説明

液化ガス吸蔵体及びこれを備えたガス噴射器

【課題】埃飛ばしスプレーなどと呼ばるガススプレー及びこれに用いる液化ガス吸蔵体に関し、噴射ガスとしてジメチルエーテルやジメチルエーテルを含む混合ガスを用いたガススプレーに当該液化ガスの吸収材として古紙粉を用いたときの、噴射ガスの着色を防止する。
【解決手段】ガス吸蔵体には、古紙粉に活性炭ないし活性白土が分散ないし混入されている。活性炭ないし活性白土は、透液性シートで包まれた古紙粉の表層に面状に分散するか、古紙粉と均一に混合するのが好ましい。この発明のガススプレーは、上記構造の液化ガス吸蔵体と、液化したジメチルエーテルとを片手で把持及び噴射操作可能なノズル付きの容器に封入することにより得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エアダスター、エアスプレー、埃飛ばしスプレーなどと呼ばれているガス噴射器及び当該噴射器で用いる液化ガス吸蔵体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エアダスターや埃飛ばしスプレーと呼ばれているガス噴射器は、片手で持てるノズル付きの容器(缶)に代替フロンやジメチルエーテルなどの液化ガスを封入したもので、容器の上に設けられているボタンを押すとノズルを開き、封入された液化ガスが気化してノズルから噴射される。この種のガス噴射器(以下、「ガススプレー」と言う)は、主としてパソコンのキーボードや精密機器の機構部分に付着した埃を吹き飛ばして清掃するために用いられている。
【0003】
ガススプレーのガスとしては、代替フロンが多く用いられているが、代替フロンは、地球温暖化係数が高く、地球環境に悪影響を与える。そこでこれらの欠点のないジメチルエーテルを用いることが強く求められている。
【0004】
一方、ガススプレーでガスを噴射するとき、容器内の液化ガスは激しく気化して、いわゆる沸騰状態となっている。そのため、液化ガスを単に容器に封入しただけではガスに混じって液滴が噴射され、また、容器を横にしたり逆さにすると、ノズルから液が噴出し、液化ガスが無駄になるばかりでなく、噴出した液が気化する際の気化熱で低温障害(例えば凍傷)が起る危険がある。そこで容器内に液化ガスを吸蔵ないし吸着する吸収材を入れ、液化ガスをこの吸収材に吸蔵した(しみ込ませた)状態で容器に封入するようにしている。
【0005】
この吸収材としては、主に粉砕した紙パルプが用いられている。代替フロンを使用するガススプレーでは、通常、新聞紙を主成分とする古紙を粉砕して吸収材としているが、ジメチルエーテルを使用するガススプレーでは、新しいパルプを粉砕した吸収材が用いられている。古紙を粉砕した吸収材(古紙粉)には、印刷インクやこれに添加された樹脂分が含まれるため、新しいパルプを粉砕した吸収材に比べて液化ガスの吸収率が若干低下する。従来、ジメチルエーテルを用いたガススプレーは、新しいパルプを粉砕して得られる吸収材を用いていた。
【0006】
なお、粉砕した古紙やパルプからなる吸収材は、そのままではガスと共に噴射されたり、ノズルを詰まらせたりするので、不織布で包んで密閉すると共に容器形状に合わせた形状にして、一般には円筒形の金属缶からなる容器に収納している。不織布としては、吸収材を包んで密閉するときに熱融着が可能な、ポリエチレンやポリエステル繊維の不織布が用いられている。この明細書では、吸収材を飛散しないように通気性のあるシートで包んで容器形状に合わせた形状としたものを、吸蔵体と言う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭59‐105448号公報
【特許文献2】特開平11‐197560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
地球温暖化を防止するために、それらの係数が極めて小さいジメチルエーテルをガススプレーの液化ガスとして用いることが求められる。一方、ガススプレーは、使い捨て製品であり、その中に封入されている吸収材は再利用されないので、リサイクル品である古紙粉を原料として用いるのが資源の浪費を防止し、廃棄物を減少させる上で好ましい。
【0009】
