液体噴射装置、及び、液体噴射方法
【課題】媒体上に着弾した液体の厚みを均一化させる。
【解決手段】列をなして並ぶ複数のノズルと、紫外線を照射する照射部と、媒体を前記複数のノズルに対して搬送方向へ搬送させる搬送動作と、前記複数のノズルから媒体に向けて液体を噴射することにより前記搬送方向に沿うドット群を該媒体に形成するドット群形成動作と、を交互に繰り返し実行して前記ドット群を前記搬送方向に沿って複数形成するとともに、前記ドット群形成動作を実行する都度、前記照射部に紫外線を前記ドット群に向けて照射させて該ドット群を硬化させる照射動作を実行する制御部と、を有する液体噴射装置であって、前記照射動作の際、前記照射部は、前記搬送方向における前記ドット群の中央部に向けて紫外線を照射する時期よりも遅い時期に、前記搬送方向における前記ドット群の両端部のうち、少なくとも一方の端部に向けて紫外線を照射する液体噴射装置。
【解決手段】列をなして並ぶ複数のノズルと、紫外線を照射する照射部と、媒体を前記複数のノズルに対して搬送方向へ搬送させる搬送動作と、前記複数のノズルから媒体に向けて液体を噴射することにより前記搬送方向に沿うドット群を該媒体に形成するドット群形成動作と、を交互に繰り返し実行して前記ドット群を前記搬送方向に沿って複数形成するとともに、前記ドット群形成動作を実行する都度、前記照射部に紫外線を前記ドット群に向けて照射させて該ドット群を硬化させる照射動作を実行する制御部と、を有する液体噴射装置であって、前記照射動作の際、前記照射部は、前記搬送方向における前記ドット群の中央部に向けて紫外線を照射する時期よりも遅い時期に、前記搬送方向における前記ドット群の両端部のうち、少なくとも一方の端部に向けて紫外線を照射する液体噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射装置及び液体噴射方法に関する。特に、液体を媒体に噴射して該媒体に形成されたドットに向けて紫外線を照射して該ドットを硬化させる液体噴射装置及び液体噴射方法に関する。
【背景技術】
【0002】
列をなして並ぶ複数のノズルと、紫外線を照射する照射部と、制御部と、を有する液体噴射装置は既に知られている(例えば、特許文献1参照)。かかる液体噴射装置では、前記制御部が、媒体を前記複数のノズルに対して搬送方向へ搬送させる搬送動作と、前記複数のノズルから媒体に向けて液体を噴射することにより前記搬送方向に沿うドット群を該媒体に形成するドット群形成動作と、を交互に繰り返し実行して前記ドット群を前記搬送方向に沿って複数形成する。また、前記制御部は、前記ドット群形成動作を実行する都度、前記照射部に紫外線を前記ドット群に向けて照射させて該ドット群を硬化させる照射動作を実行する。
【特許文献1】特開2004−202864号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、複数のドット群が形成された媒体において、該媒体上に着弾した液体の厚み(具体的には、媒体に着弾した後に硬化させた液体の厚みであり、以下、単に厚みと言う)は、前記搬送方向において均一化されているほうが望ましい。一方、ドット群を搬送方向に沿って複数形成する場合、ドット群同士が一部重なることがあり、かかる場合には、媒体のうち、ドット群が重なっている領域において前記厚みがより厚くなる。また、前記搬送方向におけるドット群の端部においては、該ドット群の中央部と比較して、重なるドット群(つまり、異なるドット群形成動作にて形成されたドット群)の数がより多くなる傾向にある。すなわち、ドット群の端部では、ドット群の中央部と比較して、前記厚みが厚くなり易い。この結果、前記厚みが不均一となってしまう。
【0004】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、媒体上に着弾した液体の厚みを均一化させることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、主たる発明は、(A)列をなして並ぶ複数のノズルと、(B)紫外線を照射する照射部と、(C)媒体を前記複数のノズルに対して搬送方向へ搬送させる搬送動作と、前記複数のノズルから媒体に向けて液体を噴射することにより前記搬送方向に沿うドット群を該媒体に形成するドット群形成動作と、を交互に繰り返し実行して前記ドット群を前記搬送方向に沿って複数形成するとともに、前記ドット群形成動作を実行する都度、前記照射部に紫外線を前記ドット群に向けて照射させて該ドット群を硬化させる照射動作を実行する制御部と、(D)を有する液体噴射装置であって、前記照射動作の際、前記照射部は、前記搬送方向における前記ドット群の中央部に向けて紫外線を照射する時期よりも遅い時期に、前記搬送方向における前記ドット群の両端部のうち、少なくとも一方の端部に向けて紫外線を照射することを特徴とする液体噴射装置である。
【0006】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本明細書及び添付図面の記載により少なくとも次のことが明らかにされる。
【0008】
先ず、(A)列をなして並ぶ複数のノズルと、(B)紫外線を照射する照射部と、(C)媒体を前記複数のノズルに対して搬送方向へ搬送させる搬送動作と、前記複数のノズルから媒体に向けて液体を噴射することにより前記搬送方向に沿うドット群を該媒体に形成するドット群形成動作と、を交互に繰り返し実行して前記ドット群を前記搬送方向に沿って複数形成するとともに、前記ドット群形成動作を実行する都度、前記照射部に紫外線を前記ドット群に向けて照射させて該ドット群を硬化させる照射動作を実行する制御部と、(D)を有する液体噴射装置であって、前記照射動作の際、前記照射部は、前記搬送方向における前記ドット群の中央部に向けて紫外線を照射する時期よりも遅い時期に、前記搬送方向における前記ドット群の両端部のうち、少なくとも一方の端部に向けて紫外線を照射する液体噴射装置。
【0009】
かかる液体噴射装置であれば、搬送方向におけるドット群の少なくとも一方の端部では、ドットの硬化時間(ドットが形成されてから硬化するまでの時間)が、搬送方向における該ドット群の中央部よりも長くなる。つまり、前記少なくとも一方の端部に位置するドットは、前記中央部に位置するドットよりも、濡れ広がって薄厚になった状態で硬化する。これにより、異なるドット群形成動作にて形成されたドット群がより多く重なり前記厚みが厚くなり易いドット群の端部(すなわち、少なくとも一方の端部)と、該ドット群の中央部と、の間で前記厚みを略等しくすることが可能になる。つまり、媒体上に着弾した液体の厚みを均一化させることが可能になる。
【0010】
また、上記の液体噴射装置において、前記照射部は、紫外線の光源を有し、該光源が前記ドット群と対向した状態で該ドット群に向けて紫外線を照射し、前記照射動作の際、前記光源は、前記ドット群の前記中央部と対向する時期よりも遅い時期に、前記ドット群の前記少なくとも一方の端部と対向することとしてもよい。かかる構成により、前記照射部に、前記ドット群の前記少なくとも一方の端部に向けて、前記ドット群の前記中央部に向けて紫外線を照射する時期よりも遅い時期に紫外線を照射させることが容易になる。
【0011】
また、上記の液体噴射装置において、前記制御部は、前記ドット群形成動作の際、前記複数のノズルを前記搬送方向と交差する交差方向に移動させながら該複数のノズルから媒体に向けて液体を噴射し、前記光源は、前記複数のノズルが前記交差方向に移動する際に該複数のノズルの後を追いながら該交差方向に移動し、前記ドット群の前記少なくとも一方の端部と対向する前記光源は、前記交差方向において、前記ドット群の前記中央部と対向する前記光源よりも前記複数のノズルが位置する側とは反対側に位置することとしてもよい。かかる構成により、前記照射部に、前記ドット群の前記少なくとも一方の端部に向けて、前記ドット群の前記中央部に向けて紫外線を照射する時期よりも遅い時期に紫外線を照射させることが更に容易になる。
【0012】
また、上記の液体噴射装置において、前記ドット群の一端部と対向する前記光源、及び、該ドット群の他端部と対向する前記光源は、いずれも、前記交差方向において、該ドット群の前記中央部と対向する前記光源よりも前記複数のノズルが位置する側とは反対側に位置することとしてもよい。かかる構成により、媒体上に着弾した液体の厚みをより均一化させることが可能になる。
【0013】
さらに、上記の液体噴射装置の他に、(A)列をなして並ぶ複数のノズルと、(B)紫外線を照射する照射部と、(C)媒体を前記複数のノズルに対して搬送方向へ搬送させる搬送動作と、前記複数のノズルから媒体に向けて液体を噴射することにより前記搬送方向に沿うドット群を該媒体に形成するドット群形成動作と、を交互に繰り返し実行して前記ドット群を前記搬送方向に沿って複数形成するとともに、前記ドット群形成動作を実行する都度、前記照射部に紫外線を前記ドット群に向けて照射させて該ドット群を硬化させる照射動作を実行する制御部と、(D)を有する液体噴射装置であって、前記照射動作の際、前記照射部は、前記搬送方向における前記ドット群の中央部に向けて紫外線を照射するときの照射強度よりも弱い照射強度にて、前記搬送方向における前記ドット群の両端部のうち、少なくとも一方の端部に向けて紫外線を照射する液体噴射装置、も考えられる。かかる液体噴射装置によれば、上記の液体噴射装置と同様、媒体に着弾した液体の厚みを均一化させることが可能である。
【0014】
さらに、(A)媒体を、列をなして並ぶ複数のノズルに対して搬送方向へ搬送させる搬送動作と、前記複数のノズルから媒体に向けて液体を噴射することにより前記搬送方向に沿うドット群を該媒体に形成するドット群形成動作と、を交互に繰り返し実行して前記ドット群を前記搬送方向に沿って複数形成することと、(B)前記ドット群形成動作を実行する都度、紫外線を前記ドット群に向けて照射する照射動作を実行することと、(C)を有する液体噴射方法であって、前記照射動作の際、前記搬送方向における前記ドット群の中央部に向けて紫外線を照射する時期よりも遅い時期に、前記搬送方向における前記ドット群の両端部のうち、少なくとも一方の端部に向けて紫外線を照射する液体噴射方法も実現可能である。
【0015】
あるいは、(A)媒体を、列をなして並ぶ複数のノズルに対して搬送方向へ搬送させる搬送動作と、前記複数のノズルから媒体に向けて液体を噴射することにより前記搬送方向に沿うドット群を該媒体に形成するドット群形成動作と、を交互に繰り返し実行して前記ドット群を前記搬送方向に沿って複数形成することと、(B)前記ドット群形成動作を実行する都度、紫外線を前記ドット群に向けて照射する照射動作を実行することと、(C)を有する液体噴射方法であって、前記照射動作の際、前記搬送方向における前記ドット群の中央部に向けて紫外線を照射するときの照射強度よりも弱い照射強度にて、前記搬送方向における前記ドット群の両端部のうち、少なくとも一方の端部に向けて紫外線を照射する液体噴射方法も実現可能である。
【0016】
これらの液体噴射方法によれば、媒体上に着弾させた液体の厚みを均一化させることが可能になる。
【0017】
===本実施形態の液体噴射装置について===
以下、液体噴射装置の一例としてのインクジェットプリンタ(以下、プリンタ10)について、図1、図2A〜図2C、及び、図3を参照しながら説明する。図1は、プリンタ10の構成を示すブロック図である。図2A〜図2Cは、プリンタ10の基本構成を示す図である。図2Aはプリンタ10の全体構成の概略を示し、図2Bは図2A中のA−A断面図を示し、図2Cは図2A中のB−B断面図を示す。図2Aには、媒体Pの搬送方向、及び、該搬送方向と交差する交差方向をそれぞれ矢印にて示している。図2B及び図2Cには、前記搬送方向を矢印にて示している。図3は、ノズルの配列を示す図であり、同図には、前記搬送方向と前記交差方向とを矢印にて示している。
【0018】
本実施形態のプリンタ10は、紙、布、フィルムシート等の媒体Pに向けて、液体の一例としての紫外線硬化型インク(以下、UVインク)を噴射することにより画像を該媒体Pに印刷する装置である。UVインクは、紫外線硬化樹脂を含むビヒクル、光重合開始剤、及び、顔料の混合物に、消泡剤等の補助剤を添加して調合されたインクであり、紫外線を受けると紫外線硬化樹脂において光重合反応が起こることにより硬化する。なお、本実施形態のプリンタ10は、CMYK4色のUVインクを用いてカラー画像を印刷する。
【0019】
プリンタ10は、図1に示すように、記録ユニット20、搬送ユニット30、照射部の一例としての照射ユニット40、検出器群50、及び、制御部の一例としてのコントローラ60を有する。プリンタ10がコンピュータ110から印刷データを受信すると、コントローラ60が、印刷データに基づいて各ユニット(すなわち、記録ユニット20、搬送ユニット30、及び、照射ユニット40)を制御することにより、印刷データに応じた画像を媒体Pに印刷する。プリンタ10内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は検出結果に応じた信号をコントローラ60に向けて出力する。
【0020】
記録ユニット20は、画像を媒体Pに記録するためのものである。この記録ユニット20は、図2A及び図2Bに示すように、キャリッジ21、キャリッジ移動機構22、及び、ヘッド23を有する。キャリッジ21は、後述する搬送方向と交差したガイド軸24に支持された状態で、キャリッジ移動機構22によりガイド軸24に沿って往復移動する。本実施形態では、キャリッジ21の移動方向、すなわち、ガイド軸24の軸方向が交差方向に相当する。
【0021】
