説明

液晶表示装置

【課題】表示品位の良好な液晶表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】互いに平行な第1配線及び第2配線の間に配置され第1延出方向に沿って帯状に延出した第1主電極、第1主電極の一端側から第1配線に向かって延出した第1補助電極、及び、第1主電極の他端側から第2配線に向かって延出した第2補助電極を含む画素電極と、画素電極を覆う第1配向膜と、第1延出方向に沿って帯状に延出した第2主電極を含む第1対向電極と、第1延出方向に沿って帯状に延出した第3主電極を含む第2対向電極と、第1対向電極及び第2対向電極を覆う第2配向膜と、を備え、第2主電極及び第3主電極は第1主電極を挟んだ両側に配置され、液晶分子の初期配向方向は第1主電極の一端側と第2配線との間及び第1主電極の他端側と第1配線との間を通る方向と平行である液晶表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、平面表示装置が盛んに開発されており、中でも液晶表示装置は、軽量、薄型、低消費電力等の利点から特に注目を集めている。特に、各画素にスイッチング素子を組み込んだアクティブマトリクス型液晶表示装置においては、IPS(In−Plane Switching)モードやFFS(Fringe Field Switching)モードなどの横電界(フリンジ電界も含む)を利用した構造が注目されている。このような横電界モードの液晶表示装置は、アレイ基板に形成された画素電極と対向電極とを備え、アレイ基板の主面に対してほぼ平行な横電界で液晶分子をスイッチングする。
【0003】
一方で、アレイ基板に形成された画素電極と、対向基板に形成された対向電極との間に、横電界あるいは斜め電界を形成し、液晶分子をスイッチングする技術も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−192822号公報
【特許文献2】特開平9−160041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施形態の目的は、表示品位の良好な液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態によれば、
互いに平行な方向に延出した第1配線及び第2配線と、前記第1配線と前記第2配線との間に配置され第1延出方向に沿って帯状に延出した第1主電極、前記第1主電極の一端側から前記第1配線に向かって延出した第1補助電極、及び、前記第1主電極の他端側から前記第2配線に向かって延出した第2補助電極を含む画素電極と、前記画素電極を覆う第1配向膜と、を備えた第1基板と、前記第1延出方向に沿って帯状に延出した第2主電極を含む第1対向電極と、前記第1延出方向に沿って帯状に延出した第3主電極を含む第2対向電極と、前記第1対向電極および前記第2対向電極を覆う第2配向膜と、を備えた第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に保持された液晶分子を含む液晶層と、を備え、前記第2主電極及び前記第3主電極は、前記第1主電極を挟んだ両側に配置され、前記液晶分子の初期配向方向は、前記第1主電極の一端側と前記第2配線との間及び前記第1主電極の他端側と前記第1配線との間を通る方向と平行であることを特徴とする液晶表示装置が提供される。
【0007】
本実施形態によれば、
第1延出方向に沿って帯状に延出した第1主電極、前記第1主電極の一端側から前記第1延出方向とは異なる方向に沿って延出した第1補助電極、及び、前記第1主電極の他端側から前記第1延出方向とは異なる方向に沿って延出した第2補助電極を含む画素電極と、前記画素電極を覆う第1配向膜と、を備えた第1基板と、前記第1延出方向に沿って帯状に延出した第2主電極を含む第1対向電極と、前記第1延出方向に沿って帯状に延出した第3主電極を含む第2対向電極と、前記第1対向電極及び前記第2対向電極を覆う第2配向膜と、を備えた第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に保持された液晶分子を含む液晶層と、を備え、前記第2主電極及び前記第3主電極は、前記第1主電極を挟んだ両側に配置され、前記液晶分子の初期配向方向に平行であるとともに前記第1主電極の中心を通る基準直線と、前記第1延出方向に平行であるとともに前記第1主電極の中心を通る中心線と、のなす角が鈍角となる領域に、前記第1補助電極及び前記第2補助電極が配置されたことを特徴とする液晶表示装置が提供される。
【0008】
本実施形態によれば、
互いに平行な方向に延出した第1配線及び第2配線と、前記第1配線と前記第2配線との間に配置され第1延出方向に沿って帯状に延出した第1主電極、前記第1延出方向とは異なる第2延出方向に沿って帯状に延出し前記第1主電極に結合した第2主電極、前記第1主電極の他端側から前記第2配線に向かって延出した第1補助電極、前記第1主電極と前記第2主電極との結合部から前記第1配線に向かって延出した第2補助電極、及び、前記第2主電極の他端側から前記第2配線に向かって延出した第3補助電極を含む画素電極と、前記画素電極を覆う第1配向膜と、を備えた第1基板と、前記第1延出方向に沿って帯状に延出した第3主電極及び前記第2延出方向に沿って帯状に延出し前記第3主電極に結合した第4主電極を含む第1対向電極と、前記第1延出方向に沿って帯状に延出した第5主電極及び前記第2延出方向に沿って帯状に延出し前記第5主電極に結合した第6主電極を含む第2対向電極と、前記第1対向電極及び前記第2対向電極を覆う第2配向膜と、を備えた第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に保持された液晶分子を含む液晶層と、を備え、前記第3主電極及び前記第5主電極は、前記第1主電極を挟んだ両側に配置され、前記第4主電極及び前記第6主電極は、前記第2主電極を挟んだ両側に配置され、前記液晶分子の初期配向方向は、前記第1主電極の他端側と前記第1配線との間及び前記第2主電極の他端側と前記第1配線との間を通る方向と平行であることを特徴とする液晶表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本実施形態における液晶表示装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図2は、図1に示した液晶表示パネルの構成及び等価回路を概略的に示す図である。
【図3】図3は、図2に示した液晶表示パネルの一画素を対向基板の側から見たときのアレイ基板の構造を概略的に示す平面図である。
【図4】図4は、図2に示した液晶表示パネルの対向基板における一画素の構造を概略的に示す平面図である。
【図5】図5は、第1構成例の一画素における最小の単位構成体を概略的に示す平面図である。
【図6】図6は、図5に示した単位構成体のうち、第1主電極、第2主電極、及び、第3主電極、及び、スイッチング素子を含む液晶表示パネルの断面を概略的に示す断面図である。
【図7】図7は、図5に示した例において、画素電極PEに正、対向電極CEに負を印加した場合に生じる電界を表す電気力線の模式図である。
【図8】図8は、第1構成例の一画素における他の単位構成体を概略的に示す平面図である。
【図9】図9は、図8に示した例において、画素電極PEに正、対向電極CEに負を印加した場合に生じる電界を表す電気力線の模式図である。
【図10】図10は、第2構成例の一画素における最小の単位構成体を概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
図1は、本実施形態における液晶表示装置1の構成を概略的に示す図である。
【0012】
すなわち、液晶表示装置1は、アクティブマトリクスタイプの液晶表示パネルLPN、液晶表示パネルLPNに接続された駆動ICチップ2及びフレキシブル配線基板3、液晶表示パネルLPNを照明するバックライト4などを備えている。
【0013】
液晶表示パネルLPNは、第1基板であるアレイ基板ARと、アレイ基板ARに対向して配置された第2基板である対向基板CTと、これらのアレイ基板ARと対向基板CTとの間に保持された図示しない液晶層と、を備えて構成されている。このような液晶表示パネルLPNは、画像を表示するアクティブエリアACTを備えている。このアクティブエリアACTは、m×n個のマトリクス状に配置された複数の画素PXによって構成されている(但し、m及びnは正の整数である)。
【0014】
