説明

液晶の配向剤、配向膜および液晶表示素子

【課題】ラビング処理を行わずに、偏光または非偏光の放射線照射によって液晶配向能を付与することが可能であり、しかもプレチルト角を付与するのに必要な放射線照射量が少ない液晶配向膜の形成に用いられる液晶配向剤を提供すること。
【解決手段】炭素数11〜30の縮合脂環式基と桂皮酸構造または共役エノン構造とを側鎖に有する重合体を含有する液晶配向剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子に関する。さらに詳しくは、ラビング処理を行わずに、偏光または非偏光の放射線の照射によって液晶配向能を付与することが可能な、液晶配向膜の形成に用いられる液晶配向剤、このような液晶配向膜及びこのような液晶配向膜を有する液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、正の誘電異方性を有するネマチック型液晶を、液晶配向膜を有する透明電極付き基板でサンドイッチ構造にし、必要に応じて液晶分子の長軸が基板間で0〜360度連続的に捻れるようにしてなる、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、IPS(In Plane Switching)型などの液晶セルを有する液晶表示素子が知られている(特許文献1および2参照)。
このような液晶セルにおいては、液晶を基板面に対し所定の方向に配向させるため、基板表面に液晶配向膜を設ける必要がある。この液晶配向膜は、通常、基板表面に形成された有機膜表面をレーヨンなどの布材で一方向にこする方法(ラビング法)により形成されている。しかし、液晶配向膜の形成をラビング処理により行うと、工程内でほこりが発生したり、静電気が発生したりしやすいために、配向膜表面にほこりが付着して表示不良発生の原因となるという問題があった。特にTFT(Thin Film Transistor)素子を有する基板の場合には、発生した静電気によってTFT素子の回路破壊が起こり、歩留まり低下の原因となるという問題もあった。さらに、今後ますます高精細化される液晶表示素子においては、画素の高密度化に伴い基板表面に凹凸が生じるために、均一にラビング処理を行うことが課題となる。
液晶セルにおける液晶を配向させる別の手段として、基板表面に形成したポリビニルシンナメート、ポリイミド、アゾベンゼン誘導体などの感光性薄膜に偏光または非偏光の放射線を照射することにより、液晶配向能を付与する光配向法が知られている。この方法によれば、静電気やほこりを発生することなく、均一な液晶配向を実現することができる(特許文献3〜13参照)。
【0003】
ところで、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型などの液晶セルにおいては、液晶配向膜は、液晶分子を基板面に対して所定の角度で傾斜配向させる、プレチルト角特性を有する必要がある。光配向法により液晶配向膜を形成する場合においては、プレチルト角は、通常、照射する放射線の基板面への入射方向を基板法線から傾斜させることにより付与される。
また、上記とは別の液晶表示素子の動作モードとして、負の誘電異方性を有する液晶分子を基板に垂直に配向させる垂直(ホメオトロピック)配向モードも知られている。この動作モードでは、基板間に電圧を印加して液晶分子が基板に平行な方向に向かって傾く際に、液晶分子が基板法線方向から基板面内の一方向に向かって傾くようにする必要がある。このための手段として、例えば、基板表面に突起を設ける方法、透明電極にストライプを設ける方法、ラビング配向膜を用いることにより液晶分子を基板法線方向から基板面内の一方向に向けてわずかに傾けておく(プレチルトさせる)方法などが提案されている。
【0004】
前記光配向法は、垂直配向モードの液晶セルにおいて液晶分子の傾き方向を制御する方法としても有用であることが知られている。即ち、光配向法により配向規制力及びプレチルト角を付与した垂直配向膜を用いることにより、電圧印加時の液晶分子の傾き方向を均一に制御できることが知られている(特許文献11〜12および14〜16参照)。
このように、前記光配向法により製造した液晶配向膜は、各種の液晶表示素子に有効に適用されうるものである。しかしながら、従来の光配向膜には、大きなプレチルト角を得るのに必要な放射線照射量が多いという問題があった。例えば、アゾベンゼン誘導体を含有する光配向膜においては、十分なプレチルト角を得るために、その光軸が基板法線から傾斜された放射線を、1J/cm以上照射しなければならないことが報告されている(特許文献13〜14及び非特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭56−91277号公報
【特許文献2】特開平1−120528号公報
【特許文献3】特開平6−287453号公報
【特許文献4】特開平10−251646号公報
【特許文献5】特開平11−2815号公報
【特許文献6】特開平11−152475号公報
【特許文献7】特開2000−144136号公報
【特許文献8】特開2000−319510号公報
【特許文献9】特開2000−281724号公報
【特許文献10】特開平9−297313号公報
【特許文献11】特開2003−307736号公報
【特許文献12】特開2004−163646号公報
【特許文献13】特開2002−250924号公報
【特許文献14】特開2004−83810号公報
【特許文献15】特開平9−211468号公報
【特許文献16】特開2003−114437号公報
【非特許文献1】J. of the SID 11/3, 2003 p.579
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ラビング処理を行わずに、偏光または非偏光の放射線照射によって液晶配向能を付与することが可能な液晶配向膜の形成に用いられる、液晶配向剤(以下、「光配向剤」ともいう)を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、プレチルト角を付与するのに必要な放射線照射量が少ない液晶配向膜の形成に用いられる液晶配向剤を提供することにある。
【0007】
本発明のさらに他の目的は、液晶配向膜を提供することにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、液晶表示素子を提供することにある。
【0009】
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第1に、下記式(I)、(II)、(III)および(IV)のそれぞれで表わされる構造よりなる群から選ばれる少なくとも1つの構造を側鎖に有する重合体を含有することを特徴とする光配向剤により達成される。

−P−CR=CR−CO−D−L−S (I)

−P−CR=CR−CO−Q−L−S (II)

−D−CO−CR=CR−P−L−S (III)

−Q−CO−CR=CR−P−L−S (IV)

