説明

液晶表示装置

【課題】 パネルの透過率のバラツキがあっても、ある一定のパネル面輝度を実現し、バラツキの大きい液晶パネルを使用することができる。
【解決手段】 液晶表示装置の電源投入時の初期設定処理を行う。マイコン13は、液晶パネル11と接続している記憶手段13から透過率データを読み込む。その透過率データから輝度可変するためのパラメータ・データが格納されているLUT18の先頭アドレスであるランクを設定する。その透過率情報のランクで設定されている設定データを読み出し、その設定データを輝度可変手段15に転送する。さらに、所定の個数の設定データを設定したか否かを判定する。設定が終了していなければ、LUT18のアドレスを1つ加算し、設定判定に戻る。ここで、決められた所定の個数の各種設定データを輝度可変手段15に設定終了した場合に処理を終了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に係り、液晶の面輝度のバラツキを低減する液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置は、その背面にバックライトが設けられており、このバックライトからの光によって液晶表示面の明るさが確保されている。液晶パネル背面に設けられているバックライトの光は、液晶パネルを通過し、その通過した光量が、液晶パネルの面輝度になる。
【0003】
通常バックライトとしては、冷陰極管等が使用されている。また、最近では、白色光を発光するダイオード等の採用が検討されている。
【0004】
液晶パネル面の面輝度は、種々の要因によりバラツキが発生し、バックライトの発光量を制御して面輝度を確保している。このバラツキの要因として、バックライトの長時間使用による光量低下、初期特性の明るさのバラツキ等が挙げられる。バックライトの初期特性のバラツキを検出し、面輝度を制御する輝度制御装置が開示されている(特許文献1参照)。
【0005】
上記液晶パネル面の面輝度のバラツキ要因として、液晶パネル自体の透過率のバラツキがある。この液晶パネルの透過率が小さいときは、同じバックライト(以下、「ランプ」という)の輝度であっても、液晶パネル表面を通過するパネル面輝度は暗くなり、一方、液晶パネルの透過率が大きければ、液晶パネルの面輝度は明るくなる。高画質表示させるための充分な面輝度を確保するために、液晶パネルの透過率のバラツキ制限を設けていた。
【0006】
また、各液晶パネルの透過率の差による面輝度のバラツキを有する装置間において、所定の条件(発光輝度範囲)を満足するランプを点灯させて、所定範囲内の面輝度を確保する装置を選別するなどの方法を行っていた。
【特許文献1】特開平10−2221号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のように液晶パネルの透過率のバラツキに制限を設ける方法では、液晶パネルの歩留まり低下をもたらすという問題点があった。
【0008】
また、装置ごとに個々に輝度を制御しようとすれば、ランプの選択など調整時間がかかり、治具等大掛かりになり、コスト高となるという問題点もあった。
【0009】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、液晶パネルの透過率のバラツキ範囲が大きくても所定の面輝度を確保する低コストな液晶表示装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係る液晶表示装置は、次の特徴を備えている。
【0011】
本発明に係る液晶表示装置は、バックライトの輝度を変化させ、液晶パネル面輝度を制御する液晶表示装置であって、液晶パネルの透過率情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段により記憶された透過率情報に基づいて前記バックライトの輝度を可変する輝度可変手段と、を備え、前記輝度可変手段は、前記記憶手段から読み出される前記透過率情報をアドレス情報とし、前記液晶パネル面輝度を定める複数の輝度設定データを記憶しているルックアップテーブルから該複数の輝度設定データを読み出し、前記バックライトの輝度を制御することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る液晶表示装置は、前記透過率情報が、電圧値に変換されたアナログDC電圧情報であることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る液晶表示装置は、前記透過率情報が、不揮発性メモリに記憶された情報