上記の点に鑑み、この発明の発明者等は、粉砕した新聞紙、広告用ちらし、上質紙や中質紙やコピー用紙などのいわゆる印刷用紙系の古紙等を粉砕した古紙粉からなる吸蔵体にジメチルエーテルを吸蔵したガススプレーを試作した。ところが液化したジメチルエーテルに新聞紙を粉砕した古紙粉を浸すと、ジメチルエーテルに黄色い色が付き、これを噴射したガスも黄色く着色するという問題が見いだされた。印刷されていない古紙を原料とする古紙粉の場合も、新聞古紙ほどではないが、多少の着色が見られる。
【0010】
一般的にエーテルは、有機質の良い溶剤であるから、この着色は、印刷インクないしこれに含まれる有機質がジメチルエーテルに溶出したことが原因であると考えられる。紙にはインク以外の成分として、インクのにじみを防止するサイズ剤や紙の平滑度、白色度、不透明度等、紙の特性を向上させる添加物として、填料、染料、紙力増強剤や歩留り剤といったものが含まれている。また、紙の原料であるパルプには、紙を変色、劣化させるリグニンや樹脂なども含まれる。こういったものの紙に対する割合によって、ジメチルエーテルによる着色の度合いの差がでてくるものと考えられる。ガススプレーとしては、着色したガスが噴射されることは、問題であり、着色原因物質(着色の原因となっている物質)が噴射対象物に付着することも考えられる。
【0011】
この発明は、この問題を解決するためになされたもので、噴射ガスとしてジメチルエーテルやジメチルエーテルを含む混合ガスを用いたガススプレーに、当該液化ガスの吸収材として古紙粉を用いたときの、噴射ガスの着色を防止する技術手段を得ることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明のガススプレー用の液化ガス吸蔵体1(1a〜1c)は、粉砕した新聞紙、印刷済又は印刷されていない上質紙や中質紙、コピー用紙、クラフト紙などを粉砕した古紙粉11を当該古紙粉の散逸を防止する透液性シート14で被覆した液化ガス吸蔵体において、当該ガス吸蔵体1には、古紙粉11に活性炭2ないし活性白土が分散ないし混入されていることを特徴とするものである。
【0013】
透液性シート14は、熱可塑性繊維を含む不織布とするのが好ましい。活性炭2ないし活性白土は、透液性シート14で包まれた古紙粉(古紙粉の集合体)11の表層に面状に分散するか、古紙粉と均一に混合するのが好ましい。
【0014】
古紙粉11に対する活性炭2の必要量は、古紙粉11の原料となる古紙の種類によって違いがあるが、好適には0.5〜15重量%、特に1〜10重量%とするのが好ましい。例えば、新聞古紙を主成分とする場合、活性炭2の含有量は、1%以上でないと期待する脱色効果は得られない。また、印刷会社などから出る上質古紙で、紙の端の余分な部分をカットして出る端紙や印刷ミス、余剰紙を主成分とする場合、活性炭の含有量は0.5%でも脱色できる。同様に事業所、会社などで使用されている事務伝票や文書、書類として印刷されたコピー用紙などを主成分とする場合でも、0.5%〜1%の活性炭含有量で脱色効果を得ることができる。その他、カタログやパンフレット、広告ちらしといったカラー印刷されたものでも同等の活性炭含有量で脱色効果が得られる。活性白土は、活性炭の約10倍の量を混入しないと同等の脱色効果は得られない。活性炭2や活性白土の含有量は、これより多くても良いが、少ないと所望の脱色効果を得ることができない。
【0015】
この発明のガススプレー4(4a〜4c)は、上記構造の液化ガス吸蔵体1(1a〜1c)と、液化したジメチルエーテルとを片手で把持及び噴射操作可能なノズル42付きの容器41に封入することにより得られる。
【0016】
活性炭2ないし活性白土は、古紙粉11を包む透液性シート(一般的には不織布)14を通過しない大きさの粒度のものを用い、古紙粉11及び活性炭2ないし活性白土を包み込んで密閉した上、ガススプレー4の容器41の形状に合わせた形状にして吸蔵体1とする。これをジメチルエーテルを噴射ガスとするガススプレーの容器41内に収納してジメチルエーテルを吸収することにより、ジメチルエーテル内に溶出した着色原因物質を古紙粉に混入した活性炭2や活性白土に吸着して除去する。
【0017】
