説明

液滴噴射装置

【課題】吸引パージを行う際に、インクなどを排出するための排出用チューブの内圧が上昇するのを防止する。
【解決手段】吸引パージの前に、吸引キャップをノズルと対向する空間を封止しない位置に移動させた上で、吸引パージのときよりも遅い吸引速度で、吸引ポンプを駆動させることにより、排出用チューブ内の増粘したインクなどを排出させる(S101)。その後、制御装置の内部時計がバッテリ切れから復帰したことを示す所定の信号が入力されていない場合には(S102:YES)、そのまま吸引パージを行わせる(S104)。一方、上記所定の信号が入力されている場合には(S102:YES)、さらに排気パージを行わせることにより(S103)、インクジェットヘッド内の気体を排出させるとともに、排出用チューブ内の増粘したインクなどをさらに排出させた上で、吸引パージを行わせる(S104)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから液滴を噴射する液滴噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のインクジェットプリンタには、インクジェットヘッドと接離可能な吸引キャップと、吸引キャップに接続された吸引ポンプが設けられており、吸引キャップがインクジェットヘッドに接触した状態で吸引キャップとインクジェットヘッドにより画成されるノズルに対向する空間を減圧させるように吸引ポンプを駆動させて、ノズルからインクジェットヘッド内の増粘したインクや気泡を排出させている。そして、吸引されたインクや気泡は、チューブを介して吸引ポンプに接続された廃液タンクに排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−94040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述したようにして、吸引キャップをインクジェットヘッドに接触した状態で吸引ポンプを駆動させることにより、インクジェットヘッド内の増粘したインクや気体の排出を行った場合、粘度が高いインクはチューブ内を流動しにくい為、吸引キャップから吸引ポンプを経由して廃液タンクまで流れ切らず、特に下流側に当たる吸引ポンプと廃液タンクとを接続するチューブにインクが残留し易い。そして、このインクが残ったまま排出動作が行なわれない放置時間の経過とともに増粘していく。そのため、次にインクジェットヘッド内の増粘したインクや気体を排出させるために同様の動作を行わせると、チューブ内に溜まった増粘したインクが吸引ポンプの吸引速度に追従して流れず、その結果、上記チューブの内圧が上昇して、チューブが吸引ポンプから抜けてしまう虞がある。
【0005】
本発明の目的は、液体を排出させるためのチューブの内圧の上昇を抑えつつ、液滴噴射ヘッドから液体などを排出させることが可能な液滴噴射装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係る液滴噴射装置は、ノズルから液滴を噴射する液滴噴射ヘッドと、前記液滴噴射ヘッドのメンテナンスを行うメンテナンス機構と、前記メンテナンス機構を制御するメンテナンス制御手段とを備えており、前記メンテナンス機構は、前記液滴噴射ヘッドに接離可能な吸引キャップと、前記吸引キャップが前記液滴噴射ヘッドに接触した際に前記吸引キャップと前記液滴噴射ヘッドにより画成される前記ノズルに対向する空間内の流体を吸引する吸引ポンプと、前記吸引ポンプに接続され、前記空間から前記吸引ポンプを経由した流体を排出する排出用チューブとを含んでおり、前記メンテナンス制御手段は、前記吸引キャップに前記空間を封止させた上で、前記吸引ポンプを駆動させることによって、前記ノズルから液体を吸引させる吸引パージを行わせ、さらに、ある吸引パージを行わせる直前に、前記吸引ポンプの吸引圧が前記ノズルからインクを吸引するようには作用しない状態で、前記吸引ポンプを駆動させることによって、前記排出用チューブ内の液体を排出させる液体排出動作を行わせることを特徴とする。
【0007】
吸引ポンプに接続された排出用チューブに増粘した液体が残留した状態で吸引パージを行うと、液体が排出用チューブを流れにくく、その結果、排出用チューブの内圧が上昇してチューブが吸引ポンプから抜けてしまう虞がある。
【0008】
しかしながら、本発明では、液体排出動作を行わせることにより排出用チューブ内の増粘した液体を排出した後に、吸引パージを行わせているため、吸引パージを行わせる際に排出用チューブの内圧が上昇してしまうのを防止することができる。
【0009】
第2の発明に係る液滴噴射装置は、第1の発明に係る液滴噴射装置であって、前記メンテナンス手段は、前記液体排出動作を行わせる際に、前記吸引キャップを、前記液体吐出ヘッドから離れた状態にさせることを特徴とする。
【0010】
本発明によると、吸引キャップを、液体吐出ヘッドから離れた状態にさせることによって、吸引ポンプの吸引圧が前記ノズルからインクを吸引するようには作用しない状態とすることができる。
【0011】
第3の発明に係る液滴噴射装置は、第1又は第2の発明に係る液滴噴射装置であって、前記メンテナンス制御手段は、前記液体排出動作を行わせる際の前記吸引ポンプの吸引速度を、前記吸引パージを行わせる際の前記吸引ポンプの吸引速度よりも遅くさせることを特徴とする。
【0012】
本発明によると、液体排出動作を行わせる際の吸引ポンプの吸引速度を遅くさせることにより、排出用チューブ内の増粘した液体が、吸引ポンプの吸引速度に追従して流れるため、液体排出動作の吸引ポンプの吸引によって排出用チューブの内圧が上昇してしまうのを防止することができる。