であり、電源の起動時のみ読み込まれる情報であることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る液晶表示装置は、バックライトの輝度を制御する輝度制御手段を備える液晶表示装置であって、液晶パネルの透過率情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段により記憶された透過率情報に基づいて前記バックライトの輝度を可変する輝度可変手段と、前記液晶パネル面輝度を測定する輝度測定手段と、を備え、前記輝度可変手段は、前記記憶手段から読み出される前記透過率情報をアドレス情報とし、前記バックライトの輝度を定める複数の輝度設定データを記憶しているルックアップテーブルから該複数の輝度設定データを読み出し、前記液晶パネル面輝度を定め、前記輝度測定手段により測定された前記液晶パネル面輝度と所定の基準輝度値とを比較し、前記液晶パネル面輝度が所定の誤差範囲内となるように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明に係る液晶表示装置によれば、パネルの透過率のばらつきがあっても、ある一定のパネル面輝度を実現し、バラツキの大きい液晶パネルを使用することができ、高画質表示が実現する。
【0016】
また、本発明に係る液晶表示装置によれば、簡単な回路で輝度の経時変化の劣化の自動補正が可能で、長期間均一な輝度を実現できる。液晶パネルの使用歩留まりがより改善し、輝度バラツキを低減でき、高画質表示が実現する。
【0017】
また、電源を再起動しても、再度微調設定することなしに適切な駆動設定となり、起動時間を短縮することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
【0019】
図1及び図3は発明を実施する形態の一例であって、図中、図1と同一の符号を付した部分は同一物を表わすものである。
【0020】
<第1の実施形態の説明>
図1は、本発明に係る液晶表示装置の第1の実施形態を示す構成図である。
【0021】
同図において、本発明の第1の実施形態の液晶表示装置は、液晶パネル面に光を導入し、液晶パネル面の輝度を確保するためのランプ10と、映像等を表示するための液晶パネル11と、液晶パネル11を駆動するための液晶(LCD)ドライバ回路12と、液晶パネル11の透過率情報を記憶する記憶手段13と、LCDのドライバ回路を制御するLCDコントローラ17と、映像信号を入力し、デジタル映像データを処理して、LCDコントローラに送出するデジタル映像データ処理回路19と、本液晶表示装置の全体を統括し、制御を司るマイコン14と、を備えて構成される。
【0022】
また、本発明の第1の実施形態の液晶表示装置は、記憶手段13に記憶されている透過率情報に基づいて記憶している輝度可変手段15の設定パラメータを記憶しているルックアップテーブル18と、マイコン14によってLUT18から読み出すデータに基づいて、制御される輝度可変手段15と、この輝度可変手段15により駆動されるランプドライバ回路16と、を備えて構成される。
【0023】
以下に、以下、本実施形態に係る液晶表示装置の機能を説明する。
【0024】
図示しないTV放送等のアナログ入力映像信号は、AD変換器(ADC)によりデジタル変換され、デジタル映像データ処理回路19に入力される。デジタル映像データ処理回路19では、デジタルに変換された映像データは、液晶パネルのDot−by−Dot(表示分解能)に変換され、LCDコントロール回路17に入力される。LCDコントロール回路17では、マイコン14からのレジスタ設定によりLCD11を駆動するタイミング信号と、LCDRGBデータを生成し、液晶パネル11内のLCDドライバ12に出力され、液晶パネル11にその映像情報が表示される。
【0025】
一方、マイコン14は、ランプ10により、液晶層パネル11の裏面から入光した光の輝度と、液晶パネル面の面輝度との比から得られる透過率情報を記憶している記憶手段13からその液晶パネル自身の光透過率情報を読み込む。
【0026】
ここで、透過率情報を記憶する記憶手段13は、液晶パネル11内に内蔵され、直接、透過率に等価なアナログ信号(電圧、電流値でもよい)を発生する回路であってもよい。例えば、光電変換器を用いて、透過した光量を電荷量に変換し、コンデンサ素子に電荷を蓄積するような回路であっても良い。記憶手段13をこのような構成とすることにより、AD変換器によりデジタルに変換さえすれば、簡単に直接透過率データを得ることが可能である。また、回路規模も小さく、小型にすることが可能である。