ここで、P、P、P、P、QおよびQは、互いに独立に、ハロゲンまたは有機基で置換されていてもよい、2価の芳香族基又は不飽和複素環基であり、DおよびDは、互いに独立に、酸素原子またはNR(ただし、Rは水素原子又は炭素数12以下のアルキル基を表す。)であり、S、S、SおよびSは、互いに独立に、炭素数11〜30の縮合脂環式基を含む1価の有機基であり、L、L、LおよびLは、互いに独立に、単結合又は2価の結合基であり、そしてR、R、R、R、R、R、RおよびRは、互いに独立に、水素原子又は炭素数12以下のアルキル基である。
【0011】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、前記光配向剤からなる薄膜に、偏光または非偏光の放射線を照射して液晶配向能を付与してなる液晶配向膜により達成される。
【0012】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、下記(a)および(b)の特性をともに有する薄膜に、偏光または非偏光の放射線を照射して液晶配向能を付与してなる液晶配向膜により達成される。
(a)偏光した放射線を基板法線方向から照射したとき、偏光軸と直交する方向への液晶配向能が付与される。
(b)偏光した放射線を、基板法線から傾いた方向から、基板法線と放射線の入射軸がなす面内に偏光軸が存在するようにして照射したとき、基板法線から入射軸方向に傾いた方向への液晶配向能が付与される。
【0013】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、前記(a)および(b)の特性に加えて、下記(c)の特性を有する薄膜に、偏光または非偏光の放射線を照射して液晶配向能を付与してなる液晶配向膜により達成される。
(c)非偏光の放射線を、基板法線から傾いた方向から照射したとき、基板法線から放射線の入射軸方向に傾いた方向への液晶配向能が付与される。
【0014】
また、本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、前記液晶配向膜を有する液晶表示素子により達成される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の光配向剤を用いると、従来の光配向法による場合に比べて、少ない放射線照射量で液晶配向膜を得ることができる。それゆえ、この液晶配向膜を液晶表示素子に適用した場合、液晶表示素子を従来より安価に製造できる。したがって、これらの液晶表示素子は種々の装置に有効に適用でき、例えば卓上計算機、腕時計、置時計、係数表示板、ワードプロセッサ、パーソナルコンピューター、または液晶テレビなどの装置に好適に用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0017】
本発明の光配向剤は、嵩高い構造が結合された桂皮酸誘導体構造、または、嵩高い構造が結合された共役エノン構造(以下、「特定構造」ともいう)を側鎖に有する重合体を含有してなる。かかる特定構造を含有する薄膜に放射線の照射を行なうと、桂皮酸誘導体構造または共役エノン構造が放射線に感応し架橋を形成するのに伴って、結合された嵩高い構造が放射線の偏光軸、および/または、光軸で定まる一定方向に配向される。ここで「感応」とは、放射線の照射により電子が光エネルギーを吸収して励起し、結合を生成または解離して元の基底状態に戻ることを意味する。このようにして得られた液晶配向膜上では、プレチルト角を含む液晶配向方位が、前記の嵩高い構造の配向により制御される。
放射線の照射によりプレチルト角を含む液晶配向方位が制御される原理は、より具体的には、次のように考えることができる。
【0018】
図1(A)に示すように、本発明の重合体の薄膜表面には、特定構造を有する側鎖が、種々の方向に向かって存在しており、その平均方向は、基板表面の法線方向である。この薄膜に図1(B)で示される直線偏光の放射線を照射すると、その偏光軸に平行な側鎖(図中で*印を付したもの)が架橋反応して、その方位を変える。従って、側鎖の平均方向は、照射の結果、図1(C)のように、法線から偏光の入射方向に傾斜した方向に変化することになる。このようにして形成された液晶配向膜に液晶分子を接触させた場合、液晶分子の配向方向は側鎖の平均方向により制御されるので、基板法線から偏光の入射方向に傾いた液晶配向が得られる。即ち、この液晶配向膜は、基板法線から偏光の入射方向に傾いた方向への液晶配向能を持つことになる。
図2のように、本発明の重合体の薄膜に非偏光の放射線を照射した場合、図中で*印を付した側鎖がその方位を変えることになるので、基板法線から偏光の入射方向に傾いた方向への液晶配向能を持つ液晶配向膜が得られる。
【0019】
一方、かかる薄膜に、法線方向から直線偏光の放射線を照射した場合には、図3に示すように、図中で*印を付した側鎖がその方位を変えるので、側鎖分布は基板面内で偏光軸と直交した方向に集中するようになる。それゆえ、得られる液晶配向膜は、偏光軸と直交する方向への液晶配向能を有する。
前記特定構造は、上記式(I)、(II)、(III)および(IV)のそれぞれで表される構造のいずれかである。
上記式(I)、(II)、(III)および(IV)中、S、S、S、およびSで表される構造が、前記の嵩高い構造に相当し、具体的には、炭素数11〜30の縮合脂環式基を含む有機基である。ここで、縮合脂環式基とは、互いに同一でも異なっていてもよい2個以上の脂環からなる基であって、基中の1つの共有結合を切断することにより2つの部分に分割することができない基をいう。かかる有機基としては、例えば、パーヒドロアントラセン構造を有する基、ステロイド骨格を有する基、および環状トリテルペン骨格を有する基を挙げることができる。これらのうちステロイド骨格を有する基および環状トリテルペン骨格を有する基が好ましい。
【0020】
上記式(I)、(II)、(III)および(IV)中、L、L、LおよびLは、単結合または2価の結合基を表す。かかる結合基としては、具体的には、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、尿素結合、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、ヘキサメチレン基、プロピレン基などを挙げることができる。これらのうち、好ましいものとして、単結合、エーテル結合、及び、エステル結合を挙げることができ、特に好ましいものとして単結合を挙げることができる。
上記式(I)で表わされる構造からLおよびSを除いた残部ならびに上記式(III)で表わされる構造からLおよびSを除いた残部が桂皮酸誘導体構造に相当する。
また、上記式(II)で表わされる構造からLおよびSを除いた残部ならびに上記式(IV)で表わされる構造からLおよびSを除いた残部が共役エノン構造に相当する。これらの式中、P、P、P、P、QおよびQは、互いに独立に、ハロゲンまたは有機基で置換されていてもよい、2価の芳香族基又は不飽和複素環基である。
【0021】
、P、P、P、QおよびQで表される2価の芳香族基としては、具体的には、1,2−フェニレン基、3−フルオロ−1,2−フェニレン基、4−フルオロ−1,2−フェニレン基、3−メトキシ−1,2−フェニレン基、4−メトキシ−1,2−フェニレン基、3−メチル−1,2−フェニレン基、4−メチル−1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、2−フルオロ−1,3−フェニレン基、4−フルオロ−1,3−フェニレン基、5−フルオロ−1,3−フェニレン基、2−メトキシ−1,3−フェニレン基、4−メトキシ−1,3−フェニレン基、5−メトキシ−1,3−フェニレン基、2−メチル−1,3−フェニレン基、4−メチル−1,3−フェニレン基、5−メチル−1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、2−メトキシ−1,4−フェニレン基、2−メチル−1,4−フェニレン基、4,4’−ビフェニレン基、3,4’−ビフェニレン基、3,3’−ビフェニレン基、1,4−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基などが挙げられる。また、2価の不飽和複素環基としては、具体的には、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、2,5−チオフェニレン基、2,5−フラニレン基などが挙げられる。これらのうち、1,4−フェニレン基及び2−メトキシ−1,4−フェニレン基が好ましい。
【0022】
また、DおよびDは、互いに独立に、酸素原子またはNR(ただし、Rは水素原子又は炭素数12以下のアルキル基を表わす。)であり、好ましくは酸素原子またはNHであり、特に好ましくは酸素原子である。R、R、R、R、R、R、RおよびRは、互いに独立に、水素原子又は炭素数12以下のアルキル基であり、好ましくは、水素原子またはメチル基であり、特に好ましくは水素原子である。さらに、これらの特定構造のうち、特に好ましいものとして、下記式(V−1)〜(V−7)から選ばれる少なくとも1つの構造で表される有機基(以下、「オリザニル基」ともいう)を挙げることができる。
【0023】
【化1】

