説明

液晶表示制御装置、液晶表示制御方法及び液晶表示制御プログラム

【課題】周囲の環境に応じ、正面からの視認性を確保しつつ斜めからの視認性を低下させることができる液晶表示制御装置を提供する。
【解決手段】バックライト82は、画像を表示する液晶表示手段81に対し背面側から光を照明する。画素値補正手段83は、液晶表示手段81に表示させる画像の画素値をガンマ補正し、画素値をガンマ補正した画像を液晶表示手段81に表示させる。バックライト制御手段84は、バックライト82の輝度を制御する。照度センサ85は、外部から入射した光の照度を測定する。画素値補正手段83は、照度センサ85が測定した照度が明るいときほど、画素値を小さくするようにガンマ補正し、バックライト制御手段84は、照度センサ85が測定した照度が明るいときほど、バックライト82の輝度を低下させるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正面からの視認性を確保しつつ、正面以外からの視認性を低下させる液晶表示制御装置、液晶表示制御方法及び液晶表示制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
不特定多数の人が集まる場所(例えば、電車内など)で携帯電話機を使用する場合、周りの見知らぬ人に表示内容を見られないようにするため、視認性を低下させる種々の方法が提案されている。
【0003】
例えば、覗き見防止フィルタをLCD(Liquid Crystal Display)部に貼って視認性を低下させる方法が存在する。また、情報を表示するフォントを切り替えることによって、その情報の視認性を低下させる方法も存在する。また、LCD表示部の表示内容を斜めから見えづらくするために、表示内容にガンマ補正を行って視認性を低下させる方法も使用されている。
【0004】
また、特許文献1には、信号処理によって視野角の広狭を適宜変更し、表示内容の秘匿あるいは視認方向の最適化等を図ることを可能にした液晶表示装置が記載されている。特許文献1に記載された液晶表示装置は、入力映像信号に対してコントラスト、ブライトネス処理をRGB(Red-Green-Blue)独立な設定で処理する。その処理された映像信号データを液晶パネルのVT特性より必要な印加電圧に変換するγ変換回路をRGB独立に有し、所望の視野角特性になるようRGB個別に設定された複数のγデータを所定の画素パターンで切り替える。また、液晶表示装置は、バックライトの輝度を制御する制御手段により、視野角制御によって視認方向に対して起こる液晶表示の輝度低下を補ったり、液晶表示のコントラスト感の低減を抑えたりする。
【0005】
特許文献2には、表示部の使用状態に応じて、適切に視野角を維持する液晶表示装置が記載されている。特許文献2に記載された液晶表示装置は、画面に表示するための内容を示す表示データに対して、ガンマ補正などのソフトウェアによる画像処理を行い、例えば、輝度を補正することによって視野角を変更する。このとき、液晶表示装置は、あらかじめ設定されている画像補正パラメータを用いて補正を行う。
【0006】
【特許文献1】特開2001−147673号公報(段落0034〜0040、図2)
【特許文献2】特開2008−152052号公報(段落0091〜0095,0111,0121,0122、図3、図9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記方法などを用いて視認性を低下させることにより、プライバシーが守られてきた。しかし、携帯電話機の高機能薄型化が進み、LCD部にフィルタを貼るスペースが狭くなったため、例えば、開閉式の携帯電話機などでは、閉じた後にフィルタが邪魔をして携帯電話機が正しく閉じない状態になる場合があった。また、ガンマ補正により視認性を低下させた場合、斜め方向からだけでなく、正面からの視認性も低下させてしまうという課題があった。
【0008】
液晶表示部に表示される映像は、周囲の環境によって左右されることが多い。例えば、夜間や暗い場所で表示される映像と、昼間などの明るい場所で表示される映像では、同じ輝度で表示されていても、その映像の見え方は異なる。すなわち、暗い場所では視認性は高くなり、明るい場所では視認性は低下する。そのため、明るい場所に適した設定にした場合、暗い場所では視認性が低下せず、逆に、暗い場所に適した設定にした場合、明るい場所で視認性が低下しすぎてしまう。特許文献1及び特許文献2に記載された液晶表示装置に画像を表示する場合、周囲の環境によっては必ずしも見えやすい画像に補正されるとは限らなかった。
【0009】
