説明

液体噴射ヘッドユニットの製造方法及び液体噴射ヘッドユニット

【課題】液体噴射ヘッドと保持部材との接着強度を向上して、信頼性を向上した液体噴射ヘッドユニットの製造方法及び液体噴射ヘッドユニットを提供する。
【解決手段】液体を噴射するノズル開口21が開口する液体噴射面Aを有する液体噴射ヘッド2と、該液体噴射ヘッド2の前記液体噴射面Aに接着剤400を介して接着される保持部材250とを具備する液体噴射ヘッドユニットの製造方法であって、前記液体噴射面Aに積層膜22を形成する工程と、前記積層膜22が形成された前記液体噴射面Aの前記保持部材に接着される領域に前記積層膜22が形成されていない非撥液領域25を形成する工程と、前記非撥液領域25にプライマ液を塗布するプライマ処理工程と、前記液体噴射面Aの前記非撥液領域25に前記保持部材を接着剤400を介して接着する工程とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル開口から液体を噴射する液体噴射ヘッドと、液体噴射ヘッドの液体噴射面に接合される保持部材とを具備する液体噴射ヘッドユニットの製造方法及び液体噴射ヘッドユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、液体としてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッドを具備するインクジェット式記録ヘッドユニット(以下、ヘッドユニットとも言う)としては、インクを吐出するノズル開口が開口する液体噴射面を有するインクジェット式記録ヘッドと、インクジェット式記録ヘッドの液体噴射面に接着剤を介して接着される固定板等の保持部材とを具備するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなヘッドユニットでは、液体噴射面に撥液膜が設けられていると、液体噴射面と保持部材との接着強度が低下してしまうため、液体噴射面の保持部材との接着領域に撥液膜を除去した非撥液領域を形成している。
【0004】
【特許文献1】特開2005−096419号公報(第7〜12頁、第1〜3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、液体噴射ヘッドの液体噴射面に非撥液領域を形成し、液体噴射ヘッドの非撥液領域と保持部材とを接着剤を介して接着しただけでは、液体噴射ヘッドと保持部材とを十分な接着強度で接着することができず、液体噴射ヘッドと保持部材との剥離等が発生してしまうという問題がある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑み、液体噴射ヘッドと保持部材との接着強度を向上して、信頼性を向上した液体噴射ヘッドユニットの製造方法及び液体噴射ヘッドユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明の態様は、液体を噴射するノズル開口が開口する液体噴射面を有する液体噴射ヘッドと、該液体噴射ヘッドの前記液体噴射面に接着剤を介して接着される保持部材とを具備する液体噴射ヘッドユニットの製造方法であって、前記液体噴射面に撥液膜を形成する工程と、前記撥液膜が形成された前記液体噴射面の前記保持部材に接着される領域に前記撥液膜が形成されていない非撥液領域を形成する工程と、前記非撥液領域にプライマ液を塗布するプライマ処理工程と、前記液体噴射面の前記非撥液領域に前記保持部材を接着剤を介して接着する工程とを具備することを特徴とする液体噴射ヘッドユニットの製造方法にある。
かかる態様では、液体噴射ヘッドの液体噴射面に非撥液領域を形成すると共に、非撥液領域をプライマ処理してから保持部材を接着剤を介して接着することで、接着強度を向上して剥離等が発生するのを防止することができる。また、液体噴射面の全面に亘って撥液膜を形成してから、撥液膜を除去して非撥液領域を形成することにより、撥液膜を所望の領域に容易に且つ高精度に形成することができる。
【0008】
ここで、前記撥液膜を形成する工程では、前記液体噴射面の全面に亘って下地膜と、該下地膜上に金属アルコキシドからなる分子膜の撥液膜とを形成することが好ましい。これによれば、液体噴射面に密着性、耐擦性及び撥液性に優れた撥液膜を従来の撥液膜に比べて薄く形成することができ、液体噴射特性が向上する。
【0009】
また、前記非撥液領域を形成する工程では、前記液体噴射面の前記下地膜上に設けられた前記分子膜のみを除去することが好ましい。これによれば、下地膜の除去や、所定の領域のみに下地膜を選択的に形成する必要がなくなり製造工程を簡略化することができると共に製造コストを低減することができる。
【0010】
また、前記液体噴射ヘッドには、前記ノズル開口が設けられたノズルプレートと、該ノズルプレートの前記液体噴射面とは反対側の面に接着剤を介して接着される液体流路を有する流路形成基板とを具備し、前記撥液膜を形成する工程では、当該撥液膜を前記ノズルプレートの前記液体噴射面と当該液体噴射面の反対側の面とに形成すると共に、前記非撥液領域を形成する工程では、当該非撥液領域を前記液体噴射面の前記保持部材に接着される領域と、前記液体噴射面とは反対側の面とに形成することが好ましい。これによれば、ノズルプレートの流路形成基板との接着領域にも非撥液領域を形成することで、流路形成基板とノズルプレートとの接着強度を向上することができる。
