説明

液圧制御装置

【課題】液圧制御装置の小型化および低コスト化を図る。
【解決手段】基板5にソレノイド21を一体的に固定し、ケース3に基板5を一体的に固定し、ボデー1に弁部ユニット23を一体的に固定し、基板5およびソレノイド21を同一の収容室31に収容する。これによると、従来のようにソレノイドを収容する室と基板を収容する室とを個別に設けるものと比較して、隔壁およびカバーを廃止できるため、液圧制御装置の小型化および低コスト化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体通路を開閉する電磁弁および電子部品が配置された基板を備える液圧制御装置に関し、特に車両用ブレーキ装置の液圧制御装置に好適である。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用ブレーキ装置の液圧制御装置は、図48に示すように、ブレーキ液が流通する流体通路が形成されたボデー1に、流体通路を開閉する電磁弁2が装着されている。樹脂製のケース3は、ソレノイド収容部32とコネクタ収容部33とが連結部1Aにて連結されており、ソレノイド収容部32内のソレノイド室2Aに電磁弁2のソレノイド21が収容されている。
【0003】
ケース3には樹脂製のカバー3Aが接合されており、カバー3A内に基板室4Aが形成されている。この基板室4Aとソレノイド室2Aとはケース3の隔壁5Aによって分離されている。基板室4Aに基板5が収容され、基板5はケース3の基板保持部6Aに保持されている。
【0004】
電磁弁2のソレノイド端子22は、ソレノイド室2Aから隔壁5Aを貫通して基板室4Aに延び、基板5にハンダ接合されている。また、ケース3にインサート成形されたコネクタ端子4の一端が基板5に接合されている。
【0005】
ケース3とカバー3Aはカバー3Aの開口側縁部にて溶着されるとともに、隔壁5Aにおけるソレノイド端子22が貫通する部位はシール材が充填されて、基板室4Aの気密性が確保されている。また、ボデー1とケース3との合わせ面はパッキン35にてシールされている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
因みに、上記の従来の液圧制御装置は、ソレノイド21はボデー1にかしめ固定されているが、他の従来の液圧制御装置として、ソレノイド21がボデー1に固定されていないものも知られている。すなわち、図49に示すように、ソレノイド21は、ソレノイド21とボデー1との間に配置されたスプリング(ウエーブワッシャ)7Aにより、ケース3に設けられたストッパ8Aに押し付けられて位置決めされている。したがって、ケース取付ボルトを外すと、ソレノイド21をケース3等とともにボデー1から分離することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−368452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の液圧制御装置は、ソレノイド室2Aと基板室4Aとを個別に設けているため、隔壁5Aおよびカバー3Aが必要になり、液圧制御装置の体格が大きくなるとともにコスト高になるという問題があった。
【0009】
また、シールする部位が多いため、シール性に対するリスクが高くなるとともにコスト高になるという問題があった。
【0010】
さらに、ソレノイド21がボデー1にかしめ固定された従来の液圧制御装置は、ソレノイド21と基板5が別部材にて保持されているため、より詳細にはソレノイド21よりも線膨張係数が大きいケース3に基板5が保持されているため、熱負荷時には熱膨張量の違いにより、ソレノイド端子22と基板5とのハンダ接合部において応力の発生に伴うハンダクラックが発生しやすくなるという問題があった。
【0011】
一方、ケース3のストッパ8Aによりソレノイド21が位置決めされた従来の液圧制御装置は、熱負荷時には基板保持部6Aと隔壁5Aとストッパ8Aの熱膨張によってソレノイド21と基板5との間の距離が大きくなり、ソレノイド端子22と基板5とのハンダ接合部に応力が生じ、ハンダクラックが発生しやすくなるという問題があった。
【0012】
本発明は上記点に鑑みて、液圧制御装置の小型化および低コスト化を図ることを主目的とする。また、シールの信頼性を向上させることさらには端子と基板との接合部におけるクラックの発生を防止することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、内部に流体通路が形成されたボデー(1)と、流体通路を開閉する弁体を含む弁部ユニット(23)、および同弁部ユニット(23)に着脱可能に外嵌され、通電されたときに弁体を吸引するソレノイド(21)を有する電磁弁(2)と、内部に収容室(31)が形成されるとともに、ボデー(1)に組み付けられたケース(3)と、収容室(31)に収容され、基板面(54)に電子部品が配置された基板(5)とを備え、電磁弁(2)のコイルワイヤ(24)が基板(5)に直接または間接的に接続され、ケース(3)に外部から装着されるコネクタに接続されるコネクタ端子(4)が基板(5)に接合された液圧制御装置において、ケース(3)は、収容室(31)内でケース(3)に一体に形成されて基板(5)側に向かって突出するケース側ステー(39)と、ボデー(1)に組み付けられることで塞がれる開口とを備え、コネクタ端子(4)のうち基板(5)に接合される一端はケース(3)に一体に固定され且つケース側ステー(39)とともに収容室(31)の内壁から開口に向かって突出し、コネクタ端子(4)の一端およびケース側ステー(39)は共に基板(5)へそれらの突出方向に挿入され、基板(5)にソレノイド(21)が一体的に固定され、ケース(3)に基板(5)が一体的に固定され、ボデー(1)に弁部ユニット(23)が一体的に固定され、基板(5)およびソレノイド(21)が同一の収容室(31)に収容されていることを特徴とする。
【0014】
これによると、隔壁およびカバーを廃止できるため、液圧制御装置の小型化および低コスト化を図ることができる。
【0015】
また、隔壁の廃止に伴って、隔壁におけるコイルワイヤ(24)(又は同コイルワイヤと基板(5)とを導通させる部材)が貫通する部位へのシール材の充填が不要になるため、シール部位が減少してシールの信頼性を向上させることができる。
【0016】
また、ソレノイド(21)と基板(5)とが一体的に固定されるため、例えば、ケースのストッパによりソレノイドが位置決めされる態様と比較して、コイルワイヤ(24)(又は同コイルワイヤと基板(5)とを導通させる部材)と基板(5)との接合部における熱負荷時のケースの熱膨張に伴う応力の発生を抑え、クラックの発生を抑制することができる。
【0017】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の液圧制御装置において、コイルワイヤ(24)よりも剛性が高く、一端がコイルワイヤ(24)に接合されるとともに他端が基板(5)に接合されたソレノイド端子(22)を備え、ケース側ステー(39)によりケース(3)と基板(5)とが一体的に結合され、ソレノイド端子(22)により基板(5)にソレノイド(21)が一体的に固定されていることを特徴とする。
【0018】
