移動機構によってインク受取領域34a,44aが受取位置からインク吐出面5aと対向しない「非受取位置」に移動するように、ベルト33,43が走行する。
【0053】
また、払拭部材61,81は、インク受取領域34a,44aが受取位置に配置されているときに、インク受取領域34a,44aと交差する領域、すなわち、図5に示すように、ベルト33,43のローラ32,41に架かっている部分に配置されている。一方、払拭部材62,82は、メンテナンス位置において、インク受取領域34a,44aが受取位置に配置されているときに、インク吐出面5aとの間においてインク受取領域34a,44aを挟むベルト33,43の領域、すなわち、図5に示すように、ベルト33,43の下側部分に配置されている。
【0054】
このように払拭部材61,62,81,82が配置されていることで、メンテナンスユニット70をメンテナンス位置に配置したときに、ベルト33,43の上側部分の外周面34,44から上方に向かって突出する部材が存在しなくなる。そのため、インク吐出面5aとインク受取領域34a,44aとの離隔距離を小さくすることができる。したがって、ノズル5bからインク受取領域34a,44aに吐出されたインクのインクミストが気中に漂いにくくなる。
【0055】
ここで、払拭部材61,62,81,82について図6を参照しつつ、詳述する。図6(a)は払拭部材61の側面図であり、図6(b)及び図6(c)は払拭部材61によってインク吐出面5aを払拭したときの動作状況図である。なお、払拭部材61,62,81,82はいずれも同じ構成を有しているので、ここでは払拭部材61について説明し、他の払拭部材62,81,82の説明を省略する。
【0056】
払拭部材61は、図6(a)に示すように、ゴムなどの弾性部材からなる2つのワイパー64,65と、これらワイパー64,65を挟む位置に配置された2つのバックアップ部材66,67とを有している。ワイパー64,65は、外周面34から突出した状態で配置されており、副走査方向に関してインク吐出領域5cよりも若干大きな幅を有している。また、ワイパー64,65は、その途中部位から先端までの内側部分には切欠き64a,65aが形成されている。
【0057】
このようにワイパー65の内側部分に切欠き65aが形成されていることで、図6(b)に示すように、ベルト33が図中右方に移動しインク吐出面5aを払拭するときに、ワイパー65がそのワイパー移動方向の上流側に配置されたワイパー(別のワイパー)64よりも大きく撓む。また、ワイパー64の内側部分に切欠き64aが形成されていることで、図6(c)に示すように、ベルト33が図中左方に移動しインク吐出面5aを払拭するときに、ワイパー64がワイパー65よりも大きく撓む。これにより、ワイパー移動方
向の下流側に配置されたワイパーでインク吐出面5aの摩耗を抑制しながらインク吐出面5aに付着したインクをある程度除去することが可能になり、その残りの付着インクを上流側に配置されたワイパーで確実に除去することができる。
【0058】
2つのバックアップ部材66,67は、外周面34から突出して形成されており、副走査方向に関して、ワイパー64,65とほぼ同じ幅を有している。また、2つのバックアップ部材66,67のうち、バックアップ部材66がワイパー64に近接して配置されており、バックアップ部材67がワイパー65に近接して配置されている。
【0059】
具体的には、図6(b)に示すように、ベルト33が図中右方に移動したときに、一方のバックアップ部材66がワイパー移動方向上流側に配置されたワイパー64の上流側に配置されており、他方のバックアップ部材67が下流側に配置されたワイパー65の下流側に配置されている。このように2つのバックアップ部材66,67が設けられていることで、ワイパー移動方向の下流側にあるワイパーが上流側にあるワイパーよりも大きく撓みやすくなる。これにより、インク吐出面5aの払拭時における2つのワイパー64,65の撓みの異なりによる上述の効果をさらに確実なものとすることができる。
【0060】
なお、本実施形態においては、ワイパー64,65自体がワイパー移動方向の下流側にあるワイパーが上流側にあるワイパーよりも大きく撓みやすい形状を有しているので、特にバックアップ部材66,67を設けていなくてもよい。また、バックアップ部材66,67を設ける場合は、これらだけでもワイパー64,65の断面形状による上述の効果と同様な効果を得ることができるので、ワイパー64,65に切欠き64a,65aを設けなくてもよい。
【0061】
トレイ71内には、図5に示すように、ベルト33,43のインク受取領域34a,44aに付着したインクを除去する2つのブレード(除去部材)83,84と、ブレード83,84によって除去されたインクを貯溜する2つのインク貯溜部85,86とが設けられている。これらブレード83,84とインク貯溜部85,86とによって清掃手段が構成されている。
【0062】
