説明

液晶表示装置

【課題】視角にかかわらず表示品位を改善することができ、しかも、色再現範囲を拡大することが可能な液晶表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 液晶表示装置は、各画素PXにおいてカラー表示を可能とする表示部DPと、各画素PXにおける階調レベルを制御する階調制御部GCと、を備えている。表示部DPは、原色を組み合わせて白表示するように構成された第1白表示構成体DP1と、第1白表示構成体DP1を構成する原色とは異なる色度の色を含み白表示するように構成された第2白表示構成体DP2と、を有している。階調制御部GCは、第1白表示構成体DP1または第2白表示構成体DP2の一方により各画素PXの階調レベルを制御する第1制御モードと、第1白表示構成体DP1及び第2白表示構成体DP2の組み合わせにより各画素PXの階調レベルを制御する第2制御モードと、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液晶表示装置に係り、特にカラー表示可能なドットマトリクス型の液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、薄型、軽量、低消費電力である等の様々な特徴を有しており、OA機器、情報端末、時計、及びテレビ等の様々な用途に応用されている。特に、薄膜トランジスタ(以下、TFTという)を有する液晶表示装置は、その高い応答性から、携帯テレビやコンピュータなどのように多量の情報を表示するモニタとして用いられている。
【0003】
近年、情報量の増加に伴い、画像の高精細化や表示速度の高速化に対する要求が高まっている。これら要求のうち画像の高精細化は、例えば、上述したTFTが形成するアレイ構造を微細化することによって実現されている。
【0004】
一方、表示速度の高速化に関しては、従来の表示モードに代わって、例えばネマティック液晶を用いたOCB(Optically Compensated Birefringence)モード、VAN(Vertically Aligned Nematic)モード、HAN(Hybrid Aligned Nematic)モード、およびπ配列モード、並びにスメクチック液晶を用いた界面安定型強誘電性液晶(SSFLC: Surface-Stabilized Ferroelectric Liquid Crystal)モードおよび反強誘電性液晶(AFLC: Anti-Ferroelectric Liquid Crystal)モードが検討されている。
【0005】
これら表示モードのうち、特にVANモードは、従来のTN(Twisted Nematic)モードよりも速い応答速度を得ることができ、さらに静電気破壊のような不良発生の原因となるラビング処理を垂直配向により不要にできるという特長を有している。なかでも、配向分割型VANモード(以下、MVAモードという)は、視野角の拡大が比較的容易なことから特に注目されている。
【0006】
MVAモードでは、マスクラビング、画素電極構造の工夫、画素内に突起を設けるなどして、これらによって画素電極及び対向電極から画素領域に印加される電界の傾きを制御することが行われている。液晶層の画素領域は、液晶分子の配向方向が電圧印加状態で互いに90°の角度をなすような例えば4つのドメインに配向分割され、これにより、視角特性の対称性改善と反転現象の抑止を実現している。
【0007】
なおかつ、液晶分子が基板主面にほぼ垂直に配列した状態、すなわち黒表示状態での液晶層の位相差の視角依存性を負の位相差板を用いて補償し、これにより、視角に対するコントラスト比(CR)を良好なものとしている。さらに、この負の位相差板が偏光板の視角依存性も補償するような面内位相差をもつ2軸位相差板であれば、さらに優れた視角−コントラスト特性を実現することができる。
【0008】
しかしながら、前述した従来のMVAモードは、中間調や白を表示した際の視角補償は不十分であり、液晶表示装置をその法線方向から観察した場合と法線に対して傾いた斜め方向から観察した場合とでは、その階調特性が異なり、多色表示した液晶表示装置を斜め方向から観察した場合では、中間調が潰れてしまい、全体的に白っぽく表示されてしまう問題が生じている。例えば、画素領域を4つのドメインに配向分割したMVAモードの液晶表示装置において、中間調を表示した際に斜め方向から観察したときの輝度が白表示した際の輝度と差のない状態となり、全体的に白っぽい表示として視認されてしまう。
【0009】
このような問題に対して、画像を表示する1フレームを複数のサブフレームに分割して、各サブフレームにおける明るさに基づいて階調レベルを制御する技術が提案されている(非特許文献1参照)。また、各画素を複数のサブピクセルに分割して、各サブピクセルにおける明るさに基づいて階調レベルを制御する技術が提案されている(非特許文献2参照)。
【非特許文献1】N.kimura et al. ”60.2:Invited Paper: New Technologies for Large-Sized High-Quality LCD TV”, SID'05 DIGEST,p1734-1737(2005)
【非特許文献2】Sang Soo Kim, ”66.1:Invited Paper: The World's Largest (82-in.) TFT-LCD”, SID'05 DIGEST,p1842-1847(2005)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、視角にかかわらず表示品位を改善することができ、しかも、色再現範囲を拡大することが可能な液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の態様による液晶表示装置は、
一対の基板間に液晶層を有するドットマトリクス型の液晶表示装置であり、
各画素においてカラー表示を可能とする表示部と、
各画素における階調レベルを制御する階調制御部と、を備え、
前記表示部は、原色を組み合わせて白表示するように構成された第1白表示構成体と、前記第1白表示構成体を構成する原色とは異なる色度の色を含み白表示するように構成された第2白表示構成体と、を有し、
前記階調制御部は、前記第1白表示構成体または前記第2白表示構成体の一方により各画素の階調レベルを制御する第1制御モードと、前記第1白表示構成体及び前記第2白表示構成体の組み合わせにより各画素の階調レベルを制御する第2制御モードと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、視角にかかわらず表示品位を改善することができ、しかも、色再現範囲を拡大することが可能な液晶表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明の一実施の形態に係る液晶表示装置について図面を参照して説明する。
【0014】