【0011】
また、前記撥液膜を形成する工程では、前記液体噴射面のみに下地膜を形成する工程と、前記ノズルプレートの全面に亘って金属アルコキシドからなる分子膜の撥液膜とを形成する工程とを具備し、前記非撥液領域を形成する工程では、前記ノズルプレートの前記液体噴射面の前記下地膜上に設けられた前記分子膜の前記撥液膜と、前記ノズルプレートの前記液体噴射面とは反対側の面に設けられた前記分子膜の前記撥液膜とを除去することが好ましい。これによれば、ノズルプレートの流路形成基板との接着領域に下地膜を形成する必要がなく、製造工程を簡略化することができる。また、下地膜の除去や、所定の領域のみに下地膜を選択的に形成する必要がなくなり製造工程を簡略化することができると共に製造コストを低減することができる。
【0012】
また、前記プライマ処理工程では、前記プライマ液を、前記ノズルプレートの前記液体噴射面の前記非撥液領域と、前記ノズルプレートの前記液体噴射面とは反対側の面の前記非撥液領域とに塗布することが好ましい。これによれば、ノズルプレートと保持部材及び流路形成基板との接着強度を向上することができ、信頼性を向上することができる。
【0013】
また、前記非撥液領域を形成する工程では、前記液体噴射面に相対向する領域に前記非撥液領域が開口する保護膜を形成する工程と、前記撥液膜を前記保護膜を介してプラズマ処理することにより当該撥液膜を除去して前記非撥液領域を形成する工程とを具備することが好ましい。これによれば、保護膜によって、所望の領域の撥液膜を除去することができると共に所定の領域のみをプライマ処理することができる。また、プライマ処理で撥液膜を除去する保護膜を用いることで、プライマ処理する際に新たな保護膜が不要となり、製造工程を簡略化することができると共に、新たな保護膜の位置決めが不要となり高精度なプライマ処理を行うことができる。
【0014】
また、前記保護膜を形成する工程では、テープからなる当該保護膜を前記液体噴射面に貼付することが好ましい。これによれば、非撥液領域を容易に且つ高精度に形成することができる。
【0015】
さらに、本発明の他の態様は、液体を噴射するノズル開口が開口する液体噴射面を具備する液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドの液体噴射面に接着剤を介して接着された保持部材とを具備し、前記液体噴射面には、撥液膜が設けられていると共に、前記保持部材が接着される領域に前記撥液膜が形成されていない非撥液領域を具備し、前記非撥液領域と前記接着剤との界面には、当該非撥液領域にプライマ残留層が設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッドユニットにある。
かかる態様では、液体噴射面と保持部材との接着強度を向上して剥離等が発生するのを防止することができ、信頼性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドユニットを示す分解斜視図であり、図2は、インクジェット式記録ヘッドユニットの組立斜視図である。
【0017】
図示するように、本発明の液体噴射ヘッドユニットの一例であるインクジェット式記録ヘッドユニット1(以下、ヘッドユニットとも言う)を構成するカートリッジケース210は、図示しないインク供給手段であるインクカートリッジがそれぞれ装着されるカートリッジ装着部211を有する。例えば、本実施形態では、インクカートリッジは、ブラック及び3色のカラーインクが充填された別体で構成され、カートリッジケース210には、各色のインクカートリッジがそれぞれ装着される。なお、カートリッジケース210の底面には、図示しないが、一端が各カートリッジ装着部211に開口し、他端が後述するヘッドケース側に開口する複数のインク連通路が設けられている。また、カートリッジ装着部211のインク連通路の開口部分には、インクカートリッジのインク供給口に挿入されるインク供給針213が、インク内の気泡や異物を除去するためにインク連通路に形成されたフィルタ(図示なし)を介して固定されている。
【0018】
また、このようなカートリッジケース210の底面側には、複数のインクジェット式記録ヘッド2が固定されている。
【0019】
インクジェット式記録ヘッド2は、インクカートリッジ2A、2Bのインク色毎に対応して複数設けられている。本実施形態では、1つのインクジェット式記録ヘッドユニット1に4つのインクジェット式記録ヘッド2が設けられている。
【0020】
ここで、本実施形態の液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッド2について詳細に説明する。図3は、インクジェット式記録ヘッドの分解斜視図であり、図4はインクジェット式記録ヘッドの断面図である。図3及び図4に示すように、インクジェット式記録ヘッド2は、ヘッド本体220と、ヘッド本体220の液体噴射面Aとは反対側に設けられたヘッドケース230とを具備する。
【0021】
