説明

液滴吐出装置、液滴吐出方法、及びカラーフィルタの製造方法

【課題】ノズルのインク吐出量のバラツキを調整することで液滴吐出ヘッドを効率的に利用可能な、液滴吐出装置、液滴吐出方法、及びカラーフィルタの製造方法を提供する。
【解決手段】機能液が収容された複数のキャビティ24の各々から機能液を吐出させる複数のノズルNを有する液滴吐出ヘッド5と、各ノズルNから吐出される機能液の温度を調整して各ノズルNにおける吐出量のばらつきを調整する吐出量調整手段PZと、を備えた液滴吐出装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出装置、液滴吐出方法、及びカラーフィルタの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機、携帯型コンピュータなどといった電子機器の表示部に液晶装置、エレクトロルミネッセンス装置等の電気光学装置においてフルカラー表示が行われるようになっている。例えば、液晶装置によるフルカラー表示は、液晶層によって変調される光をカラーフィルタに通すことによって表示される。このようなカラーフィルタは、液滴吐出装置によってフィルタエレメント材料をガラス、プラスチックなどによって形成された基板の表面にドット状に吐出することで形成される。
【0003】
ところで、一般的に、液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドは、複数のノズルのインク吐出量にバラツキがあり、形成されるカラーフィルタにスジムラが発生する可能性があった。そこで、このようなノズルにおけるインクの吐出量のバラツキに起因するカラーフィルタのスジムラを防止すべく、インクの吐出量のバラツキが多いノズル列の両端部のノズルにおいて吐出規制手段によりインクを吐出させないようにする技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−159787号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては、上述のようにノズル列の両端部に対応するノズルが使用されないため、液滴吐出ヘッドを有効活用しているとは言い難かった。そこで、各ノズルにおけるインク吐出量のバラツキを調整するとともに液滴吐出ヘッドを効率的に使用できる新たな技術の提供が望まれている。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、ノズルのインク吐出量のバラツキを調整することで液滴吐出ヘッドを効率的に利用可能な、液滴吐出装置、液滴吐出方法、及びカラーフィルタの製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の液滴吐出装置は、機能液が収容された複数のキャビティの各々から前記機能液を吐出させる複数のノズルを有する液滴吐出ヘッドと、前記各ノズルから吐出される前記機能液の温度を調整して前記各ノズルにおける吐出量のばらつきを調整する吐出量調整手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の液滴吐出装置によれば、吐出量調整手段により各ノズルにおける吐出量のばらつきが調整されるので、液滴吐出ヘッドの全ノズルから均一な量の機能液を吐出することが可能となる。よって、液滴吐出ヘッドにおける未使用ノズルを無くすことで液滴吐出ヘッドを効率的に利用することができる。
【0008】
また、上記液滴吐出装置においては、前記液滴吐出ヘッドは、印加される駆動信号に応じた圧力を前記各キャビティ内に発生させる複数の圧電体素子を有し、前記吐出量調整手段は前記圧電体素子により構成されるのが好ましい。
この構成によれば、例えば圧電体素子を用いることでキャビティ内に微振動を生じさせて機能液を加熱することができ、機能液の温度を調整する吐出量調整手段として有効に機能させることができる。
このとき、前記圧電体素子には、前記ノズルから前記機能液を吐出させない程度の微小な圧力を前記キャビティ内に発生させるとともに前記キャビティ内の前記機能液を加熱する微振動用駆動信号が印加されるのがより望ましい。
このような微振動用駆動信号を圧電体素子に印加することで、ノズルから機能液を吐出させることなく、各ノズルにおける吐出量のばらつきを調整することができる。よって、吐出量調整時に機能液が無駄に使用されてしまうことを防止することができる。また、微振動用駆動信号を選択的に印加することで機能液を加熱或いは冷却できる。
【0009】
また、上記液滴吐出装置においては、前記吐出量調整手段は、前記各キャビティ或いは複数のキャビティ毎に設けられたヒータを含むのが好ましい。
このように各キャビティ、或いは複数のキャビティ毎にヒータを設ける事でキャビティ内の機能液を良好に加熱することで温度調整を行うことができる。
【0010】
また、上記液滴吐出装置においては、前記吐出量調整手段は、前記各キャビティ或いは複数のキャビティ毎に設けられた冷却機構を含むのが好ましい。