【0013】
第4の発明に係る液滴噴射装置は、第1〜第3のいずれかの発明に係る液滴噴射装置にであって、前記メンテナンス制御手段は、少なくとも、電源がオンにされた直後に行われる最初の吸引パージの直前に、前記液体排出動作を行わせることを特徴とする。
【0014】
電源がオンにされた時点では、それまでに液滴噴射装置から液滴が噴射されていない休止期間が長く、チューブに増粘した液体が多量に溜まっていることが多い。そこで、本発明では、少なくとも電源がオンにされた直後に行われる最初の吸引パージの前に液体排出動作を行わせることにより、吸引パージを行わせたときにチューブの内圧が上昇してしまうのを防止することができる。
【0015】
第5の発明に係る液滴噴射装置は、第1〜第4のいずれかの発明に係る液滴噴射装置であって、前記メンテナンス制御手段は、前記液滴噴射ヘッドから液滴が噴射されていない休止時間が長い場合ほど、前記液体排出動作を長時間行わせることを特徴とする。
【0016】
休止期間が長く、排出用チューブ内に増粘した液体が多量に溜まっている場合ほど、液体排出動作を長時間行わせることにより、排出用チューブ内の増粘した液体を確実に排出させることができるとともに、液体排出動作の時間を極力短くすることができる。
【0017】
第6の発明に係る液滴噴射装置は、第5の発明に係る液滴噴射装置であって、前記メンテナンス制御手段は、前記液体排出動作を行わせるとともに、前記液体排出動作の前に、予め外部から前記休止期間に関連する所定の信号が入力されている場合、又は、前記液体排出動作の後に、外部から前記所定の信号が入力された場合には、前記液体排出動作の後に、再度前記液体排出動作を行わせることを特徴とする。
【0018】
本発明によると、所定の信号の入力がない場合には、液体排出動作を1回だけ行わせ、所定の信号の入力がある場合にのみ、液体排出動作を2回行わせるため、1回の液体排出動作の時間を短くしておけば、休止期間が短く、排出用チューブ内に増粘した液体がそれほど溜まっていない場合には、所定の信号が入力されないようにして液体排出動作を1回だけ行わせることにより、液体排出動作に要する時間を短縮することができる。
【0019】
一方、休止期間が長く、排出用チューブ内に増粘した液体が多量に溜まっている場合には、所定の信号が入力されるようにして液体排出動作を2回行わせることにより、排出用チューブ内の増粘した液体を確実に排出させることができる。
【0020】
第7の発明に係る液滴噴射装置は、第1〜第4のいずれかの発明に係る液滴噴射装置であって、前記液滴噴射ヘッド内の気体を排出するための排気流路をさらに備え、前記吸引ポンプは、前記吸引キャップ及び前記排気流路のいずれかに選択的に接続可能となっており、前記メンテナンス機構が、前記吸引ポンプと前記吸引キャップ、または、前記吸引ポンプと前記排気流路の接続に切り替える切り替え手段をさらに備え、前記メンテナンス制御手段は、前記液体排出動作を行わせるとともに、前記液体排出動作の前に、予め外部から前記休止期間に関連する所定の信号が入力されている場合、又は、前記液体排出動作の後に、外部から前記所定の信号が入力された場合には、前記液体排出動作の後に、前記切り替え手段により前記吸引ポンプを前記排気流路に接続させた上で、前記吸引ポンプを駆動させることによって、前記排気流路から前記液滴噴射ヘッド内の気体を排出させる排気パージを行わせることを特徴とする。
【0021】
休止期間が長く、チューブ内に増粘した液体が多量に溜まっている場合には、液滴噴射ヘッド内に多量の気体が溜まっていることが多い。
【0022】
そこで、本発明では、このような場合に、上記所定の信号が入力されるようにすることで、液体排出動作の後に、さらに排気パージを行わせることにより、排出用チューブ内の増粘した液体を排出することができるとともに、液滴噴射ヘッド内の気体も排出することができる。
【0023】
さらに、一般に、ノズルのメニスカスが破壊されないよう、排気パージにおける吸引ポンプの吸引速度は、吸引パージに比べて遅く設定されているため、排気パージを行わせると、液体排出動作を行ったときと同様、排出用チューブ内の増粘した液体は、吸引ポンプの吸引速度に追従して流れるため、排気パージにおける吸引ポンプによる吸引によって、排出用チューブの内圧が上昇してしまうのが防止される。
【0024】
また、このとき、排気パージでは気体とともに液滴噴射ヘッド内の液体も少しは排出されるため、排出用チューブ内の増粘した液体が、液滴噴射ヘッドから排出された液体と混ざることによってその増粘度が低下し、排出されやすくなる。
【0025】
第8の発明に係る液滴噴射装置は、第5〜第7の発明に係る液滴噴射装置であって、ユーザの選択に応じて、前記所定の信号が前記メンテナンス制御手段に入力されることを特徴とする。
【0026】
本発明によると、液体排出動作の後、ユーザに、さらに液体排出動作あるいは排気パージを行わせるか否かを選択させることができる。
【0027】
第9の発明に係る液滴噴射装置は、第5〜第8のいずれかの発明に係る液滴噴射装置であって、バッテリにより駆動する内部時計をさらに備えており、バッテリ切れとなっていた前記内部時計がコンセントの挿入によりバッテリ切れから復帰したときに、前記所定の信号が前記メンテナンス制御手段に入力されることを特徴とする。
【0028】
