説明

液滴吐出ヘッド用の配線板、液滴吐出装置、及び液滴吐出装置の製造方法

【課題】異種の液滴吐出ヘッドに対して一種類の配線板を共用化可能にする。
【解決手段】配線群を備え、駆動IC141が搭載された中継配線部材106を介して液滴吐出ヘッドに電気的に接続可能な配線板であって、第1種の液滴吐出ヘッド101は駆動電極129、第1定電位電極128及び第2定電位電極130を備え、第2種の液滴吐出ヘッド201は駆動電極229及び第1定電位電極230を備え、配線群は駆動IC141に第1電圧を入力するための第1駆動配線144、駆動IC141に第2電圧を入力するための第2駆動配線143、第1定電位電極128,228に電気的に接続される第1定電位配線145、及び第2定電位電極130に電気的に接続可能な第2定電位配線146を有し、第2駆動配線143には第1ランド161が設けられ、第2定電位配線143には第2ランド162が設けられ、第1ランド161と第2ランド162とは互いに離隔した状態で対となるように並設されて互いに短絡可能になっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液滴吐出ヘッドに接続される配線板、該配線板と液滴吐出ヘッドを備える液滴吐出装置、及び該液滴吐出装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液滴吐出ヘッドの一例であるインクジェットヘッドには、圧電シートを積層してなる圧電式のアクチュエータを備えたものがある。圧電式のアクチュエータ内には異なる電位が印加される複数種の電極が設けられており、該電極間の電位差に基づき電極で挟まれた活性領域が変形可能となっている。アクチュエータはインクが流れる流路ユニットに重ねて設けられ、活性領域の変形によって流路ユニットに構成された圧力室内のインクに吐出圧力が付与される。
【0003】
アクチュエータの表面には各種電極と電気的に導通している電極端子が設けられており、このアクチュエータの表面には配線部材が重ねて設けられる。配線部材には、各電極端子に所定の電位を付与するための配線群が設けられている。これら配線群の各端部に形成された配線端子を電極端子と電気的に導通させることによって、配線群を介してアクチュエータの電極に所定の電位を印加可能となる。
【0004】
例えば特許文献1に開示されるアクチュエータには、定電位としてグランド電位が印加される定電位電極と、インク吐出を要しない待機時にはグランド電位が印加される一方、インク吐出を要する駆動時には高電位が印加される駆動電極とが設けられている。従って、アクチュエータの表面にはこれら電極に合わせて定電位電極端子及び駆動電極端子が設けられ、配線部材には定電位電極端子にグランド電位を付与するための配線と、駆動電極端子にグランド電位及び高電位を選択的に付与するための配線とが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−196544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようにインクジェットヘッド用の配線部材に設けられる配線群は、アクチュエータに何種類の電極が設けられているのかに基づいて設計される。このため、特許文献1に開示されるような2種の電極を有するインクジェットヘッドに好適に用いられる配線部材を、3種以上の電極が設けられているインクジェットヘッドに対してそのまま適用することが難しい。逆も同じであり、例えば3種以上の電極を有するインクジェットヘッドに好適に用いられる配線部材を、2種の電極を有するインクジェットヘッドにそのまま適用することが難しいと考えられる。インクジェットヘッドの仕様に応じて異なる配線部材を準備しておくとなれば、インクジェットプリンタの製造効率が悪くなってコスト増に繋がってしまう。
【0007】
そこで本発明は、異種の液滴吐出ヘッドに対して共用可能な配線板を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、本発明に係る液滴吐出ヘッド用の配線板は、配線群を備え、第1電圧と第2電圧とを選択的に出力する駆動ICが搭載された中継配線部材を介して液滴吐出ヘッドに電気的に接続可能な配線板であって、前記配線群は、二種類の液滴吐出ヘッドに対して電気的に接続可能に構成されており、第1種の液滴吐出ヘッドは、前記駆動ICにより前記第1電圧と前記第2電圧とが選択的に印加される駆動電極と、前記第1電圧が印加される第1定電位電極と、前記第2電圧が印加される第2定電位電極とがそれぞれ圧電シートを介して積層された構成であり、第2種の液滴吐出ヘッドは、前記駆動ICにより前記第1電圧と前記第2電圧とが選択的に印加される駆動電極と、前記第1電圧が印加される第1定電位電極とが圧電シートを介して積層された構成であり、前記配線群は、前記駆動ICに前記第1電圧を入力するための第1駆動配線と、前記駆動ICに前記第2電圧を入力するための第2駆動配線と、前記第1定電位電極に電気的に接続される第1定電位配線と、前記第2定電位電極に電気的に接続可能な第2定電位配線と、を有し、前記第2定電位配線には第1ランドが設けられ、前記第2駆動配線には第2ランドが設けられ、前記第1ランドと前記第2ランドとが、互いに離隔した状態で対となるように並設されて互いに短絡可能に形成されていることを特徴としている。
【0009】
本発明に係る第1の液滴吐出装置は、配線群を有する配線板と、第1電圧及び第2電圧を選択的に出力する駆動ICが搭載され、前記配線板に電気的に接続された中継配線部材と、前記中継配線部材と電気的に接続された液滴吐出ヘッドとを備える液滴吐出装置であって、前記液滴吐出ヘッドは、前記駆動ICにより前記第1電圧と前記第2電圧とが選択的に印加される駆動電極と、前記第1電圧が印加される第1定電位電極と、前記第2電圧が印加される第2定電位電極とがそれぞれ圧電シートを介して積層された構成であり、前記配線群は、前記駆動ICに前記第1電圧を入力するための第1駆動配線と、前記駆動ICに前記第2電圧を入力するための第2駆動配線と、前記第1定電位電極に電気的に接続される第1定電位配線と、前記第2定電位電極に電気的に接続される第2定電位配線と、を有し、前記第2定電位配線には第1ランドが設けられ、前記第2駆動配線には第2ランドが設けられ、前記第1ランドと前記第2ランドとが互いに離隔した状態で対となるように並設され、且つ導電材を介して互いに短絡されていることを特徴としている。
【0010】
本発明に係る第2の液滴吐出装置は、配線群を有する配線板と、第1電圧及び第2電圧を選択的に出力する駆動ICが搭載され、前記配線板に電気的に接続された中継配線部材と、前記中継配線部材と電気的に接続された液滴吐出ヘッドとを備える液滴吐出装置であって、前記液滴吐出ヘッドは、前記駆動ICにより前記第1電圧と前記第2電圧とが選択的に印加される駆動電極と、前記第1電圧が印加される第1定電位電極とが圧電シートを介して積層された構成であり、前記配線群は、前記駆動ICに前記第1電圧を入力するための第1駆動配線と、前記駆動ICに前記第2電圧を入力するための第2駆動配線と、前記第1定電位電極に電気的に接続される第1定電位配線と、これら配線と並設されたダミー配線と、を有し、前記ダミー配線には第1ランドが設けられ、前記第2駆動配線には第2ランドが設けられ、前記第1ランドと前記第2ランドとが互いに離隔した状態で対となるように並設されて絶縁されていることを特徴としている。
【0011】
本発明に係る第1の液滴吐出装置の製造方法は、配線群を有する配線板と、第1電圧及び第2電圧を選択的に出力する駆動ICが搭載され、前記配線板に電気的に接続された中継配線部材と、前記中継配線部材と電気的に接続された液滴吐出ヘッドとを備える液滴吐出装置の製造方法であって、前記駆動ICにより前記第1電圧と前記第2電圧とが選択的に印加される駆動電極、前記第1電圧が印加される第1定電位電極、及び前記第2電圧が印加される第2定電位電極がそれぞれ圧電シートを介して積層されてなる液滴吐出ヘッドのうち、前記駆動電極と前記第1定電位電極とで挟まれた領域、及び前記駆動電極と前記第2定電位電極とで挟まれた領域を分極する工程と、前記配線板の前記配線群が前記駆動ICに前記第1電圧を入力するための第1駆動配線、前記駆動ICに前記第2電圧を入力するための第2駆動配線、前記第1定電位電極に電気的に接続される第1定電位配線、前記第2定電位電極に電気的に接続可能な第2定電位配線を有し、前記第2定電位配線に設けられた第1ランドと前記第2駆動配線に設けられた第2ランドとを互いに電気的に接続する工程と、
