説明

液浸リソグラフィー用投影対物レンズの材料の製造方法

【課題】液浸リソグラフィーの液浸媒体と接触する対物レンズの材料の製造方法を提供する。
【解決手段】堆積バーナーに反応域を設け、この反応域に被酸化性、合成リン化合物とアルカリ土類化合物とを供給し、酸素含有ガスの存在下で非晶質酸化物粒子を形成し、そしてこの粒子をキャリヤー上に堆積させてアルカリ土類酸化物を含むリン酸塩ガラスを形成させる。このリン酸塩ガラスの屈折率は193nmの波長で少なくとも1.6である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液浸リソグラフィー用投影対物レンズの材料の製造方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
マイクロリソグラフィー投影システムを使って基板上に大規模集積回路を製作している。一般的な要望としては、照射システムの対象面区域における光分布ができるだけ均質であり、そして角度を保っていて、露光しようとする基板上の対象平面に対して共役の投射対物レンズの像面でできるだけ分解能が高くなっていることである。
【0003】
投影対物レンズの達成可能な分解能は作動波長によって変わる。最近のマイクロリソグラフィー・デバイスは248nmの波長(KrFレーザー)もしくは193nmの波長(ArFレーザー)のUV放射線を放出するエキシマレーザーで作動している。これまで作動波長は絶えず短縮してきていて、もはやそれの物理的な、そして技術的な限界に到達している。そのことが最近になって、「液浸リソグラフィー」と称する技術を採用する投影システムでの実験が行われるようになった理由である。この技術では、像面における露光しようとする基板とレンズシステムの最後の光学要素との間の間隙を空気よりも高い屈折率の液浸媒体で充填する。空気に比して液浸媒体の高い屈折率は、対物レンズの開口数を全体として高め、それによりそれの分解能を増加させる。
【0004】
対物レンズの開口数は浸液の屈折率につれて大きくなる。それ故、屈折率の高い浸液の使用が望ましい。塩を加えると水の屈折率を大きくできる。しかし、常に注意すべきことは、ちょうど投射対物レンズの光学要素のように、浸液はその作動波長での光学的放射線に対し高い、そして可能であるなら、時間がたっても不変で一定の透過率を示すことである。この目的のため高エネルギーのUV放射線に対する十分な耐放射線性が必要となる。
【0005】
浸液に隣接する投射対物レンズの最後の光学的要素について言えば、この材料の屈折率ができるだけ高いこと、そしてその材料が浸液に化学的に抵抗性があると言う付加的な要件がある。
【0006】
石英ガラスは機械的な、そして化学的な抵抗性があり、複屈折が少なく、そして成形が容易であるので質の高い光学的レンズをつくるのに好ましい材料である。波長193nmの放射線に対して石英ガラスは透過性であるが、この波長での屈折率はたったの1.56である。石英ガラスの屈折率はドーパントを加えることにより大きくでき、そのようなドーピング・プロセスはUV範囲の作動波長に対して屈折率を増大するけれども、通常は紫外線スペクトル範囲における透過率を許容できない程に低下させてしまう。
【0007】
SPIEの会報5754巻、光学的マイクロリソグラフィーXVIIIで公開された、ジョーン・エイチ・バーネット等の論文「193nm液浸リソグラフィーのための高屈折率材料」では屈折率の高い様々な材料が液浸リソグラフィーの用途に適するものとして挙げられている。それらは結晶性のアルカリ土類酸化物、特にMgO、そして単結晶と多結晶スピネル(MgAl)である。
【0008】
しかしながら、立方格子構造の結晶体(例えば、MgO)ですら強い固有の複屈折を呈することが知られている。さらに、合成クリスタルからレンズを一つずつ製作することは非常に複雑である。坩堝溶融法を使う標準的な製作から更なる困難が生じるのは、坩堝材料からの不純物が光学的材料に入り込んで、それにより作動波長範囲で吸収帯を生じるからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
