説明

液晶配向共重合体、それを含む液晶配向膜、およびそれを含む液晶ディスプレイ

本発明は、光反応性基、メソゲン基、熱硬化性基、および架橋基を含む液晶配向共重合体、それを含む液晶配向膜、およびそれを含む液晶ディスプレイに関するものである。本発明に係る液晶配向膜は、熱安定性に優れており、残像効果も表れないため、液晶ディスプレイに効果的に用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶配向共重合体、それを含む液晶配向膜、およびそれを含む液晶ディスプレイに関するものである。
【0002】
本出願は、2005年11月7日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2005−0106191号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0003】
液晶ディスプレイは、ディスプレイ産業の発達と共に、低い駆動電圧、高解像度の実現、モニタ体積の減少、平面型モニタを提供するため、その需要が大きく増加しつつある。このような液晶ディスプレイ技術における核心技術のうちの1つは、液晶を所望する方向にうまく配向させる技術である。
【0004】
従来には、液晶を配向させる通常の方法として、ガラスなどの基板にポリイミドのような高分子膜を塗布して、その表面をナイロンやポリエステルのような繊維で一定の方向にこする接触式ラビング方法を用いた。しかし、接触式ラビング方法では、繊維質と高分子膜が摩擦する時に微細なホコリや静電気放電(Electrostatic discharge, ESD)が生じることがあり、工程上の難しさによって液晶パネルを製造する時に深刻な問題が生じ得る。
【0005】
前記接触式ラビング方法の問題点を解決するために、最近では新しい方法である非接触式配向膜の製造に関する研究が活発に行われている。非接触式配向膜の製造方法としては、光配向法、エネルギビーム配向法、蒸気蒸着配向法、リソグラフィを用いたエッチング法などがある。しかし、接触式ラビング配向膜に比べて非接触式配向膜は、低い熱安定性と残像の問題があり、その産業化の面で困難がある。特に光配向膜の場合、熱的安全性が顕著に落ち、残像が長い間残るため、工程上の技術の便宜性があるにもかかわらず、実際に生産には適用できずにいる。
【0006】
このような熱安定性を改善するために、大韓民国登録特許第10−0357841号には、光反応性エテン基を有するクマリンおよびキノリノール誘導体の新規な線形および環状重合体またはオリゴマ、およびこれらの液晶配向層としての用途について記載されている。しかし、この場合、主鎖についている棒状のメソゲンによって残像に非常に脆弱である問題点がある。
【0007】
上記のように残像に非常に脆弱であるといった問題点を改善するために、大韓民国登録特許第10−0258847号には、熱硬化性樹脂と混合するか、熱硬化が可能な官能基を導入した液晶配向膜について記載されている。しかし、この場合にも、配向性に優れず、熱安定性にも優れていないという問題点がある。
【特許文献1】大韓民国登録特許第10−0258847号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明者らは、熱安定性に優れ、残像のない液晶配向膜に関する研究中に、光反応性基、メソゲン基、熱硬化性基、および架橋基を含む液晶配向共重合体を合成するようになり、該共重合体を含む液晶配向膜は、熱安定性に優れて残像もないことを確認し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明は、光反応性基、メソゲン基、熱硬化性基、および架橋基を含む液晶配向共重合体を提供しようとするものである。
【0010】
また、本発明は、前記液晶配向共重合体を含む液晶配向膜を提供しようとするものである。
【0011】
また、本発明は、前記液晶配向膜を含む液晶ディスプレイを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、下記化学式1で示される液晶配向共重合体を提供する。
【0013】
【化1】

【0014】
前記化学式1において、
〜Mは、各々独立して高分子鎖にある反復単位であって、アクリル、メタアクリル、クロトン、マレイック、マレアミック、シトラコン、イタコン、スチレン、メチルスチレン、アクリルアミド、メタアクリルアミド、およびマレイックイミドからなる群から選択され、
p、q、r、sは反復単位のモル分率であって、p+q+r+s=1で、p=0.1〜0.9、q=0.1〜0.9、r=0〜0.3、s=0〜0.3であり、
は、AまたはAが置換または非置換された光反応性基であり、
は、AまたはAが置換または非置換されたメソゲン基であり、
は、熱硬化性基であり、
は、Aの熱硬化反応を誘導して架橋化を起こす架橋基である。
但し、r=0の場合、AはAが置換された光反応性基であるか、AはAが置換されたメソゲン基であり、
s=0の場合、AはAが置換された光反応性基であるか、AはAが置換されたメソゲン基である。
【0015】
前記Aは下記構造式からなる群から選択された1種を含む。
【化2】

【0016】
前記構造式において、
は、スペーサであって、−O−;−NH−;またはC〜Cのアルキル鎖の両末端に同一または相異なるように、エーテル基、アミン基、エステル基、およびアミド基からなる群から選択された官能基が導入された2価官能基である。具体的な例としては、n=1〜6の値を有する−NH−(CH−NH−、−O−(CH−O−、−NH−(CH−O−、−O−(CH−NH−、−O−(CH−OCO−、または−O−(CH−NHCO−である。
【0017】
は、光二量化や異性化が可能なエノン構造を有する基であって、−NH−CO−(CH=CH)−、−O−CO−(CH=CH)−、−(CH=CH)−CO−NH−、−(CH=CH)−CO−O−、−CO−(CH=CH)−、または−(CH=CH)−CO−である。
【0018】
Yは、末端に置換された配位子であって、水素、ヒドロキシ、C〜C10のアルキルオキシ、ハロゲン、アミン、ニトリル、ニトロ、グリシジル、イソシアネート、テトラヒドロピラニルカルボン酸、および無水酢酸からなる群から選択される。
【0019】
−A反復単位のための単量体の具体的な例は、下記構造式からなる群から選択され、これらに限定されるものではない。
【0020】
【化3】

