説明

液体吐出装置

【課題】吐出口近傍に付着した異物が吐出口内に吸い込まれるのを抑制する。
【解決手段】インクジェットプリンタは、サブタンク80と、パージポンプ86と、インクジェットヘッド1と、吐出面2aを払拭するワイパと、パージポンプ86を制御する制御装置を有している。制御装置は、吐出口からインクを吐出する吐出口パージ動作が終了してからワイパで吐出面2aを払拭する払拭動作が開始されるまでの間に、サブタンク80内のインクをインクジェットヘッド1に供給し、インクメニスカスのインク側に生じる負圧以上であってインクメニスカスの耐圧以下の圧力がインクジェットヘッド1の内部流路に生じるインク供給動作が開始されるとともに、当該インク供給動作が払拭動作中においても継続されるように、パージポンプ86を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出口から液体を吐出する液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の吐出口からインク滴を吐出させるインクジェットヘッドにおいて、インクジェットヘッド内のヘッド流路に、ポンプを用いてインクを強制的に供給することによって、吐出口近傍の流路に存在する気泡や増粘したインクを吐出口から排出して吐出口のクリーニングを行う技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、三方弁を閉じて排出路を閉塞した後、ポンプを動作させてヘッド流路のインクを所定時間だけ加圧し、吐出口からインクを吐出させて吐出口のクリーニングを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−29111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術においては、吐出口クリーニングにおいて、排出された気泡や増粘したインクが吐出口近傍に付着することがある。この場合、ワイパなどで払拭することによって、気泡や増粘したインクを除去することが考えられるが、例えば、水頭差によってヘッド内のインクに負圧が加えられる構成の場合、吐出口付近のインクには吐出口クリーニングの終了後に負圧がかかる。このため、吐出口近傍に付着した気泡や増粘インクが吐出口からヘッド内に入り込む虞があり、吐出口に気泡や増粘インクが入り込むと吐出不良が生じる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、吐出口近傍に付着した異物が吐出口内に吸い込まれるのを抑制する液体吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液体吐出装置は、液体が流入する流入口と、液体が流出する流出口と、前記流入口と前記流出口とを連通する内部流路と、液体を吐出するための複数の吐出口が形成された吐出面と、前記内部流路から分岐して前記複数の吐出口に至る複数の個別液体流路とを有する液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドに供給される液体が内部に貯溜されたタンクと、前記タンクの内部と前記流入口とを連通する供給流路と、前記流出口と連通する排出流路と、前記タンクに貯留された液体を、前記供給流路を介して前記内部流路に供給する供給手段と、前記吐出面を払拭するワイパと、前記ワイパが前記吐出面に接触しながら前記吐出面に対して相対移動するように、前記ワイパ及び前記液体吐出ヘッドの少なくとも一方を移動させる移動機構と、前記吐出口に形成された液体メニスカスが破壊されない最大の圧力である前記液体メニスカスの耐圧よりも大きな圧力を前記内部流路に生じさせて、前記吐出口から液体を強制的に排出させる吐出口パージ動作が行われるように前記供給手段を制御するとともに、前記吐出口パージ動作が行われた後に、前記ワイパで前記吐出面を払拭する払拭動作が行われるように前記移動機構を制御する制御手段とを備えている。そして、前記制御手段は、前記吐出口パージ動作終了から前記払拭動作が開始されるまでに、前記タンクの液体を前記供給流路、前記内部流路及び前記排出流路の順に移送させ、所定の負圧以上であって前記液体メニスカスの耐圧以下の圧力が前記液体メニスカスの液体側に生じる液体供給動作が開始されるとともに、当該液体供給動作が少なくとも前記払拭動作中においても継続されるように、前記供給手段を制御する。
【0007】
これによると、吐出口パージ動作から払拭動作が開始されるまでの間に、液体供給動作が開始されるとともに、払拭動作中においても液体供給動作が継続されるので、吐出口近傍に付着した異物(増粘液体、気泡及び埃など)が、例えば、液体メニスカスの液体側の圧力が負圧になることで吐出口内に吸い込まれるのを抑制することが可能となる。このため、吐出口からの液体吐出不良を抑制することが可能となる。
【0008】
本発明において、前記制御手段は、前記吐出口パージ動作終了と同時に前記液体供給動作が開始されるように前記供給手段を制御することが好ましい。これにより、吐出口パージ動作の終了と同時に吐出口近傍に付着した異物が吐出口内に吸い込まれるのを抑制することが可能となる。
【0009】
また、本発明において、前記制御手段は、少なくとも前記ワイパが前記吐出面における前記複数の吐出口の形成領域を通過し終えるまでの間、前記液体供給動作が継続して行われるように前記供給手段を制御することが好ましい。これにより、払拭前の吐出口近傍に付着した異物が吐出口内に吸い込まれるのを効果的に抑制することが可能となる。
【0010】
