液晶表示装置
【課題】信号配線と配向膜ストッパとの間における電界の発生を抑制することが可能な技術を提供することである。
【解決手段】
表示領域よりも外側の領域に形成され、少なくとも表示領域の2つの異なる辺に沿って形成される配向膜ストッパを有し、該配向膜ストッパは液状の配向膜材料に対して疎水性を有する薄膜材料からなり、配向膜ストッパの塗布時において、第1基板側の最上層に形成される第2の導電体層SPと、絶縁膜を介して第2の導電体層SPの下層に配置され、第2の導電体層SP側から平面的に見て、第2の導電体層SPの長手方向の辺縁部が露出するように配置される第1の導電体層SHとからなり、第1の導電体層SHが表示領域の辺部に配置される信号線と第2の導電体層SPとの間の薄膜層に形成されてなる液晶表示装置である。
【解決手段】
表示領域よりも外側の領域に形成され、少なくとも表示領域の2つの異なる辺に沿って形成される配向膜ストッパを有し、該配向膜ストッパは液状の配向膜材料に対して疎水性を有する薄膜材料からなり、配向膜ストッパの塗布時において、第1基板側の最上層に形成される第2の導電体層SPと、絶縁膜を介して第2の導電体層SPの下層に配置され、第2の導電体層SP側から平面的に見て、第2の導電体層SPの長手方向の辺縁部が露出するように配置される第1の導電体層SHとからなり、第1の導電体層SHが表示領域の辺部に配置される信号線と第2の導電体層SPとの間の薄膜層に形成されてなる液晶表示装置である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に係わり、特に、配向膜の塗布領域の制御に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は液晶を挟持する一対の透明基板を外囲器とし、液晶は一対の透明基板の固定を兼ねるシール材によって封入されている。このシール材によって囲まれた領域は、液晶を1つの構成要素とする画素がマトリックス状に配置されて有効表示領域(単に、表示領域ともいう)を構成するようになっている。各画素は、それぞれ薄膜トランジスタを備え、アクティブ・マトリックス駆動方式によって独立に駆動され、有効表示領域に画像を表示できるようになっている。
【0003】
そして、このように構成される液晶表示装置には、一対の透明基板のそれぞれにおいて、液晶と直接に接触する面に配向膜が形成されている。この配向膜は、液晶の分子を一定方向(初期配向方向)に規定するための膜で、塗布によって形成した樹脂膜に配向処理をすることによって形成される。この場合、配向膜は、その周辺端においてシール材との間に一定の距離を保持するようにして形成することが要求される。配向膜がシール材の形成領域にまで及んで形成されてしまった場合に、シール材としてのシール機能の信頼性が低下してしまうからである。
【0004】
一方、携帯電話機等の携帯情報端末等に組み込まれる液晶表示装置は、小さい外形サイズで表示領域をできるだけ大きくする(いわゆる額縁を小さくする)ことが要求され、シール材と配向膜との離間距離を充分に大きくできない事情がある。それ故、シール材と配向膜との間の領域に、該配向膜を囲むようにした線状のたとえばITO(Indium Tin Oxide)からなる透明導電膜層を設けた構成のものが知られている。この透明導電膜層は、ストッパとして機能し(以下、配向膜ストッパと称する場合がある)、配向膜形成の際において、硬化前の樹脂膜のシール材の形成領域に及ぶ流動を阻止するようになっている。ここで、配向膜ストッパが透明導電膜で形成されているのは、配向膜ストッパが透明電極からなる画素電極と同層で形成され、該配向膜ストッパを画素電極の形成と同時に形成できるからである。このような構成からなる液晶表示装置として、例えば、特許文献1に記載の液晶表示装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−8444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、導電性の薄膜を用いた配向膜ストッパでは、高温高湿環境下の水分と、配向膜ストッパとの間に生じる電界により、配向膜ストッパと交差する信号配線が酸化または溶解してしまうという問題があった。また、この信号配線の酸化または溶解により、所望の走査信号や映像信号が得られないという問題もあった。
【0007】
本発明はこれらの問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、信号配線と配向膜ストッパとの間における電界を抑制することが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)前記課題を解決すべく、本発明の液晶表示装置は、X方向に延在しY方向に並設される走査信号線と、Y方向に延在しX方向に並設される映像信号線とが形成される第1基板と、液晶層を介して前記第1基板と対向配置される第2基板とを有し、前記走査信号線と前記映像信号線で囲まれる領域を画素の領域とし、前記画素がマトリクス状に配置される領域を表示領域とし、前記第2基板の辺縁部に沿って形成されるシール材により、前記第1基板と前記第2基板とが固定されると共に、前記液晶層が封止され、前記第1基板は前記第2基板よりも大きく形成され、前記第2基板より露出される領域に接続端子部が形成される液晶表示装置であって、前記表示領域よりも外側の領域に形成され、少なくとも前記表示領域の2つの異なる辺に沿って形成される配向膜ストッパを有し、前記配向膜ストッパは液状の配向膜材料に対して疎水性を有する薄膜材料からなり、前記配向膜ストッパの塗布時において、前記第1基板側の最上層に形成される第2の導電体層SPと、絶縁膜を介して前記第2の導電体層SPの下層に配置され、前記第2の導電体層SP側から平面的に見て前記第2の導電体層SPの長手方向の辺縁部が露出するように配置される第1の導電体層SHとからなり、前記第1の導電体層SHが前記表示領域の辺部に配置される信号線と前記第2の導電体層SPとの間の薄膜層に形成されてなる液晶表示装置である。
【0009】
(2)前記課題を解決すべく、本発明の液晶表示装置は、X方向に延在しY方向に並設される走査信号線と、Y方向に延在しX方向に並設される映像信号線とが形成される第1基板と、液晶層を介して前記第1基板と対向配置される第2基板とを有し、前記走査信号線と前記映像信号線で囲まれる領域を画素の領域とし、前記画素がマトリクス状に配置される領域を表示領域とし、前記第2基板の辺縁部に沿って形成されるシール材により、前記第1基板と前記第2基板とが固定されると共に、前記液晶層が封止され、前記第1基板は前記第2基板よりも大きく形成され、前記第2基板より露出される領域に接続端子部が形成される液晶表示装置であって、前記表示領域の辺部に形成されると共に、前記画素の形成と同じ工程で形成される薄膜トランジスタにより形成され、前記走査信号又は/及び前記映像信号を生成する駆動回路と、前記接続端子部と前記駆動回路とを電気的に接続する制御信号線とを備え、前記駆動回路の形成領域において複数の前記薄膜トランジスタとの間の領域に形成され、前記制御信号線の形成領域に至る溝部が形成され、前記溝部が屈曲して前記制御信号線に至る屈曲領域を有すると共に、前記屈曲領域よりも前記表示領域に近い領域に形成され、当該溝部の底面部が前記液晶面側に突出する凸状領域を有する液晶表示装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、液晶表示装置の有効表示領域の周辺部に形成される信号配線と配向膜ストッパとの間に生じる電界を抑制することができる。
【0011】
本発明のその他の効果については、明細書全体の記載から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態1の液晶表示装置の全体構成を説明するための平面図である。
【図2】本発明の実施形態1の液晶表示装置における配向膜ストッパの詳細構成を説明するための拡大図である。
【図3】図2に示すC−C’線での断面図である。
【図4】本発明の実施形態1の液晶表示装置における配向膜せき止め領域の拡大図である。
【図5】本発明の実施形態1の液晶表示装置における第1の導電体層と第2の導電体層とを電気的に接続するコンタクトホール部分の構成を説明するための平面図である。
【図6】図5に示すE−E’線での断面図である。
【図7】本発明の実施形態1の液晶表示装置における配向膜と配向膜ストッパとシール材との位置関係を説明するための図である。
【図8】本発明の実施形態2の液晶表示装置における配向膜ストッパの概略構成を説明するための平面図である。
【図9】図8に示すF−F’線での断面図である。
【図10】本発明の実施形態3の液晶表示装置における配向膜ストッパの形状を説明するための図である。
【図11】本発明の実施形態4の液晶表示装置における配向膜ストッパの形状を説明するための図である。
【図12】本発明の実施形態5の液晶表示装置における配向膜ストッパの形状を説明するための図である。
【図13】本発明の実施形態6の液晶表示装置の概略構成を説明するための図である。
【図14】図13に示すG部の拡大図である。
【図15】図14に示すH部の拡大図である。
【図16】図15に示すI−I’線での断面図である。
【図17】本発明の実施形態7の液晶表示装置における周辺部の拡大図である。
【図18】従来の液晶表示装置における周辺部の拡大図である。
【図19】図18に示すJ−J’線での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明は省略する。
【0014】
〈実施形態1〉
図1は本発明の実施形態1の液晶表示装置の全体構成を説明するための平面図であり、以下、図1に基づいて、実施形態1の液晶表示装置の全体構成を説明する。ただし、図1において、X,Y,ZはX軸、Y軸、Z軸を示す。
【0015】
実施形態1の液晶表示装置は、画素電極PXや薄膜トランジスタTFT等が形成される第1基板SUB1と、第1基板SUB1に対向して配置されカラーフィルタ等が形成される第2基板SUB2と、第1基板SUB1と第2基板SUB2とで挟持される液晶層とで構成される液晶表示パネルPNLを有する。また、液晶表示パネルPNLと光源となる図示しないバックライトユニット(バックライト装置)とを組み合わせることにより、液晶表示装置が構成されている。第1基板SUB1と第2基板SUB2との固定及び液晶の封止は、第2基板の周辺部に環状に塗布されたシール材で固定され、液晶も封止される構成となっている。ただし、実施形態1の液晶表示装置では、液晶が封入された領域の内で表示画素(以下、画素と略記する)の形成される領域が表示領域ARとなる。従って、液晶が封入されている領域内であっても、画素が形成されておらず表示に係わらない領域は表示領域ARとはならない。すなわち、実施形態1の液晶表示装置では、シール材と表示領域ARとの間の領域に、環状に形成された配向膜ストッパWSが形成される構成となっている。この構成により、第1基板SUB1の液晶面側に配向膜材料を塗布する際に、シール材の塗布領域に配向膜が形成されてしまうことを防止する構成となっている。なお、配向膜ストッパWSについては、後に詳述する。
【0016】
また、第2基板SUB2は第1基板SUB1よりも小さな面積となっており、第1基板SUB1の図中下側の辺部を露出させるようになっている。この第1基板SUB1の辺部には、例えば半導体チップで構成され、表示領域ARに配置される各画素を駆動する駆動回路が搭載されると共に、駆動回路に制御信号を入力する接続端子部TMが形成されている。なお、以下の説明では、液晶表示パネルPNLの説明においても、液晶表示装置と記すことがある。また、第1基板SUB1及び第2基板SUB2としては、例えば周知のガラス基板が基材として用いられるのが一般的であるが、樹脂性の透明絶縁基板であってもよい。
【0017】
実施形態1の液晶表示装置では、第1基板SUB1の液晶側の面であって表示領域AR内には、図1中X方向に延在しY方向に並設され、駆動回路からの走査信号が供給される走査信号線(ゲート線)GLが形成されている。また、図1中Y方向に延在しX方向に並設され、駆動回路からの映像信号(階調信号)が供給される映像信号線(ドレイン線)DLが形成されている。隣接する2本のドレイン線DLと隣接する2本のゲート線GLとで囲まれる領域が画素を構成し、複数の画素が、ドレイン線DL及びゲート線GLに沿って、表示領域AR内においてマトリックス状に配置されている。
【0018】
各画素は、例えば、図1中丸印Aの等価回路図A’に示すように、ゲート線GLからの走査信号によってオン/オフ駆動される薄膜トランジスタTFTと、このオンされた薄膜トランジスタTFTを介してドレイン線DLからの映像信号が供給される画素電極PXと、コモン線CLを介して映像信号の電位に対して基準となる電位を有する共通信号が供給される共通電極CTとを備えている。図1中丸印Aの等価回路図A’においては、画素電極PX及び共通電極CTを模式的に線状に記しているが、後に後述するように、実施形態1の画素電極PXは画素毎に形成される平板状の透明電極からなる。また、共通電極CTは、少なくとも表示領域AR内に形成される平板状の透明電極と、該透明電極に形成されるスリットとからなる。なお、実施形態1の薄膜トランジスタTFTは、そのバイアスの印加によってドレイン電極とソース電極が入れ替わるように駆動するが、本明細書中においては、便宜上、ドレイン線DLと接続される側をドレイン電極、画素電極PXと接続される側をソース電極と記す。
【0019】
画素電極PXと共通電極CTとの間には、第1基板SUB1の主面に平行な成分を有する電界が生じ、この電界によって液晶の分子を駆動させるようになっている。このような液晶表示装置は、いわゆる広視野角表示ができるものとして知られ、液晶への電界の印加の特異性から横電界方式やIPS(In-Plane Switching)方式と称される。また、実施形態1の液晶表示装置においては、液晶に電界が印加されていない場合に光透過率を最小(黒表示)とし、電界を印加することにより光透過率を向上させていくノーマリブラック表示形態で表示を行うようになっている。
【0020】