【0021】
前記Aは下記構造式からなる群から選択された1種を含む。
【0022】
【化4】

【0023】
前記構造式において、
は、スペーサであって、−O−;−NH−;またはC〜Cのアルキル鎖の両末端に同一または相異なるように、エーテル基、アミン基、エステル基、およびアミド基からなる群から選択された官能基が導入された2価官能基である。具体的な例としては、n=1〜12の値を有する−NH−(CH−NH−、−O−(CH−O−、−NH−(CH−O−、−O−(CH−NH−、−O−(CH−OCO−、または−O−(CH−NHCO−である。
【0024】
は、スペーサであって、−CO−O−または−O−CO−である。
【0025】
Yは、末端に置換された配位子であって、水素、ヒドロキシ、C〜C10のアルキルオキシ、ハロゲン、アミン、ニトリル、ニトロ、グリシジル、イソシアネート、テトラヒドロピラニルカルボン酸、および無水酢酸からなる群から選択される。
【0026】
前記Aの具体的な例としては、多様な棒状の液晶構造を有するメソゲンを含み、好ましくはエステルで連結されたフェニルとビフェニル構造を成している。
【0027】
−A反復単位のための単量体の具体的な例は、下記構造式からなる群から選択され、これらに限定されるものではない。
【0028】
【化5】

【0029】
前記Aは下記構造式で示される:
【0030】
【化6】

【0031】
ここで、Sは、スペーサであって、−O−、またはC〜C10のアルキル鎖の末端にエーテル基または−OCO−NH−基が導入された2価官能基であり、nは0または1である。
【0032】
は、熱硬化を誘導するエポキシ、オキセタン、イソシアネート、イソチオシアネート、ヒドロキシ、およびアミン基からなる群から選択された基である。
【0033】
−A反復単位のための単量体の具体的な例としては、下記構造式からなる群から選択され、これらに限定されるものではない。
【0034】
【化7】

【0035】
前記Aは下記構造式で示される:
【0036】
【化8】

【0037】
ここで、Sは、スペーサであって、−O−、またはC〜Cのアルキル鎖の末端にエーテル基が導入された2価官能基である。
【0038】
は、架橋を誘導する官能基であって、カルボン酸、テトラヒドロピラン、無水酸、およびイミダゾールからなる群から選択される。
【0039】
−A反復単位のための単量体の具体的な例は、下記構造式からなる群から選択され、これらに限定されるものではない。
【0040】
【化9】