【0024】
本発明の液晶配向剤を構成する重合体は、前記特定構造を側鎖に有する重合体である。かかる重合体中の、特定構造を有する繰り返し単位の比率は、全繰り返し単位に対して10〜100%が好ましく、30〜90%が特に好ましい。
本発明で用いられる重合体の骨格には特に制限はなく、具体的には、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミック酸エステル、ポリエステル、ポリアミド、ポリシロキサン、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。耐熱性に優れている点から、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミック酸エステル、ポリスチレン誘導体およびポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体が好ましく、ポリアミック酸エステル、ポリアミック酸及びポリイミドがより好ましく、ポリアミック酸及びポリイミドが特に好ましい。
【0025】
ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミック酸エステル
ポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物と、ジアミン化合物とを反応させることにより得られる。また、ポリイミドは、上記ポリアミック酸を脱水閉環することにより得られる。本発明の光配向剤に含有される重合体として用いられるポリアミック酸およびポリイミドの合成には、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物のうちの少なくとも1つの成分に特定構造を有する化合物が用いられる。好ましくは、ジアミン化合物に特定構造を有する化合物が用いられる。
ポリアミック酸エステルは、上記ポリアミック酸と、有機ハロゲン化物、アルコール類またはフェノール類とを反応させることにより得られる。本発明の特定重合体として用いられるポリアミック酸エステルは、特定構造が、テトラカルボン酸二無水物またはジアミン化合物の少なくともいずれか一方に含まれていてもよく、有機ハロゲン化物、アルコール類またはフェノール類に含まれていてもよい。好ましくは、有機ハロゲン化物、アルコール類またはフェノール類に特定構造が含まれる。
【0026】
特定構造を有するテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−(オリザニルオキシ)−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−(2(オリザニルオキシ)エトキシ)−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−(6(オリザニルオキシ)ヘキシルオキシ)−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−(4’(3−コレスタニルオキシ)4−カルコニルオキシ)−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−(4’(3−コレステリルオキシ)4−カルコニルオキシ)−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−(4(3−コレスタニルオキシ)シンナモイルオキシ)−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−(4(3−コレステリルオキシ)シンナモイルオキシ)−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−(4(3−コレスタニルオキシ)4’−カルコニルオキシ)−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン及び、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−(4(3−コレステリルオキシ)4’−カルコニルオキシ)−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオンを挙げることができる。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。これらのうち、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8(2(オリザニルオキシ)エトキシ)−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、及び、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8(6(オリザニルオキシ)ヘキシルオキシ)−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオンが好ましい。
【0027】
特定構造を有するジアミン化合物としては、具体的には、下記式(VI−1)〜(VI−7)で表される化合物
【0028】
【化2】

【0029】
ここでRは単結合あるいは2価の結合基または有機基である、
およびオリザニル(3,5−ジアミノベンゾエート)、オリザニル(3,5−ジアミノベンゾエート)、2−(オリザニルオキシ)エチル(3,5−ジアミノベンゾエート)、オリザニル(2−(2,4−ジアミノフェノキシ)アセテート)、6−(オリザニルオキシ)ヘキシル(3,5−ジアミノベンゾエート)、1,3−ジアミノ−4−(オリザニルオキシ)ベンゼン、1,3−ジアミノ−4−(2(オリザニルオキシ)エトキシ)ベンゼン、1,3−ジアミノ−4−(6(オリザニルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゼン、3−コレステリル−4−(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)シンナメート、3−コレスタニル−4−(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)シンナメート、3−コレステリル−4−(2(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)エトキシ)シンナメート、3−コレスタニル−4−(2(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)エトキシ)シンナメート、3−コレステリル−4−(6(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)ヘキシルオキシ)シンナメート、3−コレスタニル−4−(6(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)ヘキシルオキシ)シンナメート、3−コレステリル−4−(2,4−ジアミノフェノキシ)シンナメート、3−コレスタニル−4−(2,4−ジアミノフェノキシ)シンナメート、3−コレステリル−4−(2(2,4−ジアミノフェノキシ)エトキシ)シンナメート、3−コレスタニル−4−(2(2,4−ジアミノフェノキシ)エトキシ)シンナメート、3−コレステリル−4−(6(2,4−ジアミノフェノキシ)ヘキシルオキシ)シンナメート、3−コレスタニル−4−(6(2,4−ジアミノフェノキシ)ヘキシルオキシ)シンナメート、4’−(3−コレステリルオキシ)−4−(3,5−−ジアミノベンゾイルオキシ)カルコン、4’−(3−コレスタニルオキシ)−4−(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)カルコン、4’−(3−コレステリルオキシ)−4−(2(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)エトキシ)カルコン、4’−(3−コレスタニルオキシ)−4−(2(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)エトキシ)カルコン、4’−(3−コレステリルオキシ)−4(6(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)ヘキシルオキシ)カルコン、4’−(3−コレスタニルオキシ)−4−(6(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)ヘキシルオキシ)カルコン、4’−(3−コレステリルオキシ)−4−(2,4−ジアミノフェノキシ)カルコン、4’−(3−コレスタニルオキシ)−4−(2,4−ジアミノフェノキシ)カルコン、4’−(3−コレステリルオキシ)−4−(2(2,4−ジアミノフェノキシ)エトキシ)カルコン、4’−(3−コレスタニルオキシ)−4−(2(2,4−ジアミノフェノキシ)エトキシ)カルコン、4’−(3−コレステリルオキシ)−4−(6(2,4−ジアミノフェノキシ)ヘキシルオキシ)カルコン、4’−(3−コレスタニルオキシ)−4−(6(2,4−ジアミノフェノキシ)ヘキシルオキシ)カルコン、(2(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)エチル)−4−(3−コレステリルオキシ)シンナメート、(2(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)エチル)−4−(3−コレスタニルオキシ)シンナメート、(6(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)ヘキシル)−4−(3−コレステリルオキシ)シンナメート、(6(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)ヘキシル)−4−(3−コレスタニルオキシ)シンナメート、(2,4−ジアミノフェニル)−4−(3−コレステリルオキシ)シンナメート、(2,4−ジアミノフェニル)−4−(3−コレスタニルオキシ)シンナメート、(2(2,4−ジアミノフェノキシ)エチル)−4−(3−コレステリルオキシ)シンナメート、(2(2,4−ジアミノフェノキシ)エチル)−4−(3−コレスタニルオキシ)シンナメート、(6(2,4−ジアミノフェノキシ)ヘキシル)−4−(3−コレステリルオキシ)シンナメート、(6(2,4−ジアミノフェノキシ)ヘキシル)−4−(3−コレスタニルオキシ)シンナメート、4−(3−コレステリルオキシ)−4’−(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)カルコン、4−(3−コレスタニルオキシ)−4’−(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)カルコン、4−(3−コレステリルオキシ)−4’−(2(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)エトキシ)カルコン、4−(3−コレスタニルオキシ)−4’−(2(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)エトキシ)カルコン、4−(3−コレステリルオキシ)−4’−(6(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)ヘキシルオキシ)カルコン、4−(3−コレスタニルオキシ)−4’−(6(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)ヘキシルオキシ)カルコン、4−(3−コレステリルオキシ)−4’−(2,4−ジアミノフェノキシ)カルコン、4−(3−コレスタニルオキシ)−4’−(2,4−ジアミノフェノキシ)カルコン、4−(3−コレステリルオキシ)−4’−(2(2,4−ジアミノフェノキシ)エトキシ)カルコン、4−(3−コレスタニルオキシ)−4’−(2(2,4−ジアミノフェノキシ)エトキシ)カルコン、4−(3−コレステリルオキシ)−4’−(6(2,4−ジアミノフェノキシ)ヘキシルオキシ)カルコン、及び、4−(3−コレスタニルオキシ)−4’ −(6(2,4−ジアミノフェノキシ)ヘキシルオキシ)カルコンを挙げることができる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0030】
これらのうち、オリザニル(3,5−ジアミノベンゾエート)、オリザニル(2−(2,4−ジアミノフェノキシ)アセテート)、2−(オリザニルオキシ)エチル(3,5−ジアミノベンゾエート)、オリザニル(2−(2,4−ジアミノフェノキシ)アセテート)、6−(オリザニルオキシ)ヘキシル(3,5−ジアミノベンゾエート)、1,3−ジアミノ−4−(2(オリザニルオキシ)エトキシ)ベンゼン、1,3−ジアミノ−4−(6(オリザニルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゼン、(2(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)エチル)−4−(3−コレステリルオキシ)シンナメート、(2(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)エチル)−4−(3−コレスタニルオキシ)シンナメート、(6(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)ヘキシル)−4−(3−コレステリルオキシ)シンナメート、(6(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)ヘキシル)−4−(3−コレスタニルオキシ)シンナメート、(2(2,4−ジアミノフェノキシ)エチル)−4−(3−コレステリルオキシ)シンナメート、(2(2,4−ジアミノフェノキシ)エチル)−4−(3−コレスタニルオキシ)シンナメート、(6(2,4−ジアミノフェノキシ)ヘキシル)−4−(3−コレステリルオキシ)シンナメート、及び、(6(2,4−ジアミノフェノキシ)ヘキシル)−4−(3−コレスタニルオキシ)シンナメートが好ましく、オリザニル(3,5−ジアミノベンゾエート)、オリザニル(2−(2,4−ジアミノフェノキシ)アセテート)、2−(オリザニルオキシ)エチル(3,5−ジアミノベンゾエート)、6−(オリザニルオキシ)ヘキシル(3,5−ジアミノベンゾエート)、1,3−ジアミノ−4−(2(オリザニルオキシ)エトキシ)ベンゼン、及び、1,3−ジアミノ−4−(6(オリザニルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゼンが特に好ましい。
【0031】
ここで例示した、オリザニル基を有するジアミン化合物は、例えば特願2006−13115に記載した方法により、天然のγ−オリザノールから合成することができる。このとき、前記ジアミン化合物は、上記式(V−1)〜(V−7)の構造で表される基を有するジアミン化合物の混合物として得られる。本発明では、かかるジアミン化合物の混合物をそのまま用いることが特に好ましい。
前記ポリアミック酸の合成においては、その性状を改善し、さらに、プレチルト角発現または垂直配向性などの機能を付与するために、特定構造を含むテトラカルボン酸二無水物およびジアミン化合物とともに、特定構造を含まない他のテトラカルボン酸二無水物および他のジアミン化合物を併用することができる。
【0032】
かかる他のテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、特開2004−163646の[0039]〜[0042]において「他のテトラカルボン酸二無水物」および「特定疎水基有するテトラカルボン酸二無水物」として例示した化合物を挙げることができる。又、それらのうち、好ましいものとして、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−8−メチル−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物および下記式(1)〜(4)で表される化合物を挙げることができる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0033】
【化3】