ヘッド本体220を構成する流路形成基板10は、本実施形態では、シリコン単結晶基板からなり、その一方面には二酸化シリコンからなる弾性膜50が形成されている。この流路形成基板10には、その他方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁によって区画された圧力発生室12が、幅方向に並設された列が2列形成されている。また、各列の圧力発生室12の長手方向外側には、後述するリザーバ形成基板30に設けられるリザーバ部31と連通し、各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100を構成する連通部13が形成されている。また、連通部13は、インク供給路14を介して各圧力発生室12の長手方向一端部とそれぞれ連通されている。すなわち、本実施形態では、流路形成基板10に形成された液体流路として、圧力発生室12、連通部13及びインク供給路14が設けられている。
【0022】
また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側で連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が接着剤や熱溶着フィルム等を介して固着されている。すなわち、本実施形態では、1つのヘッド本体220にノズル開口21の並設されたノズル列21Aが2列設けられている。本実施形態では、このノズルプレート20のノズル開口21が開口する面が、液体噴射面Aとなっている。
【0023】
このようなノズルプレート20としては、例えば、シリコン基板やステンレス鋼(SUS)等の金属基板などが挙げられる。
【0024】
また、ノズルプレート20のノズル開口21が開口する液体噴射面Aには、撥液膜を有する積層膜22が設けられている。本実施形態の積層膜22は、液体噴射面Aの全面に亘って形成されたプラズマ重合膜からなる下地膜23と、下地膜23上の中央部に設けられた金属アルコキシドの分子膜からなる撥液膜24とで構成されている。
【0025】
下地膜23は、例えば、シリコーンをアルゴンプラズマガスにより重合させて形成することができる。そして、この下地膜23は、後述する分子膜である撥液膜24とノズルプレート20との密着性を向上する役割がある。また、撥液膜24は、撥液性を有する金属アルコキシドの分子膜からなり、例えば、アルコキシラン等のシランカップリング剤をシンナー等の溶媒と混合して金属アルコキシド溶液を形成し、この金属アルコキシド溶液にノズルプレート20を浸漬することで金属アルコキシドを重合させて形成することができる。この分子膜からなる撥液膜24は、従来の撥液膜、例えば、共析メッキによる撥液膜よりも薄く形成できると共に、ヘッド面をクリーニングする際にワイピングによって液体噴射面Aが拭かれることによっても撥液性が劣化しない「耐擦性」、及び撥液性を向上できるという利点を有する。そして、このように形成された積層膜22の撥液膜24は、詳しくは後述する製造方法によって、液体噴射面Aの中央部のみに形成されている。すなわち、ノズルプレート20の液体噴射面Aには、四方の外周に沿って撥液膜24が設けられていない非撥液領域25が形成されている。本実施形態では、非撥液領域25として、撥液膜24を設けずに、下地膜23のみを設けるようにした。
【0026】
このようなノズルプレート20の液体噴射面Aの非撥液領域25には、インクジェット式記録ヘッド2を保持する保持部材である固定板250が接着剤400を介して接着されている。具体的には、固定板250は、図1及び図4に示すように、平板からなり、ノズル開口21を露出する露出開口部251と、露出開口部251を画成すると共にヘッド本体220の液体噴射面Aのノズル列21Aの両端部側に接合される接合部252とを具備する。
【0027】
接合部252は、本実施形態では、複数のインクジェット式記録ヘッド2に亘って液体噴射面Aの外周に沿って設けられた固定用枠部253と、隣接するインクジェット式記録ヘッド2の間に延設されて露出開口部251を分割する固定用梁部254とで構成され、固定用枠部253及び固定用梁部254からなる接合部252が複数のインクジェット式記録ヘッド2の液体噴射面Aに同時に接合されている。
【0028】
そして、ノズルプレート20の非撥液領域25と接着剤400との界面には、詳しくは後述するが、ノズルプレート20の非撥液領域25にプライマ液を塗布するプライマ処理を施した後、接着剤400を介して固定板250と接着することにより、プライマ液が接着剤400と反応して残留したプライマ残留層410が存在している。
【0029】
なお、本実施形態では、固定板250の接着剤400が接着される領域も予めプライマ処理を施しており、この固定板250と接着剤400との界面にもプライマ残留層411が存在する。
【0030】
また、本実施形態では、ノズルプレート20と流路形成基板10とは接着剤401を介して接着されている。このため、ノズルプレート20の流路形成基板10との接着領域も同様に非撥液領域26となっている。本実施形態では、ノズルプレート20の液体噴射面Aとは反対側の面の全面を非撥液領域26とした。そして、ノズルプレート20の非撥液領域26と接着剤401との界面にもプライマ残留層412が存在する。勿論、流路形成基板10と接着剤401との界面にもプライマ残留層413が存在する。