前記配線板を、前記中継配線部材を介し、分極された前記液滴吐出ヘッドに電気的に接続する工程とを有することを特徴としている。
【0012】
本発明に係る第2の液滴吐出装置の製造方法は、配線群を有する配線板と、第1電圧及び第2電圧を選択的に出力する駆動ICが搭載され、前記配線板に電気的に接続された中継配線部材と、前記中継配線部材と電気的に接続された液滴吐出ヘッドとを備える液滴吐出装置の製造方法であって、前記駆動ICにより前記第1電圧と前記第2電圧とが選択的に印加される駆動電極、前記第1電圧が印加される第1定電位電極がそれぞれ圧電シートを介して積層されてなる液滴吐出ヘッドのうち、前記駆動電極と前記第1定電位電極とで挟まれた領域を分極する工程と、前記配線板の前記配線群が前記駆動ICに前記第1電圧を入力するための第1駆動配線、前記駆動ICに前記第2電圧を入力するための第2駆動配線、前記第1定電位電極に電気的に接続される第1定電位配線、これら配線と並設されたダミー配線を有し、前記第2ダミー配線に設けられた第1ランドと前記第2駆動配線に設けられた第2ランドとが互いに離隔した状態で対となるように並設されて絶縁されたままとなっている配線板を、前記中継配線部材を介し、分極された前記液滴吐出ヘッドと電気的に接続する工程とを有することを特徴としている。
【0013】
このように、配線板を、3種の電極を備えた液滴吐出ヘッドに電気的に接続させる場合には、第1ランドと第2ランドとを互いに導通させる一方、2種の電極を備えた液滴吐出ヘッドに電気的に接続させる場合には、第1ランドと第2ランドと互いに導通させずに第2定電位配線をダミー配線等とすることにより、二種類の液滴吐出ヘッドに対して一種類の配線板を共用化することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、異種の液滴吐出ヘッドに対して一種類の配線板を共用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る液体吐出装置の実施形態として例示するヘッドユニットの分解斜視図である。
【図2】(a)が第1種ヘッドの平面図、(b)が図2(a)のb−b線に沿って切断して示す第1種ヘッドの部分断面図である。
【図3】(a)が第1形態の第2種ヘッドの平面図、(b)が図3(a)のb−b線に沿って切断して示す第1形態の第2種ヘッドの部分断面図である。
【図4】(a)が第1形態の配線板の平面図、(b)が図4(a)のb−b線に沿って切断して示す第1形態の配線板の部分断面図である。
【図5】(a)が第1種ヘッドと第1形態の配線板とを備えた第1実施形態に係るヘッドユニットの製造工程を示すフロー図、(b)が第1形態の第2種ヘッドと第1形態の配線板とを備えた第2実施形態に係るヘッドユニットの製造工程を示すフロー図である。
【図6】(a)が第1実施形態に係るヘッドユニットの模式的配線図、(b)が第2実施形態に係るヘッドユニットの模式的配線図である。
【図7】(a)が第2形態の第2種ヘッドの平面図、(b)が図7(a)のb−b線に沿って切断して示す第2形態の第2種ヘッドの部分断面図である。
【図8】(a)が第2形態の配線板の平面図、(b)が図8(a)のb−b線に沿って切断して示す第2形態の配線板の部分断面図である。
【図9】(a)が第1種ヘッドと第2形態の配線板とを備えた第3実施形態に係るヘッドユニットの模式的配線図、(b)が第2形態の第2種ヘッドと第2形態の配線板とを備えた第4実施形態に係るヘッドユニットの模式的配線図である。
【図10】(a)が第2形態のCOFの模式的配線図、(b)が第3形態のCOFの模式的配線図である。
【図11】(a)が第1形態の第2種ヘッドと第3形態の配線板とを備えた第5実施形態に係るヘッドユニットの模式的配線図、(b)が第1形態の第2種ヘッドと第4形態の配線板とを備えた第6実施形態に係るヘッドユニットの模式的配線図、(c)が第2形態の第2種ヘッドと第5形態の配線板とを備えた第7実施形態に係るヘッドユニットの模式的配線図、(d)が第1形態の第2種ヘッドと第6形態の配線板とを備えた第8実施形態に係るヘッドユニットの模式的配線図である。
【図12】インクジェットヘッドに第7形態の配線板を備えてなる第9実施形態に係るヘッドユニットの斜視図である。
【図13】図12のXIII−XIII矢視図であり、(a)が導電材設置部をアクチュエータ側に設けた場合を示す矢視図であり、(b)が導電材設置部をアクチュエータと反対側に設けた場合を示す矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下これら図面を参照しながら本発明の複数の実施形態を説明する。各実施形態で共通する構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を適宜省略する。
【0017】
[ヘッドユニット]
図1に、本発明に係る液滴吐出装置の実施形態として、インクジェットプリンタに搭載されるヘッドユニットを例示している。なお、ヘッドユニットよりインクが吐出する方向を下方として説明する。
【0018】
図1に示すヘッドユニットは、流路ユニット2に上側からアクチュエータ3を重ねてなるインクジェットヘッド1と、インクジェットヘッド1に上側から重ねられる配線板4とを備えている。アクチュエータ3の上面には、その内部に配された複数の内部電極と電気的に接続された複数の電極端子5が設けられており、配線部材4はその下面に露出する配線端子(図示せず)を電極端子5に電気的に導通させるようにしてアクチュエータ3の上面側に接合される。これにより配線部材4及び電極端子5を介してアクチュエータ3の内部電極に所定電位を付与することができ、アクチュエータ3は流路ユニット2内のインクを下方に吐出させるよう動作可能になる。配線部材4はアクチュエータ3に接合されるCOF(Chip On film)6と、COF6に接続されるフレキシブル配線板(以下「FPC」と呼ぶ)7とを備え、FPC7はインクジェットヘッド1から見て遠位の制御基板(図示せず)に接続される。COF6及びFPC7は何れも可撓性を有したシート状又はフィルム状に形成されており、半田付等の手法を用いて互いに接合されている。なお、ここでいう「COF」は、チップ状の駆動ICだけでなく、この駆動ICを実装するフィルム状の基板も含む概念であり、FPCとアクチュエータ3との間を中継する配線部材の概念である。
【0019】
電極端子5の態様はアクチュエータ3の構成に応じて変わる。図2,図3及び図7に示すアクチュエータ103,203,303はいずれも図1に示すアクチュエータ3に適用され得るが、図2のアクチュエータ103は3種類の内部電極及び3種類の電極端子を有し、図3のアクチュエータ203は2種類の内部電極及び2種類の電極端子を有し、図7に示すアクチュエータ203は2種類の内部電極及び3種類の電極端子を有する。他方、配線部材4は、互いに電極端子5の態様が異なる複数種のアクチュエータに対して共用され得る構成になっている。なお、図2に示す3種類の内部電極を有したアクチュエータを「第1種アクチュエータ」、図3及び図7に示す2種類の内部電極を有したアクチュエータを「第2種アクチュエータ」と呼び、第1種アクチュエータを備えるインクジェットヘッドを「第1種ヘッド」、第2種アクチュエータを備えるインクジェットヘッドを「第2種ヘッド」と呼ぶ。
【0020】
本実施形態の説明においては、1形態の第1種アクチュエータ103(図2参照)及び2形態の第2種アクチュエータ203,303(図3,図7参照)を例示する。また、4形態のCOF106,206,…406(図4,図10(a),図10(b),図12参照)及び3形態のFPC107,207,307(図4,図8,図12参照)を例示し、その組み合わせとして7形態の配線部材104,204,…704(図4,図8,図11(a)〜(d),図12参照)を例示する。これらを適宜組み合わせて第1乃至第9実施形態に係るヘッドユニット(図6(a),図6(b),図9(a),図9(b),図11(a)〜(d),図12参照)が構成される。第1種及び第2種のアクチュエータに共通する事項を説明する際には単に「アクチュエータ3」と呼び、各配線部材104,204,…704に共通する事項を説明する際には単に「配線部材4」と呼ぶこととする。
【0021】