【発明の効果】
【0041】
本発明の液晶配向共重合体が光反応性基、メソゲン基、熱硬化性基、および架橋基を含むことにより、前記液晶配向共重合体を含む液晶配向膜は、熱安定性に優れており、残像の効果も表れない。したがって、本発明に係る液晶配向膜は液晶ディスプレイに効果的に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
前記化学式1で示される共重合体は、その用途に応じて各々分子量と構成比を調節して製造することができ、具体的な例は下記の通りである。
【0043】
前記化学式1で示される共重合体は、ラジカル共重合や紫外線を照射して製造することができ、好ましくはラジカル共重合によって製造される。
【0044】
ラジカル共重合は、末端にメタクリレート、アクリレート、スチレン、メチルスチレン、マレイックイミドのような重合可能な二重結合を有し、A〜Aの配位子を有する各々互いに異なる2〜4つの反復単位とラジカル開始剤を適切な溶媒に溶かした後、窒素下で攪拌して製造する。
【0045】
この時、ラジカル開始剤としては、(株)和光ケミカルが販売するジアゾ系の熱分解性開始剤を用いるか紫外線を利用することができ、好ましくは2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V65)やアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等を用いる。用いる溶媒としては、単量体をよく溶解させられる溶媒を用い、具体的には、DMF(Dimethylformamide)、DMAc(N,N−Dimethylacetamide)、トルエン、ベンゼン、THF(Tetrahydrofuran)、およびCClからなる群から選択され、好ましくはDMFである。
【0046】
重合温度は30〜100℃であり、好ましくは50〜70℃である。
【0047】
反復単位の濃度は、各々用途に応じて2〜4つの反復単位の総重量が溶媒の重量比で5〜50重量比で用い、好ましくは10〜25重量比でする。
【0048】
反応が終了した溶液は、メタノールやエタノールのようなアルコール溶媒に滴下して沈殿物を得る。
【0049】
反応時間は2〜15時間攪拌し、好ましくは4〜8時間攪拌する。
【0050】
〜Mの4つの反復単位の構成比は、前記化学式1に示すように、p+q+r+s=1であり、p=0.1〜0.9、q=0.1〜0.9、r=0〜0.3、s=0〜0.3であり、好ましくはp=0.3〜0.6、q=0.3〜0.6、r=0〜0.2、s=0〜0.1の間の値を有することができる。本発明では、前記化学式1において、AとAの末端の置換基Yがグリシジル、イソシアネート基などのような熱架橋のための核置換反応のアクセプターから選択された場合には、熱架橋結合が可能な官能基が導入されたため、化学式1でr=0であるAのない3つの単量体の共重合高分子が提供される。また、化学式1でYがヒドロキシ、アミン、テトラヒドロピラニルカルボン酸基などのように熱架橋のための核置換反応のドナーから導入された場合には、化学式1でs=0であるAのない3つの単量体の共重合高分子が提供される。したがって、AとAの末端置換基Yが、各々グリシジルとヒドロキシ、またはグリシジルとアミン基、またはグリシジルとテトラヒドロピラニルカルボン酸から選択された場合には、r=s=0である2つの単量体で構成された共重合高分子が提供される。
【0051】
また、本発明は、前記化学式1の液晶配向共重合体を含む液晶配向膜を提供する。
【0052】
本発明に係る液晶配向膜は当分野で知られている通常の方法によって直接製造することができ、選択的に、前記化学式1でs=0の場合、付加的に架橋剤を添加して製造することもできる。前記架橋剤は、熱処理時の高分子のネットワークを固定させることによって残像が生成されることを防止する役割をし、アミン系、酸無水物系、メルカプタン系、イソシアネート系などを用いることができ、このうちのアミン系と酸無水物系が好ましい。
【0053】
このような架橋剤は、高分子100重量部に対し0.01〜30重量部、好ましくは0.01〜3重量部を含む。このような架橋剤の例として、アミン系としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチルアミノプロピルアミン、メンタンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、ベンジルジメチルアミン、M−キシレンジアミン、イソホロンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジメチルアニリン、ジアミノフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジシアンジアミドなどがあり;酸無水物系としては、ビスアミノプロピルテトラオキサスピロウンデカン無水物、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水ドデシルコハク酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルナド酸(nadic methyl anhydride)、無水ピロメリト酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水ジクロロコハク酸、無水クロレンド酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸などがある。酸無水物系架橋剤の場合、触媒として2−フェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾールなどのイミダゾールを用いることができ、この時の触媒の含量は架橋剤100重量部に対し0.01〜5重量部である。
【0054】
本発明に係る液晶配向膜の製造には、液晶配向共重合体以外に、当業界で知られている通常の溶媒または添加剤を含むことができる。
【0055】
前記添加剤としては、熱硬化性樹脂に広く用いられる様々な種類のエポキシ樹脂、多価のイソシアネート、カルボン酸、アミン、アルコールなどが可能であり、これらに限定されるものではない。前記添加剤は化学式1の共重合体に添加剤として用い、添加比率は化学式1で末端に相応するエポキシ、イソシアネート、イソチオシアネート基の末端官能基を有する単量体に対し、0.01〜100%のモル比を加え、実際には化学式1の共重合体に対し、0.01〜50%の重量比を加えて用いる。
【0056】
本発明に係る液晶配向膜の製造方法は、前記化学式1の液晶配向共重合体を溶媒に溶解させて液晶配向剤を製造した後、前記液晶配向剤をスピンコーティング、ロールコーティング、またはインクジェットコーティングのような方法を用いて、酸化インジウム−スズ(ITO)で塗布したガラス基板上に塗布する。
【0057】
各々の物質の種類と用途に応じて液晶配向剤の濃度、溶媒の種類、および塗布方法を決定する。使用可能な溶媒としては、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドン、DMF、THF、CCl、またはこれらの混合物などがあり、これらに限定されるものではない。溶媒に対し重量比で1〜30の液晶配向の共重合体を溶かして、0.2〜1μmの細孔サイズを有するフィルタを通して残余浮遊物を除去した後、スピンコーティングやロールコーティング、インクジェットコーティングによって酸化インジウム−スズで塗布したガラス基板上に塗布し、60〜150℃の温度で1〜10分間熱を加えて溶媒を蒸発させる。この時に塗布された配向膜の厚さは80〜3,000Å、好ましくは500〜1,500Å厚さである。配向膜が塗布された酸化インジウム−スズで塗布したガラス基板は、偏光紫外線による露光と熱処理の2つの工程を経る。この時に配向させる領域を選択的に偏光した紫外線で照射する。紫外線は、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、またはパルス紫外線を用いて照射することができる。この時、露光の強さは液晶配向共重合体の種類によって異なり、50mJ/cm〜10J/cmのエネルギを照射し、好ましくは200mJ/cm〜5J/cmのエネルギを照射する。露光した基板は熱処理の工程を経る。本発明では、露光の後熱処理を施して配向性を極大化することができる。熱処理は100〜250℃の間で10分〜1時間行われる。熱処理の工程を終えた後、2つの基板に粘着体とスペーサを用いて1つのセルに合着する。合着した液晶セルに液晶を注入する。本発明で提供する配向膜で構成された液晶セルには多様な種類の液晶を用いることができるが、本発明の実施例ではTN用液晶とIPS液晶に限って記述した。液晶を封入した後には、150℃で10分間熱処理をして、液晶が配向膜の整列方向に配向するようにする。
【0058】
また、本発明は、前記液晶配向膜を含む液晶ディスプレイを提供する。
【0059】
液晶ディスプレイは当業界で知られている通常の方法によって製作することができる。
【0060】
本発明に係る液晶配向共重合体を用いて製造された液晶配向膜を含む液晶ディスプレイは、熱安定性に優れており、残像効果が現れない。
【実施例】
【0061】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示する。しかし、下記の実施例は本発明をより容易に理解するために提供されるだけのものであって、本発明の内容が限定されるものではない。
【0062】
製造例1:単量体1の製造
【化10】