【0027】
そして、マイコン14は、その情報に基づいてLUT18に格納されている輝度可変設定値(パラメータ又は可変データ等;例えば、ランプの駆動電流等のデータ)を読み出し、輝度可変手段15に出力する。輝度可変手段15は、この設定値(輝度可変データ)に従って、ランプドライバ回路16を制御し、ランプ輝度が設定した輝度になるように変化する。
【0028】
なお、設定値(輝度可変データ)としては、ランプ管電流、駆動Duty,駆動電圧等々のパラメータがある。
【0029】
図2は、本発明に係る第1の実施形態の液晶表示装置の動作を説明するフローチャートである。
【0030】
図3は、透過率情報に対する輝度可変データとの関係を示すルックアップテーブルの図である。
【0031】
まず、本実施形態の液晶表示装置の動作を説明する前に、図5に示すルックアップテーブルのメモリマップ及びその使用方法について説明する。
【0032】
図3に示すルックアップテーブル(LUT)18のアドレスは、透過率情報のデジタルデータNビットのとき、その上位mビットをLUTの上位mビットを割当て、下位4ビットに可変項目数(16個)を割当てた場合のメモリマップの例を示す。この場合、輝度可変手段15に対して、設定値(パラメータ値)を最大16種(4ビット)設定することが可能である。
【0033】
すなわち、透過率データがNビットの情報とした場合、透過率を2個のランク(例えば、m=3とすれば8個のランク、N=5であれば、全体32個の透過率データを8個のランクに分ける)に分けて、1つのランクに最大16個の設定値(パラメータ群)を設定し細分化する。これにより、複数のパラメータを輝度可変手段15に転送し、その組み合わせによって、きめ細かくランプ10の輝度を変化させることが可能となる。
又、N=mでもよい。
【0034】
以下に、図2を用いて、本実施形態の液晶表示装置の動作を説明する。
【0035】
液晶表示装置の電源投入時の初期設定処理を行う(ステップS1)。マイコン13は、液晶パネル11と接続している記憶手段13から透過率データを読み込む(ステップS2)。その透過率データから輝度可変するためのパラメータ・データが格納されているLUT18の先頭アドレスであるランクを設定する(ステップS3)。その透過率情報のランクで設定されている設定データを読み出し、その設定データを輝度可変手段15に転送する。
【0036】
さらに、所定の個数の設定データを設定したか否かを判定する(ステップS4)。設定が終了していなければ(ステップS;No)、LUT18のアドレスを1つ加算し、ステップS4に戻る。ここで、決められた所定の個数の各種設定データを輝度可変手段15に設定終了した場合(ステップS4;Yes)に処理を終了する。
【0037】
透過率情報を記憶する不揮発性メモリの記憶手段を設け、電源の起動時のみ透過率情報を読み込むことで、起動の処理時間を短縮することも可能である。
【0038】
<第2の実施形態の説明>
図4は、本発明に係る第2の実施形態の液晶表示装置の構成図を示す。
【0039】
第2の実施形態は、第1の実施形態に輝度情報測定手段20を付加したもので、それ以外の構成要素は同じである。従って、以下の機能及び動作説明は、上記輝度情報測定手段20を中心に説明するものとする。
【0040】
まず、第1の実施形態と同様に、マイコン14は、透過率情報記憶手段13から透過率情報を取り込み、この情報に基づいてLUT18から所定の液晶面輝度にするためのランプ輝度設定データ(パラメータ)を読み出す。
【0041】
次に、マイコン14は読み出された設定データを輝度可変手段15に転送し、この輝度可変手段15によって、ランプドライバ回路16が駆動される。これによって、ランプ10は、所定の輝度のバックライト光を放出する。一方、液晶パネル面の輝度は、輝度測定手段20によって、輝度情報が測定されて、マイコン14により入力される。この輝度情報と所望の基準値面輝度とが比較されて、所望の基準値面輝度に近づくように、輝度可変手段15は、設定された設定値(各パラメータ)を微調変化させた設定値をランプドライバ回路16に与える。これによって、液晶パネル面の輝度設定の制御ループが形成されて、所望する基準値輝度に近づくように液晶パネル面の輝度を微調することができ、液晶パネル面輝度の許容誤差をさらに小さくすることが可能である。
【0042】
また、上記に示したように、輝度可変手段15によって、設定値を微調整するものとしたが、LUT18の先頭のランクアドレスを変えて、設定値の再読み込みを行い、微調整することも可能であり、回路の規模を小さくすることができる。
【0043】