このように各キャビティ、或いは複数のキャビティ毎に冷却機構を設ける事でキャビティ内の機能液を良好に冷却することで温度調整を行うことができる。
【0011】
本発明の液滴吐出方法においては、機能液が収容された複数のキャビティの各々から前記機能液を吐出させる複数のノズルを有する液滴吐出ヘッドを用いた液滴吐出方法であって、前記各ノズルから前記機能液を吐出させる吐出ステップよりも前に、前記各ノズルから吐出される前記機能液の温度を調整して前記各ノズルにおける吐出量のばらつきを調整する吐出量調整ステップを有することを特徴とするのが好ましい。
【0012】
本発明の液滴吐出方法によれば、吐出ステップに先立って行われる吐出量調整ステップにより各ノズルにおける吐出量のばらつきが調整されるので、液滴吐出ヘッドの全ノズルから均一な量の機能液を吐出することが可能となる。よって、液滴吐出ヘッドにおける未使用ノズルを無くすことで効率的に液滴吐出ヘッドを利用可能な方法を提供できる。
【0013】
また、上記液滴吐出方法においては、前記吐出量調整ステップにおいて、前記各キャビティに対応して設けられる圧電体素子に該キャビティ内の前記機能液を微振動させる微振動用駆動信号を印加するのが好ましい。
この構成によれば、微振動用駆動信号を圧電体素子に印加し、キャビティ内に微振動を生じさせて機能液を加熱することで機能液の温度調整を行うことができる。また、微振動用駆動信号を選択的に印加することでキャビティ内の機能液を加熱又は冷却することができる。
このとき、前記微振動用駆動信号は、前記ノズルから前記機能液を吐出させない程度の微小な圧力を前記キャビティ内に発生させるのがより望ましい。
このような微振動用駆動信号を印加することで、ノズルから機能液を吐出させることなく、各ノズルにおける吐出量のばらつきを調整することができる。よって、吐出量調整ステップにて機能液が無駄に使用されてしまうのを防止できる。
【0014】
また、上記液滴吐出方法においては、前記吐出量調整ステップにおいて、所定の前記キャビティに微振動を付与することで、該所定のキャビティに隣接する他のキャビティ内の前記機能液を間接的に加熱するのが好ましい。
この構成によれば、キャビティに付与できる加熱度合いの調整幅を広げることができ、ノズルからの機能液の吐出量をより厳密に調整することができる。
【0015】
本発明のカラーフィルタの製造方法は、上記の液滴吐出装置、或いは上記の液滴吐出方法を用いて、基材上に設けられた所定領域に前記機能液を配置してカラーフィルタを形成することを特徴とすることを特徴とする。
【0016】
本発明のカラーフィルタの製造方法によれば、上述したように全ノズルから均一な量の機能液が吐出されるので、スジムラの無い高品質なカラーフィルタを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して本発明に係る液滴吐出装置、及び液滴吐出方法の一実施形態について説明する。以下の説明においては、図1中に示されたXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材について説明する。XYZ直交座標系は、X軸及びY軸がワークステージ2に対して平行となるよう設定され、Z軸がワークステージ2に対して直交する方向に設定されている。図1中のXYZ座標系は、実際にはXY平面が水平面に平行な面に設定され、Z軸が鉛直上方向に設定される。
【0018】
図1は、本実施形態に係る液滴吐出装置IJの概略構成図である。液滴吐出装置IJは、例えばインクジェット方式によりカラーフィルタ基板(吐出対象物)の所定領域上にカラーフィルタ材料の液滴を吐出してカラーフィルタ層を形成する装置であり、本実施形態の液滴吐出方法を行うものでもある。
【0019】
液滴吐出装置IJは、装置架台1、ワークステージ2、ステージ移動装置3、キャリッジ4、液滴吐出ヘッド5、キャリッジ移動装置6、チューブ7、第1タンク8、第2タンク9、第3タンク10及び制御装置11を備えている。
【0020】
装置架台1は、ワークステージ2及びステージ移動装置3の支持台である。ワークステージ2は、装置架台1上においてステージ移動装置3によってX軸方向に移動可能に設置されており、上流側の搬送装置(図示せず)から搬送されるカラーフィルタ基板(基材)Pを、真空吸着機構によりXY平面上に保持する。ステージ移動装置3は、ボールネジまたはリニアガイド等の軸受け機構を備え、制御装置11から入力される、ワークステージ2のX座標を示すステージ位置制御信号に基づいて、ワークステージ2をX軸方向に移動させる。
【0021】
キャリッジ4は、液滴吐出ヘッド5を保持するものであり、キャリッジ移動装置6によってY軸方向及びZ軸方向に移動可能に設けられている。液滴吐出ヘッド5は、図示略の複数のノズルを備えており、制御装置11から入力される描画データや駆動制御信号に基づいて、カラーフィルタ材料の液滴を吐出する。この液滴吐出ヘッド5は、カラーフィルタ材料のR(赤)、G(緑)、B(青)に対応して設けられており、それぞれの液滴吐出ヘッド5はキャリッジ4を介してチューブ7と連結されている。そして、R(赤)に対応する液滴吐出ヘッド5はチューブ7を介して第1タンク8からR(赤)用のカラーフィルタ材料の供給を受け、G(緑)に対応する液滴吐出ヘッド5はチューブ7を介して第2タンク9からG(緑)用のカラーフィルタ材料の供給を受け、また、B(青)に対応する液滴吐出ヘッド5はチューブ7を介して第3タンク10からB(青)用のカラーフィルタ材料の供給を受けるようになっている。