図1に示すように、液晶表示装置は、一対の基板間に液晶層を保持した構成の液晶セルCを備えている。この液晶セルCは、マトリクス状に配置された画素PXを有している。各画素PXは、カラー表示を可能とする表示部DPを備えている。また、液晶表示装置は、各画素PXにける階調レベルを制御する階調制御部GCを備えている。
【0015】
表示部DPは、原色を組み合わせて(例えば、加法混色に用いられる原色である赤、緑、及び、青を組み合わせたり、減法混色に用いられる原色であるシアン、マゼンタ、及び、イエローを組み合わせたりすることが考えられる)白表示するように構成された第1白表示構成体DP1と、第1白表示構成体DP1を構成する原色とは異なる色度の色を含み白表示するように構成された第2白表示構成体DP2と、を有している。
【0016】
階調制御部GCは、第1白表示構成体DP1または第2白表示構成体DP2の一方により各画素PXの階調レベルを制御する第1制御モードと、第1白表示構成体DP1及び第2白表示構成体DP2の組み合わせにより各画素PXの階調レベルを制御する第2制御モードと、を有している。
【0017】
以下に、より詳しい実施形態について説明する。
【0018】
(第1実施形態:サブピクセル構成)
この第1実施形態においては、各画素PXに配置された各表示部DPは、複数のサブピクセルを備えて構成されており、これらのサブピクセルによって1画素を構成している。この第1実施形態について、第1乃至第3構成例について、以下に説明する。
【0019】
≪第1構成例≫
第1構成例に係る液晶表示装置は、図2に示すように、各画素PXに第1白表示構成体DP1及び第2白表示構成体DP2からなる表示部DPを備えている。第1白表示構成体DP1は、原色のサブピクセルによって構成されている。図2に示した例では、第1白表示構成体DP1は、赤(R)、緑(G)、及び、青(B)の3つのサブピクセルによって構成されているが、シアン(C)、マゼンタ(M)、及び、イエロー(Y)の3つのサブピクセルによって構成してもよい。また、第2白表示構成体DP2は、白(W)の1つのサブピクセルによって構成されている。つまり、第1構成例においては、1画素PXは、4つのサブピクセルR、G、B、Wによって構成されている。
【0020】
より具体的な構成について説明する。図2及び図3に示すように、液晶セルCは、アレイ基板10及び対向基板20との間に液晶層30を保持して構成されている。アレイ基板10は、ガラスなどの絶縁基板11を用いて構成され、サブピクセルR、G、B、Wの行に沿ってそれぞれ形成された複数本の走査線Y、サブピクセルR、G、B、Wの列に沿って形成された複数本の信号線X、対応走査線Y及び対応信号線Xの交差位置近傍においてサブピクセルR、G、B、W毎に配置されたスイッチング素子12、サブピクセルR、G、B、W毎に配置され対応するスイッチング素子12に接続された画素電極13などを備えている。画素電極13の表面は、図示しない配向膜によって覆われている。
【0021】
走査線Yは、階調制御部GCに含まれる走査線ドライバに接続され、信号線Xは、階調制御部GCに含まれる信号線ドライバXDに接続されている。スイッチング素子12は、例えば、薄膜トランジスタによって構成されている。画素電極13は、透過型の液晶セルにおいては光透過性を有する導電部材(例えばインジウム・ティン・オキサイド)によって形成されている。
【0022】
対向基板20は、ガラスなどの絶縁基板21を用いて構成され、対向電極22などを備えている。対向電極22の表面は、図示しない配向膜によって覆われている。対向電極22は、光透過性を有する導電部材(例えばインジウム・ティン・オキサイド)によって形成されている。
【0023】
また、各表示部DPは、カラー表示を可能とするために、カラーフィルタを備えている。この第1実施形態では、カラーフィルタ23は、対向基板20に備えられている。赤色のサブピクセルRは、面光源装置として機能するバックライトから放射された白色光のうち主に赤色の波長成分を透過する赤色のレジスト23Rを備えている。緑色のサブピクセルGは、バックライトから放射された白色光のうち主に緑色の波長成分を透過する緑色のレジスト23Gを備えている。青色のサブピクセルBは、バックライトから放射された白色光のうち主に青色の波長成分を透過する青色のレジスト23Bを備えている。白色のサブピクセルWは、バックライトから放射された白色光を透過する無彩色のレジスト23Wを備えている。
【0024】
上述したアレイ基板10及び対向基板20の表面を覆う配向膜は、画素電極13と対向電極22との間に電圧を印加しない状態で液晶層30を構成する液晶分子に対して垂直配向性(すなわち、基板主面の法線方向に配向させる特性)を付与する。特に、MVAモードの液晶表示装置においては、液晶セルCにおいて、電圧を印加した状態にてサブピクセル内の液晶分子配列が少なくとも2方位を向くように配向制御している。
【0025】
このような配向制御は、例えば図3に示したように、サブピクセル内に配向分割制御用の突起41を備えることで実現可能であるし、また、サブピクセル毎に配置された画素電極13及び対向電極22の少なくとも一方の一部に配向分割制御用のスリット42を設けることでも実現可能であり、さらには、アレイ基板10及び対向基板20における液晶層30を挟持する面に配向分割制御用のラビング等の配向処理を施した配向膜を設けることでも実現可能である。さらには、これらの突起41、スリット42、及び、配向処理を施した配向膜の少なくとも2つを組み合わせても良いことは言うまでもない。
【0026】
≪第2構成例≫
第2構成例に係る液晶表示装置は、図4に示すように、各画素PXに第1白表示構成体DP1及び第2白表示構成体DP2からなる表示部DPを備えている。第1白表示構成体DP1は、赤(R)、緑(G)、及び、青(B)の3つのサブピクセルによって構成されている。第2白表示構成体DP2は、シアン(C)、マゼンタ(M)、及び、イエロー(Y)の3つのサブピクセルによって構成されている。つまり、第2構成例においては、1画素PXは、6つのサブピクセルR、G、B、C、M、Yによって構成されている。
【0027】
より具体的な構成について説明する。なお、各サブピクセルの具体的な構造は、第1構成例と同様であるため、第1構成例と同一の構成要素については同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。図4及び図5に示すように、スイッチング素子12は、対応走査線Y及び対応信号線Xの交差位置近傍においてサブピクセルR、G、B、C、M、Y毎に配置されている。また、画素電極13も、サブピクセルR、G、B、C、M、Y毎に配置されている。
【0028】
対向基板20において、表示部DPの第1白表示構成体DP1に対応して、赤色のサブピクセルRに赤色のレジスト23Rが配置され、緑色のサブピクセルGに緑色のレジスト23Gが配置され、また、青色のサブピクセルBに青色のレジスト23Bが配置されている。
【0029】
