説明

液晶表示装置

【課題】低温環境下におかれた場合等でも視認性の悪化を抑制でき、しかも、構成を簡素化して製造コストを抑制できる液晶表示装置を提供する。
【解決手段】液晶表示部1と、前記液晶表示部1の周囲温度を検知する温度検知部3と、前記液晶表示部1の表示を更新させる制御部4とを備えた液晶表示装置であって、所定温度よりも低い低温領域を複数の温度範囲で区分すると共に、低温側ほど長くなるよう、区分毎に前記液晶表示部の表示の更新時間を設定し、前記制御部4は、前記温度検知部3による検知温度が属する区分に対応した更新時間に基づいて前記液晶表示部の表示を更新させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示部を備えた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、様々な分野で液晶表示装置が用いられている。この種の液晶表示装置では、液晶表示部の表示を別の内容に更新する(数字を変えるなど)際において、液晶表示部が制御部から表示更新の指令を受けた後、表示を完了する(以下、「表示完了」と記載する)までの時間(表示応答時間)が、液晶表示装置が低温環境下におかれる等して液晶表示部が低温になった場合、長くなるという特性がある。これは、液晶表示部における液晶の反応が鈍くなることによって起こる。
【0003】
前記のように表示応答時間が長くなると、制御部が表示更新を指令しても、当該指令から表示完了までのタイムラグが大きくなる。一方、制御部は表示更新の指令を一定時間毎に発するものとされている。従って、前記タイムラグが前記一定時間よりも大きくなると、液晶表示部が一つの表示更新の指令を受けてから表示完了するまでの間に、制御部から次の指令を受けることになり、その結果、液晶表示部には、複数の前記指令に対応した、異なる表示が何重にも重なって出てしまうことがあり得る。
【0004】
例えば、制御部が表示更新の指令を行う間隔(更新時間)が0.3秒であり、表示応答時間が1秒である場合には、最初の指令に対応した表示が表示完了するまでの間(1秒間)に、制御部は3回の指令(具体的には、最初の指令から0.3秒後、0.6秒後、0.9秒後)を発することになり、その結果、前記複数の指令に応じて、液晶表示部の表示が少なくとも4重に重なって出てしまうことになる。
【0005】
このように、液晶表示部の表示が何重にも重なって出てしまうと、液晶表示部を見る者が表示された内容を読み取ることに困難をおぼえる(つまり、視認性が悪化する)。そのため、表示装置として使い物にならなくなってしまう。
【0006】
前記低温による問題に対応するため、液晶表示装置にヒーターを設けることがある。このヒーターで液晶表示装置(特に液晶表示部)を加温することにより、液晶表示装置が低温環境下におかれた場合等でも液晶表示部が低温になることを抑制できて、表示応答時間が更新時間よりも長くなり過ぎることを抑制できる。そして、その結果、液晶表示部の表示が何重にも重なって出てしまうことを抑制し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、このように液晶表示装置にヒーターを設けることで、液晶表示装置の構成が複雑になり、製造コストが上昇してしまう。しかしながら、ヒーターを設けないと、液晶表示装置が低温環境下におかれた場合等の視認性の悪化が避けられない。
【0008】
そこで本発明は、低温環境下におかれた場合等でも視認性の悪化を抑制でき、しかも、構成を簡素化して製造コストを抑制できる液晶表示装置を提供することを課題とする。
【0009】
なお、本願出願人は、出願時において前記課題に関する先行技術文献情報を持ち合わせていない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、所定温度よりも低い低温領域で、液晶表示部の視認性が特に悪くなることに発明者が着目したことによりなされたものである。
【0011】
即ち、本発明の液晶表示装置は、液晶表示部と、前記液晶表示部の周囲温度を検知する温度検知部と、前記液晶表示部の表示を更新させる制御部とを備えた液晶表示装置であって、所定温度よりも低い低温領域を複数の温度範囲で区分すると共に、低温側ほど長くなるよう、区分毎に前記液晶表示部の表示の更新時間を設定し、前記制御部は、前記温度検知部による検知温度が属する区分に対応した更新時間に基づいて前記液晶表示部の表示を更新させることを特徴とする。
