説明

液晶表示装置

【課題】高い演色性や優れた色再現性を得つつ、高い輝度を確保できるカラー液晶表示装置を提供する
【解決手段】液晶表示装置は、カラー液晶表示パネルと、緑色光を照射する光源を有しかつ前記液晶表示パネルの裏側に配されているバックライト5とを備え、光源は、例えば蛍光ランプ31である。この蛍光ランプ31から前記光源から発せられる緑色光のピーク波長をLgp[nm]とし、蛍光ランプ31から前記カラー液晶表示パネルの表示画面までの間に配された光学部材における緑色光の透過率が最大となる波長をFgp[nm]とし、視感度曲線が最大となる波長をVp[nm]としたときに、Fgp < Lgp、Fgp < VpおよびVp−7 ≦ Lgp ≦ Vp+16の関係を満たす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー液晶表示パネルとバックライトとを備える液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、液晶層を偏光板で挟んで構成される液晶表示パネルと、当該液晶表示パネルをその裏側から照射するバックライトとを備え、さらに、液晶表示パネルにカラーフィルターを設けることでカラー画像の表示を行うカラー液晶表示装置がある。
【0003】
つまり、カラー液晶表示装置は、液晶表示パネルの1画素を、R(赤)、G(緑)、B(青)の3つのサブ画素で構成し、各サブ画素に印加する電圧により当該サブ画素の透過率を調整して、バックライトから出射された光を透過率の調整された各サブ画素に導入後、カラーフィルターで分光することで1画素単位で所望のカラー表示を行う。
【0004】
このような液晶表示装置において、高い演色性や優れた色再現性を確保するために、バックライトの光源に、赤・青・緑の波長領域に発光ピークを有するような蛍光体、具体的には、赤・青・緑の三波長発光型の蛍光体を利用した蛍光ランプを利用したもの(特許文献1参照)や、赤・青・緑の波長領域に発光ピークを有するような複数のLEDを2次元配列してなるものを利用したものがある(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭59−210481号公報
【特許文献2】特開2006−59606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記技術では、高い演色性や優れた色再現性を得ることができても、カラー液晶表示装置の画面輝度を向上させることはできない。つまり、近年、画像の鮮明度を向上させるために輝度向上の要請が強くなり、本要請に対しては上記技術で対応することができないのである。
【0007】
上記の課題に鑑み、本発明は、高い輝度を確保できる液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明に係る液晶表示装置は、カラー液晶表示パネルと、前記カラー液晶表示パネルの裏側に配され、緑色光を発する光源を有したバックライトとを備える液晶表示装置において、前記光源から発せられる緑色光のピーク波長をLgp[nm]とし、前記光源から前記カラー液晶表示パネルの表示画面までの間に配された光学部材における緑色光の透過率が最大となる波長をFgp[nm]とし、視感度曲線が最大となる波長をVp[nm]としたときに、Fgp < Lgp、Fgp < VpおよびVp−7(Vp―Fgp)/22 ≦ Lgpの関係を満たすことを特徴とする。
【0009】
ここで、「光学部材」とは、光源(例えば、蛍光ランプや半導体発光装置である。)と、カラー液晶表示パネルの表示画面との間に存在する部材をいう。なお、光源と表示画面との間には、光源が含まれず、表示画面は含んでいる。換言すると、装置としての光源から発せられた光が、カラー液晶表示パネルの表示画面から出射されるまでに透過する部材をいう。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る液晶表示装置は、前記光源から発せられる緑色光のピーク波長Lgp[nm]と、光学部材における緑色光の透過率が最大となる波長Fgp[nm]と、視感度曲線が最大となる波長Vp[nm]とが上記所定の関係を満たすと、液晶表示パネルの表示画面上での輝度が向上することが解析により確認できた。このため効率よく緑色発光することができる。
【0011】
また、Vp―7 ≦ Lgp ≦ Vp+16の関係を満たすことが好ましい。この場合、さらに液晶表示パネルの表示画面上での輝度を向上させることができる。
【0012】
さらに、Vp < Lgpであることが好ましい。この場合、さらにより液晶表示パネルの表示画面上での輝度を向上させることができる。
【0013】
また、517 ≦ Fgp ≦ 538であることが好ましい。この場合、より効率よく緑色発光を出射させることができる。
【0014】
前記光源は、さらに赤色光を発し、当該赤色光のピーク波長をLrp[nm]とし、前記光学部材における赤色光の透過率が最大となる波長をFrp[nm]としたときに、Frp−50 ≦ Lrp ≦ Frp−30の関係を満たすことが好ましい。この場合、効率よく赤色発光することができる。
【0015】
また、610 ≦ Lrp ≦ 630であることが好ましい。この場合、より効率よく赤色発光を出射させることができる。
【0016】
さらに、605 ≦ Frp ≦ 665であることが好ましい。より効率よく赤色発光を出射させることができる。
【0017】
前記光源は、さらに青色光を発し、当該青色光のピーク波長をLbp[nm]とし、前記光学部材における赤色光の透過率が最大となる波長をFbp[nm]としたときに、Fbp−20 ≦ Lbp ≦ Fbp+10の関係を満たすことが好ましい。この場合、効率よく青色発光することができる。
【0018】
また、430 ≦ Lbp ≦ 470であることが好ましい。この場合、より効率よく青色発光を出射させることができる。
【0019】
さらに、458 ≦ Fbp ≦ 478であることが好ましい。この場合、より効率よく青色発光を出射させることができる。
【0020】
前記光源は、蛍光ランプであることが好ましい。この場合、光源の構造を簡易化することができる。さらに、前記蛍光ランプは、ガラス管と、前記ガラス管の内面に形成された蛍光体層とを有し、前記蛍光体層は、青色蛍光体、赤色蛍光体および緑色蛍光体を含み、前記青色蛍光体は、BAM、SCA、SPEのいずれか1種を含み、前記赤色蛍光体は、YOX、YVO、YOSのいずれか1種を含み、前記緑色蛍光体は、LAP、BAM:Mn、ZSM、CAT、CAT:Mn、CMZのいずれか1種を含むことが好ましい。この場合、液晶表示装置の色再現性と輝度向上とを共に実現することができる。
【0021】
前記光源は、半導体発光装置であることを特徴としている。この場合、光源が蛍光ランプである場合に比べて液晶表示装置を薄型化することができる。
【0022】
前記半導体発光装置は、青色半導体発光素子と、前記半導体発光素子から発せられ光を緑色光に変換する緑色用波長変換部材と、前記半導体発光素子から発せられ光を赤色光に変換する赤色用波長変換部材とを有することを特徴とし、あるいは、前記半導体発光装置は、赤色半導体発光素子と、青色半導体発光素子と、緑色半導体発光素子とを有し、前記赤色半導体発光素子は、AlGaAs、GaAsP、GaPAlGaInPのいずれか1種を含み、前記青色半導体発光素子は、InGaN、GaN、AlGaN、SeZnのいずれか1種を含み、前記緑色半導体発光素子は、InGaN、GaN、AlGaN、GaP、AlInGaP、SeZnのいずれか1種を含むことを特徴としている。この場合、液晶表示装置の色再現性と輝度向上とを共に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1の実施の形態に係る一の液晶表示装置を、内部の様子がわかるように、一部を切り欠いて示す図である。
【図2】第1の実施の形態の液晶表示装置に係る液晶表示パネルの概略構成を示す分解斜視図である。
【図3】第1の実施の形態の液晶表示装置に係るバックライトの概略構成を示す分解斜視図である。