また、本発明において、前記制御手段は、前記吐出口パージ動作に先立って、前記液体供給動作を行うように前記供給手段を制御することが好ましい。これにより、吐出口パージ動作を行う前に、供給流路、内部流路及び排出流路内の気泡を排出することが可能となる。
【0011】
また、本発明において、前記供給手段が、前記タンクに貯留された液体を前記内部流路に供給するポンプと、前記排出流路の液体の流通を遮断可能な液体遮断弁とを有しており、前記制御手段は、前記液体供給動作中に前記液体の流通を遮断するように前記液体遮断弁を制御するとともに引き続き前記ポンプを駆動することによって、前記液体供給動作を終了させて前記吐出口パージ動作に移行することが好ましい。これにより、液体供給動作によって内部流路に圧力が生じている状態で吐出口パージ動作に移行するため、吐出口パージ動作時の内部流路に生じる圧力が、瞬時に所望圧力となる。このため、液体排出開始時からすべての吐出口に高い圧力が付与されて液体が排出される。したがって、吐出口内の増粘した液体、気泡及び異物を効率よく排出することができると共に、液体が無駄に排出されるのを抑制することができる。
【0012】
また、本発明において、前記制御手段は、前記吐出口パージ動作中に前記液体が流通するように前記液体遮断弁を制御するとともに引き続き前記ポンプを駆動することによって、前記吐出口パージ動作を終了させて前記液体供給動作に移行することが好ましい。これにより、吐出口パージ動作から液体供給動作へと簡単に移行することが可能となる。
【0013】
また、本発明において、前記制御手段は、少なくとも前記吐出パージ動作に続いて行われる前記液体供給動作において、前記ポンプによる液体供給量を前記吐出口パージ動作におけるよりも小さくするように、前記ポンプを制御することが好ましい。これにより、液体供給動作において、吐出口から液体が漏れるのを抑制することが可能となる。
【0014】
また、本発明において、前記排出流路は、前記タンクの内部と前記流出口とを連通させていることが好ましい。これにより、排出流路に移送されてきた液体がタンクに戻されるため、廃棄する液体量を効果的に減少させることができる。
【0015】
また、本発明において、前記タンクは、前記液体吐出ヘッドに対して、貯留された液体の液面に対する前記液体メニスカスにおける液体側の圧力が負圧となる位置関係に配置されていることが好ましい。これにより、液体メニスカスには負圧が加えられることになるので、気泡排出用の液体供給動作や吐出口パージ動作において、負圧に相当する分だけの液体供給量を増加させることが可能となる。このため、流路内の異物を効果的に排出することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の液体吐出装置によると、吐出口パージ動作から払拭動作が開始されるまでの間に、液体供給動作が開始されるとともに、払拭動作中においても液体供給動作が継続されるので、吐出口近傍に付着した異物(増粘液体、気泡及び埃など)が、例えば、液体メニスカスの液体側の圧力が負圧になることで吐出口内に吸い込まれるのを抑制することが可能となる。このため、吐出口からの液体吐出不良を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタの概略平面図である。
【図2】図1に示すインクジェットヘッド及びインク供給ユニットの断面図である。
【図3】図2に示すヘッド本体の平面図である。
【図4】図3に示す一点鎖線で囲まれた領域の拡大図である。
【図5】図4に示すインクジェットヘッドの部分断面図である。
【図6】図2に示すパージポンプの動作特性を示すグラフである。
【図7】図1に示す制御装置の機能ブロック図である。
【図8】インク循環動作を行ったときのインクの流れを示す図である。
【図9】図1に示すインクジェットプリンタの動作シーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0019】
インクジェットプリンタ101は、用紙Pを収納・供給する給紙部、用紙Pを搬送する搬送部、用紙Pに画像を形成する画像形成部、及び、画像形成後の用紙Pを収容する排紙部が用紙搬送経路に沿って配置されている。このうち、搬送部は、図1に示すように、主に搬送ユニット20から構成される。画像形成部は、4つのインクジェットヘッド1、4つのインク供給ユニット10、ヘッド昇降機構40、メンテナンスユニット30等を含む。インクジェットプリンタ101は、さらに制御装置16を含む。画像形成を行う際、搬送ユニット20により搬送される用紙Pに、インクジェットヘッド1からインクが吐出される。メンテナンスユニット40によってインクジェットヘッド1をメンテナンスする際に、ヘッド昇降機構40が駆動される。制御装置16は、これらの動作に加え、インクジェットプリンタ101全体の動作を制御する。
【0020】
搬送ユニット20は、2つのベルトローラ6、7と、両ローラ6、7間に架け渡されたエンドレスの搬送ベルト8とを有している。ベルトローラ7は、駆動ローラであって、図示しない搬送モータからの駆動力で回転する。ベルトローラ7が回転すると、搬送ベルト8が走行する。ベルトローラ6は、従動ローラであって、搬送ベルト8が走行するのに伴って回転する。搬送ベルト8の外周面に載置された用紙Pは、図1中下方へと搬送される。なお、本実施形態において、副走査方向とは搬送ユニット20による用紙Pの搬送方向と平行な方向であり、主走査方向とは副走査方向(図1中矢印A参照)に直交する方向であって、水平面に沿った方向である。
【0021】
搬送ベルト8の上側ループの外周面は、吐出面2aと対向し平行である。用紙Pが4つのインクジェットヘッド1の下方を通過する際に、各インクジェットヘッド1から各色のインク滴が順に吐出され、用紙P上に所望のカラー画像が形成される。