バックライト4は、図示した例では、アレイ基板ARの背面側に配置されている。このようなバックライト4としては、種々の形態が適用可能であり、また、光源として発光ダイオード(LED)を利用したものや冷陰極管(CCFL)を利用したものなどのいずれでも適用可能であり、詳細な構造については説明を省略する。
【0015】
図2は、図1に示した液晶表示パネルLPNの構成及び等価回路を概略的に示す図である。
【0016】
液晶表示パネルLPNは、アクティブエリアACTにおいて、n本のゲート配線G(G1〜Gn)、n本の補助容量線C(C1〜Cn)、m本のソース配線S(S1〜Sm)などを備えている。ゲート配線G及び補助容量線Cは、第1方向Xに沿ってそれぞれ延出している。また、ゲート配線G及び補助容量線Cは、第1方向Xに直交する第2方向Yに沿って交互に並列配置されている。ソース配線Sは、ゲート配線G及び補助容量線Cと交差する第2方向Yに沿ってそれぞれ延出している。また、ソース配線Sは、第1方向Xに沿って並列配置されている。ここに示した例では、ゲート配線G及び補助容量線Cと、ソース配線Sとは、略直交している。なお、ソース配線Sは、一直線状に延出する場合に限らず、少なくとも一部で屈曲している場合もあり得る。
【0017】
各ゲート配線Gは、アクティブエリアACTの外側に引き出され、ゲートドライバGDに接続されている。各ソース配線Sは、アクティブエリアACTの外側に引き出され、ソースドライバSDに接続されている。これらのゲートドライバGD及びソースドライバSDの少なくとも一部は、例えば、アレイ基板ARに形成され、コントローラを内蔵した駆動ICチップ2と接続されている。
【0018】
各画素PXは、スイッチング素子SW、画素電極PE、対向電極CEなどを備えている。保持容量Csは、例えば補助容量線Cと画素電極PEとの間に形成される。
【0019】
なお、本実施形態においては、液晶表示パネルLPNは、画素電極PEがアレイ基板ARに形成される一方で対向電極CEが対向基板CTに形成された構成であり、これらの画素電極PEと対向電極CEとの間に形成される電界を主に利用して液晶層LQの液晶分子をスイッチングする。画素電極PEと対向電極CEとの間に形成される電界は、アレイ基板ARの主面あるいは対向基板CTの主面にほぼ平行な横電界(あるいは、基板主面に対してわずかに傾いた斜め電界)である。
【0020】
スイッチング素子SWは、例えば、nチャネル薄膜トランジスタ(TFT)によって構成されている。このスイッチング素子SWは、ゲート配線G及びソース配線Sと電気的に接続されている。アクティブエリアACTには、m×n個のスイッチング素子SWが形成されている。
【0021】
画素電極PEは、スイッチング素子SWに電気的に接続されている。アクティブエリアACTには、m×n個の画素電極PEが形成されている。対向電極CEは、例えばコモン電位であり、液晶層LQを介して複数の画素電極PEに対して共通に配置されている。この対向電極CEは、図示しない導電部材を介して、アレイ基板ARに形成された給電部VSと電気的に接続されている。補助容量線Cは、補助容量電圧が印加される電圧印加部VCSと電気的に接続されている。
【0022】
以下に、本実施形態の第1構成例について説明する。
【0023】
図3は、図2に示した液晶表示パネルLPNの一画素PXを対向基板CTの側から見たときのアレイ基板ARの構造を概略的に示す平面図である。なお、ここでは、アクティブエリアACTを構成する一画素PXのみを図示しているが、他の画素についても同一構成である。また、図示した例では、一画素PXにおける説明に必要な構成のみを図示している。
【0024】
ソース配線S1及びソース配線S2は、互いに平行であって、それぞれ第2方向Yに沿って延出している。画素電極PEは、ソース配線S1とソース配線S2との間に配置されている。図示した例では、画素PXは、図中の破線で示した領域に相当し、第1方向Xに沿った長さよりも第2方向Yに沿った長さの方が長い長方形状である。また、図示した例では、画素PXに対して、ソース配線S1は左側端部に配置され、ソース配線S2は右側端部に配置されている。ソース配線S1と画素電極PEとの間、及び、ソース配線S2と画素電極PEとの間には、略長方形状の開口部が形成されている。
【0025】
画素電極PEは、図示を省略したスイッチング素子に電気的に接続されている。この画素電極PEは、第1主電極M1、第1補助電極A1、及び、第2補助電極A2を含んでいる。これらの第1主電極M1、第1補助電極A1、及び、第2補助電極A2は、一体的に形成されており、互いに電気的に接続されている。また、画素電極PEは、さらに、補助容量線との間で補助容量を形成する容量部、スイッチング素子と電気的に接続される接続部、ゲート配線の上に重なりゲート配線からの電界の影響を緩和する副電極などを含んでいても良い。
【0026】
第1主電極M1は、第2方向Yに沿って帯状に延出し、直線的に形成されている。ここでは、第1主電極M1が延出する第1延出方向は、第2方向Yに相当する。この第1主電極M1は、ソース配線S1及びソース配線S2のそれぞれの直上の位置よりも画素PXの内側に位置し、ソース配線S1とソース配線S2との略中間に位置している。
【0027】
この第1主電極M1は、画素PXの上側端部から下側端部まで延出している。ここでは、第1主電極M1のうち、その中心Oよりも画素PXの下側端部の側に位置する部分を第1主電極M1の一端側と称し、第1主電極M1の中心Oよりも画素PXの上側端部の側に位置する部分を第1主電極M1の他端側と称する。
【0028】
第1補助電極A1は、第1主電極M1の一端側から第1延出方向である第2方向Yとは異なる方向に沿って延出し、直線的に形成されている。ここでは、第1補助電極A1は、第1主電極M1からその左側に向かって延出している。つまり、第1補助電極A1は、第1主電極M1の一端側からソース配線S1に向かって延出している。
【0029】
第2補助電極A2は、第1主電極M1の他端側から第1延出方向である第2方向Yとは異なる方向に沿って延出し、直線的に形成されている。ここでは、第2補助電極A2は、第1主電極M1からその右側に向かって延出している。つまり、第2補助電極A2は、第1主電極M1の他端側からソース配線S2に向かって延出している。
【0030】
ここに示した例では、第1補助電極A1は、第1主電極M1の下側端部(一端部)に繋がっている。第2補助電極A2は、第1主電極M1の上側端部(他端部)に繋がっている。第1補助電極A1が延出する方向は、第2補助電極A2が延出する方向と平行である。これらの第1補助電極A1及び第2補助電極A2が延出する第2延出方向は、例えば、第1方向Xと平行である。つまり、ここに示した例では、第1補助電極A1及び第2補助電極A2は、第1主電極M1と略直交している。なお、第1延出方向と第2延出方向とのなす角度、つまり、図中のθ1で示した第1主電極M1と第1補助電極A1及び第2補助電極A2とのなす角度は、90°とは限らず、好ましくは、90°以上180°未満であれば良い。
【0031】
この第1補助電極A1の長さについては、ソース配線S1に到達しない程度に設定される。同様に、第2補助電極A2の長さについては、ソース配線S2に到達しない程度に設定される。
【0032】
第1主電極M1の一端側からソース配線S2に向かって延出する補助電極や第1主電極M1の他端側からソース配線S1に向かって延出する補助電極は配置されていない。このため、これらの第1主電極M1、第1補助電極A1及び第2補助電極A2は、略S字形状あるいは逆Z字形状をなしている。
【0033】
このような画素構成に対して、アレイ基板ARの表面に配置され画素電極PEを覆う第1配向膜AL1、及び、図示しない対向基板の表面に配置され対向電極を覆う第2配向膜AL2には、液晶分子を初期配向させるための配向処理(例えば、ラビング処理や光配向処理)がなされている。第1配向膜AL1が液晶分子を初期配向させる第1配向処理方向RB1、及び、第2配向膜AL2が液晶分子を初期配向させる第2配向処理方向RB2は、図示した方向に設定されている。これらの第1配向処理方向RB1及び第2配向処理方向RB2は、互いに平行である。ここに示した例では、第1配向処理方向RB1及び第2配向処理方向RB2は、互いに逆向きの方向であるが、ともに同じ向きの方向であってもよい。
【0034】
ここで、第1配向処理方向RB1及び第2配向処理方向RB2は、第1主電極M1の一端側と第2配線であるソース配線S2との間、及び、第1主電極M1の他端側と第1配線であるソース配線S1との間を通る基準直線LRと平行な方向である。つまり、ここに示した例では、第1配向処理方向RB1及び第2配向処理方向RB2は、第1延出方向である第2方向Yに対して左回りに鋭角に交差する方向である。