【0022】
キャリッジ移動装置6は、装置架台1を跨ぐ橋梁構造をしており、Y軸方向及びZ軸方向に対してボールネジまたはリニアガイド等の軸受け機構を備え、制御装置11から入力される、キャリッジ4のY座標及びZ座標を示すキャリッジ位置制御信号に基づいて、キャリッジ4をY軸方向及びZ軸方向に移動させる。
【0023】
チューブ7は、第1タンク8、第2タンク9及び第3タンク10とキャリッジ4(液滴吐出ヘッド5)とを連結するカラーフィルタ材料の供給用チューブである。第1タンク8は、R(赤)用のカラーフィルタ材料を貯蔵すると共に、チューブ7を介してR(赤)に対応する液滴吐出ヘッド5にカラーフィルタ材料を供給する。第2タンク9は、G(緑)用のカラーフィルタ材料を貯蔵すると共に、チューブ7を介してG(緑)に対応する液滴吐出ヘッド5にカラーフィルタ材料を供給する。第3タンク10は、B(青)用のカラーフィルタ材料を貯蔵すると共に、チューブ7を介してB(青)に対応する液滴吐出ヘッド5にカラーフィルタ材料を供給する。
【0024】
制御装置11は、ステージ移動装置3にステージ位置制御信号を出力し、キャリッジ移動装置6にキャリッジ位置制御信号を出力すると共に、液滴吐出ヘッド5の駆動回路基板30に描画データ及び駆動制御信号を出力して、液滴吐出ヘッド5による液滴吐出動作、ワークステージ2の移動によるカラーフィルタ基板Pの位置決め動作、キャリッジ4の移動による液滴吐出ヘッド5の位置決め動作の同期制御を行うことにより、カラーフィルタ基板P上の所定の位置にカラーフィルタ材料の液滴を吐出する。
【0025】
図2は液滴吐出ヘッド5の概略構成図である。図2(a)は液滴吐出ヘッド5をワークステージ2側から見た平面図、図2(b)は液滴吐出ヘッド5の部分斜視図、図2(c)は液滴吐出ヘッド5の1ノズル分の部分断面図である。
【0026】
図2(a)に示すように、液滴吐出ヘッド5は、Y軸方向に配列された複数(例えば180個)のノズルN〜N180を備えている。ノズルN〜N180によってノズル列NAが形成されている。図2(a)では1列分のノズルを示したが、液滴吐出ヘッド5に設けるノズル数及びノズル列数は任意に変更可能であり、Y軸方向に配列した1列分ノズルをX軸方向に複数列設けても良い。また、キャリッジ4内に配置する液滴吐出ヘッド5の数も任意に変更可能である。さらに、キャリッジ4をサブキャリッジ単位で複数設ける構成としても良い。
【0027】
図2(b)に示すように、液滴吐出ヘッド5は、チューブ7と連結される材料供給孔20aが設けられた振動板20と、ノズルN〜N180が設けられたノズルプレート21と、振動板20とノズルプレート21との間に設けられた液溜まり22と、複数の隔壁23と、複数のキャビティ(液室)24とを備えている。振動板20上には、各ノズルN1〜N180に対応して圧電体素子(駆動素子)PZ〜PZ180が配置されている。圧電体素子PZ〜PZ180は、例えばピエゾ素子である。
【0028】
リザーバ22には、材料供給孔20aを介して供給される液状のカラーフィルタ材料(機能液)が充填されるようになっている。キャビティ24は、振動板20と、ノズルプレート21と、1対の隔壁23とによって囲まれるようにして形成されおり、各ノズルN〜N180に1対1に対応して設けられている。また、各キャビティ24には、一対の隔壁23の間に設けられた供給口24aを介して、リザーバ22からカラーフィルタ材料が導入されるようになっている。
【0029】
図2(c)に示すように、圧電体素子PZは、圧電材料25を一対の電極26で挟持したものであり、一対の電極26に駆動信号を印加すると圧電材料25が収縮するよう構成されたものである。そして、このような圧電体素子PZが配置されている振動板20は、圧電体素子PZと一体になって同時に外側(キャビティ24の反対側)へ撓曲するようになっており、これによってキャビティ24の容積が増大するようになっている。
【0030】
したがって、キャビティ24内に増大した容積分に相当するカラーフィルタ材料が、液溜まり22から供給口24aを介して流入する。また、このような状態から圧電体素子PZへの駆動信号の印加を停止すると、圧電体素子PZ1と振動板20はともに元の形状に戻り、キャビティ24も元の容積に戻ることから、キャビティ24内のカラーフィルタ材料の圧力が上昇し、ノズルN1からカラーフィルタ基板Pに向けてカラーフィルタ材料の液滴Lが吐出される。
【0031】
図3は、液滴吐出ヘッド5を用いてカラーフィルタ基板P上にカラーフィルタを形成する方法の説明図である。図3(a)は、機能液の吐出対象物であるカラーフィルタ基板Pの概略平面図である。図3(b)は、カラーフィルタ基板Pの部分拡大平面図である。
【0032】