1.1gの4−メトキシ桂皮酸塩素化物を10mLのTHFに溶かした後、2.3gの4−アミノフェノールを加えた。常温で5時間攪拌した後、濾過して沈殿物を除去し、減圧蒸留した後、1N塩酸20mLを加え、析出した沈殿物をフィルタで集めた後、多量の水で洗浄して1.4gの目的化合物を得た。この目的化合物を乾燥した後、THF10mLに溶かして、0.5mLのメタクリル酸塩素化物をO℃でゆっくり加えた後、常温に徐々に温度を上げて3時間攪拌した。沈殿物を濾過して除去し、ヘキサンを加えて析出した沈殿物をフィルタで集めた後、乾燥して1.4gの単量体1[2−メタクリル酸−4−(3−(4−メトキシ−フェニル)−アクリロイルアミノ)−フェニルエステル]を得た。
前記と類似する方法によって下記のような単量体を製造することができる。
【0063】
1)2−メタクリル酸−4−(3−(4−シアノ−フェニル)−アクリロイルアミノ)−フェニルエステル、
2)2−メタクリル酸−4−(3−(4−ブチルオキシ−フェニル)−アクリロイルアミノ)−フェニルエステル、
3)アクリル酸−4−(3−(4−シアノ−フェニル)−アクリロイルアミノ)−フェニルエステル、
4)アクリル酸−4−(3−(4−メトキシ−フェニル)−アクリロイルアミノ)−フェニルエステル、
5)アクリル酸−4−(3−(4−ブチルオキシ−フェニル)−アクリロイルアミノ)−フェニルエステル、
6)3−(4−メトキシ−フェニル)−アクリル酸4−(2−メチル−アクリロイルアミノ)−フェニルエステル、
7)3−(4−シアノ−フェニル)−アクリル酸4−(2−メチル−アクリロイルアミノ)−フェニルエステル、
8)3−(4−ブチルオキシ−フェニル)−アクリル酸4−(2−メチル−アクリロイルアミノ)−フェニルエステル、および
9)3−(4−メトキシ−フェニル)−アクリル酸4−アクリロイルアミノ−フェニルエステル。
【0064】
製造例2:単量体2の製造
【化11】

1.1gの4−アリルオキシ安息香酸塩素化物を10mLのTHFに溶かした後、2.3gの4−アミノフェノールを加えた。常温で5時間攪拌後、濾過して沈殿物を除去し、減圧蒸留した後、1Nの塩酸20mLを加え、析出した沈殿物をフィルタで集めた後、多量の水で洗浄して1.4gの目的化合物を得た。この目的化合物を乾燥した後、THF10mLに溶かし、0.5mLのメタクリル酸塩素化物をO℃でゆっくり加えた後、常温に徐々に温度を上げて3時間攪拌した。沈殿物を濾過して除去し、ヘキサンを加えて析出した沈殿物をフィルタで集めた後に乾燥し、THF10mLに溶かした後、1.2gの4−クロロパーオキシ安息香酸(MCPBA)を加えた後、常温で12時間攪拌した。反応後100mLの蒸溜水を加えて析出した沈殿物をフィルタで集めた後に乾燥し、1.3gの単量体2[2−メチル−アクリル酸4−[3−(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−アクリロイルアミノ]−フェニルエステル]を得た。
【0065】
前記と類似する方法によって下記のような単量体を製造することができる。
【0066】
1)アクリル酸−4−(4−シアノ−ベンゾイルアミノ)−フェニルエステル、
2)3−(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−アクリル酸4−(2−メチル−アクリロイルアミノ)−フェニルエステル、および
3)2−メチル−N−4−[3−(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−アクリロイルアミノ]−フェニル−アクリルアミド。
【0067】
製造例3:単量体3の製造
【化12】

1.1gの4’−ヒドロキシビフェニル−4−カルボニトリルを10mLのTHFに溶かした後、2.3gの4−[6−(テトラヒドロピラニル−2−オキシ)−ヘキシルオキシ安息香酸、140mgの1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、および1.4gの2−ジメチルアミノプロピルカルボジイミドを加えた。常温で5時間攪拌した後、濾過して沈殿物を除去し、減圧蒸留した後にメタノール20mLとTHF20mLとの混合溶液に溶かした後、100mgのp−トルエンスルホン酸を加えて常温で10時間攪拌した。析出した沈殿物をフィルタで集めた後、多量のメタノールで洗浄して1.2gの目的化合物を得た。この目的化合物を乾燥した後、THF10mLに溶かした後、0.6mLのメタクリル酸塩素化物をO℃でゆっくり加えた後、常温に徐々に温度を上げて3時間攪拌した。沈殿物を濾過して除去し、ヘキサンを加えて析出した沈殿物をフィルタで集めた後に乾燥し、0.7gの単量体3[4−[6−(2−メチル−アクリロイルオキシ)−ヘキシルオキシ]−安息香酸4’−シアノ−ビフェニル−4−アイルエステル]を得た。
【0068】
前記と類似する方法によって下記のような単量体を製造することができる。
1)4−[6−(2−メチル−アクリロイルオキシ)−ヘキシルオキシ]−安息香酸4’−メトキシ−ビフェニル−4−アイルエステル、
2)4−[6−(アクリロイルオキシ)−ヘキシルオキシ]−安息香酸4’−メトキシ−ビフェニル−4−アイルエステル、
3)4−[6−(2−メチル−アクリロイルオキシ)−メチルオキシ]−安息香酸4’−シアノ−ビフェニル−4−アイルエステル、
4)4−[6−(2−メチル−アクリロイルオキシ)]−安息香酸4’−シアノ−ビフェニル−4−アイルエステル、
5)4−シアノ安息香酸4’−[6−(2−メチル−アクリロイル)−ヘキシルオキシ]−ビフェニル−4−アイルエステル、
6)4−メトキシ安息香酸4’−[6−(2−メチル−アクリロイル)−ヘキシルオキシ]−ビフェニル−4−アイルエステル、
7)4−メトキシ安息香酸4’−[6−(2−メチル−アクリロイル)−エチルオキシ]−ビフェニル−4−アイルエステル、
8)4−[6−(2−メチル−アクリロイルオキシ)−ヘキシルオキシ]−安息香酸4’−メトキシ−フェニル−4−アイルエステル、および
9)4−メトキシ安息香酸4’−[6−(2−メチル−アクリロイル)−エチルオキシ]−フェニル−4−アイルエステル。
【0069】
製造例4:単量体4の製造
【化13】

