説明

液晶表示装置

【課題】立体映像を表示する際のクロストークを低減した液晶表示装置を提供する。
【解決手段】液晶表示装置100は、背面側液晶偏光板110と、背面側液晶偏光板110上に積層される背面側透明基板120と、背面側透明基板120上に積層される液晶層130と、液晶層130より上に積層される前面側液晶偏光板140と、第1の画素線に対応する位置に配置される第1の偏光板161、及び第2の画素線に対応する位置に配置される第2の偏光板162を有する偏光制御板160とを備え、偏光制御板160は、(i)前面側液晶偏光板140より上で、且つ(ii)前面側液晶偏光板140に接する位置、又は前面側液晶偏光板140との間に特定の色の光を選択的に透過させるカラーフィルタ150のみが介在する位置に積層される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置、特に偏光眼鏡方式で立体画像を表示する液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
偏光眼鏡方式で立体画像を表示可能な従来の液晶表示装置10は、例えば、図9に示されるような積層構造となっている。例えば、図9に示される液晶表示装置10は、背面側液晶偏光板20と、背面側透明基板30と、液晶層40と、前面側透明基板50と、前面側液晶偏光板60と、偏光制御板70とを、この順に積層して構成される。
【0003】
液晶表示装置10の表面側(図9の左側)に配置される偏光制御板70は、偏光方向が互いに直交する2つの1/4波長板70L、70Rを交互に横ストライプ状に配列して構成されている。また、液晶層(画像表示部)40には、偏光制御板70の横ストライプのピッチに対応して左眼用画像Lと右眼用画像Rとが交互に横ストライプ状の視差画像として表示される。このようにすると、1/4波長板70Lを通過する光線は左円偏光、1/4波長板70Rを通過する光線は右円偏光となる。そして、観察者は、偏光方向が直交する偏光板を左右の眼に対応する位置に配置した偏光めがね(図示省略)をかけて液晶表示装置10を見ることにより、左眼には左眼用画像Lを、右眼には右眼用画像Rを選択的に視認させることで立体画像を視聴することができる。
【0004】
この方式では、左眼用画像L及び右眼用画像Rが横ストライプ状に同時に表示されているので、液晶ディスプレイのように走査周波数が遅くてもフリッカーを生じずに立体視が可能である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−35885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図9に示されるような従来の構成では、液晶層40と偏光制御板70との間には、前面側透明基板50、前面側液晶偏光板60、さらにはカラーフィルタ(図示省略)等が積層されている。その結果、液晶層40と偏光制御板70との間の距離が離れてしまうので、視聴者の眼の高さが変わると、本来左眼に入射すべき左眼用画像光が右眼に入射し、本来右眼に入射すべき右眼用画像光が左眼に入射する、いわゆるクロストークの課題が生じる恐れがある。
【0007】
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、立体画像を表示する際のクロストークを低減した液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態に係る液晶表示装置は、左眼用画像の光を第1の方向に偏光して出力する第1の画素線と、前記左眼用画像に対して視差を有する右眼用画像の光を前記第1の方向と交差する第2の方向に偏光して出力する第2の画素線とを交互に配置することによって、立体映像を表示する。具体的には、背面側液晶偏光板と、前記背面側液晶偏光板上に積層され、前記背面側液晶偏光板に接する面と反対側の面上に、互いに対面して配置される第1及び第2の電極が画素毎に形成された背面側透明基板と、前記背面側透明基板上に積層される液晶層と、前記液晶層より上に積層される前面側液晶偏光板と、前記第1の画素線に対応する位置に配置され、前記前面側液晶偏光板を透過した光を前記第1の方向に偏光する第1の偏光板、及び前記第2の画素線に対応する位置に配置され、前記前面側液晶偏光板を透過した光を前記第2の方向に偏光する第2の偏光板を有する偏光制御板とを備える。そして、前記偏光制御板は、(i)前記前面側液晶偏光板より上で、且つ(ii)前記前面側液晶偏光板に接する位置、又は前記前面側液晶偏光板との間に特定の色の光を選択的に透過させるカラーフィルタのみが介在する位置に積層される。