図3(a)において、ガラス、プラスチック等によって形成された大面積のカラーフィルタ基板Pの表面には複数のパネル領域CAが設定されている。各パネル領域CAは、互いに分離(切断)されて個々のカラーフィルタ基板として提供される。各パネル領域CAの内部には、図3(b)に示すように、ドット状に配列された複数の画素PX(所定領域)が設けられている。画素PXは各パネル領域CA内にマトリクス状に配列されており、それぞれの画素PX毎にカラーフィルタ層(着色層)CFが形成される。
【0033】
本実施形態では、図3(b)の図示上下方向(矢印A1及び矢印A2で示す方向)を主走査方向とし、主走査方向と直交する方向(図示左右方向)を副走査方向として、液滴吐出ヘッド5をカラーフィルタ基板P上に配置する。そして、カラーフィルタ基板Pを液滴吐出ヘッド5に対して主走査方向及び副走査方向に相対的に移動(走査)させながら、液滴吐出ヘッド5の複数のノズルNから着色材料を含む機能液(カラーフィルタ材料)を吐出させ、カラーフィルタ基板P上の各画素PXにカラーフィルタ層CFを形成する。
【0034】
液滴吐出ヘッド5の走査は、1つのパネル領域CAに関して複数回行う。例えば、主走査方向に液滴吐出ヘッド5を走査した後、副走査方向に液滴吐出ヘッド5を移動(走査)し、再度主走査方向に走査を行う。1つのパネル領域CAの左端から右端まで移動(副走査)したら、再びパネル領域CAの左端に戻り、既に吐出を行った位置とは若干異なる位置で主走査方向に走査を行う。そして、このような走査を複数回行うことによって、パネル領域CA内の全ての画素PXに所望の膜厚のカラーフィルタ層CFを形成する。
【0035】
なお、図3(b)において液滴吐出ヘッド5が副走査方向に対して斜めに傾いているのは、液滴吐出ヘッド5のノズルNのピッチを画素PXのピッチに合わせるためである。ノズルNのピッチと画素PXのピッチとが所定の対応関係を満たして設定されていれば、液滴吐出ヘッド5を斜めに傾ける必要はない。
【0036】
カラーフィルタ層CFは、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色をいわゆるストライプ配列、デルタ配列、モザイク配列等といった適宜の配列形態で配列することによって形成される。したがって、図3(b)に示す機能液の吐出工程においては、R、G、Bのカラーフィルタ材料を吐出する液滴吐出ヘッド5を、R、G、Bの3色分だけ予め用意する。
そして、これらの液滴吐出ヘッド5を順次に用いて1つのカラーフィルタ基板P上にR、G、Bの3色のカラーフィルタ層CFの配列を形成する。
【0037】
次に、図4を参照して、本発明に係る液滴吐出装置IJの電気的構成および動作について説明する。図4は、ヘッド駆動に係る液滴吐出装置の電気的構成(制御手段)を示す図である。なお、図4においては、図1〜図3に示した部材に相当するブロックには同一の符号を付してある。図4に示す通り、液滴吐出装置IJを制御する制御手段は、制御コンピュータ50、制御装置11、及び駆動用集積回路60を含んで構成される。
【0038】
制御コンピュータ50は、例えばCPU(中央処理装置)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等の内部記憶装置、ハードディスク、CD−ROM等の外部記憶装置、並びに液晶表示装置又はCRT(Cathode Ray Tube)等の表示装置を含んで構成され、ROM又はハードディスクに記憶されたプログラムに従って、液滴吐出装置IJの動作を制御する制御信号を出力する。この制御コンピュータ50は、例えばケーブル等を用いて図1に示す液滴吐出装置IJに設けられる制御装置11と接続されている。
【0039】
制御装置11は、演算制御部52、駆動信号生成部54、及びタイマ部56を含んで構成される。演算制御部52は、制御コンピュータ50から入力された制御信号及び内部に予め記憶された制御プログラムに基づいて、キャリッジ移動装置6や不図示のキャッピングユニットに設けられたポンプの動作を制御する。
【0040】
また、演算制御部52は、液滴吐出ヘッド5に設けられる複数の圧電体素子PZ〜PZ180(以下、総称して圧電体素子PZと称す場合もある)駆動する各種駆動信号を生成するための各種データ(駆動信号生成用データ)を駆動信号生成部54に出力する。駆動信号生成用データとしては、予め計測された上述の液滴吐出ヘッド5におけるノズルN〜N180(以下、総称してノズルNと称す場合もある)間の吐出量のばらつきデータを含む。
【0041】
さらに、演算制御部52は、上記制御プログラムに基づいて選択データを生成して駆動用集積回路60に設けられた切替信号生成部62に出力する。この選択データは、駆動信号の印加対象となる圧電体素子PZを指定するためのノズル選択データと圧電体素子PZに印加する駆動信号を指定するための波形選択データとからなる。
【0042】