1.1gの4’−アリルオキシメチル−ビフェニル−4−オールを10mLのTHFに溶かした後、2.3gの4−[6−(テトラヒドロピラニル−2−オキシ)−ヘキシルオキシ安息香酸、140mgの1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、および1.4gの2−ジメチルアミノプロピルカルボジイミドを加えた。常温で5時間攪拌した後、濾過して沈殿物を除去し、減圧蒸留した後にメタノール20mLとTHF20mLとの混合溶液に溶かした後、100mgのp−トルエンスルホン酸を加えて常温で10時間攪拌した。析出した沈殿物をフィルタで集めた後、多量のメタノールで洗浄して1.2gの目的化合物を得た。この目的化合物を乾燥した後、THF10mLに溶かして、0.6mLのメタクリル酸塩素化物をO℃でゆっくり加えた後、常温に徐々に温度を上げて3時間攪拌した。沈殿物を濾過して除去し、ヘキサンを加えて析出した沈殿物をフィルタで集めた後に乾燥し、THF10mLに溶かした後、1.2gの4−クロロパーオキシ安息香酸(MCPBA)を加えた後に常温で12時間攪拌した。反応後100mLの蒸溜水を加えて析出した沈殿物をフィルタで集めた後に乾燥し、1.3gの単量体4[4−[6−(2−メチル−アクリロイルオキシ)−ヘキシルオキシ]−安息香酸4’−オキシラニルメトキシ−ビフェニル−4−アイルエステル]を得た。
【0070】
前記と類似する方法によって下記のような単量体を製造することができる。
1)4−[6−(2−メチル−アクリロイルオキシ)−ヘキシルオキシ]−安息香酸4’−オキシラニルメトキシ−ビフェニル−4−アイルエステル、
2)4−[6−(アクリロイルオキシ)−ヘキシルオキシ]−安息香酸4’−オキシラニルメトキシ−ビフェニル−4−アイルエステル、
3)4−オキシラニルメトキシ安息香酸4’−[6−(2−メチル−アクリロイル)−ヘキシルオキシ]−ビフェニル−4−アイルエステル、
4)4−オキシラニルメトキシ安息香酸4’−[6−(2−メチル−アクリロイル)−エチルオキシ]−ビフェニル−4−アイルエステル、
5)4−[6−(2−メチル−アクリロイルオキシ)−ヘキシルオキシ]−安息香酸4’−オキシラニルメトキシ−フェニル−4−アイルエステル、および
6)4−オキシラニルメトキシ安息香酸4’−[6−(2−メチル−アクリロイル)−エチルオキシ]−フェニル−4−アイルエステル。
【0071】
製造例5:単量体5の製造
【化14】

1.3gの4’−アセトオキシメチル−ビフェニル−4−オールを10mLのTHFに溶かした後、2.3gの4−[6−(テトラヒドロピラニル−2−オキシ)−ヘキシルオキシ安息香酸、140mgの1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、および1.4gの2−ジメチルアミノプロピルカルボジイミドを加えた。常温で5時間攪拌した後、濾過して沈殿物を除去し、減圧蒸留した後にメタノール20mLとTHF20mLとの混合溶液に溶かした後、100mgのp−トルエンスルホン酸を加えて常温で10時間攪拌した。析出した沈殿物をフィルタで集めた後、多量のメタノールで洗浄して1.2gの目的化合物を得た。この目的化合物を乾燥した後、THF10mLに溶かして、0.6mLのメタクリル酸塩素化物をO℃でゆっくり加えた後、常温に徐々に温度を上げて3時間攪拌した。沈殿物を濾過して除去し、ヘキサンを加えて析出した沈殿物をフィルタで集めた後に乾燥し、THF10mLに溶かした後、0.9gの炭酸水素カリウムを加えた後に常温で24時間攪拌した。反応後100mLの蒸溜水を加えて析出した沈殿物をフィルタで集めた後に乾燥し、1.2gの単量体5[4−[6−(2−メチル−アクリロイルオキシ)−ヘキシルオキシ]−安息香酸4’−ヒドロキシ−ビフェニル−4−アイルエステル]を得た。
【0072】
前記と類似する方法によって下記のような単量体を製造することができる。
1)4−[6−(2−メチル−アクリロイルオキシ)−ヘキシルオキシ]−安息香酸4’−ヒドロキシ−ビフェニル−4−アイルエステル、
2)4−[6−(アクリロイルオキシ)−ヘキシルオキシ]−安息香酸4’−ヒドロキシ−ビフェニル−4−アイルエステル、
3)4−ヒドロキシ安息香酸4’−[6−(2−メチル−アクリロイル)−ヘキシルオキシ]−ビフェニル−4−アイルエステル、
4)4−ヒドロキシ安息香酸4’−[6−(2−メチル−アクリロイル)−エチルオキシ]−ビフェニル−4−アイルエステル、
5)4−[6−(2−メチル−アクリロイルオキシ)−ヘキシルオキシ]−安息香酸4’−ヒドロキシ−フェニル−4−アイルエステル、および
6)4−ヒドロキシ安息香酸4’−[6−(2−メチル−アクリロイル)−エチルオキシ]−フェニル−4−アイルエステル。
【0073】
実施例1
1.重合体1の製造
【化15】