【0009】
上記構成によれば、液晶層と偏光制御板との間に前面側透明基板が介在しないので、液晶層と偏光制御板との距離を短くすることができる。その結果、観察者の眼の位置が上下に変化したとしても、クロスト−クの発生を抑制することができる。
【0010】
一例として、前記偏光制御板と前記前面側液晶偏光板とは、互いに接していてもよい。そして、前記カラーフィルタは、前記液晶層と前記前面側液晶偏光板との間に積層されてもよい。
【0011】
他の例として、前記偏光制御板と前記前面側液晶偏光板とは、互いに接していてもよい。そして、前記カラーフィルタは、前記偏光制御板上に積層されてもよい。
【0012】
さらに、該液晶表示装置は、前記偏光制御板より上に積層される前面側透明基板を備えてもよい。
【0013】
また、前記カラーフィルタは、画素単位で交互に配置される赤色フィルタ、緑色フィルタ、及び青色フィルタと、隣接する各色フィルタの境界に、遮光性を有するブラックマトリクスとを備えてもよい。
【0014】
また、前記第1の偏光板は、前記前面側液晶偏光板を透過した光をλ/4だけ左円偏光させてもよい。一方、前記第2の偏光板は、前記前面側液晶偏光板を透過した光をλ/4だけ右円偏光させてもよい。
【0015】
本発明の他の形態に係る液晶表示装置は、視聴者の左右の眼の一方側に対して第1の方向に偏光された光を出力する第1の画素線と、他方側に対して前記第1の方向と交差する第2の方向に偏光された光を出力する第2の画素線とを交互に配置することによって立体映像を表示する。具体的には、背面側液晶偏光板と、前記背面側液晶偏光板上に積層され、前記背面側液晶偏光板に接する面と反対側の面上に、画素毎に互いに対面して配置される第1及び第2の電極が形成された背面側透明基板と、前記背面側透明基板上に積層される液晶層と、前記液晶層上に積層される前面側透明基板と、前記前面側透明基板より上に積層される前面側液晶偏光板と、前記前面側液晶偏光板より上の前記第1の画素線に対応する位置に配置され、前記前面側液晶偏光板を透過した光を前記第1の方向に偏光する第1の偏光板、及び前記前面側液晶偏光板より上の前記第2の画素線に対応する位置に配置され、前記前面側液晶偏光板を透過した光を前記第2の方向に偏光する第2の偏光板を有する偏光制御板とを備える。そして、前記前面側透明基板の厚みは、0.2mm未満である。
【0016】
上記構成によれば、液晶層と偏光制御板との間に配置される前面側透明基板の厚みが極めて薄いので、液晶層と偏光制御板との距離を短くすることができる。その結果、観察者の眼の位置が上下に変化したとしても、クロスト−クの発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、クロストークの少ない立体画像を表示することのできる液晶表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1に係る液晶表示装置の外観斜視図である。
【図2】液晶表示装置の動作を説明するための画素の分解斜視図である。
【図3】液晶表示装置の動作を説明するための画素の断面図である。
【図4】実施の形態1に係る液晶表示装置の積層構造を示す図である。
【図5】実施の形態2に係る液晶表示装置の積層構造を示す図である。
【図6】実施の形態3に係る液晶表示装置の積層構造を示す図である。
【図7】実施の形態4に係る液晶表示装置の積層構造を示す図である。
【図8】実施の形態5に係る液晶表示装置の積層構造を示す図である。
【図9】従来の液晶表示装置の積層構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施の形態及び実施例を説明するが、当然ながら本発明はこれらの形式に限定されるものでなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲で適宜変更して実施することができる。
【0020】