【0031】
このように、ノズルプレート20の非撥液領域25、26と、ノズルプレート20に接着される流路形成基板10及び固定板250の接着領域とをプライマ処理して、プライマ残留層410〜413が形成されることにより、ノズルプレート20と流路形成基板10及び固定板250との接着強度を向上して剥離が発生するのを防止することができる。特に、本実施形態のように、ノズルプレート20の非撥液領域25、26だけでなく、流路形成基板10及び固定板250の接着領域にもプライマ処理を行うことで、接着剤400、401と各部材との界面の接着強度にばらつきが生じるのを防止して、接着強度が他に比べて低い領域が剥離し易くなるのを確実に防止することができる。
【0032】
一方、図4に示すように、流路形成基板10の開口面とは反対側には、弾性膜50上に、金属からなる下電極膜と、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等からなる圧電体層と、金属からなる上電極膜とを順次積層することで形成された圧電素子300が形成されている。このような圧電素子300が形成された流路形成基板10上には、リザーバ100の少なくとも一部を構成するリザーバ部31を有するリザーバ形成基板30が接合されている。このリザーバ部31は、本実施形態では、リザーバ形成基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の幅方向に亘って形成されており、上述のように流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100を構成している。
【0033】
また、リザーバ形成基板30の圧電素子300に対向する領域には、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有する圧電素子保持部32が設けられている。
【0034】
さらに、リザーバ形成基板30上には、各圧電素子300を駆動するための駆動IC110が設けられている。この駆動IC110の各端子は、図示しないボンディングワイヤ等を介して各圧電素子300の個別電極から引き出された引き出し配線と接続されている。そして、駆動IC110の各端子には、フレキシブルプリント基板(FPC)等の外部配線111を介して外部と接続され、外部から外部配線111を介して印刷信号等の各種信号を受け取るようになっている。
【0035】
また、このようなリザーバ形成基板30上には、コンプライアンス基板40が接合されている。コンプライアンス基板40のリザーバ100に対向する領域には、リザーバ100にインクを供給するためのインク導入口44が厚さ方向に貫通することで形成されている。また、コンプライアンス基板40のリザーバ100に対向する領域のインク導入口44以外の領域は、厚さ方向に薄く形成された可撓部43となっており、リザーバ100は、可撓部43により封止されている。この可撓部43により、リザーバ100内にコンプライアンスを与えている。
【0036】
また、各ヘッド本体220の液体噴射面Aとは反対側の面、すなわち、コンプライアンス基板40上には、ヘッドケース230が固定されている。
【0037】
ヘッドケース230は、インク導入口44に連通すると共にカートリッジケース210のインク連通路に連通して、カートリッジケース210からのインクをインク導入口44に供給するインク供給連通路231が設けられている。このヘッドケース230には、コンプライアンス基板40の可撓部43に対向する領域に凹部232が形成され、可撓部43の撓み変形が適宜行われるようになっている。また、ヘッドケース230には、リザーバ形成基板30上に設けられた駆動IC110に対向する領域に厚さ方向に貫通した駆動IC保持部233が設けられており、外部配線111は、駆動IC保持部233を挿通して駆動IC110と接続されている。
【0038】
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッド2は、インクカートリッジからのインクをインク連通路及びインク供給連通路231を介してインク導入口44から取り込み、リザーバ100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動IC110からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの圧電素子300に電圧を印加し、弾性膜50及び圧電素子300をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
【0039】
なお、上述したヘッド本体220は、1枚のシリコンウェハ上に多数のチップを同時に形成し、ノズルプレート20及びコンプライアンス基板40を接着して一体化し、その後、図3に示すような1つのチップサイズの流路形成基板10毎に分割することによってヘッド本体220となる。
【0040】
