説明

液晶表示装置及びその製造方法

【課題】画素ごとの開口率を減少させることなく補助容量電極の容量を増大させた、比較的小さな画素面積ないしは高精細化に好適な液晶表示装置及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】透明基板11上にマトリクス状に配置された複数の信号線17及び走査線と、走査線間に平行に設けられた複数の補助容量線と、信号線及び走査線の交点近傍に設けられた薄膜トランジスタTFTと、信号線17及び走査線により区画されるそれぞれの位置に配置されるとともに薄膜トランジスタTFTのドレイン電極Dに電気的に接続された画素電極20とを備えた液晶表示装置10において、前記薄膜トランジスタTFTのゲート電極G及び走査線は第1層目の絶縁膜25及び第2層目の絶縁層26からなるゲート絶縁膜で被覆され、補助容量電極18a上に前記第2層目の絶縁層26を介して薄膜トランジスタTFTのドレイン電極Dが延在されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示装置及びその製造方法に関し、特に画素ごとの開口率を減少させることなく補助容量電極の容量を増大させた、比較的小さな画素面積ないしは高精細化に好適な液晶表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報通信機器のみならず一般の電気機器においても液晶表示装置が多く利用されている。液晶表示装置は、表面に電極等が形成された一対のガラス等からなる基板と、この一対の基板間に形成された液晶層と、からなり、基板上の電極に電圧を印加することによって液晶分子を再配列することで光の透過率を可変し、種々の映像を表示するものである。
【0003】
このような液晶表示装置は、その表面にマトリクス状に走査線及び信号線を形成し、この両配線により囲まれた領域に液晶駆動用のスイッチング素子である薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor :TFT)、液晶に電圧を印加する画素電極及び信号を保持するための補助容量を形成する補助容量線が形成されたアレイ基板と、表面に赤(R)、緑(G)、青(B)等のカラーフィルタ及び共通電極等が形成されたカラーフィルタ基板とからなり、両基板間に液晶が封入された構成を備えている。
【0004】
アレイ基板に形成される補助容量線は、信号線から供給される信号の電荷を一定期間保持する補助容量を形成するために設けられるものであり、補助容量はこの補助容量線とTFTのドレイン電極ないしは画素電極の一部を電極とし、TFTのゲート電極を覆うゲート絶縁膜を誘電体としてコンデンサを形成することにより設けられている。なお、この補助容量線は一般的にアルミニウム、モリブデンあるいはクロムなどの遮光性導電部材から形成されている。
【0005】
ところで、この補助容量は、液晶表示装置のクロストークあるいはフリッカを防止する観点から、容量を大きくする必要があるが、近年の技術革新に伴って液晶表示装置の小型化・高精細化が進展したことにより個々の画素サイズが小さくなったため、画素ごとの開口率を考慮すると補助容量を多くとるために補助容量線自体を太くすることは現実的に困難である。
【0006】
上記のような問題点を解決するものとして、下記特許文献1に開示された液晶表示装置のアレイ基板70を図9を用いて説明する。なお、図9Aはアレイ基板の平面図、図9Bは図9AのIXB−IXB断面図である。
【0007】
この液晶表示装置のアレイ基板70は、図9A及び図9Bに示すように、透明な絶縁基板71上にアルミニウム、クロム、モリブデン、窒化クロム、窒化モリブデンまたはこれらの合金などの導電物質からなる走査線72、補助容量線73及び長方形の補助容量パターン74が形成されている。走査線72は薄膜トランジスタTFTのゲート電極Gに接続されており、補助容量パターン74は補助容量線73に接続されている。
【0008】
絶縁基板71上には窒化ケイ素または酸化ケイ素のような絶縁物質からなる厚さ2500〜4500Åのゲート絶縁膜75が走査線72、補助容量線73及び補助容量パターン74を覆っている。ゲート絶縁膜75上にはゲート電極Gと重なり、非晶質シリコンなどからなる半導体パターン76が形成されている。半導体パターン76の一部とゲート絶縁膜75上には導電物質からなる信号線77及び補助容量用導電パターン78が形成されている。信号線77は縦方向に延びており、TFTのソース電極Sを兼ねている。
【0009】
補助容量用導電パターン78はこのような信号線77と同一層に島形状で形成されており、ゲート絶縁膜75を介してその下部に位置する補助容量パターン74と重なって補助容量を形成する。この時、補助容量用導電パターン78は後述する画素電極79と電気的に接続されている。
【0010】
そして、このような信号線77、補助容量用導電パターン78及び半導体パターン76を窒化ケイ素または酸化ケイ素のような絶縁物質からなる500〜2000Å厚さの保護絶縁膜80が覆っている。保護絶縁膜80にはドレイン電極Dの上部にコンタクトホール81が形成されており、補助容量用導電パターン78の上部に開口82が設けられている。そして、保護絶縁膜80上には画素電極79が形成され、コンタクトホール81を介して画素電極79とドレイン電極Dとが電気的に接続されているとともに、開口82を介して補助容量用導電パターン78と画素電極79とが接続され、結果として補助容量用導電パターン78とドレイン電極Dとが画素電極79を介して電気的に接続される。この画素電極79はITO(Indium Tin Oxide)またはIZO(Indium Zinc Oxide)のような透明導電物質で形成されている。
【0011】
このような従来技術において、画素電極79は、補助容量線73及び補助容量用導電パターン78と重なるが、補助容量線73とは保護絶縁膜80及びゲート絶縁膜75を間に置いて補助容量を形成し、また、画素電極79は補助容量用導電パターン78に電気的に接続されているが、補助容量用導電パターン78は補助容量パターン74とゲート絶縁膜75を隔てて他の補助容量を形成する。この場合、補助容量用導電パターン78と補助容量パターン74の間に介在しているゲート絶縁膜75の厚さが薄いために、補助容量パターン74が画素電極79と重なって補助容量を形成する場合に比べて同一の重畳面積を有しても更に大きい静電容量を確保することができる。したがって、下記特許文献1に開示されている液晶表示装置においては、補助容量パターン74及び補助容量線73の面積を広げなくても静電容量を増加させることができるので、静電容量対比開口率を向上させることができるというものである。
【0012】
しかしながら、下記特許文献1に開示された液晶表示装置のアレイ基板70においては、静電容量(補助容量)が、補助容量用導電パターン78と補助容量パターン74とを電極とし、その間に設けられているゲート絶縁膜75を誘電体としており、このゲート絶縁膜75の厚さは薄いとされているが、それでもゲート絶縁膜75の厚さは2500〜4500Åともあるため、クロストークあるいはフリッカ等の表示不良を抑制するのに十分な補助容量を確保するためには、やはり遮光性の導電物質からなる補助容量パターン74の面積を大きくせざるを得ない。すなわち、下記特許文献1に開示された液晶表示装置のアレイ基板70において、補助容量を大きくするにはゲート絶縁膜75の厚さを薄くすることによっても可能であるが、ゲート絶縁膜75の厚さそのものをより薄くするとゲート絶縁膜75によって覆われるゲート電極G及び走査線72と他の部材との間の電気的絶縁性を保つことが困難となる。
【0013】
また、容量の大きな補助容量を得るものとして、下記特許文献2に開示された液晶表示装置90のアレイ基板を図10及び図11を用いて説明する。なお、図10は下記特許文献2に開示されているアレイ基板の数画素分の平面図であり、図11A〜図11Gは図10のアレイ基板の製造工程を順に示す部分断面図である。まず、ガラス板からなる絶縁性基板91上にITO(Indium Tin Oxide)からなる補助容量線92をパターン形成する。次に、ゲート金属膜93を形成しパターニングする(図11A)。
【0014】