ヘッド23は、その下面(以下、ノズル面)に形成された複数のノズルを有し、キャリッジ21に搭載されたインクカートリッジ25から供給されるUVインクを、前記複数のノズルから媒体Pに向けて噴射するためのものである。ヘッド23は、図3に示すように、CMYKのインク色毎に複数のノズルを有する。複数のノズルは、一定のノズルピッチで、キャリッジ21の移動方向と交差する列をなして並んでいる。すなわち、ノズル面には、CMYK4色分のノズル列Nc、Nm、Ny、Nkが形成されている。各ノズルには不図示のインクチャンバ及びピエゾ素子が設けられ、該ピエゾ素子の駆動によりインクチャンバが収縮・膨張されて、前記各ノズルから滴状のUVインクが噴射される。そして、ヘッド23が媒体Pの上方に位置した状態で、該媒体Pに向けてノズルからUVインクが噴射される。噴射されたUVインクは、媒体Pに着弾するとドットを形成する。つまり、複数のノズル(ノズル列)の各ノズルからUVインクが噴射されると、複数のドットからなるドット群が媒体Pに形成される。このドット群の各ドットは、複数のノズルが並ぶ方向に沿って並んでいる。
【0022】
また、ヘッド23は、キャリッジ21に搭載されており、キャリッジ21の移動に伴って、該キャリッジ21が移動する方向と同一方向に該キャリッジ21と一体的に移動する。そして、ヘッド23がキャリッジ21と一体的に移動する間に、複数のノズル(ノズル列)の各ノズルからUVインクが断続的に噴射される。この結果、媒体Pには、ドット群がキャリッジ21の移動方向、すなわち、交差方向に沿って一定間隔毎に次々と形成される。換言すると、前記交差方向に沿うドットの列(ラスタライン)が、後述の搬送方向に沿って複数形成されていく。なお、本実施形態では、ヘッド23が前記交差方向において一端から他端に向かって移動する期間中にインク噴射が行われる一方で、他端から一端に向かって移動する期間中にはインク噴射が行われない。
【0023】
搬送ユニット30は、図2A〜図2Cに示す搬送方向に媒体Pを搬送するためのものである。換言すると、搬送ユニット30は、媒体Pを複数のノズルに対して移動させるためのものである。なお、搬送方向は、各ノズル列Nc、Nm、Ny、Nkにおいて当該各ノズル列Nc、Nm、Ny、Nkを構成する複数のノズルが並んでいる方向に沿う方向である。搬送ユニット30は、図2A及び図2Bに示すように、給紙ローラ31と、搬送モータ32と、搬送ローラ33と、プラテン34と、排紙ローラ35と、を有する。挿入口に挿入された媒体Pは、給紙ローラ31によりプリンタ10内に供給されると、搬送モータ32の回転によって回転する搬送ローラ33により、搬送方向において印刷可能な領域まで搬送される。その後、媒体Pは、プラテン34に支持されながら規定の搬送量ずつ断続的に搬送され、最終的に排紙ローラ35によりプリンタ10外に排出される。
【0024】
照射ユニット40は、媒体Pに形成されたドット群に向けて紫外線を照射するものである。照射ユニット40が照射した紫外線を受けたドット群は、硬化して媒体Pに定着する。照射ユニット40は、図2Cに示すように、紫外線の光源41と、該光源41を内部に収容する収容ボックス42と、を有する。光源41は、収容ボックス42内に収容されることによりヘッド23から隔離されている。これにより、光源41からの紫外線がノズル面へ漏れるのを防ぎ、以って、当該ノズル面に形成された各ノズルの開口付近でUVインクが硬化するために生じるノズル目詰まりを防止している。
【0025】
また、収容ボックス42は無底の箱体であるので、照射ユニット40を下方から見れば、光源41が外部に対して露出された状態となっている。したがって、光源41は、該光源41よりも下方に位置する媒体Pと対向することになる。そして、照射ユニット40は、光源41が該媒体Pに形成されたドット群と対向した状態で、該ドット群に向けて前記光源41からの紫外線を照射する。本実施形態の光源41は、複数のUV発光素子41aによって構成されるものであるが、これに限定されるものではなく、メタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ等も利用可能である。なお、光源41については後に詳述する。
【0026】
また、本実施形態では、図2Aに示すように、照射ユニット40がヘッド23とともにキャリッジ21に搭載されており、交差方向においてヘッド23の一端側で該ヘッド23と隣接している。したがって、キャリッジ21の移動に伴って、ヘッド23と照射ユニット40とは一体的に前記交差方向に移動する。換言すると、インク色毎の複数のノズル(以下、各色のノズル列)が前記交差方向において一端から他端に向かって移動する際、光源41は、各色のノズル列に対する相対位置を維持しながら、当該各色のノズル列の後を追って移動する。
【0027】
そして、キャリッジ21が前記交差方向の一端から他端に向かって移動する期間中、各色のノズル列からUVインクが噴射されることにより、前記一端側からドット群が順次形成される一方、前記各色のノズル列の後を追う光源41が前記一端側から順に各ドット群と対向していく。つまり、交差方向の一端から他端に向かって移動しているキャリッジ21内において、他端側(キャリッジ21の前方側)では各色のノズル列からUVインクが噴射され、一端側(キャリッジ21の後方側)にて照射ユニット40が光源41からの紫外線をドット群(具体的には、照射ユニット40の直下に位置するドット群)に向けて照射する。
【0028】
コントローラ60は、CPU62によりユニット制御回路64を介してプリンタ10の各ユニットを制御する。つまり、コントローラ60は、キャリッジ21を移動させながらヘッド23のノズル(つまり、各色のノズル列)からUVインクを噴射してドット群を媒体Pに形成するドット群形成動作と、搬送ユニット30による搬送動作と、照射ユニット40に光源41からの紫外線を前記ドット群に向けて照射させる照射動作と、を実行する。
【0029】
<光源41について>
次に、前述の光源41について、図4を参照しながら説明する。図4は、本実施形態の光源41を示す図であり、照射ユニット40を下から見たときの図である。図中には、搬送方向及び交差方向をそれぞれ矢印にて示している。また、図4には、ドット群と光源41との対応関係を示すために、ノズル面に形成された4つのノズル列のうち、交差方向において最も一端側(照射ユニット40側)に位置するノズル列Nkを示している。なお、図4では、図を分かり易くするために、各ノズルとUV発光素子41aとの間の寸法比が実際のものと異なっている。
【0030】
光源41は、前述したように複数のUV発光素子41aによって構成されている。UV発光素子41aが発する紫外線は指向性を有しており、本実施形態の照射ユニット40は、UV発光素子41aからの紫外線を鉛直方向において下向きに照射する。また、各UV発光素子41aは同一の出力にて紫外線を発する。したがって、本実施形態では、照射ユニット40が光源41の各部からの紫外線を照射するときの照射強度が、当該各部の間で略均一となる。ここで、照射強度とは、照射ユニット40が紫外線を照射するときの単位立体角あたりの該紫外線の光束であり、照射強度が高いほど、単位面積あたりに照射される紫外線のエネルギーが高いことになる。
【0031】
また、光源41は、収容ボックス42内において図4に示すように配置されている。具体的に説明すると、複数のUV発光素子41aは、図4に示すように、UV発光素子41a間の間隔が略一定になるように配置されている。また、搬送方向において、光源41の上流側端部(具体的には、最も上流側に位置するUV発光素子41a)は、最も上流側に位置するノズルと略同一位置に位置している。同様に、光源41の下流側端部(具体的には、最も下流側に位置するUV発光素子41a)は、最も下流側に位置するノズルと略同一位置に位置している。この結果、キャリッジ21が移動する際、各色のノズル列(複数のノズル)から噴射されるUVインクによって媒体Pにドット群が形成された後、光源41は、媒体Pの当該ドット群が形成された部位の直上位置を通過するようになる。
【0032】
そして、光源41が媒体Pのドット群が形成された部位の直上位置を通過するとき、該光源41の各部(各UV発光素子41a)は、前記ドット群のうち、対応するドットと対向するようになる。ここで、光源41の各部に対応するドットとは、当該各部から発せられる紫外線を受けるドットのことである。つまり、ドット群中の各ドットは、光源41の中、当該各ドットに対応している部分と対向する。
【0033】
より具体的に説明すると、光源41の搬送方向中央部(搬送方向中央部に位置するUV発光素子41a)は、ドット群の搬送方向中央部(搬送方向中央部に位置するドット)と対向する。同様に、光源41の搬送方向上流側端部(搬送方向上流側端部に位置するUV発光素子41a)は、ドット群の搬送方向上流側端部(搬送方向上流側端部に位置するドット)と対向し、光源41の搬送方向下流側端部(搬送方向下流側端部に位置するUV発光素子41a)は、ドット群の搬送方向下流側端部(搬送方向下流側端部に位置するドット)と対向する。なお、光源41のある部分が対応するドットと対向するとは、当該ある部分から発せられる紫外線が前記対応するドットに当たる位置、に当該ある部分が位置することを意味する。
【0034】
また、本実施形態では、図4に示すように、複数のUV発光素子41aが、弓状に折れ曲がった折線を形成するように配置されている。具体的に説明すると、光源41の搬送方向中央部に位置するUV発光素子41aは、搬送方向に沿って並んでいる。一方、光源41の搬送方向両端部の各々に位置するUV発光素子41aは、該光源41の搬送方向中央から離れたUV発光素子41aほど交差方向一端側に位置するように、搬送方向に対して傾いた方向に並んでいる。つまり、UV発光素子41aとノズル(詳しくは、UV発光素子41aに最も近い位置に位置するノズル)との間隔が、光源41の搬送方向中央部よりも搬送方向両端部において、より長くなっている。換言すると、ドット群の一端部(上流側端部)と対向する光源41、及び、ドット群の他端部(下流側端部)と対向する光源41とは、いずれも前記交差方向において、ドット群の中央部と対向する光源41よりも各色のノズル列(複数のノズル)が位置する側とは反対側に位置している。
【0035】
したがって、キャリッジ21の移動に伴ってヘッド23及び照射ユニット40が交差方向の一端から他端に向かって移動する際、光源41は、ドット群の搬送方向中央部と対向する時期よりも遅い時期に、該ドット群の搬送方向両端部と対向することになる。なお、本実施形態では、前述したように、照射ユニット40が光源41の各部からの紫外線を照射するときの照射強度が、当該各部の間で略均一であるため、照射ユニット40がドット群の搬送方向中央部に向けて紫外線を照射するときの照射強度と、ドット群の搬送方向端部に向けて紫外線を照射するときの該照射強度とは略等しい。
【0036】
<<印刷処理について>>
次に、上記構成のプリンタ10が実行する印刷処理について、図5、図6A〜図6Dを参照しながら説明する。図5は、印刷処理のフローチャートである。図6A〜図6Dは、ドット群形成動作についての説明図であり、図中、搬送方向及び交差方向を矢印にて示している。なお、図6A〜図6Dでは、図を分かり易くするため、1色分のドット群のみを示し、ドット数も実際のものより少なくなっている。また、ドットの中の英数字は、当該ドットが何回目のドット群形成動作で形成されるドットであるかを示している。
【0037】
印刷処理は、図5に示すように、コントローラ60がコンピュータ110からインターフェース61を介して印刷命令を含む印刷データを受信するところから始まる(S001)。コントローラ60は、受信した印刷データ中の各種コマンドの内容を解析し、プリンタ10の各ユニットを制御する。次に、コントローラ60は、媒体Pを給紙ローラ31によりプリンタ10内に供給してから、搬送ローラ33により媒体Pを印刷開始位置(頭出し位置)に位置決めする給紙動作を行う(S002)。
【0038】
次に、コントローラ60は、ヘッド23のノズル面に形成された各色のノズル列(複数のノズル)からインクを噴射することにより、搬送方向に沿うドット群を媒体Pに形成させるドット群形成動作を実行する(S003)。このとき、コントローラ60は、キャリッジ21を交差方向の一端から他端に向けて移動させることにより、前記各色のノズル列を該キャリッジ21が移動する方向と同一方向に移動させながら当該各色のノズル列から断続的に噴射させる。これにより、図6Aに示すように、複数のドット群が、搬送方向において同一の位置に並ぶように媒体Pに形成される。つまり、ドット群形成動作は、交差方向に沿うドット列、すなわち、ラスタラインを搬送方向に複数(具体的には、ノズル列を構成するノズル数分)形成させる動作でもある。
【0039】
また、コントローラ60は、キャリッジ21を交差方向の一端から他端に向けて移動させる間、ヘッド23の後方側において、照射ユニット40に紫外線を前記ドット群に向けて照射させて該ドット群を硬化させる照射動作を実行する(S004)。このように本実施形態では、コントローラ60が、一回のキャリッジ21の移動(詳しくは、交差方向の一端から他端に向けた移動)中に、ドット群形成動作、及び、該ドット群形成動作により形成されるドット群に向けて紫外線を照射する照射動作の双方を実行する。そして、ドット群が媒体Pに形成されると、程なくして照射ユニット40の光源41が該ドット群に対向するようになり、かかる状態で照射ユニット40が該ドット群に向けて紫外線を照射する。この結果、キャリッジ21が該キャリッジ21の移動範囲の交差方向他端に到達した時点で、複数のドット群が交差方向に沿って並び、当該複数のドット群の各々が紫外線を受けて硬化する。
【0040】
さらに、前述したように、照射動作の際、すなわち、光源41が各ドット群と対向する際、該光源41は、各ドット群の搬送方向中央部と対向する時期よりも遅い時期に、当該各ドット群の搬送方向両端部と対向する。つまり、照射動作の際、照射ユニット40は、ドット群の搬送方向中央部に向けて紫外線を照射する時期よりも遅い時期に、該ドット群の搬送方向両端部に向けて紫外線を照射する。これにより、ドット群の搬送方向両端部では、ドットの硬化時間(ドットが形成されてから硬化するまでの時間)が、該ドット群の搬送方向中央部よりも長くなる。つまり、ドット群の搬送方向両端部に位置するドットは、搬送方向中央部に位置するドットよりも、濡れ広がって薄厚になった状態で硬化する。
【0041】