内部時計がバッテリ切れになるということは、長期間コンセントが挿入されていない、すなわち休止期間が長いことを意味しており、さらに、その後コンセントが挿入されて内部時計が復帰した時点では、休止期間はさらに長くなっている。したがって、この時点では、排出用チューブ内に、増粘した液体が多量に溜まっていることが多い。
【0029】
そこで、本発明では、バッテリ切れとなっていた内部時計がコンセントの挿入によってバッテリ切れから復帰した場合に、所定の信号が入力されるようにすることにより、液体排出動作を行わせた後、さらに液体排出動作あるいは排気パージを行わせ、これにより、その後に行われる最初の吸引パージの前に、排出用チューブ内の増粘した液体を十分に排出させることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、液体排出動作を行わせることによりチューブ内の増粘したインクを排出した後に、吸引パージを行わせているため、吸引パージを行わせる際に排出用チューブの内圧が上昇してしまうのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明における実施の形態に係るプリンタの概略構成図である。
【図2】図1のサブタンク及びインクジェットヘッドの外観を示す斜視図である。
【図3】図1の制御装置の機能ブロック図である。
【図4】プリンタにおいて行われるメンテナンス動作の手順を示すフローチャートである。
【図5】変形例1の図3相当のフローチャートである。
【図6】変形例2の図3相当のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0033】
図1は、本実施の形態に係るプリンタの概略構成図である。図1に示すように、プリンタ1(液滴噴射装置)は、キャリッジ2、サブタンク3、インクジェットヘッド4、吸引キャップ5、排気キャップ6、切り替え装置7、吸引ポンプ8、廃液タンク9などを備えている。また、プリンタ1は、コンセント10が挿入されることで、外部から電源が供給され、電源スイッチ11(図3参照)によりその電源のオンとオフの切り替えができるようになっている。またプリンタ1の動作は、制御装置30によって制御されている。
【0034】
キャリッジ2は、走査方向(図1の左右方向)に互いに平行に延びた2本のガイドレール12に沿って走査方向に往復移動する。サブタンク3は、キャリッジ2上に搭載されているとともに、4本のチューブ13を介して4つのインクカートリッジ14に接続されている。そして、4つのインクカートリッジ14にそれぞれ貯留された、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの4色のインクが、4本のチューブ13を介してサブタンク3に供給される。
【0035】
インクジェットヘッド4(液滴噴射ヘッド)は、サブタンク3の下面に配置されており、サブタンク3から上記4色のインクが供給されるとともに、その下面に形成された複数のノズル25からこれら4色のインク滴を噴射する。
【0036】
そして、プリンタ1においては、図示しない用紙搬送機構により走査方向と直交する紙送り方向(図1の下方)に搬送される記録用紙Pに、キャリッジ2とともに走査方向に往復移動するインクジェットヘッド4からインク滴を噴射させることによって、記録用紙Pに印刷を行わせる。
【0037】
ここで、サブタンク3及びインクジェットヘッド4について説明する。図2はサブタンク3及びインクジェットヘッド4の外観を示す斜視図である。図2に示すように、サブタンク3は、4つのチューブ接続口21、4つのインク供給流路22、4つの排気流路23などを備えている。
【0038】
4つのチューブ接続口21は、サブタンク3の紙送り方向に関する一端部(図1における下端部)に配置されており、上述の4本のチューブ13が接続される。4つのインク供給流路22は、サブタンク3の紙送り方向に関するチューブ接続口21と反対側の端部(図2における上端部)に配置されており、図示しないインクの圧力変動を抑制するためのダンパ室などのインク流路を介してチューブ接続口21と接続されている。また、各インク供給流路22は、上下方向(図1の紙面垂直方向、紙送り方向と走査方向に直交する方向)に延びており、その下端が、サブタンク3の下面に配置されたインクジェットヘッド4に接続されている。
【0039】
ここで、各インク供給流路22が上下方向に延びていることにより、インク中に混入した気体はインク供給流路22において上方に移動してインク供給流路22の上端部に溜まる。そして、これにより、インクジェットヘッド4にインクが流れ込む際に気体が流れ込みにくくなっている。
【0040】
4つの排気流路23は、インク供給流路22の上端部に接続されており、後述する排気パージにより、インク供給流路22の上端部に溜まった気体が排気流路23から外部に排出される。
【0041】
また、インクジェットヘッド4は、図示は省略するが、インク供給流路22と接続されたインク供給口からインクが供給されるマニホールド流路、及び、マニホールド流路の出口からや圧力室を経てノズル25にいたる複数の個別インク流路が形成された流路ユニットと、圧力室内のインクに圧力を付与するための圧電アクチュエータとを備えており、圧電アクチュエータにより圧力室内のインクに圧力を付与することによって複数のノズル25からインク滴を噴射させる。
【0042】
また、インクジェットヘッド4においては、複数のノズル25は、図1に示すように、紙送り方向に配列されることで1つのノズル列を構成しており、このようなノズル列が走査方向に4つ並んでいる。そして、これら4つのノズル列を構成するノズル25からは、図1の右側に配置されているものから順に、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインク滴を噴射する。