それ故本発明の目的は、液浸リソグラフィーの投射対物レンズの材料の製造方法を提供することであり、その材料は屈折率が高く、同時に193nm付近の作動波長範囲で透過率が高いということで顕著であり、それ故液浸媒体と接触する投射対物レンズの最後の光学的要素をつくるのに特に適している方法である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の方法から発してこの目的は、本発明に従って、堆積バーナーに反応域を設け、その反応域に被酸化性の、合成されたリン化合物と、アルカリ土類化合物とを供給し、そこで酸素含有ガスの存在下で非晶質酸化物粒子を形成し、そしてこの粒子をキャリヤー上に堆積させてアルカリ土類酸化物を含むリン酸塩ガラスを形成させ、このリン酸塩ガラスの屈折率は193nmの波長で少なくとも1.6である。
【0011】
本発明に従ってアルカリ土類酸化物を含むリン酸塩ガラスの非晶質粒子を一つもしくは幾つかの堆積バーナーによりつくり、そしてキャリヤーに堆積させてアルカリ土類酸化物を含むリン酸塩ガラスから成る層を形成する。このためその堆積バーナーにはプラズマもしくはバーナーガスにより反応域をつくって、そこに出発物質を供給してガラス粒子に転化させる。
【0012】
出発物質は少なくとも一つの被酸化性のリン化合物と少なくとも一つのアルカリ土類化合物である。これらの物質を気体状、液体状もしくは微粒子状として反応域へ供給する。このプロセスで、それらはそれぞれ堆積バーナーを介して反応域に入るか、もしくはそれらは堆積バーナーの外側から反応域へ、例えば、散布により、注入によりもしくは噴霧により供給される。
少なくともリン酸塩ガラスのリン成分を供給する成分要素は、ここでは、合成的につくられた被酸化性のリン化合物として存在する。被酸化性であることがリン粒子を形成するための前記の成分要素の反応性を高める。リン化合物の合成方法は十分な高純度を保証する。
【0013】
ここで注意しなければならないことは、リン酸化物がリン酸塩ガラスの最大重量部を占めているということである。この点では本発明の方法は合成SiOの既知製造方法と同じである。
【0014】
石英ガラスのような単一成分ガラスとは対照的に、本発明の方法において重要なことは、幾つかの成分から成るアルカリ土類酸化物含有のリン酸塩ガラスを形成できるモル比で反応域に反応パートナーが存在していると言うことである。
【0015】
193nmの作動波長のUV放射線に対してリン酸塩ガラスの屈折率が1.6もしくはそれ以上となり、その短い作動波長範囲で透過特性に不都合を生じさせるアルカリ土類酸化物の分量にしないで、アルカリ土類酸化物を加えることにより純粋なリン酸塩ガラスの屈折率を大きくできると言うことが判った。さらに、純粋なリン酸塩ガラスの比較的低い化学的抵抗性がその分量のアルカリ土類酸化物によって改善される。75モル%以上のPを含有するリン酸塩ガラスは化学的に安定性が低い。
【0016】
屈折率を大きくしたり、もしくは化学的抵抗性を大きくするのに寄与する他のある物質を含んでもよいが、そのようなドーピング作業が193nmの作動波長で固有吸収率を許容できなくするようなことがあってはならない。
【0017】
このようにしてつくられたアルカリ土類金属含有のリン酸塩ガラスは、それの屈折率と化学的抵抗性が高いので液浸リソグラフィーの光学的要素の製作に適している。
【0018】
本発明の方法は、500℃までの温度で気化するリン化合物を使用するとき特に有利である。
【0019】
扱い易い500℃以下の温度でリン化合物が気化するため、超純粋な状態でリン化合物を比較的容易に調製できる。このことがリン酸塩ガラスの純度に特に有利であるというのは、リン酸化物が最大モル部を占めているからである。
【0020】
この点において、ホスフィン、ホスファン(phosphane)、亜リン酸塩、リン化物そしてこれらの化合物の有機誘導体と無機誘導体からなるグループから選択されたリン化合物を使用すると有利である。
【0021】
ホスフィンは、「ホスフィン」“phosphine”の名でも知られているモノホスファン(PH)の無機誘導体である。公式的な観点から見れば、ホスフィンは一つから三つの水素原子を有機分子で交換することにより形成できる。