各ドレイン線DL及び各ゲート線GLはその端部が表示領域ARを越えてそれぞれ延在され、駆動回路に接続されている。また、駆動回路は外部システムから接続端子部TMを介して入力される制御信号に基づいて、映像信号や走査信号等の駆動信号を生成する。なお、実施形態1の液晶表示装置では、駆動回路を半導体チップで形成し第1基板SUB1に搭載する構成としているが、映像信号を出力する映像信号駆動回路と走査信号を出力する走査信号駆動回路との何れか一方又はその両方の駆動回路を接続端子部TMに接続されるフレキシブルプリント基板にテープキャリア方式やCOF(Chip On Film)方式で搭載し、第1基板SUB1に接続させる構成であってもよい。
【0021】
〈配向膜ストッパの詳細構成〉
次に、図2に本発明の実施形態1の液晶表示装置における配向膜ストッパの詳細構成を説明するための拡大図、図3に図2に示すC−C’線での断面図を示し、以下、図2及び図3に基づいて実施形態1の配向膜ストッパWSの詳細構成を説明する。ただし、図2は図1に示すB部すなわち実施形態1の液晶表示装置の長手方向の辺部の拡大図である。
【0022】
図2に示すように、表示領域AR側にはX方向に延在するゲート線GLと重畳する領域には、アモルファスシリコン等からなる半導体層ASが重畳して形成されている。このとき、図3に示すように、ゲート線GLの上層に形成される絶縁膜PAS1を介して半導体層ASが重畳される構成となっており、この重畳領域では絶縁膜PAS1がゲート絶縁膜として機能する構成となっている。半導体層ASの一端側はドレイン線DLと重畳されてドレイン電極DTを形成し、他端側はソース電極STとなる金属薄膜と重畳され、薄膜トランジスタTFTが形成されている。すなわち、図3に示すように、半導体層ASの一端側の上面にドレイン線DLが重畳して配置されてドレイン電極DTを形成し、半導体層ASの他端側の上面に金属薄膜が重畳して形成され、ソース電極STが形成されている。該ソース電極STから延在される延在部は、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)等の透明導電膜からなり、画素領域毎に形成される平板状の画素電極PXと電気的に接続されている。従って、画素電極PXにはゲート線GLに入力される走査信号に同期して、ドレイン線DLに出力される映像信号が供給される。また、図2及び図3から明らかなように、画素電極PXの上層には絶縁膜PAS2を介してITO等の透明導電膜からなる共通電極CTが形成されている。このとき共通電極CTは画素領域AR内に平状に形成され、画素電極PXと重畳する領域にスリットSLTが形成され、画素電極PXと重畳する線状の共通電極CTを形成している。
【0023】
また、図2に示すように、額縁領域と称される表示領域ARよりも外側の領域である周辺部PRにはゲート線GLが伸延される構成となっており、この表示領域ARと図示しないシール材の塗布領域との間に、3本の配向膜ストッパWS1〜WS3からなる配向膜せき止め部WSが形成されている。この実施形態1の配向膜ストッパWS1〜WS3は、図3に示すように、ゲート線GLの上層すなわち液晶面側に形成される第1の導電体層SHと、該第1の導電体層SHの上層すなわち液晶面側に形成される第2の導電体層SPとから形成されている。この実施形態1の第2の導電体層SPは、従来の配向膜ストッパと同様に、配向膜材料に対して濡れ性が悪い(疎水性が大きく、接触が高い)材料であるITO等の透明導電膜材料を用いて形成されている。さらには、第2の導電体層SPは第1基板SUB1の表面を覆いようにして形成される絶縁膜PAS2の表面に形成されている。このとき、第2の導電体層SPを形成する透明導電膜の水に対する表面張力をγsp、絶縁膜PAS2の水に対する表面張力をγPAS2とした場合、表面張力γspと表面張力をγPAS2とは異なることとなる。また、第2の導電体層SPはITOからなる透明導電膜材料に限定されることはなく、酸化亜鉛系のAZO(Aluminum doped Zinc Oxide)やGZO(Gallium doped Zinc Oxide)等の他の酸化物導電体材料で形成してもよい。
【0024】
すなわち、実施形態1の配向膜ストッパWS1〜WS3は、第1基板SUB1の最上層に形成され、共通電極CTとなる透明導電膜と同じ工程で形成される第2の導電体層SPと、該第2の導電体層SPの下層側である第1基板SUB1の側に形成され、ドレイン線DL及びソース電極STと同じ工程で形成される第1の導電体層SHとで形成されている。このとき、前述するように、実施形態1の薄膜トランジスタTFTでは、絶縁膜PAS1の下層すなわち絶縁膜PAS1よりも第1基板SUB1に近い層にゲート線GLが形成される構成となっている。従って、図3に示すように、ゲート線GLと第1の導電体層SHとが交差する領域においては、絶縁膜PAS1を介してゲート線GLと第1の導電体層SHとは重畳配置される、すなわち第2の導電体層SPとゲート線GLとの間の層に第1の導電体層SHが形成される構成となっている。なお、実施形態1の第1の導電体層SHは周辺部において図示しない信号線と接続され、所定の電圧に保持される構成となっている。
【0025】
また、図3に示すように、矢印Wで示す配向膜せき止め領域においては、配向膜ストッパWS1〜WS3のそれぞれにおいて、第1の導電体層SHの配線幅よりも第2の導電体層SPの配線幅が小さく形成されている。すなわち、実施形態1の液晶表示装置の表示面側から見て、配向膜ストッパWS1〜WS3の並設方向に対して、平面的に第1の導電体層SHの辺縁部が第2の導電体層SPの辺縁部を超えて延在しない構成となっている。例えば、第1の導電体層SHの一端から第2の導電体層SPの一端までのX方向間隔をL1、第1の導電体層SHの他端から第2の導電体層SPの他端までのX方向間隔をL2とした場合、間隔L1>0かつ間隔L2>0を満たす構成となっている。この構成により、周囲への電界漏れを防ぐことができ、電界一定の効果をより高めることを可能としている。
【0026】
〈配向膜ストッパの電位〉
次に、図4に本発明の実施形態1の液晶表示装置における配向膜せき止め領域の拡大図を示し、以下、図4に基づいて、第1の導電体層SHによる第2の導電体層SPの腐食防止効果について説明する。ただし、図4は図3に示す配向膜せき止め領域の拡大図であり、図4中に示すV1〜V3は各導電膜に印加される電圧を示す。
【0027】
第1基板SUB1の表面に露出して形成される第2の導電体層SPのみが形成され、該第2の導電体層SPと、配向膜ストッパWSの下層に形成される信号線であるゲート線GLとが絶縁膜を介して配置される従来の構成では、この絶縁体にクラックや膜欠損がある場合、この領域では第2の導電体層SPと液晶と信号線(ゲート線GL)がこの順番で配置されることとなる。特に、高温高湿環境下において、パネル内に水分が浸入した場合には、第2の導電体層SPと液晶+水とゲート線GLの順番となる。このために、配向膜ストッパWSを形成する第2の導電体層SPを固定電位にした場合であっても、ゲート線GLの電位は一定電位ではないため、第2の導電体層SPとゲート線GLとの間の電界は一定とはならない。特に、第2の導電体層SPの電位が負、ゲート線GLの電位が正の時、侵入した水分の介在により、ゲート線GLはアノード溶解により断線してしまった場合、線欠陥や非点灯等の表示異常が生じてしまうこととなる。
【0028】
これに対して、実施形態1の配向膜ストッパWS1〜WS3では、後に詳述するように、第1の導電体層SHと第2の導電体層SPとが絶縁膜PAS2に形成される図示しないコンタクトホールを介して電気的に接続されている。すなわち、実施形態1の配向膜ストッパWS1〜WS3においては、第1の導電体層SHの電圧V2と第2の導電体層SPの電圧V3とが同じ電圧となっている。さらには、第1の導電体層SHの配線幅よりも第2の導電体層SPの配線幅が小さく形成される構成となっている。従って、配向膜ストッパWS1〜WS3がゲート線GLと交差する領域においては、ゲート線GLと第1の導電体層SHとの間に生じる電界をE1、ゲート線GLと第2の導電体層SPとの間に生じる電界をE2とした場合、電界E1が大きくなり、電界E2を非常に小さくする(抑制する)ことが可能となる。その結果、高温高湿下で実施形態1の液晶表示装置を使用した場合であっても、液晶層LCの水分やシール材部分から侵入した水分と、第2の導電体層SPとゲート線GLとの間の電界E2とによって、ゲート線GLの酸化や溶解等の腐食を防止することが可能となる。よって、実施形態1の液晶表示装置の信頼性を向上させることができる。さらには、実施形態1の液晶表示装置の製造時における配向膜の伸延によるシール不良の発生も抑制できるので、歩留まりを向上できるという効果も得られる。
【0029】
このとき、第1の導電体層SHは無機絶縁膜材料で形成される絶縁膜PAS1と絶縁膜PAS2とで覆われ、保護される構成となっている。この構成により、ゲート線GLとの間に比較的大きな電界E1が生じた場合であっても、電界E1の印加に伴う第1の導電体層SHの腐食も防止できる。
【0030】
〈第1の導電体層と第2の導電体層との接続〉
図5は本発明の実施形態1の液晶表示装置における第1の導電体層と第2の導電体層とを電気的に接続するコンタクトホール部分の構成を説明するための平面図、図6は図5に示すE−E’線での断面図である。特に、図5は図1に示すD部の拡大図である。ただし、図5に示す接続端子部TMが形成される側の辺部には、駆動回路も搭載され、該駆動回路と表示領域AR内のドレイン線DLとが電気的に接続される構成となっている。従って、実施形態1の構成では、ゲート線GLと同層に形成される図示しない信号線を介して、駆動回路とドレイン線DLとを電気的に接続する構成となっている。このような構成とすることにより、実施形態1の液晶表示装置では、ドレイン線DLと同層に形成される第1の導電体層SHと、共通電極CTと同層に形成される第2の導電体層SPとによって形成される配向膜ストッパWS1〜WS3を表示領域ARの周囲に環状に形成することを可能としている。
【0031】
図5に示すように、実施形態1の液晶表示装置の短手方向の辺部では、配向膜ストッパWS1〜WS3はX方向に延在し、Y方向に並設される構成となっているので、第1の導電体層SH及び第2の導電体層SPの途中にそれぞれ線幅が大きい領域が形成され、この領域の絶縁膜PAS2にコンタクトホールCHが形成されている。この構成により、図6に示すように、第1の導電体層SHと第2の導電体層SPとを電気的に接続し、第1の導電体層SHの電圧V2と第2の導電体層SPの電圧V3とを同じ電圧に保持する構成としている。このとき、第1の導電体層SHには駆動回路または接続端子部TMから固定電圧V2が供給されている。なお、コンタクトホールCHの形成部分では線幅を大きくする構成としたが、他の部分と同じ線幅で形成してもよい。
【0032】
また、実施形態1においては、配向膜ストッパWSの下層に形成される信号線であるゲート線GLはアルミニウム等の金属薄膜からなる。このために、ゲート線GLの電圧V1と第1の導電体層SHの電圧V2(第2の導電体層SPの電圧V3)によっては、アノード溶解によるゲート線GLの腐食等の可能性もあるが、第1の導電体層SHの電圧V2すなわち第2の導電体層SPの電圧V3をゲート線GLの電圧V1以上とすることにより、アノード溶解に伴うゲート線GLの腐食を防止できる。さらには、このような電圧とする宇ことにより、ITO等の透明導電膜からなる第2の導電体層SPがカソードになることに起因する当該第2の導電体層SP自身の還元作用による腐食も抑制できる。
【0033】
さらには、実施形態1の液晶表示装置では、第1の導電体層SHと第2の導電体層SPとをコンタクトホールCHを介して電気的に接続し、第1の導電体層SHと第2の導電体層SPとを同一の電圧に保持する構成としたが、これに限定されることはない。例えば、第1の導電体層SHに印加する電圧V2と、第2の導電体層SPに印加される電圧V3とを異なる電圧とし、電圧V3≧電圧V2とする構成であってもよい。この場合には、第1の導電体層SHと第2の導電体層SPには、それぞれ駆動回路または接続端子部TMから固定電圧V1,V2を供給することにより可能である。
【0034】
図7は本発明の実施形態1の液晶表示装置における配向膜と配向膜ストッパとシール材との位置関係を説明するための図であり、この図7から明らかなように、表示領域ARの辺縁部及びシール材SLの塗布位置から所定距離だけ離間した位置に形成される配向膜ストッパSWにより配向膜ORIがせき止められている。その結果、配向膜ORIは表示領域ARを覆うようにして形成されると共に、該配向膜ORIの周縁部は配向膜ストッパSWと表示領域の周縁部との間の領域に制限される。すなわち、シール材SLが塗布される第2基板SUB2の辺部に配向膜ORIが及んで形成さてしまうことを防止できるので、シール材SLの密封性能を向上させることが可能となり、液晶表示装置の信頼性を向上させることができる。さらには、配向膜ストッパWSにより表示領域ARとシール材SLとの距離を小さくできるので、周辺部の幅を小さくすることが可能となり、さらなる挟額縁化を達成することが可能となる。なお、実施形態1の配向膜ストッパWS1〜WS3では、接続端子部TM側の辺部にのみコンタクトホールCHを形成する構成としたが、短手方向側の2つの辺部のそれぞれにコンタクトホールCHを形成し、第1の導電体層SHと第2の導電体層SPとを電気的に接続する構成としてもよい。
【0035】
以上説明したように、実施形態1の液晶表示装置では、表示領域ARの外周を環状に囲むようにして、透明導電膜で形成される共通電極CTと同層に形成される第2の導電体層SPを配置すると共に、該第2の導電体層SPが形成される絶縁膜PAS2の下層に、第2の導電体層SPよりも線幅が広い第1の導電体層SHを形成すると共に、平面的に見て第1の導電体層SHと第2の導電体層SPとが重畳するように配置して配向膜ストッパWS1〜WS3を構成している。この構成により、配向膜ストッパWS1〜WS3とその下層に形成される信号線とが交差する領域においては、絶縁膜で保護される第1の導電体層SHと信号線との間には大きな電界E1が生じることとなるが、基板表面から露出されることとなる第2の導電体層SPと信号との間の電界E2は大幅に抑制することが可能となる。従って、高温高湿下での使用であっても第2の導電体層SPと信号線との間の電界E2に伴う当該信号線の腐食を防止することができ、液晶表示装置の信頼性を向上することができる。