各実施形態のヘッドユニットにおいて流路ユニットは共通である。例えば図2(a)及び(b)に示すように、流路ユニット2は複数枚のプレートの積層体であり、その上面には外部のインク供給源(図示せず)からのインクを導入するインク導入口11が開口し、下面にはインクを下方に吐出するためのノズル12が開口している。各プレートに形成された開口及び溝が互いに連通することにより、流路ユニット2内にはインク導入口11からノズル12にインクを導くインク流路13が形成される。インク流路13は、各インク導入口11と連通する共通インク室14、共通インク室14から分岐する複数の接続流路15、各接続流路15に連通する複数の圧力室16、及び各圧力室16に連通する複数の流出路17を有し、各流出路17の下端にノズル12が個別に連通している。圧力室16は、流路ユニット2の上面に開口する圧力室孔18がアクチュエータ3の下面で閉鎖されることで構成され、図2紙面直交方向に複数の列をなしている。そのため、共通インク室14も同方向に延在しており、ノズル12、流出路17及び接続流路15も同方向に複数の列をなすようにして配置されている。
【0022】
[第1・第2実施形態]
第1実施形態に係るヘッドユニットは、図2に示す第1種ヘッド101に図4に示す第1形態の配線部材104を接続してなる。第2実施形態に係るヘッドユニットは、図3に示す第1形態の第2種ヘッド201に図4に示す第1形態の配線部材104を接続してなる。つまり、第1及び第2実施形態において配線部材が共通となっている。
【0023】
図2(b)に示すように、第1種アクチュエータ103は3枚の圧電シート121〜123の積層体である。最下層の圧電シート121と中間層の圧電シート122との間には各圧力室13に対して共通の第1定電位電極128が介在し、最上層の圧電シート123の上面には各圧力室16に個別の駆動電極129が設けられる。中間層の圧電シート122と最上層の圧電シート123との間には各圧力室に対して共通の第2定電位電極130が介在している。図2(b)の記載では、第2定電位電極130が隣接する2個の圧力室16に対応して個別に設けられているように示されているが、これら2箇所に離隔配置されている2つの第2定電位電極130は図示しない領域で互いに導通している。
【0024】
図2(a)に示すように、第1種アクチュエータ103上面の電極端子105には、第1定電位電極128、駆動電極129及び第2定電位電極130と夫々導通する第1定電位電極端子131、駆動電極端子132、及び第2定電位電極端子133が含まれる。第1定電位電極端子131及び第2定電位電極端子133は上下に延びるスルーホール(図示せず)を介して第1定電位電極128及び第2定電位電極130に夫々導通している。駆動電極端子132は駆動電極129に連設される。
【0025】
配線部材4を介して電極端子105に所定電位が付与されることにより、第1定電位電極131には定電位としてグランド電位が印加され、第2定電位電極130には定電位として所定の高電位(例えば28V)が印加される。駆動電極122にはインク吐出を要しない待機時にグランド電位が付与される一方、インク吐出を要する駆動時に所定の高電位(例えば28V)が印加される。
【0026】
図2(b)に示すように、駆動電極129は平面視において対応する圧力室16と略完全に重なるようにして配置され、第2定電位電極130は平面視で投影したときに駆動電極129の内側領域に配置される。第1定電位電極128は平面視で投影したときに圧力室16を完全に覆うようにして配置されている。このため、第1種アクチュエータ103には、駆動電極129と第1定電位電極128とで挟まれた第1活性部134と、駆動電極129と第2定電位電極130とで挟まれた第2活性部135とが形成され、第2活性部135が第1活性部134で外囲されるようにして配置される。
【0027】
かかる第1種アクチュエータ103を備える第1種ヘッド101によると、待機時には第1活性部134が変形しない一方、第2活性部135が変形して最下層の圧電シート121を圧力室16側に突出させる。ここでインク吐出のため駆動電極129に高電位が印加されると、第1活性部134が変形する一方、第2活性部135が変形状態から復帰する。これにより圧力室16内が負圧になって共通インク室14からインクが圧力室16内へと供給される。次いで駆動電極129にグランド電位が再印加されると、第1活性部134が変形状態から復帰する一方、第2活性部135が再び変形して最下層の圧電シート121を圧力室11側に突出させる。これにより、圧力室16内のインクに吐出圧力が付与され、該インクがノズル12より下方に吐出される。また、第1活性部134に対する電圧の印加と非印加との切替により第1活性部134の圧電層が変形するが、第2活性部135の圧電層が変形することで、第1活性部134の圧電層の変形が隣接する圧力室に伝播するのを抑制するように第2活性部135に対する電圧の印加と非印加とを切り替えられるので、クロストークの抑制効果が得られる。
【0028】
図3(b)に示すように、第1形態の第2種アクチュエータ203は、複数枚の圧電シート221〜226の積層体の上面に樹脂製のトップシート227を重ねてなる。下から数えて奇数枚目の圧電シート221,223,225の上面には各圧力室16に対して共通の定電位電極228が設けられ、下から数えて偶数枚目の圧電シート222,224の上面には各圧力室16に個別の駆動電極229が設けられている。駆動電極229は平面視において対応する圧力室16と略完全に重なるように配置されている。よって、各圧力室16の上方には定電位電極228と駆動電極229とが交互に配置されていくこととなる。
【0029】
図3(a)に示すように、第2種アクチュエータ203の上面に設けられた電極端子205には、定電位電極228及び駆動電極229と夫々導通する定電位電極端子231及び駆動電極端子232が含まれる。定電位電極端子231は上下に延びるスルーホール(図示せず)を介して定電位電極228に導通している。駆動電極端子232も上下に延びるスルーホール(図示せず)を介し、対応する圧力室11上に積層されている各駆動電極229に導通している。配線部材4を介して電極端子205に所定電位が付与されることにより、定電位電極228には定電位としてグランド電位が印加され、駆動電極229にはインク吐出を要しない待機時にグランド電位が付与される一方、インク吐出を要する駆動時に所定の高電位(例えば28V)が印加される。
【0030】
図3(b)に示すように、第2種アクチュエータ203には、駆動電極222と定電位電極221とで挟まれた複数の活性部234が上下に並ぶようにして形成される。
【0031】
かかる第2種アクチュエータ203を備えた第2種ヘッド201によると、待機時には活性部234が変形しない。インク吐出のため駆動電極229に高電位が印加されると、活性部234が変形して最下層の圧電シート221を圧力室16内に突出させる。これにより、圧力室16内のインクに吐出圧力が付与され、該インクがノズル12より下方に吐出される。駆動電極229にグランド電位が再印加されると、活性部223が変形状態から復帰する。これにより圧力室16内が負圧になって共通インク室14からインクが圧力室16内へと供給される。第2種アクチュエータ203は、第1種アクチュエータ103(図2参照)のようにクロストークの抑制等の機能が付加されているものではないが、電極が少ないため、生産性が良く低コストである。
【0032】
なお、第1種及び第2種アクチュエータ103,203の各平面視形状は、略同寸法の矩形状である。第1種アクチュエータ103の第1及び第2定電位電極端子131,133と、第2種アクチュエータ203の定電位電極端子231とは何れも、アクチュエータ上面の2つの長辺縁に沿って設けられている。そのため、第1種アクチュエータ103を第2種アクチュエータ203に平面視で投影すると、第1及び第2定電位電極端子131,133が配置される領域と、定電位電極端子231が配置される領域とが重なる。第1定電位電極端子131と第2定電位電極端子133とは互いに微少距離をおいて短辺方向に離れて配置されている。
【0033】
図4に示すように、第1形態の配線部材104は、第1形態のCOF106と第1形態のFPC107とが接合されてなり、全体として帯状に形成されている。COF106にはインク吐出を要する駆動時に駆動用の信号を出力する駆動IC141が実装されている。駆動IC141は長手方向と直交する方向(以下これを「幅方向」と呼ぶ)に延びる端縁であってFPC107と接合される端縁に沿って配置されており、駆動IC141からはCOF106の中央部に向けて複数の個別駆動配線142が延びている。各個別駆動配線142の端部には図示しない複数の個別配線端子が形成されており、各個別駆動配線端子は第1種又は第2種アクチュエータの駆動電極端子132,232と電気的に導通され得る。