ブレード83,84は、ゴムなどの弾性部材からなり、副走査方向に延在し且つトレイ71の両側壁71a,71bに回転可能に支持された軸83a,84aに固定されている。また、ブレード83は、副走査方向に関して4本のベルト33に跨るように延在しており、各ベルト33の外周面34に当接可能となっている。また、ブレード84は、副走査方向に関して4本のベルト43に跨るように延在しており、各ベルト43の外周面44に当接可能となっている。トレイ71の側壁71bには、図2に示すように、軸83a,84aを揺動させる2つの揺動モータ87,88が固定されている。揺動モータ87,88は、トレイ71の側壁71bの軸83a,84aと対向する位置に配置されている。
【0063】
この構成において、揺動モータ87,88によって軸83a,84aが所定方向に回転すると、図5において実線で示すブレード83,84が外周面34,44と当接する当接位置から二点鎖線で示すブレード83,84が外周面34,44と当接しない待機位置にブレード83,84が揺動する。一方、軸83a,84aが所定方向とは逆方向に回転すると、ブレード83,84が待機位置から当接位置に揺動する。これらブレード83,84が当接位置にあるときにベルト33,43が走行することで、インク受取領域34a,44aに付着したインクがブレード83,84によって除去される。ブレード83,84によって除去されたインクはインク貯溜部85,86に溜められる。
【0064】
次に、インクジェットプリンタ1の制御系について、図7を参照して説明する。図7は、制御部の概略を示すブロック図である。インクジェットプリンタ1は、プリンタの動作
を制御する制御部100を有する。制御部100は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)と、CPUが実行する制御プログラム及び制御プログラムに使用さ
れるデータが記憶されているROM(Read Only Memory)と、プログラム実行時にデータを一時記憶するためのRAM(Random Access Memory)とを有している。これらは、図7に示す印刷制御部101、搬送制御部102、ヘッド昇降制御部103、ポンプ制御部104、トレイ移動制御部105、ベルト移動制御部106、ブレード移動制御部107などとして機能する。
【0065】
印刷制御部101は、制御部100がPC(パーソナルコンピュータ)120などの外部装置から印刷データを受信したときに、インクジェットヘッド2a,2bを制御し、当該印刷データに基づいて対応するインクジェットヘッド2a,2bからインクを吐出させる。
【0066】
搬送制御部102は、制御部100がPC120などの外部装置から印刷データを受信したときに、ピックアップモータ130及び搬送モータ140を制御し、用紙トレイ21の用紙を搬送ベルト8上に送り出すようにピックアップローラ22を回転させるとともに、搬送ベルト8上の用紙を搬送方向Bに搬送するように、搬送ベルト8を走行させる。
【0067】
ヘッド昇降制御部103は、制御部100がPCなどの外部装置からメンテナンス信号を受信したときに、メンテナンス動作に合わせてヘッドモータ52を制御し、ヘッドユニット4を昇降させる。
【0068】
ポンプ制御部104は、制御部100がPCなどの外部装置からメンテナンス信号を受信したときに、インク供給ポンプ150を制御し、インクタンク(不図示)からインクジェットヘッド2a,2bへインクを強制的に送り、ノズル5bからインクを吐出させる。また、ポンプ制御部104は、メンテナンス動作に合わせてポンプ78を制御し、インク貯溜部85,86に溜まったインクを廃インク貯溜部77に排出する。
【0069】
トレイ移動制御部105は、メンテナンス動作に合わせてトレイモータ92を制御し、メンテナンスユニット70を退避位置とメンテナンス位置との間を移動させる。
【0070】
ベルト移動制御部106は、メンテナンスユニット70がメンテナンス位置にあるときに駆動モータ39を制御し、インク受取領域34a,44aが受取位置から非受取位置に移動させる。このとき、払拭部材61,62,81,82もベルト33,43とともに移動しインク吐出面5a及びフィラープレート28a,28bの底面を払拭する。
【0071】
ブレード移動制御部107は、メンテナンス動作に合わせて揺動モータ87,88を制御し、ブレード83,84を当接位置と待機位置との間を揺動させる。
【0072】
次に、メンテナンスユニット70のメンテナンス動作について図8及び図9を参照しつつ説明する。図8は、インクジェットヘッド2a,2bのパージ動作、及び、インク吐出面5aとフィラープレート28a,28bの底面とを払拭する第1払拭動作を経時的に示す状況図である。図9は、第1払拭動作の後にインク吐出面5aとフィラープレート28a,28bの底面とを再度払拭する第2払拭動作を経時的に示す状況図である。
【0073】
例えば、インクジェットヘッド2a,2bが吐出不良などに陥っていた場合は、ユーザの操作によってPC120からメンテナンス信号が制御部100に送られる。制御部100がメンテナンス信号を受信すると、ヘッドユニット4が印刷位置からヘッドメンテナンス位置に上昇するように、ヘッド昇降制御部103がヘッドモータ140を駆動する。
【0074】