以下本発明の実施の形態について、図1〜図4を参照しながら説明する。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る液晶表示装置100の外観斜視図である。液晶表示装置100は、図1に示されるように、左眼用画像102Lを表示する第1の画素線101Lと、右眼用画像102Rを表示する第2の画素線101Rとが、表示面上に交互に配置されている。より具体的には、偶数画素行が第1の画素線101Lに対応し、奇数画素行が第2の画素線101Rに対応する。また、第1の画素線101Lから出力される左眼用画像の光は、第1の方向に偏光されている。一方、第2の画素線101Rから出力される右眼用画像の光は、第1の方向と異なる第2の方向に偏光されている。
【0022】
一方、視聴者は、図1に示される偏光めがね900を装着して、液晶表示装置100に表示される画像を視聴する。この偏光めがね900は、視聴者の左眼に対応する位置に配置される左眼レンズ910と、視聴者の右眼に対応する位置に配置される右眼レンズ920とを備える。左眼レンズ910は、第1の方向に偏光された光のみを透過させる。一方、右眼レンズ920は、第2の方向に偏光された光のみを透過させる。
【0023】
すなわち、視聴者は、左眼レンズ910を通して第1の画素線101L(偶数画素行)のみで構成される左眼用画像102L(図1の斜線部分の画素は無い)を視聴し、右眼レンズ920を通して第2の画素線101R(奇数画素行)のみで構成される右眼用画像102R(図1の斜線部分の画素は無い)を視聴する。ここで、左眼用画像102Lと右眼用画像102Rとが互いに視差を有する画像であれば、視聴者は、左眼用画像102L及び右眼用画像102Rを立体画像として認識する。
【0024】
実施の形態1で用いる液晶表示装置100は、基板平面に対して略平行な横方向電界を用いて画像表示を行なう横方向電界駆動型の液晶表示装置、特にはIPS(In−Plane Switching)型液晶表示装置を用いた立体表示装置である。IPS型の液晶表示装置100の液晶表示の動作について、図2及び図3の模式図を用いて説明する。
【0025】
図2は、液晶表示装置100の動作を説明するための画素の分解斜視図である。より具体的には、図2は、液晶表示装置100を図1に示されるA−A’断面で切断したときの水平方向に隣接する2つの画素の概略構造を示す分解斜視図である。また、図3は、A−A’断面における画素の断面図である。なお、図2及び図3は、液晶表示装置100の液晶表示の動作を説明するための図であるので、一部の構成要素の図示を省略している。
【0026】
液晶表示装置100は、図2に示されるように、背面側液晶偏光板110と、背面側透明基板120と、液晶層130と、前面側液晶偏光板140とを、この順に積層して構成されている。また、背面側液晶偏光板110のさらに下層には、バックライト(図示省略)が配置される。なお、本明細書中では、積層構造における位置関係を説明する際に、背面側(バックライトに近い側)を下側、前面側(視聴者に近い側)を上側と表現することがある。
【0027】
背面側透明基板120は、背面側液晶偏光板110上に積層される。本実施の形態における背面側液晶偏光板110と背面側透明基板120とは、互いに接している。背面側透明基板120を構成する材料は特に限定されないが、例えば、ガラス基板や透光性の高い樹脂が好ましい。特に、ガラス基板が好ましい。
【0028】
また、背面側透明基板120の背面側液晶偏光板110に接する面と反対側の面(液晶層130に対面する側の面)には、第1の電極121と第2の電極122とが配置されている。より具体的には、第1及び第2の電極121、122とは、画素毎に互いに対面するように配置されている。この第1及び第2の電極121、122は、液晶層の液晶素子の向きを変更するために用いられる。
【0029】
液晶層130は、背面側透明基板120上に積層される。本実施の形態における背面側透明基板120と液晶層130とは、互いに接している。液晶層130には、例えば正の誘電率異方性を有する液晶分子が、背面側透明基板120と前面側透明基板(図示省略)との間で、第1及び第2の電極121、122間の法線方向に対して略70°の角度θをもって略平行に、且つ背面側透明基板120の上面に対して略水平に配向される。
【0030】
前面側液晶偏光板140は、液晶層130より上の層に積層される。なお、液晶層130と前面側液晶偏光板140とは、互いに接していてもよいし、両者の間に他の構成要素が介在していてもよい。ここで、背面側液晶偏光板110と前面側液晶偏光板140とは、透過軸が互いに直交し、一方の透過軸は液晶分子の配向方向と一致するように配置される。