そこで、本発明は、周囲の環境に応じ、正面からの視認性を確保しつつ斜めからの視認性を低下させることができる液晶表示制御装置、液晶表示制御方法及び液晶表示制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による液晶表示制御装置は、画像を表示する液晶表示手段と、液晶表示手段に対し背面側から光を照明するバックライトと、液晶表示手段に表示させる画像の画素値をガンマ補正し、画素値をガンマ補正した画像を液晶表示手段に表示させる画素値補正手段と、バックライトの輝度を制御するバックライト制御手段と、外部から入射した光の照度を測定する照度センサとを備え、画素値補正手段が、照度センサが測定した照度が明るいときほど、画素値を小さくするようにガンマ補正し、バックライト制御手段が、照度センサが測定した照度が明るいときほど、バックライトの輝度を低下させるように制御することを特徴とする。
【0011】
本発明による液晶表示制御方法は、外部から入射した光の照度を測定する照度測定ステップと、液晶表示手段に表示させる画像の画素値をガンマ補正して、液晶表示手段に表示させる画素値補正ステップと、液晶表示手段に対し背面側から光を照明するバックライトの輝度を制御するバックライト制御ステップとを含み、画素値補正ステップで、照度が明るい場合に画素値を小さくするようにガンマ補正し、バックライト制御ステップで、照度が明るい場合にバックライトの輝度を低下させるように制御することを特徴とする。
【0012】
本発明による液晶表示制御プログラムは、外部から入射した光の照度を測定する照度センサを備えたコンピュータに搭載される液晶表示制御プログラムであって、コンピュータに、液晶表示手段に表示させる画像の画素値をガンマ補正して、液晶表示手段に表示させる画素値補正処理、および、液晶表示手段に対し背面側から光を照明するバックライトの輝度を制御するバックライト制御処理を実行させ、画素値補正処理で、照度が明るい場合に画素値を小さくするようにガンマ補正させ、バックライト制御処理で、照度が明るい場合にバックライトの輝度を低下させるように制御させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、周囲の環境に応じ、正面からの視認性を確保しつつ斜めからの視認性を低下させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0015】
実施形態1.
図1は、本発明における液晶表示制御装置の例を示すブロック図である。なお、以下の説明では、液晶表示制御装置が携帯電話機である場合について説明する。本実施形態における携帯電話機は、アンテナ301と、無線部302と、制御部303と、LCD表示部306と、操作部307と、LCDバックライト部308と、レシーバ309と、マイクロフォン(以下、マイクという。)310と、音声処理部311と、照度センサ312とを備えている。
【0016】
無線部302は、アンテナ301を介して、基地局(図示せず)と信号の送受信を行う。無線部302は、アンテナ301を介して受信した信号から受信したい信号周波数を選択し、例えば、選択した信号に対して周波数変換を行い、増幅し、復調したデータ(以下、受信データと記す。)を生成する。また、例えば、マイク310を介して入力された音声がデジタル信号に変換され、そのデジタル信号をもとに送信データが生成されたときに、無線部302は、その送信データを変調し、規定の周波数の搬送波として増幅したデータを、アンテナ301を介して送信する。
【0017】
音声処理部311は、例えば、受信データを制御部303が音声信号に変換したときに、その音声信号をアナログ信号に変換し、レシーバ309に音声を出力させる。また、音声処理部311は、例えば、マイク310を介して音声が入力されたときに、その音声をデジタル信号に変換する。
【0018】
照度センサ312は、外部から入射した光の照度を測定するセンサである。
【0019】
制御部303は、CPU304と、メモリ305とを含む。メモリ305は、携帯電話機を制御するプログラムや、液晶表示プログラム、電話帳やメール等のデータを記憶する記憶装置である。CPU304は、メモリ305が記憶する液晶表示プログラムに従って動作する。
【0020】
また、制御部303は、マイク310を介して入力された音声を音声処理部311がデジタル信号に変換したときに、そのデジタル信号をもとに送信データを生成する。
【0021】
また、制御部303は、照度センサ312が周囲の照度を検知すると、例えば、その照度をデジタル値に変換してレジスタ(図示せず。以下、照度レジスタと記す。)に記憶させる。
【0022】