【図4】取付枠および透光板を取り外した状態のバックライトの平面図である。
【図5】図4におけるA−A線断面を矢印方向から見た図である。
【図6】(a)は、従来品を用いた際の各色光の輝度を100として、ピーク波長を変化させたときの液晶表示パネルの画面上の輝度の比率を示す図であり、(b)は、解析に用いた蛍光体のピーク波長を示す図であり、(c)は、解析に用いた光学部材における各色光の透過率が最大となる波長を示す図である。
【図7】液晶表示パネルの画面上の色度xyを、(x,y)=(0.28,0.28)と設定して、蛍光体のピーク波長を視感度曲線が最大となる波長を基準にして変更した場合における、従来品を用いた際の各色光の輝度を100として、ピーク波長を変化させたときの液晶表示パネルの画面上の輝度の比率を示す図である。
【図8】液晶表示パネルの画面上の色度xyを、(x,y)=(0.28,0.30)と設定して、蛍光体のピーク波長を視感度曲線が最大となる波長を基準にして変更した場合における、従来品を用いた際の各色光の輝度を100として、ピーク波長を変化させたときの液晶表示パネルの画面上の輝度の比率を示す図である。
【図9】液晶表示パネルの画面上の色度xyを、(x,y)=(0.30,0.28)と設定して、蛍光体のピーク波長を視感度曲線が最大となる波長を基準にして変更した場合における、従来品を用いた際の各色光の輝度を100として、ピーク波長を変化させたときの液晶表示パネルの画面上の輝度の比率を示す図である。
【図10】液晶表示パネルの画面上の色度xyを、(x,y)=(0.30,0.30)と設定して、蛍光体のピーク波長を視感度曲線が最大となる波長を基準にして変更した場合における、従来品を用いた際の各色光の輝度を100として、ピーク波長を変化させたときの液晶表示パネルの画面上の輝度の比率を示す図である。
【図11】蛍光体のピーク波長を変更した場合の輝度を算出する解析方法の概略を説明する図である。
【図12】図11の各色光の単色ランプスペクトルの算出方法を説明する図である。
【図13】図11の各色光の光学部材透過データの算出方法を説明する図である。
【図14】図12のA図からC図の拡大図である。
【図15】図12のD図およびE図の拡大図である。
【図16】図13のF図からH図の拡大図である。
【図17】第2の実施の形態に係るバックライトの概略構成を示す断面図である。
【図18】変形例1に係る蛍光ランプを、内部の様子が分かるように一部を切り欠いて示す概略図である。
【図19】変形例2に係るLEDランプを用いた直下照射タイプのバックライトを示す図である。
【図20】LEDランプの端部の平面図である。
【図21】LEDランプの一部の断面図である。
【図22】LEDランプを利用したエッジ照射タイプのバックライトの概略構成を示す断面図である。
【図23】液晶表示パネルの画面上の色度xyを、(x,y)=(0.28,0.29)と設定して、蛍光体のピーク波長をカラーフィルターの透過率が最大となる波長を基準にして変更した場合における、従来品を用いた際の各色光の輝度を100として、ピーク波長を変化させたときの液晶表示パネルの画面上の輝度の比率を示す図である。
【図24】液晶表示パネルの画面上の色度xyを、(x,y)=(0.28,0.28)と設定して、蛍光体のピーク波長をカラーフィルターの透過率が最大となる波長を基準にして変更した場合における、従来品を用いた際の各色光の輝度を100として、ピーク波長を変化させたときの液晶表示パネルの画面上の輝度の比率を示す図である。
【図25】液晶表示パネルの画面上の色度xyを、(x,y)=(0.28,0.30)と設定して、蛍光体のピーク波長をカラーフィルターの透過率が最大となる波長を基準にして変更した場合における、従来品を用いた際の各色光の輝度を100として、ピーク波長を変化させたときの液晶表示パネルの画面上の輝度の比率を示す図である。
【図26】液晶表示パネルの画面上の色度xyを、(x,y)=(0.30,0.28)と設定して、蛍光体のピーク波長をカラーフィルターの透過率が最大となる波長を基準にして変更した場合における、従来品を用いた際の各色光の輝度を100として、ピーク波長を変化させたときの液晶表示パネルの画面上の輝度の比率を示す図である。
【図27】液晶表示パネルの画面上の色度xyを、(x,y)=(0.30,0.30)と設定して、蛍光体のピーク波長をカラーフィルターの透過率が最大となる波長を基準にして変更した場合における、従来品を用いた際の各色光の輝度を100として、ピーク波長を変化させたときの液晶表示パネルの画面上の輝度の比率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態に係る液晶表示装置ついて、以下、図面を参照しながら説明する。<第1の実施の形態>
1.構造
図1は、第1の実施の形態に係る一の液晶表示装置を示す図であり、内部の様子がわかるように、一部を切り欠いている。
【0025】
液晶表示装置1は、例えば、液晶カラーテレビであり、カラー液晶表示パネル(以下、単に、「液晶表示パネル」とする。)3とバックライト5とが筐体7に組み込まれ、画像信号に基づいてカラー画像を液晶表示パネル3の表示画面(以下、単に、「画面」とする。)9に表示する。
【0026】
図2は、第1の実施の形態の液晶表示装置に係る液晶表示パネルの概略構成を示す分解斜視図である。
【0027】
液晶表示パネル3は、公知のものであり、例えば、画面9側(表側ともいう。)から、表側偏光板11、ガラス基板13、カラーフィルター15、液晶層17、ガラス基板19、裏側偏光板21、駆動モジュール等(図示せず)を備える。
【0028】
図3は、第1の実施の形態の液晶表示装置に係るバックライトの概略構成を示す分解斜視図である。
【0029】
バックライト5は、液晶表示装置用であって、いわゆる直下照射タイプであり、液晶表示パネル3(図1参照)の裏側に配される。
【0030】
バックライト5は、1本又は複数本(例えば、10本)の蛍光ランプ31と、これらの蛍光ランプ31を格納する筐体33とを備える。ここでの蛍光ランプ31は、後述するが、ガラス管内に電極が設けられた内部電極型の蛍光ランプであり、さらには、電極が冷陰極型である。つまり、冷陰極蛍光ランプである。
【0031】
筐体33は、反射板35、枠体37、取付枠39、透光板41等を備える。
【0032】
図4は、バックライトから取付枠および透光板を取り外した状態の平面図であり、図5は、図4におけるA−A線で切った断面を矢印方向から見た図である。
【0033】
反射板35は、箱状の筐体33の底板に相当し、導電材料、例えば、鉄、アルミニウム等の金属材料が用いられ、蛍光ランプ31側の主面(つまり、筐体33の底板の内面である。)が、鏡面仕上げされた反射面となっている。
【0034】
なお、底板は、金属材料で構成して底板全体が導電特性を有するものだけでなく、例えば、基体を樹脂等の絶縁材料で構成してその内面(蛍光ランプ31と対向する側の面である。)全体にアルミ箔を貼着したり、蛍光ランプ31に対向する部分にのみアルミ箔を貼着したりしたものであってもよい。
【0035】
枠体37は、図4に示すように、4つの枠部37a,37b,37c,37dからなり、複数(10本)の蛍光ランプ31の四方を囲むようにして設けられている。
【0036】
取付枠39は、図3に示すように、例えば、不透光材料で形成された枠状であって、光取出口としての方形の開口39aを有する。取付枠39の表側には、開口39aよりも一回り大きな凹部が形成されるように段差部39bが設けられている。そして、段差部39bに透光板41が嵌め込まれて開口39aが塞がれる。
【0037】
なお、取付枠39は、枠状に限定されず、例えば、一対のL字形の取付部材あるいは一対のコ字形の取付部材を、ロ字形となるように組み合わせて配置したものであってもよい。
【0038】
透光板41は、図3に示すように、裏側(蛍光ランプ31が位置する側である。)から順に、拡散板41a、拡散シート41bおよびレンズシート41cを積層してなる。拡散板41aは、例えば、ポリカーボネート(PC)樹脂で形成された板材であり、拡散シート41bは、例えば、拡散板41aと同じポリカーボネート樹脂で形成されたシート材であり、レンズシート41cは、例えば、アクリル樹脂で形成されたシート材である。