【0031】
これにより、第1及び第2の電極121、122に電圧を印加していない状態では、図2の左側の画素の矢印で示すように、液晶層130内の液晶分子は捻じれることなく第1及び第2の電極121、122に対して平行に配向する。また、背面側液晶偏光板110及び前面側液晶偏光板140の透過軸は、互いに直交しているため、バックライト(図示せず)からの光源光は透過されることなく、輝度は最小となる。
【0032】
これに対して、第1及び第2の電極121、122に電圧を印加した状態では、液晶層130内における電気力線は図3に示すようになる。このとき、液晶層130内の液晶分子は、図2の右側の画素の矢印で示すように、基板界面を除いて第1及び第2の電極121、122間の電界に沿って配列する。これにより、背面側液晶偏光板110を透過した光は、液晶分子の複屈折作用により、前面側液晶偏光板140を透過して出射され、輝度は最大となる。
【0033】
次に、図4を参照して、実施の形態1に係る液晶表示装置100の詳細な構造を説明する。図4は、液晶表示装置100を図1に示されるB−B’断面で切断したときの鉛直方向に隣接する2つの画素の積層構造を示す図である。
【0034】
液晶表示装置100は、図2に示される構成に加えて、カラーフィルタ150と、偏光制御板160と、前面側透明基板170とを備える。すなわち、液晶表示装置100は、図4に示されるように、背面側液晶偏光板110と、背面側透明基板120と、液晶層130と、カラーフィルタ150と、前面側液晶偏光板140と、偏光制御板160と、前面側透明基板170とを、この順に積層して構成されている。
【0035】
カラーフィルタ150は、液晶層130と前面側液晶偏光板140との間、すなわち、液晶層130及び前面側液晶偏光板140の両方に接する位置に積層され、液晶層130から出力される光のうち、特定の色の光を選択的に透過させる。具体的には、カラーフィルタ150は、画素単位で交互に配置される赤色(R)フィルタ151、緑色(G)フィルタ152、及び青色(B)フィルタ(図示省略)と、各色(R、G、B)フィルタの境界に配置されるブラックマトリクス154とで構成される。ブラックマトリクス154は、遮光性を有する材料で構成され、各画素の画素領域を規定する役割を担っている。
【0036】
このカラーフィルタ150を透過し、さらに前面側液晶偏光板140を透過した光は、図4の上下方向の直線偏光となる。そして、上記の直線偏光は、さらに偏光制御板160を通る。
【0037】
偏光制御板160は、前面側液晶偏光板140上に積層される。すなわち、本実施の形態における前面側液晶偏光板140と偏光制御板160とは、互いに接する。この偏光制御板160は、左眼用偏光板(第1の偏光板)161と、右眼用偏光板(第2の偏光板)162とがライン状に交互に配置されている。より具体的には、左眼用偏光板161は、第1の画素線101Lに対応する位置に配置される。一方、右眼用偏光板162は、第2の画素線101Rに対応する位置に配置される。
【0038】
左眼用偏光板161は、前面側液晶偏光板140を透過した光を第1の方向に偏光(左円偏光)するλ/4位相板である。一方、右眼用偏光板162は、前面側液晶偏光板140を透過した光を第1の方向と異なる第2の方向に偏光(右円偏光)するλ/4位相板である。
【0039】
前面側透明基板170は、偏光制御板160上に積層される。すなわち、本実施の形態における偏光制御板160と前面側透明基板170とは、互いに接する。この前面側透明基板170は、偏光制御板160の外部からの水分の侵入によって生じる液晶層130の液晶分子の劣化を防止するためのものである。前面側透明基板170を構成する材料は透光性を有する無機材料が好ましく、例えば、SiN、SiON、またはガラス等が挙げられる。
【0040】
すなわち、左眼用偏光板161を通過した光は、直線偏光から左円偏光となる。また、右眼用偏光板162を透過した光は、直線偏光から右円偏光となる。そして、左眼用偏光板161を通過した左円偏光と、右眼用偏光板162を通過した右円偏光とは、さらに前面側透明基板170を透過して、視聴者の眼に届く。
【0041】
そして、左眼用偏光板161に左眼用画像光を、右眼用偏光板162に右眼用画像光を透過させると、右眼用偏光板と左眼用偏光板とを備えた偏光めがね900を掛けた視聴者は、左眼用画像光及び右眼用画像光を立体画像として認識する。