【0043】
なお、サブタンク3及びインクジェットヘッド4の構成自体は、従来と同様のものであり、本発明の特徴部分とも直接関係ないものであるため、ここでは、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0044】
吸引キャップ5は、キャリッジ2が図1の右方にほぼ最大限移動した状態で、インクジェットヘッド4と対向する位置に配置されており、この状態で、最も右側に配置されたノズル列を構成する、ブラックのインク滴を噴射するノズル25と対向する第1キャップ部5aと、他の3つノズル列を構成する、カラー(イエロー、シアン、マゼンタ)のインク滴を噴射するノズル25を覆う第2キャップ部5bとを備えている。
【0045】
吸引キャップ5は、キャップ移動機構15(図3参照)により上下方向(図1の紙面垂直方向)に移動可能となっている(インクジェットヘッド4に接離可能となっている)。そして、キャリッジ2が上記位置にある状態で、吸引キャップ5をインクジェットヘッド4に接触するまで上方(図1の紙面垂直方向の手前側)に移動させると、第1キャップ部5a及び第2キャップ部5bとインクジェットヘッド4により、それぞれ、ブラックのインク滴を噴射するノズル25及びカラーのインク滴を噴射するノズル25と対向する空間を画定できるようになっている。また、吸引キャップ5を下方(図1の紙面垂直方向の奥側)に移動させることにより、第1キャップ部5a及び第2キャップ部5bがインクジェットヘッド4から離れた状態、すなわち、吸引ポンプ8の吸引圧が、ノズル25からインクを吸引するようには作用しない状態にすることができる。
【0046】
排気キャップ6は、キャリッジ2が図1の右方にほぼ最大限移動した状態で、サブタンク3の排気流路23と対向する位置に配置されている。排気キャップ6は、キャップ移動機構15(図3参照)により上下方向(図1の紙面垂直方向)に移動可能となっており、キャリッジ2が上記位置にある状態で、排気キャップ6を上方(図1の紙面垂直方向の手前側)に移動させることによって排気流路23に接続することができるようになっている。また、排気キャップ6を下方(図1の紙面垂直方向の奥側)に移動させることにより、排気流路23と接続されない状態とすることができる。
【0047】
また、吸引キャップ5の第1キャップ部5a及び第2キャップ部5b、並びに、排気キャップ6は、それぞれ、チューブ16a、16b、17を介して切り替え装置7に接続されており、切り替え装置7は、チューブ18を介して吸引ポンプ8と接続されている。そして、切り替え装置7は、吸引ポンプ8と第1キャップ部5aとが接続された状態、吸引ポンプ8と第2キャップ部5bとが接続された状態、及び、吸引ポンプ8と排気キャップ6とが接続された状態のいずれかに切り替えを行うことができるようになっている。
【0048】
吸引ポンプ8は、例えばチューブポンプなどである。そして、プリンタ1においては、上述したように、第1キャップ部5a及び第2キャップ部5bによりノズル25と対向する空間が封止されるとともに、切り替え装置7により吸引ポンプ8と第1キャップ部5a及び第2キャップ部5bとが接続された状態で、吸引ポンプ8を駆動させることにより、上記空間内のインクや空気など(流体)を吸引して、ノズル25からインクジェットヘッド内のブラック及びカラーのインクをそれぞれ排出させる吸引パージを行わせることができるようになっている。
【0049】
また、上述したように、排気キャップ6が排気流路23に接続されるとともに、切り替え装置7により吸引ポンプ8と排気キャップ6とが接続された状態で、吸引ポンプ8を駆動させることにより、排気流路23から、インクジェットヘッド4や、サブタンク3のインク供給流路22などに溜まった気体を吸引する排気パージを行わせることができるようになっている。
【0050】
なお、上記排気パージにおいては、排気流路23からの気体の吸引によりノズル25のメニスカスが破壊されてしまうのを防止するため、吸引パージに比べて吸引ポンプ8の駆動速度を遅くしている。具体的には、ブラックのインクの吸引パージにおける吸引速度と排気パージにおける吸引速度との比が1:0.0555程度となっており、カラーのインクの吸引パージにおける吸引速度と、排気パージにおける吸引速度との比が1:0.22程度となっている。
【0051】
また、吸引ポンプ8は、排出用チューブ19を介して廃液タンク9に接続されており、上述した吸引パージにより吸引されたインクや気体は、吸引キャップ5、チューブ16a、16b、18及び吸引ポンプ8を経由して、排出用チューブ19から廃液タンク9に排出され、排気パージにより吸引されたインクや気体は、排気キャップ6、チューブ17、18及び吸引ポンプ8を経由して、排出用チューブ19から廃液タンク9に排出される。
【0052】
なお、本実施の形態においては、吸引キャップ5、排気キャップ6、切り替え装置7、吸引ポンプ8及び廃液タンク9と、これらを接続するチューブ16a、16b、17、18、19とをあわせたものが、本発明に係るメンテナンス機構に相当する。
【0053】
次に、プリンタ1の制御を行う制御装置30について説明する。図3は図1の制御装置30の機能ブロック図である。
【0054】
制御装置30は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備えており、これらが、印刷制御部31、メンテナンス制御部32などとして動作する。また、制御装置30には、内部時計33が搭載されている。
