説明

液体描画方法、液体描画装置および太陽電池用機能性マスク

【課題】線パターンの膜厚を幅方向に所望の一定厚に均一化し得る液体描画方法を提供する。
【解決手段】直線状に並んだ複数のノズルを有するインクジェットヘッドを用いて等間隔の線パターン1を描画する。線パターン1の幅方向のエッジ部3や中央部4について、その領域に塗布するノズルを選択し、線パターン1の膜厚が幅方向に一定化するように塗布量を調整して描画する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばインクジェット装置を用いて等幅および等間隔の線パターンを描画する液体描画方法、液体描画装置および太陽電池用機能性マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、直線状に並んだ複数の吐出孔であるノズルを有するインクジェットヘッドを用いて等幅および等間隔の線パターンを非浸透性基板上に描画する場合、例えば、図8に示すように、線101に対するインクジェットヘッド102の傾斜角度θを変更して、各ノズル103におけるノズルピッチの整数倍が線ピッチPと等しくなるようなノズル列角度にて、1回の主走査にて各線101を描画していた。なお、本明細書に添付の図面においては、各ノズルのうちインクを吐出するノズルについては、黒丸の周りに同心円を付して表現している。
【0003】
また、例えば、特開平10−334805号公報(特許文献1)では、プラズマディスプレイパネルのパネル基板において、ストライプ状の隔壁が一定パターンに形成された複数の凹部に、赤色蛍光体層、青色蛍光体層および緑色蛍光体層を形成すべく、蛍光体ペースト等の塗液を高精度にかつ簡便に形成できる塗液の塗布装置を開示している。
【0004】
すなわち、特許文献1では、ペーストによる線幅を形成する場合には、図9に示すように、予め一定幅のバンク201を設けて、隣り合うバンク201,201の間に、ノズル203からペースト202を流し込んでいる。これによって、少ない吐出回数にて高精度に線幅を制御できると共に、バンク201によって線幅が固定されているため、吐出量による膜厚の調整が容易であるというメリットを有している。
【0005】
しかしながら、上記従来の線の描画方法では、以下の問題点を有している。すなわち、図8に示す描画方法では、線幅を制御するためには吐出周波数を増減するか、又は主走査方向(線101の長手方向)の移動速度を変更せざるを得ないが、この方法では、膜厚と独立して線幅を制御するのが困難であった。すなわち、吐出量に基づく吐出液滴の濡れ広がりにて線幅を制御するのは困難である。
【0006】
また、図9に示す特許文献1の描画方法では、バンク201の作成が必須であり、線幅と線間ピッチとの変更には前工程からの変更が必要であり、手間がかかる。さらにバンク形成のためにコストアップに繋がる。
【0007】
なお、エッジを明確にするために、例えば、特開2005−246248号公報(特許文献2)に開示したインクジェットの塗布方法では、図10(a)に示す塗布画像を得るために、図10(c)〜(f)に示すように、全てのエッジを先に描画し、図10(b)に示すように、その後にその内部を埋めることによって、エッジを高い精度で位置決めして描画の精度を高めている。
【0008】
次に、一般に膜厚を一定化したパターンを媒体(基板)に塗布する技術として、例えば、液晶のカラーフィルター(CF)の画素にRGB色をインクジェットにより着色する場合では、その周囲を撥液性の高いブラックマトリクス(BM)を配置し、その囲まれた領域内を親液性とすることで、BMとその囲まれた領域内の親撥液性の差を利用して、塗布したインクをBMで囲まれた領域内に収まるように所定の液量を塗布するものがある。
【0009】
この場合、膜厚を均一化するため、例えば特開2008−68193号公報(特許文献3)で示すように、インクジェットヘッドの吐出走査時の主走査方向での傾きを考慮して、吐出標的となる画素内に先に吐出し着弾するノズルから後に吐出するノズルにかけて段階的に吐出量を増やす吐出量制御を行っている。この結果、先に吐出し基板に着弾したインク位置に後で着弾したインクが引き寄せられることで膜厚が不均一になることや画素の角部への塗り残しとなる課題を解消し、所望のインク量で画素内の膜厚均一化を図っている。
【0010】
ただし、この方法では、塗布部とその周囲の親撥液性差を利用していることや、塗布領域は基本的に親液性を有していることから、例えば結晶太陽電池のP+やN+の拡散マスクをインクジェットによって、そのパターンを描画する場合、何も塗布領域境界を示すガイドとなるような親撥パターンの差がないSi基板上では、塗布した機能性インクと基板との間の表面張力などにより、塗布したパターンの端部と、中央部の膜厚差が大きくなる方向となる。600℃程度の高温で塗布した基板を焼成し、塗布したパターンを固化すると、膜厚部分では膜にクラックが発生することや、膜薄部分ではマスクとしての機能が十分に発揮できず、薄膜を通して拡散が進展してしまう課題が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平10−334805号公報
【特許文献2】特開2005−246248号公報
【特許文献3】特開2008−68193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、この発明の課題は、非浸透性基板上に複数の線パターンを一定幅もしくは一定間隔で液体により描画し、かつその線(液体)の膜厚を幅方向に所望の一定厚に均一化し得る液体描画方法、液体描画装置、および、この装置を用いて作製された太陽電池用機能性マスクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、この発明の液体描画方法は、
一方向に並んだ複数のノズルから基板上に液体を吐出して、上記基板上に、上記一方向に交差する他方向に延在する線パターンを、複数本、上記一方向に間隔をあけて並べて形成する液体描画方法であって、
上記複数のノズルを、上記各線パターンの幅方向の端に位置するエッジ部を形成する第1のノズル群と、この第1のノズル群以外の第2のノズル群とに分別し、または、
上記複数のノズルを、上記各線パターンの幅方向の端に位置するエッジ部を形成する第1のノズル群と、上記各線パターンの幅方向の中央に位置する中央部を形成する第3のノズル群と、この第1と第3のノズル群以外の第4のノズル群とに分別するノズル分別工程と、
上記分別されたノズル群毎に液体の吐出量を調整する吐出量調整工程と、
上記ノズルから上記調整された吐出量の液体を吐出して上記基板上に上記複数本の線パターンを形成する工程と
を備えることを特徴としている。
【0014】
この発明の液体描画方法によれば、上記複数のノズルを所定のノズル群に分別し、この分別されたノズル群毎に液体の吐出量を調整してから、このノズルから調整された吐出量の液体を吐出して基板上に複数本の線パターンを形成するので、例えば、膜厚が薄くなる傾向にある線パターンのエッジ部では、液体の吐出量を増やして膜厚の増加を図る一方、膜厚が厚くなる傾向にある線パターンの中央部では、液体の吐出量を減らして膜厚の減少を図って、線パターンの幅方向での膜厚の均一化を実現できるなど幅方向での膜厚調整が容易となる。
【0015】
また、一実施形態の液体描画方法では、
上記ノズルを上記基板に対して相対的に上記他方向である主走査方向に2回移動しつつ上記ノズルから液体を吐出すると共に、上記ノズルを上記基板に対して相対的に上記主走査方向に交差する副走査方向に1回移動しつつ上記ノズルから液体を吐出しないで、上記基板上に同一の線パターンを形成するとき、
上記ノズル分別工程において、上記複数のノズルを上記第1のノズル群と上記第2のノズル群とに分別した場合、