【0034】
また、他のジアミン化合物としては、例えば、6(4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ(2,4−ジアミノベンゼン)、6(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ(2,4−ジアミノベンゼン)、8(4−カルコニルオキシ)オクチルオキシ(2,4−ジアミノベンゼン)、8(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)オクチルオキシ(2,4−ジアミノベンゼン)、および、特開2004−163646の[0044]〜[0046]において「他のジアミン化合物」および「特定疎水基有するジアミン化合物」として例示した化合物を挙げることができる。又、それらのうち、好ましいものとして、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,5−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノフルオレン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ビス[(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル、1−ヘキサデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、1−オクタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、1−コレステリルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、1−コレスタニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)、オクタデカノキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)、コレステリルオキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)、および、コレスタニルオキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)、および、下記式(5)および(6)で表される化合物を挙げることができる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0035】
【化4】

【0036】
ポリアミック酸の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物の使用割合は、ジアミン化合物に含まれるアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましく、さらに好ましくは0.3〜1.2当量となる割合である。
ポリアミック酸の合成反応は、有機溶媒中において、好ましくは−20〜150℃、より好ましくは0〜100℃の温度条件下で行われる。ここで、有機溶媒としては、合成されるポリアミック酸を溶解できるものであれば特に制限はなく、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどの非プロトン系極性溶媒;m−クレゾール、キシレノール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのフェノール系溶媒を挙げることができる。また、有機溶媒の使用量(a)は、好ましくはテトラカルボン酸二無水物およびジアミン化合物の総量(b)が、反応溶液の全量(a+b)に対して0.1〜30重量%になるような量であることが好ましい。
【0037】
なお、前記有機溶媒には、ポリアミック酸の貧溶媒であるアルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類などを、生成するポリアミック酸が析出しない範囲で併用することができる。かかる貧溶媒の具体例としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、乳酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル、ジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、トリクロロエタン、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを挙げることができる。
【0038】
以上のようにして、ポリアミック酸を溶解してなる反応溶液が得られる。そして、この反応溶液を大量の貧溶媒中に注いで析出物を得、この析出物を減圧下乾燥することによりポリアミック酸を得ることができる。また、この生成物を再び有機溶媒に溶解させ、次いで貧溶媒で析出させる工程を1回または数回行うことにより、これを精製することができる。
【0039】
本発明で用いられるポリイミドは、前記ポリアミック酸を脱水閉環することにより調製することができる。ポリアミック酸の脱水閉環は、(i)ポリアミック酸を加熱する方法により、または(ii)ポリアミック酸を有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加し必要に応じて加熱する方法により行われる。
上記(i)のポリアミック酸を加熱する方法における反応温度は、好ましくは50〜200℃であり、より好ましくは60〜170℃である。反応温度が50℃未満では脱水閉環反応が十分に進行せず、反応温度が200℃を超えると得られるイミド化重合体(ポリアミック酸)の分子量が低下することがある。
【0040】
一方、上記(ii)のポリアミック酸の溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加する方法において、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、ポリアミック酸の繰り返し単位1モルに対して0.01〜20モルとするのが好ましい。また、脱水閉環触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミンなどの3級アミンを用いることができる。しかし、これらに限定されるものではない。脱水閉環触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.01〜10モルとするのが好ましい。なお、脱水閉環反応に用いられる有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。そして、脱水閉環反応の反応温度は、好ましくは0〜180℃、より好ましくは10〜150℃である。また、このようにして得られる反応溶液に対し、ポリアミック酸の精製方法と同様の操作を行うことにより、ポリイミドを精製することができる。
【0041】
ポリアミック酸エステルの合成に用いられるテトラカルボン酸二無水物およびジアミン化合物としては、例えば、さきにテトラカルボン酸二無水物、および、ジアミン化合物として既に例示した化合物を挙げることができる。ここで用いられるテトラカルボン酸二無水物およびジアミン化合物は、特定構造を有するものであっても、有しないものであってもよい。
【0042】
特定構造を有する有機ハロゲン化物としては、例えば、1−ブロモ−2−(オリザニルオキシ)エタン、1−ブロモ−6−(オリザニルオキシ)ヘキサン、(3−コレステリル)−4−(2−ブロモエトキシ)シンナメート、(3−コレスタニル)−4−(2−ブロモエトキシ)シンナメート、(3−コレステリル)−4−(6−ブロモヘキシルオキシ)シンナメート、(3−コレスタニル)−4−(6−ブロモヘキシルオキシ)シンナメート、4’ −(2−ブロモエトキシ)−4−(3−コレステリルオキシ)カルコン、4’ −(2−ブロモエトキシ)−4−(3−コレスタニルオキシ)カルコン、4’ −(6−ブロモヘキシルオキシ)−4−(3−コレステリルオキシ)カルコン、4’−(6−ブロモヘキシルオキシ)−4−(3−コレスタニルオキシ)カルコン、(2−ブロモエチル)−4−(3−コレステリルオキ)シンナメート)、(2−ブロモエチル)−4−(3−コレスタニルオキシ)シンナメート、(6−ブロモヘキシル)−4−(3−コレステリルオキシ)シンナメート、(6−ブロモヘキシル)−4−(3−コレスタニルオキシ)シンナメート、4(2−ブロモエトキシ)−4’(3−コレステリルオキシ)カルコン、4−(2−ブロモエトキシ)−4’−(3−コレスタニルオキシ)カルコン、4(6−ブロモヘキシルオキシ)−4’(コレステリルオキシ)カルコン、4−(6−ブロモヘキシルオキシ)−4’−(3−コレスタニルオキシ)カルコンの如き臭化物、ならびに、対応するフッ化物、塩化物およびヨウ化物を挙げることができる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0043】
また、これらのハロゲン化物のうちでは、反応性が高い点から、臭化物およびヨウ化物が好ましく、臭化物が特に好ましい。
【0044】
特定構造を有するアルコールとしては、先に例示した、特定構造を有する臭化物の、臭素原子を水酸基で置換した化合物を例示することができる。これらは、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
特定構造を有するフェノール類としては、例えば、γ−オリザノール、4’−ヒドロキシ−4−(3−コレステリルオキシ)カルコン、4’−ヒドロキシ−4−(3−コレスタニルオキシ)カルコン、4−ヒドロキシ−4’−(3−コレステリルオキシ)カルコン及び4−ヒドロキシ−4’−(3−コレスタニルオキシ)カルコンを挙げることができる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0045】
ポリアミック酸エステルの合成においては、その性状を改善し、さらに、プレチルト角発現または垂直配向性などの機能を付与するために、特定構造を含む有機ハロゲン化物、アルコール類またはフェノール類とともに、特定構造を含まない有機ハロゲン化物、アルコール類またはフェノール類を用いることができる。
【0046】
かかる他の有機ハロゲン化物としては、例えば臭化セチル、臭化ステアリル、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、塩化セチル、塩化ステアリル、塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、および、1,1,1−トリフルオロ−2−ヨードエタンを挙げることができる。
これらのうち、臭化ステアリル、1,1,1−トリフルオロ−2−ヨードエタン、塩化アセチルおよび塩化ステアロイルが好ましい。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0047】
また、他のアルコール類としては、例えばセチルアルコール、ステアリルアルコール、1,1,1−トリフルオロエタノール、メタノール、エタノール、イソプロパノールおよびノルマルプロパノールが挙げられる。
これらのうち、セチルアルコール、ステアリルアルコール、1,1,1−トリフルオロエタノールが好ましい。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0048】
他のフェノール類としては、例えばフェノール、クレゾール、4−セチルオキシフェノール、4−セチルフェノール、4−ステアリルオキシフェノール、4−ステアリルフェノールおよび4−トリフルオロメチルフェノールを挙げることができる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