【0022】
4つのインクジェットヘッド1は、それぞれ主走査方向に沿って延在したライン式のインクジェットヘッドである。これらインクジェットヘッド1は、枠状のヘッドフレーム(不図示)に固定され、互いに平行且つ副走査方向に隣接配置されている。各インクジェットヘッド1の下面は、複数の吐出口108が開口する吐出面2aである(図2〜図4参照)。吐出面2aには、複数の吐出口108がマトリクス状(図4参照)に形成されて、吐出口形成領域2bが構成されている(図1参照)。4つのインクジェットヘッド1からは、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローのインク滴が吐出される。
【0023】
インク供給ユニット10は、タンク、ポンプ、弁等の集合体であって、インクが貯留され、インクジェットヘッド1に対してインクの供給と循環や強制的供給を行う。インク供給ユニット10は、図1に示すように、インクジェットヘッド1毎に設けられており、インクジェットヘッド1の左方端部近傍に配置されている。
【0024】
ヘッド昇降機構40は、ヘッドフレームを昇降し、インクジェットヘッド1が印刷位置と退避位置の間で移動する。印刷位置では、インクジェットヘッド1が搬送ベルト8と印刷に適した間隔で対向する。退避位置では、インクジェットヘッド1が搬送ベルト8から印刷位置以上の間隔で離隔する。退避位置では、インクジェットヘッド1と搬送ユニット20との間の空間を、メンテナンスユニット30の基部31およびワイパ32が移動可能である。これにより、通常、この空間に対して主走査方向にずれて待機しているワイパ32を、当該空間に配置してヘッド1の吐出面2aを払拭することが可能となる。
【0025】
メンテナンスユニット30は、図1に示すように、副走査方向に延在した基部31と、基部31に固定された4つのワイパ32と、移動機構33とを有している。4つのワイパ32は、後述のメンテナンス動作に係る払拭動作において、インクジェットヘッド1の吐出面2aを払拭する弾性部材である。各ワイパ32は、副走査方向に関して、吐出面2aよりも若干長く形成されている。
【0026】
移動機構33は、ガイド対34と、駆動モータ(不図示)とを有しており、基部31とともに4つのワイパ32を主走査方向(図1矢印B参照)に沿って往復移動させる。ガイド対34は、主走査方向に沿って延在する2本の丸棒34a,34bからなり、このうちの一方の丸棒34aの外周面には雄ネジが形成されている。そして、駆動モータは、丸棒34aを回転させる。2つの丸棒34a,34bは、インクジェットヘッド1の側面に沿って配置され、すべてのインクジェットヘッド1を副走査方向に挟む。
【0027】
基部32の副走査方向の両端には、主走査方向に貫通する孔が形成されており、各孔に丸棒34a,34bが貫挿されている。そして、丸棒34aが貫挿した孔の内周面には、丸棒34aの雄ネジに螺合する雌ネジが形成されている。一方、丸棒34bが貫挿した孔の内周面は、丸棒34bがスライド可能となっている。このため、制御装置16の制御の下、駆動モータによって、丸棒34aが軸を中心として正及び逆回転すると、4つのワイパ32が基部31とともに主走査方向に往復移動する。払拭時以外のときは待機位置(図1に示す位置であって、図1中インクジェットヘッド1よりも右方の位置)に配置され、払拭時には待機位置から図1中左方に移動して吐出面2aを払拭し、その後、吐出面2aを通過した位置から図1中右方に移動して待機位置に戻る。
【0028】
次に、図2を参照しつつ、インクジェットヘッド1について詳細に説明する。図2に示すように、インクジェットヘッド1は、リザーバユニット71と、ヘッド本体2とを有している。
【0029】
リザーバユニット71は、ヘッド本体2の上面に固定されており、ヘッド本体2にインクを供給する流路形成部材である。リザーバユニット71には、下面に流入口72aと流出口73aが配置され、内部に内部流路が形成されている。内部流路は、インク流入流路72、排気流路73、及び10個のインク流出流路75から構成される。流入口72aはインク流入流路72の一端であり、流出口73aは排気流路73の一端である。内部では、インク流入流路72が排気流路73と接続し、インク流入流路72側の接続部近傍からインク流出流路75が分岐している。インク流出流路75は、ヘッド本体2と連通している。なお、図2においては、1つのインク流出流路75のみが表れている。
【0030】
インク流入流路72は、流入口72aを介して、インク供給ユニット10からのインクが供給される。インク流入流路72は、インクを一時的に貯溜するインクリザーバとして機能する。インク流入流路72の上壁には孔72bが形成されており、ダンパー用の可撓性樹脂フィルム76により、孔72bが封止されている。樹脂フィルム76は、インク圧の変動に伴って変位するため、インク流入流路72内の圧力変動が抑制される。なお、通常印刷時においては、樹脂フィルム76はインク流入流路72内に向かって僅かに凸の状態となっている。リザーバユニット71の外壁面には、樹脂フィルム76を覆うように板形状の規制部材77が固定されており、樹脂フィルム76の自由な変形を規制している。これにより、インク流入流路72のインク圧が異常に高くなったとき、樹脂フィルム76が過剰に変位して破損するのが防止される。規制部材77には、大気連通孔77aが形成されており、樹脂フィルム76の変形のしやすさは損なわれていない。
【0031】
インク流出流路75は、フィルタ75aを介してインク流入流路72と連通していると共に、流路ユニット9の上面に形成されたインク供給口105bに接続されている(図3参照)。通常印刷時においては、インク供給ユニット10からのインクは、インク流出流路75を通過して、インク供給口105bから流路ユニット9に供給される。