【0034】
配線部材104に設けられる配線群には更に、第1駆動配線143、第2駆動配線144、第1定電位配線145、及び第2定電位配線146が含まれる。
【0035】
第1駆動配線143は駆動IC141にグランド電位を供給するための配線であり、FPC107上にFPC107の幅方向に延在するよう設けられた一対の配線147,147と、COF106上の配線148とが接続されてなる。一対の配線147はFPC107の延在方向と平行に延びている。配線148は、駆動IC141下を通過するよう平面視でコの字状に配置され、各配線147の端部同士をCOF106上で接続しており、駆動IC141に対して幅方向両側から配線148からの電圧が供給されるため駆動IC141内において電圧降下が起きないようになっている。また、配線148は、駆動IC141の下面に形成されている図示しない端子部と接続されている。
【0036】
第2駆動配線144は駆動IC141に電源電位(例えば28V)を供給するための配線であり、FPC107上にFPC107の幅方向に延在するよう設けられた一対の配線149,149とCOF106上の配線150とが接続されてなる。一対の配線149,149もFPC107の長手方向と平行に延びており、第1駆動配線143の配線147,147に対してFPC107の長手方向と直交する方向(以下これを「幅方向」と呼ぶ)の外側に配置されている。配線150は駆動IC141下を通過するよう平面視でコの字状に配置され、各配線149の端部同士をCOF106上で接続しており、駆動IC141に対して幅方向両側から配線150からの電圧が供給されるため駆動IC141内において電圧降下が起きないようになっている。また、配線150は、駆動IC141の下面に形成されている図示しない端子部と接続されている。
【0037】
一対の第1定電位配線145が配線部材104の幅方向に分かれて設けられている。各第1定電位配線145は、FPC107上の配線151と、COF106上の配線152とが接続されてなり、駆動IC141に対し配線部材104の幅方向最外側を配線部材104の長手方向に沿って延在している。COF106上の配線152の端部には、アクチュエータの電極端子131,231と電気的に導通され得る第1定電位配線端子153が設けられている。FPC107上の配線151は、第2駆動配線144をなす配線149の幅方向外側に配置されている。配線151の端部は、配線149を跨ぐジャンパ線154を介して第1駆動配線143の配線147と接続されている。よって、第1定電位配線145は第1駆動配線143と同様にしてグランド電位を付与するための配線として機能する。第1定電位配線145が幅方向両側に対をなして設けられていことにより、アクチュエータに対して幅方向両側から第1定電位配線145からの電圧を供給することができるため、アクチュエータ内での電圧降下による影響を小さくすることができる。なお、ジャンパ線154については、公知のジャンパ部材やジャンパチップを用いて接続されていても良いし、作業性を良くする観点から、FPC107を基材部の両面に配線を形成することができる両面FPCを用い、配線147の裏面側に配線154を形成してスルーホール等で電気的に接続して行ってもよい。
【0038】
一対の第2定電位配線146が配線部材104の幅方向に分かれて設けられている。各第2定電位配線146は、FPC107上の配線155と、COF106上の配線156とが接続されてなり、配線部材104の幅方向に関して第1定電位配線145の内側であって駆動IC141の外側を配線部材104の長手方向に沿って延在している。COF106上の配線156の端部には、アクチュエータの電極端子と電気的に導通され得る第2定電位配線端子157が設けられている。
【0039】
第2定電位配線146をなすFPC107上の配線155は、第1定電位配線145をなす配線151と第2駆動配線144をなす配線149との間に挟まれている。配線155及び配線149には、互いを短絡させるための導電材設置部158が設けられている。なお、第2定電位配線146も、幅方向両側に対をなして設けられており、アクチュエータに対して幅方向両側から第2定電位配線からの電圧を供給することができ、アクチュエータ内での電圧降下による影響を小さくすることができる。
【0040】
図4(b)に示すように、FPC107は、その表面に配線147,149,151,155が形成されるポリイミドなどの樹脂製の基板部159と、基板部159の表面を被覆する絶縁性を有したレジスト部160とを備えている。導電材設置部158では、レジスト部160が部分的に切り欠かれており、配線149,155を部分的にレジスト部160外に露出させている。これら配線149及び配線155の各露出部の上には、導電性を有した第1ランド161及び第2ランド162が夫々設けられている。第1ランド161及び第2ランド162は配線部材104の幅方向に近接するものの離隔して離隔して対をなすよう並設され、基板部159の表面を介して絶縁されている。第1ランド161及び第2ランド162に跨るようにして半田等の導電材163を設置したときに、2つの配線149,155間を短絡することができる。この短絡がなされると、第2定電位配線146は、第2駆動配線144と同様にして高電位(例えば28V)を付与するための配線として機能することになる。
【0041】
第1実施形態に係るヘッドユニットは、図5(a)に示すフローに沿って製造され、図6(a)に示す配線構造を有する。その製造に際しては、流路ユニット2に第1種アクチュエータ103を重ねて第1種ヘッド101を組付け(工程S1)、第1種ヘッド101に第1形態のCOF106を接続し(工程S2)、第1種アクチュエータ103を分極する(工程S3)。同時的に、第1形態のFPC107を準備し、導電材設置部158に導電材163を設置して第1及び第2ランド161,162間を短絡する(工程S6)。そして、分極工程S3終了後の第1種ヘッド101に接続された第1形態のCOF106と、短絡工程S6終了後の第1形態の配線部材104とを接続する(工程S10)。これにより第1実施形態に係るヘッドユニットが製造される。
【0042】
なお、圧電アクチュエータの製造時に分極工程が必要なのは、活性部となるべき圧電層をインクを吐出させる駆動部として機能させるためである。この分極工程においては、駆動ICを介して電圧が印加されることで、駆動ICの規定電圧値を超して破壊されてしまうことがあるため、圧電アクチュエータを分極させる段階では両者が独立している方が都合がよい。これに対して分極後においては、インクジェットヘッドを駆動させるために両配線は短絡させておくことが望ましい。そのため、分極処理前後で配線の短絡の切替が必要となる。
【0043】
ここで分極処理について、第1種アクチュエータを例に説明する。未分極の圧電アクチュエータにおいて、複数の活性部(電極部)に対して分極処理を行う必要があるため、本実施形態においては、第1形態のCOF106(図4(a)参照)と第1種ヘッド101を接合後、COF106を分極装置に接続して、COF106の配線を介して分極用の電圧を印加することで一括して分極処理が行う。COF106に接続された未分極のアクチュエータにおいては、約100度の雰囲気下において第1及び第2定電位電極128,130と駆動電極129とに高電位差を生じさせることにより、第1及び第2活性部134,135の分極が行われる。例えば、図2(b)においては、第2定電位電極に36V、駆動電極に0Vの電位を夫々かけることにより、第2活性部135には高電圧が付与されて第2活性部135が上向きに分極する。そして、例えば第2定電位電極に28V、第1定電位電極に−60V、駆動電極に28Vの電位を夫々かけることにより、第1活性部134と、最下層の圧電シート121における第1及び第2定電位電極128,130で挟まれた部位が下向きに分極する。これで分極工程が終了する。そして、分極装置からCOF106を外したのち、COF106に第1形態のFPC107(図4(a)参照)を接続する。このとき、第1定電位配線145は第1駆動配線143と既にジャンパ線154を介して接続されているため、FPC107をCOF106に接続した時点で両配線143,145の短絡がなされる。その後、第2駆動配線144と第2定電位配線146とを短絡させるための導電材設置部158に導電材を設置することにより、これら配線144,146を互いに短絡させる。