【0022】
ホスファンは、リンと、水素及び/又は有機残留物質との3結合リン化合物を表わしており、上記有機残留物質は、炭素原子を介してリン原子に結合されている(結合ユニット:P‐C)。
【0023】
亜リン酸塩は、リンと、水素及び/又は有機残留物質との3結合リン化合物を表わしており、上記有機残留物質は、酸素原子を介してリン原子に結合されている(結合ユニット:P‐O‐C;式P(OR))。
【0024】
リン化物においては、モノホスファンの三個の水原子全部もしくは一部が、一つもしくはそれ以上の金属原子で置き換えられている。金属原子はアルカリ土類原子でよい。この点ではアルカリ土類リン化物も本発明の思想内でアルカリ土類化合物として使用できる。
【0025】
上記のリン化合物のすべてが高純度で合成でき、そしてそれらは500℃以下の温度で部分的に液体状態もしくは気体状態で存在する。
【0026】
この点で、リンハロゲン化合物の形のリン誘導体が、特に好ましい仕方でリン化合物として使用される。
【0027】
三塩化リン、四塩化二リンもしくは五塩化リンからなるグループから選択された一つもしくは複数の化合物をリンハロゲン化合物として使用すると特に有用であることが判っている。
【0028】
それらの塩化リン化合物は、塩素が不純物と揮発性塩化物を形成することにより反応域で追加的な純化作用を果たすという特別な利点を有している。不利な点は塩化リン化合物の腐食作用である。
【0029】
この欠点を無塩素リン化合物により解消する。そのことが、ホスフィンとそれらの無塩素誘導体が、代替的に、そして等しく好ましい仕方で使用される理由である。
【0030】
マグネシューム、カリウム、ストロンチューム及び/又はバリウムを含むハロゲン化合物の形でアルカリ土類化合物を使用する変更態様の方法が好ましい。
【0031】
前記のアルカリ土類金属の酸化物はリン酸塩ガラスの屈折率を増加する。その屈折率増加の順序はMg、Ca、Sr、Baである。ここで、リン酸塩ガラスは、作動波長193nmで少なくとも1.6の屈折率となる量の一つもしくは幾つかのアルカリ土類酸化物を含んでいる。UV範囲での固有吸収縁は長い波長に向ってMg、Ca、Sr、Baの順に移っていく。
【0032】
上述のアルカリ土類金属のハロゲン化合物もしくはアセテート化合物も高純度で合成でき、大抵容易に溶解でき、そしてその溶解した形で反応域に容易に導入できる。純度は再沈殿により高められる。
【0033】
バリウムのハロゲンもしくはアセテート化合物をアルカリ土類化合物として使用することが好ましい。
【0034】
酸化バリウムは所望の高い屈折率を得るのに特に有効である。従って、リン酸塩ガラスの全アルカリ土類含有分はすべてBaOとするのが好ましく、少なくとも最大部とする。さらに、酸化バリウム含有分がリン酸塩ガラスの化学的抵抗性を改善する。
【0035】
バリウムハロゲン酸化物を塩化バリウムの形で使用すると有利であることが判っている。
【0036】
塩化バリウムは水溶性であり、そしてそれ故、溶解した形で反応域に容易に導入できる。塩化バリウムは、リン化合物が塩素を含んでいるとき使用するのが特に好ましい。
【0037】
本発明の特に好ましい変更態様での方法では、Pの含有分が40モル%と75モル%の間でリン酸塩ガラス粒子が形成されるようなモル比でリン化合物とアルカリ土類化合物とを反応域に供給する。
【0038】
上述の75モル%を上限とする範囲の高いPの含有量を有するリン酸塩ガラスは、同時にAlが存在すると安定している。そうでない場合にはPの上限は約55モル%である。前記の下限よりもPの含有量が少ないとガラスの形成が困難となる。
【0039】
さらに、酸化バリウムの含有量が30モル%と60モル%の間にあるリン酸塩ガラス粒子が形成されるようなモル比でリン化合物とバリウム化合物とを反応域に供給すると有利であることが判っている。
【0040】
酸化バリウムをドープしたリン酸塩ガラスを反応域で形成する。上に述べたように、酸化バリウムはリン酸塩ガラスの所望の高い屈折率について特に有効であり、そして化学的抵抗性を改善するのを助ける。
