説明

液体圧送装置

【課題】 排気弁体が排気弁口に着座するときの衝撃を緩衝することのできる液体圧送装置を提供する。
【解決手段】 密閉容器2に作動流体導入口11と作動流体排出口13と液体流入口16及び液体排出口17が設けられ、作動流体導入口11に給気弁18が設けられ、作動流体排出口13に排気弁19が設けられ、密閉容器2内に配置されたフロート3の昇降に応じてバネを利用したスナップ機構5を動作させて弁軸操作棒28をスナップ移動させることにより、弁軸操作棒28を介して給気弁18と排気弁19の開閉を切り換える。排気弁19が弁軸操作棒28に連結された昇降棒31と昇降棒31に連結された排気弁体30と排気弁体30が離着座する排気弁口32を有し、排気弁体30が排気弁口32に離着座する方向に変位可能に昇降棒31に連結され、排気弁体30と昇降棒31の間にコイルバネ33が配される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水や燃料等の液体を圧送する液体圧送装置に関するものである。本発明の液体圧送装置は、各種蒸気使用装置で発生した復水をボイラーや廃熱利用箇所に送る装置として特に適するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の液体圧送装置は、例えば特許文献1に開示されている。これは、密閉容器に作動流体導入口と作動流体排出口と液体流入口及び液体排出口が設けられ、作動流体導入口に給気弁が設けられ、作動流体排出口に排気弁が設けられ、密閉容器内に配置されたフロートの昇降に応じてバネを利用したスナップ機構を動作させて弁軸操作棒をスナップ移動させることにより、弁軸操作棒を介して給気弁と排気弁の開閉を切り換えて、初めに排気弁を開き給気弁を閉じることにより液体を密閉容器内に流入させ、次いで排気弁を閉じ給気弁を開くことにより密閉容器内に溜った液体を液体圧送先へ圧送するものであって、排気弁が弁軸操作棒に連結された昇降棒と昇降棒に連結された排気弁体と排気弁体が離着座する排気弁口を有するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−145290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の液体圧送装置は、排気弁が閉じるときに排気弁体が衝撃的に排気弁口に着座するために、比較的早期に排気弁体が磨耗したり損傷したりする問題点があった。
【0005】
したがって本発明が解決しようとする課題は、排気弁体が排気弁口に着座するときの衝撃を緩衝することのできる液体圧送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の液体圧送装置は、密閉容器に作動流体導入口と作動流体排出口と液体流入口及び液体排出口が設けられ、作動流体導入口に給気弁が設けられ、作動流体排出口に排気弁が設けられ、密閉容器内に配置されたフロートの昇降に応じてバネを利用したスナップ機構を動作させて弁軸操作棒をスナップ移動させることにより、弁軸操作棒を介して給気弁と排気弁の開閉を切り換えて、初めに排気弁を開き給気弁を閉じることにより液体を密閉容器内に流入させ、次いで排気弁を閉じ給気弁を開くことにより密閉容器内に溜った液体を液体圧送先へ圧送するものであって、排気弁が弁軸操作棒に連結された昇降棒と昇降棒に連結された排気弁体と排気弁体が離着座する排気弁口を有するものにおいて、排気弁体が排気弁口に離着座する方向に変位可能に昇降棒に連結され、排気弁体と昇降棒の間にバネが配されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、排気弁が弁軸操作棒に連結された昇降棒と昇降棒に連結された排気弁体と排気弁体が離着座する排気弁口を有するものにおいて、排気弁体が排気弁口に離着座する方向に変位可能に昇降棒に連結され、排気弁体と昇降棒の間にバネが配されていることにより、排気弁体が排気弁口に着座するときの衝撃をバネが緩衝することができ、排気弁体が磨耗したり損傷したりすることを防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係わる液体圧送装置の断面図である。