(p:q:r:s=1:1:0.2:0.02)
前記製造例1で製造した単量体1[2−メタクリル酸−4−(3−(4−メトキシ−フェニル)−アクリロイルアミノ)−フェニルエステル]1.97g、前記製造例3で製造した単量体3[4−[6−(2−メチル−アクリロイルオキシ)−ヘキシルオキシ]−安息香酸4’−シアノ−ビフェニル−4−アイルエステル]2.82g、グリシジルメタクリレート0.17g、テトラヒドロピラニルメタクリレート0.04gを22mLのDMFに溶かした。この溶液を窒素下で60℃に加熱した後、そこに0.15gの2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V65)をDMF3mLに溶かして添加することによって反応を開始した。6時間反応させた後、常温に冷まして1Lのエタノールに反応溶液をゆっくり加えて沈殿させた。このように得た白い固体1g当たり約7mLのDMFに溶かして60℃に加熱した後、そこに1g当たり約8mLのエタノールをゆっくり加えて再度沈殿させ、これを乾燥して重合体1(3.75g)を得た。
【0074】
2.液晶配向剤の製造
前記1で製造した重合体1(100mg)を5mLのシクロペンタノン(CP)溶媒に溶解させ、0.45μmの細孔サイズを有するフィルタに通過させて浮遊物を除去した。
【0075】
3.液晶セルの製造
前記2で製造された液晶配向剤をITO基板上に4,500rpmの速度で25秒間スピンコーティングして800Å厚さに塗布した。液晶配向剤が塗布された基板は、150℃で10分間熱を加えて溶媒を蒸発させた。配向膜が塗布された基板は、高圧水銀ランプをによって、偏光紫外線を20mW/cmの強さで10秒(200mJ)、50秒(1J)、250秒(5J)の間露光した。配向膜が塗布された基板は、露光後の熱処理を100℃で15分、140℃で15分、180℃で15分間合わせて45分施した。露光と熱処理が完了した基板は、両面接着テープを用いて60mmの間隔を有する複屈折制御(Electrically Controlled Briefringence, ECB)型の液晶セルを製造した。製造した複屈折制御型の液晶セルに毛細管を用い、横電界(In-Plane Switching, IPS)方式の液晶を注入して複屈折制御型の液晶セルを作った。製造された液晶セルは100℃で2分間熱処理を行った。
【0076】
実施例2
1.重合体2の製造
【化16】

(p:q:s=1:1:0.1)
前記製造例2で製造した単量体2[2−メチル−アクリル酸4−[3−(4−オキシラニルメトキシ−フェニル)−アクリロイルアミノ]−フェニルエステル]2.02g、前記製造例3で製造した単量体3[4−[6−(2−メチル−アクリロイルオキシ)−ヘキシルオキシ]−安息香酸4’−シアノ−ビフェニル−4−アイルエステル]2.89g、およびテトラヒドロピラニルメタクリレート0.09gを用いたことを除いては、前記実施例1の重合体1の製造方法と同一方法によって重合体2(4.1g)を得た。
【0077】
2.液晶配向剤の製造
前記実施例1の重合体1の代わりに重合体2(99mg)、2−フェニルイミダゾール(0.1mg)を用いたことを除いては、前記実施例1の2と同一方法によって液晶配向剤を製造した。
【0078】
3.液晶セルの製造
前記2で製造した液晶配向剤を用いて前記実施例1の3と同一方法によって液晶セルを製造した。
【0079】
実施例3
1.重合体3の製造
【化17】

(p:q:s=1:1:0.1)
前記製造例1で製造した単量体1[2−メタクリル酸−4−(3−(4−メトキシ−フェニル)−アクリロイルアミノ)−フェニルエステル]2.02g、前記製造例4で製造した単量体4[4−[6−(2−メチル−アクリロイルオキシ)−ヘキシルオキシ]−安息香酸4’−オキシラニルメトキシ−ビフェニル−4−アイルエステル]2.89g、およびテトラヒドロピラニルメタクリレート0.09gを用いたことを除いては、前記実施例1の重合体1の製造方法と同一方法によって重合体3(4.1g)を得た。
【0080】
2.液晶配向剤の製造
前記実施例1の重合体1の代わりに重合体3(99mg)、2−フェニルイミダゾール(0.1mg)を用いたことを除いては、前記実施例1の2と同一方法によって液晶配向剤を製造した。
【0081】
3.液晶セルの製造
前記2で製造した液晶配向剤を用いて前記実施例1の3と同一方法によって液晶セルを製造した。
【0082】
実施例4
1.重合体4の製造
【化18】

(p:q:r=1:1:0.1)
前記製造例1で製造した単量体1[2−メタクリル酸−4−(3−(4−メトキシ−フェニル)−アクリロイルアミノ)−フェニルエステル]1.98g、前記製造例5で製造した単量体5[4−[6−(2−メチル−アクリロイルオキシ)−ヘキシルオキシ]−安息香酸4’−ヒドロキシ−ビフェニル−4−アイルエステル]2.24g、およびグリシジルメタクリレート0.12gを用いたことを除いては、前記実施例1の重合体1の製造方法と同一方法によって重合体5(3.7g)を得た。
【0083】
2.液晶配向剤の製造
前記実施例1の重合体1の代わりに重合体5(99mg)を用いたことを除いては、前記実施例1の2と同一方法によって液晶配向剤を製造した。
【0084】
3.液晶セルの製造
前記2で製造した液晶配向剤を用いて前記実施例1の3と同一方法によって液晶セルを製造した。
【0085】
比較例1
1.比較重合体1の製造
【化19】