【0041】
さらに、(リン酸塩ガラスに基づいて)最大で25モル%の酸化アルミニュームを形成する量の酸化アルミニュームを反応域に供給するのが有用であることが判っている。
【0042】
酸化アルミニュームはある程度ガラスフォーマーとして働き、それによりガラス構造体の網状組織を高め、そしてリン酸塩ガラスの化学的抵抗性を改善する。他方で、高濃度の酸化アルミニュームはリン酸塩ガラスの屈折率を減少するので、酸化アルミニュームの含有量は25モル%よりも多くないのが好ましい。
【0043】
さらに、(リン酸塩ガラスに基づいて)10モル%より多くない酸化ホウ素を形成する量のホウ素化合物を反応域に供給するのが有用であることが判っている。
【0044】
酸化ホウ素はリン酸塩ガラスのガラス形成に有効であるが、屈折率を低下させもするので、Bの含有量は最大で10モル%である。
【0045】
このようにしてつくられ、そしてアルカリ土類酸化物を含有しているリン酸塩ガラスは、193nm付近の作動波長で十分な光学的透明性と耐放射線性とにおいて顕著であり、そして特に1.6以上と言う高い屈折率で群を抜いている。それ故、それは、193nm付近の波長の直線偏光のUVレーザー輻射が浸液媒体を介して基板に伝播する浸液リソグラフィーの投射システムの光学的要素として特に適している。
【0046】
リン化合物とアルカリ土類化合物とを予め混合して、混合物として堆積バーナーに供給することが有利であることが判っている。
【0047】
このプロセスにおいて堆積バーナーには決まった混合比のガラス出発物質を有する混合物が既に供給されており、時間と場所とについて均一となっている混合物が反応域で調整され、それにより特に均質なリン酸塩ガラスを生じる。
【0048】
リン化合物とアルカリ土類化合物とを反応域に別個に供給する別の仕方も同様に好ましく、特に簡単でもある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
本発明を以下に、添付図を参照して実施例につき詳述する。
【0050】
図1に示す堆積バーナーは、石英ガラスの製作で従来から使用していた公知のものである。しかしながら、この例では、長手方向軸20の周りに回転するキャリヤー9の円筒面上に酸化バリウムをドープしたリン酸塩ガラス粒子をプラズマで堆積させる変更態様としてこの公知の堆積バーナーは使用されている。符号1はプラズマ・サポート・バーナー全体を指している。このプラズマ・サポート・バーナーは、石英ガラスのバーナーチューブ2を備え、このバーナーチューブの中に高周波コイル3によりプラズマ4を点火させる。さらに、プラズマ・サポート・バーナー1は、石英ガラスの内側チューブ5を備え、この内側チューブを介してプラズマ4にPCl(沸点76.10℃)の形のリン含有ガラス出発材料と酸素の形のキャリヤーガスとを供給でき、この内側チューブ5はプラズマ4に向って先細りとなっている媒体ノズル7の形をしている。
【0051】
内側チューブ5は、石英ガラスの2つのチューブ11;12によって同心円状に包囲されている。超純水に溶けた塩化バリウムが酸素の形のキャリヤーガスと一緒に、内側の石英ガラスチューブ11と内側チューブ5との間の環状間隙13に入れられる。環状間隙13はプラズマ4に面する上方のノズル開口域に広がって、拡散器14を形成している。内側のステンレススチールのチューブ11(拡散器14)のノズル開口と媒体ノズル7との間の間隙“A”は23mmである。その円筒部分において、環状間隙13の間隙幅は約6mmである。
【0052】
酸素の形の冷却ガスが内側のチューブ11と外側のチューブ12との間の環状間隙16に導入される。この冷却ガスは、主として、高温プラズマに対してプラズマ・サポート・バーナー1を冷却し、そして保護する作用をなす。環状間隙16の間隙幅は約3mmである。プラズマ4に向って配向されている環状間隙16の開口は、プラズマ4に向って開いている外側のノズル17を形成し、外側のチューブ12はプラズマの方に約13mm内側のチューブ11より突出している。バーナーチューブ2の内部は密封リング18により示されているように、外気に対して密封されている。