前記ポリアミック酸エステルは、前記テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分を重縮合させてポリアミック酸を得て、次いで、必要に応じて触媒の存在下で、有機ハロゲン化物、アルコール類またはフェノール類と反応させることにより得られる。
【0049】
前記ポリアミック酸エステルの合成に用いられるポリアミック酸の合成手法としては、先に記載した、特定重合体であるポリアミック酸の合成手法と同様な方法を用いることができる。
ポリアミック酸と有機ハロゲン化物を反応する際に用いられる触媒としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムプロポキシド、カリウムプロポキシド、ナトリウムブトキシド、カリウムブトキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミンおよびピリジンの如き塩基触媒を挙げることができる。また、このエステル化反応に用いられる有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。
ポリアミック酸とアルコール類またはフェノール類を反応する際に用いられる触媒としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、クロロぎ酸メチルのような脱水触媒を挙げることができる。これらの脱水触媒は、必要に応じて、ジメチルアミノピリジン等の助触媒と組み合わせて用いることができる。
【0050】
液晶配向剤
本発明の液晶配向剤は、特定構造を側鎖に有する重合体を含有する溶液からなる。この際用いられる溶剤としては、該重合体を溶解し得る有機溶剤であれば特に制限はない。このような溶媒としては、例えば、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。これらは、単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。また、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして例示した貧溶媒を併用することもできる。好ましい溶媒組成は、前記の溶媒を組み合わせて得られる組成であって、配向剤中で重合体が析出せず、かつ、配向剤の表面張力が25〜40mN/mの範囲となるような組成である。
本発明の液晶配向剤における固形分濃度は、粘性、揮発性などを考慮して選択される。好ましくは1〜10重量%の範囲である。すなわち、本発明の液晶配向剤は、基板表面に塗布され、液晶配向膜となる塗膜を形成するが、固形分濃度が1重量%未満である場合には、この塗膜の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜を得難い。固形分濃度が10重量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となって良好な液晶配向膜を得難く、また、液晶配向剤の粘性が増大して塗布特性が劣り易くなる。
【0051】
なお、特に好ましい固形分濃度の範囲は、基板に液晶配向剤を塗布する際に用いる方法によって異なる。例えば、スピンナー法による場合には1.5〜4.5重量%の範囲が特に好ましい。印刷法による場合には、固形分濃度を3〜9重量%の範囲とし、それにより、溶液粘度を12〜50mPa・sの範囲とするのが特に好ましい。インクジェット法による場合には、固形分濃度を1〜5重量%の範囲とし、それにより、溶液粘度を3〜15mPa・sの範囲とするのが特に好ましい。
また、本発明の液晶配向剤を調製する際の温度は、好ましくは、0℃〜200℃、より好ましくは20℃〜60℃である。
【0052】
その他の添加剤
本発明の液晶配向剤は、溶液特性および電気特性の改善のため、特定構造を持たない重合体を含有することができる。かかる重合体としては、例えば、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミック酸エステル、ポリエステル、ポリアミド、ポリシロキサン、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレート等を挙げることができるが、耐熱性および電気特性の点から、ポリアミック酸が好ましい。また、液晶配向剤に含有される全重合体に対する、特定構造を有しない重合体の比率は、0〜99重量%が好ましく、10〜90重量%がより好ましく、50〜90重量%が特に好ましい。
【0053】
また、本発明の液晶配向剤は、プレチルト角の安定化及び塗膜強度アップのために、種々の熱硬化性の架橋剤を含有することもできる。熱硬化性架橋剤としては、多官能エポキシ含有化合物が有効であり、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、グリシジルジアミン系エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、エポキシ基含有アクリル樹脂などが使用できる。市販品では、例えばエポライト400E、同3002(共栄社油脂化学工業(株)製)、エピコート828、同152、エポキシノボラック180S(油化シェルエポキシ(株)製)などを挙げることができる。
さらに、前述の多官能エポキシ含有化合物を使用する際、架橋反応を効率良く起こす目的で、1−ベンジル−2−メチルイミダゾールなどの塩基触媒を添加することができる。
【0054】
また、本発明の液晶配向剤は、基板との接着性を改善する目的で、官能性シラン含有化合物を含有することができる。官能性シラン含有化合物としては、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができ、さらに特開昭63ー291922号公報記載のテトラカルボン酸二無水物とアミノ基含有シラン化合物との反応物などを挙げることができる。
【0055】
液晶配向膜
本発明の液晶配向剤を用いて液晶配向膜を形成する方法としては、例えば次の方法が挙げられる。まず、透明導電膜が設けられた基板の透明導電膜側に、本発明の液晶配向剤を、例えばロールコーター法、スピンナー法、印刷法、インクジェット法等により塗布し、例えば40〜200℃の温度で加熱して塗膜を形成させる。塗膜の膜厚は、固形分として、好ましくは0.001〜1μm、より好ましくは0.005〜0.5μmである。
前記基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスの如きガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネートの如きプラスチックフィルムからなる透明基板を用いることができる。
前記透明導電膜としては、SnOからなるNESA膜、In−SnOからなるITO膜等を用いることができる。これらの透明導電膜のパターニングには、フォト・エッチング法、予めマスクを用いる方法等が用いられる。
液晶配向剤の塗布に際しては、基板および透明導電膜と塗膜との接着性をさらに良好にするために、基板および透明導電膜上に、予め官能性シラン含有化合物、チタネート等を塗布することもできる。
【0056】
次いで、前記塗膜に直線偏光ないしは部分偏光された放射線、または、無偏光の放射線を照射し、場合によってはさらに150〜250℃の温度で加熱処理を行い、液晶配向能を付与する。放射線としては、150nm〜800nmの波長を有する紫外線および可視光線を用いることができるが、300nm〜400nmの波長を有する紫外線が好ましい。用いた放射線が直線偏光ないしは部分偏光している場合には、照射は基板面に垂直の方向から行っても、プレチルト角を付与するために斜め方向から行ってもよく、また、これらを組み合わせて行ってもよい。無偏光の放射線を照射する場合には、照射の方向は斜め方向である必要がある。
【0057】
前記光源としては、例えば低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、重水素ランプ、メタルハライドランプ、アルゴン共鳴ランプ、キセノンランプ、エキシマーレーザー等が使用できる。また、前記の好ましい波長領域の紫外線は、フィルター、回折格子等を前記光源と併用する手段等により得ることができる。
(なお、本発明における「プレチルト角」とは、基板面と平行な方向からの液晶分子の傾きの角度を表す。)
【0058】
液晶表示素子
本発明の液晶配向剤を用いて形成される液晶表示素子は、次のようにして製造される。前記液晶配向膜が形成された基板を準備し、その2枚を液晶配向膜を照射した直線偏光放射線の偏光方向が所定の角度となるように対向させ、基板の間の周辺部をシール剤でシールし、液晶を充填し、充填孔を封止して液晶セルを構成する。次いで、液晶セルを、用いた液晶が等方相をとる温度まで加熱した後、室温まで冷却して、注入時の流動配向を除去することが望ましい。
そして、その両面に偏光板の偏光方向がそれぞれ基板の液晶配向膜の配向容易軸と所定の角度を成すように偏光板を張り合わせることにより、液晶表示素子とする。液晶配向膜が水平配向性である場合、液晶配向膜が形成された2枚の基板における、照射した直線偏光放射線の偏光方向の成す角度および、それぞれの基板と偏光板との角度を調整することにより、TN型またはSTN型液晶セルを有する液晶表示素子を任意に得ることができる。一方、液晶配向膜が垂直配向性である場合には、液晶配向膜が形成された2枚の基板における配向容易軸の方向が平行となるようにセルを構成し、これに、偏光板を、その偏光方向が配向容易軸と45度の角度をなすように張り合わせて、垂直配向型液晶セルを有する液晶表示素子とすることができる。
【0059】
前記シール剤としては、例えば硬化剤およびスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有したエポキシ樹脂等を用いることができる。
前記液晶としては、例えばネマティック型液晶、スメクティック型液晶などを用いることができる。TN型液晶セルおよびSTN型液晶セルの場合、ネマティック型液晶を形成させる正の誘電異方性を有するものが好ましく、例えばビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶等が用いられる。また前記液晶に、例えばコレスチルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネート等のコレステリック液晶や商品名C−15,CB−15(メルク社製)として販売されているようなカイラル剤等をさらに添加して使用することもできる。さらに、p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメート等の強誘電性液晶も使用することができる。また、垂直配向型液晶セルの場合、ネマティック型液晶を形成させる負の誘電異方性を有するものが好ましく、例えば、ジシアノベンゼン系液晶、ピリダジン系液晶、シッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶等が用いられる。
【0060】
液晶セルの外側に使用される偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながら、ヨウ素を吸収させたH膜と呼ばれる偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板、またはH膜そのものからなる偏光板等を挙げることができる。
【実施例】