次に、コントローラ60は、搬送ユニット30による搬送動作を実行し、搬送方向において媒体Pを予め規定された距離だけ搬送する(S005)。この結果、前回のドット群形成動作にてドット群が形成された位置とは搬送方向において異なる位置に、次回のドット群形成動作にてドット群を形成することが可能になる。コントローラ60は、媒体Pに印刷するための印刷データが残っている限り(S006でNo)、搬送動作とドット群形成動作とを交互に繰り返し実行する。これにより、ドット群が媒体Pに搬送方向に沿って複数形成されるようになる。そして、コントローラ60は、ドット群形成動作を実行する都度、照射動作を実行する。
【0042】
以下、図6A〜図6Dを参照しながら、本実施形態のドット群形成動作について、より詳しく説明する。本実施形態では、複数回のドット群形成動作(以下、パス)により、補完的にラスタラインが形成されるような印刷方式を採用している。例えば、図6A及び図6Bに示すように、パスnの後に媒体Pを所定量だけ搬送方向下流側に搬送してから、パスnの次のパス(つまり、パスn+1)において、パスn+1にて形成されるラスタラインの一部がパスnにて形成されたラスタラインの間に位置するように、ドット群を形成する。なお、パスnにて形成された各ドット群は、パスnと併行実施される照射動作により、パスn+1にてドット群が形成される時点で既に硬化している。
【0043】
その後、媒体Pを所定量だけ搬送方向下流側に搬送してから、パスn+2が実行される。パスn+2では、図6Cに示すように、パスn+1にて最も上流側に形成されたラスタラインと、パスn+2にて最も下流側に形成されるラスタラインと、が搬送方向において互いに隣接するように、ドット群が形成される。なお、パスn+1にて形成された各ドット群は、パスn+2にてドット群が形成される時点で既に硬化している。その後、媒体Pを所定量だけ更に搬送方向下流側に搬送してから、パスn+3が実行される。パスn+3では、図6Dに示すように、パスn+3にて形成されるラスタラインの一部がパスn+2にて形成されたラスタラインの間に位置するように、ドット群が形成される。なお、パスn+2にて形成された各ドット群は、パスn+3にてドット群が形成される時点で既に硬化している。以降、同様の手順にて、搬送動作とドット群形成動作とが交互に繰り返し実行されるとともに、ドット群形成動作が実行される都度、照射動作が実行される。
【0044】
コントローラ60は、媒体Pに印刷するための印刷データがなくなると(S006でYes)、排紙ローラ35により媒体Pをプリンタ10外に排出する排紙動作を実行する(S007)。画像が印刷された媒体Pがプリンタ10外に排出された後、コントローラ60は、印刷を終了するか否かの判断を行う(S008)。コントローラ60は、新たな媒体Pに印刷を行うのであれば(S008でNo)、前述の給紙動作に戻って印刷を続行する。他方、新たな媒体Pに印刷を行わないのであれば(S008でYes)、印刷処理を終了する。
【0045】
===本実施形態のプリンタ10の有効性について===
本実施形態のプリンタ10では、上記構成により、媒体Pに画像を印刷するために該媒体P上に着弾させたUVインクの厚み(つまり、媒体Pに向けて噴射され、該媒体P上に着弾した後に硬化したUVインクの厚み)を均一化させることが可能になる。この結果、本実施形態のプリンタ10により、より高品質な画像を印刷することが可能となる。
【0046】
本実施形態のプリンタ10の有効性について、図7A〜図7Cを参照しながら説明する。図7A〜図7Cは、プリンタ10の有効性を説明するための模式図である。図7Aは、理想的に形成された複数のドット群を示す図であり、図7Bは、従来のプリンタ10により形成された複数のドット群を示す図であり、図7Cは、本実施形態のプリンタ10により形成された複数のドット群を示す図である。なお、図7A〜図7Cの各図中には、媒体Pの厚み方向(すなわち、上下方向)と搬送方向を矢印にて示している。また、図7A〜図7Cの各図において、ドットの中の英数字は、当該ドットが何回目のドット群形成動作で形成されるドットであるかを示している。
【0047】
発明が解決しようとする課題の項で説明したように、媒体P上に着弾して硬化したUVインクの厚みは、各ドット群においてドットが並ぶ方向、すなわち、搬送方向において均一になっている方が望ましい。上述した印刷処理(すなわち、図6A〜図6Dに示すようにドット群が複数形成される場合)を例に挙げて説明すると、図7Aに示すように、各パスにおいてUVインクが媒体Pの表面に着弾して該表面にドットが形成される場合(すなわち、ドット群が互いに重ならずに媒体Pに形成される場合)、各ノズルからのインク噴射量が一定であれば、前記厚みは搬送方向において均一となる。
【0048】
ところで、UVインクは、媒体Pに着弾してから硬化するまでの間に濡れ広がる。つまり、UVインクによって形成されるドットは、紫外線を受けて硬化するまで濡れ広がって薄厚になっていく。このようにドットが濡れ広がった状態で硬化するため、ドット間の間隔が短くなる。この結果、図7Bに示すように、あるパス(例えば、パスn)にて形成されたドット群が硬化した後、あるパスの次のパス(例えば、パスn+1)では、UVインクが硬化したドット群上に着弾する場合がある。つまり、ドット群は、そのドット群が形成されるパスよりも前のパスにて形成され既に硬化したドット群と、一部重なる場合がある。当然ながら、ドット群において、ドット群同士が重なった部分では前記厚みが増し、重なるドット群の数が増えるほど当該厚みが厚くなる。
【0049】
そして、従来のプリンタ10では、ドット群の搬送方向端部において、該ドット群の搬送方向中央部と比較して前記厚みが厚くなり易くなっていた。この結果、前記厚みが不均一となってしまう虞があった。以下、従来のプリンタ10において、ドット群の搬送方向端部において、該ドット群の搬送方向中央部よりも前記厚みが厚くなる原因について、図7Bを参照しながら説明する。
【0050】
上述した印刷処理では、前述したように、パスnにて形成されたドット群が硬化した後、パスn+1では、硬化状態のドット上にUVインクが着弾する。つまり、パスn+1では、一部のドットがパスnにて形成されたドットの上に重なるように、ドット群が形成される。ここで、パスnにて形成されたドット群を見ると、図7Bに示すように、該ドット群の搬送方向中央部に位置するドットの両脇には、同一のパス(すなわち、パスn)にて形成されたドットが隣り合うように並んでおり、更にパスn+1にて形成されたドットが重なっている。すなわち、パスn+1が終了した時点で、媒体Pの、パスnにて形成されたドット群の搬送方向中央部が位置する部位には、パスnにて形成されたドットと、パスn+1にて形成されたドットとの組み合わせが並んでいることになる。
【0051】
また、パスnにて形成されたドット群の搬送方向上流側端に位置するドットの片側(搬送方向上流側)には、同一のパス(すなわち、パスn)にて形成されたドットが存在しない一方で、パスn+1にて形成されたドットが重なっている。すなわち、図7Bに示すように、媒体Pの、パスnにて形成されたドット群の搬送方向上流側端よりも上流側に位置する部位には、パスnにて形成されたドット、及び、パスn+1にて形成されたドットが存在しない。
【0052】
そして、媒体Pの、パスnにて形成されたドット群の搬送方向上流側端が位置する部位と上流側で隣接する部位には、パスn+1の次のパス(すなわち、パスn+2)にてドット(ドット群の端部)が形成される。また、パスn+1にて形成されるドット群の各ドットについても硬化するまでの間に濡れ広がるため、図7Bに示すように、パスn+1にて形成されるドット群中、搬送方向上流側端に位置するドット上には、パスn+2にて形成されるドット群中、搬送方向下流側端に位置するドットが重なるようになる。
【0053】
さらに、パスn+2にて形成されるドット群の各ドットについても硬化するまでの間に濡れ広がるため、図7Bに示すように、パスn+3において、一部のドットがパスn+2にて形成されたドット群の上に重なるようにドット群が形成される。この結果、パスnにて形成されるドット群のうち、搬送方向上流側端に位置するドット上には、パスn+1にて形成されるドット、パスn+2にて形成されるドット、及び、パスn+3にて形成されるドットが重なるようになる。
【0054】
以上のように、各パスにて形成されたドット群の搬送方向中央部に位置するドットの両側には同一パスにて形成されたドットが並んでいるのに対し、該ドット群の搬送方向端に位置するドットの片側(ドット群の外側)には、同一パスにて形成されたドットが存在しない。このため、当該搬送方向端に位置するドットは、異なるパスにて形成されたドットと重なり合い易くなる。つまり、ドット群の搬送方向端部では、該ドット群の搬送方向中央部と比較して、該ドット群が形成されたパスとは異なるパスにて形成され、かつ、既に硬化したドット群上に重なるドット群の数がより多くなる。
【0055】
一方、従来のプリンタ10では、照射動作の際、照射ユニット40が、同時に、かつ、同一の照射強度にて、ドット群の搬送方向中央部及び搬送方向端部の双方に向けて紫外線を照射していた。かかる場合、ドット群の搬送方向端部に位置するドットと、該ドット群の搬送方向中央部に位置するドットとが同時に硬化するため、異なるパスにて形成されたドット群がより多く重なる前記搬送方向端部では、図7Bに示すように、前記厚みが、前記搬送方向中央部よりも厚くなってしまう。このように、ドット群の搬送方向端部において前記厚みがより厚くなる結果、最終的に得られる画像のうち、当該搬送方向端部に相当する部分に縞(所謂バンディング)が発生し、前記画像の品質が低下してしまう。
【0056】
これに対し、本実施形態では、照射動作の際、照射ユニット40が、ドット群の搬送方向中央部に向けて紫外線を照射する時期よりも遅い時期に、該ドット群の搬送方向両端部に向けて紫外線を照射する。これにより、ドット群の搬送方向両端部では、該ドット群の搬送方向中央部と比較して、ドットの硬化時間がより長くなる。つまり、ドット群の搬送方向両端部に位置するドットは、該ドット群の搬送方向中央部に位置するドットよりも、濡れ広がり薄厚になった状態で硬化する。これにより、異なるパスにて形成され、かつ、ドット群の搬送方向端部にて重なり合った各ドットの厚みが薄くなる。この結果、図7Cに示すように、ドット群の搬送方向中央部と、該ドット群の搬送方向端部と、の間で該厚みを略等しくさせることが可能になる。
【0057】
以上により、媒体P上に着弾したUVインクの厚みを搬送方向において均一化させることが可能になる。そして、前記厚みを均一化させることにより、ドット群の搬送方向中央部と搬送方向端部との間で前記厚みが異なることに起因した画像中のバンディングの発生も抑制され、以って、画像の品質を向上させることが可能となる。
【0058】
また、本実施形態では、照射動作の際、照射ユニット40の光源41が、ドット群の搬送方向中央部と対向する時期よりも遅い時期に、該ドット群の搬送方向両端部と対向することとした。かかる構成により、照射動作の際、照射ユニット40に、ドット群の搬送方向両端部に向けて、該ドット群の搬送方向中央部に向けて紫外線を照射する時期よりも遅い時期に紫外線を照射させることが容易になる。すなわち、例えば、複数のUV発光素子41aの各々の点灯時期を調整するなどして、照射ユニット40に、ドット群の搬送方向両端部に向けて、前記照射ユニット40が該ドット群の搬送方向中央部に向けて紫外線を照射する時期よりも遅い時期に紫外線を照射させることは可能であるが、本実施形態の方がより容易に実現できる。
【0059】
また、本実施形態では、ドット群の搬送方向両端部と対向する光源41は前記交差方向において、該ドット群の搬送方向中央部と対向する光源41よりも、各色のノズル列(複数のノズル)が位置する側とは反対側に位置することとした。かかる構成により、照射動作の際、照射ユニット40に、ドット群の搬送方向両端部に向けて、該ドット群の搬送方向中央部に向けて紫外線を照射する時期よりも遅い時期に紫外線を照射させることが更に容易になる。すなわち、例えば、光源41がドット群の搬送方向中央部と対向した後に該ドット群の搬送方向端部と対向するように該光源41を移動させる等して、照射ユニット40に、ドット群の搬送方向両端部に向けて、該ドット群の搬送方向中央部に向けて紫外線を照射する時期よりも遅い時期に紫外線を照射させることは可能であるが、本実施形態の方がより容易に実現できる。
【0060】
また、本実施形態では、複数のUV発光素子41aを図4に示すように配置した結果、ドット群の搬送方向両端部と対向する光源41が交差方向において、該ドット群の搬送方向中央部と対向する光源41よりも、各色のノズル列が位置する側とは反対側に位置している。但し、UV発光素子41aの配置については他にも考えられ、例えば、図8に示すように、複数のUV発光素子41aが横向きV字状に配置されることとしてもよい。かかる配置であっても、ドット群の搬送方向両端部と対向する光源41が、該ドット群の搬送方向中央部と対向する光源41よりも、各色のノズル列が位置する側とは反対側に位置することになる。図8は、複数のUV発光素子41aの配置に関する変形例を示す図である。
【0061】
さらに、ドット群の搬送方向両端部のうち、上流側(下流側)端部と対向する光源41のみが、交差方向において、該ドット群の搬送方向中央部と対向する光源41よりも各色のノズル列が位置する側とは反対側に位置していることとしてもよい。例えば、図9に示すように、複数のUV発光素子41aが搬送方向に対して傾いた列をなして並んでいる(換言すれば、搬送方向に対して傾いた直線状の光源41が備えられている)こととしてもよい。あるいは、図10に示すように、複数のUV発光素子41aのうち、搬送方向において最も上流側(下流側)に位置するUV発光素子41aを除くUV発光素子41aが搬送方向に沿う列をなして並び、最も上流側(下流側)に位置するUV発光素子41aが前記列から外れ、各色のノズル列が位置する側とは反対側に寄っていることとしてもよい。図9及び図10は、複数のUV発光素子41aの配置に関する変形例を示す図である。
【0062】