上記主走査方向への1回目の移動における各ノズル群のノズル数と、上記主走査方向への2回目の移動における各ノズル群のノズル数との差を1以下とし、かつ、
上記主走査方向への各回の移動において、上記第1のノズル群からの吐出量を、上記第2のノズル群からの吐出量と異なるように調整する一方、
上記ノズル分別工程において、上記複数のノズルを上記第1のノズル群と上記第3のノズル群と上記第4のノズル群とに分別した場合、
上記主走査方向への1回目の移動における各ノズル群のノズル数と、上記主走査方向への2回目の移動における各ノズル群のノズル数との差を1以下とし、かつ、
上記主走査方向への1回目の移動における上記第3のノズル群から上記基板上への吐出領域と上記主走査方向への2回目の移動における上記第3のノズル群から上記基板上への吐出領域とが重なると共に、
上記主走査方向への各回の移動において、上記第3のノズル群からの吐出量を、上記第4のノズル群からの吐出量の1/2以下となるように調整する。
【0016】
この実施形態の液体描画方法によれば、上記主走査方向への1回目の移動における各ノズル群のノズル数と、上記主走査方向への2回目の移動における各ノズル群のノズル数との差を1以下としているので、2回に分けて1つの線パターンを描画する際に、各ノズルが線パターンの幅方向で線パターンの端から中央に向かって対称に同量のインクを塗布することになる。この結果、膜厚についても線幅方向に偏りが少なくなり膜厚の均一化に繋がるなど幅方向での膜厚調整が容易となる。
【0017】
また、上記ノズル分別工程において、上記複数のノズルを上記第1のノズル群と上記第2のノズル群とに分別した場合、上記主走査方向への各回の移動において、上記第1のノズル群からの吐出量を、上記第2のノズル群からの吐出量と異なるように調整するので、薄膜となる線パターンのエッジ部の膜厚を増加し、厚膜となる線パターンの中央部の膜厚を低減して、線パターンの幅方向の膜厚の一定化を図ることができるなど幅方向での膜厚調整が容易となる。
【0018】
また、上記ノズル分別工程において、上記複数のノズルを上記第1のノズル群と上記第3のノズル群と上記第4のノズル群とに分別した場合、上記主走査方向への1回目の移動における上記第3のノズル群から上記基板上への吐出領域と上記主走査方向への2回目の移動における上記第3のノズル群から上記基板上への吐出領域とが重なるので、2つの分割した線パターンの繋ぎ目部分で発生し易い島抜け状の未塗布部の発生を無くすことができる。また、上記主走査方向への各回の移動において、上記第3のノズル群からの吐出量を、上記第4のノズル群からの吐出量の1/2以下となるように調整するので、薄膜となる線パターンのエッジ部の膜厚を増加し、厚膜となる線パターンの中央部の膜厚を低減して、線パターンの幅方向の膜厚の一定化を図ることができるなど幅方向での膜厚調整が容易となる。
【0019】
また、一実施形態の液体描画方法では、
上記ノズルを上記基板に対して相対的に上記他方向である主走査方向に2回移動しつつ上記ノズルから液体を吐出すると共に、上記ノズルを上記基板に対して相対的に上記主走査方向に交差する副走査方向に1回移動しつつ上記ノズルから液体を吐出しないで、上記基板上に同一の線パターンを形成するとき、
上記基板上の上記副走査方向の両端の線パターンを描く上記ノズルを除いて、上記主走査方向への各回の移動において上記一方向の最も外側で吐出する上記ノズルは、
上記ノズル分別工程において上記複数のノズルを上記第1のノズル群と上記第2のノズル群とに分別した場合、上記第2のノズル群に含まれる一方、
上記ノズル分別工程において上記複数のノズルを上記第1のノズル群と上記第3のノズル群と上記第4のノズル群とに分別した場合、上記第3のノズル群または上記第4のノズル群に含まれる。
【0020】
この実施形態の液体描画方法によれば、上記主走査方向への各回の移動において上記一方向の最も外側で吐出する上記ノズルは、上記第2のノズル群、または、上記第3のノズル群または上記第4のノズル群に含まれるので、ヘッド全体での印字幅以上に多くの線パターンを描画する際、最も外側の線パターンにおいて、その線幅を周囲の溶媒雰囲気を減らさないように形成できる。
【0021】
この結果、従来2回の主走査方向の吐出移動で描画した中央部の線パターンと端の線パターンでは塗布したインクによる溶媒雰囲気の濃度差によって生じていた線の濡れ広がり差により線幅のバラツキを無くし、各線幅の均一化を実現できる。さらに、同じ吐出量で膜厚を他の線パターンと同等にすることができる。
【0022】
また、一実施形態の液体描画方法では、
上記ノズル分別工程において、上記複数のノズルを上記第1のノズル群と上記第3のノズル群と上記第4のノズル群とに分別した場合、
上記吐出量調整工程において、上記各線パターンの長手方向の両端部から内側の指定区間における上記第3のノズル群からの吐出量を、上記各線パターンの上記指定区間以外の他区間における上記第3のノズル群からの吐出量よりも、多くする。
【0023】
この実施形態の液体描画方法によれば、上記吐出量調整工程において、上記各線パターンの長手方向の両端部から内側の指定区間における上記第3のノズル群からの吐出量を、上記各線パターンの上記指定区間以外の他区間における上記第3のノズル群からの吐出量よりも、多くするので、主走査方向への2回の移動によりノズルからの吐出領域をオーバーラップさせる場合、各線パターンの始点と終点となる長手方向両端部では、溶媒雰囲気濃度が低いため、濡れ広がりが長手方向中央部と比べて少なくなるが、各線パターンの両端部でオーバーラップする繋ぎ目部分の液量を増やすことで、この繋ぎ目部分において、インクがカバーできていない島抜け状態の発生を解消できる。
【0024】
また、一実施形態の液体描画方法では、
上記ノズルを上記基板に対して相対的に上記他方向である主走査方向に1回移動しつつ上記ノズルから液体を吐出して、上記基板上に同一の線パターンを形成するとき、
上記ノズル分別工程において、上記複数のノズルを上記第1のノズル群と上記第2のノズル群とに分別した場合、
上記主走査方向への移動において、上記第1のノズル群からの吐出量を、上記第2のノズル群からの吐出量と異なるように調整する一方、
上記ノズル分別工程において、上記複数のノズルを上記第1のノズル群と上記第3のノズル群と上記第4のノズル群とに分別した場合、
上記主走査方向への移動において、上記第3のノズル群からの吐出量を、上記第4のノズル群からの吐出量と異なるように調整する。
【0025】
この実施形態の液体描画方法によれば、上記ノズル分別工程において、上記複数のノズルを上記第1のノズル群と上記第2のノズル群とに分別した場合、上記主走査方向への移動において、上記第1のノズル群からの吐出量を、上記第2のノズル群からの吐出量と異なるように調整するので、薄膜となる線パターンのエッジ部の膜厚を増加し、厚膜となる線パターンの中央部の膜厚を低減して、線パターンの幅方向の膜厚の一定化を図ることができるなど幅方向での膜厚調整が容易となる。
【0026】
また、上記ノズル分別工程において、上記複数のノズルを上記第1のノズル群と上記第3のノズル群と上記第4のノズル群とに分別した場合、上記主走査方向への移動において、上記第3のノズル群からの吐出量を、上記第4のノズル群からの吐出量と異なるように調整するので、薄膜となる線パターンのエッジ部の膜厚を増加し、厚膜となる線パターンの中央部の膜厚を低減して、線パターンの幅方向の膜厚の一定化を図ることができるなど幅方向での膜厚調整が容易となる。
【0027】
また、一実施形態の液体描画方法では、
上記ノズルを上記基板に対して相対的に上記他方向である主走査方向に1回移動しつつ上記ノズルから液体を吐出して、上記基板上に同一の線パターンを形成するとき、
上記基板上の上記副走査方向の両端の線パターンを描く上記ノズルを除いて、上記主走査方向への移動において上記一方向の最も外側で吐出する上記ノズルは、