【0044】
導電材設置部158を介して第2駆動配線144と第2定電位配線146とを短絡した状態で分極工程を行うと、第2駆動配線144と第2定電位配線146とが同電位となるため、駆動IC141には第2駆動配線144を介し、第2定電位電極130に印加される36Vの高電圧が付与される。駆動IC141の最大定格電圧は一般に、駆動IC自体の電源電圧とアクチュエータ駆動用の電源電圧とに基づいて規定されるため、導電材設置部158を介した配線144,146の短絡がなされている状態で分極すると、駆動IC141には最大定格電圧を超える高電圧が付与され、駆動IC141の破壊を招く。同様に、第1定電位配線145と第1駆動配線143とが同電位となるため、第1駆動配線143を介して最大定格電圧を超える60Vの高電位が駆動IC141に付与され、駆動IC141の破壊を招くおそれがある。そのため、COF106が接合されたアクチュエータの分極を終了した後に、FPC107を接続するだけで、第1駆動配線143と第1定電位配線145との短絡、及び第2駆動配線144と第2定電位配線146との短絡が行われ得るようになっている。
【0045】
なお、本実施形態では、この分極工程において、各電極にかかる分極に必要な電圧が駆動IC141の最大定格電圧を超えるため、両短絡配線を分極工程後に短絡させるように構成しているが、アクチュエータの種類や電圧によって必ずしも両方の配線を短絡させる必要はなく、例えば、第2活性部135を分極させるときに、駆動IC141の最大定格電圧33Vであると、第2定電位電極130には30V、駆動電極129には0Vの電位をかけて第2活性部135を分極させることができれば、駆動IC141の最大定格電圧を超えないように分極させることができる。このような場合であれば、分極工程の前後で短絡の切替えることはなく、分極工程前に短絡させてもよい。
【0046】
第1形態のFPC107によれば、第1定電位配線145と第1駆動配線143とは予めジャンパ線154で接続されているため、FPC107をCOF106に接続した時点で両者は短絡される。よって、短絡のために半田を設置するなどの作業が不要となり、製造効率が向上する。第1定電位配線145と第1駆動配線143との短絡箇所、及び第2定電位配線146と第2駆動配線144との短絡箇所は何れも、駆動IC141から可及的に近づけることによって電圧降下の影響を小さくしている。よって、第1定電位配線145と第1駆動配線143との短絡のために半田等の導電材を設置する必要がないため、第2定電位配線145と第2駆動配線144とを短絡するために導電材設置部158に設置した導電材163が半田ブリッジを生じさせることもない。
【0047】
なお、第1種アクチュエータ103を例にして分極工程を説明したが、第2種アクチュエータ203も同様に分極工程が行われるため、その説明は割愛する。第2種アクチュエータ203においても、駆動ICの最大定格電圧を超えるような分極用の高電圧が各電極に印加されるため、分極工程前後で短絡を切り替える必要がある。
【0048】
図6(a)に示すように、接続工程S10においては、第1定電位配線端子153と第1定電位電極端子131とが電気的に導通し、第2定電位配線端子157と第2定電位配線端子133とが電気的に導通される。このため、第1定電位配線145は、第1定電位電極128にグランド電位を定電位として付与するための配線(COM)として機能し、第2定電位配線146は、第2定電位電極130に所定高電位(例えば28V)を定電位として付与するための配線(VCOM)として機能する。よって、このヘッドユニットの第1種ヘッド101は前述したように動作してインクを吐出可能となる。
【0049】
第2実施形態に係るヘッドユニットは図5(b)に示すフローに沿って製造され、図6(a)に示す配線構造を有する。第2実施形態に係るヘッドユニットは、流路ユニット2に第1形態の第2種アクチュエータ203を重ねて第2種ヘッド201を組付け(工程S1)、第2種ヘッド201に第1形態のCOF106を接続し(工程S2)、第2種アクチュエータ203を分極する(工程S3)。そして、導電材設置部158に導電材を設置せず、第1及び第2ランド161,162間を絶縁したままにしておき、分極工程S3終了後の第2種ヘッド201に接続されているCOF106と、第1形態のFPC107とを接続する(工程S10)。これにより第2実施形態に係るヘッドユニットが製造される。
【0050】
図6(a)に示すように、接続工程S10においては、第1定電位配線端子153と定電位電極端子231とが電気的に導通するが、第2定電位配線端子157はオープンになっている(白抜丸印参照)。このため、第1定電位配線145は、定電位電極228にグランド電位を定電位として付与するための配線(COM)として機能する。他方、第2定電位配線146は、配線部材104内の他の配線と絶縁されていると共に導通する相手方の電極端子が無いため、ダミー配線として機能する。また、導電材設置部158には、半田等の導電材163が設置されない。よって、このヘッドユニットの第1種ヘッド101は前述したように動作してインクを吐出可能となる。
【0051】
このように、第1形態の配線部材104においては、アクチュエータの電極に定電位を付与可能に構成された第2定電位配線146が、駆動IC141に電源電圧を供給するための第2駆動配線144と短絡可能となっている。このため、これら配線144,146を短絡するか否かを選択することによって、所定高電位が定電位として印加されるべき電極を有する第1種ヘッド101、及びこのような電極を有しない第2種ヘッド201に対して配線部材104を共用することができるようになり、例えば、ヘッドユニットを生産するにあたり、機能が異なる第1種ヘッド101と第2種ヘッド201とを、品質、コスト、生産性を考慮して、2種類のヘッドを切り替えて生産する場合でも、配線部材104は共用化できるため、生産ラインの変更など生産効率に影響を少なくできる。
【0052】
[第3・第4実施形態]
次に、第3及び第4実施形態について説明する。第3実施形態に係るヘッドユニットは、図2に示す第1種ヘッド101に図8に示す第2形態の配線部材204を接続してなる。第4実施形態に係るヘッドユニットは、図7に示す第2形態の第2種ヘッド301に図8に示す第2形態の配線部材204を接続してなる。つまり、第3及び第4実施形態において配線部材が共通となっている。
【0053】
第2形態の第2種アクチュエータ303の内部構造は第1形態と同じである(図3(b)及び図7(b)参照)。図7(a)に示すように第2形態の第2種アクチュエータ303の上面に設けられた電極端子305には、第1形態と同様にして駆動電極229と導通する駆動電極端子232が含まれると共に、定電位電極228と導通する第1定電位電極端子331及び第2定電位電極端子332とが含まれる。各定電位電極端子331,332は、上下に延びるスルーホール(図示せず)を介して定電位電極228に導通している。
【0054】
図2を併せて参照すると、第2形態の第2種アクチュエータ303の平面視形状は、第1種アクチュエータ103と略同寸である。また、第1種アクチュエータ103を第2形態の第2種アクチュエータ303に平面視で投影すると、第1及び第2定電位電極端子131,133が配置される領域と、第1及び第2定電位電極端子331,332が配置される領域とが重なるようになっている。
【0055】
図8に示すように、第2形態の配線部材104は、図4(a)に示した第1形態のCOF106と、第2形態のFPC207とが接合されてなる。このFPC207には、第2定電位配線146をなすFPC207上の配線155と、第1定電位配線145をなす配線151とを互いに短絡させるための導電材設置部264が設けられている。
【0056】
図8(b)に示すように、この導電材設置部264においても、レジスト部160が部分的に切り欠かれており、配線151,155を部分的にレジスト部160外に露出させている。これら配線151及び配線155の各露出部の上には、導電性を有した第3ランド265及び第4ランド266が夫々設けられている。第3ランド265及び第4ランド266は配線部材204の幅方向に近接するものの離隔して対をなすよう並設され、基板部159の表面を介して絶縁されている。第3ランド265及び第4ランド266に跨るようにして半田等の導電材267を設置すると、配線151,155間を短絡することができる。この短絡がなされると、第2定電位配線146は、第1駆動配線143及び第1定電位配線145と同様にしてグランド電位を付与するための配線として機能する。