【0035】
第1補助電極A1及び第2補助電極A2が配置される領域と、第1配向処理方向RB1及び第2配向処理方向RB2との関係は以下の通りである。すなわち、第1配向処理方向RB1及び第2配向処理方向RB2は、後述する液晶分子の初期配向方向と平行な方向である。液晶分子の初期配向方向に平行であるとともに第1主電極M1の中心Oを通る基準直線LRと、第1延出方向に平行であるとともに第1主電極M1の中心Oを通る中心線LCと、のなす角Θ1が鈍角となる領域に、第1補助電極A1及び第2補助電極A2が配置されている。
【0036】
図4は、図2に示した液晶表示パネルLPNの対向基板CTにおける一画素PXの構造を概略的に示す平面図である。なお、対向電極CEと画素電極PEとの位置関係を説明するために、図3に示した一画素PXの画素電極PE及びソース配線S1及びS2を破線で図示している。
【0037】
対向電極CEは、図示した第1対向電極CE1及び第2対向電極CE2を含んでいる。つまり、これらの第1対向電極CE1及び第2対向電極CE2は、電気的に接続されている。第1対向電極CE1は、当該画素PXに対応して第2主電極M2及び第3補助電極A3を含んでいる。第2対向電極CE2は、当該画素PXに対応して第3主電極M3及び第4補助電極A4を含んでいる。
【0038】
第2主電極M2及び第3主電極M3は、第1主電極M1の延出方向と平行な第1延出方向(第2方向Y)に沿って帯状に延出し、直線的に形成されている。つまり、これらの第2主電極M2及び第3主電極M3は第1主電極M1と平行である。
【0039】
第2主電極M2は、ソース配線S1に対向している。ここでは、第2主電極M2は、ソース配線S1の直上に配置されている。換言すると、第2主電極M2は、当該画素PXとこの左側に隣接する画素(図示せず)との間に配置されている。
【0040】
また、第3主電極M3は、ソース配線S2に対向している。ここでは、第3主電極M3は、ソース配線S2の直上に配置されている。換言すると、第3主電極M3は、当該画素PXとこの右側に隣接する画素(図示せず)との間に配置されている。
【0041】
これらの第2主電極M2及び第3主電極M3は、画素電極PEの第1主電極M1と重なることはなく、第1方向Xに沿って略一定の間隔を置いて交互に並んでいる。すなわち、第2主電極M2は第1主電極M1の直上の位置に(重なることなく)並んで配置され、第3主電極M3は第1主電極M1の直上の位置を挟んで第2主電極M2とは反対側に配置されている。
【0042】
第1主電極M1は、第2主電極M2と第3主電極M3との間の略中間に位置している。図中の左側から右側に向かって、第2主電極M2、第1主電極M1、第3主電極M3の順に並んでいる。ここで、第1主電極M1と第2主電極M2との第1方向Xに沿った電極間距離は、第1主電極M1と第3主電極M3との第1方向Xに沿った電極間距離と略同一である。
【0043】
第1対向電極CE1の第3補助電極A3は、第1延出方向である第2方向Yとは異なる方向に沿って延出している。すなわち、第3補助電極A3は、第2主電極M2における第1主電極M1の他端側と並んだ位置から第2対向電極CE2に向かって延出し、直線的に形成されている。ここでは、第3補助電極A3は、第2主電極M2からその右側に向かって延出している。
【0044】
第2対向電極CE2の第4補助電極A4は、第1延出方向である第2方向Yとは異なる方向に沿って延出している。すなわち、第4補助電極A4は、第3主電極M3における第1主電極M1の一端側と並んだ位置から第1対向電極CE1に向かって延出し、直線的に形成されている。ここでは、第4補助電極A4は、第3主電極M3からその左側に向かって延出している。
【0045】
このような第3補助電極A3が延出する方向は、第4補助電極A4が延出する方向と平行であるが、互いに逆向きである。これらの第3補助電極A3及び第4補助電極A4が延出する第3延出方向は、例えば、第1方向Xと平行である。また、第1補助電極A1及び第2補助電極A2が延出する第2延出方向は、第3補助電極A3及び第4補助電極A4が延出する第3延出方向と平行である。
【0046】
図示したように、第3補助電極A3は、第2補助電極A2と同じ向き(ここではともに右向き)に延出し、また、第4補助電極A4は、第1補助電極A1と同じ向き(ここではともに左向き)に延出している。図示した例では、第3補助電極A3は第2補助電極A2と略同一直線上に位置するように形成され、第4補助電極A4は第1補助電極A1と略同一直線上に位置するように形成されている。
【0047】
ここに示した例では、第3補助電極A3は第2主電極M2と直交し、第4補助電極A4は第3主電極M3と直交している。なお、第1延出方向と第3延出方向とのなす角度、つまり、図中のθ2で示した第2主電極M2と第3補助電極A3とのなす角度、及び、第3主電極M3と第4補助電極A4とのなす角度は、90°とは限らず、好ましくは90°以上180°未満であれば良い。
【0048】
これらの第3補助電極A3及び第4補助電極A4の長さについては、画素電極PEの直上の位置に到達しない程度に設定される。
【0049】
なお、第1対向電極CE1は当該画素PXの左側に隣接する画素に対応した第4補助電極(図中の破線で示したA4)を含み、また、第2対向電極CE2は当該画素PXの右側に隣接する画素に対応した第3補助電極(図中の破線で示したA3)を含んでいる。
【0050】
このような構成の当該画素PXのうち、主として表示に寄与する開口部(透過部)は、第1主電極M1と第2主電極M2との間、及び、第1主電極M1と第3主電極M3との間にそれぞれ形成される。画素電極PEと対向電極CEとの間に電界が形成された状態では、各開口部における液晶分子LMの主な配向方向は、図中の矢印AW1及びAW2のいずれかで示した方向である。つまり、一画素PXにおいて、2分割配向されている。
【0051】
図5は、第1構成例の一画素PXにおける最小の単位構成体を概略的に示す平面図である。
【0052】
画素電極PEは、第1主電極M1、第1補助電極A1、及び、第2補助電極A2を含んでいる。第1対向電極CE1は、第2主電極M2及び第3補助電極A3を含んでいる。第2対向電極CE2は、第3主電極M3及び第4補助電極A4を含んでいる。
【0053】
画素電極PEを覆う第1配向膜AL1の第1配向処理方向RB1、及び、対向電極CEを覆う第2配向膜AL2の第2配向処理方向RB2は、互いに平行であって、第2方向Yに対して左回りに鋭角に交差する基準直線LRと平行である。
【0054】
第1配向処理方向RB1及び第2配向処理方向RB2と第1延出方向である第2方向Yとがなす鋭角Θ2は、0°より大きく45°より小さい角度である。このなす角度Θ2については、5°〜25°程度、より望ましくは10°前後とすることが液晶分子LMの配向制御の観点で極めて有効である。ここでは、第1配向処理方向RB1及び第2配向処理方向RB2は、第2方向Yに対して数°程度わずかに傾いた方向であり、例えば、7°である。
【0055】
図6は、図5に示した単位構成体のうち、第1主電極M1、第2主電極M2、及び、第3主電極M3、及び、スイッチング素子SWを含む液晶表示パネルLPNの断面を概略的に示す断面図である。ここでは、第1主電極M1と、第2主電極M2及び第3主電極M3との間に電位差が形成された状態での等電位線が図示されている。
【0056】
アレイ基板ARは、例えば、ガラス基板やプラスチック基板などの光透過性を有する第1絶縁基板SUB1を用いて形成されている。このアレイ基板ARは、第1絶縁基板SUB1の対向基板CTに対向する側に、ソース配線S1及びS2、スイッチング素子SW、画素電極PE、第1配向膜AL1などを備えている。
【0057】
スイッチング素子SWは、トップゲート型であっても良いし、ボトムゲート型であっても良く、詳述しないが、ポリシリコンやアモルファスシリコンなどによって形成された半導体層を備えている。図示した例では、ソース配線S1及びS2、及び、スイッチング素子SWは、絶縁層ISによって覆われている。
【0058】
画素電極PEは、ソース配線S1及びS2よりも上方つまり対向基板CTの側に配置されている。図示した例では、画素電極PEは、絶縁層ISの上に形成されており、絶縁層ISに形成されたコンタクトホールを介してスイッチング素子SWに電気的に接続されている。この画素電極PEの第1主電極M1や図示しない第1補助電極及び第2補助電極は、いずれもソース配線S1及びS2の直上の位置には配置されていない。このような画素電極PEは、例えば、インジウム・ティン・オキサイド(ITO)やインジウム・ジンク・オキサイド(IZO)などの光透過性を有する導電材料によって形成されている。