上記ノズル分別工程において上記複数のノズルを上記第1のノズル群と上記第2のノズル群とに分別した場合、上記第2のノズル群に含まれる一方、
上記ノズル分別工程において上記複数のノズルを上記第1のノズル群と上記第3のノズル群と上記第4のノズル群とに分別した場合、上記第3のノズル群または上記第4のノズル群に含まれる。
【0028】
この実施形態の液体描画方法によれば、上記主走査方向への移動において上記一方向の最も外側で吐出する上記ノズルは、上記第2のノズル群、または、上記第3のノズル群または上記第4のノズル群に含まれるので、ヘッド全体での印字幅以上に多くの線パターンを描画する際、最も外側の線パターンにおいて、その線幅を周囲の溶媒雰囲気を減らさないように形成できる。
【0029】
この結果、従来中央部の線パターンと端の線パターンでは塗布したインクによる溶媒雰囲気の濃度差によって生じていた線の濡れ広がり差により線幅のバラツキを無くし、各線幅の均一化を実現できる。さらに、同じ吐出量で膜厚を他の線パターンと同等にすることができる。
【0030】
また、この発明の液体描画装置は、
一方向に並んだ複数のノズルから基板上に液体を吐出して、上記基板上に、上記一方向に交差する他方向に延在する線パターンを、複数本、上記一方向に間隔をあけて並べて形成する液体描画装置であって、
上記複数のノズルを、上記各線パターンの幅方向の端に位置するエッジ部を形成する第1のノズル群と、この第1のノズル群以外の第2のノズル群とに分別し、または、
上記複数のノズルを、上記各線パターンの幅方向の端に位置するエッジ部を形成する第1のノズル群と、上記各線パターンの幅方向の中央に位置する中央部を形成する第3のノズル群と、この第1と第3のノズル群以外の第4のノズル群とに分別するノズル分別部と、
上記ノズル分別部により分別されたノズル群毎に、液体の吐出量を調整する吐出量調整部と、
上記ノズルを上記基板に対して相対的に上記他方向である主走査方向に移動しつつ、上記吐出量調整部により調整された吐出量の液体を上記ノズルから上記基板上に吐出する制御部と
を備えることを特徴としている。
【0031】
この発明の液体描画装置によれば、上記ノズル分別部は、上記複数のノズルを所定のノズル群に分別し、上記吐出量調整部は、上記ノズル分別部により分別されたノズル群毎に液体の吐出量を調整し、上記制御部は、上記ノズルを上記基板に対して相対的に主走査方向に移動しつつ上記吐出量調整部により調整された吐出量の液体を上記ノズルから上記基板上に吐出するので、例えば、膜厚が薄くなる傾向にある線パターンのエッジ部では、液体の吐出量を増やして膜厚の増加を図る一方、膜厚が厚くなる傾向にある線パターンの中央部では、液体の吐出量を減らして膜厚の減少を図って、線パターンの幅方向での膜厚の均一化を実現できるなど幅方向での膜厚調整が容易となる。
【0032】
また、一実施形態の太陽電池用機能性マスクでは、上記液体描画装置に、上記基板としての結晶Si基板を、この基板のスライシングカットされた方向を上記主走査方向に一致させるように、配置し、上記液体描画装置を用いて、上記基板上に上記液体を塗布して上記線パターンを形成することにより、作製される。
【0033】
この実施形態の太陽電池用機能性マスクによれば、上記液体描画装置を用いて作製されているので、例えば、等幅かつ等間隔の複数の線パターンを、結晶Si基板上のスライシングカットされた方向に沿って塗布して形成することで、太陽電池のP+やN+拡散層用の機能性マスクを実現することができる。
【0034】
また、Si基板を切り出す際にできたスライシングカットされた方向と主走査方向(=吐出方向)を合わせるように、基板を装置上に配置することは、基板上に生じるスライシングカット痕によって線パターンの直線性を阻害されることを防ぐことができ、線間や線幅などについて精度よく線パターンを形成することができる。
【発明の効果】
【0035】
この発明の液体描画方法によれば、上記複数のノズルを所定のノズル群に分別し、この分別されたノズル群毎に液体の吐出量を調整してから、このノズルから調整された吐出量の液体を吐出して基板上に複数本の線パターンを形成するので、線パターンの幅方向での膜厚の均一化を実現できる。さらに、幅方向での膜厚調整が容易となるため、端は厚くて中央が薄い場合や、その逆の端が薄くて中央が厚い場合などの膜厚調整も可能である。
【0036】
この発明の液体描画装置によれば、上記ノズル分別部は、上記複数のノズルを所定のノズル群に分別し、上記吐出量調整部は、上記ノズル分別部により分別されたノズル群毎に液体の吐出量を調整し、上記制御部は、上記ノズルを上記基板に対して相対的に主走査方向に移動しつつ上記吐出量調整部により調整された吐出量の液体を上記ノズルから上記基板上に吐出するので、線パターンの幅方向での膜厚の均一化を実現できる。さらに、幅方向での膜厚調整が容易となるため、端は厚くて中央が薄い場合や、その逆の端が薄くて中央が厚い場合などの膜厚調整も可能である。
【0037】
この実施形態の太陽電池用機能性マスクによれば、上記液体描画装置を用いて作製されているので、線間や線幅などについて精度よく線パターンを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明の液体描画装置の一実施形態であるインクジェット描画装置を示す斜視図である。
【図2A】線描画を1回の主走査にて行う場合を示す平面図である。
【図2B】線描画を1回の主走査にて行った場合の液滴を示す断面図である。
【図3A】線描画を2回の主走査にて行う場合における1回目の主走査を示す平面図である。
【図3B】線描画を2回の主走査にて行う場合における2回目の主走査を示す平面図である。
【図3C】線描画を2回の主走査にて行った場合の液滴を示す断面図である。
【図4】線パターンをエッジ部、中央部、その他の残り部に分割したことを示す平面図である。
【図5】基板全体に複数の線パターンを描いた場合を示す平面図である。
【図6A】2回の主走査によって線パターンを描く場合において、1回目の主走査で描画した線パターンを示す平面図である。
【図6B】2回の主走査によって線パターンを描く場合において、2回目の主走査で描画した線パターンを示す平面図である。
【図7A】各ノズルから同等の液量で塗布した場合の線パターンの幅方向の断面図である。
【図7B】線パターンのエッジ部と中央部との塗布量を変えた場合の線パターンの幅方向の断面図である。
【図7C】図7Bの場合において、2回の主走査移動でそれぞれ線パターンの中央部を重ねて吐出した際の線パターンの幅方向の断面図である。
【図8】従来の線パターンの描画方法を示す平面図である。
【図9】従来の他のパターンの描画方法を示す平面図である。
【図10】従来のさらに他のパターンの描画方法を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0040】
図1は、この発明の液体描画装置の一実施形態であるインクジェット描画装置の斜視図を示している。図1に示すように、インクジェット描画装置20は、基体21の上側に、複数の被描画基板22を載置する複数の基板設置台23を備えている。この基板設置台23は、上記被描画基板22を載置した状態で主走査方向であるY方向に等速移動できるようになっている。
【0041】
上記基体21の上側における片側端部には、スライド機構24が設けられており、このスライド機構24上にインクジェットヘッド10を備えたヘッドユニット25が設けられている。
【0042】
上記ヘッドユニット25は、スライド機構24に沿って、上記主走査方向であるY方向に移動できるようになっており、これによって、ヘッドユニット25は、基板設置台23上の被描画基板22の上方と基体21の中央部に設けられたメンテナンス機構26との間で移動可能となっている。
【0043】