【0012】
前記構成によると、所定温度よりも低い低温領域を複数の温度範囲で区分すると共に、低温側ほど長くなるよう、区分毎に液晶表示部の表示の更新時間を設定し、制御部が、温度検知部による検知温度が属する区分に対応した更新時間に基づいて前記液晶表示部の表示を更新させることにより、低温領域にて、従来のように更新時間が一定であるものよりも、更新時間を液晶表示部の表示応答時間に近づけることが可能である。そのため、従来のように、液晶表示部が制御部から一つの表示更新の指令を受けた後、表示完了するまでの間に、制御部から次の指令を受けるようなことを無くすあるいは抑制することができ、ヒーターを設ける必要がなくなる。
【0013】
なお、前記「所定温度」とは、具体的には、液晶表示部の視認性が悪化する境界温度(視認境界温度)あるいはその近傍の温度を指す。
【0014】
そして、前記低温領域における前記液晶表示部の表示の更新時間は、各区分での温度範囲の幅に対する更新時間の変化率が低温側ほど大きくなるよう設定されることが好ましい。
【0015】
前記好ましい構成によると、変化率が低温側ほど大きいことにより、表示応答時間の特性に合わせるように、更新時間を液晶表示部の表示応答時間に近づけることが可能である。
【0016】
そして、前記区分は、温度範囲の幅が低温側ほど狭くなっていることが好ましい。
【0017】
前記好ましい構成によると、温度範囲の幅が低温側ほど狭くなっていることにより、低温側ほど小刻みに更新時間を変化させることができるため、表示応答時間の特性に合わせるように、更新時間を液晶表示部の表示応答時間に近づけることが可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、液晶表示部が制御部から一つの表示更新の指令を受けた後、表示完了するまでの間に、制御部から次の指令を受けるようなことを無くすあるいは抑制することができることから、低温環境下におかれた場合等でも視認性の悪化を抑制できる。しかも、ヒーターを設ける必要がないことから、構成を簡素化して製造コストを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(A)は第1実施形態の液晶表示装置の外観図であり、(B)(C)は同液晶表示装置における液晶表示の一例を示す図である。
【図2】第1実施形態の液晶表示装置のうち、液晶表示部とその周囲部分を示す外観図である。
【図3】第1実施形態の液晶表示装置のブロック図である。
【図4】第1実施形態の液晶表示装置の更新時間テーブルにおける、温度範囲の区分と更新時間の一例を示す。
【図5】第1実施形態の検知温度と更新時間の関係を示すグラフである。
【図6】第1実施形態の液晶表示装置のフロー図である。
【図7】第2実施形態の検知温度と更新時間の関係を示すグラフである。
【図8】第3実施形態の検知温度と更新時間の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明につき、以下に三つの実施形態を取り上げて説明を行う。
【0021】
−第1実施形態−
本実施形態の液晶表示装置は、例えば車両、より具体的には、フォークリフトなどの産業用車両の運転席に取り付けられるもので、速度、走行距離、荷重重量、冷却水水温、燃料残量、エラー表示、現在時刻等の種々の情報を表示するために用いられる。この液晶表示装置は、図1(A)に示すような外観でユニット化されており、前記種々の情報を表示する部分である表示パネル11を有する液晶表示部1と、複数の選択ボタンからなる選択ボタン部2とを備えている。図1(B)(C)は表示パネル11の表示の一例を示したものであり、図1(B)では表示パネル11の中央部分である表示エリアA部11aに速度が表示された状態を示し、図1(C)では表示エリアA部11aに、持ち上げる荷重重量が表示された状態を示している。選択ボタン部2は、表示を切り替えるために操作されるものである。図1(B)(C)に示した破線部は表示エリアE部11eであり、ここにはエラーコードの表示がなされる。
【0022】
液晶表示部1は、液晶により前記種々の情報を画像として表示することのできる表示パネル11を備えている。図示はしていないが、表示パネル11の裏側にはバックライトが設けられており、夜間など、周囲が暗い場合に点灯して表示パネル11の視認性を向上させる。なお、表示パネル11をタッチパネルとし、選択ボタン部2を兼ねるものとしても良い。