【0039】
上記構成の透光板41を用いることにより、蛍光ランプ31から発せられた光は、拡散板41aを透過する際に拡散されて、平均化(均一化)された平行光として拡散板41aの表側から放出される。
【0040】
蛍光ランプ31は、図5に示すように、内部に放電空間53を有するガラス管55と、放電空間53の端部に相当する位置に配された電極57,59と、ガラス管55の端部55a,55bに装着されたブッシュ61,63とを備える。なお、ブッシュ61,63は基本的に同じ構成をし、また、ブッシュ61,63は蛍光ランプ31の構成要素でなくてもよい。
【0041】
ブッシュ61,63は、例えば、シリコンゴム材料で形成され、ガラス管55の端部55a,55bに密着する状態で当該端部55a,55bを覆うキャップ状をし、この状態でブッシュ61,63が筐体33の反射板35(筐体33の底面である。)に取着されている。
【0042】
ここでのブッシュ61,63は直方体状であり、図5に示すように、その一面にガラス管55の端部55a,55bが挿入される挿入穴61a,63aが形成され、その挿入穴61a,63aの底には、ガラス管55の端部55a,55bから延出する後述のリード線71,73(図4では外部リード線71b,73bが現れている。)が挿通する貫通孔61b,63bを備える。つまり、ガラス管55の端部55a,55bを被覆したときに、外部リード線71b、73bが、貫通孔61b,63bを通って、ブッシュ61,63の外部で、蛍光ランプ31を点灯駆動させる点灯回路に接続されている(接続用の電力供給線の図示は省略している。)。
【0043】
ガラス管55は、例えば、ホウケイ酸ガラスで形成されており、断面は略円環形状である。なお、ガラス管55の材料・形状等は、上記具体例に限定されず、例えば、ソーダガラスや鉛フリーガラスで形成されていてもよいし、断面形状が多角形状、楕円形状、扁平状であってもよい。また、ガラス管の寸法については、バックライト5の薄型化を考慮すれば、内径(横断面における最大寸法)が1[mm]〜8[mm]の範囲内で、ガラス管の厚みが0.2[mm]〜0.7[mm]の範囲内にあることが好ましい。
【0044】
ガラス管55の内面には、複数種類の蛍光体からなる蛍光体層69が形成されている。蛍光体層69に用いられる蛍光体として、赤色蛍光体、緑色蛍光体、青色蛍光体の3種類が利用されている。
【0045】
各色用の蛍光体は、光の強度分布(以下、「スペクトル」という。)において、山状の分布を示し、その強度が最大(ピーク)となる波長(この波長を、「ピーク波長」という。)を有する。そして、このピーク波長が、蛍光ランプ31から液晶表示パネル3の画面9までの間に配された光学部材における各色光の透過率が最大となる波長に対して所定の関係を有する蛍光体が用いられている。
【0046】
なお、404[nm]、436[nm]、546[nm]および578[nm]をピークとする水銀の輝線スペクトルは、蛍光体による発光ではなく水銀の発光のため除かれる。水銀の輝線スペクトルは、対象となる蛍光ランプのガス圧、ガス組成、水銀量、ガラス管の組成、ガラス管の内径、ガラス管の外径および点灯中の雰囲気温度を測定した後に、ガラス管の少なくとも一端部を切除し、蛍光体層を除去して、再度除去した一端部を封止し、一端部の外部に外部電極を形成したものについて、対象蛍光ランプの点灯中と同じ雰囲気温度で点灯させたときのスペクトルを測定することにより求められる。
【0047】
ここでの光学部材は、液晶表示パネル3(より具体的には、表側偏光板11、ガラス基板13、カラーフィルター15、液晶層17、ガラス基板19、裏側偏光板21等が該当する。)と、バックライト5の透光板41であり、上記所定の関係については後述する。
【0048】
ガラス管55の内部には、水銀(不図示)と、希ガスであるネオンとアルゴンの混合ガスが例えばネオン95[mol%]、アルゴン5[mol%]で、封入圧60[Torr]で封入されている。
【0049】
ガラス管55の各端部55a,55bには、リード線71,73が封着されている。リード線71,73は、例えば、タングステンからなる内部リード線71a,73aと、ニッケルからなる外部リード線71b,73bの継線である。
【0050】
内部リード線71a,73aは、ビードガラス75,77の略中央の貫通孔を気密状に挿通し、この状態で、ビードガラス75,77がガラス管55の端部55a,55bに封着されている。これによりガラス管55の内部が気密状となり、ガラス管55内に放電空間53が形成される。
【0051】
各内部リード線71a,73aにおける放電空間53側の端部には、電極57,59が、例えば、レーザー溶接等によって接続されている。電極57,59は、例えば、有底筒状であり、ニッケル製である。 なお、電極57,59として有底筒状のものを用いたが、電極57,59の形状はこれに限られず、例えば、円柱状のものや、短冊状をした板状のものを用いてもよい。また、電極57,59の材料もニッケルに限られず、例えば、ニオビウム(Nb)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、タンタル(Ta)等を用いてもよい。また、電極57,59と内部リード線71a、73aとは、抵抗溶接やレーザー溶接等により直接的に接続されていてもよいし、電極57,59と内部リード線71a,73aとの間に介挿部材(図示せず)を挿入し、介挿部材を溶かすことによって間接的に接続されていてもよい。介挿部材は、例えばニッケルや、鉄とニッケルとコバルトとの合金等のように、電極57,59や内部リード線71a、73aの材料の融点以下のものであることが好ましい。この場合、電極57,59や内部リード線71a、73aを不必要に加熱せずに、電極57,59と内部リード線71a、73aとを接続させることができる。
2.蛍光体について
(1)実施例
蛍光ランプ31から発せられる各色光のピーク波長と、光学部材の各色光の透過率が最大となる波長と、視感度曲線が最大となる波長との間で、所定の関係を満たすと、液晶表示パネル3の画面9における輝度を向上させることができる。
【0052】
蛍光ランプ31の各色光のピーク波長と、光学部材の各色光の透過率が最大となる波長と、視感度曲線が最大となる波長との関係について以下に説明する。
【0053】
まず、液晶表示パネル3と透光板41とである光学部材の各色光の透過率が最大となる波長は、青色光が472[nm]、緑色光が533[nm]、赤色光が640[nm]である(図6の(c)参照)。
【0054】
上記の光学部材に対して、蛍光体層69に利用できる蛍光体の一例として、以下のようなものがある。
【0055】
青色用の蛍光体は、青色発光のユーロピウム付活アルミン酸バリウム・マグネシウム[BaMgAl1627:Eu2+](略号:BAM)であり、ピーク波長は449[nm]である。緑色用の蛍光体は、緑色発光のセリウム・テルビウム共付活リン酸ランタン[LaPO:Ce3+,Tb3+](略号:LAP)であり、ピーク波長は544[nm]である。赤色用の蛍光体は、赤色発光のユーロピウム共付活酸化イットリウム[Y:Eu3+](略号:YOX)であり、ピーク波長は612[nm]である(図6の(b)参照)。
【0056】
なお、本蛍光体層を用いた蛍光ランプを光源とする液晶表示装置の画面から出射される光の色度(x,y)は、CIE色座標において、(0.28、0.29)であり、出射される光は、いわゆる白色光である。
(2)比較内容
発明者は、光学部材における各色光の透過率が最大となる波長を基準として、各色用の蛍光体のピーク波長を変化させたときの液晶表示パネルの前面(「画面上」ともいう。)の各色光の輝度を解析することで、各色光の輝度を算出している。なお、解析方法については後述する。
【0057】
ここで、上記の各蛍光体をそのまま使用した(ピーク波長を変化させていない。)場合を従来品(比較例)とし、本発明に係る蛍光体のピーク波長を変化させた場合の各色光の輝度と比較例の輝度とを比較している。