駆動信号生成部54は、上記の駆動信号生成用データに基づいて所定形状の各種駆動信号を生成してスイッチ回路64に出力する。駆動信号生成部54が生成する駆動信号は、例えば、後述する通常吐出用駆動信号S1〜S3、及び微振動用駆動信号S4がある。通常吐出用駆動信号S1〜S3は、各ノズルNからそれぞれ所定量の機能液を吐出させるための駆動信号である。また、微振動用駆動信号S4は、ノズルNから機能液を吐出させない程度の微小な圧力をキャビティ24内に発生させて、キャビティ24内の機能液を加熱するための駆動信号である。
【0043】
駆動用集積回路60は、液滴吐出ヘッド5内に設けられており、切替信号生成部62及びスイッチ回路64を含んで構成されている。切替信号生成部62は、演算制御部52から出力される選択データに基づいて各圧電体素子PZへの駆動信号の導通/非導通を指示する切替信号を生成し、スイッチ回路64に出力する。スイッチ回路64は、各圧電体素子PZにそれぞれ設けられており、切替信号によって指定された駆動信号を圧電体素子PZに出力する。
【0044】
ここで、駆動信号生成部54が生成する駆動信号の一例、及び吐出ヘッドの動作について説明する。図5は、駆動信号生成部54で生成される通常吐出用駆動信号S1の1周期分の波形及びこの波形による液滴吐出ヘッド5の動作を模式的に示す図である。
【0045】
なお、図5(a)において、符号Vは待機状態の電位(中間電位)、Vは充電状態の電位(高電位)、Vは放電状態の電位(低電位)をそれぞれ示している。駆動電圧は、高電位Vと低電位Vとの電位差によって規定される。また、符号t1は待機状態から充電状態までの時間(駆動電圧の立ち上がり時間)、符号t2は充電状態を保持する時間(駆動電圧の保持時間)、符号t3は充電状態から放電状態までの時間(駆動電圧の立ち下がり時間)をそれぞれ示している。
【0046】
図5(a)に示されるように、通常吐出用駆動信号S1は、その電圧値が中間電位Vからスタートした後(ホールドパルスL1)、時間t1が経過するまでの間、充電状態の電位まで一定の傾きで上昇し(充電ホールパルスL2)、時間t2が経過するまでの間、電位Vを維持する(ホールドパルスL3)。次に、時間t3が経過するまでの間、高電位から低電位まで一定の傾きで下降し(放電パルスL4)、低電位Vを所定時間だけ維持する(ホールドパルスL5)。その後、電圧値は中間電位Vまで一定の傾きで上昇する(充電パルスL6)。
【0047】
以上説明した通常吐出用駆動信号S1が圧電体素子PZに印加されると、圧電体素子PZは図5(b)〜(d)に示す動作を行い、これにより対応するノズルNから液状体を液滴として吐出させる。
【0048】
まず、図5(a)に示されるように、通常吐出用駆動信号S1の電圧値が充電状態の電位まで一定の傾きで上昇する充電ホールパルスL2が圧電体素子PZに印加されると、図5(b)に示すように圧電体素子PZがキャビティ24の容積を緩やかに膨張させる方に撓みキャビティ24に負圧が発生する。これによって、所定の液状体がリザーバ22からキャビティ24に供給される。また、図示のようにノズルNの開口近傍に位置する液状粘性物も僅かにキャビティ24内部方向へ引き込まれることで、メニスカスがノズルN内に引き込まれる。
【0049】
次に、時刻t2の間、通常吐出用駆動信号S1の電圧値を高電位Vに保持するホールドパルスL3が圧電体素子PZ〜PZ180に印加された後、時間t3が経過する間に放電パルスL4が印加されると、圧電体素子PZが急速にキャビティ24の容積を収縮させる方向に撓み、キャビティ24に正圧が発生する。これにより、図5(c)に示す通り、ノズルN〜N180から所定の液体が液滴Lとして吐出される。
【0050】
液滴Lが吐出されると、所定時間の間、圧電体素子PZには低電位Vを維持するホールドパルスL5が印加され、その後、中間電位Vまで一定の傾きで上昇する充電パルスL6が圧電体素子PZに印加される。充電パルスL6が圧電体素子PZに印加されると、圧電体素子PZは図5(d)に示すように変形し、キャビティ24内に負圧が発生する。
【0051】
これにより、液状体がリザーバ22からキャビティ24に供給されるとともに、ノズルNの開口近傍に位置する所定の液体も僅かにキャビティ24内部方向へ引き込まれ、図5(d)に示す通り、メニスカスが一定の状態に維持される。
【0052】
本説明では、通常吐出用駆動信号S1について説明したが通常吐出用駆動信号S2、S3が印加された圧電体素子PZは、図5(b)〜(d)に示した同様の動作を行う。なお、通常吐出用駆動信号S2、S3は、通常吐出用駆動信号S1に対し、電位Vがこの順に低く、また放電パルスL4の傾きがこの順に緩やかになっている。すなわち、通常吐出用駆動信号S2、S3が印加された場合、上記通常吐出用駆動信号S1が印加された場合に比べて、ノズルNから吐出される液滴Lの1ドット当りの重量が小さくなる。
すなわち、本実施形態に係る液滴吐出装置IJは、スイッチ回路64が所定の駆動信号(通常吐出用駆動信号S1〜S3)を圧電体素子PZに出力することでノズルNからの液状体の吐出状況を変化させるようになっている。
【0053】
続いて、通常吐出用駆動信号S1と微振動用駆動信号S4とについて比較する。図6は、通常吐出用駆動信号S1及び微振動用駆動信号S4の波形を模式的に示す図であって、図6(a)は通常吐出用駆動信号S1の波形の一例を示す図であり、(b)は微振動用駆動信号S4の波形の一例を示す図である。本実施形態においては、図6(a)に示されるように、通常吐出用駆動信号S1の繰返周波数fを例えば10kHzに設定し、図6(b)に示されるように、微振動用駆動信号S4の繰返周波数fを例えば100kHzに設定している。