更に、プラズマCVD等によって、SiNあるいはSiOからなるゲート絶縁膜94、活性層としての例えばa−Siからなる非晶質半導体膜95、更に、不純物をドープした例えばna−Si膜からなるオーミックコンタクト用半導体膜96を連続して形成する(図11B)。このとき、絶縁膜の膜厚Aは、ドレイン・ゲート、ソース・ゲート間のショートが発生しないように充分厚く、例えばX=4000Åに設定する。
【0015】
次に、オーミックコンタクト用半導体膜96と非晶質半導体膜95とを同一のレジストでパターンにエッチングする(図11C)。そして、補助容量線92と、後工程で形成される画素電極97とが重なる部分を開口パターン(図10の破線部分)として残したレジスト(図11には図示せず)をコートし、ゲート絶縁膜94用のエッチャントにより、補助容量用絶縁膜として所望の膜厚Y=2000Åにまで薄くなるようにエッチングする(図11D)。
【0016】
次に、ITOからなる画素電極97を形成パターニングする(図11E)。更にドレイン、及びソース用金属膜98を形成してパターニングし(図11F)、TFTのチャネル部に残されたオーミックコンタクト用半導体膜96をエッチングにより除去すると液晶表示装置用アレイ基板が完成する(図11G)。このような構成により得られたアレイ基板を液晶物質を介して共通電極基板に対向配置することにより液晶表示装置90が得られる。
【0017】
このような従来技術においては、補助容量線92及び画素電極97がコンデンサの電極の電極に相当し、補助容量線92と画素電極97との間に存在するゲート絶縁膜94がコンデンサの誘電体に相当するが、ゲート電極93上のゲート絶縁膜94の厚さX=4000Åであるのに対し補助容量線92上の絶縁膜の厚さY=2000Åとなされているから、ドレイン・ゲート、ソース・ゲート間のショートは発生し難くなっているとともに、補助容量線92の面積を広くしなくても必要な補助容量を確保できるという効果を奏するものである。
【特許文献1】特表2005−506575号公報(図8、図9、段落[0069]〜[0085])
【特許文献2】特許第2584290号公報(特許請求の範囲、2頁4欄30行〜3頁5欄17行、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
上記特許文献1に開示されている液晶表示装置70のアレイ基板においては、表示不良を抑制するのに十分な補助容量を確保するために、やはり大きな面積の補助容量パターンが必要であり開口率が低下し、さらに、画素内に遮光性部材としてTFTと補助容量用導電パターン78が存在するため、開口率がより小さくなってしまう。また、上記特許文献2に開示されている液晶表示装置90のアレイ基板においては、補助容量線の表面のゲート絶縁膜の厚さのみをエッチングによって部分的に薄くすることにより、ゲート絶縁膜によって覆われるゲート電極及び走査線と他の部材との間の電気的絶縁性を保ったまま、補助容量を増大させるようにしているが、補助容量線のゲート絶縁膜の厚さを部分的に薄くして所望の厚さを得るためのエッチング量の制御が難しく、液晶表示装置毎の補助容量線のゲート絶縁膜の膜厚均一性を維持することが困難であった。
【0019】
加えて、上記特許文献2に開示されている液晶表示装置90のアレイ基板においては、ガラス板からなる絶縁性基板91上にITOからなる補助容量線92をパターン形成した後にゲート金属膜93をパターン形成することによって走査線とゲート電極とを形成しているために、工数が増えてしまうために製造効率が低下すること、マスクずれ等を考慮して画素電極97とソース用金属膜98との間の距離を大きくとる必要が生じること及びTFTの部分に画素電極を設けることができないことから開口率が小さくなってしまうため、近年の比較的小さな画素面積ないしは高精細化された液晶表示装置用の補助容量形成手段としては採用することが困難である。
【0020】
本願の発明者らは、上記の問題点に鑑み、補助容量を形成するコンデンサの効率をより高くするとともに、特に工数の増加を招くことなく、かつ、開口率が大きく、比較的小さな画素面積ないしは高精細化された液晶表示装置用にも有効に使用できる補助容量形成手段について種々検討した結果、この補助容量を形成するコンデンサの一方の電極となる補助容量線と対になる電極としてTFTのドレイン電極を延在させて使用するとともに、補助容量線とドレイン電極との間の距離をより短くするために、両者間に介在するゲート絶縁膜に換えてゲート絶縁膜よりも厚さが薄い絶縁層を介在させれば、特に工数の増加や開口率の低下をもたらすことなく補助容量コンデンサの容量を増大させることができることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0021】
すなわち、本発明の目的は、画素ごとの開口率を低下させることなく、しかもクロストークやフリッカ等の表示不良を抑制することができる、小画素面積もしくは高精細化した画素を有する液晶表示装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の上記第1の目的を達成するため、本発明の液晶表示装置は、透明基板上にマトリクス状に配置された複数の信号線及び走査線と、前記走査線間に平行に設けられた複数の補助容量線と、前記信号線及び走査線の交点近傍に設けられた薄膜トランジスタと、前記信号線及び走査線により区画されるそれぞれの位置に配置されるとともに前記薄膜トランジスタのドレイン電極に電気的に接続された画素電極とを備えた液晶表示装置において、
前記薄膜トランジスタのゲート電極及び前記走査線はゲート絶縁膜で被覆され、前記補助容量線の上に前記ゲート絶縁膜の厚みよりも薄い絶縁層を介して前記薄膜トランジスタのドレイン電極が延在されていることを特徴とする。
【0023】
また、本発明は、上記液晶表示装置において、前記ゲート絶縁膜は複数層構造からなり、前記絶縁層はそのうちの少なくとも一層で構成されていることを特徴とする。
【0024】
また、本発明は、上記液晶表示装置において、前記絶縁膜は前記ゲート絶縁膜を構成する複数層のうち最も表面側に形成された一層であることを特徴とする。
【0025】
また、本発明は、上記液晶表示装置において、前記絶縁層は前記ゲート絶縁膜を構成する複数層のうち最も透明基板側に形成された一層であることを特徴とする。
【0026】
また、本発明は、上記液晶表示装置において、前記絶縁層は、前記ゲート絶縁膜を構成する複数層のうち最も厚みの薄い層で構成されていることを特徴とする。
【0027】
また、本発明は、前記補助容量線上の絶縁層の薄い部分のエッジが補助容量線のエッジよりも内側に位置することを特徴とする。
【0028】
また、本発明は、上記液晶表示装置において、前記ゲート絶縁膜の厚さは2500〜5500Åであり、前記絶縁層の厚さは500〜1500Åであることを特徴とする。
【0029】
また、本発明は、上記液晶表示装置において、前記画素電極と前記ドレイン電極との間には層間絶縁膜が形成されており、該層間絶縁膜の前記補助容量線上に位置する部分にはコンタクトホールが形成されており、該コンタクトホールを介して前記画素電極と前記ドレイン電極とが電気的に接続されていることを特徴とする。
【0030】
また、本発明は、上記液晶表示装置において、前記画素電極の表面又は背面には、前記薄膜トランジスタ及び補助容量線上、あるいは、前記画素電極に対応する位置の全域を覆うように、反射膜が形成されていることを特徴とする。
【0031】
更に、本発明の上記第2の目的を達成するため、本発明の液晶表示装置の製造方法の発明は、
透明基板上にゲート電極に連なる走査線及び補助容量線を互いに平行に複数本配設する工程と、
前記透明基板上の全面を覆うようにゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜の前記補助容量線上に位置する部分を薄膜化して前記補助容量線の周囲より厚みの薄い絶縁層を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜の上方に薄膜トランジスタのドレイン電極を形成すると共にこの薄膜トランジスタのドレイン電極を前記補助容量線上の絶縁層を被覆するように延在させて補助容量を形成する工程を含むことを特徴とする。