【0036】
なお、実施形態1の液晶表示装置では、表示領域ARを囲むようにして3本の配向膜ストッパWS1〜WS3を用いて配向膜ストッパWSを形成する構成としたが、配向膜ストッパは3本に限定されることはなく、1本以上を形成する構成であってもよい。
【0037】
また、実施形態1の液晶表示装置では、画素電極PXよりも共通電極CTが液晶層LCに近い側に形成される場合について説明したが、共通電極CTよりも画素電極PXが液晶層LCに近い側に形成される構成であってもよい。この場合には、画素電極PXを構成する透明導電膜と同一の工程で、配向膜ストッパWS1〜WS3を形成する導電体を形成することにより、工程を増やすことなく、実施形態1の配向膜ストッパWS1〜WS3を形成することが可能となる。
【0038】
また、実施形態1の構成は、第2基板SUB2の液晶面側にシール材を環状に塗布した後に、このシール材の塗布領域内に液晶を滴下し、その上面側から第1基板SUB1を貼り合わせるODF(One Drop Fill)と称される液晶封入方式に最適な構成であるが、他の液晶封入方式にも適用可能である。
【0039】
さらには、実施形態1の第1の導電体層SH及び第2の導電体層SPに印加する電圧V1,V2は、ゲート線GLと同層のクロック信号であってもよい。このようなクロック電圧を第1の導電体層SH及び第2の導電体層SPに印加することにより、配向膜ストッパWS1〜WS3とゲート線GLとの間に生じる寄生容量に起因する配向膜ストッパWS1〜WS3とゲート線GLとの間の充放電電流を抑制することが可能となり、ゲート信号の遅れを防止できるという効果を得ることが可能となると共に、実施形態1の液晶表示装置における消費電力を低減できるという効果も得られる。ただし、ゲート線GLの電圧をV1とした場合、V1≠V2かつV1≠V3である。また、ドレイン線DLの電圧をV4とした場合もV4≠V2かつV4≠V3であることが好適であるが、ドレイン線DLには液晶層LCを駆動する映像信号が入力される構成となるので、V4≠V2かつV4≠V3に限定されない。
【0040】
〈実施形態2〉
図8は本発明の実施形態2の液晶表示装置における配向膜ストッパの概略構成を説明するための平面図、図9は図8に示すF−F’線での断面図であり、以下、図8及び図9に基づいて、実施形態2の液晶表示装置を説明する。ただし、実施形態2の液晶表示装置は、配向膜ストッパWS1〜WS3を形成する第1の導電体層SHの構成を除く他の構成は実施形態1と同様の構成となる。従って、以下の説明では、配向膜ストッパWS1〜WS3の構成について詳細に説明する。
【0041】
図8に示すように、実施形態2の配向膜ストッパWSを形成する配向膜ストッパWS1〜WS3も実施形態1と同様に、表示領域ARの周辺部PRに形成されている。このとき、図9に示すように、絶縁膜PAS2の液晶面側に形成される3本の第2の導電体層SPの全てが、1本の第1の導電体層SHと、平面的に見て、重畳して配置される構成となっている。すなわち、実施形態2の構成では、図中に矢印Wで示す配向膜ストッパSWの領域とほぼ同等の配線幅を有する第1の導電体層SHの上層に、絶縁膜PAS2を介して3本の第2の導電体層SPが形成される構成となっている。
【0042】
このとき、実施形態1と同様に、第1の導電体層SHの配線幅を超えた領域には第2の導電体層SPが配置されない、すなわち平面的に見て第1の導電体層SHの辺縁部から第2の導電体層SPが突出しない構成となっている。特に、3本の配向膜ストッパWS1〜WS3の内で、最も表示領域ARに近い位置の配向膜ストッパWS1を形成する第2の導電体層SPの表示領域AR側の辺縁部と、第1の導電体層SHの表示領域AR側の辺縁部との平面的な距離をL3、最も第1基板SUB1の基板端(辺縁部)SEDに近い位置の配向膜ストッパWS3を形成する第2の導電体層SPの基板端SED側の辺縁部と、第1の導電体層SHの基板端SEDとの平面的な距離をL4とした場合、L3>0かつL4>0を満たす構成となっている。
【0043】
このような構成とすることにより、実施形態2の液晶表示装置においても、配向膜ストッパWS1〜WS3とゲート線GLとが交差する領域では、実施形態1と同様に、第1の導電体層SHとゲート線GLとの間の電界E1を大きくでき、第2の導電体層SPとゲート線GLとの間の電界E2を抑制することができる。すなわち、第2の導電体層SPとゲート線との間の電界E2を、第2の導電体層SPとゲート線GLとの間の領域に設けた第1の導電体層SHで遮蔽することが可能となるので、実施形態1と同様の効果を得ることが可能となる。さらには、配向膜ストッパWS1,WS3を形成する第2の導電体層SPとの間の領域では、第2の導電体層SPが全面に形成される構成となっているので、第1の導電体層SHとゲート線との間の電界E1の遮蔽効果を向上できるという格別の効果を得ることができる。
【0044】
〈実施形態3〉
図10は本発明の実施形態3の液晶表示装置における配向膜ストッパの形状を説明するための図であり、以下、図10に基づいて、実施形態3の液晶表示装置について説明する。ただし、実施形態3の液晶表示装置は、液晶の封入方式及び配向膜ストッパWSの外形形状を除く他の構成は実施形態1と同様の構成である。従って、以下の説明では、配向膜ストッパWSの外形形状について詳細に説明する。
【0045】
実施形態3の液晶表示装置は、第1基板SUB1と第2基板SUB2との固定(固着)は第2基板SUB2の周辺部に沿って塗布されたシール材SLによってなされると共に、第1基板SUB1と第2基板SUB2とで挟持される液晶の封止は、シール材SLと該シール材SLの開口部を塞ぐ封止材SMとによってなされる構成となっている。
【0046】
この構成では、第1基板SUB1と第2基板SUB2とをそれぞれ形成した後に、第2基板の周辺部に環状に塗布されたシール材SLで第1基板SUB1と第2基板SUB2とを固定する。このとき、実施形態1の液晶表示装置では、図中の上端中央部に形成されるシール材SLの開口部が液晶の封入口となっており、この開口部から液晶を封入した後に、封止材SMによりシール材SLの開口部を塞ぐ構成となっている。
【0047】
この実施形態3の液晶表示装置では、表示領域ARの周辺部の内で、封止材SMが塗布される領域ではシール材SLが除去されているので、液晶がシール材SLと重なる(オーバーラップ)することがない。従って、シール材SLが塗布されない(除去される)領域には配向膜ストッパWS1〜WS3を配置する必要がない。従って、実施形態3の構成においては、シール材SLの塗布されない領域すなわち封止材SMが塗布される領域では、配向膜ストッパWS1〜WS3を形成しない構成となっている。また、シール部SLの開口部に配向膜ストッパWSを形成しない構成とすることにより、液晶の封入時に配向膜ストッパWSにより液晶の封入が妨げられてしまうことを防止できるという効果も得られる。
【0048】
このとき、シール材SLが塗布される領域では、実施形態1と同様に、配向膜ストッパWS1〜WS3が形成される構成となっており、配向膜ストッパWS1〜WS3を形成する第1の導電体層SHとゲート線GLとの間の電界E1を大きくでき、第2の導電体層SPとゲート線GLとの間の電界E2を非常に小さくすることができるので、実施形態1と同様の効果を得ることが可能となる。なお、実施形態3の液晶表示装置に実施形態2の配向膜ストッパWS1〜WS3を形成する構成であってもよく、この場合には実施形成2と同様の効果を得られる。
【0049】
〈実施形態4〉
図11は本発明の実施形態4の液晶表示装置における配向膜ストッパの外形形状を説明するための図であり、以下、図11に基づいて、実施形態4の液晶表示装置について説明する。ただし、実施形態4の液晶表示装置は、配向膜ストッパWSの外形形状及びドレイン線DLと駆動回路とを接続する信号線を除く他の構成は実施形態1と同様の構成である。従って、以下の説明では、配向膜ストッパWSの外形形状について詳細に説明する。
【0050】
図11から明らかなように、矩形状をなす液晶表示装置の4辺の内で、駆動回路や接続端子部TMが形成される辺部であり、表示領域ARの辺縁部から第2基板SUB2の辺縁部(基板端)までの距離が長い辺部には、配向膜ストッパWS1〜WS3からなる配向膜ストッパWSが形成されない構成となっている。すなわち、表示領域ARの4辺の内で、図11中下側の辺を除く他の3辺を囲むようにして、配向膜ストッパWSがC字状に形成される構成である。この構成は、例えば、実施形態4の液晶表示装置では、Y方向(長手方向)に伸延する辺における表示領域ARの辺縁部から第1基板SUB1及び第2基板SUB2の辺縁部までの間隔をD1、X方向(短手方向)に伸延する辺における表示領域ARの辺縁部から第2基板SUB2の辺縁部までの距離をD2とした場合、D2>D1となる辺に適用可能である。
【0051】
D2>D1を満たす辺すなわち図中の上側辺及び左右の辺では、表示領域ARの辺縁部から第1基板SUB1及び第2基板SUB2の辺縁部までの距離が小さくなるので、第2基板SUB2の辺部に沿って環状に形成されるシール材から表示領域ARの辺縁部までの距離も小さくなる。これに対して、図中の下側辺では、表示領域ARの辺縁部から第2基板SUB2の辺縁部までの距離D2が大きいので、第2基板SUB2の辺部に沿って塗布されるシール材から表示領域ARの辺縁部までの距離も大きくなる。その結果、実施形態4では、表示領域ARと第2基板SUB2の辺縁部との間の領域に配向膜ストッパWS1〜WS3を設けない構成であっても、表示領域ARを覆うようにして塗布した配向膜材料が第2基板SUB2の辺縁部すなわちシール材の塗布領域にまで到達しないので、実施形態1と同様の効果を得ることが可能となる。
【0052】
また、実施形態4の構成では、表示領域ARのドレイン線DLを形成する導電性薄膜を延在して信号線とし、この信号線を用いてドレイン線DLと駆動回路または接続端子部TMとを電気的に接続できるという格別の効果を得ることができる。
【0053】
〈実施形態5〉
図12は本発明の実施形態5の液晶表示装置における配向膜ストッパの外形形状を説明するための図であり、以下、図12に基づいて、実施形態5の液晶表示装置について説明する。ただし、実施形態5の液晶表示装置は、配向膜ストッパWSの外形形状を除く他の構成は実施形態1と同様の構成である。従って、以下の説明では、配向膜ストッパWSの外形形状について詳細に説明する。
【0054】
図12から明らかなように、実施形態5の液晶表示装置は、矩形状をなす液晶表示装置の4辺の内で、Y方向に対向する2つの辺すなわち短辺側が長辺側よりも表示領域ARの辺縁部から第2基板SUB2の辺縁部(基板端)までの距離が大きく形成されている。従って、実施形態5の液晶表示装置においては、表示領域ARの辺縁部から第2基板SUB2の辺縁部(基板端)までの距離が小さい周辺部である図中左右の周辺部のみに配向膜ストッパWS1〜WS3からなる配向膜ストッパWSが形成される構成となっている。
【0055】
このとき、前述する実施形態4と同様に、表示領域ARの辺縁部から第2基板SUB2の辺縁部(基板端)までの距離が大きい辺においては、表示領域ARと第2基板SUB2の辺縁部との間の領域に配向膜ストッパWSを設けない構成であっても、表示領域ARを覆うようにして塗布した配向膜材料が第2基板SUB2の辺縁部すなわちシール材の塗布領域にまで到達しないので、実施形態1と同様の効果を得ることが可能となる。
【0056】
〈実施形態6〉
図13は本発明の実施形態6の液晶表示装置の概略構成を説明するための図であり、実施形態6の液晶表示装置は薄膜トランジスタとしてアモルファスシリコン(a−Si)を用いて、第1基板SUB1に走査信号駆動回路(ゲートドライバ)DCが形成される液晶表示装置に本願発明の配向膜ストッパWSを適用した構成となっている。なお、アモルファスシリコンを用いたゲートドライバ等の形成方法は、周知のフォトリソグラフィー技術で形成することが可能であり、その詳細な説明は省略する。
【0057】
図13から明らかなように、長手方向の周辺部PRにゲートドライバDCが形成される構成となっており、特に、各周辺部PRのゲートドライバDCの間の領域に配向膜ストッパSWが形成されている。すなわち、実施形態6の液晶表示装置では、第1のゲートドライバ(第1の走査信号駆動回路)DC1と第2のゲートドライバ(第2の走査信号駆動回路)DC2とにより、1つのゲートドライバDCが形成され、第1のゲートドライバDC1と第2のゲートドライバDC2との間の領域にY方向(長手方向)に延在する配向膜ストッパSWが形成されている。このとき、後に詳述するように、配向膜ストッパSWを形成する第2の導電体層SPの構成及びゲートドライバDCを除く他の構成は、実施形態1と同様の構成となっている。
【0058】
次に、図14に図13に示すG部すなわち実施形態6の液晶表示装置の長手方向の周辺部の拡大図、図15に図14に示すH部すなわち実施形態6の配向膜ストッパの拡大図を示し、以下、図14及び図15に基づいて、実施形態6の配向膜ストッパWSの詳細構成を説明する。
【0059】
図14に示すように、表示領域ARの周辺部PRに第1のゲートドライバDC1と第2のゲートドライバDC2とからなるゲートドライバDCが形成されている。第1のゲートドライバDC1と第2のゲートドライバDC2との間の領域には、第1の導電体層SHと第2の導電体層SPからなる配向膜ストッパSWがY方向(長手方向)に伸延して配置されている。また、第1のゲートドライバDC1と第2のゲートドライバDC2とは、配向膜ストッパSWと交差する信号線SIG1によって電気的に接続されている。このとき、表示領域ARから延在されるゲート線GLは、表示領域ARを超えて周辺部PRの側に延在され、コンタクトホールCHを介して第1のゲートドライバDC1から延在される信号線と電気的に接続されている。また、第2のゲートドライバDC2には一端が端子部TMに接続され信号線SIG2を介して制御信号が入力されており、第1のゲートドライバDC1と第2のゲートドライバDC2とからなるゲートドライバDCにより、制御信号に応じた走査信号を生成する構成となっている。特に、実施形態6の液晶表示装置では、第2のゲートドライバDC2よりも第1基板SUB1及び第2基板SUB2の辺縁部SEDに近い側に信号線SIG2が形成される構成となっている。この構成により、配向膜ストッパSWと交差する信号線数を低減させる構成となっている。