【図2】図1の排気弁部分の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図2を参照して説明する。本実施例の液体圧送装置1は密閉容器2内にフロート3と切替え弁4及びスナップ機構5が配されたものである。密閉容器2は本体部7と蓋部8が図示しないネジによって結合され、内部に液体溜空間10が形成されたものである。蓋部8には作動流体導入口11,作動流体排出口13,液体流入口16,液体排出口17が設けられている。作動流体導入口11の内側に給気弁18が取り付けられ、作動流体排出口13の内側に排気弁19が取り付けられている。給気弁18は弁ケース20と給気弁体21及び昇降棒22によって構成される。弁ケース20は軸方向に貫通孔を有し、貫通孔の上部に給気弁口24が形成されている。弁ケース20の中間部の周囲壁には給気弁口24と密閉容器2内方側とを連通する4つの開口25が設けられている。給気弁体21は球状で給気弁口24の作動流体導入口11側に位置し、下端に昇降棒22が溶接により一体的に取り付けられている。給気弁体21の上方はキャップ26により閉じられている。昇降棒22の下部は密閉容器2内方側に抜け、連設板27に当接するようになっている。連設板27は弁軸操作棒28に連結され、弁軸操作棒28はスナップ機構5と連結されている。排気弁19は弁ケース29と排気弁体30と昇降棒31によって構成される。弁ケース29は軸方向に貫通孔を有し、貫通孔の上部に排気弁口32があり、排気弁口32の下から昇降棒31の上端に排気弁口32に離着座する方向の上下方向に変位可能に連結された排気弁体30が離着座して開閉を行うものである。排気弁体30と昇降棒31の間にコイルバネ33が配される。コイルバネ33により排気弁体30が排気弁口32に着座するときの衝撃を緩衝することができる。昇降棒31の下端はピンで弁軸操作棒28に排気弁口32に離着座する方向の上下方向に変位可能に連結されている。給気弁18と排気弁19で切替え弁4が構成され、給気弁18が開くと排気弁19は閉じ、給気弁18が閉じると排気弁19は開く。
【0010】
フロート3はフロートアーム34と揺動軸35を介してブラケット36によって支持されている。ブラケット36は図示しないネジによって密閉容器2の蓋部8に一体的に取り付けられている。スナップ機構5はフロートアーム34と副アーム37及び圧縮状態のコイルバネ38によって構成される。フロートアーム34は平行に対向した2枚の板よりなり、左端にフロート3が固着され、右側部が揺動軸35によって回転可能に支持されている。従って、フロート3は揺動軸35を中心として上下に揺動する。フロートアーム34の中央部に揺動軸35と平行な第1の軸39が掛け渡されている。第1の軸39に第1バネ受け部材40が回転可能に支持されている。また、揺動軸35には副アーム37が回転可能に支持されている。副アーム37は平行に対向した2枚の板よりなり、左端部に揺動軸35と平行な第2の軸41が掛け渡されている。第2の軸41に第2バネ受け部材42が回転可能に支持されている。第1及び第2のバネ受け部材40,42の間に圧縮状態のコイルバネ38が配置されている。フロートアーム34には半円状に長孔43が設けられ、長孔43内に揺動軸35と平行なストッパー軸44がブラケット36によって支持されている。ストッパー軸44は副アーム37の回転範囲を規制する。副アーム37の右端部に揺動軸35と平行な連結軸45が貫通して取り付けられ、連結軸45に弁軸操作棒28の下端が連結されている。揺動軸35と平行でフロートアーム34の揺動範囲を規制するストッパー軸51,52がブラケット36によって支持されている。
【0011】
