説明

液晶部材の偏光解消度測定方法、それを用いたカラーフィルタの製造方法、カラーフィルタ用着色組成物およびカラーフィルタ

【課題】液晶表示装置に用いられる液晶部材のコントラストに与える影響を正確かつ安定的に評価すること。
【解決手段】液晶表示装置の偏光板の間に配置される液晶部材の偏光解消度測定方法であって、2枚の測定用偏光板と、測定対象である上記液晶部材とを準備し、上記2枚の測定用偏光板を直交ニコルの関係となるように配置して測定した透過光量をT90、前記2枚の測定用偏光板の間に液晶部材を配置して、測定した透過光量をH90、上記2枚の測定用偏光板を平行ニコルの関係に配置して測定した透過光量をT0、前記2枚の測定用偏光板の間に液晶部材を配置して、測定した透過光量をH0とし、得られた透過光量H90、H0、T90およびT0を用いて、下記式(1)により偏光解消度を求めることを特徴とする液晶部材の偏光解消度測定方法。偏光解消度=1−(((H0−H90)×(T0+T90))/((H0+H90)×(T0−T90)))(1)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶部材の偏光解消度を測定することができる液晶部材の偏光解消度測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置に用いられるカラーフィルタは、一般的に、透明基板上に形成され、赤、緑、青の三原色の着色パターンからなる着色層を有するものである。
このようなカラーフィルタに含まれる着色層の要求特性として、高コントラスト比を挙げることができる。
【0003】
ここで、コントラスト比とは、最大輝度(白)と、最小輝度(黒)との輝度の比を表すものであり、この値が大きいと鮮明な画像表示、すなわち、高コントラストな液晶表示とすることができると判断される。このようなコントラスト比の測定方法としては、通常、直交ニコルの関係となるように配置された2枚の測定用偏光板の間にカラーフィルタの着色層を配置して透過光量H90を測定し、次いで、平行ニコルの関係となるように配置された2枚の測定用偏光板の間に液晶部材を配置して透過光量H0を測定し、得られたH0およびH90の比(H0/H90)を計算することにより求められる(特許文献1)。
【0004】
しかしながら、同一のカラーフィルタであっても、測定機関によってコントラスト比の値がばらつくことがあり、コントラスト比を安定して正確に評価することができないといった問題があった。また、このようなことから、液晶表示装置に用いられた場合のカラーフィルタがコントラストに与える影響を正確に評価することができないといった問題があった。
また、これは、液晶表示装置の2枚の偏光板の間に配置される部材である液晶部材であれば、同種の問題が生じるものであり、早期の解決が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−153698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、液晶表示装置に用いられた場合のコントラストに与える液晶部材の影響を正確にかつ安定的に評価することができる液晶部材の偏光解消度測定方法を提供することを主目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記課題を解決すべく研究を重ねた結果、同一の液晶部材を評価した場合であってもコントラスト比測定に用いる測定用偏光板の偏光度がばらつくことにより結果がばらつくこと、および、測定用偏光板の偏光度の影響が除かれた評価である偏光解消度を用いることにより、液晶表示装置に用いられた場合のコントラストに与える液晶部材の影響を正確かつ安定的に評価できることを見出し、本発明を完成させるに至ったのである。
【0008】
すなわち、本発明は、液晶表示装置の偏光板の間に配置される部材である液晶部材の偏光解消度を測定するための偏光解消度測定方法であって、2枚の測定用偏光板と、測定対象である上記液晶部材とを準備し、上記2枚の測定用偏光板を直交ニコルの関係となるように配置して測定した透過光量をT90とし、上記直交ニコルの関係となるように配置された上記2枚の測定用偏光板の間に上記液晶部材を配置して、測定した透過光量をH90とし、上記2枚の測定用偏光板を平行ニコルの関係となるように配置して測定した透過光量をT0とし、上記平行ニコルの関係となるように配置された上記2枚の測定用偏光板の間に上記液晶部材を配置して、測定した透過光量をH0とし、得られた透過光量H90、H0、T90およびT0を用いて、下記式(1)により偏光解消度を求めることを特徴とする液晶部材の偏光解消度測定方法を提供する。
偏光解消度=1−(((H0−H90)×(T0+T90))/((H0+H90)×(T0−T90)))(1)
【0009】
本発明によれば、偏光板等の他の部材の影響を含まない偏光解消度を得ることができるため、液晶表示装置に用いられた場合のコントラストに与える液晶部材の影響を正確にかつ安定的に評価することができる。
【0010】
本発明においては、上記透過光量H90、H0、T90およびT0を、JIS Z8701による視感度補正により変換された明度として用いることが好ましい。上記偏光解消度の評価が容易となるからである。
【0011】
透明基板上に調整用カラーフィルタ用着色組成物を用いて調整用着色層を形成する調整用着色層形成工程と、上記調整用着色層の偏光解消度を、上述した液晶部材の偏光解消度測定方法を用いて測定する偏光解消度測定工程と、上記偏光解消度測定工程により得られた偏光解消度を用いて上記調整用カラーフィルタ用着色組成物の組成を調整する調整工程と、を有することを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物の処方決定方法を提供する。
【0012】
本発明によれば、上記偏光解消度測定工程が上述した液晶部材の偏光解消度測定方法を用いるものであることより、液晶表示装置に用いられた場合に高コントラストなものとすることができる着色層を形成可能な組成を精度良く決定することができる。
【0013】
本発明においては、上記調整工程により調整される調整用カラーフィルタ用着色組成物の目標偏光解消度が、上述した液晶部材の偏光解消度測定方法を用いて計算される偏光解消度として、0.01以下であることが好ましい。
液晶表示装置に用いられた場合に高コントラストなものとすることができるからである。
【0014】
本発明においては、上記調整用着色層の膜厚が、製造する着色層の膜厚±10%の範囲内であることが好ましい。より精度良くカラーフィルタ用着色組成物の組成を決定することができるからである。
【0015】
本発明は、上述したカラーフィルタ用着色組成物の処方決定方法を用いて決定された組成に基づいてカラーフィルタ用着色組成物を調製するカラーフィルタ用着色組成物の製造方法を提供する。
【0016】
本発明によれば、上述したカラーフィルタ用着色組成物の処方決定方法を用いるものであるため、液晶表示装置に用いられた場合に高コントラストなものとすることができる着色層を形成可能なものとすることができる。
【0017】
本発明は、透明基板上に上述したカラーフィルタ用着色組成物の製造方法により製造されたカラーフィルタ用着色組成物を用いて着色層を形成する着色層形成工程を有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法を提供する。
【0018】
本発明によれば、上記着色層形成工程が、上述したカラーフィルタ用着色組成物の製造方法により製造されたカラーフィルタ用着色組成物を用いるものであるため、液晶表示装置に用いられた場合に高コントラストなものとすることができる。
【0019】
本発明は、少なくとも透明基板上に着色層を形成する着色層形成工程を有するカラーフィルタの製造方法であって、上記着色層形成工程で形成される着色層の偏光解消度を、上述した液晶部材の偏光解消度測定方法を用いて測定し、着色層の偏光解消度を検査する検査工程を有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法を提供する。