【0059】
第1配向膜AL1は、アレイ基板ARの対向基板CTと対向する面に配置され、アクティブエリアACTの略全体に亘って延在している。この第1配向膜AL1は、画素電極PEを覆っている。このような第1配向膜AL1は、水平配向性を示す材料によって形成されている。この第1配向膜AL1は、図5などに示したような第1配向処理方向RB1に配向処理されている。
【0060】
一方、対向基板CTは、例えば、ガラス基板やプラスチック基板などの光透過性を有する第2絶縁基板SUB2を用いて形成されている。この対向基板CTは、第2絶縁基板SUB2のアレイ基板ARに対向する側に、第1対向電極CE1及び第2対向電極CE2を含む対向電極CE、第2配向膜AL2などを備えている。なお、この対向基板CTには、図示は省略するが、各画素PXを区画するブラックマトリクスや各画素PXに対応して配置されたカラーフィルタ層、カラーフィルタ層の表面の凹凸の影響を緩和するオーバーコート層などが配置されても良い。
【0061】
第1対向電極CE1の第2主電極M2は、第1主電極M1の直上からずれた位置に配置され、ここでは、ソース配線S1の直上の位置に配置されている。第2対向電極CE2の第3主電極M3は、第1主電極M1の直上からずれた位置に配置され、ここでは、ソース配線S2の直上の位置に配置されている。すなわち、第2主電極M2及び第3主電極M3のそれぞれは、第1主電極M1の直上の位置を挟んだ両側に配置されており、第1主電極M1とは対向しない。このような第1対向電極CE1及び第2対向電極CE2を含む対向電極CEは、例えば、ITOやIZOなどの光透過性を有する導電材料によって形成されている。
【0062】
第2配向膜AL2は、対向基板CTのアレイ基板ARと対向する面に配置され、アクティブエリアACTの略全体に亘って延在している。この第2配向膜AL2は、対向電極CEを覆っている。このような第2配向膜AL2は、水平配向性を示す材料によって形成されている。この第2配向膜AL2は、図5などに示したような第2配向処理方向RB2に配向処理されている。
【0063】
上述したようなアレイ基板ARと対向基板CTとは、それぞれの第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2が対向するように配置されている。このとき、アレイ基板ARの第1配向膜AL1と対向基板CTの第2配向膜AL2との間には、例えば、樹脂材料によって一方の基板に一体的に形成された柱状スペーサが配置され、これにより、所定のギャップ、例えば3〜7μmのセルギャップが形成される。アレイ基板ARと対向基板CTとは、所定のセルギャップが形成された状態で図示しないシール材によって貼り合わせられている。
【0064】
液晶層LQは、アレイ基板ARと対向基板CTとの間に形成されたセルギャップに保持され、第1配向膜AL1と第2配向膜AL2との間に配置されている。液晶層LQは、図示を省略した液晶分子を含んでいる。このような液晶層LQは、ポジ型の液晶材料によって構成されている。
【0065】
アレイ基板ARの外面、つまり、アレイ基板ARを構成する第1絶縁基板SUB1の外面には、第1偏光軸を有する第1偏光板PL1が接着剤などにより貼付されている。また、対向基板CTの外面、つまり、対向基板CTを構成する第2絶縁基板SUB2の外面には、第2偏光軸を有する第2偏光板PL2が接着剤などにより貼付されている。
【0066】
本実施形態においては、第1偏光板PL1の第1偏光軸と、第2偏光板PL2の第2偏光軸とが直交する位置関係にあり、一方の偏光板は、その偏光軸が初期配向状態の液晶分子LMの長軸方向つまり第1配向処理方向RB1あるいは第2配向処理方向と平行または直交するように配置されている。これにより、ノーマリーブラックモードを実現している。
【0067】
すなわち、画素電極PEと第1対向電極CE1及び第2対向電極CE2との間に電位差が形成されていない無電界時(OFF時)には、液晶層LQの液晶分子LMは、第1配向処理方向RB1及び第2配向処理方向RB2に平行な方向に配向している。このようなOFF時の液晶分子LMの配向方向が初期配向方向に相当する。このため、OFF時には、液晶分子LMは、図5の破線で示したように、その長軸が基準直線LRと平行となるように配向する。
【0068】
なお、厳密には、液晶分子LMは、X−Y平面に平行に配向しているとは限らず、プレチルトしている場合が多い。このため、液晶分子LMの厳密な初期配向方向とは、OFF時の液晶分子LMの配向方向をX−Y平面に正射影した方向である。しかしながら、説明を簡略にするために、以下では、液晶分子LMは、X−Y平面に平行に配向しているものとし、X−Y平面と平行な面内で回転するものとして説明する。
【0069】
バックライト4からのバックライト光は、その一部が第1偏光板PL1を透過し、液晶表示パネルLPNに入射する。液晶表示パネルLPNに入射した光の偏光状態は、液晶層LQを通過する際に液晶分子LMの配向状態によって異なる。OFF時においては、液晶層LQを通過した光は、第2偏光板PL2によって吸収される(黒表示)。
【0070】
一方、画素電極PEと対向電極CEとの間に電位差が形成された状態(ON時)では、図6に示したように、第1主電極M1と第2主電極M2との間、及び、第1主電極M1と第3主電極M3との間に、それぞれ基板と略平行な横電界(あるいは斜め電界)が形成される。これにより、液晶分子LMは、その長軸が電界の向きと略平行となるように基板主面と略平行な平面内で回転する。
【0071】
図5に示した例では、第1主電極M1と第2主電極M2との間の液晶分子LMは、第1主電極M1と第2主電極M2との間の横電界に沿って反時計回りに回転し、第2方向Yに対して図中の左側を向くように配向する。第1主電極M1と第3主電極M3との間の液晶分子LMは、第1主電極M1と第3主電極M3との間の横電界に沿って反時計回りに回転し、第2方向Yに対して図中の右側を向くように配向する。
【0072】
このように、各画素PXにおいて、画素電極PEと対向電極CEとの間に横電界が形成された状態では、液晶分子LMの配向方向が2方向に分かれ、それぞれの配向方向でドメインが形成される。つまり、図示した例では、各画素PXには、2つのドメインが形成される。
【0073】
液晶表示パネルLPNに入射した一部のバックライト光は、これらの第1主電極M1と第2主電極M2との間、及び、第1主電極M1と第3主電極M3との間を通過した際に、その偏光状態が変化する。このようなON時においては、液晶層LQを通過した光は、第2偏光板PL2を透過する(白表示)。つまり、第1主電極M1と第2主電極M2との間及び第1主電極M1と第3主電極M3との間のそれぞれが表示に寄与する開口部(あるいは透過部)となる。
【0074】
このような本実施形態によれば、一画素内に2つのドメインを形成することが可能となるため、2方向での視野角を光学的に補償することができ、広視野角化が可能となる。したがって、表示品位の良好な液晶表示装置を提供することが可能となる。
【0075】
また、本実施形態によれば、画素電極PEの一端側とソース配線S1との間については第1補助電極A1が配置され、また、画素電極PEの他端側とソース配線S2との間については第2補助電極A2が配置されている。このため、ON時において、これらの間の領域における液晶分子LMを駆動するための電界が強化される。換言すると、液晶分子LMの配向を乱す要因となりうる不所望な横電界の発生を抑制することが可能となる。
【0076】
また、本実施形態によれば、上記の第1補助電極A1及び第2補助電極A2に加えて、画素電極PEの一端側とソース配線S2との間については第4補助電極A4が配置され、また、画素電極PEの他端側とソース配線S1との間については第3補助電極A3が配置されている。このため、第1補助電極A1及び第2補助電極A2を配置した場合と同様に、ON時において、これらの間の領域における液晶分子LMを駆動するための電界が強化される。
【0077】
更に上述のことについて図7を用いて説明する。この図7は、画素電極PEに正、対向電極CEに負を印加した場合に生じる電界を表す電気力線の模式図である。
【0078】