【0060】
配向膜ストッパSWは、図15の拡大図に示すように、X方向に伸延しY方向に並設される信号線SIG1に対して、直交するように延在する構成となっている。このとき、実施形態6の配向膜ストッパSWは、1本の第2の導電体層SPと、該第2の導電体層SPと信号線SIG1との間に薄膜層に形成される第1の導電体層SHと、から構成されている。この構成により、第1のゲートドライバDC1と第2のゲートドライバDC2とが一体となって構成されるゲートドライバDCの信号線SIG1の距離を短く形成することを可能としている。
【0061】
このとき、第1の導電体層SHの電圧をV2、第2の導電体層SPの電圧をV3、図15中に示す4本の信号線SIG1の電圧を上側から順番にV1,V1a,V1b,V1cとした場合、V2=V3である。また、V1≠V2であり、V1a,V1b,V1cはV2と同じであっても、異なっていてもよい。
【0062】
この電圧が印加される場合、図15のI−I’線での断面図である図16に示すように、信号線SIG1と第1の導電体層SHとの間には大きな電界E1が生じることとなり、信号線SIG1と第2の導電体層SPとの間に生じる電界E2を抑制することが可能となる。その結果、配向膜ストッパSWが信号線SIG1と交差する場合であっても、実施形態1と同様に、信号線SIG1と第2の導電体層SPとの間の電界E2に起因する当該信号線SIG1の腐食を防止できる。
【0063】
なお、実施形態6の構成では、表示領域AR及び第1のゲートドライバDC1を囲むようにして環状の配向膜ストッパSWを形成する構成としたが、これに限定されることはなく、実施形態3〜5に示すように配向膜ストッパを形成してもよい。また、配向膜ストッパSWとして1本の第2の導電体層SPを形成する構成としたが、2本以上の第2の導電体層SPを備える構成であってもよい。
【0064】
〈実施形態7〉
図17は本発明の実施形態7の液晶表示装置における周辺部の拡大図、図18は従来の液晶表示装置における周辺部の拡大図、図19は図18に示すJ−J’線での断面図である。ただし、図17及び図18に示す走査信号駆動回路(ゲートドライバ)DCは、接続端子部TMからの制御信号が入力される制御信号線CTLが第1基板SUB1の辺部側に配置され、該制御信号線CTLと表示領域ARとの間の領域に当該走査信号駆動回路DCが形成される。また、実施形態7の液晶表示装置では、表示領域ARの周辺部PRに配置される走査信号駆動回路DCが形成される領域により、シール領域への配向膜形ORIの形成を防止する構成となっている。従って、走査信号駆動回路DCが形成されていない辺部には、前述する実施形態に示す配向膜ストッパを形成する構成であってもよい。
【0065】
図17に示すように、実施形態7の液晶表示装置では、周辺部PRに走査信号駆動回路DCが形成される構成となっている。該走査信号駆動回路DCは、図示しない接続端子部から延在される制御信号線CTLからの制御信号に基づいて、各ゲート線GLの位置に対応したタイミングの走査信号を形成する構成となっている。このために、走査信号駆動回路DCが形成される領域では、当該走査信号駆動回路DCを構成する複数の薄膜トランジスタTFTが形成される部分と、該薄膜トランジスタTFT等を電気的に接続するための配線のみが形成される部分等では、第1基板SUB1の液晶側の面への突出量が大きく異なり、基板表面に大きな段差が形成されることとなっている。
【0066】
一方、各ゲート線GLに接続され、その形成位置に対応した走査信号を生成する回路(以下、走査信号生成回路と記す)は薄膜トランジスタTFTや容量の構造や形成位置もほぼ同一の回路構成となっており、この同一構成の走査信号生成回路がゲート線GLの並設方向であるY方向に並設され、走査信号線駆動回路DCを形成している。
【0067】
各走査信号生成回路は制御信号線CTLからの走査信号が直接入力される2以上の薄膜トランジスタTFTを備えると共に、制御信号線CTLに接続される信号線を短くすることによって、寄生容量を減らして制御信号線CTLでの基準信号の信号遅れを最小とする構成としている。また、回路駆動能力が大きく専有面積の大きい薄膜トランジスタTFTを制御信号線CTLの近くに形成して、信号線長さを小さくすると共に、他の比較的小さい薄膜トランジスタTFTは表示領域ARに近い側に形成される構成となっている。さらには、制御信号線CTLと他の信号線との交差を低減させるために、制御信号線CTLは第1基板SUB1の辺縁部の側に配置されている。
【0068】
また、実施形態7の走査信号駆動回路DCでは、隣接する走査信号生成回路との間の領域に、表示領域ARに近い側の薄膜トランジスタTFTと制御信号線CTLとを接続するための信号線SIG3を形成する構成としている。この信号線SIG3は制御信号線CTLに近い領域においては、図17中にWPで示すように、Y方向に延在する信号線をX方向に屈曲させ延在させた後に、再びY方向に屈曲させてY方向に延在させる、クランク形状としている。
【0069】
さらには、この信号線SIG3が配置される領域では、クランク形状の部分よりも表示領域ARに近い部分すなわち配向膜材料が塗布される側に、信号線SIG3と交差する薄膜層CVを形成する構成としている。特に、実施形態7の構成では、制御信号線CTLに近接する薄膜トランジスタTFTに隣接配置される容量素子を形成するための一方の電極となる透明導電膜層を用いて薄膜層CVを形成している。この構成により、隣接する薄膜トランジスタTFTとの間に形成される信号線SIG3に沿って形成され、この隣接する2つの薄膜トランジスタTFTの形成される膜厚が比較的厚い領域に挟まれる凹状(溝状)の領域に、液晶面側すなわち薄膜層の厚さ方向に突出する凸状領域を形成する構成としている。
【0070】
この場合、図19に示すように、隣接する薄膜トランジスタTFTとの間に直線状の信号線SIG4を形成した場合には凹状の溝部が形成されるので、表示領域ARを覆うように塗布された液体状の配向膜材料ORMは、図18中に示す矢印SW4に沿って制御信号線CTL方向に伸延してしまうこととなる。このために、シール材を塗布するための領域に配向膜が形成されてしまうこととなる。
【0071】
これに対して、実施形態7の構成では、図17中の矢印SW1に示すように、表示領域ARに塗布された液体状の配向膜材料の一部は信号線SIG3が形成される凹状の領域に沿って伸延することとなる。ここで、実施形態7においては、信号線SIG3に沿って伸延した配向膜材料は薄膜層CVで形成される凸状領域では、信号線SIG3に交差するようにして透明導電膜が形成されているので、2つの薄膜トランジスタTFTにより形成される凹状の溝部分の深さが透明導電膜の厚さ分だけ浅く形成されている。従って、図17中の矢印SW2に示すように、信号線SIG3に沿って伸延した配向膜材料は大きく減少することとなる。この後に、実施形態7の構成では、配向膜材料はクランク状に形成される領域WPを通過することとなるので、矢印SW3に示すように、さらに減少することとなり、このクランク状の領域WPで止まることとなる。
【0072】
その結果、制御信号線CTLが形成される領域やシール材が塗布される領域に配向膜が形成されることが防止できるので、シール材により密着性を向上させることが可能となり、その結果、液晶表示装置の信頼性を向上させることができる。
【0073】
なお、実施形態7の液晶表示装置では、隣接配置される薄膜トランジスタTFTとの間に形成される凹部領域と信号線SIG3とが一致する場合について説明したが、Y方向に延在して形成される他の凹部領域に本願発明を適用可能である。この場合には、凹部領域と交差するようにして薄膜層を形成することにより、凹部領域に液晶面側に突出する凸状体を形成すると共に、クランク状の領域WPを形成することにより、前述する効果を得ることができる。
【0074】
以上、本発明者によってなされた発明を、前記発明の実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記発明の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0075】
SUB1……第1基板、SUB2……第2基板、AR……表示領域、SL……シール材
TM……接続端子部、CL……コモン線、GL……ゲート線、DL……ドレイン線
TFT……薄膜トランジスタ、PX……画素電極、CT……共通電極、SED……基板端
WS,WS1〜WS3……配向膜ストッパ、ST……ソース電極、AS……半導体層
SLT……スリット、SH,SH1……第1の導電体層、SP……第2の導電体層
PAS1,PAS2……絶縁膜、PR……周辺部、CH……コンタクトホール
ORI……配向膜 SM……封止材、DC……走査信号駆動回路、CTL……制御信号線
DC1……第1の走査信号駆動回路、DC2……第2の走査信号駆動回路
SIG1,SIG2,SIG3,SIG4……信号線
CV……薄膜層、ORM……配向膜材料
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に係わり、特に、配向膜の塗布領域の制御に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は液晶を挟持する一対の透明基板を外囲器とし、液晶は一対の透明基板の固定を兼ねるシール材によって封入されている。このシール材によって囲まれた領域は、液晶を1つの構成要素とする画素がマトリックス状に配置されて有効表示領域(単に、表示領域ともいう)を構成するようになっている。各画素は、それぞれ薄膜トランジスタを備え、アクティブ・マトリックス駆動方式によって独立に駆動され、有効表示領域に画像を表示できるようになっている。
【0003】
そして、このように構成される液晶表示装置には、一対の透明基板のそれぞれにおいて、液晶と直接に接触する面に配向膜が形成されている。この配向膜は、液晶の分子を一定方向(初期配向方向)に規定するための膜で、塗布によって形成した樹脂膜に配向処理をすることによって形成される。この場合、配向膜は、その周辺端においてシール材との間に一定の距離を保持するようにして形成することが要求される。配向膜がシール材の形成領域にまで及んで形成されてしまった場合に、シール材としてのシール機能の信頼性が低下してしまうからである。
【0004】
一方、携帯電話機等の携帯情報端末等に組み込まれる液晶表示装置は、小さい外形サイズで表示領域をできるだけ大きくする(いわゆる額縁を小さくする)ことが要求され、シール材と配向膜との離間距離を充分に大きくできない事情がある。それ故、シール材と配向膜との間の領域に、該配向膜を囲むようにした線状のたとえばITO(Indium Tin Oxide)からなる透明導電膜層を設けた構成のものが知られている。この透明導電膜層は、ストッパとして機能し(以下、配向膜ストッパと称する場合がある)、配向膜形成の際において、硬化前の樹脂膜のシール材の形成領域に及ぶ流動を阻止するようになっている。ここで、配向膜ストッパが透明導電膜で形成されているのは、配向膜ストッパが透明電極からなる画素電極と同層で形成され、該配向膜ストッパを画素電極の形成と同時に形成できるからである。このような構成からなる液晶表示装置として、例えば、特許文献1に記載の液晶表示装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−8444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、導電性の薄膜を用いた配向膜ストッパでは、高温高湿環境下の水分と、配向膜ストッパとの間に生じる電界により、配向膜ストッパと交差する信号配線が酸化または溶解してしまうという問題があった。また、この信号配線の酸化または溶解により、所望の走査信号や映像信号が得られないという問題もあった。
【0007】
本発明はこれらの問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、信号配線と配向膜ストッパとの間における電界を抑制することが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)前記課題を解決すべく、本発明の液晶表示装置は、X方向に延在しY方向に並設される走査信号線と、Y方向に延在しX方向に並設される映像信号線とが形成される第1基板と、液晶層を介して前記第1基板と対向配置される第2基板とを有し、前記走査信号線と前記映像信号線で囲まれる領域を画素の領域とし、前記画素がマトリクス状に配置される領域を表示領域とし、前記第2基板の辺縁部に沿って形成されるシール材により、前記第1基板と前記第2基板とが固定されると共に、前記液晶層が封止され、前記第1基板は前記第2基板よりも大きく形成され、前記第2基板より露出される領域に接続端子部が形成される液晶表示装置であって、前記表示領域よりも外側の領域に形成され、少なくとも前記表示領域の2つの異なる辺に沿って形成される配向膜ストッパを有し、前記配向膜ストッパは液状の配向膜材料に対して疎水性を有する薄膜材料からなり、前記配向膜ストッパの塗布時において、前記第1基板側の最上層に形成される第2の導電体層SPと、絶縁膜を介して前記第2の導電体層SPの下層に配置され、前記第2の導電体層SP側から平面的に見て前記第2の導電体層SPの長手方向の辺縁部が露出するように配置される第1の導電体層SHとからなり、前記第1の導電体層SHが前記表示領域の辺部に配置される信号線と前記第2の導電体層SPとの間の薄膜層に形成されてなる液晶表示装置である。
【0009】