これによると、コイルワイヤ(24)よりも剛性が高いソレノイド端子(22)により、簡単な構成でソレノイド(21)を基板(5)に固定することができる。
【0019】
請求項3に記載の発明では、請求項1に記載の液圧制御装置において、基板(5)側に向かって突出するボビン側ステー(252、253)がソレノイド(21)のボビン(25)に一体に設けられ、ボビン側ステー(252、253)により基板(5)とソレノイド(21)とが一体的に結合され、ケース側ステー(39)によりケース(3)と基板(5)とが一体的に結合されていることを特徴とする。
【0020】
これによると、ボビン(25)に設けられたボビン側ステー(252、253)により、簡単な構成で基板(5)およびソレノイド(21)をケース(3)に固定することができる。
【0021】
請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の液圧制御装置において、コイルワイヤ(24)は、ボビン側ステー(253)に沿って基板(5)まで延びて基板(5)に接続されていることを特徴とする。
【0022】
これによると、ソレノイド端子(22)により基板(5)にソレノイド(21)を一体的に支持固定する態様と比較して、ソレノイド端子(22)を廃止できるため低コスト化を図ることができる。
【0023】
請求項5に記載の発明では、請求項1に記載の液圧制御装置において、コイルワイヤ(24)が基板(5)に直接接合され、コイルワイヤ(24)により、基板(5)にソレノイド(21)が一体的に支持固定されていることを特徴とする。
【0024】
これによると、ソレノイド端子(22)により基板(5)にソレノイド(21)を一体的に支持固定する態様と比較して、ソレノイド端子(22)を廃止できるため低コスト化を図ることができる。
【0025】
請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の液圧制御装置において、基板(5)側に向かって突出して、コイルワイヤ(24)を保持するガイド部(263)が、ソレノイド(21)のボビン(25)に一体に設けられていることを特徴とする。
【0026】
これによると、基板(5)側に向かうコイルワイヤ(24)の立ち上がり部分がガイド部(263)により補強される。
【0027】
請求項7に記載の発明では、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の液圧制御装置において、ケース(3)は、ボデー(1)に組み付けられるとともにボデー(1)とは反対側に開口部が形成されたケース本体部(300)と、開口部を覆うカバー部(350)とからなることを特徴とする。
【0028】
これによると、例えば基板(5)とコネクタ端子(4)等との接合工程後にカバー部(350)をケース本体部(300)に一体化するようにすれば、それらの接合作業を容易に行うことができる。
【0029】
請求項8に記載の発明のように、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の液圧制御装置は、車両に搭載され、流体通路をブレーキ液が流通する液圧制御装置として用いることができる。
【0030】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液圧制御装置の正面図である。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】図2のB−B線に沿う断面図である。
【図4】図3のC−C線に沿う断面図である。
【図5】図3のD−D線に沿う断面図である。
【図6】図2のコネクタ端子と基板との接合部の断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る液圧制御装置の要部の断面図である。
【図8】図7のE−E線に沿う断面図である。
【図9】図8のF−F線に沿う断面図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係る液圧制御装置の要部の断面図である。
【図11】本発明の第4実施形態に係る液圧制御装置の要部の断面図である。
【図12】本発明の第5実施形態に係る液圧制御装置の要部の断面図である。
【図13】本発明の第6実施形態に係る液圧制御装置の要部の断面図である。
【図14】本発明の第7実施形態に係る液圧制御装置の要部の断面図である。
【図15】本発明の第8実施形態に係る液圧制御装置の要部の断面図である。
【図16】図15のG−G線に沿う断面図である。
【図17】図16のH−H線に沿う断面図である。
【図18】図16のI−I線に沿う断面図である。
【図19】本発明の第9実施形態に係る液圧制御装置の要部の断面図である。
【図20】図19のJ−J線に沿う断面図である。
【図21】図20のK−K線に沿う断面図である。
【図22】本発明の第10実施形態に係る液圧制御装置の要部の断面図である。
【図23】図22のL−L線に沿う断面図である。
【図24】図23のM−M線に沿う断面図である。
【図25】図22のソレノイド21の平面図である。
【図26】図25のN部の拡大図である。
【図27】図25のP−P線に沿う断面図である。
【図28】図25のQ−Q線に沿う断面図である。
【図29】第11実施形態に係る液圧制御装置に用いる電磁弁2の要部の平面図である。
【図30】図29のR−R線に沿う断面図である。
【図31】第12実施形態に係る液圧制御装置に用いる電磁弁2の要部の平面図である。
【図32】図31のS−S線に沿う断面図である。
【図33】第13実施形態に係る液圧制御装置に用いる電磁弁2の要部の平面図である。
【図34】図33のT−T線に沿う断面図である。
【図35】本発明の第14実施形態に係る液圧制御装置の要部の断面図である。
【図36】図35のU−U線に沿う断面図である。
【図37】図36のV−V線に沿う断面図である。
【図38】図35のソレノイド21の平面図である。
【図39】図38のW−W線に沿う断面図である。
【図40】第15実施形態に係る液圧制御装置に用いる電磁弁2の要部の断面図である。
【図41】第16実施形態に係る液圧制御装置に用いる電磁弁2の要部の断面図である。
【図42】第17実施形態に係る液圧制御装置に用いる電磁弁2の要部の断面図である。
【図43】第18実施形態に係る液圧制御装置に用いる電磁弁2の要部の断面図である。
【図44】第19実施形態に係る液圧制御装置に用いる電磁弁2の要部の断面図である。
【図45】本発明の第20実施形態に係る液圧制御装置の要部の断面図である。
【図46】図45のY−Y線に沿う断面図である。
【図47】図46のZ−Z線に沿う断面図である。
【図48】従来の車両用ブレーキ装置における液圧制御装置の要部の断面図である。
【図49】他の従来の車両用ブレーキ装置における液圧制御装置の要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を図に示す実施形態について説明する。以下説明する第1〜第20実施形態のうち、特許請求の範囲に記載した発明の実施形態は第2〜第7実施形態および第9〜第19実施形態であり、第1実施形態、第8実施形態および第20実施形態は参考例である。