【0042】
以上、横方向電界駆動(IPS)型の液晶表示装置100を用いることで、前面側透明基板に複雑な電極構造や配線などが不要となる。よって、本実施の形態に係る液晶表示装置100は、従来、前面側透明基板(ガラス基板)170上に配置されていた偏光制御板160を、前面側透明基板170の下側に設ける。言い換えると、偏光制御板160を前面側液晶偏光板140のすぐ上(接する位置。以下同じ。)で、且つ前面側透明基板170より下に積層する。これにより、従来と比較して、偏光制御板160を液晶層(画素)140に近づけることができる。従って、クロストークの少ない立体視域を上下方向に拡大することができる。また、視聴者の疲労も少なく、多人数での視聴に適した立体画像表示装置を提供できる。
【0043】
また、カラーフィルタ150を前面側液晶偏光板140の下に配置することで、出射する光の広がりを抑制することができる。
【0044】
尚、ここで、偏光制御板160には、左眼用偏光板161として光を左円偏光させるλ/4位相板を、右眼用偏光板162として光を右円偏光させるλ/4位相板を用いたが、本発明の偏光制御板160はこれに限定されない。例えば、左眼用偏光板161及び右眼用偏光板162それぞれを透過した光が、互いに直交する直線偏光になるような偏光板を用いてもよい。また、楕円偏光の偏光方向が互いに逆になるような偏光板でも良い。つまり、右眼用画像と左眼用画像との偏光方向が異なる偏光板であればこれらに限定されない。
【0045】
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2に係る液晶表示装置200の断面図であって、図4に対応する図である。なお、液晶表示装置100、200の基本的な構成は共通するので、共通する構成要素には同一の参照番号を付し、詳しい説明を省略する。
【0046】
液晶表示装置200は、図5に示されるように、背面側液晶偏光板110と、背面側透明基板120と、液晶層130と、前面側液晶偏光板140と、偏光制御板160と、カラーフィルタ150と、前面側透明基板170とを、この順に積層して構成されている。
【0047】
すなわち、実施の形態2に係る液晶表示装置200は、前面側液晶偏光板140、カラーフィルタ150、及び偏光制御板160の位置関係が実施の形態1と異なる。具体的には、図5に示されるように、偏光制御板160を前面側液晶偏光板140のすぐ上に配置し、カラーフィルタ150を偏光制御板160のすぐ上に配置し、前面側透明基板170をカラーフィルタ150のすぐ上に配置する。
【0048】
上記の積層構造を採用すれば、顔料分散法などで、前面側透明基板170の下面にカラーフィルタ150を容易に作成することができるのでプロセス上、有利である。また、偏光制御板160と液晶層(画素)130との距離をさらに近づけることができるので、クロストークの少ない立体視域を上下方向に拡大することができる。
【0049】
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施の形態3に係る液晶表示装置300の断面図であって、図4に対応する図である。なお、液晶表示装置100、300の基本的な構成は共通するので、共通する構成要素には同一の参照番号を付し、詳しい説明を省略する。
【0050】
液晶表示装置300は、図6に示されるように、背面側液晶偏光板110と、背面側透明基板120と、液晶層130と、前面側液晶偏光板140と、カラーフィルタ150と、偏光制御板160と、前面側透明基板170とを、この順に積層して構成されている。
【0051】
すなわち、実施の形態3に係る液晶表示装置300は、前面側液晶偏光板140、カラーフィルタ150、及び偏光制御板160の位置関係が実施の形態1と異なる。具体的には、図6に示されるように、カラーフィルタ150を、前面側液晶偏光板140のすぐ上で、且つ偏光制御板160のすぐ下(接する位置。以下同じ。)に配置し、前面側透明基板170を偏光制御板160のすぐ上に配置する。言い換えれば、前面側液晶偏光板140と偏光制御板160との間にカラーフィルタ150のみが介在する状態にする。
【0052】
上記構成によっても、従来と比較して、偏光制御板160と液晶層(画素)130との距離を近づけることができるので、クロストークの少ない立体視域を上下方向に拡大することができる。
【0053】