上記ヘッドユニット25にはヘッドスライド機構27が設けられており、このヘッドスライド機構27によってインクジェットヘッド10が副走査方向であるX方向に自在に移動できるようになっている。主走査方向(Y方向)と副走査方向(X方向)は、直交しているが、交差していればよい。
【0044】
そして、上記インクジェットヘッド10の複数のノズルから、上記基板22上に、液体としてのインクを吐出して、基板22上に、他方向としての主走査方向(Y方向)に延在する線パターンを、複数本、副走査方向(X方向)に間隔をあけて並べて形成する。
【0045】
ここで、上記インクジェット描画装置20にて等幅で等間隔の細線等の直線からなる複数の線パターンを描画する線の描画方法についての基本的な考え方を、図2A、図2Bおよび図3A、図3B、図3Cに基づいて説明する。
【0046】
図2Aは、線パターン1の描画を1回の主走査にて行う場合を示す平面図であり、図2Bは、線パターン1の描画を1回の主走査にて行った場合の液滴dを示す断面図であり、図3Aは、線パターン1の描画を2回の主走査に分けて行う場合における1回目の主走査での塗布を示す平面図であり、図3Bは、線パターン1の描画を2回の主走査にて行う場合における2回目の主走査での塗布を示す平面図であり、図3Cは、線パターン1の描画を2回の主走査にて行った場合の液滴dを示す断面図である。
【0047】
図2A〜図3Cに示すように、上記インクジェットヘッド10の複数のノズル11は、主走査方向(Y方向)に交差する一方向に直線状に並んでいる。この一方向は、副走査方向(X方向)に対して傾斜している。なお、図中、各ノズル11の吐出孔を黒丸にて表現し、複数のノズル11のうちインクを吐出するノズル11については、黒丸の周りに同心円を付して表現している。また、線パターン1においてインクを塗布した部分をハッチングにて示している。
【0048】
まず、等間隔の線パターン1を描画するに際して、線幅Wおよび線間隔が等しくなっていることが重要であるが、線ピッチPとノズル11の吐出孔ピッチとを一致させると、所望の線幅Wを描画するための位置に吐出孔が存在しないことになる。つまり、等ピッチの吐出孔配列では、線幅Wにも線ピッチPにも吐出孔を対応させることが困難である。また、吐出孔ピッチを最適化するためにインクジェットヘッド10における吐出孔列を副走査方向に対して傾けた場合には、着弾の早い部分と遅い部分とによって、描画された同一線内で膜厚の差が生じてしまう。
【0049】
具体的には、図2Aに示すように、1回の主走査で描画する場合、インクジェットヘッド10のノズル列の副走査方向に対する傾きによって着弾に僅かな時間差が生じてしまう。僅かでも先に着弾した方にインクが偏るので、図2Bに示すように、基板22に塗布された液滴dの膜厚にむらが生じる。
【0050】
これを解決するために、1回の主走査で描画する場合では、線パターン1の幅方向両端部を形成する二つのノズル11からの塗布量をその進行方向によって、先に基板22に吐出するノズル11からの吐出量より、後に基板22に吐出するノズル11からの吐出量を、相対的に増やすことで、膜厚の偏りを防ぐことができる。さらに、線幅W方向に蒲鉾状となった膜厚分布に対して、線パターン1の幅方向中央部の吐出量を減少するように、ノズル11からの塗布量を調整することでも膜厚均一化を図ることができる。
【0051】
このように、1回の主走査での描画する場合は、最小の走査回数で基板22の全面に線パターン1を描画することには最適であるものの、固定されたノズル11の印字間隔によって、線幅Wもしくは線間が基本的には決定するため、任意の線間および線幅Wで多くの線パターン1を形成することは困難な面を有する。
【0052】
そこで、この解決策としては、図3Aに示すように、1回目の主走査にて線パターン1の幅の一部を描画し、ノズル11の吐出孔の位置を副走査方向に一定量移動させて、その後に、図3Bに示すように、2回目の主走査にて少なくとも残りの線パターン1の幅を描画する方法がある。この方法を用いると、ヘッド10の副走査方向への移動量によって、線幅Wもしくは線間を任意に設定でき、微調が可能である。ただし、この方法は前述の1回の主走査での描画方法と比べて基板22の全体を描画するための主走査移動回数が増加する面があるが、1回の主走査移動か2回に分けた主走査移動での線パターン1を形成する使い分けは基板22に塗布する線パターン1の仕様にて決定することとなる。
【0053】
このように、図3Aと図3Bに示すように、一つの線パターン1を2回の主走査に分けて描画することにより、図3Cに示すように、基板22に塗布される液滴dの膜厚のむらが軽減される。さらに、1回の主走査移動の場合と同様に、線パターン1の両端部や線パターン1の中央部の膜厚をそれぞれ調整できるように、各領域に割当てられたノズル11からの塗布量を制御することで、膜厚の幅方向の均一化が図れる。
【0054】
要するに、図1に示すように、上記インクジェット描画装置20は、ノズル分別部31と吐出量調整部32と制御部30とを有する。
【0055】
上記ノズル分別部31は、上記複数のノズル11を、上記各線パターン1の幅方向の端に位置するエッジ部(図4の符号3)を形成する第1のノズル群と、この第1のノズル群以外の第2のノズル群とに分別する。この場合、第2のノズル群は、線パターン1のエッジ部(図4の符号3)以外の領域(図4の符号4,5)を形成する。
【0056】
または、上記ノズル分別部31は、複数のノズル11を、各線パターン1の幅方向の端に位置するエッジ部(図4の符号3)を形成する第1のノズル群と、各線パターン1の幅方向の中央に位置する中央部(図4の符号4)を形成する第3のノズル群と、この第1と第3のノズル群以外の第4のノズル群とに分別する。この場合、第4のノズル群は、線パターン1のエッジ部(図4の符号3)および中央部(図4の符号4)以外の領域(図4の符号5)を形成する。
【0057】
上記吐出量調整部32は、上記ノズル分別部31により分別されたノズル群毎に、液体の吐出量を調整する。上記制御部30は、ノズル11を基板22に対して相対的に主走査方向に移動しつつ、吐出量調整部32により調整された吐出量の液体をノズル11から基板22上に吐出する。
【0058】
さらに、1回目の主走査にて線パターン1の一部の幅を描画した場合には、2回目の主走査では、本来、残りの幅を描画することで足りる。この場合、何の誤差も生じない場合には、1回目の主走査にて線パターン1の一部の幅と2回目の主走査にて残りの幅を描画した場合には、両境界は一致するはずである。しかし、誤差が存在する場合には、線パターン1の中央に隙間ができる虞もある。
【0059】
そこで、2回目の主走査にて残りの幅を超えて描画することが好ましい。これによって、1回目の主走査にて描画された線幅と2回目の主走査にて描画された残りの線幅とをオーバーラップさせることができ、そのオーバーラップ部分の塗布量は1回目と2回目の合計で所定量となるように、概ね所定量の半分程度の吐出量となるように設定する。これによって、線パターン1の中央に裂け目状の未塗布部ができることを防止でき、かつ膜厚についても線幅W方向で均一化することができる。
【0060】
また、1回目の主走査では線パターン1の半分又はそれを超える幅を描画することが好ましい。すなわち、1回目の主走査と2回目の主走査との描画の線幅Wは膜厚の均一性の観点からそれぞれ等量であることが好ましく、1回目の主走査にて描画するときの線幅Wは、多すぎても少なすぎても好ましくない。そこで、1回目の主走査と2回目の主走査との描画の線幅Wをそれぞれ半分又はそれを少し超える幅、つまり略半分とするため、2回に分けた線パターン1に割当てられるノズル数をほぼ同数とし、少なくともその差は1以下に抑え、その選択されたノズル11からの各塗布量がほぼ等量となるように設定することで、膜厚が一方のエッジ部に偏らず、膜厚均一化して一定幅の線パターン1を描画することができる。