【0055】
印刷制御部31は、プリンタ1において印刷を行う際の、キャリッジ2、インクジェットヘッド4、図示しない用紙搬送機構などの制御を行う。メンテナンス制御部32は、上述の吸引パージや排気パージ、後述の液体排出動作など、インクジェットヘッドのメンテナンスを行う際の、キャリッジ2、キャップ移動機構15、切り替え装置7、吸引ポンプ8などの制御を行う。
【0056】
内部時計33は、バッテリにより駆動する時計であって、インクジェットヘッド4からインク滴の噴射が行われていない休止期間の計測などを行う。また、内部時計33は、コンセント10が抜かれた状態で長期間放置されるとバッテリ切れとなり、その後コンセント10が挿入されたときに、バッテリ切れから復帰し、このとき、メンテナンス制御部32に、上記休止期間が長いことを示す所定の信号(休止期間に関連する所定の信号)を送信する。
【0057】
次に、プリンタ1において、電源がオンにされた直後に行われる、吸引パージを含むメンテナンス動作について説明する。図4はこの手順を示すフローチャートである。
【0058】
プリンタ1において電源がオンにされると、図4に示すように、まず、吸引キャップ5を下方に移動させることによって、第1キャップ部5a及び第2キャップ部5bによりインクジェットヘッド4と接触しない状態にするとともに、排気キャップ6を下方に移動させることによって、排気流路23に接続されない状態とした上で、吸引ポンプ8を、排気パージのときと同程度の吸引速度など、吸引パージのときよりも遅い吸引速度で駆動させる(液体排出動作を行わせる)(ステップS101、以下、単にS101などとする)。
【0059】
これにより、前回の吸引パージなどに排出用チューブ19などに溜まり、時間の経過によって水分が蒸発することで増粘したインクなどが、廃液タンク9に排出される。なお、このときには、切り替え装置7は、吸引ポンプ8を、吸引キャップ5及び排気キャップ6のどちらに接続していてもよい。
【0060】
次に、内部時計33からメンテナンス制御部32に、上記所定の信号が入力されていない場合には(S102:NO)、そのまま吸引パージを行わせて(S104)、メンテナンス動作を終了する。一方、内部時計33からメンテナンス制御部32に、上記所定の信号が入力されている場合には(S102:YES)、さらに排気パージを行わせ(S103)、その後、吸引パージを行わせて(S104)、メンテナンス動作を終了する。
【0061】
ここで、電源がオンにされた時点では、インクジェットヘッド4からインク滴の噴射を行っていない期間(休止期間)が長く、排出用チューブ19に多量の増粘したインクが溜まっている場合が多い。そのため、本実施の形態とは異なり、電源をオンにした直後、上記S101の液体排出動作や、上記S103の排気パージを行わせずに、吸引パージを行わせてしまうと、排出用チューブ19内の増粘したインクが、吸引ポンプ8の吸引速度に追従して排出用チューブ19を流れず、排出用チューブ19の内圧が上昇してしまう虞がある。そして、排出用チューブ19の内圧が上昇すると、排出用チューブ19が吸引ポンプ8から抜けてしまう虞がある。
【0062】
そこで、本実施の形態では、上記S104において吸引パージを行わせる前に、上記S101において、吸引キャップ5によりノズル25と対向する空間を封止しない状態で、吸引ポンプ8を、吸引パージのときよりも遅い吸引速度で駆動させる液体排出動作により、排出用チューブ19内の増粘したインクを廃液タンク9に排出させている。ここで、液体排出動作における吸引ポンプ8の吸引速度は、吸引パージのときの吸引ポンプ8の吸引速度に比べて遅いので、排出用チューブ19内の増粘したインクは、吸引ポンプ8の吸引速度に追従して排出用チューブ19内を流れる。したがって、排出用チューブ19の内圧は上昇しにくい。
【0063】
そして、吸引パージの前に液体排出動作を行わせることにより、排出用チューブ19内の増粘したインクを排出した後で、吸引パージが行わせているので、吸引パージを行わせる際に、排出用チューブ19の内圧が上昇してしまうのを防止することができる。
【0064】
また、排出用チューブ19内のインクは時間の経過とともに水分の蒸発によって増粘するため、休止期間が長くなるほど、排出用チューブ19内には増粘したインクが多量に溜まることとなる。そして、この場合には、上記S101の液体排出動作だけでは、排出用チューブ19内の増粘したインクを十分に排出させることができない場合がある。
【0065】
また、休止期間が長い場合には、インクジェットヘッド4あるいはこれに連通するサブタンク3内に多量の気体が溜まっていることも多く、この気体によって、インクジェットヘッド4からのインク滴の噴射特性が変動してしまう虞もある。
【0066】
一方、制御装置30の内部時計33がバッテリ切れになっているということは、長期間コンセント10が挿入されていない、すなわち、休止期間が長いことを意味しており、さらに、その後コンセント10が挿入されて内部時計33がバッテリ切れから復帰した時点では、休止期間はさらに長くなっている。したがって、この時点では、排出用チューブ19内に多量の増粘したインクが溜まっていることが多い。
【0067】
そこで、本実施の形態では、上述したように、内部時計33がバッテリ切れから復帰したときに、メンテナンス制御部32に上記所定の信号を入力し、上記所定の信号が入力されている場合には、液体排出動作を行わせた後、さらに、排気パージを行わせた上で、吸引パージを行わせている。