【0023】
そして、本実施形態の液晶表示装置は、図2に示すように、前記液晶表示部1の周囲温度を検知して検知温度Dを検出する温度検知部3を備えている。本実施形態ではサーミスタが用いられており、表示パネル11の周囲に設けられている。
【0024】
次に、制御に関する構成について説明する。本実施形態の液晶表示装置は、所定温度(後述)よりも低い低温領域を複数の温度範囲で区分すると共に、低温側ほど長くなるよう、区分毎に液晶表示部1における表示パネル11の表示の更新時間を設定し、温度検知部3による検知温度Dが属する区分に対応した更新時間Inに基づいて前記液晶表示部の表示を更新させるように制御される。
【0025】
そのため、本実施形態の液晶表示装置は、ブロック図である図3に示すように、検知温度Dに応じた時間間隔である更新時間Inで液晶表示部1の表示を更新する制御部4と、検知温度Dと更新時間Inとの関係が定められた更新時間テーブル(後述)を格納した参照部5を備えている。
【0026】
制御部4は、液晶表示部1、選択ボタン部2、温度検知部3の各々に接続されており、表示パネル11の表示を更新させる働きをする。この制御部4は、検知温度Dがあらかじめ定められた温度であるテーブル参照温度(本実施形態では10℃)を超える場合には一定時間(本実施形態では0.3秒)毎に表示を更新し、検知温度Dがテーブル参照温度以下の場合には、参照部5に格納された更新時間テーブルを参照し、検知温度Dに応じた更新時間Inで表示を更新する。
【0027】
更新時間テーブルは、図4に示すように、テーブル参照温度よりも低い低温領域を複数の温度範囲で区分し、当該区分に更新時間Inを対応させたものである。温度範囲は検知温度Dを基に区分される。この更新時間テーブルでは、低温側ほど更新時間Inが長くなるよう、温度範囲の区分毎に更新時間Inが設定されている。
【0028】
この更新時間テーブルについては、表示の種類によって、例えば速度の表示のように、更新時間Inを短くした方がいいものと、例えばエラー表示のように更新時間Inが長くても支障ないものとがあるため、各表示毎に異なる種類の更新時間テーブル(複数)が参照部5に格納されている。
【0029】
なお、前記のように更新時間テーブルを用いる場合とは別に、制御部4での数式演算により更新時間Inを算出することも可能性としては考えられるが、本実施形態のように更新時間テーブルを用いた方が、更新時間Inを得るための制御部4の負荷が小さくなるというメリットがあるため望ましい。
【0030】
また、更新時間テーブルは、検知温度Dについての温度範囲の一つに一つの更新時間Inが対応するように(つまり、ある温度範囲で更新時間Inが一定となっており、更新時間Inの変化をグラフ化すると、図5に示すように階段状となる)設定されているが、温度範囲の一つにつきある一定の変化をする更新時間Inが対応するように(つまり、更新時間Inの変化を図5に示す要領でグラフ化したとすると、傾斜した直線あるいは曲線となる)設定されていても良い。
【0031】
次に、本実施形態の速度表示における、検知温度Dに応じた更新時間Inの関係を、表示パネル11の表示応答時間の特性カーブと共に図5に示す。この関係は、図4に示した更新時間テーブルに係るものに対応している。そして、図5に示した特性カーブは、ある温度で、液晶が非表示状態から表示状態へと変化するのに要する時間を示している。
【0032】
なお、前記とは逆に、ある温度で、液晶が表示状態から非表示状態へと変化するのに要する時間を示す特性カーブも存在する。更新時間テーブルの検知温度Dと更新時間Inとの関係を定めるに当たって、本実施形態では液晶が非表示状態から表示状態へと変化する場合の特性カーブを基準としているが、表示状態から非表示状態へと変化する場合の特性カーブを基準としても良いし、両特性カーブを平均して得たカーブを基準としても良い。
【0033】
本実施形態では、検知温度Dが0℃を超える場合、制御部4が表示エリアA部11aの表示を更新する更新時間Inは0.3秒とされている。この更新時間In0.3秒の設定は、本実施形態においては、検知温度Dが10℃を超えている場合は制御部4により更新時間固定(0.3秒)で設定される。一方、検知温度Dがテーブル参照温度である10℃以下の場合は、参照部5に格納された更新時間テーブルを参照して更新時間Inが設定される。具体的には、検知温度Dが0℃を超え10℃以下の場合は、制御部4が参照部5の更新時間テーブル(図4参照)を参照して更新時間Inが0.3秒とされる。そして、−10℃を超え0℃以下の場合は、同じく更新テーブルによって更新時間Inが1秒とされる。