さらに、本実施形態では、ランプ10は、1つのランプ構成としているが、複数個のランプ構成とすることも可能であり、液晶面の輝度をさらに均一の輝度とすることができる。
【0044】
なお、所望の基準値面輝度をLUTに書き込み記憶させ、本装置の起動時の設定とすることも可能である。
【0045】
図4は、本発明に係る第1の実施形態の液晶表示装置の動作を説明するフローチャートである。
【0046】
図2に示したフローチャートにおいて、ステップS13で全ての設定値が設定されるまでの処理フローは、本実施形態の処理フローと同様であるため説明を省略し、設定完了後の処理フローについて以下に説明する。
【0047】
マイコン14は、輝度情報測定手段20からのパネル面輝度情報を読み込み(ステップS16)、読み込んだパネル面輝度情報と基準値輝度とを比較し、所定の範囲内になければ(ステップS17;No)、輝度可変手段15によりパラメータの微調を行い(ステップS18)、基準値輝度と所定の許容誤差内に入るまで繰り返し実施する。許容誤差範囲内であると判断された場合に(ステップS17;Yes)、設定を完了し、処理が終了する。
【0048】
尚、本発明の液晶表示装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置の構成図である。
【図2】本発明に係る第1の実施形態の液晶表示装置の動作を説明するフローチャートである。
【図3】透過率情報に対する輝度可変データとの関係を示すルックアップテーブルの図である。
【図4】本発明に係る第2の実施形態の液晶表示装置の構成図を示す。
【図5】本発明に係る第1の実施形態の液晶表示装置の動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
10 ランプ(バックライト)
11 液晶パネル
12 LCDドライバ回路
13 記憶手段
14 マイコン
15 輝度可変手段
16 ランプドライバ回路
17 LCDコントローラ回路
18 ルックアップテーブル(LUT)
19 デジタル映像データ処理回路
20 輝度情報測定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックライトの輝度を変化させ、液晶パネル面輝度を制御する液晶表示装置であって、
液晶パネルの透過率情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段により記憶された透過率情報に基づいて前記バックライトの輝度を可変する輝度可変手段と、
を備え、
前記輝度可変手段は、前記記憶手段から読み出される前記透過率情報をアドレス情報とし、前記液晶パネル面輝度を定める複数の輝度設定データを記憶しているルックアップテーブルから該複数の輝度設定データを読み出し、前記バックライトの輝度を制御することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記透過率情報が、透過率をあるランク別に分割した情報であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記透過率情報が、不揮発性メモリに記憶された情報であり、電源の起動時のみ読み込まれる情報であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
バックライトの輝度を制御する輝度制御手段を備える液晶表示装置であって、
液晶パネルの透過率情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段により記憶された透過率情報に基づいて前記バックライトの輝度を可変する輝度可変手段と、
前記液晶パネル面の輝度を測定する輝度測定手段と、
を備え、
前記輝度可変手段は、前記記憶手段から読み出される前記透過率情報をアドレス情報とし、前記バックライトの輝度を定める複数の輝度設定データを記憶しているルックアップテーブルから該複数の輝度設定データを読み出し、前記バックライトの輝度を定め、前記輝度測定手段により測定された前記液晶パネル面の輝度と所定の基準輝度値とを比較し、前記液晶パネル面輝度が所定の誤差範囲内となるように制御することを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−154043(P2006−154043A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−341942(P2004−341942)
【出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】