このようにドット群の搬送方向両端部のうち、少なくとも一方の端部と対向する光源41が、該ドット群の搬送方向中央部と対向する光源41よりも各色のノズル列が位置する側とは反対側に位置すれば、上述の効果を奏することが可能である。すなわち、ドット群の前記少なくとも一方の端部では、ドットの硬化時間が、該ドット群の搬送方向中央部よりも長くなる。この結果、ドット群の前記少なくとも一方の端部での前記厚みについては、該ドット群の搬送方向中央部での前記厚みと略等しくさせることが可能になる。
【0063】
一方、本実施形態のように、ドット群の搬送方向両端部と対向する光源41が、ドット群の搬送方向中央部と対向する光源41より各色のノズル列が位置する側とは反対側に位置している場合、ドット群の搬送方向両端部において、ドットの硬化時間が、該ドット群の搬送方向中央部よりも長くなる。かかる構成であれば、ドット群の搬送方向端部にて重なり合うドット群の数が多くなった場合にも、前記厚みを適切に均一化させることが可能になる。
【0064】
===その他の実施形態===
上記実施形態では、主に、本発明の液体噴射装置の一例としてのプリンタ10、及び、本発明の液体噴射方法の一例としての印刷方法について説明したが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【0065】
また、上記実施形態では、照射動作の際、照射ユニット40が、ドット群の搬送方向両端部のうち、少なくとも一方の端部に向けて、該ドット群の搬送方向中央部に向けて紫外線を照射する時期よりも遅い時期に、紫外線を照射することとした。これにより、ドット群の前記少なくとも一方の端部では、ドットの硬化時間が、該ドット群の搬送方向中央部よりも長くなり、媒体Pに着弾したUVインクの厚みを搬送方向において均一化させることが可能になる。但し、媒体Pに着弾したUVインクの厚みを搬送方向において均一化させる構成は、上記実施形態以外の例(以下、他例)も考えられる。以下、他例について具体的に説明する。
【0066】
他例では、光源41が、搬送方向に沿う列をなして並ぶ複数のUV発光素子41aからなる。つまり、他例では、照射動作の際、光源41がドット群の搬送方向両端部、及び、該ドット群の搬送方向中央部の双方と略同時に対向する。一方、他例に係る照射ユニット40は、照射動作の際、前記ドット群の搬送方向中央部に向けて紫外線を照射するときの照射強度よりも弱い照射強度にて、前記ドット群の搬送方向両端部のうち、少なくとも一方の端部に向けて紫外線を照射する。
【0067】
紫外線の照射強度が弱くなるほど(換言すると、照射される紫外線のエネルギーが低くなるほど)、当然ながら、該紫外線を受けたUVインクの硬化時間は長くなる。したがって、他例では、照射ユニット40がドット群の搬送方向両端部、及び、搬送方向中央部の双方に向けて略同時に紫外線を照射するものの、ドット群の前記少なくとも一方の端部でのドットの硬化時間が、該ドット群の搬送方向中央部での該硬化時間よりも長くなる。この結果、上記実施形態と同様、媒体P上に着弾したUVインクの厚みを搬送方向において均一化させることが可能になる。
【0068】
なお、照射ユニット40が、照射動作の際、ドット群の搬送方向中央部に向けて紫外線を照射するときの照射強度よりも弱い照射強度にて、該ドット群の前記少なくとも一方の端部に向けて紫外線を照射するためには、例えば、前記ドット群の前記少なくとも一方の端部と対向する光源41(具体的には、当該少なくとも一方の端部に位置するUV発光素子41a)の出力が、前記ドット群の搬送方向中央部と対向する光源41(具体的には、当該搬送方向中央部に位置するUV発光素子41a)の出力よりも低くなっていればよい。あるいは、上下方向におけるドット群の前記少なくとも一方の端部と光源41との間隔が、該ドット群の搬送方向中央部と光源41との間隔よりも大きくなっていればよい。
【0069】
また、上記実施形態では、ヘッド23が交差方向において一端から他端に向かって移動する期間中にインク噴射が行われる一方で、他端から一端に向かって移動する期間にはインク噴射が行われないこととした。また、一つの光源41が交差方向においてヘッド23の一端側に備えられていることとした。但し、これに限定されるものではなく、インク噴射が、ヘッド23が交差方向において一端から他端に向かって移動する期間、及び、他端から一端に向かって移動する期間の両期間において行われることとしてもよい。かかる場合、図11に示すように、交差方向においてヘッド23の両脇にそれぞれ光源41が備えられていることが望ましい(すなわち、照射ユニット40が2つの光源41を備えていてもよい)。図11は、照射ユニット40がヘッド23の両脇に光源41を備えた構成を示す図である。
【0070】
上記構成では、図11に示すように、2つの光源41が、ヘッド23の交差方向中央を通る仮想線を中心として左右対称になっている。具体的に説明すると、各光源41に備えられた複数のUV発光素子41aのうち、搬送方向両端部のうちの少なくとも一方の端部に位置するUV発光素子41a(図11に示す例では、搬送方向両端部に位置するUV発光素子41a)が、搬送方向中央部に位置するUV発光素子41aよりも各色のノズル列が位置する側とは反対側に位置している。また、上記構成では、ヘッド23が交差方向に移動しながらノズルからUVインクを噴射する際、照射ユニット40が、前記ヘッド23の移動方向から見て該ヘッド23よりも後方に位置する側の光源41からの紫外線を照射し、該ヘッド23よりも前方に位置する側の光源41からは紫外線を照射しない。この結果、照射動作の際、照射ユニット40は、ドット群の搬送方向中央部に向けて紫外線を照射する時期よりも遅い時期に、前記ドット群の搬送方向両端部のうち、少なくとも一方の端部に向けて紫外線を照射し、上記実施形態と同様の効果を奏することになる。
【0071】
また、上記実施形態では、ラスタラインを形成するために交差方向に移動するヘッド23を有するプリンタ10(所謂シリアルプリンタ)について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、移動せずに固定位置に配置されたヘッド23を有し、交差方向に並ぶ複数のドットを一度に形成することが可能なプリンタ(所謂ラインプリンタ)であってもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、搬送動作にて媒体Pを搬送方向に搬送することにより該媒体Pを各色のノズル列(複数のノズル)に対して相対的に移動させることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、媒体Pを固定したままの状態でヘッド23(すなわち、ノズル列)の方を前記搬送方向に相当する方向(つまり、ノズル列の形成方向)に移動させる移動動作と、ドット群形成動作と、を交互に繰り返し実行して、ドット群を前記搬送方向に相当する方向に複数形成することとしてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、複数回のドット群形成動作(パス)により補完的にラスタラインが形成されるような印刷方式を採用していることとした。但し、印刷方式の如何によらず、ドット群の搬送方向端部では、該ドット群の搬送方向と比較して、異なるパスにて形成され、かつ、既に硬化したドット群上に重なるドット群の数が多くなる。したがって、他の印刷方式が採用された場合であっても、本発明により、媒体P上に着弾したUVインクの厚みを均一化することが可能になる。故に、上記実施形態の印刷方式に限定されるものではなく、例えば、ドット群形成動作後の搬送動作において、ヘッド23の搬送方向における長さに相当する距離分、媒体Pを搬送してから次のドット群形成動作を行う印刷方式や、1つのラスタラインを互いに異なるノズルで形成する印刷方式を採用することとしてもよい。
【0074】
また、上記の実施形態では、液体の一例であるUVインクを噴射するプリンタ10について説明したが、これに限られるものではない。液体については、紫外線を受けて硬化することが可能な液体であればよく、UVインク以外の他の液体(機能材料等の粒子が分散されている液体を含む)を噴射する液体噴射装置に本発明を具体化することも可能である。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材などの材料が分散または溶解した状態で含まれた液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を含む液体を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置等が挙げられ、これらのうち、いずれか一種の液体噴射装置に本発明を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】プリンタ10の構成を示すブロック図である。
【図2】図2A〜図2Cは、プリンタ10の基本構成を示す図である。
【図3】ノズルの配列を示す図である。
【図4】光源41を示す図である。
【図5】印刷処理のフローチャートである。
【図6】図6A〜図6Dは、ドット群形成動作の説明図である。
【図7】図7A〜図7Cは、プリンタ10の有効性を説明するための図である。
【図8】複数のUV発光素子41aの配置に関する変形例を示す図である。
【図9】複数のUV発光素子41aの配置に関する第二の変形例を示す図である。
【図10】複数のUV発光素子41aの配置に関する第三の変形例を示す図である。
【図11】照射ユニット40がヘッド23の両脇に光源41を備えた構成を示す図である。
【符号の説明】
【0076】
10 プリンタ、
20 記録ユニット、21 キャリッジ、22 キャリッジ移動機構、23 ヘッド、
24 ガイド軸、25 インクカートリッジ、
30 搬送ユニット、31 給紙ローラ、32 搬送モータ、33 搬送ローラ、
34 プラテン、35 排紙ローラ、
40 照射ユニット、41 光源、41a UV発光素子、42 収容ボックス、
50 検出器群、60 コントローラ、61 インターフェース、62 CPU、
63 メモリ、64 ユニット制御回路、110 コンピュータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射装置及び液体噴射方法に関する。特に、液体を媒体に噴射して該媒体に形成されたドットに向けて紫外線を照射して該ドットを硬化させる液体噴射装置及び液体噴射方法に関する。
【背景技術】
【0002】
列をなして並ぶ複数のノズルと、紫外線を照射する照射部と、制御部と、を有する液体噴射装置は既に知られている(例えば、特許文献1参照)。かかる液体噴射装置では、前記制御部が、媒体を前記複数のノズルに対して搬送方向へ搬送させる搬送動作と、前記複数のノズルから媒体に向けて液体を噴射することにより前記搬送方向に沿うドット群を該媒体に形成するドット群形成動作と、を交互に繰り返し実行して前記ドット群を前記搬送方向に沿って複数形成する。また、前記制御部は、前記ドット群形成動作を実行する都度、前記照射部に紫外線を前記ドット群に向けて照射させて該ドット群を硬化させる照射動作を実行する。
【特許文献1】特開2004−202864号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、複数のドット群が形成された媒体において、該媒体上に着弾した液体の厚み(具体的には、媒体に着弾した後に硬化させた液体の厚みであり、以下、単に厚みと言う)は、前記搬送方向において均一化されているほうが望ましい。一方、ドット群を搬送方向に沿って複数形成する場合、ドット群同士が一部重なることがあり、かかる場合には、媒体のうち、ドット群が重なっている領域において前記厚みがより厚くなる。また、前記搬送方向におけるドット群の端部においては、該ドット群の中央部と比較して、重なるドット群(つまり、異なるドット群形成動作にて形成されたドット群)の数がより多くなる傾向にある。すなわち、ドット群の端部では、ドット群の中央部と比較して、前記厚みが厚くなり易い。この結果、前記厚みが不均一となってしまう。
【0004】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、媒体上に着弾した液体の厚みを均一化させることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、主たる発明は、(A)列をなして並ぶ複数のノズルと、(B)紫外線を照射する照射部と、(C)媒体を前記複数のノズルに対して搬送方向へ搬送させる搬送動作と、前記複数のノズルから媒体に向けて液体を噴射することにより前記搬送方向に沿うドット群を該媒体に形成するドット群形成動作と、を交互に繰り返し実行して前記ドット群を前記搬送方向に沿って複数形成するとともに、前記ドット群形成動作を実行する都度、前記照射部に紫外線を前記ドット群に向けて照射させて該ドット群を硬化させる照射動作を実行する制御部と、(D)を有する液体噴射装置であって、前記照射動作の際、前記照射部は、前記搬送方向における前記ドット群の中央部に向けて紫外線を照射する時期よりも遅い時期に、前記搬送方向における前記ドット群の両端部のうち、少なくとも一方の端部に向けて紫外線を照射することを特徴とする液体噴射装置である。
【0006】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本明細書及び添付図面の記載により少なくとも次のことが明らかにされる。
【0008】
先ず、(A)列をなして並ぶ複数のノズルと、(B)紫外線を照射する照射部と、(C)媒体を前記複数のノズルに対して搬送方向へ搬送させる搬送動作と、前記複数のノズルから媒体に向けて液体を噴射することにより前記搬送方向に沿うドット群を該媒体に形成するドット群形成動作と、を交互に繰り返し実行して前記ドット群を前記搬送方向に沿って複数形成するとともに、前記ドット群形成動作を実行する都度、前記照射部に紫外線を前記ドット群に向けて照射させて該ドット群を硬化させる照射動作を実行する制御部と、(D)を有する液体噴射装置であって、前記照射動作の際、前記照射部は、前記搬送方向における前記ドット群の中央部に向けて紫外線を照射する時期よりも遅い時期に、前記搬送方向における前記ドット群の両端部のうち、少なくとも一方の端部に向けて紫外線を照射する液体噴射装置。