次に、トレイ移動制御部105が、図8(a)に示すように、メンテナンスユニット70が退避位置からメンテナンス位置に移動するように、トレイモータ92を駆動する。このとき、トレイ71内のベルト33,43のインク受取領域34a,44aが受取位置に配置された状態でベルト33,43の走行が停止されているので、メンテナンスユニット70がメンテナンス位置に到達したときに、インク受取領域34a,44aが対応するインクジェットヘッド2a,2bのインク吐出面5a(インク吐出領域5c)と対向する。また、このとき、ブレード83,84は当接位置に配置されている。そして、メンテナンスユニット70がメンテナンス位置に配置された後に、ヘッド昇降制御部103が、図8(a)に示すように、インク吐出面5aとインク受取領域34a,44aとが接触しない程度に接近するように、ヘッドユニット4を下降させる。このとき、上述のように、払拭部材61,81がベルト33,43のローラ32,41に架かっている部分に配置されており、払拭部材62,82がベルト33,43の下側部分に配置されているので、インク吐出面5aを払拭部材61,81で払拭しているときの状態よりもベルト33,43に近づいた位置に配置させることができる。したがって、後述のようにインク受取領域34a,44aにインクが吐出されても、そのインクのインクミストが気中に漂いにくくなる。
【0075】
次に、ポンプ制御部104が、インクジェットヘッド2a,2bからインク受取領域34a,44aにインクが吐出(パージ動作)されるように、インク供給ポンプ150を所定時間だけ駆動する。そして、ヘッド昇降制御部103が、インクジェットヘッド2a,2bからのインク吐出が終了した後、ヘッドユニット4がヘッドメンテナンス位置に上昇するように、ヘッドモータ140を駆動する。
【0076】
次に、ベルト移動制御部106が、図8(b)に示すように、払拭部材61,81が対応するインク吐出面5aの内側端部(インクジェットヘッド2aにおいては左側端部、インクジェットヘッド2bにおいては右側端部)と対向する位置に配置されるまで、駆動モータ39を駆動する。このとき、ローラ31が図中時計回り方向に回転し、払拭部材61が左方から右方に移動する。また、このとき、ローラ41が図中反時計回り方向に回転し、払拭部材81が右方から左方に移動する。すなわち、払拭部材61と払拭部材81とが互いに反対方向に移動する。また、このときには、インク受取領域34a,44aがブレード83,84と当接し、インク受取領域34a,44aに付着したインクがブレード83,84によって除去される。そして、ヘッド昇降制御部103が、図8(b)に示すように、払拭部材61,81のワイパー64,65とインク吐出面5aとが当接する位置までヘッドユニット4を下降させる。このとき、インク吐出面5aは、インク吐出面5aと外周面34,44との離隔距離が、パージ動作が行われているときの状態よりも大きくなる位置に配置されている。
【0077】
次に、ベルト移動制御部106が、先の移動と同様に、図8(c)に示すように、払拭部材61が図中右方に、払拭部材81が図中左方に移動して8つのインクジェットヘッド2a,2bのインク吐出領域5cに付着したインクが払拭されるように、駆動モータ39を駆動する。こうして、8つのインクジェットヘッド2a,2bが千鳥状に2列に配列されていても、インク吐出面5aを同時に払拭することが可能になる。そのため、インク吐出面5aを払拭するための時間が短くなる。
【0078】
そして、払拭部材61,81のそれぞれがインク吐出面5aと対向しない位置に達したときに、ブレード移動制御部107が、ブレード83,84が当接位置から待機位置に移動するように、揺動モータ87,88を駆動する。このときには、インク受取領域34a,44aは、図8(c)に示すように、ブレード83,84と当接する位置を通過した非受取位置に移動しており、インク受取領域34a,44aに付着したインクがブレード83,84によって除去されている。また、ブレード83,84が待機位置に移動することで払拭部材61,81がブレード83,84と接触しなくなる。
【0079】
また、このとき、ポンプ制御部104が、ポンプ78を所定時間だけ駆動し、ブレード83,84によって除去されインク貯溜部85,86に溜まったインクを廃インク貯溜部77に排出する。また、このときに、払拭部材62,82のワイパーがちょうどフィラープレート28a,28bの底面の外側端部と当接し、払拭部材62,82によるフィラープレート28a,28bの払拭が開始される。
【0080】
そして、払拭部材62,82が、図8(d)に示すように、フィラープレート28a,28bの底面の内側端部(フィラープレート28aにおいては右側端部、フィラープレート28bにおいては左側端部)に到達したときに、ベルト移動制御部106が、ベルト33,43の走行を停止するように、駆動モータ39を制御する。これにより、フィラープレート28a,28bの底面もこれらフィラープレート28a,28b用のワイパー(払拭部材62,82)によって払拭され、フィラープレート28a,28bの底面に付着したインクミストが不意にフィラープレート28a,28bから滴下するのを抑制することができる。また、払拭部材62,82が、フィラープレート28a,28bの底面の内側端部と到達したときにその移動を停止することで、払拭部材62,82のワイパーによって拭き取られた異物がインク吐出面5aに付着しなくなる。こうして、インク吐出面5a、及び、フィラープレート28a,28bの第1払拭動作が終了する。
【0081】