一方、表示部DPの第2白表示構成体DP2に対応して、シアン色のサブピクセルCは、バックライトから放射された白色光のうち主に緑色及び青色の波長成分を透過するシアン色のレジスト23Cを備えている。マゼンタ色のサブピクセルMは、バックライトから放射された白色光のうち主に赤色及び青色の波長成分を透過するマゼンタ色のレジスト23Mを備えている。イエロー色のサブピクセルYは、バックライトから放射された白色光のうち主に赤色及び緑色の波長成分を透過するイエロー色のレジスト23Yを備えている。
【0030】
≪第3構成例≫
第3構成例に係る液晶表示装置は、図6に示すように、各画素PXに第1白表示構成体DP1及び第2白表示構成体DP2からなる表示部DPを備えている。第1白表示構成体DP1は、赤(R1)、緑(G1)、及び、青(B1)の3つのサブピクセルによって構成されている。第2白表示構成体DP2は、赤(R2)、緑(G2)、及び、青(B2)の3つのサブピクセルによって構成されている。つまり、第3構成例においては、1画素PXは、6つのサブピクセルR1、G1、B1、R2、G2、B2によって構成されている。
【0031】
但し、第2白表示構成体DP2の少なくとも1つの色の色度は、第1白表示構成体DP1における同色の色度とは異なるようにサブピクセルの色を設定している。ここでは、赤色のサブピクセルR2の色度は、同じく赤色のサブピクセルR1の色度とは異なっている。また、緑色のサブピクセルG2の色度は、同じく緑色のサブピクセルG1の色度とは異なっており、さらには、青色のサブピクセルB2の色度は、同じく青色のサブピクセルB1の色度とは異なっている。要するに、第1白表示構成体を構成する全てのサブピクセルの色の色度と、第2白表示構成体を構成する全てのサブピクセルの色の色度とが同一とならないように設定されている(すなわち、サブピクセルR1及びR2の色度が同じであって、サブピクセルG1及びG2の色度が同じであって、且つ、サブピクセルB1及びB2の色度が同じとなるような設定は除かれる)。
【0032】
より具体的な構成について説明する。なお、各サブピクセルの具体的な構造は、第1構成例と同様であるため、第1構成例と同一の構成要素については同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。図6及び図7に示すように、スイッチング素子12は、対応走査線Y及び対応信号線Xの交差位置近傍においてサブピクセルR1、G1、B1、R2、G2、B2毎に配置されている。また、画素電極13も、サブピクセルR1、G1、B1、R2、G2、B2毎に配置されている。
【0033】
対向基板20において、表示部DPの第1白表示構成体DP1に対応して、赤色のサブピクセルR1に赤色のレジスト23R1が配置され、緑色のサブピクセルG1に緑色のレジスト23G1が配置され、また、青色のサブピクセルB1に青色のレジスト23B1が配置されている。
【0034】
一方、表示部DPの第2白表示構成体DP2に対応して、赤色のサブピクセルR2は、バックライトから放射された白色光のうち主に23R1とは異なる赤色の主波長成分を透過する赤色のレジスト23R2を備えている。緑色のサブピクセルG2は、バックライトから放射された白色光のうち主に23G1とは異なる緑色の主波長成分を透過する緑色のレジスト23G2を備えている。青色のサブピクセルB2は、バックライトから放射された白色光のうち主に23B1とは異なる青色の主波長成分を透過する青色のレジスト23B2を備えている。
【0035】
≪第1実施形態における階調制御方法≫
まず、各画素PXの表示部DPを単一の白表示構成体(例えば、赤色のサブピクセルR、緑色のサブピクセルG、及び、青色のサブピクセルB)によって構成した場合について、特にMVAモードの各画素PXにおける階調レベルに対する相対明度の出力特性について説明する。ここでは、図8に示した出力特性において、横軸とした階調レベルの階調数は256(L0〜L255)とし、縦軸とした相対明度L*は最小階調レベル(L0)の明度を0%とし最大階調レベル(L255)の明度を100%としたときの各階調レベルの明度の相対値としている。
【0036】
階調制御部GCは、このようなMVAモードの液晶表示装置をその法線方向から観察したとき、階調レベルに対する相対明度の出力特性(図中のA)が略リニアになるように、表示部DPに印加する電圧を制御している。しかしながら、液晶表示装置を斜め方向(例えば法線に対して傾き角度が80°の方向)から観察したときの出力特性(図中のB)は、法線からの傾き角度が大きくなるほど法線方向での出力特性から大きく外れてしまう。特に、中間調に相当する階調レベルの相対明度は、より高い階調レベル(すなわち白表示に近い階調レベル)での相対明度と差のない状態となり、白っぽく表示されてしまい、表示品位の良好な中間調を表示することが困難である。同一階調レベルにおいて、法線方向での出力特性と斜め方向での出力特性とでの最大の相対明度の差ΔL*maxは、約40%となる。
【0037】
そこで、この第1実施形態では、階調制御部GCは、第1制御モードにおいて、第1白表示構成体DP1または第2白表示構成体DP2の一方をオン状態として駆動する一方で他方をオフ状態として表示に寄与させないようにする。具体的には、図8に示した例では、階調制御部GCは、第1制御モードにおいて、各画素PXにおける階調レベルとして暗側の第1階調範囲(例えば階調レベルL0からL127までの範囲)における階調レベルを出力する。
【0038】
すなわち、第1階調範囲においては、第1白表示構成体DP1のみが駆動され、第2白表示構成体DP2はオフ状態(黒表示の状態)を維持している。つまり、第1白表示構成体DP1のみによって表示可能な階調範囲、例えば階調レベルL’0からL’255までの範囲を、各画素PXにおける暗側の第1階調範囲に割り振る。これにより、斜め方向から観察したときの出力特性(図中のC1)は、表示部DPを単一の白表示構成体で構成した場合の出力特性(図中のB)と同様の変化を呈するが、正面方向から観察したときの出力特性との差は小さく、最大の相対明度の差ΔL*maxは、約25%程度である。
【0039】
そして、階調制御部GCは、第2制御モードにおいて、第1白表示構成体DP1及び第2白表示構成体DP2をともにオン状態として駆動する。具体的には、図8に示した例では、階調制御部GCは、第2制御モードにおいて、各画素PXにおける階調レベルとして明側の第2階調範囲(例えば階調レベルL127からL255までの範囲)における階調レベルを出力する。
【0040】
すなわち、第2階調範囲においては、第1白表示構成体DP1は自身の最大階調レベルL’255を出力するように駆動された状態を維持し、さらに、第2白表示構成体DP2が組み合わせて駆動される。つまり、第1白表示構成体DP1に加えて、第2白表示構成体DP2によって表示可能な階調範囲、例えば階調レベルL”0からL”255までの範囲を、各画素PXにおける明側の第2階調範囲に割り振る。これにより、斜め方向から観察したときの出力特性(図中のC2)は、表示部DPを単一の白表示構成体で構成した場合の出力特性(図中のB)と同様の変化を呈するが、正面方向から観察したときの出力特性との差は小さく、最大の相対明度の差ΔL*maxは、約25%程度である。
【0041】