(実施の形態4)
図7は、本発明の実施の形態4に係る液晶表示装置400の断面図であって、図4に対応する図である。なお、液晶表示装置100、400の基本的な構成は共通するので、共通する構成要素には同一の参照番号を付し、詳しい説明を省略する。
【0054】
液晶表示装置400は、図7に示されるように、背面側液晶偏光板110と、背面側透明基板120と、液晶層130と、カラーフィルタ150と、前面側液晶偏光板140と、偏光制御板160とを、この順に積層して構成されている。すなわち、実施の形態4に係る液晶表示装置400は、前面側透明基板170を省略した点で実施の形態1と異なる。
【0055】
TN(Twisted Nematic)方式、VA(Vertical Alignment)方式などのように、前面側透明基板170の下側に透明電極を設ける構成では、前面側透明基板170を省略することはできない。一方、本発明の実施の形態4に係る液晶表示装置400はIPS方式を用いているので、前面側透明基板170に透明電極を形成する必要がない。
【0056】
そこで、実施の形態4に係る液晶表示装置400では、前面側透明基板170を除去して、偏光制御板160を液晶層(画素)130に近づける。これにより、観察者の眼の位置が変化したことによるクロスト−クを抑制することができる。
【0057】
なお、図7は、図4に示される液晶表示装置100から前面側透明基板170を除去した例を示しているが、本発明はこれに限定されない。すなわち、図5に示される液晶表示装置200、及び図6に示される液晶表示装置300から前面側透明基板170を除去しても同様の効果を得ることができる。
【0058】
(実施の形態5)
図8は、本発明の実施の形態5に係る液晶表示装置500の断面図であって、図4に対応する図である。なお、液晶表示装置100、500の基本的な構成は共通するので、共通する構成要素には同一の参照番号を付し、詳しい説明を省略する。
【0059】
液晶表示装置500は、図8に示されるように、背面側液晶偏光板110と、背面側透明基板120と、液晶層130と、カラーフィルタ150と、前面側透明基板170と、前面側液晶偏光板140と、偏光制御板160とを、この順に積層して構成されている。
【0060】
すなわち、実施の形態5に係る液晶表示装置500は、前面側透明基板170の位置関係が実施の形態1と異なる。具体的には、図8に示されるように、前面側透明基板170をカラーフィルタ150と前面側液晶偏光板140との間に配置する。また、前面側透明基板170の積層方向(図8の上下方向)の厚みは、0.2mm未満とする。
【0061】
TN方式、VA方式などのように、前面側透明基板170の下側に透明電極を設ける構成では、前面側透明基板(ガラス基板)170の厚みは0.2mm以上が必要となる。その理由は、蒸着やスパッタで透明電極を前面側透明基板170に形成する場合、500℃〜600℃の温度に加熱する必要があるので、前面側透明基板170の厚みが薄いと前面側透明基板170が反ったり、変形したりするので、所望の透明電極を形成できないからである。
【0062】
一方、本発明の実施の形態5に係る液晶表示装置500はIPS方式を用いているので、前面側透明基板170に透明電極を形成する必要がない。そのため、前面側透明基板170の厚みを0.2mm未満にすることができる。
【0063】
上記構成によれば、偏光制御板160と前面側透明基板170との位置関係は従来と同一であるものの、前面側透明基板170の厚みを従来より遥かに薄くすることができる。その結果、偏光制御板160を液晶層(画素)130に近づけることができるので、観察者の眼の位置が変化したことによるクロスト−クを抑制することができる。
【0064】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上のように本発明は、立体表示装置を実現する上で有用である。
【符号の説明】
【0066】
10,100,200,300,400,500 液晶表示装置
20,110 背面側液晶偏光板
30,120 背面側透明基板
40,130 液晶層
60,140 前面側液晶偏光板
50,170 前面側透明基板
70,160 偏光制御板
70L,70R 1/4波長板
101L 第1の画素線
101R 第2の画素線
102L 左眼用画像
102R 右眼用画像
121 第1の電極
122 第2の電極
150 カラーフィルタ