【0020】
本発明によれば、上記検査工程が、上述した液晶部材の偏光解消度測定方法を用いるものであるため、形成された着色層の、液晶表示装置に用いられた場合のコントラストに与える影響を正確にかつ安定的に評価することができる。このため、液晶表示装置を所望のコントラストとすることができるカラーフィルタを安定的に得ることができる。
【0021】
本発明は、上述の液晶部材の偏光解消度測定方法を用いて測定された偏光解消度が0.0001以下であることを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物を提供する。
【0022】
本発明によれば、上記偏光解消度が0.0001以下であることにより、液晶表示装置に用いられた場合に高コントラストなものとすることができる。
【0023】
本発明は、上述のカラーフィルタ用着色組成物を用いて形成された着色層を有することを特徴とするカラーフィルタを提供する。
【0024】
本発明によれば、上記着色層が、上記偏光解消度が0.0001以下のカラーフィルタ用着色組成物を用いたものであることにより高コントラストなものとすることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、液晶表示装置に用いられた場合のコントラストに与える液晶部材の影響を正確にかつ安定的に評価することができる液晶部材の偏光解消度測定方法を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の液晶部材の偏光解消度測定方法の一例を示す工程図である。
【図2】本発明のカラーフィルタの製造方法の第2態様の一例を示す工程図である。
【図3】実施例1の透過光量の測定結果を示すグラフである。
【図4】実施例2の透過光量の測定結果を示すグラフである。
【図5】実施例3の透過光量の測定結果を示すグラフである。
【図6】実施例4の透過光量の測定結果を示すグラフである。
【図7】実施例5の透過光量の測定結果を示すグラフである。
【図8】実施例6の透過光量の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、液晶部材の偏光解消度測定方法、それを用いたカラーフィルタ用着色組成物の処方決定方法、カラーフィルタ用着色組成物の製造方法、カラーフィルタの製造方法、カラーフィルタ用着色組成物およびカラーフィルタに関するものである。
以下、本発明の液晶部材の偏光解消度測定方法、カラーフィルタ用着色組成物の処方決定方法、カラーフィルタ用着色組成物の製造方法、カラーフィルタの製造方法、カラーフィルタ用着色組成物およびカラーフィルタについて説明する。
【0028】
A.液晶部材の偏光解消度測定方法
まず、本発明の液晶部材の偏光解消度測定方法について説明する。本発明の液晶部材の偏光解消度測定方法は、液晶表示装置の偏光板の間に配置される部材である液晶部材の偏光解消度を測定するための偏光解消度測定方法であって、2枚の測定用偏光板と、測定対象である上記液晶部材とを準備し、上記2枚の測定用偏光板を直交ニコルの関係となるように配置して測定した透過光量をT90とし、上記直交ニコルの関係となるように配置された上記2枚の測定用偏光板の間に上記液晶部材を配置して、測定した透過光量をH90とし、上記2枚の測定用偏光板を平行ニコルの関係となるように配置して測定した透過光量をT0とし、上記平行ニコルの関係となるように配置された上記2枚の測定用偏光板の間に上記液晶部材を配置して、測定した透過光量をH0とし、得られた透過光量H90、H0、T90およびT0を用いて、下記式(1)により偏光解消度を求めることを特徴とするものである。
偏光解消度=1−(((H0−H90)×(T0+T90))/((H0+H90)×(T0−T90)))(1)
【0029】
このような本発明の液晶部材の偏光解消度測定方法を、図を参照して説明する。図1は、本発明の液晶部材の偏光解消度測定方法の一例を示す工程図である。まず、図1(a)に示すように、2枚の測定用偏光板(P1およびP2)を準備し、上記2枚の測定用偏光板(P1およびP2)を直交ニコルの関係となるように配置して透過光量を測定し、得られた透過光量をT90とし、次いで、上記直交ニコルの関係となるように配置された上記2枚の測定用偏光板(P1およびP2)の間に測定対象の液晶部材として透明基板上に形成された着色層3を配置して透過光量を測定し(図1(b))、得られた透過光量をH90とする。その後、上記2枚の測定用偏光板(P1およびP2)を平行ニコルの関係となるように配置して透過光量を測定し(図1(c))、得られた透過光量をT0とし、上記平行ニコルの関係となるように配置された上記2枚の測定用偏光板(P1およびP2)の間に上記透明基板上に形成された着色層3を配置して透過光量を測定し(図1(d))、得られた透過光量をH0とする。そして、得られた透過光量H90、H0、T90およびT0を用いて、上記式(1)により偏光解消度を求めるものである。
なお、この例においては、透過光量をT90、H90、T0、H0の順で測定するものであるが、この透過光量の測定順は例示であり、透過光量T90、H90、T0およびH0の全てが測定されるのであれば特に限定されるものではない。
【0030】
従来の液晶表示装置に用いられた場合のコントラストに与える液晶部材の影響についての評価方法としては、上述したように、最大輝度(白)と、最小輝度(黒)との輝度の比を表すコントラストが用いられ、このコントラスト比の測定方法としては、通常、直交ニコルの関係となるように配置された2枚の測定用偏光板の間に液晶部材を配置して透過光量H90を測定し、次いで、平行ニコルの関係となるように配置された2枚の測定用偏光板の間に液晶部材を配置して透過光量H0を測定し、その比(H0/H90)を計算することにより求められる。
しかしながら、液晶部材の偏光解消度をdとし、測定用偏光板の偏光度をPとすると、コントラスト比(H0/H90)は、以下の式(2)で表されることになる。
H0/H90=(1+(1−d)P)/(1−(1−d)P)(2)
この式(2)より示されるように、コントラスト比(H0/H90)は、液晶部材のもつ偏光解消度dおよび測定用偏光板の偏光度Pがパラメータとして含まれている。このため、同一の液晶部材を評価した場合であっても、測定機関が異なる場合、すなわち、コントラスト比の測定に用いる測定用偏光板として偏光度Pが異なるものを用いた場合には、測定結果が異なるものになる。
【0031】
一方、本発明によれば、上記式(1)より、液晶部材の偏光解消度を求めることができる。
ここで、液晶部材の偏光解消度をdとし、測定用偏光板の偏光度をPとすると、2枚の測定用偏光板の間に液晶部材が配置された場合の偏光度であるDOP1および2枚の測定用偏光板のみを配置した場合の偏光度であるDOP2は、以下の式(3)および(4)で表すことができる。
【0032】
【数1】

【0033】
そうすると、上記式(1)は、式(3)および(4)よりd=1−(DOP1/DOP2)で表すことができ、これによれば、測定用偏光板の偏光度P等の他の部材の影響が含まれないものであることがわかる。
したがって、このような偏光解消度を用いた場合には、液晶表示装置に用いられた場合のコントラストに与える液晶部材の影響を正確にかつ安定的に評価することができるのである。
【0034】
以下、本発明の液晶部材の偏光解消度測定方法について説明する。
【0035】
1.測定用偏光板
本発明に用いられる測定用偏光板としては、入射した光を偏光させることができるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、ポリビニルアルコールからなる偏光子と、上記偏光子の両面に形成された接着層と、上記偏光子の両面であり、上記接着層上に形成された偏光板保護フィルムとを有するものを用いることができる。
なお、このような偏光子、接着層、および偏光板保護フィルムとしては、液晶表示装置に一般的に用いられるものを使用することができる。
【0036】