【0032】
排気流路73は、インク流入流路72におけるフィルタ75aの上流側でインク流入流路72と接続されていると共に、流出口73aを介してインク供給ユニット10に接続されている。なお、排気流路73にインクが流れるとき、インクはフィルタ75aの上流側の表面を横切って排気流路73に流れ込む。
【0033】
排気流路73の下壁には孔73bが形成されており、ダンパー用の可撓性樹脂フィルム78により、孔73bが封止されている。樹脂フィルム78は、インク圧の変動に伴って変位するため、排気流路73内の圧力変動が抑制される。なお、通常印刷時においては、樹脂フィルム78は排気流路73内に向かって僅かに凸の状態となっている。リザーバユニット71の下方の外壁面には、樹脂フィルム78を覆うように板形状の規制部材79が固定されており、樹脂フィルム78の自由な変形を規制している。これにより、排気流路73のインク圧が異常に高くなったとき、樹脂フィルム78が過剰に変位して破損するのが防止される。規制部材79には、大気連通孔79aが形成されており、樹脂フィルム78の変形のしやすさは損なわれていない。後述のメンテナンス動作に係るインク循環動作(液体供給動作)時においては、インク供給ユニット10からのインクが、流入口72aを介してインク流入流路72に流入し、排気流路73を介して流出口73aからインク供給ユニット10に還流する(図8参照)。
【0034】
さらに、図3、図4及び図5を参照しつつ、ヘッド本体2について説明する。なお、図4では説明の都合上、アクチュエータユニット21の下方にあって破線で描くべき圧力室110、アパーチャ112及び吐出口108を実線で描いている。
【0035】
ヘッド本体2は、図3〜図5に示すように、流路ユニット9と、流路ユニット9の上面に固定された4つのアクチュエータユニット21とを有している。流路ユニット9は、圧力室110を含むインク流路が形成されている。アクチュエータユニット21は、各圧力室110に対応した複数のユニモルフ型のアクチュエータを含んでおり、圧力室110内のインクに選択的に吐出エネルギーを付与する。
【0036】
流路ユニット9は、ステンレス製の9枚の金属プレート122〜130を積層した積層体である。流路ユニット9の上面には、リザーバユニット71のインク流出流路75(図2参照)に連通する計10個のインク供給口105bが開口している。流路ユニット9の内部には、図3〜図5に示すように、インク供給口105bを一端とするマニホールド流路105、及び、マニホールド流路105から分岐した複数の副マニホールド流路105aが形成されている。さらに、流路ユニット9の内部には、各副マニホールド流路105aの出口から圧力室110を介して吐出面2aの吐出口108に至る複数の個別インク流路132が形成されている。
【0037】
流路ユニット9におけるインクの流れについて説明する。図3〜図5に示すように、通常印刷時においては、リザーバユニット71のインク流出流路75からインク供給口105bに供給されたインクは、マニホールド流路105(副マニホールド流路105a)に流入する。副マニホールド流路105a内のインクは、各個別インク流路132に分配され、アパーチャ112及び圧力室110を介して吐出口108に至る。
【0038】
次に、図2を参照しつつ、インク供給ユニット10について詳細に説明する。インク供給ユニット10は、サブタンク80、補給ポンプ91、バルブ92、インク補給管81、パージポンプ86、インク供給管(供給流路)82、バルブ87、インク帰還管(排出流路)83を含む。インク供給ユニット10は、サブタンク80を中心にして、インク補給管81、インク供給管82およびインク帰還管83が接続されている。インク補給管81には、補給ポンプ91およびバルブ92が設けられている。インク補給管81により、インクタンク90とサブタンク80とが接続されている。インク供給管82には、パージポンプ86が設けられている。インク供給管82により、サブタンク80と流入口72aとが接続されている。また、インク帰還管83には、バルブ87が設けられている。インク帰還管83により、サブタンク80と流出口73aとが接続されている。この構成において、バルブ87は、インク帰還管83におけるインクの流通を遮断可能な開閉弁である。
【0039】
サブタンク80は、インクジェットヘッド1に供給されるインクを貯溜する。インクの貯留量が少なくなった時、バルブ92が開弁され且つ補給ポンプ91が駆動されることで、インクタンク90からインク補給管81を介して新鮮なインクが補給される。また、サブタンク80の上壁には、サブタンク80内と大気とを連通する大気連通孔88が形成されている。これにより、サブタンク80内の気圧が、貯溜しているインクの量にかかわらず常に大気圧となり、安定したインク供給が可能となっている。
【0040】
また、サブタンク80は、図2に示すように、内部に貯留されたインクの液面が鉛直方向に関して吐出面2aより下方に配置されている。これにより、吐出口108近傍に形成されるインクメニスカスとサブタンク80のインク液面とに水頭差が生じて、インクメニスカスのインク側が大気圧に比べ負圧となる。このときの負圧は、インクメニスカスが破壊されない程度に調整されている。
【0041】