【0061】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。実施例および比較例におけるプレチルト角、電圧保持率およびリターデーションは以下の方法により評価した。
【0062】
[プレチルト角]
T.J.Scheffer et. al. J. Appl. Phys.vo.19, p.2013(1980)に記載の方法に準拠し、He−Neレーザー光を用いる結晶回転法により測定した。
【0063】
[液晶の配向性]
液晶表示素子に電圧をオン・オフ(印加・解除)したときの異常ドメインの有無を偏光顕微鏡で観察し、異常ドメインのない場合を「良好」と判定した。
【0064】
[電圧保持率]
液晶表示素子に5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率を測定した。測定装置は(株)東陽テクニカ製VHR−1を使用した。電圧保持率が90%以上の場合を良、それ以外の場合を不良と判断した。
【0065】
合成例1
ポリアミック酸の重合
2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物0.1モル(22.4g)と、天然のγ−オリザノールから特願2006−13115に記載した方法により合成された2−(オリザニルオキシ)エチル(3,5−ジアミノベンゾエート)78.1gを、N−メチル−2−ピロリドン400gに溶解させ、60℃で6時間反応させた。次いで、反応混合物を大過剰のメタノールに注ぎ、反応生成物を沈澱させた。その後、メタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させて、ポリアミック酸(以下、「重合体1a」という)99gを得た。
【0066】
イミド化反応
重合体1a 20.1gに、N−メチル−2−ピロリドン380g、ピリジン3.2gおよび無水酢酸4.08gを添加し、120℃で4時間イミド化反応をさせた。次いで、反応混合液を大過剰のメタノールに注ぎ、反応生成物を沈澱させた。その後メタノールで洗浄し減圧下で15時間乾燥させて、ポリイミド(以下、「重合体1b」という)19gを得た。
【0067】
合成例2
ポリアミック酸の重合
2−(オリザニルオキシ)エチル(3,5−ジアミノベンゾエート)0.1モル(78.1g)に換えて、同様に合成された6−(オリザニルオキシ)ヘキシル(3,5−ジアミノベンゾエート)83.7gを用いたほかは合成例1と同様にして、ポリアミック酸(以下、「重合体2a」という)104gを得た。
【0068】
イミド化反応
重合体1a 20.1gに換えて、重合体2a 21.2gを用いたほかは合成例1と同様にして、ポリイミド(以下、「重合体2b」という)20gを得た。
【0069】
合成例3
ポリアミック酸の重合
2−(オリザニルオキシ)エチル(3,5−ジアミノベンゾエート)0.1モル(78.1g)に換えて、同様に合成された1,3−ジアミノ−4−(6(オリザニルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゼン80.9gを用いたほかは合成例1と同様にして、ポリアミック酸(以下、「重合体3a」という)102gを得た。
【0070】
イミド化反応
重合体1a 20.1gに換えて、重合体3a 20.7gを用いたほかは合成例1と同様にして、ポリイミド(以下、「重合体3b」という)19gを得た。
【0071】
合成例4
ポリアミック酸の重合
2−(オリザニルオキシ)エチル(3,5−ジアミノベンゾエート)0.1モル(78.1g)に換えて、天然のγ−オリザノールから合成されたオリザニルオキシ(2(2,4−ジアミノフェノキシ)アセテート)76.7gを用いたほかは合成例1と同様にして、ポリアミック酸(以下、「重合体4a」という)97gを得た。
【0072】
イミド化反応
重合体1a 20.1gに換えて、重合体4a 19.5gを用いたほかは合成例1と同様にして、ポリイミド(以下、「重合体4b」という)18gを得た。
【0073】
合成例5
ポリアミック酸の重合
2−(オリザニルオキシ)エチル(3,5−ジアミノベンゾエート)0.1モル(78.1g)に換えて、天然のγ−オリザノールから特願2006−13115に記載した方法により合成されたオリザニル(3,5−ジアミノベンゾエート)74.0gを用いたほかは合成例1と同様にして、ポリアミック酸(以下、「重合体5a」という)85gを得た。
【0074】
イミド化反応
重合体1a 20.1gに換えて、重合体5a 18.9gを用いたほかは合成例1と同様にして、ポリイミド(以下、「重合体5b」という)17gを得た。
【0075】
合成例6
ポリアミック酸の重合
2−(オリザニルオキシ)エチル(3,5−ジアミノベンゾエート)0.1モル(78.1g)に換えて、オリザニルオキシ(2(2,4−ジアミノフェノキシ)アセテート) 38.4gとp−フェニレンジアミン 0.05モル(5.4g)を併せて用いたほかは合成例4と同様にして、ポリアミック酸(以下、「重合体6a」という)70gを得た。
【0076】
イミド化反応
重合体1a 20.1gに換えて、重合体6a 14.3gを用いたほかは合成例1と同様にして、ポリイミド(以下、「重合体6b」という)13gを得た。
【0077】
合成例7
ポリアミック酸の重合
オリザニルオキシ(2(2,4−ジアミノフェノキシ)アセテート)38.4gに換えて、オリザニルオキシ(3,5−ジアミノベンゾエート)37.0gを用いたほかは合成例6と同様にして、ポリアミック酸(以下、「重合体7a」という)69gを得た。
【0078】
イミド化反応
重合体1a 20.1gに換えて、重合体6a 14.0gを用いたほかは合成例1と同様にして、ポリイミド(以下、「重合体7b」という)13gを得た。
【0079】
合成例8
ポリアミック酸の重合
2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物0.1モル(22.4g)に換えて、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物0.1モル(19.6g)を用い、重合反応を室温で行なったほかは合成例7と同様にして、ポリアミック酸(以下、「重合体8a」という)59gを得た。
【0080】
合成例9
ポリアミック酸の重合
1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−8−メチル−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン0.1モル(31.3g)、天然のγ−オリザノールから特願2006−13115に記載した方法により合成されたオリザニルオキシ(3,5−ジアミノベンゾエート)0.04モル(29.6g)と、p−フェニレンジアミン 0.06モル(6.5g)とを、N−メチル−2−ピロリドン400gに溶解させ、室温で24時間反応させた。次いで、反応混合物を大過剰のメタノールに注ぎ、反応生成物を沈澱させた。その後、メタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させて、ポリアミック酸(以下、「重合体9a」という)64gを得た。
【0081】
イミド化反応
重合体1a 20.1gに換えて、重合体9a 13.5gを用いたほかは合成例1と同様にして、ポリイミド(以下、「重合体9b」という)12gを得た。
【0082】
合成例10
ポリアミック酸の重合
2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物0.1モル(22.4g)とp−フェニレンジアミン0.1モル(10.8g)をN−メチル−2−ピロリドン300gに溶解させ、60℃で6時間反応させた。次いで、反応混合物を大過剰のメタノールに注ぎ、反応生成物を沈澱させた。その後、メタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させて、ポリアミック酸(以下、「重合体Aa」という)27.4gを得た。
【0083】
ポリアミック酸エステルの合成
16.6gの重合体1aにN−メチル−2−ピロリドン350g、4−(6−ブロモヘキシルオキシ)−4’−(3−コレスタニルオキシ)カルコン 77.4gおよび炭酸カリウム13.8gを添加し、120℃で4時間反応させた。次いで、反応混合液を水に注ぎ、反応生成物を沈澱させた。得られた沈殿物を水で洗浄し減圧下で15時間乾燥させて、ポリアミック酸エステル(以下、「重合体10b」という)85gを得た。
【0084】
合成例11
1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物1.0モル(196.12g)および2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル1.0モル(212.3g)をN−メチル−2−ピロリドン4,500gに溶解させ、40℃で3時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメタノールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、ポリアミック酸(以下、「重合体Ba」という)390gを得た。
【0085】
比較合成例
イミド化反応
20.0gの重合体Aaに、N−メチル−2−ピロリドン380g、ピリジン9.5gおよび無水酢酸12.3gを添加し、120℃で4時間イミド化反応をさせた。次いで、反応混合液を大過剰のメタノールに注ぎ、反応生成物を沈澱させた。その後メタノールで洗浄し減圧下で15時間乾燥させて、ポリイミド(以下、「重合体Ab」という)15.3gを得た。
【0086】
参考例1
比較合成例で得られた重合体AbをN−メチル−2−ピロリドンに溶解させて固形分濃度2.5重量%の溶液とし、この溶液を孔径1μmのフィルターで濾過して、液晶配向剤(以下、「液晶配向剤P」という。)を調製した。この溶液をITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面上に、膜厚が0.1μmになるようにスピンナーを用いて塗布し、180℃で1時間乾燥させて薄膜を形成した。この薄膜に、ナイロン製の布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンを用いて、ロールの回転数500rpm、ステージの移動速度1cm/秒でラビング処理を行った。次に、前記ラビング処理を行った一対の基板について、液晶配向膜を形成した面に直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤をスクリーン印刷塗布した後、ラビング方向が反平行となるように基板を重ね合わせて圧着し、150℃で1時間かけて接着剤を熱硬化させた。次いで、液晶注入口より一対の基板間に、ネマティック型液晶(メルク社製、ZLI−1565)を充填した後、エポキシ系接着剤で液晶注入口を封止した。さらに、液晶注入時の流動配向を除くために、これを150℃で加熱してから室温まで徐冷した。次に、基板の外側両面に、偏光板を、その偏光方向が互いに直交し、かつ、液晶配向膜のラビング方向と45度の角度をなすように貼り合わせて液晶表示素子を作製したところ、液晶の配向性は良好であった。電圧5Vを印加すると、印加した電圧のON−OFFに応答して液晶表示素子の明暗の変化が観察された。また、この液晶セルにおけるプレチルト角は0.5°であり、電圧保持率の判定は良であった。
【0087】
実施例1〜8
合成例1〜6で得られた重合体1a〜6aを、表1に示す組成でN−メチル−2−ピロリドン/ブチルセロソルブ(60/40)(重量比)の混合溶媒に溶解させて固形分濃度2.5重量%の溶液とし、この溶液を孔径1μmのフィルターで濾過して、液晶配向剤B−1〜B−8を調製した。
【0088】
【表1】