本発明における測定用偏光板は、透過光量測定時に2枚同時に用いられるものであるが、このような2枚の偏光板は、同一の偏光度を有するものであっても良く、異なる偏光度を有するものであっても良い。
【0037】
2.液晶部材
本発明に用いられる液晶部材としては、液晶表示装置において偏光板の間に配置され、コントラストに影響を与える部材、すなわち、偏光解消性を有する部材であれば良く、具体的には、カラーフィルタの着色層、ITO等の透明電極、光学フィルム、配向膜、液晶層(液晶材料)等を挙げることができる。
本発明においては、なかでも、カラーフィルタの着色層であることが好ましい。カラーフィルタの着色層は、液晶表示装置のコントラストに与える影響が大きいため、その与える影響を安定的に評価する方法の要求度が高いからである。
【0038】
3.透過光量の測定方法
本発明における透過光量H90、H0、T90およびT0の測定方法としては、上記透過光量H90、H0、T90およびT0を精度良く測定することができる方法であれば特に限定されるものではないが、通常、光を照射する光源と、上記液晶部材および/または測定用偏光板と、光源から照射され、上記偏光板および液晶部材を透過してきた光を検出する検出部と、を用いる方法が用いられる。
なお、本発明における偏光解消度の測定対象である液晶部材が、カラーフィルタの着色層を構成する画素部のように面積が小さいものである場合には、微小領域を精度良く測定することができる顕微分光法を用いることが好ましい。
【0039】
(1)光源
本発明に用いられる光源としては、上記液晶部材および/または測定用偏光板に照射する光量を精度良く制御することができるものであれば特に限定されるものではないが、偏光解消度の計算に透過光量H90、H0、T90およびT0として、後述するような視感度補正した明度を用いる場合には、標準光源を用いることが好ましい。
このような標準光源としては、具体的には、D65光源、A光源、C光源等を挙げることができる。
【0040】
本発明に用いられる光源から測定対象への光の照射は、通常、液晶部材に照射される光が平行光となるように光学系を介して照射されることが好ましい。精度良く透過光量を測定することができるからである。
【0041】
(2)検出部
本発明に用いられる検出部としては、上記光源から照射され、上記液晶部材および/または測定用偏光板を透過した透過スペクトルを検出することができるものであれば特に限定されるものではないが、偏光解消度の計算に透過光量H90、H0、T90およびT0を、後述するような視感度補正した明度として用いる場合には、380nm〜780nmの波長範囲の透過スペクトルを精度良く検出できるものであることが好ましい。
このような波長範囲の透過スペクトルを検出できる検出器としては、例えば、光電子増倍管を用いることができる。
【0042】
(3)配置方法
本発明における、上記光源、上記液晶部材および/または測定用偏光板、および検出部の配置方法としては、上記透過光量H90、H0、T90およびT0を精度良く測定することができる方法であれば特に限定されるものではないが、通常、上記光源および検出部を結ぶラインと、上記液晶部材および/または測定用偏光板の面とが垂直となるように配置される。
【0043】
本発明においては、透過光量T90の測定は、上記2枚の測定用偏光板が直交ニコルの関係となるように配置され、透過光量H90の測定は、上記直交ニコルの関係となるように配置された上記2枚の測定用偏光板の間に上記液晶部材が配置され、透過光量T0の測定は、上記2枚の測定用偏光板が平行ニコルの関係となるように配置され、透過光量H0の測定は、上記平行ニコルの関係となるように配置された上記2枚の測定用偏光板の間に上記液晶部材が配置される。
このような透過光量H90、H0、T90およびT0の測定時における、上記2枚の測定用偏光板の間の部材の配置状態としては、上記液晶部材の配置の有無以外は同一の測定条件となる配置状態であれば特に限定されるものではないが、通常、測定対象である上記液晶部材以外の部材が配置されない状態とされる。
なお、上記液晶部材の配置の有無以外は同一の測定条件となる配置状態とは、測定用偏光板の間を透過する光に対する液晶部材以外の影響が同一となる配置状態をいうものであり、具体的には、上記2枚の測定用偏光板の間に上記液晶部材以外の部材が配置される場合、透過光量H90、H0、T90およびT0のいずれの測定時にも同一部材が同一状態で配置されることをいうものである。
【0044】
4.偏光解消度の計算方法
本発明における偏光解消度は、得られた透過光量H90、H0、T90およびT0を上記式(1)に代入し計算することにより得ることができる。
【0045】
ここで、上記透過光量H90、H0、T90およびT0は、通常、光の波長に依存する透過スペクトルとして測定される。
したがって、このような測定された透過光量をそのまま用いた場合には、得られる偏光解消度についても、光の波長に依存する関数として表されることになる。
本発明においては、偏光解消度をこのような光の波長に依存する関数として求めるものであっても良いが、透過光量H90、H0、T90およびT0を、JIS Z8701による視感度補正により変換された明度(視感度補正した明度)として用いるものであることが好ましい。光の波長に依存する関数ではなく、数値として偏光解消度を表すことができるため、上記偏光解消度の評価が容易となるからである。
【0046】
B.カラーフィルタ用着色組成物の処方決定方法
次にカラーフィルタ用着色組成物の処方決定方法について説明する。本発明のカラーフィルタ用着色組成物の処方決定方法は、透明基板上に調整用カラーフィルタ用着色組成物を用いて調整用着色層を形成する調整用着色層形成工程と、上記調整用着色層の偏光解消度を、上述した液晶部材の偏光解消度測定方法を用いて測定する偏光解消度測定工程と、上記偏光解消度測定工程により得られた偏光解消度を用いて上記調整用カラーフィルタ用着色組成物の組成を調整する調整工程と、を有することを特徴とするものである。
【0047】
本発明によれば、上記偏光解消度測定工程が上述した液晶部材の偏光解消度測定方法を用いるものであることより、液晶表示装置に用いられた場合に高コントラストなものとすることができる着色層を形成可能な組成を精度良く決定することができる。
【0048】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物の処方決定方法は、上記調整用着色層形成工程、偏光解消度測定工程および調整工程をこの順で行なうものである。
以下、本発明のカラーフィルタ用着色組成物の処方決定方法を構成する各工程について説明する。
【0049】
1.調整用着色層形成工程
本発明における調整用着色層形成工程は、透明基板上に調整用カラーフィルタ用着色組成物を用いて調整用着色層を形成する工程である。
【0050】
(1)調整用カラーフィルタ用着色組成物
本工程に用いられる調整用カラーフィルタ用着色組成物は、製造する着色層と同一の方法で調整用着色層を形成することができるものであれば特に限定されるものではないが、通常、顔料、バインダー樹脂、分散剤、および溶剤を含むものである。また、必要に応じて、多官能性モノマーや光開始剤、および添加剤等を含むものとすることができる。
【0051】
本工程に用いられる顔料としては、公知の顔料を用いることができる。本工程において使用可能な有機顔料の具体例を下記表1および表2に示す。
【0052】
【表1】

【0053】
【表2】

【0054】
また、用いることができる無機顔料としては、酸化チタン、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、ベンガラ、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック等を挙げることができる。
なお、これらの顔料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
【0055】
また、本工程に用いられる顔料の分散平均粒径としては、上記調整用カラーフィルタ用着色組成物を用いて着色層を形成した場合に、所望の偏光解消度とすることができるものであれば特に限定されるものではないが、0.01μm〜0.15μmの範囲内であることが好ましく、なかでも0.01μm〜0.1μmの範囲内であることが好ましい。