【0058】
なお、一つの蛍光体のピーク波長を変化させて輝度を算出しているが、液晶表示パネルの画面上での光の色度(x,y)が、CIE色座標において、(0.28、0.29)の白色光となるように、3種類の蛍光体の配合比率を調整している。
(3)比較結果
上記の解析結果を図6に示す。
【0059】
図6の(a)は、従来品を用いた際の各色光の輝度を100として、緑色蛍光体のピーク波長を変化させたときの液晶表示パネルの画面上の輝度の比率を示し、図6の(b)は、解析に用いた蛍光体のピーク波長を示し、図6の(c)は、解析に用いた光学部材における各色光の透過率が最大となる波長を示す。
【0060】
なお、液晶表示パネル(の画面)に必要とされる色度x,yの範囲内においても同様に得られる。ここでの液晶表示パネル(の画面)に必要とされる色度(x,y)の範囲は、点1(x,y)=(0.28,0.28)、点2(x,y)=(0.28,0.30)、点3(x,y)=(0.30,0.30)、点4(x,y)=(0.30,0.28)の4点をこの順で結んでできる四角形状の内側である。
【0061】
図7は、液晶表示パネルの画面上の色度(x,y)を、(x,y)=(0.28,0.28)と設定して、蛍光体のピーク波長を視感度曲線が最大となる波長を基準にして変更した場合における、従来品を用いた際の各色光の輝度を100として、ピーク波長を変化させたときの液晶表示パネルの画面上の輝度の比率を示す図である。
【0062】
図8は、液晶表示パネルの画面上の色度(x,y)を、(x,y)=(0.28,0.30)と設定した図であり、図9は、液晶表示パネルの画面上の色度(x,y)を、(x,y)=(0.30,0.28)と設定した図であり、図10は、液晶表示パネルの画面上の色度xyを、(x,y)=(0.30,0.30)と設定した図である。
【0063】
なお、図6(a)、図7、図8、図9および図10において、図中の「100[%]」は比較例と同じ輝度であることを示す。
【0064】
図6(a)、図7、図8、図9および図10に示す様に、緑色蛍光体のピーク波長を変化させた場合に、その輝度が従来品の輝度よりも高くなる範囲があることが分かる。すなわち、Fgp < Lgp、Fgp < VpおよびVp−7(Vp―Fgp)/22 ≦ Lgpの関係を満たすとき、比較例に比して輝度が高くなる(つまり、100[%]以上となる。)。
【0065】
さらには、Vp―7 ≦ Lgp ≦ Vp+16の関係を満たすとき、比較例に比してより輝度が高くなる。
【0066】
また、Vp < Lgpの関係を満たすとき、比較例と比較してより輝度が高くなる。
【0067】
さらには、Vp ≦ Lgp ≦ Vp+15の関係を満たすとき、比較例に比して輝度が1[%]以上高くなる。
【0068】
また、Vp+2 ≦ Lgp ≦ Vp+14の関係を満たすとき、比較例に比して輝度が1.6[%]以上高くなる。
【0069】
さらには、Vp+4 ≦ Lgp ≦ Vp+9の関係を満たすとき、比較例に比して輝度が2.2[%]以上高くなる。
(4)解析方法
(i)概略
図11は、蛍光体のピーク波長を変更した場合の輝度を算出する解析方法の概略を説明する図である。
【0070】
ここでは、緑色光のピーク波長を変更して輝度を算出する場合を例にして説明する。なお、液晶表示パネルの画面上での光色を、CIE色座標(x,y)で所定の数値(例えば、(x,y)=(0.28,0.29)となるようにしている(この光色を所望の光色とする。)。
【0071】
まず、ピーク波長を変更させた緑色光の蛍光体のみを用いた単色光を発するランプ
(以下、単に、「単色ランプ」という。)のスペクトル(このスペクトルを、「単色ランプスペクトル」という。)を算出し、緑色光以外の青色光と赤色光のそれぞれの単色ランプスペクトルを算出する(ステップ1)。
【0072】
各色光における光学部材に対する透過データ(このデータを、以下、「光学部材透過データ」という。)をステップ1で算出した単色ランプスペクトルに掛けて、これらを合算する(ステップ2)。これにより、単色ランプから発せられ、光学部材を透過して液晶表示パネルの画面から出射される光のスペクトルが得られる(このスペクトルを、「単色ランプ光学部材透過後スペクトル」という。)。
【0073】
ステップ2で算出した単色ランプ光学部材透過後スペクトルから、各単色ランプの光学
部材透過後の光の強度(輝度)と色度(x,y)とを算出する(ステップ3)。
【0074】
ステップ3で算出した各単色ランプの光学部材透過後の光の色度(x,y)のそれぞれを合算して、この合算した光色(色度)が所望の光色となるように、ステップ3で算出した各単色ランプの光学部材透過後の光の色度(x,y)を基に、各蛍光体の適切な配合比を計算する(ステップ4)。なお、適切な配合比の算出は、例えば、単色のランプの強度の比率を調整して合算された光色と所望の光色とを比較しながら、単色のランプの強度の比率を調整する公知の方法により行っている。
【0075】
ステップ4で算出された配合比を各光色の単色ランプスペクトルに掛けて、これらを合算することにより、液晶表示パネルの画面上で所望の色度とその輝度が得られる(ステップ5)。
【0076】
図12は、図11の各色光の単色ランプスペクトルの算出方法を説明する図である。
【0077】
なお、図12では、緑色光の単色ランプスペクトルの算出方法を示している。
【0078】
まず、青色用の蛍光体のみを用いた単色ランプを製造し緑色光の単色ランプスペクトルを実測する(ステップ11)。
【0079】
スペクトルの実測は、輝度計(TOPCON製SR−3A)を用いて単色ランプの輝度測定を行っている。単色ランプの構成は、外径3.4[mm]、内径2.4[mm]、長さが340[mm]で、ネオンとアルゴンの混合ガスがネオン95[mol%]、アルゴン5[mol%]の比率で、60[Torr]で封入されている。この単色ランプの点灯時のランプ電流は6[mA]である。
【0080】
測定条件は、輝度計を単色ランプから400[mm]離し、単色ランプの略中央を視野角0.1[°]で測定している。
【0081】
なお、単色ランプの仕様(例えば、ガラス管の径、長さ、封入ガスの組成、封入圧等である。)は、実仕様に基づいたものを使用して測定することが好ましい。
【0082】
次に、蛍光体が塗布されていないクリアなガラス管を用いたランプ(以下、単に、「クリアランプ」という。)のランプスペクトル(このスペクトルを、「クリアランプスペクトル」という。)を実測する(ステップ12)。このスペクトルの実測は、上記の単色ランプスペクトルの実測に用いた装置で同じ方法で行われる。なお、このクリアランプスペクトルは、ガラス管内に封入されている水銀から発せられる輝線のスペクトルでもある。
【0083】
ステップ11で実測した緑色光の単色ランプスペクトルから、ステップ12で実測したクリアランプスペクトルを差し引く(ステップ13)。これにより、緑色用の蛍光体により波長変換された光のみのスペクトルが算出されたこととなる。
【0084】
そして、差し引いた後のスペクトルを、解析目的である波長に変更すべくずらし(ステップ14)、ずらしたスペクトル(このスペクトルを、以下、「変更後スペクトル」という。)に、クリアランプスペクトルを加える(ステップ15)。これにより、青色用の蛍光体のピーク波長を変更した後の緑色光の単色ランプスペクトルが算出されたこととなる。
【0085】
図13は、図11の各色光の光学部材透過データの算出方法を説明する図である。
【0086】
まず、三つの光色用の三種類の蛍光体が塗布されているランプ(このランプは、従来品と同じであり、単に、「三色ランプ」という。)のスペクトル(以下、単に、「三色ランプスペクトル」という。)と、三色ランプを光源として光学部材透過後の各色光のスペクトルとを実測する(ステップ21,22)。スペクトルの実測は、上述の単色ランプスペクトルの実測に用いた装置により同じ方法で行われる。
【0087】
そして、ステップ22で実測された光学部材透過後の各色光のスペクトルを、同じくステップ21で実測された三色ランプスペクトルで割って、各色光の光学部材透過データを