【0034】
そして本実施形態では、所定温度(−10℃)を基準として、検知温度Dが高温側にある高温領域よりも低温側にある低温領域の方が小刻みに更新時間Inを変化させるものとしている。低温領域では、当該領域が区分された複数の温度範囲の各々に対応した更新時間毎に、前記液晶表示部の表示を更新させる。
【0035】
ここで、前記の「所定温度」とは、視認境界温度近傍の温度である。そして、「視認境界温度」とは、一定の更新時間で表示を変化させた場合に、液晶表示部1の表示が何重にも重なることにより視認性が悪化してしまう境界の温度、言い換えると、液晶表示部1の表示が車両の運転者等により視認しにくくなる温度のことである。本実施形態では、この視認境界温度を下記のようにして定めた。
【0036】
まず、液晶表示装置の表示(具体的には、図1(B)の中央部分に示された速度の表示)であり、更新時間0.3秒(固定)で表示を変化させたものをビデオカメラで撮影し、サンプル動画を作成した。前記撮影は、液晶表示装置の周囲温度を−30℃〜80℃の間で5℃毎に行った。そして、モニター6人がディスプレイに再生させたサンプル動画を見、モニターの半数(3人)以上が見えにくいと感じた温度を視認境界温度と定めた。本実施形態では、表1に示すように、0℃で2人が見えにくいと感じ、−5℃で3人が見えにくいと感じた。よって、視認境界温度を−5℃と定めた。
【0037】
【表1】

【0038】
本実施形態では、検知温度Dが前記視認境界温度(−5℃)の近傍であって、さらに5℃低い−10℃を前記の「所定温度」とし、この所定温度を基準として、検知温度Dが高温側にある高温領域よりも低温側にある低温領域の方が温度刻みを小刻みとして更新時間Inを変化させるものとしている。
【0039】
前記の「温度刻みが小刻み」であるとは、各々の更新時間Inに対応する温度範囲における下限温度と上限温度との温度差(ΔD)に関し、前記の高温領域にある温度範囲よりも低温領域にある温度範囲の方を小さくしたことを指す。図5に示した検知温度Dと更新時間Inとの関係に当てはめると、0℃以上の温度範囲では、上限温度が定められていないため温度差は無限大となり、−10℃〜0℃の温度範囲では温度差ΔD1は10℃となる。そして、−10℃以下の温度範囲では温度差ΔD2が(最小で)1℃となる。よって、所定温度(−10℃)を基準として、高温領域にある温度範囲(温度差10℃あるいは無限大)よりも低温領域にある温度範囲(温度差(最小)1℃)の方が小さくなっている。つまり、図5のグラフ上に示した階段状の線における階段各段の幅について言うと、高温領域よりも低温領域の方が幅が狭くなる。
【0040】
そして、検知温度Dが−10℃以下の低温領域では、一定の温度刻み(本実施形態では2℃刻み)で表示パネル11の表示応答時間の特性カーブに近づけるように、検知温度Dが低いほど、その検知温度Dが属する区分に対応する更新時間Inが順次長くなるように設定されている。本実施形態(第1実施形態)では、前記低温領域における表示パネル11の表示の更新を、低温領域が区分された複数の温度範囲に対応した一定の更新時間In毎に行うものとしている。なお、本実施形態では、温度差ΔDを最小1℃刻みまで設定できるものとされている。
【0041】
本実施形態では、図5に示すように、検知温度Dと更新時間Inとの関係を示す図示階段状の線が、表示パネル11の表示応答時間の特性カーブ(図示曲線状)を跨ぐように、更新時間Inが設定されている。つまり、検知温度Dと更新時間Inとの関係が、ある温度範囲では更新時間Inが一定となっており、この一定とされた更新時間Inが、前記特性カーブよりも高温側では表示応答時間より長く、低温側では表示応答時間より短いものとされている。この関係から理解できるように、本実施形態では、更新時間Inを表示応答時間の近傍に設定できるため、従来のように液晶表示部1の表示が何重にも重なって出てしまうことがなく、液晶表示部1の視認性を従来よりも向上できる。
【0042】