次に本実施例の液体圧送装置1の作用について、作動流体として蒸気を用いた場合の一連の動作手順を追うことによって説明する。まず液体圧送装置1の外部配管は作動流体導入口11が高圧の蒸気源に接続され、作動流体排出口13は蒸気循環配管に接続される。液体流入口16は外部から液体溜空間10に向かって開く逆止弁(図示せず)を介して蒸気使用装置等の負荷に接続され、液体排出口17は液体溜空間10から外部に向かって開く逆止弁(図示せず)を介してボイラー等の液体圧送先へ接続される。本実施例の液体圧送装置1の液体溜空間10内に復水が無い場合は、図1に示すようにフロート3は底部に位置する。このとき、切替え弁4における給気弁18が閉じられ、排気弁19が開かれている。そして、蒸気使用装置等の負荷内で復水が発生すると、復水は圧送液体流入口16から液体圧送装置1に流下して、液体溜空間10内に溜る。液体溜空間10内に溜った復水によってフロート3が浮上すると、フロートアーム34が揺動軸35を中心に時計回り方向に回転し、コイルバネ38との連結部である第1の軸39が上方に移動して揺動軸35と第2の軸41を結ぶ線の延長線上に近付き、コイルバネ38が圧縮変形する。そしてフロート3が更に浮上して第1の軸39が揺動軸35と第2の軸41を結ぶ線の延長線上を越えると、コイルバネ38が急激に変形を回復し、副アーム37が反時計回り方向に回転して連結軸45が上方にスナップ移動する。その結果、連結軸45に連結された弁軸操作棒28が上側にスナップ移動し、給気弁18が開かれると共に排気弁19が閉じられる。このとき、コイルバネ33により排気弁体30が排気弁口32に着座するときの衝撃を緩衝することができる。
【0012】
給気弁18が開かれて作動流体導入口11が開放されると、密閉容器2内に高圧蒸気が導入され、内部の圧力が上昇し、液体溜空間10に溜った復水は、蒸気圧に押されて圧送液体排出口17から図示しない逆止弁を介して外部のボイラーや廃熱利用装置へ排出される。復水の排出によって復水溜空間10内の水位が低下すると、フロート3が降下して、フロートアーム34が揺動軸35を中心に反時計回り方向に回転し、コイルバネ38との連結部である第1の軸39が下方に移動して揺動軸35と第2の軸41を結ぶ線の延長線上に近付き、コイルバネ38が圧縮変形する。そしてフロート3が更に降下して第1の軸39が揺動軸35と第2の軸41を結ぶ線の延長線上を越えると、コイルバネ38が急激に変形を回復し、副アーム37が時計回り方向に回転して連結軸45が下方にスナップ移動する。その結果、連結軸45に連結された弁軸操作棒28が下側にスナップ移動し、給気弁18が閉じられると共に排気弁19が開かれる。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明は、各種蒸気使用装置で発生した復水をボイラーや廃熱利用箇所に送る復水圧送装置に限らず、温水や燃料等の液体を圧送する液体圧送装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0014】
1 液体圧送装置
2 密閉容器
3 フロート
4 切替え弁
5 スナップ機構
10 液体溜空間
11 作動流体導入口
13 作動流体排出口
16 液体流入口
17 液体排出口
18 給気弁
19 排気弁
28 弁軸操作棒
29 昇降棒
30 排気弁体
32 排気弁口
33 コイルバネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉容器に作動流体導入口と作動流体排出口と液体流入口及び液体排出口が設けられ、作動流体導入口に給気弁が設けられ、作動流体排出口に排気弁が設けられ、密閉容器内に配置されたフロートの昇降に応じてバネを利用したスナップ機構を動作させて弁軸操作棒をスナップ移動させることにより、弁軸操作棒を介して給気弁と排気弁の開閉を切り換えて、初めに排気弁を開き給気弁を閉じることにより液体を密閉容器内に流入させ、次いで排気弁を閉じ給気弁を開くことにより密閉容器内に溜った液体を液体圧送先へ圧送するものであって、排気弁が弁軸操作棒に連結された昇降棒と昇降棒に連結された排気弁体と排気弁体が離着座する排気弁口を有するものにおいて、排気弁体が排気弁口に離着座する方向に変位可能に昇降棒に連結され、排気弁体と昇降棒の間にバネが配されていることを特徴とする液体圧送装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−144886(P2011−144886A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−6835(P2010−6835)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000133733)株式会社テイエルブイ (913)
【Fターム(参考)】