【0033】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。図1は第1実施形態に係る液圧制御装置の正面図、図2は図1のA−A線に沿う断面図、図3は図2のB−B線に沿う断面図、図4は図3のC−C線に沿う断面図、図5は図3のD−D線に沿う断面図、図6は図2のコネクタ端子と基板との接合部の断面図である。
【0034】
本実施形態の液圧制御装置は、ブレーキ液圧を制御して車両の制動力を制御する車両用ブレーキ装置の液圧制御装置として用いられる。なお、図1の上下方向は、車両搭載状態での上下方向を示している。
【0035】
図1〜図4に示すように、液圧制御装置は、ブレーキ液が流通する流体通路(図示せず)が形成された金属製のボデー1を備えている。このボデー1には、流体通路を開閉する複数個の電磁弁2、ブレーキ液を吸入・吐出するポンプ(図示せず)、このポンプを駆動する電動機(図示せず)等が取付けられている。
【0036】
電磁弁2は、流体通路を開閉する弁体(図示せず)を含む弁部ユニット23と、通電されたときに弁体を吸引するソレノイド21とを備えている。
【0037】
ボデー1の側面には、ソレノイド21や基板(詳細後述)を覆うようにして樹脂製のケース3が組み付けられている。このケース3には、金属製の4個のブッシュ34および多数のコネクタ端子4がインサート成形されている。ケース3は、ソレノイド21および板状の基板5が収容される収容室31を形成する略直方体のソレノイド収容部32と、多数のコネクタ端子4の一端側が収容される空間331を形成する略直方体のコネクタ収容部33を備えている。図示しないコネクタがコネクタ収容部33に装着されることにより、そのコネクタのコネクタ端子と液圧制御装置のコネクタ端子4とが接続される。
【0038】
そして、ケース3は、4個のスクリュー6によりブッシュ34を介してボデー1に固定されている。ケース3とボデー1との合わせ面はパッキン35にてシールされている。
【0039】
また、ケース3には、ソレノイド収容部32とケース3の外部とを連通する連通孔36が形成されており、この連通孔36により、ソレノイド収容部32が負圧になるのを防止するようになっている。この連通孔36は、気体を通し、液体の流通を阻止する特性のフィルタ37によって覆われている。
【0040】
基板5には、基板面54に電子部品(図示せず)が配置され、コネクタ端子4の他端側が接合されている。図6に示すように、コネクタ端子4は、圧入により基板5に固定されるプレスフィットピンを用いており、コネクタ端子4における基板5への挿入部41を基板5の端子挿入穴51の径よりも大きくし、拡張力Fを発生させるようになっている。
【0041】
図4に示すように、基板5には、電磁弁2のソレノイド端子22および電動機端子7が、ハンダまたはプレスフィットにて接合されている。
【0042】
次に、電磁弁2のソレノイド21について、図5に基づいて説明する。弁部ユニット23は、その大部分はボデー1内に収容され、弁部ユニット23の一部をなす非磁性体金属製のスリーブ23aがボデー1から突出している。この弁部ユニット23は、ボデー1にカシメ等によって固定されている。
【0043】
ソレノイド21は、コイルワイヤ24を装着した樹脂製のボビン25の外周を樹脂成形したものを、磁性体金属製の筒状のヨーク26内に組み付け、磁性体金属製のリング27をヨーク26の開口端部に装着し、さらにコイルワイヤ24とソレノイド端子22とをハンダにて接合して構成されている。そして、ソレノイド21をスリーブ23aに嵌合させた後にボデー1をかしめることでソレノイド21をボデー1に固定している。
【0044】
全ての電磁弁2(本例では8個)のボビン25には、ソレノイド端子22を保持する端子ガイド251が一体に形成されている。また、一部の電磁弁2(本例では2個)のボビン25には、基板5側に向かって突出して基板5を保持する第1ステー252が一体に形成されている。
【0045】
この第1ステー252は、基板5側に向かって突出する円柱状の大径円柱部252aと、この大径円柱部252aの端部から突出してさらに基板5側に向かって延びる円柱状の小径円柱部252bとを備えている。大径円柱部252aの外径は、基板5に設けられた複数のステー挿入穴52の内径よりも十分大きく設定され、小径円柱部252bの外径は、ステー挿入穴52の内径よりも僅かに大きく設定されている。そして、小径円柱部252bをステー挿入穴52に圧入してソレノイド21と基板5とを結合し固定している。
【0046】
図4に示すように、ボデー1に圧入されて基板5側に向かって延びる樹脂製の支柱8を備えており、この支柱8の先端が基板5の穴(図示せず)に挿入されている。そして、この支柱8により、基板5のボデー1に対する電磁弁径方向の位置決めがなされている。また、この支柱8は段付き形状になっていて、ボデー1に対する基板5の近接を規制可能になっている。
【0047】
上記構成になる液圧制御装置は、以下のようにして組み立てられる。まず、ボデー1に、電磁弁2、ポンプ、電動機等を組み付ける。このとき、ボデー1をカシメめて、ソレノイド21をボデー1に一体的に固定する。
【0048】
次いで、電子部品が配置された基板5のステー挿入穴52にソレノイド21の第1ステー252を圧入して、基板5をソレノイド21に一体的に固定する。このとき、支柱8、ソレノイド端子22、および電動機端子7が基板5の穴に挿入される。
【0049】
次いで、ソレノイド21や基板5を覆うようにしてケース3をボデー1に被せ、ソレノイド21および基板5を収容室31に収容した状態でケース3をボデー1に固定する。このとき、コネクタ端子4が基板5の穴に挿入される。
【0050】
なお、基板5をソレノイド21に組み付ける、すなわちソレノイド21を介して基板5をボデー1に組み付ける際、或いは、コネクタ端子4を基板5の穴に挿入する際には、基板5がボデー1に向けて(図4において右方向に)押し付けられることとなるが、本実施形態では、このとき、基板5が支柱8の先端部に当接することで、同基板5の変形が抑制され、また、ボデー1に対して基板5が位置決めされる。
【0051】
本実施形態では、ソレノイド21および基板5をともに収容室31に収容するため、従来の隔壁およびカバーを廃止することができ、液圧制御装置の小型化および低コスト化を図ることができる。
【0052】
また、それに伴ってシールする部位が減少するため、シールの信頼性を向上させることができる。
【0053】
また、ソレノイド21と基板5が一体的に固定されるため、例えば、ソレノイドがボデーに固定され基板がケースに固定される態様と比較して、熱負荷時のケースの熱膨張に伴うソレノイド端子22と基板5との接合部における応力の発生を抑え、クラックの発生を抑制することができる。
【0054】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。図7は第2実施形態に係る液圧制御装置の要部の断面図、図8は図7のE−E線に沿う断面図、図9は図8のF−F線に沿う断面図である。第1実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0055】
第1実施形態ではソレノイド21をボデー1にかしめ固定したが、本実施形態のソレノイド21はボデー1に固定されていない。より詳細には、ソレノイド21は、弁部ユニット23のスリーブ23aに着脱可能に外嵌される。また、第1実施形態の液圧制御装置における支柱8を廃止している。