算出する(ステップ23)。なお、ステップ22の光学部材透過後の各色光のスペクトルの実測は、実際には、液晶表示パネルの画面上での各色表示をした際の光を測定している。
【0088】
なお、光学部材における各色光の透過率が最大となる波長は、ステップ23で求められた各色光の光学部材透過データにおける最大値の波長である。
(ii)具体例
上記実施例で説明した蛍光体、液晶表示パネル、バックライト等を用い、緑色用の蛍光体のピーク波長を、視感度曲線のピーク波長に対して−8[nm]ずらして547[nm]にした際(従来の蛍光体のピーク波長から+3[nm]ずらせることになる。)の液晶表示パネルの画面上の輝度を解析する場合を、具体例として説明する。なお、本説明においても、液晶表示パネルの画面上における所望の光色を、色度(x,y)が(0.28,0.29)となるようにしている。
【0089】
まず、図11のステップ1において、各色光を発する単色ランプスペクトルの算出を、図12のステップに従って行う。
【0090】
具体的には、緑色光を発する単色ランプを製造し、この単色ランプのスペクトルを実測して(ステップ11である。)、ステップ11の右のA図のようなスペクトルを得る。
【0091】
また、同様に、蛍光体が塗布されていないクリアランプを製造し、このクリアランプのスペクトルを実測して(ステップ12である。)、ステップ12の右のB図のようなスペクトルを得る。
【0092】
そして、上記ステップ11およびステップ12で得られたスペクトルを用いて、青色光の単色ランプスペクトルからクリアランプスペクトルを差し引いて(ステップ13である。)、ステップ13の右のC図のようなスペクトルを得る。
【0093】
次に、ステップ13で得られたスペクトルを、緑色光のピーク波長を解析目的である波長(547[nm]である。)に合わせるべく、ステップ14の右のD図のように、+側へ+3[nm]ずらす(ステップ14である。)。これにより、変更後スペクトルが得られる。
【0094】
そして、この変更後スペクトルにクリアランプスペクトルを加え(ステップ15である。)、ステップ15の右のE図のようなスペクトルを得る。これにより、青色光の単色ランプスペクトルの算出が終了する。なお、A図からE図の拡大図を図14および図15に示す。
【0095】
この緑色光の単色ランプスペクトルは、解析の目的値(547[nm]である。)にピーク波長を有する緑色用の蛍光体のみが塗布され、内部に水銀が封入された緑色光の単色ランプから発せられたスペクトルに相当する。
【0096】
上述した緑色光の単色ランプスペクトルを算出した方法と同様にして、青色光の単色ランプスペクトル、赤色光の単色ランプスペクトルの算出をそれぞれ行う。
【0097】
次に、図11のステップ2において、まず、各色光の光学部材透過データを、図13のステップに従って求める。
【0098】
具体的には、緑色用の蛍光体、青色用の蛍光体および赤色用の蛍光体の3種類が塗布された三色ランプを製造し、この三色ランプから発せられる光の三色ランプスペクトルを実測して(ステップ21である。)、ステップ21の右のF図のようなスペクトルを得る。
【0099】
また、この三色ランプから発せられた光が光学部材を透過した後の各色光のスペクトルを実測して(ステップ22である。)、ステップ22の右のG図のようなスペクトルを得る。なお、各色光のスペクトルの実測は、液晶表示パネルの画面において、各色(青、緑、赤)のみを表示して行う。
【0100】
そして、ステップ23の下のH図、G図およびF図を利用して表した関係となるように、ステップ22で得られた光学部材透過後の青色光のスペクトルを三色ランプスペクトルで割ることで、H図のような、緑色光の光学部材透過データが得られる(ステップ23である。)。そして、当該緑色光の光学部材透過データを算出した方法と同様にして、青色光の光学部材透過データ、赤色光の光学部材透過データがそれぞれ得られる。
【0101】
図13のステップ23で得られた各色光の光学部材透過データを、ステップ1で得られた青色光の単色ランプスペクトルに掛けて合算する(ステップ2)。これにより、青色の単色ランプから発せられ、透光板や液晶表示パネル等の光学部材を透過して、液晶表示パネルの画面から出射された光のスペクトル、つまり、緑単色ランプ光学部材透過後スペクトルが得られる。
【0102】
緑単色ランプ光学部材透過後スペクトルの算出について具体的に数式で表すと、
緑色の単色ランプから光学部材を透過して画面から出射されるすべての光(緑色)=(緑色光の単色ランプスペクトル×緑色光の光学部材透過データ)+(緑色光の単色ランプスペクトル×青色光の光学部材透過データ)+(青色光の単色ランプスペクトル×赤色光の光学部材透過データ)
となる。
【0103】
同様に、他の光色(青、赤である。)の単色ランプについて、透光板や液晶表示パネル等の光学部材を透過して画面から出射されるすべての光(緑・赤のそれぞれである)を算出して、他の光色(青、赤)の単色ランプ光学部材透過後スペクトルを得る。
【0104】
そして、各単色ランプ光学部材透過後スペクトルから、各単色ランプの光学部材透過後の光の強度(輝度)Yと色度(x,y)とを算出する(ステップ3である。)。
【0105】
算出したそれぞれの単色ランプの光学部材透過後の光の色度(x,y)を合算(青、緑、赤について合算する。)して、この合算した光色(色度)が所定の光色〔色度が(x、y)=(0.28,0.29)である。〕となるように、各蛍光体の適切な配合比を計算する(ステップ4)。
【0106】
最後に、ステップ4で算出された配合比を各光色の単色ランプスペクトルに掛けて、これらを合算すると液晶表示パネルの画面上で所望の色度とその輝度が得られる(ステップ5)。
【0107】
なお、図6における輝度は、上記解析において、緑色光のピーク波長を変更した場合の輝度を示している。また、F図からH図の拡大図を図16に示す。
<第2の実施の形態>
第1の実施の形態では、バックライトに直下照射タイプのものを利用したが、第2の実施の形態では、エッジ照射タイプのバックライトを利用している。
【0108】
第2の実施の形態に係る液晶表示装置は、液晶表示パネルとバックライトが筺体に組み込まれてなる。第2の実施の形態では、バックライトが第1の実施の形態に係る第1のバックライト5と異なるため、ここでは、第2の実施の形態に係るバックライトについて説明する。
【0109】
図17は、第2の実施の形態に係るバックライトの概略構成を示す断面図である。
【0110】
バックライト101は、例えば、透光性を有するアクリル樹脂製の導光板103、導光板103の一端面に設けられた蛍光ランプ(例えば、冷陰極蛍光ランプである。)105、当該蛍光ランプ105から発せられた光を導光板103側に反射させる反射板107、導光板103の液晶表示パネル側の面に配された拡散板109およびレンズシート111
を備える。
【0111】
蛍光ランプ105は、例えば、直管状をし、その両端がブッシュ113を介して略「U」字状のリフレクタ115に装着され、当該リフレクタ115が導光板103の一端面に取着されている。
【0112】
蛍光ランプ105はガラス管117を有し、ガラス管117の内面には蛍光体層119が形成されている。蛍光体層119は、第1の実施の形態における蛍光ランプ31の蛍光体層69と同様に、赤色蛍光体、緑色蛍光体、青色蛍光体の3種類の蛍光体を含む。
<変形例>
1.光源
(1)蛍光ランプ
第1および第2の実施の形態では、蛍光ランプとして、冷陰極蛍光ランプを例に挙げて説明したが、本発明は、熱陰極型の蛍光ランプや、外部電極型の蛍光ランプにも適用することが可能である。
【0113】
熱陰極型の蛍光ランプは、フィラメントコイルを電極として備える。なお、フィラメントコイルは、一対のリード線により支持されている。
【0114】
以下、外部電極型の蛍光ランプを光源に適用した場合を変形例1として説明する。
【0115】
図18は、変形例1に係る蛍光ランプの概略図であり、内部の様子が分かるように一部を切り欠いている。
【0116】