インク供給管82は、ジョイント82aを介してリザーバユニット71の流入口72aに接続されている。これにより、サブタンク80のインクが、リザーバユニット71のインク流入流路72に供給される。パージポンプ86は、サブタンク80のインクを、インク流入流路72に強制的に供給する供給手段の一部として機能する。また、パージポンプ86は、ジョイント82aからサブタンク80に向かってインクが流れるのを防止する逆止弁でもある。なお、パージポンプ86が停止している場合であっても、サブタンク80のインクは、インク供給管82を流れてリザーバユニット71に供給可能となっている。
【0042】
本実施形態では、パージポンプ86として、容積型ポンプである電動の三相ダイヤフラムポンプが用いられている。図6に示すように、3つのダイヤフラムが互いに異なる位相で変位することで、インク送出時の圧力変動が抑制された構成となっている。また、パージポンプ86は、供給する電力を変化させることによって、単位時間当たりのインク送出量を制御することができる。本実施形態においては、パージポンプ86は、インク送出量が互いに異なる2種類のモードで駆動される。ここで、インク送出量が少ないモードをLOモード、インク送出量がLOモードよりも多いモードをHIモードと称する。パージポンプ86がLOモードで駆動されると、インク送出量が少なくなるため、インク流入流路72に生じる圧力も小さい。このとき、パージポンプ86は、バルブ87が開いた状態(インクが循環する状態)において、インク流入流路72に生じる圧力は、インクメニスカスを挟んでインクメニスカスに及ぶインク側圧力と気体側圧力の差圧が、メニスカス耐圧以下となるように設定されている。なお、メニスカス耐圧とは、インクメニスカスが破壊されない最大の差圧に相当する。一方、パージポンプ86がHIモードで駆動されると、LOモードにおけるよりも、インク流入流路72に生じる圧力が大きくなる。このとき、バルブ87が開いた状態において、インク流入流路72に生じる圧力は、インクメニスカスに働く差圧がメニスカス耐圧を超えるように設定されている。
【0043】
次に、図7を参照しつつ、制御装置16について説明する。制御装置16は、CPU(Central Processing Unit)と、CPUが実行するプログラム及びこれらプログラムに使用されるデータを書き替え可能に記憶するEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)と、プログラム実行時にデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)とを含んでいる。制御装置16を構成する各機能部は、これらハードウェアとEEPROM内のソフトウェアとが協働して構築されている。制御装置16は、インクジェットプリンタ101全体を制御するものであり、搬送制御部41と、画像データ記憶部42と、ヘッド制御部43と、循環・パージ制御部44と、メンテナンス制御部45とを有している。
【0044】
搬送制御部41は、用紙Pが搬送方向に沿って所定の速度で搬送されるように搬送ユニット20の搬送モータを制御する。画像データ記憶部42は、用紙Pに印刷すべき画像に関する画像データを記憶する。
【0045】
ヘッド制御部43は、通常印刷時において、吐出口108から画像データに基づく所望の体積のインク滴が所望のタイミングで吐出されるように、生成した吐出駆動信号をアクチュエータユニット21に供給する。
【0046】
循環・パージ制御部44は、後述のメンテナンス動作において、各インク供給ユニット10のパージポンプ86及びバルブ87の動作を制御するものである。具体的な動作内容については後述する。なお、循環・パージ制御部44は、インク補給のために補給ポンプ91と補給バルブ92も制御しているが、図7では省略している。
【0047】
メンテナンス制御部45は、後述のメンテナンス動作において、インクジェットヘッド1の昇降動作およびメンテナンスユニット30による払拭動作を制御するものである。
【0048】
図8及び図9を参照しつつ、メンテナンス動作について説明する。メンテナンス動作は、インクジェットヘッドの吐出特性を回復・維持するための動作であり、インク循環動作、吐出口パージ動作、払拭動作等が含まれる。インク循環動作では、インクジェットヘッド1とサブタンク80との間で、インクが循環される。このとき、フィルタ75aより上流側のインクが異物(気泡を含む)とともに流出口73aから排出される。吐出口パージ動作では、吐出口108からインクが強制的に排出される。このとき、フィルタ75aより下流側のインクが、吐出口108付近の増粘インクとともに排出される。払拭動作では、吐出面2aに付着している異物(残留インクを含む)が払拭される。本実施形態のメンテナンス動作では、インク循環動作、吐出口パージ動作、払拭動作の順で行われ、払拭動作は循環動作を伴う点に特徴がある。なお、メンテナンス動作は、インクジェットプリンタ101の起動時、印刷を行わない待機時間が一定時間を超えたとき、搬送部で用紙Pが詰まったとき等に行われる。なお、待機時及び通常印刷時には、パージポンプ86は停止しており、バルブ87が閉になっている。また、補給ポンプ91も停止しており、補給バルブ92が閉になっている。
【0049】
図9に示すように、メンテナンス動作は、インク循環動作から行われる。循環・パージ制御部44は、バルブ87を閉から開にした後に、LOモードでパージポンプ86の駆動を開始する。なお、インク循環動作中、補給ポンプ91は停止しており、補給バルブ92も閉となっている。
【0050】
これにより、サブタンク80のインクが、図8に示すように、インク流入流路72に強制的に供給されるとともに循環される。このとき、バルブ87が開状態にあるので、供給されたインクは、インク流出流路75に流れ込むことなく、排気流路73及びインク帰還管83を順に通過してサブタンク80に帰還する。このインク循環動作が行われることによって、図9に示すように、循環経路のうちパージポンプ86からサブタンク80に至るまでの流路内のインクの圧力が高くなるが、吐出口108のインクメニスカスは維持される。このとき、インク循環によるインク流れにより、インク流入流路72内に滞留している気泡などの異物、特にフィルタ75a上に滞留している気泡などの異物が、インクと共に排気流路73からインク帰還管83を経てサブタンク80にトラップされる。