活性炭2ないし活性白土は、古紙粉と別の袋18に入れて活性炭ないし活性白土を含まない吸蔵体1dと共に容器41内に収納することにより、この発明のガススプレー4dとすることもできる。この場合、活性炭2ないし活性白土を入れた袋18は、活性炭ないし活性白土を含まない吸蔵体1dを包み又は覆うように設けて、当該吸蔵体1dに吸収される液化ジメチルエーテルや気化したジメチルエーテルが当該袋内18の活性炭2ないし活性白土を通過してゆくようにする。
【発明の効果】
【0018】
この発明により、ジメチルエーテルないしジメチルエーテルを含む混合ガスの液化ガスと、当該液化ガスの吸収材として粉砕した新聞紙を主体とする古紙粉とを、ノズル付きの容器に封入してなるガススプレーにおいて、古紙粉からジメチルエーテルに溶出した着色原因物質がガスと共に噴射されるのを防止することができ、容器から噴射されるガスが着色するのを防止ないし実用上差し支えない程度に低減することができる。
【0019】
この発明により、噴射ガスとしてジメチルエーテルを用い、容器内の液化ジメチルエーテルの吸収材として粉砕した古紙を原料とする吸収材を用いたガススプレーにおける噴射ガスの着色及び当該ガスに含まれる着色原因物質によって噴射対象物やその周辺の室内の空気が汚染されるのを防止することができる。
【0020】
従って、この発明により、噴射ガスとしてジメチルエーテルを用い、その吸収材として粉砕した新聞古紙、上質紙や中質紙、コピー用紙などのいわゆる印刷用紙系古紙、クラフト紙などの包装用紙系古紙などを用いたガススプレーを実用化することができ、オゾン層破壊や地球温暖化の原因物質を含まず、かつ古紙のリサイクルによって資源の保護や廃棄物の低減を図ることが可能なガススプレーを提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1及び第2実施例の吸蔵体の横断面図
【図2】吸蔵体の製造途中の状態を示す斜視図
【図3】吸蔵体の製造方法の一例を示す説明図
【図4】第1及び第2実施例のガススプレーの縦断面図
【図5】第3実施例のガススプレーの縦断面図
【図6】第4実施例のガススプレーの縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照してこの発明の実施形態を説明する。図1は、この発明の液化ガス吸蔵体を模式的に示した横断面図で、図1(a)は第1実施例の横断面図、図1(b)は第2実施例の横断面図である。吸蔵体1(1a、1b)は、不織布14で包んだ座布団状の古紙粉(古紙粉の集合体)11を円筒状に折り曲げたもので、顆粒状の活性炭2が、第1実施例のものではその表層部に、第2実施例のものではその中間部に、面状に分散させた状態で混入されている。
【0023】
上記の吸蔵体1は、図3に示すように、ベルトコンベア34で搬送される搬送シート16の上に古紙粉11を供給31して古紙粉11の第1の堆積層12を形成し、他の搬送シート17の上に同様に古紙粉11を供給32して形成した第2の堆積層13を反転しながら重ね合わせることによって、細長い古紙粉の堆積層12、13を形成し、この積層体を順次切断して不織布14で包んでその周辺15を熱融着により密閉して座布団状(図2)とし、これを一方向に屈曲して、その屈曲端となる周辺15部分の不織布相互を止着(溶着、縫着、接着など)することにより、全体形状を容器形状に合わせた略円筒形の吸蔵体1としたものである。
【0024】
ここで、第1実施例の吸蔵体1aは、図3のAの位置で下側の搬送シート16の上に活性炭2や活性白土を散布33してその上に2層の古紙粉の堆積層12、13を形成するか、又は図3のCの位置で上側の搬送シート17の上に活性炭2や活性白土を散布して2層の堆積層12、13と共に不織布で包み込むことにより形成できる。また、第2実施例の吸蔵体1bは、図3のBの位置で第1の堆積層12の上に活性炭2や活性白土を散布し、細長い2層の堆積層12、13の間に活性炭2や活性白土を分散することにより形成できる。
【0025】
古紙粉11は、古新聞紙が約8〜9割で残りの約2〜1割が広告紙などの印刷用紙系古紙からなる古紙を粉砕したもので、噴射ガスとして代替フロンを用いたガススプレーに従来から一般的に使用されているものである。搬送シート16、17は、通気性及び柔軟性に富んだ薄いロール紙を用い、古紙粉11と共に不織布14に包み込まれている。不織布14は、ポリエチレン繊維とポリエステル繊維の混合繊維からなる不織布で、吸収材を包んだ後、その周囲ないし継ぎ目を熱融着して、活性炭2ないし活性白土を含む古紙粉11の層12、13を密封している。