【0068】
これにより、排気パージによってインクジェットヘッド4内の気体が排気流路23から吸引ポンプ8、排出用チューブ19などを経て廃液タンク9に排出されることができるとともに、排気パージの吸引ポンプ8の駆動によっても、排出用チューブ19内の増粘したインクを排出させることができる。
【0069】
さらに、排気パージを行わせた場合、排気流路23からは、気体とともにインクも少し流れ出るため、排出用チューブ19内の増粘したインクが、排気流路23から排出されたインクと混ざることで粘度が低下し、排出されやすくなる。
【0070】
次に、本実施の形態に種々の変更を加えた変形例について説明する。ただし、本実施の形態と同様の構成を有するものについては適宜その説明を省略する。
【0071】
上述の実施の形態では、メンテナンス制御部32に、内部時計33がバッテリ切れから復帰したときに入力される所定の信号が入力されている場合に、液体排出動作に続いて排気パージを行わせたがこれには限られない。
【0072】
一変形例(変形例1)では、図5に示すように、上記S101の液体排出動作の後、ノズル15からインクを噴射させることによってノズル15内の増粘したインクを排出させる、いわゆるフラッシングを行わせてから(S201)、インク滴が噴射されていないノズル25の数を調べるためのテストパターンを印刷させる(S202)。そして、ユーザが、印刷されたテストパターンを見て、インク滴が噴射されていないノズル25の数から休止期間の長さを判断する。このとき、ユーザは、例えば、インク滴が噴射されていないノズル25の割合が所定割合よりも多い場合に、休止期間が長いと判断する。
【0073】
そして、休止期間が長いと判断した場合には、上記液体排出動作の後、一定時間内に(S204:NO)、プリンタ1に設けられた図示しないボタンや、プリンタ1に接続された図示しないPCなどを操作することによって、休止期間が長いことを示す所定の信号を入力し、上記一定時間内に上記所定の信号が入力された場合には(S203:YES)、上述の実施の形態と同様、さらに排気パージを行わせた(S103)上で、吸引パージを行わせる(S104)。
【0074】
一方、上記一定時間内に、上記所定の信号が入力されなかった場合には(S203:NO、S204:YES)、そのまま吸引パージを行わせる(S104)。
【0075】
この場合には、ユーザに排気パージを行わせるか否かを選択させることにより、液体排出動作の後、ユーザが必要と判断した場合にのみ、さらに排気パージを行わせることができる。
【0076】
なお、変形例1では、液体排出動作の後、一定時間が経過するまでに、上記記所定の信号が入力されなかった場合に(S203:NO、S204:YES)、そのまま吸引パージを行わせた(S104)が、これには限られず、例えば、ユーザに、テストパターンを見て休止期間が短いと判断したときに、上記所定の信号とは別の、休止期間が短いことを示す信号を入力させ、この信号が入力されたときに、そのまま、吸引パージを行わせるようにするなどしてもよい。
【0077】
また、変形例1では、液体排出動作の後にテストパターンを印刷させ、印刷されたテストパターンに基づいて、ユーザに休止期間が長いことを示す上記所定の信号の入力を行わせたが、これには限られない。例えば、液体排出動作の前に、上記テストパターンを印刷させるとともに、上記所定の信号の入力を行わせ、上記所定の信号が入力された場合には、その後、液体排出動作と排気パージの両方を行わせてから吸引パージを行わせ、上記所定の信号が入力されなかった場合には、液体排出動作のみを行わせてから吸引パージを行わせてもよい。あるいは、液体排出動作の前にテストパターンの印刷を行わせ、液体排出動作の後に所定の信号の入力を行わせてもよい。
【0078】
また、変形例1では、印刷されたテストパターンによって、ユーザに休止期間が長いか否かを判断させていたが、これには限られない。例えば、排出用チューブ19がその一部をプリンタ1の外部から目視できるように配置されており、排出用チューブ19のこの部分にどの程度インクが溜まっているかによって、ユーザに休止期間が長いか否かを判断させてもよい。
【0079】
また、上述の実施の形態では、電源がオンにされた直後に行われる最初の吸引パージの前に、液体排出動作や排気パージを行わせたが、電源がオンとなっている状態で定期的に行われる吸引パージなど、電源がオンにされた直後に行われる最初の吸引パージ以外の吸引パージの前に液体排出動作や排気パージを行わせてもよい。
【0080】
ただし、上述したように、電源がオンにされた時点では、休止期間が長く、排出用チューブ19に多量の増粘したインクが溜まっていることが多いので、少なくとも、電源がオンにされた直後に行われる最初の吸引パージの前には、液体排出動作や排気パージを行わせることが好ましい。
【0081】
また、上述の実施の形態では、電源がオンにされた直後に常に吸引パージを行わせていたが、これには限られない。別の一変形例(変形例2)では、図6に示すように、電源がオンにされたときに、上述したのと同様、液体排出動作を行わせ(S101)、その後、フラッシングを行わせた上で(S301)、すぐに画像の印刷を開始させる(S302)。
【0082】
そして、ユーザは、印刷された画像の画質などから、休止期間が長く、吸引パージを行ったほうがよいと判断した場合、一定時間が経過する前に、吸引パージを行うことを指示する信号を入力する。なお、変形例2では、この吸引パージを行うことを指示する信号が、本発明に係る休止期間に関連する所定の信号に相当する。