【0056】
本工程に用いられる顔料の含有量としては、上記調整用カラーフィルタ用着色組成物の固形分中に、1質量%〜70質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも10質量%〜60質量%の範囲内であることが好ましい。上記範囲内であることにより、偏光解消度の調整が容易であるからである。
なお、固形分とは、上記調整用カラーフィルタ用着色組成物に含まれる溶剤以外の全てをいうものである。
【0057】
本工程に用いられるバインダー樹脂としては、カラーフィルタの着色層形成に一般的に用いられるものを使用することができ、具体的には、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ノボラック系樹脂などの感光性または非感光性の樹脂を挙げることができる。
【0058】
本工程におけるバインダー樹脂の含有量としては、上記調整用カラーフィルタ用着色組成物の固形分中に、5質量%〜70質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも8質量%〜60質量%の範囲内であることが好ましい。上記範囲内であることにより、より偏光解消度の調整が容易であるからである。
【0059】
本工程に用いられる分散剤としては、上記顔料を均一に分散させることができるものであれば特に限定されるものではなく、公知の分散剤を使用することができる。具体的には、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、変性ポリエステル、変性ポリアミド等の高分子分散剤、リン酸エステル、アルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の界面活性剤や顔料誘導体を挙げることができる。本工程においては、これらの中でも、高分子分散剤が好ましい。
【0060】
本工程に用いられる分散剤の含有量としては、上記顔料を均一に分散することができるものであれば特に限定されるものではないが、上記調製用カラーフィルタ用着色組成物の固形分中に、0.1質量%〜30質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも1質量%〜20質量%の範囲内であることが好ましい。上記範囲より小さいと、上記顔料を均一に分散することが困難になり、上記範囲より大きいと、上記調整用カラーフィルタ用着色組成物の現像性が低下したり、未露光部分での残渣が残存する可能性があるからである。
【0061】
本工程に用いられる溶剤としては、上記調整用カラーフィルタ用着色組成物中の各成分とは反応せず、これらを溶解もしくは分散可能な有機溶剤であればよく、特に限定されるものではない。
【0062】
本工程に用いられる溶剤の含有量としては、上記調整用カラーフィルタ用着色組成物中に60質量%〜95質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは70質量%〜90質量%の範囲内であることが好ましい。このような含有量であることにより、塗布に適した粘度とすることができるからである。
【0063】
本工程に用いられる多官能性モノマーとしては、複数の重合性の官能基を有し、光照射により、上記多官能性モノマー同士または上記バインダー樹脂と重合することができるものであれば良い。
このような多官能性モノマーとしては、通常、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートが用いられる。
また、多官能(メタ)アクリレートは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用して使用してもよい。
【0064】
本工程に用いられる多官能性モノマーの含有量としては、所望の硬度の着色層とすることができるものであれば良く、上記調整用カラーフィルタ用着色組成物の固形分中に、5質量%以上であることが好ましく、なかでも9質量%〜50質量%の範囲内であることが好ましい。上記範囲より少ないと十分に光硬化が進まず、露光部分が溶出する場合があるからである。また、上記範囲より多いと、未露光箇所分でも現像できなくなる可能性があるからである。
【0065】
本工程に用いられる光重合開始剤としては、光照射により、上記多官能性モノマー同士を重合することができるものであれば特に限定されるものではなく、一般的なものを用いることができる。
【0066】
このような光開始剤の含有量としては、上記調整用カラーフィルタ用着色組成物を所望の硬化速度で光硬化することができるものであれば良く、上記調整用カラーフィルタ用着色組成物の固形分中に、0.1質量%〜30質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも0.7質量%〜20質量%の範囲内であることが好ましい。
【0067】
(2)透明基板
本工程に用いられる透明基板としては、上記調整用着色層を形成することができれば特に限定されるものではなく、カラーフィルタの形成に一般的に用いられるものと同様のものを使用することができる。
本工程においては、なかでも、製造するカラーフィルタに用いられる透明基板と同一のものであることが好ましい。上記透明基板の影響を排除することができるからである。
【0068】
(3)調整用着色層
本工程により形成される調整用着色層は、上記透明基板上に形成されるものである。
【0069】
本工程における調整用着色層の膜厚としては、均一な厚みで形成することができ、上記偏光解消度測定工程において、偏光解消度を精度良く測定することができるものであれば特に限定されるものではないが、製造する着色層の膜厚±10%の範囲内であることが好ましく、なかでも、膜厚±5%の範囲内であることが好ましい。より精度良くカラーフィルタ用着色組成物の組成を決定することができるからである。
【0070】
本工程における着色層の形状および面積としては、偏光解消度を精度良く測定することができるものであれば特に限定されるものではなく、製造する着色層と同一形状および面積であっても良いが、上記透明基板上に連続して形成され、上記製造する着色層よりも広い面積であることが好ましい。偏光解消度の測定を精度良く行うことができるからである。
なお、上記透明基板上に連続して形成されるとは、少なくとも上記透明基板上の所定の半径の円形領域全てに着色層が形成されることをいうものである。
本工程においては、なかでも、半径1mm〜30mmの円形領域であることが好ましく、特に、半径5mm〜20mmの円形領域であることが好ましい。偏光解消度の測定を精度良く行うことができるからである。
【0071】
本工程における調整用着色層の形成方法としては、上記透明基板上に所望の厚みの調整用着色層を精度良く形成することができるものであれば特に限定されるものではなく、カラーフィルタの製造に一般的に用いられる方法を用いることができる。このような形成方法としては、具体的には、スピンコート法、インクジェット法、ダイコート法等、を挙げることができる。
また、本工程においては、なかでも、製造する着色層と同一の方法であることが好ましい。上記偏光解消度測定工程により得られる偏光解消度と、製造される着色層の偏光解消度との差異が小さいものとすることができるからである。
【0072】
2.偏光解消度測定工程
本発明における偏光解消度測定工程は、上記調整用着色層の偏光解消度を、上述した液晶部材の偏光解消度測定方法を用いて測定する工程である。
【0073】
このような測定方法としては、上記「A.偏光解消度測定方法」の項に記載した方法と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0074】
3.調整工程
本発明における調整工程は、上記偏光解消度測定工程により得られた偏光解消度を用いて上記調整用カラーフィルタ用着色組成物の組成を調整する工程である。
【0075】