【0054】
この100kHz近傍の繰返周波数fは、圧電体素子PZを十分に駆動(機械的変形)可能なものであると同時に、圧電体素子PZを高速駆動することによって作動熱を応答性良く発生させる周波数となっている。また、微振動用駆動信号S4の振幅は、上述のようにノズルNから液状体を吐出させない程度の大きさ、例えば通常吐出用駆動信号S1の振幅VHL(図5(a)に示す高電位Vと低電位Vとの差)の半分(50%)に設定されている。
なお、ここでは微振動用駆動信号S4の振幅が通常吐出用駆動信号S1の振幅VHLの半分に設定されている場合を例に挙げて説明するが、微振動用駆動信号S4の振幅は通常吐出用駆動信号S1の振幅VHLの半分以下であることが好ましい。
【0055】
ところで、一般的に液滴吐出ヘッドにおいては、ノズル間で機能液の吐出特性(吐出量)に僅かながらばらつきが存在する。ノズル間で機能液の吐出量にばらつきがあると、これに起因して機能液の配置量がばらついてしまい、カラーフィルタにおけるスジ状の濃淡ムラを発生させる原因となってしまう。
【0056】
特に本実施形態の液滴吐出ヘッド5は、例えば両端部においてリザーバ22が鋭角状に窄まった形状となっている。そのため、ヘッド中央部におけるキャビティ24内に機能液が流れ込む速度に比べ、ヘッド両端部のキャビティ24内に機能液が流れ込む速度が速くなっている。よって、本実施形態の液滴吐出ヘッド5は、図7に示されるように両端部のノズルにおける機能液の吐出量が相対的に多くなる傾向がある。
【0057】
このように本実施形態の液滴吐出ヘッド5においてもノズル間での機能液の吐出量にばらつきが生じている。なお、図7においては、横軸はノズル列NAのノズル番号1〜180を示し、縦軸は各ノズル番号に対応するノズルの吐出量を示している。
【0058】
本実施形態では、上述のような問題を解消すべく、液滴吐出装置IJがノズルN〜N180から吐出される機能液の温度をそれぞれ調整し、ノズルN〜N180間における吐出量のばらつきを調整する吐出量調整手段を備えている。
【0059】
具体的に本実施形態では、各ノズルN〜N180から機能液を吐出させる液滴吐出ヘッド5の吐出ステップに先立ち、上記電気構成(制御コンピュータ50、制御装置11、及び駆動用集積回路60)を用いることで圧電体素子PZを上述の吐出量調整手段として利用し、ノズル間で生じている吐出量のばらつき(図7参照)を補正する吐出量調整ステップを行う。
【0060】
具体的には、所定の圧電体素子PZ、例えば、初期状態におけるインク吐出量が相対的に少ない領域(図7中、矢印Aで示される領域)のノズルに対応する圧電体素子PZに対して微振動用駆動信号S4を選択的に印加する。
【0061】
微振動用駆動信号S4が印加された所定の圧電体素子PZはキャビティ24内の機能液を加熱することで、機能液の粘度を低下させ、所定のノズルNからの吐出量を増加させることができる。なお、上記微振動用駆動信号S4は、上述したようにノズルNから機能液を吐出させない程度の微小な圧力をキャビティ24内に発生させるものであることから、液滴LがノズルNから吐出されてしまうといったことが防止される。なお、微振動用駆動信号S4を印加する時間は、各圧電体素子PZにおける吐出量のばらつき具合に基づいて上記電気構成(制御コンピュータ50、制御装置11、及び駆動用集積回路60)が適宜変化させるのが望ましい。
【0062】
このとき、所定のキャビティ24に微振動を付与することで、このキャビティ24に隣接する他のキャビティ24内の機能液を間接的に加熱するようにしてもよい。これにより、キャビティ24に付与できる加熱度合いの調整幅を増加させることができ、ノズルNからの機能液の吐出量をより厳密に調整することができる。
【0063】
一方、初期状態におけるインク吐出量が相対的に多い領域(図7中、矢印Bで示される領域)のノズルに対応する圧電体素子に対しては微振動用駆動信号S4を印加しない。よって、この領域(図7中、矢印Bで示される領域)のキャビティ24内の機能液は冷却されることとなり、ノズルNからの機能液の吐出量を減少させることができる。
【0064】
このように所定の圧電体素子PZに微振動用駆動信号S4を選択的に印加することで図7に示したように初期状態においてノズルN間で生じていた機能液の吐出量のばらつきを図8に示すように略平均化することができる。なお、図8においては、横軸はノズル列NAの各ノズルN〜N180のノズル番号1〜180を示し、縦軸は各ノズル番号1〜180に対応するノズルの吐出量を示している。
【0065】
このようにノズルN間における吐出量のばらつきを補正した後、液滴吐出ヘッド5の吐出ステップを行う。具体的には、図3に示したように液滴吐出ヘッド5からカラーフィルタ基板P上の各画素PXに着色材料を含む機能液(カラーフィルタ材料)を吐出する。なお、機能液の吐出を行うノズルNに対応する圧電体素子PZにはスイッチ回路64によって通常吐出用駆動信号S1が入力される。