これまでの説明では、階調制御部GCにより制御モードの割り振りは、階調レベルに基づいて行ったが、必ずしも各画素の階調レベルを1/2にしてそれぞれの制御モードに割り振る必要はなく、種々変更可能である。また、階調制御部GCにより制御モードの割り振りは、相対明度に基づいて行っても良い。
【0042】
このような第1実施形態による階調制御方法によれば、斜め方向から観察した場合であっても、法線方向から観察した場合と同様の表示品位が得られる。特に、階調制御部GCは、中間調に相当する階調レベルにおいて、法線方向での相対明度と、斜め方向での相対明度とが略等しくなるように第1制御モードと第2制御モードとを組み合わせて駆動することにより、相対明度の変化をリニアに近づけることができ、中間調の表示品位を改善することが可能となる。
【0043】
なお、図9に示すように、階調制御部GCは、階調レベルに対する相対明度の出力特性が滑らかな曲線として示されるように第1制御モードと第2制御モードとを組み合わせて駆動することにより、さらに中間調の表示品位を改善することが可能となる。すなわち、図中のCで示した曲線のように、局所的に傾きが小さい部分(階調レベルの変化に対する相対明度の変化の小さい部分)では中間調が潰れやすいが、図中のDで示した曲線のように、滑らかであれば、傾きが小さい部分が少なく、特に中間調がリニアに変化して視認され、表示品位が改善する。
【0044】
ここでは、第1構成例における階調制御方法について説明する。
【0045】
第1白表示構成体DP1を構成するサブピクセルR、G、B、及び、第2白表示構成体DP2を構成するサブピクセルWについて、それぞれの印加電圧に対する相対輝度の関係は、図10に示す通りであるものとする。これにより、各画素PXにおける表示部DP単体の相対輝度は、図中のRGBWで示した通りである。
【0046】
ここで、xy平面内に色度座標を取り、その法線方向つまりz方向に明度L*を取った色空間を考える(Bkは黒表示に対応し、Wは白表示に対応する)。各画素PXの表示部DPを赤色のサブピクセルR、緑色のサブピクセルG、及び、青色のサブピクセルBによって構成した場合、図11Aに示すような六面体の空間内が色再現可能な範囲となる。これに対して、第1構成例のように、各画素PXの表示部DPを赤色のサブピクセルR、緑色のサブピクセルG、青色のサブピクセルB、及び、白色のサブピクセルWによって構成した場合、図11Bに示すように、z方向に伸びた六面体が形成され、色再現可能な範囲を拡大できることが分かる。
【0047】
このようなサブピクセル構成においては、各サブピクセルにおいて出力可能な階調数をNとし、各画素PXを構成するサブピクセル数をSとしたとき、表示部DPが各画素PXにおいて出力可能な表示色は、NのS乗である。しかしながら、この実施形態においては、それぞれの表示部DPが出力する表示色数は、NのM乗(ただし、M<S)としている。
【0048】
例えば、各サブピクセルで出力可能な階調数が256であり、サブピクセル数が4であるとき、それぞれの表示部DPは、能力的には256色の表示色を表示可能であるが、実際には、256色の表示色を表示するように設定されている。したがって、それぞれの色を出力するための手段は、Nの(S−M)乗、つまりここでは256通りあることになる。
【0049】
一例として、表示部DPが図11Bに示した色度座標上のピンク色Pを出力しようとしたとき、第1白表示構成体DP1のみを用いた構成、例えば赤色サブピクセルRの階調レベルをL’200とし、緑色サブピクセルGの階調レベルをL’20とし、青色サブピクセルBの階調レベルをL’20とした構成(白色サブピクセルWの階調レベルはL”0)では、斜め方向から観察したときに白っぽい表示となり、所望する色を再現できない場合がある。
【0050】
これに対して、同じ色度座標のピンク色Pを出力しようとしたとき、第1白表示構成体DP1及び第2白表示構成体DP2を組み合わせて用いた構成、例えば、赤色サブピクセルRの階調レベルをL’180とし、緑色サブピクセルGの階調レベルをL’0とし、青色サブピクセルBの階調レベルをL’0とし、白色サブピクセルWの階調レベルはL”20とした構成では、視角にかかわらず白っぽさが改善され、所望する色を再現することができる。
【0051】
つまり、表示部DPがある色を出力しようとしたとき、その出力手段が複数通りあるため、このうち、法線方向及び斜め方向ともに白っぽさを改善できる組み合わせを選択することで、いずれの色も視角にかかわらず良好な表示品位で再現することが可能となる。
【0052】
なお、ここでは、第1構成例について説明したが、第2構成例においては、色度図上の赤(R)、緑(G)、青(B)の他に、これらを結ぶ三角形の外側に座標を有するシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)を組み合わせることにより、再現可能な色範囲は、色空間において、略12面体で示される空間に相当し、さらに、色再現範囲を拡大することが可能となる。
【0053】
同様に、第3構成例においては、色度図上の赤(R1)、緑(G1)、青(B1)の他に、これらを結ぶ三角形の外側に座標を有する赤(R2)、緑(G2)、青(B2)を組み合わせることにより、再現可能な色範囲は、色空間において、略12面体で示される空間に相当し、さらに、色再現範囲を拡大することが可能となる。
【0054】
次に、第1構成例のサブピクセル構成において、ピンク色の階調制御方法の一例について説明する。
【0055】
図12に示すように、色度図上のピンク色Pについては、階調制御部GCは、色度図上の赤の色度座標(赤色のサブピクセルRの色度座標)と、相対明度L*の軸上の50%に相当する点とを結ぶ線分S1を境に、第1制御モードと第2制御モードとを切り替えて駆動する。
【0056】
すなわち、階調制御部GCは、相対明度L*の軸上の0%に相当する点を最小階調レベルとし、ここから線分S1までの範囲を暗側の第1階調範囲として、第1制御モードを選択する。また、階調制御部GCは、相対明度L*の軸上の100%に相当する点を最大階調レベルとし、線分S1から最大階調レベルまでの範囲を明側の第2階調範囲として、第2制御モードを選択する。上述した第1階調範囲は、さらに、色度図上の赤の色度座標から相対明度L*の軸上に下ろした垂線S2を境に、暗側の階調範囲と明側の階調範囲とに区分される。
【0057】
階調制御部GCは、第1階調範囲の暗側の階調範囲における階調レベルを出力する際、第1制御モードを選択し、赤色のサブピクセルRを駆動するとともに緑色のサブピクセルG及び青色のサブピクセルBを組み合わせて駆動する。そして、階調制御部GCは、第1階調範囲の明側の階調範囲における階調レベルを出力する際、第1制御モードを選択し、赤色のサブピクセルRについては最大階調レベルとなるように駆動するとともに緑色のサブピクセルG及び青色のサブピクセルBを組み合わせて駆動する。
【0058】
一方、階調制御部GCは、第2階調範囲における階調レベルを出力する際、第2制御モードを選択し、第1白表示構成体DP1を構成する各サブピクセルR、G、Bを駆動するのに加えて第2白表示構成体DP2を構成する白色のサブピクセルWを組み合わせて駆動する。