(2)前記課題を解決すべく、本発明の液晶表示装置は、X方向に延在しY方向に並設される走査信号線と、Y方向に延在しX方向に並設される映像信号線とが形成される第1基板と、液晶層を介して前記第1基板と対向配置される第2基板とを有し、前記走査信号線と前記映像信号線で囲まれる領域を画素の領域とし、前記画素がマトリクス状に配置される領域を表示領域とし、前記第2基板の辺縁部に沿って形成されるシール材により、前記第1基板と前記第2基板とが固定されると共に、前記液晶層が封止され、前記第1基板は前記第2基板よりも大きく形成され、前記第2基板より露出される領域に接続端子部が形成される液晶表示装置であって、前記表示領域の辺部に形成されると共に、前記画素の形成と同じ工程で形成される薄膜トランジスタにより形成され、前記走査信号又は/及び前記映像信号を生成する駆動回路と、前記接続端子部と前記駆動回路とを電気的に接続する制御信号線とを備え、前記駆動回路の形成領域において複数の前記薄膜トランジスタとの間の領域に形成され、前記制御信号線の形成領域に至る溝部が形成され、前記溝部が屈曲して前記制御信号線に至る屈曲領域を有すると共に、前記屈曲領域よりも前記表示領域に近い領域に形成され、当該溝部の底面部が前記液晶面側に突出する凸状領域を有する液晶表示装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、液晶表示装置の有効表示領域の周辺部に形成される信号配線と配向膜ストッパとの間に生じる電界を抑制することができる。
【0011】
本発明のその他の効果については、明細書全体の記載から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態1の液晶表示装置の全体構成を説明するための平面図である。
【図2】本発明の実施形態1の液晶表示装置における配向膜ストッパの詳細構成を説明するための拡大図である。
【図3】図2に示すC−C’線での断面図である。
【図4】本発明の実施形態1の液晶表示装置における配向膜せき止め領域の拡大図である。
【図5】本発明の実施形態1の液晶表示装置における第1の導電体層と第2の導電体層とを電気的に接続するコンタクトホール部分の構成を説明するための平面図である。
【図6】図5に示すE−E’線での断面図である。
【図7】本発明の実施形態1の液晶表示装置における配向膜と配向膜ストッパとシール材との位置関係を説明するための図である。
【図8】本発明の実施形態2の液晶表示装置における配向膜ストッパの概略構成を説明するための平面図である。
【図9】図8に示すF−F’線での断面図である。
【図10】本発明の実施形態3の液晶表示装置における配向膜ストッパの形状を説明するための図である。
【図11】本発明の実施形態4の液晶表示装置における配向膜ストッパの形状を説明するための図である。
【図12】本発明の実施形態5の液晶表示装置における配向膜ストッパの形状を説明するための図である。
【図13】本発明の実施形態6の液晶表示装置の概略構成を説明するための図である。
【図14】図13に示すG部の拡大図である。
【図15】図14に示すH部の拡大図である。
【図16】図15に示すI−I’線での断面図である。
【図17】本発明の実施形態7の液晶表示装置における周辺部の拡大図である。
【図18】従来の液晶表示装置における周辺部の拡大図である。
【図19】図18に示すJ−J’線での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明は省略する。
【0014】
〈実施形態1〉
図1は本発明の実施形態1の液晶表示装置の全体構成を説明するための平面図であり、以下、図1に基づいて、実施形態1の液晶表示装置の全体構成を説明する。ただし、図1において、X,Y,ZはX軸、Y軸、Z軸を示す。
【0015】
実施形態1の液晶表示装置は、画素電極PXや薄膜トランジスタTFT等が形成される第1基板SUB1と、第1基板SUB1に対向して配置されカラーフィルタ等が形成される第2基板SUB2と、第1基板SUB1と第2基板SUB2とで挟持される液晶層とで構成される液晶表示パネルPNLを有する。また、液晶表示パネルPNLと光源となる図示しないバックライトユニット(バックライト装置)とを組み合わせることにより、液晶表示装置が構成されている。第1基板SUB1と第2基板SUB2との固定及び液晶の封止は、第2基板の周辺部に環状に塗布されたシール材で固定され、液晶も封止される構成となっている。ただし、実施形態1の液晶表示装置では、液晶が封入された領域の内で表示画素(以下、画素と略記する)の形成される領域が表示領域ARとなる。従って、液晶が封入されている領域内であっても、画素が形成されておらず表示に係わらない領域は表示領域ARとはならない。すなわち、実施形態1の液晶表示装置では、シール材と表示領域ARとの間の領域に、環状に形成された配向膜ストッパWSが形成される構成となっている。この構成により、第1基板SUB1の液晶面側に配向膜材料を塗布する際に、シール材の塗布領域に配向膜が形成されてしまうことを防止する構成となっている。なお、配向膜ストッパWSについては、後に詳述する。
【0016】
また、第2基板SUB2は第1基板SUB1よりも小さな面積となっており、第1基板SUB1の図中下側の辺部を露出させるようになっている。この第1基板SUB1の辺部には、例えば半導体チップで構成され、表示領域ARに配置される各画素を駆動する駆動回路が搭載されると共に、駆動回路に制御信号を入力する接続端子部TMが形成されている。なお、以下の説明では、液晶表示パネルPNLの説明においても、液晶表示装置と記すことがある。また、第1基板SUB1及び第2基板SUB2としては、例えば周知のガラス基板が基材として用いられるのが一般的であるが、樹脂性の透明絶縁基板であってもよい。
【0017】
実施形態1の液晶表示装置では、第1基板SUB1の液晶側の面であって表示領域AR内には、図1中X方向に延在しY方向に並設され、駆動回路からの走査信号が供給される走査信号線(ゲート線)GLが形成されている。また、図1中Y方向に延在しX方向に並設され、駆動回路からの映像信号(階調信号)が供給される映像信号線(ドレイン線)DLが形成されている。隣接する2本のドレイン線DLと隣接する2本のゲート線GLとで囲まれる領域が画素を構成し、複数の画素が、ドレイン線DL及びゲート線GLに沿って、表示領域AR内においてマトリックス状に配置されている。
【0018】
各画素は、例えば、図1中丸印Aの等価回路図A’に示すように、ゲート線GLからの走査信号によってオン/オフ駆動される薄膜トランジスタTFTと、このオンされた薄膜トランジスタTFTを介してドレイン線DLからの映像信号が供給される画素電極PXと、コモン線CLを介して映像信号の電位に対して基準となる電位を有する共通信号が供給される共通電極CTとを備えている。図1中丸印Aの等価回路図A’においては、画素電極PX及び共通電極CTを模式的に線状に記しているが、後に後述するように、実施形態1の画素電極PXは画素毎に形成される平板状の透明電極からなる。また、共通電極CTは、少なくとも表示領域AR内に形成される平板状の透明電極と、該透明電極に形成されるスリットとからなる。なお、実施形態1の薄膜トランジスタTFTは、そのバイアスの印加によってドレイン電極とソース電極が入れ替わるように駆動するが、本明細書中においては、便宜上、ドレイン線DLと接続される側をドレイン電極、画素電極PXと接続される側をソース電極と記す。
【0019】
画素電極PXと共通電極CTとの間には、第1基板SUB1の主面に平行な成分を有する電界が生じ、この電界によって液晶の分子を駆動させるようになっている。このような液晶表示装置は、いわゆる広視野角表示ができるものとして知られ、液晶への電界の印加の特異性から横電界方式やIPS(In-Plane Switching)方式と称される。また、実施形態1の液晶表示装置においては、液晶に電界が印加されていない場合に光透過率を最小(黒表示)とし、電界を印加することにより光透過率を向上させていくノーマリブラック表示形態で表示を行うようになっている。
【0020】
各ドレイン線DL及び各ゲート線GLはその端部が表示領域ARを越えてそれぞれ延在され、駆動回路に接続されている。また、駆動回路は外部システムから接続端子部TMを介して入力される制御信号に基づいて、映像信号や走査信号等の駆動信号を生成する。なお、実施形態1の液晶表示装置では、駆動回路を半導体チップで形成し第1基板SUB1に搭載する構成としているが、映像信号を出力する映像信号駆動回路と走査信号を出力する走査信号駆動回路との何れか一方又はその両方の駆動回路を接続端子部TMに接続されるフレキシブルプリント基板にテープキャリア方式やCOF(Chip On Film)方式で搭載し、第1基板SUB1に接続させる構成であってもよい。
【0021】
〈配向膜ストッパの詳細構成〉
次に、図2に本発明の実施形態1の液晶表示装置における配向膜ストッパの詳細構成を説明するための拡大図、図3に図2に示すC−C’線での断面図を示し、以下、図2及び図3に基づいて実施形態1の配向膜ストッパWSの詳細構成を説明する。ただし、図2は図1に示すB部すなわち実施形態1の液晶表示装置の長手方向の辺部の拡大図である。
【0022】
図2に示すように、表示領域AR側にはX方向に延在するゲート線GLと重畳する領域には、アモルファスシリコン等からなる半導体層ASが重畳して形成されている。このとき、図3に示すように、ゲート線GLの上層に形成される絶縁膜PAS1を介して半導体層ASが重畳される構成となっており、この重畳領域では絶縁膜PAS1がゲート絶縁膜として機能する構成となっている。半導体層ASの一端側はドレイン線DLと重畳されてドレイン電極DTを形成し、他端側はソース電極STとなる金属薄膜と重畳され、薄膜トランジスタTFTが形成されている。すなわち、図3に示すように、半導体層ASの一端側の上面にドレイン線DLが重畳して配置されてドレイン電極DTを形成し、半導体層ASの他端側の上面に金属薄膜が重畳して形成され、ソース電極STが形成されている。該ソース電極STから延在される延在部は、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)等の透明導電膜からなり、画素領域毎に形成される平板状の画素電極PXと電気的に接続されている。従って、画素電極PXにはゲート線GLに入力される走査信号に同期して、ドレイン線DLに出力される映像信号が供給される。また、図2及び図3から明らかなように、画素電極PXの上層には絶縁膜PAS2を介してITO等の透明導電膜からなる共通電極CTが形成されている。このとき共通電極CTは画素領域AR内に平状に形成され、画素電極PXと重畳する領域にスリットSLTが形成され、画素電極PXと重畳する線状の共通電極CTを形成している。
【0023】
また、図2に示すように、額縁領域と称される表示領域ARよりも外側の領域である周辺部PRにはゲート線GLが伸延される構成となっており、この表示領域ARと図示しないシール材の塗布領域との間に、3本の配向膜ストッパWS1〜WS3からなる配向膜せき止め部WSが形成されている。この実施形態1の配向膜ストッパWS1〜WS3は、図3に示すように、ゲート線GLの上層すなわち液晶面側に形成される第1の導電体層SHと、該第1の導電体層SHの上層すなわち液晶面側に形成される第2の導電体層SPとから形成されている。この実施形態1の第2の導電体層SPは、従来の配向膜ストッパと同様に、配向膜材料に対して濡れ性が悪い(疎水性が大きく、接触が高い)材料であるITO等の透明導電膜材料を用いて形成されている。さらには、第2の導電体層SPは第1基板SUB1の表面を覆いようにして形成される絶縁膜PAS2の表面に形成されている。このとき、第2の導電体層SPを形成する透明導電膜の水に対する表面張力をγsp、絶縁膜PAS2の水に対する表面張力をγPAS2とした場合、表面張力γspと表面張力をγPAS2とは異なることとなる。また、第2の導電体層SPはITOからなる透明導電膜材料に限定されることはなく、酸化亜鉛系のAZO(Aluminum doped Zinc Oxide)やGZO(Gallium doped Zinc Oxide)等の他の酸化物導電体材料で形成してもよい。
【0024】
すなわち、実施形態1の配向膜ストッパWS1〜WS3は、第1基板SUB1の最上層に形成され、共通電極CTとなる透明導電膜と同じ工程で形成される第2の導電体層SPと、該第2の導電体層SPの下層側である第1基板SUB1の側に形成され、ドレイン線DL及びソース電極STと同じ工程で形成される第1の導電体層SHとで形成されている。このとき、前述するように、実施形態1の薄膜トランジスタTFTでは、絶縁膜PAS1の下層すなわち絶縁膜PAS1よりも第1基板SUB1に近い層にゲート線GLが形成される構成となっている。従って、図3に示すように、ゲート線GLと第1の導電体層SHとが交差する領域においては、絶縁膜PAS1を介してゲート線GLと第1の導電体層SHとは重畳配置される、すなわち第2の導電体層SPとゲート線GLとの間の層に第1の導電体層SHが形成される構成となっている。なお、実施形態1の第1の導電体層SHは周辺部において図示しない信号線と接続され、所定の電圧に保持される構成となっている。
【0025】
また、図3に示すように、矢印Wで示す配向膜せき止め領域においては、配向膜ストッパWS1〜WS3のそれぞれにおいて、第1の導電体層SHの配線幅よりも第2の導電体層SPの配線幅が小さく形成されている。すなわち、実施形態1の液晶表示装置の表示面側から見て、配向膜ストッパWS1〜WS3の並設方向に対して、平面的に第1の導電体層SHの辺縁部が第2の導電体層SPの辺縁部を超えて延在しない構成となっている。例えば、第1の導電体層SHの一端から第2の導電体層SPの一端までのX方向間隔をL1、第1の導電体層SHの他端から第2の導電体層SPの他端までのX方向間隔をL2とした場合、間隔L1>0かつ間隔L2>0を満たす構成となっている。この構成により、周囲への電界漏れを防ぐことができ、電界一定の効果をより高めることを可能としている。
【0026】
〈配向膜ストッパの電位〉
次に、図4に本発明の実施形態1の液晶表示装置における配向膜せき止め領域の拡大図を示し、以下、図4に基づいて、第1の導電体層SHによる第2の導電体層SPの腐食防止効果について説明する。ただし、図4は図3に示す配向膜せき止め領域の拡大図であり、図4中に示すV1〜V3は各導電膜に印加される電圧を示す。
【0027】