【0009】
かかる液体噴射装置であれば、搬送方向におけるドット群の少なくとも一方の端部では、ドットの硬化時間(ドットが形成されてから硬化するまでの時間)が、搬送方向における該ドット群の中央部よりも長くなる。つまり、前記少なくとも一方の端部に位置するドットは、前記中央部に位置するドットよりも、濡れ広がって薄厚になった状態で硬化する。これにより、異なるドット群形成動作にて形成されたドット群がより多く重なり前記厚みが厚くなり易いドット群の端部(すなわち、少なくとも一方の端部)と、該ドット群の中央部と、の間で前記厚みを略等しくすることが可能になる。つまり、媒体上に着弾した液体の厚みを均一化させることが可能になる。
【0010】
また、上記の液体噴射装置において、前記照射部は、紫外線の光源を有し、該光源が前記ドット群と対向した状態で該ドット群に向けて紫外線を照射し、前記照射動作の際、前記光源は、前記ドット群の前記中央部と対向する時期よりも遅い時期に、前記ドット群の前記少なくとも一方の端部と対向することとしてもよい。かかる構成により、前記照射部に、前記ドット群の前記少なくとも一方の端部に向けて、前記ドット群の前記中央部に向けて紫外線を照射する時期よりも遅い時期に紫外線を照射させることが容易になる。
【0011】
また、上記の液体噴射装置において、前記制御部は、前記ドット群形成動作の際、前記複数のノズルを前記搬送方向と交差する交差方向に移動させながら該複数のノズルから媒体に向けて液体を噴射し、前記光源は、前記複数のノズルが前記交差方向に移動する際に該複数のノズルの後を追いながら該交差方向に移動し、前記ドット群の前記少なくとも一方の端部と対向する前記光源は、前記交差方向において、前記ドット群の前記中央部と対向する前記光源よりも前記複数のノズルが位置する側とは反対側に位置することとしてもよい。かかる構成により、前記照射部に、前記ドット群の前記少なくとも一方の端部に向けて、前記ドット群の前記中央部に向けて紫外線を照射する時期よりも遅い時期に紫外線を照射させることが更に容易になる。
【0012】
また、上記の液体噴射装置において、前記ドット群の一端部と対向する前記光源、及び、該ドット群の他端部と対向する前記光源は、いずれも、前記交差方向において、該ドット群の前記中央部と対向する前記光源よりも前記複数のノズルが位置する側とは反対側に位置することとしてもよい。かかる構成により、媒体上に着弾した液体の厚みをより均一化させることが可能になる。
【0013】
さらに、上記の液体噴射装置の他に、(A)列をなして並ぶ複数のノズルと、(B)紫外線を照射する照射部と、(C)媒体を前記複数のノズルに対して搬送方向へ搬送させる搬送動作と、前記複数のノズルから媒体に向けて液体を噴射することにより前記搬送方向に沿うドット群を該媒体に形成するドット群形成動作と、を交互に繰り返し実行して前記ドット群を前記搬送方向に沿って複数形成するとともに、前記ドット群形成動作を実行する都度、前記照射部に紫外線を前記ドット群に向けて照射させて該ドット群を硬化させる照射動作を実行する制御部と、(D)を有する液体噴射装置であって、前記照射動作の際、前記照射部は、前記搬送方向における前記ドット群の中央部に向けて紫外線を照射するときの照射強度よりも弱い照射強度にて、前記搬送方向における前記ドット群の両端部のうち、少なくとも一方の端部に向けて紫外線を照射する液体噴射装置、も考えられる。かかる液体噴射装置によれば、上記の液体噴射装置と同様、媒体に着弾した液体の厚みを均一化させることが可能である。
【0014】
さらに、(A)媒体を、列をなして並ぶ複数のノズルに対して搬送方向へ搬送させる搬送動作と、前記複数のノズルから媒体に向けて液体を噴射することにより前記搬送方向に沿うドット群を該媒体に形成するドット群形成動作と、を交互に繰り返し実行して前記ドット群を前記搬送方向に沿って複数形成することと、(B)前記ドット群形成動作を実行する都度、紫外線を前記ドット群に向けて照射する照射動作を実行することと、(C)を有する液体噴射方法であって、前記照射動作の際、前記搬送方向における前記ドット群の中央部に向けて紫外線を照射する時期よりも遅い時期に、前記搬送方向における前記ドット群の両端部のうち、少なくとも一方の端部に向けて紫外線を照射する液体噴射方法も実現可能である。
【0015】
あるいは、(A)媒体を、列をなして並ぶ複数のノズルに対して搬送方向へ搬送させる搬送動作と、前記複数のノズルから媒体に向けて液体を噴射することにより前記搬送方向に沿うドット群を該媒体に形成するドット群形成動作と、を交互に繰り返し実行して前記ドット群を前記搬送方向に沿って複数形成することと、(B)前記ドット群形成動作を実行する都度、紫外線を前記ドット群に向けて照射する照射動作を実行することと、(C)を有する液体噴射方法であって、前記照射動作の際、前記搬送方向における前記ドット群の中央部に向けて紫外線を照射するときの照射強度よりも弱い照射強度にて、前記搬送方向における前記ドット群の両端部のうち、少なくとも一方の端部に向けて紫外線を照射する液体噴射方法も実現可能である。
【0016】
これらの液体噴射方法によれば、媒体上に着弾させた液体の厚みを均一化させることが可能になる。
【0017】
===本実施形態の液体噴射装置について===
以下、液体噴射装置の一例としてのインクジェットプリンタ(以下、プリンタ10)について、図1、図2A〜図2C、及び、図3を参照しながら説明する。図1は、プリンタ10の構成を示すブロック図である。図2A〜図2Cは、プリンタ10の基本構成を示す図である。図2Aはプリンタ10の全体構成の概略を示し、図2Bは図2A中のA−A断面図を示し、図2Cは図2A中のB−B断面図を示す。図2Aには、媒体Pの搬送方向、及び、該搬送方向と交差する交差方向をそれぞれ矢印にて示している。図2B及び図2Cには、前記搬送方向を矢印にて示している。図3は、ノズルの配列を示す図であり、同図には、前記搬送方向と前記交差方向とを矢印にて示している。
【0018】
本実施形態のプリンタ10は、紙、布、フィルムシート等の媒体Pに向けて、液体の一例としての紫外線硬化型インク(以下、UVインク)を噴射することにより画像を該媒体Pに印刷する装置である。UVインクは、紫外線硬化樹脂を含むビヒクル、光重合開始剤、及び、顔料の混合物に、消泡剤等の補助剤を添加して調合されたインクであり、紫外線を受けると紫外線硬化樹脂において光重合反応が起こることにより硬化する。なお、本実施形態のプリンタ10は、CMYK4色のUVインクを用いてカラー画像を印刷する。
【0019】
プリンタ10は、図1に示すように、記録ユニット20、搬送ユニット30、照射部の一例としての照射ユニット40、検出器群50、及び、制御部の一例としてのコントローラ60を有する。プリンタ10がコンピュータ110から印刷データを受信すると、コントローラ60が、印刷データに基づいて各ユニット(すなわち、記録ユニット20、搬送ユニット30、及び、照射ユニット40)を制御することにより、印刷データに応じた画像を媒体Pに印刷する。プリンタ10内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は検出結果に応じた信号をコントローラ60に向けて出力する。
【0020】
記録ユニット20は、画像を媒体Pに記録するためのものである。この記録ユニット20は、図2A及び図2Bに示すように、キャリッジ21、キャリッジ移動機構22、及び、ヘッド23を有する。キャリッジ21は、後述する搬送方向と交差したガイド軸24に支持された状態で、キャリッジ移動機構22によりガイド軸24に沿って往復移動する。本実施形態では、キャリッジ21の移動方向、すなわち、ガイド軸24の軸方向が交差方向に相当する。
【0021】
ヘッド23は、その下面(以下、ノズル面)に形成された複数のノズルを有し、キャリッジ21に搭載されたインクカートリッジ25から供給されるUVインクを、前記複数のノズルから媒体Pに向けて噴射するためのものである。ヘッド23は、図3に示すように、CMYKのインク色毎に複数のノズルを有する。複数のノズルは、一定のノズルピッチで、キャリッジ21の移動方向と交差する列をなして並んでいる。すなわち、ノズル面には、CMYK4色分のノズル列Nc、Nm、Ny、Nkが形成されている。各ノズルには不図示のインクチャンバ及びピエゾ素子が設けられ、該ピエゾ素子の駆動によりインクチャンバが収縮・膨張されて、前記各ノズルから滴状のUVインクが噴射される。そして、ヘッド23が媒体Pの上方に位置した状態で、該媒体Pに向けてノズルからUVインクが噴射される。噴射されたUVインクは、媒体Pに着弾するとドットを形成する。つまり、複数のノズル(ノズル列)の各ノズルからUVインクが噴射されると、複数のドットからなるドット群が媒体Pに形成される。このドット群の各ドットは、複数のノズルが並ぶ方向に沿って並んでいる。
【0022】
また、ヘッド23は、キャリッジ21に搭載されており、キャリッジ21の移動に伴って、該キャリッジ21が移動する方向と同一方向に該キャリッジ21と一体的に移動する。そして、ヘッド23がキャリッジ21と一体的に移動する間に、複数のノズル(ノズル列)の各ノズルからUVインクが断続的に噴射される。この結果、媒体Pには、ドット群がキャリッジ21の移動方向、すなわち、交差方向に沿って一定間隔毎に次々と形成される。換言すると、前記交差方向に沿うドットの列(ラスタライン)が、後述の搬送方向に沿って複数形成されていく。なお、本実施形態では、ヘッド23が前記交差方向において一端から他端に向かって移動する期間中にインク噴射が行われる一方で、他端から一端に向かって移動する期間中にはインク噴射が行われない。
【0023】
搬送ユニット30は、図2A〜図2Cに示す搬送方向に媒体Pを搬送するためのものである。換言すると、搬送ユニット30は、媒体Pを複数のノズルに対して移動させるためのものである。なお、搬送方向は、各ノズル列Nc、Nm、Ny、Nkにおいて当該各ノズル列Nc、Nm、Ny、Nkを構成する複数のノズルが並んでいる方向に沿う方向である。搬送ユニット30は、図2A及び図2Bに示すように、給紙ローラ31と、搬送モータ32と、搬送ローラ33と、プラテン34と、排紙ローラ35と、を有する。挿入口に挿入された媒体Pは、給紙ローラ31によりプリンタ10内に供給されると、搬送モータ32の回転によって回転する搬送ローラ33により、搬送方向において印刷可能な領域まで搬送される。その後、媒体Pは、プラテン34に支持されながら規定の搬送量ずつ断続的に搬送され、最終的に排紙ローラ35によりプリンタ10外に排出される。
【0024】
照射ユニット40は、媒体Pに形成されたドット群に向けて紫外線を照射するものである。照射ユニット40が照射した紫外線を受けたドット群は、硬化して媒体Pに定着する。照射ユニット40は、図2Cに示すように、紫外線の光源41と、該光源41を内部に収容する収容ボックス42と、を有する。光源41は、収容ボックス42内に収容されることによりヘッド23から隔離されている。これにより、光源41からの紫外線がノズル面へ漏れるのを防ぎ、以って、当該ノズル面に形成された各ノズルの開口付近でUVインクが硬化するために生じるノズル目詰まりを防止している。
【0025】
また、収容ボックス42は無底の箱体であるので、照射ユニット40を下方から見れば、光源41が外部に対して露出された状態となっている。したがって、光源41は、該光源41よりも下方に位置する媒体Pと対向することになる。そして、照射ユニット40は、光源41が該媒体Pに形成されたドット群と対向した状態で、該ドット群に向けて前記光源41からの紫外線を照射する。本実施形態の光源41は、複数のUV発光素子41aによって構成されるものであるが、これに限定されるものではなく、メタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ等も利用可能である。なお、光源41については後に詳述する。
【0026】
また、本実施形態では、図2Aに示すように、照射ユニット40がヘッド23とともにキャリッジ21に搭載されており、交差方向においてヘッド23の一端側で該ヘッド23と隣接している。したがって、キャリッジ21の移動に伴って、ヘッド23と照射ユニット40とは一体的に前記交差方向に移動する。換言すると、インク色毎の複数のノズル(以下、各色のノズル列)が前記交差方向において一端から他端に向かって移動する際、光源41は、各色のノズル列に対する相対位置を維持しながら、当該各色のノズル列の後を追って移動する。
【0027】
そして、キャリッジ21が前記交差方向の一端から他端に向かって移動する期間中、各色のノズル列からUVインクが噴射されることにより、前記一端側からドット群が順次形成される一方、前記各色のノズル列の後を追う光源41が前記一端側から順に各ドット群と対向していく。つまり、交差方向の一端から他端に向かって移動しているキャリッジ21内において、他端側(キャリッジ21の前方側)では各色のノズル列からUVインクが噴射され、一端側(キャリッジ21の後方側)にて照射ユニット40が光源41からの紫外線をドット群(具体的には、照射ユニット40の直下に位置するドット群)に向けて照射する。
【0028】
コントローラ60は、CPU62によりユニット制御回路64を介してプリンタ10の各ユニットを制御する。つまり、コントローラ60は、キャリッジ21を移動させながらヘッド23のノズル(つまり、各色のノズル列)からUVインクを噴射してドット群を媒体Pに形成するドット群形成動作と、搬送ユニット30による搬送動作と、照射ユニット40に光源41からの紫外線を前記ドット群に向けて照射させる照射動作と、を実行する。
【0029】
<光源41について>
次に、前述の光源41について、図4を参照しながら説明する。図4は、本実施形態の光源41を示す図であり、照射ユニット40を下から見たときの図である。図中には、搬送方向及び交差方向をそれぞれ矢印にて示している。また、図4には、ドット群と光源41との対応関係を示すために、ノズル面に形成された4つのノズル列のうち、交差方向において最も一端側(照射ユニット40側)に位置するノズル列Nkを示している。なお、図4では、図を分かり易くするために、各ノズルとUV発光素子41aとの間の寸法比が実際のものと異なっている。