【0051】
このように、インク循環動作では、パージポンプ86のインク送出量が、インクメニスカスを維持可能な量に調整されている。インク流入流路72に供給される単位時間当たりのインク量は、インク流入流路72内に生じる圧力が水頭差(サブタンク80の液面と吐出面2aとの高低差)によって生じる負圧以上であってインクメニスカス耐圧以下の範囲にある。このため、気泡などの異物を無駄なインクを生じることなくサブタンク80まで移動できる。なお、インク循環を行っているときは、通常印刷時と比較してインク流入流路72及び排気流路73内のインク圧が高くなるため、樹脂フィルム76が規制部材77に密着し、樹脂フィルム78が規制部材79に密着している。
【0052】
図9に示すように、インクの循環を開始して所定時間が経過した後に、循環・パージ制御部44は、インク循環動作から吐出口パージ動作に移行する。このとき、循環・パージ制御部44は、パージポンプ86の駆動をLOモードからHIモードに切り替えるとともに、バルブ87を開から閉にする。これにより、インク送出量が増加するとともに、排気流路73を流れていたインクが急激に塞き止められることで、排気流路73内及びインク流入流路72内のインク圧力が急上昇し、インクメニスカスにおける差圧もメニスカス耐圧を超える。こうして、インク流入流路72に供給されたインクが、すべてインク流出流路75に流れ込み、マニホールド流路105及び各個別インク流路132を順に通過して吐出口108から排出される。インク流出流路75以降に滞留していた異物(気泡を含む)が、吐出口108付近の増粘インクとともに排出されることになる。排出されたインクは、図示しない廃液トレイに受け止められる。
【0053】
本実施形態においては、インク循環動作から吐出口パージ動作に移行するため、予めインク流入流路72及び排気流路73内の圧力を上昇させた状態から吐出口パージ動作を行うことができる。このため、インク流入流路72及び排気流路73内の圧力を瞬時に所望圧力(インクメニスカスを破壊する圧力)にすることが可能であり、吐出口パージ開始時からすべての吐出口108に高い圧力が付与されてインクが排出される。したがって、吐出口108内の増粘したインク、気泡などの異物を短時間に効率よく排出することができるとともに、インクが無駄に排出されるのを抑制することができる。
【0054】
本実施形態においては、インク循環動作から吐出口パージ動作に移行する際に、パージポンプ86の駆動モードの切り替えと、バルブ87の切り替えとを同時に行っているが、バルブ87を先に切り替えてからポンプ86の駆動モードを切り替えてもよい。この変形例においても、上述と同様に、排気流路73内及びインク流入流路72内のインク圧力を急激に上昇させて、吐出口108から異物を含んだインクを排出させることができる。
【0055】
循環・パージ制御部44は、所定量のインクが吐出口108から排出されると(すなわち、所定時間だけパージポンプ86をHIモードで駆動すると)、吐出口パージ動作からインク循環動作に移行する。つまり、循環・パージ制御部44は、図9に示すように、パージポンプ86の駆動をHIモードからLOモードに切り替えるとともに、バルブ87を閉から開にする。これにより、吐出口パージ動作前のインク循環動作が、吐出口パージ動作終了と同時に始められる。変形例として、吐出口パージ動作からインク循環動作に移行する際に、上述の変形例と同様に、バルブ87を先に切り替えてからパージポンプ86の駆動モードを切り替えてもよい。
【0056】
このインク循環動作が行われている間に、メンテナンス制御部45は昇降動作及び払拭動作を行う。つまり、メンテナンス制御部45が、ヘッド昇降機構40を制御して、4つのインクジェットヘッド1を印刷位置から払拭位置に移動する。ここでいう払拭位置とは、退避位置におけるよりも吐出面2aが搬送ベルト8に近づく位置であって、ワイパ32を待機位置から図1中左方に移動させたときに、ちょうどワイパ32の先端と吐出面2aとが接触する位置である。なお、インクジェットヘッド1が退避位置にある場合は、ワイパ32が吐出面2aと対向する位置に移動してきてもワイパ32の先端と吐出面2aとは接触しない。そして、メンテナンス制御部45が、移動機構33を制御して、4つのワイパ32を待機位置から図1中左方に移動する。このとき、吐出面2aの残留インクなどの異物がワイパ32によって払拭されるとともに、吐出口108のインクメニスカスが整えられる。
【0057】
メンテナンス制御部45は、移動機構33を制御して、ワイパ32が吐出口形成領域2bを通過し吐出面2aと対向しなくなると、4つのワイパ32の移動を停止させる。さらに、メンテナンス制御部45は、ヘッド昇降機構40を制御して、4つのインクジェットヘッド1を払拭位置から退避位置に移動する。この後、メンテナンス制御部45は、移動機構33を制御して、4つのワイパ32を図1中右方に移動させて待機位置に戻す。こうして、払拭動作が終了する。
【0058】
この払拭動作が終了と同時に、循環・パージ制御部44は、パージポンプ86の駆動を停止させる。パージポンプ86の駆動が停止すると、時間が経過するに伴ってインク供給量が減少するとともに、インク流入流路72及び排気流路73内の圧力も減少する。こうして、インク循環動作が終了する。この後、循環・パージ制御部44はバルブ87を開から閉にする。メンテナンス制御部45は、移動機構33を制御して、4つのインクジェットヘッド1を印刷位置に戻す。これにより、メンテナンス動作が終了し、印刷待機状態となる。