【0059】
このように、階調制御部GCにより第1制御モード及び第2制御モードを組み合わせることにより、所望の色を所定の階調数の階調レベルで視角にかかわらず良好な表示品位で再現することが可能となる。
【0060】
≪実施例1;円偏光主導型MVAモード≫
次に、第1実施形態を適用した実施例1について説明する。この実施例1に係る液晶表示装置は、図13に示すように、各画素の液晶分子配列が画素に電圧を印加していない状態において基板主面に対してほぼ垂直に配向した円偏光主導型の垂直配向モードの液晶表示装置であって、円偏光子構成体Pと、可変リターダー構成体VRと、円検光子構成体Aと、白色光を放射するバックライトBLと、を備えている。
【0061】
可変リターダー構成体VRは、2枚の電極付基板間に液晶層を挟持したドットマトリクス型の液晶セルCを備えており、各画素は、第1乃至第3構成例のいずれで構成されていても良い。なお、各画素は、2つのドメインに配向分割されている。
【0062】
円偏光子構成体Pは、液晶セルCのバックライトBL側に位置する第1偏光板PL1、及び、第1偏光板PL1と液晶セルCとの間に配置された一軸の第1位相差板RF1を含んでいる。円検光子構成体Aは、液晶セルCの観察側に位置する第2偏光板PL2、及び、第2偏光板PL2と液晶セルCとの間に配置された一軸の第2位相差板RF2を含んでいる。
【0063】
第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2は、それぞれの面内において、互いにほぼ直交する透過軸及び吸収軸を有している。これらの第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2は、それぞれの透過軸が互いに直交するように配置されている。
【0064】
第1位相差板RF1及び第2位相差板RF2は、その面内において、互いにほぼ直交する進相軸及び遅相軸を有しており、進相軸及び遅相軸をそれぞれ透過する所定波長(例えば550nm)の光の間に1/4波長の位相差(すなわち140nmの面内位相差)を与える一軸の4分の1波長板である。このような第1位相差板RF1及び第2位相差板RF2は、それぞれの遅相軸が互いに直交するように配置されている。また、第1位相差板RF1は、その遅相軸が第1偏光板PL1の吸収軸とほぼ45°の角度をなすように配置されている。同様に、第2位相差板RF2は、その遅相軸が第2偏光板PL1の吸収軸とほぼ45°の角度をなすように配置されている。
【0065】
円偏光子構成体Pは、その光学補償用に第1偏光板PL1と第1位相差板RF1との間に配置された第1光学補償層OC1を備えている。円検光子構成体Aは、その光学補償用に第2偏光板PL2と第2位相差板RF2との間に配置された第2光学補償層OC2を備えている。可変リターダー構成体VRは、その光学補償用に第1位相差板RF1と第2位相差板RF2との間に配置された第3光学補償層OC3を備えている。
【0066】
すなわち、第1光学補償層OC1は、円偏光子構成体Pを出射した出射光の偏光状態が出射方位によらず略円偏光となるように円偏光子構成体Pの視角特性を補償する。第2光学補償層OC2は、円検光子構成体Aを出射した出射光の偏光状態が出射方位によらず略円偏光となるように円検光子構成体Aの視角特性を補償する。第3光学補償層OC3は、可変リターダー構成体VRにおける液晶セルCの位相差(液晶分子が基板主面にほぼ垂直に配列した状態、すなわち黒表示状態において液晶層における光学的に正の法線位相差)の視角特性を補償する。
【0067】
第1光学補償層OC1及び第2光学補償層OC2は、同様に構成されており、それぞれ、屈折率異方性がnx>ny≒nzとなる光学的に1軸のポジティブAプレート(p−A)を、屈折率異方性がnx≒ny<nzとなる光学的に1軸の2枚のポジティブCプレート(p−C)で挟むように積層して構成されている。
【0068】
第3光学補償層OC3は、屈折率異方性がnx≒ny>nzとなる光学的に1軸のネガティブCプレート(n−C)によって構成されている。
【0069】
より具体的には、液晶セルCにおける液晶層は、誘電異方性が負のネマティック液晶材料として、メルク(株)製のF系液晶を用いた。ここで用いた液晶材料の屈折率異方性Δnは、0.09(測定波長は550nm。以下位相差板の屈折率や位相差は全て波長550nmでの測定値を記す)であり、液晶層の厚みdは3.1μmである。
【0070】
第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2としては、住友化学(株)製の偏光板SRW062Aを適用した。
【0071】
第1位相差板RF1及び第2位相差板RF2としては、日本ゼオン(株)製のゼオノア樹脂からなる1軸の4分の1波長板を適用した(面内位相差は140nm)。
【0072】
ポジティブAプレート(p−A)としては、日本ゼオン(株)製のゼオノア樹脂からなる1軸のポジティブAプレートを適用した(面内位相差は130nm)。
【0073】
ポジティブCプレート(p−C)としては、大日本印刷(株)製の液晶ポリマー樹脂からなる1軸のポジティブCプレートを適用した(法線位相差は70nm)。
【0074】
ネガティブCプレート(n−C)としては、日東電工(株)製の液晶ポリマー樹脂からなる1軸のネガティブCプレートを適用した(法線位相差は−110nm)。
【0075】
上述した実施例1の構成において、階調レベルに対する相対明度の出力特性を測定した。この測定では、画像を表示した画面の上下方位及び左右方位について、視角毎に出力特性を測定した。ここで、比較のために、各表示部を単一の白表示構成体(赤色のサブピクセルR、緑色のサブピクセルG、及び、青色のサブピクセルB)によって構成した場合についても、法線に対して80°の傾き角度となる斜め方向から観察したときの出力特性も測定した。
【0076】
図14Aに示すように、上下方位については、法線方向(0deg)での出力特性に対して、比較例での出力特性は全体的に相対明度が相違しており、また、低階調レベルで急峻な相対明度が変化する反面、中間調から高階調レベルでは相対明度の変化が小さく、結果として白っぽい表示となってしまった。これに対して、実施例1の構成において上述したような階調制御方法を適用した場合、傾き角度が大きくなるにしたがって法線方向での出力特性との差が拡大するが、比較例ほど大きくなく、また、全体的に滑らかな曲線を描くような出力特性が得られた。特に、中間調に相当する階調レベルにおいても良好な表示品位が得られることが確認できた。
【0077】
図14Bに示すように、左右方位についても、同様に、実施例1の構成において上述したような階調制御方法を適用した場合、傾き角度が大きくなっても全体的に滑らかな曲線を描くような出力特性が得られ、中間調に相当する階調レベルにおいても良好な表示品位が得られることが確認できた。
【0078】
≪実施例2;直線偏光主導型MVAモード≫