【0026】
一般的に用いられるガススプレーの容器には、300mlの液化ガスが封入されている。この液化ガスを吸蔵するために容器内に入れられる古紙粉の量は70g程度であり、この場合の推奨される活性炭の量は、古紙粉の3重量%である約2g、活性白土を用いる場合には、約30gである。活性炭2及び活性白土は、古紙粉11を包んでいる不織布14の目を通過しない大きさのものを用いる必要があり、好ましい粒度は0.05mm〜3mmである。
【0027】
古紙粉11に混入する活性炭2が1重量%以下、あるいは活性白土の場合には10重量%以下になると、ジメチルエーテルに溶出した着色原因物質を十分に吸着することができない。そのため、ガスを噴射した噴射対象物に着色原因物質の付着による僅かなべとつき感が残ることがある。古紙粉に混入する活性炭や活性白土の量は、多いほど良いが、活性炭で15重量%、活性白土の場合には36重量%以上になると、活性炭や活性白土の量を多くしたことによる噴射ガスの改善効果は、殆ど得られなくなる。
【0028】
図4(a)、(b)は、図1(a)、(b)に示した吸蔵体1a、1bをそれぞれ収納したガススプレー4a、4bの一例を示す模式的な断面図で、41は上端を絞って小径とした円筒形の容器、42はその上端部に設けた噴射ノズル、43はノズル42を開く押しボタン、44は吸蔵体1の上端とノズル42との間に形成された空間である。吸蔵体1は、空間44の下方部分に容器41との間に隙間を生じない状態で収納され、液化ジメチルエーテルは、この吸蔵体1内の古紙粉11に吸収された状態で容器41内に封入されている。
【0029】
図5は、この発明の第3実施例のガススプレー4cの一例を示す模式的な断面図である。この第3実施例のガススプレーにおける吸蔵体1cは、古紙粉11に粉末状の活性炭2ないし活性白土を均一に分散したもので、搬送シート16、17の上に供給31、32される古紙粉11中に活性炭2ないし活性白土を予め混入しておくことにより、図2、3で説明したと同様な方法により、製造することができる。勿論、図3のA、B、Cの位置での活性炭ないし活性白土の散布は行わない。
【0030】
図6は、この発明の第4実施例のガススプレー4dの一例を示す模式的な断面図である。この第4実施例のガススプレーにおける吸蔵体1dには、活性炭ないし活性白土は含まれていない。活性炭2ないし活性白土は、別に製造した不織布の小袋18に封入されて、容器41に収納した吸蔵体1dとその上の空間44を仕切るように吸蔵体1dの上に載置した状態で置かれている。
【0031】
液化ガスとしてジメチルエーテルを用いた上記実施例1〜4のガススプレーについて、噴射ガスの着色の程度を試験した結果は次の通りである。第1実施例の活性炭2を吸蔵体1aの表層に面状に分散したものは、1週間以内で完全に脱色でき、噴射ガスに黄色の着色は認められなかった。第2実施例の活性炭2を2層の古紙粉の堆積層12、13の間に挟み込むように入れたものは、活性炭と接触している部分ないしそれに近い部分の脱色はできるが、活性炭から離れた部分の脱色はできず、噴射ガスに薄い黄色の着色が残る。容器に液化ガスを封入後、2〜3週間経過後も結果は同じであった。
【0032】
第3実施例の粉末状の活性炭を吸蔵体内の吸収材に均一に混ぜ込んだものは、1週間以内で完全に脱色できる。なお、顆粒状の活性炭は、粒子が大きすぎて吸収材に均一に混ぜることが困難なため、第3実施例のものでは、粉末状の活性炭(粒子径30ミクロン)を使用している。第4実施例の活性炭を小袋に入れて吸蔵体の上に置いたものは、ある程度の脱色はできるが、スプレーする際の活性炭の小袋を通過する一瞬の時間では完全には脱色しきれず、薄い黄色の着色が残る。容器に液化ガスを封入後、2〜3週間経過後も結果は同じであった。
【0033】
以上の試験結果から、第1実施例のものと第3実施例のものが、第2実施例及び第4実施例のものより優れていることが分かる。しかし、上記の試験は、古紙粉11として、古新聞紙が約8〜9割で残りの約2〜1割が広告紙などの印刷済用紙を原料とした古紙粉を用いた場合のもので、印刷会社で出る印刷前の用紙の裁断くずを粉砕した古紙粉や製袋会社から損紙として発生するクラフト紙の裁断くずを粉砕した古紙粉、及びそのような古紙粉を多く含む吸収材を用いた場合には、第2実施例や第4実施例のものでも、着色は認められない。