このような調整用カラーフィルタ用着色組成物の組成の調整方法としては、上記偏光解消度が後述する目標偏光解消度内に含まれるものとなる組成とすることができる方法であれば特に限定されるものではないが、上記調整用カラーフィルタ用着色組成物に含まれる各成分の含有割合を変更する方法を挙げることができる。具体的には、顔料、バインダー樹脂、分散剤および溶剤等の含有割合を変更する方法を用いることができる。
また、各成分が2種類の材料を含む場合には、それらの含有割合を変更するものであっても良い。具体的には、上記組成物中に複数の顔料を含む場合には、含まれる各顔料の含有割合を変更する方法を用いることができる。
【0076】
また、上記組成物の組成の調整方法としては、上記調整用カラーフィルタ用着色組成物に含まれる各成分の材料を変更する方法を用いることができる。
具体的には、上記顔料の種類や、粒径を変更する方法や、バインダー樹脂、分散剤および溶剤等の種類を変更する方法を挙げることができる。また、添加剤等を追加するものであっても良い。
【0077】
本工程において調整される調整用カラーフィルタ用着色組成物の目標偏光解消度としては、要求される品質等により異なるものではあるが、上述したような透過光量H90、H0、T90およびT0を視感度補正により変換された明度として計算される偏光解消度として、0.01以下であることが好ましく、なかでも、0.001以下であることが好ましく、特に0.0001以下であることが好ましい。
このような偏光解消度の着色層を形成可能なカラーフィルタ用着色組成物を用いることにより、高コントラストな液晶表示装置とすることができるカラーフィルタを得ることができるからである。
【0078】
本工程は、上記偏光解消度測定工程により得られた偏光解消度を用いて上記組成を調整するものであるが、得られた偏光解消度が上記目標偏光解消度内に含まれる場合には、上記カラーフィルタ用着色組成物の組成は決定されたと判断することができる。なお、最初の調整用着色層形成工程により形成された調整用着色層の偏光解消度を、上記偏光解消度測定工程により測定した値が、上記目標偏光解消度内に含まれる場合には、本工程を行われないものとすることができる。
【0079】
C.カラーフィルタ用着色組成物の製造方法
次に、本発明のカラーフィルタ用着色組成物の製造方法について説明する。本発明のカラーフィルタ用着色組成物の製造方法は、上述したカラーフィルタ用着色組成物の処方決定方法を用いて決定された組成に基づいてカラーフィルタ用着色組成物を調製することを特徴とするものである。
【0080】
本発明によれば、上述したカラーフィルタ用着色組成物の処方決定方法を用いるものであるため、液晶表示装置に用いられた場合に高コントラストなものとすることができる着色層を形成可能なものを精度良く得ることができる。
【0081】
本発明において、カラーフィルタ用着色組成物を調製する方法としては、上記カラーフィルタ用着色組成物の処方決定方法に基づいて決定された組成からなる組成物を精度良く含むものとする方法であれば特に限定されるものではない。
具体的には、上述したような、顔料、バインダー樹脂、分散剤、溶剤等の上記カラーフィルタ用着色組成物に含まれる各成分を均一に溶解・分散させることができる方法であれば良く、カラーフィルタ用着色組成物の調整に一般的に用いられる溶解・分散方法を用いることができる。
【0082】
なお、カラーフィルタ用着色組成物の処方決定方法については、上記「B.カラーフィルタ用着色組成物の処方決定方法」の項に記載した内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0083】
D.カラーフィルタの製造方法
次に、本発明のカラーフィルタの製造方法について説明する。本発明のカラーフィルタの製造方法は、透明基板上に上述したカラーフィルタ用着色組成物の製造方法を用いて製造されたカラーフィルタ用着色組成物を用いて着色層を形成する着色層形成工程を有する態様(第1態様)と、形成された着色層の偏光解消度を、上述した液晶部材の偏光解消度測定方法を用いて測定し、着色層の偏光解消度を検査する検査工程を有する態様(第2態様)と、の2つの態様にわけることができる。以下、本発明のカラーフィルタの製造方法を、各態様に分けて説明する。
【0084】
1.第1態様
まず、本発明のカラーフィルタの製造方法の第1態様について説明する。本発明のカラーフィルタの製造方法の第1態様は、透明基板上に上述したカラーフィルタ用着色組成物の製造方法を用いて製造されたカラーフィルタ用着色組成物を用いて着色層を形成する着色層形成工程を有するものである。
【0085】
本態様によれば、上記着色層形成工程が、上述したカラーフィルタ用着色組成物の製造方法により製造されたカラーフィルタ用着色組成物を用いるものであるため、液晶表示装置に用いられた場合に高コントラストなものとすることができる。
【0086】
本態様のカラーフィルタの製造方法は、着色層形成工程を少なくとも有するものである。以下、本態様のカラーフィルタの製造方法に含まれる各工程について説明する。
【0087】
(1)着色層形成工程
本態様における着色層形成工程は、透明基板上に上述したカラーフィルタ用着色組成物の製造方法により製造されたカラーフィルタ用着色組成物を用いて着色層を形成する工程である。
【0088】
このような着色層の形成方法としては、上記カラーフィルタ用着色組成物を用い、かつ、透明基板上に所望のパターンの着色層を精度良く形成することができる方法であれば特に限定されるものではなく、カラーフィルタの着色層形成に一般的に用いられる方法を使用することできる。
具体的には、印刷法、インクジェット法、フォトリソグラフィー法等を挙げることができる。
【0089】
本工程により形成される着色層の配列としては、一般的なカラーフィルタの着色層が有するものとすることができ、例えば、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の配列とすることができる。また、着色層の幅、面積等は任意に設定することができる。
【0090】
上記着色層の厚みとしては、通常、1μm〜5μmの範囲内であることが好ましい。
【0091】
なお、透明基板としては、上記着色層を形成することができれば特に限定されるものではなく、カラーフィルタの形成に一般的に用いられるものと同様のものを使用することができる。
また、上記カラーフィルタ用着色組成物については、上記「C.カラーフィルタ用着色組成物の製造方法」の項に記載の製造方法により得ることができるものであるため、ここでの説明は省略する。
【0092】
(2)その他の工程
本態様のカラーフィルタの製造方法は、上記着色層形成工程を有するものであるが、カラーフィルタの各種部材を形成する工程を行うことができる。例えば、上記着色層形成工程前に行われ、上記透明基板上に遮光部を形成する遮光部形成工程、上記着色層および遮光部を覆うように保護層を形成する保護層形成工程、上記遮光部上に対向基板との間隔を保持するためのスペーサを形成するスペーサ形成工程を行ってもよい。
なお、このような各工程については、カラーフィルタの製造に一般的に用いられるものとすることができるため、ここでの説明は省略する。
【0093】
2.第2態様
次に、本発明のカラーフィルタの製造方法の第2態様について説明する。本発明のカラーフィルタの製造方法の第2態様は、少なくとも透明基板上に着色層を形成する着色層形成工程を有するカラーフィルタの製造方法であって、上記着色層形成工程で形成される着色層の偏光解消度を、上述した液晶部材の偏光解消度測定方法を用いて測定し、着色層の偏光解消度を検査する検査工程を有することを特徴とするものである。
【0094】