【0061】
一方、線パターン1の長手方向(Y方向)の両端部では、同じ塗布量で描画しても、その線幅Wが狭くなる方向となる。これは、線パターン1の長手方向の中央部と両端部とでは、既に基板22に塗布したインクから発生する溶媒雰囲気濃度に差があり、その雰囲気による基板22の濡れ性に差が生じるためである。したがって、雰囲気濃度の低い線パターン1の長手方向両端部では、雰囲気濃度が高い長手方向中央部より液濡れ広がりが少ないため、線幅Wが細くなる傾向にある。
【0062】
そのため、2回に分けた線パターン1の繋ぎ目部分は、長手方向中央部ではそれぞれの塗布液が重なり合い、隙間ができない場合でも、長手方向両端部では濡れ広がりが少ないため、その繋ぎ目部分に僅かな裂け目が発生し易いことが実験の結果からも明らかであった。そのため、2回のパターンでオーバーラップした部分については、溶媒雰囲気の少ない限られた区間について僅かに吐出量を増やすことで、膜厚均一化を阻害することなく裂け目の発生を抑えることがきる。
【0063】
また、基板22上にインクジェットヘッド10の全体での印字幅以上に、多くの線パターン1を形成する場合、ヘッド全体の印字幅程度の副走査方向に、ヘッド10を移動させて線パターン1の形成を行う必要がある。この場合、先ほどと同様に、線パターン1の幅方向の端部については、溶媒雰囲気が少ないため、液の濡れ広がりが少なく、線幅が細くなる傾向となる。
【0064】
そのため、図5に示すように、残りの塗布を行うため、次にヘッド10が副走査方向に移動する側で、最も外側を塗布して、線パターン1の外側のエッジ部を形成しないようにする。なお、図5では、実線で囲った線パターン1は既に塗布した線パターン1を表し、破線で囲った線パターン1はヘッド10を副走査方向(X方向)に移動させて、以降に塗布する線パターン1を表している。その中でAとして指示した部分が、最も外側塗布としての線パターン1の外側のエッジ部に該当する。
【0065】
これによって、溶媒雰囲気の影響でその濡れ広がりが他の線パターン1と異なる影響が最も大きい外側エッジ部を、以降の主走査の移動時の塗布に持ち越すことで、溶媒雰囲気が少ない状態での線パターン1のエッジ形成を行わないようにして、影響を回避する。
【0066】
次に、図4と図5を用いて、同一線パターン1を1回の主走査移動で描画する描画方法について説明する。つまり、上記インクジェット描画装置20にて、ノズル11を基板22に対して相対的に主走査方向に1回移動しつつノズル11から液体を吐出して、基板22上に同一の線パターン1を形成する。
【0067】
図4は、2回の主走査移動によって基板22の全面に複数の線パターン1を形成したものを示している。1回目の主走査移動での描画領域をZ1で示し、2回目の主走査移動での描画領域をZ2で示す。1回目の主走査移動によって、インクジェットヘッド10は主走査方向Yに移動し、その移動している間に線パターン1を形成する。その際、各線パターン1について、線パターン1の幅方向の端に位置するエッジ部3、線パターン1の幅方向の中央に位置する中央部4、それ以外の残り部5に領域を分割する。そして、分類された領域についてそれぞれ割当てられたノズル群は、膜厚が均一化となるように、個々のノズル11からの吐出量を設定して、各領域を形成し、線パターン1を形成する。
【0068】
各ノズル11からの吐出量設定については、一旦テストサンプルとして非浸透性基板22上に塗布した線パターン1の膜厚形状を段差計等を用いて測定し、その測定結果に基づき、吐出量の調整を行うこととする。例えば、結晶太陽電池の拡散マスクとして機能性インクを塗布した場合は、塗布された線パターン1の幅方向での膜厚形状は、線パターン1を生成するノズル11が全て同量のインクを塗布した場合、幅方向で蒲鉾状の形状となった。したがって、エッジ部3を形成するノズル群は他のノズル群からの吐出量より多く、逆に中央部4を形成するノズル群については吐出量を相対的に少なく設定することで、膜厚の均一化を図った。
【0069】
また、被描画基板22の大きさによって、1回の主走査移動では全ての線パターン1を描ききれない場合、図5で示すようにインクジェットヘッド10と、被描画基板22の間を相対的に副走査方向Xに移動させ、図5の破線で囲った残りの線パターン1を形成する。
【0070】
その際、その主走査間での継目に当る線パターン1(図5中のBで示す部分)は、インクの濡れ広がりを左右する溶媒雰囲気の濃度差により、線パターン1(図5中のBで示す部分)の幅方向への濡れ広がり量が中央部の線パターン1よりも少なくなる傾向にある。すなわち、他の線幅より細くなることとなる。
【0071】
そのため、次の主走査移動との継目に当る最も端の線パターン1(図5中のBで示す部分)は、図5中のAで示すように、次に主走査側のエッジ部3を少なくとも残して描画する。これによって、最も次主走査側の線間2(図5中のCで示す部分)はその周囲に塗布パターンが存在するため、溶媒雰囲気濃度差が少なくなるため、濡れ広がりによる線幅を全ての線パターン1で同一化できる。
【0072】
さらに、図4中のDで示すように、隣接主走査でオーバーラップして描画する部分については、その塗布量が2回の主走査移動による合計で所定量となるように、概ね所定量の1/2ずつとして各主走査移動時の吐出量を調整する。
【0073】
つまり、本発明の液体描画方法は、ノズル分別工程と吐出量調整工程と線パターン形成工程とを有する。
【0074】
上記ノズル分別工程は、複数のノズル11を、各線パターン1のエッジ部3を形成する第1のノズル群と、この第1のノズル群以外の第2のノズル群とに分別する。または、ノズル分別工程は、複数のノズル11を、各線パターン1のエッジ部3を形成する第1のノズル群と、各線パターン1の中央部4を形成する第3のノズル群と、この第1と第3のノズル群以外の第4のノズル群とに分別する。
【0075】
上記吐出量調整工程は、分別されたノズル群毎に液体の吐出量を調整する。上記線パターン形成工程は、ノズル11から調整された吐出量の液体を吐出して基板22上に複数本の線パターン1を形成する。
【0076】
また、上記液体描画方法では、ノズル11の1回の主走査方向への吐出移動状態で、上記ノズル分別工程において、複数のノズル11を第1のノズル群と第2のノズル群とに分別した場合、主走査方向への移動において、第1のノズル群からの吐出量を、第2のノズル群からの吐出量と異なるように調整する。または、上記ノズル分別工程において、複数のノズル11を第1のノズル群と第3のノズル群と第4のノズル群とに分別した場合、主走査方向への移動において、第3のノズル群からの吐出量を、第4のノズル群からの吐出量と異なるように調整する。
【0077】
また、上記液体描画方法では、ノズル11の1回の主走査方向への吐出移動状態で、基板22上の副走査方向の両端の線パターン1を描くノズル11を除いて、主走査方向への移動において一方向の最も外側で吐出するノズル11は、ノズル分別工程において複数のノズル11を第1のノズル群と第2のノズル群とに分別した場合、第2のノズル群に含まれる。または、主走査方向への移動において一方向の最も外側で吐出するノズル11は、ノズル分別工程において複数のノズル11を第1のノズル群と第3のノズル群と第4のノズル群とに分別した場合、第3のノズル群または第4のノズル群に含まれる。
【0078】
次に、図6Aと図6Bを用いて、同一線パターン1を2回の主走査移動で描画する描画方法について説明する。つまり、上記インクジェット描画装置20にて、ノズル11を基板22に対して相対的に主走査方向に2回移動しつつノズル11から液体を吐出すると共に、ノズル11を基板22に対して相対的に副走査方向に1回移動しつつノズル11から液体を吐出しないで、基板22上に同一の線パターン1を形成する。
【0079】