図7の第1補助電極A1と第1対向電極CE1の第2主電極M2との間に生じる電界についてみると、第1主電極M1と第2主電極M2との間に生じる電界と同じ方向の電界、すなわち、第1主電極M1に対して略垂直な電気力線がある。また、第1補助電極A1と第2主電極M2との間には、上記電界とは異なり第1主電極M1に対して斜めの電界、すなわち、第1主電極M1に対して傾いた斜めの電気力線も生じる。この斜めの電界は、第1配向処理方向RB1及び第2配向処理方向RB2と同様に、第1主電極M1及びこの第1主電極M1に平行な第2主電極M2に対して左回りに鋭角に交差する方向に沿って形成される。
【0079】
このような第1補助電極A1と第2主電極M2との間に生じる斜めの電界は、画素電極PEの端部において、液晶分子LMが本来回転するべき方向への回転を助長し本来回転すべき方向とは逆方向に回転することを阻止する効果がある。すなわち、電圧印加時(ON時)には、画素端部における液晶分子LMの配向方向は、画素中央付近における液晶分子LMの配向方向と略同じ方向であるため、画素中央付近から画素端部まで液晶分子LMの配向の連続性が保持される。このため、画素内において、液晶分子LMの配向の不連続性から生じるディスクリネーションを抑制できる。また、図示した当該画素PXの下側に隣接する画素との間では、図示しないが、第1補助電極A1から第2主電極M2(あるいは下側画素に対応して配置された第3補助電極A3)に向かって左下がり方向に電界が形成される可能性はあるが、このような方向に沿って形成される電界は、当該画素PXに対応して配置された第1補助電極A1あるいは下側画素に対応して配置された第3補助電極A3によってブロックされる。つまり、第1補助電極A1及び第3補助電極A3は、液晶分子LMを不所望な方向に配向させようとする電界の各画素内への侵入を抑制する。したがって、各画素内において、液晶分子の不所望な配向に起因したディスクリネーションの発生を抑制することが可能となる。
【0080】
また、第1補助電極A1の延出する方向と反対方向の第1主電極M1と第2対向電極CE2の第4補助電極A4との間に生じる電界についてみると、第1主電極M1と第3主電極M3との間に生じる電界と同じ方向の電界、すなわち、第1主電極M1に対して略垂直な電気力線がある。また、第4補助電極A4と第1主電極M1との間には、上記電界とは異なり第1主電極M1に対して斜めの電界、すなわち、第1主電極M1に対して傾いた斜めの電気力線も生じる。この斜めの電界は、第1配向処理方向RB1及び第2配向処理方向RB2と同様に、第1主電極M1及びこの第1主電極M1に平行な第3主電極M3に対して左回りに鋭角に交差する方向に沿って形成される。
【0081】
このような第4補助電極A4と第1主電極M1との間に生じる斜めの電界は、画素電極PEの端部において、液晶分子LMが本来回転するべき方向への回転を助長し本来回転すべき方向とは逆方向に回転することを阻止する効果がある。すなわち、電圧印加時(ON時)には、画素端部における液晶分子LMの配向方向は、画素中央付近における液晶分子LMの配向方向と略同じ方向であるため、画素中央付近から画素端部まで液晶分子LMの配向の連続性が保持される。このため、画素内において、液晶分子LMの配向の不連続性から生じるディスクリネーションを抑制できる。また、図示した当該画素PXの下側に隣接する画素との間では、図示しないが、下側画素に対応して配置された画素電極の第2補助電極A2から第3主電極M3(あるいは当該画素PXに対応して配置された第4補助電極A4)に向かって右上がり方向に電界が形成される可能性はあるが、このような方向に沿って形成される電界は、当該画素PXに対応して配置された第4補助電極A4あるいは下側画素に対応して配置された第2補助電極A2によってブロックされる。つまり、第2補助電極A2及び第4補助電極A4は、液晶分子LMを不所望な方向に配向させようとする電界の各画素内への侵入を抑制する。したがって、各画素内において、液晶分子の不所望な配向に起因したディスクリネーションの発生を抑制することが可能となる。
【0082】
さらに、第2補助電極A2と第2対向電極CE2の第3主電極M3との間に生じる電界、また、第2補助電極A2の延出する方向と反対方向の第1主電極M1と第1対向電極CE1の第3補助電極A3との間に生じる電界についても同様であり、第2補助電極A2及び第3補助電極A3を設けたことによって上記と同様の効果が得られる。
【0083】
上述の効果が生じる条件は、画素電極PEあるいは対向電極CEが主電極及びこの主電極に繋がっている補助電極を備えた画素において、この画素の中央付近において無印加時(OFF時)の液晶分子LMのダイレクターの方向に画素電極PEあるいは対向電極CEを見たときに、その主電極またはこの主電極に繋がっている補助電極の何れか片方が配置されていることである。言い換えれば、上述の効果が生じる条件は、主電極上の基点(例えば、画素電極PEの中心O)から無印加時の液晶分子LMのダイレクターの方向に補助電極が配置されていないことである。あるいは、上述の効果が生じる条件は、無印加時の液晶分子LMの初期配向方向が右下がり方向(あるいは左上がり方向)の場合には、主電極から時計回り方向に補助電極が延出し、無印加時の液晶分子LMの初期配向方向が左下がり方向(あるいは右上がり方向)の場合には、主電極から反時計周り方向に補助電極が延出することである。
【0084】
以上のような条件を満たすことにより、これらの領域の液晶分子LMが本来回転すべき方向(ここに示した例では反時計回り)とは逆方向(この場合には時計回り)に回転する現象の発生を抑制することが可能となる。このため、一画素内に不所望なドメインの境界が発生することに伴う暗線の発生が抑制され、透過率の低減を抑制することが可能となる。
【0085】
特に、液晶表示パネルLPNが押圧されるような外部応力を受けた場合であっても、液晶分子LMを本来回転すべき方向に駆動するための電界が強化されているため、局所的な画素PXでの透過率の低減により押し跡が残るといった現象を発生しにくくすることができ、表示品位を良好な状態に維持することが可能となる。
【0086】
本実施形態においてΘ2は、0°より大きく45°より小さいことが望ましい。Θ2が45°以上となると、画素電極PEと対向電極CEとの間に電界が形成された際に、液晶分子LMが各領域で上記の方向に一様に回転しにくくなり、配向の乱れが生じやすくなる。一方で、Θ2が45°より小さい鋭角である場合、画素電極PEと対向電極CEとの間の電界の強度が比較的小さくても、液晶分子LMが各領域で上記の方向に一様に回転し、安定的に2つのドメインを形成することが可能となる。
【0087】
なお、アレイ基板ARと対向基板CTとの合わせずれが生じた際に、第1主電極M1を挟んだ両側の第2主電極M2及び第3主電極M3との距離に差が生じることがある。しかしながら、このような合わせずれは、全ての画素PXに共通に生じるため、画素PX間での電界分布に相違はなく、画像の表示に影響を及ぼさない。
【0088】
また、一画素内において、第1主電極M1と第2主電極M2との電極間距離が、第1主電極M1と第3主電極M3との電極間距離と大きく相違したとしても、それぞれの領域での液晶分子LMの回転方向は同一(図示した例では反時計回り)であり、それぞれの領域での液晶分子LMの配向を揃えやすくなる。したがって、配向異常などに起因した液晶表示パネルLPNの透過率の低減を抑制することが可能となる。
【0089】
なお、ON時には、画素電極PEの第1主電極M1付近、第1対向電極CE1の第2主電極M2付近、及び、第2対向電極CE2の第3主電極M3付近では、横電界がほとんど形成されない(あるいは、液晶分子LMを駆動するのに十分な電界が形成されない)ため、液晶分子LMは、OFF時と同様に、初期配向方向からほとんど動かない。このため、画素電極PE及び対向電極CEは、本実施形態では光透過性の導電材料によって形成されているが、これらの領域ではバックライト光がほとんど透過せず、ON時において表示にほとんど寄与しない。したがって、画素電極PE及び対向電極CEは、必ずしも透明な導電材料によって形成される必要はなく、アルミニウムや銀などの導電材料を用いて形成しても良い。
【0090】
また、第1配向処理方向RB1及び第2配向処理方向RB2については、ともに平行であって、図3などに示した例では互いに逆向きであったが、これらが同じ向きであっても良い。第1配向処理方向RB1及び第2配向処理方向RB2が平行且つ同じ向きである場合には、OFF時において、液晶分子LMは、液晶層LQの中間部において略水平(プレチルト角が略ゼロ)に配向し、ここを境界として第1配向膜AL1の近傍及び第2配向膜AL2の近傍において対称となるようなプレチルト角を持って配向する(スプレイ配向)。第1配向処理方向RB1及び第2配向処理方向RB2が平行且つ逆向きである場合には、OFF時において、液晶分子LMは、第1配向膜AL1の近傍、第2配向膜AL2の近傍、及び、液晶層LQの中間部において略均一なプレチルト角を持って配向する(ホモジニアス配向)。