このような本態様のカラーフィルタの製造方法を図を参照して説明する。図2に例示するように、本態様のカラーフィルタの製造方法は、まず、透明基板1を準備し(図2(a))、次いで、上記透明基板1上に、開口部を備える遮光部2を形成する(図2(b))。その後、図2(c)に示すように、上記開口部に、カラーフィルタ用着色組成物を塗布し、カラーフィルタ形成用層を形成した後、フォトリソグラフィー法にてパターン状に形成された画素部3aからなる着色層3を形成する。次いで、図2(d)に示すように、着色層3を構成する画素部3aを測定用偏光板(P1およびP2)を直交ニコルおよび平行ニコルの関係となるように挟持し、光源から光を照射し、透過してきた光を検出部で検知することにより、透過光量H90およびH0を測定する。その後、図2(e)に示すように、上記測定用偏光板(P1およびP2)を、着色層3を挟持せず、直交ニコルおよび平行ニコルの関係となるように配置し透過光量T90およびT0を測定し、得られた透過光量H90、H0、T90およびT0により、上述した偏光解消度測定方法を用いて偏光解消度を計算し検査するものである。
ここで、図2(c)が着色層形成工程であり、図2(d)および(e)が検査工程である。
【0095】
本態様によれば、上記検査工程が、上述した液晶部材の偏光解消度測定方法を用いるものであるため、形成された着色層の、液晶表示装置に用いられた場合のコントラストに与える影響を正確にかつ安定的に評価することができる。このため、液晶表示装置を所望のコントラストとすることができるカラーフィルタを安定的に得ることができる。
【0096】
本態様のカラーフィルタの製造方法は、上記着色層形成工程および検査工程を少なくとも有するものである。以下、本態様のカラーフィルタの製造方法に含まれる各工程について説明する。
【0097】
(1)着色層形成工程
本態様のカラーフィルタの製造方法に含まれるカラーフィルタ形成工程は、透明基板上に着色層を形成する工程である。
【0098】
本工程において、上記透明基板上に着色層を形成する方法としては、所望のパターンの着色層を精度良く形成することができるものであれば特に限定されるものではなく、液晶表示装置に一般的に用いられるカラーフィルタに使用されるものと同様とすることができる。具体的には、上記「1.第1態様」の項に記載の方法を用いることができる。
また、上記透明基板についても、上記着色層を形成することができれば特に限定されるものではなく、カラーフィルタの形成に一般的に用いられるものと同様のものを使用することができる。
【0099】
(2)検査工程
本態様のカラーフィルタの製造方法に含まれる検査工程は、上記着色層の偏光解消度を、上述した液晶部材の偏光解消度測定方法を用いて測定し、着色層の偏光解消度を検査する工程である。
【0100】
このような着色層の検査方法としては、上記液晶部材の偏光解消度測定方法を用いる方法であれば特に限定されるものではないが、具体的には、上記着色層の偏光解消度が目標とする目標偏光解消度内に含まるか否かを確認する方法を挙げることができる。
具体的には、上記偏光解消度が上記目標偏光解消度内に含まれるときに、上記着色層の品質を合格であると判断し、上記偏光解消度が上記目標偏光解消度内に含まれないときには、上記着色層の品質が不合格であると判断することができる。
【0101】
本工程における目標偏光解消度としては、所望のコントラストの液晶表示装置とすることができるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、上記「B.カラーフィルタ用着色組成物の処方決定方法」の「3.調整工程」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0102】
本工程において偏光解消度の測定がされる着色層としては、透明基板上に形成され着色層を構成する画素部全てを測定するものであっても良いが、通常、一部の画素部のみを測定する。検査効率に優れるからである。
また、一部の画素部を測定する場合には、少なくとも、着色層に含まれる全ての色の画素部を測定することが好ましい。品質に優れたカラーフィルタを得ることができるからである。
【0103】
(3)その他の工程
本態様のカラーフィルタの製造方法は、上記着色層形成工程および検査工程を少なくとも有するものであるが、必要に応じて、カラーフィルタの各種部材を形成する工程を行うことができる。例えば、上記遮光部形成工程、上記保護層形成工程、スペーサ形成工程を行ってもよい。
なお、このような各工程については、カラーフィルタの製造に一般的に用いられるものとすることができるため、ここでの説明は省略する。
【0104】
E.カラーフィルタ用着色組成物
次に、本発明のカラーフィルタ用着組成物について説明する。
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、上述の液晶部材の偏光解消度測定方法を用いて測定された偏光解消度が0.0001以下であることを特徴とするものである。
【0105】
本発明によれば、上記偏光解消度が0.0001以下であることにより、液晶表示装置に用いられた場合に高コントラストなものとすることができる。
【0106】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、上記偏光解消度が0.0001以下のものである。
以下、このようなカラーフィルタ用着色組成物について詳細に説明する。
なお、上記偏光解消度の測定方法は、上記「A.液晶部材の偏光解消度測定方法」に記載の液晶部材の偏光解消度測定方法を用いて測定されたものであるため、ここでの説明は省略する。また、測定に際しては、上記「B.カラーフィルタ用着色組成物の処方決定方法」に記載する調製用着色層と同様の方法により測定用サンプルを形成したものを測定対象として使用するものである。
【0107】
1.偏光解消度
本発明のカラーフィルタ用着色組成物の上述の液晶部材の偏光解消度測定方法を用いて測定された偏光解消度は0.0001以下のものである。なお、下限については0に近ければ近いほど好ましいため、特に限定しない。
【0108】
2.カラーフィルタ用着色組成物
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、上述の偏光解消度を有するものであり、通常、顔料、バインダー樹脂、分散剤、および溶剤を含むものである。また、必要に応じて、多官能性モノマーや光開始剤、および添加剤等を含むものとすることができる。
このような顔料、バインダー樹脂、分散剤、溶剤、多官能性モノマーや光開始剤、および添加剤等としては、上述の偏光解消度を有するものとすることができるものであれば特に限定されるものではなく、一般的なカラーフィルタ用着色組成物に用いられるものを使用することができる。具体的には、上記「B.カラーフィルタ用着色組成物の処方決定方法」の項に記載のものと同様とすることができる。
【0109】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物の製造方法としては、上述の偏光解消度を有するものとすることができる方法であれば特に限定されるものではなく、具体的には上記「C.カラーフィルタ用着色組成物の製造方法」に記載の方法を用いることができる。
【0110】
F.カラーフィルタ
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。
本発明のカラーフィルタは、上述のカラーフィルタ用着色組成物を用いて形成された着色層を有することを特徴とするものである。
【0111】
本発明によれば、上記着色層が、上記偏光解消度が0.0001以下のカラーフィルタ用着色組成物を用いたものであることにより高コントラストなものとすることができる。
【0112】
このような本発明のカラーフィルタを図を参照して説明する。既に説明した図2(c)に例示するように、本発明のカラーフィルタは、上記透明基板1と、上記透明基板1上に形成された遮光部2と、上記遮光部2の開口部に形成され、上記偏光解消度が0.0001以下の着色層3を有するものである。
【0113】
本発明のカラーフィルタは、上記着色層を有するものであるが、通常、上記着色層が形成される透明基板を有するものである。以下、このような本発明のカラーフィルタの各構成について詳細に説明する。
なお、上記透明基板については、上記「B.カラーフィルタ用着色組成物の処方決定方法」の項に記載のものと同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