【0032】
また、本発明は、上記液晶表示装置の製造方法において、前記絶縁層を形成する工程は、
前記ゲート絶縁膜上に半導体層を形成する工程と、
前記半導体層の表面にフォトレジストを塗布する工程と、
ハーフトーンマスクを用い、前記補助容量線上の補助容量形成部のフォトレジストは除去し、ゲート電極に対応する位置に厚いフォトレジストを残すとともにその他の部分に薄いフォトレジストを残す工程と、
エッチングにより、露出している前記補助容量形成部の半導体層を除去した後に、更に前記補助容量形成部に位置する前記ゲート絶縁膜の一部を除去して周囲のゲート絶縁膜より厚さの薄い絶縁層を形成する工程と、
前記薄いフォトレジストを除去して前記ゲート電極に対応する位置にのみフォトレジストを残す工程と、
露出している前記半導体層をエッチングにより除去する工程と、
残りの前記フォトレジストを除去する工程を含むことを特徴とする。
【0033】
また、本発明は、上記液晶表示装置の製造方法において、前記絶縁層を形成する工程は、前記ゲート絶縁膜を複数回に分けて複数層に形成する工程と、その内の少なくとも一層を除去する工程を含むことを特徴とする。
【0034】
また、本発明は、上記液晶表示装置の製造方法において、前記絶縁層を形成する工程は、前記ゲート絶縁膜を複数回に分けて複数層に形成する際に最初に形成した層を除去する工程であることを特徴とする。
【0035】
また、本発明は、上記液晶表示装置の製造方法において、前記絶縁層を形成する工程は、前記ゲート絶縁膜を複数回に分けて複数層に形成した後に最後に形成した層を除去する工程であることを特徴とする。
【0036】
また、本発明は、上記液晶表示装置の製造方法において、前記複層構造のゲート絶縁膜は同一材料を用いてそれぞれの層毎に基板温度を変えることによって形成したことを特徴とする。
【0037】
また、本発明は、上記液晶表示装置の製造方法において、前記基板温度は、最初のゲート絶縁膜の形成時が最も高く、更なるゲート絶縁膜の形成時に順次低くなるようにしたことを特徴とする。
【0038】
また、本発明は、上記液晶表示装置の製造方法において、前記複層構造のゲート絶縁膜は同一材料を用いてそれぞれの層毎に周囲の雰囲気ガスの成分を変えることにより形成したことを特徴とする。
【0039】
また、本発明は、上記液晶表示装置の製造方法において、
ドレイン電極を覆うように層間絶縁膜を形成する工程と、
層間絶縁膜にドレイン電極と補助容量線が重なる位置にコンタクトホールを形成する工程と、
層間絶縁膜上にコンタクトホールを介して前記ドレイン電極と電気的に接続するように画素電極を形成する工程とを含むことを特徴とする。
【0040】
また、本発明は、上記液晶表示装置の製造方法において、前記画素電極の形成前又は後に、前記薄膜トランジスタ及び補助容量線に対応する位置、あるいは、前記画素電極に対応する位置の全面反射板を形成する工程を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0041】
本発明は上記構成を備えることにより、以下に示すような優れた効果を奏する。すなわち、本発明の液晶表示装置によれば、補助容量線の一部の表面上に設けられた複層構造のゲート絶縁膜の一部である絶縁層を介して画素電極に接続されたドレイン電極が設けられているが、この絶縁膜の厚さは補助容量線の周囲を覆うゲート絶縁膜の厚さよりも薄くなっており、この絶縁層が補助容量の誘電体層を形成するため、補助容量を飛躍的に大きくでき、以って補助容量線の面積を大きくすることなく、クロストークやフリッカ等の表示不良を抑制することができる液晶表示装置が得られる。
【0042】
すなわち、ゲート絶縁膜は本来層間の絶縁性を保つ目的で透明基板全体にわたって均一の厚さに設けられるが、特にTFTの一端子となるゲート電極上ではTFTの静電耐圧を維持するためにゲート絶縁膜の厚さを薄くすることは不可能である。しかしながら、本発明の液晶表示装置のように、補助容量線の表面に複層構造のゲート絶縁膜の一部である絶縁層を薄く形成することで、特にゲート絶縁膜全体の厚さを薄くすることなく補助容量線上の絶縁膜を薄肉にできるので、他の構成に何ら悪影響を与えることなく上述した効果を奏することが可能となる。加えて単にドレイン電極を延在させることによって補助容量を形成することができるため、遮光性の補助容量を効率よく配置することができ、開口率が向上する。
【0043】
また、本発明の液晶表示装置によれば、複層構造のゲート絶縁膜の形成時に、前記補助容量線上の絶縁層がその複数層のうちの一層、すなわち、ゲート絶縁膜の最も表面側に形成された層、あるいは最も透明基板側に形成された層から構成されるものとすれば、例えばゲート絶縁膜の各層にエッチング特性の異なる材料を用い、不要な層のみをエッチングにより除去することで、上述の薄い絶縁層を容易に形成することができるようになる。また、この絶縁層として用いられる層をゲート絶縁膜の各層のうち最も薄い層とすれば、容易に補助容量コンデンサの容量を増大させることができるようになる。
【0044】
また、本発明の液晶表示装置によれば、補助容量線上の絶縁層の薄い部分のエッジを補助容量線のエッジよりも内側に位置させているので、補助容量を構成する上電極と走査線との間に十分な間隔を取りながら、また補助容量線のエッジ付近における補助容量を構成する上電極と下電極の静電耐圧を確保しながら、補助容量の容量を大きくすることができる。
【0045】
また、本発明の液晶表示装置によれば、ゲート絶縁膜の厚さが2500〜5500Åと絶縁性を損なわない程度の肉厚が保たれているとともに、絶縁層は500〜1500Åと薄肉になっているので、コンデンサの容量を大きくすることができる。なお、ゲート絶縁膜の厚さとしてはより好ましくは2800Å以上とし、絶縁層の厚さはより好ましくは1000Å前後とする。
【0046】
また、本発明の液晶表示装置によれば、走査線、信号線及び薄膜トランジスタ等の各種配線が形成された後に層間絶縁膜によってこれらの配線が覆われることとなるが、画素電極は、この層間膜の表面に設けられているため、表面が平らになる。そのため、液晶表示装置のセルギャップを均一にすることができ、表示画質の良好な液晶表示装置が得られる。更に、画素電極は、補助容量線上に設けたコンタクトホールを介してドレイン電極と電気的に導通させたので、このコンタクトホール上のセルギャップがその周囲のセルギャップとは相違しても、このセルギャップの部分は遮光性のドレイン電極によりバックライトからの光を遮光するので、表示品質に悪影響が出ることはない。
【0047】
また、本発明の液晶表示装置によれば、画素電極の薄膜トランジスタ及び補助容量線上対応する位置の表面又は背面に反射板を設ければ簡単に半透過型の液晶表示装置とすることができ、更には、画素電極の表面又は背面全域を覆うように反射板を設ければ簡単に反射型の液晶表示装置とすることができる。
【0048】
更に、本発明の液晶表示装置の製造方法によれば、上記発明の効果を奏する液晶表示装置を容易に製造することができることに加えて、複層構造のゲート絶縁膜及び半導体層を順次連続的に成膜したために、ゲート絶縁膜の成膜及びエッチング工程を行った後に半導体層の成膜を行う方法と比較すれば、基板の周囲を常圧状態から真空状態に保持する工程を1回少なくすることができるとともに、ゲート絶縁膜のエッチング工程で生じるコンタミネーションの影響を受け難くなるためにTFTの特性が悪化することが少なくなる。
【0049】
また、本発明の液晶表示装置の製造方法によれば、複層構造のゲート絶縁膜の形成時に、前記補助容量線上に形成された複数層の絶縁層のうちの一層、すなわち、ゲート絶縁膜の最初に形成された層、あるいは最後に形成された層を除去するようにしたので、簡単にゲート絶縁膜よりも薄い厚さの絶縁層を形成することができる。
【0050】
また、本発明の液晶表示装置の製造方法によれば、複層構造のゲート絶縁膜を同一材料を用いてそれぞれの層毎に基板温度を変えることによって形成するようにしたので、周囲雰囲気を変更せずに単に基板温度を変えることによりそれぞれ組成が実質的に同一であるが物性が異なる複層構造のゲート絶縁膜を形成することができ、しかもこの物性の差異を利用してエッチングにより補助容量線の表面の絶縁層のみを容易に残すことができる。したがって、複層のゲート絶縁膜形成時に、各膜毎にエッチング処理を行わなくてもよいので、各膜の表面の汚染を避けることができるだけでなく、短時間に所定の絶縁膜及びゲート絶縁膜を形成することができるようになる。この場合、ゲート絶縁膜形成材料として窒化ケイ素、酸化ケイ素等を使用し得る。