次に、ベルト移動制御部106が、図9(a)に示すように、払拭部材62,82がフィラープレート28a,28bの底面を再度払拭するように、且つ、払拭部材61,81がインク吐出面5aを再度払拭するように、駆動モータ39を駆動する。このとき、ローラ31が図中反時計回り方向に回転し、払拭部材62がフィラープレート28aと当接しながら右方から左方に移動し、払拭部材61がインク吐出面5aと当接しながら右方から左方に移動する。また、このとき、ローラ41が図中時計回り方向に回転し、払拭部材82がフィラープレート28bと当接しながら左方から右方に移動し、払拭部材81がインク吐出面5aと当接しながら左方から右方に移動する。
【0082】
また、払拭部材61,81が再度インク吐出面5aを払拭し始めるときであって払拭部材61,81がインク吐出面5aの外側端部と対向する位置に到達したときに、ブレード移動制御部107が、図9(a)に示すように、ブレード83,84が当接位置に移動するように、揺動モータ87,88を駆動する。このときには、インク受取領域34a,44aはブレード83,84と当接する位置に到達していないので、このままベルト33,43が走行することによってインク受取領域34a,44aとブレード83,84が当接し、インク受取領域34a,44aに付着したインクを再度除去することが可能となる。これによって、インク受取領域34a,44aに付着したインクがほとんど除去される。
【0083】
そして、ベルト移動制御部106が、図9(a)に示すように、払拭部材61,81が対応するインク吐出面5aの内側端部と対向する位置に到達したときに、ベルト33,43の走行を停止するように、駆動モータ39を制御する。次に、ヘッド昇降制御部103が、ヘッドユニット4がヘッドメンテナンス位置に上昇するように、ヘッドモータ140を駆動する。
【0084】
次に、ベルト移動制御部106が、図9(b)に示すように、インク受取領域34a,44aが受取位置に配置され、払拭部材61,81がベルト33,43のローラ32,41に架かる位置に配置されるまで、駆動モータ39を駆動する。こうして、第1払拭動作の後にインク受取領域34a,44aが非受取位置から受取位置に戻る往復移動するような、第2払拭動作が終了する。これにより、払拭部材61,62,81,82のワイパーによって、インク吐出面5a、及び、フィラープレート28a,28bの底面が2度払拭され、各面に付着したインクなどの異物をより確実に除去することができる。
【0085】
次に、トレイ移動制御部105が、メンテナンスユニット70がメンテナンス位置から退避位置に移動するように、トレイモータ92を駆動する。その後、ヘッド昇降制御部103が、ヘッドユニット4がヘッドメンテナンス位置から印刷位置に下降するように、ヘッドモータ140を駆動する。こうして、メンテナンス動作が終了する。
【0086】
以上のように、本実施形態のインクジェットプリンタ1によると、インク受取領域34a,44aが受取位置において吐出されたインクを受け取った後に、ベルト33,43が受取位置から非受取位置に移動しても、インク受取領域34a,44aがベルト33,43自体に覆われることがないので、インク受取領域34a,44aに付着したインクがベルト33,43のインク受取領域34a,44aを除く他の領域の内周面に付着しなくなる。そのため、ベルト33,43の動作不良を抑制することができる。
【0087】
また、ベルト33,43に形成された各払拭部材61,62,81,82が2つのワイパーを有しているので、インク吐出面5aを1度払拭する場合でも、インク吐出面5aに付着したインクをより効率的に除去することができる。また、インク吐出面5aを2度払拭する場合はさらに効率的にインク吐出面5aから付着したインクを除去することができる。
【0088】
また、トレイ71内にベルト33,43が配置されているので、インク受取領域34a,44aからインクが流れ落ちても、トレイ71でそのインクを受け取ることができるので、インクジェットプリンタ1内が汚れにくくなる。
【0089】
トレイ71内には、ブレード83,84とインク貯溜部85,86とによって構成された清掃手段が設けられているので、インク受取領域34a,44aを清掃することが可能になってインク受取領域34a,44aで受け取ったインクが固着しにくくなる。
【0090】
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。図10は、本発明の第2実施形態によるメンテナンスユニットを示しており、(a)はメンテナンスユニットの平面図であり、(b)は図10(a)に示すX―X線に沿った断面図である。なお、図10に描かれたハッチングはシート241に形成されたインク受取領域244aを示している。また、図10(a)に描かれた2点鎖線は、メンテナンスユニット270がメンテナンス位置に配置されたときのインクジェットヘッド2a,2b及びフィラープレート28a,28bの外形を示している。
【0091】
本実施形態におけるインクジェットプリンタは、第1実施形態のメンテナンスユニット70と構成が若干異なるメンテナンスユニット270を有している。図10に示すように、メンテナンスユニット270は、第1実施形態のトレイ71と同様なトレイ271を有している。トレイ271も水平移動機構91によって退避位置とメンテナンス位置との間を水平移動する。