第1基板SUB1の表面に露出して形成される第2の導電体層SPのみが形成され、該第2の導電体層SPと、配向膜ストッパWSの下層に形成される信号線であるゲート線GLとが絶縁膜を介して配置される従来の構成では、この絶縁体にクラックや膜欠損がある場合、この領域では第2の導電体層SPと液晶と信号線(ゲート線GL)がこの順番で配置されることとなる。特に、高温高湿環境下において、パネル内に水分が浸入した場合には、第2の導電体層SPと液晶+水とゲート線GLの順番となる。このために、配向膜ストッパWSを形成する第2の導電体層SPを固定電位にした場合であっても、ゲート線GLの電位は一定電位ではないため、第2の導電体層SPとゲート線GLとの間の電界は一定とはならない。特に、第2の導電体層SPの電位が負、ゲート線GLの電位が正の時、侵入した水分の介在により、ゲート線GLはアノード溶解により断線してしまった場合、線欠陥や非点灯等の表示異常が生じてしまうこととなる。
【0028】
これに対して、実施形態1の配向膜ストッパWS1〜WS3では、後に詳述するように、第1の導電体層SHと第2の導電体層SPとが絶縁膜PAS2に形成される図示しないコンタクトホールを介して電気的に接続されている。すなわち、実施形態1の配向膜ストッパWS1〜WS3においては、第1の導電体層SHの電圧V2と第2の導電体層SPの電圧V3とが同じ電圧となっている。さらには、第1の導電体層SHの配線幅よりも第2の導電体層SPの配線幅が小さく形成される構成となっている。従って、配向膜ストッパWS1〜WS3がゲート線GLと交差する領域においては、ゲート線GLと第1の導電体層SHとの間に生じる電界をE1、ゲート線GLと第2の導電体層SPとの間に生じる電界をE2とした場合、電界E1が大きくなり、電界E2を非常に小さくする(抑制する)ことが可能となる。その結果、高温高湿下で実施形態1の液晶表示装置を使用した場合であっても、液晶層LCの水分やシール材部分から侵入した水分と、第2の導電体層SPとゲート線GLとの間の電界E2とによって、ゲート線GLの酸化や溶解等の腐食を防止することが可能となる。よって、実施形態1の液晶表示装置の信頼性を向上させることができる。さらには、実施形態1の液晶表示装置の製造時における配向膜の伸延によるシール不良の発生も抑制できるので、歩留まりを向上できるという効果も得られる。
【0029】
このとき、第1の導電体層SHは無機絶縁膜材料で形成される絶縁膜PAS1と絶縁膜PAS2とで覆われ、保護される構成となっている。この構成により、ゲート線GLとの間に比較的大きな電界E1が生じた場合であっても、電界E1の印加に伴う第1の導電体層SHの腐食も防止できる。
【0030】
〈第1の導電体層と第2の導電体層との接続〉
図5は本発明の実施形態1の液晶表示装置における第1の導電体層と第2の導電体層とを電気的に接続するコンタクトホール部分の構成を説明するための平面図、図6は図5に示すE−E’線での断面図である。特に、図5は図1に示すD部の拡大図である。ただし、図5に示す接続端子部TMが形成される側の辺部には、駆動回路も搭載され、該駆動回路と表示領域AR内のドレイン線DLとが電気的に接続される構成となっている。従って、実施形態1の構成では、ゲート線GLと同層に形成される図示しない信号線を介して、駆動回路とドレイン線DLとを電気的に接続する構成となっている。このような構成とすることにより、実施形態1の液晶表示装置では、ドレイン線DLと同層に形成される第1の導電体層SHと、共通電極CTと同層に形成される第2の導電体層SPとによって形成される配向膜ストッパWS1〜WS3を表示領域ARの周囲に環状に形成することを可能としている。
【0031】
図5に示すように、実施形態1の液晶表示装置の短手方向の辺部では、配向膜ストッパWS1〜WS3はX方向に延在し、Y方向に並設される構成となっているので、第1の導電体層SH及び第2の導電体層SPの途中にそれぞれ線幅が大きい領域が形成され、この領域の絶縁膜PAS2にコンタクトホールCHが形成されている。この構成により、図6に示すように、第1の導電体層SHと第2の導電体層SPとを電気的に接続し、第1の導電体層SHの電圧V2と第2の導電体層SPの電圧V3とを同じ電圧に保持する構成としている。このとき、第1の導電体層SHには駆動回路または接続端子部TMから固定電圧V2が供給されている。なお、コンタクトホールCHの形成部分では線幅を大きくする構成としたが、他の部分と同じ線幅で形成してもよい。
【0032】
また、実施形態1においては、配向膜ストッパWSの下層に形成される信号線であるゲート線GLはアルミニウム等の金属薄膜からなる。このために、ゲート線GLの電圧V1と第1の導電体層SHの電圧V2(第2の導電体層SPの電圧V3)によっては、アノード溶解によるゲート線GLの腐食等の可能性もあるが、第1の導電体層SHの電圧V2すなわち第2の導電体層SPの電圧V3をゲート線GLの電圧V1以上とすることにより、アノード溶解に伴うゲート線GLの腐食を防止できる。さらには、このような電圧とする宇ことにより、ITO等の透明導電膜からなる第2の導電体層SPがカソードになることに起因する当該第2の導電体層SP自身の還元作用による腐食も抑制できる。
【0033】
さらには、実施形態1の液晶表示装置では、第1の導電体層SHと第2の導電体層SPとをコンタクトホールCHを介して電気的に接続し、第1の導電体層SHと第2の導電体層SPとを同一の電圧に保持する構成としたが、これに限定されることはない。例えば、第1の導電体層SHに印加する電圧V2と、第2の導電体層SPに印加される電圧V3とを異なる電圧とし、電圧V3≧電圧V2とする構成であってもよい。この場合には、第1の導電体層SHと第2の導電体層SPには、それぞれ駆動回路または接続端子部TMから固定電圧V1,V2を供給することにより可能である。
【0034】
図7は本発明の実施形態1の液晶表示装置における配向膜と配向膜ストッパとシール材との位置関係を説明するための図であり、この図7から明らかなように、表示領域ARの辺縁部及びシール材SLの塗布位置から所定距離だけ離間した位置に形成される配向膜ストッパSWにより配向膜ORIがせき止められている。その結果、配向膜ORIは表示領域ARを覆うようにして形成されると共に、該配向膜ORIの周縁部は配向膜ストッパSWと表示領域の周縁部との間の領域に制限される。すなわち、シール材SLが塗布される第2基板SUB2の辺部に配向膜ORIが及んで形成さてしまうことを防止できるので、シール材SLの密封性能を向上させることが可能となり、液晶表示装置の信頼性を向上させることができる。さらには、配向膜ストッパWSにより表示領域ARとシール材SLとの距離を小さくできるので、周辺部の幅を小さくすることが可能となり、さらなる挟額縁化を達成することが可能となる。なお、実施形態1の配向膜ストッパWS1〜WS3では、接続端子部TM側の辺部にのみコンタクトホールCHを形成する構成としたが、短手方向側の2つの辺部のそれぞれにコンタクトホールCHを形成し、第1の導電体層SHと第2の導電体層SPとを電気的に接続する構成としてもよい。
【0035】
以上説明したように、実施形態1の液晶表示装置では、表示領域ARの外周を環状に囲むようにして、透明導電膜で形成される共通電極CTと同層に形成される第2の導電体層SPを配置すると共に、該第2の導電体層SPが形成される絶縁膜PAS2の下層に、第2の導電体層SPよりも線幅が広い第1の導電体層SHを形成すると共に、平面的に見て第1の導電体層SHと第2の導電体層SPとが重畳するように配置して配向膜ストッパWS1〜WS3を構成している。この構成により、配向膜ストッパWS1〜WS3とその下層に形成される信号線とが交差する領域においては、絶縁膜で保護される第1の導電体層SHと信号線との間には大きな電界E1が生じることとなるが、基板表面から露出されることとなる第2の導電体層SPと信号との間の電界E2は大幅に抑制することが可能となる。従って、高温高湿下での使用であっても第2の導電体層SPと信号線との間の電界E2に伴う当該信号線の腐食を防止することができ、液晶表示装置の信頼性を向上することができる。
【0036】
なお、実施形態1の液晶表示装置では、表示領域ARを囲むようにして3本の配向膜ストッパWS1〜WS3を用いて配向膜ストッパWSを形成する構成としたが、配向膜ストッパは3本に限定されることはなく、1本以上を形成する構成であってもよい。
【0037】
また、実施形態1の液晶表示装置では、画素電極PXよりも共通電極CTが液晶層LCに近い側に形成される場合について説明したが、共通電極CTよりも画素電極PXが液晶層LCに近い側に形成される構成であってもよい。この場合には、画素電極PXを構成する透明導電膜と同一の工程で、配向膜ストッパWS1〜WS3を形成する導電体を形成することにより、工程を増やすことなく、実施形態1の配向膜ストッパWS1〜WS3を形成することが可能となる。
【0038】
また、実施形態1の構成は、第2基板SUB2の液晶面側にシール材を環状に塗布した後に、このシール材の塗布領域内に液晶を滴下し、その上面側から第1基板SUB1を貼り合わせるODF(One Drop Fill)と称される液晶封入方式に最適な構成であるが、他の液晶封入方式にも適用可能である。
【0039】
さらには、実施形態1の第1の導電体層SH及び第2の導電体層SPに印加する電圧V1,V2は、ゲート線GLと同層のクロック信号であってもよい。このようなクロック電圧を第1の導電体層SH及び第2の導電体層SPに印加することにより、配向膜ストッパWS1〜WS3とゲート線GLとの間に生じる寄生容量に起因する配向膜ストッパWS1〜WS3とゲート線GLとの間の充放電電流を抑制することが可能となり、ゲート信号の遅れを防止できるという効果を得ることが可能となると共に、実施形態1の液晶表示装置における消費電力を低減できるという効果も得られる。ただし、ゲート線GLの電圧をV1とした場合、V1≠V2かつV1≠V3である。また、ドレイン線DLの電圧をV4とした場合もV4≠V2かつV4≠V3であることが好適であるが、ドレイン線DLには液晶層LCを駆動する映像信号が入力される構成となるので、V4≠V2かつV4≠V3に限定されない。
【0040】
〈実施形態2〉
図8は本発明の実施形態2の液晶表示装置における配向膜ストッパの概略構成を説明するための平面図、図9は図8に示すF−F’線での断面図であり、以下、図8及び図9に基づいて、実施形態2の液晶表示装置を説明する。ただし、実施形態2の液晶表示装置は、配向膜ストッパWS1〜WS3を形成する第1の導電体層SHの構成を除く他の構成は実施形態1と同様の構成となる。従って、以下の説明では、配向膜ストッパWS1〜WS3の構成について詳細に説明する。
【0041】
図8に示すように、実施形態2の配向膜ストッパWSを形成する配向膜ストッパWS1〜WS3も実施形態1と同様に、表示領域ARの周辺部PRに形成されている。このとき、図9に示すように、絶縁膜PAS2の液晶面側に形成される3本の第2の導電体層SPの全てが、1本の第1の導電体層SHと、平面的に見て、重畳して配置される構成となっている。すなわち、実施形態2の構成では、図中に矢印Wで示す配向膜ストッパSWの領域とほぼ同等の配線幅を有する第1の導電体層SHの上層に、絶縁膜PAS2を介して3本の第2の導電体層SPが形成される構成となっている。
【0042】
このとき、実施形態1と同様に、第1の導電体層SHの配線幅を超えた領域には第2の導電体層SPが配置されない、すなわち平面的に見て第1の導電体層SHの辺縁部から第2の導電体層SPが突出しない構成となっている。特に、3本の配向膜ストッパWS1〜WS3の内で、最も表示領域ARに近い位置の配向膜ストッパWS1を形成する第2の導電体層SPの表示領域AR側の辺縁部と、第1の導電体層SHの表示領域AR側の辺縁部との平面的な距離をL3、最も第1基板SUB1の基板端(辺縁部)SEDに近い位置の配向膜ストッパWS3を形成する第2の導電体層SPの基板端SED側の辺縁部と、第1の導電体層SHの基板端SEDとの平面的な距離をL4とした場合、L3>0かつL4>0を満たす構成となっている。
【0043】
このような構成とすることにより、実施形態2の液晶表示装置においても、配向膜ストッパWS1〜WS3とゲート線GLとが交差する領域では、実施形態1と同様に、第1の導電体層SHとゲート線GLとの間の電界E1を大きくでき、第2の導電体層SPとゲート線GLとの間の電界E2を抑制することができる。すなわち、第2の導電体層SPとゲート線との間の電界E2を、第2の導電体層SPとゲート線GLとの間の領域に設けた第1の導電体層SHで遮蔽することが可能となるので、実施形態1と同様の効果を得ることが可能となる。さらには、配向膜ストッパWS1,WS3を形成する第2の導電体層SPとの間の領域では、第2の導電体層SPが全面に形成される構成となっているので、第1の導電体層SHとゲート線との間の電界E1の遮蔽効果を向上できるという格別の効果を得ることができる。
【0044】
〈実施形態3〉
図10は本発明の実施形態3の液晶表示装置における配向膜ストッパの形状を説明するための図であり、以下、図10に基づいて、実施形態3の液晶表示装置について説明する。ただし、実施形態3の液晶表示装置は、液晶の封入方式及び配向膜ストッパWSの外形形状を除く他の構成は実施形態1と同様の構成である。従って、以下の説明では、配向膜ストッパWSの外形形状について詳細に説明する。
【0045】
実施形態3の液晶表示装置は、第1基板SUB1と第2基板SUB2との固定(固着)は第2基板SUB2の周辺部に沿って塗布されたシール材SLによってなされると共に、第1基板SUB1と第2基板SUB2とで挟持される液晶の封止は、シール材SLと該シール材SLの開口部を塞ぐ封止材SMとによってなされる構成となっている。
【0046】
この構成では、第1基板SUB1と第2基板SUB2とをそれぞれ形成した後に、第2基板の周辺部に環状に塗布されたシール材SLで第1基板SUB1と第2基板SUB2とを固定する。このとき、実施形態1の液晶表示装置では、図中の上端中央部に形成されるシール材SLの開口部が液晶の封入口となっており、この開口部から液晶を封入した後に、封止材SMによりシール材SLの開口部を塞ぐ構成となっている。
【0047】