【0066】
このとき、上述の吐出量調整ステップによって図8に示したように各ノズルNからの吐出量が均一化されているので、液滴吐出ヘッド5のノズル列方向に配置されている各画素PXに均一量の機能液を配置することができる。よって、液滴吐出ヘッド5に生じていたノズルN間の吐出量ばらつきを原因として、カラーフィルタにスジムラが発生するのを防止することができる。
このように本実施形態においては、全ノズルNの吐出量を均一化することで液滴吐出ヘッド5の未使用ノズルを無くしている。よって、液滴吐出ヘッド5を効率的に利用することができる。このようにノズル列NAの全てのノズルNを使用することで未使用ノズルにおいて機能液の吐出不良等の問題が生じるのを防止でき、液滴吐出ヘッド5のクリーニング頻度等を少なくすることができる。
【0067】
ところで、例えば液滴吐出ヘッド5を連続駆動すると、キャビティ24内の温度が高い状態で保持される。これにより、各ノズルN間の吐出ばらつきを最適化するための微振動用駆動信号S4の最適値が変化する可能性がある。この場合、制御装置11を構成する演算制御部52内に予め記憶された制御プログラムに基づいて算出された微振動用駆動信号S4では、ノズルN間の吐出量のばらつきを良好に補正することができない
【0068】
そこで、本実施形態では微振動用駆動信号S4を印加したにも係わらず、規定値以上の吐出ばらつきを生じさせるノズルが検出された場合、演算制御部52内の微振動用駆動信号S4の波形、或いは微振動用駆動信号S4の周波数等を補正することができる。なお、ノズルNからの機能液の吐出状況を検出する方法としては、例えばカラーフィルタ基板P上に吐出される機能液の着弾径を不図示の画像観察手段(例えば、CCD等)により検出し、着弾径が規定値以上よりも大きく或いは小さくなった場合(すなわち、ノズルからの吐出量がばらついた場合)、微振動用駆動信号S4の波形を各ノズルからの機能液の吐出量が平均化されるように補正する。これにより、連続駆動時における液滴吐出ヘッド5の機能液吐出能力の信頼性を向上させることができ、スジムラの無い高品質なカラーフィルタを製造することができる。
【0069】
なお、例えば小さい画素PXを有するカラーフィルタ基板Pに機能液を吐出する場合、各ノズルNから吐出される機能液の量を少なくする必要がある。この場合、液滴吐出装置IJは、スイッチ回路64によって圧電体素子PZに出力する上記通常吐出用駆動信号S1から通常吐出用駆動信号S2,S3のいずれかに切り替えるようにすればよい。このように本実施形態に係る液滴吐出装置IJによれば、圧電体素子PZに出力する駆動信号を切り替えることで容易に各ノズルNから吐出される機能液の量を調整することができる。
【0070】
本発明は上述の実施形態に限定されることはない。例えば、上述の実施形態では、吐出量が相対的に多いノズルNに対応するキャビティ24に対しては圧電体素子PZにより微振動を付与し、吐出量が相対的に少ないノズルNに対応するキャビティ24に対しては圧電体素子PZによる微振動を付与しない構成について説明したが、本発明の吐出量調整手段は、吐出量が相対的に多いノズルNに対応するキャビティ24を選択的に冷却する冷却機構と、吐出量が相対的に少ないノズルNに対応するキャビティ24を選択的に加熱するヒータとを含むものである。
【0071】
冷却機構としては、例えばキャビティ24の外部に設けられるフィン形状を有する放熱部材によって構成することができる。また、図9(a)に示すように内部に冷却水が循環する冷却部材Rをキャビティ24内に設けるようにしてもよい。
【0072】
ヒータHについても、図9(a)に示すように、例えば公知の半導体加工技術を用いることで各キャビティ24を構成する壁部にそれぞれ作り込むことができる。よって、液滴吐出装置IJにおける上述の制御装置11及び駆動用集積回路60により各キャビティ24内に設けられたヒータHを個別に制御することで機能液の粘度を低下させることができ、これによりノズルNからの吐出量を増加させることができる。
【0073】
なお、これら冷却部材R及びヒータHと上述の圧電体素子PZによる微振動の有無を組み合わせることでノズルN間の吐出量のばらつきを調整する吐出量調整手段を構成するようにしてもよい。
【0074】
また、吐出量調整手段として、図9(b)に示すようにペルチェ素子45をキャビティ24毎に形成(例えば、振動板20に形成)するようにしてもよい。ペルチェ素子45は熱電変換素子の一種であり、2種類の金属の接合部に電流を流すと片方の金属からもう片方の金属へ熱が移動するというペルチェ効果を利用した板状の半導体素子である。ペルチェ素子45は電流の極性を反転させることにより冷却素子にも加熱素子にもなることができ、通電する電流の大きさによって移動する熱量が制御できることから、高精度の温度制御に適している。また、可動部がなく、機械的な振動が発生しないことから、安定した注入動作が可能である。また、公知の半導体加工技術を用いることで各キャビティ24に対応した微細なパターンに形成することができる。