【0051】
また、本発明の液晶表示装置の製造方法によれば、複層構造のゲート絶縁膜を同一材料を用いてそれぞれの層毎に周囲の雰囲気ガスの成分を変えることにより形成することができ、しかもこの組成の差異に基づく物性の差異を利用してエッチングにより補助容量線の表面の絶縁層のみを残すことができる。したがって、複層のゲート絶縁膜形成時に、各膜毎にエッチング処理を行わなくてもよいので、各膜の表面の汚染を避けることができるだけでなく、短時間に所定の絶縁膜及びゲート絶縁膜を形成することができるようになる。この異なる組成の薄膜からなる複層構造のゲート絶縁膜は、窒化ケイ素層及び酸化ケイ素層からなることが好ましく、更には最上層が窒化ケイ素層からなることがより好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
以下、図面を参照して本発明の最良の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための液晶表示装置及びその製造方法を例示するものであって、本発明をこの液晶表示装置及びその製造方法に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものも等しく適応し得るものである。なお、以下に示す実施例の液晶表示装置としては透過型の液晶表示装置について説明するが、本発明の液晶表示装置は透過型に限らず、半透過型あるいは反射型の液晶表示装置についても適応可能であることは明白である。
【実施例1】
【0053】
図1は本発明の実施例1に係る液晶表示装置の一画素に相当する部分を拡大し、かつ他方基板、例えばカラーフィルタ基板を透視して示した平面図であり、図2は図1の液晶表示装置のII−II線で切断した状態を示す側断面図であり、図3及び図4は図1の液晶表示装置のアレイ基板を製造する製造工程を示す断面図である。なお、図3及び図4はいずれも図1のII−II線において切断した断面の状態を示すものである。
【0054】
本実施例1の液晶表示装置10は、ガラス等からなる透明基板11、12上に各種配線等が形成されたアレイ基板13及びカラーフィルタ基板14からなる一対の基板の表面外周部をシール材(図示省略)により貼り合わせ、その内部に液晶15を注入することにより作製される。
【0055】
アレイ基板13及びカラーフィルタ基板14上(内面側)には種々の配線等が形成されており、そのうちアレイ基板13には、マトリクス状に形成された複数本の走査線16及び信号線17と、複数本の走査線16間に設けられ、この走査線16と平行な複数本の補助容量線18と、ソース電極S、ゲート電極G、ドレイン電極D、及び半導体層19からなる薄膜トランジスタTFTと、走査線16と信号線17とで囲まれた領域を覆う画素電極20と、が設けられている。なお、TFTの半導体層19としてはポリシリコン(p−Si)又はアモルファスシリコン(a−Si)が通常用いられるがこれに限られずアクティブ素子であればよい。
【0056】
カラーフィルタ基板14には、アレイ基板13の画素領域に合わせてマトリクス状に設けられたブラックマトリクス21と、このブラックマトリクス21により囲まれた領域に設けられる赤(R)、緑(G)、青(B)等のカラーフィルタ22と、アレイ基板側の電極に電気的に接続されカラーフィルタを覆うように設けられた共通電極23とが通常設けられている。ただし、本発明はこれに限定されることなく、横電界方式の場合には共通電極がない場合もあるし、白黒表示であればカラーフィルタがない場合もあるし、色補完型のカラー表示の場合には三原色ではなくもっと多種類のカラーフィルタで構成する場合もある。
【0057】
そして、アレイ基板13とカラーフィルタ基板14、及びシール剤により囲まれた領域には基板間距離を均一にするためのスペーサ等が必要に応じて複数個配設されているとともに、液晶15が封入されている。
【0058】
次に上述の液晶表示装置のアレイ基板の製造工程を図3及び図4を参照して以下に示す。
【0059】
先ず、図3Aに示すように、透明基板11上に所定厚のアルミニウム、モリブデン、クロムあるいはこれらの合金からなる導電物質層24を成膜する。そして、図3Bに示すように、周知のフォトリソグラフィー法を用いてパターニングすることによりその一部をエッチングにより除去し、横方向に伸びる複数本の走査線16と、これら複数本の走査線16間に補助容量線18とを形成する。なお、図3Bにおいては走査線16から伸びるゲート電極Gと補助容量線18の一部を幅広とすることにより形成された補助容量電極18aが示されている。また、ここで示す走査線16及び補助容量線18は、アルミニウムとモリブデンからなる多層構造の配線として示している。これは、アルミニウムは抵抗値が小さいという長所を持っているが、その反面、腐食しやすい、ITOとの接触抵抗が高いなどの欠点があるため、アルミニウムをモリブデンで覆った多層構造にすることでそうした欠点を改善できる。
【0060】
次に前記工程によって走査線16と補助容量線18が形成された透明基板11上を覆うように所定厚さの第1層目の絶縁膜25が成膜される。この第1層目の絶縁膜25としては窒化シリコンなどからなる透明な樹脂材が用いられ、また、この第1層目の絶縁膜25の厚さは走査線16及びゲート電極Gの絶縁性に関わるため2500〜5500Åの範囲とすることが好ましく、より好ましくは2800Å以上とするとよい。そして、第1層目の絶縁膜25が成膜されると、図3Dに示すように、この第1層目の絶縁膜25の補助容量電極18a上に位置する部分のみエッチングにより除去して窓部27を形成する。
【0061】
また、上記工程が完了した後、図3Eに示すように、透明基板11上を覆うように第1層目の絶縁膜25より薄肉な第2層目の絶縁層26を成膜する。この第2層目の絶縁層26は第1層目の絶縁膜25及び前述のエッチングにより第1層目の絶縁膜25が除去された補助容量電極18a上に成膜されるので、走査線16及びゲート電極Gは第1層目の絶縁膜25と第2層目の絶縁層26の両方によって被覆され、この2層膜でゲート絶縁膜を構成する。そして補助容量電極18aは第2層目の絶縁層26によってのみ被覆されている。なお、この第2層目の絶縁層26の材料としては第1層目の絶縁膜25と同一材料、すなわち窒化シリコンからなるものであっても良く、また別の絶縁膜、例えば酸化シリコンなどでもよい。その肉厚は第1層目の絶縁膜25よりも薄肉であって、好ましくは500〜1500Åとし、さらに好ましくは1000Å前後、例えば800〜1200Åとする。
【0062】
このような構成においては、ゲート絶縁膜と同じ手法においてゲート電極部分の厚み、即ち補助容量線の周囲の厚みよりも薄い絶縁膜を補助容量線の補助容量電極18aの主要部に形成するのが目的なので、第2層目の絶縁層26を特別に形成することも考えられるが、ゲート絶縁膜を例えば2〜5層の複数層構造とし、絶縁層はそのうちの少なくとも一層で構成するのが効率的で膜質がよい。その場合膜質を変えるなどしてエッチング特性を変えて、ゲート絶縁膜の表面に形成されたうちの一層とすることもできる。最も効率的なのは、上述の如く厚膜の第1層を形成し、これを電極表面までエッチングにより除去し、その上に薄膜からなる絶縁層を形成するという、絶縁層をゲート絶縁膜の表面側に形成された一層とするのが好ましい。これにより、絶縁層は、ゲート絶縁膜を構成する複数層の内最も厚みの薄い層で構成することができ、補助容量を格段に大きくすることが出来る。
【0063】
次に、図3Fに示すように、この第2層目の絶縁層26上にシリコン層、例えばa−Siを1800Åの厚さで成膜する。そして、図3Gに示すように、ゲート電極Gを覆う部分を残してa−Si層をエッチングにより除去し、TFTの一部となる半導体層19を形成する。そして同様の手法により、図4Aに示すように、透明基板11上に導電物質を成膜し、走査線16に直交する方向に延びる複数本の信号線17、この信号線17から延設され半導体層19に接続されるソース電極S、及び、補助容量電極18a上を覆うとともに一端が半導体層19に接続されるドレイン電極Dをパターニングする。これにより、透明基板11の走査線16と信号線17との交差部近傍にはスイッチング素子となるTFTが形成される。