次に、第1実施形態を適用した実施例2について説明する。この実施例2に係る液晶表示装置は、図15に示すように、各画素の液晶分子配列が画素に電圧を印加していない状態において基板主面に対してほぼ垂直に配向した直線偏光主導型の垂直配向モードの液晶表示装置であって、円偏光子構成体Pと、可変リターダー構成体VRと、円検光子構成体Aと、白色光を放射するバックライトBLと、を備えている。なお、実施例1と同一の構成については、同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。
【0079】
可変リターダー構成体VRは、2枚の電極付基板間に液晶層を挟持したドットマトリクス型の液晶セルCを備えており、各画素は、第1乃至第3構成例のいずれで構成されていても良い。なお、各画素は、2つのドメインに配向分割されている。
【0080】
円偏光子構成体Pは、液晶セルCのバックライトBL側に位置する第1偏光板PL1、及び、第1偏光板PL1と液晶セルCとの間に配置された2軸の第1位相差板RF1を含んでいる。円検光子構成体Aは、液晶セルCの観察側に位置する第2偏光板PL2、及び、第2偏光板PL2と液晶セルCとの間に配置された2軸の第2位相差板RF2を含んでいる。
【0081】
第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2は、それぞれの面内において、互いにほぼ直交する透過軸及び吸収軸を有している。これらの第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2は、それぞれの透過軸が互いに直交するように配置されている。
【0082】
第1位相差板RF1及び第2位相差板RF2は、その面内において、互いにほぼ直交する進相軸及び遅相軸を有しており、屈折率異方性がnx>ny>nzとなる位相差板である。このような第1位相差板RF1及び第2位相差板RF2は、それぞれの遅相軸が互いに直交するように配置されている。また、第1位相差板RF1は、その遅相軸が第1偏光板PL1の吸収軸とほぼ直交するように配置されている。同様に、第2位相差板RF2は、その遅相軸が第2偏光板PL1の吸収軸とほぼ直交するように配置されている。
【0083】
より具体的には、液晶セルCにおける液晶層は、誘電異方性が負のネマティック液晶材料として、メルク(株)製のF系液晶を用いた。ここで用いた液晶材料の屈折率異方性Δnは、0.09(測定波長は550nm。以下位相差板の屈折率や位相差は全て波長550nmでの測定値を記す)であり、液晶層の厚みdは3.1μmである。
【0084】
第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2としては、住友化学(株)製の偏光板SRW062Aを適用した。
【0085】
第1位相差板RF1及び第2位相差板RF2としては、日本ゼオン(株)製のゼオノアIIを適用した(面内位相差は50nmであり、法線位相差が110nmである)。
【0086】
上述した実施例2の構成において、階調レベルに対する相対明度の出力特性を測定した。この測定では、画像を表示した画面の上下方位及び左右方位について、視角毎に出力特性を測定した。ここで、比較のために、各表示部を単一の白表示構成体(赤色のサブピクセルR、緑色のサブピクセルG、及び、青色のサブピクセルB)によって構成した場合についても、法線に対して80°の傾き角度となる斜め方向から観察したときの出力特性も測定した。
【0087】
図16Aに示すように、上下方位については、実施例2の構成において上述したような階調制御方法を適用した場合、法線方向(0deg)での出力特性とほぼ同等の出力特性が得られた。特に、中間調に相当する階調レベルにおいても良好な表示品位が得られることが確認できた。
【0088】
図16Bに示すように、左右方位については、法線方向(0deg)での出力特性に対して、比較例での出力特性は全体的に相対明度が相違しており、また、低階調レベルで急峻な相対明度が変化する反面、中間調から高階調レベルでは相対明度の変化が小さく、結果として白っぽい表示となってしまった。これに対して、実施例2の構成において上述したような階調制御方法を適用した場合、傾き角度が大きくなるにしたがって法線方向での出力特性との差が拡大するが、比較例ほど大きくなく、また、全体的に滑らかな曲線を描くような出力特性が得られた。特に、中間調に相当する階調レベルにおいても良好な表示品位が得られることが確認できた。
【0089】
(第2実施形態:サブフレーム構成)
この第2実施形態においては、図17に示すように、各画素PXは、1つのスイッチング素子12及びこのスイッチング素子12に接続された1つの画素電極13を備えて構成されている。このような画素PXを備えた液晶セルCと面光源装置として機能するバックライトBLとを組み合わせ、フィールドシーケンシャル駆動を適用することにより、表示部DPは、各画素PXにおいてカラー表示を可能としている。すなわち、バックライトBLは、原色光源を含んで構成されており、各表示部DPは、原色光源が順次点灯するタイミングに対応して液晶セルCの透過状態を制御することにより原色のそれぞれの画像を表示する複数のサブフレームによって1フレームを構成している。この第2実施形態について、第1乃至第3構成例について、以下に説明する。
【0090】
≪第1構成例≫
第1構成例に係る液晶表示装置において、表示部DPは、図18に示すように、第1白表示構成体DP1により原色を順次表示するサブフレームと、第2白表示構成体DP2により白色を表示するサブフレームと、によって1フレームを構成するように駆動される。図18に示した例では、第1白表示構成体DP1は、赤(R)、緑(G)、及び、青(B)の3つのサブフレームによって構成されているが、シアン(C)、マゼンタ(M)、及び、イエロー(Y)の3つのサブフレームによって構成してもよい。つまり、第1構成例においては、1フレームは、4つのサブフレームR、G、B、Wによって構成されている。
【0091】
より具体的な構成について説明する。液晶セルCは、基本的には第1実施形態と同様に構成されている。但し、液晶セルCは、カラーフィルタを備えていない。各表示部DPは、対応する画素PXにおいてカラー表示を可能とするために、1フレームをほぼ4分割し、赤色を表示するサブフレームRにおいて、バックライトから赤色光が放射されているタイミングで画素PXをオン状態(光透過可能な状態)とし、主に赤色の波長成分を透過する。同様にして、表示部DPは、緑色を表示するサブフレームGにおいてバックライトから緑色光が放射されているタイミングで画素PXをオン状態とし、主に緑色の波長成分を透過し、青色を表示するサブフレームBにおいてバックライトから青色光が放射されているタイミングで画素PXをオン状態とし、主に青色の波長成分を透過し、さらに、白色を表示するサブフレームWにおいてバックライトから白色光が放射されているタイミングで画素PXをオン状態とし、白色光を透過する。
【0092】
≪第2構成例≫