【0059】
以上のように、本実施形態のインクジェットプリンタ101によると、吐出口パージ動作から払拭動作が開始されるまでの間に、インク循環動作(液体供給動作)が開始されるとともに、払拭動作中においてもインク循環動作が継続される。このインク循環動作がないと、吐出口108のインクには水頭差分の負圧がかかったとき、一部のインクは吐出口108内に引き戻される。このインク中には、一旦排出された異物が含まれている虞がある。しかし、本実施の形態では、インク循環動作中に払拭動作が行われるので、増粘インクや異物(気泡、埃等)が吐出口内に吸い込まれるのを抑制できる。このため、吐出口108からのインク吐出不良を抑制することが可能となる。
【0060】
また、吐出口パージ動作の後のインク循環動作が、吐出口パージ動作終了と同時に開始されているので、吐出口パージ動作の終了と同時に吐出口近傍に付着した異物が吐出口内に吸い込まれるのを抑制することが可能となる。
【0061】
また、吐出口パージ動作の後のインク循環動作が、ワイパ32が吐出口形成領域2bを払拭し終えた(通過し終えた)ときも継続されているので、払拭前の吐出口近傍に付着した異物が吐出口内に吸い込まれるのを確実に抑制することが可能となる。
【0062】
また、吐出口パージ動作に先立ってインク循環動作が行われているので、吐出口パージ動作を行う前に、循環経路のうちパージポンプ86からサブタンク80に至るまでの流路内の気泡などの異物を排出することが可能となる。
【0063】
インク循環動作におけるパージポンプ86によるインク送出量が、吐出口パージ動作におけるよりも小さいため、インク循環動作において、吐出口108からインクが漏れるのを抑制することが可能となる。
【0064】
また、インク帰還管83がサブタンク80と連通しているため、インク循環動作において、インク帰還管83に移送されてきたインクがサブタンク80に戻される。したがって、廃棄するインク量を効果的に減少させることができる。変形例として、インク帰還管83を廃棄タンク(不図示)に連通させてもよいし、サブタンク80と廃棄タンクとに選択的に切換可能な構成としてもよい。例えば、前段のインク循環動作では、インク帰還管83を廃棄タンクに連通させ、異物等を含むインクは廃棄する。後段のインク循環動作では、サブタンク80に連通させ、インクをサブタンク80に戻す。少なくとも後段のインク循環動作では、清浄なインクがサブタンク80に戻ることになる。これによって、サブタンク80内における、異物等の蓄積を抑制できる。
【0065】
また、サブタンク80が、吐出口108に形成されたインクメニスカスのインク側に負圧が生じるように、配置されている。このため、インク循環動作及び吐出口パージ動作において、当該負圧に相当する分だけのインク供給量を増加させることが可能となる。このため、流路内の異物を効果的に排出することが可能となる。
【0066】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述の実施形態においては、吐出口パージ動作の後に払拭動作が行われるまでに、インク循環動作が行われているが、この動作においてはインクを循環させなくてもよい。また、吐出口パージ動作後のインク循環動作(インク供給動作)が、ワイパ32が待機位置に戻るまで行われているが、ワイパ32が吐出口形成領域2bを通過した時点で終了させてもよい。この場合でも、吐出面2aのすべての吐出口108近傍領域はワイパ32で払拭されているので、インクメニスカスに負圧が加えられても吐出口108内に気泡などの異物が侵入しない。また、吐出口パージ動作後のインク循環動作(インク供給動作)が、吐出口パージ動作終了と同時に開始されているが、払拭動作が行われるまでに開始されればよい。さらには、このインク循環動作は、ワイパ32が吐出口形成領域2bを通過し始める直前に始めてもよい。
【0067】
また、吐出口パージ動作に先立ってインク循環動作(インク供給動作)が行われているが、当該インク循環動作は行われていなくてもよい。つまり、インク循環動作を行わずに吐出口パージ動作を行ってもよい。
【0068】
また、上述の実施形態においては、インク循環動作(インク供給動作)及び吐出口パージ動作において、パージポンプの駆動モードを変化させているが、変化させなくてもよい。この場合、バルブ87の開閉でリザーバユニット71の内部流路(インク流入流路72及び排気流路73)の圧力を変化させる。また、パージポンプは、ダイヤフラムポンプ以外の容積型ポンプであってもよい。また、バルブ87が設けられていなくてもよい。この場合、パージポンプ86によるインク送出量を、インク循環動作(インク供給動作)及び吐出口パージ動作において変化させ、内部流路に生じる圧力を変化させればよい。また、このとき、内部流路に生じる圧力の高低で吐出口パージ動作からインク循環動作(インク供給動作)に移行することになる。
【0069】
また、上述の実施形態の移動機構33においては、ワイパ32を主走査方向に移動させているが、移動機構はインクジェットヘッド1を移動させてもよいし、ワイパ32及びインクジェットヘッド1の両者を相対移動させてもよい。
【0070】
本発明は、ライン式・シリアル式のいずれにも適用可能であり、また、プリンタに限定されず、ファクシミリやコピー機等にも適用可能であり、インク以外の液体を吐出させることで記録を行う液体吐出装置にも適用可能である。記録媒体は、用紙Pに限定されず、記録可能な様々な媒体であってよい。さらに、本発明は、インクの吐出方式にかかわらず適用できる。例えば、本実施の形態では、圧電素子を用いたが、抵抗加熱方式でも、静電容量方式でもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 インクジェットヘッド(液体吐出ヘッド)