【0056】
本実施形態は、図7〜図9に示すように、全ての電磁弁2(本例では8個)のボビン25に第1ステー252が一体に形成されている。そして、第1ステー252を基板5のステー挿入穴52(図5参照)に圧入して、全ての電磁弁2のソレノイド21と基板5とを一体的に結合している。
【0057】
ケース3には、基板5側に向かって突出する複数個の第2ステー39が一体に形成されている。この第2ステー39は、基板5側に向かって突出する円柱状の大径円柱部39aと、この大径円柱部39aの端部から突出してさらに基板5側に向かって延びる円柱状の小径円柱部39bとを備えている。大径円柱部39aの外径は、基板5に設けられた複数のステー挿入穴53の内径よりも十分大きく設定され、小径円柱部39bの外径は、ステー挿入穴53の内径よりも僅かに大きく設定されている。そして、小径円柱部39bをステー挿入穴53に圧入して、ケース3と基板5とを一体的に結合している。
【0058】
上記構成になる液圧制御装置は、以下のようにして組み立てられる。まず、ボデー1に、電磁弁2の弁部ユニット23、ポンプ、電動機等を組み付ける。このとき、ボデー1をかしめて、電磁弁2の弁部ユニット23をボデー1に一体的に固定する。
【0059】
一方、電子部品が配置された基板5のステー挿入穴52にソレノイド21の第1ステー252を圧入することにより、基板5にソレノイド21を一体的に固定して基板集合体とし、基板5のステー挿入穴53にケース3の第2ステー39を圧入することにより、基板集合体を収容室31に収容した状態でケース3に基板5を一体的に固定する。
【0060】
そして、基板集合体を収容したケース3を、スクリュー6によりボデー1に固定する。このとき、ソレノイド21は弁部ユニット23のスリーブ23aに外嵌される。
【0061】
因みに、電動機端子7がプレスフィットにて接合される場合は、電動機端子7を基板5に圧入する際に基板5が撓むのを防止するために、基板5における電動機端子7の挿入穴近傍にて基板5を支持するストッパ38を、ケース3に設けるのが望ましい。
【0062】
本実施形態では、ソレノイド21と基板5とが一体的に固定されるため、例えば、ケースのストッパによりソレノイドが位置決めされる態様と比較して、ソレノイド端子22と基板5との接合部における熱負荷時のケースの熱膨張に伴う応力の発生を抑え、クラックの発生を抑制することができる。
【0063】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。図10は第3実施形態に係る液圧制御装置の要部の断面図である。本実施形態は、ケース3をボデー1に固定する方法を変更したものである。第1実施形態または第2実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0064】
図10に示すように、雌ねじ101aが形成された1つのブロック101がケース3にインサート成形されている。ボデー1には、ボルト102が挿入される貫通穴11が形成されている。そして、ボルト102をボデー1側から通してボルト102をブロック101の雌ねじ101aに螺合させることにより、ケース3をボデー1に固定するようになっている。
【0065】
ボルト102の頭部にはシールリング103を配置して、貫通穴11から収容室31への水の浸入を防止するようになっている。
【0066】
第1、第2実施形態ではケース3をボデー1に固定するために4個のスクリュー6を用いているのに対し、本実施形態では、ボルト102を1本用いるだけであるため、部品点数を低減し、ボデー1の体格を縮小することができる。
【0067】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について説明する。図11は第4実施形態に係る液圧制御装置の要部の断面図である。本実施形態は、ケース3をボデー1に固定する方法を変更したものである。上記各実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0068】
図11に示すように、貫通穴101bが形成された1つのブロック101がケース3にインサート成形されている。ボデー1には、ボルト102が螺合される雌ねじ12が形成されている。そして、ボルト102をケース3側から通してボルト102をボデー1の雌ねじ12に螺合させることにより、ケース3をボデー1に固定するようになっている。
【0069】
ボルト102の頭部にはシールリング103を配置して、貫通穴101bから収容室31への水の浸入を防止するようになっている。
【0070】
第1、第2実施形態ではケース3をボデー1に固定するために4個のスクリュー6を用いているのに対し、本実施形態では、ボルト102を1本用いるだけであるため、部品点数を低減し、ボデー1の体格を縮小することができる。
【0071】
また、本実施形態は、第3実施形態と比較して、ボデー1内の加工が簡素化されるため、さらにコストを低減できるとともに、ボデー1内のレイアウト自由度が増す。
【0072】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態について説明する。図12は第5実施形態に係る液圧制御装置の要部の断面図である。本実施形態は、ケース3のコネクタ収容部33と基板5との位置関係を変更したものである。上記各実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0073】
図12に示すように、コネクタ収容部33は、基板5の基板面54に対向する位置に設けられている。また、コネクタ収容部33は、反基板側で開口している。
【0074】
これにより、直線状のコネクタ端子4を用いることが可能になり、コネクタ端子4の配策が簡素化できるため、さらにコストを低減することができる。
【0075】
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態について説明する。図13は第6実施形態に係る液圧制御装置の要部の断面図である。本実施形態は、ソレノイド21と基板5との結合方法を変更したものである。上記各実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0076】
本実施形態では、図13に示すように、ソレノイド21の第1ステー252は大径円柱部252aのみを有し、第1ステー252の先端と基板5とを接着してソレノイド21と基板5とを結合している。
【0077】
(第7実施形態)
本発明の第7実施形態について説明する。図14は第7実施形態に係る液圧制御装置の要部の断面図である。本実施形態は、ソレノイド21と基板5との結合方法を変更したものである。上記各実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0078】
本実施形態では、図14に示すように、ソレノイド21の第1ステー252は、大径円柱部252aと、この大径円柱部252aの端部から突出してさらに基板5側に向かって延びるとともに、スリット252cにて分割された2つの係止片252dとを備えている。そして、係止片252dを基板5のステー挿入穴52に挿入してソレノイド21と基板5とを結合している。より詳細には、係止片252dがステー挿入穴52の内周面に圧接されて基板5と第1ステー252との結合力が生じている。