【0064】
さらにまた、図4Bに示すように、これらの各種配線を覆うように透明基板11上に表面の安定化のための無機絶縁材料からなる保護絶縁膜28を成膜し、続いて、図4Cに示すように、アレイ基板13の表面を平坦化するための有機絶縁材料からなる層間膜29が成膜される。なお、この層間膜29の補助容量電極18a上に位置する部分には後述する画素電極20とドレイン電極Dとを電気的に接続するためのコンタクトホール30を形成する穴が設けられているが、この穴の位置は補助容量電極18a上に限らない。ただし、コンタクトホール30が形成された部分は液晶表示装置10としてカラーフィルタ基板14と貼り合わせた際にその基板間距離が他の部分と異なるため、表示品質のバラつきが生じる恐れがあるので、好ましくは遮光性材料である補助容量電極18a上に設けるものとする。そして、図4Dに示すように、層間膜29に形成された穴から露出している無機絶縁材料からなる保護絶縁膜28を取り除いた後、最後に、図4Eに示すように、走査線16及び信号線17によって囲まれた1画素領域ごとに例えばITO(Indium Tin Oxide)からなる画素電極20を形成する。このとき好ましくはその一部が走査線16及び信号線17上に位置し、かつ隣接する画素電極20同士が非接続状態となるように設ける。以上の工程によりアレイ基板13が製造される。
【0065】
上述した製造方法によって形成されたアレイ基板13の補助容量は、電極が補助容量電極18aと画素電極20に接続されたドレイン電極Dであり、誘電体が厚さ1000Åの第2層目の絶縁層26であるコンデンサ構造からなる。よって、従来技術のように誘電体が2500〜4500Åのゲート絶縁膜よりも薄肉な絶縁膜であるので、コンデンサ容量を飛躍的に増大させることができる。また、ゲート電極G及び走査線16は第1層目の絶縁膜25と第2層目の絶縁層26の積層体によって被覆されているので、その絶縁性は確保されている。
【0066】
また、コンデンサ容量を増大させることで補助容量を構成する電極部分を小さくでき、画素の開口率を上げることができる。更に、ドレイン電極Dが補助容量を構成する電極を兼ねているため、補助容量の電極としてドレイン電極D以外に特別に電極(導電層)を設ける場合よりも画素内の遮光部分を少なくすることができ、開口率をより向上することができる。
【0067】
補助容量の容量を増大させるためには、補助容量を形成する全ての部分で絶縁膜を薄くした方がよい。この実施例では第1層目の絶縁膜25を部分的に取り除くことで補助容量部分の絶縁膜を薄くしているので、容量を大きくするためには、この第1層目の絶縁膜25を取り除く部分を補助容量電極18aよりも大きくした方がよい。つまり第1層目の絶縁膜25の窓部27のエッジが補助容量電極18aのエッジの外側になるようにすればよい。ところが、ドレイン電極Dが補助容量の電極を兼ねる場合、補助容量は走査線16の近くに配置される。そのため補助容量部分の外側まで絶縁膜を薄くしてしまうと、補助容量の上電極(ドレイン電極D)と走査線16の間隔が近くなり過ぎてしまい、寄生容量などの問題が発生する。従ってドレイン電極Dが補助容量の上電極を兼ねる場合は、補助容量の上電極と走査線16の間隔を広く取りながら、補助容量部分の絶縁膜を薄くする必要があり、絶縁膜の薄い部分のエッジが補助容量電極18aのエッジの内側に位置するようにする。また、補助容量電極18a上に形成される絶縁膜は補助容量電極18aのエッジ付近ではその他の部分よりも薄くなりやすいため、補助容量電極18aのエッジ付近において補助容量電極18aと上電極との静電耐圧を確保するためにも、補助容量電極18aのエッジ付近の絶縁膜を補助容量電極18aの中央付近の絶縁膜よりも厚くした方がよい。この実施例では、第1層目の絶縁膜25を取り除く部分(窓部27)のエッジが補助容量電極18aの内側になるようにすることで、補助容量の上電極(ドレイン電極D)との走査線16との間に十分な間隔を取ると共に上電極と補助容量電極との静電耐圧も確保している。
【0068】
この実施例では、補助容量部分の絶縁膜を薄くする方法として、先に第1層目の絶縁膜を成膜し、その第1層目の絶縁膜の補助容量電極と対応する部分を完全に取り除き、その上から第1層目の絶縁膜よりも薄い第2層目の絶縁膜を積層している。補助容量部分の絶縁膜を薄くする方法としては、この他にも先に厚めの絶縁膜を成膜し、その絶縁膜を部分的にエッチングして薄くする方法もあるが、この実施例の方が補助容量部分の絶縁膜の厚みを制御しやすく、均一な厚さの絶縁膜を形成することができる。
【0069】
以上述べたように、本発明の液晶表示装置によれば、遮光性材料からなる補助容量電極の面積を大きくすることなく補助容量コンデンサの容量を増大させることができ、しかも、画素電極20は、その一部が走査線16及び信号線17上に位置し、かつ隣接する画素電極20同士が非接続状態となるように設けるので、画素ごとの開口率を低下させることなく、クロストーク及びフリッカ等の表示不良を抑えることができる。加えて、画素電極20は平らな層間膜29上に設けられているので、得られる液晶表示装置10のセルギャップを均一となし得るため、表示画質の良好な液晶表示装置10が得られる。
【0070】
なお、本発明の液晶表示装置を透過型ではなく半透過型とする場合には、画素電極のコンタクトホール30を除く領域に形成された層間膜29の表面に部分的に微細な凹凸を形成するとともに、この凹凸部と画素電極20との間又は画素電極20の表面に光反射材料からなる反射膜を成膜すればよい。半透過型の液晶表示装置においては、透過型の液晶表示装置に比べて透過部の面積が狭いため、開口部の面積を広くすることができる本発明の液晶表示装置及びその製造方法は特に有効である。また、この液晶表示装置を反射型としたい場合は、層間膜29との間又は画素電極20の表面の全域に反射膜を成膜すればよい。
【実施例2】
【0071】
次に、実施例2の液晶表示装置10Aのアレイ基板の製造工程を図5及び図6を用いて説明する。なお、実施例2の液晶表示装置10Aのカラーフィルタ基板を透視して表したアレイ基板の一画素に相当する部分の拡大平面図は図1に示した実施例1の液晶表示装置10の場合と同様であり、同じく実施例2のアレイ基板における図1のII−II断面図に対応する図は図2に示した実施例1の液晶表示装置10の場合と同様であるので、必要に応じて図1及び図2を援用して説明することとし、実施例1の液晶表示装置10の構成と同一の部分には同一の参照符号を付与して説明する。また、図5A〜図5E及び図6A〜図6Dは実施例2の液晶表示装置10Aのアレイ基板を製造する製造工程を示す断面図である。なお、図5A〜図5E及び図6A〜図6Dはいずれも図1のII−II断面に対応する位置の状態を示す。
【0072】
先ず、図5Aに示すように、透明基板11上に所定厚のアルミニウム、モリブデン、クロムあるいはこれらの合金からなる導電物質層24を成膜する。そして、図5Bに示すように、周知のフォトリソグラフィー法を用いてパターニングすることによりその一部をエッチングして除去し、横方向に伸びる複数本の走査線16、この走査線16に連なるゲート電極G及びこれら複数本の走査線16の間にそれぞれ補助容量線18を形成する。なお、図5Bにおいては走査線16から伸びるゲート電極Gと補助容量線18の一部を幅広とすることにより形成された補助容量電極18aが示されている。
【0073】
次に、図5Cに示すように、前記工程によって走査線16と補助容量線18が形成された透明基板11を真空装置内で高温、例えば350℃に加熱し、常法に従ってプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法等により表面に所定厚さ(例えば1000Å)の窒化ケイ素からなる第1層目の絶縁膜25を形成する。その後、表面に第1層目の絶縁膜25を形成した透明基板11の温度を最初の温度よりも低い温度、例えば250℃に下げ、同様にプラズマCVD法等により所定厚さ(例えば3000Å)の窒化ケイ素からなる第2層目の絶縁層26を形成する。この第1層目の絶縁膜25及び第2層目の絶縁層26の両者がゲート絶縁膜となる。更に、第2層目の絶縁層26の表面全体に例えばa−Si層及びna−Si層からなる半導体層19を所定の厚さ(例えばa−Si層1800Å及びna−Si層500Å)に形成する。