【0092】
トレイ271内には、図10に示すように、一対のローラ231,232と、一端がローラ232に固定され、途中部位がローラ231に架け渡された帯状のシート241と、シート241の外周面244から突出して設けられたワイパー261と、ワイパー261及びシート241を移動させる移動機構(シート部材移動機構)250とが設けられている。なお、移動機構250を構成する駆動モータ253だけトレイ271の外側に設けられている。
【0093】
シート241は、可撓性を有する材料から構成されており、副走査方向に関して、8つのインク吐出面5a全体よりも若干大きな幅を有している。また、シート241の外周面
244には、8つのインクジェットヘッド2a,2bから吐出されたインクを受け取るインク受取領域244aが形成されている。インク受取領域244aは、8つのインク吐出面5a全体よりも若干大きなサイズとなっている。
【0094】
ローラ231は、副走査方向に延在し且つトレイ271の副走査方向に関して対向する両側壁271a,271bに固定された軸236に回転可能に支持されている。すなわち、ローラ231は、シート241の移動に伴って回転する従動ローラである。ローラ232は、副走査方向に延在し且つトレイ271の両側壁271a,271bに回転可能に支持された軸237に固定されている。軸237は、図10(b)中反時計回り方向の回転力が図示しない回転機構によって常に付与されている。これによって、シート241及びワイパー261が移動したときに弛んだシート241がローラ232に自動的に巻き取られる。
【0095】
ワイパー261は、ゴムなどの弾性部材から形成されており、副走査方向に関して、シート241の幅とほぼ同じ長さに延在している。ワイパー261は、シート241の他端に固定された支持部材262上に立設されている。支持部材262の副走査方向の両端部には、下方に突出した突出部263が形成されている。これら突出部263には、貫通孔が形成されており、この貫通孔に後述のガイド251,252が挿通されている。
【0096】
移動機構250は、主走査方向に延在した丸棒状のガイド251,252と、ガイド251を軸周り方向に回転させる駆動モータ253とを有している。ガイド251は、ガイド251が挿通する突出部263の貫通孔の内周面に形成された雌ねじと噛み合う雄ねじが、ガイド251の外周面全体に形成されている。
【0097】
この構成において、駆動モータ253によってガイド251が所定方向に回転すると、支持部材262がガイド251,252に沿って図10中右方から左方に水平移動し、この移動に伴ってワイパー261及びシート241も移動する。具体的には、メンテナンス位置において、インク受取領域244aがインク吐出面5aと対向する「受取位置」(図10に示すシート241の位置)からインク吐出面5aと対向しない「非受取位置」(図12(b)参照)に移動する。一方、ガイド251が所定方向とは逆方向に回転すると、支持部材262及びワイパー261がガイド251,252に沿って図10中左方から右方に水平移動し、メンテナンス位置において、インク受取領域244aが非受取位置から受取位置に移動する。このとき、支持部材262の移動に伴ってローラ232からシート241が自動的に巻き出される。
【0098】
トレイ271内には、シート241のインク受取領域244aに付着したインクを除去する清掃部材275が設けられている。清掃部材275は、ローラ231近傍の主走査方向に延在する側壁271cに固定されている。また、清掃部材275は、その一表面が常にシート241の外周面244と当接するように配置されている。清掃部材275は、スポンジなどの多孔質部材から構成されており、インク受取領域244aに付着したインクを吸い取ってインク受取領域244aから除去する。
【0099】
次に、インクジェットプリンタの制御系について、図11を参照して説明する。図11は、制御部の概略を示すブロック図である。インクジェットプリンタは、プリンタの動作を制御する制御部200を有する。なお、第1実施形態の制御部100と同様なものに関しては同符号を示し説明を省略する。制御部200には、第1実施形態の制御部100と同様に、印刷制御部101、搬送制御部102、ヘッド昇降制御部103、ポンプ制御部204、トレイ移動制御部105、支持部材移動制御部(シート制御手段)206などが構築されている。
【0100】
ポンプ制御部204は、制御部100がPCなどの外部装置からメンテナンス信号を受信したときに、インク供給ポンプ150を制御し、インクタンク(不図示)からインクジェットヘッド2a,2bへインクを強制的に送り、ノズル5bからインクを吐出させる。
【0101】
支持部材移動制御部206は、メンテナンスユニット270がメンテナンス位置にあるときに駆動モータ253を制御し、インク受取領域244aが受取位置と非受取位置との間を移動するように、支持部材262を移動させる。このとき、ワイパー261も支持部材262及びシート241とともに移動しインク吐出面5a及びフィラープレート28a,28bの底面を払拭する。
【0102】