さらに制御部303は、照度レジスタに記憶された明るさ(以下、検知照度と記す。)をもとに周囲の明るさを判定する。例えば、メモリ305に、明るさを判定するための閾値(以下、明るさ判定値と記す。)を記憶している場合、制御部303は、検知照度と明るさ判定値とを比較し、検知照度が明るさ判定値よりも明るいか否かを判断する。なお、以下の説明では、メモリ305が1つの明るさ判定値を記憶し、制御部303がその判定値を読み取って明るいか否かを判断する場合について説明するが、メモリ305に記憶される明るさ判定値は1つである場合に限定されない。例えば、メモリ305が明るさ判定値を複数記憶している場合、制御部303は、複数の明るさ判定値をもとに明るさの程度を判断してもよい。
【0023】
操作部307は、携帯電話機の利用者によって操作される入力デバイスである。操作部307は、例えば、キーボードやテンキー等の入力デバイスであるが、操作部307の形態は、キーボードやテンキーに限定されない。制御部303は、操作部307を介して行われる操作を監視し、例えば、携帯電話機の利用者による操作を検知すると、その操作に基づく処理を行う。
【0024】
LCD表示部306は、画像データを表示するLCD3061と、表示の制御を行うLCD表示制御部3062とを含む。LCD表示制御部3062は、LCD3061に表示させる画像データの視認性を低下させるため、表示する画像データの画素値に対してガンマ補正を行う。画像データの画素値をInとし、ガンマ調整値をγとしたとき、ガンマ補正後の画素値Outを算出する式は、例えば、以下の式1で定義できる。
【0025】
【数1】

【0026】
すなわち、LCD表示制御部3062は、式1の計算を行うことによってガンマ補正を行えばよい。
【0027】
ガンマ調整値γは、ガンマ調整値を記憶するレジスタ(図示せず。以下、ガンマ補正用レジスタと記す。)に記憶され、LCD表示制御部3062は、そのガンマ補正用レジスタに記憶されたガンマ調整値を読み取り、画像データに対するガンマ補正を行う。すなわち、ガンマ補正用レジスタの内容を変更することで、画像データの画素値を調整する。
【0028】
画素値を表現する方法として、例えば、RGBの明度が用いられる。RGBの明度は、例えば、0から255の範囲で表現され、RGBの明度の値が大きいほど画像は白く表示される。そこで、RGBの明度に所定の値(以下、オフセットと記す。)を加算すれば、画像は白っぽく表示され、画像の視認性は低下する。そこで、ガンマ補正用レジスタには、RGBの明度にオフセットを加えて白っぽい表示に調整できるようなガンマ調整値γの値を記憶させる。なお、以下の説明では、ガンマ補正によって白っぽい表示に補正することを、「RGBの明度にオフセットを加え」と記載することもある。
【0029】
ここで、ガンマ調整値γは、画像の色が白色に近いと観察者に視認させることが可能な範囲の値である。ガンマ調整値は、このような性質から画像の見栄えを良くするために使用されることが多いが、白っぽい表示に調整するように使用されることで斜めからの視認性を低下させることができるという効果がある。
【0030】
LCDバックライト部308は、LCD3061に対して背面側から光を照明するLCDバックライト3081と、LCDバックライト制御部3082とを含む。LCDバックライト制御部3082は、LCDバックライト3081に照明させる光の輝度を調整する。輝度を調整するための値(以下、輝度調整値と記す。)は、輝度調整値を記憶するレジスタ(図示せず。以下、輝度調整用レジスタと記す。)に記憶され、LCDバックライト制御部3082は、その輝度調整用レジスタに記憶された輝度調整値を読み取って輝度を調整する。輝度調整値は、例えば、カンデラのように輝度を示す単位で表わされる値であってもよい。
【0031】
また、携帯電話機は、不揮発性メモリ(図示せず)を備え、その不揮発性メモリは、事前に調整されたガンマ調整値や輝度調整値を複数種類記憶する。不揮発性メモリは、例えば、明るい場所用のガンマ補正値や輝度調整値、及び暗い場所用のガンマ補正値や輝度調整などをそれぞれ記憶する。例えば、操作部307を介して表示変更の指示が行われたときに、制御部303は、不揮発性メモリに記憶された複数種類のガンマ調整値や輝度調整値を照度に応じて読み取り、ガンマ補正用レジスタに記憶されたガンマ調整値や輝度調整用レジスタに記憶された輝度調整値を更新する。
【0032】
なお、不揮発性メモリはメモリ305と同一の記憶装置であってもよく、別々であってもよい。不揮発性メモリとメモリ305が同一の記憶装置である場合、メモリ305が不揮発性メモリであればよい。
【0033】