【0074】
この第1層目の絶縁膜25、第2層目の絶縁層26及び半導体層19は、何れも真空装置から透明基板11を取り出すことなしに連続的に形成することができる。なお、第1層目の絶縁膜25と第2層目の絶縁層26とは、それぞれの絶縁膜形成時の基板温度が相違しているため、同じ窒化ケイ素からなるものであっても膜の硬さが異なり、基板温度が高い第1層目の絶縁膜25の方が硬くなるために緩衝フッ酸による湿式エッチングレートが低下する。なお、第1層目の絶縁膜25の厚さは短絡を起こさない限り薄い方が好ましく、500〜1500Åとするとよい。また、第1層目の絶縁膜25と第2層目の絶縁層26の両者を合わせて厚さは、TFTのゲート電極G部分で静電気により絶縁破壊を起こさないようにするため、2500〜5500Åとするとよい。
【0075】
ここでは絶縁膜を積層するときの基板温度を変えることでエッチングレートの異なる絶縁膜を形成したが、この他にも雰囲気ガスの成分を変えてエッチングレートの異なる絶縁膜を形成しても良い。例えば、窒化ケイ素を形成する場合、シランガスと窒素ガスを用いるが、第2層目を形成する際に第1層目を形成するときよりもシランガスの割合を増やすことで、第1層の絶縁膜の方を硬くすることができる。
【0076】
その後、図5Dに示すように、TFTのゲート電極Gの表面に半導体層19が残るように半導体層19をドライエッチングにより除去し、次いで補助容量電極18aの表面の第2層目の絶縁層26を第1層目の絶縁膜25が露出するように緩衝フッ酸を用いた湿式エッチングないしはドライエッチングにより除去して窓部27を形成する。この際、第1層目の絶縁膜25のエッチング速度は第2層目の絶縁層26のエッチング速度よりも遅いため、第1層目の絶縁膜25は実質的にエッチングされない状態で残すことができる。
【0077】
次いで、透明基板11上にアルミニウム、モリブデン、クロムあるいはこれらの合金からなる導電物質層を成膜した後、図1及び図5Eに示すように、走査線16に直交する方向に延びる複数本の信号線17、この信号線17から延設されて半導体層19に接続されるソース電極S、及び、補助容量電極18a上を覆うとともに一端が半導体層19に接続されるドレイン電極Dをパターニングする。これにより、透明基板11の走査線16及び信号線17との交差部近傍にはスイッチング素子となるTFTが形成される。
【0078】
更に、図6Aに示すように、これらの各種配線を覆うように透明基板11上に表面の安定化のための無機絶縁性材料(例えば窒化ケイ素)からなる保護絶縁膜28を成膜し、続いて、図6Bに示すように、アレイ基板13の表面を平坦化するためのポリイミド等の有機絶縁材料からなる層間膜29を成膜したのち、図6Cに示すように、エッチングにより補助容量電極18a上に位置する層間膜29と保護絶縁膜28にコンタクトホール30を形成する。なお、このコンタクトホール30を形成する位置は、補助容量電極18a上に限らないが、コンタクトホール30が形成された部分は液晶表示装置10としてカラーフィルタ基板14と貼り合わせた際にその基板間距離、すなわちセルギャップが他の部分と異なるので、表示品質のバラつきが生じる恐れがあるために、好ましくは遮光性材料である補助容量電極18a上に設けた方がよい。
【0079】
そして、図6Dに示すように、走査線16及び信号線17によって囲まれた1画素領域ごとに例えばITOからなる画素電極20を形成する。このとき、光漏れを防止するために、好ましくは画素電極20の一部が走査線16及び信号線17上に位置し、かつ隣接する画素電極20同士が非接続状態となるように設ける。以上の工程によりアレイ基板13が製造される。
【0080】
上述した製造方法によって形成された実施例2の液晶表示装置10Aのアレイ基板13の補助容量は、補助容量電極18a及び画素電極20に接続されたドレイン電極Dがコンデンサの電極に相当し、補助容量電極18a及びドレイン電極Dとの間に配置された第1層目の絶縁膜25がコンデンサの誘電体に相当するし、しかもこの第1層目の絶縁膜25からなる誘電体の厚さは、従来から使用されているゲート絶縁膜の厚さ2500〜4500Åよりも大幅に薄い500〜1500Åとすることができるから、補助容量電極18aの面積を大きくしなくても補助容量を飛躍的に増大させることができる。また、ゲート電極G及び走査線16は第1層目の絶縁膜25と第2層目の絶縁層26の積層体からなるゲート絶縁膜によって覆われているので、絶縁性は十分に確保される。
【0081】
以上述べたように、実施例2の液晶表示装置によれば、遮光性材料からなる補助容量電極18aの面積を大きくすることなく補助容量を増大させることができるので、画素ごとの開口率を低下させることなく、クロストーク及びフリッカ等の表示不良を抑えることができる。加えて、画素電極20は平らな層間膜29上に設けられているので、得られる液晶表示装置10Aのセルギャップを均一となし得るため、表示画質の良好な液晶表示装置10が得られる。
【0082】
なお、上述の実施例2では、第1層目の絶縁膜25と第2層目の絶縁層26をともに窒化ケイ素からなるものとした例を示したが、両者共に酸化ケイ素で形成してもよく、更には、第1層目の絶縁膜25及び第2層目の絶縁層26の何れか1方を酸化ケイ素として他方を窒化ケイ素とすることもできる。ただし、エッチングレートの速い層を最上層にもってくるのがよく、また、絶縁性の点からすると第2層目の絶縁層26は窒化ケイ素からなるものとする方がよい。また、補助容量線をアルミニウムで形成し、その表面を陽極酸化して酸化アルミニウムとし、その膜を補助容量部分の絶縁層とすることもできる。
【実施例3】
【0083】
次に、実施例3の液晶表示装置10Bのアレイ基板の製造工程を図7及び図8を用いて説明する。なお、実施例3の液晶表示装置10Bのカラーフィルタ基板を透視して表したアレイ基板の一画素に相当する部分の拡大平面図は図1に示した実施例1の液晶表示装置10の場合と同様であり、同じく実施例3のアレイ基板における図1のII−II断面図に対応する図は図2に示した実施例1の液晶表示装置10の場合と同様であるので、必要に応じて図1及び図2を援用して説明することとし、実施例1の液晶表示装置10の構成と同一の部分には同一の参照符号を付与して説明する。また、図7A〜図7F及び図8A〜図8Eは実施例3の液晶表示装置10Bのアレイ基板を製造する製造工程を示す断面図である。なお、図7A〜図7F及び図8A〜図8Eはいずれも図1のII−II断面に対応する位置の状態を示す。
【0084】
先ず、図7Aに示すように、透明基板11上に所定厚のアルミニウム、モリブデン、クロムあるいはこれらの合金からなる導電物質層24を成膜する。そして、図7Bに示すように、周知のフォトリソグラフィー法を用いてパターニングすることによりその一部をエッチングして除去し、横方向に伸びる複数本の走査線16、この走査線16に連なるゲート電極G及びこれら複数本の走査線16の間にそれぞれ補助容量線18を形成する。なお、図7Bにおいては走査線16から伸びるゲート電極Gと補助容量線18の一部を幅広とすることにより形成された補助容量電極18aが示されている。また、ここで示す走査線16及び補助容量線18は、画素電極との接合コンタクトを取るために、アルミニウムとモリブデンからなる複層構造となっている。
【0085】
次に、図7Cに示すように、前記工程によって走査線16と補助容量線18が形成された透明基板11の表面に、常法に従ってプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法等により表面に所定厚さ(例えば4000Å)の窒化ケイ素からなる絶縁膜25'を形成し、更に、絶縁膜25'の表面全体に例えばa−Si層及びna−Si層からなる半導体層19を所定の厚さ(例えばa−Si層1800Å及びna−Si層500Å)に形成する。
【0086】