【0091】
上記の第1構成例については、例えば、図5に示した構成に対して鏡像の関係ある構成も採り得る。この場合の構成は、以下の通りである。
【0092】
すなわち、図示しないが、画素電極PEは、第1主電極M1と、この第1主電極M1の一端側から右側に位置するソース配線S2に向かって延出した第1補助電極A1と、この第1主電極M1の他端側から左側に位置するソース配線S1に向かって延出した第2補助電極A2と、を含む。つまり、これらの第1主電極M1、第1補助電極A1及び第2補助電極A2は、逆S字形状あるいは略Z字形状をなしている。
【0093】
第1対向電極CE1は画素電極PEの左側に位置し(あるいはソース配線S1の直上付近に位置し)、第2対向電極CE2は画素電極PEの右側に位置(あるいはソース配線S2の直上付近に位置)している。第1対向電極CE1は、第2主電極M2と、第2主電極M2における第1主電極M1の一端側と並んだ位置から第2対向電極CE2に向かって延出した第3補助電極A3と、を含む。第2対向電極CE2は、第3主電極M3と、第3主電極M3における第1主電極M1の他端側と並んだ位置から第1対向電極CE1に向かって延出した第4補助電極A4と、を含む。
【0094】
このとき、画素電極PEを覆う第1配向膜AL1の第1配向処理方向及び対向電極CEを覆う第2配向膜AL2の第2配向処理方向は、第1主電極M1の他端側とソース配線S2との間及び第1主電極M1の一端側とソース配線S1との間を通る基準直線と平行な方向に設定される。このような構成であっても、上記の例と同様の効果が得られる。
【0095】
また、画素電極PEにおいて、第1補助電極A1及び第2補助電極A2は、図示した例のように、第1主電極M1の下側端部または上側端部に形成されていなくても良く、下側端部または上側端部よりも、画素電極PEの中心Oに寄った位置に形成されていても良い。
【0096】
なお、上述した例では、第1補助電極A1がソース配線S1に向かって延出し、且つ、第2補助電極A2がソース配線S2に向かって延出した例について説明したが、ソース配線S1及びS2をゲート配線Gや補助容量線Cに置き換えてもよい。つまり、第1補助電極A1及び第2補助電極A2がゲート配線Gや補助容量線Cに向かって延出していても良い。
【0097】
上述した例では、画素電極PE、第1対向電極CE1、及び、第2対向電極CE2がそれぞれ補助電極を備えた構成について説明したが、画素電極PEが補助電極を備え、対向電極CEがいずれも補助電極を備えていない構成であっても、上述した例と同様の効果が得られる。
【0098】
図8は、第1構成例の一画素PXにおける他の単位構成体を概略的に示す平面図である。
【0099】
画素電極PEは、図5に示した例と同様に、第1主電極M1、第1補助電極A1、及び、第2補助電極A2を含んでいる。第1対向電極CE1は、第2主電極M2を含んでいる。第2対向電極CE2は、第3主電極M3を含んでいる。第1対向電極CE1及び第2対向電極CE2はともに補助電極を含んでいない。
【0100】
画素電極PEを覆う第1配向膜AL1の第1配向処理方向RB1、及び、対向電極CEを覆う第2配向膜AL2の第2配向処理方向RB2については、図5に示した例と同様である。
【0101】
ON時には、第1主電極M1と第2主電極M2との間の液晶分子LMは、第1主電極M1と第2主電極M2との間の横電界に沿って反時計回りに回転し、第2方向Yに対して図中の左側を向くように配向する。また、第1主電極M1と第3主電極M3との間の液晶分子LMは、第1主電極M1と第3主電極M3との間の横電界に沿って反時計回りに回転し、第2方向Yに対して図中の右側を向くように配向する。
【0102】
このような構成について、第1補助電極A1及び第2補助電極A2を伴った作用を簡単に説明する。
【0103】
図9は、画素電極PEに正、対向電極CEに負を印加した場合に生じる電界を表す電気力線の模式図である。
【0104】
第1補助電極A1と第1対向電極CE1の第2主電極M2との間に生じる電界についてみると、第1主電極M1に対して略垂直な電気力線、及び、第1主電極M1に対して傾いた斜めの電気力線が生じる。この斜めの電界は、第1配向処理方向RB1及び第2配向処理方向RB2と同様に、第1主電極M1及び第2主電極M2に対して左回りに鋭角に交差する方向に沿って形成される。
【0105】
このような第1補助電極A1と第2主電極M2との間に生じる斜めの電界は、画素電極PEの端部において、液晶分子LMが本来回転するべき方向への回転を助長し本来回転すべき方向とは逆方向に回転することを阻止する効果がある。このため、画素内において、液晶分子LMの配向の不連続性から生じるディスクリネーションを抑制できる。
【0106】
また、第1補助電極A1の延出する方向と反対方向の第1主電極M1と第2対向電極CE2との間に生じる電界についてみると、第1主電極M1に対して略垂直な電気力線、及び、第1主電極M1に対して傾いた斜めの電気力線が生じる。この斜めの電界は、図示した当該画素PXの外側に向かって第1主電極M1から第2対向電極CE2に向かって形成される。このような電界の傾きは、第1配向処理方向RB1及び第2配向処理方向RB2と同様に、第1主電極M1及びこの第1主電極M1に平行な第3主電極M3に対して左回りに鋭角に交差する方向に沿って形成される。
【0107】
このような第1主電極M1と第2対向電極CE2との間に生じる斜めの電界は、画素電極PEの端部において、液晶分子LMが本来回転するべき方向への回転を助長し本来回転すべき方向とは逆方向に回転することを阻止する効果がある。すなわち、電圧印加時(ON時)には、画素端部における液晶分子LMの配向方向は、画素中央付近における液晶分子LMの配向方向と略同じ方向であるため、画素中央付近から画素端部まで液晶分子LMの配向の連続性が保持される。このため、画素内において、液晶分子LMの配向の不連続性から生じるディスクリネーションを抑制できる。
【0108】
次に、本実施形態の第2構成例について説明する。
【0109】
図10は、第2構成例の一画素PXにおける最小の単位構成体を概略的に示す平面図である。ここに示した例では、画素電極PEを覆う第1配向膜AL1の第1配向処理方向RB1及び対向電極CEを覆う第2配向膜AL2の第2配向処理方向RB2は、第2方向Yと平行である。つまり、液晶分子LMの初期配向方向は、第2方向Yに相当するが、第2方向以外の他の方向であっても良い。
【0110】
画素電極PEは、第1主電極M1、第2主電極M2、第1補助電極A1、第2補助電極A2、及び、第3補助電極A3を含んでいる。
【0111】
第1主電極M1は、第1延出方向D1に沿って帯状に延出している。第2主電極M2は、第1延出方向D1とは異なる第2延出方向D2に沿って帯状に延出している。第1主電極M1の一端側と第2主電極M2の一端側とは結合している。図示した例では、第1主電極M1及び第2主電極M2は、くの字形状をなしている。
【0112】
ここでは、第1延出方向D1は液晶分子のLMの初期配向方向(第2方向Y)に対して右回りに鋭角に交差する方向であり、第2延出方向D2は液晶分子のLMの初期配向方向(第2方向Y)に対して左回りに鋭角に交差する方向である。初期配向方向と第1延出方向D1とのなす角度θ3は、初期配向方向と第2延出方向D2とのなす角度θ4と略同一角度である。また、なす角度θ3及びθ4は、0°より大きく45°より小さい角度であり、5°〜25°程度、より望ましくは10°前後である。
【0113】
第1補助電極A1は、第1主電極M1の他端側から第1延出方向D1及び第2延出方向D2とは異なる方向に沿って帯状に延出している。第2補助電極A2は、第1主電極M1と第2主電極M2との結合部から第1延出方向D1及び第2延出方向D2とは異なる方向に沿って帯状に延出している。第3補助電極A3は、第2主電極M2の他端側から第1延出方向D1及び第2延出方向D2とは異なる方向に沿って帯状に延出している。図示した例では、第1補助電極A1及び第3補助電極A3は右側(つまり、第2配線であるソース配線S2)に向かって延出し、第2補助電極A2は左側(つまり、第1配線であるソース配線S1)に向かって延出している。
【0114】
第1対向電極CE1は、第3主電極M3、第4主電極M4、第4補助電極A4、及び、第5補助電極A5を含んでいる。
【0115】