第2構成例に係る液晶表示装置において、表示部DPは、図19に示すように、第1白表示構成体DP1により赤(R)、緑(G)、及び、青(B)を順次表示する3つのサブフレームと、第2白表示構成体DP2によりシアン(C)、マゼンタ(M)、及び、イエロー(Y)を順次表示する3つのサブフレームと、によって1フレームを構成するように駆動される。つまり、第2構成例においては、1フレームは、6つのサブフレームR、G、B、C、M、Yによって構成されている。
【0093】
より具体的な構成について説明する。各表示部DPは、対応する画素PXにおいてカラー表示を可能とするために、1フレームをほぼ6分割し、赤色を表示するサブフレームRにおいて、バックライトから赤色光が放射されているタイミングで画素PXをオン状態(光透過可能な状態)とし、主に赤色の波長成分を透過する。同様にして、表示部DPは、緑色を表示するサブフレームGにおいてバックライトから緑色光が放射されているタイミングで画素PXをオン状態とし、主に緑色の波長成分を透過し、青色を表示するサブフレームBにおいてバックライトから青色光が放射されているタイミングで画素PXをオン状態とし、主に青色の波長成分を透過する。
【0094】
これらの3つのサブフレームに続いて、表示部DPは、シアン色を表示するサブフレームCにおいて、バックライトから緑色光及び青色光が放射されているタイミングで画素PXをオン状態(光透過可能な状態)とし、主にシアン色の波長成分を透過する。同様にして、表示部DPは、マゼンタ色を表示するサブフレームMにおいてバックライトから赤色光及び青色光が放射されているタイミングで画素PXをオン状態とし、主にマゼンタ色の波長成分を透過し、イエロー色を表示するサブフレームYにおいてバックライトから赤色光及び緑色光が放射されているタイミングで画素PXをオン状態とし、主にイエロー色の波長成分を透過する。
【0095】
≪第3構成例≫
第3構成例に係る液晶表示装置において、表示部DPは、図20に示すように、第1白表示構成体DP1により赤(R1)、緑(G1)、及び、青(B1)を順次表示する3つのサブフレームと、第2白表示構成体DP2により赤(R2)、緑(G2)、及び、青(B2)を順次表示する3つのサブフレームと、によって1フレームを構成するように駆動される。つまり、第3構成例においては、1フレームは、6つのサブフレームR1、G1、B1、R2、G2、B2によって構成されている。
【0096】
但し、第2白表示構成体DP2により表示される少なくとも1つの色の色度は、第1白表示構成体DP1により表示される同色の色度とは異なるようにサブフレームの色を設定している。ここでは、赤色のサブフレームR2の色度は、同じく赤色のサブフレームR1の色度とは異なっている。また、緑色のサブフレームG2の色度は、同じく緑色のサブフレームG1の色度とは異なっており、さらには、青色のサブフレームB2の色度は、同じく青色のサブフレームB1の色度とは異なっている。要するに、第1白表示構成体を構成する全てのサブフレームの色の色度と、第2白表示構成体を構成する全てのサブフレームの色の色度とが同一とならないように設定されている。
【0097】
より具体的な構成について説明する。各表示部DPは、対応する画素PXにおいてカラー表示を可能とするために、1フレームをほぼ6分割し、赤色を表示するサブフレームR1において、バックライトから赤色光が放射されているタイミングで画素PXをオン状態(光透過可能な状態)とし、主に赤色の波長成分を透過する。同様にして、表示部DPは、緑色を表示するサブフレームG1においてバックライトから緑色光が放射されているタイミングで画素PXをオン状態とし、主に緑色の波長成分を透過し、青色を表示するサブフレーB1ムにおいてバックライトから青色光が放射されているタイミングで画素PXをオン状態とし、主に青色の波長成分を透過する。
【0098】
これらの3つのサブフレームに続いて、表示部DPは、赤色を表示するサブフレームR2において、バックライトからR1とは異なる主波長成分の赤色光が放射されているタイミングで画素PXをオン状態(光透過可能な状態)とし、主に赤色の波長成分を透過する。同様にして、表示部DPは、緑色を表示するサブフレームG2においてバックライトからG1とは異なる主波長成分の緑色光が放射されているタイミングで画素PXをオン状態とし、主に緑色の波長成分を透過し、青色を表示するサブフレームB2においてバックライトからB1とは異なる主波長成分の青色光が放射されているタイミングで画素PXをオン状態とし、主に青色の波長成分を透過する。
【0099】
これらの第2実施形態における階調制御方法は、上述した第1実施形態における「サブピクセル」を「サブフレーム」に置き換えることで同様に可能であり、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0100】
なお、この発明は、上記実施形態そのものに限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【0101】
例えば、上述した実施の形態では、各画素は、2つの白表示構成体(すなわち第1白表示構成体及び第2白表示構成体)を含む構成について説明したが、3つ以上の白表示構成体を含んでいても良い。
【0102】
また、上述した実施の形態では、面光源装置としてバックライトを備えた構成について説明したが、反射型の液晶セルとの組み合わせにおいて、面光源装置としてフロントライトを備えていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】図1は、この発明の実施の形態に係る液晶表示装置の構成を説明するための図である。
【図2】図2は、この発明の第1実施形態における第1構成例に係る液晶表示装置の表示部の構成を概略的に示す図である。
【図3】図3は、図2に示した液晶表示装置の表示部の構成を概略的に示す断面図である。
【図4】図4は、この発明の第1実施形態における第2構成例に係る液晶表示装置の表示部の構成を概略的に示す図である。
【図5】図5は、図4に示した液晶表示装置の表示部の構成を概略的に示す断面図である。
【図6】図6は、この発明の第1実施形態における第3構成例に係る液晶表示装置の表示部の構成を概略的に示す図である。
【図7】図7は、図6に示した液晶表示装置の表示部の構成を概略的に示す断面図である。
【図8】図8は、この実施の形態に係る階調制御方法を説明するための図であって、各画素における階調レベルに対する相対明度の出力特性の一例を示す図である。
【図9】図9は、この実施の形態に係るより望ましい階調制御方法を説明するための図である。
【図10】図10は、第1実施形態の第1構成例に係る階調制御方法を説明するための図であって、各画素におけるサブピクセルの印加電圧に対する相対輝度の特性を示す図である。
【図11A】図11Aは、各画素の表示部を単一の白表示構成体によって構成した場合に再現可能な色再現範囲を模式的に示す図である。
【図11B】図11Bは、この実施の形態に係る階調制御方法を適用した場合に再現可能な色再現範囲を模式的に示す図である。
【図12】図12は、第1実施形態の第1構成例についてピンク色の階調制御方法を説明するための図である。