次に、メンテナンスユニット270のメンテナンス動作について図12を参照しつつ説明する。図12は、インクジェットヘッド2a,2bのパージ動作、及び、インク吐出面5aとフィラープレート28a,28bの底面とを払拭する払拭動作を経時的に示す状況図である。
【0103】
本実施形態においても、例えば、インクジェットヘッド2a,2bが吐出不良などに陥っていた場合は、ユーザの操作によってPC120からメンテナンス信号が制御部200に送られる。制御部200がメンテナンス信号を受信すると、ヘッドユニット4が印位置からヘッドメンテナンス位置(図12(c)参照)に上昇するように、ヘッド昇降制御部103がヘッドモータ140を駆動する。
【0104】
次に、トレイ移動制御部105が、図12(a)に示すように、メンテナンスユニット270が退避位置からメンテナンス位置に移動するように、トレイモータ92を駆動する。このとき、トレイ271内のシート241のインク受取領域244aが受取位置に配置された状態でシート241の移動が停止されているので、メンテナンスユニット270がメンテナンス位置に到達したときに、インク受取領域244aが8つのインクジェットヘッド2a,2bのインク吐出面5a(インク吐出領域5c)と対向する。そして、メンテナンスユニット270がメンテナンス位置に配置された後に、ヘッド昇降制御部103が、インク吐出面5aとインク受取領域244aとが接触しない程度に接近するように、ヘッドユニット4を下降させる。このとき、ワイパー261はヘッドユニット4の底面と対向しない位置に配置されているので、第1実施形態と同様にインク吐出面5aとインク受取領域244aとを接触しない程度に接近させることが可能である。すなわち、インク吐出面5aは、インク吐出面5aと外周面244との離隔距離がインク吐出面5aをワイパー261で払拭しているときの状態よりも小さくなるように配置されている。このため、後述のようにインク受取領域244aにインクが吐出されても、そのインクのインクミストが気中に漂いにくくなる。
【0105】
次に、ポンプ制御部204が、インクジェットヘッド2a,2bからインク受取領域244aにインクが吐出される(パージ動作)ように、インク供給ポンプ150を所定時間だけ駆動する。そして、インクジェットヘッド2a,2bからのインク吐出が終了した後、ヘッド昇降制御部103が、図12(a)に示すように、インク吐出面5a及びフィラープレート28a,28bの底面がワイパー261の先端と当接可能な位置まで上昇するように、ヘッドモータ140を駆動する。このとき、インク吐出面5aは、インク吐出面5aと外周面244との離隔距離が、パージ動作が行われているときの状態よりも大きくなる位置に配置されている。
【0106】
次に、支持部材移動制御部206が、図12(b)に示すように、ワイパー261が図中右方から左方に移動してインク吐出面5a及びフィラープレート28a,28bの底面を払拭するように、駆動モータ253を駆動する。このときのワイパー261の移動に伴って、シート241がローラ232によって巻き取られながら移動するとともに、インク
受取領域244aが受取位置から非受取位置に移動する。さらに、このとき、シート241の移動に伴ってインク受取領域244aが清掃部材275と当接するので、インク受取領域244aに付着したインクが清掃部材275によって除去される。
【0107】
そして、ワイパー261がインク吐出面5a及びフィラープレート28a,28bと対向しない位置に到達したときに、支持部材移動制御部206が駆動モータ253の駆動を停止する。このとき、非受取位置に存在するインク受取領域244aが第1実施形態と同様に自身のシート241によって覆われていないので、インク受取領域244aに付着したインクがシート241のインク受取領域244aを除く他の領域の内周面に付着しなくなる。そのため、シート241の動作不良を抑制することができる。こうして、8つのインクジェットヘッド2a,2bのインク吐出面5a(インク吐出領域5c)の払拭動作が終了する。
【0108】
次に、ヘッド昇降制御部103が、図12(c)に示すように、ヘッドユニット4がヘッドメンテナンス位置に上昇するように、ヘッドモータ140を駆動する。そして、支持部材移動制御部206が、ワイパー261が元の位置に戻るように、且つ、インク受取領域244aが非受取位置から受取位置まで戻るように、駆動モータ253を駆動する。このときのシート241の移動に伴って、ローラ232に巻き取られたシート241がローラ232から巻き出される。さらに、インク受取領域244aと清掃部材275とが当接するのでインク受取領域244aからインクが除去される。
【0109】
次に、トレイ移動制御部105が、メンテナンスユニット270がメンテナンス位置から退避位置に移動するように、トレイモータ92を駆動する。その後、ヘッド昇降制御部103が、ヘッドユニット4がヘッドメンテナンス位置から印刷位置に下降するように、ヘッドモータ140を駆動する。こうして、メンテナンス動作が終了する。