このようなインクジェット式記録ヘッド2は、カートリッジケース210の底面に4つ固定されている。本実施形態では、4つのインクジェット式記録ヘッド2は、ノズル列21Aの並び方向に所定の間隔となるように配置されている。すなわち、本実施形態の1つのインクジェット式記録ヘッド2には、ノズル列21Aが8列設けられていることになる。このように複数のインクジェット式記録ヘッド2を用いて並設されたノズル開口21からなるノズル列21Aの多列化を図ることで、1つのインクジェット式記録ヘッド2にノズル列21Aを多列形成するのに比べて歩留まりの低下を防止することができる。また、ノズル列21Aの多列化を図るために複数のインクジェット式記録ヘッド2を用いることで、1枚のシリコンウェハから形成できるヘッド本体220(インクジェット式記録ヘッド2)の取り数を増大させることができ、シリコンウェハの無駄な領域を減少させて製造コストを低減することができる。
【0041】
また、このような4つのインクジェット式記録ヘッド2は、上述したように、複数のインクジェット式記録ヘッド2の液体噴射面A(非撥液領域25)に接着剤400を介して接着された保持部材である固定板250によって位置決めされて保持されている。
【0042】
さらに、インクジェット式記録ヘッドユニット1には、図2及び図3に示すように、固定板250のインクジェット式記録ヘッド2とは反対側に、複数のインクジェット式記録ヘッド2を覆うような箱形状を有するカバーヘッド240が設けられている。このカバーヘッド240は、固定板250の露出開口部251に対応して開口部241が設けられた固定部242と、ヘッド本体220のインク滴吐出面の側面側に、固定板250の外周に亘って屈曲するように設けられた側壁部245とを具備する。
【0043】
固定部242は、本実施形態では、固定板250の固定用枠部253に対応して設けられた枠部243と、固定板250の固定用梁部254に対応して設けられて開口部241を分割する梁部244とで構成されている。また、このような枠部243及び梁部244からなる固定部242は、固定板250の接合部252に接合されている。
【0044】
なお、カバーヘッド240の固定部242には、図2に示すように、カバーヘッド240をカートリッジケース210に位置決め固定するための固定孔247が設けられた支持部246が設けられている。この支持部246は、側壁部245から液滴吐出面の面方向と同一方向に突出するように屈曲して設けられている。そして、本実施形態では、カバーヘッド240は、カートリッジケース210に固定されている。すなわち、カートリッジケース210には、液体噴射面A側に突出して、カバーヘッド240の固定孔247に挿入される突起部215が設けられており、この突起部215をカバーヘッド240の固定孔247に挿入すると共に、突起部215の先端部を加熱してかしめることで、カートリッジケース210にカバーヘッド240が固定されている。
【0045】
このように、インクジェット式記録ヘッド2の液体噴射面Aとカバーヘッド240との間が固定板250を介して隙間なく接合されているため、この隙間に記録媒体が入り込むのを防止してカバーヘッド240の変形及び紙ジャムを防止することができる。また、カバーヘッド240の側壁部245が、複数のインクジェット式記録ヘッド2の外周縁部を覆うことで、インクジェット式記録ヘッド2の側面へのインクの回り込みを確実に防止することができる。
【0046】
なお、上述した例では、カバーヘッド240を固定板250のヘッド本体220とは反対側の面に接合するようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、カバーヘッド240を固定板250に接合せずに、所定の間隔となるように設けるようにしてもよく、当接するように設けるようにしてもよい。
【0047】
ここで、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドユニット1の製造方法について説明する。なお、図5及び図6は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドユニットの製造方法を示す断面図である。
【0048】
まず、図5(a)に示すように、ノズル開口21が設けられたノズルプレート20の液体噴射面Aにプラズマ重合膜からなる下地膜23を形成する。下地膜23は、例えば、シリコーンをアルゴンプラズマガスにより重合させて形成することができる。
【0049】
次に、図5(b)に示すように、ノズルプレート20の下地膜23上及び下地膜23が形成されていない領域の全面に亘って金属アルコキシドの分子膜からなる撥液膜24を形成する。すなわち、ノズルプレート20の液体噴射面Aと、液体噴射面Aとは反対側の面とに撥液膜24を形成する。これにより、ノズルプレート20の液体噴射面Aには、下地膜23と撥液膜24とからなる積層膜22が形成される。なお、分子膜からなる撥液膜24の形成方法は、特に限定されず、例えば、アルコキシラン等のシランカップリング剤をシンナー等の溶媒と混合して金属アルコキシド溶液を形成し、この金属アルコキシド溶液にノズルプレート20を浸漬することで金属アルコキシドを重合させて形成することができる。
【0050】