この絶縁膜25'及び半導体層19は、何れも真空装置から透明基板11を取り出すことなしに連続的に形成することができる。なお、絶縁膜25'の厚さはTFTのゲート電極G部分で静電気により絶縁破壊を起こさないようにするため、2500〜5500Åとするとよい。
【0087】
その後、図7Dに示すように、透明基板11の表面全体にポジ型のフォトレジスト31を均一な厚さになるように設け、このフォトレジスト31をハーフトーンマスク32を用いて露光する。このハーフトーンマスク32は、TFTのゲート電極Gに対応する部分33は完全遮光性、補助容量電極18aに対応する部分34は透光性、その他の部分35は半透過性となされている。したがって、フォトレジスト31を露光後に現像すると、図7Eに示すように、ゲート電極Gの表面には厚いフォトレジスト31が残り、補助容量電極18aの表面にはフォトレジストは存在せずに半導体層19が露出し、残りの部分にはゲート電極Gの表面のフォトレジスト31よりも厚さが薄いフォトレジスト31が残る。
【0088】
この状態で、図7Fに示すように、補助容量電極18aの表面上の半導体層19をドライエッチングにより除去して絶縁膜25'を露出させ、補助容量電極18aの表面に露出している絶縁膜25'の一部を緩衝フッ酸により湿式エッチングないしはドライエッチングし、所定厚さ(例えば1000Å)の絶縁層26'が残るようにする。次いで、図8Aに示したように、薄いフォトレジスト層31をアッシングにより除去して半導体層19を露出させる。この際、ゲート電極G上に位置していた厚いフォトレジスト層31は、その一部がアッシングされるために、厚さは薄くなるがそのまま半導体層19を被覆したまま残る。その後、図8Bに示したように、ドライエッチングにより露出した半導体層19を除去する。
【0089】
その後、ゲート電極G上に位置していた厚いフォトレジスト層31をアッシングにより除去し、透明基板11上にアルミニウム、モリブデン、クロムあるいはこれらの合金からなる導電物質層を成膜した後、図1及び図8Cに示すように、走査線16に直交する方向に延びる複数本の信号線17、この信号線17から延設されて半導体層19に接続されるソース電極S、及び、補助容量電極18a上を覆うとともに一端が半導体層19に接続されるドレイン電極Dをパターニングする。これにより、透明基板11の走査線16及び信号線17との交差部近傍にはスイッチング素子となるTFTが形成される。更に、これらの各種配線を覆うように透明基板11上に表面の安定化のための無機絶縁性材料(例えば窒化ケイ素)からなる保護絶縁膜28を成膜し、続いて、アレイ基板13の表面を平坦化するためのポリイミド等の有機絶縁材料からなる層間膜29を成膜する。
【0090】
そして、図8Dに示すように、エッチングにより補助容量電極18a上に位置する層間膜29と保護絶縁膜28にコンタクトホール30を形成する。なお、このコンタクトホール30を形成する位置は、補助容量電極18a上に限らないが、コンタクトホール30が形成された部分は液晶表示装置10としてカラーフィルタ基板14と貼り合わせた際にその基板間距離、すなわちセルギャップが他の部分と異なるので、表示品質のバラつきが生じる恐れがあるために、好ましくは遮光性材料である補助容量電極18a上に設けた方がよい。
【0091】
そして、図8Eに示すように、走査線16及び信号線17によって囲まれた1画素領域ごとに例えばITOないしはIZO等からなる画素電極20を形成する。このとき、光漏れを防止するために、好ましくは画素電極20の一部が走査線16及び信号線17上に位置し、かつ隣接する画素電極20同士が非接続状態となるように設ける。以上の工程により実施例3の液晶表示装置10Bのアレイ基板13が製造される。
【0092】
上述した実施例3の製造方法によって形成されたアレイ基板13の補助容量は、補助容量電極18a及び画素電極20に接続されたドレイン電極Dがコンデンサの電極に相当し、補助容量電極18a及びドレイン電極Dとの間に配置された絶縁層26'がコンデンサの誘電体に相当し、しかもこの絶縁層26'からなる誘電体の厚さは、従来から使用されているゲート絶縁膜の厚さ2500〜4500Åよりも大幅に薄い500〜1500Åとすることができるから、補助容量電極18aの面積を大きくしなくても補助容量を飛躍的に増大させることができる。また、ゲート電極G及び走査線16は絶縁層26'よりも厚さが厚い絶縁膜25'からなるゲート絶縁膜によって覆われているので、絶縁性は十分に確保される。
【0093】
なお、上述の実施例3では、絶縁膜25'として単一の窒化ケイ素層からなるものを示したが、このような場合には、絶縁膜25'は均質となるため、絶縁膜25'を緩衝フッ酸により湿式エッチングして厚さの薄い絶縁層26'を形成する際にはエッチング時間で厳密に管理する必要がある。しかしながら、この絶縁膜25'をエッチング速度が異なる材料からなる複層構造とすれば、エッチング条件をより柔軟とすることができ、製造が容易となる。例えば、最初に透明基板11の温度を高くして硬質な窒化ケイ素膜を設けた後、透明基板11の温度を低くして軟質な窒化ケイ素膜を積層するようにすれば、軟質な窒化ケイ素膜は緩衝フッ酸によりエッチング速度が速いため、多少のエッチング時間の誤差があっても下層の硬質な窒化ケイ素膜はほとんどエッチングされないため、正確な厚さの絶縁層26を得ることができる。
【0094】
さらに、絶縁膜25'は、酸化ケイ素の単一層からなるものとすることができ、更には窒化ケイ素層と酸化ケイ素層の複層構造からなるものとすることもできる。ただし、絶縁性の点からすると最上層は窒化ケイ素膜からなるものとする方がよい。
【0095】
なお、上述の実施例3では、絶縁膜25'と絶縁層26'をともに窒化ケイ素からなるものとした例を示したが、両者共に酸化ケイ素などで形成することができ、更には、第1の絶縁膜及び第2の絶縁層の何れか1方を酸化ケイ素として他方を窒化ケイ素とすることもできる。
【0096】
以上述べたように、実施例3の液晶表示装置10Bによれば、補助容量電極18aの面積を大きくすることなく補助容量を増大させることができるので、画素ごとの開口率を低下させることなく、クロストーク及びフリッカ等の表示不良を抑えることができる。また、実施例3の液晶表示装置10Bの製造方法によれば、ゲート絶縁膜及び半導体層を順次連続的に成膜したために、ゲート絶縁膜の成膜及びエッチング工程を行った後に半導体層の成膜を行う従来例の方法と比較すれば、基板の周囲を常圧状態から真空状態に保持する工程を1回少なくすることができるとともに、ハーフトーンマスクにより補助容量線の周囲に残したフォトレジスト層をマスクとしてエッチングにより補助容量線の表面に位置する半導体層の除去を行うことができ、しかも、ゲート絶縁膜のエッチング工程で生じるコンタミネーションの影響を受け難くなるためにTFTの特性が悪化することが少なくなる。加えて、実施例3の液晶表示装置10Bの製造方法によれば、補助容量線の表面の半導体層をエッチングした後、残ったフォトレジスト層及び半導体層をそのままマスクとしてエッチングにより絶縁層の形成を行うことができるので、絶縁層形成後に半導体層のエッチング工程が増えるとはいえ、特に絶縁層形成時にフォトリソグラフィー工程を設ける必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】実施例1に係る液晶表示装置の一画素に相当する部分を拡大し、カラーフィルタ基板を透視して示した平面図である。
【図2】図1の液晶表示装置のII−II線で切断した状態を示す側断面図である。
【図3】図3A〜図3Gは図1のアレイ基板を製造する製造工程を示す断面図である。
【図4】図4A〜図4Eは図3Gに引き続く図1のアレイ基板を製造する製造工程を示す断面図である。
【図5】図5A〜図5Eは実施例2のアレイ基板を製造する製造工程を示す断面図である。
【図6】図6A〜図6Dは図5Eに引き続く実施例2のアレイ基板を製造する製造工程を示す断面図である。
【図7】図7A〜図7Fは実施例3のアレイ基板を製造する製造工程を示す断面図である。
【図8】図8A〜図8Eは図7Fに引き続く実施例3のアレイ基板を製造する製造工程を示す断面図である。
【図9】図9Aは第1の従来例のアレイ基板の平面図、図9Bは図9AのIXB−IXB断面図である。