この実施形態3の液晶表示装置では、表示領域ARの周辺部の内で、封止材SMが塗布される領域ではシール材SLが除去されているので、液晶がシール材SLと重なる(オーバーラップ)することがない。従って、シール材SLが塗布されない(除去される)領域には配向膜ストッパWS1〜WS3を配置する必要がない。従って、実施形態3の構成においては、シール材SLの塗布されない領域すなわち封止材SMが塗布される領域では、配向膜ストッパWS1〜WS3を形成しない構成となっている。また、シール部SLの開口部に配向膜ストッパWSを形成しない構成とすることにより、液晶の封入時に配向膜ストッパWSにより液晶の封入が妨げられてしまうことを防止できるという効果も得られる。
【0048】
このとき、シール材SLが塗布される領域では、実施形態1と同様に、配向膜ストッパWS1〜WS3が形成される構成となっており、配向膜ストッパWS1〜WS3を形成する第1の導電体層SHとゲート線GLとの間の電界E1を大きくでき、第2の導電体層SPとゲート線GLとの間の電界E2を非常に小さくすることができるので、実施形態1と同様の効果を得ることが可能となる。なお、実施形態3の液晶表示装置に実施形態2の配向膜ストッパWS1〜WS3を形成する構成であってもよく、この場合には実施形成2と同様の効果を得られる。
【0049】
〈実施形態4〉
図11は本発明の実施形態4の液晶表示装置における配向膜ストッパの外形形状を説明するための図であり、以下、図11に基づいて、実施形態4の液晶表示装置について説明する。ただし、実施形態4の液晶表示装置は、配向膜ストッパWSの外形形状及びドレイン線DLと駆動回路とを接続する信号線を除く他の構成は実施形態1と同様の構成である。従って、以下の説明では、配向膜ストッパWSの外形形状について詳細に説明する。
【0050】
図11から明らかなように、矩形状をなす液晶表示装置の4辺の内で、駆動回路や接続端子部TMが形成される辺部であり、表示領域ARの辺縁部から第2基板SUB2の辺縁部(基板端)までの距離が長い辺部には、配向膜ストッパWS1〜WS3からなる配向膜ストッパWSが形成されない構成となっている。すなわち、表示領域ARの4辺の内で、図11中下側の辺を除く他の3辺を囲むようにして、配向膜ストッパWSがC字状に形成される構成である。この構成は、例えば、実施形態4の液晶表示装置では、Y方向(長手方向)に伸延する辺における表示領域ARの辺縁部から第1基板SUB1及び第2基板SUB2の辺縁部までの間隔をD1、X方向(短手方向)に伸延する辺における表示領域ARの辺縁部から第2基板SUB2の辺縁部までの距離をD2とした場合、D2>D1となる辺に適用可能である。
【0051】
D2>D1を満たす辺すなわち図中の上側辺及び左右の辺では、表示領域ARの辺縁部から第1基板SUB1及び第2基板SUB2の辺縁部までの距離が小さくなるので、第2基板SUB2の辺部に沿って環状に形成されるシール材から表示領域ARの辺縁部までの距離も小さくなる。これに対して、図中の下側辺では、表示領域ARの辺縁部から第2基板SUB2の辺縁部までの距離D2が大きいので、第2基板SUB2の辺部に沿って塗布されるシール材から表示領域ARの辺縁部までの距離も大きくなる。その結果、実施形態4では、表示領域ARと第2基板SUB2の辺縁部との間の領域に配向膜ストッパWS1〜WS3を設けない構成であっても、表示領域ARを覆うようにして塗布した配向膜材料が第2基板SUB2の辺縁部すなわちシール材の塗布領域にまで到達しないので、実施形態1と同様の効果を得ることが可能となる。
【0052】
また、実施形態4の構成では、表示領域ARのドレイン線DLを形成する導電性薄膜を延在して信号線とし、この信号線を用いてドレイン線DLと駆動回路または接続端子部TMとを電気的に接続できるという格別の効果を得ることができる。
【0053】
〈実施形態5〉
図12は本発明の実施形態5の液晶表示装置における配向膜ストッパの外形形状を説明するための図であり、以下、図12に基づいて、実施形態5の液晶表示装置について説明する。ただし、実施形態5の液晶表示装置は、配向膜ストッパWSの外形形状を除く他の構成は実施形態1と同様の構成である。従って、以下の説明では、配向膜ストッパWSの外形形状について詳細に説明する。
【0054】
図12から明らかなように、実施形態5の液晶表示装置は、矩形状をなす液晶表示装置の4辺の内で、Y方向に対向する2つの辺すなわち短辺側が長辺側よりも表示領域ARの辺縁部から第2基板SUB2の辺縁部(基板端)までの距離が大きく形成されている。従って、実施形態5の液晶表示装置においては、表示領域ARの辺縁部から第2基板SUB2の辺縁部(基板端)までの距離が小さい周辺部である図中左右の周辺部のみに配向膜ストッパWS1〜WS3からなる配向膜ストッパWSが形成される構成となっている。
【0055】
このとき、前述する実施形態4と同様に、表示領域ARの辺縁部から第2基板SUB2の辺縁部(基板端)までの距離が大きい辺においては、表示領域ARと第2基板SUB2の辺縁部との間の領域に配向膜ストッパWSを設けない構成であっても、表示領域ARを覆うようにして塗布した配向膜材料が第2基板SUB2の辺縁部すなわちシール材の塗布領域にまで到達しないので、実施形態1と同様の効果を得ることが可能となる。
【0056】
〈実施形態6〉
図13は本発明の実施形態6の液晶表示装置の概略構成を説明するための図であり、実施形態6の液晶表示装置は薄膜トランジスタとしてアモルファスシリコン(a−Si)を用いて、第1基板SUB1に走査信号駆動回路(ゲートドライバ)DCが形成される液晶表示装置に本願発明の配向膜ストッパWSを適用した構成となっている。なお、アモルファスシリコンを用いたゲートドライバ等の形成方法は、周知のフォトリソグラフィー技術で形成することが可能であり、その詳細な説明は省略する。
【0057】
図13から明らかなように、長手方向の周辺部PRにゲートドライバDCが形成される構成となっており、特に、各周辺部PRのゲートドライバDCの間の領域に配向膜ストッパSWが形成されている。すなわち、実施形態6の液晶表示装置では、第1のゲートドライバ(第1の走査信号駆動回路)DC1と第2のゲートドライバ(第2の走査信号駆動回路)DC2とにより、1つのゲートドライバDCが形成され、第1のゲートドライバDC1と第2のゲートドライバDC2との間の領域にY方向(長手方向)に延在する配向膜ストッパSWが形成されている。このとき、後に詳述するように、配向膜ストッパSWを形成する第2の導電体層SPの構成及びゲートドライバDCを除く他の構成は、実施形態1と同様の構成となっている。
【0058】
次に、図14に図13に示すG部すなわち実施形態6の液晶表示装置の長手方向の周辺部の拡大図、図15に図14に示すH部すなわち実施形態6の配向膜ストッパの拡大図を示し、以下、図14及び図15に基づいて、実施形態6の配向膜ストッパWSの詳細構成を説明する。
【0059】
図14に示すように、表示領域ARの周辺部PRに第1のゲートドライバDC1と第2のゲートドライバDC2とからなるゲートドライバDCが形成されている。第1のゲートドライバDC1と第2のゲートドライバDC2との間の領域には、第1の導電体層SHと第2の導電体層SPからなる配向膜ストッパSWがY方向(長手方向)に伸延して配置されている。また、第1のゲートドライバDC1と第2のゲートドライバDC2とは、配向膜ストッパSWと交差する信号線SIG1によって電気的に接続されている。このとき、表示領域ARから延在されるゲート線GLは、表示領域ARを超えて周辺部PRの側に延在され、コンタクトホールCHを介して第1のゲートドライバDC1から延在される信号線と電気的に接続されている。また、第2のゲートドライバDC2には一端が端子部TMに接続され信号線SIG2を介して制御信号が入力されており、第1のゲートドライバDC1と第2のゲートドライバDC2とからなるゲートドライバDCにより、制御信号に応じた走査信号を生成する構成となっている。特に、実施形態6の液晶表示装置では、第2のゲートドライバDC2よりも第1基板SUB1及び第2基板SUB2の辺縁部SEDに近い側に信号線SIG2が形成される構成となっている。この構成により、配向膜ストッパSWと交差する信号線数を低減させる構成となっている。
【0060】
配向膜ストッパSWは、図15の拡大図に示すように、X方向に伸延しY方向に並設される信号線SIG1に対して、直交するように延在する構成となっている。このとき、実施形態6の配向膜ストッパSWは、1本の第2の導電体層SPと、該第2の導電体層SPと信号線SIG1との間に薄膜層に形成される第1の導電体層SHと、から構成されている。この構成により、第1のゲートドライバDC1と第2のゲートドライバDC2とが一体となって構成されるゲートドライバDCの信号線SIG1の距離を短く形成することを可能としている。
【0061】
このとき、第1の導電体層SHの電圧をV2、第2の導電体層SPの電圧をV3、図15中に示す4本の信号線SIG1の電圧を上側から順番にV1,V1a,V1b,V1cとした場合、V2=V3である。また、V1≠V2であり、V1a,V1b,V1cはV2と同じであっても、異なっていてもよい。
【0062】
この電圧が印加される場合、図15のI−I’線での断面図である図16に示すように、信号線SIG1と第1の導電体層SHとの間には大きな電界E1が生じることとなり、信号線SIG1と第2の導電体層SPとの間に生じる電界E2を抑制することが可能となる。その結果、配向膜ストッパSWが信号線SIG1と交差する場合であっても、実施形態1と同様に、信号線SIG1と第2の導電体層SPとの間の電界E2に起因する当該信号線SIG1の腐食を防止できる。
【0063】
なお、実施形態6の構成では、表示領域AR及び第1のゲートドライバDC1を囲むようにして環状の配向膜ストッパSWを形成する構成としたが、これに限定されることはなく、実施形態3〜5に示すように配向膜ストッパを形成してもよい。また、配向膜ストッパSWとして1本の第2の導電体層SPを形成する構成としたが、2本以上の第2の導電体層SPを備える構成であってもよい。
【0064】
〈実施形態7〉
図17は本発明の実施形態7の液晶表示装置における周辺部の拡大図、図18は従来の液晶表示装置における周辺部の拡大図、図19は図18に示すJ−J’線での断面図である。ただし、図17及び図18に示す走査信号駆動回路(ゲートドライバ)DCは、接続端子部TMからの制御信号が入力される制御信号線CTLが第1基板SUB1の辺部側に配置され、該制御信号線CTLと表示領域ARとの間の領域に当該走査信号駆動回路DCが形成される。また、実施形態7の液晶表示装置では、表示領域ARの周辺部PRに配置される走査信号駆動回路DCが形成される領域により、シール領域への配向膜形ORIの形成を防止する構成となっている。従って、走査信号駆動回路DCが形成されていない辺部には、前述する実施形態に示す配向膜ストッパを形成する構成であってもよい。
【0065】
図17に示すように、実施形態7の液晶表示装置では、周辺部PRに走査信号駆動回路DCが形成される構成となっている。該走査信号駆動回路DCは、図示しない接続端子部から延在される制御信号線CTLからの制御信号に基づいて、各ゲート線GLの位置に対応したタイミングの走査信号を形成する構成となっている。このために、走査信号駆動回路DCが形成される領域では、当該走査信号駆動回路DCを構成する複数の薄膜トランジスタTFTが形成される部分と、該薄膜トランジスタTFT等を電気的に接続するための配線のみが形成される部分等では、第1基板SUB1の液晶側の面への突出量が大きく異なり、基板表面に大きな段差が形成されることとなっている。
【0066】
一方、各ゲート線GLに接続され、その形成位置に対応した走査信号を生成する回路(以下、走査信号生成回路と記す)は薄膜トランジスタTFTや容量の構造や形成位置もほぼ同一の回路構成となっており、この同一構成の走査信号生成回路がゲート線GLの並設方向であるY方向に並設され、走査信号線駆動回路DCを形成している。
【0067】
各走査信号生成回路は制御信号線CTLからの走査信号が直接入力される2以上の薄膜トランジスタTFTを備えると共に、制御信号線CTLに接続される信号線を短くすることによって、寄生容量を減らして制御信号線CTLでの基準信号の信号遅れを最小とする構成としている。また、回路駆動能力が大きく専有面積の大きい薄膜トランジスタTFTを制御信号線CTLの近くに形成して、信号線長さを小さくすると共に、他の比較的小さい薄膜トランジスタTFTは表示領域ARに近い側に形成される構成となっている。さらには、制御信号線CTLと他の信号線との交差を低減させるために、制御信号線CTLは第1基板SUB1の辺縁部の側に配置されている。
【0068】
また、実施形態7の走査信号駆動回路DCでは、隣接する走査信号生成回路との間の領域に、表示領域ARに近い側の薄膜トランジスタTFTと制御信号線CTLとを接続するための信号線SIG3を形成する構成としている。この信号線SIG3は制御信号線CTLに近い領域においては、図17中にWPで示すように、Y方向に延在する信号線をX方向に屈曲させ延在させた後に、再びY方向に屈曲させてY方向に延在させる、クランク形状としている。
【0069】
さらには、この信号線SIG3が配置される領域では、クランク形状の部分よりも表示領域ARに近い部分すなわち配向膜材料が塗布される側に、信号線SIG3と交差する薄膜層CVを形成する構成としている。特に、実施形態7の構成では、制御信号線CTLに近接する薄膜トランジスタTFTに隣接配置される容量素子を形成するための一方の電極となる透明導電膜層を用いて薄膜層CVを形成している。この構成により、隣接する薄膜トランジスタTFTとの間に形成される信号線SIG3に沿って形成され、この隣接する2つの薄膜トランジスタTFTの形成される膜厚が比較的厚い領域に挟まれる凹状(溝状)の領域に、液晶面側すなわち薄膜層の厚さ方向に突出する凸状領域を形成する構成としている。
【0070】
この場合、図19に示すように、隣接する薄膜トランジスタTFTとの間に直線状の信号線SIG4を形成した場合には凹状の溝部が形成されるので、表示領域ARを覆うように塗布された液体状の配向膜材料ORMは、図18中に示す矢印SW4に沿って制御信号線CTL方向に伸延してしまうこととなる。このために、シール材を塗布するための領域に配向膜が形成されてしまうこととなる。