次に、図5(c)に示すように、ノズルプレート20の液体噴射面Aに非撥液領域25を形成する。具体的には、まず、ノズルプレート20の液体噴射面Aの積層膜22上の所定領域に保護膜420を形成する。保護膜420は、ノズルプレート20の固定板250に接着される非撥液領域25となる領域以外に形成する。このような保護膜420としては、後述するプラズマ処理及びプライマ液に対して耐性を有し、且つ剥離性の良いものであれば特に限定されないが、例えば、テープやレジストなどが挙げられる。なお、保護膜420としてテープを用いる場合には、テープからなる保護膜420を液体噴射面Aに貼付するようにすればよい。また、保護膜420としてレジストを用いる場合には、液体噴射面Aの全面に亘ってレジストを形成後、所定形状にパターニングすればよい。本実施形態では、作業効率を考慮して、テープからなる保護膜420を液体噴射面Aに貼付するようにした。なお、このようなテープからなる保護膜420としては、例えば、作業性及び剥離性の面で紫外線照射剥離フィルム(例えば、リンテック社製 E-6142Sなど)や熱剥離フィルム(例えば、リンテック社製 リバαなど)などが挙げられる。
【0051】
このように保護膜420としてテープやレジストを用いることで、ノズルプレート20の液体噴射面Aの非撥液領域25となる領域、すなわち、ノズルプレート20の撥液領域Aの四辺の周囲を保護膜420で覆うことなく、撥液膜24を残したい領域のみを選択的に保護することができる。これにより、非撥液領域25を容易に形成することができる。すなわち、保護膜として、メタルマスク等を用いることも考えられるが、メタルマスクからなる保護膜では、ノズルプレート20の液体噴射面A側の四辺を覆ってしまう可能性があり、後の工程で非撥液領域を容易に形成することができない。
【0052】
そして、保護膜420が設けられたノズルプレート20の液体噴射面Aとは反対側の面をテーブル421上に載置し、ノズルプレート20の液体噴射面A側をプラズマ処理する。これにより、ノズルプレート20の液体噴射面Aの保護膜420により覆われていない領域の撥液膜24が除去されて非撥液領域25が形成される。すなわち、ノズルプレート20の液体噴射面Aの非撥液領域25は、下地膜23のみで構成される。
【0053】
このようにノズルプレート20の下地膜23を非撥液領域25に残すことにより、非撥液領域25の下地膜23を選択的に除去するのに比べて製造工程を簡略化することができる。また、下地膜23を積層膜22となる領域(非撥液領域25以外の領域)に選択的に形成するのに比べて、製造工程を簡略化することができる。
【0054】
次に、図6(a)に示すように、ノズルプレート20の液体噴射面Aとは反対側の面の撥液膜24を除去する。この際に、下地膜23は、液体噴射面Aとは反対側の面に形成していないので、撥液膜24を除去すればノズルプレート20の面が露出する。下地膜23は、液体噴射面Aにおいて分子膜からなる撥液膜24とノズルプレート20との密着性を向上させるために存在するので、ノズルプレート20の液体噴射面Aとは反対側の面にはそもそも下地膜23を設ける必要はないため、液体噴射面Aとは反対側の面に下地膜23は存在しない。ただし、下地膜23を形成する上で、下地膜をノズルプレート20の液体噴射面Aとは反対側の面にも形成した方が効率が良いのであれば、液体噴射面Aとは反対側の面にも下地膜を設けてもよい。この場合は、撥液膜24を除去する際にノズルプレート20の液体噴射面Aとは反対側の下地膜23を除去する必要はない。本実施形態では、ノズルプレート20の保護膜420側の面をテーブル421上に載置し、液体噴射面Aとは反対側の面をプラズマ処理することにより撥液膜24を除去した。これにより、ノズルプレート20の液体噴射面Aとは反対側の面に非撥液領域26が形成される。
【0055】
次に、図6(b)に示すように、ノズルプレート20の非撥液領域25、26にプライマ液430を塗布する(プライマ処理工程)。具体的には、ノズルプレート20の液体噴射面A側の非撥液領域25及び液体噴射面Aとは反対側の面の非撥液領域26にプライマ液430を塗布する。プライマ液430の非撥液領域25、26への塗布方法は特に限定されず、例えば、非撥液領域25、26にプライマ液430を噴射や流出させて塗布してもよく、また、プライマ液430が充填された槽にノズルプレート20を浸漬してプライマ液430を塗布するようにしてもよい。このようなプライマ液430としては、ノズルプレート20と接着剤400、401との密着性を向上させることができるものであれば特に限定されず、例えば、東レ・ダウンコーニング社製SH6020〔主成分:γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシラン〕などを用いることができる。
【0056】
すなわち、本実施形態では、撥液膜24を除去する際に撥液膜24を保護する保護膜420が、非撥液領域25、26のみにプライマ液430を塗布する際に撥液膜24を保護する役割を有する。したがって、プライマ処理を行う際に再度、撥液膜24を保護膜等で保護する必要がなく、製造工程を簡略化してコストを低減することができる。勿論、撥液膜24を除去する保護膜420とは別にプライマ処理を行う際に撥液膜24を保護する保護膜を形成するようにしてもよい。勿論、プライマ処理を行う際に新たな保護膜を形成した場合には、この保護膜は、プライマ処理を行った後に除去される。