本実施形態では、このように、検知温度Dが所定温度(−10℃)以下では、更新時間Inを表示パネル11の表示応答時間の特性カーブに対して近づけることができ得るため、周囲が低温でも、表示パネル11の表示応答時間に比べて更新時間Inが大きく離れることなく、表示応答時間の近傍で表示の切り替わりをさせることができる。そのため、表示パネル11の表示が何重にも重なってしまうことを避けることができ、表示装置として使い物にならなくなってしまうほどの視認性の悪化を防止し、表示を可能な限り見やすくできる。特に、検知温度Dが−10℃以下では、図5から明らかなように、表示パネル11の表示応答時間の特性カーブの傾斜が急になるため、このように温度差ΔDを小さくすることが、表示を見やすくするために有効である。
【0043】
そして、低温領域における更新時間Inの設定は、各区分での温度範囲の幅(本実施形態では、図5のグラフ上に示した階段状の線における階段各段の幅に相当する)に対する更新時間In(同じく、階段各段の高さに相当する)の変化率(つまり、前記高さを幅で割った値である)を、低温側ほど大きくした場合、低温領域にて表示パネル11の表示応答時間の特性カーブの傾斜が急になるところでも、更新時間Inを表示応答時間に近づけることが可能であるため好ましい。変化率を大きくするには、各区分での温度範囲の幅を小さくする、または、更新時間Inの変化を大きくする、または、前記両方を行う。
【0044】
次に、制御部4による液晶表示部1の表示の更新につき、図6に示すフローに従って説明する。以下の説明は、液晶表示部1において表示の更新がなされる表示エリアA部11a(速度及び荷重を表示)及び表示エリアE部11e(エラーコードを表示)に関するものである。
【0045】
車両のエンジン始動等に伴い、液晶表示装置の電源が投入されると、まず、制御部4は初期化を行う(ステップS1)。
【0046】
次に、表示エリアA部11aに関し、車両の運転者により選択ボタン部2が押され、これに応じて制御部4は、表示エリアA部11aの表示を速度の表示と荷重の表示とで切り替える(ステップS2,S31,S32)。なお、選択ボタン部2が押されなかった場合には、速度の表示がなされる。また、表示エリアE部11eに関しては、このような選択はなされない(ステップS33)。
【0047】
次に、速度表示に関して説明する。温度検知部3により検知温度Dを検出する(ステップS41)。そして、検出された検知温度Dが10℃以下であるか否かを判定する(ステップS51)。検知温度Dが10℃を超えている場合は、更新時間Inを一定として(本実施形態では0.3秒)表示エリアA部11aの表示を行う(ステップS81)。
【0048】
一方、検知温度Dが10℃以下の場合は、制御部4が参照部5に格納された速度表示についての更新時間テーブルを参照して(ステップS61)、検知温度Dに応じた更新時間Inで表示を更新し(ステップS71)、表示エリアA部11aの表示を行う(ステップS81)。前記の各ステップS41〜S81が前記更新時間In毎に繰り返される。なお、前記の繰り返しは、表示内容が変化しない場合(同内容の表示が継続される場合)でもなされる。
【0049】
ここで、本実施形態では、前記のように、検知温度Dが10℃を超えている場合は、参照部5に格納された更新時間テーブルを参照せずに一定の更新時間Inで表示エリアA部11aの表示を行うものとしているが、これに限られず、全温度域で更新時間テーブルを参照するものとしても良い。
【0050】
荷重表示に関しても、フローは前記速度表示と同様である。温度検知部3により検知温度Dを検出する(ステップS42)。そして、検出された検知温度Dが10℃以下であるか否かを判定する(ステップS52)。検知温度Dが10℃を超えている場合は、更新時間Inを一定として(本実施形態では1秒)表示エリアA部11aの表示を行う(ステップS82)。
【0051】
一方、検知温度Dが10℃以下の場合は、制御部4が参照部5に格納された荷重表示についての更新時間テーブルを参照して(ステップS62)、検知温度Dに応じた更新時間Inで表示を更新し(ステップS72)、表示エリアA部11aの表示を行う(ステップS82)。前記の各ステップS42〜S82が前記更新時間In毎に繰り返される。
【0052】
エラーコード表示に関しても、フローは前記二つの表示と同様である。温度検知部3により検知温度Dを検出する(ステップS43)。そして、検出された検知温度Dが10℃以下であるか否かを判定する(ステップS53)。検知温度Dが10℃を超えている場合は、更新時間Inを一定として(本実施形態では2秒)表示エリアE部11eの表示を行う(ステップS83)。