第3主電極M3は、第1延出方向D1に沿って帯状に延出している。この第3主電極M3は、第1主電極M1の直上の位置に(重なることなく)並んで配置されている。第4主電極M4は、第2延出方向D2に沿って帯状に延出している。この第4主電極M4は、第2主電極M2の直上の位置に(重なることなく)並んで配置されている。これらの第3主電極M3の一端側と第4主電極M4の一端側とは結合している。図示した例では、第3主電極M3及び第4主電極M4は、くの字形状をなしている。
【0116】
第4補助電極A4は、第3主電極M3における第1主電極M1の他端側と並んだ位置から第2対向電極CE2に向かって帯状に延出している。第5補助電極A5は、第4主電極M4における第2主電極M2の他端側と並んだ位置から第2対向電極CE2に向かって帯状に延出している。これらの第4補助電極A4及び第5補助電極A5が延出する方向は、第1延出方向D1及び第2延出方向D2とは異なる方向である。図示した例では、第4補助電極A4及び第5補助電極A5は右側に向かって延出し、その延出方向は、第1方向Xと平行である。
【0117】
第2対向電極CE2は、第5主電極M5、第6主電極M6、及び、第6補助電極A6を含んでいる。
【0118】
第5主電極M5は、第1延出方向D1に沿って帯状に延出している。この第5主電極M5は、第1主電極M1の直上を挟んで第3主電極M3とは反対側に配置されている。つまり、第3主電極M3及び第5主電極M5は、第1主電極M1を挟んだ両側に配置されている。第1方向Xに沿って図中の左側から右側に向かって、第1対向電極CE1の第3主電極M3、画素電極PEの第1主電極M1、及び、第2対向電極CE2の第5主電極M5がこの順に並んでいる。
【0119】
第6主電極M6は、第2延出方向D2に沿って帯状に延出している。この第6主電極M6は、第2主電極M2の直上を挟んで第4主電極M4とは反対側に配置されている。つまり、第4主電極M4及び第6主電極M6は、第2主電極M2を挟んだ両側に配置されている。第1方向Xに沿って図中の左側から右側に向かって、第1対向電極CE1の第4主電極M4、画素電極PEの第2主電極M2、及び、第2対向電極CE2の第6主電極M6がこの順に並んでいる。これらの第5主電極M5の一端側と第6主電極M6の一端側とは結合している。図示した例では、第5主電極M5及び第6主電極M6は、くの字形状をなしている。
【0120】
第6補助電極A6は、第5主電極M5と第6主電極M6との結合部から第1対向電極CE1に向かって帯状に延出している。この第6補助電極A6が延出する方向は、第1延出方向D1及び第2延出方向D2とは異なる方向である。図示した例では、第6補助電極A6は左側に向かって延出し、その延出方向は、第1方向Xと平行である。
【0121】
ここで、第1配向膜AL1の第1配向処理方向RB1及び第2配向膜AL2の第2配向処理方向RB2は、互いに平行であって、且つ、第1主電極M1の他端側と第1配線であるソース配線S1との間及び第2主電極M2の他端側と第1配線であるソース配線S1との間を通る方向である。
【0122】
第1補助電極A1、第2補助電極A2、及び、第3補助電極A3が配置される領域と、第1配向処理方向RB1及び第2配向処理方向RB2との関係は以下の通りである。すなわち、第1補助電極A1及び第2補助電極A2は、液晶分子LMの初期配向方向(ここでは第2方向Y)に平行であるとともに第1主電極M1の第1中心O1を通る第1基準直線LR1と第1延出方向D1に平行であるとともに第1主電極M1の第1中心O1を通る第1中心線LC1とのなす角Θ3が鈍角となる領域に配置されている。また、第2補助電極A2及び第3補助電極A3は、液晶分子LMの初期配向方向(ここでは第2方向Y)に平行であるとともに第2主電極M2の第2中心O2を通る第2基準直線LR2と第2延出方向D2に平行であるとともに第2主電極M2の第2中心O2を通る第2中心線LC2とのなす角Θ4が鈍角となる領域に配置されている。
【0123】
なお、第4補助電極A4については第1補助電極A1と同じ向き(ここでは右向き)に延出し、第5補助電極A5については第3補助電極A3と同じ向き(ここでは右向き)に延出し、第6補助電極A6については第2補助電極A2と同じ向き(ここでは左向き)に延出している。
【0124】
このような第2構成例においては、OFF時には、当該画素PXの液晶層LQにおける液晶分子LMは、第1配向処理方向RB1及び第2配向処理方向RB2に平行な方向に配向している。ここでは、第1配向処理方向RB1及び第2配向処理方向RB2は、ともに第2方向Yと平行である。このため、液晶分子LMは、図中の破線で示したように、その長軸が第2方向Yと平行となるように配向する。このとき、第1構成例と同様に、黒表示となる。
【0125】
一方、ON時においては、第1主電極M1と第3主電極M3との間、第2主電極M2と第4主電極M4との間、第1主電極M1と第5主電極M5との間、及び、第2主電極M2と第6主電極M6との間に、それぞれ基板と略平行な横電界(あるいは斜め電界)が形成される。これにより、液晶分子LMは、その長軸が電界の向きと略平行となるように基板主面と略平行な平面内で回転する。
【0126】
図示した例では、第1主電極M1と第3主電極M3との間の液晶分子LMは、第1主電極M1と第3主電極M3との間の横電界に沿って反時計回りに回転し、図中の左上を向くように配向する。第1主電極M1と第5主電極M5との間の液晶分子LMは、第1主電極M1と第5主電極M5との間の横電界に沿って反時計回りに回転し、図中の右下を向くように配向する。
【0127】
また、第2主電極M2と第4主電極M4との間の液晶分子LMは、第2主電極M2と第4主電極M4との間の横電界に沿って時計回りに回転し、図中の左下を向くように配向する。第2主電極M2と第6主電極M6との間の液晶分子LMは、第2主電極M2と第6主電極M6との間の横電界に沿って時計回りに回転し、図中の右上を向くように配向する。
【0128】
このように、各画素PXにおいて、画素電極PEと対向電極CEとの間に横電界が形成された状態では、液晶分子LMの配向方向が4方向に分かれ、それぞれの配向方向でドメインが形成される。つまり、各画素PXには、4つのドメインが形成される。
【0129】
このとき、液晶表示パネルLPNに入射した一部のバックライト光は、これらの第1主電極M1と第3主電極M3との間、第1主電極M1と第5主電極M5との間、第2主電極M2と第4主電極M4との間、及び、第2主電極M2と第6主電極M6との間を通過した際に、その偏光状態が変化し、液晶層LQを通過した光は、第2偏光板PL2を透過して、白表示となる。
【0130】
このような本実施形態の第2構成例によれば、一画素内に4つのドメインを形成することが可能となるため、4方向での視野角を光学的に補償することができ、より広視野角化が可能となる。したがって、表示品位の良好な液晶表示装置を提供することが可能となる。
【0131】
また、第1補助電極A1、第2補助電極A2、及び、第3補助電極A3の配置、さらには、第4補助電極A4、第5補助電極A5、及び、第6補助電極A6の配置により、液晶分子LMを駆動するのに必要な電界が強化されるため、第1構成例と同様の効果が得られる。
【0132】
以下に、上記の第1構成例に対応した実施例についてそれぞれ説明する。
【0133】
≪実施例≫
図3に示したような形状の画素電極PEを備えたアレイ基板ARを用意した。画素電極PEを構成する第1主電極M1、第1補助電極A1、及び、第2補助電極A2のそれぞれの幅は10μmとした。このようなアレイ基板ARについては、画素電極PEを覆う70nmの膜厚の水平配向性を示す第1配向膜AL1を形成し、基準直線LRと平行な第1配向処理方向RB1に沿って配向処理した。
【0134】
一方で、図4に示したような形状の対向電極CEを備えた対向基板CTを用意した。第1対向電極CE1を構成する第2主電極M2及び第3補助電極A3のそれぞれの幅は10μmとした。第2対向電極CE2を構成する第3主電極M3及び第4補助電極A4のそれぞれの幅は10μmとした。このような対向基板CTについては、対向電極CEを覆う70nmの膜厚の水平配向性を示す第2配向膜AL2を形成し、基準直線LRと平行な第2配向処理方向RB2に沿って配向処理した。第1主電極M1、第2主電極M2及び第3主電極M3が延出する第1延出方向と基準直線LRとのなす角度は約20°とした。
【0135】
このようなアレイ基板ARと対向基板CTとの間に4.0μmのセルギャップを形成し、アレイ基板ARと対向基板CTとを貼り合わせた。このとき、画素電極PEの各主電極と対向電極CEの各主電極との間隔は10μmに設定した。これらのアレイ基板ARと対向基板CTとの間には、メルク社製ポジ型液晶材料を注入して画素ピッチ50μmの液晶表示パネルLPNを作製した。
【0136】