【0057】
その後は、上述したように、ノズルプレート20の非撥液領域26を流路形成基板10に接着剤401を介して接着してヘッド本体220を形成した後、ヘッド本体220のノズルプレート20とは反対側の面にヘッドケース230を接着してインクジェット式記録ヘッド2を形成する。そして、このインクジェット式記録ヘッド2のノズルプレート20の液体噴射面Aに設けられた非撥液領域25に固定板250を接着剤400を介して接着することで図1に示すようなインクジェット式記録ヘッドユニット1となる。なお、本実施形態では、ノズルプレート20に接着される流路形成基板10及び固定板250の接着領域も予め上述したのと同じプライマ液430によるプライマ処理を施した後、これらにノズルプレート20を接着している。
【0058】
以上説明したように、本発明では、ノズルプレート20の液体噴射面Aの全面に亘って撥液膜24を有する積層膜22を形成後、この撥液膜24を選択的に除去することにより非撥液領域25を形成するようにしたため、撥液膜24(積層膜22)を選択的に形成するのに比べて、非撥液領域25を容易に且つ高精度に形成することができる。また、ノズルプレート20の固定板250に接着される非撥液領域25をプライマ処理することで、ノズルプレート20と固定板250との接着強度を向上して、剥離が発生するのを防止することができ、信頼性を向上することができる。
【0059】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態1を説明したが、本発明の基本的構成は上述したものに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態1では、積層膜22として、プラズマ重合膜からなる下地膜23と、下地膜23上に設けられた金属アルコキシドの分子膜からなる撥液膜24とを用いたが、特にこれに限定されず、撥液膜として、例えば、ノズルプレート20上に直接形成したフッ素系高分子を含む金属膜を用いるようにしてもよい。このような金属膜からなる撥液膜は、例えば、共析メッキによりノズルプレート20上に所定の厚さで高精度に形成することができる。なお、金属膜からなる撥液膜は、ノズルプレート20の全面に亘って撥液膜を形成し、撥液膜を残したい領域を保護膜で保護した後、撥液膜の余分な領域をドライエッチングやウェットエッチングなどで除去することにより非撥液領域を形成すればよい。
【0060】
また、上述した実施形態1では、ヘッド本体220として、ノズル開口21が設けられたノズルプレート20を具備する構成を例示したが、特にこれに限定されず、例えば、ヘッド本体として、流路形成基板にノズル開口が形成された構成、すなわち、流路形成基板とノズルプレートとが一体的に形成されたものとしてもよい。このような場合、流路形成基板のノズル開口が開口する液体噴射面Aに撥液膜24を有する積層膜22を形成すればよく、固定板250が接着される液体噴射面Aに非撥液領域25を形成し、この非撥液領域25をプライマ処理すればよい。
【0061】
さらに、上述した実施形態1では、複数のインクジェット式記録ヘッド2を固定板250に接着剤400を介して接着するようにしたが、固定板250を設けずに、複数のインクジェット式記録ヘッド2をカバーヘッド240に接着するようにしてもよい。すなわち、カバーヘッド240がインクジェット式記録ヘッド2の液体噴射面Aを保持する保持部材としてもよい。勿論、固定板250やカバーヘッド240などの保持部材に1つのインクジェット式記録ヘッド2を接着するようにしてもよい。
【0062】
また、上述した実施形態1では、撓み振動型の圧電素子300を有するインクジェット式記録ヘッド2を例示したが、これに限定されず、例えば、圧電材料と電極形成材料とを交互に積層させて軸方向に伸縮させる縦振動型のインクジェット式記録ヘッドや発熱素子等の発熱で発生するバブルによってインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッド等、種々の構造のインクジェット式記録ヘッドを有するヘッドユニットに応用することができることは言うまでもない。
【0063】
なお、液体噴射ヘッドとしてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッドを有するヘッドユニットを一例として説明したが、本発明は、広く液体噴射ヘッドを有する液体噴射ヘッドユニットの製造方法を対象としたものである。液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(電界放出ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等を挙げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】実施形態1に係るヘッドユニットの分解斜視図である。
【図2】実施形態1に係るヘッドユニットの組立斜視図である。
【図3】実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図である。
【図4】実施形態1に係る記録ヘッドの断面図である。
【図5】実施形態1に係るヘッドユニットの製造方法を示す断面図である。