このようなペルチェ素子45を吐出量調整手段として利用することで各キャビティ24内の機能液を良好に加熱または冷却することができ、各ノズルNから吐出される機能液の温度を精度良く調整することができ、ノズルN間の吐出量のばらつきを良好に調整することができる。
【0075】
なお、上記実施形態では、ノズル間の吐出量のばらつきが調整された液滴吐出装置IJを用いてカラーフィルタを製造する方法に用いる場合について説明したが、本発明の液滴吐出装置IJはカラーフィルタの製造だけでなく、均一な膜厚を必要とされ、スジムラの形成が問題となる成膜工程においても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】液滴吐出装置の概略構成図である。
【図2】液滴吐出ヘッドの概略構成図である。
【図3】カラーフィルタ基板上にカラーフィルタを形成する方法の説明図である。
【図4】液滴吐出装置の電気的構成を示す図である。
【図5】液滴吐出ヘッドの動作を模式的に示す図である。
【図6】通常吐出用駆動信号及び微振動用駆動信号の波形を模式的に示す図である。
【図7】吐出ばらつき調整前の液滴吐出ヘッドの吐出特性を示す図である。
【図8】吐出ばらつき調整後の液滴吐出ヘッドの吐出特性を示す図である。
【図9】液滴吐出ヘッドの変形例に係る構成を示す図である。
【符号の説明】
【0077】
IJ…液滴吐出装置、N…ノズル、PZ…圧電体素子、S4…微振動用駆動信号、P…カラーフィルタ基板(基材)、H…ヒータ(吐出量調整手段)、R…冷却部材(吐出量調整手段)、5…液滴吐出ヘッド、24…キャビティ、45…ペルチェ素子(吐出量調整手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能液が収容された複数のキャビティの各々から前記機能液を吐出させる複数のノズルを有する液滴吐出ヘッドと、
前記各ノズルから吐出される前記機能液の温度を調整して前記各ノズルにおける吐出量のばらつきを調整する吐出量調整手段と、を備えることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
前記液滴吐出ヘッドは、印加される駆動信号に応じた圧力を前記各キャビティ内に発生させる複数の圧電体素子を有し、
前記吐出量調整手段は前記圧電体素子により構成されることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記圧電体素子には、前記ノズルから前記機能液を吐出させない程度の微小な圧力を前記キャビティ内に発生させるとともに前記キャビティ内の前記機能液を加熱する微振動用駆動信号が印加されることを特徴とする請求項2に記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
前記吐出量調整手段は、前記各キャビティ或いは複数のキャビティ毎に設けられたヒータを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
前記吐出量調整手段は、前記各キャビティ或いは複数のキャビティ毎に設けられた冷却機構を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の液滴吐出装置。
【請求項6】
機能液が収容された複数のキャビティの各々から前記機能液を吐出させる複数のノズルを有する液滴吐出ヘッドを用いた液滴吐出方法であって、
前記各ノズルから前記機能液を吐出させる吐出ステップよりも前に、前記各ノズルから吐出される前記機能液の温度を調整して前記各ノズルにおける吐出量のばらつきを調整する吐出量調整ステップを有することを特徴とする液滴吐出方法。
【請求項7】
前記吐出量調整ステップにおいて、前記各キャビティに対応して設けられる圧電体素子に該キャビティ内の前記機能液を微振動させる微振動用駆動信号を印加することを特徴とする請求項6に記載の液滴吐出方法。
【請求項8】
前記微振動用駆動信号は、前記ノズルから前記機能液を吐出させない程度の微小な圧力を前記キャビティ内に発生させることを特徴とする請求項7に記載の液滴吐出方法。
【請求項9】
前記吐出量調整ステップにおいて、所定の前記キャビティに微振動を付与することで、該所定のキャビティに隣接する他のキャビティ内の前記機能液を間接的に加熱することを特徴とする請求項7又は8に記載の液滴吐出方法。
【請求項10】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の液滴吐出装置、或いは請求項6〜9のいずれか一項に記載の液滴吐出方法を用いて、基材上に設けられた所定領域に前記機能液を配置してカラーフィルタを形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−145678(P2010−145678A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−321912(P2008−321912)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】