前記製造例1で製造した単量体1[2−メタクリル酸−4−(3−(4−メトキシ−フェニル)−アクリロイルアミノ)−フェニルエステル]1.5gをDMF9mLに溶かした。この溶液を窒素下で60℃に加熱した後、そこに45mgの2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V65)をDMF1mLに溶かして添加することによって反応を開始した。6時間反応させた後に常温に冷まして、600mLのエタノールに反応溶液をゆっくり加えて沈殿させた。このように得た白い固体1g当たり約7mLのDMFに溶かして60℃に加熱した後、そこに1g当たり約8mLのエタノールをゆっくり加えて、再度沈殿させて白色固体の比較重合体1(0.75g)を得た。
【0086】
2.液晶配向剤の製造
前記実施例1の重合体1の代わりに比較重合体1(99mg)、無水メチルテトラヒドロフタル酸(1mg)、および2−フェニルイミダゾール(0.1mg)を用いたことを除いては、前記実施例1の2と同一方法によって液晶配向剤を製造した。
【0087】
3.液晶セルの製造
前記2で製造した液晶配向剤を用いて配向膜が塗布された基板を露光後に熱処理を行わないことを除いては、前記実施例1の3と同一方法によって液晶セルを製造した。
【0088】
比較例2
1.比較重合体2の製造
【化20】

(p:q=1:1)
前記製造例1で製造した単量体1[2−メタクリル酸−4−(3−(4−メトキシ−フェニル)−アクリロイルアミノ)−フェニルエステル]4.7gと前記製造例3で製造した単量体3[4−[6−(2−メチル−アクリロイルオキシ)−ヘキシルオキシ]−安息香酸4’−シアノ−ビフェニル−4−アイルエステル]6.8gを55mLのDMFに溶かした。この溶液を窒素下で60℃に加熱した後、そこに0.345gの2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V65)をDMF2.5mLに溶かして添加することによって反応を開始した。6時間反応させた後に常温に冷まし、1Lのエタノールに反応溶液をゆっくり加えて沈殿させた。このように得た白い固体1g当たり約7mLのDMFに溶かして60℃に加熱した後、そこに1g当たり約8mLのエタノールをゆっくり加えて再度沈殿させ、これを乾燥して比較重合体2(10g)を得た。
【0089】
2.液晶配向剤の製造
前記実施例1の重合体1の代わりに比較重合体2(100mg)を用いたことを除いては、前記実施例1の2と同一方法によって液晶配向剤を製造した。
【0090】
3.液晶セルの製造
前記2で製造した液晶配向剤を用いて配向膜が塗布された基板を露光後に熱処理を行わないことを除いては、前記実施例1の3と同一方法によって液晶セルを製造した。
【0091】
実験例1:本発明に係る液晶セルの初期配向性評価
本発明に係る液晶配向共重合体を用いて製造された液晶セルの初期配向性を評価するために、下記のような実験を行った。
前記実施例1〜4および比較例1〜2で製造された液晶セルを偏光板がついているライトボックス上に置いて他の偏光板をその上に置き、2つの偏光板が垂直方向になるようにして配向膜の液晶配向性を観察した。液晶配向性は液晶の流れた跡と光漏れの程度で評価した。
液晶セルの配向性の評価基準は図1に示し、評価結果は表1に示した。
【表1】

表1に示すように、本発明に係る液晶配向共重合体を用いて製造された液晶セルの場合(実施例1〜4)、肉眼で観測した時に欠陥の全くない優れた配向状態を示した。また、比較例1〜2の場合も初期の配向状態は良好であった。
【0092】
実験例2:本発明に係る液晶セルの熱安定性評価
本発明に係る液晶配向共重合体を用いて製造された液晶セルの熱安定性を確認するために、下記のような実験を行った。
前記実施例1〜4および比較例1〜2に係る液晶セルの製造過程において、スピンコーティングの後、露光処理と熱処理を完了した後、単板を170℃で30分間熱処理を行った後に液晶セルを製造し、液晶の配向状態で単板の熱安定性を評価した。
その結果は表2に示した。
【表2】

表2に示すように、本発明に係る液晶配向共重合体を用いて製造された液晶セルの場合(実施例1〜4)、熱安定性評価を行った後でも配向状態の変化は全く表れなかった。しかし、比較例1の場合、熱安定性評価を行った後の配向状態は非常に不良であることを示した。
【0093】
実験例3:本発明に係る液晶セルの残像特性評価
本発明に係る液晶配向共重合体を用いて製造された液晶セルの残像特性を確認するために、下記のような実験を行った。
前記実施例1〜4および比較例1〜2に係る液晶セル中、50秒露光したセルを対象に1分間短絡させた。電場(周波数1000Hz、電圧0−5V)に対する前記セルの透過率−電圧特性を測定した。30分間交流電圧(周波数1000Hz、電圧5V)を前記セルに印加した。前記過程を2回繰り返し行った。残像係数は下記数学式1によって計算した。
【数1】

【0094】
S(残像係数)=T/Tmax
※Tmax:第1番目の透過率−電圧グラフで透過率の最大値であり、
T:透過率−電圧グラフで第1番目(T1−max)と第2番目(T2−max)の透過率の最大値の差である。
測定した残像係数の値は表3に示した。
【表3】

表3に示すように、本発明に係る液晶配向共重合体を用いて製造された液晶セルの場合、残像係数が小さい。したがって、本発明に係る液晶セルの場合(実施例1〜4)、初期輝度変動率が小さいだけでなく初期輝度値に復元するのにかかる時間もはるかに短いことが分かる。
【0095】
実験例4:本発明に係る液晶セルの2次残像特性評価
本発明に係る液晶配向共重合体を用いて製造された液晶セルの2次残像特性を確認するために、下記のような実験を行った。
前記実施例1〜4および比較例1〜2に係る液晶セル中、50秒露光したセルを対象に6時間7Vの交流電圧を印加した後、電圧をオフにした状態で黒度(ブラック輝度)の変動率を測定して行った。その測定結果は図2に示した。
図2に示すように、本発明に係る液晶配向共重合体を用いて製造された液晶セルの場合(実施例1〜4)、苛酷な条件の電圧印加の後、黒度の変動率が小さいだけでなく初期輝度値に復元するのにかかる時間もはるかに短いことが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】液晶セルの配向性の評価基準を示す図である。
【図2】本発明に係る液晶セルの残像評価を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で示される液晶配向共重合体:
【化1】