【0114】
1.着色層
本発明に用いられる着色層は、上述のカラーフィルタ用着色組成物を用いて形成されたものである。
このような着色層については、上記「D.カラーフィルタの製造方法」の項に記載のものと同様とすることができる。
【0115】
なお、上記カラーフィルタ用着色組成物については、上記「E.カラーフィルタ用着色組成物」の項に記載の内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0116】
2.カラーフィルタ
本発明のカラーフィルタは、上記着色層を有するものであり、通常、上記透明基板を有するものである。本発明においては、上記透明基板上に形成され、上記着色層を区分けする遮光部や、上記着色層および遮光部を覆うように形成される保護層や、上記遮光部上に対向基板との間隔を保持するためのスペーサ等を有するものとすることができる。
このような遮光部、保護層およびスペーサ等については、一般的なカラーフィルタに用いられるものと同様のものを使用することができる。
【0117】
本発明のカラーフィルタの製造方法としては、上記各部材を精度良く形成することができる方法であれば特に限定されるものではなく、具体的には、上記「D.カラーフィルタの製造方法」に記載の方法を用いることができる。
【0118】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0119】
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。
【0120】
[実施例1〜6]
1.レジストの調製
以下に記す方法によりレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)各色について、処方の異なる二種類のレジスト(レジストR1、レジストR2、レジストG1、レジストG2、レジストB1およびレジストB2の合計六種類のレジスト)を調製した。
【0121】
(1)レジストR1の調製
C.I.ピグメントレッド254を10.5重量部、C.I.ピグメントレッド177を4.5重量部、ポリアクリル系高分子分散剤(ビックケミー社製、Disperbyk2001)を10.0重量部、スチレン/アクリル酸共重合体(重量平均分子量13,000、酸価100mgKOH/g、固形分40%)15.0重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMA)60.0重量部を配合し、ディゾルバーを用いて1時間予備混合した後、0.3mmのジルコニアビーズを用いてペイントシェーカーで3時間分散させ、顔料分散液r1を調製した。調製した顔料分散液r1の平均粒子径は32.6nmであった。
【0122】
次いで、上記にて調製した顔料分散液r1を41.20重量部、スチレン/アクリル酸共重合体(重量平均分子量13,000、酸価100mgKOH/g、固形分40%)7.02重量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(東亜合成(株)製、アロニックスM−402)を3.75重量部、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンを2.11重量部、2,4−ジエチルチオキサントンを0.70重量部、フッ素系界面活性剤(住友スリーエム(株)製、フロラードFC−431)を0.04重量部、およびアクリル系シランカップリング剤(信越化学工業(株)製、KBE−503)を0.40重量部を、PGMA44.78重量部に均一に分散してレジストR1を調製した。
【0123】
(2)レジストR2の調製
C.I.ピグメントレッド254を10.5重量部、C.I.ピグメントレッド177を4.5重量部、ポリアクリル系高分子分散剤(ビックケミー社製、Disperbyk2001)を10.0重量部、スチレン/アクリル酸共重合体(重量平均分子量13,000、酸価100mgKOH/g、固形分40%)15.0重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMA)60.0重量部を配合し、ディゾルバーを用いて1時間予備混合した後、0.1mmのジルコニアビーズを用いてペイントシェーカーで5時間分散させ、顔料分散液r2を調製した。調製した顔料分散液r2の平均粒子径は27.2nmであった。
【0124】
以下、レジストR1における顔料分散液r1を顔料分散液r2に置き換える以外は、レジストR1の調製と同様にして、レジストR2を調製した。
【0125】
(3)レジストG1の調製
C.I.ピグメントグリーン36を10.5重量部、C.I.ピグメントイエロー150を4.5重量部、ポリアクリル系高分子分散剤(ビックケミー社製、Disperbyk2001)を10.0重量部、スチレン/アクリル酸共重合体(重量平均分子量13,000、酸価100mgKOH/g、固形分40%)15.0重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMA)60.0重量部を配合し、ディゾルバーを用いて1時間予備混合した後、0.1mmのジルコニアビーズを用いてペイントシェーカーで5時間分散させ、顔料分散液g1を調製した。調製した顔料分散液g1の平均粒子径は28.8nmであった。
【0126】
次いで、上記にて調製した顔料分散液g1を49.78重量部、スチレン/アクリル酸共重合体(重量平均分子量13,000、酸価100mgKOH/g、固形分40%)5.38重量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(東亜合成(株)製、アロニックスM−402)を2.87重量部、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンを1.61重量部、2,4−ジエチルチオキサントンを0.54重量部、フッ素系界面活性剤(住友スリーエム(株)製、フロラードFC−431)を0.04重量部、およびアクリル系シランカップリング剤(信越化学工業(株)製、KBE−503)を0.40重量部を、PGMA39.38重量部に均一に分散して調製した。
【0127】
(4)レジストG2の調製
C.I.ピグメントグリーン36を10.5重量部、C.I.ピグメントイエロー150を4.5重量部、ポリアクリル系高分子分散剤(ビックケミー社製、Disperbyk2001)を10.0重量部、スチレン/アクリル酸共重合体(重量平均分子量13,000、酸価100mgKOH/g、固形分40%)15.0重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMA)60.0重量部を配合し、ディゾルバーを用いて1時間予備混合した後、0.3mmのジルコニアビーズを用いてペイントシェーカーで3時間分散させ、顔料分散液g2を調製した。調製した顔料分散液g2の平均粒子径は32.6nmであった。
【0128】
以下、レジストG1における顔料分散液g1を顔料分散液g2に置き換える以外は、レジストG1の調製と同様にして、レジストG2を調製した。
【0129】
(5)レジストB1の調製
C.I.ピグメントブルー15:6を13.5重量部、C.I.ピグメントバイオレット23を1.5重量部、ポリアクリル系高分子分散剤(ビックケミー社製、Disperbyk2001)を10.0重量部、スチレン/アクリル酸共重合体(重量平均分子量13,000、酸価100mgKOH/g、固形分40%)15.0重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMA)60.0重量部を配合し、ディゾルバーを用いて1時間予備混合した後、0.1mmのジルコニアビーズを用いてペイントシェーカーで5時間分散させ、顔料分散液b1を調製した。調製した顔料分散液b1の平均粒子径は28.1nmであった。
【0130】