蛍光ランプ201は、ガラス管の両端が封着され、内部に水銀や混合希ガスが封入されてなるガラス容器203と、ガラス容器203の両端部の外周に設けられた第1および第2の外部電極205,207とを備える。
【0117】
ガラス容器203の内周面には、第1および第2の実施の形態における蛍光ランプ31,105と同様に、赤色発光、緑色発光、青色発光の3種類の蛍光体を含む蛍光体層209を有し、第1および第2の外部電極205,207に対応する領域には保護層211を有する。
【0118】
第1および第2の外部電極205,207は、例えば、金属ペーストの焼成体で構成された導電膜や、ガラス容器203の外周に巻き付けられた金属板等により構成されている。上記金属ペーストとして、例えば、アルミニウムの粉末を主材料、銀の粉末を副材料とする金属粉末と、ガラスフリットとを含むようなものがある。その他に、第1および第2の外部電極205,207は、半田により形成されていてもよいし、金属製のキャップにより形成されていてもよい。さらに、アルミニウムの金属箔を、シリコーン樹脂に金属粉体を混合した導電性粘着剤(図示せず)によってガラス容器203の端部全体の外周面を覆うように貼着したものであってもよい。なお、導電性粘着剤において、シリコーン樹脂の代わりにフッ素樹脂、ポリイミド樹脂又はエポキシ樹脂等を用いてもよい。
【0119】
ガラス管55およびガラス容器203に用いるガラスは、酸化物換算で、SiOが60[wt%]〜75[wt%]、Alが1[wt%]〜5[wt%]、LiOが0[wt%]〜5[wt%]、KOが3[wt%]〜11[wt%]、NaOが3[wt%]〜12[wt%]、CaOが0[wt%]〜9[wt%]、MgOが0[wt%]〜9[wt%]、SrOが0[wt%]〜12[wt%]、BaOが0[wt%]〜12[wt%]の組成を有していてもよい。
【0120】
この場合、鉛成分を含有せず、環境に優しい冷陰極放電ランプを提供することができる。さらには、ガラス管55およびガラス容器203に用いるガラスは、酸化物換算で、SiOが60[wt%]〜75[wt%]、Alが1[wt%]〜5[wt%]、Bが0[wt%]〜3[wt%]、LiOが0[wt%]〜5[wt%]、KOが3[wt%]〜11[wt%]、NaOが3[wt%]〜12[wt%]、CaOが0[wt%]〜9[wt%]、MgOが0[wt%]〜9[wt%]、SrOが0[wt%]〜12[wt%]、BaOが0[wt%]〜12[wt%]の組成を有していることがより好ましい。
【0121】
また、ガラス管55およびガラス容器203に用いるガラスは、酸化物換算で、SiOが60[wt%]〜75[wt%]、Alが1[wt%]〜5[wt%]、LiOが0.5[wt%]〜5[wt%]、KOが3[wt%]〜7[wt%]、NaOが5[wt%]〜12[wt%]、CaOが1[wt%]〜7[wt%]、MgOが1[wt%]〜7[wt%]、SrOが0[wt%]〜5[wt%]、BaOが7[wt%]〜12[wt%]の組成を有していてもよい。この場合、ランプへの加工を行いやすく、かつ鉛成分を含有せず、環境に優しい冷陰極蛍光ランプを提供することができる。
【0122】
さらに、ガラス管55およびガラス容器203に用いるガラスは、酸化物換算で、SiOが65[wt%]〜75[wt%]、Alが1[wt%]〜5[wt%]、Bが0[wt%]〜3[wt%]、LiOが0.5[wt%]〜5[wt%]、KOが3[wt%]〜7[wt%]、NaOが5[wt%]〜12[wt%]、CaOが2[wt%]〜7[wt%]、MgOが2.1[wt%]〜7[wt%]、SrOが0[wt%]〜0.9[wt%]、BaOが7.1[wt%]〜12[wt%]の組成を有していてもよい。この場合、鉛成分を含有せず、照明用途に適した電気絶縁性を有し、かつ、失透を起こりにくくすることができる。さらには、ガラス管55およびガラス容器203に用いるガラスは、酸化物換算で、SiOが65[wt%]〜75[wt%]、Alが1[wt%]〜3[wt%]、Bが0[wt%]〜3[wt%]、LiOが1[wt%]〜3[wt%]、KOが3[wt%]〜6[wt%]、NaOが7[wt%]〜10[wt%]、 CaOが3[wt%]〜6[wt%]、MgOが3[wt%]〜6[wt%]、SrOが0[wt%]〜0.9[wt%]、BaOが7.1〜10[wt%]の組成を有していることがより好ましい。
また、希ガスにクリプトンが含まれていてもよい。この場合、低圧放電ランプが冷陰極蛍光ランプである場合に赤外線放射を抑制することができる。さらには、希ガスにクリプトンが0.5[mol%]以上5[mol%]以下の範囲内で含まれていることが好ましい。この場合、ランプ電圧を大きく変化させることなく、冷陰極蛍光ランプの赤外線放射を抑制し、液晶表示装置のリモコン等の誤動作を抑制することができる。例えば、例えばアルゴンが0[mol%]以上9.5[mol%]以下の範囲内、ネオンが90[mol%]以上95.5[mol%]以下の範囲内、クリプトンが0.5[mol%]以上5[mol%]以下の範囲内である。さらには、希ガスにクリプトンが0.5[mol%]以上3[mol%]以下の範囲内で含まれていることがより好ましい。さらには、希ガスにクリプトンが1[mol%]以上3[mol%]以下の範囲内で含まれていることがさらにより好ましい。
【0123】
また、電極57,59の表面には、電子放射性物質層(図示せず)が形成されていてもよい。この場合、電子放射性物質層が設けられていないランプに比べてランプ電圧を下げて、液晶表示装置を従来よりも省エネ化することができる。具体的には、電子放射性物質層は、例えば電極102の内面に形成されている。電子放射性物質層は、例えば希土類元素を含む。冷陰極蛍光ランプにおいて、ランプ電圧を下げるのに効果的なためである。さらに、希土類元素は、ランタン(La)およびイットリウム(Y)のうちいずれか1種以上であることがより好ましい。
【0124】
電子放射性物質層は、さらに珪素(Si)、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、硼素(B)、亜鉛(Zn)、ビスマス(Bi)、リン(P)および錫(Sn)のうちいずれか1種以上を含むことが好ましい。この場合、ランプ電圧の低減効果をより持続
させることができる。さらに、電子放射性物質層に、セシウム(Cs)化合物が含まれていてもよい。この場合、ランプの暗黒始動特性をさらに向上させることができる。また、電子放射性物質層とは別に、電極57,59の内面や外面にセシウム化合物を付着させてもよい。なお、セシウム化合物は、例えば、硫酸セシウム、アルミン酸セシウム、ニオブ酸セシウム、タングステン酸セシウム、モリブデン酸セシウムおよび塩化セシウムのうちいずれか1種以上を用いることが好ましい。また、セシウム化合物は、電極57,59の外側側面に付着されていることがより好ましい。この場合、冷陰極蛍光ランプの製造工程において、セシウム化合物を適度に活性化させやすくすることができる。さらには、電極57,59の外側側面におけるランプ中央部側の先端部に付着されていることがさらにより好ましい。
(2)光源
上記実施の形態や変形例での光源は、低圧水銀放電ランプである蛍光ランプを利用していたが、他の種類の光源を用いてバックライトに利用することもできる。
【0125】
以下、半導体発光装置として、LED素子を利用したランプ(以下、「LEDランプ」という。)を光源とした場合を変形例2として説明する。
(i)バックライト
図19は、変形例2に係るLEDランプを用いた直下照射タイプのバックライトを示す図である。
【0126】
図19で示すバックライト301は、図4に示す、第1の実施の形態におけるバックライト5において、光源である蛍光ランプ31をLEDランプ303に置き換えたものである。従って、本変形例において、第1の実施の形態と同じ構成のものの符号は、第1の実施の形態と同じものを使用する。
【0127】
バックライト301は、複数のLED素子を備えるLEDランプ303が筐体305内に格納されてなる。
【0128】