【0079】
(第8実施形態)
本発明の第8実施形態について説明する。図15は第8実施形態に係る液圧制御装置の要部の断面図、図16は図15のG−G線に沿う断面図、図17は図16のH−H線に沿う断面図、図18は図16のI−I線に沿う断面図である。
【0080】
本実施形態は、第1実施形態におけるソレノイド21と基板5との結合方法を変更したものである。第1実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0081】
本実施形態では、図15〜図18に示すように、第1実施形態の液圧制御装置における第1ステー252を廃止している。そして、ソレノイド端子22により、ソレノイド21に基板5を一体的に支持固定している。このように、第1ステー252を廃止したことにより、より簡単な構成で基板5をソレノイド21に固定することができる。
【0082】
第1実施形態のソレノイド端子22には、その弾性変形を容易にするためにクランク状に折り曲げられたクリンチング部を設けたが、本実施形態のソレノイド端子22はそのクリンチング部を廃止している。換言すると、本実施形態のソレノイド端子22は直線状になっている。
【0083】
具体的には、本実施形態の支柱8は、熱による支柱8の伸縮がソレノイド21およびソレノイド端子22の伸縮と同等になるような材質(例えば、真鍮)にしている。これにより、熱負荷時のソレノイド端子22と基板5との相対変位を少なくして、クリンチング部を不要にしている。
【0084】
このように、クリンチング部を廃止したことにより、電磁弁2と基板5との間隔を小さくすることができるため、従来の隔壁およびカバーを廃止したことと相俟って、液圧制御装置をさらに小型にすることができる。
【0085】
また、支柱8と基板5の穴(図示せず)とを隙間嵌めにしている。これにより、仮に熱負荷時のソレノイド21およびソレノイド端子22の膨張量が支柱8の膨張量よりも大きくなった場合には、支柱8と基板5とが容易に相対変位することができるため、ソレノイド端子22と基板5との接合部における応力の発生を抑えることができる。
【0086】
なお、本実施形態の構成では、振動発生時にソレノイド端子22と基板5との接合部に応力が発生することとなるが、この応力は、熱膨張率の違いにより接合部に生じる応力と比較して断続的且つ小さなものである。
【0087】
(第9実施形態)
本発明の第9実施形態について説明する。図19は第9実施形態に係る液圧制御装置の要部の断面図、図20は図19のJ−J線に沿う断面図、図21は図20のK−K線に沿う断面図である。
【0088】
本実施形態は、第2実施形態におけるソレノイド21と基板5との結合方法を変更したものである。第2実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0089】
本実施形態では、図19〜図21に示すように、第2実施形態の液圧制御装置における第1ステー252を廃止している。そして、ソレノイド端子22により、基板5にソレノイド21を一体的に支持固定している。このように、第1ステー252を廃止したことにより、より簡単な構成でソレノイド21を基板5に固定することができる。
【0090】
また、ソレノイド21はボデー1に固定されておらず、ソレノイド21は基板5にソレノイド端子22のみで懸架されているため、熱負荷時にソレノイド端子22と基板5との間に相対変位は生じない。したがって、ソレノイド端子22のクリンチング部は不要となり、電磁弁2と基板5との間の間隔を小さくすることができるため、従来の隔壁およびカバーを廃止したことと相俟って、液圧制御装置をさらに小型にすることができる。
【0091】
なお、本実施形態の構成では、振動発生時にソレノイド端子22と基板5との接合部に応力が発生することとなるが、この応力は、熱膨張率の違いにより接合部に生じる応力と比較して断続的且つ小さなものである。
【0092】
(第10実施形態)
本発明の第10実施形態について説明する。図22は第10実施形態に係る液圧制御装置の要部の断面図、図23は図22のL−L線に沿う断面図、図24は図23のM−M線に沿う断面図、図25は図22のソレノイド21の平面図、図26は図25のN部の拡大図、図27は図25のP−P線に沿う断面図、図28は図25のQ−Q線に沿う断面図である。
【0093】
本実施形態は、第2実施形態におけるソレノイド21と基板5との結合方法を変更したものである。また、本実施形態は、ソレノイド端子22が廃止されている。第2実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0094】
図22〜図28に示すように、全ての電磁弁2のボビン25に一対の第1ステー253が一体に形成されている。一対の第1ステー253は、電磁弁軸線を挟んで対向する位置に配置されている。第1ステー253は、基板5側に向かって突出しており、スリット253aにより第1柱部254と第2柱部255とに分割されている。各柱部254、255は断面形状が半円状になっており、各柱部254、255の頂部(基板側の端部)には、基板5のステー挿入穴52と係合可能な係止部254a、255aが各々一対形成されている。
【0095】
ボビン25には、第1柱部254の反頂部側に連通するスリット状の第1ガイド部256と、第2柱部255の反頂部側に連通するスリット状の第2ガイド部257とが形成されている。
【0096】
そして、コイルワイヤ24は、第1ガイド部256内を通された後、第1柱部254の外周面に沿って各柱部254、255の頂部側に導かれている。また、コイルワイヤ24は、各柱部254、255の頂部にて折り曲げられてクリンチング部241が設けられている。さらに、コイルワイヤ24は、クリンチング部241から第2柱部255の外周面に沿って各柱部254、255の反頂部側に導かれた後、コイルワイヤ24の先端部242が第2ガイド部257内に挿入されている。なお、コイルワイヤ24のうち各柱部254、255に沿う部位には、その部位の強度アップと、基板5との導通を良好にするために、めっきが施されている。
【0097】
このようにコイルワイヤ24を配置した後、第1柱部254の一対の係止部254a間に樹脂モールドするとともに、第2柱部255の一対の係止部255a間に樹脂モールドして、コイルワイヤ24を第1ステー253に固定している。また、第1ガイド部256、第2ガイド部257、およびボビン25の外周部258も樹脂モールドしている。
【0098】
図25および図28に示すように、全ての電磁弁2のボビン25に一対のポール259が一体に形成されている。一対のポール259は、電磁弁軸線を挟んで対向する位置に配置されるとともに、一対の第1ステー253に対して電磁弁周方向に90°ずらして配置されている。ポール259は、基板5側に向かって突出し、その先端が基板5に当接可能になっている。また、ポール259の付け根側(ボビン側)には逃がし空間260が設けられ、ポール259がその付け根側を基点として撓むようになっている。
【0099】