【0053】
本発明の方法の一例を、図1に示すプラズマ・サポート・バーナーを参照しつつ説明する。
【0054】
PCl毎分4グラムと酸素毎分7リットルとを内側のチューブ5へ供給する。さらに、毎分1.3グラムの溶解BaClを毎分40リットルのキャリヤー酸素で環状間隙13に注入する。毎分70リットルの冷却ガス/酸素を環状間隙16に注入する。
【0055】
プラズマ4の領域でPClは酸化されて酸化リンになり、そしてBaClは酸化バリウムとなって長手方向軸20の周りで回転している酸化アルミニュームのロッド9の円筒表面にナノ粒子の形で堆積し、そしてこのプロセスで直接ガラス化して酸化バリウムをドープしたリン酸塩ガラスから成るボデー8を形成し、ここで、BaOとPのモル比は1:1である。リン酸塩ガラスブランク(それの組成と特性を表1に示す)を酸化アルミニュームロッド9の円筒表面に沿ってプラズマ・サポート・バーナーの運動を周期的に反転させて層状に形成する。
【0056】
【表1】

【0057】
表の第5欄は測定波長546.04nmでの屈折率nの測定値を示し、そして表の第6欄は経験的に決定した波長193nmでの屈折率を示す。
【0058】
プラズマ・サポート・バーナー以外のツールを使わないでリン酸塩ガラス塊をつくれる結果、高純度の出発原料すなわち高純度のリン酸塩ガラスを用いることができ、そしてこれによって200nm付近の波長範囲での低吸収を達成する。このことは、特に多価イオンによる汚染を防ぐ。この多価イオンは、通常VUVとUV範囲で非常に強くしかも広い吸収帯域を示し、そして固有のVUV縁を長波長帯域側へ移行させる。
【0059】
成形および均質化加工、例えば3次元的な捩りによって、チューブ状ガラス体8から均質なガラスブロックをつくり、更なる加工、例えばアニールと機械加工によりガラスブロックから投影対物レンズ21(図2)のレンズブランクが得られる。
【0060】
厚さが0.2mmで、組成が(モル比で)50BaOと50Pであるバリウムリン酸塩ガラスのディスクで、120と350nmの間の波長範囲で透過率85%が測定された。この値は理論的に計算された透過率に近く、そしてリン酸塩ガラスで意図されている使用に十分である。固有のUV吸収は約170nmの波長で始まるのみである。
【0061】
193nmの作動波長での液浸リソグラフィーのマイクロリソグラフィック投影システムの図2に示す部分において、最後のレンズ21は本発明に従ってつくられたリン酸塩ガラスから成る。このレンズ21は、基板24上の感光フイルム23とレンズ21との間の間隙を完全に埋めている浸液22と直接接触している。
【0062】
作動波長の放射線の光路は個々の要素21,22,23の屈折率によって変る。図2の左側はレンズ21が浸液22よりも高い屈折率を有し、そして浸液22が感光フイルム23よりも小さい屈折率を有する場合の光路25bを示している。
【0063】
右側は、投影システムの大きな開口数とできるだけ小さいレンズサイズに対して理想的な光路25aを示している。レンズ21、浸液22そして感光フイルム23はそれぞれ同じ屈折率を有する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】キャリヤーにリン酸塩ガラスをプラズマ堆積させる堆積バーナーの略図である。
【図2】露光する基板とマイクロリソグラフィー投影システムの一部とを組合せて示す略図である。
【符号の説明】
【0065】
1 堆積バーナー
2 バーナーチューブ
3 高周波コイル
4 プラズマ
5 内側のチューブ
7 媒体ノズル
8 ボデー、又はチューブ状ガラス体
9 酸化アルミニュームのロッド
11 内側のチューブ
12 外側のチューブ
13 環状間隙
14 拡散器
16 環状間隙
17 外側のノズル
18 密封リング
20 長手方向軸
21 投射対物レンズ
22 浸液
23 感光フイルム
24 基板
25 光路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