筐体305は、第1の実施の形態の筐体33と、基本的な構成が同じであるが、LEDランプ303を装着するために、ランプの取着構造が異なる。なお、筐体305は、反射板307、枠体37、取付枠39、透光板41等(図3参照)を備える。
【0129】
図20はLEDランプの端部の平面図であり、図21はLEDランプの一部の断面図である。
【0130】
LEDランプ303は、図19〜図21に示すように、帯状の基板309と、複数のLED素子311と、当該LED素子311から出射された光を所定方向に反射させる反射孔313を有する反射体315と、反射体315の反射孔313内に充填されかつ前記LED素子311を封止する封止体317とを備える。
【0131】
基板309には、各LED素子311に電気的に接続する配線路や図外の電源回路と接続するための給電端子319が設けられている。また、封止体317は、LED素子311から発せられた光を所定の波長に変換する波長変換体(例えば、蛍光体)が樹脂に混入されてなる。
【0132】
LED素子311は、青色光を照射するInGaN系タイプであり、封止体317に含まれる蛍光体としては、LED素子311からの青色光を緑色光に変換するYAl12:Ce3+、TbAl12:Ce3+、SrSiN:Eu2+、BaYSiAl12:Ce3+、CaScSi12:Ce3+、(Ba、Sr)SiO:Eu2+、CaSc:Ce3+、BaSi12:Eu2+、SrSi13Al12:Eu2+、Β−SiAlON:Eu2+、SrGa:Eu2+等や、LED素子311からの青色光を赤色光に変換するCa−α・SiAlON:Eu2+、CaAlSiN:Eu2+、(Sr、Ca)AlSiN:Eu2+、SrSi:Eu2+、Sr(Si、Al)(N、O):Eu2+、CaS:Eu2+、LaS:Eu3+等がある。
【0133】
このようなLEDランプ303における蛍光体(波長変換部材)の波長ピークを光学部材の透過率との関係で規定することで、液晶表示パネルの画面の輝度を向上させることができる。
【0134】
なお、本変形例に係るバックライト301は、直下照射タイプであったが、第2の実施の形態で説明したエッジ照射タイプであってもよい。
【0135】
図22は、LEDランプを利用したエッジ照射タイプのバックライトの概略構成を示す断面図である。
【0136】
図22で示すバックライト351は、図17に示す、第2の実施の形態におけるバックライト101において、光源である蛍光ランプ105をLEDランプに置き換えたものである。従って、本変形例において、第2の実施の形態と同じ構成のものの符号は、第2の実施の形態と同じものを使用する。
【0137】
バックライト351は、導光板103、LEDランプ303、反射板107、拡散板109およびレンズシート111を備える。
【0138】
LEDランプ303は、上記変形例2で説明したLEDランプ303と同じ構成であり、断面形状が台形状のリフレクタ353に装着され、当該リフレクタ353が導光板103の一端面に取着されていている。
(ii)LEDランプ
上記の変形例で説明したLEDランプ303は、青色光を発するLED素子311と、当該LED素子311から発せられた青色光を緑色光に変換する変換部材(緑色用の蛍光体)と、前記LED素子311から発せられた青色光を赤色光に変換する変換部材(赤色用の蛍光体)とを備え、これらの光が混色されてLEDランプ303として白色光を発している。
【0139】
しかしながら、本発明に係るLEDランプは、例えば、青色光を発するLED素子と、緑色光を発するLED素子と、赤色光を発するLED素子とを備え、これらの光が混色されて全体として白色光を発するようなものであってもよい。
【0140】
この場合、例えば、LED素子として、青色光がインジウム窒化ガリウム(InGaN)、窒化ガリウム(GaN)、アルミニウム窒化ガリウム(AlGaN)、セレン化亜鉛(SeZn)等があり、緑色光がインジウム窒化ガリウム(InGaN)、窒化ガリウム(GaN)、アルミニウム窒化ガリウム(AlGaN)リン化ガリウム(GaP)、アルミニウムインジウムガリウムリン(AlInGaP)、セレン化亜鉛(SeZn)等があり、赤色光がアルミニウムガリウム砒素(AlGaAs)、ガリウム砒素リン(GaAsP)、リン化ガリウム(GaP)およびアルミニウムガリウムインジウムリン(AlGaInP)等がある。
2.ノイズ
第1の実施の形態での解析方法では、ランプのスペクトルの実測、液晶表示パネルの画面上でのスペクトルの実測において検出されるノイズについて特に説明していないが、解
析結果に影響を与えることも充分に考えられるので、所定の範囲の強度をノイズとして除去するようにしてもよい。
【0141】
所定の範囲とは、例えば、短波長除去を目的とした場合は397[nm]以下の範囲であり、長波長除去を目的とした場合は715[nm]以上の範囲である。この範囲は、本来ランプから発せられることのない波長であり、液晶表示パネルの画面上での輝度や色補正に関係しない範囲である。
3.青色蛍光体および赤色蛍光体と光学部材との関係
青色蛍光体および赤色蛍光体のピーク波長と光学部材の透過率について第1の実施の形態等では説明しなかったが、以下の範囲にあることが好ましいことを確認した。
【0142】
図23は、液晶表示パネルの画面上の色度(x,y)を、(x,y)=(0.28,0.29)と設定して、蛍光体のピーク波長を光学部材(液晶表示パネルや透光板)の透過率が最大となる波長を基準にして変更した場合における、従来品を用いた際の各色光の輝度を100として、ピーク波長を変化させたときの液晶表示パネルの画面上の輝度の比率を示す図である。
【0143】
同様に、図24は、液晶表示パネルの画面上の色度(x,y)を、(x,y)=(0.28,0.38)と設定した図であり、図25は、液晶表示パネルの画面上の色度(x,y)を、(x,y)=(0.28,0.30)と設定した図であり、図26は、液晶表示パネルの画面上の色度(x,y)を、(x,y)=(0.30,0.28)と設定した図であり、図27は、液晶表示パネルの画面上の色度xyを、(x,y)=(0.30,0.30)と設定した図である。
【0144】
図23〜図27に示すように、青色蛍光体および赤色蛍光体のピーク波長と光学部材の透過率とが以下の関係にあるとさらに輝度を向上させることができる。
(1)青色蛍光体のピーク波長と光学部材の青色光の透過率が最大となる波長との関係
青色光のピーク波長をLbp[nm]とし、前記光学部材における赤色光の透過率が最大となる波長をFbp[nm]としたときに、Fbp−20 ≦ Lbp ≦ Fbp+10の関係を満たすことが好ましい。この場合、従来品に対して輝度を向上することができる。
【0145】
また、Fbp−15 ≦ Lbp ≦ Fbp+5の関係を満たすことがより好ましい。この場合、従来品に対して輝度が2[%]以上高くなる。
【0146】
さらに、Fbp−10 ≦ Lbp ≦ Fbpの関係を満たすことがより好ましい。この場合、従来品に対して輝度が3[%]以上高くなる。
【0147】
青色用の蛍光体のピーク波長は430[nm]以上470[nm]以下の範囲内に存在し、光学部材の青色光の透過率が最大となる波長は458[nm]以上478[nm]以下の範囲内に存在するのが好ましい。
【0148】
これは、光源が効率よく青色発光することができ、光学部材がより効率よく青色発光を出射させることができるためである。
【0149】
上記のピーク波長を有する青色用の蛍光体としては、ユーロピウム付活ストロンチウム・クロロアパタイト[Sr(POCl:Eu2+](略号:SCA)、ユーロピウム付活ピロリン酸ストロンチウム[Sr:Eu2+](略号:SPE)等がある。
(2)赤色蛍光体のピーク波長と光学部材の赤色光の透過率が最大となる波長との関係
青色光のピーク波長をLrp[nm]とし、前記光学部材における赤色光の透過率が最大となる波長をFrp[nm]としたときに、Frp−50 ≦ Lrp ≦ Frp−30の関係を満たすことが好ましい。この場合、従来品に対して輝度を向上することができる。
【0150】
また、Frp−45 ≦ Lrp ≦ Frp−35の関係を満たすことがより好ましい。この場合、従来品に対して輝度が1[%]以上高くなる。
【0151】