【図6】実施形態1に係るヘッドユニットの製造方法を示す断面図である。
【符号の説明】
【0065】
A 液体噴射面、 1 インクジェット式記録ヘッドユニット(液体噴射ヘッドユニット)、 2 インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、 3 キャリッジ、 10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 100 リザーバ、 210 カートリッジケース、 220 ヘッド本体、 230 ヘッドケース、 240 カバーヘッド、 250 固定板(保持部材)、 300 圧電素子、 400、401 接着剤、 410〜413 プライマ残留層、 420 保護膜、 421 テーブル、 430 プライマ液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴射するノズル開口が開口する液体噴射面を有する液体噴射ヘッドと、該液体噴射ヘッドの前記液体噴射面に接着剤を介して接着される保持部材とを具備する液体噴射ヘッドユニットの製造方法であって、
前記液体噴射面に撥液膜を形成する工程と、前記撥液膜が形成された前記液体噴射面の前記保持部材に接着される領域に前記撥液膜が形成されていない非撥液領域を形成する工程と、前記非撥液領域にプライマ液を塗布するプライマ処理工程と、前記液体噴射面の前記非撥液領域に前記保持部材を接着剤を介して接着する工程とを具備することを特徴とする液体噴射ヘッドユニットの製造方法。
【請求項2】
前記撥液膜を形成する工程では、前記液体噴射面の全面に亘って下地膜と、該下地膜上に金属アルコキシドからなる分子膜の撥液膜とを形成することを特徴とする請求項1記載の液体噴射ヘッドユニットの製造方法。
【請求項3】
前記非撥液領域を形成する工程では、前記液体噴射面の前記下地膜上に設けられた前記分子膜のみを除去することを特徴とする請求項2記載の液体噴射ヘッドユニットの製造方法。
【請求項4】
前記液体噴射ヘッドには、前記ノズル開口が設けられたノズルプレートと、該ノズルプレートの前記液体噴射面とは反対側の面に接着剤を介して接着される液体流路を有する流路形成基板とを具備し、前記撥液膜を形成する工程では、当該撥液膜を前記ノズルプレートの前記液体噴射面と当該液体噴射面の反対側の面とに形成すると共に、前記非撥液領域を形成する工程では、当該非撥液領域を前記液体噴射面の前記保持部材に接着される領域と、前記液体噴射面とは反対側の面とに形成することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドユニットの製造方法。
【請求項5】
前記撥液膜を形成する工程では、前記液体噴射面のみに下地膜を形成する工程と、前記ノズルプレートの全面に亘って金属アルコキシドからなる分子膜の撥液膜とを形成する工程とを具備し、前記非撥液領域を形成する工程では、前記ノズルプレートの前記液体噴射面の前記下地膜上に設けられた前記分子膜の前記撥液膜と、前記ノズルプレートの前記液体噴射面とは反対側の面に設けられた前記分子膜の前記撥液膜とを除去することを特徴とする請求項4記載の液体噴射ヘッドユニットの製造方法。
【請求項6】
前記プライマ処理工程では、前記プライマ液を、前記ノズルプレートの前記液体噴射面の前記非撥液領域と、前記ノズルプレートの前記液体噴射面とは反対側の面の前記非撥液領域とに塗布することを特徴とする請求項4又は5記載の液体噴射ヘッドユニットの製造方法。
【請求項7】
前記非撥液領域を形成する工程では、前記液体噴射面に相対向する領域に前記非撥液領域が開口する保護膜を形成する工程と、前記撥液膜を前記保護膜を介してプラズマ処理することにより当該撥液膜を除去して前記非撥液領域を形成する工程とを具備することを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドユニットの製造方法。
【請求項8】
前記保護膜を形成する工程では、テープからなる当該保護膜を前記液体噴射面に貼付することを特徴とする請求項7記載の液体噴射ヘッドユニットの製造方法。
【請求項9】
液体を噴射するノズル開口が開口する液体噴射面を具備する液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドの液体噴射面に接着剤を介して接着された保持部材とを具備し、
前記液体噴射面には、撥液膜が設けられていると共に、前記保持部材が接着される領域に前記撥液膜が形成されていない非撥液領域を具備し、前記非撥液領域と前記接着剤との界面には、当該非撥液領域にプライマ残留層が設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッドユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−213238(P2008−213238A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−52077(P2007−52077)
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】