次いで、上記にて調製した顔料分散液b1を30.63重量部、スチレン/アクリル酸共重合体(重量平均分子量13,000、酸価100mgKOH/g、固形分40%)9.05重量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(東亜合成(株)製、アロニックスM−402)を4.83重量部、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンを2.72重量部、2,4−ジエチルチオキサントンを0.91重量部、フッ素系界面活性剤(住友スリーエム(株)製、フロラードFC−431)を0.04重量部、およびアクリル系シランカップリング剤(信越化学工業(株)製、KBE−503)を0.40重量部を、PGMA51.42重量部に均一に分散して調製した。
【0131】
(6)レジストB2の調製
C.I.ピグメントブルー15:6を13.5重量部、C.I.ピグメントバイオレット23を1.5重量部、ポリアクリル系高分子分散剤(ビックケミー社製、Disperbyk2001)を10.0重量部、スチレン/アクリル酸共重合体(重量平均分子量13,000、酸価100mgKOH/g、固形分40%)15.0重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMA)60.0重量部を配合し、ディゾルバーを用いて1時間予備混合した後、0.3mmのジルコニアビーズを用いてペイントシェーカーで3時間分散させ、顔料分散液b2を調製した。調製した顔料分散液b2の平均粒子径は31.5nmであった。
【0132】
以下、レジストB1における顔料分散液b1を顔料分散液b2に置き換える以外は、レジストB1の調製と同様にして、レジストB2を調製した。
【0133】
2.カラーフィルタの作製
前記により調製したレジストR1、R2、G1、G2、B1およびB2を用い、100mm×100mm、厚さ0.7mmのガラス基板(コーニング製無アルカリガラス#1737上にスピンコートし(レッドレジストはC光源での色度座標がx=0.645、グリーンレジストy=0.600、ブルーレジストはy=0.085となるように塗布)、80℃で3分間ホットプレートにて予備乾燥させた後、露光機にて超高圧水銀灯で60mJ/cmの光量で露光し、230℃で30分間硬化処理してレジストR1、R2、G1、G2、B1およびB2からなる着色層を有するカラーフィルタを作製した。
【0134】
3.光学測定
実施例1〜6として、上記レジストR1、R2、G1、G2、B1およびB2からなる着色層の偏光解消度dを、上述の液晶部材の偏光解消度測定方法により求めた。
なお、偏光解消度dの計算には、「JIS8701 色の表示方法 XYZ表色系」に従って、波長の関数で表される透過光量H90、H0、T90およびT0を明度(Y値)に変換する視感度補正を行なった後、上記式(1)に従って求めた。これらをまとめた結果を下記表3に示す。
なお、透過光量の測定には、日本分光製自記分光光度計V7000シリーズを使用した。透過光量の測定の際の光源としてはC光源を採用した。測定用偏光板はグランテーラープリズムと日東電工製SEG1423DUを使用した。
また、表1中のDOP1およびDOP2は、視感度補正した透過光量H90、H0、T90およびT0を用い、上記式(3)および(4)に従って求めた値である。
また、レジストR1、R2、G1、G2、B1およびB2からなる着色層の透過光量H90、H0、T90およびT0の測定結果(透過スペクトル)を図3〜図8に示す。
【0135】
【表3】

【0136】
表3より、同一の測定用偏光板を用いて測定したコントラスト比と、偏光解消度dとの間に相関関係があることが確認できた。これにより、液晶部材のコントラスト比に与える影響を安定的に評価することができることが確認できた。
【符号の説明】
【0137】
1…透明基板
2…遮光部
3…着色層
3a…画素部
P1、P2…測定用偏光板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示装置の偏光板の間に配置される部材である液晶部材の偏光解消度を測定するための偏光解消度測定方法であって、2枚の測定用偏光板と、測定対象である前記液晶部材とを準備し、
前記2枚の測定用偏光板を直交ニコルの関係となるように配置して測定した透過光量をT90とし、
前記直交ニコルの関係となるように配置された前記2枚の測定用偏光板の間に前記液晶部材を配置して、測定した透過光量をH90とし、
前記2枚の測定用偏光板を平行ニコルの関係となるように配置して測定した透過光量をT0とし、
前記平行ニコルの関係となるように配置された前記2枚の測定用偏光板の間に前記液晶部材を配置して、測定した透過光量をH0とし、
得られた透過光量H90、H0、T90およびT0を用いて、下記式(1)により偏光解消度を求めることを特徴とする液晶部材の偏光解消度測定方法。
偏光解消度=1−(((H0−H90)×(T0+T90))/((H0+H90)×(T0−T90)))(1)
【請求項2】
前記透過光量H90、H0、T90およびT0を、JIS Z8701による視感度補正により変換された明度として用いることを特徴とする請求項1に記載の液晶部材の偏光解消度測定方法。
【請求項3】
透明基板上に調整用カラーフィルタ用着色組成物を用いて調整用着色層を形成する調整用着色層形成工程と、
前記調整用着色層の偏光解消度を、請求項1または請求項2に記載の液晶部材の偏光解消度測定方法を用いて測定する偏光解消度測定工程と、
前記偏光解消度測定工程により得られた偏光解消度を用いて前記調整用カラーフィルタ用着色組成物の組成を調整する調整工程と、
を有することを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物の処方決定方法。
【請求項4】
前記調整工程により調整される調整用カラーフィルタ用着色組成物の目標偏光解消度が、請求項2に記載の液晶部材の偏光解消度測定方法を用いて計算される偏光解消度として、0.01以下であることを特徴とする請求項3に記載のカラーフィルタ用着色組成物の処方決定方法。
【請求項5】
前記調整用着色層の膜厚が、製造する着色層の膜厚±10%の範囲内であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のカラーフィルタ用着色組成物の処方決定方法。
【請求項6】
請求項3から請求項5までのいずれかの請求項に記載のカラーフィルタ用着色組成物の処方決定方法を用いて決定された組成に基づいてカラーフィルタ用着色組成物を調製するカラーフィルタ用着色組成物の製造方法。
【請求項7】
透明基板上に請求項6に記載のカラーフィルタ用着色組成物の製造方法により製造されたカラーフィルタ用着色組成物を用いて着色層を形成する着色層形成工程を有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項8】
少なくとも透明基板上に着色層を形成する着色層形成工程を有するカラーフィルタの製造方法であって、
前記着色層形成工程で形成される着色層の偏光解消度を、請求項1または請求項2に記載の液晶部材の偏光解消度測定方法を用いて測定し、着色層の偏光解消度を検査する検査工程を有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項9】
請求項1または請求項2に記載の液晶部材の偏光解消度測定方法を用いて測定された偏光解消度が0.0001以下であることを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項10】
請求項9に記載のカラーフィルタ用着色組成物を用いて形成された着色層を有することを特徴とするカラーフィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−39045(P2011−39045A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−163210(P2010−163210)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【出願人】(000183923)株式会社DNPファインケミカル (268)
【Fターム(参考)】