2a 吐出面
2b 吐出口形成領域
16 制御装置(制御手段)
72 インク流入流路(内部流路の一部)
72a 流入口
73 排気流路(内部流路の一部)
73a 流出口
75 インク流出流路(内部流路の一部)
80 サブタンク
82 インク供給管(供給流路)
83 インク帰還管(排出流路)
87 バルブ(液体遮断弁)
101 インクジェットプリンタ(液体吐出装置)
105 マニホールド流路(個別液体流路の一部)
105a 副マニホールド流路(個別液体流路の一部)
108 吐出口
132 個別インク流路(個別液体流路の一部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が流入する流入口と、液体が流出する流出口と、前記流入口と前記流出口とを連通する内部流路と、液体を吐出するための複数の吐出口が形成された吐出面と、前記内部流路から分岐して前記複数の吐出口に至る複数の個別液体流路とを有する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドに供給される液体が内部に貯溜されたタンクと、
前記タンクの内部と前記流入口とを連通する供給流路と、
前記流出口と連通する排出流路と、
前記タンクに貯留された液体を、前記供給流路を介して前記内部流路に供給する供給手段と、
前記吐出面を払拭するワイパと、
前記ワイパが前記吐出面に接触しながら前記吐出面に対して相対移動するように、前記ワイパ及び前記液体吐出ヘッドの少なくとも一方を移動させる移動機構と、
前記吐出口に形成された液体メニスカスが破壊されない最大の圧力である前記液体メニスカスの耐圧よりも大きな圧力を前記内部流路に生じさせて、前記吐出口から液体を強制的に排出させる吐出口パージ動作が行われるように前記供給手段を制御するとともに、前記吐出口パージ動作が行われた後に、前記ワイパで前記吐出面を払拭する払拭動作が行われるように前記移動機構を制御する制御手段とを備えており、
前記制御手段は、前記吐出口パージ動作終了から前記払拭動作が開始されるまでに、前記タンクの液体を前記供給流路、前記内部流路及び前記排出流路の順に移送させ、所定の負圧以上であって前記液体メニスカスの耐圧以下の圧力が前記液体メニスカスの液体側に生じる液体供給動作が開始されるとともに、当該液体供給動作が少なくとも前記払拭動作中においても継続されるように、前記供給手段を制御することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記吐出口パージ動作終了と同時に前記液体供給動作が開始されるように前記供給手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記制御手段は、少なくとも前記ワイパが前記吐出面における前記複数の吐出口の形成領域を通過し終えるまでの間、前記液体供給動作が継続して行われるように前記供給手段を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記吐出口パージ動作に先立って、前記液体供給動作を行うように前記供給手段を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記供給手段が、前記タンクに貯留された液体を前記内部流路に供給するポンプと、前記排出流路の液体の流通を遮断可能な液体遮断弁とを有しており、
前記制御手段は、前記液体供給動作中に前記液体の流通を遮断するように前記液体遮断弁を制御するとともに引き続き前記ポンプを駆動することによって、前記液体供給動作を終了させて前記吐出口パージ動作に移行することを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記吐出口パージ動作中に前記液体が流通するように前記液体遮断弁を制御するとともに引き続き前記ポンプを駆動することによって、前記吐出口パージ動作を終了させて前記液体供給動作に移行することを特徴とする請求項5に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記制御手段は、少なくとも前記吐出パージ動作に続いて行われる前記液体供給動作において、前記ポンプによる液体供給量を前記吐出口パージ動作におけるよりも小さくするように、前記ポンプを制御することを特徴とする請求項6に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記排出流路は、前記タンクの内部と前記流出口とを連通させていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記タンクは、前記液体吐出ヘッドに対して、貯留された液体の液面に対する前記液体メニスカスにおける液体側の圧力が負圧となる位置関係に配置されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の液体吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−171106(P2012−171106A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32269(P2011−32269)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】