堆積バーナー(1)に反応域(4)を設け、その反応域に被酸化性の、合成されたリン化合物と、アルカリ土類化合物とを供給し、そこで酸素含有ガスの存在下で非晶質酸化物粒子を形成し、そしてこの粒子をキャリヤー(9)上に堆積させてアルカリ土類酸化物を含むリン酸塩ガラスを形成させ、このリン酸塩ガラスの屈折率は193nmの波長で少なくとも1.6であることを特徴とする液浸リソグラフィーの投影対物レンズ(21)の材料の製造方法。
【請求項2】
500℃までの温度で気化するリン化合物を使用する請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
ホスフィン、ホスファン(phosphane)、亜リン酸塩、リン化物そしてこれらの化合物の有機誘導体と無機誘導体からなるグループから選択されたリン化合物を使用する請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
リンハロゲン化合物の形のリン誘導体を使用する請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
使用されるリンハロゲン化合物が、三塩化リン、四塩化二リンおよび五塩化リンからなるグループから選択された一つもしくは複数の化合物である請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
無塩素リン化合物を使用する請求項3に記載の製造方法。
【請求項7】
マグネシューム、カリウム、ストロンチューム及び/又はバリウムを含むハロゲン化合物もしくはアセテート化合物の形でアルカリ土類化合物を使用する請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
使用されるアルカリ土類化合物がバリウムのハロゲン化合物もしくはアセテート化合物である請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
使用されるバリウムハロゲン化合物が塩化バリウムである請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
の含有量が40モル%と75モル%の間にあるリン酸塩ガラス粒子が形成されるようなモル比でリン化合物とアルカリ土類化合物とを反応域に供給する請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
【請求項11】
酸化バリウムの含有量が30モル%と60モル%の間にあるリン酸塩ガラス粒子が形成されるようなモル比でリン化合物とバリウム化合物とを反応域に供給する請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
(リン酸塩ガラスに基づいて)25モル%より多くない酸化アルミニュームを形成する量のアルミニューム化合物を追加して反応域に供給する請求項1〜11のいずれかに記載の製造方法。
【請求項13】
(リン酸塩ガラスに基づいて)10モル%より多くない酸化ホウ素を形成する量のホウ素化合物を追加して反応域に供給する請求項1〜12のいずれかに記載の製造方法。
【請求項14】
リン化合物とアルカリ土類化合物とをあらかじめ混合して、混合物として堆積バーナーに供給する請求項1〜13のいずれかに記載の製造方法。
【請求項15】
リン化合物とアルカリ土類化合物とを反応域に別々に供給する請求項1〜13のいずれかに記載の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−230860(P2007−230860A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−45131(P2007−45131)
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【出願人】(503342524)ヘレウス クワルツグラス ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー (13)
【出願人】(000190138)信越石英株式会社 (183)
【Fターム(参考)】