【図10】図10は第2の従来例のアレイ基板の数画素分の平面図である。
【図11】図11A〜図11Gは図10のアレイ基板の製造工程を順に示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0098】
10、10A、10B 液晶表示装置
11、12 透明基板
13 アレイ基板
14 カラーフィルタ基板
15 液晶
16 走査線
17 信号線
18 補助容量線
18a 補助容量電極
19 半導体層
20 画素電極
22 カラーフィルタ
23 共通電極
24 導電物質層
25 第1の絶縁膜
25' 絶縁膜
26 第2の絶縁層
26' 絶縁層
27 窓部
28 保護絶縁膜
29 層間膜
30 コンタクトホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板上にマトリクス状に配置された複数の信号線及び走査線と、前記走査線間に平行に設けられた複数の補助容量線と、前記信号線及び走査線の交点近傍に設けられた薄膜トランジスタと、前記信号線及び走査線により区画されるそれぞれの位置に配置されるとともに前記薄膜トランジスタのドレイン電極に電気的に接続された画素電極とを備えた液晶表示装置において、
前記薄膜トランジスタのゲート電極及び前記走査線はゲート絶縁膜で被覆され、前記補助容量線の上に前記ゲート絶縁膜の厚みよりも薄い絶縁層を介して前記薄膜トランジスタのドレイン電極が延在されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記ゲート絶縁膜は複数層構造からなり、前記絶縁層はそのうちの少なくとも一層で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記絶縁膜は前記ゲート絶縁膜を構成する複数層のうち最も表面側に形成された一層であることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記絶縁層は前記ゲート絶縁膜を構成する複数層のうち最も透明基板側に形成された一層であることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記絶縁層は、前記ゲート絶縁膜を構成する複数層のうち最も厚みの薄い層で構成されていることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記補助容量線上の絶縁層の薄い部分のエッジが補助容量線のエッジよりも内側に位置することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記ゲート絶縁膜の厚さは2500〜5500Åであり、前記絶縁層の厚さは500〜1500Åであることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記画素電極と前記ドレイン電極との間には層間絶縁膜が形成されており、該層間絶縁膜の前記補助容量線上に位置する部分にはコンタクトホールが形成されており、該コンタクトホールを介して前記画素電極と前記ドレイン電極とが電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記画素電極の表面又は背面には、前記薄膜トランジスタ及び補助容量線上、あるいは、前記画素電極に対応する位置の全域を覆うように、反射膜が形成されていることを特徴とする請求項8に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
透明基板上にゲート電極に連なる走査線及び補助容量線を互いに平行に複数本配設する工程と、
前記透明基板上の全面を覆うようにゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜の前記補助容量線上に位置する部分を薄膜化して前記補助容量線の周囲より厚みの薄い絶縁層を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜の上方に薄膜トランジスタのドレイン電極を形成すると共にこの薄膜トランジスタのドレイン電極を前記補助容量線上の絶縁層を被覆するように延在させて補助容量を形成する工程を含むことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記絶縁層を形成する工程は、
前記ゲート絶縁膜上に半導体層を形成する工程と、
前記半導体層の表面にフォトレジストを塗布する工程と、
ハーフトーンマスクを用い、前記補助容量線上の補助容量形成部のフォトレジストは除去し、ゲート電極に対応する位置に厚いフォトレジストを残すとともにその他の部分に薄いフォトレジストを残す工程と、
エッチングにより、露出している前記補助容量形成部の半導体層を除去した後に、更に前記補助容量形成部に位置する前記ゲート絶縁膜の一部を除去して周囲のゲート絶縁膜より厚さの薄い絶縁層を形成する工程と、
前記薄いフォトレジストを除去して前記ゲート電極に対応する位置にのみフォトレジストを残す工程と、
露出している前記半導体層をエッチングにより除去する工程と、
残りの前記フォトレジストを除去する工程を含むことを特徴とする請求項10に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記絶縁層を形成する工程は、前記ゲート絶縁膜を複数回に分けて複数層に形成する工程と、その内の少なくとも一層を除去する工程を含むことを特徴とする請求項10に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記絶縁層を形成する工程は、前記ゲート絶縁膜を複数回に分けて複数層に形成する際に最初に形成した層を除去する工程であることを特徴とする請求項12に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項14】
前記絶縁層を形成する工程は、前記ゲート絶縁膜を複数回に分けて複数層に形成した後に最後に形成した層を除去する工程であることを特徴とする請求項12に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項15】
前記複層構造のゲート絶縁膜は同一材料を用いてそれぞれの層毎に基板温度を変えることによって形成したことを特徴とする請求項12に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項16】
前記基板温度は、最初のゲート絶縁膜の形成時が最も高く、更なるゲート絶縁膜の形成時に順次低くなるようにしたことを特徴とする請求項15に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項17】
前記複層構造のゲート絶縁膜は同一材料を用いてそれぞれの層毎に周囲の雰囲気ガスの成分を変えることにより形成したことを特徴とする請求項12に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項18】
前記ドレイン電極を覆うように層間絶縁膜を形成する工程と、
前記層間絶縁膜に前記ドレイン電極と補助容量線が重なる位置にコンタクトホールを形成する工程と、
前記層間絶縁膜上にコンタクトホールを介して前記ドレイン電極と電気的に接続するように画素電極を形成する工程とを含むことを特徴とする請求項10に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項19】
前記画素電極の形成前又は後に、前記薄膜トランジスタ及び補助容量線に対応する位置、あるいは、前記画素電極に対応する位置の全面に反射板を形成する工程を含むことを特徴とする請求項18に記載の液晶表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−148345(P2007−148345A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−184115(P2006−184115)
【出願日】平成18年7月4日(2006.7.4)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】