図6Aと図6Bは、同一の線パターン1を2回の主走査吐出移動で、分割して描画した状態を示す。2回の主走査移動については、その走査方向が同じ場合と相反する往復路の双方向の場合とがある。本発明では、いずれの場合も可能であるが、双方向とした場合を説明する。
【0080】
図6Aは、1回目の主走査方向として往路での描画パターンを示す。一つの線パターン1をエッジ部3、中央部4、その以外の残り部5に領域を分類する。各領域に割当てられたノズル11は、図4、図5で示した1回の主走査方向の場合と同様に、それぞれのノズル11からの塗布量を膜厚が幅方向で均一化できるように割り当てる。
【0081】
同様に、図6Bで示す2回目の主走査方向としての復路での描画パターンについても、各々分割された領域に割当てられたノズル11からの塗布量を設定する。往路と復路のそれぞれの塗布パターンは、その幅と塗布量が極力同じとなるように、往路と復路のエッジ部3、中央部4、その以外の残り部5に割当てるノズル数がそれぞれ同数となるようにする。さらに、その割当てられたノズル11からの塗布量も同量となるように調整する。
【0082】
そして、中央部4については、往路と復路で描画領域が重なるようにノズル群を選択し、往路と復路の間で裂け目となる未塗布部の発生を抑える。なお、この中央部4の塗布量については、往復路で所定量となるように、概ね所定量の1/2ずつを往路と復路にそれぞれ割当てる。ただし、前述したように線パターン1の中央部4の膜厚を減らす場合においては、1/2以下の塗布量に調整し、膜厚を減少させる。
【0083】
一方、前述のように膜厚が所定値に納まるようにノズル11からの塗布量を調整しても、線パターン1の中央部では、往路と復路の繋ぎ目部分で裂け目となる未塗布部分が発生しなくても、線パターン1の長手方向の両端部では、溶媒雰囲気が少ないことが影響して、塗布したインクの濡れ広がりが少なく、その結果部分的にではあるが、裂け目となる島抜け状の未塗布部が発生する場合がある。
【0084】
これについては、所定吐出量を増やすことで対応できるものの、あまり多くの塗布量を設定した場合は、線パターン1を結晶太陽電池の拡散マスク用途として用いた場合などでは、塗布した線パターン1を焼成する際に、厚い部分ではクラックが発生する問題が生じた。そのため、一定の膜厚を実現する塗布量を設定し、線パターン1の全体で裂け目が発生しないようにするためには、線パターン1の長手方向の両端から所定区間、往路と復路でともに設定した中央部4について、塗布量を増やすことで、未塗布部を無くすように、塗布量を調整する。
【0085】
以上のように、2回の主走査移動で同一の線パターン1を描画する場合においても、基板22の全面を描画する場合は、図4と図5で説明した場合と同様に、線パターン1の繋ぎ目部分で、溶媒雰囲気濃度の差をなくし、かつ繋ぎ目部分で線パターン1に裂け目となる未塗布部が生じないように、オーバーラップ部を設けた繋ぎ目部分の線パターン1を生成し、被描画基板22全面に膜厚を均一化し、等間隔で等幅の線パターン1を多数形成する。
【0086】
つまり、上記液体描画方法では、ノズル11の1回の副走査方向への非吐出移動と2回の主走査方向への吐出移動状態で、上記ノズル分別工程において、複数のノズル11を第1のノズル群と第2のノズル群とに分別した場合、主走査方向への1回目の移動における各ノズル群のノズル数と、主走査方向への2回目の移動における各ノズル群のノズル数との差を1以下とし、かつ、主走査方向への各回の移動において、第1のノズル群からの吐出量を、第2のノズル群からの吐出量と異なるように調整する。または、上記ノズル分別工程において、複数のノズル11を第1のノズル群と第3のノズル群と第4のノズル群とに分別した場合、主走査方向への1回目の移動における各ノズル群のノズル数と、主走査方向への2回目の移動における各ノズル群のノズル数との差を1以下とし、かつ、主走査方向への1回目の移動における第3のノズル群から基板22上への吐出領域と主走査方向への2回目の移動における第3のノズル群から基板22上への吐出領域とが重なると共に、主走査方向への各回の移動において、第3のノズル群からの吐出量を、第4のノズル群からの吐出量の1/2以下となるように調整する。
【0087】
また、上記液体描画方法では、ノズル11の1回の副走査方向への非吐出移動と2回の主走査方向への吐出移動状態で、基板22上の副走査方向の両端の線パターン1を描くノズル11を除いて、主走査方向への各回の移動において一方向の最も外側で吐出するノズル11は、ノズル分別工程において複数のノズル11を第1のノズル群と第2のノズル群とに分別した場合、第2のノズル群に含まれる。または、主走査方向への各回の移動において一方向の最も外側で吐出するノズル11は、ノズル分別工程において複数のノズル11を第1のノズル群と第3のノズル群と第4のノズル群とに分別した場合、第3のノズル群または第4のノズル群に含まれる。
【0088】
また、上記液体描画方法では、上記ノズル分別工程において、複数のノズル11を第1のノズル群と第3のノズル群と第4のノズル群とに分別した場合、上記吐出量調整工程において、各線パターン1の長手方向の両端部から内側の指定区間における第3のノズル群からの吐出量を、各線パターン1の指定区間以外の他区間における第3のノズル群からの吐出量よりも、多くする。
【0089】
上記構成の液体描画装置としてのインクジェット描画装置20によれば、上記ノズル分別部31は、上記複数のノズル11を所定のノズル群に分別し、上記吐出量調整部32は、上記ノズル分別部31により分別されたノズル群毎に液体の吐出量を調整し、上記制御部30は、上記ノズル11を上記基板22に対して相対的に主走査方向に移動しつつ上記吐出量調整部32により調整された吐出量の液体を上記ノズル11から上記基板22上に吐出するので、例えば、膜厚が薄くなる傾向にある線パターン1のエッジ部3では、液体の吐出量を増やして膜厚の増加を図る一方、膜厚が厚くなる傾向にある線パターン1の中央部4では、液体の吐出量を減らして膜厚の減少を図って、線パターン1の幅方向での膜厚の均一化を実現できる。
【0090】
つまり、従来では、個々のノズルに対してその吐出量を調整していたが、本発明では、線パターンの領域に応じてノズルを分類し、その分類したノズルに対して吐出量を調整している。したがって、例えば、ノズルを基板22に対して主走査方向(上記他方向)に複数回移動することによって基板の全体に多くの線パターンを描く場合、同じノズルでも異なる分類となる場合がある。異なる分類とされた同一のノズルは、それぞれの分類に応じた吐出量で線パターンを描く。
【0091】
本発明によって描画した線パターン1の液滴dは、図7Aで示すように、中央部が厚く、端部が薄くなる蒲鉾状の線幅方向の膜厚になるところを、図7Bで示すように、薄膜となる線パターン1のエッジ部3の膜厚を上げ、かつ厚膜となる線パターン1の中央部4の膜厚を下げることで、線パターン1の幅方向の膜厚の一定化を図ることができる。さらに、図7Cに示すように、図6Aと図6Bにより描画された線パターン1では、選択したノズル群が重なり合うように塗布することで、二つの分割した線パターン(1回目の液滴d1と2回目の液滴d2)の繋ぎ目部分で発生し易い島抜け状の未塗布部の発生を無くすことができる。
【0092】
上記構成の液体描画方法によれば、上記複数のノズル11を所定のノズル群に分別し、この分別されたノズル群毎に液体の吐出量を調整してから、このノズル11から調整された吐出量の液体を吐出して基板22上に複数本の線パターン1を形成するので、例えば、膜厚が薄くなる傾向にある線パターン1のエッジ部3では、液体の吐出量を増やして膜厚の増加を図る一方、膜厚が厚くなる傾向にある線パターン1の中央部4では、液体の吐出量を減らして膜厚の減少を図って、線パターン1の幅方向での膜厚の均一化を実現できる。
【0093】