【0053】
一方、検知温度Dが10℃以下の場合は、制御部4が参照部5に格納された荷重表示についての更新時間テーブルを参照して(ステップS63)、検知温度Dに応じた更新時間Inで表示を更新し(ステップS73)、表示エリアA部11aの表示を行う(ステップS83)。前記の各ステップS43〜S83が前記更新時間In毎に繰り返される。
【0054】
−第2実施形態−
次に、第2実施形態について説明する。なお、以下では前記第1実施形態との相違点についてのみ説明する(第3実施形態についても同じ)。
【0055】
第2実施形態は、図7に示すように、第1実施形態のものに加えて、高温領域でも更新時間Inを変化させる。図示したものでは、検知温度Dが高温になるに伴い、一度、更新時間Inを短くして、表示パネル11の表示応答時間の特性カーブに近づけるようにする。その後、更新時間Inを段階的に長くし、最終的には一定とする。この高温領域における更新時間Inの変化についても、制御部4が参照部5に格納された更新時間テーブルを参照することにより行う。
【0056】
図示した表示パネル11の表示応答時間の特性カーブから理解できるように、表示応答時間は、検知温度Dが高温になるに伴い短くなる。よって、この実施形態のように、高温領域で更新時間Inを多少長目に設定しても、表示が見にくくなることはない。しかも、更新時間Inが長い方が制御部4にかかる負荷(より具体的には制御部4におけるCPU負荷)を小さくできるため、本実施形態は、高温領域で消費電力を小さくできるという利点がある。
【0057】
−第3実施形態−
第3実施形態は、図8に示すように、前記の温度差ΔDを、検知温度Dが−10℃以下の場合に、検知温度Dがより低い場合をより小さくしたものである。つまり、低温領域を複数の温度範囲で区分し、その区分が、温度範囲の幅が低温側ほど狭いものとされている。
【0058】
図示のものでは、検知温度Dの高温側からΔD3>ΔD4>ΔD5となっており、低温側に向かうにつれ温度差ΔDがより小さくなっていく。図示した表示パネル11の表示応答時間の特性カーブから理解できるように、この表示応答時間は、検知温度Dが低温になるに伴いより長くなる。よって、この実施形態のように、温度差を、低温になるに伴い小さくすることにより、表示応答時間の特性カーブに対してより近づけることができる。
【0059】
以上、本発明につき三つの実施形態を取り上げて説明してきたが、本発明に係る液晶表示装置の具体的構成については、前記の各実施形態に限られるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 液晶表示部
3 温度検知部
4 制御部
D 検知温度
In 更新時間
ΔD 温度差

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示部と、
前記液晶表示部の周囲温度を検知する温度検知部と、
前記液晶表示部の表示を更新させる制御部とを備えた液晶表示装置であって、
所定温度よりも低い低温領域を複数の温度範囲で区分すると共に、低温側ほど長くなるよう、区分毎に前記液晶表示部の表示の更新時間を設定し、
前記制御部は、前記温度検知部による検知温度が属する区分に対応した更新時間に基づいて前記液晶表示部の表示を更新させることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記低温領域における前記液晶表示部の表示の更新時間は、各区分での温度範囲の幅に対する更新時間の変化率が低温側ほど大きくなるよう設定されることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記区分は、温度範囲の幅が低温側ほど狭くなっていることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−208368(P2012−208368A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74718(P2011−74718)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】