【0030】
光源41は、前述したように複数のUV発光素子41aによって構成されている。UV発光素子41aが発する紫外線は指向性を有しており、本実施形態の照射ユニット40は、UV発光素子41aからの紫外線を鉛直方向において下向きに照射する。また、各UV発光素子41aは同一の出力にて紫外線を発する。したがって、本実施形態では、照射ユニット40が光源41の各部からの紫外線を照射するときの照射強度が、当該各部の間で略均一となる。ここで、照射強度とは、照射ユニット40が紫外線を照射するときの単位立体角あたりの該紫外線の光束であり、照射強度が高いほど、単位面積あたりに照射される紫外線のエネルギーが高いことになる。
【0031】
また、光源41は、収容ボックス42内において図4に示すように配置されている。具体的に説明すると、複数のUV発光素子41aは、図4に示すように、UV発光素子41a間の間隔が略一定になるように配置されている。また、搬送方向において、光源41の上流側端部(具体的には、最も上流側に位置するUV発光素子41a)は、最も上流側に位置するノズルと略同一位置に位置している。同様に、光源41の下流側端部(具体的には、最も下流側に位置するUV発光素子41a)は、最も下流側に位置するノズルと略同一位置に位置している。この結果、キャリッジ21が移動する際、各色のノズル列(複数のノズル)から噴射されるUVインクによって媒体Pにドット群が形成された後、光源41は、媒体Pの当該ドット群が形成された部位の直上位置を通過するようになる。
【0032】
そして、光源41が媒体Pのドット群が形成された部位の直上位置を通過するとき、該光源41の各部(各UV発光素子41a)は、前記ドット群のうち、対応するドットと対向するようになる。ここで、光源41の各部に対応するドットとは、当該各部から発せられる紫外線を受けるドットのことである。つまり、ドット群中の各ドットは、光源41の中、当該各ドットに対応している部分と対向する。
【0033】
より具体的に説明すると、光源41の搬送方向中央部(搬送方向中央部に位置するUV発光素子41a)は、ドット群の搬送方向中央部(搬送方向中央部に位置するドット)と対向する。同様に、光源41の搬送方向上流側端部(搬送方向上流側端部に位置するUV発光素子41a)は、ドット群の搬送方向上流側端部(搬送方向上流側端部に位置するドット)と対向し、光源41の搬送方向下流側端部(搬送方向下流側端部に位置するUV発光素子41a)は、ドット群の搬送方向下流側端部(搬送方向下流側端部に位置するドット)と対向する。なお、光源41のある部分が対応するドットと対向するとは、当該ある部分から発せられる紫外線が前記対応するドットに当たる位置、に当該ある部分が位置することを意味する。
【0034】
また、本実施形態では、図4に示すように、複数のUV発光素子41aが、弓状に折れ曲がった折線を形成するように配置されている。具体的に説明すると、光源41の搬送方向中央部に位置するUV発光素子41aは、搬送方向に沿って並んでいる。一方、光源41の搬送方向両端部の各々に位置するUV発光素子41aは、該光源41の搬送方向中央から離れたUV発光素子41aほど交差方向一端側に位置するように、搬送方向に対して傾いた方向に並んでいる。つまり、UV発光素子41aとノズル(詳しくは、UV発光素子41aに最も近い位置に位置するノズル)との間隔が、光源41の搬送方向中央部よりも搬送方向両端部において、より長くなっている。換言すると、ドット群の一端部(上流側端部)と対向する光源41、及び、ドット群の他端部(下流側端部)と対向する光源41とは、いずれも前記交差方向において、ドット群の中央部と対向する光源41よりも各色のノズル列(複数のノズル)が位置する側とは反対側に位置している。
【0035】
したがって、キャリッジ21の移動に伴ってヘッド23及び照射ユニット40が交差方向の一端から他端に向かって移動する際、光源41は、ドット群の搬送方向中央部と対向する時期よりも遅い時期に、該ドット群の搬送方向両端部と対向することになる。なお、本実施形態では、前述したように、照射ユニット40が光源41の各部からの紫外線を照射するときの照射強度が、当該各部の間で略均一であるため、照射ユニット40がドット群の搬送方向中央部に向けて紫外線を照射するときの照射強度と、ドット群の搬送方向端部に向けて紫外線を照射するときの該照射強度とは略等しい。
【0036】
<<印刷処理について>>
次に、上記構成のプリンタ10が実行する印刷処理について、図5、図6A〜図6Dを参照しながら説明する。図5は、印刷処理のフローチャートである。図6A〜図6Dは、ドット群形成動作についての説明図であり、図中、搬送方向及び交差方向を矢印にて示している。なお、図6A〜図6Dでは、図を分かり易くするため、1色分のドット群のみを示し、ドット数も実際のものより少なくなっている。また、ドットの中の英数字は、当該ドットが何回目のドット群形成動作で形成されるドットであるかを示している。
【0037】
印刷処理は、図5に示すように、コントローラ60がコンピュータ110からインターフェース61を介して印刷命令を含む印刷データを受信するところから始まる(S001)。コントローラ60は、受信した印刷データ中の各種コマンドの内容を解析し、プリンタ10の各ユニットを制御する。次に、コントローラ60は、媒体Pを給紙ローラ31によりプリンタ10内に供給してから、搬送ローラ33により媒体Pを印刷開始位置(頭出し位置)に位置決めする給紙動作を行う(S002)。
【0038】
次に、コントローラ60は、ヘッド23のノズル面に形成された各色のノズル列(複数のノズル)からインクを噴射することにより、搬送方向に沿うドット群を媒体Pに形成させるドット群形成動作を実行する(S003)。このとき、コントローラ60は、キャリッジ21を交差方向の一端から他端に向けて移動させることにより、前記各色のノズル列を該キャリッジ21が移動する方向と同一方向に移動させながら当該各色のノズル列から断続的に噴射させる。これにより、図6Aに示すように、複数のドット群が、搬送方向において同一の位置に並ぶように媒体Pに形成される。つまり、ドット群形成動作は、交差方向に沿うドット列、すなわち、ラスタラインを搬送方向に複数(具体的には、ノズル列を構成するノズル数分)形成させる動作でもある。
【0039】
また、コントローラ60は、キャリッジ21を交差方向の一端から他端に向けて移動させる間、ヘッド23の後方側において、照射ユニット40に紫外線を前記ドット群に向けて照射させて該ドット群を硬化させる照射動作を実行する(S004)。このように本実施形態では、コントローラ60が、一回のキャリッジ21の移動(詳しくは、交差方向の一端から他端に向けた移動)中に、ドット群形成動作、及び、該ドット群形成動作により形成されるドット群に向けて紫外線を照射する照射動作の双方を実行する。そして、ドット群が媒体Pに形成されると、程なくして照射ユニット40の光源41が該ドット群に対向するようになり、かかる状態で照射ユニット40が該ドット群に向けて紫外線を照射する。この結果、キャリッジ21が該キャリッジ21の移動範囲の交差方向他端に到達した時点で、複数のドット群が交差方向に沿って並び、当該複数のドット群の各々が紫外線を受けて硬化する。
【0040】
さらに、前述したように、照射動作の際、すなわち、光源41が各ドット群と対向する際、該光源41は、各ドット群の搬送方向中央部と対向する時期よりも遅い時期に、当該各ドット群の搬送方向両端部と対向する。つまり、照射動作の際、照射ユニット40は、ドット群の搬送方向中央部に向けて紫外線を照射する時期よりも遅い時期に、該ドット群の搬送方向両端部に向けて紫外線を照射する。これにより、ドット群の搬送方向両端部では、ドットの硬化時間(ドットが形成されてから硬化するまでの時間)が、該ドット群の搬送方向中央部よりも長くなる。つまり、ドット群の搬送方向両端部に位置するドットは、搬送方向中央部に位置するドットよりも、濡れ広がって薄厚になった状態で硬化する。
【0041】
次に、コントローラ60は、搬送ユニット30による搬送動作を実行し、搬送方向において媒体Pを予め規定された距離だけ搬送する(S005)。この結果、前回のドット群形成動作にてドット群が形成された位置とは搬送方向において異なる位置に、次回のドット群形成動作にてドット群を形成することが可能になる。コントローラ60は、媒体Pに印刷するための印刷データが残っている限り(S006でNo)、搬送動作とドット群形成動作とを交互に繰り返し実行する。これにより、ドット群が媒体Pに搬送方向に沿って複数形成されるようになる。そして、コントローラ60は、ドット群形成動作を実行する都度、照射動作を実行する。
【0042】
以下、図6A〜図6Dを参照しながら、本実施形態のドット群形成動作について、より詳しく説明する。本実施形態では、複数回のドット群形成動作(以下、パス)により、補完的にラスタラインが形成されるような印刷方式を採用している。例えば、図6A及び図6Bに示すように、パスnの後に媒体Pを所定量だけ搬送方向下流側に搬送してから、パスnの次のパス(つまり、パスn+1)において、パスn+1にて形成されるラスタラインの一部がパスnにて形成されたラスタラインの間に位置するように、ドット群を形成する。なお、パスnにて形成された各ドット群は、パスnと併行実施される照射動作により、パスn+1にてドット群が形成される時点で既に硬化している。
【0043】
その後、媒体Pを所定量だけ搬送方向下流側に搬送してから、パスn+2が実行される。パスn+2では、図6Cに示すように、パスn+1にて最も上流側に形成されたラスタラインと、パスn+2にて最も下流側に形成されるラスタラインと、が搬送方向において互いに隣接するように、ドット群が形成される。なお、パスn+1にて形成された各ドット群は、パスn+2にてドット群が形成される時点で既に硬化している。その後、媒体Pを所定量だけ更に搬送方向下流側に搬送してから、パスn+3が実行される。パスn+3では、図6Dに示すように、パスn+3にて形成されるラスタラインの一部がパスn+2にて形成されたラスタラインの間に位置するように、ドット群が形成される。なお、パスn+2にて形成された各ドット群は、パスn+3にてドット群が形成される時点で既に硬化している。以降、同様の手順にて、搬送動作とドット群形成動作とが交互に繰り返し実行されるとともに、ドット群形成動作が実行される都度、照射動作が実行される。
【0044】
コントローラ60は、媒体Pに印刷するための印刷データがなくなると(S006でYes)、排紙ローラ35により媒体Pをプリンタ10外に排出する排紙動作を実行する(S007)。画像が印刷された媒体Pがプリンタ10外に排出された後、コントローラ60は、印刷を終了するか否かの判断を行う(S008)。コントローラ60は、新たな媒体Pに印刷を行うのであれば(S008でNo)、前述の給紙動作に戻って印刷を続行する。他方、新たな媒体Pに印刷を行わないのであれば(S008でYes)、印刷処理を終了する。
【0045】
===本実施形態のプリンタ10の有効性について===
本実施形態のプリンタ10では、上記構成により、媒体Pに画像を印刷するために該媒体P上に着弾させたUVインクの厚み(つまり、媒体Pに向けて噴射され、該媒体P上に着弾した後に硬化したUVインクの厚み)を均一化させることが可能になる。この結果、本実施形態のプリンタ10により、より高品質な画像を印刷することが可能となる。
【0046】
本実施形態のプリンタ10の有効性について、図7A〜図7Cを参照しながら説明する。図7A〜図7Cは、プリンタ10の有効性を説明するための模式図である。図7Aは、理想的に形成された複数のドット群を示す図であり、図7Bは、従来のプリンタ10により形成された複数のドット群を示す図であり、図7Cは、本実施形態のプリンタ10により形成された複数のドット群を示す図である。なお、図7A〜図7Cの各図中には、媒体Pの厚み方向(すなわち、上下方向)と搬送方向を矢印にて示している。また、図7A〜図7Cの各図において、ドットの中の英数字は、当該ドットが何回目のドット群形成動作で形成されるドットであるかを示している。
【0047】
発明が解決しようとする課題の項で説明したように、媒体P上に着弾して硬化したUVインクの厚みは、各ドット群においてドットが並ぶ方向、すなわち、搬送方向において均一になっている方が望ましい。上述した印刷処理(すなわち、図6A〜図6Dに示すようにドット群が複数形成される場合)を例に挙げて説明すると、図7Aに示すように、各パスにおいてUVインクが媒体Pの表面に着弾して該表面にドットが形成される場合(すなわち、ドット群が互いに重ならずに媒体Pに形成される場合)、各ノズルからのインク噴射量が一定であれば、前記厚みは搬送方向において均一となる。
【0048】
ところで、UVインクは、媒体Pに着弾してから硬化するまでの間に濡れ広がる。つまり、UVインクによって形成されるドットは、紫外線を受けて硬化するまで濡れ広がって薄厚になっていく。このようにドットが濡れ広がった状態で硬化するため、ドット間の間隔が短くなる。この結果、図7Bに示すように、あるパス(例えば、パスn)にて形成されたドット群が硬化した後、あるパスの次のパス(例えば、パスn+1)では、UVインクが硬化したドット群上に着弾する場合がある。つまり、ドット群は、そのドット群が形成されるパスよりも前のパスにて形成され既に硬化したドット群と、一部重なる場合がある。当然ながら、ドット群において、ドット群同士が重なった部分では前記厚みが増し、重なるドット群の数が増えるほど当該厚みが厚くなる。
【0049】
そして、従来のプリンタ10では、ドット群の搬送方向端部において、該ドット群の搬送方向中央部と比較して前記厚みが厚くなり易くなっていた。この結果、前記厚みが不均一となってしまう虞があった。以下、従来のプリンタ10において、ドット群の搬送方向端部において、該ドット群の搬送方向中央部よりも前記厚みが厚くなる原因について、図7Bを参照しながら説明する。
【0050】