【0071】
これに対して、実施形態7の構成では、図17中の矢印SW1に示すように、表示領域ARに塗布された液体状の配向膜材料の一部は信号線SIG3が形成される凹状の領域に沿って伸延することとなる。ここで、実施形態7においては、信号線SIG3に沿って伸延した配向膜材料は薄膜層CVで形成される凸状領域では、信号線SIG3に交差するようにして透明導電膜が形成されているので、2つの薄膜トランジスタTFTにより形成される凹状の溝部分の深さが透明導電膜の厚さ分だけ浅く形成されている。従って、図17中の矢印SW2に示すように、信号線SIG3に沿って伸延した配向膜材料は大きく減少することとなる。この後に、実施形態7の構成では、配向膜材料はクランク状に形成される領域WPを通過することとなるので、矢印SW3に示すように、さらに減少することとなり、このクランク状の領域WPで止まることとなる。
【0072】
その結果、制御信号線CTLが形成される領域やシール材が塗布される領域に配向膜が形成されることが防止できるので、シール材により密着性を向上させることが可能となり、その結果、液晶表示装置の信頼性を向上させることができる。
【0073】
なお、実施形態7の液晶表示装置では、隣接配置される薄膜トランジスタTFTとの間に形成される凹部領域と信号線SIG3とが一致する場合について説明したが、Y方向に延在して形成される他の凹部領域に本願発明を適用可能である。この場合には、凹部領域と交差するようにして薄膜層を形成することにより、凹部領域に液晶面側に突出する凸状体を形成すると共に、クランク状の領域WPを形成することにより、前述する効果を得ることができる。
【0074】
以上、本発明者によってなされた発明を、前記発明の実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記発明の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0075】
SUB1……第1基板、SUB2……第2基板、AR……表示領域、SL……シール材
TM……接続端子部、CL……コモン線、GL……ゲート線、DL……ドレイン線
TFT……薄膜トランジスタ、PX……画素電極、CT……共通電極、SED……基板端
WS,WS1〜WS3……配向膜ストッパ、ST……ソース電極、AS……半導体層
SLT……スリット、SH,SH1……第1の導電体層、SP……第2の導電体層
PAS1,PAS2……絶縁膜、PR……周辺部、CH……コンタクトホール
ORI……配向膜 SM……封止材、DC……走査信号駆動回路、CTL……制御信号線
DC1……第1の走査信号駆動回路、DC2……第2の走査信号駆動回路
SIG1,SIG2,SIG3,SIG4……信号線
CV……薄膜層、ORM……配向膜材料
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X方向に延在しY方向に並設される走査信号線と、Y方向に延在しX方向に並設される映像信号線とが形成される第1基板と、液晶層を介して前記第1基板と対向配置される第2基板とを有し、前記走査信号線と前記映像信号線で囲まれる領域を画素の領域とし、前記画素がマトリクス状に配置される領域を表示領域とし、前記第2基板の辺縁部に沿って形成されるシール材により、前記第1基板と前記第2基板とが固定されると共に、前記液晶層が封止され、前記第1基板は前記第2基板よりも大きく形成され、前記第2基板より露出される領域に接続端子部が形成される液晶表示装置であって、
前記表示領域よりも外側の領域に形成され、少なくとも前記表示領域の2つの異なる辺に沿って形成される配向膜ストッパを有し、
前記配向膜ストッパは液状の配向膜材料に対して疎水性を有する薄膜材料からなり、前記配向膜ストッパの塗布時において、前記第1基板側の最上層に形成される第2の導電体層SPと、絶縁膜を介して前記第2の導電体層SPの下層に配置され、前記第2の導電体層SP側から平面的に見て前記第2の導電体層SPの長手方向の辺縁部が露出するように配置される第1の導電体層SHとからなり、
前記第1の導電体層SHが前記表示領域の辺部に配置される信号線と前記第2の導電体層SPとの間の薄膜層に形成されてなることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記配向膜ストッパは、前記表示領域の対向する2つの辺に沿って配置され、前記表示領域を挟むように配置される1対の線状形状をなす配向膜ストッパからなることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記配向膜ストッパは、前記表示領域の少なくとも3辺に沿って形成されるC字形状をなすことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記配向膜ストッパは、前記接続端子部の形成される辺を除く他の3辺に沿って形成されることを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記配向膜ストッパは、前記表示領域を囲むように形成される環状をなすことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記配向膜ストッパは、1つの前記第2の導電体層の下層に形成される1つの前記第1の導電体層からなることを特徴とする請求項1乃至5の内の何れかに記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記配向膜ストッパは、2つ以上の前記第2の導電体層に下層に形成される1つの前記第1の導電体層からなることを特徴とする請求項1乃至5の内の何れかに記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記表示領域の辺部に形成され、前記画素の形成と同じ工程で形成される前記走査信号又は/及び前記映像信号を生成する駆動回路を備え、
前記駆動回路は前記表示領域に近接する第1の駆動回路と、前記第1基板の辺縁部に近接する第2の駆動回路とからなり、
前記配向膜ストッパが前記第1の駆動回路と前記第2の駆動回路との間の領域に形成されてなることを特徴とする請求項1乃至7の内の何れに記載の液晶表示装置。
【請求項9】
X方向に延在しY方向に並設される走査信号線と、Y方向に延在しX方向に並設される映像信号線とが形成される第1基板と、液晶層を介して前記第1基板と対向配置される第2基板とを有し、前記走査信号線と前記映像信号線で囲まれる領域を画素の領域とし、前記画素がマトリクス状に配置される領域を表示領域とし、前記第2基板の辺縁部に沿って形成されるシール材により、前記第1基板と前記第2基板とが固定されると共に、前記液晶層が封止され、前記第1基板は前記第2基板よりも大きく形成され、前記第2基板より露出される領域に接続端子部が形成される液晶表示装置であって、
前記表示領域の辺部に形成されると共に、前記画素の形成と同じ工程で形成される薄膜トランジスタにより形成され、前記走査信号又は/及び前記映像信号を生成する駆動回路と、
前記接続端子部と前記駆動回路とを電気的に接続する制御信号線とを備え、
前記駆動回路の形成領域において複数の前記薄膜トランジスタとの間の領域に形成され、前記制御信号線の形成領域に至る溝部が形成され、
前記溝部が屈曲して前記制御信号線に至る屈曲領域を有すると共に、前記屈曲領域よりも前記表示領域に近い領域に形成され、当該溝部の底面部が前記液晶面側に突出する凸状領域を有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項10】
前記凸状領域は、前記溝部に交差して形成される薄膜層からなることを特徴とする請求項9に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記溝部は前記薄膜トランジスタと前記制御信号線とを電気的に接続する信号線に沿って形成され、
前記溝部に交差する薄膜層は前記駆動回路を構成する回路素子の一部が延在した薄膜層であることを特徴とする請求項10に記載の液晶表示装置。
【請求項1】
X方向に延在しY方向に並設される走査信号線と、Y方向に延在しX方向に並設される映像信号線とが形成される第1基板と、液晶層を介して前記第1基板と対向配置される第2基板とを有し、前記走査信号線と前記映像信号線で囲まれる領域を画素の領域とし、前記画素がマトリクス状に配置される領域を表示領域とし、前記第2基板の辺縁部に沿って形成されるシール材により、前記第1基板と前記第2基板とが固定されると共に、前記液晶層が封止され、前記第1基板は前記第2基板よりも大きく形成され、前記第2基板より露出される領域に接続端子部が形成される液晶表示装置であって、
前記表示領域よりも外側の領域に形成され、少なくとも前記表示領域の2つの異なる辺に沿って形成される配向膜ストッパを有し、
前記配向膜ストッパは液状の配向膜材料に対して疎水性を有する薄膜材料からなり、前記配向膜ストッパの塗布時において、前記第1基板側の最上層に形成される第2の導電体層SPと、絶縁膜を介して前記第2の導電体層SPの下層に配置され、前記第2の導電体層SP側から平面的に見て前記第2の導電体層SPの長手方向の辺縁部が露出するように配置される第1の導電体層SHとからなり、
前記第1の導電体層SHが前記表示領域の辺部に配置される信号線と前記第2の導電体層SPとの間の薄膜層に形成されてなることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記配向膜ストッパは、前記表示領域の対向する2つの辺に沿って配置され、前記表示領域を挟むように配置される1対の線状形状をなす配向膜ストッパからなることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記配向膜ストッパは、前記表示領域の少なくとも3辺に沿って形成されるC字形状をなすことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記配向膜ストッパは、前記接続端子部の形成される辺を除く他の3辺に沿って形成されることを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記配向膜ストッパは、前記表示領域を囲むように形成される環状をなすことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記配向膜ストッパは、1つの前記第2の導電体層の下層に形成される1つの前記第1の導電体層からなることを特徴とする請求項1乃至5の内の何れかに記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記配向膜ストッパは、2つ以上の前記第2の導電体層に下層に形成される1つの前記第1の導電体層からなることを特徴とする請求項1乃至5の内の何れかに記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記表示領域の辺部に形成され、前記画素の形成と同じ工程で形成される前記走査信号又は/及び前記映像信号を生成する駆動回路を備え、
前記駆動回路は前記表示領域に近接する第1の駆動回路と、前記第1基板の辺縁部に近接する第2の駆動回路とからなり、
前記配向膜ストッパが前記第1の駆動回路と前記第2の駆動回路との間の領域に形成されてなることを特徴とする請求項1乃至7の内の何れに記載の液晶表示装置。
【請求項9】
X方向に延在しY方向に並設される走査信号線と、Y方向に延在しX方向に並設される映像信号線とが形成される第1基板と、液晶層を介して前記第1基板と対向配置される第2基板とを有し、前記走査信号線と前記映像信号線で囲まれる領域を画素の領域とし、前記画素がマトリクス状に配置される領域を表示領域とし、前記第2基板の辺縁部に沿って形成されるシール材により、前記第1基板と前記第2基板とが固定されると共に、前記液晶層が封止され、前記第1基板は前記第2基板よりも大きく形成され、前記第2基板より露出される領域に接続端子部が形成される液晶表示装置であって、
前記表示領域の辺部に形成されると共に、前記画素の形成と同じ工程で形成される薄膜トランジスタにより形成され、前記走査信号又は/及び前記映像信号を生成する駆動回路と、
前記接続端子部と前記駆動回路とを電気的に接続する制御信号線とを備え、
前記駆動回路の形成領域において複数の前記薄膜トランジスタとの間の領域に形成され、前記制御信号線の形成領域に至る溝部が形成され、
前記溝部が屈曲して前記制御信号線に至る屈曲領域を有すると共に、前記屈曲領域よりも前記表示領域に近い領域に形成され、当該溝部の底面部が前記液晶面側に突出する凸状領域を有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項10】
前記凸状領域は、前記溝部に交差して形成される薄膜層からなることを特徴とする請求項9に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記溝部は前記薄膜トランジスタと前記制御信号線とを電気的に接続する信号線に沿って形成され、
前記溝部に交差する薄膜層は前記駆動回路を構成する回路素子の一部が延在した薄膜層であることを特徴とする請求項10に記載の液晶表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2013−80184(P2013−80184A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221252(P2011−221252)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(502356528)株式会社ジャパンディスプレイイースト (2,552)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(502356528)株式会社ジャパンディスプレイイースト (2,552)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]