【図13】図13は、第1実施形態の実施例1に係る液晶表示装置の構成を説明するための図である。
【図14A】図14Aは、実施例1に係る液晶表示装置の画面の上下方位について、階調レベルに対する相対明度の出力特性の測定結果を示す図である。
【図14B】図14Bは、実施例1に係る液晶表示装置の画面の左右方位について、階調レベルに対する相対明度の出力特性の測定結果を示す図である。
【図15】図15は、第1実施形態の実施例2に係る液晶表示装置の構成を説明するための図である。
【図16A】図16Aは、実施例2に係る液晶表示装置の画面の上下方位について、階調レベルに対する相対明度の出力特性の測定結果を示す図である。
【図16B】図16Bは、実施例2に係る液晶表示装置の画面の左右方位について、階調レベルに対する相対明度の出力特性の測定結果を示す図である。
【図17】図17は、この発明の第2実施形態に係る液晶表示装置の表示部の構成を説明するための図である。
【図18】図18は、この発明の第2実施形態における第1構成例に係る液晶表示装置の表示部による駆動方法を説明するための図である。
【図19】図19は、この発明の第2実施形態における第2構成例に係る液晶表示装置の表示部による駆動方法を説明するための図である。
【図20】図20は、この発明の第2実施形態における第3構成例に係る液晶表示装置の表示部による駆動方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0104】
C…液晶セル、PX…画素、DP…表示部、GC…階調制御部、P…円偏光子構成体、VR…可変リターダー構成体、A…円検光子構成体、BL…バックライト、DP1…第1白表示構成体、DP2…第2白表示構成体、10…アレイ基板、11…絶縁基板、12…スイッチング素子、13…画素電極、20…対向基板、21…絶縁基板、22…対向電極、23…カラーフィルタ、30…液晶層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の基板間に液晶層を有するドットマトリクス型の液晶表示装置であり、
各画素においてカラー表示を可能とする表示部と、
各画素における階調レベルを制御する階調制御部と、を備え、
前記表示部は、原色を組み合わせて白表示するように構成された第1白表示構成体と、前記第1白表示構成体を構成する原色とは異なる色度の色を含み白表示するように構成された第2白表示構成体と、を有し、
前記階調制御部は、前記第1白表示構成体または前記第2白表示構成体の一方により各画素の階調レベルを制御する第1制御モードと、前記第1白表示構成体及び前記第2白表示構成体の組み合わせにより各画素の階調レベルを制御する第2制御モードと、を有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記表示部は、前記第1白表示構成体を構成する原色のサブピクセルと、前記第2白表示構成体を構成する白色のサブピクセルと、によって1画素を構成することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記表示部は、前記第1白表示構成体を構成する赤、緑、及び、青のサブピクセルと、前記第2白表示構成体を構成するイエロー、マゼンタ、及び、シアンのサブピクセルと、によって1画素を構成することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記表示部は、前記第1白表示構成体を構成する赤、緑、及び、青のサブピクセルと、前記第2白表示構成体を構成する赤、緑、及び、青のサブピクセルと、によって1画素を構成し、且つ、前記第2白表示構成体の少なくとも1つの色の色度が前記第1白表示構成体における同色の色度と異なることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記表示部は、前記第1白表示構成体により原色を順次表示するサブフレームと、前記第2白表示構成体により白色を表示するサブフレームと、によって1フレームを構成するように駆動されることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記表示部は、前記第1白表示構成体により赤、緑、及び、青を順次表示するサブフレームと、前記第2白表示構成体によりイエロー、マゼンタ、及び、シアンを順次表示するサブフレームと、によって1フレームを構成するように駆動されることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記表示部は、前記第1白表示構成体により赤、緑、及び、青を順次表示するサブフレームと、前記第2白表示構成体により赤、緑、及び、青を順次表示するサブフレームと、によって1フレームを構成するように駆動され、且つ、前記第2白表示構成体の少なくとも1つの色の色度が前記第1白表示構成体における同色の色度と異なることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
各サブピクセルにおいて出力可能な階調数をNとし、各画素のサブピクセル数をSとしたとき、前記表示部が各画素において出力する表示色数がNのM乗(但し、M<S)であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
各サブフレームにおいて出力可能な階調数をNとし、1フレームを構成するサブフレーム数をSとしたとき、前記表示部が各画素において出力する表示色数がNのM乗(但し、M<S)であることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記階調制御部は、前記第1制御モードにおいて暗側の第1階調範囲における階調レベルを出力するとともに、前記第2制御モードにおいて第1階調範囲とは異なる明側の第2階調範囲における階調レベルを出力することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
中間調に相当する階調レベルにおいて、液晶表示装置の法線方向での相対明度と、法線に対して傾いた斜め方向での相対明度とが略等しいことを特徴とする請求項10に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
斜め方向において、階調レベルに対する相対明度の出力特性は、滑らかな曲線で示されることを特徴とする請求項11に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−114558(P2007−114558A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−306882(P2005−306882)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【出願人】(302020207)東芝松下ディスプレイテクノロジー株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】