【0089】
表1における添加剤は下記のとおり。
E−1: N,N,N’,N’ −テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフ
フェニルメタン
E−2: ビスフェノールAジグリシジルエーテル
次に、液晶配向剤Pに代えて液晶配向剤B−1〜B−8を用いたほかは参考例1と同様にして、基板上に薄膜を形成した。この薄膜表面に、Hg−Xeランプ及びグランテーラープリズムを用いて、313nmの輝線を含む偏光紫外線0.1J/cmを、基板法線から40度傾いた方向から照射した。次に、基板および偏光板の張り合わせの際に、ラビング方向に代えて、紫外線の光軸の基板面への射影方向に従い、液晶として、メルク社製ZLI−1565に代えて、メルク社製MLC−6608を用いた以外は、参考例1と同様の方法で液晶表示素子を作製したところ、液晶の垂直配向性はいずれも良好であった。参考例1と同様の条件で電圧を印加すると、いずれの液晶表示素子においても印加した電圧のON−OFFに応答して、液晶表示素子の明暗の変化が観察された。
【0090】
これらの液晶表示素子のプレチルト角および電圧保持率の判定を表2に示す。
【0091】
【表2】

【0092】
実施例9〜17
合成例1〜6および9で得られた重合体1b〜7bおよび9bを、表3に示す組成で溶媒に溶解させて固形分濃度2.5重量%の溶液とし、この溶液を孔径1μmのフィルターで濾過して、液晶配向剤B−9〜B−17を調製した。
【0093】
【表3】