【0083】
そして、上記S302の印刷の後、一定時間、上記吸引パージを行うことを指示する信号が入力されなかった場合には(S303:NO、S304:YES)、メンテナンス動作を終了して、画像の印刷を継続させる。
【0084】
一方、一定時間が経過する前に(S304:NO)、上記吸引パージを行うことを指示する信号が入力された場合には(S303:YES)、排気パージを行わせてから(S103)、吸引パージを行わせ(S104)、その後、メンテナンス動作を終了して、画像の印刷に移行させる。
【0085】
高画質の印刷を行うためには、電源がオンにされた直後に吸引パージを行わせることが好ましいが、例えばテキストの印刷など、それほど高い画質が要求されない場合には、電源がオンにされた直後に吸引パージを行わせずに、そのまま印刷を開始させても、十分な画質が得られる場合も多い。
【0086】
そこで、変形例2の場合には、上述したように、吸引パージを行わせずにそのまま画像の印刷を行わせ、ユーザから吸引パージを行うことを指示する信号が入力された場合にのみ吸引パージを行わせることにより、吸引パージの必要がない場合には、直ちに印刷を継続させることができる。
【0087】
一方、吸引パージを行わせる場合には、上述したのと同様、その直前に、液体排出動作及び排気パージを行わせているため、上述したような排出用チューブ19の内圧の上昇を防止することができる。
【0088】
また、吸引パージを行わせない場合にも、液体排出動作を行わせて排出用チューブ19内のインクや気体などをを排出させているので、次に吸引パージを行わせるまでの間に、排出用チューブ19内に溜まっているインクが増粘することで、排出用チューブ19に増粘したインクが多量に溜まってしまうのを防止することができる。
【0089】
また、上述の実施の形態では、液体排出動作を行わせる際の吸引ポンプ8の吸引速度を、排気パージを行わせる際の吸引ポンプ8の吸引速度と同程度としていたが、これには限られない。液体排出動作を行わせる際の吸引ポンプ8の吸引速度は、吸引パージを行わせる際の吸引ポンプ8の吸引速度よりも遅ければ、排気パージを行わせる際の吸引ポンプ8の吸引速度とは異なっていてもよい。
【0090】
さらには、液体排出動作を行わせる際の吸引ポンプ8の吸引速度は、吸引パージを行わせる際の吸引ポンプ8の吸引速度よりも遅いことには限られず、吸引パージを行わせる際の吸引ポンプ8の吸引速度と同程度であってもよい。
【0091】
また、上述の実施の形態では、液体排出動作の後、上記所定の信号が入力された場合、あるいは、既に上記所定の信号が入力されている場合に、排気パージを行わせていたが、これには限られない。例えば、液体排出動作の後、上記所定の信号が入力された場合、あるいは、既に上記所定の信号が入力されている場合に、液体排出動作を再度行わせてもよい。
【0092】
この場合には、1回の液体排出動作の時間を短くしておけば、休止期間が短く、排出用チューブ19に溜まっている増粘したインクの量が少ない場合には、1回だけ液体排出動作が行われるため、液体排出動作にかかる時間を短くすることができる。
【0093】
一方、休止期間が長く、排出用チューブ19に溜まっている増粘したインクの量が多い場合には、2回液体排出動作を行わせることにより、排出用チューブ19内の増粘したインクを確実に排出させることができる。
【0094】
すなわち、この場合には、休止期間が長く、排出用チューブ19に溜まっている増粘したインクの量が多い場合ほど、長時間液体排出動作が行われるため、排出用チューブ19内の増粘したインクを確実に排出させることができるとともに、液体排出動作の時間を極力短くすることができる。
【0095】
なお、この場合、2回目の液体排出動作における、吸引ポンプ8の吸引速度や吸引時間は、1回目の液体排出動作と同じであってもよいし、1回目の液体排出動作とは異なっていてもよい。
【0096】
また、この例では、液体排出動作を行わせた後、上記所定の信号が入力されている場合に、再度液体排出動作を行わせることによって、休止期間が長く、排出用チューブ19内の増粘したインクの量が多い場合ほど、液体排出動作を長時間行わせたがこれには限られない。
【0097】
例えば、液体排出動作よりも前に上記所定の信号を入力させるようにし、上記所定の信号が入力されていない場合には、液体排出動作を所定時間だけ行わせ、上記所定の信号が入力されている場合には、液体排出動作を上記所定時間よりも長時間行わせてもよい。
【0098】
さらには、休止期間が長いほど液体排出動作を長時間行わせることには限られない。例えば、吸引パージの前に、休止期間の長さに関係なく、一律に、液体排出動作を一定時間行わせてもよい。
【0099】
また、上述の実施の形態では、液体排出動作を行わせる際に、吸引キャップ5が、ノズル25と対向する空間を封止していない状態とすることにより、吸引ポンプ8の吸引圧が、ノズル25からインクを吸引するようには作用しない状態としたが、これには限られない。例えば、切り替え装置7が、吸引ポンプ8を、チューブ16a、16b、17とは別に、外気に連通させることができるようになっており、切り替え装置7により吸引ポンプ8を外気に連通させることにより、吸引ポンプ8の吸引圧が、ノズル25からインクを吸引するようには作用しない状態としてもよい。そして、この場合には、吸引ポンプ8と吸引キャップ5とは接続されていないため、吸引キャップ5がノズル25と対向する空間を封止した状態となっていてもよい。
【0100】