上述した印刷処理では、前述したように、パスnにて形成されたドット群が硬化した後、パスn+1では、硬化状態のドット上にUVインクが着弾する。つまり、パスn+1では、一部のドットがパスnにて形成されたドットの上に重なるように、ドット群が形成される。ここで、パスnにて形成されたドット群を見ると、図7Bに示すように、該ドット群の搬送方向中央部に位置するドットの両脇には、同一のパス(すなわち、パスn)にて形成されたドットが隣り合うように並んでおり、更にパスn+1にて形成されたドットが重なっている。すなわち、パスn+1が終了した時点で、媒体Pの、パスnにて形成されたドット群の搬送方向中央部が位置する部位には、パスnにて形成されたドットと、パスn+1にて形成されたドットとの組み合わせが並んでいることになる。
【0051】
また、パスnにて形成されたドット群の搬送方向上流側端に位置するドットの片側(搬送方向上流側)には、同一のパス(すなわち、パスn)にて形成されたドットが存在しない一方で、パスn+1にて形成されたドットが重なっている。すなわち、図7Bに示すように、媒体Pの、パスnにて形成されたドット群の搬送方向上流側端よりも上流側に位置する部位には、パスnにて形成されたドット、及び、パスn+1にて形成されたドットが存在しない。
【0052】
そして、媒体Pの、パスnにて形成されたドット群の搬送方向上流側端が位置する部位と上流側で隣接する部位には、パスn+1の次のパス(すなわち、パスn+2)にてドット(ドット群の端部)が形成される。また、パスn+1にて形成されるドット群の各ドットについても硬化するまでの間に濡れ広がるため、図7Bに示すように、パスn+1にて形成されるドット群中、搬送方向上流側端に位置するドット上には、パスn+2にて形成されるドット群中、搬送方向下流側端に位置するドットが重なるようになる。
【0053】
さらに、パスn+2にて形成されるドット群の各ドットについても硬化するまでの間に濡れ広がるため、図7Bに示すように、パスn+3において、一部のドットがパスn+2にて形成されたドット群の上に重なるようにドット群が形成される。この結果、パスnにて形成されるドット群のうち、搬送方向上流側端に位置するドット上には、パスn+1にて形成されるドット、パスn+2にて形成されるドット、及び、パスn+3にて形成されるドットが重なるようになる。
【0054】
以上のように、各パスにて形成されたドット群の搬送方向中央部に位置するドットの両側には同一パスにて形成されたドットが並んでいるのに対し、該ドット群の搬送方向端に位置するドットの片側(ドット群の外側)には、同一パスにて形成されたドットが存在しない。このため、当該搬送方向端に位置するドットは、異なるパスにて形成されたドットと重なり合い易くなる。つまり、ドット群の搬送方向端部では、該ドット群の搬送方向中央部と比較して、該ドット群が形成されたパスとは異なるパスにて形成され、かつ、既に硬化したドット群上に重なるドット群の数がより多くなる。
【0055】
一方、従来のプリンタ10では、照射動作の際、照射ユニット40が、同時に、かつ、同一の照射強度にて、ドット群の搬送方向中央部及び搬送方向端部の双方に向けて紫外線を照射していた。かかる場合、ドット群の搬送方向端部に位置するドットと、該ドット群の搬送方向中央部に位置するドットとが同時に硬化するため、異なるパスにて形成されたドット群がより多く重なる前記搬送方向端部では、図7Bに示すように、前記厚みが、前記搬送方向中央部よりも厚くなってしまう。このように、ドット群の搬送方向端部において前記厚みがより厚くなる結果、最終的に得られる画像のうち、当該搬送方向端部に相当する部分に縞(所謂バンディング)が発生し、前記画像の品質が低下してしまう。
【0056】
これに対し、本実施形態では、照射動作の際、照射ユニット40が、ドット群の搬送方向中央部に向けて紫外線を照射する時期よりも遅い時期に、該ドット群の搬送方向両端部に向けて紫外線を照射する。これにより、ドット群の搬送方向両端部では、該ドット群の搬送方向中央部と比較して、ドットの硬化時間がより長くなる。つまり、ドット群の搬送方向両端部に位置するドットは、該ドット群の搬送方向中央部に位置するドットよりも、濡れ広がり薄厚になった状態で硬化する。これにより、異なるパスにて形成され、かつ、ドット群の搬送方向端部にて重なり合った各ドットの厚みが薄くなる。この結果、図7Cに示すように、ドット群の搬送方向中央部と、該ドット群の搬送方向端部と、の間で該厚みを略等しくさせることが可能になる。
【0057】
以上により、媒体P上に着弾したUVインクの厚みを搬送方向において均一化させることが可能になる。そして、前記厚みを均一化させることにより、ドット群の搬送方向中央部と搬送方向端部との間で前記厚みが異なることに起因した画像中のバンディングの発生も抑制され、以って、画像の品質を向上させることが可能となる。
【0058】
また、本実施形態では、照射動作の際、照射ユニット40の光源41が、ドット群の搬送方向中央部と対向する時期よりも遅い時期に、該ドット群の搬送方向両端部と対向することとした。かかる構成により、照射動作の際、照射ユニット40に、ドット群の搬送方向両端部に向けて、該ドット群の搬送方向中央部に向けて紫外線を照射する時期よりも遅い時期に紫外線を照射させることが容易になる。すなわち、例えば、複数のUV発光素子41aの各々の点灯時期を調整するなどして、照射ユニット40に、ドット群の搬送方向両端部に向けて、前記照射ユニット40が該ドット群の搬送方向中央部に向けて紫外線を照射する時期よりも遅い時期に紫外線を照射させることは可能であるが、本実施形態の方がより容易に実現できる。
【0059】
また、本実施形態では、ドット群の搬送方向両端部と対向する光源41は前記交差方向において、該ドット群の搬送方向中央部と対向する光源41よりも、各色のノズル列(複数のノズル)が位置する側とは反対側に位置することとした。かかる構成により、照射動作の際、照射ユニット40に、ドット群の搬送方向両端部に向けて、該ドット群の搬送方向中央部に向けて紫外線を照射する時期よりも遅い時期に紫外線を照射させることが更に容易になる。すなわち、例えば、光源41がドット群の搬送方向中央部と対向した後に該ドット群の搬送方向端部と対向するように該光源41を移動させる等して、照射ユニット40に、ドット群の搬送方向両端部に向けて、該ドット群の搬送方向中央部に向けて紫外線を照射する時期よりも遅い時期に紫外線を照射させることは可能であるが、本実施形態の方がより容易に実現できる。
【0060】
また、本実施形態では、複数のUV発光素子41aを図4に示すように配置した結果、ドット群の搬送方向両端部と対向する光源41が交差方向において、該ドット群の搬送方向中央部と対向する光源41よりも、各色のノズル列が位置する側とは反対側に位置している。但し、UV発光素子41aの配置については他にも考えられ、例えば、図8に示すように、複数のUV発光素子41aが横向きV字状に配置されることとしてもよい。かかる配置であっても、ドット群の搬送方向両端部と対向する光源41が、該ドット群の搬送方向中央部と対向する光源41よりも、各色のノズル列が位置する側とは反対側に位置することになる。図8は、複数のUV発光素子41aの配置に関する変形例を示す図である。
【0061】
さらに、ドット群の搬送方向両端部のうち、上流側(下流側)端部と対向する光源41のみが、交差方向において、該ドット群の搬送方向中央部と対向する光源41よりも各色のノズル列が位置する側とは反対側に位置していることとしてもよい。例えば、図9に示すように、複数のUV発光素子41aが搬送方向に対して傾いた列をなして並んでいる(換言すれば、搬送方向に対して傾いた直線状の光源41が備えられている)こととしてもよい。あるいは、図10に示すように、複数のUV発光素子41aのうち、搬送方向において最も上流側(下流側)に位置するUV発光素子41aを除くUV発光素子41aが搬送方向に沿う列をなして並び、最も上流側(下流側)に位置するUV発光素子41aが前記列から外れ、各色のノズル列が位置する側とは反対側に寄っていることとしてもよい。図9及び図10は、複数のUV発光素子41aの配置に関する変形例を示す図である。
【0062】
このようにドット群の搬送方向両端部のうち、少なくとも一方の端部と対向する光源41が、該ドット群の搬送方向中央部と対向する光源41よりも各色のノズル列が位置する側とは反対側に位置すれば、上述の効果を奏することが可能である。すなわち、ドット群の前記少なくとも一方の端部では、ドットの硬化時間が、該ドット群の搬送方向中央部よりも長くなる。この結果、ドット群の前記少なくとも一方の端部での前記厚みについては、該ドット群の搬送方向中央部での前記厚みと略等しくさせることが可能になる。
【0063】
一方、本実施形態のように、ドット群の搬送方向両端部と対向する光源41が、ドット群の搬送方向中央部と対向する光源41より各色のノズル列が位置する側とは反対側に位置している場合、ドット群の搬送方向両端部において、ドットの硬化時間が、該ドット群の搬送方向中央部よりも長くなる。かかる構成であれば、ドット群の搬送方向端部にて重なり合うドット群の数が多くなった場合にも、前記厚みを適切に均一化させることが可能になる。
【0064】
===その他の実施形態===
上記実施形態では、主に、本発明の液体噴射装置の一例としてのプリンタ10、及び、本発明の液体噴射方法の一例としての印刷方法について説明したが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【0065】
また、上記実施形態では、照射動作の際、照射ユニット40が、ドット群の搬送方向両端部のうち、少なくとも一方の端部に向けて、該ドット群の搬送方向中央部に向けて紫外線を照射する時期よりも遅い時期に、紫外線を照射することとした。これにより、ドット群の前記少なくとも一方の端部では、ドットの硬化時間が、該ドット群の搬送方向中央部よりも長くなり、媒体Pに着弾したUVインクの厚みを搬送方向において均一化させることが可能になる。但し、媒体Pに着弾したUVインクの厚みを搬送方向において均一化させる構成は、上記実施形態以外の例(以下、他例)も考えられる。以下、他例について具体的に説明する。
【0066】
他例では、光源41が、搬送方向に沿う列をなして並ぶ複数のUV発光素子41aからなる。つまり、他例では、照射動作の際、光源41がドット群の搬送方向両端部、及び、該ドット群の搬送方向中央部の双方と略同時に対向する。一方、他例に係る照射ユニット40は、照射動作の際、前記ドット群の搬送方向中央部に向けて紫外線を照射するときの照射強度よりも弱い照射強度にて、前記ドット群の搬送方向両端部のうち、少なくとも一方の端部に向けて紫外線を照射する。
【0067】
紫外線の照射強度が弱くなるほど(換言すると、照射される紫外線のエネルギーが低くなるほど)、当然ながら、該紫外線を受けたUVインクの硬化時間は長くなる。したがって、他例では、照射ユニット40がドット群の搬送方向両端部、及び、搬送方向中央部の双方に向けて略同時に紫外線を照射するものの、ドット群の前記少なくとも一方の端部でのドットの硬化時間が、該ドット群の搬送方向中央部での該硬化時間よりも長くなる。この結果、上記実施形態と同様、媒体P上に着弾したUVインクの厚みを搬送方向において均一化させることが可能になる。
【0068】
なお、照射ユニット40が、照射動作の際、ドット群の搬送方向中央部に向けて紫外線を照射するときの照射強度よりも弱い照射強度にて、該ドット群の前記少なくとも一方の端部に向けて紫外線を照射するためには、例えば、前記ドット群の前記少なくとも一方の端部と対向する光源41(具体的には、当該少なくとも一方の端部に位置するUV発光素子41a)の出力が、前記ドット群の搬送方向中央部と対向する光源41(具体的には、当該搬送方向中央部に位置するUV発光素子41a)の出力よりも低くなっていればよい。あるいは、上下方向におけるドット群の前記少なくとも一方の端部と光源41との間隔が、該ドット群の搬送方向中央部と光源41との間隔よりも大きくなっていればよい。
【0069】
また、上記実施形態では、ヘッド23が交差方向において一端から他端に向かって移動する期間中にインク噴射が行われる一方で、他端から一端に向かって移動する期間にはインク噴射が行われないこととした。また、一つの光源41が交差方向においてヘッド23の一端側に備えられていることとした。但し、これに限定されるものではなく、インク噴射が、ヘッド23が交差方向において一端から他端に向かって移動する期間、及び、他端から一端に向かって移動する期間の両期間において行われることとしてもよい。かかる場合、図11に示すように、交差方向においてヘッド23の両脇にそれぞれ光源41が備えられていることが望ましい(すなわち、照射ユニット40が2つの光源41を備えていてもよい)。図11は、照射ユニット40がヘッド23の両脇に光源41を備えた構成を示す図である。
【0070】
上記構成では、図11に示すように、2つの光源41が、ヘッド23の交差方向中央を通る仮想線を中心として左右対称になっている。具体的に説明すると、各光源41に備えられた複数のUV発光素子41aのうち、搬送方向両端部のうちの少なくとも一方の端部に位置するUV発光素子41a(図11に示す例では、搬送方向両端部に位置するUV発光素子41a)が、搬送方向中央部に位置するUV発光素子41aよりも各色のノズル列が位置する側とは反対側に位置している。また、上記構成では、ヘッド23が交差方向に移動しながらノズルからUVインクを噴射する際、照射ユニット40が、前記ヘッド23の移動方向から見て該ヘッド23よりも後方に位置する側の光源41からの紫外線を照射し、該ヘッド23よりも前方に位置する側の光源41からは紫外線を照射しない。この結果、照射動作の際、照射ユニット40は、ドット群の搬送方向中央部に向けて紫外線を照射する時期よりも遅い時期に、前記ドット群の搬送方向両端部のうち、少なくとも一方の端部に向けて紫外線を照射し、上記実施形態と同様の効果を奏することになる。
【0071】