前記化学式1において、
〜Mは、各々独立して高分子鎖にある反復単位であって、アクリル、メタアクリル、クロトン、マレイック、マレアミック、シトラコン、イタコン、スチレン、メチルスチレン、アクリルアミド、メタアクリルアミド、およびマレイックイミドからなる群から選択され、
p、q、r、sは反復単位のモル分率であって、p+q+r+s=1で、p=0.1〜0.9、q=0.1〜0.9、r=0〜0.3、s=0〜0.3であり、
は、AまたはAが置換または非置換された光反応性基であり、
は、AまたはAが置換または非置換されたメソゲン基であり、
は、熱硬化性基であり、
は、Aの熱硬化反応を誘導して架橋化を起こす架橋基である。
但し、r=0の場合、AはAが置換された光反応性基であるか、AはAが置換されたメソゲン基であり、
s=0の場合、AはAが置換された光反応性基であるか、AはAが置換されたメソゲン基である。
【請求項2】
前記Aは、下記構造式からなる群から選択された1種を含む、請求項1に記載の液晶配向共重合体:
【化2】

前記構造式において、
は、スペーサであって、−O−;−NH−;またはC〜Cのアルキル鎖の両末端に同一または相異なるように、エーテル基、アミン基、エステル基、およびアミド基からなる群から選択された官能基が導入された2価官能基であり、
は、光二量化や異性化が可能なエノン構造を有する基であって、−NH−CO−(CH=CH)−、−O−CO−(CH=CH)−、−(CH=CH)−CO−NH−、−(CH=CH)−CO−O−、−CO−(CH=CH)−、または−(CH=CH)−CO−であり、
Yは、末端に置換された配位子であって、水素、ヒドロキシ、C〜C10のアルキルオキシ、ハロゲン、アミン、ニトリル、ニトロ、グリシジル、イソシアネート、テトラヒドロピラニルカルボン酸、および無水酢酸からなる群から選択される。
【請求項3】
前記Sは、−O−、−NH−、またはn=1〜6の値を有する−NH−(CH−NH−、−O−(CH−O−、−NH−(CH−O−、−O−(CH−NH−、−O−(CH−OCO−、または−O−(CH−NHCO−であることを特徴とする、請求項2に記載の液晶配向共重合体。
【請求項4】
−A反復単位のための単量体は、下記構造式からなる群から選択されたものを含む、請求項2に記載の液晶配向共重合体:
【化3】

【請求項5】
前記Aは、下記構造式からなる群から選択された1種を含む、請求項1に記載の液晶配向共重合体:
【化4】

は、スペーサであって、−O−、−NH−、またはC〜Cのアルキル鎖の両末端に同一または相異なるように、エーテル基、アミン基、エステル基、およびアミド基からなる群から選択された官能基が導入された2価官能基であり、
はスペーサであって、−CO−O−または−O−CO−であり、
Yは、末端に置換された配位子であって、水素、ヒドロキシ、C〜C10のアルキルオキシ、ハロゲン、アミン、ニトリル、ニトロ、グリシジル、イソシアネート、テトラヒドロピラニルカルボン酸、および無水酢酸からなる群から選択される。
【請求項6】
前記Sは、−O−、−NH−、またはn=1〜12の値を有する−NH−(CH−NH−、−O−(CH−O−、−NH−(CH−O−、−O−(CH−NH−、−O−(CH−OCO−、または−O−(CH−NHCO−であることを特徴とする、請求項5に記載の液晶配向共重合体。
【請求項7】
−A反復単位のための単量体は、下記構造式からなる群から選択されたものを含む、請求項5に記載の液晶配向共重合体。
【化5】

【請求項8】
前記Aは下記構造式で示される、請求項1に記載の液晶配向共重合体:
【化6】

ここで、Sはスペーサであって、−O−、またはC〜C10のアルキル鎖の末端にエーテル基または−OCO−NH−基が導入された2価官能基であり、nは0または1であり、
は、熱硬化を誘導するエポキシ、オキセタン、イソシアネート、イソチオシアネート、ヒドロキシ、およびアミン基からなる群から選択された基である。
【請求項9】
−A反復単位のための単量体は、下記構造式からなる群から選択されたものを含む、請求項8に記載の液晶配向共重合体:
【化7】

【請求項10】
前記Aは下記構造式で示される、請求項1に記載の液晶配向共重合体:
【化8】

ここで、Sはスペーサであって、−O−、またはC〜Cのアルキル鎖の末端にエーテル基が導入された2価官能基であり、
は、架橋を誘導する官能基であって、カルボン酸、テトラヒドロピラン、無水酸、およびイミダゾールからなる群から選択される。
【請求項11】
−A反復単位のための単量体は、下記構造式からなる群から選択されたものを含む、請求項10に記載の液晶配向共重合体:
【化9】

【請求項12】
請求項1〜11のうちいずれか1項に記載の液晶配向共重合体を含む液晶配向膜。
【請求項13】
請求項12に記載の液晶配向膜を含む液晶ディスプレイ。

【図2】
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【図1】
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【公表番号】特表2009−512903(P2009−512903A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−537608(P2008−537608)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【国際出願番号】PCT/KR2006/004601
【国際公開番号】WO2007/052979
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】