【0057】
図9(a)に示すように、第3実施形態に係るヘッドユニットにおいては、導電材設置部158に導電材163を設置して第1及び第2ランド161,162(図4(b)参照)間が短絡される一方、導電材設置部264には導電材が設置されず第3及び第4ランド265,266(図8(b)参照)間が絶縁されたままとなっている。このため、第1実施形態と同様にして、第1定電位配線145は第1定電位電極128に定電位としてグランド電位を印加するための配線(COM)として機能し、第2定電位配線146は第2定電位電極130に定電位として所定高電位(例えば28V)を印加するための配線VCOM)として機能する。
【0058】
図9(b)に示すように、第4実施形態に係るヘッドユニットにおいては、導電材設置部158には導電材が設置されず第1及び第2ランド161,162(図4(b)参照)間が絶縁されたままとなる一方、導電材設置部264に導電材267が設置されて第3及び第4ランド265,266(図8(b)参照)間が短絡される。
【0059】
また、配線部材204を第2形態の第2種ヘッド201に接続するときには、第1定電位配線端子153と第1定電位電極端子331とが電気的に導通し、第2定電位配線端子157と第2定電位配線端子333とが電気的に導通される。
【0060】
このため、第1定電位配線145は、定電位電極228にグランド電位を定電位として付与するための配線(COM)として機能する。また、第2定電位配線146も、定電位電極228にグランド電位を定電位として付与するための配線(COM)として機能する。
【0061】
このように、第2形態の配線部材204においては、アクチュエータの電極に定電位を付与可能に構成された第2定電位配線146が、アクチュエータの電極にグランド電位を定電位として付与するための第1定電位配線145と短絡可能となっている。このため、これら配線145,146を短絡するか否かを選択することによって、所定高電位が定電位として印加されるべき電極を有する第1種ヘッド101に接続するときには第2定電位配線を該電極に高電位を印加するための配線として機能させることができ、このような電極を有しない第2種ヘッド301に対してはグランド電位を印加するための配線として機能させることができる。このようにグランド電位を印加するための配線本数を増加させることができるため、第2種ヘッド301の動作安定性を向上させることができる。
【0062】
なお、図8の第2形態の配線部材204を、図3に記載の第1形態の第2種ヘッド201に接続することもできる。その場合は、導電材設置部158,264はどちらも絶縁状態としておく。
【0063】
[第5・第6実施形態]
次に、第5及び第6実施形態について説明する。図10(a)は第2形態のCOF206の配線図である。第2形態のCOF206には、第1形態における配線156(図4(a)参照)に替えて配線268が設けられている。この配線268は、第1形態の配線156と同様にして、FPC107,207側の配線155と接続可能になっており、COF206上で第2駆動配線をなす配線150に接続され得る。
【0064】
図11(a)に示す第3形態の配線部材304は、この第2形態のCOF206に図4に示す第1形態のFPC107を接合してなり、図11(b)に示す第4形態の配線部材404は、この第2形態のCOF206に図8に示す第2形態のFPC207を接合してなる。そして、図11(a)に示す第5実施形態に係るヘッドユニットは、第3形態の配線部材304を図3に示す第1形態の第2種ヘッド201に接続してなり、図11(b)に示す第6実施形態に係るヘッドユニットは、第4形態の配線部材404を図3に示す第1形態の第2種ヘッド201に接続してなる。
【0065】
図11(a)に示すように、第5実施形態に係るヘッドユニットにおいては、導電材設置部158に導電材163を設置して第1及び第2ランド161,162(図4(b)参照)間が電気的に短絡される。このため、配線部材304には、FPC107側の配線155とCOF206側の配線268とが接続されることによって第2駆動配線144に並列の並列駆動配線269が形成されることなる。よって、並列駆動配線269は第2駆動配線144と共に駆動IC141に電源電圧を供給するための配線(VDD2)として機能する。
【0066】
図6に示したように第2実施形態では、第1実施形態とFPC107及びCOF106の両方が共通化されており、配線部材の在庫管理が容易になるなど製造効率が向上する点で有利である。図11(a)に示す第5実施形態においては、第1実施形態とFPC107を共通化しているため上記同様にして製造効率の向上を図ることができる一方、COF106,206が別個になっている。このようにCOF206を第1形態の第2種ヘッド201に専用のものにすると、駆動IC141に電源電圧を供給するための配線パターンを強化することができる点で有利である。
【0067】
図11(b)に示すように、第6実施形態に係るヘッドユニットにおいては、導電材設置部158に導電材163を設置して第1及び第2ランド161,162(図4(b)参照)間が電気的に短絡される一方、導電材設置部264には導電材を設置せず第3及び第4ランド265,266(図8(b)参照)が絶縁したままとなる。このため、配線部材404には、第5実施形態と同様、第2駆動配線144に並列接続されて第2駆動配線144と共に駆動IC141に電源電圧を供給するための配線(VDD2)として機能する並列駆動配線269が形成されることなる。
【0068】
この第6実施形態においては、第3実施形態とFPC207を共通化しているため製造効率の向上を図ることができる一方、COF106,206が別個になっている。このようにCOF206を第1形態の第2種ヘッド201に専用のものにすると、駆動IC141に電源電圧を供給するための配線パターンを強化することができる点で有利である。
【0069】
[第7・第8実施形態]
次に第7及び第8実施形態について説明する。図10(b)は第3形態のCOF306の配線図である。第3形態のCOF306は、第2形態と同様の配線268を有すると共に、第1定電位配線145をなす配線152から分岐する配線370を有している。この配線370の端部には第2定電位配線端子371が設けられており、この第2定電位配線端子371は、第1形態の第2定電位配線端子157(図4(a)参照)と同じ箇所に配置されている。
【0070】
図11(c)に示す第5形態の配線部材504は、この第3形態のCOF306に図4に示す第1形態のFPC107を接合してなり、図11(d)に示す第6形態の配線部材604は、この第3形態のCOF306に図8に示す第2形態のFPC207を接合してなる。そして、図11(c)に示す第7実施形態に係るヘッドユニットは、第5形態の配線部材504を図7に示す第2形態の第2種ヘッド301に接続してなり、図11(d)に示す第8実施形態に係るヘッドユニットは、第6形態の配線部材604を図3に示す第2形態の第2種ヘッド301に接続してなる。
【0071】
図11(c)に示すように、第7実施形態に係るヘッドユニットにおいては、導電材設置部158に導電材163を設置して第1及び第2ランド161,162(図4(b)参照)間が短絡される。このため、配線部材504には、FPC107側の配線155とCOF306側の配線268とが接続されることによって第2駆動配線144に並列の並列駆動配線269が形成される。よって、並列駆動配線269は第2駆動配線144と共に駆動IC141に電源電圧を供給するための配線(VDD2)として機能する。
【0072】
また、配線部材504を第2形態の第2種ヘッド201に接続するときには、第1定電位配線端子153と第1定電位電極端子331とが電気的に導通する。このため、第1定電位配線145は、定電位電極228にグランド電位を定電位として付与するための配線(COM)として機能する。更に、第2定電位配線端子371が第2定電位配線端子333と電気的に導通されるため、配線部材504には、配線370によって第1定電位配線145に並列の並列定電位配線372が形成される。この並列定電位配線372は第1定電位配線145と共に定電位電極228にグランド電位を定電位として付与するための配線(COM)として機能する。
【0073】