また、上記実施形態では、ラスタラインを形成するために交差方向に移動するヘッド23を有するプリンタ10(所謂シリアルプリンタ)について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、移動せずに固定位置に配置されたヘッド23を有し、交差方向に並ぶ複数のドットを一度に形成することが可能なプリンタ(所謂ラインプリンタ)であってもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、搬送動作にて媒体Pを搬送方向に搬送することにより該媒体Pを各色のノズル列(複数のノズル)に対して相対的に移動させることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、媒体Pを固定したままの状態でヘッド23(すなわち、ノズル列)の方を前記搬送方向に相当する方向(つまり、ノズル列の形成方向)に移動させる移動動作と、ドット群形成動作と、を交互に繰り返し実行して、ドット群を前記搬送方向に相当する方向に複数形成することとしてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、複数回のドット群形成動作(パス)により補完的にラスタラインが形成されるような印刷方式を採用していることとした。但し、印刷方式の如何によらず、ドット群の搬送方向端部では、該ドット群の搬送方向と比較して、異なるパスにて形成され、かつ、既に硬化したドット群上に重なるドット群の数が多くなる。したがって、他の印刷方式が採用された場合であっても、本発明により、媒体P上に着弾したUVインクの厚みを均一化することが可能になる。故に、上記実施形態の印刷方式に限定されるものではなく、例えば、ドット群形成動作後の搬送動作において、ヘッド23の搬送方向における長さに相当する距離分、媒体Pを搬送してから次のドット群形成動作を行う印刷方式や、1つのラスタラインを互いに異なるノズルで形成する印刷方式を採用することとしてもよい。
【0074】
また、上記の実施形態では、液体の一例であるUVインクを噴射するプリンタ10について説明したが、これに限られるものではない。液体については、紫外線を受けて硬化することが可能な液体であればよく、UVインク以外の他の液体(機能材料等の粒子が分散されている液体を含む)を噴射する液体噴射装置に本発明を具体化することも可能である。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材などの材料が分散または溶解した状態で含まれた液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を含む液体を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置等が挙げられ、これらのうち、いずれか一種の液体噴射装置に本発明を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】プリンタ10の構成を示すブロック図である。
【図2】図2A〜図2Cは、プリンタ10の基本構成を示す図である。
【図3】ノズルの配列を示す図である。
【図4】光源41を示す図である。
【図5】印刷処理のフローチャートである。
【図6】図6A〜図6Dは、ドット群形成動作の説明図である。
【図7】図7A〜図7Cは、プリンタ10の有効性を説明するための図である。
【図8】複数のUV発光素子41aの配置に関する変形例を示す図である。
【図9】複数のUV発光素子41aの配置に関する第二の変形例を示す図である。
【図10】複数のUV発光素子41aの配置に関する第三の変形例を示す図である。
【図11】照射ユニット40がヘッド23の両脇に光源41を備えた構成を示す図である。
【符号の説明】
【0076】
10 プリンタ、
20 記録ユニット、21 キャリッジ、22 キャリッジ移動機構、23 ヘッド、
24 ガイド軸、25 インクカートリッジ、
30 搬送ユニット、31 給紙ローラ、32 搬送モータ、33 搬送ローラ、
34 プラテン、35 排紙ローラ、
40 照射ユニット、41 光源、41a UV発光素子、42 収容ボックス、
50 検出器群、60 コントローラ、61 インターフェース、62 CPU、
63 メモリ、64 ユニット制御回路、110 コンピュータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
列をなして並ぶ複数のノズルと、
紫外線を照射する照射部と、
媒体を前記複数のノズルに対して搬送方向へ搬送させる搬送動作と、
前記複数のノズルから媒体に向けて液体を噴射することにより前記搬送方向に沿うドット群を該媒体に形成するドット群形成動作と、
を交互に繰り返し実行して前記ドット群を前記搬送方向に沿って複数形成するとともに、前記ドット群形成動作を実行する都度、前記照射部に紫外線を前記ドット群に向けて照射させて該ドット群を硬化させる照射動作を実行する制御部と、
を有する液体噴射装置であって、
前記照射動作の際、前記照射部は、前記搬送方向における前記ドット群の中央部に向けて紫外線を照射する時期よりも遅い時期に、前記搬送方向における前記ドット群の両端部のうち、少なくとも一方の端部に向けて紫外線を照射することを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体噴射装置において、
前記照射部は、紫外線の光源を有し、該光源が前記ドット群と対向した状態で該ドット群に向けて紫外線を照射し、
前記照射動作の際、前記光源は、前記ドット群の前記中央部と対向する時期よりも遅い時期に、前記ドット群の前記少なくとも一方の端部と対向することを特徴とする液体噴射装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液体噴射装置において、
前記制御部は、前記ドット群形成動作の際、前記複数のノズルを前記搬送方向と交差する交差方向に移動させながら該複数のノズルから媒体に向けて液体を噴射し、
前記光源は、前記複数のノズルが前記交差方向に移動する際に該複数のノズルの後を追いながら該交差方向に移動し、
前記ドット群の前記少なくとも一方の端部と対向する前記光源は、前記交差方向において、前記ドット群の前記中央部と対向する前記光源よりも前記複数のノズルが位置する側とは反対側に位置することを特徴とする液体噴射装置。
【請求項4】
請求項3に記載の液体噴射装置において、
前記ドット群の一端部と対向する前記光源、及び、該ドット群の他端部と対向する前記光源は、いずれも、前記交差方向において、該ドット群の前記中央部と対向する前記光源よりも前記複数のノズルが位置する側とは反対側に位置することを特徴とする液体噴射装置。
【請求項5】
列をなして並ぶ複数のノズルと、
紫外線を照射する照射部と、
媒体を前記複数のノズルに対して搬送方向に搬送させる搬送動作と、
前記複数のノズルから媒体に向けて液体を噴射することにより前記搬送方向に沿うドット群を該媒体に形成するドット群形成動作と、
を交互に繰り返し実行して前記ドット群を前記搬送方向に沿って複数形成するとともに、前記ドット群形成動作を実行する都度、前記照射部に紫外線を前記ドット群に向けて照射させて該ドット群を硬化させる照射動作を実行する制御部と、
を有する液体噴射装置であって、
前記照射動作の際、前記照射部は、前記搬送方向における前記ドット群の中央部に向けて紫外線を照射するときの照射強度よりも弱い照射強度にて、前記搬送方向における前記ドット群の両端部のうち、少なくとも一方の端部に向けて紫外線を照射することを特徴とする液体噴射装置。
【請求項6】
媒体を、列をなして並ぶ複数のノズルに対して搬送方向へ搬送させる搬送動作と、
前記複数のノズルから媒体に向けて液体を噴射することにより前記搬送方向に沿うドット群を該媒体に形成するドット群形成動作と、
を交互に繰り返し実行して前記ドット群を前記搬送方向に沿って複数形成することと、
前記ドット群形成動作を実行する都度、紫外線を前記ドット群に向けて照射する照射動作を実行することと、
を有する液体噴射方法であって、
前記照射動作の際、前記搬送方向における前記ドット群の中央部に向けて紫外線を照射する時期よりも遅い時期に、前記搬送方向における前記ドット群の両端部のうち、少なくとも一方の端部に向けて紫外線を照射することを特徴とする液体噴射方法。
【請求項7】
媒体を、列をなして並ぶ複数のノズルに対して搬送方向へ搬送させる搬送動作と、
前記複数のノズルから媒体に向けて液体を噴射することにより前記搬送方向に沿うドット群を該媒体に形成するドット群形成動作と、
を交互に繰り返し実行して前記ドット群を前記搬送方向に沿って複数形成することと、
前記ドット群形成動作を実行する都度、紫外線を前記ドット群に向けて照射する照射動作を実行することと、
を有する液体噴射方法であって、
前記照射動作の際、前記搬送方向における前記ドット群の中央部に向けて紫外線を照射するときの照射強度よりも弱い照射強度にて、前記搬送方向における前記ドット群の両端部のうち、少なくとも一方の端部に向けて紫外線を照射することを特徴とする液体噴射方法。
【請求項1】
列をなして並ぶ複数のノズルと、
紫外線を照射する照射部と、
媒体を前記複数のノズルに対して搬送方向へ搬送させる搬送動作と、
前記複数のノズルから媒体に向けて液体を噴射することにより前記搬送方向に沿うドット群を該媒体に形成するドット群形成動作と、
を交互に繰り返し実行して前記ドット群を前記搬送方向に沿って複数形成するとともに、前記ドット群形成動作を実行する都度、前記照射部に紫外線を前記ドット群に向けて照射させて該ドット群を硬化させる照射動作を実行する制御部と、
を有する液体噴射装置であって、
前記照射動作の際、前記照射部は、前記搬送方向における前記ドット群の中央部に向けて紫外線を照射する時期よりも遅い時期に、前記搬送方向における前記ドット群の両端部のうち、少なくとも一方の端部に向けて紫外線を照射することを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体噴射装置において、
前記照射部は、紫外線の光源を有し、該光源が前記ドット群と対向した状態で該ドット群に向けて紫外線を照射し、
前記照射動作の際、前記光源は、前記ドット群の前記中央部と対向する時期よりも遅い時期に、前記ドット群の前記少なくとも一方の端部と対向することを特徴とする液体噴射装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液体噴射装置において、
前記制御部は、前記ドット群形成動作の際、前記複数のノズルを前記搬送方向と交差する交差方向に移動させながら該複数のノズルから媒体に向けて液体を噴射し、
前記光源は、前記複数のノズルが前記交差方向に移動する際に該複数のノズルの後を追いながら該交差方向に移動し、
前記ドット群の前記少なくとも一方の端部と対向する前記光源は、前記交差方向において、前記ドット群の前記中央部と対向する前記光源よりも前記複数のノズルが位置する側とは反対側に位置することを特徴とする液体噴射装置。
【請求項4】
請求項3に記載の液体噴射装置において、
前記ドット群の一端部と対向する前記光源、及び、該ドット群の他端部と対向する前記光源は、いずれも、前記交差方向において、該ドット群の前記中央部と対向する前記光源よりも前記複数のノズルが位置する側とは反対側に位置することを特徴とする液体噴射装置。
【請求項5】
列をなして並ぶ複数のノズルと、
紫外線を照射する照射部と、
媒体を前記複数のノズルに対して搬送方向に搬送させる搬送動作と、
前記複数のノズルから媒体に向けて液体を噴射することにより前記搬送方向に沿うドット群を該媒体に形成するドット群形成動作と、
を交互に繰り返し実行して前記ドット群を前記搬送方向に沿って複数形成するとともに、前記ドット群形成動作を実行する都度、前記照射部に紫外線を前記ドット群に向けて照射させて該ドット群を硬化させる照射動作を実行する制御部と、
を有する液体噴射装置であって、
前記照射動作の際、前記照射部は、前記搬送方向における前記ドット群の中央部に向けて紫外線を照射するときの照射強度よりも弱い照射強度にて、前記搬送方向における前記ドット群の両端部のうち、少なくとも一方の端部に向けて紫外線を照射することを特徴とする液体噴射装置。
【請求項6】
媒体を、列をなして並ぶ複数のノズルに対して搬送方向へ搬送させる搬送動作と、
前記複数のノズルから媒体に向けて液体を噴射することにより前記搬送方向に沿うドット群を該媒体に形成するドット群形成動作と、
を交互に繰り返し実行して前記ドット群を前記搬送方向に沿って複数形成することと、
前記ドット群形成動作を実行する都度、紫外線を前記ドット群に向けて照射する照射動作を実行することと、
を有する液体噴射方法であって、
前記照射動作の際、前記搬送方向における前記ドット群の中央部に向けて紫外線を照射する時期よりも遅い時期に、前記搬送方向における前記ドット群の両端部のうち、少なくとも一方の端部に向けて紫外線を照射することを特徴とする液体噴射方法。
【請求項7】
媒体を、列をなして並ぶ複数のノズルに対して搬送方向へ搬送させる搬送動作と、
前記複数のノズルから媒体に向けて液体を噴射することにより前記搬送方向に沿うドット群を該媒体に形成するドット群形成動作と、
を交互に繰り返し実行して前記ドット群を前記搬送方向に沿って複数形成することと、
前記ドット群形成動作を実行する都度、紫外線を前記ドット群に向けて照射する照射動作を実行することと、
を有する液体噴射方法であって、
前記照射動作の際、前記搬送方向における前記ドット群の中央部に向けて紫外線を照射するときの照射強度よりも弱い照射強度にて、前記搬送方向における前記ドット群の両端部のうち、少なくとも一方の端部に向けて紫外線を照射することを特徴とする液体噴射方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図6】
【公開番号】特開2010−5858(P2010−5858A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−166314(P2008−166314)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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