【0110】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、各実施形態においては、メンテナンス時に、ベルト33,43及びシート241を主走査方向に移動させているが、副走査方向に移動させる構成であってもよい。この場合、ワイパーなども副走査方向に移動する。また、各実施形態において、8つのインクジェットヘッド2a,2bが設けられているが、1つのインクジェットヘッドだけを有していてもよいし、複数のインクジェットヘッドを有する場合は千鳥状に配列されていなくてもよい。また、複数のフィラープレート28a,28bは互いに繋がった一枚のプレート部材から構成されていてもよい。また、フィラープレート28a,28bが設けられていなくてもよい。この場合、第1実施形態においては、フィラープレート28a,28bの底面を払拭する払拭部材62,82を設けなくてもよい。また、第1実施形態においては、払拭部材61,62,81,82がそれぞれ2つのワイパーを有しているが、1つのワイパーだけを有していてもよい。また、バックアップ部材66,67が設けられていなくてもよい。また、ワイパー64,65に切欠き64a,65aが設けられていなくてもよい。
【0111】
また、上述した各実施形態は、ノズルからインクを吐出する複数のインクジェットヘッドを有するインクジェットプリンタに本発明を適用した一例であるが、本発明の適用可能対象はこのようなインクジェットプリンタに限られない。例えば、導電ペーストを吐出して基板上に微細な配線パターンを形成したり、あるいは、有機発光体を基板に吐出して高精細ディスプレイを形成したり、さらには、光学樹脂を基板に吐出して光導波路等の微小電子デバイスを形成するための、複数の液体吐出ヘッドを有する、種々の液体吐出装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液体吐出装置であるインクジェットプリンタの模式的な側面図である。
【図2】インクジェットプリンタの部分的な平面図である。
【図3】図2に描かれたIII−III線に沿った断面図である。
【図4】図1に示すヘッドユニットを下方から見たときの平面図である。
【図5】メンテナンスユニット及びその近傍の概略側面図である。
【図6】(a)は払拭部材の側面図であり、(b)及び(c)は払拭部材によってインク吐出面を払拭したときの動作状況図である。
【図7】制御部の概略を示すブロック図である。
【図8】インクジェットヘッドのパージ動作、及び、インク吐出面とフィラープレートの底面とを払拭する第1払拭動作を経時的に示す状況図である。
【図9】第1払拭動作の後にインク吐出面とフィラープレートの底面とを再度払拭する第2払拭動作を経時的に示す状況図である。
【図10】本発明の第2実施形態によるメンテナンスユニットを示しており、(a)はメンテナンスユニットの平面図であり、(b)は図10(a)に示すX―X線に沿った断面図である。
【図11】制御部の概略を示すブロック図である。
【図12】インクジェットヘッドのパージ動作、及び、インク吐出面とフィラープレートの底面とを払拭する払拭動作を経時的に示す状況図である。
【符号の説明】
【0113】
1 インクジェットプリンタ(液体吐出装置)
2a,2b インクジェットヘッド(液体吐出ヘッド)
5a インク吐出面
5b ノズル(吐出口)
5c インク吐出領域(液体吐出領域)
28a,28b フィラープレート(プレート部材)
31,41 ローラ(駆動ローラ)
32,42,231 ローラ
33,43 ベルト(シート部材)
34,44,244 外周面
34a,44a,244a インク受取領域(液体受取領域)
39 駆動モータ
61,62,81,82 払拭部材
64,65 ワイパー
66,67 バックアップ部材
70,270 メンテナンスユニット
71、271 トレイ
77 廃インク貯溜部(廃液貯溜部)
78 ポンプ (排出手段)
83,84 ブレード(除去部材)
85,86 インク貯溜部(貯溜部)
91 水平移動機構(メンテナンス移動機構)
105 トレイ移動制御部(メンテナンス制御手段)
106 ベルト移動制御部(シート制御手段)
206 支持部材移動制御部(シート制御手段)
241 シート(シート部材)
250 移動機構(シート部材移動機構)
275 清掃部材(清掃手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する複数の吐出口を含む液体吐出領域が設けられた吐出面を有する液体吐出ヘッドと、
前記吐出面に平行な回転軸を有するローラと、前記ローラに架け渡され、前記複数の吐出口から吐出された液体を受け取る液体受取領域を有する帯状のシート部材と、前記シート部材の外周面から突出し前記吐出面と平行な一方向に関して移動しながら前記吐出面を払拭するワイパーと、前記シート部材を移動させるシート部材移動機構とを有するメンテナンスユニットと、
前記液体受取領域が前記吐出面と対向するメンテナンス位置及び前記液体受取領域が前記吐出面と対向しない退避位置との間において、前記メンテナンスユニットを移動させるメンテナンス移動機構と、
前記メンテナンスユニットが前記メンテナンス位置と前記退避位置との間において移動するように前記メンテナンスユニット移動機構を制御するメンテナンス制御手段と、
前記メンテナンス位置において、前記シート部材の前記液体受取領域が、前記液体吐出領域と対向する受取位置と前記液体吐出領域と対向しない非受取位置との間において移動するように前記シート部材移動機構を制御するシート制御手段とを備えており、