この第7実施形態では、第1実施形態とFPC107を共通化しているため製造効率の向上を図ることができる一方、COF106,306が別個になっている。このようにCOF306を第2形態の第2種ヘッド301に専用のものとすると、駆動IC141に電源電圧を供給するための配線パターンを強化し、且つアクチュエータ303にグランド電位を付与するための配線パターンを強化することができる点で有利である。
【0074】
図11(d)に示すように、第8実施形態に係るヘッドユニットにおいては、導電材設置部158に導電材163を設置して第1及び第2ランド161,162(図4(b)参照)間が電気的に短絡される一方、導電材設置部264には導電材を設置せず第3及び第4ランド265,266(図8(b)参照)が絶縁したままとなる。このため、配線部材604には、第7実施形態と同様にして、第2駆動配線144に並列接続されて第2駆動配線144と共に駆動IC141に電源電圧を供給するための配線(VDD2)として機能する並列駆動配線269が形成され、第1定電位配線145に並列接続されて第1定電位配線145と共に定電位電極228にグランド電位を定電位として付与する配線(COM)として機能する並列定電位配線272が形成される。
【0075】
この第8実施形態では、第3実施形態とFPC207を共通化しているため製造効率の向上を図ることができる一方、COF106,306が別個になっている。このようにCOF306を第2形態の第2種ヘッド301に専用のものとすると、駆動IC141に電源電圧を供給するための配線パターンを強化し、且つアクチュエータにグランド電位を付与するための配線パターンの強化することができる点で有利である。
【0076】
このように第5実施形態及び第7実施形態に係るヘッドユニットは、第1実施形態に係るヘッドユニットとの間でFPCを共通化することができる。第1、第5及び第7実施形態においては、導電材設置部に対して導電材を設ける態様も同じである。このため、導電材設置部を設けることなく、短絡すべき箇所では短絡させて絶縁すべき箇所では絶縁させるような配線構造をなしたFPCが用いられてもよい。これは、第6及び第8実施形態に係るヘッドユニットと、第3実施形態に係るヘッドユニットとの間の関係においても同様のことが言える。このようにすることで、分極工程後に単にFPCを配置させるだけで短絡できるため、ソルダポイントを設ける工程は削減できる。
【0077】
[第9実施形態]
次に第9実施形態について説明する。図12に示す第9実施形態に係るヘッドユニットは、図2,図3,図7に示す何れのインクジェットヘッドが適用されてもよい。本実施形態のヘッドユニットは、かかるインクジェットヘッド1に第7形態の配線部材704を接続してなり、この配線部材704は第4形態のCOF406と第3形態のFPC307とを接合してなる。第1乃至第6形態の配線部材は、COF及びFPCの連設により全体として帯状に形成されているが、第4形態のCOF406はアクチュエータ3の上面に接合される接合部473と、この接合部473から互いに反対側に延在する一対の延在部474,475とを有している。一対の延在部474,475は夫々、接合部473から上向きに折り曲げられた後、更に互いに向き合うようにして折り返されている。このとき、各延在部474,475の端縁は互いに離れるようにして配置される。FPC307はこの互いに向き合って離隔した一対の延在部474,475に架け渡されるようにして、各延在部474,475の端縁部に重ねられて接合される。FPC307には第1及び第2形態と同様にして図示しない導電材設置部が設けられており、アクチュエータ3の種類に応じて導電材設置部には適宜導電材376(図13参照)が設置されるようになっている。
【0078】
図13(a)には、導電材設置部がFPC307のうちCOF406に重ねられる側の面に設けた場合を例示している。このとき導電材設置部は、FPC307のうち一対の延在部の端縁間の領域に設けられていることが好ましい。これにより導電材設置部に設置された導電材376がFPC307から盛り上がるようなことがあっても、FPC307の下面とCOFの接合部の上面との間に収容される。よって、導電材376が外部部品と接触するのを避けることができ、ヘッドユニットに電気的な不具合が生じるのを防ぐことができる。
【0079】
図13(b)には、導電材設置部がFPC307のうちCOFと接合される側とは反対側の面に設けられている場合を例示している。この場合、導電材設置部に設置された導電材376を被覆する被覆材377をFPC307に貼り付けることが好ましい。これにより導電材376が外部部品と接触するのを避け、ヘッドユニットに電気的な不具合が生じるのを防ぐことができる。なお、このような被覆材377は前述した第1及び第2形態のFPC107,207にも同様にして適用することができる。
【0080】
これまで本発明に係る実施形態を説明したが、上記構成は本発明の範囲内で適宜変更可能である。これまで、COF及びFPCが可撓性を有するシート状又はフィルム状に形成される配線部材であるとしたが、剛性を有したボード状の配線部材であってもよい。
【0081】
また、本実施形態ではインクジェットプリンタに搭載されてインクを吐出するインクジェットヘッドを備えたヘッドユニットを例示したが、インク以外の液体、例えば着色液を吐出して液晶表示装置のカラーフィルタを製造する装置、導電液を吐出して電気配線を形成する装置などに使用する液滴吐出装置に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は異種の液滴吐出ヘッドに対して一種類の配線部材を共用することができるという作用効果を奏し、インクジェットプリンタのヘッドユニットに適用すると有益である。
【符号の説明】
【0083】
1 インクジェットヘッド
2 流路ユニット
3 アクチュエータ
4 配線部材
5 電極端子
6 COF
7 FPC
101 第1種ヘッド
103 第1種アクチュエータ
128 第1定電位電極
129 駆動電極
130 第2定電位電極
201,301 第2種ヘッド
203,303 第2種アクチュエータ
228 定電位電極
229 駆動電極
331 第1定電位端子
333 第2定電位端子
104,204,304,404,504,604,704 配線部材
106,206,306,406 COF
107,207,307 FPC
141 駆動IC
143 第1駆動配線
144 第2駆動配線
145 第1定電位配線
146 第2定電位配線、ダミー配線
158 導電材設置部
161 第1ランド
162 第2ランド
264 導電材設置部
265 第3ランド
266 第4ランド
269 並列駆動配線
372 並列定電位配線
474,475 延在部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線群を備え、第1電圧と第2電圧とを選択的に出力する駆動ICが搭載された中継配線部材を介して液滴吐出ヘッドに電気的に接続可能な配線板であって、
前記配線群は、二種類の液滴吐出ヘッドに対して電気的に接続可能に構成されており、
第1種の液滴吐出ヘッドは、前記駆動ICにより前記第1電圧と前記第2電圧とが選択的に印加される駆動電極と、前記第1電圧が印加される第1定電位電極と、前記第2電圧が印加される第2定電位電極とがそれぞれ圧電シートを介して積層された構成であり、
第2種の液滴吐出ヘッドは、前記駆動ICにより前記第1電圧と前記第2電圧とが選択的に印加される駆動電極と、前記第1電圧が印加される第1定電位電極とが圧電シートを介して積層された構成であり、
前記配線群は、前記駆動ICに前記第1電圧を入力するための第1駆動配線と、前記駆動ICに前記第2電圧を入力するための第2駆動配線と、前記第1定電位電極に電気的に接続される第1定電位配線と、前記第2定電位電極に電気的に接続可能な第2定電位配線と、を有し、
前記第2定電位配線には第1ランドが設けられ、前記第2駆動配線には第2ランドが設けられ、前記第1ランドと前記第2ランドとが、互いに離隔した状態で対となるように並設されて互いに短絡可能に形成されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド用の配線板。
【請求項2】
前記第2種の液滴吐出ヘッドは、前記第1定電位電極と電気的に接続された第1端子及び第2端子を備え、前記第1端子が前記中継配線部材を介して前記第1定電位配線と電気的に接続され、前記第2端子が前記中継配線部材を介して前記第2定電位配線と電気的に接続され、