LCD表示制御部3062及びLCDバックライト制御部3082も、メモリ305が記憶する液晶表示プログラムに従って動作するCPU304によって実現されていてもよい。すなわち、CPU304がプログラムに従ってLCD表示制御部3062、LCDバックライト制御部3082として動作してもよい。あるいは、図1に示すように、LCD表示制御部3062と、LCDバックライト制御部3082とは、CPU304とは別のハードウェアとして設けられていてもよい。
【0034】
LCD表示制御部3062がガンマ補正及び輝度の調整を同時に行うと、正面からの視認性を確保しつつ斜めからの視認性を低下させることができる。以下、上記内容について、図2及び図3を用いて詳述する。
【0035】
図2は、左斜め101、正面102、右斜め103の方向から携帯電話機のLCD表示部104を参照している場合の例を示す説明図である。
【0036】
LCD表示部104に表示する情報の視認性を低下させるため、LCD表示制御部3062は、表示内容の見栄えを調整するガンマ補正を行うことによって表示する情報の視認性を低下させる。具体的には、ガンマ補正によりRGBの明度にオフセットを加えることで表示データを白っぽく調整して視認性を低下させる。図3(a)は、ガンマ補正を行って視認性を低下させたときにLCD表示部104に表示される表示内容の例を示す説明図である。図3(a)の例に示すように、ガンマ補正のみ行った場合には、正面102方向から見た場合だけでなく、左斜め101及び右斜め103から見た場合も同様に視認性が低下する。逆に、正面102方向からの視認性を高めようとガンマ補正を行った場合、左斜め101及び右斜め103方向の視認性も同様に高くなってしまう。
【0037】
そこで、LCDバックライト制御部3082は、ガンマ補正と併せてLCDバックライト3081の輝度を調整する。LCDバックライトは、正面方向の指向性が高く、斜め方向の指向性は低いという特徴を備えている。そのため、LCDバックライト3081の照明する光の輝度を下げると、斜めからの視認性が正面からよりも低くなり、斜めからは特に見えづらくなる。図3(b)は、ガンマ補正に加え、バックライトの輝度を下げたときにLCD表示部104に表示される表示内容の例を示す説明図である。図3(b)の例に示すように、ガンマ補正により、正面及び斜め方向からの視認性を低下させ、加えて、LCDバックライト3081の輝度を下げることで、斜め方向からの視認性を相対的に低下させることができる。そのため、ガンマ補正によりRGBの明度に加えるオフセットを、図3(a)の例に示す値よりも低くしても、斜め方向からの視認性を低く抑えることができる。
【0038】
なお、LCD表示制御部3062及びLCDバックライト制御部3082は、ガンマ補正やLCDバックライト3081の輝度調整に用いる値(ガンマ調整値、輝度調整値など)として、不揮発性メモリ(または、メモリ305)に事前に調整されて記憶された最適値を用いればよい。
【0039】
次に、動作について説明する。照度センサ312は、例えば、外部から入射した光の照度を定期的に測定し、制御部303は、照度センサ312が照度を測定したことを検知したときに、照度レジスタに検知照度を記憶させる。
【0040】
図4は、照度レジスタに検知照度が記憶されている状態から画像を表示させるまでの処理の例を示すフローチャートである。例えば、携帯電話機の操作者が操作部307を介して視認性を低下させる操作を行うと、制御部303は、照度レジスタに記憶された検知照度を読み取る(ステップS501)。また、制御部303は、メモリ305から明るさ判定値を読み取る(ステップS502)。
【0041】
制御部303は、読み取った検知照度と明るさ判定値を比較し、検知照度が明るさ判定値より明るいか否か判断する(ステップS503)。検知照度が明るさ判定値より明るい場合(ステップS503におけるYES)、制御部303はメモリ305から明るい場所用のガンマ調整値を読み取る(ステップS505)。一方、検知照度が明るさ判定値より明るくない場合(ステップS503におけるNO)、制御部303はメモリ305から暗い場所用のガンマ調整値を読み取る(ステップS504)。制御部303は、読み取ったガンマ調整値をガンマ補正用レジスタに記憶させる(ステップS506)。LCD表示制御部3062は、ガンマ補正用レジスタに記憶されたガンマ調整値をもとに表示データに対してガンマ補正を行い(すなわち、RGBの明度にオフセットを加えて白みがかった表示にする)、補正後の表示データをLCD3061に表示させることにより視認性を低下させる。
【0042】
周りが明るい場合、LCD3061が表示する画像の視認性は、周りが暗い場合に比べて低くなる。そのため、ガンマ補正では相対的に視認性を低下させない方が良い。相対的に視認性を低下させないためには、画像を白っぽくしない事が必要になる。画像を白っぽくしないためには、画素値の明度を小さくすればよい。そこで、LCD表示制御部3062は、照度センサ312が測定した照度が明るいときほど、画像の画素値を小さくするように制御する。このとき、明るい場所用のガンマ調整値には、暗い場所用のガンマ調整値に比べて画素値の明度を小さくするように補正するための値を記憶させればよい。