【0094】
表3における添加剤の記号は、表1と同じである。
【0095】
次に、液晶配向剤B−1に代えて液晶配向剤B−9〜B−17を用いたほかは実施例1と同様にして液晶表示素子を作製した。いずれの液晶表示素子においても、液晶は良好な垂直配向性を示していた。参考例1と同様の条件で電圧を印加すると、いずれの液晶表示素子においても印加した電圧のON−OFFに応答して液晶表示素子の明暗の変化が観察され、電圧印加時の液晶配向性は良好であった。
これらの液晶表示素子のプレチルト角および電圧保持率の判定を表4に示す。
【0096】
【表4】

【0097】
実施例18〜26
合成例1〜7および9で得られた重合体1b〜7bおよび9b、および、合成例10〜11で得られた重合体Aa〜Baを、表5に示す組成で溶媒に溶解させて固形分濃度2.5重量%の溶液とし、この溶液を孔径1μmのフィルターで濾過して、液晶配向剤B−18〜B−26を調製した。
【0098】
【表5】

【0099】
表5において、かっこ内の数値は各成分の重量部を表す。また、添加剤の記号は、表1と同じである。
次に、液晶配向剤B−1に代えて液晶配向剤B−18〜B−26を用いたほかは実施例1と同様にして液晶表示素子を作製した。いずれの液晶表示素子においても、液晶は良好な垂直配向性を示していた。参考例1と同様の条件で電圧を印加すると、いずれの液晶表示素子においても印加した電圧のON−OFFに応答して液晶表示素子の明暗の変化が観察され、電圧印加時の液晶配向性は良好であった。
これらの液晶表示素子のプレチルト角および電圧保持率の判定を表6に示す。
【0100】
【表6】

【0101】
実施例27
合成例10で得られた重合体10bをN−メチル−2−ピロリドン/ブチルセロソルブ(60/40)(重量比)の混合溶媒に溶解させて固形分濃度2.5重量%の溶液とし、この溶液を孔径1μmのフィルターで濾過して、液晶配向剤B−27を調製した。
液晶配向剤B−1に代えて液晶配向剤B−27を用いたほかは実施例1と同様にして、基板上に薄膜を形成した。この薄膜表面に、Hg−Xeランプ及びグランテーラープリズムを用いて、313nmの輝線を含む偏光紫外線0.1J/cmを、基板法線から40度傾いた方向から照射した。次に、実施例1と同様の方法で液晶表示素子を作製したところ、液晶の垂直配向性はいずれも良好であった。参考例1と同様の条件で電圧を印加すると、いずれの液晶表示素子においても印加した電圧のON−OFFに応答して、液晶表示素子の明暗の変化が観察された。
これらの液晶表示素子のプレチルト角および電圧保持率の判定を表7に示す。
【0102】
【表7】

【0103】
実施例28〜53
偏光紫外線の照射方向を基板法線方向からとし、液晶として、メルク社製MLC−6608にかえて、二色性色素ジスパースレッドをメルク社製MLC−6608に0.1wt%溶解したものを用い、かつ偏光板の貼りあわせを行わなかった以外は、実施例1〜26のそれぞれと同様の方法で液晶表示素子を作製したところ、液晶の垂直配向性はいずれも良好であった。参考例1と同様の条件で電圧を印加し、偏光顕微鏡で観察したところ、偏光紫外線の偏光軸と直交する方向の偏光に対してのみ、赤色の着色が認められた。この結果は、得られた配向膜が、偏光紫外線の偏光軸と直交する方向への液晶配向能を持っていることを示している。
【0104】
比較例1
液晶配向剤B−1に代えて液晶配向剤Pを用いたほかは実施例1と同様にして、液晶表示素子を作製したところ、液晶配向は認められなかった。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】基板上に形成された本発明の重合体の薄膜に、偏光した放射線を基板法線方向から傾いた方向から、基板法線と放射線の入射軸がなす面内に偏光軸が存在するように照射した場合の液晶分子の配向方向を示す説明図。
【図2】基板上に形成された本発明の重合体の薄膜に、非偏光の放射線を基板法線から傾いた方向から照射した場合の液晶分子の配向方向を示す説明図。
【図3】基板上に形成された本発明の重合体の薄膜に、偏光した放射線を基板法線方向から照射した場合の液晶分子の配向方向を示す説明図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)、(II)、(III)および(IV)のそれぞれで表わされる構造よりなる群から選ばれる少なくとも1つの構造を側鎖に有する重合体を含有することを特徴とする液晶配向剤。

−P−CR=CR−CO−D−L−S (I)

−P−CR=CR−CO−Q−L−S (II)

−D−CO−CR=CR−P−L−S (III)

−Q−CO−CR=CR−P−L−S (IV)

ここで、P、P、P、P、QおよびQは、互いに独立に、ハロゲンまたは有機基で置換されていてもよい、2価の芳香族基又は不飽和複素環基であり、DおよびDは、互いに独立に、酸素原子またはNR(ただし、Rは水素原子又は炭素数12以下のアルキル基を表わす。)であり、S、S、SおよびSは、互いに独立に、炭素数11〜30の縮合脂環式基を含む1価の有機基であり、L、L、LおよびLは、互いに独立に、単結合又は2価の結合基でありそしてR、R、R、R、R、R、RおよびRは、互いに独立に、水素原子又は炭素数12以下のアルキル基である。
【請求項2】
前記重合体の主鎖がポリアミック酸又はポリイミドである請求項1に記載の液晶配向剤。
【請求項3】
前記重合体の主鎖がポリアミック酸エステルである請求項1に記載の液晶配向剤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の液晶配向剤からなる薄膜に、偏光または非偏光の放射線を照射して液晶配向能を付与してなる液晶配向膜。
【請求項5】
下記(a)および(b)の特性をともに有する薄膜に、偏光または非偏光の放射線を照射して液晶配向能を付与してなる液晶配向膜。
(a)偏光した放射線を基板法線方向から照射したとき、偏光軸と直交する方向への液晶配向能が付与される。
(b)偏光した放射線を、基板法線から傾いた方向から、基板法線と放射線の入射軸がなす面内に偏光軸が存在するようにして照射したとき、基板法線から入射軸方向に傾いた方向への液晶配向能が付与される。
【請求項6】
薄膜が、前記(a)および(b)の特性に加えて、下記(c)の特性を有する、請求項5に記載の液晶配向膜。
(c)非偏光の放射線を、基板法線から傾いた方向から照射したとき、基板法線から放射線の入射軸方向に傾いた方向への液晶配向能が付与される。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれかに記載の液晶配向膜を有することを特徴とする液晶表示素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−224273(P2007−224273A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−318849(P2006−318849)
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】