前記第2定電位配線には第3ランドが設けられ、前記第1定電位配線には第4ランドが設けられ、前記第3ランドと前記第4ランドとが互いに離隔した状態で対となるように並設されて互いに短絡可能に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出ヘッド用の配線板。
【請求項3】
配線群を有する配線板と、第1電圧及び第2電圧を選択的に出力する駆動ICが搭載され、前記配線板に電気的に接続された中継配線部材と、前記中継配線部材と電気的に接続された液滴吐出ヘッドとを備える液滴吐出装置であって、
前記液滴吐出ヘッドは、前記駆動ICにより前記第1電圧と前記第2電圧とが選択的に印加される駆動電極と、前記第1電圧が印加される第1定電位電極と、前記第2電圧が印加される第2定電位電極とがそれぞれ圧電シートを介して積層された構成であり、
前記配線群は、前記駆動ICに前記第1電圧を入力するための第1駆動配線と、前記駆動ICに前記第2電圧を入力するための第2駆動配線と、前記第1定電位電極に電気的に接続される第1定電位配線と、前記第2定電位電極に電気的に接続される第2定電位配線と、を有し、
前記第2定電位配線には第1ランドが設けられ、前記第2駆動配線には第2ランドが設けられ、前記第1ランドと前記第2ランドとが互いに離隔した状態で対となるように並設され、且つ導電材を介して互いに短絡されていることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項4】
前記第2定電位配線には第3ランドが設けられ、前記第1定電位配線には第4ランドが設けられ、前記第3ランドと前記第4ランドとが互いに離隔した状態で対となるように並設されて互いに絶縁されていることを特徴とする請求項3に記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
前記中継配線部材は、前記液滴吐出ヘッドに対して外側に引き出された一対の延在部を折り返すようにして設けられ、前記一対の延在部が互いに離れた状態で対向しており、
前記配線板は、前記一対の延在部を架け渡すようにして前記中継配線部材に重ねられており、
前記導電材が、前記配線板のうち前記中継配線部材と重ねられる側の面に形成され、かつ、前記中継配線部材の前記一対の延在部の間に配置されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の液滴吐出装置。
【請求項6】
配線群を有する配線板と、第1電圧及び第2電圧を選択的に出力する駆動ICが搭載され、前記配線板に電気的に接続された中継配線部材と、前記中継配線部材と電気的に接続された液滴吐出ヘッドとを備える液滴吐出装置であって、
前記液滴吐出ヘッドは、前記駆動ICにより前記第1電圧と前記第2電圧とが選択的に印加される駆動電極と、前記第1電圧が印加される第1定電位電極とが圧電シートを介して積層された構成であり、
前記配線群は、前記駆動ICに前記第1電圧を入力するための第1駆動配線と、前記駆動ICに前記第2電圧を入力するための第2駆動配線と、前記第1定電位電極に電気的に接続される第1定電位配線と、これら配線と並設されたダミー配線と、を有し、
前記ダミー配線には第1ランドが設けられ、前記第2駆動配線には第2ランドが設けられ、前記第1ランドと前記第2ランドとが互いに離隔した状態で対となるように並設されて絶縁されていることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項7】
前記液滴吐出ヘッドは、前記第1定電位電極と電気的に接続された第1端子及び第2端子を備え、前記第1端子が前記中継配線部材を介して前記第1定電位配線と接続され、前記第2端子が前記中継配線部材を介して前記ダミー配線と接続され、
前記ダミー配線には第3ランドが設けられ、前記第1定電位配線には第4ランドが設けられ、前記第3ランドと前記第4ランドとが互いに離隔した状態で対となるように並設されて互いに短絡されていることを特徴とする請求項6に記載の液滴吐出装置。
【請求項8】
前記配線群を有する配線板と、第1電圧及び第2電圧を選択的に出力する駆動ICが搭載され、前記配線板に電気的に接続された中継配線部材と、前記中継配線部材と電気的に接続された液滴吐出ヘッドとを備える液滴吐出装置であって、
前記液滴吐出ヘッドは、前記駆動ICにより前記第1電圧と前記第2電圧とが選択的に印加される駆動電極と、前記第1電圧が印加される第1定電位電極とが圧電シートを介して積層された構成であり、
前記配線群は、前記駆動ICに前記第1電圧を入力するための第1駆動配線と、前記駆動ICに前記第2電圧を入力するための第2駆動配線と、前記第1定電位電極に電気的に接続される第1定電位配線と、これら配線と並設されたダミー配線と、を有し、
前記ダミー配線は前記中継配線部材上で前記第2駆動配線と電気的に接続され、
前記ダミー配線には第1ランドが設けられ、前記第2駆動配線には第2ランドが設けられ、前記第1ランドと前記第2ランドとが互いに離隔した状態で対となるように並設されて互いに短絡されていることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項9】
前記ダミー配線には第3ランドが設けられ、前記第1定電位配線には第4ランドが設けられ、前記第3ランドと前記第4ランドとが互いに離隔した状態で対となるように並設されて絶縁されていることを特徴とする請求項8に記載の液滴吐出装置。
【請求項10】
前記液滴吐出ヘッドは、前記第1定電位電極と電気的に接続された第1端子及び第2端子を備え、前記第1端子が前記中継配線部材を介して前記第1定電位配線と接続され、
前記中継配線部材に前記第1定電位配線に接続された並列定電位配線が設けられ、前記第2端子が前記並列定電位配線と接続されていることを特徴とする請求項8又は9に記載の液滴吐出装置。
【請求項11】
配線群を有する配線板と、第1電圧及び第2電圧を選択的に出力する駆動ICが搭載され、前記配線板に電気的に接続された中継配線部材と、前記中継配線部材と電気的に接続された液滴吐出ヘッドとを備える液滴吐出装置の製造方法であって、
前記駆動ICにより前記第1電圧と前記第2電圧とが選択的に印加される駆動電極、前記第1電圧が印加される第1定電位電極、及び前記第2電圧が印加される第2定電位電極がそれぞれ圧電シートを介して積層されてなる液滴吐出ヘッドのうち、前記駆動電極と前記第1定電位電極とで挟まれた領域、及び前記駆動電極と前記第2定電位電極とで挟まれた領域を分極する工程と、
前記配線板の前記配線群が前記駆動ICに前記第1電圧を入力するための第1駆動配線、前記駆動ICに前記第2電圧を入力するための第2駆動配線、前記第1定電位電極に電気的に接続される第1定電位配線、前記第2定電位電極に電気的に接続可能な第2定電位配線を有し、前記第2定電位配線に設けられた第1ランドと前記第2駆動配線に設けられた第2ランドとを互いに電気的に接続する工程と、
前記配線板を、前記中継配線部材を介し、分極された前記液滴吐出ヘッドに電気的に接続する工程と
を有することを特徴とする液滴吐出装置の製造方法。
【請求項12】
配線群を有する配線板と、第1電圧及び第2電圧を選択的に出力する駆動ICが搭載され、前記配線板に電気的に接続された中継配線部材と、前記中継配線部材と電気的に接続された液滴吐出ヘッドとを備える液滴吐出装置の製造方法であって、
前記駆動ICにより前記第1電圧と前記第2電圧とが選択的に印加される駆動電極、前記第1電圧が印加される第1定電位電極がそれぞれ圧電シートを介して積層されてなる液滴吐出ヘッドのうち、前記駆動電極と前記第1定電位電極とで挟まれた領域を分極する工程と、
前記配線板の前記配線群が前記駆動ICに前記第1電圧を入力するための第1駆動配線、前記駆動ICに前記第2電圧を入力するための第2駆動配線、前記第1定電位電極に電気的に接続される第1定電位配線、これら配線と並設されたダミー配線を有し、前記第2ダミー配線に設けられた第1ランドと前記第2駆動配線に設けられた第2ランドとが互いに離隔した状態で対となるように並設されて絶縁されたままとなっている配線板を、前記中継配線部材を介し、分極された前記液滴吐出ヘッドと電気的に接続する工程と
を有することを特徴とする液滴吐出装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−228346(P2010−228346A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−79796(P2009−79796)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】