【0043】
同様に、制御部303は、読み取った検知照度と明るさ判定値を比較し、検知照度が明るさ判定値より明るいか否か判断し(ステップS507)、検知照度が明るさ判定値より明るい場合(ステップS507におけるYES)、制御部303はメモリ305から明るい場所用の輝度調整値を読み取る(ステップS509)。一方、検知照度が明るさ判定値より明るくない場合(ステップS507におけるNO)、制御部303はメモリ305から暗い場所用の輝度調整値を読み取る(ステップS508)。制御部303は、読み取った輝度調整値を輝度調整用レジスタに記憶させる(ステップS510)。LCDバックライト制御部3082は、輝度調整用レジスタに記憶された輝度調整値に応じてLCDバックライト3081が照明する輝度を下げることにより、斜めからの視認性を低下させる。
【0044】
周りが明るい場合、上記処理によりガンマ補正では相対的に視認性は低下しない。そのため、斜め方向からの視認性を低くするためには、輝度を低下させればよい。そこで、LCDバックライト制御部3082は、照度センサ312が測定した照度が明るいときほど、LCDバックライト3081が照明する輝度を低下させるように制御する。このとき、明るい場所用の輝度調整値には、暗い場所用の輝度調整値に比べて輝度を小さくするように調整するための値を記憶させればよい。
【0045】
なお、上記説明では、ガンマ補正用レジスタと輝度調整用レジスタのいずれも、明るい場所用の値と暗い場所用の値の2種類の値を記憶している場合について説明した。本発明による携帯電話機では、ガンマ補正用レジスタと輝度調整用レジスタが記憶する値は、2種類の値に限定されない。例えば、メモリ305に記憶された明るさ判定値に応じて、複数の値を記憶していてもよい。
【0046】
本発明によれば、照度センサ312が測定した検知照度が明るい場合、LCD表示制御部3062が、画像の画素値を小さくするようにガンマ補正した画像をLCD3061に表示させる。併せて、LCDバックライト制御部3082が、LCDバックライト3081の輝度を低下させるように制御する。そのため、周囲の環境に応じ、正面からの視認性を確保しつつ斜めからの視認性を低下させることができる。すなわち、周囲の明るさに応じて視認性を変更できるので、周囲の環境が異なっても、正面からの視認性を確保しつつ斜めからの視認性を低下させることができる。
【0047】
実施形態2.
次に、第2の実施形態における液晶表示制御装置について説明する。第2の実施形態における液晶表示制御装置は、図1の例に示す第1の実施形態と同様の構成であるが、照度センサ312を使用しない点において第1の実施形態と異なる。すなわち、LCD表示制御部3062が、あらかじめガンマ補正用レジスタに記憶されたガンマ調整値を用いてガンマ補正を行い、LCDバックライト制御部3082が、あらかじめ輝度調整用レジスタに記憶された輝度調整値を用いて輝度を制御する場合について説明する。
【0048】
図5は、画像を表示させるまでの処理の例を示すフローチャートである。例えば、携帯電話機の操作者が操作部307を介して視認性を低下させる操作を行うと、制御部303は、メモリ305からガンマ調整値を読み取る(ステップS601)。制御部303は、読み取ったガンマ調整値をガンマ補正用レジスタに記憶させる(ステップS602)。LCD表示制御部3062は、ガンマ補正用レジスタに記憶されたガンマ調整値をもとに表示データに対してガンマ補正を行い(すなわち、RGBの明度にオフセットを加えて白みがかった表示にする)、補正後の表示データをLCD3061に表示させることにより視認性を低下させる。
【0049】
また、制御部303は、メモリ305から輝度調整値を読み取る(ステップS603)。制御部303は、読み取った輝度調整値を輝度調整用レジスタに記憶させる(ステップS604)。LCDバックライト制御部3082は、輝度調整用レジスタに記憶された輝度調整値に応じてLCDバックライト3081が照明する輝度を下げることにより、斜めからの視認性を低下させる。
【0050】
このように、ガンマ補正によって表示データを白みがかった表示とし、さらに、LCDバックライト3081が照明する光の輝度を下げることによって、正面からの視認性を確保しつつ斜めからの視認性を低下させることができる。なお、第1の実施形態では、第2の実施形態の動作に加え、照度センサ312を利用してガンマ調整値及び輝度調整値を変化させているため、第2の実施形態の効果に加え、周りの明るさに応じて視認性を変化させることができるという効果が得られる。