以上では、走査方向に往復移動しながらインク滴を噴射するいわゆるシリアル式のインクジェットヘッドを備えたプリンタに本発明を適用した例について説明したが、これには限られない。例えば、記録用紙の幅方向の全長にわたって延びており、移動することなくインク液を噴射するいわゆるラインヘッドを備えたプリンタに本発明を適用することも可能である。
【0101】
さらには、プリンタに本発明を適用することには限られず、インク滴以外の液滴を噴射する液滴噴射ヘッドを備えた、プリンタ以外の液滴噴射装置に本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0102】
1 プリンタ
4 インクジェットヘッド
5 吸引キャップ
8 吸引ポンプ
10 コンセント
19 排出用チューブ
23 排気流路
25 ノズル
30制御装置
32 メンテナンス制御部
33 内部時計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルから液滴を噴射する液滴噴射ヘッドと、
前記液滴噴射ヘッドのメンテナンスを行うメンテナンス機構と、
前記メンテナンス機構を制御するメンテナンス制御手段とを備えており、
前記メンテナンス機構は、
前記液滴噴射ヘッドに接離可能な吸引キャップと、
前記吸引キャップが前記液滴噴射ヘッドに接触した際に前記吸引キャップと前記液滴噴射ヘッドにより画成される前記ノズルに対向する空間内の流体を吸引する吸引ポンプと、
前記吸引ポンプに接続され、前記空間から前記吸引ポンプを経由した流体を排出する排出用チューブとを含んでおり、
前記メンテナンス制御手段は、
前記吸引キャップに前記空間を封止させた上で、前記吸引ポンプを駆動させることによって、前記ノズルから液体を吸引させる吸引パージを行わせ、
さらに、ある吸引パージを行わせる直前に、前記吸引ポンプの吸引圧が前記ノズルからインクを吸引するようには作用しない状態で、前記吸引ポンプを駆動させることによって、前記排出用チューブ内の液体を排出させる液体排出動作を行わせることを特徴とする液滴噴射装置。
【請求項2】
前記メンテナンス手段は、
前記液体排出動作を行わせる際に、前記吸引キャップを、前記液体吐出ヘッドから離れた状態にさせることを特徴とする請求項1に記載の液滴噴射装置。
【請求項3】
前記メンテナンス制御手段は、
前記液体排出動作を行わせる際の前記吸引ポンプの吸引速度を、前記吸引パージを行わせる際の前記吸引ポンプの吸引速度よりも遅くさせることを特徴とする請求項1又は2に記載の液滴噴射装置。
【請求項4】
前記メンテナンス制御手段は、
少なくとも、電源がオンにされた直後に行われる最初の吸引パージの直前に、前記液体排出動作を行わせることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液滴噴射装置。
【請求項5】
前記メンテナンス制御手段は、
前記液滴噴射ヘッドから液滴が噴射されていない休止時間が長い場合ほど、前記液体排出動作を長時間行わせることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液滴噴射装置。
【請求項6】
前記メンテナンス制御手段は、
前記液体排出動作を行わせるとともに、
前記液体排出動作の前に、予め外部から前記休止期間に関連する所定の信号が入力されている場合、又は、前記液体排出動作の後に、外部から前記所定の信号が入力された場合には、前記液体排出動作の後に、再度前記液体排出動作を行わせることを特徴とする請求項5に記載の液滴噴射装置。
【請求項7】
前記液滴噴射ヘッド内の気体を排出するための排気流路をさらに備え、
前記吸引ポンプは、前記吸引キャップ及び前記排気流路のいずれかに選択的に接続可能となっており、
前記メンテナンス機構が、前記吸引ポンプと前記吸引キャップ、または、前記吸引ポンプと前記排気流路の接続に切り替える切り替え手段をさらに備え、
前記メンテナンス制御手段は、
前記液体排出動作を行わせるとともに、
前記液体排出動作の前に、予め外部から前記休止期間に関連する所定の信号が入力されている場合、又は、前記液体排出動作の後に、外部から前記所定の信号が入力された場合には、前記液体排出動作の後に、前記切り替え手段により前記吸引ポンプを前記排気流路に接続させた上で、前記吸引ポンプを駆動させることによって、前記排気流路から前記液滴噴射ヘッド内の気体を排出させる排気パージを行わせることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液滴噴射装置。
【請求項8】
ユーザの選択に応じて、前記所定の信号が前記メンテナンス制御手段に入力されることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の液滴噴射装置。
【請求項9】
バッテリにより駆動する内部時計をさらに備えており、
バッテリ切れとなっていた前記内部時計がコンセントの挿入によりバッテリ切れから復帰したときに、前記所定の信号が前記メンテナンス制御手段に入力されることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の液滴噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−207025(P2011−207025A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76644(P2010−76644)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】