本実施形態においては、各柱部254、255の係止部254a、255aが基板5のステー挿入穴52を通過する位置まで第1ステー253をステー挿入穴52に挿入すると、ポール259は基板5に当接して撓み、係止部254a、255aとポール259により基板5が挟持されて基板5とソレノイド21が一体化される。
【0100】
ここで、第1柱部254の係止部254aと第2柱部255の係止部255aのステー挿入穴52からの径方向へのはみ出し量の和よりも、スリット253aの幅が大きく設定されている。これにより、第1ステー253をステー挿入穴52に挿入する際、各柱部254、255はスリット253aを狭めるように変形してステー挿入穴52を通過することができる。
【0101】
また、基板5とソレノイド21が一体化されていない状態において、コイルワイヤ24のうち各柱部254、255に沿う部位の外寸dは、ステー挿入穴52の内径よりも僅かに大きく設定されている。したがって、基板5とソレノイド21が一体化された状態では、コイルワイヤ24のうち各柱部254、255に沿う部位が基板5に密着し、コイルワイヤ24と基板5間の確実な導通が得られる。そして、このようにコイルワイヤ24を基板5に直接接続することにより、ソレノイド端子22を廃止できるため低コスト化を図ることができる。
【0102】
なお、本実施形態ではソレノイド21がボデー1に固定されない態様としたが、これに限らず、例えば上記第1実施形態のようにソレノイド21がボデー1にかしめ固定される態様において本実施形態のソレノイド21と基板5との結合方法を採用してもよい。
【0103】
(第11実施形態)
本発明の第11実施形態について説明する。図29は第11実施形態に係る液圧制御装置に用いる電磁弁2の要部の平面図、図30は図29のR−R線に沿う断面図である。
【0104】
本実施形態は、第10実施形態におけるコイルワイヤ24の第1ステー253への固定方法を変更したものである。第10実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0105】
図29、図30に示すように、第1ステー253の各柱部254、255は、係止部254a、255aが各々一個形成されている。また、各柱部254、255の頂部(基板側の端部)には突起254b、255bが各々一個形成されている。この第1柱部254の突起254bと第2柱部255の突起255bは、スリット253aを挟んで対角線上に配置されている。そして、コイルワイヤ24は、各柱部254、255の頂部にて各突起254b、255bにからげて固定される。
【0106】
(第12実施形態)
本発明の第12実施形態について説明する。図31は第12実施形態に係る液圧制御装置に用いる電磁弁2の要部の平面図、図32は図31のS−S線に沿う断面図である。第11実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0107】
本実施形態は、第11実施形態における第1ステー253の構成を変更したものである。すなわち、第1ステー253を撓み易くするために、図31、図32に示すように、第1ステー253を互いに交差する2つのスリット253aにより4つの柱部に分割している。
【0108】
(第13実施形態)
本発明の第13実施形態について説明する。図33は第13実施形態に係る液圧制御装置に用いる電磁弁2の要部の平面図、図34は図33のT−T線に沿う断面図である。
【0109】
本実施形態は、第10実施形態におけるコイルワイヤ24と基板5の電気的な接続の方法を変更したものである。第10実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0110】
図33、図34に示すように、第1ステー253はスリット253aにより第1柱部254と第2柱部255とに分割され、各柱部254、255には係止部254a、255aが各々一個形成されている。ボビン25の第1ガイド部256はスリット253aに連通されている。そして、コイルワイヤ24は、第1ガイド部256内およびスリット253a内を通されて、第1ステー253の頂部側に導かれている。
【0111】
コイルワイヤ24は、第1ステー253の頂部側に嵌められた導電性金属よりなるキャップ261を介して、基板5に電気的に接続されている。このキャップ261は、円形の板部261aを備え、この板部261aの中心に形成された貫通穴261bにコイルワイヤ24が挿入されてはんだ付けされている。
【0112】
また、板部261aには、2つの切り欠き261cが形成されている。そして、この切り欠き261cに係止部254a、255aを挿入することにより、キャップ261の回り止め機能を得ている。なお、係止部254a、255aが基板5のステー挿入穴52を通過することで係止部254a、255aが移動したとき切り欠き261cと干渉しないように、係止部254a、255aと切り欠き261cとの間に空間261dを設けている。
【0113】
板部261aの外周部には、第1ステー253と平行に延びる複数(本例では4個)の腕部261eを設けている。そして、基板5とソレノイド21が一体化されていない状態において、4個の腕部261eに外接する円の直径はステー挿入穴52の内径よりも僅かに大きく、4個の腕部261eに内接する円の直径は第1ステー253の外径よりも僅かに大きく設定されている。
【0114】
本実施形態では、ソレノイド21にキャップ261を一体化した後、キャップ261をステー挿入穴52に圧入する。これにより、腕部261eが第1ステー253を締め付けて、キャップ261と第1ステー253が強固に固定される。また、係止部254a、255aが基板5のステー挿入穴52を通過する位置まで第1ステー253をステー挿入穴52に挿入することにより、係止部254a、255aとポール259により基板5が挟持されて基板5とソレノイド21が一体化される。
【0115】
そして、キャップ261を介してコイルワイヤ24と基板5を電気的に接続することにより、コイルワイヤ24と基板5との間の確実な導通状態を安定的に得ることができる。
【0116】
(第14実施形態)
本発明の第14実施形態について説明する。図35は第14実施形態に係る液圧制御装置の要部の断面図、図36は図35のU−U線に沿う断面図、図37は図36のV−V線に沿う断面図、図38は図35のソレノイド21の平面図、図39は図38のW−W線に沿う断面図である。
【0117】
本実施形態は、第2実施形態におけるソレノイド21と基板5との結合方法を変更したものである。具体的には、ソレノイド端子22および第1ステー252を廃止し、コイルワイヤ24によりソレノイド21に基板5を一体的に支持固定している。第2実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0118】
図35〜図39に示すように、全ての電磁弁2のボビン25には、スリット状の一対のガイド溝262、および基板5側に向かって突出する一対のガイド部263が形成されている。ガイド部263は断面形状が半円状になっており、ガイド部263の平面部には、電磁弁軸方向に延びる半円状の溝263aが形成されている。
【0119】