上記構成の液体描画方法によれば、上記主走査方向への1回目の移動における各ノズル群のノズル数と、上記主走査方向への2回目の移動における各ノズル群のノズル数との差を1以下としているので、2回に分けて1つの線パターン1を描画する際に、各ノズル11が線パターン1の幅方向で線パターン1の端から中央に向かって対称に同量のインクを塗布することになる。この結果、膜厚についても線幅方向に偏りが少なくなり膜厚の均一化に繋がる。なお、望ましくは、各ノズル数は同数となる方が好適である。ただし、奇数のノズル数で線パターンを形成する場合、線パターンの中央部を形成する第3のノズル群の数によっては、どうしても第4のノズル群を同数に設定できない。この場合、第4のノズル群についてはノズル差1として各ノズル群を決定する。
【0094】
また、上記ノズル分別工程において、上記複数のノズル11を上記第1のノズル群と上記第2のノズル群とに分別した場合、上記主走査方向への各回の移動において、上記第1のノズル群からの吐出量を、上記第2のノズル群からの吐出量と異なるように調整するので、薄膜となる線パターン1のエッジ部3の膜厚を増加し、厚膜となる線パターン1の中央部4の膜厚を低減して、線パターン1の幅方向の膜厚の一定化を図ることができる。
【0095】
また、上記ノズル分別工程において、上記複数のノズル11を上記第1のノズル群と上記第3のノズル群と上記第4のノズル群とに分別した場合、上記主走査方向への1回目の移動における上記第3のノズル群から上記基板22上への吐出領域と上記主走査方向への2回目の移動における上記第3のノズル群から上記基板22上への吐出領域とが重なるので、2つの分割した線パターン1の繋ぎ目部分で発生し易い島抜け状の未塗布部の発生を無くすことができる。また、上記主走査方向への各回の移動において、上記第3のノズル群からの吐出量を、上記第4のノズル群からの吐出量の1/2以下となるように調整するので、薄膜となる線パターン1のエッジ部3の膜厚を増加し、厚膜となる線パターン1の中央部4の膜厚を低減して、線パターン1の幅方向の膜厚の一定化を図ることができる。
【0096】
上記構成の液体描画方法によれば、上記主走査方向への各回の移動において上記一方向の最も外側で吐出する上記ノズル11は、上記第2のノズル群、または、上記第3のノズル群または上記第4のノズル群に含まれるので、ヘッド全体での印字幅以上に多くの線パターン1を描画する際、最も外側の線パターン1において、その線幅を周囲の溶媒雰囲気を減らさないように形成できる。
【0097】
この結果、従来2回の主走査方向の吐出移動で描画した中央部4の線パターン1と端の線パターン1では塗布したインクによる溶媒雰囲気の濃度差によって生じていた線の濡れ広がり差により線幅のバラツキを無くし、各線幅の均一化を実現できる。さらに、同じ吐出量で膜厚を他の線パターン1と同等にすることができる。
【0098】
上記構成の液体描画方法によれば、上記吐出量調整工程において、上記各線パターン1の長手方向の両端部から内側の指定区間における上記第3のノズル群からの吐出量を、上記各線パターン1の上記指定区間以外の他区間における上記第3のノズル群からの吐出量よりも、多くするので、主走査方向への2回の移動によりノズル11からの吐出領域をオーバーラップさせる場合、各線パターン1の始点と終点となる長手方向両端部では、溶媒雰囲気濃度が低いため、濡れ広がりが長手方向中央部4と比べて少なくなるが、各線パターン1の両端部でオーバーラップする繋ぎ目部分の液量を増やすことで、この繋ぎ目部分において、インクがカバーできていない島抜け状態の発生を解消できる。
【0099】
実際に、この液増量については、オーバーラップしているノズル11に限定し、しかも短い区間の領域に限定し、さらに増量は30%以内程度に抑えることで島抜けの問題は解消できる。限定した領域での吐出量を増加するため、インクの濡れ広がりによって、その周囲での膜厚は平均化されることもあり、吐出量の増加に伴う膜厚増の影響は軽微であった。
【0100】
上記構成の液体描画方法によれば、上記ノズル分別工程において、上記複数のノズル11を上記第1のノズル群と上記第2のノズル群とに分別した場合、上記主走査方向への移動において、上記第1のノズル群からの吐出量を、上記第2のノズル群からの吐出量と異なるように調整するので、薄膜となる線パターン1のエッジ部3の膜厚を増加し、厚膜となる線パターン1の中央部4の膜厚を低減して、線パターン1の幅方向の膜厚の一定化を図ることができる。
【0101】
また、上記ノズル分別工程において、上記複数のノズル11を上記第1のノズル群と上記第3のノズル群と上記第4のノズル群とに分別した場合、上記主走査方向への移動において、上記第3のノズル群からの吐出量を、上記第4のノズル群からの吐出量と異なるように調整するので、薄膜となる線パターン1のエッジ部3の膜厚を増加し、厚膜となる線パターン1の中央部4の膜厚を低減して、線パターン1の幅方向の膜厚の一定化を図ることができる。
【0102】
上記構成の液体描画方法によれば、上記主走査方向への移動において上記一方向の最も外側で吐出する上記ノズル11は、上記第2のノズル群、または、上記第3のノズル群または上記第4のノズル群に含まれるので、ヘッド全体での印字幅以上に多くの線パターン1を描画する際、最も外側の線パターン1において、その線幅を周囲の溶媒雰囲気を減らさないように形成できる。
【0103】
この結果、従来中央部4の線パターン1と端の線パターン1では塗布したインクによる溶媒雰囲気の濃度差によって生じていた線の濡れ広がり差により線幅のバラツキを無くし、各線幅の均一化を実現できる。さらに、同じ吐出量で膜厚を他の線パターン1と同等にすることができる。
【0104】
また、この発明の太陽電池用機能性マスクでは、上記液体描画装置としてのインクジェット描画装置20に、上記基板22としての結晶Si基板を、この基板のスライシングカットされた方向を上記主走査方向(Y方向)に一致させるように、配置し、上記装置20を用いて、上記基板22上に上記液体を塗布して上記線パターン1を形成することにより、作製される。
【0105】
上記構成の太陽電池用機能性マスクによれば、上記装置20を用いて作製されているので、例えば、等幅かつ等間隔の複数の線パターン1を、結晶Si基板上のスライシングカットされた方向に沿って塗布して形成することで、太陽電池のP+やN+拡散層用の機能性マスクを実現することができる。
【0106】
また、Si基板を切り出す際にできたスライシングカットされた方向と主走査方向(=吐出方向)を合わせるように、基板を装置20上に配置することは、基板20上に生じるスライシングカット痕によって線パターン1の直線性を阻害されることを防ぐことができ、線間や線幅などについて精度よく線パターン1を形成することができる。
【0107】
なお、この発明は上述の実施形態に限定されない。例えば、複数のノズルを、4つ以上のノズル群に分別するようにしてもよい。また、同一の線パターンを、3回以上の主走査により形成するようにしてもよい。また、液体描画装置として、インクジェット描画装置以外の装置を用いてもよい。
【0108】
また、本実施形態において、本発明の液体描画方法は、ノズル分別工程と吐出量調整工程と線パターン形成工程を有し、液体描画装置としては、ノズル分別部31、吐出量調整部32、制御部30を有している。そのため、線幅方向に一定の膜厚となる線パターン1を形成することに好適であるが、さらに、幅方向での膜厚調整が容易となるため、端は厚くて中央が薄い場合や、その逆の端が薄くて中央が厚い場合などの線幅方向での膜厚調整も可能である。
【符号の説明】
【0109】
1 線パターン
2 線間
3 (線パターンの)エッジ部
4 (線パターンの)中央部
5 (線パターンのエッジ部および中央部以外の)残り部
10 インクジェットヘッド
11 ノズル
20 インクジェット描画装置