さらに、Frp−40 ≦ Lrp ≦ Frp−30の関係を満たすことがより好ましい。この場合、従来品に対して輝度が1.5[%]以上高くなる。
【0152】
赤色用の蛍光体のピーク波長は610[nm]以上630[nm]以下の範囲内に存在し、光学部材の赤色光の透過率が最大となる波長は605[nm]以上665[nm]以下の範囲内に存在するのが好ましい。
【0153】
これは、光源が効率よく赤色発光することができ、光学部材がより効率よく赤色発光を出射させることができるためである。
【0154】
上記のピーク波長を有する赤色用の蛍光体としては、ユーロピウム付活バナジン酸イットリウム[YVO:Eu3+](略号:YVO)、ユーロピウム付活イットリウムオキシサルファイド[YS:Eu3+](略号:YOS)等がある。
4緑色蛍光体
本発明において、緑色蛍光体としては、ユーロピウム・マンガン共付活アルミン酸バリウム・マグネシウム [BaMgAl1017:Eu2+,Mn2+](略号:BAM:Mn)、マンガン付活ジンクリリケート[ZnSiO:Mn2+](略号:ZSM)、テルビウム付活アルミン酸セリウム・マグネシウム[CeMgAl1119:Tb3+](略号:CAT)、マンガン付活アルミン酸セリウム・マグネシウム・亜鉛[Ce(Mg,Zn)Al1119:Mn2+](略号:CMZ)、テルビウム・マンガン共付活アルミン酸セリウム・マグネシウム[CeMgAl1119:Tb3+,Mn2+](略号:CAT:Mn)等を用いることができる。
5白色光
第1の実施形態等では、緑色光において、比較例との比較を説明したが、各色光を組合せた場合の輝度の比較について以下に説明する。
【0155】
ここでは、各色用の蛍光体のピーク波長を、図6および23における各色光で最大の輝度を示すピーク波長に設定して、実施の形態で説明した解析方法により、輝度を求めている。
【0156】
具体的には、緑色光の蛍光体のピーク波長を、視感度曲線が最大となる波長に対して+9[nm]の波長(つまり、564[nm]である。)に設定し、青色光の蛍光体のピーク波長を、光学部材における青色光の透過率が最大となる波長に対して−5[nm]の波長(つまり、467[nm]である。)に設定し、赤色光の蛍光体のピーク波長を、光学部材における赤色光の透過率が最大となる波長に対して −40[nm]の波長(つまり、600[nm]である。)に設定している。
【0157】
すなわち、緑色光のピーク波長Lgp[nm]を視感度曲線が最大となる波長Fgp[nm]に対して+9[nm]に、青色光のピーク波長Lbp[nm]を光学部材における青色光の透過率が最大となる波長Fbp[nm]に対して−5 [nm]に、赤色光のピーク波長Lrp[nm]を光学部材における赤色光の透過率が最大となる波長Frp[nm]に対して−40[nm]に、それぞれ設定した場合、液晶表示パネルの画面上の輝度が、従来品の輝度に対して107.3[%]となり、7.3[%]向上する結果が得られた。なお、この場合も、画面上での色度(x,y)は、CIE色座標において、(0.28、0.29)である。
【産業上の利用可能性】
【0158】
本発明は、液晶表示パネルの画面の輝度を向上させるのに利用できる。
【符号の説明】
【0159】
1 液晶表示装置
3 液晶表示パネル
5 バックライト
31 蛍光ランプ
69 蛍光体層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラー液晶表示パネルと、前記カラー液晶表示パネルの裏側に配され、緑色光を発する光源を有したバックライトとを備える液晶表示装置において、
前記光源から発せられる緑色光のピーク波長をLgp[nm]とし、前記光源から前記カラー液晶表示パネルの表示画面までの間に配された光学部材における緑色光の透過率が最大となる波長をFgp[nm]とし、視感度曲線が最大となる波長をVp[nm]としたときに、
Fgp < Lgp、Fgp < VpおよびVp−7 ≦ Lgp ≦ Vp+16 の関係を満たすことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
Vp < Lgpであることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
517 ≦ Fgp ≦ 538であることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記光源は、さらに赤色光を発し、当該赤色光のピーク波長をLrp[nm]とし、前記光学部材における赤色光の透過率が最大となる波長をFrp[nm]としたときに、
Frp−50 ≦ Lrp ≦ Frp−30
の関係を満たすことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
610 ≦ Lrp ≦ 630であることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
605 ≦ Frp ≦ 665であることを特徴とする請求項4または5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記光源は、さらに青色光を発し、当該青色光のピーク波長をLbp[nm]とし、前記光学部材における赤色光の透過率が最大となる波長をFbp[nm]としたときに、
Fbp−20 ≦ Lbp ≦ Fbp+10 の関係を満たすことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
430 ≦ Lbp ≦ 470であることを特徴とする請求項7に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
458 ≦ Fbp ≦ 478であることを特徴とする請求項7または8に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記光源は、蛍光ランプであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記蛍光ランプは、ガラス管と、前記ガラス管の内面に形成された蛍光体層とを有し前記蛍光体層は、青色蛍光体、赤色蛍光体および緑色蛍光体を含み、
前記青色蛍光体は、BAM、SCA、SPEのいずれか1種を含み、
前記赤色蛍光体は、YOX、YVO、YOSのいずれか1種を含み、
前記緑色蛍光体は、LAP、BAM:Mn、ZSM、CAT、CAT:Mn、CMZのいずれか1種を含むことを特徴とする請求項10に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
前記光源は、半導体発光装置であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項13】
前記半導体発光装置は、青色半導体発光素子と、前記半導体発光素子から発せられる光を緑色光に変換する緑色用波長変換部材と、前記半導体発光素子から発せられる光を赤色光に変換する赤色用波長変換部材とを有することを特徴とする請求項12に記載の液晶表示装置。
【請求項14】
前記半導体発光装置は、赤色半導体発光素子と、青色半導体発光素子と、緑色半導体発光素子とを有し、
前記赤色半導体発光素子は、AlGaAs、GaAsP、GaPAlGaInPのいずれか1種を含み、
前記青色半導体発光素子は、InGaN、GaN、AlGaN、SeZnのいずれか1種を含み、
前記緑色半導体発光素子は、InGaN、GaN、AlGaN、GaP、AlInGaP、SeZnのいずれか1種を含むことを特徴とする請求項12に記載の液晶表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate


【公開番号】特開2011−70063(P2011−70063A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−222241(P2009−222241)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】