そして、コイルワイヤ24は、ガイド溝262内を通された後、ガイド部263の溝263aに嵌め込まれ、その先端側がガイド部263から突出している。これによると、基板5側に向かうコイルワイヤ24の立ち上がり部分がガイド部263により補強される。なお、図39に示すように、コイルワイヤ24における範囲Xの部位、すなわち、コイルワイヤ24のうち、ガイド溝262やガイド部263の溝263a内に配置された部位、およびガイド部263から突出した部位は、その部位の強度アップのためにめっきが施されている。また、このようにコイルワイヤ24を配置した後、ガイド溝262およびボビン25の外周部258を樹脂モールドしている。
【0120】
全ての電磁弁2のボビン25には、基板5側に向かって突出する段付き円柱状のポール264が1つ形成されている。このポール264は、基板5側に向かって突出する円柱状の大径ポール部264aと、この大径ポール部264aの端部から突出してさらに基板5側に向かって延びる円柱状の小径ポール部264bとを備えている。大径ポール部264aの外径は、基板5に設けられた複数のポール挿入穴55の内径よりも十分大きく設定され、小径ポール部264bの外径は、ポール挿入穴55の内径よりも僅かに小さく設定されている。
【0121】
本実施形態においては、小径ポール部264bをポール挿入穴55に挿入するとともに、コイルワイヤ24の端部を基板5の穴56に挿入した後、コイルワイヤ24の端部と基板5とをはんだ付けする。
【0122】
ここで、小径ポール部264bはポール挿入穴55に遊嵌合されるため、ポール264は基板5を一体的に支持固定する機能を備えておらず、ポール264はソレノイド21の振れを防止する機能を発揮する。そして、基板5はコイルワイヤ24によりソレノイド21に一体的に支持固定される。
【0123】
本実施形態によると、ソレノイド端子22によりソレノイド21に基板5を一体的に支持固定する態様と比較して、ソレノイド端子22を廃止できるため低コスト化を図ることができる。
【0124】
なお、本実施形態ではソレノイド21がボデー1に固定されない態様としたが、これに限らず、例えば上記第1実施形態のようにソレノイド21がボデー1にかしめ固定される態様において本実施形態のソレノイド21と基板5との結合方法を採用してもよい。
【0125】
(第15実施形態)
本発明の第15実施形態について説明する。図40は第15実施形態に係る液圧制御装置に用いる電磁弁2の断面図である。第14実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0126】
第14実施形態では、ソレノイド21の振れを防止するために段付き円柱状のポール264を全ての電磁弁2に1つ設けているのに対し、本実施形態は、図40に示すように、段付きでない円柱状のポール264を全ての電磁弁2に2つ設けている。そして、各ポール264の先端側を基板5のポール挿入穴55に挿入することによりソレノイド21の振れを防止する。
【0127】
(第16実施形態)
本発明の第16実施形態について説明する。図41は第16実施形態に係る液圧制御装置に用いる電磁弁2の断面図である。第14実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0128】
第14実施形態では、ソレノイド21の振れを防止するために段付き円柱状のポール264を全ての電磁弁2に1つ設けているのに対し、本実施形態は、図41に示すように、円筒状の保持部材265を基板5に接着等にて接合し、電磁弁2のガイド部263の先端側を保持部材265に挿入することにより、ソレノイド21の振れを防止する。
【0129】
(第17実施形態)
本発明の第17実施形態について説明する。図42は第17実施形態に係る液圧制御装置に用いる電磁弁2の断面図である。第14実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0130】
第14実施形態では、強度アップのためにコイルワイヤ24における範囲Xの部位にめっきを施したが、本実施形態は、コイルワイヤ24における範囲Xの部位のめっきを2重めっきにしてその部位の強度をさらにアップさせている。これによりポール264を不要にし、ボビン25の構造を簡略化することができる。
【0131】
なお、めっきは同種でもよいし、下地を強度アップ材(例えば、ニッケル)、表面を導電材料(例えば、錫またははんだ)としてもよい。
【0132】
(第18実施形態)
本発明の第18実施形態について説明する。図43は第18実施形態に係る液圧制御装置に用いる電磁弁2の断面図である。第14実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0133】
第14実施形態では、強度アップのためにコイルワイヤ24における範囲Xの部位にめっきを施したが、本実施形態は、図43に示すように、コイルワイヤ24は、ガイド部263の溝263aから突出した部位が折り返され、先端が再びガイド部263の溝263aに嵌め込まれている。これにより、コイルワイヤ24におけるガイド部263の溝263aから突出した部位の強度をアップし、ポール264を不要にし、ボビン25の構造を簡略化することができる。
【0134】
なお、このようにコイルワイヤ24を配置した後、ガイド部263の溝263aを樹脂モールドしてもよい。
【0135】
(第19実施形態)
本発明の第19実施形態について説明する。図44は第19実施形態に係る液圧制御装置に用いる電磁弁2の断面図である。第14実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0136】
第14実施形態では、強度アップのためにコイルワイヤ24における範囲Xの部位にめっきを施したが、本実施形態は、図43に示すように、コイルワイヤ24は、ガイド部263の溝263aから突出した部位が編んで折り返され、先端が再びガイド部263の溝263aに嵌め込まれている。これにより、コイルワイヤ24におけるガイド部263の溝263aから突出した部位の強度をアップし、ポール264を不要にし、ボビン25の構造を簡略化することができる。
【0137】
なお、このようにコイルワイヤ24を配置した後、ガイド部263の溝263aを樹脂モールドしてもよい。
【0138】
(第20実施形態)
本発明の第20実施形態について説明する。図45は第20実施形態に係る液圧制御装置の要部の断面図、図46は図45のY−Y線に沿う断面図、図47は図46のZ−Z線に沿う断面図である。本実施形態は、第17実施形態におけるケース3を分割したものである。第17実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0139】
図45〜図47に示すように、ケース3は、ボデー1に組み付けられるケース本体部300と、このケース本体部300のボデー1とは反対側の開口部を覆うカバー部350とからなる。ケース本体部300とカバー部350とによって収容室31が形成されている。
【0140】
ケース本体部300には、ブッシュ34、多数のコネクタ端子4、およびバスバー266がインサート成形されている。また、ケース本体部300には、電磁弁2のソレノイド21の外周面に接してソレノイド21を保持するガイド部301、後述する基板集合体を保持する基板保持部302が形成されている。さらに、ケース本体部300には、電動機端子7やGND端子が挿入されるインナコネクタ267が装着されている。
【0141】