前記メンテナンスユニットが前記メンテナンス位置にあるときに、前記液体受取領域が前記シート部材自体に覆われることなく前記受取位置から前記非受取位置まで移動するとともに、前記ワイパーが前記液体吐出領域を払拭することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記シート部材移動機構が、前記一方向に関して、前記ローラから離隔した駆動ローラを有しており、
前記シート部材は、前記ローラ及び前記駆動ローラに架け渡されたエンドレスのベルトであり、前記駆動ローラが回転することによって前記シート部材が移動することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記ワイパーは、前記液体受取領域が前記受取位置に配置されているときに、前記吐出面との間において前記液体受取領域を挟む前記シート部材の領域、及び、前記シート部材の前記液体受取領域と交差する領域のいずれかに配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記シート制御手段は、前記液体受取領域が前記受取位置から前記非受取位置に移動した後、再び前記受取位置に戻る往復移動をするように、前記シート部材移動機構を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記シート部材には、前記外周面から突出し且つ前記ワイパーと隣接して配置された別のワイパーが設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記吐出面を払拭するときのワイパー移動方向の下流側に配置された前記ワイパーが前記ワイパー移動方向の上流側に配置された前記別のワイパーよりも大きく撓むことを特徴とする請求項5に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記吐出面を払拭するときのワイパー移動方向の下流側に配置された前記ワイパーが前記ワイパー移動方向の上流側に配置された前記別のワイパーよりも大きく撓むように、これらワイパーを挟む位置に配置された2つのバックアップ部材をさらに備えており、
一方のバックアップ部材は前記上流側に配置された別のワイパーの上流側に配置され、
他方のバックアップ部材は前記下流側に配置されたワイパーの下流側に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記メンテナンスユニットは、前記液体受取領域に吐出された液体を前記液体受取領域から受け取るトレイを有していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記トレイには、前記液体受取領域に付着した液体を清掃する清掃手段が設けられていることを特徴とする請求項8に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
前記清掃手段は、前記液体受取領域に付着した液体を除去する除去部材と、前記除去部材によって除去された液体を溜める貯溜部とを有していることを特徴とする請求項9に記載の液体吐出装置。
【請求項11】
前記貯溜部に溜められた液体を排出する排出手段と、
前記排出手段から排出された液体を貯溜する廃液貯溜部とをさらに備えていることを特徴とする請求項10に記載の液体吐出装置。
【請求項12】
複数の前記液体吐出ヘッドが、前記吐出面が前記一方向と直交する方向に千鳥状に2列に配列されており、
前記メンテナンスユニットが、各液体吐出ヘッドに対応する複数の前記ローラ、複数の前記シート部材、及び、複数の前記ワイパーを有し、
前記シート部材移動機構は、互いに異なる列に属し前記直交する方向に関して隣接する2つの前記液体吐出ヘッドに対応する2つの前記ワイパーが、対応する前記吐出面と当接しながら前記一方向に関して互いに反対方向に移動するように、2つの前記シート部材を移動させることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項13】
1つの前記列に属する前記液体吐出ヘッドと前記一方向に沿って重なり、且つ、別の前記列に属する前記液体吐出ヘッドと前記直交する方向に沿って重なる位置に配置された複数のプレート部材をさらに有しており、
1つの前記液体吐出ヘッドに対応する前記シート部材には、前記外周面から突出し当該液体吐出ヘッドと前記一方向に沿って重なる前記プレート部材を払拭するプレート部材用ワイパーが立設されていることを特徴とする請求項12に記載の液体吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−121333(P2012−121333A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−68918(P2012−68918)
【出願日】平成24年3月26日(2012.3.26)
【分割の表示】特願2008−17315(P2008−17315)の分割
【原出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】