【0051】
図6は、本発明における液晶表示制御装置の概要を示すブロック図である。本発明による液晶表示制御装置80は、画像を表示する液晶表示手段81(例えば、LCD3061)と、液晶表示手段81に対し背面側から光を照明するバックライト82(例えば、LCDバックライト3081)と、液晶表示手段81に表示させる画像の画素値(例えば、画素値の明度)をガンマ補正し、画素値をガンマ補正した画像を液晶表示手段81に表示させる画素値補正手段83(例えば、LCD表示制御部3062)と、バックライト82の輝度を制御するバックライト制御手段84(例えば、LCDバックライト制御部3082)と、外部から入射した光の照度を測定する照度センサ85(例えば、照度センサ312)とを備える。
【0052】
画素値補正手段83は、照度センサ85が測定した照度が明るいときほど、画素値を小さくするようにガンマ補正し、バックライト制御手段84は、照度センサ85が測定した照度が明るいときほど、バックライト82の輝度を低下させるように制御する。
【0053】
そのような構成により、周囲の環境に応じ、正面からの視認性を確保しつつ斜めからの視認性を低下させることができる。
【0054】
すなわち、画素値補正手段83が、液晶表示手段81に表示させる画像の画素値を補正して画素値を補正した画像を液晶表示手段81に表示させることにより正面及び斜め方向からの視認性を低下させる。さらに、バックライト制御手段84が、バックライト82の輝度を下げることで、斜め方向からの視認性を相対的に低下させる。このようにして、正面からの視認性を確保しつつ斜めからの視認性を低下させることができる。さらに、画素値補正手段83が、照度センサ85が測定した照度が明るいときほど、画素値を小さくするように補正し、バックライト制御手段84が、照度センサ85が測定した照度が明るいときほど、バックライト82の輝度を低下させるように制御するため、周囲の環境に応じて視認性を低下させることができる。
【0055】
また、画素値補正手段83が、照度センサ85が測定した照度に応じて(例えば、検知照度と明るさ判定値とを比較して)定めたガンマ値(例えば、明るい場所用のガンマ調整値、暗い場所用のガンマ調整値)を用いて画素値を補正してもよい。
【0056】
また、バックライト制御手段84が、照度センサ85が測定した照度に応じて(例えば、検知照度と明るさ判定値とを比較して)定めた輝度制御値(例えば、明るい場所用の輝度調整値、暗い場所用の輝度調整値)を用いてバックライトの輝度を制御してもよい。
【0057】
また、上記実施形態には、ガンマ補正に用いるガンマ値を複数種類記憶したガンマ値記憶手段(例えば、ガンマ補正用レジスタ)を備え、画素値補正手段83が、照度センサ85が測定した照度に応じたガンマ値をガンマ値記憶手段から選択して画素値をガンマ補正する構成が開示されている。
【0058】
また、上記実施形態には、バックライトの輝度を制御する輝度制御値(例えば、輝度調整値)を複数種類記憶した輝度制御値記憶手段(例えば、輝度調整用レジスタ)を備え、バックライト制御手段84が、照度センサ85が測定した照度に応じた輝度制御値を輝度制御値記憶手段から選択してバックライトの輝度を制御する構成が開示されている。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、正面からの視認性を確保しつつ、正面以外からの視認性を低下させる液晶表示制御装置に好適に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明における液晶表示制御装置の例を示すブロック図である。
【図2】複数の方向から携帯電話機のLCD表示部104を参照している場合の例を示す説明図である。
【図3】LCD表示部104に表示される表示内容の例を示す説明図である。
【図4】画像を表示させるまでの処理の例を示すフローチャートである。
【図5】画像を表示させるまでの処理の例を示すフローチャートである。
【図6】本発明における液晶表示制御装置の概要を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0061】
301 アンテナ
302 無線部
303 制御部
304 CPU
305 メモリ
306 LCD表示部
3061 LCD
3062 LCD表示制御部
307 操作部
308 LCDバックライト部
3081 LCDバックライト
3082 LCDバックライト制御部
309 レシーバ
310 マイクロフォン
311 音声処理部