このような実施例によれば、一画素PXがON時において2ドメイン化され、2方向に対して視角を補償することができた。また、この実施例によれば液晶表示パネルLPNを指で押した際に押し跡が残らなかった。
【0137】
以上説明したように、本実施形態によれば、表示品位の良好な液晶表示装置を提供することができる。
【0138】
なお、この発明は、上記実施形態そのものに限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0139】
1…液晶表示装置
LPN…液晶表示パネル
ACT…アクティブエリア PX…画素
AR…アレイ基板 CT…対向基板 LQ…液晶層
S(S1、S2、…)…ソース配線 G…ゲート配線
SW…スイッチング素子
PE…画素電極 CE(CE1、CE2、…)…対向電極
M1…第1主電極 M2…第2主電極 M3…第3主電極
M4…第4主電極 M5…第5主電極 M6…第6主電極
A1…第1補助電極 A2…第2補助電極 A3…第3補助電極
A4…第4補助電極 A5…第5補助電極 A6…第6補助電極
AL1…第1配向膜 RB1…第1配向処理方向
AL2…第2配向膜 RB2…第2配向処理方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行な方向に延出した第1配線及び第2配線と、前記第1配線と前記第2配線との間に配置され第1延出方向に沿って帯状に延出した第1主電極、前記第1主電極の一端側から前記第1配線に向かって延出した第1補助電極、及び、前記第1主電極の他端側から前記第2配線に向かって延出した第2補助電極を含む画素電極と、前記画素電極を覆う第1配向膜と、を備えた第1基板と、
前記第1延出方向に沿って帯状に延出した第2主電極を含む第1対向電極と、前記第1延出方向に沿って帯状に延出した第3主電極を含む第2対向電極と、前記第1対向電極および前記第2対向電極を覆う第2配向膜と、を備えた第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に保持された液晶分子を含む液晶層と、を備え、
前記第2主電極及び前記第3主電極は、前記第1主電極を挟んだ両側に配置され、
前記液晶分子の初期配向方向は、前記第1主電極の一端側と前記第2配線との間及び前記第1主電極の他端側と前記第1配線との間を通る方向と平行であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記第1補助電極が延出する方向は、前記第2補助電極が延出する方向と平行な第2延出方向であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記第1対向電極は、前記第2主電極における前記第1主電極の他端側と並んだ位置から前記第2対向電極に向かって延出した第3補助電極を含み、
前記第2対向電極は、前記第3主電極における前記第1主電極の他端側と並んだ位置から前記第1対向電極に向かって延出した第4補助電極を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記第3補助電極が延出する方向は、前記第4補助電極が延出する方向と平行な第3延出方向であることを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記第1補助電極及び前記第2補助電極が延出する方向は、前記第3補助電極及び前記第4補助電極が延出する方向と平行であることを特徴とする請求項3または4に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記液晶分子の初期配向方向と前記第1延出方向とがなす鋭角は、0°より大きく45°より小さいことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記第1補助電極は前記第1主電極の一端部に繋がり、前記第2補助電極は前記第1主電極の他端部に繋がっていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記第1補助電極及び前記第2補助電極は、前記第1主電極と略直交していることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記第2主電極は前記第1配線に対向し、前記第3主電極は前記第2配線に対向することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
第1延出方向に沿って帯状に延出した第1主電極、前記第1主電極の一端側から前記第1延出方向とは異なる方向に沿って延出した第1補助電極、及び、前記第1主電極の他端側から前記第1延出方向とは異なる方向に沿って延出した第2補助電極を含む画素電極と、前記画素電極を覆う第1配向膜と、を備えた第1基板と、
前記第1延出方向に沿って帯状に延出した第2主電極を含む第1対向電極と、前記第1延出方向に沿って帯状に延出した第3主電極を含む第2対向電極と、前記第1対向電極及び前記第2対向電極を覆う第2配向膜と、を備えた第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に保持された液晶分子を含む液晶層と、を備え、
前記第2主電極及び前記第3主電極は、前記第1主電極を挟んだ両側に配置され、
前記液晶分子の初期配向方向に平行であるとともに前記第1主電極の中心を通る基準直線と、前記第1延出方向に平行であるとともに前記第1主電極の中心を通る中心線と、のなす角が鈍角となる領域に、前記第1補助電極及び前記第2補助電極が配置されたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項11】
互いに平行な方向に延出した第1配線及び第2配線と、前記第1配線と前記第2配線との間に配置され第1延出方向に沿って帯状に延出した第1主電極、前記第1延出方向とは異なる第2延出方向に沿って帯状に延出し前記第1主電極に結合した第2主電極、前記第1主電極の他端側から前記第2配線に向かって延出した第1補助電極、前記第1主電極と前記第2主電極との結合部から前記第1配線に向かって延出した第2補助電極、及び、前記第2主電極の他端側から前記第2配線に向かって延出した第3補助電極を含む画素電極と、前記画素電極を覆う第1配向膜と、を備えた第1基板と、
前記第1延出方向に沿って帯状に延出した第3主電極及び前記第2延出方向に沿って帯状に延出し前記第3主電極に結合した第4主電極を含む第1対向電極と、前記第1延出方向に沿って帯状に延出した第5主電極及び前記第2延出方向に沿って帯状に延出し前記第5主電極に結合した第6主電極を含む第2対向電極と、前記第1対向電極及び前記第2対向電極を覆う第2配向膜と、を備えた第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に保持された液晶分子を含む液晶層と、を備え、
前記第3主電極及び前記第5主電極は、前記第1主電極を挟んだ両側に配置され、
前記第4主電極及び前記第6主電極は、前記第2主電極を挟んだ両側に配置され、
前記液晶分子の初期配向方向は、前記第1主電極の他端側と前記第1配線との間及び前記第2主電極の他端側と前記第1配線との間を通る方向と平行であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項12】
前記第1対向電極は、前記第3主電極における前記第1主電極の他端側と並んだ位置から前記第2対向電極に向かって延出した第4補助電極、及び、前記第4主電極における前記第2主電極の他端側と並んだ位置から前記第2対向電極に向かって延出した第5補助電極を含み、
前記第2対向電極は、前記第5主電極と前記第6主電極との結合部から前記第1対向電極に向かって延出した第6補助電極を含むことを特徴とする請求項11に記載の液晶表示装置。
【請求項13】
前記液晶分子は、前記画素電極と前記第1対向電極及び前記第2対向電極との間に電界が形成されていない状態でスプレイ配向またはホモジニアス配向していることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−194480(P2012−194480A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59762(P2011−59762)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(302020207)株式会社ジャパンディスプレイセントラル (2,170)
【Fターム(参考)】