151 赤色(R)フィルタ
152 緑色(G)フィルタ
154 ブラックマトリクス
161 左眼用偏光板
162 右眼用偏光板
900 偏光めがね
910 左眼レンズ
920 右眼レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左眼用画像の光を第1の方向に偏光して出力する第1の画素線と、前記左眼用画像に対して視差を有する右眼用画像の光を前記第1の方向と交差する第2の方向に偏光して出力する第2の画素線とを交互に配置することによって、立体映像を表示する液晶表示装置であって、
背面側液晶偏光板と、
前記背面側液晶偏光板上に積層され、前記背面側液晶偏光板に接する面と反対側の面上に、互いに対面して配置される第1及び第2の電極が画素毎に形成された背面側透明基板と、
前記背面側透明基板上に積層される液晶層と、
前記液晶層より上に積層される前面側液晶偏光板と、
前記第1の画素線に対応する位置に配置され、前記前面側液晶偏光板を透過した光を前記第1の方向に偏光する第1の偏光板、及び前記第2の画素線に対応する位置に配置され、前記前面側液晶偏光板を透過した光を前記第2の方向に偏光する第2の偏光板を有する偏光制御板とを備え、
前記偏光制御板は、(i)前記前面側液晶偏光板より上で、且つ
(ii)前記前面側液晶偏光板に接する位置、又は前記前面側液晶偏光板との間に特定の色の光を選択的に透過させるカラーフィルタのみが介在する位置に積層される
液晶表示装置。
【請求項2】
前記偏光制御板と前記前面側液晶偏光板とは、互いに接しており、
前記カラーフィルタは、前記液晶層と前記前面側液晶偏光板との間に積層されている
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記偏光制御板と前記前面側液晶偏光板とは、互いに接しており、
前記カラーフィルタは、前記偏光制御板上に積層されている
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
該液晶表示装置は、さらに、前記偏光制御板より上に積層される前面側透明基板を備える
請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記カラーフィルタは、
画素単位で交互に配置される赤色フィルタ、緑色フィルタ、及び青色フィルタと、
隣接する各色フィルタの境界に、遮光性を有するブラックマトリクスとを備える
請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記第1の偏光板は、前記前面側液晶偏光板を透過した光をλ/4だけ左円偏光させ、
前記第2の偏光板は、前記前面側液晶偏光板を透過した光をλ/4だけ右円偏光させる
請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
視聴者の左右の眼の一方側に対して第1の方向に偏光された光を出力する第1の画素線と、他方側に対して前記第1の方向と交差する第2の方向に偏光された光を出力する第2の画素線とを交互に配置することによって立体映像を表示する液晶表示装置であって、
背面側液晶偏光板と、
前記背面側液晶偏光板上に積層され、前記背面側液晶偏光板に接する面と反対側の面上に、画素毎に互いに対面して配置される第1及び第2の電極が形成された背面側透明基板と、
前記背面側透明基板上に積層される液晶層と、
前記液晶層上に積層される前面側透明基板と、
前記前面側透明基板より上に積層される前面側液晶偏光板と、
前記前面側液晶偏光板より上の前記第1の画素線に対応する位置に配置され、前記前面側液晶偏光板を透過した光を前記第1の方向に偏光する第1の偏光板、及び前記前面側液晶偏光板より上の前記第2の画素線に対応する位置に配置され、前記前面側液晶偏光板を透過した光を前記第2の方向に偏光する第2の偏光板を有する偏光制御板とを備え、
前記前面側透明基板の厚みは、0.2mm未満である
液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−203041(P2012−203041A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64832(P2011−64832)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】