21 基体
22 被描画基板
23 基板設置台
24 スライド機構
25 ヘッドユニット
26 メンテナンス機構
27 ヘッドスライド機構
30 制御部
31 ノズル分別部
32 吐出量調整部
X 副走査方向
Y 主走査方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に並んだ複数のノズルから基板上に液体を吐出して、上記基板上に、上記一方向に交差する他方向に延在する線パターンを、複数本、上記一方向に間隔をあけて並べて形成する液体描画方法であって、
上記複数のノズルを、上記各線パターンの幅方向の端に位置するエッジ部を形成する第1のノズル群と、この第1のノズル群以外の第2のノズル群とに分別し、または、
上記複数のノズルを、上記各線パターンの幅方向の端に位置するエッジ部を形成する第1のノズル群と、上記各線パターンの幅方向の中央に位置する中央部を形成する第3のノズル群と、この第1と第3のノズル群以外の第4のノズル群とに分別するノズル分別工程と、
上記分別されたノズル群毎に液体の吐出量を調整する吐出量調整工程と、
上記ノズルから上記調整された吐出量の液体を吐出して上記基板上に上記複数本の線パターンを形成する工程と
を備えることを特徴とする液体描画方法。
【請求項2】
請求項1に記載の液体描画方法において、
上記ノズルを上記基板に対して相対的に上記他方向である主走査方向に2回移動しつつ上記ノズルから液体を吐出すると共に、上記ノズルを上記基板に対して相対的に上記主走査方向に交差する副走査方向に1回移動しつつ上記ノズルから液体を吐出しないで、上記基板上に同一の線パターンを形成するとき、
上記ノズル分別工程において、上記複数のノズルを上記第1のノズル群と上記第2のノズル群とに分別した場合、
上記主走査方向への1回目の移動における各ノズル群のノズル数と、上記主走査方向への2回目の移動における各ノズル群のノズル数との差を1以下とし、かつ、
上記主走査方向への各回の移動において、上記第1のノズル群からの吐出量を、上記第2のノズル群からの吐出量と異なるように調整する一方、
上記ノズル分別工程において、上記複数のノズルを上記第1のノズル群と上記第3のノズル群と上記第4のノズル群とに分別した場合、
上記主走査方向への1回目の移動における各ノズル群のノズル数と、上記主走査方向への2回目の移動における各ノズル群のノズル数との差を1以下とし、かつ、
上記主走査方向への1回目の移動における上記第3のノズル群から上記基板上への吐出領域と上記主走査方向への2回目の移動における上記第3のノズル群から上記基板上への吐出領域とが重なると共に、
上記主走査方向への各回の移動において、上記第3のノズル群からの吐出量を、上記第4のノズル群からの吐出量の1/2以下となるように調整することを特徴とする液体描画方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の液体描画方法において、
上記ノズルを上記基板に対して相対的に上記他方向である主走査方向に2回移動しつつ上記ノズルから液体を吐出すると共に、上記ノズルを上記基板に対して相対的に上記主走査方向に交差する副走査方向に1回移動しつつ上記ノズルから液体を吐出しないで、上記基板上に同一の線パターンを形成するとき、
上記基板上の上記副走査方向の両端の線パターンを描く上記ノズルを除いて、上記主走査方向への各回の移動において上記一方向の最も外側で吐出する上記ノズルは、
上記ノズル分別工程において上記複数のノズルを上記第1のノズル群と上記第2のノズル群とに分別した場合、上記第2のノズル群に含まれる一方、
上記ノズル分別工程において上記複数のノズルを上記第1のノズル群と上記第3のノズル群と上記第4のノズル群とに分別した場合、上記第3のノズル群または上記第4のノズル群に含まれることを特徴とする液体描画方法。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一つに記載の液体描画方法において、
上記ノズル分別工程において、上記複数のノズルを上記第1のノズル群と上記第3のノズル群と上記第4のノズル群とに分別した場合、
上記吐出量調整工程において、上記各線パターンの長手方向の両端部から内側の指定区間における上記第3のノズル群からの吐出量を、上記各線パターンの上記指定区間以外の他区間における上記第3のノズル群からの吐出量よりも、多くすることを特徴とする液体描画方法。
【請求項5】
請求項1に記載の液体描画方法において、
上記ノズルを上記基板に対して相対的に上記他方向である主走査方向に1回移動しつつ上記ノズルから液体を吐出して、上記基板上に同一の線パターンを形成するとき、
上記ノズル分別工程において、上記複数のノズルを上記第1のノズル群と上記第2のノズル群とに分別した場合、
上記主走査方向への移動において、上記第1のノズル群からの吐出量を、上記第2のノズル群からの吐出量と異なるように調整する一方、
上記ノズル分別工程において、上記複数のノズルを上記第1のノズル群と上記第3のノズル群と上記第4のノズル群とに分別した場合、
上記主走査方向への移動において、上記第3のノズル群からの吐出量を、上記第4のノズル群からの吐出量と異なるように調整することを特徴とする液体描画方法。
【請求項6】
請求項1または5に記載の液体描画方法において、
上記ノズルを上記基板に対して相対的に上記他方向である主走査方向に1回移動しつつ上記ノズルから液体を吐出して、上記基板上に同一の線パターンを形成するとき、
上記基板上の上記副走査方向の両端の線パターンを描く上記ノズルを除いて、上記主走査方向への移動において上記一方向の最も外側で吐出する上記ノズルは、
上記ノズル分別工程において上記複数のノズルを上記第1のノズル群と上記第2のノズル群とに分別した場合、上記第2のノズル群に含まれる一方、
上記ノズル分別工程において上記複数のノズルを上記第1のノズル群と上記第3のノズル群と上記第4のノズル群とに分別した場合、上記第3のノズル群または上記第4のノズル群に含まれることを特徴とする液体描画方法。
【請求項7】
一方向に並んだ複数のノズルから基板上に液体を吐出して、上記基板上に、上記一方向に交差する他方向に延在する線パターンを、複数本、上記一方向に間隔をあけて並べて形成する液体描画装置であって、
上記複数のノズルを、上記各線パターンの幅方向の端に位置するエッジ部を形成する第1のノズル群と、この第1のノズル群以外の第2のノズル群とに分別し、または、
上記複数のノズルを、上記各線パターンの幅方向の端に位置するエッジ部を形成する第1のノズル群と、上記各線パターンの幅方向の中央に位置する中央部を形成する第3のノズル群と、この第1と第3のノズル群以外の第4のノズル群とに分別するノズル分別部と、
上記ノズル分別部により分別されたノズル群毎に、液体の吐出量を調整する吐出量調整部と、
上記ノズルを上記基板に対して相対的に上記他方向である主走査方向に移動しつつ、上記吐出量調整部により調整された吐出量の液体を上記ノズルから上記基板上に吐出する制御部と
を備えることを特徴とする液体描画装置。
【請求項8】
請求項7に記載の液体描画装置に、上記基板としての結晶Si基板を、この基板のスライシングカットされた方向を上記主走査方向に一致させるように、配置し、上記液体描画装置を用いて、上記基板上に上記液体を塗布して上記線パターンを形成することにより、作製されることを特徴とする太陽電池用機能性マスク。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−81381(P2012−81381A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227405(P2010−227405)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】