【0034】
次に、新聞古紙粉、上質古紙粉からジメチルエーテルに溶出する着色原因物質が活性炭及び活性白土により除去されることを示す試験結果を示す。
[試験例1]
【0035】
中の様子を観察できる容量200mlのガラス製耐圧容器に新聞古紙粉砕物2gと顆粒状の活性炭0.06gを入れ、ジメチルエーテル100mlを充填して、液の着色状況を観察した。
【0036】
静置するとジメチルエーテルは徐々に黄色の着色を帯びてくるが、少し容器を振って活性炭とジメチルエーテルの接触機会を増やしてやると液の着色は薄くなる。再び静置すると液は徐々に黄色の着色を増してくるが、容器を振ると液の着色は、また薄くなる。これを数回繰り返すと、一旦は着色したジメチルエーテルは、最終的には活性炭により脱色されて透明になった。
[試験例2]
【0037】
上記の耐圧容器に上質古紙粉砕物2gと顆粒状の活性炭0.02gを入れ、ジメチルエーテル100mlを充填して、液の着色状況を観察した。
【0038】
数時間静置すると液は僅かに黄色の着色がみられたが、容器を振ると液の着色は消失し、透明になった。
[試験例3]
【0039】
上記の耐圧容器に新聞古紙粉砕物2gと顆粒状の活性白土0.6gを入れ、ジメチルエーテル100mlを充填して、液の着色状況を観察した。
【0040】
数時間静置するとジメチルエーテルは徐々に黄色の着色を帯びてくるが、容器を振ってジメチルエーテルと活性白土の接触機会を増やしてやると液の着色は徐々に消失し、透明になった。
[比較例1]
【0041】
上記の耐圧容器に新聞古紙粉砕物2gを入れ、ジメチルエーテル100mlを充填して、液の着色状況を観察した。
【0042】
始めは透明なジメチルエーテルは新聞古紙粉砕物から溶出する印刷成分や汚れによって黄色の着色が徐々に濃くなった。
[比較例2]
【0043】
上質紙の古紙粉砕物2gを入れ、ジメチルエーテル100mlをして、液着色状況を観察した。
【0044】
新聞古紙粉砕物から溶出する黄色の着色よりも薄い黄色の着色が見られた。
【符号の説明】
【0045】
1(1a〜1d) 吸蔵体
2 活性炭
4(4a〜4d) ガススプレー
11 古紙粉ないし古紙粉の集合体
12、13 古紙粉の堆積層
14 透液性シート
16、17 搬送シート
18 活性を封入した袋
41 容器
42 ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
古紙を粉砕してなる古紙粉を当該古紙粉の散逸を防止する透液性シートで被覆した液化ガス吸蔵体において、前記古紙粉に活性炭ないし活性白土を分散ないし混入したことを特徴とする、液化ガス吸蔵体。
【請求項2】
前記透液性シートが熱可塑性繊維を含む不織布であり、顆粒状の活性炭ないし活性白土を当該不織布で包まれた古紙粉の略円筒状の集合体の表層部に分散したことを特徴とする、請求項1記載の液化ガス吸蔵体。
【請求項3】
新聞古紙及び印刷用紙系古紙を主成分とする古紙粉に対して活性炭0.5〜15重量%又は活性白土5〜150重量%又はこれらの量に相当する活性炭と活性白土との混合物を混入してなる、請求項1又は2記載の液化ガス吸蔵体。
【請求項4】
請求項1、2又は3記載の液化ガス吸蔵体と、液化したジメチルエーテルとを片手で把持及び噴射操作可能なノズル付きの容器に封入してなる、ガス噴射器。
【請求項5】
古紙を粉砕してなる古紙粉を当該古紙粉の散逸を防止する透液性シートで被覆した液化ガス吸蔵体と、液化したジメチルエーテルとを片手で把持及び噴射操作可能なノズル付きの容器に封入してなるガス噴射器において、前記吸蔵体を覆うように活性炭ないし活性白土を配置したことを特徴とする、ガス噴射器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−103157(P2013−103157A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247768(P2011−247768)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(511275072)大松商事株式会社 (1)
【Fターム(参考)】