上記構成になる液圧制御装置は、以下のようにして組み立てられる。まず、ボデー1に、電磁弁2の弁部ユニット23、及び図示しないポンプ、電動機等を組み付ける。このとき、ボデー1をかしめて、電磁弁2の弁部ユニット23をボデー1に一体的に固定する。
【0142】
一方、コイルワイヤ24の端部を基板5の穴56に挿入した後、コイルワイヤ24の端部と基板5とをはんだ付けすることにより、基板5にソレノイド21を一体的に固定して基板集合体とする。
【0143】
続いて、この基板集合体を基板保持部302に装着する。このとき、ソレノイド21がガイド部301内に挿入されるとともに、コネクタ端子4およびバスバー266の端子266aが基板5に挿入される。そして、それらの端子4、266aと基板5とをはんだ付けした後、ケース本体部300とカバー部350とをそれらの合わせ面390にて溶着し、ECU組立体とする。なお、ECU組立体の状態では、ガイド部301によりソレノイド21の振れが防止される。
【0144】
そして、ECU組立体を、ボデー1に固定する。このとき、ソレノイド21は弁部ユニット23のスリーブ23aに外嵌される。また、電動機端子7やGND端子がインナコネクタ267に挿入される。
【0145】
本実施形態では、コネクタ端子4およびバスバー端子266aと基板5とをはんだ付けした後に、ケース本体部300とカバー部350とを一体化するため、はんだ付け作業を容易に行うことができる。
【0146】
なお、ソレノイド21の振れを防止するために、例えば第15実施形態のような、ポール264を設けた電磁弁2を用いてもよい。
【0147】
(他の実施形態)
上記各実施形態では、車両用ブレーキ装置の液圧制御装置を示したが、本発明は他の用途の液圧制御装置にも適用することができる。
【0148】
なお、第1ステー252、253はボビン25に一体成形されるものであってもよく、また、別体とされてもよい。別体の場合は、樹脂に代えて、例えば鉄系、アルミニウム系などの金属を用いて第1ステー252、253を形成してもよい。上記樹脂よりも熱膨張係数の小さな材料を用いて形成した場合は、熱負荷時においてソレノイド端子22と基板5との接合部に生じる応力をさらに小さくすることができる。
【0149】
また、第8実施形態および第9実施形態の液圧制御装置は、第5実施形態(図12参照)のように、コネクタ収容部33を基板5の基板面54に対向する位置に設け、このコネクタ収容部33を反基板側で開口させてもよい。
【符号の説明】
【0150】
1…ボデー、2…電磁弁、3…ケース、4…コネクタ端子、5…基板、21…ソレノイド、22…ソレノイド端子、31…収容室、54…基板面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に流体通路が形成されたボデー(1)と、
前記流体通路を開閉する弁体を含む弁部ユニット(23)、および同弁部ユニット(23)に着脱可能に外嵌され、通電されたときに前記弁体を吸引するソレノイド(21)を有する電磁弁(2)と、
内部に収容室(31)が形成されるとともに、前記ボデー(1)に組み付けられたケース(3)と、
前記収容室(31)に収容され、基板面(54)に電子部品が配置された基板(5)とを備え、
前記電磁弁(2)のコイルワイヤ(24)が前記基板(5)に直接または間接的に接続され、
前記ケース(3)に外部から装着されるコネクタに接続されるコネクタ端子(4)が前記基板(5)に接合された液圧制御装置において、
前記ケース(3)は、前記収容室(31)内で前記ケース(3)に一体に形成されて前記基板(5)側に向かって突出するケース側ステー(39)と、前記ボデー(1)に組み付けられることで塞がれる開口とを備え、
前記コネクタ端子(4)のうち前記基板(5)に接合される一端は前記ケース(3)に一体に固定され且つ前記ケース側ステー(39)とともに前記収容室(31)の内壁から前記開口に向かって突出し、
前記コネクタ端子(4)の一端および前記ケース側ステー(39)は共に前記基板(5)へそれらの突出方向に挿入され、
前記基板(5)に前記ソレノイド(21)が一体的に固定され、
前記ケース(3)に前記基板(5)が一体的に固定され、
前記ボデー(1)に前記弁部ユニット(23)が一体的に固定され、
前記基板(5)および前記ソレノイド(21)が同一の前記収容室(31)に収容されていることを特徴とする液圧制御装置。
【請求項2】
前記コイルワイヤ(24)よりも剛性が高く、一端が前記コイルワイヤ(24)に接合されるとともに他端が前記基板(5)に接合されたソレノイド端子(22)を備え、
前記ケース側ステー(39)により前記ケース(3)と前記基板(5)とが一体的に結合され、前記ソレノイド端子(22)により前記基板(5)に前記ソレノイド(21)が一体的に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の液圧制御装置。
【請求項3】
前記基板(5)側に向かって突出するボビン側ステー(252、253)が前記ソレノイド(21)のボビン(25)に一体に設けられ、
前記ボビン側ステー(252、253)により前記基板(5)と前記ソレノイド(21)とが一体的に結合され、前記ケース側ステー(39)により前記ケース(3)と前記基板(5)とが一体的に結合されていることを特徴とする請求項1に記載の液圧制御装置。
【請求項4】
前記コイルワイヤ(24)は、前記ボビン側ステー(253)に沿って前記基板(5)まで延びて前記基板(5)に接続されていることを特徴とする請求項3に記載の液圧制御装置。
【請求項5】
前記コイルワイヤ(24)が前記基板(5)に直接接合され、
前記コイルワイヤ(24)により、前記基板(5)に前記ソレノイド(21)が一体的に支持固定されていることを特徴とする請求項1に記載の液圧制御装置。
【請求項6】
前記基板(5)側に向かって突出して、前記コイルワイヤ(24)を保持するガイド部(263)が、前記ソレノイド(21)のボビン(25)に一体に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の液圧制御装置。
【請求項7】
前記ケース(3)は、前記ボデー(1)に組み付けられるとともに前記ボデー(1)とは反対側に開口部が形成されたケース本体部(300)と、前記開口部を覆うカバー部(350)とからなることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の液圧制御装置。
【請求項8】
車両に搭載され、前記流体通路をブレーキ液が流通することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の液圧制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【公開番号】特開2012−35841(P2012−35841A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247785(P2011−247785)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【分割の表示】特願2007−175302(P2007−175302)の分割
【原出願日】平成19年7月3日(2007.7.3)
【出願人】(301065892)株式会社アドヴィックス (1,291)
【Fターム(参考)】