312 照度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する液晶表示手段と、
前記液晶表示手段に対し背面側から光を照明するバックライトと、
前記液晶表示手段に表示させる画像の画素値をガンマ補正し、当該画素値をガンマ補正した画像を前記液晶表示手段に表示させる画素値補正手段と、
前記バックライトの輝度を制御するバックライト制御手段と、
外部から入射した光の照度を測定する照度センサとを備え、
前記画素値補正手段は、前記照度センサが測定した照度が明るいときほど、前記画素値を小さくするようにガンマ補正し、
前記バックライト制御手段は、前記照度センサが測定した照度が明るいときほど、前記バックライトの輝度を低下させるように制御する
ことを特徴とする液晶表示制御装置。
【請求項2】
画素値補正手段は、照度センサが測定した照度に応じて定めたガンマ値を用いて画素値をガンマ補正する
請求項1記載の液晶表示制御装置。
【請求項3】
バックライト制御手段は、照度センサが測定した照度に応じて定めた輝度制御値を用いてバックライトの輝度を制御する
請求項1または請求項2に記載の液晶表示制御装置。
【請求項4】
ガンマ補正に用いるガンマ値を複数種類記憶したガンマ値記憶手段を備え、
画素値補正手段は、照度センサが測定した照度に応じたガンマ値を前記ガンマ値記憶手段から選択して画素値をガンマ補正する
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の液晶表示制御装置。
【請求項5】
バックライトの輝度を制御する輝度制御値を複数種類記憶した輝度制御値記憶手段を備え、
バックライト制御手段は、照度センサが測定した照度に応じた輝度制御値を前記輝度制御値記憶手段から選択してバックライトの輝度を制御する
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の液晶表示制御装置。
【請求項6】
外部から入射した光の照度を測定する照度測定ステップと、
液晶表示手段に表示させる画像の画素値をガンマ補正して、当該液晶表示手段に表示させる画素値補正ステップと、
前記液晶表示手段に対し背面側から光を照明するバックライトの輝度を制御するバックライト制御ステップとを含み、
前記画素値補正ステップで、前記照度が明るい場合に画素値を小さくするようにガンマ補正し、
前記バックライト制御ステップで、前記照度が明るい場合に前記バックライトの輝度を低下させるように制御する
ことを特徴とする液晶表示制御方法。
【請求項7】
画素値補正ステップで、外部から入射した光の照度に応じて定めたガンマ値を用いて画素値をガンマ補正する
請求項6記載の液晶表示制御方法。
【請求項8】
バックライト制御ステップで、外部から入射した光の照度に応じて定めた輝度制御値を用いてバックライトの輝度を制御する
請求項6または請求項7に記載の液晶表示制御方法。
【請求項9】
画素値補正ステップで、ガンマ補正に用いるガンマ値としてあらかじめ定められた複数種類の値の中から照度に応じたガンマ値を選択して画素値をガンマ補正する
請求項6から請求項8のうちのいずれか1項に記載の液晶表示制御方法。
【請求項10】
バックライト制御ステップで、バックライトの輝度を制御する輝度制御値として予め定められた複数種類の値の中から照度に応じた輝度制御値を選択してバックライトの輝度を制御する
請求項6から請求項9のうちのいずれか1項に記載の液晶表示制御方法。
【請求項11】
外部から入射した光の照度を測定する照度センサを備えたコンピュータに搭載される液晶表示制御プログラムであって、
前記コンピュータに、
液晶表示手段に表示させる画像の画素値をガンマ補正して、当該液晶表示手段に表示させる画素値補正処理、および、
前記液晶表示手段に対し背面側から光を照明するバックライトの輝度を制御するバックライト制御処理を実行させ、
前記画素値補正処理で、前記照度が明るい場合に画素値を小さくするようにガンマ補正させ、
前記バックライト制御処理で、前記照度が明るい場合に前記バックライトの輝度を低下させるように制御させる
ための液晶表示制御プログラム。
【請求項12】
コンピュータに、
画素値補正処理で、外部から入射した光の照度に応じて定めたガンマ値を用いて画素値をガンマ補正させる
請求項11記載の液晶表示制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−122400(P2010−122400A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−294918(P2008−294918)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】